JP7103552B1 - 光半導体装置 - Google Patents

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Abstract

第1導電型の半導体基板(1)の上においてアクティブ部(A)及びパッシブ部(B)が第1の方向に沿って交互に並んでいる。電極(2)がアクティブ部(A)の上に設けられている。アクティブ部(A)は、半導体基板(1)の上に順に積層された活性層(4)、第2導電型クラッド層(5)、第2導電型コンタクト層(6)を有する。アクティブ部(A)は、第1の方向に直交する第2の方向において前端面(8)と後端面(9)に挟まれた共振器構造となっている。アクティブ部(A)の第2導電型コンタクト層(6)は電極(2)に接している。パッシブ部(B)は、第2導電型コンタクト層(6)と、第2導電型コンタクト層(6)の上に設けられた第1導電型層(7)とを有する。

Description

本開示は、光半導体装置に関する。
横方向に複数の端面出射レーザがアレイ状に並んだレーザアレイチップをジャンクションダウン実装する光半導体装置が開発されている。従来構造では、発光点以外を通る電流パスを遮断するため、電流注入を行うコンタクト開口部以外のパッシブ部を絶縁膜で覆っていた。
なお、端面近傍のp型InGaAsPコンタクト層の上にn型InP層を設けて端面近傍への電流注入を防ぐ半導体レーザが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、この半導体レーザは、前端面と後端面の間に電流注入領域と非電流注入領域が並んでおり、横方向に複数の端面出射レーザがアレイ状に並んだレーザアレイチップではない。
日本特開2003-152274号公報
レーザアレイチップ全体が良品となるには、単体レーザの良品が規定数連続しなければならない。従って、単体レーザの不良品が発生した場合に不良を取り除くように任意の場所でレーザアレイチップの良品を切出せば歩留を向上させることができる。しかし、従来構造のようにパッシブ部すべてが硬い絶縁膜で覆われていると、その上から劈開を行うことは難しい。また、パッシブ部に絶縁膜を設けないと、ジャンクションダウン実装を行った場合には絶縁膜が無い部分にはんだが流れ込む。従って、想定しない電流パスが生じるため、実装方法が制限されてしまうという問題がある。
本開示は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的はジャンクションダウン実装を行った場合でもパッシブ部に電流が流れるのを防ぐことができ、任意のパッシブ部で劈開によるチップ切出しが可能な光半導体装置を得るものである。
本開示に係る光半導体装置は、第1導電型の半導体基板と、前記半導体基板の上において第1の方向に沿って交互に並んだアクティブ部及びパッシブ部と、前記アクティブ部の上に設けられた電極とを備え、前記アクティブ部は、前記半導体基板の上に順に積層された活性層、第2導電型クラッド層、第2導電型コンタクト層を有し、前記アクティブ部は、前記第1の方向に直交する第2の方向において前端面と後端面に挟まれた共振器構造となっており、前記アクティブ部の前記第2導電型コンタクト層は前記電極に接し、前記第2導電型クラッド層から前記活性層の下までエッチングされて前記第2の方向に延びるリッジ構造が形成され、埋め込み層が前記リッジ構造の側面を前記活性層より高い位置まで覆うように形成され、前記第2導電型コンタクト層は前記リッジ構造及び前記埋め込み層の上に形成され、前記パッシブ部は、前記半導体基板の上に順に積層された前記埋め込み層、前記第2導電型コンタクト層、前記第2導電型コンタクト層の上に設けられた第1導電型層を有することを特徴とする。
本開示では、パッシブ部において第2導電型コンタクト層と電極との間に第1導電型層が設けられている。これにより、ジャンクションダウン実装を行った場合でもパッシブ部に電流が流れるのを防ぐことができる。また、パッシブ部の表面をSiOなどの硬い絶縁膜で覆わなくてもよいため、任意のパッシブ部で劈開によるチップ切出しが可能である。
