JP2009125610A - 汚染土壌の浄化方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 浄化処理作業全体の効率の向上を企図した汚染土壌の浄化方法を提供する。
【解決手段】 汚染実態調査により浄化対象とされた汚染区域内において掘削・採取した汚染土壌を、ドラム洗浄機等による解砕洗浄工程と土壌分級装置による分級工程を経て浄化する方法において、該解砕洗浄工程を含むラインAと、該解砕洗浄工程を含まず、主に分級工程のみを含むラインBとを備え、初期土質調査により前記汚染土壌の土質、粒径分布及び粒径別汚染状況を調査した後、その初期土質調査結果に基づいて、前記汚染土壌を前記ラインAと前記ラインBのいずれかに供給して土壌の浄化処理を実施する。
【選択図】 図1
【解決手段】 汚染実態調査により浄化対象とされた汚染区域内において掘削・採取した汚染土壌を、ドラム洗浄機等による解砕洗浄工程と土壌分級装置による分級工程を経て浄化する方法において、該解砕洗浄工程を含むラインAと、該解砕洗浄工程を含まず、主に分級工程のみを含むラインBとを備え、初期土質調査により前記汚染土壌の土質、粒径分布及び粒径別汚染状況を調査した後、その初期土質調査結果に基づいて、前記汚染土壌を前記ラインAと前記ラインBのいずれかに供給して土壌の浄化処理を実施する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、油や重金属等で汚染された土壌を浄化する方法、特に汚染土壌の土質などに応じて効率よく浄化する方法に関する。
近年、ガソリンスタンド周辺の市街地や工場跡地、射撃場等において、漏出油や有機溶剤、重金属等で土壌や地下水が汚染され、用水、河川等に有害物質が漏出し、土地の再利用に支障を来すという問題が各地で顕在化している。
従来、これらの汚染土壌については、産業廃棄物として処分場に埋め戻すか、汚染物質を焼却又は洗浄することにより土壌を浄化して修復し、清浄土壌として再利用する方法が採用されていた。しかしながら、地中に埋め戻す方法は、環境保全等の問題により場所の確保が困難であり、また焼却する方法については処理コストが高いという問題があった。
そこで、近年では、より環境保全に優れ且つ低コストでの処理が可能であるという理由から、汚染土壌を解砕して洗浄することにより浄化する方法が採用される例が多くなっている。汚染土壌を解砕して洗浄する浄化方法としては、特開2004−261700号公報(特許文献1)等に記載されているように、ドラム洗浄機、トロンメル、ミキサー等に汚染土壌を投入して解砕し、水や洗浄剤等と一緒に混練して、付着した汚染物質を土壌粒子の表面から剥離して水相に移し、後工程で土壌分級装置により分級して処理する方法が一般的である。
上記した従来一般的な方法によれば、ドラム洗浄機等による解砕と洗浄(以下、「解砕洗浄工程」と称する)、及び土壌分級装置による分級(以下、「分級工程」と称する)を順次複数段にわたって着実に実施することで、殆どの汚染土壌について、ある程度の水準の浄化効果を期待することができる。
特開2004−261700号公報
上記の如く、従来は、汚染土壌の浄化方法として、解砕洗浄工程と分級工程とからなる処理経路がほぼ画一化されていた。そのため、土質の違い等は全く考慮されず、全ての汚染土壌に対して画一的に解砕洗浄工程が行われることにより、汚染土壌によっては過大な処理が行われ、また汚染土壌によっては必ずしも十分な浄化効果が得られていないなど、効率的な浄化処理が行われているとはいえない実情であった。
本発明は、このような従来の事情に鑑み、汚染土壌の土質に適合した浄化処理経路を採用することによって、従来から標準的に行われてきた画一的で且つ非効率的な浄化処理方法を改善し、汚染土壌の十分な浄化と同時に、過剰な処理による時間的損失をなくして、浄化処理作業全体の効率の向上を図ることを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明が提供する汚染土壌の洗浄方法は、汚染実態調査により浄化対象とされた汚染区域内において掘削・採取した汚染土壌を、ドラム洗浄機等による解砕洗浄工程と土壌分級装置による分級工程を経て浄化する方法において、該解砕洗浄工程を含むラインAと、該解砕洗浄工程を含まず、主に分級工程のみを含むラインBとを備え、初期土質調査により前記汚染土壌の土質、粒径分布及び粒径別汚染状況を調査した後、その初期土質調査結果に基づいて、前記汚染土壌を前記ラインAと前記ラインBのいずれかに供給することを特徴とする。
上記本発明による汚染土壌の洗浄方法において、前記ラインAは、前記汚染土壌を解砕洗浄処理した後、分級処理を1回又は複数回実施し、各分級処理で得られた所定の粒径以上の既分級土壌に対して土壌汚染対策法に基づき土壌検査を行い、その結果、清浄土壌と判定された既分級土壌については再利用処理すると共に、汚染土壌と判定された既分級土壌及び所定の粒径未満の既分級土壌については更に分級処理と土壌検査を繰返し行い、最後の分級処理によって排出された汚染土壌を含むスラリーについては泥水処理工程に搬送して無害化処理を行うことを特徴とする。
また、上記本発明による汚染土壌の洗浄方法において、前記ラインBは、前記汚染土壌に1回又は複数回の分級処理を実施し、各分級処理で得られた所定の粒径以上の既分級土壌に対して土壌汚染対策法に基づき土壌検査を行い、その結果、清浄土壌と判定された既分級土壌については再利用処理すると共に、汚染土壌と判定された既分級土壌及び所定の粒径未満の既分級土壌については更に分級処理と土壌検査を繰返し行い、最後の分級処理によって排出された汚染土壌を含むスラリーについては泥水処理工程に搬送して無害化処理を行うことを特徴とする。
更に、上記本発明による汚染土壌の洗浄方法は、前記ラインA及び/又はラインBと共にラインCを備えることができ、該ラインCは、前記汚染土壌に1回又は複数回の分級処理を実施した後、各分級処理で得られた所定の粒径以上の未検査既分級土壌に対し土質、分級状態、汚染度合いについて評価解析を行い、その結果、解砕洗浄処理が必要と判断された未検査既分級土壌を前記ラインAの解砕洗浄工程に供給するライン切換工程を備え、解砕洗浄処理が不必要と判定された未検査既分級土壌については土壌汚染対策法に基づき土壌検査を行い、その結果、清浄土壌と判定された既分級土壌については再利用処理すると共に、汚染土壌を含むスラリーについては前記ラインBと同様に処理することを特徴とする。
