JP7093922B2 - 生体情報検出装置 - Google Patents

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Description

本発明は、生体が接触する接触部材に配置され、当該生体の生体情報を検出する生体情報検出装置に関するものである。
従来より、この種の生体情報検出装置として、次のものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。すなわち、この生体情報検出装置は、第1圧電素子を搭載する第1基板と、第2圧電素子を搭載する第2基板とを有し、第1基板には、生体と接触して生体情報が印加される剛体が備えられている。また、第1基板と第2基板との間には、生体情報を減衰させる硬度を有する材料で構成された緩衝部材が配置されている。
このような生体情報検出装置では、第1圧電素子には、剛体および第1基板を介して生体の脈拍または心拍等の生体情報が印加されると共に、第1基板を介して生体の振動に伴うノイズが印加される。また、第2圧電素子には、第1基板と第2基板との間に緩衝部材が配置されているため、剛体に印加された生体情報が第2基板に印加され難く、ノイズが主に印加される。このため、第1圧電素子は、生体情報およびノイズに応じた信号を出力し、第2圧電素子は、ノイズに応じた信号を出力する。したがって、第1圧電素子から出力される信号と第2圧電素子から出力される信号との差を演算することにより、ノイズに起因する信号が低減される。
特開2016-129635号公報
しかしながら、上記のような生体情報検出装置では、第2センサに生体情報が印加され難いため、生体情報検出装置での生体情報の増幅が困難であり、生体情報の検出感度が低くなり易い。
本発明は上記点に鑑み、ノイズに起因する信号を低減しつつ、生体情報の検出感度を向上できる生体情報検出装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための請求項1では、生体が接触する接触部材(2)の内部に配置され、生体の生体情報を検出する生体情報検出装置であって、一面(20a)および一面と反対側の他面(20b)を有し、他面が搭載部材(10)と対向する状態で搭載部材に搭載される基板(20)と、基板の一面側に配置され、生体情報を含む圧力が印加されると、圧力の大きさおよび圧力の印加方向に応じた第1センサ信号を出力する第1圧電素子(41)を有する第1センサ部(40)と、基板の一面側に配置され、生体情報を含む圧力が印加されると、圧力の大きさおよび圧力の印加方向に応じた第2センサ信号を出力する第2圧電素子(51)を有する第2センサ部(50)と、第1センサ信号および第2センサ信号が入力され、第1センサ信号と第2センサ信号との差に基づいた検出信号を出力する信号処理回路(30)と、を備えている。そして、基板における一面のうちの第2圧電素子が配置される部分に沿って延びる面を基準面(11)とし、第1センサ部の第1圧電素子における基板側と反対側の面を第1圧電素子の一面(41a)とし、第2センサ部の第2圧電素子における基板側と反対側の面を第2圧電素子の一面(51a)とすると、基準面と第1圧電素子の一面との間隔が基準面と第2圧電素子の一面との間隔より広くされており、第1センサ部および第2センサ部は、接触部材の内部に配置される際、第1センサ部が接触部材の外形を構成する表皮(2a)と接触しつつ、第2センサ部が表皮と離間するように配置され、かつ接触部材に生体情報を含む圧力が印加されると、当該圧力の印加される方向が第1圧電素子と第2圧電素子とで反対となるように配置され、第1圧電素子および第2圧電素子は、印加される圧力の印加方向が同じである際に第1センサ信号および第2センサ信号が同じ極性となり、印加される圧力の印加方向が反対である際に第1センサ信号および第2センサ信号が反対の極性となる状態で配置されている。
これによれば、生体情報検出装置は、生体が接触部材に接触した際に印加される圧力が第1センサ部、基板、第2センサ部の順に伝搬される状態で接触部材の内部に配置されると、第1センサ信号と第2センサ信号との極性が反対となる。したがって、第1センサ信号と第2センサ信号との差に基づいた検出信号とすることにより、生体信号を増幅することができる。このため、感度の向上を図ることができる。
