JP7100081B2 - 車載用アンテナ装置 - Google Patents
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Description
は第3世代通信(3G)を高速化した通信形態である。MIMO通信は複数のアンテナを使い、それぞれのアンテナから異なるデータを送信し、複数のアンテナで同時にデータを受信する通信形態である。
[第1実施形態]
図1は第1実施形態に係るアンテナ装置の要部の構造例を示す外観斜視図である。このアンテナ装置1は、それ自体でLTE通信用のアンテナとして動作する筐体10と、この筐体10の所定領域に収納される絶縁性の回路基板20と、回路基板20に設けられた平面アンテナ30とを有する。これらは、電波透過性の材質、例えば樹脂製のケースに収容され、例えば車両ルーフの窪み面などに嵌めこまれて使用される。車両ルーフの窪み面を、以後「取付面」と称する。平面アンテナ30は、本実施形態では、GNSS(Global Navigation Satellite System)用の電波を受信するパッチアンテナであり、取付面と略平行に設置される。すなわち、平面アンテナ30は、厚みを有する絶縁性の誘電体の天頂部に取付面と略平行の放射素子を形成して構成される。回路基板20には、後述する複数の給電点との接続部材と、車両側の電子機器に電気的に接続される増幅器等とを含むアンテナ部品も実装されている。
いては、後述する。
また、取付面が接地面であるため、スロット111は、動作時に垂直偏波用のスロットアンテナとして動作する。
送受信可能な周波数は、給電点の位置によってフレキシブルに決めることができる。給電点への給電は、例えば同軸ケーブルを用いる場合、芯線がスロット111の上縁(内縁の上方)、接地線がスロットの下縁(内縁の下付)に接続されることにより行われる。この給電点は、スロット111の中央部よりも左右いずれかにオフセットした部位に設ける。
なお、各周波数帯域で使用できる周波数には一定の範囲(幅)がある。そのため、波長ないし共振長という場合、使用する周波数を中心とした一定の範囲(幅)の波長ないし共振長をいうものとする。
LTE第1アンテナは、第1側面の向いている水平方向の垂直偏波の利得が強くなる。そのため、例えば4×4MIMOの第1アンテナとして動作させることができる。また、LTE第4アンテナは、第4側面の向いている水平方向の垂直偏波の利得が強くなる。そのため、例えば4×4MIMOの第4アンテナとして動作させることができる。
図1及び図2(b)に示される通り、スリット112は、開放端が天頂面に形成され、閉端がスロット111,114の中間よりも少しスロット111側に偏った位置に形成される。第2側面でいえば、スリット112は、天頂面から底面方向に厚みの略中央部分まで切り込まれた後、スロット111の方向に向きを変えた直後の部分が閉端となる。当該スリット用の給電点は、例えば向きを変えた部位と閉端とのほぼ中間から閉端に偏った位置に設けられる。給電点からスリット開放端までの長さは、LTEの高周波帯の波長λHの1/4である。
以後の説明では、スリット112を「LTE第2アンテナ」と呼ぶ。LTE第2アンテナは、第2側面の向いている水平方向の垂直偏波の利得が強くなる。そのため、例えば4×4MIMOアンテナにおける第2アンテナとして動作させることができる。
また、筐体10を車両ルーフの取付面と電気的に接続することで、車体全体を各スロット111,114及び各スリット112,113の周囲の金属として用いることができ、自由空間内よりもアンテナ性能を向上させることができる。また、例えばアンテナ装置1を周囲が金属となる窪みに配置させた場合であっても、特許文献1に開示された従来のモノポールアンテナと比較して、VSWRや水平方向の利得の低下が抑制される。
第1実施形態では、また、底面、部分面、第1側面から第4側面が全て一体の面である場合の例を説明したが、この限りでない。底面と少なくとも一つの側面、部分面と少なくとも一つの側面、少なくとも二つの側面、あるいは、底面と三つの側面と部分面とが一体に形成されている構成であっても良い。これにより、全ての面が物理的に分離されている場合よりも加工・量産が容易となり、低コスト化を図ることができる。
第1実施形態では、平面アンテナ30がGNSS用のアンテナであったが、他の人工衛星を用いたSXM(Sirius XM)用のアンテナとすることもできる。図9は、SXM用の周波数帯における平面アンテナの利得特性を示すグラフであり、縦軸は平均利得(dBi)、横軸は角度(°)である。実線は筐体10が存在するときの平面アンテナの平均利得G61であり、破線は筐体10を取り外したときの平面アンテナの平均利得G62である。それぞれ、窪みのある車両ルーフの取付部位に設けたときの平均利得である。角度0°および角度360°は平面アンテナの誘電体から天頂部の放射素子に向かう方向である。図9より、SXM用の平面アンテナの場合も、スロットアンテナとスリットアンテナの中に設置しても平面アンテナG61の平均利得は大きく変わらないことがわかる。
