以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、実施形態に係る、給湯システム1の構成を示す図である。
図1に示すように、給湯システム1は、給湯装置10と、ルータ20と、携帯端末装置30と、外部通信網40と、サーバ50とを備える。
給湯装置10は、給湯器11と、リモートコントローラ12、13を備えている。給湯器11により生成された湯は、給湯口11aにそれぞれ接続された配管を介して、台所の蛇口や、浴槽、カラン等に供給される。給湯器11が、床暖房機能や、浴室暖房機能およびパネルヒータによる暖房機能を備える場合、これら機能を実現する機器に対して、給湯器11から湯が供給される。
給湯器11は、たとえば、ガスを燃料として湯を供給するガス給湯器であり、非潜熱回収型給湯器、潜熱回収型給湯器などである。非潜熱回収型給湯器は、従来型の給湯器であり、燃焼による熱で加熱される一次熱交換器のみを備えるものである。潜熱回収型給湯器は、一次熱交換器に加えて、燃焼の排気と熱交換を行う二次熱交換器を備え、排気ロスとして大気中に放出されていた潜熱を回収することで、加熱効率を高めたものである。また、給湯器11は、たとえば、燃料電池発電機の排熱を利用して湯を生成する排熱利用給湯器、ヒートポンプを熱源として湯を生成するヒートポンプ給湯器である。
給湯装置10は、カラン等に湯を供給する給湯機能、浴槽にお湯を張る湯張り機能の他、浴槽内に湯が張られた後にその湯を保温する保温機能と、浴槽内の湯を追い焚きする追い焚き機能と、浴槽内にお湯を足す足し湯機能とを備える。湯張り機能とそれに続く保温機能とが合わされて、ふろ自動機能とされる。保温機能および追い焚き機能では、浴槽と給湯器11との間でお湯が循環し循環中のお湯が加熱されることによってお湯が熱くなる。保温機能と追い焚き機能では、新たなお湯の使用はない。
リモートコントローラ12、13は、給湯器11に接続され、給湯装置10の各機能について種々の設定を行うために用いられる。リモートコントローラ12、13は、それぞれ、表示部121、131と、入力部122、132とを備える。操作者は、表示部121、131に表示された画面に従って入力部122、132を操作することにより、湯張りや給湯温度調節等について、任意の設定を行うことができる。入力部122、132には、運転ボタン122a、132aを含む各種の操作ボタンが設けられる。リモートコントローラ12、13が待機状態にあるとき、表示部121、131は消灯状態にあり、運転ボタン122a、132a以外の操作ボタンの操作は受け付けられない。運転ボタン122a、132aが操作されると、表示部121、131が点灯して設定内容が表示されるとともに運転ボタン122a、132a以外の操作ボタンの操作が受け付け可能となる。
リモートコントローラ12は、浴室に設置され、リモートコントローラ13は、キッチン等に設置される。以下、浴室に設置されるリモートコントローラ12を、「浴室リモコン12」と称し、キッチン等に設置されるリモートコントローラ13を、「台所リモコン13」と称する。
ルータ20は、建物内(ここでは、宅内H10)に存在する各機器を、外部通信網40を介してサーバ50に接続するための無線ルータである。ルータ20には、ルータごとに個別に割り振られる識別子として、固有のBSSID(Basic Service Set Identifier)が割り振られている。
台所リモコン13は、無線通信により、ルータ20に接続される。また、携帯端末装置30が宅内H10に存在する場合、携帯端末装置30は、無線通信によりルータ20に接続されて、サーバ50と通信可能である。携帯端末装置30は、たとえば、携帯電話機である。この他、携帯端末装置30が、携帯型のタブレット端末等の他の携帯可能な端末装置であってもよい。外部通信網40は、たとえば、インターネットである。
外部通信網40には、給湯装置10に対する遠隔制御(遠隔操作および遠隔監視)を管理するためのサーバ50が接続されている。台所リモコン13は、ルータ20および外部通信網40を介して、サーバ50と通信を行う。携帯端末装置30が宅内H10に存在する場合、携帯端末装置30は、ルータ20および外部通信網40を介してサーバ50と通信を行う。また、携帯端末装置30が宅外にある場合、携帯端末装置30は、外部に設置されたルータ60または基地局70を介して外部通信網40に接続され、サーバ50と通信を行う。
台所リモコン13と携帯端末装置30には、給湯システム1のアプリケーションプログラムが、サーバ50からダウンロードされ、インストールされている。このアプリケーションプログラムに、サーバ50にアクセスするためのアドレス情報が含まれている。台所リモコン13と携帯端末装置30は、このアドレス情報に基づいて、サーバ50にアクセスし、通信を行う。台所リモコン13のアドレス情報は、初期設定の際に、サーバ50に送信され保持される。また、携帯端末装置30のアドレス情報は、後述のペアリング処理の際に、携帯端末装置30から台所リモコン13に渡されて、台所リモコン13からサーバ50に送信され保持される。
