JP7099707B2 - 水位センサ - Google Patents
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Description
農業におけるIoTは、屋外にセンサを設置する必要があるため、電源や通信手段の確保が難しい。
稲作において、水田の水位の管理は極めて重要である。稲の生育には、最適な水位が存在する。水田の水は多すぎても少なすぎても、稲の生育に悪影響を生じる。
しかしながら一方で、現在市販されている殆どの水位センサは高価であったり、電力消費が多い等の、屋外の水田に使用するには適していない。
非特許文献1には、本発明に関係する、抵抗分圧器を使った、多くのスイッチのセンシングに関する技術が開示されている。
超音波を用いるものは、回路構成が複雑になるため、装置構成が高価になり、また電力消費も大きいため、水田のIoTには適さない。
交流電流を用いるものも、電力消費が大きいため、水田のIoTには適切でない。
発明者らは、種々の方法を検討した結果、消費電力が少なく済む、特許文献1に開示される、直流電流を用いる計測方法を採用するに至った。
しかしながら、特許文献1に開示される技術では、ダム水位や深い井戸の水位の測定には向いているものの、水田の水位を正確な値で計測することが困難であることが判明した。
複数の抵抗は、接地ノードから水田の地面の表面までに位置する電極に接続される第一のグループと、第一のグループに接続され、水田の地面の表面から所定の水位までに位置する電極に接続される第二のグループと、第二のグループと直流定電圧ノードとの間に接続され、第二のグループに属する電極より更に上の水位に位置する電極に接続される第三のグループとに分類される。
第二のグループから得られる検出電圧の電圧幅は、第一のグループ及び第三のグループから得られる検出電圧の電圧幅より広くなるように、抵抗の抵抗値が構成されている。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
図1は、本発明の第一の実施形態の例である、水位センサ101の使用状態を説明する概略図である。
図1において、水位センサ101は、水稲102が栽培されている水田103の地面104の中に差し込まれている。また、水位センサ101は、無線通信装置105とケーブル106で接続されている。無線通信装置105は、足場パイプとも呼ばれる単管パイプ107に固定されており、図示しない他の無線通信装置から司令を受けて、水位センサ101から得られる水位計測データを、当該他の無線通信装置へ送信する。
また、長尺基板108表面の電極109以外の箇所は、プリントパターンの保護と絶縁のために、周知のソルダレジスト膜で覆われている。
電極109は、長手方向に約1cmの長さを有する。この電極109が長尺基板108の長手方向に、千鳥状に交互に配置されている。このため、この水位センサ101の分解能は物理的に凡そ1cmに制約される。
図2Aは、無線通信装置105のハードウェア構成を示すブロック図である。
マイコンよりなる無線通信装置105は、バス201に接続されたCPU202、ROM203、RAM204、他の無線通信装置と双方向通信を行うための近距離無線インターフェース205(図2中は「近距離無線I/F」と略記)、水位センサ101から出力される電圧信号をデジタルデータに変換するA/D変換器206(図2中は「A/D」と略記)、そしてバッファ207を介する出力ポート208を備える。
近距離無線インターフェース205は例えば、BlueTooth(登録商標)等である。
他の無線通信装置から電波の入来を検出したら、無線通信装置105はシステムクロックを高い周波数に設定し、当該他の無線通信装置と所定の双方向通信のためのハンドシェイクシーケンスを行う。
また、無線通信装置105は、デジタルデータの取得に成功すると、出力ポート208を通じてセンサ電源スイッチ212をオフ制御し、デジタルデータを他の無線通信装置へ送信する。
最後に、無線通信装置105はシステムクロックの周波数を低い周波数に設定し直して、一連の処理を終了する。
図3Aは、水位センサ101の外観図である。図3Bは、水位センサ101の上部の概略図である。図3Cは、水位センサ101の下部の概略図である。なお、紙面の都合上、図3B及び図3Cは、図3Aと比べて電極109の数を減らしている。
図3A、図3B及び図3Cに示されるように、水位センサ101を構成する長尺基板108の表側には、長手方向に電極109が千鳥状に交互に配置されている。そして、各々の電極109にはチップ抵抗301が接続されている。なお、一部の電極109と一部のチップ抵抗301は、増幅部302に接続されている。回路ユニット110の上部にはUSBコネクタ111が配置されている。