また、第1センサ部および第2センサ部は、共通の基板に搭載されているため、ノイズに起因する圧力が同じ方向から印加される。このため、第1センサ信号と第2センサ信号との差に基づいた検出信号とすることにより、ノイズに起因する信号を低減できる。
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
第1実施形態における生体情報検出装置の構成を示す断面図である。 図1に示す第1圧電素子および第2圧電素子の電気的な接続を示す回路図である。 図1に示す生体情報検出装置を車両用シートに配置した適用例を示す斜視模式図である。 図1に示す生体情報検出装置を車両シートに配置した適用例を示す断面模式図である。 生体圧力が生体情報検出装置に印加された状態を示す模式図である。 図1の弾性部材と異なる材料を用いて構成された弾性部材を有する第1センサ部に生体圧力が印加された際の模式図である。 図1に示す第1センサ部に生体圧力が印加された際の模式図である。 振動を印加していない状態での第1センサ信号、第2センサ信号、および検出信号を示す図である。 振動を印加した状態での第1センサ信号を示す図である。 振動を印加した状態での第2センサ信号を示す図である。 図8Aの第1センサ信号と図8Bの第2センサ信号とを重ねた図である。 図8Aの第1センサ信号と図8Bの第2センサ信号との差を演算した検出信号を示す図である。 図8Aに示す第1センサ信号を周波数変換した図である。 図8Bに示す第2センサ信号を周波数変換した図である。 図8Cに示す第1センサ信号および第2センサ信号を周波数変換した図である。 図8Dに示す検出信号を周波数変換した図である。 第2実施形態における生体情報検出装置の構成を示す断面図である。 他の実施形態における生体情報検出装置の構成を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
(第1実施形態)
第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態の生体情報検出装置は、生体の心拍や脈拍等の生体情報を検出するのに利用されると好適である。まず、本実施形態の生体情報検出装置1の構成について図1および図2を参照しつつ説明する。
本実施形態の生体情報検出装置1は、図1に示されるように、搭載部材10を備えている。搭載部材10は、発泡体材で構成される弾性部材とされており、本実施形態では、硬度が260Nであるウレタンフォームで構成されている。なお、本実施形態では、後述するように、生体情報検出装置1は、車両用シート2に配置され、車両用シート2に着座した生体(すなわち、乗員)の生体情報を検出するのに用いられる。このため、本実施形態の搭載部材10は、車両用シート2に含まれるシート母材を用いて構成されている。
搭載部材10の一面10aには、ポリエチレンテレフタレート(すなわち、PET)フィルム等の樹脂フィルムを用いて構成された基板20が配置されている。本実施形態では、基板20は、一面20aおよび一面20aと反対側の他面20bを有し、他面20b側が搭載部材10の一面10aと対向するように配置されている。そして、基板20には、図2に示される信号処理回路30が備えられており、信号処理回路30には差動増幅器31が備えられている。なお、本実施形態では、搭載部材10の一面10aは、圧力が印加されていない状態では平坦な面となっている。
基板20の一面20a上には、第1センサ部40および第2センサ部50が搭載されている。第1センサ部40は、第1圧電素子41および弾性部材42を有しており、第1圧電素子41が弾性部材42を介して基板20の一面20a上に配置されている。第2センサ部50は、第2圧電素子51を有し、第2圧電素子51が基板20の一面20aに直接配置されている。なお、各部材の間には、両面粘着テープ等で構成される図示しない接合部材が配置されている。
