以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、以下に実施形態として記載されている内容又は図面に記載されている内容は、あくまでも例示に過ぎず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、任意に変更して実施することができる。また、各実施形態は、2つ以上を任意に組み合わせて実施することができる。さらに、各実施形態において、共通する部材については同じ符号を付すものとし、説明の簡略化のために重複する説明は省略する。
また、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
図1は、本発明の第1実施形態に係る廃棄物処理システム100の系統図である。廃棄物処理システム100は、廃棄物の水熱処理を行うためのシステムである。廃棄物処理システム100は、上記水熱処理を行うための水熱処理装置10(燃料製造装置)と、固液分離装置11(燃料製造装置)と、乾燥装置12(燃料製造装置)と、分級装置13(燃料製造装置)と、成形装置14(燃料製造装置)と、貯蔵設備8と、ガス化炉15と、メタン発酵装置16と、貯蔵設備9と、ガスエンジン17と、排熱回収ボイラ18とを備える。以下、廃棄物に由来する各成分の流れを説明しながら、各装置の説明を行う。
廃棄物処理システム100において処理される廃棄物(例えば有機物を含む廃棄物。具体的には例えばバイオマスを含む廃棄物)は、水熱処理装置10において水熱処理が行われる。具体的には、水熱処理装置10では、廃棄物(図1では未分別ごみを例示)への蒸気(水蒸気。以下同じ)の接触により、上記の水熱処理が行われる。水熱処理に使用される蒸気は、後記する排熱回収ボイラ18から供給される。
水熱処理装置10は、例えばバッチ式水熱処理装置を含む。これにより、例えば、廃棄物を収集するための車両(図示しない)からそのまま水熱処理装置10に廃棄物を投入でき、廃棄物処理システム100のピットレス化を図ることができる。バッチ式水処理装置の具体的な構造は、例えば後記する図17、図18等に記載の構造とすることができる。
水熱処理の条件としては特に制限されないが、例えば、140℃以上250℃以下、1.5MPa以上2.5MPa、反応時間は15分以上2時間以下とすることができる。
水熱処理により得られた反応物は、固液分離装置11(燃料製造装置)に供給される。固液分離装置11は、例えば、ろ過装置、遠心分離装置等により構成される。固液分離装置11では、水熱処理により得られた反応物は、固体と液体との各成分に分離される。
分離された固体は、水熱処理の反応物の固体から固形の燃料を製造するための燃料製造装置により、燃料化される。具体的には、分離された固体は、水熱処理装置10(燃料製造装置)において得られた固形の反応物であって水分を含む反応物の固体を乾燥させるための乾燥装置12(燃料製造装置)により、十分に乾燥される。これにより、水熱処理の反応物を乾燥させて、燃焼し易い固形の燃料(粒状の乾燥物)を製造できる。また、この乾燥物のほか、例えば金属等の無機成分が混入していた場合には、図示しない分別装置(燃料製造装置)において無機成分が取り除かれる。そして、分級装置13(燃料製造装置)において、例えば篩等を用いることで、同程度の大きさの乾燥物毎に乾燥物が選別され、粒径の大きい乾燥物は再度水熱処理装置10へリサイクルされる。
その他の実施方法として、粒径の大きい乾燥物を細かくするため、固液分離装置出口又は、乾燥装置出口に粉砕設備を設置することもできる。
最後に、成形装置14(燃料製造装置)において、各大きさの乾燥物は、等量程度になるように混合後、成形される。このとき、バインダを使用して成形してもよい。即ち、混合物とバインダとを接触させて、成形してもよい。バインダとしては、例えばリグニン、澱粉等が使用可能である。これにより、乾燥物が結着され、ペレット状の燃料である燃料ペレット(固形の燃料)が得られる。燃料ペレットは、水熱処理の反応物から製造された固形の燃料を貯蔵するための貯蔵設備8(例えば貯蔵庫。第1貯蔵設備)に貯蔵される。
このように、上記の固形の反応物から燃料ペレットを製造することで、燃料をペレットとして貯蔵でき、電力需要に応じて燃料を燃焼できる。また、バインダを用いて燃料ペレットを製造することで、バインダによって燃料ペレットに含まれる空隙を埋めることができる。これにより、燃料ペレットにおいて空気との接触面積を減らすことができ、貯蔵安定性を高めることができる。
なお、このようにして製造された燃料ペレットは、上記のように貯蔵されるほか、製品として出荷されてもよい。
貯蔵設備8に貯蔵された燃料ペレットは、水熱処理装置10での要求蒸気量に応じて取り出され、燃料ペレット(固形の燃料)をガス化させて燃料ガスを生成させるためのガス化炉15(例えば流動床)において高温で蒸し焼きにされる。これにより、水素、一酸化炭素等を含む燃料ガスが発生し、この燃料ガスは、ガス化炉15で生成した燃料ガスを貯蔵するための貯蔵設備9(例えばガスホルダ。第2貯蔵設備、第3貯蔵設備)に貯蔵される。貯蔵設備8,9を備えることで、固形の燃料と、固形の燃料から生成した燃料ガスとの双方を貯蔵できる。
一方で、上記の固液分離装置11において分離された液体は、メタン発酵装置16に供給される。また、メタン発酵装置16には、上記の廃棄物に含まれるバイオマス(図1には生ごみを例示)も供給される。メタン発酵装置16は、バイオマスをメタン発酵させるためのものであり、例えばメタン発酵菌を収容した発酵槽である。従って、メタン発酵装置16では、バイオマス及び上記液体のメタン発酵が行われる。これにより、バイオガスが発生する。なお、メタン発酵は、例えば嫌気性条件下、30℃以上60℃以下、好ましくは50℃以上60℃以下で行うことができる。で行うことができる。
メタン発酵装置16で発生したバイオガスは、メタンを少なくとも含む気体であって、より具体的には例えばメタンと二酸化炭素とを含む混合気体であり、メタン発酵装置16から排出される。そこで、図示しない精製装置によってバイオガスが精製され、精製されたバイオガスは、上記の貯蔵設備9(例えばガスホルダ。第2貯蔵設備、第3貯蔵設備)に貯蔵される。貯蔵設備8,9を備えることで、固形の燃料と、水熱処理の反応物から生成したバイオガス(例えばメタン)との双方を貯蔵できる。なお、ここでは、バイオガスは、上記のガス化炉15で生成した燃料ガスと一緒に同じ貯蔵設備9で貯蔵されるようにしたが、異なる貯蔵設備で貯蔵するようにしてもよい。一方で、メタン発酵装置16におけるメタン発酵後の残渣は、メタン発酵装置16から排出され、例えばコンポストとして利用又は焼却処理される。
貯蔵設備9に貯蔵されたバイオガス及び燃料ガスは、ガスエンジン17(発電装置)に供給される。ここで、ガスエンジン17では、図示しない発電機本体部(発電装置)が接続される。そのため、発電機本体部は、ガスエンジン17に供給され、バイオガス及び燃料ガスの燃焼により生じた燃焼エネルギを用いて、発電を行う。これにより、廃棄物処理システム100で製造された燃料を用いて発電できる。
特に、ガスエンジン17には、上記のように、ガス化炉15において発生した燃料ガスも供給される。そのため、ガスエンジン17では、上記のメタンに加え、ガス化炉15で発生した燃料ガスも燃焼される。従って、ガスエンジン1に接続される発電機本体部(発電装置)は、上記の水熱処理装置10の反応物(燃料ペレット)から生成された燃料ガスを燃料として、ガス化炉15での燃料の燃焼により、発電を行うようになっている。
