JP7104669B2 - 超音波探触子装置 - Google Patents

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Description

本発明は、接触媒質を介し被検査体の表面に接触しながら、被検査体の表面に沿って往復移動する超音波探触子装置に関する。
特許文献1は、接触媒質を介し被検査体の表面に超音波探触子を接触させると共に、被検査体の表面に沿って超音波探触子を移動させながら、被検査体の探傷を行う検査方法を開示する。超音波探触子は、接触媒質を介し被検査体に超音波を送信する。そして、被検査体の内部にきずが存在する場合に、超音波探触子は、きずで反射された超音波を、接触媒質を介し受信する。これにより、被検査体の内部のきずが検知される。接触媒質は、超音波を伝播するために、超音波探触子と被検査体の間に十分に存在している必要がある。
特開2008-089317号公報
接触媒質は、水と比べて粘性の大きいものとして、例えばグリセリンペースト等を用いることがある。その理由は、例えばプラントや工場に設置されている容器や配管等が被検査体であって、部分的な探傷を行う場合に、接触媒質が周囲へ飛散しないからである。
ところが、粘性の大きい接触媒質を被検査体の表面に塗布した状態で、被検査体の表面に沿って超音波探触子を往復移動させる場合、超音波探触子の行きのときに接触媒質を押しのけてしまい、超音波探触子の戻りのときに接触媒質が不足する可能性がある。かといって、超音波探触子に付随して被検査体の表面に接触媒質を供給する接触媒質供給装置を設ければ、全体の構成が複雑なものとなる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡素な構成で、被検査体の表面上の接触媒質が不足するのを防止することができる超音波探触子装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の超音波探触子装置は、接触媒質を介し被検査体の表面に接触しながら、前記被検査体の表面に沿って往復移動する超音波探触子と、前記超音波探触子に対して往復移動方向の一方側に離間すると共に、前記超音波探触子の往復移動方向に垂直かつ前記被検査体の表面に垂直な方向に延在するように、第1の支持部材を介して前記超音波探触子に取り付けられた第1の側板と、前記超音波探触子に対して往復移動方向の他方側に離間すると共に、前記超音波探触子の往復移動方向に垂直かつ前記被検査体の表面に垂直な方向に延在するように、第2の支持部材を介して前記超音波探触子に取り付けられた第2の側板とを備え、前記第1の側板の先端及び前記第2の側板の先端は、前記接触媒質を介し前記被検査体の表面に接触する前記超音波探触子の底面との位置関係が固定され、前記超音波探触子が前記接触媒質を介し前記被検査体の表面に接触しながら前記被検査体の表面に沿って往復移動するとき、前記超音波探触子の前記底面と比べ、前記被検査体の表面より大きく離れる。
本発明によれば、簡素な構成で、被検査体の表面上の接触媒質が不足するのを防止することができる。
本発明の一実施形態における超音波探触子装置の概略構造を表す斜視図である。 本発明の一実施形態における超音波探触子装置の概略構造を表す側面図である。 図2中III部の部分拡大図である。 本発明の一実施形態における超音波探触子の構造を表す底面図である。 従来技術における超音波探触子の往復移動及びその作用を説明するための斜視図である。 本発明の一実施形態における超音波探触子装置の行きのときの作用を説明するための側面図である。 本発明の一実施形態における超音波探触子装置の戻りのときの作用を説明するための側面図である。
本発明の一実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態における超音波探触子装置の概略構造を表す斜視図である。図2は、本実施形態における超音波探触子装置の概略構造を表す側面図であり、図3は、図2中III部の部分拡大図である。図4は、本実施形態における超音波探触子の構造を表す底面図である。
本実施形態の超音波探触子装置1は、超音波探触子2と、支持部材3Aを介して超音波探触子2の一方側に取り付けられた側板4Aと、支持部材3Bを介して超音波探触子2の反対側に取り付けられた側板4Bとを備える。
超音波探触子2は、例えば垂直探触子、斜角探触子、又はアレイ探触子であって、超音波を送受信する少なくとも1つの振動子(図示せず)を有する。そして、接触媒質5(詳細には、水と比べて高い粘性を有するものであって、例えばグリセリンペースト等)を介し被検査体6の表面に超音波探触子2の底面を接触させると共に、被検査体6の表面に沿って超音波探触子2を移動させながら、被検査体6の探傷を行うようになっている。
超音波探触子2の底面(詳細には、例えばシューの底面)は、超音波探触子2の往復移動方向(図中のY軸方向)に延在し且つ断面が例えば三角形状又は四角形状である複数の溝7を有する。各溝7の両側端部は、超音波探触子2の両側面にそれぞれ開口する。そして、超音波探触子2の移動に伴い、溝7に接触媒質5を取り込み、溝7から超音波探触子2の底面の全体に接触媒質5を供給するようになっている。
しかし、超音波探触子2の行きのときに、超音波探触子2の側面によって被検査体6の表面上の接触媒質5を押しのけてしまうため、超音波探触子2の戻りのときに、被検査体6の表面上の接触媒質5が不足する可能性がある。そのため、上述した通り、本実施形態の超音波探触子装置1は、側板4A,4Bを備える。
側板4Aは、超音波探触子2に対して往復移動方向の一方側(図中のY軸正側)に離間すると共に、超音波探触子2の往復移動方向に垂直な方向に延在する。側板4Bは、超音波探触子2に対して往復移動方向の他方側(図中のY軸負側)に離間すると共に、超音波探触子2の往復移動方向に垂直な方向に延在する。
側板4Aの先端及び側板4Bの先端は、超音波探触子2の底面と比べ、被検査体6の表面より大きく離れている。すなわち、側板4Aの先端と被検査体6の表面との間隔d1は、超音波探触子2の底面と被検査体6の表面との間隔d2より、大きくなっている。同様に、側板4Bの先端と被検査体6の表面との間隔d1は、超音波探触子2の底面と被検査体6の表面との間隔d2より、大きくなっている。超音波探触子2の高さ方向における側板4Aの先端と超音波探触子2の底面との間隔並びに側板4Bの先端と超音波探触子2の底面との間隔(すなわち、(d1-d2))は、好ましくは、0.3~1.0mmの範囲内で設定されている。
本実施形態の動作及び作用を、従来技術と比較しながら説明する。図5は、従来技術における超音波探触子の往復移動及びその作用を説明するための斜視図である。図6は、本実施形態における超音波探触子装置の行きのときの作用を説明するための側面図である。図7は、本実施形態における超音波探触子装置の戻りのときの作用を説明するための側面図である。
従来の超音波探触子100は、支持部材3A,3B及び側板4A,4Bが取り付けられていない。この超音波探触子100を、図5中二点鎖線矢印で示すように往復移動させる場合を想定する。詳細には、超音波探触子100をY軸負側に向かって移動させる(行き)。そして、例えば超音波探触子100の幅寸法の半分だけ超音波探触子100のX軸位置をずらしてから、超音波探触子100をY軸正側に向かって移動させる(戻り)。このような超音波探触子100の行きと戻りを繰り返す。
上述したように超音波探触子100を往復移動させると、超音波探触子100の移動範囲における接触媒質を押しのけてしまい、その移動範囲の外側に接触媒質5を集めてしまう(図5参照)。そのため、超音波探触子100の移動範囲における接触媒質が不足する可能性がある。
次に、本実施形態の超音波探触子装置1を、図5中二点鎖線矢印で示すように往復移動させる場合を想定する。図6で示すように、超音波探触子装置1をY軸負側に向かって移動させるとき、超音波探触子2の側面によって接触媒質5aが掃引されて、被検査体6の表面上で接触媒質が減少する領域が生じる。しかし、側板4Aによって余剰の接触媒質5bが掃引され、この接触媒質5bを前述した領域に補うことができる。
また、図7で示すように、超音波探触子装置1をY軸正側に向かって移動させるとき、超音波探触子2の側面によって接触媒質5cが掃引されて、被検査体6の表面上で接触媒質が減少する領域が生じる。しかし、側板4Bによって余剰の接触媒質5dが掃引され、この接触媒質5dを前述した領域に補うことができる。
余剰の接触媒質5dは、超音波探触子2の行きのときに超音波探触子2の側面によって掃引された接触媒質5aである。すなわち、側板4A,4Bは、超音波探触子2の側面によって押しのけられた接触媒質を戻すことができる。また、側板4A,4Bによって超音波探触子装置の移動範囲から押しのけられた接触媒質が生じるものの、その量を低減することができる。
以上のように本実施形態では、簡素な構成で、被検査体の表面上の接触媒質が不足するのを防止することができる。したがって、検査結果の信頼性を高めることができる。また、接触媒質の使用量を低減してコストの低減を図ることができる。
1 超音波探触子装置
2 超音波探触子
3A,3B 支持部材
4A,4B 側板
5,5a,5b,5c,5d 接触媒質
6 被検査体
7 溝

