JP2022161412A - 情報処理方法、情報処理装置、及びプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】任意の地点で採取される環境サンプルを監視し、その環境サンプルに含まれるウィルス或いは細菌などの定量情報を効率的に取得するための情報処理方法、情報処理装置、及びプログラムを提供することを目的とする。【解決手段】 複数の地点より採取した環境サンプルを混合した混合サンプルから、DNAシーケンサーを用いて取得した混合塩基配列情報を取得するサンプル取得ステップと、取得した前記混合塩基配列情報が、監視対象となる塩基配列を含むか否かを照合する照合ステップと、該照合ステップにおいて前記混合塩基配列情報が前記監視対象となる塩基配列を含む場合に、前記地点のそれぞれにおいて、前記混合塩基配列情報に含まれる前記監視対象となる塩基配列の時系列定量情報を取得する定量情報取得ステップと、を有する、情報処理方法。【選択図】図1
Description
本発明は、任意の地点で採取される環境サンプルを監視し、その環境サンプルに含まれるウィルス或いは細菌などの定量情報を効率的に取得するための情報処理方法、情報処理装置、及びプログラムに関する。
感染症の拡大を予測し、医療機関や公的機関などの参考情報として、役立てようとする試みがなされつつある。しかしながら、従来の感染症拡大予測システムは、例えば、都道府県や市区町村といった行政区画単位で、感染者数を予測するようなものにとどまっている。
しかしながら、ヒトやモノは、空港や駅、あるいはオフィスビルといったより細かい単位で動いている。そのため、行政区画単位の感染予測は、感染症に対する対策を検討するための参考情報としては、情報量が乏しいものといえる。
そのため、空港や駅、あるいはオフィスビルなどのより具体的な部分において、感染症が発生しているのかいないのか、あるいは、拡大しているのか減少しているのかなどを監視し、また、そのように監視して得られた情報から、将来的な感染症の広がりを予測するシステムが望まれる。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、任意の地点で採取される環境サンプルを監視し、その環境サンプルに含まれるウィルス或いは細菌などの定量情報を効率的に取得するための情報処理方法、情報処理装置、及びプログラムを提供することを目的とする。
本発明の実施形態に係る情報処理方法は、情報処理装置が、複数の地点より採取した環境サンプルを混合した混合サンプルから、DNAシーケンサーを用いて取得した混合塩基配列情報を取得するサンプル取得ステップと、取得した混合塩基配列情報が、監視対象となる塩基配列を含むか否かを照合する照合ステップと、該照合ステップにおいて混合塩基配列情報が監視対象となる塩基配列を含む場合に、地点のそれぞれにおいて、混合塩基配列情報に含まれる監視対象となる塩基配列の時系列定量情報を取得する定量情報取得ステップと、を実行する方法である。
上記のように本発明では、複数の地点より採取した環境サンプルを混合して混合サンプルを調製し、混合サンプルに含まれる混合塩基配列情報を取得することで、その混合サンプル中に監視対象となる塩基配列が含まれるか否かを照合する。
混合サンプルは、複数の地点より採取した環境サンプルを混合したものであるため、監視対象となる塩基配列が確認されても、地点の詳細な特定はできない。しかしながら、すべての地点より採取した個別の環境サンプル(以下、「個別サンプル」ともいい、混合サンプルと区別する)に対して、監視対象となる塩基配列が存在するか否かを確認するべく、DNAシーケンサーを稼働させることは、監視対象となる塩基配列が観測されるかどうかわからない状態においては、コスト面で非現実的である。特に監視対象となる地点が莫大となるほど、このコスト的問題は大きくなる。
これに対して、本発明の方法によれば、混合サンプルを用いることで、複数の地点からなる一定の領域において監視対象となる塩基配列が存在するかをスクリーニングすることができる。そして、本発明では、混合サンプルが監視対象となる塩基配列を含む場合に、各地点のそれぞれにおいて、監視対象となる塩基配列の時系列定量情報を取得することにより、監視対象となる塩基配列が存在する地点を詳細に特定するとともに、その塩基配列の増減を時系列的で監視した時系列定量情報を取得する。
