JP7100226B2 - 配分装置、配分方法、プログラム - Google Patents

配分装置、配分方法、プログラム Download PDF

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Description

本発明は、配分装置、配分方法、プログラムに関し、特に、複数の入力に応じた出力が存在する環境において、配分対象となる合計値を各入力に配分する配分装置、配分方法、プログラムに関する。
マーケティングコストを効率的に配分するため、複数の媒体に対して行う広告費(媒体費)と、広告に応じた売上高と、の関係を推定することがある。このような推定を行う際には、売上と媒体費との関係に強い過程を置き、パラメトリックに推定することが一般的である。
このようなパラメトリックな推定を行う際に用いられる技術として、例えば、特許文献1がある。特許文献1には、変数決定モジュールと、想定決定モジュールと、モデル生成器と、モデル評価モジュールと、を含むシステムが記載されている。特許文献1によると、変数決定モジュールが変数を決定するとともに、想定決定モジュールが想定を決定する。そして、変数および想定をテストする。また、システムは、1つ以上の想定または変数に対する修正を加えてテストを繰り返す。そして、システムは、テストの結果に基づいて最終モデルを決定する。
特開2011-18331
複数の媒体への広告費投入を行っている場合、特許文献1に記載されているようなシステムが適用される場面において観察される売上は、複数の媒体への広告費投入の結果として生じる。ここで、投下費用に対する売上の効率を最大化するためには、売上を媒体ごとの投資効果に分離する必要がある。しかしながら、パラメトリックな手法を用いた場合、個々の媒体に分解して寄与度を算出するためには、予め個々の媒体の投入費用と売り上げの関係式を仮設ベースで与える必要があり、困難である。
このように、パラメトリックな手法を用いた場合、売上を媒体ごとの投資効果に分離することが難しかった。その結果、売上を最大化するための個々の媒体に対する費用配分を算出することが難しい、という問題が生じていた。つまり、複数の入力である媒体費に応じた出力である売上高が存在する環境において、売上高を効率的にあげるために予算を各媒体に配分することが難しい、という問題が生じていた。
そこで、本発明の目的は、複数の入力に応じた出力が存在する環境において、配分対象となる合計値を適切に各入力に配分することが難しい、という問題を解決する配分装置、配分方法、プログラムを提供することにある。
かかる目的を達成するため本発明の一形態である配分装置は、
複数の入力に応じた出力が存在する環境において、配分対象となる合計値を各入力に配分する配分装置であって、
複数の入力の合計と出力との関係を示す複数のDMU(Decision Making Unit)から効率的フロンティア上のDMUを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段が抽出したDMUの少なくとも一部に基づいて平滑化を行う平滑化手段と、
前記平滑化手段による平滑化の結果に基づいて複数の入力に対する合計値の配分を算出する配分算出手段と、
を有する
という構成をとる。
また、上記配分装置では、
前記抽出手段が抽出したDMUのうちの少なくとも一部のDMUを選択する選択手段を有し、
前記平滑化手段は、前記選択手段が選択したDMUに基づいて平滑化を行う
という構成をとる。
また、上記配分装置では、
前記選択手段は、
前記抽出手段が抽出したDMUを頂点とする複数の領域に分割する分割手段と、
前記分割手段が分割した領域のうち、前記合計値に基づくベクトルが属する領域を判定して、判定した領域の頂点であるDMUを選択する判定手段と、
を有し、
前記平滑化手段は、前記判定手段が判定した領域の頂点であるDMUに基づいて平滑化を行う
という構成をとる。
また、上記配分装置では、
前記分割手段は、ドロネー三角形分割によって前記抽出手段が抽出したDMUを頂点とする複数の領域に分割する
という構成をとる。
また、上記配分装置では、
前記平滑化手段は、前記判定手段が判定した領域の頂点であるDMUを含む超平面を算出することで平滑化を行う
という構成をとる。
また、上記配分装置では、
前記判定手段は、前記分割手段が分割した領域の重心を算出し、算出した重心と前記合計値に基づくベクトルとの距離が近い領域から、前記合計値に基づくベクトルが領域に属するか否か判定する
という構成をとる。
また、上記配分装置では、
前記配分算出手段は、前記平滑化手段による平滑化の結果に、過去に行われた入力の割合で前記合計値を複数の入力に配分した値を代入して推定出力値を算出し、算出した推定出力値が最も高い値となる割合で前記合計値を各入力に配分することを算出する
という構成をとる。
また、上記配分装置では、
前記抽出手段は、非凸状のフロンティアを表現可能なFDH(Free Disposal Hull)による効率的フロンティア上のDMUを抽出する
という構成をとる。
また、本発明の他の形態である配分方法は、
複数の入力に応じた出力が存在する環境において、配分対象となる合計値を各入力に配分する配分装置が、
複数の入力の合計と出力との関係を示す複数のDMU(Decision Making Unit)から効率的フロンティア上のDMUを抽出し、
抽出したDMUの少なくとも一部に基づいて平滑化を行い、
平滑化の結果に基づいて複数の入力に対する合計値の配分を算出する
という構成をとる。
また、本発明の他の形態であるプログラムは、
複数の入力に応じた出力が存在する環境において、配分対象となる合計値を各入力に配分する配分装置に、
複数の入力の合計と出力との関係を示す複数のDMU(Decision Making Unit)から効率的フロンティア上のDMUを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段が抽出したDMUの少なくとも一部に基づいて平滑化を行う平滑化手段と、
前記平滑化手段による平滑化の結果に基づいて複数の入力に対する合計値の配分を算出する配分算出手段と、を実現させるためのプログラムである。
本発明は、以上のように構成されることにより、複数の入力に応じた出力が存在する環境において、配分対象となる合計値を適切に各入力に配分することが難しい、という問題を解決する配分装置、配分方法、プログラムを提供することが可能となる。
