次に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。初めに、図1を参照して、第1実施形態の鉄道車両用換気装置10及び塵埃分離装置20について説明する。図1は、鉄道車両用換気装置10及び塵埃分離装置20を示す概略図である。また、以下の説明では、位置関係、大きさ、又は形状等を説明する用語は、その用語の意味が完全に成立している状態だけでなく、その用語の意味が略成立している状態も含むものとする。
鉄道車両用換気装置10(以下、単に「換気装置10」と称する)及び塵埃分離装置20は、鉄道車両1の床下3に配置されている。塵埃分離装置20は、外部の空気に含まれる塵埃(例えば、塵、埃、粒子状物質、火山灰、砂等)を分離し、塵埃が除去された空気を換気装置10に向けて排出する。また、塵埃分離装置20は、鉄道車両用換気装置10に形成された接続開口部10aに接続されている。本実施形態では、塵埃分離装置20は換気装置10(詳細には接続開口部10a)に直接的に(他のダクト等を介さず)接続されているが、ダクト等を介して接続されていてもよい(詳細は後述)。
換気装置10は、鉄道車両1の外部の空気を塵埃分離装置20を介して取り込む。鉄道車両1の床下には図略の空調装置が設けられており、換気装置10が取り込んだ空気は、空調装置によって温度が調整された後に車室2へ送出される。なお、空調装置を別の位置に配置し、換気装置10が取り込んだ空気を空調装置を介さずに車室2へ送出することもできる。換気装置10は、外部の空気を取り込むための部材として、取込みダクト12と、取込みファン13と、第1モータ14と、換気制御装置15と、を備える。
取込みダクト12は、塵埃分離装置20から排出された空気を車室2に向けて送る取込み経路を構成する。取込みファン13は、この取込み経路の内部に配置されており、第1モータ14が発生させた駆動力が伝達されることで、外部の空気を吸引する吸引力を発生させる。なお、第1モータ14の回転速度は、換気制御装置15によって制御されている。換気制御装置15は、例えば車室2の内部の圧力と、鉄道車両1の外部の圧力と、の圧力差等に基づいて、第1モータ14を制御する。
また、換気装置10は、車室2の空気を排出するための部材として、排出ダクト16と、排出ファン17と、第2モータ18と、を備える。排出ダクト16は、車室2と外部とを接続しており、車室2の空気を外部に向けて送る排出経路を構成する。排出ファン17は、排出経路の内部に配置されており、第2モータ18が発生させた駆動力が伝達されることで、車室2の空気を吸引する吸引流を発生させる。なお、第2モータ18の回転速度は、換気制御装置15によって制御されている。換気制御装置15は、例えば車室2の内部の圧力と、鉄道車両1の外部の圧力と、の圧力差等に基づいて、第2モータ18を制御する。
本実施形態では、車外の空気を取り込むための取込みファン13と、車室2内の空気を排出するための排出ファン17と、が個別のモータで駆動されており、2つのファンの回転速度を個別に変更可能である。この構成に代えて、取込みファン13と排出ファン17とが同じモータで駆動される構成であってもよい。
次に、図2から図5を参照して、本実施形態の塵埃分離装置20について説明する。図2は、塵埃分離装置20の全体構成及び空気の流れを示す斜視図である。図3は、旋回方向導風部33が形成されている位置の近傍で塵埃分離装置20を軸方向に垂直な平面で切った一部断面斜視図である。図4は、分離口41が形成されている位置の近傍で塵埃分離装置20を軸方向に垂直な平面で切った一部断面斜視図である。図5は、塵埃分離装置20の側面図である。
本実施形態の塵埃分離装置20では、一般的なサイクロン式の集塵装置と異なり、筒状の部材の軸方向が水平方向(例えば車長方向又は車幅方向等の車高方向に垂直な方向)に一致するように配置されている。また、本明細書において、水平方向とは、鉛直方向に対して厳密に垂直な方向だけでなく、例えば20°以下(好ましくは15°以下又は10°以下)の誤差が生じている場合も含むものとする。また、本実施形態の塵埃分離装置20が備える筒状の部材は同軸で配置されているため、以下の説明ではそれらの軸方向を単に「軸方向」と称する。
図2及び図5に示すように、塵埃分離装置20は、吸込み部30と、外筒部40と、内筒部50と、収容部60と、を備える。初めに、塵埃分離装置20における空気の流れを簡単に説明し、後で各部の詳細な構成を説明する。吸込み部30から吸い込まれた空気は、軸方向を旋回中心として旋回しながら外筒部40と内筒部50の間の空間を旋回しながら外筒部40の閉鎖板71側へ流れる。閉鎖板71又はその手前において空気の流れが反転し、内筒部50の内部(即ち、径方向の中央近傍)を換気装置10の吸引力により換気装置10の接続開口部10aに接続された排出開口部72a側へ向かって流れる。このように、塵埃分離装置20においては、軸方向の一側で空気の流れが反転するため、以下の説明ではこの軸方向の閉鎖板71側を「反転側」と称する。また、軸方向の他側から空気が換気装置10の吸引力により換気装置10の接続開口部10aに排出(送出)されるため、以下の説明ではこの軸方向の一側を「排出側」と称する。
吸込み部30には、第1吸込み口31と、第2吸込み口32と、旋回方向導風部33と、軸方向開口部34と、軸方向導風部35と、が形成されている。第1吸込み口31及び第2吸込み口32は、車外の空気を吸い込むための開口部である。図2に示すように、第1吸込み口31及び第2吸込み口32は、吸込方向(外気を吸い込む方向、第1吸込み口31、第2吸込み口32の近傍の壁面に沿う方向)が外筒部40の接線方向と一致するように形成されている。また、本実施形態では、第1吸込み口31と第2吸込み口32の吸込方向はともに車幅方向に一致するように、かつ、互いに向きが異なるように形成されている。従って、第1吸込み口31と第2吸込み口32の吸込方向は180°異なる。
旋回方向導風部33は、第1吸込み口31及び第2吸込み口32から吸い込まれた空気が旋回方向に流れるようにガイドする。具体的には、旋回方向導風部33は、外筒部40と内筒部50の間の円環状の領域を閉鎖する板状の部材であり、厚み方向と軸方向とが一致するように配置されている。本実施形態では、第1吸込み口31と円環状の領域との合流箇所の近傍から、旋回方向の下流側の所定の範囲(具体的には90°の範囲)にわたって旋回方向導風部33が形成されている。同様に、第2吸込み口32についても、円環状の領域との合流箇所の近傍から、旋回方向の下流側の所定の範囲(具体的には90°の範囲)にわたって旋回方向導風部33が形成されている。旋回方向導風部33が存在することにより、空気が軸方向に流れずに外筒部40の周方向へ旋回し易くなるため、空気の旋回速度を速くすることができる。従って、換気量を多くすることができる。
また、2つの旋回方向導風部33が形成されている箇所の間には、軸方向開口部34が形成されている。旋回方向導風部33に沿って旋回方向に加速された空気は、軸方向開口部34から反転側に流れる。また、本実施形態では、旋回方向導風部33と軸方向開口部34の境界であって、旋回方向導風部33の旋回方向の上流端(即ち、軸方向開口部34の旋回方向の下流端)には、軸方向導風部35が形成されている。本実施形態では、軸方向導風部35は2つ形成されている。軸方向導風部35は、軸方向開口部34から軸方向に流れなかった空気が軸方向に流れるようにガイドする。従って、軸方向導風部35は、旋回方向の下流側に近づくに連れて反転側に近づくように傾斜又は湾曲した形状である。なお、第1吸込み口31及び第2吸込み口32には、比較的大きな異物の浸入を防止するために金網等が取り付けられていてもよい。また、旋回方向導風部33は外筒部40と内筒部50とを接続しており、この旋回方向導風部33により内筒部50が外筒部40から浮いた状態で支持されている。