図3Cに示されるように、長尺基板108には基準線L303が描かれている。水位センサ101を水田103に設置するには、この基準線L303を水田103の地面104の表面に合わせるように、水位センサ101を地面104に埋設する。
図4は、水位センサ101の回路図である。
無線通信装置105から供給される電源の正極ノードには、抵抗R401の一端が接続されている。抵抗R401の他端と接地ノードとの間には、コンデンサC402とツェナーダイオードD403が接続されており、このツェナーダイオードD403とコンデンサC402によって安定化された電圧源が構成される。これ以降、ツェナーダイオードD403とコンデンサC402によって安定化された電圧源のノードを、直流定電圧ノードE404と呼ぶ。
電流制限抵抗R411の他端には、抵抗R412の一端が接続されている。また、電流制限抵抗R411の他端と抵抗R412の一端との間には、電極431が接続されている。
抵抗R412の他端には、抵抗R413の一端が接続されている。また、抵抗R412の他端と抵抗R413の一端との間には、電極432が接続されている。
また、図4に示すように、各々の抵抗と抵抗との間には、電極433、電極434、電極435、電極436、電極437、電極438、電極439、電極440、電極441、電極442、電極443、電極444が接続され、電極445はR425の他端と共に接地ノードに接続されている。
なお、電流制限抵抗R411~R425は、周知の抵抗分圧回路を構成している。
これより、本発明の水位センサ101の分解能を説明する。
図5は、水位センサ101に実装される抵抗によって実現される、水田における水位の深さ(地表面から水面までの距離)に対する検出電圧との関係を示すグラフである。横軸は水位の深さであり、縦軸は第一のオペアンプ405の非反転入力端子に印加される、抵抗分圧回路から得られる検出電圧である。
しかしながら、非特許文献1にも開示されていることではあるが、検出する端子の数が多くなるに連れて、長尺基板108上に実装される抵抗の誤差が無視できなくなる。すると、A/D変換器206で測定する電圧に抵抗の誤差が重畳され、結果的に誤検出を引き起こす可能性が高くなる。
そこで、発明者らは水位センサ101に実装される電極109を、大きく3個のグループに分けた。
なお、基準線L303は、第一のグループG451と第二のグループG452との境目に位置する。
一例として、図5において、第一のグループG451に属する電極442、電極443、電極444及び電極445には、最大+3Vから最小+2.5Vまでの、0.5Vの電圧範囲E501が設定される。
第二のグループG452に属する電極437、電極438、電極439、電極440及び電極441には、最大+2.5Vから最小+1.0Vまでの、1.5Vの電圧範囲E502が設定される。
第三のグループG453に属する電極432、電極433、電極434、電極435及び電極436には、最大+1.0Vから最小+0.5Vまでの、0.5Vの電圧範囲E503が設定される。
図6Bは、水112に浸かった状態の水位センサ101を示す等価回路図である。
今、直流定電圧ノードE404(図4参照)に、抵抗R601が接続され、更にR602、R603、R604、R605及びR606が直列接続されて、抵抗分圧回路が構成されているとする。
実際の水田103の水112には、電気抵抗が存在する。このため、図6Aに示すように、水112に浸かった電極109は、水112の電気抵抗R607及びR608を介して設置された状態になる。
しかしながら、水112の電気抵抗が、直流定電圧ノードE404から直列接続される各々の抵抗の抵抗値よりも十分小さければ、図6Bに示すように、スイッチSW609及びスイッチSW610にて等価的に導通した状態とみなすことが可能である。
これより、水位センサ101に実装する抵抗の抵抗値の計算方法を説明する。この計算方法は、非特許文献1に開示されている方法と同じものである。
図7Aは、電圧ノードに接続される抵抗R701と、抵抗R701の直下と接地ノードとの間に接続される抵抗R702よりなる回路図である。
図7Aにおいて、電圧ノードに接続される抵抗R701と、抵抗R701の直下と接地ノードとの間に接続される抵抗R702との分圧比α1は、以下の式で表される。
上記(1)式を変形すると、以下の式になる。
R702={α1/(1-α1)}×R701 …(2)
電圧ノードに接続される抵抗R701と、抵抗R701の直下に接続される抵抗R702と、抵抗R702と接地ノードとの間に接続される抵抗R703との分圧比α2は、以下の式で表される。
上記(3)式を変形すると、以下の式になる。