より具体的には、発電機本体部(発電装置)は、流動床炉(ガス化炉15)における燃料の燃焼により発生した燃焼エネルギを用いて、発電を行う。このようにすることで、流動床炉により、速やかに、かつ、燃焼ムラを抑制しながら燃料ペレットを燃焼できる。これにより、速やかに、かつ発電量のムラを抑制しながら発電できる。
なお、上記の例では、ガス化炉15では、燃料ペレットを燃焼させた。しかし、例えば、乾燥装置12により得られた乾燥物を貯蔵し、上記の燃料ペレットに代えて、又は、上記の燃料ペレットとともにガス化炉15で燃焼させるようにしてもよい。成形前の乾燥物を燃焼させることで、成形に伴う時間及びコストを削減できる。
ガスエンジン17から排出された排ガスは、排熱回収ボイラ18に供給される。排熱回収ボイラ18(蒸気発生装置)は、上記の水熱処理装置10に供給される蒸気を発生させるためのものである。そして、排熱回収ボイラ18は、燃料の燃焼により発生した燃焼エネルギ、即ち排ガスが有する熱(一部でもよい)を用いて、蒸気を発生するようになっている。
ここでいう燃料は、メタン発酵装置16で生成したバイオガスのほか、貯蔵設備8に貯蔵された燃料ペレットのガス化炉15において高温で蒸し焼きされ生じた燃料ガスを含む。特に、燃料ペレットは、ガス化炉15で燃料ガスに変換され、その燃料ガスはさらにガスエンジン17で燃焼され燃焼エネルギに変換される。従って、ガス化炉15で発生したガスにより、蒸気を発生させるための燃焼エネルギが得られる。
このようにすることで、廃棄物に由来する燃料の燃焼エネルギを用いて蒸気を発生できる。そして、発生した蒸気は、上記の水熱処理装置10に供給され、水熱処理装置10では、供給された蒸気を用いた水熱処理が行われる。
特に、排熱回収ボイラ18では、上記のように、メタン発酵装置16において発生したメタンをガスエンジン17で燃焼させて生じた燃焼エネルギを少なくとも用いて、蒸気が発生するようになっている。このようにすることで、バイオマスのメタン発酵によりメタンを発生させて、発生したメタンを燃焼させることができる。これにより、発熱量を増大させることができ、蒸気の生成量を増大させることができる。
さらには、排熱回収ボイラ18では、上記のように、燃料を燃焼させるための流動床炉により構成されたガス化炉15での燃焼エネルギを用いて、蒸気が発生するようになっている。このようにすることで、流動床炉により、速やかに、かつ、燃焼ムラを抑制しながら燃料を燃焼できる。これにより、速やかに、かつ発生量のムラを抑制しながら蒸気を発生できる。
廃棄物処理システム100によれば、廃棄物から得られ、貯蔵設備8,9に貯蔵された燃料を用いて、水熱処理装置10で使用される蒸気を生成できる。これにより、廃棄物量に応じて蒸気量を変更できる。
また、水熱処理装置10で得られた固体の反応物(固形分)から生成されたガスを燃料として燃焼させることができる。これにより、その燃焼エネルギを用いて蒸気を発生させることができ、発生した蒸気を、水熱処理装置10で使用することができる。この結果、水熱処理装置10への蒸気の外部からの供給量を低減できる。また、上記の燃焼エネルギを用いて発電を行うことができる。これらにより、燃料としての廃棄物の更なる有効利用を図ることができる。
また、上記の廃棄物処理システム100を用いることで、上記のように、廃棄物の水熱処理を行うことができる。即ち、本発明の一実施形態に係る廃棄物処理方法は、上記廃棄物への蒸気の接触により蒸気水熱処理を行う水熱処理ステップを含む。水熱処理ステップは、例えば、上記の水熱処理装置10によって行われることができる。また、本発明の一実施形態に係る廃棄物処理方法は、上記水熱処理の反応物(水熱処理ステップでの反応物)から製造された燃料を貯蔵する貯蔵ステップを含む。貯蔵ステップで貯蔵される燃料は、例えば運搬設備等により、上記の貯蔵設備8,9に貯蔵される。
さらに、本発明の一実施形態に係る廃棄物処理方法は、上記水熱処理ステップで使用される上記蒸気を発生させる蒸気発生ステップを含む。蒸気発生ステップは、例えば上記の排熱回収ボイラ18によって行われることができる。そして、蒸気発生ステップは、上記貯蔵ステップで貯蔵された燃料(燃料ペレット、メタン、燃料ペレットのガス化により生じた燃料ガス等)の燃焼により発生した燃焼エネルギを用いて、上記蒸気を発生させるようになっている。
以上のような廃棄物処理方法によれば、廃棄物から得られ、貯蔵設備8,9に貯蔵された燃料を用いて、水熱処理装置10で使用される蒸気を生成できる。これにより、廃棄物量に応じて蒸気を量を変更できる。なお、排熱回収ボイラ18での蒸気生成後の排ガスの一部を乾燥装置12へ供給し、水熱処理装置10で生成した固形物を乾燥するための熱源のひとつとして利用するようにしてもよい。これにより、乾燥に使用するエネルギを低減できる。
また、水熱処理ステップで得られた固体の反応物(固形分)又はその固形分から生成されたガスの少なくとも一方を燃料として燃焼させることができる。これにより、その燃焼エネルギを用いて蒸気を発生させることができ、発生した蒸気を水熱処理ステップで使用することができる。この結果、水熱処理ステップへの蒸気の外部からの供給量を低減できる。また、上記の燃焼エネルギを用いて発電を行うことができる。これらにより、燃料としての廃棄物の更なる有効利用を図ることができる。
図2は、本発明の第2実施形態に係る廃棄物処理システム200の系統図である。廃棄物処理システム200では、上記の廃棄物処理システム100のメタン発酵装置16において発生した残渣について、水熱処理が行われるものである。廃棄物処理システム200は、メタン発酵装置16で得られた発酵物を固液分離するための固液分離装置19と、メタン発酵装置で得られた発酵物中の固体(消化汚泥)への蒸気の接触により水熱処理を行うための水熱処理装置20(第2水熱処理装置)と、水熱処理装置20で得られた第2反応物を固液分離するための固液分離装置21とを備える。
また、その他の実施方法として、固液分離装置19で得られる固体(消化汚泥)を水熱処理装置10へリサイクルすることもできる。その場合、水熱処理装置20と固液分離装置21は不要となる。
水熱処理装置20も、上記の水熱処理装置10と同様に、例えばバッチ式水熱処理装置を含む。バッチ式水処理装置の具体的な構造は、例えば後記する図17、図18等に記載の構造とすることができる。
メタン発酵装置16で得られた発酵物は、固液分離装置19によって固液分離される。固液分離装置19は、例えば、ろ過装置、遠心分離装置、重力分離装置(シックナー)等により構成される。固液分離装置19によって分離された固体の成分(消化汚泥)は、水熱処理装置20に供給される。
水熱処理装置20に供給された固体(消化汚泥)の成分は、水熱処理される。水熱処理の条件は、例えば上記の水熱処理装置10における水熱処理の条件と同じにすることができる。なお、水熱処理装置20には、上記の排熱回収ボイラ18からの蒸気が供給されるようにしてもよい。
そして、水熱処理装置20において得られた第2反応物は、固液分離装置21によって固液分離される。固液分離装置21は、例えば、ろ過装置、遠心分離装置重力分離装置(シックナー)等により構成される。固液分離装置21において分離された固体の成分は、上記の固液分離装置11により分離された固体の成分とともに、上記の乾燥装置12に供給される。そして、供給された第2反応物は、上記の固液分離装置11で分離された固体とともに燃料化される。従って、廃棄物処理システム200では、貯蔵設備8は、水熱処理装置20での水熱処理の第2反応物から製造された燃料を貯蔵するように構成される。