軸方向導風部35を形成することにより、吸込み部30から取り込んだ空気が旋回し続けて軸方向に流れない事態を防止できる。また、軸方向導風部35は、旋回方向導風部33の旋回方向の上流側の端部に形成されているため、第1吸込み口31から吸い込まれた空気と、第2吸込み口32から吸い込まれた空気と、が合流することを防止できる(合流する前に軸方向に流れるようにガイドすることができる)。
外筒部40は、径が一定の円筒状の部材であり、上述したように軸方向が水平方向に一致するように配置されている。吸込み部30によって旋回方向の流れを有するようになった空気は、外筒部40の内周面に沿って旋回しながら反転側に流れる。このとき、空気に含まれる塵埃は遠心力によって外筒部40の内周面と接触して当該内周面と摩擦することで速度が低下する。ここで、本実施形態の塵埃分離装置20には、図4及び図5に示すように鉛直方向の下側に分離口41が形成されている。従って、空気に含まれる塵埃は分離口41を介して、当該分離口41の下方に配置された収容部60に落下する。
ここで、外筒部40の内部には、高速で旋回する空気の流れが生じているため、空気に含まれる塵埃が外筒部40の内部を旋回し続ける可能性がある。そのため、本実施形態では、図4及び図5に示す円筒の軸方向に平行で車高方向に平行であり分離口41の上部に配置された導塵部61を設けることにより、空気に含まれる塵埃を分離口41へ強制的に落下させる。導塵部61は板状の部材であり、外筒部40を旋回しながら流れる空気の旋回方向と交差する導塵面61aを有する。この構成により、旋回する空気が導塵部61に当たることで旋回する空気の流れを弱くするとともに、空気に含まれる塵埃を導塵部61に当てて落下させることで、塵埃を空気から分離できる。また、導塵部61の上端は、旋回方向の反対側に(車高方向に垂直な方向に)突出する形状となっており、導塵部61に沿って上方に流れる空気に含まれる塵埃を落下させることができる。また、塵埃は閉鎖板71の近傍で最も落下し易いと考えられるため、分離口41及び導塵部61は閉鎖板71に接触する位置まで(あるいは軸方向において閉鎖板71の近傍まで)形成されている。
内筒部50は、外筒部40の径方向内側に配置されている。内筒部50は、径が一定の円筒状の部材であり、上述したように軸方向と水平方向とが一致するように配置されている。内筒部50は、旋回しながら反転側に向かう空気を外周面でガイドするとともに、排出側に直線的に流れる空気を内周面でガイドする。
収容部60は、外筒部40の分離口41の下方に配置された容器状の部材である。外筒部40と収容部60とは、支持板73を介して連結されているが、異なる方法で連結されていてもよい。収容部60には、分離口41から落下した塵埃を収容する。また、収容部60の上部の少なくとも一部は、分離口41から落下する塵埃を通過させるために開放されている。
また、閉鎖板71は、外筒部40の反転側の開口部を塞ぐように設けられた円形の板状の部材である。このように、本実施形態では、通常のサイクロン式の集塵装置とは異なり、軸方向の一端が閉鎖されている。連結板72は、外筒部40の排出側の端部に設けられた矩形の板状の部材である。連結板(連結部)72は平板状であるが、折曲げ等が形成された立体的な形状であってもよい。連結板72には内筒部50と同じ位置に排出開口部72aが形成されている。内筒部50を通って排出側に向かう空気は、当該連結板72の排出開口部72aを通過して換気装置10へ向かう。また、本実施形態では塵埃分離装置20は換気装置10の接続開口部10aにダクトを介さずに直接取り付けることが可能であるので、連結板72と換気装置10とが例えばボルト等の固定具で固定される。言い換えれば、塵埃分離装置20の排出開口部72aと換気装置10の接続開口部10aとを合わせるようにして、塵埃分離装置20が換気装置10に取り付けられる。このように塵埃分離装置20を直接取り付けることで、換気装置10やダクトを取り付ける吊り金具も不要であるため、吊り金具を取り付けるための横梁の位置関係を考慮することなく塵埃分離装置20の取付けができるという利点がある。
ここで、本実施形態のように、軸方向が水平方向と一致するように配置され、外筒部40の周面から塵埃を排出する場合、内筒部50から連結板72に向かう空気に塵埃が含まれないように(即ち塵埃の分離効率を高くするために)構成を工夫する必要がある。本実施形態では、導塵部61を設けることに加え、内筒部50、分離口41、及び導塵部61のレイアウトを以下のようにすることで、塵埃の分離効率が高い構成を実現させている。以下、具体的に説明する。
旋回しながら閉鎖板71に向かう空気は、内筒部50の反転側の端部から排出側へ向かうため、空気が内筒部50の反転側の端部に到達する前に塵埃を分離することが好ましい。従って、本実施形態では、図5に示すように、軸方向において、分離口41の少なくとも一部が内筒部50の位置と重なるようなレイアウト(詳細には、分離口41の半分以上が内筒部50の位置と重なるようなレイアウト)が実現されている。更に、本実施形態では、軸方向において分離口41の位置と、導塵部61の位置と、が一致するようなレイアウトが実現されているため、軸方向において、内筒部50、分離口41、及び導塵部61の位置が重なる領域が存在する。この領域では、内筒部50が配置されているため塵埃が排出側に流れることがなく、分離口41が形成されているため塵埃を分離(除去)可能であり、導塵部61が形成されているため分離口41に的確に塵埃を落下させることができる。従って、塵埃の分離効率を高くすることができる。
このように、本実施形態では、塵埃分離装置20の軸方向を水平方向と一致するように配置した場合であっても、塵埃の分離効率を高くすることができる。また、塵埃分離装置20の軸方向を水平方向と一致するように配置することで、以下の効果を発揮することができる。即ち、本実施形態では、換気装置10の接続開口部10aは水平方向を向くように(接続開口部10aの軸方向が水平方向に一致するように)形成されている。なお、接続開口部10aの軸方向と水平方向の関係についても、塵埃分離装置20と同様に、20°以下、15°以下、又は10°以下の誤差が生じている場合も含む。一方で、一般的なサイクロン式の集塵装置は軸方向が鉛直方向に一致するように配置される。従って、集塵装置と換気装置とを接続する経路を、鉛直方向に沿う状態から水平方向に沿う状態になるように曲げる必要がある。特に、鉄道車両の床下はスペースが限られているため、この経路を急峻に曲げざるを得ないことが多い。この場合、集塵装置と換気装置との間で圧力損失が大きくなるため、十分な換気量の実現が困難となる。
この点、本実施形態の塵埃分離装置20は、軸方向が水平方向に一致するように配置されているため、鉛直方向に沿う状態から水平方向に沿う状態になるように曲げる必要がない。従って、この経路の曲げを少なくすることができるので、圧力損失を低減して十分な換気量を実現できる。
次に、図6及び図7を参照して、第2実施形態を説明する。図6は、第2実施形態に係る塵埃分離装置20の側面図である。図7は、第2実施形態の外筒部40及び導塵部61の外観斜視図である。なお、以下の説明においては、前述の実施形態と同一又は類似の部材には図面に同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