実施の形態1に係る光半導体装置を示す断面図である。 図1のI-IIに沿った断面図である。 実施の形態1に係る光半導体装置をジャンクションダウン実装した状態を示す断面図である。 実施の形態2に係る光半導体装置を示す断面図である。 実施の形態2に係る光半導体装置をジャンクションダウン実装した状態を示す断面図である。 実施の形態3に係る光半導体装置を示す断面図である。 実施の形態3に係る光半導体装置をジャンクションダウン実装した状態を示す断面図である。 実施の形態4に係る光半導体装置を示す斜視図である。 図8のI-IIに沿った断面図である。 実施の形態5に係る光半導体装置を示す斜視図である。 図10のI-IIに沿った断面図である。
実施の形態に係る光半導体装置について図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
実施の形態1
図1は、実施の形態1に係る光半導体装置を示す断面図である。レーザ共振器に対して垂直に交わる水平方向をX、半導体層の積層方向をY、光が伝搬するレーザ共振器方向をZとする。図1はXY平面を示し、図2はYZ平面を示す。本実施の形態では光半導体装置が端面出射型ストライプ構造レーザアレイの場合について説明するが、これに限らず、導波路型の光半導体装置であればLED、光増幅器、光変調器等の場合でも同様の効果を得ることができる。
n型InP基板1の上において、Z方向に奥行きを持つアクティブ部Aとパッシブ部Bのストライプ構造がX方向に沿って交互にアレイ状に並んでいる。光半導体装置は2個以上のアクティブ部Aを有する。p型電極2がアクティブ部Aとパッシブ部Bの上に設けられている。n型InP基板1の下面にn型電極3が設けられている。
アクティブ部Aは、n型InP基板1の上に順に積層された活性層4、p型InPクラッド層5、p型InGaAsコンタクト層6を有する。最表面に露出したアクティブ部Aのp型InGaAsコンタクト層6はp型電極2に接している。
パッシブ部Bは、n型InP基板1の上に順に積層された活性層4、p型InPクラッド層5、p型InGaAsコンタクト層6、n型InP層7を有する。p型InGaAsコンタクト層6とp型電極2との間にn型InP層7が設けられている点がアクティブ部Aとは異なる。パッシブ部Bはアクティブ部Aと隣接している。アクティブ部Aのp型電極2とn型電極3はアクティブ部Aの範囲内に収まっていてもよく、パッシブ部Bまではみ出していてもよい。
n型InP基板1は、(001)面を主面とし、Siがドーピングされ、キャリア濃度4E+18cm-3である。活性層4は、AlGaInAs系又はInGaAsP系材料からなり、厚さ0.2umである。p型InPクラッド層5は、Znがドーピングされ、キャリア濃度1E+18cm-3、厚さ2umである。p型InGaAsコンタクト層6は、キャリア濃度1E+19cm-3、厚さ0.3umである。n型InP層7は、キャリア濃度1E+18cm-3、厚さ0.1umである。n型InP基板1と活性層4の間に、キャリア濃度4E+18cm-3、厚さ0.5umのn型InPクラッド層が挟まっていてもよい。活性層4は、多重量子井戸構造又は量子ドット構造を含んでいてもよい。p型InGaAsコンタクト層6は、p型InGaAsとp型InGaAsPを組み合わせた構造でもよい。p型InGaAsコンタクト層6とn型InP層7の間にキャリア濃度1E+18cm-3、厚さ0.1umのp型InP層が挟まっていてもよい。
図2は図1のI-IIに沿った断面図である。アクティブ部Aは、Z方向において、XY平面に平行な前端面8と後端面9に挟まれた共振器構造となっている。
続いて、本実施の形態に係る光半導体装置の製造方法を説明する。まずn型InP基板1の上に、活性層4、p型InPクラッド層5、p型InGaAsコンタクト層6、n型InP層7を、MOCVD又はMBEのような半導体膜成長装置を用いて順に結晶成長する。この積層構造を成長した後に、最表面のn型InP層7の上にフォトレジストを塗布する。次に、アクティブ部Aに対応する領域においてフォトレジストに[110]方向に延びるストライプ状の開口を形成する。開口幅は0.5umから20umの間、開口のX方向間隔は100umから300umの間であるが、この範囲に限定するものではない。