そのため、上記構成によれば、任意の地点で採取される環境サンプルを監視し、その環境サンプルに含まれるウィルス或いは細菌などの定量情報を効率的に取得することが可能となる。
また、上記定量情報取得ステップにおいて、時系列定量情報は、地点のそれぞれにおいて採取した環境サンプル(個別サンプル)に対して、所謂PCR検査やその他PCRを介した手法(以下、まとめて単に「PCRを介した手法」という。)をして得られる情報であってもよい。なお、ここで、その他PCRを介した手法としては、PCRで増幅したDNAを第2世代シーケンサーで解析することも含まれる。
これにより、個別サンプル中に含まれる膨大な塩基配列のなかから、監視対象となる塩基配列をターゲットとして、その定量情報を取得することができる。
さらに、照合ステップにおいて混合塩基配列情報が監視対象となる塩基配列を含む場合に、監視対象となる塩基配列のプライマーに関する情報を特定又は作成するプライマー情報取得ステップをさらに実行し、プライマーに関する情報に基づいて、上記PCRを介した手法により時系列定量情報を取得してもよい。
これにより、上記PCRを介した手法に必要なプライマーに関する情報をシームレスに取得することができ、速やかに時系列定量情報を取得することができる。
また、監視対象となる塩基配列とその時系列定量情報とを含む学習データを用いて得られたモデルを用いて、監視対象となる塩基配列と時系列定量情報に基づいて、監視対象となる塩基配列の将来的な増減に関する予測定量情報を取得する予測情報取得ステップをさらに実行してもよい。
これにより、例えば、ウィルス(監視対象となる塩基配列)とそのウィルスの蔓延した過去の情報(時系列定量情報)を学習データとして用いたモデルを用いて、今観測されている同種のウィルス(監視対象となる塩基配列)と現在の定量情報(時系列定量情報)から、将来的な状況予測を行うことが可能となる。
さらに、本発明の実施形態に係るプログラムは、情報処理装置に、複数の地点より採取した環境サンプルを混合した混合サンプルから、DNAシーケンサーを用いて取得した混合塩基配列情報を取得するサンプル取得ステップと、取得した混合塩基配列情報が、監視対象となる塩基配列を含むか否かを照合する照合ステップと、該照合ステップにおいて混合塩基配列情報が監視対象となる塩基配列を含む場合に、地点のそれぞれにおいて、混合塩基配列情報に含まれる監視対象となる塩基配列の時系列定量情報を取得する定量情報取得ステップと、を実行させる。
また、本発明の実施形態に係る情報処理装置は、複数の地点より採取した環境サンプルを混合した混合サンプルから、DNAシーケンサーを用いて取得した混合塩基配列情報を取得する管理部と、取得した混合塩基配列情報が、監視対象となる塩基配列を含むか否かを照合する照合部と、該照合部において前記混合塩基配列情報が前記監視対象となる塩基配列を含むことが確認された場合に、地点のそれぞれにおいて、混合塩基配列情報に含まれる監視対象となる塩基配列の時系列定量情報を取得する管理部と、を有する。
本発明によれば、任意の地点で採取される環境サンプルを監視し、その環境サンプルに含まれるウィルス或いは細菌などの定量情報を効率的に取得するための情報処理方法、情報処理装置、及びプログラムを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
<ハードウェア構成>
本実施形態では、情報処理装置100によって、広範な範囲において、感染症の拡大状況を監視することのできる感染症監視システムが構築される。また、この感染症監視システムは、感染症拡大予測システムとしても機能し得る。
本実施形態では、情報処理装置100によって、広範な範囲において、感染症の拡大状況を監視することのできる感染症監視システムが構築される。また、この感染症監視システムは、感染症拡大予測システムとしても機能し得る。
図1に、本実施形態の感染症監視システムに含まれる情報処理装置100を示すブロック図を示す。情報処理装置100は、典型的には、1つ又は複数のプロセッサ110、有線又は無線の通信を制御する通信インターフェース120、入出力インターフェース130、メモリ140、ストレージ150及びこれらの構成要素を相互接続するための1つ又は複数の通信バス160を含み、これらの協働により、本開示に記載される処理、機能、または、方法を実現する。