本発明の第1の実施形態にかかる予算配分装置の構成の一例を示すブロック図である。 図1で示す売上高・媒体費情報の一例を示す図である。 効率的フロンティア上のDMUを抽出する処理の一例を説明するための図である。 ドロネー三角形分割処理の一例を説明するための図である。 ドロネー三角形分割について説明するための図である。 過去のDMU(実績値)と、実績値に基づく配分比(ウェイト)と、配分額ベクトルとの関係の一例を示している。 配分額ベクトルが属する三角形を判定する処理を説明するための図である。 本発明の第1の実施形態における配分装置による処理の一例を示すフローチャートである。 図8で示すステップS103の処理の詳細な一例を示すフローチャートである。 図8で示すステップS105の処理の詳細な一例を示すフローチャートである。 実施例において説明する、4つのモデルの推定の精度の例を示す表である。 DMUの数が与える影響の一例を示す表である。 本発明の第2の実施形態にかかる配分装置の構成の一例を示すブロック図である。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態を図1から図12までを参照して説明する。図1は、予算配分装置1の構成の一例を示すブロック図である。図2は、売上高・媒体費情報141の一例を示す図である。図3は、効率的フロンティア上のDMUを抽出する処理の一例を説明するための図である。図4は、ドロネー三角形分割処理の一例を説明するための図である。図5は、ドロネー三角形分割について説明するための図である。図6は、過去のDMU(実績値)と、実績値に基づく配分比(ウェイト)と、配分額ベクトルとの関係の一例を示している。図7は、配分額ベクトルが属する三角形を判定する処理を説明するための図である。図8は、予算配分装置1による処理の一例を示すフローチャートである。図9は、図8で示すステップS103の処理の詳細な一例を示すフローチャートである。図10は、図8で示すステップS105の処理の詳細な一例を示すフローチャートである。図11は、4つのモデルの推定の精度の例を示す表である。図12は、DMUの数が与える影響の一例を示す表である。
第1の実施形態では、複数の入力である媒体費に応じた出力である売上高が存在する環境において、効率的に高い売上高を実現するために合計値である予算を各媒体に配分する配分装置である予算配分装置1について説明する。予算配分装置1は、各広告媒体に過去に実際に投下された媒体費と、各媒体に媒体費を投下した際の売上高と、の関係を示すDMU(Decision Making Unit)を記憶している。後述するように、予算配分装置1は、記憶しているDMUから効率的フロンティア上のDMUを抽出する。また、予算配分装置1は、抽出したDMUを頂点とする複数の領域に分割するとともに、予め与えられた予算に基づくベクトルが分割した領域のいずれに属するか判定する。そして、予算配分装置1は、属する領域の頂点となるDMUを含む超平面を算出することで平滑化を行う。予算配分装置1は、このようにして平滑化した結果に基づいて、各媒体に対する予算の配分を算出する。なお、広告媒体には、例えば、テレビCM(commercial message)、ウェブ広告、チラシなどの紙媒体、などが想定される(例示した以外であっても構わない)。
図1は、予算配分装置1の構成の一例を示している。図1を参照すると、予算配分装置1は、主な構成要素として、通信I/F部11と、操作入力部12と、画面表示部13と、記憶部14と、演算処理部15と、を有している。
通信I/F部11は、専用のデータ通信回路からなる。通信I/F部11は、通信回線を介して接続された外部装置との間でデータ通信を行う。
操作入力部12は、キーボードやマウスなどの操作入力装置からなる。操作入力部12は、予算配分装置1を操作するオペレータの操作を検出して演算処理部15に出力する。
画面表示部13は、LCD(Liquid Crystal Display)などの画面表示装置からなる。画面表示部13は、演算処理部15からの指示に応じて、最適配分算出部155が算出した最適配分を示す情報などを画面表示する。
記憶部14は、ハードディスクやメモリなどの記憶装置である。記憶部14は、演算処理部15における各種処理に必要な処理情報やプログラム146を記憶する。プログラム146は、演算処理部15に読み込まれて実行されることにより各種処理部を実現するプログラムである。プログラム146は、通信I/F部11などのデータ入出力機能を介して外部装置(図示せず)や記憶媒体(図示せず)から予め読み込まれ、記憶部14に保存されている。記憶部14で記憶される主な情報としては、売上高・媒体費情報141と、抽出DMU情報142と、判定結果情報143と、算出結果情報144と、最適配分情報145と、がある。
売上高・媒体費情報141は、各媒体に対する媒体費と、売上高と、を対応付けた情報である。例えば、売上高・媒体費情報141は、実際に過去に投下された各媒体に対する広告費を示す媒体費と、実際の売上高と、の関係を示している。換言すると、売上高・媒体費情報141は、過去の実績値を示している。
図2は、売上高・媒体費情報141の一例を示している。例えば、図2の1行目では、売上高「Y」と、複数の媒体費(媒体費A「XA-1」、媒体費B「XB-1」、……)と、が対応付けられている。ここで、図2で示す例では、表中の各レコードがDMUを示している。つまり、図2の1行目は、媒体Aに対する投下額が「XA-1」、媒体Bに対する投下額が「XB-1」、……、であった際の売上高が「Y」であることを示すDMUを表している。
売上高・媒体費情報141は、通信I/F部11などを介して外部装置から予め入力されている。売上高・媒体費情報141は、操作入力部12を用いてオペレータにより入力されても構わない。
なお、売上高・媒体費情報141は、複数の媒体費を含むことが出来る。本実施形態においては、売上高・媒体費情報141が含む媒体費の種類数(入力の次元数)は、特に限定しない。売上高・媒体費情報141が含む媒体費の種類数は、2つでも構わないし、10、20など3以上の複数でも構わない。
抽出DMU情報142は、DMU抽出部151が抽出した効率的フロンティア上のDMUを示す情報である。後述するように、DMU抽出部151は、上述した売上高・媒体費情報141に含まれるDMUのうちの効率的フロンティア上のDMUを抽出する。従って、抽出DMU情報142が示す効率的フロンティア上のDMUは、売上高・媒体費情報141に含まれるDMUのうちの少なくとも一部に相当する。
