次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明において、特に断りがないかぎり図1に示した上下方向を上下、図1における右側を前、左側を後、紙面の手前側を左、紙面の奥側を右として、各方向を示す。
図1に示すように、レーザプリンタ1は、本体筐体2内に、用紙Pを供給する給紙部3と、露光装置4と、用紙P上にトナー像を転写するプロセスカートリッジ5と、用紙P上のトナー像を熱定着する定着装置100とを主に備えている。
給紙部3は、本体筐体2内の下部に設けられ、用紙Pを収容する給紙トレイ31と、用紙Pの前側を持ち上げる用紙押圧板32と、給紙ローラ33と、給紙パッド34と、紙粉取りローラ35,36と、レジストローラ37とを主に備えている。給紙トレイ31内の用紙Pは、用紙押圧板32によって給紙ローラ33に寄せられ、給紙ローラ33と給紙パッド34によって1枚ずつ分離され、紙粉取りローラ35,36およびレジストローラ37を通ってプロセスカートリッジ5に向けて搬送される。
露光装置4は、本体筐体2内の上部に配置され、図示しないレーザ発光部と、回転駆動するポリゴンミラー41と、レンズ42,43と、反射鏡44,45,46とを主に備えている。露光装置4では、レーザ発光部から出射されるレーザ光が、ポリゴンミラー41、レンズ42、反射鏡44,45、レンズ43、反射鏡46の順に反射または通過して、感光体ドラム61の表面で高速走査される。
プロセスカートリッジ5は、露光装置4の下方に配置され、本体筐体2に設けられたフロントカバー21を開いたときにできる開口から本体筐体2に対して着脱可能となっている。プロセスカートリッジ5は、ドラムユニット6と、現像ユニット7とから構成されている。
ドラムユニット6は、感光体ドラム61と、帯電器62と、転写ローラ63とを主に備えている。また、現像ユニット7は、ドラムユニット6に対して着脱可能となっており、現像ローラ71と、供給ローラ72と、層厚規制ブレード73と、トナーを収容するトナー収容部74とを主に備えている。
プロセスカートリッジ5では、感光体ドラム61の表面が、帯電器62により一様に帯電された後、露光装置4からのレーザ光の高速走査によって露光されることで、感光体ドラム61上に静電潜像が形成される。また、トナー収容部74内のトナーは、供給ローラ72を介して現像ローラ71に供給され、現像ローラ71と層厚規制ブレード73の間に進入して一定厚さの薄層として現像ローラ71上に担持される。
現像ローラ71上に担持されたトナーは、現像ローラ71から感光体ドラム61上に形成された静電潜像に供給される。これにより、静電潜像が可視像化され、感光体ドラム61上にトナー像が形成される。その後、感光体ドラム61と転写ローラ63の間を用紙Pが搬送されることで感光体ドラム61上のトナー像が用紙P上に転写される。
定着装置100は、プロセスカートリッジ5の後方に設けられている。用紙P上に転写されたトナー像は、定着装置100を通過することで用紙P上に熱定着される。トナー像が熱定着された用紙Pは、搬送ローラ23,24によって排紙トレイ22上に排出される。
図2に示すように、定着装置100は、エンドレスベルト110と、ハロゲンランプ120と、反射部材130と、ステイ140と、断熱部材150と、ベース部材160と、シート部材170と、加圧ローラ180とを主に備えている。なお、加圧ローラは、エンドレスベルト(エンドレスベルト110とは異なるベルト)を駆動する駆動ローラであってもよい。
なお、本実施形態では、後述するニップ部NPでの用紙Pの移動方向は、前後方向に沿っており、移動方向の上流側が「前側」に対応し、移動方向の下流側が「後側」に対応している。また、加圧ローラ180の軸線方向は、左右方向に沿っており、軸線方向の一方側が「右側」に対応し、軸線方向の他方側が「左側」に対応している。さらに、ベース部材160と加圧ローラ180とでエンドレスベルト110を挟む方向、詳しくは軸線方向と移動方向に直交する直交方向は、上下方向に沿っており、直交方向の一方側(ベース部材160側)が「上側」に対応し、直交方向の他方側(加圧ローラ180側)が「下側」に対応している。そのため、以下の説明で使用する前後・左右・上下の各方向は、前述した移動方向、軸線方向または直交方向に適宜置き換えて表現することができる。