第2実施形態では、外筒部40はテーパ筒状であり、反転側に近づくに連れて径が小さくなる形状である。また、外筒部40の径方向外側には、径が一定の円筒状のカバー筒部80が形成されている。そのため、第2実施形態では、外筒部40とカバー筒部80の間に空間が形成される。
第2実施形態の外筒部40には、図6及び図7に示すように、分離口41よりも排出側に補助分離口42が形成されている。補助分離口42は、旋回方向の下流側に近づくに連れて軸方向の長さが短くなる形状である。このような形状にすることで、外筒部40から外側に流れた空気が再び外筒部40の内側に戻ることを防止できる。また、補助分離口42は、外筒部40の下部に形成されている。補助分離口42では、遠心力が掛かり易い粒子径の大きな塵埃を中心に分離される。補助分離口42で分離された塵埃は、外筒部40とカバー筒部80の間の空間を流れる。また、カバー筒部80の下部であって、軸方向の中央よりも反転側には第2分離口81が形成されている。外筒部40とカバー筒部80の間を流れた塵埃は、この第2分離口81から落下し、その下方に配置される収容部60に集められる。
なお、第2実施形態では、第1実施形態と同様に、外筒部40に分離口41が形成されるとともに導塵部61も配置されている。第2実施形態では、外筒部40の上端から分離口41にわたって導塵部61が配置されている。従って、外筒部40の中心軸の下側を旋回する空気だけでなく、外筒部40の中心軸の上側を旋回する空気が導塵部61に当たることとなる。従って、塵埃の分離効率を高くすることができる。
第2実施形態では、軸方向において、分離口41と第2分離口81の位置が重なるとともに、補助分離口42と第2分離口81の位置も重なる。この構成により、分離口41又は補助分離口42で分離させた塵埃が即座に収容部60に集められ易くなる。そのため、分離口41又は補助分離口42で分離させた塵埃が、外筒部40の外周面等に付着しにくいので、塵埃を効率的に集めることができる。また、塵埃が外筒部40とカバー筒部80の間で旋回し続けることを防止できる。
第2実施形態では、分離口41に加えて補助分離口42が形成されているため、外筒部40に沿う空気の流れが乱されて空気の流速を低下させることができる。従って、吸い込む空気量が多く流速が高速になる場合であっても、空気に含まれる細かい塵埃を効率的に分離することができる。特に、第2実施形態の構成は、まず粒子径の大きな塵埃を中心に分離されるため、一度分離された粒子径の小さな細かい塵埃が粒子径の大きな塵埃によって再度巻き上げられることを抑制することができ、上記の効果を一層有効に発揮させることができる。
次に、図8を参照して、第3実施形態を説明する。図8は、第3実施形態の塵埃分離装置20の吸込み部30を軸方向に垂直な平面で切った断面図である。第3実施形態は、吸込み部30の構造が第1実施形態とは異なる。第3実施形態の吸込み部30の少なくとも一部の構成は、第1実施形態だけでなく第2実施形態の塵埃分離装置20に適用することも可能である。
第1実施形態では、第1吸込み口31と第2吸込み口32の吸込方向が180°異なる構成であるが、第3実施形態では、第1吸込み口31と第2吸込み口32の吸込み方向が90°異なる(直交する)。具体的には、第1吸込み口31を、旋回方向の下流側に90°移動させることで第2吸込み口32と吸込み方向が一致する。
ここで、第3実施形態では、旋回方向導風部33は、第1吸込み口31から吸い込まれた直後の空気をガイドする部分と、第2吸込み口32から吸い込まれた直後の空気をガイドする部分と、が接続されるように設けられている。従って、第1吸込み口31から吸い込まれた空気は、第2吸込み口32から吸い込まれた空気と合流する。また、この空気の合流箇所から、更に下流側(具体的には90°)まで旋回方向導風部33が設けられている。また、旋回方向導風部33が設けられていない箇所には軸方向開口部34が形成されている。
第3実施形態では、第1吸込み口31及び第2吸込み口32から吸い込まれた空気を加速させる経路(旋回方向導風部33が形成される領域)を一部共通にできる。そのため、外筒部40と内筒部50の間の領域を十分に活用して空気を加速させることができる。更に、吸込み部30で旋回方向に加速させた空気を軸方向の反転側に送る部分(軸方向開口部34が形成されている部分)を、第1吸込み口31と第2吸込み口32とで共通にできる。そのため、外筒部40と内筒部50の間の領域を更に活用して空気を一層加速させることができる。従って、空気の流速を速くすることができるので、換気量を多くすることができる。
なお、第3実施形態では、第1吸込み口31及び第2吸込み口32から吸い込まれた空気を合流させるため、第1実施形態とは異なり、第1吸込み口31から第2吸込み口32まで旋回方向に沿って移動する経路上に軸方向導風部35が形成されていない。従って、第3実施形態では、軸方向導風部35は、軸方向開口部34の下流側の端部(旋回方向導風部33の上流側の端部)の1箇所のみに形成されている。
次に、図9を参照して、第4実施形態の塵埃分離装置20について説明する。図9は、第4実施形態の塵埃分離装置20を吸込み部30の近傍で軸方向に垂直な平面で切った一部断面斜視図である。
第1から第3実施形態では吸込み口が2つ形成される構成であるが、第4実施形態では吸込み口が4つ形成される構成である。このように吸込み口が形成される数は特に限定されず、3つであってもよいし、4つ以上であってもよい。また、吸込み口を4つ備える構成においては、記載が煩雑になることを防止するために、全ての吸込み口に同じ符号(30a)を付して説明する。
第4実施形態は、基本的な構成は第1実施形態に類似しており、カバー筒部80を備えておらず、外筒部40の外側には吸込み部30が吸い込んだ空気が空気が流れる空間は形成されていない。また、第4実施形態の4つの吸込み口30aは、正面視又は背面視で90度間隔で形成されており、隣り合う吸込み口30aは吸込方向が90度異なる。特に、吸込み口30aの吸込み方向は、外筒部40(内筒部50)の接線に沿うように、かつ、旋回方向と吸込み方向とが同じになるように形成されている。この構成により、4つの吸込み口30aから吸い込んだ空気の流速の低下を抑えつつ(圧力損失を少なくしつつ)下流側へ流すことができる。
また、第4実施形態では、第1から第3実施形態とは異なり、内筒部50と外筒部40の間の空間に旋回方向導風部33が形成されていない。第4実施形態では、内筒部50と外筒部40の間の空間の更に外側(即ち、吸込み口30aから外筒部40までの領域)にのみ旋回方向導風部33が形成されている。これは、吸込み口30aが多いため、仮に外筒部40と内筒部50の間の空間に旋回方向導風部33を形成すると、軸方向開口部34の大きさが小さくなり、圧力損失が増大するためである。
また、外筒部40と内筒部50の間の空間に旋回方向導風部33を形成しない場合、別の方法で内筒部50を外筒部40から浮いた状態で支持する必要がある。そのため、第4実施形態では、内筒部50の外周面から径方向外側に延びて外筒部40の内周面に接続される部材である支持棒36が配置されている。支持棒36は、軸方向において吸込み口30aの近傍に配置されているが、吸込み口30aよりも排出側に配置されていてもよいし、吸込み口30aよりも反転側に配置されていてもよい。また、支持棒36は、90度間隔で4本(吸込み口30aと同数)配置されており、4つの吸込み口30aの間に配置されている。なお、支持棒36の本数は3本以下であってもよいし、5本以上であってもよい。また、支持棒36は丸棒であるが、断面が矩形等の異なる形状の棒状の部材であってもよいし、板状の部材であってもよい。