プロセッサ110は、メモリ140に記憶されるプログラムに含まれるコード、または、命令によって実現する処理、機能、または、方法を実行する。プロセッサ110は、限定でなく例として、1又は複数の中央処理装置(CPU)、GPU(Graphics Processing Unit)を含む。
通信インターフェース120は、ネットワークを介して他の情報処理装置と各種データの送受信を行う。当該通信は、有線、無線のいずれで実行されてもよく、互いの通信が実行できるのであれば、どのような通信プロトコルを用いてもよい。例えば、通信インターフェース120は、ネットワークアダプタ等のハードウェア、各種の通信用ソフトウェア、又はこれらの組み合わせとして実装される。
入出力インターフェース130は、情報処理装置100に対する各種操作を入力する入力装置、および、情報処理装置100で処理された処理結果を出力する出力装置を含む。例えば、入出力インターフェース130は、キーボード、マウス、及びタッチパネル等の情報入力装置、及びディスプレイ等の情報出力装置を含む。なお、情報処理装置100は、外付けの入出力インターフェース130を接続することで、所定の入力を受け付けてもよい。例えば、情報処理装置100には、DNAシーケンサーやPCR検査に関する装置が外付けされていてもよい。
なお、本実施形態において用いるDNAシーケンサーは、目的に応じて適宜選択できるが、DNAをPCRで増幅する第2世代DNAシーケンサーや、シーケンスをするDNAをPCRで増幅する必要のない第3世代DNAシーケンサー、その他第4世代DNAシーケンサーを用いることが好ましい。
メモリ140は、ストレージ150からロードしたプログラムを一時的に記憶し、プロセッサ110に対して作業領域を提供する。メモリ140には、プロセッサ110がプログラムを実行している間に生成される各種データも一時的に格納される。メモリ140は、限定でなく例として、DRAM、SRAM、DDR RAM又は他のランダムアクセス固体記憶装置などの高速ランダムアクセスメモリ等であってよく、これらが組み合わせられてもよい。
ストレージ150は、プログラム、各種機能部、及び各種データを記憶する。ストレージ150は、限定でなく例として、磁気ディスク記憶装置、光ディスク記憶装置、フラッシュメモリデバイス、又は他の不揮発性固体記憶装置などの不揮発性メモリ等であってよく、これらが組み合わせられてもよい。ストレージ150の他の例としては、CPU110から遠隔に設置される1つ又は複数の記憶装置を挙げることができる。
本発明の一実施形態において、ストレージ150はプログラム、機能部及びデータ構造、又はそれらのサブセットを格納する。情報処理装置100は、ストレージ150に記憶されているプログラムに含まれる命令をプロセッサ110が実行することによって、図1に示すように、管理部157、照合部158、及び学習部159として機能するように構成されている。
オペレーティングシステム151は、例えば、様々な基本的なシステムサービスを処理するとともにハードウェアを用いてタスクを実行するためのプロシージャを含む。
ネットワーク通信部152は、例えば、情報処理装置100を他のコンピュータに、通信インターフェース120、及びインターネット、他の広域ネットワーク、ローカルエリアネットワーク、メトロポリタンエリアネットワークなどの1つ又は複数の通信ネットワークを介して接続するために使用される。
監視対象塩基配列データ153は、例えば、研究機関や公的機関に登録されたウィルス及び細菌(以下、単に「病原体」ともいう)の塩基配列データを含む。監視対象塩基配列データ153は、ストレージ150が格納するデータであってもよいし、遠隔のサーバが格納するデータであってもよい。監視対象塩基配列データ153は、新たな病原体の塩基配列データを適宜取得し、その内容を更新することができる。
図3に、監視対象塩基配列データ153の一例を示す。監視対象塩基配列データ153には、例えば、監視対象塩基配列を一意に識別するための監視対象塩基配列ID、病原体を一意に識別するための病原体ID、その病原体に対応する塩基配列が関連付けて格納されていてもよい。