エンドレスベルト110は、耐熱性と可撓性を有する無端状のベルトであり、ステンレス鋼などの金属から形成された素管と、素管の表面に形成されたフッ素樹脂などからなるコート層とを主に有して構成されている。エンドレスベルト110は、その両端部が図示せぬサイドガイドによって回転可能に支持されている。そして、エンドレスベルト110の内側には、ハロゲンランプ120、反射部材130、ステイ140、断熱部材150、ベース部材160およびシート部材170が配置されている。エンドレスベルト110の左右方向の幅は、エンドレスベルト110の内部の各部材(ハロゲンランプ120、反射部材130、ステイ140、断熱部材150、ベース部材160およびシート部材170)の左右方向の幅よりも小さくなっている。
なお、エンドレスベルト110は、金属の表面にゴム層を有していてもよく、ゴム層の表面にフッ素コーティング等による非金属の保護層をさらに有していてもよい。また、エンドレスベルト110は、ポリイミドを主成分とする樹脂ベルトであってもよい。エンドレスベルト110は、この場合、表層にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素樹脂により被覆されている。
ハロゲンランプ120は、エンドレスベルト110を加熱する発熱体であり、エンドレスベルト110の内周面111から所定の間隔を隔てて配置されている。ハロゲンランプ120は、左右方向に長い長尺状に構成されている。
反射部材130は、ハロゲンランプ120からの輻射熱をエンドレスベルト110の内周面111に向けて反射する部材であり、ハロゲンランプ120から所定の間隔を隔てて配置されている。詳しくは、反射部材130は、ハロゲンランプ120の下側に配置され、ハロゲンランプ120からの輻射熱を上方へ反射して、エンドレスベルト110の上部を加熱している。
図2および図3に示すように、反射部材130は、左右方向に長いベース部131と、ベース部131の前後方向の各端部から下方に延びる2つのフランジ部132とを有している。反射部材130は、アルミニウムなどの金属からなり、少なくともベース部131の上面が鏡面加工されていてもよい。
ステイ140は、反射部材130のベース部131の下に配置されており、主に、左右方向に長いベース部141と、ベース部141の前後方向の各端部から上方に延びる2つのフランジ部142とを有している。各フランジ部142の上端は、反射部材130のベース部131の下面に接触している。ステイ140は、反射部材130よりも剛性が大きい、例えば、鋼板などの金属からなっている。
断熱部材150は、液晶ポリマー等の耐熱性のある樹脂からなる。断熱部材150は、ステイ140を下側から覆うように、反射部材130のベース部131の下に配置されている。断熱部材150は、主に、左右方向に長いベース部151(中央壁)と、ベース部151の前後方向の各端部から上方に延びる2つの側壁152とを有している。
ベース部151の下面には、上方に向けて凹む凹形状部153が形成されている。凹形状部153は、ベース部151の下面の前後方向中央部に設けられ、ベース部151の左右方向の一端から他端まで形成されている。
断熱部材150のベース部151は、ステイ140のベース部141の下面に接触している。各側壁152の上端は、反射部材130のベース部131の下面に接触している。
各側壁152の上部は、ステイ140のフランジ部142と反射部材130のフランジ部132との間に挟み込まれている。断熱部材150は、ステイ140よりも熱伝導性の低い材料、例えば樹脂などからなっている。
ベース部材160は、加圧ローラ180との間でエンドレスベルト110を挟むことで、エンドレスベルト110と加圧ローラ180との間にニップ部NPを形成するための部材である。ベース部材160の外周面には、シート部材170が巻き付けられている。
加圧ローラ180は、本体筐体2内に設けられた図示しないモータから駆動力が伝達されることで回転駆動するように構成されており、回転駆動することでエンドレスベルト110との摩擦力によりエンドレスベルト110を従動回転させる。トナー像が転写された用紙Pは、加圧ローラ180と加熱されたエンドレスベルト110との間を搬送されることでトナー像が熱定着されることとなる。