本発明によれば、従来から標準的に行われてきた画一的且つ非効率的な浄化処理方法を改善し、余計な処理工程を経ることなく浄化処理の実効を上げると共に、過剰な処理による時間的損失をなくして処理所要時間の短縮を図り、浄化処理作業全体の効率を向上させることができる。従って、早急に浄化処理が必要な場合や、処理日程(工期)に余裕がない状況等においても、十分な浄化処理対応をとることが可能となる。
また、本発明によれば、従来方法と同程度の水準の浄化効果が得られると同時に、従来浄化作業に要していたコストを削減し、稼動負荷や経済的・時間的負担の増大等に伴って生じる不測の事態を防止することができる。しかも、浄化処理に係る作業環境を整備して作業性、安全性を向上させることができると共に、迅速、確実且つ安全に汚染土壌の浄化処理がなされるため、環境保護にも大いに寄与することができる。
浄化対象の汚染土壌の土質と浄化処理の効果を検討した結果、砂礫を多く含む汚染土壌であれば、従来必須であったドラム洗浄機等による解砕洗浄工程を経なくても、分級処理よる土壌解砕効果のみによって高い浄化効率が得られることが確認できた。そこで、本発明においては、汚染土壌の浄化処理に際して、汚染土壌の土質に適合した浄化処理経路を選択して採用することにより、浄化処理全体に要する時間を短縮し、効率的且つ効果的な処理を行うものである。
一般に、同じ汚染サイト内であっても異なる複数の土質の土壌が分布していることは頻繁にあり、従って同じサイト内から掘削された汚染土壌であっても個々の土壌の土質は必ずしも等質であるとは限らない。このように異なる土質の土壌が混在する状況下においては、その土質に最も適した浄化処理を選択して実施することが望ましい。
例えば、シルトや粘土が多く混在している土質の汚染土壌の場合は、土塊が多くなるため、分級工程のみでは土壌の解砕は困難であり、分級工程のみの浄化処理で清浄土壌として再生できる土壌量は著しく少ない。従って、清浄土壌として再生される量を増やすには、ドラム洗浄機等により独立して解砕を行う解砕洗浄工程が必要となる。
一方、礫や砂が多く含まれている土質の汚染土壌の場合には、土塊がほとんど無く、土壌の解砕が容易なため、分級工程で得ることができる程度の軽度な解砕効果のみによって、十分に清浄土壌を再生できる浄化処理を行うことが可能である。従って、このような場合には、独立して解砕を行う解砕洗浄工程を設ける必要はない。
また、汚染土壌の浄化処理においては、一般的に、解砕洗浄工程は分級工程に比べて処理速度が遅く、土壌浄化設備全体における処理速度は、解砕洗浄工程の処理速度如何によって決まると言える。そのため、独立した解砕洗浄工程を経ることなく土壌浄化処理を完了することができれば、処理所要時間を大幅に短縮することができる。
以下に、本発明による汚染土壌の洗浄方法の一実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態の方法においては、油や重金属等の汚染物質によって汚染された土壌の浄化が企図されており、このような汚染土壌の浄化に際して、最初に、事前に調査対象地において図1に示す汚染実態調査が行なわれる。この汚染実態調査では、表土サンプルを数点採取し、それぞれの土壌について汚染度合いを土壌汚染対策法に基づく所定の方法にて検査する。
通常、上記表土のサンプリングは、調査対象地30m四方(900m2)につき5地点から採取して行う。採取した各サンプルは1点に混合された後、土壌汚染対策法に基づく所定の方法で汚染度合いが検査される。検査の結果、基準値を上回る鉛含有濃度が検出された地点については、再度10m四方(100m2)につき1点ずつ程度のサンプリングを行い、採取された各サンプルについて更に土壌汚染対策法に基づく所定の方法により汚染度合いを検査する。
上記検査の結果、安全環境基準を上回って汚染物質が検出されたサンプルが採取された地点については、改めてボーリング作業を行い、地下5m付近の地下土壌についてサンプリングを行う。採取された地下土壌サンプルは、上記と同様に土壌汚染対策法に基づく所定の方法にて汚染度合いが検査される。その結果、所定の安全環境基準を上回って汚染物質が検出された土壌については、汚染土壌と判定して浄化対象とされる。
次に、上記汚染実態調査により浄化対象とされた汚染土壌について、土質と共に、粒径分布及び粒径別汚染状況等の調査を実施する(図1の初期土質調査)。尚、この初期土質調査において行われる土質検査は、上記汚染実態調査の場合と同様に、汚染浄化対象地において10m四方(100m2)の範囲毎に、各々1点程度サンプルを採取して行われるのが一般的である。
この初期土質調査において、シルトや粘土が多い土質か、あるいは礫や砂が多い土質であるかを調査すると同時に、粒径分布及び粒径別汚染状況等についても調査する。この初期土質調査の結果に基づいて、汚染土壌に対して解砕洗浄工程による土壌解砕洗浄工程が必要であるか否かを判断し、土壌解砕洗浄工程が必要であればラインAが選択され、必要でなければラインBが選択される(図1の浄化処理ライン選定)。その後、汚染土壌は、選択された浄化処理ラインA又はBのいずれかに送られて浄化処理がなされる。
まず、土壌浄化処理のラインAが選択された場合について説明する。初期土質調査の結果、掘削された汚染土壌がシルトや粘土の多い土質であることが分かった場合には、土塊が多く分級工程のみでは土壌の解砕が困難であるため、解砕洗浄工程に供給して土壌の解砕洗浄処理を行う必要があると判断される。
この選択結果に基づき、ラインAに搬入された汚染土壌は、まずコンベア等の搬送装置により、ドラム洗浄機などに付設する投入ヤードまで搬送され、投入量等を調整するために一旦そこで貯留された後、順次ドラム洗浄機などに投入される。投入された汚染土壌は、装置内で洗浄水と混合されながら細粒に解砕される。この時、土壌表面に付着していた汚染物質は、土壌粒子から剥離して水相に移送される。一旦水相に移送された汚染物質は、水相内に留まり、土壌表面に再付着することはない。
解砕洗浄工程を経たスラリー土壌は、ドラム洗浄機などから排出されて湿式振動篩、サンドマスター等の最初の土壌分級装置に投入される。これらの土壌分級装置に投入されたスラリー土壌に含まれる汚染土壌は、装置内で軽度な解砕がなされつつ所定の粒径で分級され、所定の粒径以上の土壌と、所定の粒径未満の土壌とに分別される(図1の1次分級工程a1)。