Claims (3)

  1. 接触媒質を介し被検査体の表面に接触しながら、前記被検査体の表面に沿って往復移動する超音波探触子と、
    前記超音波探触子に対して往復移動方向の一方側に離間すると共に、前記超音波探触子の往復移動方向に垂直かつ前記被検査体の表面に垂直な方向に延在するように、第1の支持部材を介して前記超音波探触子に取り付けられた第1の側板と、
    前記超音波探触子に対して往復移動方向の他方側に離間すると共に、前記超音波探触子の往復移動方向に垂直かつ前記被検査体の表面に垂直な方向に延在するように、第2の支持部材を介して前記超音波探触子に取り付けられた第2の側板とを備え、
    前記第1の側板の先端及び前記第2の側板の先端は、前記接触媒質を介し前記被検査体の表面に接触する前記超音波探触子の底面との位置関係が固定され、前記超音波探触子が前記接触媒質を介し前記被検査体の表面に接触しながら前記被検査体の表面に沿って往復移動するとき、前記超音波探触子の前記底面と比べ、前記被検査体の表面より大きく離れたことを特徴とする超音波探触子装置。
  2. 請求項1に記載の超音波探触子装置において、
    前記超音波探触子の高さ方向における前記第1の側板の先端と前記超音波探触子の底面との間隔並びに前記第2の側板の先端と前記超音波探触子の底面との間隔は、0.3~1.0mmの範囲内で設定されたことを特徴とする超音波探触子装置。
  3. 請求項1に記載の超音波探触子装置において、
    前記超音波探触子の底面は、前記超音波探触子装置の往復移動方向に延在する複数の溝を有することを特徴とする超音波探触子装置。
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