JP7096152B2 - 一過性受容体電位カチオンチャネルサブファミリーmメンバー8(trpm8)拮抗薬及び使用方法 - Google Patents

一過性受容体電位カチオンチャネルサブファミリーmメンバー8(trpm8)拮抗薬及び使用方法 Download PDF

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Description

関連出願
本出願は、2015年10月6日に出願された米国仮出願第62/237,672号に対する優先権を主張し、その全内容は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
涙は、前眼部に栄養を供給し、潜在的な損傷刺激からの保護に必要である(Darttら、Prog Retin Eye Res 28: 155~177頁、2009年)。侵害性刺激により誘発される流涙に関与する角膜の一次求心性ニューロンとして、ポリモーダル及び機械受容性ニューロンの両方が挙げられ、それらの求心性の活性化により引き起こされる増加した流涙には、刺激又は疼痛を伴う(Acostaら、J Physiol 534: 511~525頁、2001年、Acostaら、Invest Ophthalmol Vis Sci 42: 2063~2067頁、2001年、Acostaら、Invest Ophthalmol Vis Sci 45: 2333~2336頁、2004年)。ポリモーダル及び機械受容性の求心性に加えて、角膜は、無害の冷たさに敏感なニューロンにより神経支配されている(Belmonte及びGiraldez J Physiol 321: 355~368頁、1981年、Hirata及びMeng Invest Ophthalmol Vis Sci 51: 3969~3976頁、2010年)。これらの角膜の冷覚細胞(cool cell)はまた、一過性受容体電位メラスタチン8(TRPM8)チャネルに対する拮抗薬であるメントール、及び高浸透圧刺激により活性化される(Acostaら、2001年、Hirata及びMeng 2010年)。角膜の冷覚細胞は、眼表面の乾燥に応答して涙の生成を促進する反射に関わる(Parraら、Nat Med 16: 1396~1399頁、2010年)。
ドライアイ疾患は、角膜の涙液層の不十分な保護を特徴とする、比較的よく見られる状態である。ドライアイの症状は、眼瞼衛生、局所的抗生物質(エリスロマイシン又はバシトラシンの軟膏剤)、経口テトラサイクリン(テトラサイクリン、ドキシサイクリン又はミノサイクリン)、抗炎症性化合物(シクロスポリン)、及びコルチコステロイドにより伝統的に管理されているが、これらはしばしば、時間がかかり、苛立たしく、頻繁に効果が見られない又は効果が安定しない処置である。何千万人の人が、世界中でドライアイに罹患しており、およそ500万人の50歳以上のアメリカ人がドライアイを有すると推定される。このうち、300万人超が女性であり、150万人超が男性である。高齢者は、頻繁に目の乾燥を経験するが、ドライアイはどの年代でも起こり得る。ドライアイは、視力関連の生活の質に悪影響を及ぼす、潜在的な身体障害性疾患である。現在の治療の選択肢は限定的であり、高価である。ドライアイ疾患が高頻度であるにもかかわらず、依然として治療的な難題のままである。
Darttら、Prog Retin Eye Res 28: 155~177頁、2009年 Acostaら、J Physiol 534: 511~525頁、2001年 Acostaら、Invest Ophthalmol Vis Sci 42: 2063~2067頁、2001年 Acostaら、Invest Ophthalmol Vis Sci 45: 2333~2336頁、2004年 Belmonte及びGiraldez J Physiol 321: 355~368頁、1981年 Hirata及びMeng Invest Ophthalmol Vis Sci 51: 3969~3976頁、2010年 Parraら、Nat Med 16: 1396~1399頁、2010年
したがって、ドライアイ疾患を処置する、新しい療法の必要性が依然としてある。
本発明は、一過性受容体電位メラスタチン8(TRPM8)拮抗薬が、対象において眼の疾患若しくは障害、又は眼の疼痛若しくは不快感を処置又は予防するために使用することができるという、新規で驚くべき発見に基づいている。
第一の態様において、本発明は、薬学的に許容される担体及び薬学的有効量の一過性受容体電位メラスタチン8(TRPM8)拮抗薬を含む組成物を、対象に投与することを含む、対象において眼の疾患又は障害を処置又は予防する方法を特徴とする。
一実施形態において、眼の疾患又は障害を処置又は予防することは、眼の疾患又は障害の症状を処置又は予防することを含む。
一実施形態において、眼の疾患又は障害は、眼の不快感である。
一実施形態において、眼の疾患又は障害は、ドライアイ疾患又はドライアイの不快感である。関連する実施形態において、ドライアイ疾患は、重度のドライアイ疾患である。さらなる関連する実施形態において、眼の疾患又は障害、例えばドライアイ疾患は、加齢、コンタクトレンズの使用、環境ストレス、疲労、ダイエット、水分過剰(hydration)、全身性疾患、読書若しくは映像画面の使用などの視覚タスク、炎症又は薬の使用から選択される、1つ以上の原因に帰すことができる。別のさらなる実施形態において、眼の疾患又は障害、例えばドライアイ疾患は、過度に速い涙の蒸発(蒸発亢進型ドライアイ)又は不十分な涙の生成に起因する。さらに別のさらなる実施形態において、眼の疾患又は障害、例えばドライアイ疾患は、屈折矯正手術と関連する。
別の態様において、本発明は、薬学的に許容される担体及び薬学的有効量の一過性受容体電位メラスタチン8(TRPM8)拮抗薬を含む組成物を、対象に投与することを含む、対象において眼の疼痛又は不快感を処置又は予防する方法を特徴とする。
一実施形態において、眼の疼痛又は不快感は、ドライアイ疾患によって引き起こされる。さらなる実施形態において、ドライアイ疾患は、重度のドライアイ疾患である。さらなる関連する実施形態において、ドライアイ疾患は、加齢、コンタクトレンズの使用、環境疲労、ダイエット、水分過剰、全身性疾患、炎症又は薬の使用から選択される、1つ以上の原因に帰すことができる。別のさらなる実施形態において、ドライアイ疾患は、過度に速い涙の蒸発(蒸発亢進型ドライアイ)又は不十分な涙の生成に起因する。さらに別のさらなる実施形態において、ドライアイ疾患は、屈折矯正手術と関連する。
別の態様において、本発明は、薬学的に許容される担体及び薬学的有効量の一過性受容体電位メラスタチン8(TRPM8)拮抗薬を含む組成物を、対象に投与することを含む、対象において涙液層を正常化する方法を特徴とする。涙液層を正常化することは、眼表面を正常化することを含むことを意味する。
上記の態様のいずれか1つの一実施形態において、組成物は、眼に局所投与される、例えば、眼又は眼周囲に投与される。さらなる実施形態において、眼は、ヒトの、眼組織、対象の眼瞼、眼表面、マイボーム腺及び又は涙腺からなる群から選択される、眼内部の又は眼周囲の組織又は腺を含む。
上記の態様のいずれか1つの別の実施形態において、組成物は、固形、ペースト、軟膏、ゲル、液、エアゾール、ミスト、ポリマー、フィルム、乳剤又は縣濁液の形態である。
上記の態様のいずれか1つの別の実施形態において、TRPM8拮抗薬は、小分子、核酸分子、アプタマー、アンチセンス分子、RNAi分子、タンパク質、ペプチド及び抗体又は抗体フラグメントからなる群から選択される。さらなる実施形態において、TRPM8拮抗薬は、小分子である。別のさらなる実施形態において、TRPM8小分子拮抗薬は、化合物I:
Figure 0007096152000001
を含む。
