JP7102643B2 - 塗装含有廃水処理方法 - Google Patents
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Description
(1)請求項1記載の発明は、被塗装物から水で剥離された塗装を含む塗装含有廃水(W)を篩い器(10)の斜面(12)に滑り落とす第一滑落工程(S501)と、前記第一滑落工程で滑り落とした前記塗装含有廃水を、前記斜面(12)に形成された複数の溝(12h)の間隙を通過させ、第一処理水(Wf)と大きさが前記間隙より大きい前記塗装が集められた第一固形物(Sf)とに分離する第一分離工程(S502)と、前記第一分離工程を経て分離された前記第一処理水(Wf)に、前記第一処理水に分散している前記間隙より小さい粒子を凝集し、前記間隙より大きい集合体を形成する凝集剤(F)を混合する凝集剤混合工程(S701)と、前記凝集剤(F)が混合された前記第一処理水(Wf)を前記斜面(12h)に滑り落とす第二滑落工程(S702)と、前記第二滑落工程で滑り落とした前記第一処理水(Wf)を、前記溝(12h)の間隙を通過させ、第二処理水(Ws)と前記集合体が集められた第二固形物(Ss)とに分離する第二分離工程(S703)とを行うことを特徴とする塗装含有廃水処理方法。
(2)請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明であって、前記篩い器に形成された複数の溝は、前記塗装含有廃水が滑り落ちる下方向側に湾曲する折曲溝(12h)であることを特徴とする塗装含有廃水処理方法。
(3)請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明であって、前記第一滑落工程は、前記塗装含有廃水を整流板(17)に通過させ、前記塗装含有廃水(W)の前記篩い器の斜面(12)における流れを均一にすることを特徴とする塗装含有廃水処理方法。
(4)請求項4記載の発明は、請求項1~3のいずれか記載の発明であって、前記篩い器は、持ち運び自在な装置であることを特徴とする塗装含有廃水処理方法。
(5)請求項5記載の発明は、請求項1~4のいずれか記載の発明であって、前記第二分離工程を経た前記第二処理水の鉛の含有量が、環境基準値を満たすことを特徴とする塗装含有廃水処理方法。
本実施形態の塗装含有廃水の処理方法は、塗装含有廃水を篩い器10の斜面12に滑り落とす第一滑落工程と、前記第一滑落工程で滑り落とした前記塗装含有廃水を、前記斜面12に形成された複数の折曲溝12hに通過させ、前記塗装含有廃水Wを第一処理水Wfと第一固形物Sfとに分離する第一分離工程とを備えている。また、塗装含有廃水の処理方法は、前記第一分離工程を経て分離された前記第一処理水Wfに、前記第一処理水に分散している粒子を凝集する凝集剤(F)を混合する凝集剤混合工程と、前記凝集剤Fが混合された前記第一処理水Wfを前記斜面12に滑り落とす第二滑落工程と、前記第二滑落工程で滑り落とした前記第一処理水Wfを、前記折曲溝12hに通過させ、前記第一処理水Wfを第二処理水Wsと第二固形物Ssとに分離する第二分離工程とを備えている。
〔第一実施形態〕
図1は、本発明の第一実施形態に係る塗装含有廃水処理をしている状態を示す模式図である。まず、空港の滑走路の塗装を除去する場合を例にして、塗装含有廃水処理に使用する道具について説明をする。塗装含有廃水処理の前提としておこなう被塗装物から塗装を除去する塗装除去処理は、滑走路に高圧洗浄機及び高性能バキュームを運びこんで行われる。塗装含有廃水処理は、滑走路に貯水容器C、ドラム缶D及び篩い器10を運び込んで行われる。図1に示すように、篩い器10は、所定の高さの台Stの上に置かれ、篩い器10の正面にドラム缶Dを配置して、篩い器10の背面に貯水容器Cを配置する。
図2は、塗装含有廃水処理に使用される篩い器10を示す外観図(a)及び断面図(b)である。図3は、篩い器10の斜面12を拡大した正面図(a)及び拡大した断面図(b)である。篩い器10は、塗装含有廃水Wを、鉛を含有する固形物と処理水とに分離、脱水する装置である。図2に示すように、篩い器10は、本体部11、斜面12、支持軸13、載置棒14、上部水槽15、堰部16、整流板17及び下部水槽18とから構成されている。本例において、篩い器10は、有限会社アクアテックが代理店として取り扱っているハイドラシブを使用している。