RA={α2/(1-α2)}×R701 …(4)
但し、RA=R702+R703 …(5)
であるので、R703を求めてみる。
={α2/(1-α2)}×R701-{α1/(1-α1)}×R701
={α2/(1-α2)-α1/(1-α1)}×R701 …(6)
同様に、電圧ノードに接続される抵抗R701と、R701の直下に接続される抵抗R702の下に、更に接続される抵抗R703及び抵抗R704との分圧比α3は、以下の式で表される。
上記(7)式を変形すると、以下の式になる。
RB={α3/(1-α3)}×R701 …(8)
RB=R702+R703+R704=RA+R704 …(9)
であるので、R704を求めてみる。
={α3/(1-α3)}×R701-{α2/(1-α2)}×R701
={α3/(1-α3)-α2/(1-α2)}×R701 …(10)
Rn={αn/(1-αn)-αn-1/(1-αn-1)}×R701 (n>1) …(11)
なお、第一のグループG451の一番下に位置する電極455は接地ノードに接続されるので、第一のグループG451の抵抗の数は1個減って4個となる。
第三のグループG453は、0から0.2の間を5等分する分圧比を設定する。第一のグループG451の分圧比α1、α2、α3、α4、α5は、以下の値に設定する。
α1=0.04、α2=0.08、α3=0.12、α4=0.16、α5=0.20
第二のグループG452は、0.2から0.8の間を5等分する分圧比を設定する。第二のグループG452の分圧比α6、α7、α8、α9、α10は、以下の値に設定する。
α6=0.32、α7=0.44、α8=0.56、α9=0.68、α10=0.80
第一のグループG451は、0.8から1の間を5等分する分圧比を設定する。第一のグループG451の分圧比α11、α12、α13、α14は、以下の値に設定する。
α11=0.84、α12=0.88、α13=0.92、α14=0.96
R412=100kΩ×{0.04/(1-0.04)}≒4167Ω
R413=100kΩ×{0.08/(1-0.08)-0.04/(1-0.04)}≒4,529Ω
R414=100kΩ×{0.12/(1-0.12)-0.08/(1-0.08)}≒4,941Ω
R415=100kΩ×{0.16/(1-0.16)-0.12/(1-0.12)}≒5,411Ω
R416=100kΩ×{0.20/(1-0.20)-0.16/(1-0.16)}≒5,942Ω
R417=100kΩ×{0.32/(1-0.32)-0.20/(1-0.20)}≒22,059Ω
R418=100kΩ×{0.44/(1-0.44)-0.32/(1-0.32)}≒31,513Ω
R419=100kΩ×{0.56/(1-0.56)-0.44/(1-0.44)}≒48,701Ω
R420=100kΩ×{0.68/(1-0.68)-0.56/(1-0.56)}≒85,227Ω
R421=100kΩ×{0.80/(1-0.80)-0.68/(1-0.68)}=187,500Ω
R422=100kΩ×{0.84/(1-0.84)-0.80/(1-0.80)}=125,000Ω
R423=100kΩ×{0.88/(1-0.88)-0.84/(1-0.84)}≒208,333Ω
R424=100kΩ×{0.92/(1-0.92)-0.88/(1-0.88)}≒416,666Ω
R425=100kΩ×{0.96/(1-0.96)-0.92/(1-0.92)}=1,250,000Ω
図8Aは、本発明の第二の実施形態の例である、水位センサ801の表側の外観図である。
図8Bは、本発明の第二の実施形態の例である、水位センサ801の裏側の外観図である。
図8A及び図8Bに示す水位センサ801の、図1に示す第一の実施形態に係る水位センサ101との外観上の相違点は、長尺基板108の裏側の、地面104に埋没する箇所(基準線L303の下側)に、サーミスタTH802を装着している点である。
サーミスタTH802は、水田103の土中の温度を計測するためのものである。
図9は、水位センサ801の回路図である。
なお、図9に示す回路図のうち、図4と共通する部品については同一の符号を付して説明を省略する。また、抵抗の配列は、紙面の都合上、その一部を省略している。
図9に示す水位センサ801の回路図と、図4に示す第一の実施形態に係る水位センサ101の回路図との大きな相違点は、サーミスタTH802を設けた点である。
すなわち、図9に示すように、直流定電圧ノードE404に、抵抗R901とサーミスタTH802が直列に接続されている。そして、抵抗R901とサーミスタTH802との接続点に、第二のオペアンプ902の非反転入力端子が接続されている。