次に、塩酸を用いてフォトレジストの開口から露出しているn型InP層7を除去し、その下のp型InGaAsコンタクト層6を露出させる。InGaAsはInPよりも塩酸に対するエッチングレートが低いので、InP層のみを選択的にエッチングすることができる。フォトレジストを除去した後、p型InGaAsコンタクト層6の上とn型InP基板1の下にAu,Pt,Zn,Ge,Ni,Ti等を含む金属単体又はこれらの金属の組み合わせを成膜し、p型電極2とn型電極3を形成する。金属成膜には蒸着又はスパッタ装置を用いる。次に、劈開により(110)面からなる前端面8と後端面9を形成する。最後に最表面にn型InP層7が露出しているパッシブ部Bを[110]方向に劈開し、任意数のストライプレーザが並んだレーザアレイを製造する。このレーザアレイは結晶成長1回のみで製造可能なため、低コストで効率よく製造することができる。
図3は、実施の形態1に係る光半導体装置をジャンクションダウン実装した状態を示す断面図である。光半導体装置のp型電極2を下にしてはんだ10を用いてサブマウント11にジャンクションダウン実装している。ジャンクションダウン実装は、活性層4とサブマウント11の距離を近づけることで放熱性が良く、サブマウント11から活性層4までの距離を結晶成長膜厚で決定できるために活性層4のY方向位置制御性が良いという利点がある。
実施の形態1の光半導体装置を動作させるには、p型電極2とn型電極3に順方向の電圧印加を行う。すると、アクティブ部Aではp型InGaAsコンタクト層6からp型InPクラッド層5を通って活性層4にホールが供給され、n型InP基板1から活性層4に電子が供給される。活性層4内で電子とホールが再結合すると、光学利得と発光を得ることができる。一方、パッシブ部Bの最表面のn型InP層7にはんだ10が付着して電圧印加されたとしても、n型InP層7とp型InGaAsコンタクト層6の間に逆方向電圧が印加されるため、パッシブ部Bに電流は流れない。このとき、n型InP層7が薄いと逆方向電圧印加に耐えられず電流が流れてしまう場合があるため、n型InP層7の膜厚は50nm以上あることが望ましい。
このように、アクティブ部Aの活性層4には電流注入により利得が生じるが、パッシブ部Bには利得は生じない。このため、電子とホールの再結合により生じた光はアクティブ部Aのみを伝搬する。光は前端面8と後端面9に挟まれた共振器内をZ方向に往復する間に利得を得て、レーザ発振に至り、前端面8から出射する。前端面8と後端面9に挟まれた共振器の長さは用途により異なり、一般に0.15mmから4mmまで広い値を取り得るが、この範囲に限定されるものではない。
以上説明したように、本実施の形態では、パッシブ部Bにおいてp型InGaAsコンタクト層6とp型電極2との間にn型InP層7が設けられている。これにより、ジャンクションダウン実装を行った場合でもパッシブ部Bに電流が流れるのを防ぐことができる。また、パッシブ部Bの表面をSiOなどの硬い絶縁膜で覆わなくてもよいため、任意のパッシブ部Bで劈開によるチップ切出しが可能である。従って、良品レーザが並んでいる領域を選んでレーザアレイを作製できる。
実施の形態2
図4は、実施の形態2に係る光半導体装置を示す断面図である。本実施の形態では光半導体装置が端面出射型埋め込み構造レーザアレイの場合について説明するが、これに限らず、導波路型の光半導体装置であればLED、光増幅器、光変調器等の場合でも同様の効果を得ることができる。
p型InPクラッド層5から活性層4の下までエッチングされて、Z方向に延びるリッジ構造Dが形成されている。埋め込み層12がリッジ構造Dの側面を活性層4より高い位置まで覆うように形成されている。埋め込み層12は、Ru又はFeをドーピングしたInPなどの半絶縁性材料であるが、キャリア濃度又は極性が異なる複数の半導体層を組み合わせたものでもよい。例えば、埋め込み層12は5E+16cmのFeをドーピングしたInPである。リッジ構造Dの幅は0.5~2.0umであるが、この範囲に限定されるものではない。p型InGaAsコンタクト層6はリッジ構造D及び埋め込み層12の上に形成されている。パッシブ部Bは、n型InP基板1の上に順に積層された埋め込み層12、p型InGaAsコンタクト層6、n型InP層7を有する。リッジ構造Dの最表面のp型InPクラッド層5及び埋め込み層12とp型InGaAsコンタクト層6との間にp型InP層を設けてもよい。その他の構成は実施の形態1と同様である。