第1圧電素子41は、ポリフッ化ビニル等の有機材料で構成される薄膜状の圧電フィルムを有し、当該圧電フィルムが一対の電極に挟まれて構成された一般的なものが用いられる。そして、第1圧電素子41は、圧力が印加されると第1センサ信号を出力する。なお、本実施形態の第1圧電素子41は、面内方向に感度を有する構成とされている。つまり、第1圧電素子41は、基板20側と反対側の面を一面41a、基板20側の面を他面41bとすると、圧力が印加されて一面41aおよび他面41bが圧縮または伸張した際に当該圧力に応じた第1センサ信号を出力する。
また、第1圧電素子41は、圧縮または伸張の仕方によって出力される信号の極性が反対となる構成とされている。つまり、第1圧電素子41は、一面41aが圧縮すると共に他面41bが伸張するように変形した場合と、一面41aが伸張すると共に他面41bが圧縮するように変形した場合とでは、出力される信号の極性が反対となる構成とされている。
弾性部材42は、本実施形態では、発泡体材で構成されている。言い換えると、弾性部材42は、多孔質部材で構成されている。また、弾性部材42は、搭載部材10よりも弾性率が小さい材料で構成されている。例えば、このような弾性部材42は、硬度が118Nである発泡体材としてのウレタンフォーム等で構成されている。
第2圧電素子51は、第1圧電素子41と同様の構成とされている。そして、第2圧電素子51は、基板20側と反対側の面を一面51a、基板20側の面を他面51bとすると、圧力が印加されて一面51aおよび他面51bが圧縮または伸張した際に当該圧力に応じた第2センサ信号を出力する。また、第2圧電素子51は、第1圧電素子41と同様に、圧縮または伸張の仕方によって出力される信号の極性が反対となる構成とされている。
そして、第1圧電素子41および第2圧電素子51は、同じ方向の圧力が印加された場合に第1センサ信号と第2センサ信号とが同じ極性となるように配置されている。つまり、第1圧電素子41および第2圧電素子51は、反対方向の圧力が印加された場合に第1センサ信号と第2センサ信号とが反対の極性となるように配置されている。
また、本実施形態では、上記のように、第1圧電素子41が弾性部材42を介して基板20の一面20a上に配置されている。このため、基板20の一面20aのうちの第2圧電素子51と対向する部分を通る面を基準面11とすると、基準面11と第1圧電素子41の一面41aとの間隔は、基準面11と第2圧電素子51の一面51aとの間隔より広くなる。なお、本実施形態の基準面11は、基板20の一面20aに沿った面となる。
また、第1圧電素子41および第2圧電素子51には、それぞれ図1とは別断面において、各電極にそれぞれ配線が備えられている。そして、図2に示されるように、第1圧電素子41は、配線を介して基板20に備えられた差動増幅器31における一方の入力端子に接続されている。つまり、第1圧電素子41から出力される第1センサ信号は、差動増幅器31における一方の入力端子に入力されるようになっている。また、第2圧電素子51は、配線を介して基板20に備えられた差動増幅器31における他方の入力端子に接続されている。つまり、第2圧電素子51から出力される第2センサ信号は、差動増幅器31における他方の入力端子に入力されるようになっている。これにより、差動増幅器31は、第1圧電素子41から出力された第1センサ信号と、第2圧電素子51から出力された第2センサ信号との差を検出信号として出力する。
以上が本実施形態における生体情報検出装置1の構成である。次に、上記生体情報検出装置1の作動について説明する。以下では、車両用シート2に生体情報検出装置1を配置し、乗員の生体情報を検出するのに適用した例について説明する。なお、本実施形態では、車両用シートが接触部材に相当する。
図3および図4に示されるように、座部3と背もたれ部4を有する車両用シート2に生体情報検出装置1を配置する場合、例えば、生体情報検出装置1は、車両用シート2の座部3の内部に配置される。つまり、生体情報検出装置1は、車両用シート2に乗員が着座した際、乗員の大腿部下方に位置するように配置される。