またこれに加えて、監視対象塩基配列データ153は、病原体IDに対応するプライマー情報を含んでいてもよい。これにより、所定の病原体の塩基配列が観測された場合には、そのプライマー情報を速やかに取得することができる。
さらに、監視対象塩基配列データ153は、病原体の分類に関する情報(不図示)が含まれていてもよい。これにより、プライマー情報のない病原体の塩基配列が観測された場合には、当該分類に基づいて、監視対象となる塩基配列のプライマーに関する情報を作成するようにしてもよい。
混合塩基配列データ154には、例えば、混合サンプルからDNAシーケンサーを用いて取得した混合塩基配列情報が格納され管理される。
図4に、混合塩基配列データ154の一例を示す。混合塩基配列データ154には、例えば、混合サンプルを一意に識別するための混合サンプルID、その混合サンプルから取得した混合塩基配列情報、混合サンプルを調製するにあたり混合した個別サンプルのID、及び混合サンプルの調製日時が関連付けて格納されていてもよい。これにより、混合サンプルIDを特定することにより、その混合サンプルが、どの個別サンプルの混合物であり、いつ調製されたものであるかを特定することができる。
またこれに加えて、混合塩基配列データ154は、個別サンプル取得の環境要因に関する情報を含んでいてもよい。環境要因には、個別サンプル取得時の気温や湿度、その他病原体の拡大に関わる環境要因に関する情報が含まれる。これにより、所定の混合サンプルにおいて監視対象となる塩基配列が検出された場合に、その混合サンプルに含まれる個別サンプルの環境要因を速やかに特定することが可能となる。このような環境要因を考慮することで、後述する予測定量情報の精度をより向上することができる。なお、環境要因は、個別サンプルごとに対応付けられていてもよい。
時系列定量データ155には、例えば、個別サンプルからPCR法により取得した、監視対象となる塩基配列の時系列の定量情報が格納され管理される。
図5に、時系列定量データ155の一例を示す。時系列定量データ155には、例えば、時系列定量データを一意に識別するための時系列定量データID、その時系列定量データを取得している個別サンプルID、時系列定量データが対象とする病原体ID、時系列定量データの取得開始及び終了日時、及び時系列定量データ関連付けて格納されていてもよい。これにより、時系列定量データIDを特定することにより、その時系列定量データが、どの個別サンプルで、いつ、どのような病原体を監視したものであるかを特定することができる。
学習データ156は、後述する機械学習モデルを生成するために用いられるデータセットである。学習データ156は、例えば、時系列定量データ155に記録されるのと同様の情報が格納され管理され、必要に応じて機械学習用にデータの整理がされていてもよい。これにより、特定の病原体の時系列の増減情報に基づいて、機械学習モデルを生成することができる。また、この機械学習モデルの生成にあたり、ある一定領域に含まれる複数の個別サンプルを同時に考慮することで、その領域における病原体の広がり方などについても予測可能なモデルを生成することもできる。
またこれに加えて、学習データ156は、混合塩基配列データ154における環境要因に関する情報を含んでいてもよい。これにより、特定の季節または地域などの環境要因を考慮して、より精度の高い予測モデルを生成することが可能となる。
管理部157は、上記各種データの管理に関する処理を実行する。具体的には、管理部157は、通信インターフェース120又は入出力インターフェース130を介して各種データを取得し、取得したデータを上記各データベースに記録し、必要に応じて上記各データベースに記録されたデータを出力する処理を実行する。
例えば、管理部157は、混合塩基配列情報を取得し、混合塩基配列データ154に記録することができる。また、管理部157は、外部の研究機関や公的機関から監視対象塩基配列を取得し、監視対象塩基配列データ153に記録することができる。さらに、管理部157は、時系列定量情報を取得し、時系列定量データ155に記録することができる。これに加えて、管理部157は、時系列定量データ155に基づいて、学習データ156に所定の学習データを記録することができる。