このようにすることで、水熱処理装置20により、発酵物についてさらなる水熱処理を行うことができる。これにより、水熱処理装置20での水熱処理後の第2処理物が微細化されることで、脱水効率が向上し、固液分離装置21で固体と液体とに分離し易くでき、燃料を製造し易くできる。
また、固液分離装置21において分離された液体も、上記の固液分離装置19によって分離された液体と同様、比較的純度の高い水になっている。そこで、固液分離装置21によって分離された液体の成分も、そのまま排水される。
廃棄物処理システム200では、上記のように、水熱処理装置20で得られた第2反応物の固形分(固体の成分)は、上記の乾燥装置12に供給される。従って、廃棄物処理システム200では、水熱処理装置20によって得られた固形の第2反応物の燃焼により生じた燃焼エネルギを用いて、排熱回収ボイラ18で蒸気を発生させるようになっている。
廃棄物処理システム200によれば、水熱処理装置20によって得られた固形の第2反応物の燃焼により、発熱量をさらに増大させることができる。これにより、蒸気の生成量をさらに増大させることができる。また、水熱処理装置20により、水熱処理の生成物は微細化されることで、脱水効率が向上し、第2反応物から水分を分離し易くできる。この結果、第2反応物が燃焼し易くなり、発熱量を高めることができる。
なお、図2において、ガス化炉15は備えられなくてもよい。この場合、貯蔵設備8に貯蔵された燃料ペレットは、必要に応じて、例えば工業製品等として利用することができる。
さらに、図2において、固液分離装置21は備えられないようにしてもよい。即ち、水熱処理装置20における水熱処理は、上記のように、100℃を超える高温で行うことができる。そのため、水熱処理装置20において、消化汚泥を水熱処理し、汚泥を微細化したのち、消化汚泥に含まれる水を蒸発させることで、水熱処理装置20での第2反応物の乾燥を効率的に行うことができる。即ち、水熱処理装置20は、水熱処理装置20で得られた第2反応物を乾燥させるように構成される。そして、ここで得られた第2反応物は、乾燥装置12と分級装置13との間に供給されるようにしてもよい。このようにすることで、水熱処理により得られた第2反応物を、水熱処理を行った水熱処理装置20自身で乾燥できる。また、乾燥装置12で処理される固体の量を減らすことができ、乾燥装置12の小型化を図ることができる。
また、図2において、メタン発酵装置16の発酵物について比重分離を行うようにしてもよい。この場合、有機物を多く含む消化汚泥は下に蓄積し、有機物をほとんど含まない上澄み液は上に溜まる。上澄み液は排水することができる。
図3は、本発明の第3実施形態に係る廃棄物処理システム300の系統図である。廃棄物処理システム300は、上記の廃棄物処理システム200(図2参照)において、ボイラ22での燃料ペレットの燃焼により蒸気を発生させて、蒸気タービン23を駆動させることで発電するようになっている。
廃棄物処理システム300は、ボイラ22(蒸気発生装置)と、蒸気タービン23と、蒸気タービン23に接続された発電機本体部(図示しない)とを備える。これらのうち、ボイラ22は、貯蔵設備8に貯蔵された燃料ペレットを燃料として燃焼させるためのものである。燃料ペレット(燃料)の燃焼により、蒸気が発生する。また、蒸気タービン23(発電装置)は、ボイラ22において発生した蒸気(少なくとも一部でよい)により駆動されるものである。また、蒸気タービン23に接続される発電機本体部(発電装置)は、蒸気タービン23の駆動により発電するためのものである。
貯蔵設備8に貯蔵された燃料ペレットは、上記のようにガス化炉15でガス化されるほか、ボイラ22においても燃焼される。そして、ボイラ22では、燃料ペレットの燃焼により蒸気が発生し、発生した蒸気によって蒸気タービン23が駆動される。これにより、蒸気タービン23に接続された発電機本体部が発電を行い、電力が取り出される。即ち、蒸気が蒸気タービン23を駆動させて、蒸気タービン23に接続された発電機本体部により発電できる。なお、この例では、ボイラ22では燃料ペレットを燃焼させたが、例えば、乾燥装置12により得られた乾燥物を、上記の燃料ペレットに代えて、又は、上記の燃料ペレットとともにボイラ22で燃焼させるようにしてもよい。成形前の乾燥物を燃焼させることで、成形に伴う時間及びコストを削減できる。
一方で、蒸気タービン23に供給された蒸気は、蒸気タービン23の途中から取り出され、水熱処理装置10に供給される。なお、蒸気タービン23に供給された蒸気は、水熱処理装置20に供給されるようにしてもよい。
廃棄物処理システム300によれば、蒸気が蒸気タービン23を駆動させて、蒸気タービン23に接続された発電機本体部による発電を行うことができる。そして、蒸気タービン23に供給された蒸気は水熱処理装置10に供給されるため、ボイラ22で発生した蒸気を用いて水熱処理を行うことができる。
また、廃棄物処理システム300では、発電装置は、ガスエンジン17(発電装置。第1発電装置)及び蒸気タービン23(発電装置。第2発電装置)を含む。これにより、電力需要に応じて発電装置の使用台数を任意に変更できる。これにより、電力需要に応じて発電量を柔軟に変更でき、安定的な電力供給を行うことができる。
また、ボイラ22では、水熱処理装置10における固体の反応物である燃料ペレットが燃焼される。水熱処理装置10では、塩分は液側に含まれるため、固体側の塩濃度は十分に低減される。これにより、燃料ペレットをボイラ22で燃焼させる際、ボイラ22への塩分の持ち込みを抑制し、ボイラ22の腐食を抑制できる。
なお、ボイラ22への燃料ペレットの供給の際、燃料ペレットは、ボイラ22におけるストーカ(図示しない)の中央付近に供給することができる。これにより、速やかに燃料ペレットを燃焼できる。また、図示しないが、ボイラ22に廃棄物も供給する場合、廃棄物の含水量に応じて燃料ペレットの供給量を調整して、ボイラ22に入る水分量が同程度になることが好ましい。
図4は、本発明の第4実施形態に係る廃棄物処理システム400の系統図である。廃棄物処理システム400は、上記の廃棄物処理システム300(図3参照)において、発電装置を3つ備える。具体的には、廃棄物処理システム400では、上記のガスエンジン17(発電装置。第1発電装置)及び蒸気タービン23(発電装置。第2発電装置)に加えて、蒸気タービン25(発電装置。第3発電装置)を備える。蒸気タービン25には、図示しない発電装置本体部が接続される。また、廃棄物処理システム400は、蒸気タービン25に蒸気を供給するためのボイラ24を備える。なお、発電装置は4つ以上でもよい。
廃棄物処理システム400では、上記のように、燃料ペレットから生成したガスを用いて、ガスエンジン17が発電する。また、燃料ペレットは、上記のようにボイラ22で燃焼されるほか、必要に応じて、ボイラ24でも燃焼される。これにより、ボイラ24で発生した蒸気によって蒸気タービン25が駆動され、蒸気タービン25に接続された発電装置本体部での発電が行われる。また、蒸気タービン25での蒸気は、上記の蒸気タービン23での蒸気と同様に、水熱処理装置10に供給される。
廃棄物処理システム400によれば、電力需要に応じて発電装置(ボイラ及び蒸気タービン)の使用台数を任意に変更できる。これにより、電力需要に応じて発電量を柔軟に変更でき、安定的な電力供給を行うことができる。具体的には例えば、ガスエンジン17による発電を基本としつつ、日々の電力需要の変化(例えば昼夜における電力需要の変化)に応じて、ボイラ22及び蒸気タービン23を併用できる。そして、例えば、季節による電力需要の変化に応じて、ボイラ24及び蒸気タービン25をさらに併用できる。