図2に示すように、本体部11は、篩い器10の各部品を収容するための箱状の筐体である。本体部11は、全体が前面を縦長略長方形状の斜面状とし、前方を切り欠いた側面視略台形状の筐体である。本体部11は、硬質な金属で形成されており、例えば、SUS304(ステンレス鋼材)等で形成されていると良い。本体部11は、斜面状の部分が開口した開口11hが形成されている。本体部11は、開口11hを塞ぐように斜面12が載置されている。本体部11の側面には、貫通孔が形成され、斜面12を回動自在に軸支する支持軸13が取り付けられている。本体部11の側面11sには、貫通孔が形成され、斜面12を載置する載置棒14が2つ取り付けられている。本体部11の上方には上部水槽15が取り付けられ、本体部11の下方には下部水槽18が取り付けられている。
斜面12は、上部水槽15から供給された塗装含有廃水W等を、鉛を含有する固形物と処理水とに分離、脱水する部品である。斜面12は、硬質な金属で形成されており、例えば、SUS305(ステンレス鋼材)等で形成されていると良い。図2(b)に示すように、斜面12は、上方から下方にかけて、第一傾斜部12a、第二傾斜部12b及び第三傾斜部12cとが、異なる角度で形成されている。
上部水槽15は、ポンプ車T1や貯水容器Cから供給された塗装含有廃水W等を、斜面12の上方で貯水する部品である。図2(b)に示すように、上部水槽15は、所定量の水が貯められるように、正面板、背面板、側面板、底面板が区画され、上面が開口した容器である。上部水槽15の背面板には、上部水槽15に塗装含有廃水W等を供給するための入水口15hが取り付けられている。上部水槽15は、正面板が折曲げられて堰部16が形成されている。
堰部16は、上部水槽15内における所定水位以上の水を溢れさせるための部品である。図2(b)に示すように、堰部16は、上部水槽15の正面板を斜面12と略同一の角度になるように折曲げて形成されている。堰部16は、上部水槽15の側面や背面と比較して開口が低い位置に配置されている。
整流板17は、上部水槽15から斜面12へ流す水の流れを均一にするための部品である。整流板17は、本体部11の側面11sに取り付けられた長方形状の薄板である。整流板17は、図2(a)に示すように、堰部16の幅方向全体を覆うように配置され、図2(b)に示すように、堰部16との間に所定の隙間ができるように配置されている。
下部水槽18は、斜面12を通過した塗装含有廃水W等を、斜面12の下方で貯水する部品である。図2(b)に示すように、下部水槽18は、所定量の水が貯められるように、正面板、背面板、側面板、底面板が区画され、上面が開口した容器である。下部水槽18の背面板には、下部水槽18に貯められた塗装含有廃水W等を排水するための排水口18hが取り付けられている。
凝集剤Fは、塗装含有廃水W等の中に分散している粒子を集合させ、沈降を促進するために用いられる薬剤である。本例において、凝集剤Fは、天然の鉱物である珪藻土やゼオライトを主体とした珪藻土系凝集剤(商品名:アクアネイチャープラス、株式会社ネクストリー製)を使用する。凝集剤Fは、塗装含有廃水W等に混合されることにより、塗装含有廃水W等の中に含まれる鉛を含んだ塗装、塵及び土砂等を固めた集合体(フロック)を形成する。本例において、凝集剤Fは、混合することにより形成される集合体(フロック)の大きさが折曲溝12hの間隙(0.25mm)より大きくなるように調整されている。
次に、塗装含有廃水処理の工程について説明する。図4は、塗装含有廃水処理方法の工程を示すフローチャートである。図5は、塗装含有廃水処理方法の工程を示す模式図である。図6は、塗装含有廃水処理方法の工程を示す模式図である。