次に、図10及び図11を参照して、第5実施形態の塵埃分離装置20について説明する。図10は、第5実施形態の塵埃分離装置20の側面図である。図11は、第5実施形態の塵埃分離装置20の背面図である。
第5実施形態は、外筒部40の外側にカバー筒部80が配置されるため、基本的な構成は第2実施形態に類似している。また、第5実施形態では、外筒部40の軸方向の全体にわたって分離口41が形成されている点において、第2実施形態とは異なる。従って、第5実施形態では、補助分離口42は形成されていない。第5実施形態では、この軸方向に長い分離口41から落下する塵埃を適切に回収するために、外筒部40の軸方向の全体にわたって収容部60が形成されている。なお、外筒部40の軸方向の全体とは、厳密に軸方向の一端から他端までを指すだけでなく軸方向の略全て(例えば軸方向の長さの90%以上)である構成も指すものとする。
また、図10及び図11に示すように、第5実施形態では、外筒部40の全体にわたって外筒導塵部(導塵部)62が形成されている。外筒導塵部62は、外筒部40の端部を内側に折り曲げることで形成されているが、これに代えて、別途作成した外筒導塵部62を溶接又は固定具等により外筒部40に取り付ける構成であってもよい。外筒導塵部62は、導塵部61と同様に、空気とともに旋回している塵埃が当たることで、当該塵埃を落下させる(分離口41で分離する)ために設けられている。従って、外筒導塵部62は、外筒部40を旋回しながら流れる空気の旋回方向に交差する部分を有している。また、第5実施形態では、カバー筒部80を旋回しながら流れる空気の旋回方向に交差する部分を有することで、空気とともに旋回している塵埃が当たることで、当該塵埃を落下させる(第2分離口81で分離する)カバー筒導塵部63が設けられている。
第5実施形態では、外筒導塵部62は、径方向の内側に直線状に延びる部分から構成されている。これに代えて、図12(a)に示すように、外筒部40の端部から径方向の内側に延びる第1導塵部62aと、第1導塵部62aから水平方向に延びる第2導塵部62bと、を有する構成であってもよい。また、図12(b)に示すように、外筒部40の端部から鉛直方向上側(径方向内側)に延びる第1導塵部62aと、水平方向に延びる第2導塵部62bと、を有する構成であってもよい。このように径方向内側に延びる第1導塵部62aと、第1導塵部62aから水平方向に近くなるように延びる第2導塵部62bと、を有することで、第1導塵部62aに沿うように空気及び塵埃が案内された場合であっても、この塵埃を第2導塵部62bによって下方に落下させることができる。
また、第5実施形態では、外筒導塵部62に加え、カバー筒導塵部63を更に備える構成であるが、図12の他の例に示すように、カバー筒導塵部63を省略することもできる。
次に、図13を参照して、第6実施形態の塵埃分離装置20について説明する。図13は、第6実施形態の外筒部40及びカバー筒部80の間の空間に配置される区画板65を示す斜視図である。
第6実施形態の塵埃分離装置20は、第5実施形態の構成をベースとして、更に図13に示す区画板65を備える。区画板65は、外筒部40の径方向の外側かつカバー筒部80の径方向の内側の空間に配置されている。区画板65は、分離口41及び第2分離口81が形成されている部分の旋回方向における両側に(旋回方向において分離口41及び第2分離口81の外側に)2枚配置されている。区画板65は、外筒部40とカバー筒部80の間の空間において、分離口41及び第2分離口81が存在する空間を、それ以外の空間から区画する(仕切っている)。区画板65は、分離口41から落下した塵埃が外筒部40とカバー筒部80の間の空間を旋回することを阻止するために設けられている。従って、区画板65の一端は外筒部40の外周面に接触した状態で固定されており、区画板65の他端はカバー筒部80の内周面に接触した状態で固定されている。ここで、外筒部40はテーパ筒状でありカバー筒部80は円筒状であるため、区画板65は三角形状である。また、第6実施形態では、区画板65は鉛直方向に立ち上がるように(厚み方向が水平方向と同じになるように)配置されているが、鉛直方向から傾斜するように配置されていてもよい。
なお、第1から第6実施形態において、塵埃分離装置20には、空気が通過する空間(例えば、軸方向開口部34、内筒部50、排出開口部72a等)が複数存在するが、圧力損失の増大を防止するために、これらの流路断面積は同程度(例えば差異が10%以下)であることが好ましい。また、換気装置10の換気能力を十分に発揮させるために、塵埃分離装置20の各部の流路断面積は、換気装置10の最低流路断面積(最も面積が小さい流路断面積)よりも大きいことが好ましい。
次に、図14を参照して第7実施形態について説明する。図14は、第7実施形態の塵埃分離装置20の側面図である。第1から第3実施形態では、塵埃分離装置20は、1つのサイクロン構造(吸込み部30、外筒部40及び内筒部50等)を備える構成である。これに対し、第7実施形態では、2つのサイクロン構造を備える。また、第7実施形態の構成の少なくとも一部の構成は、第1から第3実施形態の何れにも適用可能である。
第7実施形態の塵埃分離装置20は、第1塵埃分離部20aと、第1塵埃分離部20aの下方に配置される第2塵埃分離部20bと、を備える。第1塵埃分離部20a及び第2塵埃分離部20bのそれぞれの構成は、第2実施形態の塵埃分離装置20と類似しているが、大きく以下の3点において異なる。即ち、1つ目は、第2実施形態の内筒部50が円筒状(径が一定)であるのに対し、第7実施形態の内筒部50は反転側の端部がテーパ筒状(反転側に近づくに連れて径が小さくなる形状)である。2つ目は、第2実施形態の外筒部40は全体にわたってテーパ筒状であるが、第7実施形態の外筒部40は、テーパ筒状の部分に加え、反転側の端部に円筒状の部分が形成されている。なお、第7実施形態では、外筒部40の円筒状の部分に分離口41が形成されている。
3つ目は、第1塵埃分離部20aの下方に配置される第2塵埃分離部20bの上部(詳細にはカバー筒部80の上部)に、導入口21が形成されていることである。以下、この導入口21について説明する。第7実施形態では、第1塵埃分離部20aと第2塵埃分離部20bとで1つの収容部60を備える構成である。第1塵埃分離部20aで分離された塵埃は、第2実施形態と同様に第2分離口81から下方に落下する。この第1塵埃分離部20aの分離口41の下方に導入口21が形成されている。従って、第1塵埃分離部20aで分離された塵埃は、第2塵埃分離部20bの外筒部40とカバー筒部80の間の空間を経由し、第2塵埃分離部20bの第2分離口81から下方に落とされる。これにより、第1塵埃分離部20a及び第2塵埃分離部20bの両方で分離された塵埃を収容部60に集めることができる。外筒部40とカバー筒部80の間の空間は、半ば閉鎖空間であるため、空気流が他の空間より極端に遅いため、塵埃が空気流により再度浮遊し空気流に流されることなく収容部60に確実に落下し収容される。
なお、第1塵埃分離部20aと第2塵埃分離部20bとを鉛直方向に並べて配置する場合において、収容部60を共通化する構成は必須ではなく、第1塵埃分離部20aと第2塵埃分離部20bがそれぞれ収容部60を備えていてもよい。また、第1塵埃分離部20aと第2塵埃分離部20bを水平方向に並べて配置する場合において、水平方向のサイズが大きい収容部60を用いて収容部60を共通化してもよいし、収容部60を個別に備える構成であってもよい。