より詳しくは、生体情報検出装置1は、車両用シート2の外形を構成する表皮2aと第1センサ部40における第1圧電素子41とが接触しつつ、表皮2aと第2センサ部50における第2圧電素子51とが接触しないように配置される。つまり、生体情報検出装置1は、第2圧電素子51が表皮2aと離間するように配置されている。言い換えると、生体情報検出装置1は、第2圧電素子51と表皮2aとの間に空間が構成されるように配置されている。
なお、本実施形態では、上記のように、搭載部材10は、シート母材としてのクッション材を用いて構成される。つまり、本実施形態の生体情報検出装置1は、一面20a側に第1センサ部40および第2センサ部50が搭載された基板20を車両用シート2に配置することで構成される。
そして、車両用シート2に乗員が着座すると、図4および図5に示されるように、乗員の脈拍や心拍等の生体情報に起因する圧力(以下では、生体圧力という)は、表皮2aを通じて表皮2aと接触する第1圧電素子41に印加される。一方、第2圧電素子51は、表皮2aと離間して配置されているため、表皮2aから生体圧力が直接印加されない。
そして、第1圧電素子41に印加された生体圧力は、弾性部材42、基板20、搭載部材10の順に伝搬され、搭載部材10から基板20を介して第2圧電素子51に伝搬される。これにより、第1圧電素子41および第2圧電素子51は、それぞれ生体圧力が印加され、それぞれ生体情報に応じた生体信号を含む第1センサ信号および第2センサ信号を出力する。
この場合、第1圧電素子41には、第1圧電素子41から基板20側に向かう方向に生体圧力が印加される。一方、第2圧電素子51には、基板20側から第2圧電素子51に向かう方向に生体圧力が印加される。つまり、第1圧電素子41に印加される生体圧力の方向と、第2圧電素子51に印加される生体圧力の方向とは、反対方向になる。
そして、第1圧電素子41は、一面41aが圧縮すると共に他面41bが伸張するように変形する。第2圧電素子51は、一面51aが伸張すると共に他面51bが圧縮するように変形する。つまり、第1圧電素子41と第2圧電素子51とは、変形の仕方が反対となる。このため、第1圧電素子41から出力される生体信号と第2圧電素子51から出力される生体信号とは、極性が反対となる。
また、生体情報検出装置1は、車両用シート2が搭載される車両の振動、乗員の筋収縮による体表面の微細運動、および乗員が体勢を変化させたり大腿部を揺らしたり等した際に発生する振動も印加される。この場合、これらの動きに伴う振動は、生体情報と比較すると極めて大きな振動となり、このような大きな振動の場合には座部3の全体が振動する。つまり、生体情報検出装置1の全体が振動し、搭載部材10の全体が振動する。
このため、第1圧電素子41および第2圧電素子51は、基板20から振動に起因する圧力(以下では、ノイズ圧力という)が印加され、ノイズ圧力に応じたノイズ信号も出力する。つまり、第1圧電素子41は、第1センサ信号として、生体圧力に応じた生体信号と、ノイズ圧力に応じたノイズ信号を出力する。同様に、第2圧電素子51は、第2センサ信号として、生体圧力に応じた生体信号と、ノイズ圧力に応じたノイズ信号を出力する。なお、第1圧電素子41には、基板20から第1圧電素子41に向かう方向にノイズ圧力が印加され、第2圧電素子51には、基板20から第2圧電素子51に向かう方向にノイズ圧力が印加される。このため、第1センサ信号に含まれるノイズ信号と、第2センサ信号に含まれるノイズ信号とは、極性が同じとなる。
そして、差動増幅器31は、第1センサ信号と第2センサ信号との差を検出信号として出力する。このため、第1センサ信号に含まれる生体信号と第2センサ信号に含まれる生体信号とは、極性が反対であるため、差が演算されると増幅した信号となる。一方、第1センサ信号に含まれるノイズ信号と第2センサ信号に含まれるノイズ信号とは、極性が同じとなるため、差が演算されると低減される。したがって、本実施形態では、ノイズ信号を低減しつつ、生体信号を増幅した信号を得ることができる。
また、本実施形態では、弾性部材42が発泡体材で構成されているため、感度の向上を図ることができる。ここで、第1圧電素子41に第1圧電素子41から基板20に向かう方向に生体圧力が印加された際の状態について、弾性部材42が発泡体材で構成されている場合と、他の部材で構成されている場合とを比較して説明する。