上記の態様のいずれか1つの別の実施形態において、TRPM8拮抗薬の薬学的有効量は、0.001~5.0%(w/v)、例えば、0.001~5.0%(w/v)、0.01~5.0%(w/v)、0.1~5.0%(w/v)、1.0~5.0%(w/v)である。関連する実施形態において、TRPM8拮抗薬の薬学的有効量は、0.1%(w/v)である。
上記の態様のいずれか1つの別の実施形態において、TRPM8拮抗薬は、別の剤と組み合せて投与される。
他の実施形態は、以下に示される。
TRPM8拮抗薬である化合物Iでの実験において使用される研究デザインを示す概略図である。 角膜知覚における化合物Iの効果を示すグラフである。 プラセボを投与した後の、メントール処置後の症状を示すグラフである。対象は、頭文字E-A、KJL、M-Cで示す。 化合物Iを投与した後の、メントール処置後の症状を示すグラフである。対象は、頭文字E-A、KJL、M-Cで示す。 プラセボを投与し、制御された悪環境(Controlled Adverse Environment)(CAE)に対する曝露後の、眼の不快感に対する効果を示すグラフである。 化合物Iを投与し、制御された悪環境(Controlled Adverse Environment)(CAE)に対する曝露後の、眼の不快感に対する効果を示すグラフである。 プラセボを投与し、制御された悪環境(CAE)及びターボCAEに対する曝露後の、眼の不快感に対する効果を示すグラフである。 化合物Iを投与し、制御された悪環境(CAE)及びターボCAEに対する曝露後の、眼の不快感に対する効果を示すグラフである。 TRPM8投与後/メントール投与直後の、15分及び24時間の時点での、1分当たりのBalb/Cの瞬きの割合を示すグラフである。 メントール投与後の、15分及び27時間の時点での、Balb/Cの涙の生成を示すグラフである。 ベースラインからTRPM8投与後の、15分及び27時間の時点での、Balb/Cの涙のデルタ生成を示すグラフである。
本発明は、TRPM8拮抗薬が公知のTRPM8作動薬であるメントールの効果を妨げることができ、さらに、同じTRPM8拮抗薬がドライアイ及び重度のドライアイのモデルにおける眼の不快感に対して保護することができるという、驚くべき発見に基づいている。本発明は、TRPM8拮抗薬が眼の不快感を軽減することができるという予期しない発見、すなわち、当該分野で以前に報告された、TRPM8作動薬を使用して涙を増大することで眼の不快感を軽減するという結果とは逆の発見を報告する。
したがって、本明細書に記載された本発明は、薬学的に許容される担体及び薬学的有効量の一過性受容体電位メラスタチン8(TRPM8)拮抗薬を含む組成物を、対象に投与することを含む、対象において眼の疾患又は障害を処置又は予防する方法を提供する。本発明はまた、薬学的に許容される担体及び薬学的有効量の一過性受容体電位メラスタチン8(TRPM8)拮抗薬を含む組成物を、対象に投与することを含む、対象において眼の疼痛又は不快感を処置又は予防する方法も提供する。
定義
冠詞「a」、「an」及び「the」は、別段の対比による明確な指摘がない限り、1つの又は1つ以上の(すなわち、少なくとも1つの)物の文法的な対象を指すように、本明細書では使用される。例として、「要素(an element)」は、1つの又は1つ以上の要素を意味する。
用語「含む(including)」は、語句「限定されないが、含む」を意味するように本明細書では使用され、この語句と互換的に使用される。
用語「又は」は、文脈上別段の明確な指摘がない限り、用語「及び/又は(and/or)」を意味するように本明細書では使用され、この用語と互換的に使用される。
用語「例えば」は、語句「限定されないが、例えば、」を意味するように本明細書では使用され、この語句と互換的に使用される。
具体的に記載されていない限り又は文脈から明白でない限り、本明細書で使用される場合、用語「約」は、当該分野の正常な公差範囲内、例えば平均の二標準偏差内として理解される。約は、記載された値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%又は0.01%内であると理解され得る。文脈上明確でない限り、本明細書で示される全ての数値は、用語「約」によって修飾され得る。
本明細書での変更の任意の定義における化学基の一覧の列挙は、任意の単一の基又は列挙された基の組合せとしてのその変更の定義を含む。本明細書での変更又は態様に対する実施形態の記載は、任意の単一の実施形態として、又は任意の他の実施形態若しくはそれらの一部分と組み合わせた、その実施形態を含む。
本明細書で示される任意の組成物又は方法は、本明細書で示される他の組成物及び方法のいずれかの1つ以上と組み合わせることができる。
本明細書で示される範囲は、範囲内の全ての値に対する省略表現であると理解される。例えば、1~50の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49又は50からなる群からの、任意の数値、数値の組合せ、又は副範囲を含むと理解される。
用語「投与する(administer)」、「投与すること(administering)」又は「投与(administration)」は、対象の系への、又は対象中若しくは上の特定の領域への、医薬組成物又は剤の送達の任意の方法を含む。ある種の実施形態において、組成物は、眼に局所投与される。眼は、眼組織、対象の眼瞼、眼表面、マイボーム腺及び又は涙腺からなる群から選択される、眼内部の又は眼周囲の組織又は腺を含む。眼への局所投与は、眼への、又は眼周囲の領域への投与を含むことを意味する。剤を投与することは、協働する複数の人によって実施され得る。剤を投与することは、例えば、自己送達による、又は訓練を受けた専門家による送達用のいずれかで、対象に投与される剤を処方すること、及び/又は、具体的な剤を摂取するように直接に若しくは他を介して指示することを含む。
「治療有効量」は、対象において疾患を処置するのに十分な量である。治療有効量は、1つ以上の投与で投与することができる。
本明細書で使用される場合、用語「処置する(treat)」、「処置すること(treating)」又は「処置(treatment)」は、好ましくは、限定されないが、疾患又は状態の1つ以上の徴候又は症状の軽減又は改善、疾患又は状態の拡張の軽減、疾患又は状態の安定性(すなわち、悪化しない)状態、病態の改善又は寛解、及び、病態の予防を含む、有利な又は所望の臨床結果を得る行為を指す。処置は、治癒的である必要がない。処置はまた、眼の疾患又は障害の1つ以上の徴候又は症状の予防も指すことができる。
本明細書で使用される場合、用語「対象」は、獣医学的な対象を含む、ヒト及び非ヒト動物を指す。用語「非ヒト動物」は、全ての脊椎動物、例えば、哺乳動物及び非哺乳動物(非ヒト霊長類、マウス、ウサギ、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ニワトリ、両生類及び爬虫類など)を含む。好ましい実施形態において、対象はヒトであり、患者と呼ばれ得る。
本明細書で使用される場合、用語「眼の疾患又は障害」は、眼の疾患又は障害の症状を含む、任意の眼の疾患若しくは障害、又は眼に関連する疾患若しくは障害を指すことを意味する。
本明細書で使用される場合、用語「ドライアイ疾患」は、涙の生成が減少する又は涙液層の蒸発が増大することにより引き起こされる眼の疾患を指すことを意味する。ドライアイの他の名称として、ドライアイ症候群、乾性角結膜炎(KCS)、涙腺機能不全症候群、涙液性角結膜炎(lacrimal keratoconjunctivitis)、蒸発亢進型涙欠乏症(evaporative tear deficiency)、水性涙欠乏症、及びLASIK誘発性神経栄養性上皮症(LASIK-induced neurotrophic epitheliopathy)(LNE)が挙げられる。
用語「眼の疼痛又は不快感」は、限定されないが、痛み、乾燥若しくは掻痒、ゴロゴロする感覚、発赤、光への敏感さ、刺すような若しくは灼けつく感覚、又は眼に関連する疼痛を含むことを意味する。