本実施形態では、台所リモコン13および携帯端末装置30のアドレス情報として、後述の台所リモコン13の無線通信部136および携帯端末装置30の無線通信部305(図2参照)に保持されたIPアドレスが用いられる。
図1の構成において、操作者は、宅内H10と宅外の何れにおいても、携帯端末装置30を用いて、給湯装置10に対する遠隔制御(遠隔操作および遠隔監視)を行うことができる。後述のように、本実施形態では、携帯端末装置30ごとに、遠隔制御の対象の給湯装置10が予め対応付けられ。また、遠隔制御の対象の給湯装置10に対して、遠隔制御の種類、すなわち、遠隔操作と遠隔監視の両方または何れか一方が予め設定される。本実施形態では、これらの対応付けと遠隔制御の種類が、携帯端末装置30ごとに、サーバ50で管理される。
携帯端末装置30が宅内H10と宅外の何れにある場合も、操作者から携帯端末装置30に入力された設定要求は、外部通信網40を介して、一旦、サーバ50に送信される。これを受けて、サーバ50は、設定要求を受信した携帯端末装置30に予め対応付けられている給湯装置10に対して、受信した設定要求を送信する。これにより、設定要求が、外部通信網40およびルータ20を介して、対応する給湯装置10の台所リモコン13に送信される。こうして、操作者が要求する内容の設定が、給湯装置10に対して適用される。
また、給湯装置10の状態情報は、所定周期で随時、台所リモコン13からルータ20を介してサーバ50に送信される。サーバ50は、受信した状態情報を、給湯装置10ごとに管理する。操作者から携帯端末装置30に入力された遠隔監視の閲覧要求は、外部通信網40を介して、一旦、サーバ50に送信される。これを受けて、サーバ50は、閲覧要求を受信した携帯端末装置30に予め対応付けられている給湯装置10のうち、閲覧要求により指定された給湯装置10の状態情報を、当該携帯端末装置30に送信する。これにより、給湯装置10の状態が、携帯端末装置30において出力される。こうして、操作者は、給湯装置10の状態を、宅内および宅外の両方において確認できる。
図2は、給湯システム1を構成する各機器の回路ブロックを示す図である。
給湯器11は、制御部111と、記憶部112と、通信部113と、水位センサ114と、流量センサ115と、を備える。制御部111は、CPU(Central Processing Unit)を備え、記憶部112に記憶されたプログラムに従って、給湯器11内の各部の制御を行う。記憶部112は、メモリを備え、所定の制御プログラムを記憶する。通信部113は、制御部111からの制御に従って、浴室リモコン12および台所リモコン13と通信を行う。
水位センサ114は、給湯装置10が接続された浴槽の水位を検出する。水位センサ114は、たとえば、浴槽に接続された配管内の水圧によって浴槽の水位を検出する。制御部111は、水位センサ114により検出される水位の変化によって、浴槽に対し人が入浴および退出したことを検出する。流量センサ115は、給湯口11aに接続された配管を流れる湯の流量を検出する。制御部111は、浴槽、カラン等に湯が供給されている時間と、流量センサ115が検出した流量により、お湯の使用量を求めることができる。
浴室リモコン12は、上述の表示部121および入力部122の他、制御部123と、記憶部124と、通信部125と、入室センサ126とを備える。表示部121は、たとえば、液晶パネルにより構成される。入力部122は、温度設定ボタン等の各種操作ボタンを備える。表示部121が、タッチパネルであってもよい。制御部123は、CPUを備え、記憶部124に記憶されたプログラムに従って所定の制御を行う。記憶部124は、メモリを備え、所定の制御プログラムを記憶する。通信部125は、制御部123からの制御に従って、給湯器11と通信を行う。入室センサ126は、浴室に対する人の出入りを検出する。入室センサ126は、たとえば、赤外線を用いた人感センサである。制御部123は、入室センサ126の出力に基づいて、浴室に人が入ったことを検出する。
台所リモコン13は、上述の表示部131および入力部132の他、制御部133と、記憶部134と、通信部135を備える。表示部131は、たとえば、液晶パネルにより構成される。入力部132は、各種操作ボタンを備える。表示部131が、タッチパネルであってもよい。制御部133は、CPUを備え、記憶部134に記憶されたプログラムに従って所定の制御を行う。記憶部134は、メモリを備え、所定の制御プログラムを記憶する。通信部135は、制御部133からの制御に従って、給湯器11と通信を行う。
さらに、台所リモコン13は、無線通信部136を備える。ここで、無線通信部136は、ルータ20との間で無線通信が可能な無線通信モジュールである。無線通信部136(無線通信モジュール)には、宅内H10に設定されたLAN(Local Area Network)上の機器を特定するためのIPアドレスが割り振られている。この他、台所リモコン13は、音声を出力するためのスピーカを備えている。