まず、図6Aを参照し、弾性部材J42が上記弾性部材J42と異なる材料、例えば、発泡体材ではないウレタンゴムで構成されている場合について説明する。このような弾性部材J42を用いた場合、第1圧電素子41に生体圧力が印加されると、図6A中の点線で示されるように、弾性部材J42は、第1圧電素子41側の面が全体的に下方に変位すると共に、側面が外側に膨らむように変形する。この際、第1圧電素子41は、弾性部材J42が全体的に下方に変位するため、弾性部材J42の変位に伴って下方に変位するものの、弾性部材J42の変位に起因する変形が少ない。このため、第1圧電素子41は、第1圧電素子41自体に印加された生体圧力に応じた信号を出力する。
これに対し、図6Bに示されるように、弾性部材42を発泡体材であるウレタンフォーム等で構成した場合、第1圧電素子41に生体圧力が印加されると、図6B中の点線で示されるように、弾性部材42は、第1圧電素子41側の面の中央部が内部に収縮するように変形する。そして、第1圧電素子41は、弾性部材42に固定されているため、弾性部材42の変形に伴っても変形する。つまり、第1圧電素子41は、他面41bの中央部が弾性部材42の中央部に引っ張られるように変形する。このため、第1圧電素子41は、第1圧電素子41自体に印加された生体圧力、および弾性部材42の変形に応じた信号を出力する。すなわち、弾性部材42は、生体情報を増幅する増幅器としての機能も有しているといえる。したがって、このような弾性部材42を用いることにより、感度の向上を図ることができる。
また、本実施形態では、弾性部材42は、搭載部材10よりも弾性率が小さくされている。このため、表皮2aから第1圧電素子41に生体圧力が印加された場合、弾性部材42の方が搭載部材10より変形し易くなる。したがって、弾性部材42が搭載部材10より弾性率が大きくされている場合と比較して、上記のように、第1圧電素子41が変形し易くなり、感度の向上を図ることができる。
ここで、本発明者らは、本実施形態の生体情報検出装置1を振動加振機能を備えたドライビングシミュレータの車両用シート2に配置して検討を行い、図7、図8A~図8D、図9A~図9Dに示す測定結果を得た。なお、図7は、車両用シート2に乗員が着座した状態で振動(すなわち、ノイズ圧力)を印加していない場合の測定結果を示す図である。図8A、図8B、図9A、および図9Bは、車両用シート2に乗員が着座した状態で1.5Hzの周波数を有する振動を印加した場合の測定結果を示す図である。
まず、図7に示されるように、振動を印加していない場合には、第1センサ信号と第2センサ信号との極性が反対となっていることが確認される。そして、検出信号は、第1センサ信号および第2センサ信号よりも振幅が大きくなっており、増幅されていることが確認される。この例では、検出信号は、第1センサ信号に対して約1.8倍の振幅を有する信号となっていることが確認される。
また、図8A、図8B、図9A、および図9に示されるように、振動を印加した状態においても、第1圧電素子41から第1センサ信号が出力され、第2圧電素子51から第2センサ信号が出力されていることが確認される。図8Cおよび図9Cに示されるように、第1センサ信号と第2センサ信号とを重ね合わせると、第1センサ信号と第2センサ信号との振幅が異なっていることが確認される。
そして、図8Dおよび図9Dに示されるように、第1センサ信号と第2センサ信号との差を演算した検出信号は、第1センサ信号に含まれるノイズ信号と第2センサ信号に含まれるノイズ信号とがキャンセルされた信号となる。このため、検出信号は、ノイズ圧力に応じた信号が低減された信号となっていることが確認される。つまり、本発明者らは、検出信号がノイズ圧力に応じた信号が低減された信号となることを確認している。