ある種の実施形態において、ドライアイの疾患又は障害は、限定されないが、加齢、コンタクトレンズの使用、環境ストレス、疲労、ダイエット、水分過剰、全身性疾患、視覚タスク(読書若しくは映像画面の使用など)、炎症又は薬の使用から選択される、1つ以上の原因に帰すことができる。他の実施形態において、ドライアイ疾患は、過度に速い涙の蒸発(蒸発亢進型ドライアイ)又は不十分な涙の生成に起因する。他の実施形態において、ドライアイ疾患は、屈折矯正手術と関連する。
用語「一過性受容体電位メラスタチン8(TRPM8)拮抗薬」は、眼に適切な濃度で、TRPM8の活性を阻害することができる(すなわち、TRPM8媒介シグナル伝達カスケードを妨げる)、任意の化合物又は任意の剤を指すことを意味する。本発明の方法に有用なTRPM8拮抗薬として、限定されないが、小分子、核酸分子、アプタマー、アンチセンス分子、RNAi分子、タンパク質、ペプチド及び抗体又は抗体フラグメントが挙げられる。例示的なTRPM8拮抗薬は、WO2006040136に記載され、参照によりその全体が本明細書に援用される。
以下で本発明の好ましい実施形態において詳細に言及される。本発明が好ましい実施形態と共に記載される場合、本発明をこれらの好ましい実施形態に限定することを意図していないことは理解されるであろう。逆に、添付の請求項によって定義される本発明の趣旨及び範囲内に含まれ得る、代替、変更及び均等物を含むことを意図している。
I.眼の疾患又は障害
本発明は、眼の疾患又は障害を処置又は予防する方法、及び眼の疾患又は障害に関連する症状を処置又は予防する方法を提供する。
眼の疾患又は障害は、眼自体、又は、眼内部の若しくは眼周囲の組織若しくは腺、例えば、眼組織、対象の眼瞼、眼表面、マイボーム腺及び若しくは涙腺の、任意の疾患若しくは障害、又はそれらに関連する疾患若しくは障害を含む。
本発明の方法により処置又は予防される眼の疾患又は障害は、ドライアイ疾患である。ドライアイの他の名称として、ドライアイ症候群、乾性角結膜炎(KCS)、涙腺機能不全症候群、涙液性角結膜炎、蒸発亢進型涙欠乏症、水性涙欠乏症、及びLASIK誘発性神経栄養性上皮症(LNE)が挙げられる。
ドライアイ疾患は、不十分な又は変化した涙液層によって引き起こされ、涙腺が正確な組成の涙を十分な量生成できないことの結果であり得る(Abelsonら、Curr Opin Ophthalmol 20: 282~286頁、2009年、Barabino及びDana Chem Immunol Allergy 92: 176~184頁、2007年)。或いは、ドライアイは、十分な量の涙を生成するには不十分なニューロンの動きをもたらす、感覚求心性ニューロンが角膜表面を監視できないことから起こり得る(Dartt Ocul Surf 2: 76~91頁、2004年、Prog Retin Eye Res 28: 155~177頁、2009年、Mathers CLAO J 26: 159~165頁、2000年、van Bijsterveldら、Br J Ophthalmol 87: 128~130頁、2003年)。角膜の一次求心性ニューロンは、様々な膜チャネルを発現し、これは生理学的な特徴に対応する。角膜を支配する一次求心性ニューロンは、三叉神経脊髄路核を通した中継を伴う、基本的な流涙の分泌を調節する。ポリモーダル侵害受容器が、TRPV1、TRPA1、TRPV4及び酸感受性イオンチャネル(ASIC)チャネルを含む、有害化学的、熱的及び機械的刺激に応答してチャネルを発現すると提案されてきた。対照的に、寒冷受容体はTRPM8チャネルを発現するが、これは無害な冷たさに感受性である(Meng及びKurose Experimental Eye Research 117 (2013年) 79~87頁)。
さらに、ドライアイの最初の原因が涙腺の機能障害であるとしても、ドライアイの状態自体が、涙の調節に関与する角膜の求心性に影響を及ぼし、涙腺機能のさらなる悪化、及び状態の悪化をもたらし得る悪循環を起こし得ることを示唆していると提案されてきた(Mathers、2000年)。
水性涙欠乏性ドライアイは、涙腺が涙の水性成分を十分に生成して健康的な眼の表面を維持することができなくなる障害である。蒸発亢進型ドライアイは、眼瞼内にも位置するマイボーム腺の炎症から起こり得る。これらの腺は、蒸発を遅延させる涙の液体部又は油性部を作製し、涙を安定に保つようにする。ドライアイは、眼の表面、涙腺又は結膜の炎症、涙の成分を変化させる任意の疾患の経過、眼が前に突出する場合の甲状腺疾患の様な眼の表面の増加、眼瞼をより広く広げる場合の美容整形手術に関連し得る。
ドライアイの症状として、限定されないが、眼の刺すような痛み又は灼けつく痛み、眼の中に何かがあるようなザラザラする又はゴロゴロする感覚、激しいドライアイの期間の後の過剰な涙のエピソード、眼からの粘質の分泌物、眼の疼痛及び発赤、かすみ目のエピソード、重い眼瞼、感情的なストレスを感じた場合に泣けないこと、違和感のあるコンタクトレンズ、読書、コンピュータでの仕事、又は持続する視覚的注意を要する任意の活動への耐性の低下、眼精疲労が挙げられる。
ドライアイは、一過性又は慢性の状態であり得る。重度のドライアイは、世界中で何百万人もの患者が罹患し、一部の患者を不自由にし得る、衰弱性疾患である。何百万人もの人は、最も重度な形態に罹患している。この疾患は、しばしば、重度の眼の不快感を負わせ、その結果、生活の質を大幅に変え、眼表面の不健康を引き起こし、実質的に視力が低下し、視力を脅かす可能性がある。重度のドライアイ患者は、屋外で過ごす実質的な時間を妨げる光及び風への敏感さが出現し、彼らはしばしば、不快感のために読んだり、又は運転したりできない。
以下は、眼の不快感及びドライアイ又は重度のドライアイなどの眼の疾患又は障害の原因及び症状の非限定的な例である。眼の不快感及び/又はドライアイは、抗ヒスタミン剤、鼻充血除去薬、精神安定剤、ある種の高血圧薬、パーキンソン病の薬、経口避妊薬及び抗うつ剤を含む、一部の薬の副作用であり得る。乾燥した環境又は移動する空気による環境ストレスは、眼の不快感及びドライアイを引き起こす大きな要因である。加齢は、眼の不快感及び/又はドライアイの最も一般的な原因の1つである。コンタクトレンズを装着した全ての人のおよそ半数が、眼の不快感及び/又はドライアイを訴えている。眼瞼上又は眼瞼周囲の皮膚疾患は、眼の不快感及び/又はドライアイを引き起こし得る。マイボーム腺機能不全などの眼瞼中の腺の疾患は、眼の不快感及び/又はドライアイを引き起こし得る。眼の不快感及び/又はドライアイは、妊娠中の女性に起こり得る。ホルモン補充療法を受けている女性は、眼の不快感及び/又はドライアイの症状を経験し得る。眼の不快感及び/又はドライアイはまた、LASIKとして公知の屈折矯正手術後にも発症し得る。屈折矯正手術に関連するドライアイの症状は、場合によっては手術後6週間から6か月以上、継続することが報告されている。眼の不快感及び/又はドライアイは、眼瞼に並ぶ及び眼を覆う膜に傷跡を残す、化学熱傷及び温度熱傷により起こり得る。アレルギーは、眼の不快感及び/又はドライアイに関連し得る。コンピュータ若しくは映像画面の凝視、又は、読書などの他の視覚タスクに関連して瞬きが減ることはまた、眼の不快感及び/又はドライアイの症状を引き起こし得る。ビタミンの過剰な投与及び不十分な投与の両方とも、眼の不快感及び/又はドライアイに寄与し得る。長期間のコンタクトレンズの装着による角膜の感覚の喪失は、眼の不快感及び/又はドライアイを引き起こし得る。眼の不快感及び/又はドライアイは、シェーグレン症候群、狼瘡及び関節リウマチなどの免疫系障害に関連し得る。シェーグレン症候群は、口、眼及び他の粘膜の炎症及び乾燥を引き起こす。それはまた、腎臓、肺及び血管を含む他の臓器にも影響を及ぼす。眼の不快感及び/又はドライアイは、結膜、眼瞼に並ぶ及び眼の前部を覆う膜、又は涙腺の慢性炎症の症状であり得る。眼の不快感及び/又は炎症は、ある種の眼疾患、感染症、化学的煙霧及びタバコ煙などの刺激物質への曝露、又はエアコン若しくはヒーターの風により引き起こされ得る。眼が前に突出する場合の甲状腺疾患の様に眼の表面積が増加した場合、又は眼瞼をより広く広げる場合の美容整形手術後、眼の不快感及び/又はドライアイが生じ得る。眼の不快感及び/又はドライアイは、眼瞼は、就寝中に完全に閉じない兎眼性角膜炎から起こり得る。