次に、図15から図17を参照して、第8実施形態の塵埃分離装置20について説明する。図15及び図16は、第8実施形態の塵埃分離装置20の側面図及び背面図である。図17は、第8実施形態の収容部60の斜視図である。また、以下の説明では、軸方向及び鉛直方向の両方に垂直な方向(即ち、車幅方向)を、収容部60の幅方向と称する。更に、図16に示すように、内筒部50及び外筒部40の軸の幅方向の位置を軸位置と称する。
第8実施形態は、主に収容部60の構成が他の実施形態とは異なる。収容部60以外の部分は、外筒導塵部62及び区画板65を備えていること等から、図13に示す第6実施形態と類似している。ただし、第8実施形態の収容部60は、第1から第7実施形態の何れにも適用することができる。また、第8実施形態では、図15に示すように、吸込み口30aが形成されている位置が上記の第1から第7実施形態とは異なるため、空気の旋回方向が反対である。ただし、第8実施形態の収容部60は、空気の旋回方向に関係なく適用することができる。なお、後述するように、空気の旋回方向に合わせたレイアウトとすることが好ましい。
以下、本実施形態の収容部60について詳細に説明する。塵埃は空気とともに外筒部40から収容部60へ流れる。また、収容部60に流れた空気の一部は収容部60から出て内筒部50を介して換気装置10へ流れる。このとき、収容部60に収容された塵埃のうち比重が軽い物又は表面積が大きい物、例えば枯葉や綿や羽毛等は、収容部60から内筒部50へ向かう比較的流速の遅い空気の流れによっても、収容部60の外に出てしまう。
これを防止するために、本実施形態の収容部60は、第1に、収容部60の深さを深くすることで、収容部60に収容された塵埃が収容部60から出る(逆流する)ことを抑制している。具体的には、収容部60の深さを深くすることで、逆流する空気の流速が遅くなるため、上記の比重が軽い物等を底面605に滞留させることができる。一方、収容部60の深さを深くすることは、収容部60のサイズ(即ち塵埃分離装置20のサイズ)が大きくなることに繋がるため、鉄道車両1に塵埃分離装置20を配置できなかったり、別部材が必要になったりする。例えば、収容部60の深さを深くした場合、排出開口部72aの位置が高くなる。この場合、換気装置10の接続開口部10aと高さが合わなくなる可能性があり、この場合は、高さを調整するための撓みダクト等を介して、排出開口部72aと接続開口部10aを接続せざるを得なくなる。
また、本実施形態の収容部60は、第2に、収容部60の内部を複数の仕切り板によって仕切ることで導風を行い、収容部60に収容された塵埃が収容部60から出る(逆流する)ことを抑制している。以下、収容部60の構造について具体的に説明する。図17に示すように、収容部60は、直方体状である。収容部60には、4つの内壁面(第1内壁面601、第2内壁面602、第3内壁面603、及び第4内壁面604)と、1枚の底面605と、によって内部空間60aが形成されている。第1内壁面601及び第2内壁面602は、内部空間60aのうち軸方向の一端と他端に相当する部分である。第3内壁面603及び第4内壁面604は、内部空間60aのうち幅方向の一端と他端に相当する部分である。なお、収容部60の車高方向の下端は底面605によって閉鎖されている。収容部60の車高方向の上端は開放されている。
収容部60の上部には、図16に示すように、蓋部材74が配置されている。蓋部材74には、分離口41及び第2分離口81を介して塵埃が落下する位置に対応した位置に開口部74aが形成されている。蓋部材74は、収容部60の上部の一部を閉鎖するとともに、塵埃が落下する部分を開放させている。また、蓋部材74は、カバー筒部80を支持している。
なお、収容部60は直方体状に限られない。例えば、収容部60を構成する板材が平板ではなく湾曲した板であってもよい。あるいは、収容部60を構成する板材同士が直角ではなく異なる角度で接続される構成であってもよい。また、蓋部材74は、カバー筒部80を支持する機能を有していない構成(即ち、収容部60の上部の所定範囲を覆う機能のみを有する構成)であってもよい。
収容部60の内部空間60aには、図16及び図17に示すように、第1仕切り板611、第2仕切り板612、及び第3仕切り板613が配置されている。それぞれの仕切り板611,612,613は、第1内壁面601と第2内壁面602とを接続するように配置されている。本実施形態では、これらを溶接で接合するため、仕切り板611,612,613と、内壁面601,602と、は接触している。ただし、仕切り板611,612,613と、内壁面601,602と、に僅かな間隔がある場合でも、本発明の効果をある程度は発揮できる。
第1仕切り板611及び第2仕切り板612は、幅方向において第3仕切り板613及び軸位置を挟むように配置されている。また、蓋部材74の開口部74aの幅方向の一端(開口部74aの幅方向の輪郭位置又は内壁位置)は第1仕切り板611と同じ位置であり、開口部74aの幅方向の他端は第2仕切り板612と同じ位置である。即ち、外筒部40から流れる空気は、幅方向において第1仕切り板611と第2仕切り板612の間から収容部60に入り込む。本実施形態では、幅方向において、第1仕切り板611と第2仕切り板612の中央に軸位置が配置されているが、異なる位置に配置されていてもよい。また、第1仕切り板611及び第2仕切り板612は、内部空間60aの上端部(上端及びその近傍)を起点として下端部に近づくように(特に本実施形態では鉛直方向に沿って下端部に近づくように)形成されている。なお、図17に示すように、第1仕切り板611及び第2仕切り板612の上端は、内部空間60aの上端から僅かに下方に(即ち、蓋部材74に対して隙間が形成されるように)配置されている。
また、第1仕切り板611と第2仕切り板612のうち、流速が速い空気を導風する側が第1仕切り板611に該当する。即ち、図16に示すように、本実施形態では空気の旋回方向は背面視で反時計回りである。そのため、旋回円の下端部においては空気は略右方向に流れる。従って、収容部60に流入する空気も幅方向において右側の速度成分を持つ割合が高くなる。従って、背面視で右側に配置される側の仕切り板が第1仕切り板611である。なお、空気の旋回方向が逆である場合、背面視で左側に配置される仕切り板が第1仕切り板611に相当する。
第3仕切り板613は、内部空間60aの下端部から上端部に向かうように(特に本実施形態では鉛直方向に沿って上端部に向かうように)形成されている。なお、図17に示すように、第3仕切り板613の下端は、内部空間60aの下端部(詳細には底面605)に配置されている。また、第3仕切り板613は、幅方向において軸位置よりも第1仕切り板611に近い位置に配置されている。軸位置よりも第1仕切り板611に近い位置とは、上述のように、流速が速い空気が流れる側であり、背面視で空気の旋回方向が反時計回りの場合は背面視で右側である。
また、収容部60を軸方向で見たときの仕切り板611,612,613の長さ(長手方向に沿う長さ)をそれぞれ、L1、L2,L3とすると、本実施形態では、L3>L1>L2が成立する。また、収容部60を軸方向で見たときにおいて、軸位置から第3仕切り板613までの幅方向の距離をD1、第3仕切り板613から第1仕切り板611までの幅方向の距離をD2、軸位置から第2仕切り板612までの幅方向の距離をD3とした場合、D1<D2、D1+D2=D3が成立する。
また、本実施形態では、第3仕切り板613の上端は、第1仕切り板611の上端及び第2仕切り板612の上端の何れよりも下側に位置している。また、第3仕切り板613の上端は、第1仕切り板611の下端及び第2仕切り板612の下端の何れよりも上側に位置している。言い換えれば、内部空間60aには、第1仕切り板611と第3仕切り板613で仕切られる空間が存在するとともに、第2仕切り板612と第3仕切り板613で仕切られる空間が存在する。