以上説明したように、本実施形態では、共通の基板20上に第1センサ部40および第2センサ部50が配置されており、基準面11と第1圧電素子41の一面41aとの間隔が基準面11と第2圧電素子51の一面51aとの間隔より広くされている。そして、生体情報検出装置1は、車両用シート2に配置される場合、表皮2aに第1圧電素子41が接触すると共に、表皮2aと第2圧電素子51が離間するように配置される。このため、表皮2aに生体が接触すると、生体圧力は、第1センサ部40、基板20、第2センサ部50の順に印加され、第1センサ信号に含まれる生体信号と、第2センサ信号に含まれる生体信号とは、極性が反対となる。したがって、第1センサ信号と第2センサ信号との差を演算して検出信号とすることにより、生体信号を増幅することができる。
また、基板20を介して第1センサ部40および第2センサ部50にノイズが印加された場合には、第1センサ信号に含まれるノイズ信号と第2センサ信号に含まれるノイズ信号との極性が同じとなる。したがって、第1センサ信号と第2センサ信号との差を演算して検出信号とすることにより、ノイズ信号を低減できる。つまり、本実施形態の生体情報検出装置1によれば、ノイズ信号を低減しつつ、生体信号を増幅することができ、感度の向上を図ることができる。
さらに、本実施形態では、弾性部材42を発泡体材で構成している。このため、第1圧電素子41に生体圧力が印加されると、弾性部材42は、第1圧電素子41側の面の中央部が内部に収縮するように変形する。そして、第1圧電素子41は、他面41bが弾性部材42に引っ張られることにより、弾性部材42の変形に伴って変形する。このため、弾性部材42を発泡体材でない弾性体で構成した場合と比較して、生体圧力に起因する変形を大きくでき、感度の向上を図ることができる。
また、弾性部材42は、搭載部材10よりも弾性率が小さくされている。これにより、第1圧電素子41に生体圧力が印加された場合、弾性部材42の方が搭載部材10よりも変形し易くなる。このため、弾性部材42が搭載部材10よりも弾性率が高くされている場合と比較して、第1圧電素子41の変形を大きくでき、感度の向上を図ることができる。
そして、基板20は、樹脂フィルムを用いて構成されている。このため、一般的に、基板20の膜厚を薄くし易くできると共に、基板20の弾性率を小さくし易くできる。したがって、生体圧力が基板20によって減衰することを抑制できる。
また、第1圧電素子41および第2圧電素子51は、有機材料で構成されている。このため、例えば、第1圧電素子41および第2圧電素子51を無機材料で構成した場合と比較して、弾性率を小さくでき、生体圧力に応じて変形し易くできる。したがって、感度の向上を図ることができる。
さらに、第1圧電素子41および第2圧電素子51は、面内方向に感度を有する構成とされている。このため、上記のように第1、第2圧電素子41、51の一面41a、51aおよび他面41b、51bが圧縮、または伸張する構成では、感度の向上を図ることができる。
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1実施形態に対し、弾性部材42の構成を変更したものである。その他に関しては、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
本実施形態の生体情報検出装置1は、図10に示されるように、弾性部材42は、弾性部43と、保持部44とを有する構成とされている。
具体的には、弾性部43は、上記第1実施形態の弾性部材42と同様の発泡体材を用いて構成されている。保持部44は、弾性部43よりも弾性率が大きい剛体で構成されており、中央部に貫通孔44aが形成された枠状とされている。そして、弾性部43は、貫通孔44a内に配置されている。
つまり、弾性部43は、第1圧電素子41における他面41bの中央部と接触するように配置されている。また、保持部44は、第1圧電素子41における他面41bの外縁部と接触するように配置されている。
これによれば、第1圧電素子41に生体圧力が印加された際、弾性部43は、外縁側に向かって膨張し難くなり、内部に収縮するように変形し易くなる。このため、第1圧電素子41は、弾性部43の変形に伴って変形し易くなり、上記図6Bで説明したように変形し易くなる。したがって、さらに感度の向上を図りつつ、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