携帯端末装置30は、表示部301と、入力部302と、制御部303と、記憶部304と、無線通信部305とを備える。表示部301は、たとえば、液晶パネルにより構成される。入力部132は、各種操作ボタンと、表示部301に積層されたタッチパネルとを備える。
制御部303は、CPUを備え、記憶部304に記憶されたプログラムに従って所定の制御を行う。記憶部304は、メモリを備え、所定の制御プログラムを記憶する。無線通信部305は、制御部303からの制御に従って、ルータ20と通信を行う。無線通信部305は、ルータ20との間で無線通信が可能な無線通信モジュールである。無線通信部305にもIPアドレスが割り振られている。この他、携帯端末装置30は、音声を出力するためのスピーカを備えている。
サーバ50は、制御部501と、記憶部502と、通信部503を備える。制御部501は、CPUを備え、記憶部502に記憶されたプログラムに従って所定の制御を行う。記憶部502は、メモリおよびハードディスクを備え、所定の制御プログラムおよびデータベースを記憶する。通信部503は、制御部501からの制御に従って、所定の制御を行う。
宅内H10には、エネルギー使用量測定装置80が設けられる。エネルギー使用量測定装置80は、戸別に設置されたパルス発振機能付きのガスメータに接続される。ガスメータから、一定のガス使用量ごとにパルスがエネルギー使用量測定装置80へ出力される。また、エネルギー使用量測定装置80は、戸別に設置された電気メータの下流側、即ち宅内H10の分電盤側に電流および電圧センサを有する。電流および電圧センサにより検出された電流および電圧がエネルギー使用量測定装置80へ出力される。これにより、エネルギー使用量測定装置80では、エネルギー使用量であるガス使用量と電力使用量とが測定される。エネルギー使用量測定装置80は、台所リモコン13に接続される。エネルギー使用量測定装置80からは、毎日、その日のガス使用量と電力使用量とが、台所リモコン13の制御部133へ出力される。エネルギー使用量測定装置80が測定するガス使用量と電力使用量、即ちエネルギー使用量は、給湯装置10を含めた宅内H10(家庭内)の全体の負荷(電気機器、ガス機器)によるエネルギー使用量となる。
上述のように、本実施形態では、予め、給湯装置10に対して遠隔制御および遠隔監視を行うことが可能な携帯端末装置30が、給湯装置10に対応付けて、サーバ50に登録される。すなわち、予め、給湯装置10と携帯端末装置30とがペアリングされ、ペアリングを示す情報が、サーバ50において管理される。
本実施形態では、このペアリングが、給湯装置10が設置された建物内のルータ20を介して行われる。すなわち、携帯端末装置30の所持者は、原則、給湯装置10が設置された建物内に携帯端末装置30を所持して立ち入らなければ、自身の携帯端末装置30と給湯装置10とをペアリングできない。これにより、悪意の第三者によって不当に、携帯端末装置30と給湯装置10とがペアリングされることを防止できる。よって、不当に遠隔制御および遠隔監視が行われるリスクを解消できる。
図3(a)、(b)は、それぞれ、給湯装置10と携帯端末装置30とをペアリングするための、台所リモコン13と携帯端末装置30における処理を示すフローチャートである。
操作者は、宅内H10において、携帯端末装置30にインストールされた給湯システム1のアプリケーションプログラムを起動し、携帯端末装置30をペアリングモードに設定する。その後、操作者は、台所リモコン13の入力部132に対し、ペアリングのための操作を行う。
こうして、台所リモコン13に対してペアリング操作が行われると(S11:YES)、台所リモコン13の制御部133は、ペアリングのためのアナウンスをブロードキャストで送信する(S12)。携帯端末装置30が宅内H10にある場合、このアナウンスは携帯端末装置30により受信される。
携帯端末装置30の制御部303は、このアナウンスを受信すると(S21:YES)、表示部301に、ペアリングを要求する操作を受け付けるための受付画面を表示させる(S22)。操作者は、この受付画面で要求操作を行う。これにより、制御部303は、ペアリング要求を台所リモコン13に送信する(S23)。このペアリング要求には、携帯端末装置30のID情報およびアドレス情報(IPアドレス)が含まれる。ID情報として、UUID(Universally Unique Identifier)、GUID(GloballyUnique Identifier)等が用いられる。