II.TRPM8拮抗薬
一過性受容体電位(TRP)チャネルは、イオンチャネルの最大の群の1つであり、配列相同性に基づいて、6つのサブファミリー(TRPV、TRPM、TRPA、TRPC、TRPP及びTRPML)に分類される。TRPチャネルは、いくつかの物理的刺激(温度、浸透圧及び機械的刺激など)並びに化学的刺激により活性化される、カチオン選択性チャネルである。TRPM8は、2002年にクローニングされ、TRPファミリーの非選択性カチオンチャネルである。TRPM8は、一次侵害受容ニューロン(A-δ線維及びC-線維)に位置し、また、炎症媒介セカンドメッセンジャーシグナルによってモジュレートされる(Abe, J.ら、Neurosci Lett 2006年、397(1-2)、140~144頁、Premkumar, L.S.ら、J. Neurosci、2005年、25(49)、11322~11329頁)。TRPM8は、穏やかな低温、並びにメントール、ユーカリプトール及びイシリンなどの合成の冷感模倣化合物(cool-mimetic compound)により活性化される(McKemy D.D.ら、Nature (2002年) 416、52~58頁、Peier A.M.ら、Cell (2002年) 108、705~715頁)。いくつかの他のTRPチャネルと同様に、TRPM8はまた、電圧によりゲートされる(Nilius B.ら、J. Physiol. (2005年) 567、35~44頁)。TRPM8の電位依存性は、脱分極された膜内外電位での強力な外向きの整流、及び負の膜電位での急速で電位依存性の閉鎖を特徴とする。冷却剤及びメントールの適用によって、活性化曲線がより負の電位の方へ移動し、チャネルを開口する可能性が高まり、生理学的な膜電位で内向きの電流がブーストされる。ホスホリパーゼA2産物(Vanden Abeele F.ら、J. Biol. Chem. (2006年) 281、40174~40182頁)、内在性カンナビノイド(De Petrocellis Lら、Exp. Cell. Res. (2007年) 313、1911~1920頁)、及びPIP2(Rohacs T.ら、Nat. Neurosci. (2005年) 8、626~634頁)などの、他の内在性因子はまた、チャネル調節に関与している。
本発明は、TRPM8拮抗薬が公知のTRPM8作動薬であるメントールの効果を妨げることができ、さらに、同じTRPM8拮抗薬がドライアイ及び重度のドライアイのモデルにおける眼の不快感に対して保護することができるという、驚くべき発見に基づいている。本発明は、TRPM8拮抗薬が眼の不快感を軽減することができるという予期しない発見、すなわち、当該分野で以前に報告された結果とは逆の発見を報告する。実際に、TRPM8チャネル作動薬を介する角膜の冷覚細胞の活性が、流涙を増大することによりドライアイを処置する潜在的な治療介入を表し得ると提案されてきた(Hirata及びMeng Invest Ophthalmol Vis Sci 51、2010年、Parraら、Nature Medicine、vol. 16(12)、2010年、Robbinsら、Invest Ophthalmol Vis Sci 53、2012年)。
TRPM8拮抗薬として、限定されないが、小分子、核酸分子、アプタマー、アンチセンス分子、RNAi分子、タンパク質、ペプチド及び抗体又は抗体フラグメントが挙げられ得る。
小分子阻害剤
いくつかのクラスの非ペプチドTRPM8拮抗薬が開示されている。国際特許出願WO 2006/040136には、泌尿器障害の処置用の、寒冷メントール受容体-1(CMR-1)拮抗薬としての置換4-ベンジルオキシ-フェニルメチルアミド誘導体が記載されている。国際特許出願WO 2007/017092A1、WO 2007/017093A1及びWO 2007/017094A1には、TRPM8としても知られる、寒冷メントール受容体(CMR)に関連する疾患の処置用の、ベンジルオキシフェニルメチルカーバメート、置換2-ベンジルオキシ安息香酸アミド及び置換4-ベンジルオキシ安息香酸アミド誘導体が記載され、WO 2007/134107には、TRPM8関連の疾患の処置用の、TRPM8拮抗薬としてのリン担持化合物が記載され、WO 2009/012430には、TRPM8に関連する疾患の処置用の、スルホンアミドが記載され、WO 2010/103381には、TRPM8関連の障害又は疾患の予防又は処置におけるTRPM8モジュレーターとしてのスピロ環状ピペリジン誘導体の使用が記載され、WO 2010/125831には、炎症、疼痛及び泌尿器障害の処置におけるTRPM8受容体のモジュレーターとしてのスルファモイル安息香酸誘導体及びそれらの使用が記載されている。
他のTRPM8阻害剤として、AMTB(N-(3-アミノプロピル)-2-[(3-メチルフェニル)メトキシ]-N-(2-チエニルメチル)-ベンズアミド塩酸塩(1:1)ヒクレート(hyclate))(CAS 926023-82-7)(Santa Cruz Biotechnology、sc-361103)及びJNJ41876666(Parks D.J.ら、2011年、J Med Chem 54: 233~247頁の化合物5)、3-[7-トリフルオロメチル-5-(2-トリフルオロメチル-フェニル)-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル]-1-オキサ-2-アザ-スピロ[4.5]デカ-2-エン塩酸塩)が挙げられる。BCTC、チオ-BCTC及びカプサゼピンは、TRPM8受容体の拮抗薬として同定された。これらの拮抗薬は、S1~S4電位感知ドメインに結合し、応答を防止することで、寒冷及びメントールに対する受容体を物理的に妨げる(Behrendt H.J.ら、Br. J. Pharmacol. 141 (4): 737~45頁)。
本発明のある種の好ましい実施形態において、TRPM8拮抗薬は、小分子阻害剤である。
Parks D.J.ら、J. Med. Chem. 2011年、54、233~247頁には、ベンゾイミダゾール足場に基づくあるクラスの選択性TRPM8拮抗薬のデザイン、合成、及び、最適化が記載されている。
例示的な実施形態において、TRPM8拮抗薬は、以下の化合物Iとして示される、市販のTRPM8拮抗薬N-(2-アミノエチル)-N-(4-(ベンジルオキシ)-3-メトキシベンジル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩、N-(2-アミノエチル)-N-[[3-メトキシ-4-(フェニルメトキシ)フェニル]メチル]-2-チオフェンカルボキサミド塩酸塩(Sigma Aldrich M8-B塩酸塩(SML0893))である。
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核酸阻害剤
アンチセンス分子
TRPM8拮抗薬は、TRPM8活性の成分の転写及び/又は翻訳を低下させるアンチセンス分子であり得る。アンチセンス分子は、アンチセンス技術を使用して調製されるRNA又はDNAを含み、ここで例えば、アンチセンスRNA又はDNA分子は、標的mRNAにハイブリダイズし、タンパク質翻訳を防止することによって、直接、mRNAの翻訳を妨げるように作用する。アンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドと結合して核酸配列を標的とすることで、二重鎖の分解の増大、転写若しくは翻訳の早期終結を含む、いくつかの方法のうちの1つによって又は他の方法によって標的配列の転写又は翻訳を妨げる、二重鎖の形成を引き起こす。このようなオリゴヌクレオチドはまた、アンチセンスRNA又はDNAはin vivoで発現してTRPM8活性の成分の生成を阻害し得るように、細胞に送達され得る。