照合部158は、取得した混合塩基配列データが、監視対象となる塩基配列を含むか否かを照合する処理を実行する。具体的には、照合部158は、混合塩基配列データ154に記録された混合塩基配列情報に、監視対象塩基配列データ153に記録された監視対象となる塩基配列が含まれるか否かを照合する。そして、混合塩基配列情報が監視対象となる塩基配列を含む場合には、新たな時系列定量データIDを付与して、時系列定量データ155に新たなレコードを作成する。
また、照合部158は、混合塩基配列情報が監視対象となる塩基配列を含む場合には、所定の宛先に警告を発するようにしてもよい。これにより、病原体の検出を速やかに知らせることができる。
さらに、照合部158は、混合塩基配列情報が監視対象となる塩基配列を含む場合に、監視対象となる塩基配列のプライマーに関する情報を特定又は作成する処理を実行してもよい。具体的には、照合部158は、監視対象塩基配列データ153を参照して、検出された塩基配列に対応する病原体のプライマー情報を出力することができる。また、監視対象塩基配列データ153にプライマー情報がない場合には、照合部158は、監視対象塩基配列データ153を参照して、類似する塩基配列を有する他の病原体のプライマー情報から、プライマーに関する情報を作成・推定してもよい。
学習部159は、監視対象となる塩基配列とその時系列定量情報とを含む学習データを用いて、所定の機械学習モデルを作成する処理と、作製した機械学習モデルを用いて、監視対象となる塩基配列と時系列定量情報に基づいて、監視対象となる塩基配列の将来的な増減に関する予測定量情報出力する処理を実行する。
<動作処理>
次に、このように構成された本実施形態の情報処理装置100の動作について説明する。図2に、本実施形態に係る情報処理方法のフローチャートの一例を示す。
次に、このように構成された本実施形態の情報処理装置100の動作について説明する。図2に、本実施形態に係る情報処理方法のフローチャートの一例を示す。
ステップS201において、管理部157は、複数の地点より採取した環境サンプルを混合した混合サンプルから、DNAシーケンサーを用いて取得した混合塩基配列情報を取得する。管理部157は、定期的に混合塩基配列情報を取得し、照合部158は、混合サンプルに監視対象となる塩基配列が含まれないことを、確認する。
混合サンプルに混合される複数の個別サンプルは、毎回異なっていてもよい。例えば、前回は5つの地点から取得した個別サンプルが混合された混合サンプルの混合塩基配列情報を取得し、次回は前回の5つの地点にさらに2つの地点を追加した合計7つの地点から取得した個別サンプルが混合された混合サンプルの混合塩基配列情報を取得するようにしてもよい。
特に、後述する照合ステップにおいて混合塩基配列情報が監視対象となる塩基配列を含まない期間が長いほど、混合サンプルに混合する個別サンプル数を増やしてもよい。個別サンプル数を増やすということは、混合サンプルがより広い範囲の個別サンプルを含むことを意味する。これにより、一回の混合塩基配列情報の取得で、より広い範囲において、監視対象となる塩基配列が存在するかをスクリーニングすることが可能となる。特に、監視対象となる塩基配列が検出されない期間が長いほど、混合サンプルに混合する個別サンプル数を増加させることにより、平常時においては、より効率的に監視対象となる塩基配列が存在するかをスクリーニングすることが可能となる。
一方で、照合ステップにおいて混合塩基配列情報が監視対象となる塩基配列を含むと判断された場合には、次に測定するときに、混合サンプルに混合する個別サンプル数を減らしてもよい。これにより、病原体の発生が確認された場合には、一回の混合塩基配列情報の取得で、より広い範囲において、監視対象となる塩基配列が存在するかをスクリーニングすることが可能となる。これにより、時系列定量情報の取得結果を待たずとも、病原体の発生している場所をより詳細にスクリーニングすることが可能となり、その発生場所の広がり方などについてもより詳細な情報を取得することが可能となる。
本実施形態において環境サンプルとは、空気、ちり、下水、その他の任意の箇所で取得できるもの全般を意味する。また、これら環境サンプルには、DNAシーケンサーにかけるための前処理を施すことができる。