図5は、本発明の第5実施形態に係る廃棄物処理システム500の系統図である。廃棄物処理システム500は、上記の廃棄物処理システム200(図2参照)において燃料ペレットの製造に使用されるバインダを、樹脂、油脂のような廃棄物から生成するものである。なお、図5では、バインダを製造するために水熱処理装置26を記載しているが、水熱処理装置26を用いず、水熱処理装置10に樹脂又は油脂を供給してもよい。
廃棄物処理システム500は、樹脂又は油脂の少なくとも一方を含む廃棄物の水熱処理により第3反応物を得るための水熱処理装置26(第3水熱処理装置)を備える。ここでいう樹脂又は油脂は、例えば、プラスチック等の樹脂、POME(パームオイル工場廃液)等を油水分離して得られる油脂である。
水熱処理装置26における水熱処理の条件としては、上記の水熱処理装置10における水熱処理の条件と同じ条件にすることができる。また、水熱処理装置26では、排熱回収ボイラ18から供給された蒸気を用いた水熱処理が行われてもよいし、それ以外の図示しない蒸気発生装置から供給された蒸気を用いた水熱処理が行われてもよい。さらには、水熱処理装置26も、上記の水熱処理装置10と同様に、例えばバッチ式水熱処理装置を含む。バッチ式水処理装置の具体的な構造は、例えば後記する図17、図18等に記載の構造とすることができる。
樹脂又は油脂の少なくとも一方を含む廃棄物の水熱処理により、第3反応物が得られる。そして、固液分離装置27(上記の固液分離装置11と同じものを採用できる)において第3反応物を固液分離することで、固体の第3反応物が得られる。一方で、液体の第3反応物はそのまま排水される。固液分離装置27において得られた固体の第3反応物は、樹脂又は油脂の少なくとも一方を含む廃棄物に由来するものである。そのため、第3反応物の粘度が比較的高い。そこで、固体の第3反応物は、乾燥装置28(上記の乾燥装置12と同じものを採用できる)により乾燥された後、バインダとして、成形装置14に供給される。
そして、成形装置14では、上記の乾燥物と当該バインダとの接触により、燃料ペレットが製造される。従って、廃棄物処理システム500では、水熱処理装置10、固液分離装置11、乾燥装置12、分級装置13及び成形装置14を含む燃料製造装置は、第3反応物を用いて燃料ペレット(固形の燃料)を製造するように構成される。
廃棄物処理システム500によれば、水熱処理装置26によって得られた第3反応物をバインダとして用いることで、燃料ペレットの成形を容易に行うことができ、固形の燃料を製造できる。
図6は、本発明の第6実施形態に係る廃棄物処理システム600の系統図である。廃棄物処理システム600は、上記の廃棄物処理システム300(図3参照)において、廃棄物を焼却するためのボイラ22から蒸気タービン23に供給される蒸気の温度を高めるものである。廃棄物処理システム600は、燃料の燃焼を行うための燃焼炉29と、燃焼炉29で生成した燃焼エネルギを用いて、ボイラ22から蒸気タービン23に供給される蒸気の過熱を行うための再熱器31とを備える。燃焼炉29では、成形装置14で製造された燃料ペレットが燃焼される。このようにすることで、蒸気タービン23で使用される蒸気を過熱できる。廃棄物をごみ焼却炉で燃焼させる場合、ボイラチューブの高温腐食の問題からボイラ発生蒸気の温度は、通常400℃以上に昇温することができない。しかしながら、システム700のように別置きのバイオガス燃焼炉と再熱器を備えることにより、蒸気タービンへ供給する蒸気を400℃以上に昇温することができ、蒸気タービン効率(発電効率)を向上させることができる。
ボイラ22で燃焼される廃棄物の含水量が多い場合(例えばボイラ22で燃焼される廃棄物が生ごみの場合)、ボイラ22で発生する燃焼ガスの熱量が小さくなる。この結果、ボイラ22における蒸気発生量が少なくなり、安定して電力量を供給することができなくなる。そこで、ボイラ22で発生する燃焼ガスの熱量に応じて、燃焼炉29におけるバイオガスの燃焼量を調整することで、再熱器を通して、蒸気発生量や蒸気温度を安定化させ、安定した電力量を供給させることができようになる。
またこの場合、再熱器31で蒸気を過熱した後の燃焼ガスはごみ焼却炉に供給される。
廃棄物処理システム600によれば、含水量が多い廃棄物を燃焼させるボイラ22であっても、安定して電力を供給することができる。
図7は、本発明の第7実施形態に係る廃棄物処理システム700の系統図である。廃棄物処理システム700は、上記の廃棄物処理システム200(図2参照)において、ガスエンジン17及び排熱回収ボイラ18に代えて、ボイラ22及び蒸気タービン23が備えられる。そして、貯蔵設備9に貯蔵されたバイオガスの燃焼エネルギを用いて、蒸気タービン23に供給される蒸気が過熱されるようになっている。
廃棄物処理システム700は、上記のようにボイラ22及び蒸気タービン23を備えるほか、メタン発酵装置16で得られたメタンを燃焼させるための燃焼炉29と、燃焼炉29で発生した燃焼ガスが供給される再熱器31とを備える。再熱器31により、ボイラ22から蒸気タービン23に供給される蒸気を過熱できる。また、再熱器31で蒸気を過熱した後の燃焼ガスはボイラ22に供給される。
廃棄物処理システム700によれば、燃料ペレットの燃焼により十分に高温になった蒸気を過熱して、上記の廃棄物処理システム600よりもさらに過熱状態の蒸気をボイラ22に供給できる。これにより、発電効率をさらに高めることができる。
図8は、本発明の第8実施形態に係る廃棄物処理システム800の系統図である。廃棄物処理システム800は、上記の廃棄物処理システム300(図3参照)において、ボイラ22での燃料ペレットの燃焼に加えて、ボイラ22と接続される燃焼炉29においても燃料ペレットが燃焼される。廃棄物処理システム700は、例えば、化石燃料を燃焼させるボイラ22を備える既設の火力発電所等に対し、廃棄物処理システム700を新設する場合に好適な形態である。
燃焼炉29は例えば流動床炉により構成され、燃焼炉29での燃料ペレットの完全燃焼により、燃焼排ガスが得られる。そして、この燃焼ガスを用いて、排熱回収ボイラ30によって蒸気が発生する。即ち、排熱回収ボイラ30では、燃料ペレット(燃料)を燃焼させるための流動床炉により構成された燃焼炉29での燃焼エネルギを用いて、蒸気が発生するようになっている。このようにすることで、流動床炉により、速やかに、かつ、燃焼ムラを抑制しながら燃料を燃焼できる。これにより、速やかに、かつ発生量のムラを抑制しながら蒸気を発生できる。
発生した蒸気は蒸気タービン23に供給される。一方で、排熱回収ボイラ30において蒸気を生成させた後の燃焼排ガスは、上記の乾燥装置12に供給される。そして、乾燥装置12において、燃料ペレットの燃焼により生じた燃焼排ガスを用いて、固液分離装置11で得られた固形の反応物の乾燥が行われる。
廃棄物処理システム800によれば、蒸気タービン23に供給される蒸気量を増加できる。これにより、発電効率を高めることができる。また、燃焼炉29で発生した燃焼排ガスを用いて固体の反応物の乾燥を行うことができる。
図9は、本発明の第8実施形態に係る廃棄物処理システム900の系統図である。廃棄物処理システム900は、燃料の燃焼を行うための流動床炉である燃焼炉29と、ボイラ22(蒸気発生装置)に供給される水を加熱するための給水加熱器33とを備える。そして、給水加熱器33は、流動床炉である燃焼炉29において発生した燃焼エネルギを用いて水を加熱するように構成される。従って、図9に示す廃棄物処理システム900は、上記の廃棄物処理システム800(図8参照)において、排熱回収ボイラ30から排出された燃焼排ガスは、乾燥装置12に供給されるほか、蒸気タービン23からボイラ22に戻る水を加熱するための給水加熱器33に供給される。