判定結果情報143は、所属領域判定部153により判定される領域を示す情報である。判定結果情報143は、例えば、領域を構成する各頂点のDMUを示している。
後述するように、所属領域判定部153は、ドロネー三角形分割部152がドロネー三角形分割によって分割した領域のうちの配分額ベクトルが属する領域を判定する。従って、例えば、DMUに含まれる媒体費が2種類の場合(入力が2次元の場合)、ドロネー三角形分割部152が分割した3角形の各頂点に相当するDMUを示すため、判定結果情報143は、3つのDMUを示すことになる。同様に、例えば、DMUに含まれる媒体費が3種類の場合、ドロネー三角形分割部152は三角錐の領域に分割する。そのため、判定結果情報143は、4つのDMUを示す。以下、同様に、入力がm次元の場合、判定結果情報143は、m+1個のDMUを示す。以上のように、判定結果情報143が示すDMUは、抽出DMU情報142に含まれるDMUのうちの少なくとも一部に相当する。
算出結果情報144は、超平面算出部154による算出結果を示す情報である。例えば、算出結果情報144は、DMUに含まれる媒体費が2種類である場合、ax1+bx2+cy+d=0の式を示す。なお、a、b、cは、超平面算出部154が算出する値であり、dは定数である。超平面算出部154がa、b、cを算出する処理の詳細は後述する。
なお、例えば、DMUに含まれる媒体費が3種類である場合、算出結果情報144は、ax1+bx2+cx3+dy+e=0の式を示す。このように、算出結果情報144が示す式は、DMUに含まれる媒体費の種類が増える(入力の次元が増える)ほど、当該式に含まれる項の数が増えることになる。
最適配分情報145は、最適配分算出部155により算出される、予算を各媒体に配分した値を示す情報である。最適配分情報145は、例えば、上記算出結果情報144が示す式に後述する候補DMUの値x1、x2、……、を代入することで算出したyのうちのもっとも大きな値yと、最も大きな値yに対応するx1、x2、……、を示す。なお、yが売上(出力)に相当し、x1、x2、……、が各媒体に対する配分額に相当する。最適配分算出部155の処理の詳細は後述する。
演算処理部15は、MPU(microprocessor)などのマイクロプロセッサとその周辺回路を有し、記憶部14からプログラム146を読み込んで実行することにより、上記ハードウェアとプログラム146とを協働させて各種処理部を実現する。演算処理部15で実現される主な処理部としては、DMU抽出部151(抽出手段)と、ドロネー三角形分割部152(分割手段)と、所属領域判定部153(判定手段)と、超平面算出部154(平滑化手段)と、最適配分算出部155(配分算出手段)と、がある。
DMU抽出部151は、売上高・媒体費情報141に含まれるDMUのうち、効率的フロンティア上に位置するDMUを抽出する。例えば、DMU抽出部151は、非凸型のフロンティアを表現可能なFDH(Free Disposal Hull)による効率的フロンティア上のDMUを抽出する。そして、DMU抽出部151は、抽出したDMUを示す情報を抽出DMU情報142として記憶部14に格納する。
例えば、DMU抽出部151は、下記数1が示すFDHモデルを解くことで、効率的フロンティア上のDMUを抽出する。
Figure 0007100226000001
なお、x1,kは、DMUkのi番目の入力(i番目の媒体費)を示している。また、yは、DMUkの出力(売上高)を示している。また、mは入力数である媒体費の種類数を示し、nはDMUの数を示す。また、添え字のoは、評価対象DMUを示す。
図3は、DMU抽出部151が抽出する効率的フロンティア上のDMUの一例を示している。図3を参照すると、DMU抽出部151は、効率的フロンティア上のDMU間を階段状に推定する。図3で示す場合、白点が効率的フロンティア上のDMUであり、黒点が非効率的フロンティア上のDMUである。従って、図3で示す場合、DMU抽出部151は、白点8つを効率的フロンティア上のDMUとして抽出する一方で、10個の黒点は抽出しない。
なお、効率的フロンティアは、CCR(Charnes Cooper Rhodes)モデルやBCC(Banker Charnes Cooper)モデル、DRS(Decreasing Returns to Scale)モデルなどを用いる包絡分析法(DEA:Data Envelopment Analysis)を用いることでも推定出来る。DMU抽出部151は、上記モデルを用いて効率的フロンティア上のDMUを推定しても構わない。しかしながら、上記各モデルでは、凸型であることを仮定している。一方で、各媒体に対する媒体費と売上高との関係は、シグモイド型で表現されることが多い。そのため、包絡分析法を用いると、特に媒体費が低い領域などの非凸領域において、推定する効率的フロンティアと観察されるDMUとの乖離が大きくなり、売上高を過大に見積もってしまうおそれがある。従って、DMU抽出部151は、非凸状のフロンティアを表現可能なFDHを用いた抽出処理を行うことが望ましい。
ドロネー三角形分割部152は、最近傍の点(DMU)が三角形として接続されるドロネー三角形分割によって、DMU抽出部151が抽出したDMUを頂点とする複数の領域に分割する。例えば、ドロネー三角形分割部152は、抽出DMU情報142を参照して、DMU抽出部151が抽出したDMUを示す情報を取得する。そして、ドロネー三角形分割部152は、ドロネー三角形分割によって、上記DMUを頂点とする複数の領域に分割する。
図4は、ドロネー三角形分割部152が分割する領域の一例を示す図である。図4では、各DMUに含まれる媒体費の種類数が媒体費Aと媒体費Bの2つである場合(入力が2次元である場合)を例示している。図4で示す場合、各DMUが白点で表現されている。このような場合、ドロネー三角形分割部152は、例えば、図4で示すように、各DMUである白点を頂点とする三角形の領域に分割する。なお、図5で示すように、ドロネー三角形分割によって分割される三角形は、分割される全ての三角形の外接円が他のDMUを含まないという性質を有している。例えば、図5の場合、A、B、Cの3つのDMUを頂点とする三角形の外接円はDのDMUを含んでいない。また、A、C、Dの3つのDMUを頂点とする三角形の外接円はBのDMUを含んでいない。