本発明の第2実施形態を説明する。第1実施形態と同じ部品については同一符号を付してその説明を省略する。第2実施形態のアンテナ装置2は、図10の外観斜視図に示されるように、天頂面が全て開口している箱状の筐体10-2の内部に回路基板20を配置し、この回路基板20に所定間隔でGNSS用の平面アンテナ30とSXM用の平面アンテナ50とを並べて配置したものである。筐体10-2は、それ自体でアンテナとして動作するものであり、その底面の構造は第1実施形態の筐体10と同じである。また、底面と第1ないし第4側面とは一体に形成されている例を示すが、少なくとも二つの側面、あるいは、底面と少なくとも一つの側面とが一体であっても良い。
平面アンテナ30,50の平均利得については、第1実施形態と同じである。アンテナ装置2には平面アンテナ30,50が並べて配置されているので、アンテナ装置2は、GNSS用の電波とSXM用の電波の両方を受信することができる。
本発明の第3実施形態を説明する。第3実施形態のアンテナ装置3は、図11の外観斜視図に示されるように、天頂面が開口している箱状の筐体10-3の内部に回路基板20を配置し、この回路基板20に所定間隔でGNSS用の平面アンテナ30とSXM用の平面アンテナ50とを並べて配置したものである。筐体10-3は、それ自体でアンテナとして動作するものであり、その底面の構造は第1実施形態の筐体10と同じである。また、底面と第1ないし第4側面とが一体に形成されている例を示すが、少なくとも二つの側面、あるいは、底面と少なくとも一つの側面とが一体であっても良い。筐体10-3は天頂面が開口しているため、平面アンテナ30,50の平均利得に影響を与えないことは、図8及び図9の利得特性のグラフから明らかである。
第3実施形態のアンテナ装置3においても、スロット311~314に直交する方向が主偏波となるため、筐体10-3を約17mmまで低背化させた場合においても、垂直偏波の利得を維持することができ、さらに、スロット311~314の開口方向、すなわち水平方向の垂直偏波の利得を高めることができる。
本発明の第4実施形態を説明する。第4実施形態のアンテナ装置4は、図12の外観斜視図に示されるように、第3実施形態のアンテナ装置3の筐体10-3のうち、第2側面及び第3側面の一部を切り欠いた構造の筐体10-4を有する。その他の構成は、アンテナ装置3と同じになる。すなわち、アンテナ装置4の筐体10-4の第1側面、第2側面、第3側面及び第4側面のうち、第1側面にスロット411,第4側面にスロット414が形成されている。スロット411,414は、LTEの高周波帯で共振するように、そのサイズ及び給電点の位置が決定される。底面と第1ないし第4側面とが一体に形成されている例を示すが、この限りでない。例えば第1側面、第2側面及び第3側面と、第2側面、第3側面及び第4側面とを、互いに分離した一対の側面としても良い。
本発明の第5実施形態を説明する。第5実施形態のアンテナ装置5は、図13の外観斜視図に示されるように、天頂面が開口している箱状の筐体10-5の内部に回路基板20を配置し、この回路基板20に所定間隔でGNSS用の平面アンテナ30とSXM用の平面アンテナ50とを配置したものである。筐体10-5は、それ自体でアンテナとして動作するものであり、その底面の構造は第1実施形態の筐体10と同じである。底面と第1ないし第4側面とが一体に形成されている例を示すが、少なくとも二つの側面、あるいは、底面と少なくとも一つの側面とが一体であっても良い。筐体10-5の第1側面、第2側面、第3側面及び第4側面には、それぞれスリット511、512,513,514が形成されている。
第1側面でいえば、スリット511は、筐体10-5の短端枠から底面方向に厚みの略中央部分まで切り込まれた後、第3側面の方向に向きを変えた直後の部分が閉端となる。当該スリット511用の給電点は、例えば向きを変えた部位と閉端とのほぼ中間から閉端に偏った位置に設けられる。給電点からスリット開放端までの長さは、LTEの高周波帯の波長λHの1/4である。第4側面のスリット514も第1側面のスリット511と同じ構造となる。
本発明の第6実施形態を説明する。第6実施形態のアンテナ装置6は、図14の外観斜視図に示されるように、第4実施形態のアンテナ装置4の筐体10-4のうち、第1側面及び第4側面が、互いに湾曲して対向する筐体10-6を有する。回路基板20は、第1側面及び第4側面に収容される形状になっている。第1側面にはスリット611が形成され、第4側面にはスリット614が形成されている。底面と第1側面及び第4側面とが一体に形成されているが、この限りでない。例えば第1側面と第4側面とで、互いに分離した一対の側面としても良い。