廃棄物処理システム900によれば、給水加熱器33によって温度が高められた水をボイラ22に供給することができる。これにより、蒸気発生量を増やすことができ、発電効率を高めることができる。また、流動床炉により、速やかに、かつ、燃焼ムラを抑制しながら燃料を燃焼できる。これにより、速やかに、かつ発生量のムラを抑制しながら蒸気を発生できる。
図10は、本発明の第10実施形態に係る廃棄物処理システム1000の系統図である。廃棄物処理システム1000は、上記の廃棄物処理システム100~900とは異なり、メタン発酵装置16を備えていない。そのため、固液分離装置11で分離された液体は、水処理装置43に供給される。水処理装置43では、供給された液体中の塩類等が凝集剤(図示しない)によって凝集される。これにより、液中の塩類等が除去されて、外部に排水される。また、凝集物は、汚泥処理装置44において乾燥される。そして、乾燥物の一部から液肥(液体肥料)が得られ、残部として残渣が得られる。残渣は、必要に応じて焼却処理される。
廃棄物処理システム1000によれば、廃棄物から液肥(コンポスト)を製造することができる。また、廃棄物の水熱処理後の反応物に由来し、塩分含有量が少ない燃料ペレットがボイラ22において焼却されるため、ボイラ22の腐食を抑制できる。
図11は、本発明の第11実施形態に係る廃棄物処理システム1100の系統図である。廃棄物処理システム1100は、上記の廃棄物処理システム1000(図10参照)と同様に、メタン発酵装置16を備えていない。そして、廃棄物処理システム1100は、上記の廃棄物処理システム400(図4参照)と同様に、ボイラ22,24及び蒸気タービン23,25(即ち、2つの発電装置)を備える。従って、例えば、ボイラ22で発生した水蒸気により蒸気タービン23を駆動させつつ、必要に応じてボイラ24で水蒸気を発生させて蒸気タービン25による発電を行うことができる。
廃棄物処理システム1100によれば、電力需要に応じて発電装置(ボイラ及び蒸気タービン)の使用台数を任意に変更できる。これにより、電力需要に応じて発電量を柔軟に変更でき、安定的な電力供給を行うことができる。
図12は、本発明の第12実施形態に係る廃棄物処理システム1200の系統図である。廃棄物処理システム1200は、上記の廃棄物処理システム1000(図10参照)と同様に、上記の廃棄物処理システム1000(図10参照)と同様に、メタン発酵装置16を備えていない。そして、廃棄物処理システム1100は、上記の廃棄物処理システム600(図6参照)と同様に、燃焼炉29及び再熱器31を備える。また、ボイラ22では、上記の廃棄物処理システム600と同様に、含水量が多い廃棄物が燃焼される。
廃棄物処理システム1200によれば、含水量が多い廃棄物を燃焼させるボイラ22であっても、過熱蒸気を製造することができ、発電効率を高めることができる。
図13は、本発明の第13実施形態に係る廃棄物処理システム1300の系統図である。廃棄物処理システム1300は、上記の廃棄物処理システム1000(図10参照)と同様に、メタン発酵装置16を備えていない。そして、廃棄物処理システム1300は、上記の廃棄物処理システム100(図1参照)と同様に、ガス化炉15、ガスエンジン17及び排熱回収ボイラ18を備える。
廃棄物処理システム1300では、固液分離装置11で分離された液体は、上記の水処理装置43において処理されるほか、例えば流動床炉により構成されるガス化炉15において、燃料ペレットとともに燃焼される。そのため、廃棄物処理システム1300によれば、水処理装置43における水処理量を減らすことができ、後段の汚泥処理装置44で生成する残渣量を減らすことができる。
図14は、本発明の第14実施形態に係る廃棄物処理システム1400の系統図である。廃棄物処理システム1400は、上記の廃棄物処理システム1000(図10参照)と同様に、メタン発酵装置16を備えていない。そして、廃棄物処理システム1400は、上記の廃棄物処理システム800(図8参照)と同様に、燃焼炉29及び排熱回収ボイラ30を備える。廃棄物処理システム1400では、燃焼炉29において、燃料ペレット(分級する前の乾燥物でもよい)のほか、廃棄物が燃焼される。
廃棄物処理システム1400によれば、蒸気タービン23に供給される蒸気量を増加できる。特に、燃焼炉29において廃棄物が燃焼されるため、上記の廃棄物処理システム800と比べて発熱量がさらに増加する。これにより、蒸気タービン23に供給される蒸気量をさらに増やすことができ、発電効率をさらに高めることができる。
図15は、本発明の第15実施形態に係る廃棄物処理システム1500の系統図である。廃棄物処理システム1500は、上記の廃棄物処理システム1000(図10参照)と同様に、メタン発酵装置16を備えていない。そして、廃棄物処理システム1500は、上記の廃棄物処理システム900(図9参照)と同様に、燃焼炉29と、排熱回収ボイラ30と、給水加熱器33とを備える。また、廃棄物処理システム1500では、燃焼炉29において、燃料ペレット(分級する前の乾燥物でもよい)のほか、廃棄物が燃焼される。
廃棄物処理システム1500によれば、給水加熱器33によって温度が高められた水をボイラ22に供給することができる。これにより、蒸気発生量を増やすことができ、発電効率を高めることができる。特に、燃焼炉29において廃棄物が燃焼されるため、上記の廃棄物処理システム800と比べて発熱量がさらに増加する。これにより、蒸気タービン23に供給される蒸気量をさらに増やすことができ、発電効率をさらに高めることができる。
図16は、本発明の第16実施形態に係る廃棄物処理システム1600の系統図である。廃棄物処理システム1600は、上記の廃棄物処理システム1000(図10参照)と同様に、メタン発酵装置16を備えていない。そして、水熱処理装置10で得られた反応物は、乾燥装置12によって乾燥されて乾燥物となった後、乾燥物は燃焼炉29で燃焼される。ただし、当該乾燥物から燃料ペレットを製造し、燃料ペレットを燃焼炉29で燃焼されるようにしてもよい。燃焼炉29で発生した燃焼エネルギから、排熱回収ボイラ30で蒸気が発生する。発生した蒸気は給水加熱器33に供給され、供給された蒸気により、蒸気タービン23で使用された蒸気が加熱される。そして、排熱回収ボイラ30から供給され、蒸気の加熱に使用された蒸気は、燃焼炉29に供給される。
また、廃棄物処理システム1600は、廃棄物を燃焼するためのボイラ22と、蒸気タービン23と、蒸気タービン23に接続された図示しない発電装置本体部とを備える。これらは、例えば、図示しない既設の火力発電所、ごみ焼却場等の設備に備えられたものである。そして、上記の排熱回収ボイラ30で発生した蒸気は蒸気タービン23に供給される。そして、蒸気タービン23で使用された後の水(低温の蒸気)は給水加熱器33で加熱され、再度蒸気タービン23で使用される。従って、蒸気タービン23に接続された発電装置本体部は、ボイラ22で発生した蒸気、及び、排熱回収ボイラ30で発生した蒸気の双方を用いて、発電するようになっている。
廃棄物処理システム1600によれば、例えば既設の設備に対して蒸気を供給することができる。これにより、廃棄物を用いて、既設の設備における発電量を増やすことができる。
図17は、本発明の第17実施形態に係る水熱処理装置10の断面図である。図17に示す水熱処理装置10は、上記の廃棄物処理システム100~1600において使用可能なものである。水熱処理装置10は、水熱処理を行うための本体部10Aと、本体部10Aと排出口102(反応物排出口)を介して連通される内部空間10Baを形成するためのバケット10Bとを備える。バケット10Bは、本体部10Aから排出された反応物を固液分離装置11に送るためのものでもある。