台所リモコン13の制御部133は、アナウンスの送信から所定時間以内に携帯端末装置30からペアリング要求を受信すると(S13:YES)、ペアリング応答を携帯端末装置30に送信し(S14)、さらに、ペアリング結果をサーバ50に送信して(S15)、処理を終了する。このペアリング結果には、ペアリング要求に含まれた携帯端末装置30のID情報およびアドレス情報とともに、給湯装置10(ここでは、台所リモコン13)のID情報(UUID、GUID等)が含まれる。他方、所定時間以内にペアリング要求を受信しなかった場合(S13:NO)、制御部133は、ペアリング結果を送信することなく、処理を終了する。携帯端末装置30側の制御部303では、台所リモコン13からペアリング応答を受信して(S24:YES)、処理を終了する。
次に、ペアリングが行われた給湯装置10と携帯端末装置30との間で行われる遠隔制御の流れについて説明する。
図4(a)は、携帯端末装置30において管理される給湯装置10と携帯端末装置30とのペアリング情報の構成を示す図である。
図4(a)に示すように、携帯端末装置30では、ペアリングを行った給湯装置10のID情報(ここでは、台所リモコン13のID情報)が管理されている。また、各給湯装置10に対して、操作者が設定した名称が対応付けられている。名称の設定は、たとえば、受付画面においてペアリングの要求操作が行われた後に、名称設定用の画面が表示されて行われる。操作者は、自身にとって分かり易い名称を、各給湯装置10に付することができる。携帯端末装置30におけるペアリング情報の登録は、台所リモコン13からペアリング応答を受信した後に行われる。ペアリング情報は、携帯端末装置30の記憶部304に保持される。
図4(b)、(c)は、携帯端末装置30を用いて遠隔制御を行う際に携帯端末装置30に表示される画面を示す図である。
操作者が自身の携帯端末装置30において給湯システム1のためのアプリケーションプログラムを起動した後、所定の操作を行うと、図4(b)の選択画面510が表示される。この選択画面510には、メッセージ511と、選択キー群512と、確認ボタン513が含まれる。メッセージ511は、遠隔制御の対象を選択することを促す文章となっている。
選択キー群512には、選択候補を示す選択キー512aが上下に並んで含まれている。選択候補は、図4(a)に示したペアリンク情報の名称によって規定される。各選択キー512aには、それぞれ、図4(a)に示したペアリンク情報の名称が付されている。選択キー512aは、指を選択キー群512の位置に当てて上下にスライドさせることにより、スクロールできる。操作者は、遠隔制御を行おうとする給湯装置10に付した名称の選択キー512aにタッチして、遠隔制御の対象を選択する。選択された選択キー512aは、ハイライト表示される。選択対象を誤った場合、操作者は、再度、選択キー512aにタッチする。これにより、選択が解除される。
こうして対象を選択した後、操作者は、確認ボタン513にタッチする。これにより、図4(c)に示す選択画面520が表示される。操作者は、この選択画面520を用いて、遠隔制御の種別を選択するための操作を行う。
選択画面520には、メッセージ521と、選択ボタン522、523と、確定ボタン524と、戻るボタン525とが含まれている。メッセージ521は、遠隔制御の種別を選択することを促す文章となっている。選択ボタン522、523は、それぞれ、遠隔操作と遠隔監視を遠隔制御の種別として選択するための操作部である。確定ボタン524は、選択処理を確定させるための操作部である。確定ボタン524は、選択ボタン522、523の何れか一方が選択された場合に操作可能となる。戻るボタン525は、画面を選択画面510に戻すための操作部である。
操作者は、選択ボタン522、523のうち、自身が行おうとする遠隔制御の種別に対応する選択ボタンにタッチして、遠隔制御の種別を選択する。選択された選択ボタンは、ハイライト表示される。選択対象を誤った場合、操作者は、再度、選択ボタンにタッチする。これにより、選択が解除される。画面を戻す場合、操作者は戻るボタン525にタッチする。
選択ボタン522、523の何れか一方が選択された後、操作者が確定ボタン524にタッチすると、選択ボタン522、523の選択に応じた遠隔制御のための画面が携帯端末装置30の表示部301に表示される。即ち、選択ボタン522が選択された場合、遠隔操作のための遠隔操作画面700が表示され、選択ボタン523が選択された場合、遠隔監視のための遠隔監視画面600が表示される。
図5(a)は、遠隔監視画面600を示す図であり、図5(b)は、遠隔操作画面700を示す図である。
遠隔監視画面600は、給湯装置10の各種設定状態および入浴の有無を監視できる画面である。図5(a)を参照して、遠隔監視画面600は、3つの領域610、620、630に区分されている。領域610には、名称表示部611と、給湯温度表示部612と、風呂温度表示部613と、風呂湯量表示部614と、浴槽画像615と、入浴時間表示部616と、が含まれている。