(他の実施形態)
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。
例えば、上記各実施形態において、信号処理回路30は、基板20に備えられていなくてもよく、例えば、基板20とは別に備えられた外部回路に備えられていてもよい。
また、上記各実施形態において、信号処理回路30には、差動増幅器31と共に、アナログ-デジタル変換回路(すなわち、A/D変換回路)が備えられていてもよい。この場合、差動増幅器31と、第1圧電素子41および第2圧電素子51との間にアナログ-デジタル変換回路を備えるようにしてもよい。つまり、第1圧電素子41から出力される第1センサ信号および第2圧電素子51から出力される第2センサ信号はアナログ信号であるため、これらのセンサ信号をデジタル信号に変換して差動増幅器31に入力するようにしてもよい。また、差動増幅器31から出力される検出信号がアナログ-デジタル変換回路に入力されるようにしてもよい。つまり、差動増幅器31から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換して外部回路に出力するようにしてもよい。
さらに、上記各実施形態において、第1圧電素子41および第2圧電素子51は、チタン酸ジルコン酸鉛(すなわち、PZT)等の無機圧電材料で構成されていてもよい。さらに、上記各実施形態において、第1圧電素子41および第2圧電素子51は、異なる材料で構成されていてもよい。この場合は、例えば、信号処理回路30に補正回路等を設ける等して各センサ信号の特性補正を行い、その後に差動増幅器31に各センサ信号が入力されるようにすればよい。但し、第1圧電素子41および第2圧電素子51は、反対方向の圧力が印加された場合、第1センサ信号と第2センサ信号とが反対の極性となるように配置されることが必要である。
また、上記各実施形態において、生体情報検出装置1は、車両用シート2に配置された際、表皮2aに第1圧電素子41が接触しつつ、表皮2aと第2圧電素子51との間に空間が構成されるのであれば、弾性部材42が備えられていなくてもよい。つまり、生体情報検出装置1は、車両用シート2に配置されて乗員が着座した際、第1圧電素子41から基板20を通じて第2圧電素子51に生体圧力が伝播されるのであれば、弾性部材42が配置されていなくてもよい。例えば、図11に示されるように、搭載部材10のうちの第1圧電素子41の下方に位置する部分が第2圧電素子51の下方に位置する部分より盛り上がっている形状とされている場合には、弾性部材42を配置しなくてもよい。このような構成では、弾性部材42を配置しなくても、基準面11と第1圧電素子41の一面41aとの間隔が基準面11と第2圧電素子51の一面51aとの間隔より長くなる。このため、このような構成の搭載部材10の場合には、弾性部材42を配置しなくてもよい。但し、上記弾性部材42を配置することによって感度の向上の図ることができるため、弾性部材42は配置されることが好ましい。
さらに、上記各実施形態において、弾性部材42は、発泡体材でなくてもよく、例えば、ゴム等で構成されていてもよい。同様に、基板20は、第1圧電素子41に印加された生体圧力を第2圧電素子51に伝搬できるものであれば樹脂フィルムでなくてもよく、例えば、紙をベースとした基板で構成されていてもよい。
さらに、上記各実施形態において、生体情報検出装置1の配置箇所は適宜変更可能である。例えば、生体情報検出装置1は、車両用シート2における臀部下に配置されていてもよい。また、生体情報検出装置1は、車両用シート2の背もたれ部4の内部に配置されていてもよい。例えば、背もたれ部4に生体情報検出装置1を配置する場合には、乗員の腰部と対向する部分、またはその近傍に生体情報検出装置1を配置することができる。このような構成では、乗員が姿勢を変えた際等にも腰部は車両用シート2に当接したままとなり易いため、常に生体圧力が生体情報検出装置1に印加されるようにできる。