1次分級工程a1において分級された所定の粒径以上の土壌は、一般に汚染物質の含有が少ないと判断されるため、未検査既分級土壌として土壌分級装置から排出され、コンベア等の搬送装置によって検査ヤードに移送された後堆積され、乾燥させられる。ここで、浄化処理の効率・便宜等を考慮すれば、検査ヤードの広さは30m2以上であることが望ましく、また、検査ヤードは、ドラム洗浄機に付設された投入ヤード(の中心部)から直線距離で50m以内(半径50mの範囲内)に位置しているのが望ましい。その後、この未検査既分級土壌は汚染度合いについて検査がなされる。尚、汚染度合いの検査は、土壌汚染対策法に基づく所定の方法にて行う。
上記検査の結果、土壌の汚染物質含有量が環境安全基準値を下回っていた場合は、清浄土壌とされ、最終的に埋め戻し等の土壌再利用処理がなされる(図1の再利用処理)。一方、汚染物質含有量が環境安全基準値を上回っていた場合には、それらの土壌は汚染土壌とされ、ラインAの分級工程に戻し、再度分級処理が行われる。
また、1次分級工程a1において分級された所定の粒径未満の土壌は、汚染物質を含むものと判断されるため、既分級土壌として土壌分級装置から排出され、引き続き次の分級工程(図1の2次分級工程a2)に送られる。尚、更なる分級処理を行うことが望ましいと判定された既分級土壌であっても、初期土質調査の結果データに基づき、これ以上の分級処理を行っても実質的効果を得られないとの判断がなされた場合には、次工程である泥水処理工程にスラリー状態で回送されても良い。
2次分級工程a2では、上記1次分級工程a1での分級処理により汚染物質を含む既分級土壌として選別された所定の粒径未満の土壌を、湿式振動篩、サンドマスター、あるいはサイクロン等の土壌分級装置を用いて所定の微細な粒径で分級することによって、微細な粒径以上の土壌と、微細な粒径未満の土壌とに選別・分離する。
この2次分級工程a2において分級された所定の微細な粒径以上の土壌は、上記1次分級工程a1の場合と同様に、未検査既分級土壌として土壌分級装置から排出され、検査ヤードに移送された後堆積され、乾燥させられる。その後、この土壌の汚染度合いについて検査される。尚、汚染度合いの検査は、土壌汚染対策法に基づく所定の方法にて行う。検査の結果、土壌の汚染物質含有量が環境安全基準値を下回っていた場合は、清浄土壌として埋め戻し等の土壌再利用処理がなされる(図1の再利用処理)。また、汚染物質含有量が環境安全基準値を上回っていた場合には、分級工程に戻し、更に分級処理を繰り返す。
一方、上記2次分級工程a2において分級された所定の微細な粒径未満の土壌は、既分級土壌の粒度分布の状況等から、汚染物質を含むものと判断され、土壌分級装置から排出された後、次の分級工程(図示せず)にスラリー状態で回送される。このような分級処理を、例えばある清浄基準に達するまで、必要に応じて順次繰り返し行うことによって、汚染物質を含む既分級土壌と未検査既分級土壌とを精度良く分離して、最終的に安全性の高い清浄土壌を得ることができる。
また、初期土質調査の結果データに基づき、上記所定の微細な粒径未満の既分級土壌について、これ以上の分級処理を行っても実質的効果を得られないとの判断がなされた場合には、その既分級土壌は直接次工程である泥水処理工程にスラリー状態で回送される。
泥水処理工程は、図1に示すように、ラインAにおける最後の処理工程であり、ラインAに設置された1回又は複数回の分級工程を経て、汚染物質を含む既分級土壌として選別された汚染土壌が回送される。泥水処理工程では、回送された汚染土壌に対して、フィルタープレスによる濾過処理、シックナーによる沈降分離処理等の無害化処理が施される。無害化処理がなされた排水は、リサイクル洗浄水として再利用され、それにより土壌浄化処理に用いられる新水の使用量が抑えられるため、節水を図ることができる。
尚、上記泥水処理工程での無害化処理後に残された土壌残渣については、通常汚染濃度が高く、汚染物質の除去処理に時間及び費用が掛かり過ぎ、清浄土壌とすることが困難であるため、産業廃棄物として廃棄処分される。以上によって、ラインAにおける全ての浄化処理が完了する。
次に、上記初期土質調査の結果、土壌浄化処理のラインBが選択された場合について説明する。初期土質調査の結果により、砂礫が多く、土塊がほとんど無いため解砕が容易な土質であることが認められ、解砕洗浄工程による土壌解砕を行う必要がないと判断された汚染土壌に対しては、分級処理工程を最初の処理工程とするラインBが選択される。
ラインBに搬入された汚染土壌は、まずコンベア等の搬送装置によって最初の土壌分級装置に搬送され投入される。投入された汚染土壌は、湿式振動篩やサンドマスター等の土壌分級装置により、軽度な解砕がなされつつ、所定の粒径で分級され、所定の粒径以上の土壌と、所定の粒径未満の土壌とに分別される(図1の1次分級工程b1)。
1次分級工程b1において分級された所定の粒径以上の土壌は、一般に汚染物質の含有が少ないと判断されるため、未検査既分級土壌として土壌分級装置から排出され、コンベア等の搬送装置によって検査ヤードに移送された後堆積され、乾燥させられる。その後、この土壌の汚染度合いについて、土壌汚染対策法に基づく所定の方法にて検査を行う。土壌検査の結果、土壌の汚染物質含有量が環境安全基準値を下回っている場合には、清浄土壌として埋め戻し等の土壌再利用処理がなされる(図1の再利用処理)。一方、汚染物質含有量が環境安全基準値を上回っていた場合には、ラインBの分級工程に戻し、再度分級処理を行う。
また、1次分級工程b1において分級された所定の粒径未満の土壌は、汚染物質を含む土壌と判断されるため、土壌分級装置から排出され、次の分級工程(図1の2次分級工程b2)に送られる。尚、初期土質調査の結果データに基づき、これ以上の分級処理を行っても実質的効果を得られないとの判断がなされた場合には、次工程である泥水処理工程にスラリー状態で直接回送されても良い。
2次分級工程b2では、上記ラインAの場合と同様に、1次分級工程b1において分級された結果、汚染物質を含む既分級土壌として選別された土壌を、湿式振動篩、サンドマスター、あるいはサイクロン等の土壌分級装置を用いて再度所定の粒径で分級することによって、所定の微細な粒径以上の土壌と、汚染物質を含む微細な粒径未満の土壌とに選別・分離する。