ステップS202において、照合部158は、取得した混合塩基配列情報が、監視対象となる塩基配列を含むか否かを照合する。具体的には、照合部158は、混合塩基配列データ154に記録された混合塩基配列情報に、監視対象塩基配列データ153に記録された監視対象となる塩基配列が含まれるか否かを照合する。
この際、照合部158は、混合塩基配列データ154に記録された混合塩基配列情報のうち、ある一定以上の強度又は感度で観測された塩基配列情報のみを、監視対象塩基配列データ153に記録された監視対象となる塩基配列と照合するようにしてもよい。通常、任意に取得した環境サンプルには、多くの不純物が混入しており、多くのノイズがあると考えられる。このようなノイズを病原体とご認識しないよう、ある一定以上の強度又は感度で観測された塩基配列情報のみを照合対象とすることが好ましい。
また、照合部158は、病原体の発生が確認された場合には、その病原体の危険度レベルに応じて、所定の連絡先にアラートを送信するようにしてもよい。
ステップS203において、照合部158は、混合塩基配列情報が監視対象となる塩基配列を含む場合に、監視対象となる塩基配列のプライマーに関する情報を特定又は作成する処理を実行してもよい。
ここで、照合部158は、最適なプライマー配列を計算する処理を実行してもよい。ここで、最適なプライマーとは、対象となる病原体に由来する核酸分子の増幅は行うが、それ以外のノイズとなるようなものの核酸分子の増幅は行わないような配列を意味する。
ステップS204において、管理部157は、照合ステップにおいて混合塩基配列情報が監視対象となる塩基配列を含む場合に、地点のそれぞれにおいて、混合塩基配列情報に含まれる監視対象となる塩基配列の時系列定量情報を取得する。
ここで、管理部157は、時系列定量情報において監視対象となる塩基配列が検出されなくなる、あるいは監視対象となる塩基配列の検出量が所定の閾値以下となり、ノイズと同程度まで検出量が低下した場合に、病原体の発生が終息した旨の通知を、所定の連絡先に送信するようにしてもよい。
図6に、時系列定量情報のより視覚的なイメージを示す。図6に示すように、時系列定量データ155に基づいて、管理部157は、各場所における病原体の発生状況を定量的に示すことができる。
図6は、A~G地点から個別サンプルを取得し、これらを混合した混合サンプルから定期的に混合塩基配列情報(破線:DNAシーケンサー)を取得している例である。この例においては、2月に取得した混合塩基配列情報からウィルスXに由来する塩基配列が確認されており、速やかに地点A~GにおいてウィルスXを定量的に検出するためのPCRが行われている。
PCRの結果、B,C地点においてウィルスXが一時的に検出されたものの3月には収束しており、それから約一か月後の4月までほぼ検出が認められないため、ウィルスXを検出するためのPCRが停止されている。
一方で、PCRとは独立して、A~G地点における混合塩基配列情報の取得は、定期的に行われており(破線:DNAシーケンサー)、3月には、新たにバクテリアYの発生が混合塩基配列情報から確認されている。そして、速やかにA~G地点においてバクテリアYを定量的に検出するためのPCRが行われ、E,F地点においてバクテリアYが一時的に検出されている。
このように、本実施形態のシステムにおいては、一次スクリーニングとなる混合塩基配列情報を用いた照合ステップと、その照合結果に基づいて各地点における病原体の発生をより詳細に定量化するための定量情報取得ステップと、を実行することにより、任意の地点で採取される環境サンプルを監視し、その環境サンプルに含まれるウィルス或いは細菌などの定量情報を効率的に取得することが可能となる。
ステップS205において、学習部は、監視対象となる塩基配列とその時系列定量情報とを含む学習データを用いて、所定の機械学習モデルを作成する処理と、作製した機械学習モデルを用いて、監視対象となる塩基配列と時系列定量情報に基づいて、監視対象となる塩基配列の将来的な増減に関する予測定量情報を出力する処理を実行する。
これにより、例えば、図6の2月にB,C地点においてウィルスXが一時的されたときに、その後の拡大及び収束の推移を示す予測定量情報を出力することができる。そのため、予測定量情報に基づいて、より効果的にウィルスXの発生を収束させるための各種対応策を検討することが可能となる。