本体部10Aは、廃棄物を投入するための投入口101と、水熱処理後の反応物を排出するための排出口102と、水熱処理を行うための空間を内部に有し、当該内部空間を気密可能に構成された筐体103と、廃棄物を攪拌するための攪拌翼106を備える回転軸104と、回転軸104を回転させるためのモータ105とを備える。また、筐体103は、筐体103の内部に蒸気を注入するための蒸気供給口107と、筐体103の内部から蒸気を排出するための蒸気排出口108とを備える。さらに、上記の投入口101にはホッパ109が備えられ、上記の排出口102にもホッパ110が備えられる。
バケット10Bは、内部を気密に構成されるとともに水121を貯留した貯水部120と、貯水部120の水121に浸たるように配置されたコンベア122と、排出口102を通じてバケット10Bの内部に入り込んだガスを抜き出すためのガス抜出し口123とを備える。そして、バケット10Bのガス抜出し口123には、内部空間10Baに存在するガスを内部空間10Baの外部に排出するための排出管(図示しない)が接続される。この排出管は、例えば、図示しない排ガス処理装置に接続される。
本体部10Aでの水熱処理により、本体部10Aの内部で、廃棄物中の例えば窒素に由来するアンモニア等が発生し得る。そこで、排出口102を通じて内部空間10Baに入り込んだアンモニア等のガスは、ガス抜出し口123を通じて、内部空間10Baの外部に抜き出される。そして、アンモニア等のガスは、例えば、図示しない排ガス処理装置等において排ガス処理される。このようにすることで、本体部10Aから反応物を取り出す際に、バケット10Bに排気されたガス(例えばアンモニア等)を大気中に排出することを抑制できる。
また、バケット10Bにおいて、水121の水面下には、本体部10Aの排出口102が配置される。また、コンベア122は、図17では図示しない固液分離装置11に接続される。従って、本体部10Aでの水熱処理により得られた反応物は、コンベア122により、固液分離装置11に運ばれる。
図18は、本発明の第18実施形態に係る水熱処理装置10の断面図である。この図18に示す水熱処理装置10は、上記の図17に示した水熱処理装置10において、水121を収容していない形態である。このような水121を収容していない水熱処理装置10によっても、水熱処理によって反応物を得ることができる。
ここで、上記の例えば廃棄物処理システム100(図1参照)を参照しながら説明したように、水熱処理装置10で得られた反応物を乾燥及び成形した燃料ペレット(成形前の乾燥物でもよい)は、ガス化炉15等で燃焼される。そのため、安定的な燃焼を行う観点から、燃料ペレットの含水量は、燃料ペレットの時期によらず同程度であることが好ましい。これにより、ガス化炉15で燃料ペレットを燃焼させた際、含水量が極端に異なることに起因する発熱量の大幅な変化を抑制できる。
しかし、廃棄物は、予め含水量を制御可能なものではなく、収集の時間帯、季節、場所等によって異なる。また、通常、廃棄物は、いずれも図示しないが、例えばピット等いったん入れられて、廃棄物は、このピットからクレーン等によって水熱処理装置10に運ばれる。そして、水熱処理装置10に運ばれる廃棄物の含水量は、クレーン等によるピット内部の採取場所によっても異なる。
そこで、廃棄物処理システム100~1600においては、乾燥後に得られる燃料ペレットの含水量を同程度にするために、廃棄物又は乾燥前の反応物のうちの少なくとも一方の含水量が調整されることが好ましい。これにより、乾燥装置12における乾燥条件を反応物ごとに変える必要が無く、安定的に乾燥物を得ることができる。
廃棄物又は乾燥前の反応物のうちの少なくとも一方の含水量の調整のため、まず、廃棄物の含水量が予測される。廃棄物の含水量の予測は、例えば以下のようにして行うことができる。具体的には、例えば、廃棄物を貯蔵したピットの側面からスペクトルカメラ等によって撮影することで、ピット内部の廃棄物の含水量を予測できる。また、例えば、クレーン等でピットから廃棄物を採取した際に、採取した廃棄物の体積と、当該体積から予測される有機廃棄物の乾燥重量とに基づいて、採取した廃棄物の含水量を予測できる。
そして、予測された廃棄物の量に基づいて、乾燥装置12に供給される固体(より具体的には、固液分離装置11に供給される反応物)における含水量を同程度になるように、水熱処理装置10において水分量の調整が行われる。具体的には例えば、廃棄物の含水量が少ない場合には、例えば、ピット内部に水を入れたり、ピットから投入口101に廃棄物を運ぶためのコンベア上で水を吹き付けてもよいし、投入口101に廃棄物を入れる際に一緒に水を入れるようにしてもよい。
さらには、例えば、本体部10Aの内部に直接水を入れてもよい。この場合、例えば、投入口101を密閉するために本体部10Aに備えられたボール弁のパッキン(図示しない)を洗浄するための水を、投入口101を通じて本体部10Aの内部に入れるようにしてもよい。これにより、水分を調整できるとともに、パッキンを洗浄でき、本体部10Aの内部をボール弁により気密にできる。
また、水分調整は、例えば、排出口102から排出された反応物について、バケット10Bにおいて行うようにしてもよい。特に、バケット10Bに行うようにすることで、反応物の流動性を高め、固液分離装置11に反応物を運びやすくできる。
なお、この図18及び上記の図17に示す水熱処理装置10は、いずれもバッチ式の水熱処理装置である。水熱処理装置には、大きな廃棄物もそのまま投入することができる例えば400~600mmの投入口を含む。例えば、バッチ式の水熱処理装置10を使用することで、廃棄物を収集するための車両(図示しない)からそのまま水熱処理装置10に廃棄物を投入でき、廃棄物処理システム100~1600のピットレス化を図ることができる。
図19は、複数の単位水熱処理装置10a~10dを併用した際の蒸気の流れを示す図である。図19に示すように、水熱処理装置10が、第1単位水熱処理装置10aと、第2単位水熱処理装置10bと、第3単位水熱処理装置10cと、第4単位水熱処理装置10dとを含む。ただし、水熱処理装置10は2つ又は3つでもよく、5つ以上でもよい。
これらの水熱処理装置10は、直列に接続される。具体的には例えば、第1単位水熱処理装置10a(第1単位水熱処理装置)の蒸気排出口108(図19では図示しない)と、第2単位水熱処理装置10b(第2単位水熱処理装置)の蒸気供給口107とは配管(図示しない)により接続される。このようにすることで、第1単位水熱処理装置10aで使用した蒸気を、第2単位水熱処理装置10bで使用できる。これにより、新たな蒸気の使用量を削減できる。
例えば、第1単位水熱処理装置10aにおいて、廃棄物を投入して蒸気を供給することで、水熱処理が行われる。そして、水熱処理後には、反応物は第1単位水熱処理装置10aから抜きだされ、後段の固液分離装置11に供給される。一方で、第1単位水熱処理装置10aにおいて使用された蒸気は、蒸気排出口108を通じて第1単位水熱処理装置10aから抜き出される。そして、抜き出された蒸気は、第2単位水熱処理装置10bの蒸気供給口107を通じて、第2単位水熱処理装置10bの内部に供給される。このとき、供給された蒸気量が水熱処理に必要な蒸気量に満たないときには、必要に応じて蒸気の追加が行われる。これにより、第2単位水熱処理装置10bでは、第1単位水熱処理装置10aから供給された蒸気を再利用して、水熱処理が行われる。同様にして、第3単位水熱処理装置10c及び第4単位水熱処理装置10dにおいても、蒸気を再利用しながら、水熱処理が行われる。