2次分級工程b2において分級された所定の微細な粒径以上の土壌は、上記1次分級工程b1の場合と同様に、未検査既分級土壌として土壌分級装置から排出され、検査ヤードに移送された後堆積され、乾燥させられる。その後、この未検査既分級土壌は汚染度合いについて検査が行われる。尚、汚染度合いの検査は、土壌汚染対策法に基づく所定の方法にて行う。
上記した検査の結果、土壌の汚染物質含有量が環境安全基準値を下回っていた場合は、清浄土壌とされ、最終的に埋め戻し等の土壌再利用処理がなされる(図1の再利用処理)。また、汚染物質含有量が環境安全基準値を上回っていた場合には、それらの土壌は汚染土壌とされ、ラインBの分級工程に土壌を戻し、再度分級処理が行われる。
一方、2次分級工程b2において分級された所定の粒径未満の土壌は、既分級土壌の粒度分布の状況等から判断して、汚染物質を含む土壌と判断され、土壌分級装置から排出された後、更に次の分級工程(図示せず)にスラリー状態で回送される。このような分級処理を、例えばある清浄基準に達するまで、必要に応じて順次繰り返し行うことによって、汚染物質を含む既分級土壌と未検査既分級土壌とを一層精度良く分離して、最終的により安全性の高い清浄土壌を得ることができる。
また、初期土質調査の結果データに基づき、上記所定の粒径未満の既分級土壌について、これ以上の分級処理を行っても実質的効果を得られないとの判断がなされた場合には、その既分級土壌は直接次工程である泥水処理工程にスラリー状態で回送されても良い。
泥水処理工程は、図1に示すように、ラインBにおける最後の処理工程であり、ラインBに設置された1回又は複数回の分級工程を経て、汚染物質を含む既分級土壌として選別された土壌が回送される。泥水処理工程では、回送された汚染土壌に対して、フィルタープレスによる濾過処理、シックナーによる沈降分離処理等の排水無害化処理が施される。無害化処理がなされた排水は、リサイクル洗浄水として再利用され、それにより土壌浄化処理に用いられる新水の使用量が抑えられるため、節水を図ることができる。
尚、上記した泥水処理工程において無害化処理後に残された土壌残渣については、通常汚染濃度が高く、汚染物質の除去処理に時間及び費用が掛かり過ぎ、清浄土壌とすることが困難であるため、産業廃棄物として廃棄処分される。以上によってラインBにおける全ての浄化処理が完了する。
以上のように、本発明の一実施形態においては、初期土質調査において行われる汚染土壌の判断に基づいて、汚染土壌の浄化処理経路を上記したラインAあるいはラインBに適宜振分けることにより、汚染土壌の土質に適した土壌浄化処理を行うことが可能となる。
また、前述したように、汚染土壌浄化処理設備全体の処理速度は、一般的に、分級工程に比べて処理速度が遅い解砕洗浄工程の処理速度によって定まるため、解砕洗浄工程を有していないラインBは、解砕洗浄工程を有するラインAよりも短時間で一連の汚染土壌の浄化処理を完了することができる。よって、汚染土壌の土質に応じて、ラインAに振分ける土壌量を必要最低限にまで減らすとともにラインBにて処理する土壌量を増やすことによって、解砕洗浄工程を備えた単一ラインによって画一的になされていた従来の汚染土壌浄化処理方法では困難であった浄化処理所要時間の短縮化を容易に達成することができる。
ところで、上記した初期土質調査においては、汚染浄化対象地であると判断された10m四方(100m2)の区画内では、土質はほぼ均質であることを想定していた。しかしながら、現実的には、たとえ同じ汚染浄化対象区画内から採取した土壌サンプル同士であっても、サンプルを採取した場所が少々異なるだけでそれぞれの土質に差が出てしまう場合があり得る。すなわち、初期土質調査において採用された土壌サンプルは、必ずしも浄化処理される実際の土壌の土質を代表しているとは限らない。
例えば、初期土質調査の段階で、解砕洗浄工程による解砕処理を要しない土壌と判断され、最初に分級処理が行われるラインBが選択された場合において、分級処理後に改めて土質や解砕状況を確認してみると、初期土質調査時にサンプルとして採取された土壌より実際には多量の粘土やシルトが含有されていることがあり得る。この場合は、土壌分級装置による分級処理のみでは十分な土壌解砕が図れず、加えて分級状態が不完全となり、分級精度が低下してしまう。また、浄化処理速度が低下するため、浄化効率が悪化し、併せて浄化効果の水準も低下してしまう。
そこで、このような場合には、前記したラインA、Bの他に、以下に示すような処理工程から構成された土壌浄化処理のラインCを設けることによって、汚染土壌の浄化処理の際に生じ得るこのような問題を解決することができる。
以下に、土壌浄化処理のラインCに沿って汚染土壌が浄化される場合について詳細に説明する。
まず、初期土質調査において、その土質の状態により解砕洗浄工程による土壌解砕処理を要しないと判断された汚染土壌は、解砕洗浄工程を分級工程前に備えていない土壌浄化処理のラインCに搬送され、湿式振動篩、サンドマスター等の土壌分級装置による分級処理工程において最初に処理される(図1の1次分級工程c1)。
1次分級工程c1において分級された所定の粒径以上の土壌は、未検査既分級土壌として土壌分級装置から排出され、検査ヤードに移送された後堆積され、乾燥させられる。その後、この土壌の土質や解砕・分級状態、汚染度合いについて、目視、蛍光X線分析等所定の方法によって調査が行われる(図1の土壌評価解析工程)。
上記した土質等の調査の結果に基づいて、ドラム洗浄機による解砕洗浄処理の要否を判断する。ドラム洗浄機による解砕洗浄処理が必要と判断された場合には、上記した所定の粒径以上の土壌(未検査土壌)及び所定の粒径未満の土壌は、既にラインCにおいて一旦分級処理されているにもかかわらず、更なる分級工程や泥水処理工程に送られることなく、ドラム洗浄機等の解砕洗浄工程に回送される(図1のライン切換工程)。尚、分級された土壌の土質に応じて、所定の粒径以上の土壌(未検査土壌)のみを解砕洗浄工程に回送し、所定の粒径未満の土壌は更なる分級工程若しくは泥水処理工程に移送するようにしても良い。
一方、調査の結果、ドラム洗浄機等による解砕洗浄処理は必要ないと判断された場合には、上記した所定の粒径以上の土壌(未検査土壌)及び所定の粒径未満の土壌は、それぞれ、土壌汚染対策法に基づく所定の方法による汚染度合いの検査工程及び2次分級工程に送られる。所定の粒径以上の土壌(未検査土壌)については、汚染度合いの検査工程における検査の結果、汚染物質の含有量が環境安全基準値を下回っている場合には、清浄土壌として最終的に埋め戻し等の土壌再利用処理がなされ、汚染物質含有量が環境安全基準値を上回っている場合には、ラインCの分級工程にその汚染土壌を戻し、再度分級処理を行う。