また、上記各実施形態において、生体情報検出装置1は、車両用シート2に備えられるのではなく、着座した状態で振動等する健康器具のシート、ジェットコースター等の遊戯器具におけるシート、または策道に備えられたシート等に備えられていてもよい。また、生体情報検出装置1は、移動しないシートに備えられていてもよく、ドライビングシミュレータにおけるシートに備えられていてもよい。さらに、生体情報検出装置1は、人体が着座するシートとしての座布団やクッションに備えられていてもよい。
10 搭載部材
20 基板
20a 一面
20b 他面
30 信号処理回路
40 第1センサ部
41 第1圧電素子
42 弾性部材
50 第2センサ部
51 第2圧電素子

Claims (8)

  1. 生体が接触する接触部材(2)の内部に配置され、前記生体の生体情報を検出する生体情報検出装置であって、
    一面(20a)および前記一面と反対側の他面(20b)を有し、前記他面が搭載部材(10)と対向する状態で前記搭載部材に搭載される基板(20)と、
    前記基板の一面側に配置され、前記生体情報を含む圧力が印加されると、前記圧力の大きさおよび前記圧力の印加方向に応じた第1センサ信号を出力する第1圧電素子(41)を有する第1センサ部(40)と、
    前記基板の一面側に配置され、前記生体情報を含む圧力が印加されると、前記圧力の大きさおよび前記圧力の印加方向に応じた第2センサ信号を出力する第2圧電素子(51)を有する第2センサ部(50)と、
    前記第1センサ信号および前記第2センサ信号が入力され、前記第1センサ信号と前記第2センサ信号との差に基づいた検出信号を出力する信号処理回路(30)と、を備え、
    前記基板における一面のうちの前記第2圧電素子が配置される部分に沿って延びる面を基準面(11)とし、前記第1センサ部の第1圧電素子における前記基板側と反対側の面を第1圧電素子の一面(41a)とし、前記第2センサ部の第2圧電素子における前記基板側と反対側の面を第2圧電素子の一面(51a)とすると、前記基準面と前記第1圧電素子の一面との間隔が前記基準面と前記第2圧電素子の一面との間隔より広くされており、
    前記第1センサ部および前記第2センサ部は、前記接触部材の内部に配置される際、前記第1センサ部が前記接触部材の外形を構成する表皮(2a)と接触しつつ、前記第2センサ部が前記表皮と離間するように配置され、かつ、前記接触部材に前記生体情報を含む圧力が印加されると、当該圧力の印加される方向が前記第1圧電素子と前記第2圧電素子とで反対となるように配置され、
    前記第1圧電素子および前記第2圧電素子は、印加される前記圧力の印加方向が同じである際に前記第1センサ信号および前記第2センサ信号が同じ極性となり、印加される前記圧力の印加方向が反対である際に前記第1センサ信号および第2センサ信号が反対の極性となる状態で配置されている生体情報検出装置。
  2. 前記第1センサ部は、前記基板と前記第1圧電素子との間に配置された弾性部材(42)を有する請求項1に記載の生体情報検出装置。
  3. 前記弾性部材は、発泡体材を含んで構成されている請求項2に記載の生体情報検出装置。
  4. 前記弾性部材は、弾性部(43)と、前記弾性部より弾性率が大きい保持部(44)とを有し、前記弾性部が前記第1圧電素子における前記基板側の他面(41b)の中央を含む部分と当接し、前記保持部が前記第1圧電素子における前記他面の外縁部と当接している請求項2または3に記載の生体情報検出装置。
  5. 前記弾性部材は、前記搭載部材よりも弾性率が小さい部分を有している請求項2ないし4のいずれか1つに記載の生体情報検出装置。
  6. 前記基板は、樹脂フィルムで構成されている請求項1ないし5のいずれか1つに記載の生体情報検出装置。
  7. 前記第1圧電素子および前記第2圧電素子は、有機材料で構成され、面内方向に感度を有している請求項1ないし6のいずれか1つに記載の生体情報検出装置。
  8. 前記接触部材は、前記生体が着座するシートであり、
    前記搭載部材は、前記シート内に備えられるシート母材である請求項1ないしのいずれか1つに記載の生体情報検出装置。
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