運搬工程S1は、塗装を除去する現場に必要な道具を運搬する工程である(図4(a)及び図5(a)参照)。本例において、施工者は、塗装除去処理に必要な高圧洗浄機、高性能バキュームを、ポンプ車T1に積み込んで滑走路に運搬する。本例において、施工者は、塗装含有廃水処理に必要な篩い器10、貯水容器C及びドラム缶Dを、第一運搬車T2及び/又は第二運搬車T3に積み込んで滑走路に運搬する。本例において、施工者は、篩い器10を1台、貯水容器Cを3台、ドラム缶Dを6台用意している。
準備工程S2は、塗装を除去する現場において、道具を用途に応じて配置する工程である(図4(a)及び図5(b)参照)。本例において、施工者は、塗装除去処理に必要な高圧洗浄機、高性能バキュームを、滑走路の塗装Pの側に配置する。施工者は、高圧洗浄機、高性能バキュームをポンプ車T1に繋げる。図5(b)に示すように、施工者は、篩い器10を、所定の高さの台Stの上に置き、篩い器10の正面にドラム缶D1を配置し、ドラム缶D1の隣にドラム缶D2を配置して、篩い器10の背面に貯水容器C1を配置する。施工者は、篩い器10と貯水容器C1との間に塗装含有廃水W等を循環させるための循環ポンプや、貯水容器C1に貯められた塗装含有廃水W等を撹拌する撹拌ポンプを配置する。なお、塗装含有廃水Wが、土壌や、河川や海に流れ出ないように、滑走路には仕切等を配置しても良い。
剥離工程S3は、高圧洗浄機から噴射される高圧水を使用して塗装を被塗装物から剥離する工程である(図4(a)及び図5(c)参照)。施工者は、高圧洗浄機をポンプ車T1に繋げ、ポンプ車T1が備える超高圧発生ポンプを使用して、超高圧ホースを通じて、高圧洗浄機から高圧水を噴射する。施工者は、高圧水を滑走路の塗装に向けて噴射することで、塗装を滑走路から剥離させる。滑走路から剥離された塗装は、高圧水と混ざり合い、塗装含有廃水Wとなる。本例において、超高圧洗浄機は、例えば、圧力が180Mpa~200Mpa、水量が25~38L/min程度のものが使用される。
収集工程S4は、剥離工程で剥離された塗装及び剥離に使用された水を塗装含有廃水Wとしてポンプ車T1に収集する工程である(図4(a)及び図5(d)参照)。施工者は、高性能バキュームをポンプ車T1に繋げ、ポンプ車T1が備える超高圧発生ポンプを使用して、高性能バキュームから塗装含有廃水Wを収集する。収集された塗装含有廃水Wは、ポンプ車T1に貯められる。本例においては、説明の便宜のため剥離工程S3と収集工程S4とは、別々の工程として説明している。しかし、剥離工程S3と収集工程S4とは、作業時間短縮のため、複数人の施工者によって、同時並行に進めても良い。
第一濾過工程S5は、図4(b)に示すように、第一滑落工程S501及び第一分離工程S502を経ることで、収集工程S4で集められた塗装含有廃水Wを分離し、分離された第一固形物Sfをドラム缶Dに入れ、分離された第一処理水Wfを貯水容器Cに入れる工程である。
第一滑落工程S501は、塗装含有廃水Wを篩い器10の斜面12に滑り落とす工程である(図4(b)及び図5(e)参照)。施工者は、ポンプ車T1と入水口15hをホース等で繋げ、排水口18hと貯水容器Cとをホース等で繋げる。施工者は、塗装含有廃水Wが貯められたポンプ車T1を作動して、塗装含有廃水Wを篩い器10の入水口15hに供給する。ポンプ車T1は、貯水容器C1に貯められた塗装含有廃水Wを、所定の流量(例えば、10m3/s)で入水口15hに流し、上部水槽15に供給する。上部水槽15に供給された塗装含有廃水Wは、所定量に達すると、堰部16から溢れて斜面12に滑り落ちていく。塗装含有廃水Wは、斜面12に滑り落ちる際に整流板17を通過することで、斜面12の表面において、幅方向に均一に拡がりながら流れ落ちる。
第一分離工程S502は、塗装含有廃水Wを、斜面12に形成された複数の折曲溝12hに通過させ、第一処理水Wfと第一固形物Sfとに分離する工程である(図4(b)及び図5(f)参照)。塗装含有廃水Wは、斜面12の表面において、幅方向に均一に拡がりながら流れ落ちているため、第一固形物Sfが一定の箇所に固まることなく、斜面12の表面全体に広がりながら第一処理水Wfが脱水される。