加圧ローラ180は、エンドレスベルト110を介してベース部材160との間で用紙Pを搬送するローラであり、ベース部材160との間でエンドレスベルト110を挟むようにしてベース部材160の下方に配置されている。加圧ローラ180は、金属製のシャフト181と、シャフト181の外周に設けられた弾性を有するローラ本体182とを主に有している。なお、加圧ローラ180およびベース部材160は、一方が他方に対して押圧された状態で配置されている。
ベース部材160は、樹脂などからなり、左右方向に長い略矩形の板状部材として構成されている。ベース部材160の材料としては、例えば液晶ポリマー等の耐熱性のある樹脂が挙げられる。ここで、ベース部材160の長手方向は、左右方向に対応しており、前述した軸線方向および左右方向と適宜置き換えて表現することができる。ベース部材160は、断熱部材150のベース部151とエンドレスベルト110との間に配置されている。
ベース部材160は、シート部材170の後述する接触部位171に接触する第1面F1と、第1面F1とは異なる面である第2面F2、第3面F3、第4面F4、第5面F5および第6面F6とを有している。第1面F1および第2面F2は、上下方向に直交する面であり、第2面F2は、第1面F1よりも上方に配置されている。詳しくは、第2面F2は、第1面F1とは反対側の面である。第2面F2の前後方向における略中央部には、当該第2面F2から下方に向けて凹む、左右方向に沿って長い凹部162が形成されている。
第3面F3は、前後方向に直交する面であり、第1面F1の前端と第2面F2の前端とを繋いでいる。第4面F4は、前後方向に直交する面であり、第1面F1の後端と第2面F2の後端とを繋いでいる。
第5面F5は、左右方向に直交する面であり、第1面F1、第2面F2、凹部162、第3面F3および第4面F4の左側の各端縁を繋いでいる。第6面F6は、左右方向に直交する面であり、第1面F1、第2面F2、凹部162、第3面F3および第4面F4の右側の各端縁を繋いでいる。
凹部162は、左右方向に沿って延びる底面162Aと、底面162Aの前後方向の各端縁から第2面F2に向けて延びる2つの側面162Bとを有している。底面162Aおよび側面162Bは、凹部162の内面である。底面162Aは、上下方向に直交する面であり、ベース部材160の左右方向の一端から他端まで形成されている。
底面162Aには、複数の突起部163が設けられている。複数の突起部163は、底面162Aから突出する円柱状の突起であり、ベース部材160に一体に形成されている。各突起部163は、左右方向に沿って互いに間隔を空けて並んでいる。なお、各突起部163の先端部は、熱カシメを行うための熱カシメピン300(図4参照)によって熱カシメされることで、径方向外側に広がるように塑性変形された延出部210(図5参照)となっている。また、この際、各突起部163の根元側の円柱状の部分(延出部210よりも下の部分)が、後述するシート部材170に形成される第1孔172Bの縁と第2孔173Bの縁に係合する共通係合部163A(図5参照)となる。つまり、突起部163のうち、先端側の所定範囲の部分が延出部210を形成するための部分となり、基端側の所定範囲の部分が共通係合部163Aとなっている。ここで、孔172B,173Bの縁とは、シート部材170の孔172B,173Bを規定する内縁のことを指す。
延出部210は、共通係合部163Aに一体に形成され、共通係合部163Aから底面162Aに沿って延びている。なお、延出部210は、各突出部164の先端よりも下に位置している。
各側面162Bは、底面162Aおよび第2面F2に対して傾斜する面であり、ベース部材160の左右方向の一端から他端まで形成されている。詳しくは、前側の側面162Bは、底面162Aの前側の端縁から前方および上方に向けて斜めに延び、後側の側面162Bは、底面162Aの後側の端縁から後方および上方に向けて斜めに延びている。これにより、側面162Bと第2面F2とによって形成される角部の角度α(図4参照)は、鈍角となっている。なお、この角部の先端は、少し丸まっていてもよい。
第2面F2のうち凹部162よりも前側に位置する前側部分F21には、第2面F2から突出する矩形の突出部164が複数設けられている。複数の突出部164は、それぞれ左右方向に長い突起であり、左右方向に沿って互いに間隔を空けて並んでいる。
また、第2面F2のうち凹部162よりも後側に位置する後側部分F22にも、第2面F2から突出する矩形の突出部164が複数設けられている。これらの突出部164も、それぞれ左右方向に長い突起であり、左右方向に沿って互いに間隔を空けて並んでいる。そして、第2面F2の前側部分F21および後側部分F22に設けられた複数の突出部164の上端は、断熱部材150のベース部151に接触している。