続いて、本実施の形態に係る光半導体装置の製造方法を説明する。まずn型InP基板1の上に、活性層4、p型InPクラッド層5を順に結晶成長する。次に、[110]方向に延びるストライプ状マスクパターンを形成する。ストライプ状マスク幅は0.5umから2umの間であることが多いが、この範囲に限定するものではない。その後、活性層4の下までエッチングを行い、リッジ構造Dを形成する。次に、埋め込み層12を成長し、リッジ構造Dの側面を活性層4の上まで覆う。次に、マスクを除去した後、埋め込み層12およびリッジ構造Dの最表面のp型InPクラッド層5の上にp型InGaAsコンタクト層6、n型InP層7を成長し、結晶成長工程を完了する。その後の工程は実施の形態1と同様である。
図5は、実施の形態2に係る光半導体装置をジャンクションダウン実装した状態を示す断面図である。光半導体装置のp型電極2を下にしてはんだ10を用いてサブマウント11にジャンクションダウン実装している。p型電極2とn型電極3に順方向の電圧印加を行うと、アクティブ部Aではp型InGaAsコンタクト層6からp型InPクラッド層5を通って活性層4にホールが供給され、n型InP基板1から活性層4に電子が供給される。埋め込み層12に半絶縁性材料を用いた場合は、抵抗率の高い埋め込み層12には電流が流れにくくなるため、活性層4に効率よく電流注入を行うことができる。しかし、埋め込み層12に用いられる半絶縁性材料は抵抗率が高いとは限らない。ウェハプロセス中に隣接するp型InGaAsコンタクト層6又はp型InPクラッド層5からドーパント材料であるZnが埋め込み層12に拡散した場合には抵抗率は低下し、埋め込み層12内に電流パスが生じる場合もある。一方、パッシブ部Bではn型InP層7とp型InGaAsコンタクト層6の間に逆方向電圧が印加されるため、電流がブロックされ、埋め込み層12への電流パスは生じない。
本実施の形態は複数回の結晶成長が必要であるが、実施の形態1よりも効率よく活性層4への電流注入を行うことができる。また、実施の形態1と同様に任意のパッシブ部Bで劈開によるチップ切出しが可能である。
実施の形態3
図6は、実施の形態3に係る光半導体装置を示す断面図である。X方向に交互に並んでいるアクティブ部Aとパッシブ部Bの間においてp型InGaAsコンタクト層6から埋め込み層12の下のn型InP基板1までエッチングされて溝部Eが形成されている。アクティブ部A及びその両隣の溝部Eがメサ構造を構成している。溝部Eの内面は絶縁膜13で覆われている。
絶縁膜13はアクティブ部A又はパッシブ部Bまではみ出していてもよい。溝部Eの幅は5~20um程度であるが、これより広くてもよい。また、溝部Eの側面は垂直でもよく、なだらかな傾斜を持っていてもよい。アクティブ部Aの幅は20um以内であることが多いが、これより広くてもよい。
その他の構成は実施の形態2と同様である。なお、端面出射型埋め込み構造レーザアレイに限らず、導波路型の光半導体装置であれば光増幅器、光変調器等の場合でも同様の効果を得ることができる。
続いて、本実施の形態に係る光半導体装置の製造方法を説明する。まず実施の形態2と同様に半導体結晶成長を行った後、アクティブ部Aに対応する領域において塩酸を用いてn型InP層7を除去し、その下のp型InGaAsコンタクト層6を露出させる。次に、最表面のp型InGaAsコンタクト層6及びn型InP層7の上に[110]方向に延びるストライプ状の開口部を有するマスクを形成する。開口部にはp型InGaAsコンタクト層6又はn型InP層7が露出している。その後、露出した半導体層を埋め込み層12の下までエッチングし、溝部Eを形成する。
次に、マスクを除去した後、半導体層全面を覆うように厚さ0.4umのSiO又はSiNのような絶縁膜13を成膜する。その後、フォトレジストを用いて[110]方向に延びるストライプ状の開口部を有するマスクを形成する。次に、絶縁膜13をエッチングし、アクティブ部Aの上にある電極コンタクト用絶縁膜開口と、パッシブ部Bの上にある劈開用絶縁膜開口を形成する。その後、実施の形態1と同様にn型電極3及びp型電極2等を形成することで本実施の形態に係る光半導体装置が製造される。
図7は、実施の形態3に係る光半導体装置をジャンクションダウン実装した状態を示す断面図である。実施の形態3に係る光半導体装置のp型電極2を下にしてはんだ10を用いてサブマウント11にジャンクションダウン実装している。溝部Eを設けることで素子の寄生容量を低減できるため、実施の形態2よりも高速変調動作を行うことができる。また、はんだ10が溝部Eに流れ込んだ場合でも、溝部Eを覆う絶縁膜13により活性層4を通らない無効な電流パスが生じるのを防ぐことができる。その他、実施の形態2と同様の効果が得られる。