固形物量確認工程S503は、篩い器10から排出された第一固形物Sfが、ドラム缶Dの容量に達しているか否かを判断する工程である(図4(b)参照。)。施工者は、ドラム缶Dに貯められている第一固形物Sfの量が、ドラム缶Dの容量に達していない場合(S503:no)には、処理水量確認工程S505を実行する。施工者は、ドラム缶Dに貯められている第一固形物Sfの量が、ドラム缶Dの容量に達している場合(S503:yes)には、ドラム缶交換工程S504を実行する。
ドラム缶交換工程504は、容量が一杯になったドラム缶を、他のドラム缶Dに交換する工程である(図4(b)及び図5(g)参照。)。施工者は、例えば、篩い器10の正面に配置されたドラム缶D1の容量が一杯になった場合、図5(g)に示すように、ドラム缶D1と空のドラム缶D2とを交換する。なお、施工者は、篩い器10をドラム缶D1が配置された位置から、ドラム缶D2が配置された位置に移動させても良い。施工者は、容量が一杯になったドラム缶D1には、鉛を含有する汚染された産業廃棄物であることを示す目印(シールやステッカー)を付ける。
処理水量確認工程S505は、篩い器10から排水された第一処理水Wfが、貯水容器Cの容量に達しているか否かを判断する工程である(図4(b)参照。)。施工者は、貯水容器Cに貯められている第一処理水Wfの量が、貯水容器Cの容量に達していない場合(S505:no)には、未処理水量確認工程S507を実行する。施工者は、貯水容器Cに貯められている第一処理水Wfの量が、貯水容器Cの容量に達している場合(S505:yes)には、貯水容器交換工程S506を実行する。
貯水容器交換工程506は、容量が一杯になった貯水容器Cを、他の貯水容器Cに交換する工程である(図4(b)及び図5(h)参照。)。施工者は、篩い器10を貯水容器C1が配置された位置から、図5(h)に示すように、貯水容器C2が配置された位置に移動させることで、貯水容器Cを交換する。なお、施工者は、例えば、篩い器10の背面に配置された貯水容器C1の容量が一杯になった場合、貯水容器C1と空の貯水容器C2とを交換しても良い。
未処理水量工程507は、ポンプ車T1に貯められた全ての塗装含有廃水Wが、第一固形物Sfと第一処理水Wfとに分離されたか否かを確認する工程である(図4(b)参照。)。施工者は、ポンプ車T1に未処理の塗装含有廃水Wが残っている場合(S507:yes)には、再び第一滑落工程S501を実行する。施工者は、ポンプ車T1に塗装含有廃水Wが残っていない場合(S507:no)には、第一濾過工程S5を終了し、第一水質検査工程S6を実行する。つまり、施工者は、ポンプ車T1に貯められた塗装含有廃水Wを全て分離するまで、第一濾過工程S5を実行し続ける。第一濾過工程S5を経て、塗装含有廃水Wを全て分離すると、図5(i)に示すように、第一固形物Sfがドラム缶D1、D3及びD5に分配され、第一処理水Wfが貯水容器C1、C2及びC3に分配される。
第一水質検査工程S6は、それぞれの貯水容器Cに貯められた第一処理水Wfに含まれる鉛の含有量を検査する工程である(図4(a)及び図5(i)参照。)。施工者は、ポンプ車T1に貯められた塗装含有廃水Wをすべて排出し、それぞれの貯水容器Cに第一処理水Wfとして分配されると、作動しているポンプ車T1を止めて、それぞれの貯水容器Cに貯められている第一処理水Wfに含まれる鉛の含有量を検査する。
第二濾過工程S7は、図4(c)に示すように、凝集剤混合工程S701、第二滑落工程S702及び第二分離工程S703を経ることで、第一濾過工程S5で集められた第一処理水Wfを分離し、分離された第二固形物Ssをドラム缶Dに入れ、分離された第二処理水Wsを貯水容器Cに入れる工程である。
凝集剤混合工程S701は、第一処理水Wfに分散している粒子を凝集する凝集剤Fを第一処理水Wfに混合する工程である(図4(c)及び図6(a)参照。)。施工者は、篩い器10と貯水容器Cとの間に配置した撹拌ポンプを作動する。第一処理水Wfは、凝集剤Fを混合されて撹拌されることにより、大きさが0.25mmより大きい集合体(フロック)が形成される。第一処理水Wfは、第一分離工程S502を経ることで、既に大きめ(0.25mmより大きい)の塗装、塵及び土砂等は取り除かれている。このため、第一処理水Wfに混合された凝集剤Fは、微細な(0.25mm以下)塗装、塵及び土砂等のみを効率よく集合体にすることができる。施工者は、凝集剤Fによる集合体のうち浮遊したものについては、網を使用して取り除くと良い。