なお、ドロネー三角形分割部152は、DMUに含まれる媒体費の種類数が3つ以上である場合も、同様に複数の領域に分割する。例えば、ドロネー三角形分割部152は、DMUに含まれる媒体費の種類数が3つの場合、入力が3次元であるため、4つのDMUを頂点とする三角錐の領域に分割する。同様に、ドロネー三角形分割部152は、DMUに含まれる種類数がmの場合(つまり、入力がm次元である場合)、m+1個のDMUを頂点とする領域に分割する。
所属領域判定部153は、ドロネー三角形分割部152が分割した領域のうち、予め与えられた予算額Bに基づくベクトルが属する領域を判定する。
ここで、予算額Bに基づくベクトルは、以下のような方法で決定する。予算額Bに基づくベクトルは、所属領域判定部153が決定しても構わないし、予め決定され記憶部14などに格納されていても構わない。
例えば、予算額Bを予算配分装置1の記憶部14などが予め記憶しているとする。このとき、最適配分候補となるウェイトベクトルをWとすると、各媒体の配分額ベクトルは、X=BWで表すことが出来る。ここで、ウェイトベクトルWは、例えば、売上高・媒体費情報141が示す過去のDMUに基づいて算出することが出来る。例えば、図6は、入力が2次元である場合における、売上高・媒体費情報141が示す過去のDMU(実績値)と、実績値に基づく配分比(ウェイト)と、配分額ベクトルとの関係の一例を示している。具体的には、図6(a)は、過去の実績値の一例を示しており、図6(b)は、実績値に基づく配分比(ウェイト)の一例を示しており、図6(c)は、配分額ベクトルの一例を示している。売上高・媒体費情報141が図6(a)で示すような情報を記憶している場合、過去の実績値に基づく配分比であるウェイトは、図6(b)で示すようになる。そのため、配分額ベクトルは、予算額Bにウェイトをかけたものとなり、図6(c)で示すようになる。以上のように、配分額ベクトルは、過去の実績値に基づいて算出される配分比と予算額Bとを乗算することで決定することが出来る。なお、図6で示す例では、過去の配分比が4種類ある。そのため、配分額ベクトルも4つ算出されることになる。
なお、予算額Bに基づくベクトルは、上記例示した以外の方法で決定されても構わない。例えば、過去の配分比全てではなく、配分比の数や割合などに基づいて抽出される一部の配分比に基づいてベクトルを決定しても構わない。また、例えば、過去の実績値の中で最も数の多い配分比に基づいてベクトルを決定しても構わない。また、予算額Bに基づくベクトルは、過去の配分比と関係なく、予め定められた比率に基づいて決定しても構わない。このように、ウェイトベクトルWは、例示したもの以外であっても構わない。
所属領域判定部153は、全ての三角形分割された領域に対して、以下数2で示す式を解き目的関数が0になるか否かを調査することで、上記配分額ベクトルが三角形分割されたどの領域に含まれるのかを判定する。
Figure 0007100226000002
なお、mは次元数(媒体費の種類数)を示している。上述したように、媒体費の種類数がmであるとき、ドロネー三角形分割部152により分割される領域の頂点の数は、m+1となる。xi,kは、各領域の頂点(DMU)を示している。また、Sはスラック変数である。
目的関数が0になるとき、所属領域判定部153は、当該目的関数が0になる領域に配分額ベクトルが含まれると判定する。つまり、所属領域判定部153は、配分額ベクトルが含まれる領域を特定する。そして、所属領域判定部153は、特定した領域を示す情報を判定結果情報143として記憶部14に格納する。換言すると、所属領域判定部153は、特定した領域を構成する各頂点のDMUを示す情報を判定結果情報143として記憶部14に格納する。例えば、入力が2次元である場合において、図7の斜線で示す領域を配分額ベクトルが含まれる領域として所属領域判定部153が特定したとする。すると、所属領域判定部153は、図7の白点で示すDMUのうちのDMU1、DMU2、DMU3を示す情報を判定結果情報143として記憶部14に格納する。一方、目的関数が0にならないとき、所属領域判定部153は、当該領域に配分額ベクトルが含まれないと判定する。そこで、所属領域判定部153は、新たな領域に対する調査を開始する。
なお、上記数理モデルを全ての三角形分割領域に対して計算すると、予算配分装置1に与える負荷が大きくなる。そのため、所属領域判定部153は、下記のような処理により特定される三角形分割領域から優先して計算するよう構成することが望ましい。
例えば、所属領域判定部153は、ドロネー三角形分割部152が分割した全ての領域の重心を算出する。また、所属領域判定部153は、算出した重心と、配分額ベクトルと、のユークリッド距離を算出する。そして、所属領域判定部153は、算出したユークリッド距離が近い領域から順番に上述した数2で示す式を実行する。例えば、このような優先付けを行うことで、計算を効率化することが可能となり、計算時に予算配分装置1に与える負荷を低減させることが可能となる。
なお、所属領域判定部153は、ドロネー三角形分割部152が分割した領域のうち、予め与えられた予算額Bに基づくベクトルが属する領域を判定可能であれば、上記例示した以外の方法によりベクトルが属する領域を判定しても構わない。例えば、所属領域判定部153は、凸包を定義した数式が解をもつか否か調査することで凸包内にベクトルが属するか否か判定しても構わないし、上記判定の代わりに分離定理などを用いた式を解くことで上記判定を行っても構わない。また、所属領域判定部153は、外積を用いた判定方法などを用いて、ベクトルが属する領域を判定しても構わない。
また、上述したように、配分額ベクトルは複数ある場合がある。配分額ベクトルが複数ある場合、所属領域判定部153は、上述した処理を複数回行うことで、それぞれの配分額ベクトルが属する領域を判定することになる。
超平面算出部154は、所属領域判定部153が判定・特定した領域の頂点(DMU)を含む超平面を算出することで、平滑化を行う。そして、超平面算出部154は、算出結果を算出結果情報144として記憶部14に格納する。
例えば、DMUに含まれる媒体費の種類数が2つである場合(入力が2次元である場合)、超平面算出部154は、ax1+bx2+cy+d=0にDMUの値を代入して、a、b、cの値を算出する。それぞれのDMUは媒体費に応じた売上高を情報として保有しており、各DMUの座標は3次元となる。また、入力が2次元である場合、領域の頂点となるDMUの数は3つとなる。よって、上記式に売上高の値「y」、媒体費Aの値「x1」、媒体費Bの値「x2」をそれぞれ代入し、dを定数とみなして連立3元1次方程式を解くことで、超平面算出部154は、a、b、cを算出することが出来る。