シート部材170は、潤滑剤が含浸された織物であり、ベース部材160に巻き付けられている。シート部材170の厚みは、例えば0.05~0.55mmとすることができる。なお、シート部材170は、織物でなく、ポリイミド等の樹脂を押し出し成型したシートであってもよい。
なお、シート部材170は、エンドレスベルト110に対する動摩擦力が、エンドレスベルト110に対するベース部材160の動摩擦力よりも小さくなるように構成されていればよく、シート部材170の材料や潤滑剤の有無・種類などは適宜選択することができる。
シート部材170は、矩形のシート状の部材であり、エンドレスベルト110の内周面111に接触する接触部位171と、当該接触部位171の前後方向の一端(後端)から延びる第1部位172と、接触部位171の前後方向の他端(前端)から延びる第2部位173とを有している。なお、図3においては、便宜上、接触部位171と第1部位172または第2部位173との境界を、2点鎖線で示している。
第1部位172には、第2面F2の後側部分F22に設けられた複数の突出部164に対応する複数の第1逃げ孔172Aと、複数の共通係合部163Aに対応する複数の第1孔172Bとが形成されている。各第1逃げ孔172Aは、各突出部164が遊嵌可能な矩形の孔であり、各第1孔172Bと接触部位171との間に配置されている。各第1孔172Bは、複数の共通係合部163Aに係合可能な円形の孔であり、各第1逃げ孔172Aよりも第1部位172の先端(接触部位171とは反対側の端縁)の近くに配置されている。
第2部位173には、第2面F2の前側部分F21に設けられた複数の突出部164に対応する複数の第2逃げ孔173Aと、複数の共通係合部163Aに対応する複数の第2孔173Bとが形成されている。各第2逃げ孔173Aは、各突出部164が遊嵌可能な矩形の孔であり、各第2孔173Bと接触部位171との間に配置されている。各第2孔173Bは、複数の共通係合部163Aに係合可能な円形の孔であり、各第2逃げ孔173Aよりも第2部位173の先端(接触部位171とは反対側の端縁)の近くに配置されている。
図5に示すように、シート部材170の前後方向の両端部(第1部位172および第2部位173の各先端部)は、ベース部材160の凹部162内に入り込んだ状態で、固定部400によってベース部材160に固定されている。言い換えると、シート部材170がベース部材160に固定された状態において、シート部材170のうち、各第1孔172Bの周囲の部分と各第2孔173Bの周囲の部分とが、凹部162内に入り込んでいる。
詳しくは、シート部材170がベース部材160に固定された状態において、シート部材170の接触部位171は、第1面F1に接触し、第1部位172は、第4面F4、第2面F2の後側部分F22、凹部162の底面162Aに接触している。また、シート部材170がベース部材160に固定された状態において、シート部材170の第2部位173は、第3面F3、第2面F2の前側部分F21および第1部位172に接触している。
固定部400は、前述した共通係合部163Aと、シート部材170の各孔172B,173Bの周囲の部分を凹部162内に押し込んだ状態で保持する保持部200とを備えている。保持部200は、各孔172B,173Bの周囲の部分を凹部162の底面162Aとの間で保持している。保持部200は、前述した延出部210と、押さえ部材の一例としての板金220とを有している。図3に示すように、板金220は、左右方向に沿って長い板状の金属部材であり、複数の突起部163を挿入可能な複数の孔221を有している。これにより、板金220を各突起部163(共通係合部163A)に取り付けることが可能となっている。
図5に示すように、板金220は、底面162Aに沿った方向、詳しくは前後方向において、熱カシメピン300の成型面310よりも大きな幅で形成されている。ここで、成型面310は、延出部210を形成するための湾曲した面であり、板金220の前側の端縁は、成型面310よりも前に位置し、板金220の後側の端縁は、成型面310よりも後に位置している。