TRPM8拮抗薬は、標的のmRNA(センス)又はDNA(アンチセンス)配列への結合が可能な一本鎖の核酸配列(RNA又はDNAのいずれか)を含む、アンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドを含む。このようなフラグメントは、一般に、約10~40ヌクレオチドの長さ、好ましくは少なくとも約14ヌクレオチドの長さ、好ましくは約14~30ヌクレオチドの長さを有する。
さらに、アンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドは、内在性のヌクレアーゼに対する抵抗性がある、若しくはオリゴヌクレオチドの標的核酸配列に対するアフィニティを増加させる他の部分と共有結合する、修飾された糖-リン酸ジエステル骨格を有するか、又は、アンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドの標的ヌクレオチド配列に対する結合特異性を改変するインターカレート剤を有する、オリゴヌクレオチドを含む。
低分子干渉RNA(siRNA)
siRNAは、TRPM8拮抗薬として使用して、例えば、TRPM8活性を阻害することができる。「siRNA」又は「RNAi」は、二重鎖RNA分子であり、典型的には約21ヌクレオチドの長さであり、標的遺伝子をコードする遺伝子又はポリヌクレオチドに相同であり、標的遺伝子の発現を妨害する。
三重らせん構造の核酸分子
三重らせん(triple-herix)構造の核酸分子は、TRPM8拮抗薬として使用され得る。転写を阻害するために使用された三重らせん構造の核酸分子は、一本鎖であり、デオキシヌクレオチドから構成されるべきである。DNAオリゴヌクレオチドは、転写に関与する遺伝子の領域に相補的であるようにデザインされる。これらオリゴヌクレオチドの塩基組成物は、フーグスティーン塩基対合の法則を介する三重らせん構造を促進するようにデザインされ、これには一般に、二重鎖の1本の鎖で、プリン又はピリミジンのかなりの大きさのストレッチが必要である。
リボザイム
リボザイムは、TRPM8拮抗薬として使用され得る。「リボザイム」は、RNAの特定の切断に触媒作用を及ぼすことができる、酵素的なRNA分子である。リボザイムは、相補的な標的RNAに対する配列特異的ハイブリダイゼーションと、それに続くエンドヌクレアーゼ切断により作用する。潜在的なRNA標的内の特異的リボザイム切断部位は、公知の技術で同定することができる。
抗体
用語「抗体」は、広義に使用され、具体的には、TRPM8阻害剤の所望の活性を呈する限り、例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体(拮抗薬及び中和抗体を含む)、多エピトープ特異性を有する抗体組成物、短鎖抗体、及び抗体のフラグメントを含む。拮抗性のTRPM8抗体は、本発明の方法に有用である。抗体阻害剤は、具体的には、実質的に任意の他のポリペプチド又はポリペプチドエピトープと結合することなく、特定のポリペプチド上の特定のポリペプチド又はエピトープと結合する。このような結合は、部分的に又は完全に、TRPM8活性を妨げる、中和する、低減する、又は拮抗する。
「単離された抗体」は、同定及び分離されたもの、並びに/又は、その自然環境の成分から回収されたものである。その自然環境の汚染成分は、抗体に対する診断又は治療のための使用を妨害する物質であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質性又は非タンパク質性の溶質を含み得る。一般に、抗体は、(1)ローリー法により決定された、95重量%超の、最も好ましくは99重量%超の抗体となるように、(2)スピニングカップシーケネーターの使用によってN端末若しくは内部アミノ酸配列の少なくとも15残基を得るのに十分な程度に、又は(3)クーマシーブルー若しくは好ましくは銀染色を使用して還元若しくは非還元条件下のSDS PAGEによって均一となるまで、精製する。単離抗体は、抗体の自然環境の少なくとも1つの成分が存在しないことから、組換え細胞内の本来の場所の抗体を含む。しかし、通常、単離抗体は、少なくとも1つの精製ステップにより調製される。
抗体フラグメントが使用される場合、標的TRPM8タンパク質に特異的に結合する最も小さい阻害性フラグメントが好ましい。
様々な阻害TRPM8抗体は、当該分野で公知であり、例えば、Santa Cruz BiotechnologyからTRPM8(G-16)、TRPM8(N-15)又はTRPM8(D-25)が市販されている。
用語「抗体」は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、抗体フラグメント、短鎖抗体、ダイアボディ、二重特異性抗体、及び多価抗体を含むことを意味する。
III.方法
本発明は、薬学的に許容される担体及び薬学的有効量の一過性受容体電位メラスタチン8(TRPM8)拮抗薬を含む組成物を、対象に投与することを含む、対象において眼の疾患又は障害を処置又は予防する方法を提供する。
眼の疾患又は障害を処置又は予防することは、眼の疾患又は障害の症状を処置又は予防することを包含することを意味する。
本発明はまた、薬学的に許容される担体及び薬学的有効量の一過性受容体電位メラスタチン8(TRPM8)拮抗薬を含む組成物を、対象に投与することを含む、対象において眼の疼痛又は不快感を処置又は予防する方法も特徴とする。
眼の疼痛は、ドライアイ疾患によって引き起こされ得る。
角膜の疼痛系は、それなくしては我々の視力が機能しなくなる、眼の涙液層の保護、保持及び修復という第一の役割において特殊である。この実存的な必要性を満たすため、ヒトのドライアイの警告は、身体内で最も強力で、敏感、及び複雑な疼痛系へと進化し、有害な環境への曝露に異常に弱い感覚器を組み入れた。他の侵害受容系の損傷と同様に、神経障害性疼痛としてそれ自体公知の疾患とならない、及び、疾患となることができる(Treede R.D.ら、Neurology 2008年、70:1630~5頁)。実際に、疼痛に関連する角膜神経の特徴は、体性感覚系に影響する病変又は疾患の直接の結果として、継続する疼痛として定義される、体性神経障害性疼痛のはっきりと定義された特性に類似する。
ドライアイ様疼痛は、過剰な涙液層の蒸発に関連する角膜の疼痛の特殊なタイプである。身体の他の場所で経験する疼痛と異なり、ドライアイの疼痛は、涙液層の蒸発を促進する状況により悪化し、涙液層の蒸発を抑制する状況により軽減する、環境の蒸発因子への感受性により特徴づけられている。したがって、通常の神経障害性疼痛に関連する機構に加え、涙液層の蒸発に合わせた特殊な角膜の侵害受容器は、ドライアイの慢性的な感覚の生成において中心的な役割を果たすことが示されている。
また、薬学的に許容される担体及び薬学的有効量の一過性受容体電位メラスタチン8(TRPM8)拮抗薬を含む組成物を、対象に投与することを含む、対象において涙液層を正常化する方法が、本発明により提供される。
涙液層は、3つの層、すなわち、油(脂質)層、水(水様)層及びムチン層からなる。涙液層のいずれかの部分が適切に機能しない場合、1つ以上のドライアイの症状が起こり得る。涙液層の正常化を評価すること(涙液層正常化検査(tear film normalization test))は、ドライアイ症候群に対する診断検査として使用することができる。涙液層正常化検査は、当該分野で、例えばLatkanyら(Cornea. 2006年12月、25(10):1153~7頁)が記載している。
本発明の方法において、眼は、ヒトの、眼組織、対象の眼瞼、眼表面、マイボーム腺及び又は涙腺からなる群から選択される、眼内部の又は眼周囲の組織又は腺を含むことを意味する。