名称表示部611には、遠隔監視が適用される給湯装置10の名称が表示される。給湯温度表示部612、風呂温度表示部613および風呂湯量表示部614には、それぞれ、随時、サーバ50から携帯端末装置30が受信した状態情報に基づいて、現在の給湯温度、風呂温度および風呂湯量の設定状態が示される。
遠隔監視画面600を選択する選択ボタン523が選択された後に確定ボタン524がタッチされると、携帯端末装置30からサーバ50へ遠隔制御要求が送信される。この遠隔制御要求は、当該携帯端末装置30のID情報と、操作者により選択された遠隔制御の対象の給湯装置10のID情報を含む。サーバ50は、遠隔制御要求が送られてくると、送信元の携帯端末装置30への給湯温度、風呂温度、風呂湯量等の状態情報の送信を開始する。これにより、遠隔監視画面600での設定状態に関する情報表示が可能となる。
浴槽画像615には、現在の風呂湯量の設定状態が浴槽に溜められる水の画像として表示される。浴槽に人が入浴中であることが状態情報に含まれている場合、浴槽画像615に、人が浴槽に入浴していることを示す画像M1が付加される。また、入浴時間表示部616には、状態情報に基づいて、浴槽に対する現在の入浴時間が表示される。
領域620には、画面が遠隔操作画面700である場合に所定の設定等を行うためのボタン621~624が表示される。ボタン621~624は、それぞれ、追い焚き機能の設定、風呂自動機能の設定、風呂洗浄機能の設定および風呂タイマー機能の設定のためのボタンである。ここでは、画面が遠隔監視画面600であるため、これらのボタンは無効化されている。領域630には、遠隔監視の対象となる機能を切り替えるための4つのボタンが表示される。
操作者は、遠隔監視画面600を参照することにより、名称表示部611に表示された給湯装置10の状況を確認できる。図5(a)の例では、操作者は、名称表示部611に表示された給湯装置10における、風呂の状況を種々確認することができる。これにより、操作者は、名称表示部611に表示された給湯装置10の場所から離れていても、当該給湯装置10の状況を的確に把握できる。
遠隔操作画面700は、携帯端末装置30から給湯装置10を遠隔操作するための画面である。図5(b)を参照して、遠隔操作画面700について説明する。遠隔操作画面700のレイアウトは、図5(a)に示した遠隔監視画面600と同様である。遠隔操作画面700は、遠隔監視画面600と同様、3つの領域710、720、730に区分されている。
領域710には、名称表示部711と、給湯温度設定部712と、風呂温度設定部713と、風呂湯量設定部714と、浴槽画像715と、が含まれる。名称表示部711には、名称表示部611と同様、当該給湯装置10に付された名称が表示される。
給湯温度設定部712、風呂温度設定部713および風呂湯量設定部714には、それぞれ、現在の給湯温度、風呂温度および風呂湯量の設定状態が示される。さらに、操作者は、給湯温度設定部712、風呂温度設定部713および風呂湯量設定部714に対する操作により、給湯温度、風呂温度および風呂湯量を変更できる。浴槽画像715には、現在の風呂湯量の設定状態が浴槽に溜められる水の画像として表示される。
領域720に含まれる各ボタン721~724は、操作可能に有効化されている。ボタン721~724は、図5(a)のボタン621~624に対応する。操作者は、これらのボタン721~724を操作することにより、名称表示部711に表示された給湯装置10に対して、各ボタン721~724に対応する設定を行うことができる。遠隔操作画面700では、操作者からの設定操作に応じた情報が、随時、サーバ50に送信され、さらに、サーバ50から台所リモコン13に送信される。これにより、遠隔操作の対象の給湯装置10に所定の設定が行われる。
さて、本実施形態の給湯システム1では、給湯装置10が使用される家庭のエネルギー使用量が、サーバ50によって一括管理される。そして、サーバ50により、エネルギー使用量の順位付けが行われ、順位付けにより得られたエネルギー使用量の順位が、各給湯装置10に送られ、台所リモコン13の表示部131に表示される。以下、この順位付け機能について説明する。
本実施形態では、最初に、エネルギー使用量の順位付けを行うときの前提条件をサーバ50に登録するための前提条件登録処理が、台所リモコン13と、携帯端末装置30と、サーバ50との間で行われる。前提条件は、順位付けを行う際の母数(全体数)を絞るための条件である。ここでは、給湯装置10の種別(以下、「装置種別」という)、給湯装置10が使用される地域(以下、「使用地域」という)および給湯装置10が使用される家庭の世帯人数が前提条件とされる。世帯人数は操作者の携帯端末装置30での入力により登録され、装置種別および使用地域は操作者の入力なしに自動で登録される。
前提条件登録処理は、図3(b)のペアリングの処理が終了したときに、自動的に開始される。また、ペアリングの処理の中に前提条件登録処理が含まれるような構成とされてもよい。さらに、操作者は、世帯人数を後に変更することもできる。この場合、所定の操作に基づいて、携帯端末装置30での処理が開始される。