なお、入力が3次元である場合、超平面算出部154は、ax1+bx2+cx3+dy+e=0にDMUの値を代入して、連立4元1次方程式を解くことで、a、b、c、dの値を算出する。以下、同様に、入力の次元が増えるほど項の数が増えることになる。
また、所属領域判定部153が複数の領域を判定した場合、超平面算出部154は、複数の領域それぞれについて、平滑化を行うことになる。つまり、超平面算出部154は、所属領域判定部153が判定した複数の領域それぞれに対応する上記式を算出する。
最適配分算出部155は、超平面算出部154による算出結果である式に、所定の値である最適配分候補の候補DMUの値を代入して、推定売上高y(推定出力値)を求める。そして、最適配分算出部155は、算出した推定売上高yが最も高い比率を最適配分として算出する。その後、最適配分算出部155は、算出した配分比率を示す情報や算出した配分比率で予算を各媒体に配分した値を最適配分情報145として記憶部14に格納する。また、最適配分算出部155は、最適配分情報145を通信I/F部11を介して外部装置へと送信しても構わないし、画面表示部13に表示しても構わない。
例えば、最適配分算出部155は、記憶部14を参照して算出結果情報144を取得する。また、最適配分算出部155は、売上高・媒体費情報141を参照するなどの方法により、過去に実際に行われた各媒体に対する費用の配分比を示す情報を取得する。例えば、入力が2次元の場合において、媒体費A対媒体費Bの比率が、8対2、3対7、9対1、5対5で過去に広告費が投下されていたとする。すると、最適配分算出部155は、上記4つの比率で予め与えられた予算を各媒体に配分する。そして、配分した値を超平面算出部154による算出結果である式に代入して推定売上高yをそれぞれ求める。また、最適配分算出部155は、算出した4つの推定売上高yのうち最も高い推定売上高yを特定する。そして、最適配分算出部155は、最も高い推定売上高yとなった配分を最適配分として算出する。
なお、上述したように、超平面算出部154が1つの領域に対して1つの式を算出するため、配分額ベクトルが複数の領域に所属すると、超平面算出部154は、複数の式を算出することになる。このような場合、最適配分算出部155は、それぞれの式について上記処理を行い、最も高い推定売上高yとなった配分を最適配分として算出する。
このように、最適配分算出部155は、例えば、過去の実績値に基づいて特定される配分比率を用いて予算を配分することで最適配分候補の候補DMUの値を算出する。そして、最適配分候補の候補DMUの値を超平面算出部154による算出結果である式に代入することで、最適配分を算出する。なお、過去の実績値に基づいて特定される配分比率は、最適配分算出部155が売上高・媒体費情報141に基づいて特定するよう構成しても構わないし、例えば、通信I/F部11や操作入力部12を介して外部から入力するよう構成しても構わない。
以上が、予算配分装置1の構成の一例である。
なお、ドロネー三角形分割部152と所属領域判定部153は、DMU抽出部151が抽出したDMUのうちの一部である特定された領域の頂点となるDMUを選択している、ということも出来る。つまり、本実施形態の場合、ドロネー三角形分割部152と所属領域判定部153とは、DMU抽出部151が抽出したDMUの一部を選択する選択手段を構成している、ということも出来る。
続いて、図8から図10までを参照して、予算配分装置1の動作の一例について説明する。
図8を参照すると、予算配分装置1のDMU抽出部151は、売上高・媒体費情報141に含まれるDMUのうち、効率的フロンティア上に位置するDMUを抽出する。例えば、DMU抽出部151は、非凸型のフロンティアを表現可能なFDHによる効率的フロンティア上のDMUを抽出する(ステップS101)。
ドロネー三角形分割部152は、ドロネー三角形分割によって、DMU抽出部151が抽出したDMUを頂点とする複数の領域に分割する(ステップS102)。例えば、入力がm次元の場合、ドロネー三角形分割部152は、m+1個のDMUを頂点とする領域に分割する。
所属領域判定部153は、ドロネー三角形分割部152が分割した領域のうち、予め与えられた予算額Bに基づくベクトルが属する領域を判定する(ステップS103)。例えば、予算額Bが予め与えられており、最適配分候補となるウェイトベクトルをWとすると、各媒体の配分額ベクトルは、X=BWで表すことが出来る。所属領域判定部153は、三角形分割された領域に対して、上述した数2で示す式を解き目的関数が0になるか否かを調査することで、上記配分額ベクトルが三角形分割されたどの領域に含まれるのかを判定する。なお、所属領域判定部153が処理を軽減させる際の処理の詳細は、後述する。
超平面算出部154は、所属領域判定部153が判定・特定した領域の頂点(DMU)を含む超平面を算出する(ステップS104)。例えば、入力が2次元である場合、超平面算出部154は、ax1+bx2+cy+d=0にDMUの値を代入して、a、b、cの値を算出する。入力が3次元以上である場合、上記式の項の数が増えることになる。
最適配分算出部155は、超平面算出部154による算出結果である式に基づいて、最適配分を算出する(ステップS105)。なお、ステップS105の処理の詳細は後述する。
続いて、図9を用いてステップS103の処理において、処理に伴う負荷を軽減させるために行う処理の詳細について説明する。
図9を参照すると、所属領域判定部153は、ドロネー三角形分割部152が分割した全ての領域の重心を算出する(ステップS201)。また、所属領域判定部153は、算出した重心と、配分額ベクトルと、のユークリッド距離を算出する(ステップS202)。
所属領域判定部153は、算出したユークリッド距離が最も近い領域に対して、上述した数2で示す式を実行して、目的関数が0になるか否か調査する(ステップS203)。目的関数が0になった場合(ステップS204、Yes)、所属領域判定部153は、目的関数が0になった領域に配分額ベクトルが含まれると判定する(ステップS205)。一方、目的関数が0にならなかった場合(ステップS204、No)、所属領域判定部153は、次に距離が近い領域について目的関数が0になるか否か調査する(ステップS203)。以降、所属領域判定部153は、目的関数が0になるまで調査を行う。
以上が、ステップS103の詳細な処理の一例である。続いて、ステップS105の処理の詳細について、図10を参照して説明する。