次に、仕切り板611,612,613を配置して内部空間60aの一部を仕切ることによる空気の流れ、及び、塵埃(特に比重が軽い物)が逆流しないことについて説明する。また、収容部60に向かう空気の流れ及び収容部60内の空気の流れは様々であるが、以下では主要な空気の流れについて説明する。
図16に示すように、本実施形態では背面視において反時計回りであるため、外筒部40から収容部60に向かう空気は、幅方向において背面視で右側の速度成分が高くなる。従って、この空気の大部分は、第1仕切り板611と第3仕切り板613で仕切られる空間を下方に向かって流れる。その後、この空気は、底面605、第3内壁面603、蓋部材74、及び第1仕切り板611で仕切られる空間内で流速を落としつつ旋回する。また、蓋部材74と第1仕切り板611の間には隙間が存在するため、この空気の一部は、この隙間を介して内筒部50へ向かうように流れる。また、第1仕切り板611と第3仕切り板613の間の空間から内筒部50へ向かう空気も存在する。
このように空気が流れることで、収容部60に入り込んだ空気は、流速が落ちた後に内筒部50に向かって流れるため、空気とともに塵埃が流れにくい。また、第3仕切り板613が、第1仕切り板611と第2仕切り板612より下側に位置するため、第1仕切り板611と第3仕切り板613で仕切られる空間から第2仕切り板612と第3仕切り板613で仕切られる空間に、空気が流入することが可能である。ここで、流速が落ちた空気の大部分は、外筒部40から収容部60に向かう空気に押されることで、第2仕切り板612と第3仕切り板613で仕切られる空間に流入する。更に、塵埃を含んだ空気を旋回させることで、例えば第3内壁面603、第1仕切り板611等に空気が当たることになり、塵埃を落下させることができる。以上により、塵埃の逆流を抑制できる。
また、第2仕切り板612と第3仕切り板613で仕切られる空間を下方に流れた空気も同様に、第3内壁面603、第2内壁面602、蓋部材74、及び第2仕切り板612で仕切られる空間内を旋回するため、同じ原理で塵埃の逆流を防止できる。また、第1仕切り板611と第3仕切り板613で仕切られる空間から第2仕切り板612と第3仕切り板613で仕切られる空間に流入した空気は、空間内滞留中に、更に流速が落ちるため、空気に含まれる塵埃が落下し易くなる。
次に、第8実施形態の第1から第4変形例について説明する。図18から図21は、第1から第4変形例の収容部60の背面図である。図18に示す第1変形例では、収容部60を軸方向で見たときにおいて、第1仕切り板611の長さと第2仕切り板612の長さが同じである(L1=L2)。また、第1変形例では、収容部60を軸方向で見たときにおいて、軸位置から第3仕切り板613までの幅方向の距離D1と、第3仕切り板613から第1仕切り板611までの幅方向の距離D2と、が同じである(D1=D2)。そのため、第3仕切り板613は、軸位置と第1仕切り板611の幅方向の中央に配置されるか(第1変形例)、中央よりも軸位置側に配置される(第8実施形態)ことが好ましい。なお、第1変形例でも、第8実施形態と同様にD1+D2=D3が成立するが、この関係式が成立しないレイアウトであってもよい。
このように、仕切り板611,612,613の位置及び長さは適宜変更可能である。例えば、第3仕切り板613の上端は、第1仕切り板611の上端及び第2仕切り板612の上端の何れよりも上側に位置していてもよい。また、第3仕切り板613が底面605に接触していなくてもよい。
図19に示す第2変形例では、収容部60を軸方向で見たときにおいて、第2仕切り板612が傾斜して配置されている。傾斜方向は、鉛直方向下側に近づくに連れて軸位置に近づく方向である。これにより、例えば空気が鉛直方向下向きに収容部60に入り込んだ場合であっても、軸位置に近づくような空気の流れ(その後に更に底面605に沿って旋回するような空気の流れ)を作ることができる。
図20に示す第3変形例では、底面605と第3仕切り板613とを接続する案内板614が配置されている。案内板614は、第3仕切り板613のうち第2仕切り板612側の面に接続されている。また、案内板614は、鉛直方向下側に近づくに連れて軸位置から離れるように傾斜している。この構成により、第3仕切り板613に沿って流れた空気を効率的に旋回させることができる。なお、案内板614と同様の部材を、第3仕切り板613のうち第1仕切り板611側の面に配置してもよい。
図21に示す第4変形例は、第3仕切り板613を省略するとともに、第1仕切り板611及び第2仕切り板612を傾斜して配置した構成である。第1仕切り板611及び第2仕切り板612は、ともに、第2変形例と同様に、鉛直方向下側に近づくに連れて軸位置に近づく方向に傾斜している。この構成では、第1仕切り板611に沿って鉛直方向下側に流れる空気と、第2仕切り板612に沿って鉛直方向下側に流れる空気と、が交差するため、空気の流れが乱れて流速が落ちたり、空気に含まれる塵埃が落下し易くなる。また、収容部60の下方から内筒部50に向かう空気が第1仕切り板611及び第2仕切り板612に衝突し易くなるため、塵埃の逆流を防止できる。
なお、第8実施形態及び第1から第4変形例は適宜組み合わせることができる。例えば、第1変形例のL1=L2という特徴を第3変形例に適用できる。
次に、図22から図25を参照して、塵埃分離装置20のレイアウトについて説明する。以下で説明するレイアウトでは、例えば第1から第8実施形態で説明した塵埃分離装置20の何れかを採用することができる。また、鉛直方向に塵埃分離部を並べるレイアウトでは、第7実施形態で説明した塵埃分離装置20を採用することができる。また、本発明の趣旨を逸脱しない構成であれば、別の構成の塵埃分離部を採用することもできる。
また、塵埃分離部を設ける数は1及び2に限られず、3以上であってもよい、また、塵埃分離部は水平方向に並べて配置されていてもよいし、第7実施形態に示すように鉛直方向に並べて配置されていてもよい。また、塵埃分離部の軸方向は、全ての水平方向と一致するのであれば、車幅方向に一致していてもよいし、車長方向に一致していてもよいし、それ以外の方向に一致していてもよい。また、複数の塵埃分離部の軸方向が異なっていてもよい。また、塵埃分離部を3つ以上を配置する場合は、全ての塵埃分離部を鉛直方向又は水平方向に一列に並べてもよいし、鉛直方向と水平方向の両方に並べてもよい。
図22に示す例は、塵埃分離装置20が1つの塵埃分離部を備える1筒式である。換気装置10の接続開口部10aに直接(他のダクト等を介さず)接続されている。他のダクト等を介さずに接続されていることにより、圧力損失を非常に小さくすることができる。更に、塵埃分離装置20が一筒式であるため、塵埃分離装置20の小型軽量化が実現できる。
図23に示す例は、塵埃分離装置20が第1塵埃分離部20a及び第2塵埃分離部20bを備える2筒式である。第1塵埃分離部20a及び第2塵埃分離部20bは水平方向に並べられるとともに、換気装置10の接続開口部10aに直接(他のダクト等を介さず)接続されている。他のダクト等を介さずに接続されていることにより、圧力損失を非常に小さくすることができる。