給湯装置10では、前提条件登録処理として、機種コードをサーバ50に送信する処理が行われる。機種コードは、台所リモコン13の記憶部134に記憶されている。機種コードには、装置種別を示す種別情報が含まれる。また、機種コードには、その他、給湯装置10の号数を示す号数情報等が含まれる。
図6(a)は、台所リモコン13の制御部133により実行される前提条件登録処理を示すフローチャートである。
図6(a)を参照して、台所リモコン13の制御部133は、記憶部134から機種コードを読み出す(S31)。そして、制御部31は、読み出した機種コードを、給湯装置10のID情報とともにサーバ50に送信する(S32)。
携帯端末装置30では、前提条件登録処理として、世帯人数をサーバ50に送信する処理が行われる。
図6(b)は、携帯端末装置30の制御部303により実行される前提条件登録処理を示すフローチャートである。図7(a)、(b)は、携帯端末装置30の表示部301に表示される世帯人数の入力画面800を示す図である。
図6(b)を参照して、制御部303は、入力画面800を表示部301に表示させて、世帯人数の入力を受け付ける(S41)。操作者は、入力画面800を用いて世帯人数を入力する。
図7(a)、(b)に示すように、入力画面800には、メッセージ810と、世帯人数入力欄820と、確定ボタン830が含まれている。メッセージ810は、世帯人数の入力を促す文章となっている。世帯人数入力欄820は、世帯人数を入力するための入力欄である。確定ボタン830は、世帯人数の入力を確定させるための操作部である。
操作者が、世帯人数入力欄820にタッチすると、入力画面800には、図7(b)に示すように、世帯人数入力欄820に隣接するように、数字が配列されたウィンドウ821が現れる。操作者は、ウィンドウ821を上下になぞることでウィンドウ821上の数字をスクロールさせることができる。操作者は、ウィンドウ821上の現れた所望の数字にタッチする。これにより、タッチされた数字が世帯人数入力欄820に表示される。こうして、世帯人数の入力が終わると、操作者は、確定ボタン930にタッチする。これにより、世帯人数の入力が確定する。
図6(b)に戻り、制御部303は、操作者により確定ボタン830が操作されて確定操作がなされると(S42:YES)、入力された世帯人数を、給湯装置10のID情報とともにサーバ50に送信する(S43)。
サーバ50では、前提条件登録処理として、装置種別、使用地域および世帯人数を登録する処理が行われる。
図8は、サーバ50の制御部501により実行される前提条件登録処理を示すフローチャートである。
図8を参照して、サーバ50の制御部501は、給湯装置10、即ち、台所リモコン13からの機種コードを受信したか否かを監視する(S51)。また、制御部501は、携帯端末装置30からの世帯人数を受信したか否かを監視する(S52)。
制御部501は、機種コードが受信されると(S51:YS)、機種コードに含まれる種別情報を抽出する(S53)。さらに、制御部501は、給湯装置10の使用地域を判別する(S54)。サーバ50と給湯装置10(台所リモコン13)との通信には、台所リモコン13のIPアドレスが用いられており、このIPアドレスは、地域ごとに割り振られている。制御部501は、機種コードが送られてきた台所リモコン13のIPアドレスに基づいて、その台所リモコン13、即ち給湯装置10の使用地域を判別することができる。制御部501は、装置種別と使用地域を記憶部502に登録する(S55)。
さらに、制御部501は、世帯人数が受信されると(S52:YES)、その世帯人数を記憶部502に登録する(S56)。装置種別、使用地域および世帯人数が全て登録されると(S57:YES)、サーバ50での処理が完了する。
図9(a)は、装置種別、使用地域および世帯人数が登録された登録テーブル502aの構成を示す図である。
図9(a)に示すように、記憶部502の登録テーブル502aには、装置種別、使用地域および世帯人数が、これらの対象である給湯装置10のID情報に対応付けられて登録される。ここで、装置種別として、たとえば、潜熱回収タイプ、非潜熱回収タイプ、ヒートポンプタイプ、排熱利用タイプの4つのタイプを挙げることができる。装置種別は、これらのタイプの給湯装置がどのような機能を有するか(給湯機能のみ、給湯および暖房機能、給湯、追い焚きおよび暖房機能)によりさらに細かく区分されたものとすることもできる。また、使用地域は、たとえば、都道府県とされる。使用地域は、市町村とすることもできる。
図9(b)は、給湯装置10のガス使用量および電力使用量が一括管理されるデータベース502bの構成を示す図である。