第二滑落工程S702は、凝集剤Fが混合された第一処理水Wfを斜面12に滑り落とす工程である(図4(c)及び図6(b)参照。)。施工者は、循環ポンプで第一処理水Wfが循環するように、入水口15hと貯水容器Cとをホース等で繋げ、排水口18hと貯水容器Cとを繋げる。施工者は、篩い器10と貯水容器C1との間に配置した循環ポンプを作動して、貯水容器C1に貯められた第一処理水Wfを、篩い器10の入水口15hに供給する。循環ポンプは、貯水容器C1に貯められた第一処理水Wfを、所定の流量(例えば、10m3/s)で入水口15hに流し、上部水槽15に供給する。上部水槽15に供給された第一処理水Wfは、所定量に達すると、堰部16から溢れて斜面12に滑り落ちていく。第一処理水Wfは、斜面12に滑り落ちる際に整流板17を通過することで、斜面12の表面において、幅方向に均一に拡がりながら流れ落ちる。
第二分離工程S703は、第一処理水Wfを、斜面12に形成された複数の折曲溝12hに通過させ、第二処理水Wsと第二固形物Ssとに分離する工程である(図4(c)及び図6(c)参照。)。第一処理水Wfは、斜面12の表面において、幅方向に均一に拡がりながら流れ落ちているため、第二固形物Ssが一定の箇所に固まることなく、斜面12の表面全体に広がりながら第二処理水Wsが脱水される。
固形物量確認工程S704は、篩い器10から排出された第二固形物Ssが、ドラム缶Dの容量に達しているか否かを判断する工程である(図4(c)参照。)。施工者は、ドラム缶Dに貯められている第二固形物Ssの量が、ドラム缶Dの容量に達していない場合(S704:no)には、処理水量確認工程S706を実行する。施工者は、ドラム缶Dに貯められている第二固形物Ssの量が、ドラム缶Dの容量に達している場合(S704:yes)には、ドラム缶交換工程S705を実行する。
ドラム缶交換工程S705は、容量が一杯になったドラム缶を、他のドラム缶Dに交換する工程である(図4(c)及び図6(d)参照。)。施工者は、例えば、篩い器10をドラム缶D2が配置された位置から、図6(d)に示すように、ドラム缶D4が配置された位置に移動させる。施工者は、例えば、篩い器10の正面に配置されたドラム缶D2の容量が一杯になった場合、ドラム缶D2と空のドラム缶D4とを交換しても良い。施工者は、容量が一杯になったドラム缶D2には、鉛を含有する汚染された産業廃棄物であることを示す目印を付ける。
処理水量確認工程S706は、篩い器10から排水された第二処理水Wsが、貯水容器Cの容量に達しているか否かを判断する工程である(図4(c)参照。)。施工者は、貯水容器Cに貯められている第二処理水Wsの量が、貯水容器Cの容量に達していない場合(S706:no)には、未処理水量確認工程S708を実行する。施工者は、貯水容器Cに貯められている第二処理水Wsの量が、貯水容器Cの容量に達している場合(S706:yes)には、貯水容器交換工程S707を実行する。
貯水容器交換工程S707は、容量が一杯になった貯水容器Cを、他の貯水容器Cに交換する工程である(図4(c)及び図6(e)参照。)。施工者は、篩い器10を貯水容器C1が配置された位置から、図6(e)に示すように、貯水容器C2が配置された位置に移動させることで、貯水容器Cを交換する。なお、施工者は、例えば、篩い器10の背面に配置された貯水容器C1の容量が一杯になった場合、貯水容器C1と空の貯水容器C2とを交換しても良い。
未処理水量確認工程S708は、貯水容器Cに貯められた全ての第一処理水Wfが、第二固形物Ssと第二処理水Wsとに分離されたか否かを確認する工程である。施工者は、貯水容器Cに未処理の第一処理水Wfがある場合(S708:yes)には、再び第二滑落工程S702を実行する。施工者は、貯水容器Cに未処理の第一処理水Wfがない場合(S708:no)には、第二濾過工程S7を終了し、第二水質検査工程S8を実行する。つまり、施工者は、貯水容器Cに貯められた第一処理水Wfを全て分離するまで、第二濾過工程S7を実行し続ける。第二濾過工程S7を経て、第一処理水Wfを全て分離すると、図6(f)に示すように、第二固形物Ssがドラム缶D2、D4及びD6に分配され、第二処理水Wsが貯水容器C1、C2及びC3に分配される。