このように、土壌浄化処理のラインCにおいては、汚染土壌に対して初期土質調査時になされた判断に基づき、当初は解砕洗浄処理を要しないと判断されて解砕洗浄工程を経由することなく最初に分級処理がなされたものの、分級処理後になされた土質検査及び汚染調査により、分級後の汚染土壌を含む土壌の解砕及び分級状態が不完全であることが判明してドラム洗浄機等による解砕洗浄処理が必要と判断された場合には、既分級土壌はドラム洗浄機等に送られて、解砕洗浄処理が行なわれる。
尚、3回目以降の分級工程(例えば、図1の3次分級工程c3等)は、ラインAやBと同様に、必要に応じて設けられる。よって、2回目までの分級工程(図1の2次分級工程c2)によって、所定の粒径、土質等の基準に適合する土壌が得られる場合には、ラインCに3回目以降の分級工程を設ける必要はない。
次に、土壌浄化処理のラインCにおける一連の処理工程に含まれる各々の処理内容について具体的に説明する。
ラインCは、上記のように、ラインA,Bと同様、汚染実態調査工程から始まって、初期土質調査工程、解砕洗浄処理の要否を判断する浄化処理ライン選択工程と続き、これらの工程を経た汚染土壌は、その後最初の分級工程である1次分級工程c1に回送される。
尚、ラインCにおける汚染実態調査工程から1次分級工程c1までの処理工程で使用される浄化装置・設備、浄化方法等は、上述したラインBにおける汚染実態調査工程から1次分級工程b1までの処理工程で使用されるものと同じであるので、それぞれの工程で行われる浄化処理内容の説明は省略する。
1次分級工程c1において分級処理がなされた所定の粒径以上の土壌は、未検査既分級土壌として土壌分級装置から排出され、検査ヤードに移送された後、堆積されて乾燥させられる。その後、この未検査既分級土壌に対して、前述したように、目視、蛍光X線分析等の所定の方法により土質、解砕・分級状態、汚染度合いが調査され、解砕洗浄処理の要否が改めて判断される(図1の土壌評価解析工程)。その判断結果に基づいて、既分級土壌の搬送先が選択される(図1のライン切換工程)。その後、この既分級土壌は、ライン切換工程における選択結果に従って、ラインCの解砕洗浄工程、分級工程、もしくは再利用処理工程に振分けられる。
上記ライン切換工程において、再利用処理工程が選択された場合は、清浄土壌としての再利用の可否を判断するため、土壌汚染対策法に基づく所定の方法にて汚染度合いが更に検査される。
検査の結果、土壌の汚染物質含有量が環境安全基準値を下回っていた場合は、この既分級土壌は清浄土壌として埋め戻し等の土壌再利用処理がなされる。一方、汚染物質含有量が環境安全基準値をクリアすることができなかった既分級土壌については、ラインCの分級工程に土壌を戻し、再度分級処理を行う。
また、上記1次分級工程c1において、所定の粒径未満の既分級土壌は、ラインA、B同様、更に分級処理が必要か否か判断され、その判断結果に基づいて、次の分級工程に送られるか、若しくは泥水処理工程に回送される。
また、ラインCのライン切換工程において、解砕洗浄工程が選択された場合は、ドラム洗浄機等によって解砕洗浄処理が行われる(図1の解砕洗浄工程)。すなわち、既分級土壌は、コンベア等の所定の搬送手段によりドラム洗浄機等に付設する投入ヤードまで搬送され、ドラム洗浄機等への投入量等を調整するために一旦そこで貯留された後、順次ドラム洗浄機等に投入される。投入されたこれらの既分級土壌は、洗浄機内で洗浄水と混合されながら細粒に解砕される。
解砕洗浄工程を経て解砕処理がなされた土壌は、ドラム洗浄機等から排出されて湿式振動篩、サンドマスター等の土壌分級装置に引き続き投入される。これらの土壌分級装置に投入された土壌に含まれる汚染土壌は、ラインCにおける2回目の分級工程となる2次分級工程c2において、軽度な解砕がなされつつ所定の粒径で分級され、所定の粒径以上の土壌と、所定の粒径未満の土壌とに分別される。
尚、ラインCにおける解砕洗浄工程から2次分級工程c2までの処理工程で使用される浄化装置・設備、浄化方法等は、上述のラインAにおける解砕洗浄工程から1次分級工程a1までの処理工程で使用されるものと同じであり、従って浄化処理内容も実質的に同様である。
2次分級工程c2において分級された所定の粒径以上の土壌は、未検査既分級土壌として土壌分級装置から排出され、コンベア等の搬送装置によって検査ヤードに移送された後堆積され、乾燥させられる。その後、この未検査既分級土壌は汚染度合いについて検査が行われる。
尚、汚染度合いの検査は、土壌汚染対策法に基づく所定の方法にて行う。検査の結果、土壌の汚染物質含有量が環境安全基準値を下回っていた場合は、清浄土壌とされ、最終的に埋め戻し等の土壌再利用処理がなされる。一方、汚染物質含有量が環境安全基準値を上回っていた場合には、ラインCの分級工程に土壌を戻し、再度分級処理を行う。
また、2次分級工程c2において分級された所定の粒径未満の土壌は、汚染物質を含む既分級土壌として土壌分級装置から排出され、その後、更に分級処理が必要と判断された場合は、引き続き次の分級工程(図1の3次分級工程c3)に送られ、また初期土質調査の結果データに基づきこれ以上の分級処理を行っても実質的効果を得られないとの判断がなされた場合には、直接次工程である泥水処理工程にスラリー状態で回送される。
3次分級工程c3では、2次分級工程c2において分級された結果、汚染物質を含む既分級土壌として選別された所定の粒径未満の土壌を、湿式振動篩、サンドマスター、あるいはサイクロン等の土壌分級装置を用いて所定の微細な粒径で分級することによって、微細な粒径以上の土壌と、微細な粒径未満の既分級土壌とに選別・分離する。
3次分級工程c3において分級された所定の微細な粒径以上の土壌は、上記2次分級工程c2の場合と同様に、未検査既分級土壌として土壌分級装置から排出され、検査ヤードに移送された後堆積され、乾燥させられる。その後、この土壌の汚染度合いについて検査を行う。尚、汚染度合いの検査は、土壌汚染対策法に基づく所定の方法にて行う。上記した検査の結果、土壌の汚染物質含有量が環境安全基準値を下回っていた場合は、清浄土壌とされ、最終的に埋め戻し等の土壌再利用処理がなされる。また、汚染物質含有量が環境安全基準値を上回っていた場合には、ラインCの分級工程に土壌を戻し、再度分級処理が行われる。