図20は、複数の単位水熱処理装置10を併用した際の各単位水熱処理装置10における作用を説明するための図である。図20に示す例では、上記の図19に示すように、4つの水熱処理装置10(第1単位水熱処理装置10a、第2単位水熱処理装置10b、第3単位水熱処理装置10c及び第4単位水熱処理装置10d)を併用することで、水熱処理装置10が構成される。図20においては、水熱処理装置10の起動時の様子を示している。
まず、4つの水熱処理装置10のうち、第1単位水熱処理装置10a及び第3単位水熱処理装置10cのそれぞれに、廃棄物が投入される(図20(a))。そして、廃棄物の投入後、第1単位水熱処理装置10a及び第3単位水熱処理装置10cのそれぞれに蒸気が供給される(図20(b))。これにより、第1単位水熱処理装置10a及び第3単位水熱処理装置10cでは、廃棄物の水熱処理が行われる。
なお、第2単位水熱処理装置10b及び第4単位水熱処理装置10dでは、図20(a)及び図20(b)に示す時点では特段の操作は行われない。しかし、第1単位水熱処理装置10a及び第3単位水熱処理装置10cにおいて水熱処理開始のとき、即ち、図20(c)に示すときに、第2単位水熱処理装置10b及び第4単位水熱処理装置10dに対しても廃棄物が投入される。
一方で、第1単位水熱処理装置10a及び第3単位水熱処理装置10cにおいて水熱処理が終了すると、第1単位水熱処理装置10a及び第3単位水熱処理装置10cで使用された蒸気が、第2単位水熱処理装置10b及び第4単位水熱処理装置10dのそれぞれ供給される(図20(d))。そして、第1単位水熱処理装置10a及び第3単位水熱処理装置10cの筐体(図示しない)から反応物が取り出される(図20(e))。
これとともに、第1単位水熱処理装置10a及び第3単位水熱処理装置10cからの蒸気供給時における漏出等により失われた蒸気、即ち不足分の蒸気が、追加蒸気として第2単位水熱処理装置10b及び第4単位水熱処理装置10dに供給される(図20(e))。そして、第2単位水熱処理装置10b及び第4単位水熱処理装置10dでは、水熱処理が開始される(図20(f))。一方で、反応物が取り出されることで内部が空になった第1単位水熱処理装置10a及び第3単位水熱処理装置10cには、新たに廃棄物が投入される(図20(f))。
図21は、図20に示す各単位水熱処理装置10の内圧変化を示すタイムチャートである。図21に示す(a)~(f)は、上記の図20に示す(a)~(f)に対応する。上記のように、第1単位水熱処理装置10aと第3単位水熱処理装置10cとは、同じタイミングで駆動する。従って、第1単位水熱処理装置10aの内圧と、第3単位水熱処理装置10cの内圧とも、同じようにタイミングで変化する。一方で、第2単位水熱処理装置10bと第4単位水熱処理装置10dとも、同じタイミングで駆動する。従って、第2単位水熱処理装置10bの内圧と、第4単位水熱処理装置10dの内圧とも、同じようにタイミングで変化する。
図21(a)に示すように、廃棄物投入時の第1単位水熱処理装置10a及び第3単位水熱処理装置10cの内圧は大気圧である。また、この時点ではまだ駆動していない第1単位水熱処理装置10a及び第3単位水熱処理装置10cにおいても、その内圧は大気圧である。そして、廃棄物を投入した第1単位水熱処理装置10a及び第3単位水熱処理装置10cに蒸気を注入することで、第1単位水熱処理装置10a及び第3単位水熱処理装置10cの内圧は圧力Prに上昇し、この圧力Prで水熱処理が進行する(図21(b)及び(c))。なお、この圧力Prは、水熱処理を生じさせることが可能な圧力である。
一方で、第2単位水熱処理装置10bと第4単位水熱処理装置10dにおいては、廃棄物の投入後(図20(c))、第1単位水熱処理装置10a及び第3単位水熱処理装置10cからの蒸気注入により、内圧がPrに上昇する(図21(d))。しかし、上記のように、第1単位水熱処理装置10a及び第3単位水熱処理装置10cから第2単位水熱処理装置10b及び第4単位水熱処理装置10dへの蒸気供給の際、例えば漏出等により、第1単位水熱処理装置10a及び第3単位水熱処理装置10cで使用された蒸気の全てが供給されるわけではない。
そこで、第2単位水熱処理装置10b及び第4単位水熱処理装置10dには、水熱処理に使用される量になるまで、追加蒸気の注入が行われる(図21(d))。蒸気供給後、第1単位水熱処理装置10a及び第3単位水熱処理装置10cから、反応物が排出される(図20(e))。そして、第1単位水熱処理装置10a及び第3単位水熱処理装置10cの内部温度が十分に低下後、投入口101が開けられ、新たな廃棄物が投入される(図20(f))。特に、これらの内部温度が十分に低下後に投入口101が開けられることで、内部が負圧になり、投入口101を通じた、内部のガス(例えばアンモニア)の外部への放出が抑制される。一方で、第2単位水熱処理装置10b及び第4単位水熱処理装置10dでは、廃棄物の水熱処理が進行する(図20(f))。
以上の図20及び図21を参照しながら説明した駆動を繰り返すことで、複数の水熱処理装置10における複数の水熱処理が同時に進行する。これにより、廃棄物の水熱処理量を増やし、反応物の生成量を増やすことができる。この結果、廃棄物の効率的な処理を行うことができる。
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る廃棄物処理システムは、
廃棄物の水熱処理を行うための廃棄物処理システムであって、
前記廃棄物への蒸気の接触により前記水熱処理を行うための少なくとも1つの水熱処理装置と、
前記水熱処理の反応物の固体から固形の燃料を製造するための燃料製造装置と、
前記反応物の液体をメタン発酵させてバイオガスを生成させるためのメタン発酵装置と、
前記燃料を貯蔵するための第1貯蔵設備と、
前記バイオガスを貯蔵するための第3貯蔵設備と、
前記水熱処理装置に供給される前記蒸気を発生させるための少なくとも2つの蒸気発生装置と、
を備え、
前記少なくとも1つの水熱処理装置は、
内部に蒸気が注入される筐体と、
前記筐体内に前記廃棄物を投入する投入口と、
前記筐体から前記反応物を排出する排出口と、
を備えるバッチ式の水熱処理装置であり、
前記少なくとも2つの蒸気発生装置は、
前記第1貯蔵設備に貯蔵された前記燃料の燃焼により発生した燃焼エネルギを用いて前記蒸気を発生させる第1蒸気発生装置と、
前記第3貯蔵設備に貯蔵された前記バイオガスの燃焼により発生した燃焼エネルギを用いて前記蒸気を発生させる第2蒸気発生装置と
を含むことを特徴とする。
上記(1)の構成によれば、廃棄物量に応じて蒸気量を変更可能な廃棄物処理システムを提供でき、水熱処理の反応物を乾燥させて、燃焼し易い固形の燃料を製造でき、固形の燃料と、水熱処理の反応物から生成したバイオガスとの双方を貯蔵できる。
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記廃棄物処理システムは、
前記固形の前記燃料をガス化させて燃料ガスを生成させるためのガス化炉と、
前記ガス化炉で生成した燃料ガスを貯蔵するための第2貯蔵設備と
を備えることを特徴とする。
上記(2)の構成によれば、固形の燃料と、固形の燃料から生成した燃料ガスとの双方を貯蔵できる。
(3)本発明の少なくとも一実施形態に係る廃棄物処理システムは、
廃棄物の水熱処理を行うための廃棄物処理システムであって、
前記廃棄物への蒸気の接触により前記水熱処理を行うための少なくとも1つの水熱処理装置と、
前記反応物の液体をメタン発酵させてバイオガスを生成させるためのメタン発酵装置と、