第二水質検査工程S8は、それぞれの貯水容器Cに貯められた第二処理水Wsに含まれる鉛の含有量を検査する工程である(図4(a)及び図6(f)参照。)。施工者は、貯水容器Cに貯められた第一処理水Wfをすべて分離処理し、それぞれの貯水容器Cに第二処理水Wsとして分配されると、作動している循環ポンプを止めて、貯水容器Cに貯められている第二処理水Wsに含まれる鉛の含有量を検査する。
分別工程S9は、第一処理水Wfや第二処理水Wsの配送先を、鉛の含有量に応じて、一般廃棄物処理場と産業廃棄物処理場とに分別する工程である(図4(a)及び図6(g)参照。)。施工者は、第一処理水Wfや第二処理水Wsに対して行った鉛含有量の検査結果が、大なり0.1mg/Lの場合には、鉛を含有する汚染された産業廃棄物であることを示す目印を付ける。施工者は、第一処理水Wfや第二処理水Wsに対して行った鉛含有量の検査結果が、0.1mg/L以下の場合には、一般廃棄物であることを示す目印を付ける。本例において、第二処理水Wsは、鉛含有量が、0.1mg/L以下になるまで第二濾過工程S7(図4(a)参照)を実行するため、貯水容器C1、C2及びC3には、一般廃棄物であることを示す目印を付ける。施工者は、一般廃棄物処理場で処分するものを第一運搬車T2に運び、産業廃棄物処理場で処分するものを第二運搬車T3に運ぶ。
荷積工程S10は、分別工程における分別に応じて荷積みをする工程である(図4(a)及び図6(h)参照。)。施工者は、一般廃棄物処理場で処分するものを第一運搬車T2に積み込み、産業廃棄物処理場で処分するものを第二運搬車T3に積み込む。施工者は、一般廃棄物であることを示す目印が付けられた貯水容器C1、C2及び3を、第一運搬車T2に積み込む。また、施工者は、産業廃棄物であることを示す目印が付けられたドラム缶D1~D6を第二運搬車T3に積み込む。
輸送工程S13は、処理された塗装含有廃水Wを一般廃棄物処理場と産業廃棄物処理場とに輸送する工程である。施工者は、一般廃棄物であることを示す目印が付けられた貯水容器C1、C2及び3が積み込まれた第一運搬車T2を一般廃棄物処理場に輸送する。施工者は、産業廃棄物であることを示す目印が付けられたドラム缶Dが積み込まれた第二運搬車T3を産業廃棄物処理場に輸送する。
次に、着工前試験、比較例及び実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。表1は、空港における塗装のLBPの含有量を調べた着工前試験の結果を示す。表1に示すように、空港における塗装(黄色、赤及び黒)のLBPの含有量は、JEGSで許容されている基準(0.1mg/L)を超えていることがわかる。
比較例1は、従来の塗装含有廃水処理方法による場合であり、図7に示すように、次の工程を経る。
(1)高性能洗浄機で塗装を除去した。
(2)53.6tの塗装含有廃水を高性能バキュームで収集した。
(3)不織布のマットを使用して塗装含有廃水を濾過し、塗装含有廃水を処理水と固形物に分離した。塗装含有廃水を処理水と固形物に分離する作業は、1t当たり1時間程度の時間を必要とし、合計約53.6時間かかった。
(4)処理水を貯水容器a、貯水容器b及び貯水容器cに配分した。
(5)貯水容器a~cの処理水について、鉛の含有量を測定をした。
実施例1は、本発明の塗装含有廃水処理方法による場合であり、次の工程を経る。
(1)高性能洗浄機で塗装を除去した。
(2)塗装含有廃水を高性能バキュームで収集した。
(3)篩い器10としてハイドラシブを使用して塗装含有廃水を濾過し、塗装含有廃水を第一処理水と第一固形物に分離した。塗装含有廃水を処理水と固形物に分離する作業は、10t当たり1時間程度の時間を必要とし、約5.36時間かかった。
(4)第一処理水を貯水容器a、貯水容器b、貯水容器c及び貯水容器dに配分した。
(5)さらに、篩い器10としてハイドラシブを使用して第一処理水を濾過し、第一処理水を第二処理水と第二固形物に分離した。第一処理水を第二処理水と第二固形物に分離する作業は、15t当たり2時間程度の時間を必要とし、約7.14時間かかった。