図24に示す例は、塵埃分離装置20が直接ではなく別の部材を介して換気装置10に取り付けられる。また、塵埃分離装置20の重量は換気装置10ではなく、台枠90に支持されるように取り付けられる。具体的には、塵埃分離装置20には溶接又は固定具等により平面部材78が固定されている。この平面部材78には、塵埃分離装置20を台枠90に取り付けるための取付部材79が固定具等により取り付けられている。また、台枠90は、車長方向に沿って延びる左右一対の側梁91と、左右の側梁91を接続するように配置される横梁92と、を有している。取付部材79は、固定具等により横梁92に取り付けられる。これにより、塵埃分離装置20の重さを台枠90で支持することができるので、換気装置10への負荷を抑えることができる。
また、塵埃分離装置20と換気装置10とは、風道部材100を介して連結される。風道部材100は、例えば不織布又はシート状のゴム等が折り畳まれた構成であり、軸方向(空気の流れ方向)に伸縮可能である。従って、塵埃分離装置20の重さが換気装置10に伝達されることを防止するとともに、換気装置10と塵埃分離装置20の間で振動が伝達しないようにすることができる。従って、換気装置10に要求される強度を抑えつつ、換気装置10に塵埃分離装置20を取り付けることができる。
図25に示す例では、第1塵埃分離部20a及び第2塵埃分離部20bが鉛直方向に並べて配置されるとともに、合流部101、ダクト102、接続部材103を介して、換気装置10に接続されている。合流部101は、第1塵埃分離部20a及び第2塵埃分離部20bから排出された空気を1つに合流させる部材である。ダクト102は合流部101に接続されており、合流部101が1つに合流させた空気を下流側へ送る。接続部材103は、ダクト102に接続されており、ダクト102を流れた空気を換気装置10に供給する。なお、図25に示す例では、配置スペースの関係上、第1塵埃分離部20a及び第2塵埃分離部20bの軸方向と、ダクト102の軸方向と、は90°異なっている。ただし、本発明の特徴を有することで、鉛直方向に沿う状態から水平方向に沿う状態になるように経路を曲げる必要がない点は変わらないため、経路の曲げを減らすという効果は発揮可能である。
以上に説明したように、鉄道車両1の床下に配置され、車外の空気を車室2内に取り込むとともに車室2内の空気を車外へ排出する換気装置10の外気取込側に設けられた、水平方向を向くように開口している接続開口部10aに上記実施形態の塵埃分離装置20が取り付けられる。塵埃分離装置20は、吸込み部30と、外筒部40と、内筒部50と、を備える。吸込み部30は、車外の空気を吸い込む吸込み口(第1吸込み口31、第2吸込み口32)を有し、当該吸込み口から吸い込んだ空気を旋回させる。外筒部40は、筒状であって軸方向が水平方向に一致するように配置され、吸込み部30により旋回させられて軸方向の一側へ進む空気を内周面でガイドするとともに、空気に含まれる塵埃を排出する分離口41が周面に形成されている。内筒部50は、筒状であって外筒部40と同軸であり、かつ外筒部40の径方向内側に配置され、外筒部40を通過して塵埃が分離されて接続開口部10aへ向かう空気を内周面でガイドする。
これにより、外筒部40及び内筒部50は、軸方向が水平方向に一致するように配置されているため、塵埃が分離された空気は塵埃分離装置20から水平方向に排出される。従って、塵埃分離装置20から換気装置10までの経路において、鉛直方向に沿う状態から水平方向に沿う状態になるような曲げを形成する必要がない。従って、小型軽量化を実現しつつ圧力損失を抑えることができる。
また、塵埃分離装置20において、外筒部40の鉛直方向の中央よりも下側に分離口41が形成されている。分離口41の鉛直方向上側には、外筒部40を旋回しながら流れる空気の旋回方向と交差する導塵面61aを有する導塵部61が配置されている。導塵部61により空気に含まれる塵埃が落下して当該塵埃が分離口41に分離される。
空気に含まれる塵埃が導塵面61aに当たることで、空気から塵埃を分離して分離口41で分離することができるそのため、内筒部50を流れる空気に含まれる塵埃を一層減らすことができる。
また、塵埃分離装置20において、外筒導塵部62は、外筒部40と分離口41との境界において、当該外筒部40から径方向内側に延びる構成である。
これにより、外筒部40の内部で塵埃が旋回し続けて落下しない状態を防止できる。
また、塵埃分離装置20において、分離口41及び外筒導塵部62が、外筒部40の軸方向の全体にわたって形成されている。
これにより、塵埃を落下させる部分を大きくすることができるので、塵埃を早期に分離口41から落下させることができる。
また、塵埃分離装置20において、吸込み部30には、車外の空気を吸い込む吸込み口30aが4つ形成されており、それぞれの吸込み口30aの吸込方向が90度ずつ異なっている。
これにより、車外の空気を吸い込む部分の流路断面積の合計を大きくすることができるので、多くの空気を吸い込むことができる。
また、塵埃分離装置20において、吸込み部30には、吸込み口から吸い込まれて旋回している空気を、外筒部40の軸方向の一側へガイドする軸方向導風部35が形成されている。
これにより、吸込み部30で空気が旋回し続けて軸方向に移動しない事態の発生を防止できる。
また、塵埃分離装置20において、吸込み部30には、車外の空気を吸い込む第1吸込み口31及び第2吸込み口32が少なくとも形成されている。吸込み部30には、第1吸込み口31から吸い込まれた空気を旋回させる部分と、第2吸込み口32から吸い込まれた空気を旋回させる部分と、を区分するように軸方向導風部35が配置されている。
これにより、第1吸込み口31から吸い込まれて旋回した空気が、第2吸込み口32から吸い込まれた空気と合流することを防止できるので、吸込み部30の近傍で空気が旋回し続けて軸方向に移動しない事態の発生を防止できる。
また、塵埃分離装置20において、吸込み部30には、第1吸込み口31と、第2吸込み口32と、旋回方向導風部33と、が形成されている。第1吸込み口31は、車外の空気を吸い込む。第2吸込み口32は、車外の空気を吸い込むとともに、軸方向で見たときに第1吸込み口31の旋回方向の下流側であって、第1吸込み口31とは吸込方向が直交する。旋回方向導風部33は、第1吸込み口31から吸い込まれた空気が少なくとも第2吸込み口32から吸い込まれた空気と合流するまで旋回方向にガイドするとともに、合流した空気を第2吸込み口32の旋回方向の下流側までガイドする。
これにより、2つの吸込み口から吸い込まれた空気を十分に旋回させることができるので、空気の流速を速くすることができるため、換気量を多くすることができる。
また、塵埃分離装置20は、軸方向において、分離口41の少なくとも一部が、内筒部50の位置と重なる。
これにより、塵埃が含まれた空気が内筒部50に流れる前に、分離口41が形成されている部分を通過し易くなるので、空気に含まれる塵埃を十分に除去できる。
また、塵埃分離装置20は、軸方向において、分離口41の半分以上が、内筒部50の位置と重なる。
これにより、空気に含まれる塵埃を一層十分に除去できる。
また、塵埃分離装置20は、外筒部40の径方向外側を覆うように配置されるカバー筒部80を備える。外筒部40には、分離口41よりも軸方向において吸込み部30に近い位置に、空気に含まれる塵埃を当該外筒部40の外側に移動させる補助分離口42が形成されている。カバー筒部80の周面には、分離口41又は補助分離口42から排出された塵埃を当該カバー筒部80の外側に排出する第2分離口81が形成されている。
これにより、遠心力により粒子径の大きな塵埃が補助分離口42で分離される。また、補助分離口42を設けることで、カバー筒部80に沿う空気の流れが乱されて空気の流速を低下させることができる。従って、吸入する空気量が多く流速が高速になる場合であっても、空気に含まれる細かい塵埃を効率的に分離することができる。