図10を参照すると、最適配分算出部155は、売上高・媒体費情報141を参照するなどの方法により、過去に実際に行われた各媒体に対する費用の配分比を示す情報を算出する(ステップS301)。最適配分算出部155は、過去の配分比を示す情報を通信I/F部11や操作入力部12などを介して外部から取得しても構わない。
最適配分算出部155は、超平面算出部154による算出結果である式に、上記配分比で予算を配分した値を代入する(ステップS302)。これにより、最適配分算出部155は、各配分比で予算を配分した場合の推定売上高をそれぞれ求める。
最適配分算出部155は、算出した推定売上高を比較する。そして、最適配分算出部155は、最も高い値である推定売上高となる配分比を最適配分であると算出する(ステップS303)。
以上が、ステップS103の処理の詳細な一例である。
以上説明したように、予算配分装置1は、DMU抽出部151と、ドロネー三角形分割部152と、所属領域判定部153と、超平面算出部154と、最適配分算出部155と、を有している。このような構成により、DMU抽出部151は、FDHによる効率的フロンティア上のDMUを抽出することが出来る。また、ドロネー三角形分割部152と、所属領域判定部153と、を用いて特定した配分額ベクトルが属する領域の頂点であるDMUを含む超平面を超平面算出部154が算出することで、階段状にフロンティアを滑らかに推定することが出来る。そして、最適配分算出部155が、滑らかに推定した結果を用いて最適配分を算出することが出来る。これにより、売上高を効率的に最大化するための個々の媒体に対する費用配分を算出することが可能となる。つまり、本実施形態によると、売上高をより効率的に最大化するために改良された予算配分装置1を提供することが可能となる。
また、上述したように、効率的フロンティア上のDMUを抽出する際にFDHを用いることで、シグモイド型で表現される各媒体に対する媒体費と売上高との関係において、媒体費が低い領域などの非凸領域においても、推定する効率的フロンティアと観察されるDMUとの乖離が大きくなることを抑制することが出来る。さらに、階段上に推定されるフロンティアを平滑化することで、より適切な配分比率を算出することが可能となる。なお、適切とは、投下媒体費を増大させれば、費用透過に対して売上増となる効果が飽和していない限り、売上が増大するという前提条件を満たしたフロンティアが推定されるということである。
なお、本実施形態において説明した予算配分装置1としての機能は、1台の情報処理装置により実現しても構わないし、例えば、クラウド上に存在する複数台の情報処理装置により実現しても構わない。つまり、予算配分装置1は、複数台の情報処理装置により構成されていても構わない。
また、本実施形態においては、複数の入力に応じた出力が存在する環境において、配分対象となる合計値を各入力に配分する配分装置の一例として、予算配分装置1を挙げた。しかしながら、本発明は、複数の入力である媒体費と出力である売上高とに基づいて予算の配分を行う予算配分装置1以外に適用しても構わない。本発明は、入力に対して出力が広義単調増加すると仮定出来る事象全般について適用することが出来る。例えば、本発明は、オンラインゲームやソーシャルゲームにおいて、宣伝施策(テレビCM、ウェブ広告等)、ゲーム内アクション、課金アイテムの購入・使用状況を入力とし、「ユーザーのレベル(習熟度)」「ユーザーのプレイ時間」「ユーザーの課金額(LTV:Life Time Value)」等を出力とする装置に適用することが出来る。このような装置に本発明を適用することで、例えば、ユーザーのレベル(習熟度)やプレイ時間における各影響要因の可視化とゲーム設計見直しや、ユーザーの課金額(LTV)における各影響要因の可視化とゲーム設計見直し、宣伝施策の最適化、などを適切に行うことが出来る。このように、本発明は、複数の入力に応じた出力が存在する環境において配分対象となる合計値を各入力に配分する各種配分装置に適用可能である。
次に、実施例を挙げて、本発明を適用した一例について説明する。以下の実施例では、ある商品を宣伝する2つの媒体が存在し、2つの媒体に宣伝費を投下しており、当該商品の売上高がマーケットで観察されていることを仮定する。本実施例では、2つの媒体の投下コストと、商品売上高との関係を推定することになる。また、以下の実施例では、2つの媒体による宣伝に一方の媒体により他方の媒体の効果が上がる交差効果がある場合と、無い場合(各々が独立である場合)の2つのケースについて想定する。また、各媒体費と売上高の関係は、凸型である場合とシグモイド型である場合の2つのパターンを想定し、4通りの組み合わせを考慮する。
本実施例で説明するテストは、以下の手順で実施する。
1.真の関係式を仮定し、パラメトリックに媒体費と売上高の関係を記述する。
2.上記関係式に基づいて、2つの媒体費と売上高の人工データを生成する。
3.生成した人工データに対して、パラメトリックモデル、DEAモデル、FDHモデル、第1の実施形態で説明している予算配分装置1が実行するIFDH(Interpolated FDH)モデル、の4モデルを適用し、最適比率とその比率における推定売上高を求める。
4.真の関係式から得られる最適売上高に対する上記4モデルの推定誤差を比較する。
例えば、2つの媒体をそれぞれ媒体1、媒体2と表し、各々の媒体費x1、x2とそれに紐づく売上高X1、X2を下記の数3で表す。
Figure 0007100226000003
なお、上記数3のうち、Adbudg関数は、プロダクト内のシェアーを表す簡潔なモデルとしてLittle(1970)で提案されたものであり、ある限られた期間における宣伝費に対応する売上高を表すモデルとして利用する。Adbudg関数は、0<γ≦1では凸型となり、γ>1ではシグモイド型となる。δは売上の広告費に対する応答関数の調整項である。
また、本実施例では、2つの媒体間の交差効果の有無によって商品全体の売上高yが変化することがあると考え、売上高yを以下の式で表すこととする。以降、下記式を真の関係式と呼ぶ。
y=X1+X2+a・X1・X2
なお、a=0のとき交互作用が無いことを示し、a=0.1のとき交互作用があることを示す。
本実施例では、交互作用がある場合と無い場合、それぞれに対して、モデルのパラメータが
δ12∈(0,10]
γ12∈(0,5)
の範囲で独立な一様分布に従うとして、90組の乱数を発生させた。その内訳は、
1.γ1∈(0,1]とγ2∈(0,1]