(6)第二処理水を貯水容器a、貯水容器b、貯水容器c及び貯水容器dに配分した。
(7)貯水容器a~dの第二処理水について、鉛の含有量を測定をした。なお、第二処理水は、貯水容器a~dのそれぞれ2箇所から採取し、計8箇所における、鉛の含有量を測定した。
第一実施形態は、第二処理水Wsの鉛の含有量が0.1mg/L以下になるまで、第二濾過工程S7と第二水質検査工程S8を実行し続ける。しかし、第二処理水Wsの鉛の含有量が0.1mg/L以下になるのは、第二濾過工程S7を何回実行すれば良いかが経験則からわかる場合がある。このため、第二実施形態では、第二濾過工程S7を実行する回数をカウントし(図9(a)S6_2及び図9(c)S701_2参照)、3回実行した場合(図9(a)S7_2参照)に第二濾過工程S7を終了する。このようにすることで、第二水質検査工程S8を実行する回数を減らすことができる。なお、本例において、第二濾過工程S7を実行する回数は3回にしているが、回数については、適宜変更しても良い。
第一実施形態の塗装含有廃水処理方法は、塗装を除去する被塗装物を空港の滑走路として説明を行った。しかし、被塗装物は、空港の滑走路に限らず、道路や建物であっても良い。建物に塗られた塗装を除去する場合を例にして、第三実施形態の塗装含有廃水処理方法について説明をする。例えば、建物に塗られた塗装を除去する場合には、まず、塗装された壁等に剥離材(例えば、リムーバや軟化剤)を塗って塗装を軟化させる。軟化されて壁への付着力が弱くなった塗装は、ヘラ(例えば、電動サンダー、スクレパーやケレン棒)で、削ぎ落として、高圧洗浄機を使って除去される。
11 :本体部
12 :斜面
13 :支持軸
14 :載置棒
15 :上部水槽
16 :堰部
17 :整流板
18 :下部水槽
Sf :第一固形物
Ss :第二固形物
St :台
T1 :ポンプ車
T2 :第一運搬車
T3 :第二運搬車
W :塗装含有廃水
Wf :第一処理水
Ws :第二処理水
Claims (5)
- 被塗装物から水で剥離された塗装を含む塗装含有廃水(W)を篩い器(10)の斜面(12)に滑り落とす第一滑落工程(S501)と、
前記第一滑落工程で滑り落とした前記塗装含有廃水を、前記斜面(12)に形成された複数の溝(12h)の間隙を通過させ、第一処理水(Wf)と大きさが前記間隙より大きい前記塗装が集められた第一固形物(Sf)とに分離する第一分離工程(S502)と、
前記第一分離工程を経て分離された前記第一処理水(Wf)に、前記第一処理水に分散している前記間隙より小さい粒子を凝集し、前記間隙より大きい集合体を形成する凝集剤(F)を混合する凝集剤混合工程(S701)と、
前記凝集剤(F)が混合された前記第一処理水(Wf)を前記斜面(12h)に滑り落とす第二滑落工程(S702)と、
前記第二滑落工程で滑り落とした前記第一処理水(Wf)を、前記溝(12h)の間隙を通過させ、第二処理水(Ws)と前記集合体が集められた第二固形物(Ss)とに分離する第二分離工程(S703)と
を行うことを特徴とする塗装含有廃水処理方法。 - 請求項1に記載された塗装含有廃水処理方法であって、
前記篩い器に形成された複数の溝は、前記塗装含有廃水が滑り落ちる下方向側に湾曲する折曲溝(12h)である
ことを特徴とする塗装含有廃水処理方法。 - 請求項2に記載された塗装含有廃水処理方法であって、
前記第一滑落工程は、前記塗装含有廃水を整流板(17)に通過させ、前記塗装含有廃水(W)の前記篩い器の斜面(12)における流れを均一にする
ことを特徴とする塗装含有廃水処理方法。 - 請求項1~3のいずれか1項に記載された塗装含有廃水処理方法であって、
前記篩い器は、持ち運び自在な装置である
ことを特徴とする塗装含有廃水処理方法。 - 請求項1~4のいずれか1項に記載された塗装含有廃水処理方法であって、
前記第二分離工程を経た前記第二処理水の鉛の含有量が、環境基準値を満たす
ことを特徴とする塗装含有廃水処理方法。
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