また、塵埃分離装置20は、軸方向において、分離口41の少なくとも一部が、第2分離口81の位置と重なるとともに、補助分離口42の少なくとも一部が、第2分離口81の位置と重なる。
これにより、分離口41及び補助分離口42から排出された塵埃を即座に(あまりカバー筒部80内で旋回させずに)第2分離口81から外部に排出できる。
また、塵埃分離装置20には、外筒部40とカバー筒部80との間の空間を仕切ることで、外筒部40の分離口41から排出された塵埃が、外筒部40とカバー筒部80との間の空間を旋回することを阻止する区画板65が、分離口41の両側に配置されている。
これにより、塵埃が外筒部40とカバー筒部80の間の空間を旋回し続けることを阻止できるので、塵埃を早期に落下させることができる。
また、塵埃分離装置20は、第1塵埃分離部20aと、第2塵埃分離部20bと、を備える。第1塵埃分離部20aは、吸込み部30、外筒部40、内筒部50、及び、カバー筒部80で構成される。第2塵埃分離部20bは、吸込み部30、外筒部40、内筒部50、及び、カバー筒部80で構成される。第1塵埃分離部20aの鉛直方向下側に第2塵埃分離部20bが配置される。
これにより、本発明では軸方向が水平方向となるように塵埃分離部が配置されるため、高さ方向のサイズが抑えられる傾向にあるため、2つの塵埃分離部を上下に重ねた場合においても高さ方向のサイズがそれほど大きくならない。また、上下に重ねることで、水平方向のサイズを抑えることができる。
また、塵埃分離装置20において、第1塵埃分離部20aの第2分離口81は、鉛直方向下側に形成されている。第2塵埃分離部20bのカバー筒部80には、第1塵埃分離部20aの第2分離口81と対向する位置に、当該第2分離口81から排出された塵埃が導入される導入口21が形成されている。
これにより、第1塵埃分離部20aと第2塵埃分離部20bに個別の収容部60を備える構成と比較して、単純な構成を実現できる。
また、塵埃分離装置20には、内筒部50を通過して接続開口部10aへ向かう空気を塵埃分離装置20の外側へ排出する排出開口部72aが形成されており、当該排出開口部72aと前記接続開口部10aを合わせるようにして換気装置10に取り付けられる。
これにより、塵埃分離装置20から換気装置10までの経路が短くなるため、更に小型軽量化を実現しつつ圧力損失を抑えることができる。
また、塵埃分離装置20は、分離された塵埃を収容する内部空間60aが形成された容器状の収容部60を備える。収容部60の内部空間60aには、軸方向の一側と他側の端部を接続するように配置された、第1仕切り板611、第2仕切り板612、及び第3仕切り板613が形成されている。第3仕切り板613は、軸位置から幅方向に外れた位置に配置されている。第1仕切り板611及び第2仕切り板612は、幅方向において、第3仕切り板613及び軸位置を挟むように配置されている。第1仕切り板611及び第2仕切り板612は、内部空間60aの上端部を起点として下端部に近づくように、かつ、内部空間60aの上端部との間に隙間が形成されるように構成されている。
これにより、収容部60から内筒部50へ向かう流速が速い空気の割合を減らすことができるため、塵埃の逆流を抑制することができる。
また、塵埃分離装置20において、軸方向で収容部60を見たときに、第3仕切り板613の長さが、第1仕切り板611及び第2仕切り板612の何れよりも長い。
これにより、第3仕切り板613に沿って空気が流れ易くなる。また、幅方向の一側に向かう空気と、幅方向の他側に向かう空気と、を早い段階で分離できる。
また、塵埃分離装置20において、軸方向で収容部60を見たときに(具体的には図16において)、空気の旋回方向が反時計回りであるため、第3仕切り板613は、軸位置よりも右側に配置されている。なお、空気の旋回方向が時計回りである場合は軸位置よりも左側に第3仕切り板613が配置される。
本実施形態では収容部60に入り込んだ空気は、背面視で右側に向かうため、第3仕切り板613を右側に配置することで、空気を的確に分離できる。
また、塵埃分離装置20において、軸方向で収容部60を見たときに(具体的には図16において)、第1仕切り板611は、空気の旋回方向が反時計回りであるため、第2仕切り板612よりも右側に配置されている。また、軸方向で収容部60を見たときに、第1仕切り板611の長さが、第2仕切り板612よりも長い。なお、空気の旋回方向が時計回りである場合は第2仕切り板612よりも左側に第1仕切り板611が配置される。
これにより、第1仕切り板611に向かう空気は流速が速くかつ左右方向の速度成分が高いため、第1仕切り板611を長くすることで、この空気を的確に案内することができる。
また、塵埃分離装置20において、第3仕切り板613は、内部空間60aの下端部を起点として上端部に近づくように形成されている。
また、塵埃分離装置20において、軸方向で収容部60を見たときに、第3仕切り板613の上端が、第1仕切り板611及び第2仕切り板612の何れの上端よりも下側に位置している。
以上により、空気が、第1仕切り板611と第3仕切り板613で仕切られる空間から、第2仕切り板612と第3仕切り板613で仕切られる空間へ流入できるので、旋回する空気の流速がより落ち、空気に含まれる塵埃が落下し易くなる。
また、塵埃分離装置20において、第1仕切り板611及び第2仕切り板612は、内部空間60aの上部との間に隙間が形成されるように配置されている。軸方向で収容部60を見たときに、第1仕切り板611及び第2仕切り板612は、下側に近づくに連れて軸位置に近づくように傾斜している。
これにより、第1仕切り板611に沿って鉛直方向下側に流れる空気と、第2仕切り板612に沿って鉛直方向下側に流れる空気と、が交差するため、空気の流れが乱れて流速が落ちたり、空気に含まれる塵埃が落下し易くなる。
また、鉄道車両1は、取付部材79と、風道部材100と、を備える。取付部材79は、塵埃分離装置20を台枠90に取り付けるための部材である。風道部材100は、塵埃分離装置20と、接続開口部10aと、の間に配置されるとともに、空気が案内される方向に伸縮可能である。
これにより、塵埃分離装置20の重さ及び振動等が換気装置10に伝わることを抑制しつつ、塵埃分離装置20と換気装置10を連結できる。そのため、換気装置10の強度をあまり高くすることなく、塵埃分離装置20を配置できる。
以上に本発明の好適な実施の形態及び変形例を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
上記では、第1から第8実施形態を説明したが、ある実施形態で記載した特徴を別の実施形態に適用することができる。例えば、第4実施形態で説明した吸込み口30aが4つという特徴を他の実施形態(例えば第1又は第2実施形態)に適用することができる。また、第5実施形態で説明した外筒導塵部62を他の実施形態(例えば第1実施形態)に適用することができる。その他の特徴においても同様である。
上記実施形態では、分離口41、補助分離口42、及び第2分離口81は全て鉛直方向下側に形成されているが、それ以外の方向に形成されていてもよい。その場合であっても、塵埃は遠心力によって径方向外側に向かうため、塵埃を分離することができる。
上記実施形態では、塵埃分離装置20は空気から塵埃を分離するとともに、分離した塵埃を収容部60に集める構成であるが、第8実施形態以外では、分離した塵埃を地面に落下させたり別装置へ送ったりする構成であってもよい。