板金220は、凹部162内において重なるように配置されたシート部材170の両端部(各孔172B,173Bの周囲の部分)とともに、延出部210と底面162Aとの間で挟持されている。そして、この状態において、板金220は、延出部210とシート部材170に接触している。このように延出部210と底面162Aとの間で板金220およびシート部材170の両端部を挟持することで、シート部材170の両端部がベース部材160に固定される。
このようにシート部材170がベース部材160に固定された状態において、第1孔172Bの縁と第2孔173Bの縁は、ともに共通係合部163Aに係合しており、シート部材170が張った状態となっている。ここで、各孔172B,173Bの縁とは、シート部材170のうち各孔172B,173Bを形成している環状の部分をいう。
詳しくは、図4に示すように、各孔172B,173Bに突起部163が挿入された状態であっても、シート部材170の前後方向の両端部(各孔172B,173Bの周囲の部分)が凹部162の外に配置されている場合には、各孔172B,173Bの縁は、共通係合部163Aに係合していない。この状態からシート部材170の前後方向の両端部を凹部162内に押し込むと、図5に示すように、各孔172B,173Bの縁が共通係合部163Aに係合して、シート部材170にテンションがかかるようになっている。
詳しくは、シート部材170の両端部を凹部162内に押し込むと、シート部材170が凹部162の開口縁162Cを起点として折れ曲がることにより、第1孔172Bが図示左側に移動するとともに第2孔173Bが図示右側に徐々に移動するので、前述した作用効果が生じる。
ここで、各孔172B,173Bの縁は、シート部材170がベース部材160に固定された最終の状態において、共通係合部163Aに係合していればよく、各孔172B,173Bの縁と共通係合部163Aとが係合するタイミングは、シート部材170にかけるテンションの大きさに応じて適宜設定すればよい。つまり、各孔172B,173Bの縁と共通係合部163Aとが係合するタイミングを早くすればするほど、シート部材170にかかるテンションが大きくなるので、所望のテンションがかかるように各孔172B,173Bの縁の係合タイミング、つまり各孔172B,173Bの位置や大きさを決定すればよい。
例えば、シート部材170の両端部が凹部162の外に配置されている状態において各孔172B,173Bの縁が既に共通係合部163Aに係合するような位置に各孔172B,173Bを形成してもよい。また、例えば、シート部材170の両端部を凹部162内に押し込んでいく途中で各孔172B,173Bの縁が共通係合部163Aに係合するような位置に各孔172B,173Bを形成してもよい。
また、シート部材170がベース部材160に固定された状態においては、第1逃げ孔172Aの接触部位171側の縁と突出部164との間に隙間が形成されるとともに、第2逃げ孔173Aの接触部位171側の縁と突出部164との間に隙間が形成されている。なお、シート部材170の両端部の各孔172B,173Bの縁と共通係合部163Aとの係合によって生じるシート部材170の張りを阻害しなければ、各逃げ孔172A,173Aの縁と各突出部164とが接触していてもよい。
次に、定着装置100の製造方法について説明する。
図4に示すように、ベース部材160にシート部材170を巻き付けていく際において、シート部材170の各第1逃げ孔172Aおよび各第2逃げ孔173Aを各突出部164に取り付けるとともに、各第1孔172Bおよび各第2孔173Bを各共通係合部163Aに取り付ける(第1工程)。なお、図4においては、便宜上、シート部材170の両端部(各孔172B,173Bの周囲の部分)が凹部162外に配置された状態を示しているが、実際には、シート部材170の両端部は重力によって少し下に下がって凹部162内に入り込んでおり、この位置において各孔172B,173Bの縁が各共通係合部163Aに係合している。
第1工程の後、板金220の各孔221に各突起部163を挿入させるとともに、板金220をシート部材170の重ねられた両端部の上に配置することで、板金220を各共通係合部163Aに装着する(第3工程)。第3工程の後、複数の熱カシメピン300を各突起部163の先端部に押し付けることで、当該先端部を塑性変形させていく。このように各突起部163の先端部を塑性変形させていくことで、図5に示すように、各突起部163の先端部に延出部210が徐々に形成されていき、当該延出部210や各熱カシメピン300によって、板金220およびシート部材170の両端部を凹部162の底面162Aに向けて押し込む(第2工程)。