サーバ50により管理されている各給湯装置10では、その日のガス使用量および電力使用量がエネルギー使用量測定装置80から台所リモコン13へ出力されると、台所リモコン13の制御部133は、取得したガス使用量および電力使用量をサーバ50へ送信する。サーバ50の制御部501は、受信したガス使用量および電力使用量を記憶部502のデータベース502bに記憶させる。図9(b)に示すように、データベース502bには、日付が付されたガス使用量および電力使用量が、送信先の給湯装置10のID情報に対応付けられて記憶される。
サーバ50では、管理下にある各給湯装置10が使用された家庭のエネルギー使用量(ガス使用量、電力使用量)を順位付けし、各家庭の順位を各給湯装置10に送信する順位付け処理が制御部501により定期的に実行される。たとえば、1ヶ月のエネルギー使用量を順位付けする場合は、1ヶ月に一回、順位付け処理が実行される。順位付けの対象となる期間は、1ヶ月でなく、1週間や1年であってもよい。
図10は、順位付け処理を示すフローチャートである。
図10を参照して、サーバ50の制御部501は、エネルギー使用量の順位付けを行う実行日時になったか否かを監視する(S61)。たとえば、1ヶ月のエネルギー使用量を順位付けする場合は、順位付けする月の翌月の所定の日(1日など)の所定の時刻(午前1時など)が実行日時に設定される。
制御部501は、実行日時になると(S61:YES)、各給湯装置10について、順位付けの対象のなる期間、たとえば、1ヶ月のエネルギー使用量(ガス使用量、電力使用量)を算出する(S62)。そして、制御部501は、装置種別、使用地域および世帯人数に応じたエネルギー使用量の順位付けを行う(S63)。即ち、制御部501は、装置種別、使用地域および世帯人数が近い給湯装置10ごとに、エネルギー使用量の順位付けを行う。
たとえば、装置種別が、潜熱回収タイプ、非潜熱回収タイプ、ヒートポンプタイプ、排熱利用タイプの4つ種別グループに分けられる。また、使用地域が、北海道、東北、関東、中部、近畿、中国・四国、九州、沖縄の8つの地域グループに分けられる。さらに、世帯人数が、1人、2人、3人、4人、5人、6人以上の6つの人数クループに分けられる。この場合、制御部501は、種別グループ、地域グループおよび人数グループが同じである給湯装置10ごとに、それらの中でのエネルギー使用量の順位付けを行う。なお、装置種別が、給湯装置10の機能も考慮した、さらに細かな種別グループに分けられてもよく、使用地域が、都道府県別など、さらに細かな地域グループに分けられてもよい。
次に、制御部501は、各給湯装置10へ、それらに対応する順位を送信する(S64)。このとき、制御部501は、各給湯装置10に対応するエネルギー使用量(ガス使用量、電力使用量)も送信する。
給湯装置10側では、台所リモコン13において、サーバ50からのエネルギー使用量の順位を受信する受信処理と、受信した順位を表示する表示処理とが制御部133により実行される。
図11(a)は、受信処理を示すフローチャートである。
図11(a)を参照して、台所リモコン13の制御部133は、無線通信部136がエネルギー使用量の順位を受信したか否かを監視する(S71)。そして、無線通信部136が順位を受信すると(S71:YES)、制御部133は、受信した順位を台所リモコン13の記憶部134へ記憶させる(S72)。なお、台所リモコン13では、エネルギー使用量も受信され、記憶部134に記憶される。
図11(b)は、表示処理を示すフローチャートである。図11(c)は、エネルギー使用量の順位が表示された画面の一例を示す図である。
図11(b)を参照して、台所リモコン13の制御部133は、エネルギー使用量の順位を表示するための契機となる操作がなされたか否かを監視する(S81)。台所リモコン13が待機状態にあるとき、台所リモコン13に対する操作者は、最初に運転ボタン132aを操作することになる。たとえば、この運転ボタン132aの操作が契機操作となり得る。また、他の操作ボタンの操作が契機操作とされてもよい。
契機操作がなされると(S81:YES)、制御部133は、記憶部134からエネルギー使用量の順位を読み出し、台所リモコン13の表示部131に順位を表示させる(S82)。表示部131には、エネルギー使用量の順位とともに、エネルギー使用量も表示される。図11(c)では、1ヶ月のエネルギー使用量(ガス使用量、電力使用量)とその順位が表示された例が示されている。なお、順位付けの前提条件となった装置種別、使用地域および世帯人数が、エネルギー使用量の順位とともに表示されてもよい。
表示部131に表示されたエネルギー使用量の順位は、たとえば、所定時間が経過すると、あるいは、所定の操作が行われると、表示部131から消去される。表示部131には、給湯温度等の設定内容が表示される画面など、次に表示されるべき画面が表示される。
<実施形態の効果>
本実施形態によれば、以下の効果が奏され得る。
サーバ50の管理下にある給湯装置10のうち、装置種別が近い給湯装置10に絞られてエネルギー使用量の順位付けが行われるので、装置種別の違いによる影響が排除され、順位付けを適正に行うことができる。