2.γ1∈(0,1]とγ2∈(1,5)
3.γ1∈(1,5)とγ2∈(1,5)
上記3つの組合せがそれぞれ30組である。
本実施例では、上記90組の乱数を交互作用がある場合と無い場合とでそれぞれ発生させた。つまり、本実施例では、交互作用の有無を含め、全体で180通りのケースを考慮する。
本実施例では、上記180通りのケースそれぞれについて、入力x1,x2をx1,x2∈(0,5]とする一様乱数として200組生成し、出力をyとするDMUを200個生成する。ここで、min=0,max=10として設定した。
本実施例において、パラメトリックモデルでは、200個のDMUの入力x1,x2と出力yに対して、以下の数4で示す最小2乗法によってパラメータを推定する。
Figure 0007100226000004
パラメータの推定後、y^の最大値を与える予算Bの配分額B×x1/(x1+x2)及びB×x2/(x1+x2)を求め、その配分額における真の関係式の売上高を最適化後の売上高とする。
また、本実施例において、DEAモデルでは、200個のDMUの入力x1,x2と出力yに対して、以下の数5で示すBCCモデルを適用する。
Figure 0007100226000005
なお、BCCモデルは既知のものであるため、詳細な説明は省略する。
そして、DEAモデルでは、フロンティア上の各DMUの媒体総額を予算Bに等しく揃え、媒体費率と元の効率値(=1)を保ったまま、生産可能領域で売り上げをどこまでストレッチ出来るかを求める。
DMUが維持するべき媒体費比率と予算総額Bから計算される各媒体費の増減額を表すベクトルをΔXとすると、以下数6で示すインバースDEAを解くことによって予算制約上の推定売上高を求める。
Figure 0007100226000006
各DMUの媒体費率に対して、予算制約を与えた場合の投下媒体費と推定売上高はそれぞれ、xo+Δx、yo+Δyと表される。yo+Δyが最大となるDMUの媒体費率を最適比率と考え、この時の売上高を真の関係式から求める。パラメトリックモデルのときとは異なり、DEAモデルでの最適比率は、過去に観察されたDMUの配分比率が最適化比率の候補となり、離散的に探索される。
また、第1の実施形態で説明した予算配分装置1による処理により最適比率を求め、算出した最適比率を真の関係式に当てはめて求めた売上高を最適化後の実績値とした。同様に、修正前(平滑化前)のFDHモデルを用いて求めた最適比率と、真の関係式とに基づいて、修正前のFDHモデルについても、最適化後の実績値を算出した。
図11は、上述した4モデルにおける、180通りのシナリオの平均誤差を示している。なお、推定された最適配分を真の関係式に当てはめ推定売上高を算出するため、算出した推定売上高が真の関係式の最大売上を超過することはない。
図11では、4モデルの下にそれぞれの状況における、真の最大売上高から推定最大売上高を減じた値を示している。図11で示す場合、4モデルの下の各数字が小さいほど、精度よく推定出来ていることを示している。図11を参照すると、本発明である予算配分装置1と同様の処理を行ったIFDHモデルは、全体的に精度が良いことが分かる。また、DEAモデルは、精度が良い場合もあるものの、シグモイド型の凹があると想定される部分(例えば、予算1、2など予算が少ない部分)において、精度が悪化していることが分かる。換言すると、シグモイド型の凹があると想定される部分においては、FDHモデルやIFDHモデルの方がDEAモデルよりも精度が高くなっていることが分かる。以上のように、図11を参照すると、IFDHモデルは、凹の部分以外においてもDEAモデルと同等の精度をだしつつ、凹の構造にも対応できていることがわかる。つまり、IFDHモデルを用いると、高い精度で推定することが可能となることが分かる。特に、DEAモデルなどでは精度が落ちやすい予算額が小さい場合においても、IFDHモデルを用いると、精度よく推定出来ていることが分かる。
以上のように、第1の実施形態で説明した予算配分装置1によると、精度よく推定を行うことが可能となる。つまり、予算配分装置1によると、売上高をより効率的に高めるための最適配分をより精度良く算出することが出来る。
また、図12では、DMUの数が200であった場合とDMUの数が600であった場合とで、DEAモデルとFDHモデルにおける推定の精度を比較した一例を示している。図12を参照すると、DMUの数は200である場合よりも600であるほうが、FDHモデルが精度良く推定出来ていることが分かる。これは、上述したように、FDHモデルにおいては、効率的フロンティア上のDMU間を階段状に推定するため、DMUの数が少ないと、効率的フロンティアを構成する階段のステップ部分がひろくなってしまうためである。以上からすると、FDHモデルを用いる際には、ある程度DMUの数が多い方が望ましいことが分かる。つまり、図12によると、DMUの数を増やすことにより階段状のフロンティアの平滑化を行うと、精度が向上することが分かる。これは、第1の実施形態で説明した予算配分装置1による平滑の有用性を間接的に示している、ということも出来る。
[第2の実施形態]
次に、図13を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、配分装置2の構成について説明する。
配分装置2は、複数の入力に応じた出力が存在する環境において、配分対象となる合計値を各入力に配分する。図13は、配分装置2の構成の一例を示している。図13を参照すると、配分装置2は、抽出手段21と、平滑化手段22と、配分算出手段23と、を有している。例えば、配分装置2は、図示しないCPUなどの演算装置と記憶装置とを有している。配分装置2は、例えば、記憶装置が記憶するプログラムを演算装置が実行することで、上記各処理手段を実現する。
抽出手段21は、複数の入力の合計と出力との関係を示す複数のDMU(Decision Making Unit)から効率的フロンティア上のDMUを抽出する。抽出元となる複数のDMUは、例えば、配分装置2に予め記憶されている。
平滑化手段22は、抽出手段21が抽出したDMUを示す情報を取得する。すると、平滑化手段22は、抽出手段21が抽出したDMUに基づいて平滑化を行う。
配分算出手段23は、平滑化手段22による平滑化の結果に基づいて、複数の入力に対する合計値の配分を算出する。
配分装置2は、例えば、このような構成を有している。このような構成により、配分算出手段23は、抽出手段21が抽出したDMUに基づいて行われた平滑化の結果に基づいて、合計値の配分を算出することが出来る。これにより、売上高をより効率的に高めるための最適配分を算出することが可能となる。