実施の形態4
図8は、実施の形態4に係る光半導体装置を示す斜視図である。基板面に平行な面をXZ平面とし、半導体層の積層方向をY方向とする。n型InP基板1の上において複数のアクティブ部Aが平面視で行列状に形成されている。即ち、複数のアクティブ部AがXZ平面に並んで二次元アレイ構造を構成している。パッシブ部Bが平面視でアクティブ部Aの四方を囲むようにn型InP基板1の上に形成されている。即ち、アクティブ部AのX方向及びZ方向の側面がパッシブ部Bで囲まれている。p型電極2がアクティブ部Aとパッシブ部Bの上に設けられている。n型InP基板1の下面にn型電極3が設けられている。本実施の形態では二次元アレイ構造の例として面発光LEDを取り上げるが、面型光半導体装置であれば面発光レーザ、光増幅器、光変調器等の場合も同様の効果を得ることができる。
図9は図8のI-IIに沿った断面図である。アクティブ部Aは、n型InP基板1の上に順に積層された活性層4、p型InPクラッド層5、p型InGaAsコンタクト層6を有する。アクティブ部Aの最表面のp型InGaAsコンタクト層6はp型電極2に接している。最表面に露出したp型InGaAsコンタクト層6は円形に限らず、矩形等の任意の形状でもよい。また、p型電極2及びn型電極3は半導体層の全面を覆う必要はなく、一部に光を通すための穴が空いていてもよい。
パッシブ部Bは、n型InP基板1の上に順に積層された活性層4、p型InPクラッド層5、p型InGaAsコンタクト層6、n型InP層7を有する。p型InGaAsコンタクト層6とp型電極2との間にn型InP層7が設けられている点がアクティブ部Aとは異なる。アクティブ部Aのp型電極2とn型電極3はアクティブ部Aの範囲内に収まっていてもよく、パッシブ部Bまではみ出していてもよい。
続いて、本実施の形態に係る光半導体装置の製造方法を説明する。まずn型InP基板1の上に、活性層4、p型InPクラッド層5、p型InGaAsコンタクト層6、n型InP層7を順に結晶成長する。次に、最表面のn型InP層7の上にフォトレジストを形成する。次に、アクティブ部Aに対応する領域においてフォトレジストに円形又は矩形等の任意の形状の開口を形成する。開口幅は円形の場合は直径φ1.0um以上であるが、この範囲に限定するものではない。
次に、塩酸を用いてフォトレジストの開口から露出しているn型InP層7を除去し、その下のp型InGaAsコンタクト層6を露出させる。フォトレジストを除去した後、p型InGaAsコンタクト層6の上とn型InP基板1の下にAu,Pt,Zn,Ge,Ni,Ti等を含む金属単体、透明電導膜又はこれらの金属の組み合わせを成膜し、p型電極2とn型電極3を形成する。最後に最表面にn型InP層7が露出しているパッシブ部Bにダイヤモンドカッターで[110]方向および[1-10]方向にスクライブを入れて劈開し、任意数のLEDが並んだ2次元LEDアレイを製造する。
本実施の形態に係る光半導体装置をジャンクションダウン実装した場合に実施の形態1と同様の効果が得られる。また、電流注入によりアクティブ部Aの活性層4で生じた光をY方向にn型電極3を透過させて取り出すことができる。このとき、n型電極3に部分的に穴をあけてn型InP基板1を露出させるか、又は電極材料として透明導電膜を組み合わせると効率よく光を取り出すことができる。
実施の形態5
図10は、実施の形態5に係る光半導体装置を示す斜視図である。図11は図10のI-IIに沿った断面図である。p型InPクラッド層5から活性層4の下までエッチングされてマイクロピラー構造Hが形成されている。埋め込み層12がマイクロピラー構造Hの側面を活性層4より高い位置まで覆うように形成されている。埋め込み層12は、Ru又はFeをドーピングしたInPなどの半絶縁性材料であるが、キャリア濃度又は極性が異なる複数の半導体層を組み合わせたものでもよい。p型InGaAsコンタクト層6はマイクロピラー構造H及び埋め込み層12の上に形成されている。パッシブ部Bは、n型InP基板1の上に順に積層された埋め込み層12、p型InGaAsコンタクト層6、n型InP層7を有する。リッジ構造Dの最表面のp型InPクラッド層5及び埋め込み層12とp型InGaAsコンタクト層6との間にp型InP層を設けてもよい。その他の構成は実施の形態4と同様である。