いくつかの実施形態において、これらの方法は、医療従事者(例えば、医師、医師助手、看護師、看護師助手、又は検査技師)により実施される。他の実施形態において、これらの方法は、対象により対象自身に対して実施される。いくつかの実施形態において、対象は、既にドライアイの処置のために1つ以上の薬剤を摂取していてもよく、本発明の組成物は、対象が以前に摂取された1つ以上の薬剤と組み合せて、対象に投与する。
IV.用法及び用量
本明細書で実証されているように、TRPM8拮抗薬は、ドライアイ及び重度のドライアイのモデルにおける眼の不快感に対して保護することができる。本発明は、薬学的に許容される担体及び薬学的有効量の一過性受容体電位メラスタチン8(TRPM8)拮抗薬を含む組成物を、対象に投与することを含む、対象において眼の疾患又は障害を処置又は予防する方法を提供する。本発明はまた、薬学的に許容される担体及び薬学的有効量の一過性受容体電位メラスタチン8(TRPM8)拮抗薬を含む組成物を、対象に投与することを含む、対象において涙液層を正常化する方法を特徴とする。ある種の実施形態において、TRPM8拮抗薬は、対象に投与することができ、眼の疾患又は障害、例えばドライアイの処置用の少なくとも1種の追加の薬剤を、対象に投与する。本明細書で使用される場合、剤は、連続的に、いずれかの順で、又は同時に、投与することができる。対象に対する多剤投与は、剤の共製剤化又は同じ投与レジメンを必要としない。
組成物中の薬学的有効量のTRPM8拮抗薬は、使用されるTRPM8拮抗薬によって異なる。ある種の実施形態において、TRPM8拮抗薬の薬学的有効量は、0.001~5.0%(w/v)である。例示的な実施形態において、TRPM8拮抗薬の薬学的有効量は、0.1%(w/v)である。
本発明の組成物のpHは、眼科学的に許容される範囲内にある限り、特に制限されず、通常、4.0~7.0に調節される。本発明の水性懸濁製剤の浸透圧は、生理学的に許容される限り、限定されない。例えば、本発明の水性懸濁製剤が眼科製剤で使用される場合、使用される製剤の浸透圧は、一般に、150~600mOsm/kg、例えば、200~400mOsm/kg、又は例えば、245~365mOsm/kgである。浸透圧は、当該分野で公知の任意の方法により調整することができる。
好ましくは、本発明の組成物は、眼に局所投与される、例えば、眼又は眼周囲に投与される。組成物は、固形、ペースト、軟膏、ゲル、液、エアゾール、ミスト、ポリマー、フィルム、乳剤又は縣濁剤の形態であり得る。
薬学的に許容される担体
適切な眼科の担体は、当業者に公知であり、このような従来の担体は全て、本発明に使用され得る。さらに、本発明の組成物は、緩衝化剤、等張化剤、可溶化剤、保存剤、増粘剤、キレート剤及びpH調整剤などの様々な添加剤を含有し得る。
眼の組織への局所的組成物の経皮的送達を容易で迅速とするように組み込まれている例示的な化合物として、限定されないが、アルコール(エタノール、プロパノール及びノナノール)、脂肪アルコール(ラウリルアルコール)、脂肪酸(吉草酸、カプロン酸及びカプリン酸)、脂肪酸エステル(ミリスチン酸イソプロピル及びn-ヘキサン酸イソプロピル)、アルキルエステル(酢酸エチル及び酢酸ブチル)、ポリオール(プロピレングリコール、プロパンジオン及びヘキサントリオール)、多糖類(ヒアルロン酸(HA)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、メチルセルロース、グアーガム、セルロースガムなどの、糖又はガム)、スルホキシド(ジメチルスルホキシド及びデシルメチルスルホキシド)、アミド(尿素、ジメチルアセトアミド及びピロリドン誘導体)、界面活性剤(硫酸ラウリルナトリウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、ポロキサマー(polaxamer)、span、tween、胆汁酸塩及びレシチン)、テルペン(d-リモネン、α-テルピネオール(alphaterpeneol)、1,8-シネオール及びメントン)、並びにアルカノン(N-ヘプタン及びN-ノナン)が挙げられる。さらに、局所投与される組成物は、限定されないが、カドヘリン拮抗薬、セレクチン拮抗薬及びインテグリン拮抗薬を含む、表面接着分子調節剤を含む。したがって、特定の担体は、滅菌、眼科用軟膏、クリーム、ゲル、溶液又は分散剤の形態を取り得る。また、適切な眼科の担体として含まれるものには、徐放性ポリマー、例えば、「Ocusert」ポリマー、「Hydron」ポリマーなどがある。
安定剤、例えばキレート剤、例としてEDTAなどもまた使用され得る。抗酸化剤、例えば亜硫酸水素ナトリウム、チオ亜硫酸ナトリウム、8-ヒドロキシキノリン又はアスコルビン酸もまた使用され得る。無菌性は、典型的には、水性製剤用の従来の眼科用保存剤、例えば、チオルブタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジウム、フェニル水銀塩、チメロサールなどにより維持され、非毒性量で、及び、一般に、水溶液の約0.001~約0.1重量%に変化する量で使用される。軟膏用の従来の保存剤は、メチル及びプロピルパラベンを含む。典型的な軟膏基剤は、白色ワセリン及び鉱物油又は流動ワセリンを含む。しかし、保存した水性担体が好ましい。溶液は、手作業で、適切な剤形、例えば、点眼剤にて眼に送達され得、又は、典型的には定量の医薬が供給される、適切な微小液滴若しくは噴霧装置により送達され得る。適切な眼科の担体の例として、少量、すなわち約5重量%未満のヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、グリセリン及びEDTAを含有する、減菌剤であり、実質的に等張性の水溶液が挙げられる。溶液は、好ましくは、適量の従来の緩衝剤、例えば、リン酸塩、ホウ酸塩、酢酸塩、トリスで、実質的に中性pH及び等張に維持される。
本発明の組成物は、点眼剤、人工涙液、洗眼薬(コンタクトレンズを装着時でも眼の洗浄ができる洗眼薬を含む)、コンタクトレンズ用の組成物(コンタクトレンズ装着用の溶液)、コンタクトレンズケア用の組成物(コンタクトレンズ用の消毒液、コンタクトレンズ用の保存液、コンタクトレンズ用の洗浄液、コンタクトレンズ用の洗浄保存液)を含む、当該分野で公知の医薬及び軟膏剤などの、製剤に組み込むことができる。
本発明のある種の実施形態において、組成物は、眼への送達用のヒドロゲルに組み込むことができる。例示的なヒドロゲルは、米国特許第9,125,807号に記載され、参照によりその全体が本明細書に援用される。
併用処置
本発明の組成物は、他の剤と組み合せて投与され得る。当該分野で公知の任意の剤は、本発明に包含される。例示的な剤として、麻酔剤、鎮痛剤、抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、抗がん剤、抗生物質、抗感染症剤、抗菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、細胞輸送/移動切迫剤(impending agent)、抗緑内障剤、粘液模倣剤(mucomimetics)、粘液産生促進剤(mucogenics)、分泌促進物質、粘滑剤、湿潤剤、滑沢剤、抗高血圧剤、充血緩和剤、免疫学的反応修飾物質、免疫抑制剤、ペプチド、タンパク質、ステロイド化合物、ステロイド剤、難溶解性ステロイド剤、無水炭酸(carbonic anhydrize)阻害剤、診断薬、抗アポトーシス剤、遺伝子治療剤、封鎖剤、還元剤、抗透過性剤、アンチセンス化合物、抗増殖剤、抗体、抗体コンジュゲート、血流促進剤、抗寄生虫剤、非ステロイド性抗炎症剤、栄養剤、ビタミン、酵素阻害剤、抗酸化剤、抗白内障薬物、アルドース還元酵素阻害剤、細胞保護剤、サイトカイン、サイトカイン阻害剤、サイトカイン保護剤、UVブロッカー、肥満細胞安定化剤、抗新生血管剤、血管新生阻害剤、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤、血管内皮増殖因子(VEGF)モジュレーター、神経保護剤、縮瞳剤、抗コリンエステラーゼ、散瞳剤及び眼用の滑沢剤、並びに人工涙液/ドライアイ治療が挙げられる。