一方、3次分級工程c3において分級された所定の微細な粒径未満の土壌は、既分級土壌の粒度分布の状況等から汚染物質を含むものと判断され、土壌分級装置から排出された後、更に次の分級工程(図示せず)にスラリー状態で回送され、その後上記と同様の処理がなされる。
このような分級処理及び分級後の処理を、例えば予め設けたある清浄基準に達するまで、必要に応じて順次繰り返し行うことによって、汚染物質を含む既分級土壌と未検査既分級土壌とを一層精度良く分離して、最終的により安全性の高い清浄土壌を得ることができる。
また、初期土質調査の結果データに基づき上記所定の粒径未満の既分級土壌について、これ以上の分級処理を行っても実質的効果を得られないとの判断がなされた場合には、その既分級土壌は直接次工程である泥水処理工程にスラリー状態で回送される。
泥水処理工程は、図1に示すように、ラインCにおける最後の処理工程であり、ラインCに設置された1回又は複数回の分級工程を経て、汚染物質を含む既分級土壌として選別された土壌が回送される。泥水処理工程では、回送された汚染土壌に対して、フィルタープレスによる濾過処理、シックナーによる沈降分離処理等の排水無害化処理が施される。無害化処理がなされた排水は、リサイクル洗浄水として再利用され、それにより土壌浄化処理に用いられる新水の使用量が抑えられるため、節水を図ることができる。
尚、上記した泥水処理工程において無害化処理後に残された土壌残渣については、通常汚染濃度が高く、汚染物質の除去処理に時間及び費用が掛かり過ぎ、清浄土壌とすることが困難であるため、産業廃棄物として廃棄処分される。以上によってラインCにおける全ての浄化処理が完了する。
尚、ラインCにおける2次分級工程c2以降の処理工程で使用される浄化装置・設備、浄化方法等は、上述のラインAにおける1次分級工程a1以降の処理工程で使用されるものと同じであり、従ってそれぞれの工程で行われる浄化処理内容も全く同様である。
このようなラインCを土壌浄化処理系列の一つとして加えることにより、改めて土質を調査する機会等を与え、一旦なされた汚染土壌の土質に係る判断が実情に合致しているかどうかを再確認することができる。そして、実情にそぐわない当初なされた判断を是正し、解砕洗浄工程を経由する処理経路に変更することによって、汚染土壌の浄化効率を高め、実効ある処理によって土壌の安全性を確保することができる。
以上のように、本発明は、浄化対象となる汚染土壌の土質に適した土壌浄化処理系列を選択して汚染浄化処理作業を行い、汚染土壌の浄化処理効率を飛躍的に向上させることにより、浄化処理に係る所要時間を大幅に短縮し、コストを大いに削減することができる。
鉛含有濃度が環境安全基準を上回って検出された汚染土壌が堆積している浄化処理対象地に対して、本発明の汚染土壌の浄化方法に基づき、以下の浄化処理を行った。
まず、調査対象地において、30m四方(900m2)毎に5地点から採取・混合した表土サンプルについて汚染状況を調査した。調査の結果、基準値を上回る鉛含有濃度が検出された地点については、10m四方(100m2)毎に1点ずつ表土サンプルを採取し、それぞれについて目視、ハンディ蛍光X線分析装置による汚染実態調査を行った。
汚染実態調査の結果、表土から基準値を上回る鉛含有濃度が検出された地点について、改めてボーリング作業を行い、地下5m程度の土壌からサンプルを採取した。得られた各土壌サンプルについて再度鉛汚染度合いの調査を行い、所定の基準値を上回る汚染土壌に対しては、更に粒径分布・粒径毎の汚染濃度測定による初期土質調査を行った。
この土質調査の結果により鉛汚染土壌の土質を判定し、浄化処理対象地をシルト・粘土が多く混在している土壌が偏在している汚染エリアと、殆どが砂礫である土壌が偏在している汚染エリアとに分類した。
《ラインAによる浄化処理例》
上記初期土質調査により、シルト・粘土が多く混在していると判定された土壌が偏在する汚染エリアから汚染土壌を採掘し、その汚染土壌を一旦ドラム洗浄機に付設する投入ヤードに移送して貯留した。その後、貯留した汚染土壌を順次ドラム洗浄機に投入し、ドラム洗浄機内で洗浄水と混合し、洗浄しながら微細粒に解砕した(解砕洗浄工程)。
上記初期土質調査により、シルト・粘土が多く混在していると判定された土壌が偏在する汚染エリアから汚染土壌を採掘し、その汚染土壌を一旦ドラム洗浄機に付設する投入ヤードに移送して貯留した。その後、貯留した汚染土壌を順次ドラム洗浄機に投入し、ドラム洗浄機内で洗浄水と混合し、洗浄しながら微細粒に解砕した(解砕洗浄工程)。
続いて解砕洗浄処理が完了した汚染土壌を、スラリー状態で湿式振動篩上に供給し、引き続き湿式振動篩により粒径2mmで分級処理をした(1次分級工程a1)。ここで、湿式振動篩上に供給され、分級処理された汚染土壌のうち、上記解砕洗浄処理がなされても粒径が2mm以上であった既分級土壌は篩上に残留し、約2mm未満程度に微粒化してしまった既分級土壌は、洗浄排水と一緒に振動篩を通過し、サンドマスターに投入された。
1次分級工程a1における処理後、篩上に残留した粒径2mm以上の既分級土壌については、検査ヤードに移して堆積し、乾燥させた。その後、土壌汚染対策法に基づく所定の方法により汚染度合いを検査した。検査の結果、土壌の鉛含有量が環境安全基準値を下回っていたので、清浄土壌として貯蔵あるいは埋め戻し等の処理を行った。
一方、1次分級工程a1において振動篩を通過し、篩下のサンドマスターに投入された既分級土壌については、まだ安全性が確認されていないため、サンドマスターにより再度粒径0.075mmで分級処理を行った(2次分級工程a2)。2次分級工程a2における処理の結果、サンドマスターから排出された粒径0.075mm以上の既分級土壌については、1次分級工程a1時と同様に、検査ヤードに移して堆積し、乾燥させた後、汚染度合いを土壌汚染対策法に基づく所定の方法にて検査した。検査の結果、該既分級土壌の鉛含有量が環境安全基準値を下回っていたので、清浄土壌として貯蔵あるいは埋め戻し等の処理を行った。
更に、サンドマスターによる分級処理完了後、サンドマスターから排出された粒径0.075mm未満の既分級土壌については、スラリー状のまま最終工程である泥水処理工程に回送し、フィルタープレスによる濾過処理、シックナーによる沈降分離処理等の排水無害化処理を施した。