続いて、本実施の形態に係る光半導体装置の製造方法を説明する。まずn型InP基板1の上に、活性層4、p型InPクラッド層5を順に結晶成長する。次に、p型InPクラッド層5の上に円形又は多角形のマスクパターンを形成する。その後、活性層4の下までエッチングを行い、マイクロピラー構造Hを形成する。次に、埋め込み層12を成長し、マイクロピラー構造H側面を活性層4の上まで覆う。次に、マスクを除去した後、埋め込み層12およびリッジ構造最表面のp型InPクラッド層5の上にp型InGaAsコンタクト層6、n型InP層7を成長し、結晶成長工程を完了する。その後の工程は実施の形態4と同様である。
本実施の形態は、実施の形態4の二次元アレイ構造の効果と実施の形態2の埋め込み層12による効果を得ることができる。
なお、実施の形態1-5において基板と半導体層の極性を反転させてもよい。即ち、n型InP基板1及びn型InP層7をp型に変更し、p型InPクラッド層5及びp型InGaAsコンタクト層6をn型に変更してもよい。この場合にも同様のレーザアレイを作製し、動作させることができる。
1 n型InP基板、2 p型電極、4 活性層、5 p型InPクラッド層、6 p型InGaAsコンタクト層、7 n型InP層、8 前端面、9 後端面、12 埋め込み層、13 絶縁膜、A アクティブ部、B パッシブ部、D リッジ構造、E 溝部、H マイクロピラー構造

Claims (5)

  1. 第1導電型の半導体基板と、
    前記半導体基板の上において第1の方向に沿って交互に並んだアクティブ部及びパッシブ部と、
    前記アクティブ部の上に設けられた電極とを備え、
    前記アクティブ部は、前記半導体基板の上に順に積層された活性層、第2導電型クラッド層、第2導電型コンタクト層を有し、
    前記アクティブ部は、前記第1の方向に直交する第2の方向において前端面と後端面に挟まれた共振器構造となっており、
    前記アクティブ部の前記第2導電型コンタクト層は前記電極に接し、
    前記第2導電型クラッド層から前記活性層の下までエッチングされて前記第2の方向に延びるリッジ構造が形成され、
    埋め込み層が前記リッジ構造の側面を前記活性層より高い位置まで覆うように形成され、
    前記第2導電型コンタクト層は前記リッジ構造及び前記埋め込み層の上に形成され、
    前記パッシブ部は、前記半導体基板の上に順に積層された前記埋め込み層、前記第2導電型コンタクト層、前記第2導電型コンタクト層の上に設けられた第1導電型層を有することを特徴とする光半導体装置。
  2. 前記アクティブ部と前記パッシブ部の間において前記第2導電型コンタクト層から前記埋め込み層の下までエッチングされて溝部が形成され、
    前記溝部は絶縁膜で覆われていることを特徴とする請求項に記載の光半導体装置。
  3. 第1導電型の半導体基板と、
    前記半導体基板の上において平面視で行列状に形成された複数のアクティブ部と、
    前記半導体基板の上に形成され、平面視で前記アクティブ部の四方を囲むパッシブ部と、
    前記アクティブ部の上に設けられた電極とを備え、
    前記アクティブ部は、前記半導体基板の上に順に積層された活性層、第2導電型クラッド層、第2導電型コンタクト層を有し、
    前記アクティブ部の前記第2導電型コンタクト層は前記電極に接し、
    前記第2導電型クラッド層から前記活性層の下までエッチングされてマイクロピラー構造が形成され、
    埋め込み層が前記マイクロピラー構造の側面を前記活性層より高い位置まで覆うように形成され、
    前記第2導電型コンタクト層は前記マイクロピラー構造及び前記埋め込み層の上に形成され、
    前記パッシブ部は、前記半導体基板の上に順に積層された前記埋め込み層、前記第2導電型コンタクト層、前記第2導電型コンタクト層の上に設けられた第1導電型層を有することを特徴とする光半導体装置。
  4. 前記半導体基板、前記第2導電型クラッド層、及び前記第1導電型層はInPからなり、
    前記第2導電型コンタクト層はInGaAsからなることを特徴とする請求項1~の何れか1項に記載の光半導体装置。
  5. 前記第1導電型層の膜厚は50nm以上であることを特徴とする請求項1~の何れか1項に記載の光半導体装置。
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