V.動物モデル
ドライアイの異なる病態生理学的機構を模倣する複数の動物モデルが、記載されている(Schrader S.ら、Dev Ophthalmol 2008年、41:298~312頁)。これらのモデルの一部として、シェーグレン症候群に類似する遺伝性マウスモデル(Schenke-Layland K.ら、Exp Eye Res 2010年、90(2):223~237頁、Lavoie T.N.ら、J Biomed Biotechnol 2011年、2011:549107)、ボツリヌス毒素B(Suwan-apichon O.ら、Invest Ophthalmol Vis Sci 2006年、47(1):133~139頁)又は制御された環境(Chen W.ら、Invest Ophthalmol Vis Sci 2008年、49(4):1386~1391頁)で誘発されたマウスモデル、誘発される涙腺炎(Jiang G. Invest Ophthalmol Vis Sci 2009年、50(5):2245~2254頁)又は抗コリン剤(Jain P.ら、Exp Eye Res 2011年、93(4):503~512頁)により誘発されたラットモデル、マイボーム腺開口部の閉鎖(Gilbard J.P.ら、Ophthalmology 1989年、96(8):1180~1186頁)、制御された環境(Fujihara T.ら、J Ocul Pharmacol Ther 1995年、11(4):503~508頁)、誘発される涙腺炎(Guo Z.ら、Exp Eye Res 2000年、71(1):23~31頁)、節前副交感神経除神経(Toshida H.ら、Invest Ophthalmol Vis Sci 2007年、48(10):4468~4475頁)、保存剤の局所的な薬(Xiong C.ら、Invest Ophthalmol Vis Sci 2008年、49(5):1850~1856頁)又は涙腺の除去(Chen Z.Y.ら、Cornea 2011年、30(9):1024~1029頁)により誘発されたウサギモデル、自発的に形成された(Hick S.J.ら、Exp Eye Res 1998年、67(6):709~718頁)又はイヌジステンパーウイルスにより誘発された(de Almeida D.E.ら、Vet Ophthalmol 2009年、12(4):211~215頁)イヌモデル、及び涙腺の除去によるサルモデル(Francois J.ら、Ophthalmic Res 1976年、8:414~424頁)が挙げられる。
ラットにおける研究は、涙腺の除去を使用して、眼表面に乾燥条件を作り出した(Fujihara T.ら、Invest Ophthalmol Vis Sci 42: 96~100頁、2001年、Kaminerら、J Neurosci 31: 11256~11267頁、2011年)。
ウサギは細隙灯顕微鏡検査を受けやすい大きな眼を有し、穏やかな性質と維持が比較的安価であることを考慮すると、ウサギモデルがドライアイの発症の研究に最適である。一ウサギモデルにおいて、涙腺を無効にし、ハーダー腺及び瞬膜を同時に外科的に除去する(Francois J.ら、1976年、Gilbard J.P.ら、Invest Ophthalmol Vis Sci 1987年、28(2):225~228頁、Gilbard J.P. Acta Ophthalmol Suppl 1989年、192:95~101頁)。別の研究(Xie H.P.ら、Chin Ophthalmic Res 1992年、10(1):10~12頁)により、眼球結膜を50%のトリクロロ酢酸で焼き、次いで、涙腺、ハーダー腺及び瞬膜を外科的に除去することによる、ウサギにおけるドライアイモデルが確立された。
Rahman W.ら、Pain 156 (2015年) 942~950頁には、眼窩外の腺の除去、すなわち水性涙欠乏症ドライアイ用のモデルについて記載されており、Vi/Vcの移行部及びVc/C1領域、並びに誘発される瞬目行動での視覚応答ニューロンの物性に対する、涙の量の持続的な減少への影響を判定する。
選択される具体的な動物モデル、及び、例えばメタボリックシンドロームが出現する前後のような介入の時間に応じて、動物モデルを使用して、ドライアイ及び関連する症状などの眼の障害の処置又は予防に対する、本明細書で示される方法の効能を実証することができる。
VI.キット
本発明はまた、薬学的有効量の一過性受容体電位メラスタチン8(TRPM8)拮抗薬及び薬学的に許容される担体を含むキットを特徴とする。本発明のキットはまた、対象において眼の疾患若しくは障害を処置若しくは予防する、又は、眼の疼痛若しくは不快感を処置又は予防する、又は、涙の生成を増大するための使用に対する指示も含む。
[実施例]
一連の実験は、以下の化合物Iとして示される、市販のTRPM8拮抗薬N-(2-アミノエチル)-N-(4-(ベンジルオキシ)-3-メトキシベンジル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩、N-(2-アミノエチル)-N-[[3-メトキシ-4-(フェニルメトキシ)フェニル]メチル]-2-チオフェンカルボキサミド塩酸塩(Sigma Aldrich M8-B塩酸塩(SML0893))を使用して、0.1%の濃度(対プラセボ)で、一方だけに(unilaterally)投与して、ドライアイ疾患又は重度のドライアイ疾患の臨床的な徴候又は症状を評価しながら実施した。
Figure 0007096152000003
研究デザインの概要は、図1に示す。投与後のメントール(ROHTO Hydra)への曝露、並びに悪環境(CAESM)への曝露を使用して、健康的な眼の3人の患者において症状学を引き出した。有効化された症状スケールを使用して、曝露に続く不快感のレベルを収集した(Ora Calibra(商標)での眼の不快感のアンケート調査、点眼に対する不快感のアンケート調査)。結果の概要は、以下に示す。
[実施例1]
角膜知覚への化合物Iの効果
実験の第一のセットにおいて、角膜知覚への化合物Iの効果を試験した。対象(頭文字E-A、KJL、M-Cで示す)に、20μlの化合物I(0.1%)又はプラセボ(BSS)を投与した。図2に示す通り、化合物Iは、Cochet Bonnetにより測定されるような、角膜知覚に対する最小限の効果を有した。対象E-A及びM-Cは、知覚の変化を検出できなかった。対象KJLは、知覚において5mm(70mmから65mmに)低下した。投与の前後で、有意差を見出さなかった(p=0.42)。
[実施例2]
メントール処置後の症状への化合物Iの効果
化合物I又はプラセボを投与した後のメントールの局所投与の効果を試験した。化合物I又はプラセボを投与した後、メントール含有OTC点眼剤を1滴、両方に(bilaterally)投与した(ROHTO Hydra)。メントールは、TRPM-8チャネルに作用することが公知であり、自然に低温に曝露した場合と類似した神経活性を効果的に引き起こす。したがって、メントールを使用して、「冷たい」症状を誘発した。図3A及び図3Bに示す通り、化合物Iは、拮抗薬としてTRPM-8チャネルと競合することでメントールの作用を効果的に妨げることができ、結果として、対象が報告した症状を軽減した(点眼に対する不快感、0~10スケール)。化合物Iで処置した眼は、プラセボより症状スコアが有意に低かった(p<0.01)。ベースライン(メントール前)の症状は、3人の対象全てで、各眼に対して「0」であった(データは示さず)。
[実施例3]
制御された悪環境(CAE)に対する応答への化合物Iの効果