また、使用地域が近い給湯装置10に絞られてエネルギー使用量の順位付けが行われるので、使用地域の違いによる影響が排除され、順位付けを一層適正に行うことができる。なお、使用地域が違う場合、その気候の違いにより、水道水の温度が違ってくる。即ち、寒い地域では、水道水の温度が低くなりやすく、このため、エネルギー使用量も多くなりやすい。
さらに、世帯人数が近い給湯装置10に絞られてエネルギー使用量の順位付けが行われるので、世帯人数の違いによる影響が排除され、順位付けを一層適正に行うことができる。なお、世帯人数が多いと、エネルギー使用量も多くなりやすい。
さらに、給湯装置10の種別を示す種別情報が、給湯装置10から自動的にサーバ50へ送信されるので、手動による装置種別の入力が不要となり、利便性が向上する。
さらに、サーバ50において、給湯装置10とサーバ50との通信に用いられるIPアドレスに基づいて使用地域が判別されるので、手動による使用地域の入力が不要となり、利便性が向上する。
さらに、適正な順位付けにより得られた適正な順位を、給湯装置10(台所リモコン13)の表示部131に表示させることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、また、本発明の適用例も、上記実施形態の他に、種々の変更が可能である。
たとえば、上記実施形態では、サーバ50において、装置種別、使用地域および世帯人数が記憶部502に記憶され、これら3つの条件に応じたエネルギー使用量の順位付けが行われた。しかしながら、少なくとも装置種別が記憶部502に記憶され、この条件に応じたエネルギー使用量の順位付けが行われればよい。即ち、装置種別のみに応じた順位付けが行われてもよいし、装置種別および使用地域に応じた順位付けが行われてもよいし、装置種別および世帯人数に応じた順位付けが行われてもよい。
また、上記実施形態では、エネルギー使用量の順位付けにより得られた各給湯装置10に対応する順位が、サーバ50から各給湯装置10の全てに送信された。しかしながら、給湯装置10からサーバ50への順位の送信の要求があった場合に、その給湯装置10へサーバ50から順位が送信されるようにしてもよい。この場合、給湯装置10の台所リモコン13の入力部132で要求操作が行われ、これに基づいて、給湯装置10からサーバ50へ順位の送信の要求がなされる。そして、受信された順位は、台所リモコン13の表示部131に表示される。さらには、エネルギー使用量の順位付けが、定期的ではなく、給湯装置10からサーバ50への順位の送信の要求に応じて行われるようにしてもよい。この場合、給湯装置10の台所リモコン13において、順位付けの対象となる期間(1ヶ月、1週間、1年等)を操作者が選択できるようにしてもよい。
さらに、上記実施形態では、世帯人数が携帯端末装置30を用いて入力された。しかしながら、携帯端末装置30での入力に加えて、あるいはこれに替えて、世帯人数が台所リモコン13を用いて入力されるようにしてもよい。この場合、台所リモコン13の制御部133により、図6(b)の処理が実行され、台所リモコン13の表示部131に入力画面800が表示される。
さらに、上記実施形態では、エネルギー使用量の順位が台所リモコン13の表示部131に表示された。しかしながら、台所リモコン13での表示に加えて、あるいはこれに替えて、エネルギー使用量の順位が携帯端末装置30の表示部301に表示されてもよい。この場合、携帯端末装置30の制御部303により、図11(a)、(b)の処理が実行される。
さらに、上記実施形態では、エネルギー使用量(ガス使用量、電力使用量)が、一日ごとに、エネルギー使用量測定装置80から台所リモコン13に出力され、サーバ50へと送信された。しかしながら、エネルギー使用量測定装置80からのエネルギー使用量の出力タイミングは、上記のものに限られず、たとえば、一時間ごとでもよい。また、台所リモコン13からのエネルギー使用量の送信タイミングも、上記のものに限られず、たとえば、一時間ごとでもよい。
さらに、上記実施形態では、給湯装置10を含めた宅内H10(家庭内)の全体の負荷(電気機器、ガス機器)によるエネルギー使用量が台所リモコン13、即ち給湯装置10からサーバ50へ送信された。しかしながら、給湯装置10のみによるエネルギー使用量が給湯装置10からサーバ50へ送信されるようにしてもよい。この場合、たとえば、給湯装置10へのガスの供給量を検出するセンサと、給湯装置10への電力の供給量を検出するセンサとが、台所リモコン13の制御部133に接続され、制御部133により、ガス使用量と電力使用量とが算出される。
さらに、上記実施形態では、給湯システム1は、給湯装置10に対する遠隔操作と遠隔監視の双方を行えるものであった。しかしながら、給湯システム1は、遠隔操作と遠隔監視のうち少なくとも一方が行われるものであってもよい。
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜種々の変更可能である。