フィルタープレスによる濾過処理、シックナーによる沈降分離処理等の無害化処理がなされた排水は、土壌浄化処理に用いられる新水の使用量を抑えて節水を図るべく、リサイクル洗浄水として再利用した。
一方、排水の無害化処理後に残された既分級細粒土壌については、汚染濃度が高く、汚染物質の除去処理に時間及び費用が掛かり過ぎ、清浄土壌とすることが困難と判断したため、産業廃棄物として廃棄処分した。
《ラインBによる浄化処理例》
上記初期土質調査により、その土質が殆ど砂礫であると判定された土壌が偏在する汚染エリアから採掘した汚染土壌については、分級処理のみによって十分な解砕効果が期待できるため、ドラム洗浄機による解砕洗浄工程を経ずに、最初から湿式振動篩に汚染土壌を投入して粒径2mmで分級処理を行った(1次分級工程b1)。
上記初期土質調査により、その土質が殆ど砂礫であると判定された土壌が偏在する汚染エリアから採掘した汚染土壌については、分級処理のみによって十分な解砕効果が期待できるため、ドラム洗浄機による解砕洗浄工程を経ずに、最初から湿式振動篩に汚染土壌を投入して粒径2mmで分級処理を行った(1次分級工程b1)。
1次分級工程b1における処理後篩上に残留した粒径2mm以上の既分級土壌については、検査ヤードに移して堆積し、乾燥させた後、目視、ハンディ蛍光X線分析装置による検査を行った。検査の結果、汚染の程度が基準値以下であり、解砕状態が良好と判断されたものについては、更に汚染度合いを土壌汚染対策法に基づく所定の方法にて検査した。この検査の結果、既分級土壌の土質は、1次分級工程b1における処理前に検査したものと同様で、解砕状態も十分であり、かつ鉛含有量が環境安全基準値を下回っていたので、清浄土壌として貯蔵あるいは埋め戻し等の処理を行った。
また、1次分級工程b1において振動篩を通過し、篩下のサンドマスターに投入された既分級土壌については、まだ安全性が確認されていないため、サンドマスターにより再度粒径0.075mmで分級処理を行った(2次分級工程b2)。2次分級工程b2における処理の結果、サンドマスターから排出された粒径0.075mm以上の既分級土壌については、1次分級工程b1時と同様に、検査ヤードに移して堆積し、乾燥させた後、汚染度合いを土壌汚染対策法に基づく所定の方法にて検査した。検査の結果、該既分級土壌の鉛含有量が環境安全基準値を下回っていたので、清浄土壌として貯蔵あるいは埋め戻し等の処理を行った。
更に、サンドマスターによる分級処理完了後、汚染土壌としてサンドマスターから排出された粒径0.075mm未満の土壌については、スラリー状のまま最終工程である泥水処理工程に回送し、フィルタープレスによる濾過処理、シックナーによる沈降分離処理等の排水無害化処理を施した。
無害化処理がなされた排水は、土壌浄化処理に用いられる新水の使用量を抑えて節水を図るべく、リサイクル洗浄水として再利用した。
一方、排水の無害化処理後に残された既分級細粒土壌については、汚染濃度が高く、汚染物質の除去処理に時間及び費用が掛かり過ぎ、清浄土壌とすることが困難と判断したため、産業廃棄物として廃棄処分した。
《ラインCによる浄化処理例》
上記と同様の汚染実態調査と初期土質調査の結果、その土質が殆ど砂礫であると判定された土壌が偏在する汚染エリアから採掘した汚染土壌を、最初から湿式振動篩に投入して粒径2mmで分級処理を行った(1次分級工程c1)。
上記と同様の汚染実態調査と初期土質調査の結果、その土質が殆ど砂礫であると判定された土壌が偏在する汚染エリアから採掘した汚染土壌を、最初から湿式振動篩に投入して粒径2mmで分級処理を行った(1次分級工程c1)。
1次分級工程c1における処理後篩上に残留した粒径2mm以上の既分級土壌については、検査ヤードに移して堆積し、乾燥させた後、土質、解砕状態、汚染度合いを目視、ハンディ蛍光X線分析装置により検査した。検査の結果、1次分級工程c1における処理前に検査したものと比べ、シルト・粘土が多く混在していたため、土壌の解砕状態が不十分で、なおかつ鉛含有量が環境安全基準値を上回っていることが判明したので、検査ヤードに堆積した該篩上残留土壌をドラム洗浄機に投入すべくドラム洗浄機に付設された投入ヤードに移送し、一旦貯留した。
一旦投入ヤードに貯留した汚染土壌を順次ドラム洗浄機に投入し、ドラム洗浄機内で洗浄水と混合し、洗浄しながら微細粒に解砕した(解砕洗浄工程)。その後ドラム洗浄機から排出された汚染土壌に対して、引き続き上記ラインAにおける一連の振動篩、サンドマスターによる分級工程a1、a2においてなされる処理と同様の分級処理を分級工程c2、c3にて行い、最終的に泥水処理工程を経て浄化処理工程を完了した。
尚、上記一連の分級工程c2、c3において浄化処理がなされた結果、振動篩上に残留した土壌、あるいはサンドマスターから排出された粒径0.075mm以上の既分級土壌については、検査ヤードに移して堆積し、乾燥させた後、汚染度合いを土壌汚染対策法に基づく所定の方法にて検査した。検査の結果、鉛含有量が環境安全基準値を下回っていたので、清浄土壌として貯蔵あるいは埋め戻し等の処理を行った。
また、サンドマスターによる分級処理完了後、サンドマスターから排出された粒径0.075mm未満の既分級土壌については、スラリー状のまま最終工程である泥水処理工程に回送し、フィルタープレスによる濾過処理、シックナーによる沈降分離処理等の排水無害化処理を施した。
無害化処理がなされた排水は、土壌浄化処理に用いられる新水の使用量を抑えて節水を図るべくリサイクル洗浄水として再利用した。
一方、排水の無害化処理後に残された既分級細粒土壌については、汚染濃度が高く、汚染物質の除去処理に時間及び費用が掛かり過ぎ、清浄土壌とすることが困難と判断したため、産業廃棄物として廃棄処分した。
上記の如く、汚染浄化処理ラインA、B、Cを、土質や解砕状況等の浄化対象となる汚染土壌の状態に応じて使い分け、効率的な浄化処理を行ったことにより、総量40000m3の汚染土壌を約6ヶ月で浄化し無害化することができた。
[比較例]
《本発明においてラインBにて処理すべきとされる土質の土壌を、解砕洗浄工程を有するラインAのみにて浄化処理した例》
鉛含有濃度が環境安全基準を上回って検出された汚染土壌が堆積している浄化処理対象地において、30m四方(900m2)毎に5地点から採取・混合した表土サンプルについて汚染状況を調査した。調査の結果、基準値を上回る鉛含有濃度が検出された地点については、10m四方(100m2)毎に1点ずつ表土サンプルを採取し、それぞれについて目視、ハンディ蛍光X線分析装置による汚染実態調査を行った。