スリット611は、筐体10-5の第1側面のうち、高さ方向の略中央部から、底面及び取付面と平行に切り込まれた部分が閉端となる。当該スリット611用の給電点は、例えば切り欠き直後と閉端とのほぼ中間から閉端に偏った位置に設けられる。給電点からスリット開放端までの長さは、LTEの高周波帯の波長λHの1/4である。第4側面のスリット614も第1側面のスリット611と同じ構造となる。
また、スリット611が形成された第1側面とスリット614が形成された第4側面とは互いに湾曲して対向しているので、湾曲していないときに比べて、スリット611,614が互いに与える影響を低減することができる。
本発明の第7実施形態を説明する。第7実施形態のアンテナ装置7は、図15の外観斜視図に示されるように、第4実施形態のアンテナ装置4の筐体10-4と同じ構造の筐体10-7を有する。この筐体10-7もそれ自体でアンテナとして動作するものであり、その底面部の構造及び回路基板20は、アンテナ装置4と同じとなる。第1側面に形成されたスロット711はアンテナ装置4のスロット411と同じであり、第4側面に形成されたスロット714はアンテナ装置4のスロット414と同じである。そのため、アンテナ特性や指向性などもアンテナ装置4と同じになる。相違点は、回路基板20に、平面アンテナ30,50に代えて、TCU(Telematics Communication Unit)60が配置されている点である。TCU60は、所定のデータセンタとの間の通信路を確立し、ドライブや充電などに便利な情報を受信するユニットである。
本発明の第8実施形態を説明する。図16(a)は第8実施形態のアンテナ装置8の第1側面図、同(b)は正面図、同(c)は第4側面図、同(d)は下面図である。このアンテナ装置8は、樹脂製、つまり絶縁体から成る板体80の表面に金属膜81でスリット811を形成したものである。板体80は、取付面に垂直に設置される。スリット811の長さ及び給電点の位置は、使用する周波数帯に共振するように決定される。
このような構成のアンテナ装置8は、スリット811の向いている水平方向の垂直偏波の利得が強くなる。これを取り付け可能な部位は、板体80の厚みと長辺の長さ分だけで済むので、必ずしも車両ルーフに限らず、車体の側面などとすることができる。また、樹脂に金属膜81を貼り付けるだけで、スリットアンテナを実現することができるので、コスト面でも有利となる。
スロットやスリットをアンテナエレメントとする場合、アンテナエレメントに直交する方向が主偏波となる。また、スロットやスリットの開口方向(取付面と略平行な平面における当該スロットやスリットの長辺と略垂直の方向)に利得が強く出る。上記態様のアンテナ装置は、金属面に垂直偏波用のスロットとスリットの少なくとも一方が形成されているので、低背であっても取付面に平行な方向の垂直偏波の利得を高めることができる。さらに、複数の金属面が互いに異なる角度で形成されているので、スロットやスリットの開口方向を様々な方向とすることができ、様々な方向で垂直偏波の利得を高めることができる。さらに、回路基板等のアンテナ装置に関する部材やアンテナ部品を取付面に対向する部位に配置した場合に、取付面に対向する部位が開口しているので、開口していない場合に比べて、部材やアンテナ部品の変更や修理等を行いやすくなる。
Claims (6)
- 車両に取り付けられる車載用アンテナ装置であって、
回路基板と、
前記回路基板の外縁に沿って当該外縁の少なくとも一部を囲うように配置された第1のアンテナと、
前記回路基板の外縁よりも内側に配置された少なくとも一つの第2のアンテナと、
を備え、
前記第1のアンテナは、二つ以上の周波数帯域で共振し、
前記第2のアンテナは、前記第1のアンテナと異なる周波数帯域の信号を受信し、
前記回路基板には、前記第1のアンテナおよび前記第2のアンテナのそれぞれの給電点の接続部材、並びに、車両側の電子機器と電気的に接続される電子回路が実装されている、
車載用アンテナ装置。 - 前記第1のアンテナは、金属面を含んで構成され、
前記第2のアンテナは、上方視点において前記金属面と重ならない位置に存在する、
請求項1に記載の車載用アンテナ装置。 - 前記第1のアンテナは、前記第2のアンテナを挟んで対向する少なくとも一対の金属面を含んで構成され、
前記第2のアンテナは、上方視点において前記金属面のいずれにも重ならない位置に存在する、
請求項1に記載の車載用アンテナ装置。 - 前記第1のアンテナにおいて利得が最も強く出る方向と前記第2のアンテナにおいて利得が最も強く出る方向とが異なる、
請求項1から3のいずれか一項に記載の車載用アンテナ装置。 - 前記第2のアンテナが、平面アンテナまたはTCUである、
請求項1から4のいずれか一項に記載の車載用アンテナ装置。 - 前記第1のアンテナと前記第2のアンテナは、前記車両のルーフに形成された窪みの内部に設けられる、
請求項1から5のいずれか一項に記載の車載用アンテナ装置。
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