また、上述した配分装置2は、当該配分装置2に所定のプログラムが組み込まれることで実現できる。具体的に、本発明の他の形態であるプログラムは、複数の入力に応じた出力が存在する環境において、配分対象となる合計値を各入力に配分する配分装置2に、複数の入力の合計と出力との関係を示す複数のDMU(Decision Making Unit)から効率的フロンティア上のDMUを抽出する抽出手段21と、抽出手段21が抽出したDMUに基づいて平滑化を行う平滑化手段22と、平滑化手段22による平滑化の結果に基づいて複数の入力に対する合計値の配分を算出する配分算出手段23と、を実現させるためのプログラムである。
また、上述した配分装置2により実行される配分方法は、複数の入力に応じた出力が存在する環境において、配分対象となる合計値を各入力に配分する配分装置2が、複数の入力の合計と出力との関係を示す複数のDMU(Decision Making Unit)から効率的フロンティア上のDMUを抽出し、抽出したDMUに基づいて平滑化を行い、平滑化の結果に基づいて複数の入力に対する合計値の配分を算出する、という方法である。
上述した構成を有する、プログラム、又は、配分方法、の発明であっても、上記配分装置2と同様の作用を有するために、上述した本発明の目的を達成することが出来る。
なお、上記各実施形態及び付記において記載したプログラムは、記憶装置に記憶されていたり、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されていたりする。例えば、記録媒体は、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、及び、半導体メモリ等の可搬性を有する媒体である。
以上、上記各実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の範囲内で当業者が理解しうる様々な変更をすることが出来る。
1 予算配分装置
11 通信I/F部
12 操作入力部
13 画面表示部
14 記憶部
141 売上高・媒体費情報
142 抽出DMU情報
143 判定結果情報
144 算出結果情報
145 最適配分情報
146 プログラム
151 DMU抽出部
152 ドロネー三角形分割部
153 所属領域判定部
154 超平面算出部
155 最適配分算出部
2 配分装置
21 抽出手段
22 平滑化手段
23 配分算出手段

Claims (7)

  1. 複数の入力に応じた出力が存在する環境において、配分対象となる合計値を各入力に配分する配分装置であって、
    複数の入力の合計と出力との関係を示す複数のDMU(Decision Making Unit)から効率的フロンティア上のDMUを抽出する抽出手段と、
    前記抽出手段が抽出したDMUの少なくとも一部に基づいて平滑化を行う平滑化手段と、
    前記平滑化手段による平滑化の結果に基づいて複数の入力に対する合計値の配分を算出する配分算出手段と、
    前記抽出手段が抽出したDMUを頂点とする複数の領域に分割する分割手段と、
    前記分割手段が分割した領域のうち、前記合計値に基づくベクトルが属する領域を判定して、判定した領域の頂点であるDMUを選択する判定手段と、
    を有し、
    前記平滑化手段は、前記判定手段が判定した領域の頂点であるDMUに基づいて平滑化を行う
    配分装置。
  2. 請求項に記載の配分装置であって、
    前記分割手段は、ドロネー三角形分割によって前記抽出手段が抽出したDMUを頂点とする複数の領域に分割する
    配分装置。
  3. 請求項1又は2に記載の配分装置であって、
    前記平滑化手段は、前記判定手段が判定した領域の頂点であるDMUを含む超平面を算出することで平滑化を行う
    配分装置。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の配分装置であって、
    前記判定手段は、前記分割手段が分割した領域の重心を算出し、算出した重心と前記合計値に基づくベクトルとの距離が近い領域から、前記合計値に基づくベクトルが領域に属するか否か判定する
    配分装置。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の配分装置であって、
    前記抽出手段は、非凸状のフロンティアを表現可能なFDH(Free Disposal Hull)による効率的フロンティア上のDMUを抽出する
    配分装置。
  6. 複数の入力に応じた出力が存在する環境において、配分対象となる合計値を各入力に配分する配分装置が、
    複数の入力の合計と出力との関係を示す複数のDMU(Decision Making Unit)から効率的フロンティア上のDMUを抽出し、
    抽出したDMUの少なくとも一部に基づいて平滑化を行い、
    平滑化の結果に基づいて複数の入力に対する合計値の配分を算出し、
    抽出したDMUを頂点とする複数の領域に分割し、
    分割した領域のうち、前記合計値に基づくベクトルが属する領域を判定して、判定した領域の頂点であるDMUを選択し、
    平滑化を行う際には、判定した領域の頂点であるDMUに基づいて平滑化を行う
    配分方法。
  7. 複数の入力に応じた出力が存在する環境において、配分対象となる合計値を各入力に配分する配分装置に、
    複数の入力の合計と出力との関係を示す複数のDMU(Decision Making Unit)から効率的フロンティア上のDMUを抽出する抽出手段と、
    前記抽出手段が抽出したDMUの少なくとも一部に基づいて平滑化を行う平滑化手段と、
    前記平滑化手段による平滑化の結果に基づいて複数の入力に対する合計値の配分を算出する配分算出手段と、
    前記抽出手段が抽出したDMUを頂点とする複数の領域に分割する分割手段と、
    前記分割手段が分割した領域のうち、前記合計値に基づくベクトルが属する領域を判定して、判定した領域の頂点であるDMUを選択する判定手段と、
    を実現させ、
    前記平滑化手段は、前記判定手段が判定した領域の頂点であるDMUに基づいて平滑化を行う
    プログラム。
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