《本発明においてラインBにて処理すべきとされる土質の土壌を、解砕洗浄工程を有するラインAのみにて浄化処理した例》
鉛含有濃度が環境安全基準を上回って検出された汚染土壌が堆積している浄化処理対象地において、30m四方(900m2)毎に5地点から採取・混合した表土サンプルについて汚染状況を調査した。調査の結果、基準値を上回る鉛含有濃度が検出された地点については、10m四方(100m2)毎に1点ずつ表土サンプルを採取し、それぞれについて目視、ハンディ蛍光X線分析装置による汚染実態調査を行った。
実態調査の結果、表土から安全基準値を上回る鉛含有濃度が検出された地点について、改めてボーリング作業を行い、地下5m程度の土壌からサンプルを採取した。得られた各土壌サンプルについて再度鉛汚染度合いの調査を行い、所定の基準値を上回る汚染土壌に対しては、更に粒度分布・粒度毎の汚染濃度測定による初期土質調査を行って汚染土壌が分布する汚染エリアを特定して、以下のように汚染土壌の浄化処理を行った。
当該汚染エリアから掘削した全ての土壌に対しては、土質による区別をすることなく一律に同じ工程で同様の浄化処理を繰り返し行うこととし、まず汚染土壌をドラム洗浄機に投入してドラム洗浄機内で洗浄水と混合し、洗浄しながら微細粒に解砕した(解砕洗浄工程)。
続いて解砕洗浄処理が完了した汚染土壌を、スラリー状態で湿式振動篩上に供給し、引き続き湿式振動篩により粒径2mmで分級処理をした(1次分級工程)。ここで、湿式振動篩上に供給され、分級処理された汚染土壌のうち、上記解砕洗浄処理がなされても粒径が2mm以上であったものは篩上に残留し、約2mm未満程度に微粒化したものは、洗浄排水と一緒に振動篩を通過し、サンドマスターに投入される。
1次分級処理後篩上に残留した土壌については、検査ヤードに移して堆積し、乾燥させた後、汚染度合いを土壌汚染対策法に基づく所定の方法にて検査した。検査の結果、土壌の鉛含有量が環境安全基準値を下回っていたので、清浄土壌として貯蔵あるいは埋め戻し等の処理を行った。
一方、1次分級工程において振動篩を通過し、篩下のサンドマスターに投入された土壌については、まだ安全性が確認されていないため、サンドマスターにより再度粒径0.075mmで分級処理を行った(2次分級工程)。2次分級工程における処理の結果、サンドマスターから排出された粒径0.075mm以上の土壌については、1次分級工程時と同様に、検査ヤードに移して堆積し、乾燥させた後、汚染度合いを土壌汚染対策法に基づく所定の方法にて検査した。検査の結果、土壌の鉛含有量が環境安全基準値を下回っていたので、清浄土壌として貯蔵あるいは埋め戻し等の処理を行った。
更に、サンドマスターによる分級処理完了後、サンドマスターから排出された粒径0.075mm未満の土壌については、スラリー状のまま最終工程である泥水処理工程に回送し、フィルタープレスによる濾過処理、シックナーによる沈降分離処理等の排水無害化処理を施した。
無害化処理がなされた排水は、土壌浄化処理に用いられる新水の使用量を抑えて節水を図るべく、リサイクル洗浄水として再利用した。
一方、排水の無害化処理後に残された既分級細粒土壌については、汚染濃度が高く、汚染物質の除去処理に時間及び費用が掛かり過ぎ、清浄土壌とすることが困難と判断したため、産業廃棄物として廃棄処分した。
上記の如く、汚染土壌の状態に応じて汚染浄化処理を使い分けることなく、全ての浄化対象汚染土壌に対して一律にドラム洗浄機による解砕処理をなす工程が含まれる浄化処理を行ったため、総量40000m3の汚染土壌を浄化し無害化するのに概ね9ヶ月を要した。
Claims (4)
- 汚染実態調査により浄化対象とされた汚染区域内において掘削・採取した汚染土壌を、ドラム洗浄機等による解砕洗浄工程と土壌分級装置による分級工程を経て浄化する方法において、該解砕洗浄工程を含むラインAと、該解砕洗浄工程を含まず、主に分級工程のみを含むラインBとを備え、初期土質調査により前記汚染土壌の土質、粒径分布及び粒径別汚染状況を調査した後、その初期土質調査結果に基づいて、前記汚染土壌を前記ラインAと前記ラインBのいずれかに供給することを特徴とする汚染土壌の洗浄方法。
- 前記ラインAにおいては、前記汚染土壌を解砕洗浄処理した後、分級処理を1回又は複数回実施し、各分級処理で得られた所定の粒径以上の既分級土壌に対して土壌汚染対策法に基づき土壌検査を行い、その結果、清浄土壌と判定された既分級土壌については再利用処理すると共に、汚染土壌と判定された既分級土壌及び所定の粒径未満の既分級土壌については更に分級処理と土壌検査を繰返し行い、最後の分級処理によって排出された汚染土壌を含むスラリーについては泥水処理工程に搬送して無害化処理を行うことを特徴とする、請求項1に記載の汚染土壌の洗浄方法。
- 前記ラインBにおいては、前記汚染土壌に1回又は複数回の分級処理を実施し、各分級処理で得られた所定の粒径以上の既分級土壌に対して土壌汚染対策法に基づき土壌検査を行い、その結果、清浄土壌と判定された既分級土壌については再利用処理すると共に、汚染土壌と判定された既分級土壌及び所定の粒径未満の既分級土壌については更に分級処理と土壌検査を繰返し行い、最後の分級処理によって排出された汚染土壌を含むスラリーについては泥水処理工程に搬送して無害化処理を行うことを特徴とする、請求項1に記載の汚染土壌の洗浄方法。
- 前記ラインA及び/又はラインBと共にラインCを備え、該ラインCにおいては、前記汚染土壌に1回又は複数回の分級処理を実施した後、各分級処理で得られた所定の粒径以上の未検査既分級土壌に対し土質、分級状態、汚染度合いについて評価解析を行い、その結果、解砕洗浄処理が必要と判断された未検査既分級土壌を前記ラインAの解砕洗浄工程に供給するライン切換工程を備え、解砕洗浄処理が不必要と判定された未検査既分級土壌については土壌汚染対策法に基づき土壌検査を行い、その結果、清浄土壌と判定された既分級土壌については再利用処理すると共に、汚染土壌を含むスラリーについては前記ラインBと同様に処理することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の汚染土壌の洗浄方法。
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