寒冷地における稲作において、寒冷地に適応した水稲102は、茎や葉は比較的寒さに強いものの、茎や葉に比べると根が寒さに弱い。このため、水温が許容温度を下回ると、水稲102の生育に悪影響を及ぼす可能性が高くなる。
すなわち、寒冷地における稲作では、水田103の水位と共に土中温度のモニタリングが重要である。
また、サーミスタTH802は純粋な抵抗であるため、水位センサ801の抵抗配列と直流定電圧ノードE404を共用できるので、種類の豊富なデュアルオペアンプを最大限活用することができる。なお、デュアルオペアンプは、幅広く市場に多く出回っている電子部品である。
またサーミスタTH803は、必要に応じて基準線L303を跨ぐ位置に設置して、水と土表面の温度を計測する実施形態にしてもよい。
図10Aは、本発明の第三の実施形態の例である、水位センサ1001の表側の外観図である。図10Bは、本発明の第三の実施形態の例である、水位センサ1001の裏側の外観図である。
図10A及び図10Bに示す水位センサ1001の、図1に示す第一の実施形態に係る水位センサ101との外観上の相違点は、長尺基板108の裏側の、地面104に埋没する箇所(基準線L303の下側)に、水田103の土中の抵抗値を計測する電極1002と電極1003を設けた点である。すなわち、この電極109は水田103の土中の電気伝導度(EC値:Electro-Conductance)を計測することにより、土中の抵抗値を計測している。
図11は、第三の実施形態で用いられる水位センサ1001の回路図である。なお、図11に示す回路図のうち、図4及び図9と共通する部品については同一の符号を付して説明を省略する。また、抵抗の配列は、紙面の都合上、その一部を省略している。
図11に示す水位センサ1001の回路図の、図9に示す第二の実施形態に係る水位センサ101の回路図との相違点は、サーミスタTH802の代わりに電極1002が第二のオペアンプ902の非反転入力端子に接続されていると共に、電極1002の近傍に接地ノードに接続される電極1003が設けられている点である。
更に、電極間の抵抗値を計測することで、水112の電気抵抗による水位センサ1001の計測値の誤差を低減することが可能になる。
水田103の地面104に差し込んで運用する、直流電流を用いて直列接続される抵抗の分圧によって水田103の水位を計測する水位センサ101において、水位センサ101に実装される電極109と、それら電極109に接続される抵抗を、3つのグループに分けた。第一のグループG451は、地面104から地下に埋まる電極109のグループである。第二のグループG452は、地面104から地上の所定の水位まで露出する電極109のグループである。第三のグループG453は、第二のグループG452より更に上の水位に露出する電極109のグループである。
Claims (4)
- 長手方向の一部が水田の地面に埋設される基板と、
一端が直流定電圧ノードに接続される電流制限抵抗と、
前記電流制限抵抗の他端と接地ノードとの間に直列接続される複数の抵抗と、
前記複数の抵抗同士の接続点に接続され、前記基板の長手方向に等間隔に配置される複数の電極と、を具備し、前記電流制限抵抗の他端と前記複数の抵抗との間の接続点から検出電圧を得る水位センサであって、
前記複数の抵抗は、
前記接地ノードから前記水田の前記地面の表面までに位置する前記電極に接続される第一のグループと、
前記第一のグループに接続され、前記水田の前記地面の表面から所定の水位までに位置する前記電極に接続される第二のグループと、
前記第二のグループと前記直流定電圧ノードとの間に接続され、前記第二のグループに属する前記電極より更に上の水位に位置する前記電極に接続される第三のグループと
に分類され、
前記第二のグループから得られる検出電圧の電圧幅は、前記第一のグループ及び前記第三のグループから得られる検出電圧の電圧幅より広くなるように、前記抵抗の抵抗値が設定される、水位センサ。 - さらに、前記直流定電圧ノードには、抵抗を介して前記地面に埋没する箇所に配置されたサーミスタが接続されており、前記サーミスタにより前記地面の土中温度を計測する、
請求項1に記載の水位センサ。 - さらに、前記直流定電圧ノードには、抵抗を介して前記水田の地面から露出する箇所に配置されたサーミスタが接続されており、前記サーミスタにより前記水田の水中温度を計測する、
請求項1に記載の水位センサ。 - さらに、前記直流定電圧ノードには、前記基板の長手方向に等間隔に配置される複数の電極とは別に、抵抗を介して地面に埋没する箇所に一対の電極が取り付けられ、前記一対の電極により土中の電気伝導度を測定する、
請求項1に記載の水位センサ。
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