100…情報処理装置、110…プロセッサ、120…通信インターフェース、130…入出力インターフェース、140…メモリ、150…ストレージ、151…オペレーティングシステム、152…ネットワーク通信部、153…監視対象塩基配列データ、154…混合塩基配列データ、155…時系列定量データ、156…学習データ、157…管理部、158…照合部、159…学習部、160…通信バス
Claims (6)
- 情報処理装置が、
複数の地点より採取した環境サンプルを混合した混合サンプルから、DNAシーケンサーを用いて取得した混合塩基配列情報を取得するサンプル取得ステップと、
取得した前記混合塩基配列情報が、監視対象となる塩基配列を含むか否かを照合する照合ステップと、
該照合ステップにおいて前記混合塩基配列情報が前記監視対象となる塩基配列を含む場合に、前記地点のそれぞれにおいて、前記混合塩基配列情報に含まれる前記監視対象となる塩基配列の時系列定量情報を取得する定量情報取得ステップと、を実行する、
情報処理方法。 - 前記定量情報取得ステップにおいて、
前記時系列定量情報は、前記地点のそれぞれにおいて採取した前記環境サンプルに対して、PCRを介した手法で得られる情報である、
請求項1に記載の情報処理方法。 - 前記照合ステップにおいて前記混合塩基配列情報が前記監視対象となる塩基配列を含む場合に、前記監視対象となる塩基配列のプライマーに関する情報を特定又は作成するプライマー情報取得ステップをさらに実行し、
前記プライマーに関する情報に基づいて、前記PCRを介した手法により前記時系列定量情報を取得する、
請求項2に記載の情報処理方法。 - 監視対象となる塩基配列とその時系列定量情報とを含む学習データを用いて得られたモデルを用いて、
前記監視対象となる塩基配列と前記時系列定量情報に基づいて、前記監視対象となる塩基配列の将来的な増減に関する予測定量情報を取得する予測情報取得ステップをさらに実行する、
請求項1~3のいずれか一項に記載の情報処理方法。 - 情報処理装置に、
複数の地点より採取した環境サンプルを混合した混合サンプルから、DNAシーケンサーを用いて取得した混合塩基配列情報を取得するサンプル取得ステップと、
取得した前記混合塩基配列情報が、監視対象となる塩基配列を含むか否かを照合する照合ステップと、
該照合ステップにおいて前記混合塩基配列情報が前記監視対象となる塩基配列を含む場合に、前記地点のそれぞれにおいて、前記混合塩基配列情報に含まれる前記監視対象となる塩基配列の時系列定量情報を取得する定量情報取得ステップと、を実行させる、
プログラム。 - 複数の地点より採取した環境サンプルを混合した混合サンプルから、DNAシーケンサーを用いて取得した混合塩基配列情報を取得する管理部と、
取得した前記混合塩基配列情報が、監視対象となる塩基配列を含むか否かを照合する照合部と、
該照合部において前記混合塩基配列情報が前記監視対象となる塩基配列を含むことが確認された場合に、前記地点のそれぞれにおいて、前記混合塩基配列情報に含まれる前記監視対象となる塩基配列の時系列定量情報を取得する前記管理部と、を有する、
情報処理装置。
Priority Applications (1)
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JP2021066212A JP2022161412A (ja) | 2021-04-09 | 2021-04-09 | 情報処理方法、情報処理装置、及びプログラム |
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JP2009125610A (ja) * | 2007-11-20 | 2009-06-11 | Sumikon Serutekku Kk | 汚染土壌の浄化方法 |
JP2016195974A (ja) * | 2015-04-03 | 2016-11-24 | 住友化学株式会社 | 予測ルール生成システム、予測システム、予測ルール生成方法及び予測方法 |
-
2021
- 2021-04-09 JP JP2021066212A patent/JP2022161412A/ja active Pending
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