化合物I又はプラセボを投与した後のCAE曝露の効果を試験した。化合物I又はプラセボを投与した後、対象を、自然なドライアイの症状と類似した症状学を引き出すために、制御された悪環境(CAE)に25分間、曝露した。眼の不快感のアンケート調査(0~4スケール)を、5分毎に行った。図4A及び図4Bに示す通り、化合物Iで処置した眼は、プラセボより症状スコアが有意に低かった(p<0.01)。
次いで、化合物I又はプラセボを投与した後のターボCAE曝露の効果を試験した。制御された悪環境(CAE)への25分の曝露の後、対象を、自然な重度のドライアイの症状と類似した症状学を引き出すために、15分のターボCAEに曝露した。眼の不快感のアンケート調査(0~4スケール)を、5分毎に行った。図5A及び図5Bに示す通り、化合物Iで処置した眼は、プラセボより症状スコアが有意に低かった(p<0.01)。
[実施例4]
行動エンドポイント
例えばBalb/Cマウスの瞬きのような行動エンドポイントを検査した。図6は、TRPM8拮抗薬投与後、及びメントール投与直後の、15分及び24時間の時点での、1分当たりのBalb/Cの瞬きの割合を示すグラフである。図6に示す通り、メントールは、瞬きの割合を増加させ、これはTRPM8拮抗薬により再現性よく妨げられる。水でのマウスの処置を、対照として使用した。TRPM8拮抗薬は、0.01%、0.05%及び0.10%の濃度で使用した。
[実施例5]
涙の生成
図7は、メントール投与後の、15分及び27時間の時点での、Balb/Cの涙の生成を示すグラフである。水でのマウスの処置を、対照として使用した。TRPM8拮抗薬は、0.01%、0.05%及び0.10%の濃度で使用した。
図8は、ベースラインからTRPM8投与後の、15分及び27時間の時点での、Balb/Cの涙のデルタ生成を示すグラフである。
実験は、同様の4群の動物(水ビヒクル、0.01%、0.05%及び0.1%のTRPM8)で、単回投与、1日1回の多回投与、又は1日2回の多回投与のいずれかの涙生成検査による検査で実行する。単回投与に対するプロトコルは、図7及び図8に記載されたものと同様であるが、測定は、以下の時点で行われる。ベースライン、投与、投与後15分、1時間、8時間、及び24時間。1日1回の多回投与の検査では、動物に1日1回、3又は5日間、投与する。ベースライン測定は、常に最初の投与前に実施し、次いで、投与前測定を最終日に、その後は最終投与後15分、1時間、8時間及び24時間に行う。1日2回の多回投与の検査では、動物に1日2回、3又は5日間、投与する。ベースライン測定は、常に最初の投与前に実施する。最終日に、動物に1回だけ投与し、この最終投与の前に、その後は最終投与後15分、1時間、8時間及び24時間に測定する。
全体として、上記の研究は、TRPM8拮抗薬、特に上記で使用された化合物Iを使用して、ドライアイ又は重度のドライアイなどの眼の障害を処置又は予防することができることを実証する。
均等物
当業者は、単に通常の実験法だけを使用して、本明細書に記載される具体的な実施形態及び方法に対する多くの均等物を認識し、確認できるであろう。このような均等物は、以下の請求項の範囲によって包含されることを意図する。
参照文献の援用
本願で言及された各々の参照文献、特許及び特許出願は、本明細書により、各参照文献が個別に援用されていると特筆されたように、参照により援用される。
本発明の様々な実施形態を以下に示す。
1.薬学的に許容される担体及び薬学的有効量の一過性受容体電位メラスタチン8(TRPM8)拮抗薬を含む組成物を、対象に投与することを含む、対象において眼の疾患又は障害を処置又は予防する方法。
2.眼の疾患又は障害を処置又は予防することが、眼の疾患又は障害の症状を処置又は予防することを含む、上記1に記載の方法。
3.眼の疾患又は障害が、ドライアイ疾患又はドライアイの不快感である、上記1に記載の方法。
4.眼の疾患又は障害が、眼の不快感である、上記1に記載の方法。
5.眼の疾患又は障害が、加齢、コンタクトレンズの使用、環境疲労、ダイエット、水分過剰、全身性疾患、炎症又は薬の使用から選択される、1つ以上の原因に帰すことができる、上記1に記載の方法。
6.眼の疾患又は障害が、過度に速い涙の蒸発(蒸発亢進型ドライアイ)又は不十分な涙の生成に起因する、上記1に記載の方法。
7.眼の疾患又は障害が、屈折矯正手術と関連する、上記1に記載の方法。
8.薬学的に許容される担体及び薬学的有効量の一過性受容体電位メラスタチン8(TRPM8)拮抗薬を含む組成物を、対象に投与することを含む、対象において眼の疼痛又は不快感を処置又は予防する方法。
9.眼の疼痛又は不快感が、ドライアイ疾患によって引き起こされる、上記8に記載の方法。
10.ドライアイ疾患が、重度のドライアイ疾患である、上記9に記載の方法。
11.薬学的に許容される担体及び薬学的有効量の一過性受容体電位メラスタチン8(TRPM8)拮抗薬を含む組成物を、対象に投与することを含む、対象において涙液層を正常化する方法。
12.組成物が、眼に局所投与される、上記1、8又は11のいずれかに記載の方法。
13.眼が、眼組織、対象の眼瞼、眼表面、マイボーム腺及び又は涙腺からなる群から選択される、眼内部の又は眼周囲の組織又は腺を含む、上記12に記載の方法。
14.組成物が、固形、ペースト、軟膏、ゲル、液、エアゾール、ミスト、ポリマー、フィルム、乳剤又は縣濁液の形態である、上記1、8又は11のいずれかに記載の方法。
15.TRPM8拮抗薬が、小分子、核酸分子、アプタマー、アンチセンス分子、RNAi分子、タンパク質、ペプチド及び抗体又は抗体フラグメントからなる群から選択される、上記1、8又は11のいずれかに記載の方法。
16.TRPM8拮抗薬が、小分子である、上記15に記載の方法。
17.TRPM8小分子拮抗薬が、化合物I:
Figure 0007096152000004
を含む、上記16に記載の方法。
18.TRPM8拮抗薬の薬学的有効量が、0.001~5.0%(w/v)である、上記1、8又は11のいずれかに記載の方法。
19.TRPM8拮抗薬の薬学的有効量が、0.1%(w/v)である、上記1、8又は11のいずれかに記載の方法。
20.TRPM8拮抗薬が、別の剤と組み合わせて投与される、上記1、8又は11のいずれかに記載の方法。

Claims (12)

  1. 対象において眼の不快感を処置又は予防するための組成物であって、
    薬学的に許容される担体及び薬学的有効量の一過性受容体電位メラスタチン8(TRPM8)拮抗薬を含み、
    TRPM8拮抗薬は、化合物I:
    Figure 0007096152000005
    を含む、前記組成物。
  2. 眼の不快感が、ドライアイ疾患又はドライアイの不快感である、請求項1に記載の組成物。
  3. 眼の不快感が、眼に関連する、痛み、乾燥、掻痒、ゴロゴロする感覚、発赤、光への敏感さ、刺すような感覚、灼けつく感覚、又は疼痛の1つ以上である、請求項1に記載の組成物。
  4. 眼の不快感が、過度に速い涙の蒸発(蒸発亢進型ドライアイ)又は不十分な涙の生成に起因する、請求項1に記載の組成物。
  5. 眼の不快感が、屈折矯正手術と関連する、請求項1に記載の組成物。
  6. ドライアイ疾患が、重度のドライアイ疾患である、請求項2に記載の組成物。
  7. 組成物が、眼に局所投与される、請求項1記載の組成物。
  8. 眼が、眼組織、対象の眼瞼、眼表面、マイボーム腺及び涙腺からなる群から選択される、眼内部の又は眼周囲の組織又は腺を含む、請求項7に記載の組成物。
  9. 組成物が、固形、ペースト、軟膏、ゲル、液、エアゾール、ミスト、ポリマー、フィルム、乳剤又は縣濁液の形態である、請求項1記載の組成物。
  10. TRPM8拮抗薬の薬学的有効量が、0.001~5.0%(w/v)である、請求項1記載の組成物。
  11. TRPM8拮抗薬の薬学的有効量が、0.1%(w/v)である、請求項1記載の組成物。
  12. TRPM8拮抗薬が、別の剤と組み合わせて投与される、請求項1記載の組成物。
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