前記メタン発酵装置で得られた発酵物中の固体への蒸気の接触により水熱処理を行うための第2水熱処理装置と、
前記水熱処理の反応物及び前記第2水熱処理装置での水熱処理の第2反応物から製造された燃料を貯蔵する第1貯蔵設備と、
前記バイオガスを貯蔵するための第3貯蔵設備と、
前記少なくとも1つの水熱処理装置に供給される前記蒸気を発生させるための少なくとも1つの蒸気発生装置と、
を備え、
前記蒸気発生装置は、前記第1貯蔵設備に貯蔵された前記燃料又は前記第3貯蔵設備に貯蔵された前記バイオガスの燃焼により発生した燃焼エネルギを用いて、前記蒸気を発生させるように構成されたことを特徴とする。
上記(3)の構成によれば、第2水熱処理装置により、発酵物についてさらなる水熱処理を行うことができる。これにより、前記発酵物が微細化され、脱水効率が向上し、第2水熱処理装置での水熱処理後の第2処理物を固体と液体とに分離し易くでき、燃料を製造し易くできる。
(4)幾つかの実施形態では、上記(3)の構成において、
前記第2水熱処理装置は、前記第2水熱処理装置での水熱処理により得られた第2反応物を乾燥させるように構成されたことを特徴とする。
上記(4)の構成によれば、水熱処理により得られた第2反応物を、水熱処理を行った第2水熱処理装置自身で乾燥できる。
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)~(4)の何れか1の構成において、
前記廃棄物処理システムは、前記燃料又は前記バイオガスの燃焼により発生した燃焼エネルギを用いて発電を行うための発電装置を備えることを特徴とする。
上記(5)の構成によれば、廃棄物処理システムで製造された燃料を用いて発電できる。
(6)幾つかの実施形態では、上記(5)の構成において、
前記発電装置は、蒸気タービンと、前記蒸気タービンに接続された発電機本体部とを含み、
前記蒸気タービンは、前記蒸気発生装置において発生した蒸気のうちの少なくとも一部によって駆動するように構成されたことを特徴とする。
上記(6)の構成によれば、蒸気が蒸気タービンを駆動させて、蒸気タービンに接続された発電機本体部により発電できる。
(7)幾つかの実施形態では、上記(5)の構成において、
前記発電装置は、ガスエンジンと、前記ガスエンジンに接続された発電機本体部とを含み、
前記蒸気発生装置は、前記ガスエンジンの排熱で、蒸気を発生するように構成されたことを特徴とする。
(8)幾つかの実施形態では、上記(5)~(7)の何れか1の構成において、
前記廃棄物処理システムは、前記燃料の燃焼により発生した燃焼エネルギを用いて発電を行うための発電装置を備え、
前記廃棄物処理システムは、前記第1蒸気発生装置を2つ備え、
前記発電装置は、2つの前記第1蒸気発生装置で発生した蒸気のそれぞれによって駆動される第1発電装置と第2発電装置とを含むことを特徴とする。
上記(8)の構成によれば、電力需要に応じて発電装置の使用台数を任意に変更できる。これにより、電力需要に応じて発電量を柔軟に変更でき、安定的な電力供給を行うことができる。
(9)幾つかの実施形態では、上記(5)~(8)の何れか1の構成において、
前記廃棄物処理システムは、前記燃料の燃焼を行うための燃焼炉を備え、
前記第1蒸気発生装置は、前記燃焼炉で発生した燃焼エネルギを用いて蒸気を発生させるように構成されたことを特徴とする。
上記(9)の構成によれば、燃焼炉により、速やかに、かつ、燃焼ムラを抑制しながら燃料を燃焼できる。これにより、速やかに、かつ発生量のムラを抑制しながら蒸気を発生できる。
(10)幾つかの実施形態では、上記(9)の構成において、
前記燃焼炉は流動床炉により構成されていることを特徴とする。
上記(10)の構成によれば、流動床炉により、速やかに、かつ、燃焼ムラを抑制しながら燃料を燃焼できる。これにより、速やかに、かつ発生量のムラを抑制しながら蒸気を発生できる。
(11)幾つかの実施形態では、上記(1)~(10)の何れか1の構成において、
前記少なくとも1つの水熱処理装置は、2つの水熱処理装置を備え、該2つの水熱処理装置はそれぞれ蒸気供給口及び蒸気排出口を備え、
前記2つの水熱処理装置の一方の前記蒸気排出口と、前記2つの水熱処理装置の他方の前記蒸気供給口とは配管により接続されることを特徴とする。
上記(11)の構成によれば、2つの水熱処理装置のうち一方で使用した蒸気を、他方の水熱処理装置で使用できる。これにより、新たな蒸気の使用量を削減できる。
(12)幾つかの実施形態では、上記(3)又は(4)の構成において、
前記少なくとも1つの水熱処理装置は、バッチ式の水熱処理装置を含むことを特徴とする。
上記(12)の構成によれば、例えば、廃棄物を収集するための車両(図示しない)からそのまま水熱処理装置に廃棄物を投入でき、廃棄物処理システムのピットレス化を図ることができる。
(13)本発明の少なくとも一実施形態に係る廃棄物処理方法は、
廃棄物の水熱処理を行うための廃棄物処理方法であって、
前記廃棄物への蒸気の接触により前記水熱処理を行う水熱処理ステップと、
前記水熱処理の反応物の固体から固形の燃料を製造するための燃料製造ステップと、
前記反応物の液体をメタン発酵させてバイオガスを生成させるためのメタン発酵ステップと、
前記燃料及び前記バイオガスを貯蔵する貯蔵ステップと、
前記水熱処理ステップで使用される前記蒸気を発生させるための蒸気発生ステップと、
を含み、
前記蒸気発生ステップは、前記貯蔵ステップで貯蔵された前記燃料の燃焼により発生した燃焼エネルギを用いて、前記蒸気を発生させ、
前記燃料は第1貯蔵設備に貯蔵され、前記バイオガスは、前記第1貯蔵設備とは別の第3貯蔵設備に貯蔵され、
前記水熱処理が行われる少なくとも1つの水熱処理装置は、
内部に蒸気が注入される筐体と、
前記筐体内に前記廃棄物を投入する投入口と、
前記筐体から前記反応物を排出する排出口と、
を備えるバッチ式の水熱処理装置であり、
前記蒸気発生ステップは、
前記第1貯蔵設備に貯蔵された前記燃料の燃焼により発生した燃焼エネルギを用いて前記蒸気を発生させることと、
前記第3貯蔵設備に貯蔵された前記バイオガスの燃焼により発生した燃焼エネルギを用いて前記蒸気を発生させることと
を含むことを特徴とする。
上記(13)の構成によれば、廃棄物量に応じて蒸気量を変更可能な廃棄物処理方法を提供でき、水熱処理の反応物を乾燥させて、燃焼し易い固形の燃料を製造でき、固形の燃料と、水熱処理の反応物から生成したバイオガスとの双方を貯蔵できる。
(14)本発明の少なくとも一実施形態に係る廃棄物処理方法は、
廃棄物の水熱処理を行うための廃棄物処理方法であって、
前記廃棄物への蒸気の接触により前記水熱処理を行う水熱処理ステップと、
前記水熱処理の反応物の液体をメタン発酵させてバイオガスを生成させるためのメタン発酵ステップと、
前記メタン発酵装置で得られた発酵物中の固体への蒸気の接触により水熱処理を行うための第2水熱処理ステップと、
前記水熱処理ステップ及び前記第2水熱処理ステップでのそれぞれの前記水熱処理の反応物から製造された燃料を貯蔵するステップと、
前記水熱処理ステップで使用される前記蒸気を発生させるための蒸気発生ステップと、
を含み、
前記蒸気発生ステップは、前記貯蔵ステップで貯蔵された前記燃料の燃焼により発生した燃焼エネルギを用いて、前記蒸気を発生させることを特徴とする。
上記(14)の構成によれば、第2水熱処理ステップにより、発酵物についてさらなる水熱処理を行うことができる。これにより、前記発酵物が微細化され、脱水効率が向上し、第2水熱処理ステップでの水熱処理後の第2処理物を固体と液体とに分離し易くでき、燃料を製造し易くできる。