このようにシート部材170の両端部を凹部162内に押し込んでいくと、シート部材170に徐々にテンションがかかっていくので、延出部210と底面162Aとの間で板金220およびシート部材170の両端部を挟み込んだ状態においては、シート部材170が張った状態で保持部200に保持される。そのため、シート部材170の弛みを抑えつつ、位置ずれを抑えることができる。
なお、ベース部材160にシート部材170を固定した後は、図2に示す各部材を組み付けていくことで、定着装置100が製造される。
以上、本実施形態によれば、前述した効果に加え、以下のような効果を得ることができる。
突起部163の先端部を塑性変形させることで保持部200として機能する延出部210を共通係合部163Aに一体に形成するので、例えば突起部の先端に形成した雄ネジ部に捩じ込まれるワッシャを保持部とする構造(つまり、延出部の部分を共通係合部とは別部品とする構造)と比べ、部品点数を少なくすることができる。
保持部200と凹部162の底面162Aとの間でシート部材170の各孔172B,173Bの周囲の部分が挟持されるので、シート部材170の位置ずれをより抑えることができる。
凹部162の側面162Bが第2面F2に対して傾斜しているので、例えば凹部の側面が第2面に対して垂直な構造と比べ、凹部162の開口縁162Cを含む角部を鈍角とすることができ、凹部162の開口縁162Cからシート部材170に負荷がかかるのを抑えることができる。
シート部材170の両端部を凹部162内に入れて保持部200でまとめて保持するので、例えばシート部材の一端部と他端部をそれぞれ別の個所で保持する構造に比べ、シート部材170をベース部材160に固定する作業を容易に行うことができる。
共通係合部163Aを凹部162の底面162Aから突出するようにベース部材160に一体に形成したので、例えば共通係合部をベース部材とは別部材とする構造(例えば、図8に示す構造)と比べ、シート部材170の各孔172B,173Bを共通係合部163Aに係合させる作業を容易に行うことができる。
左右方向に沿って設けられた複数の共通係合部163Aに対応するように、第1孔172Bおよび第2孔173Bを複数設けたので、シート部材170の左右方向の各部位を、ベース部材160に良好に固定することができる。
左右方向に長い板金220によってシート部材170の長手方向の一端側から他端側までをまとめて押さえつけることができるので、シート部材170の略全体に対してテンションをかけることができる。
熱カシメによって突起部163の先端部を塑性変形させるので、例えば機械的なカシメによって突起部の先端部を塑性変形させる方法に比べ、延出部210を容易に形成することができる。
板金220の左右方向の幅を熱カシメピン300の成型面310の左右方向の幅よりも大きくしたので、熱カシメピン300がシート部材170に接触するのを板金220によって良好に抑えることができる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。以下の説明においては、前記実施形態と略同様の構造となる部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。
前記実施形態では、保持部200を延出部210と板金220とで構成したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、前記実施形態から板金220を取り除き、延出部210のみを保持部として機能させてもよい。
また、例えば、図6(a),(b)に示すように、保持部を、板金状の一枚の保持部材500のみで構成してもよい。詳しくは、保持部材500は、左右方向に延びるとともに上下方向に直交する板状部510と、複数のバネ状部520とを有している。バネ状部520は、板状部510の適所をプレス加工の切り起こしなどによって形成される一対のバネ片521,522を有している。複数のバネ状部520は、複数の突起部163に対応するように、左右方向に沿って互いに間隔を空けて配置されている。
なお、この構造では、各突起部163の先端部は、前記実施形態のように熱カシメされず、ベース部材160にシート部材170を固定する前と後において、各突起部163が同一の形状となっている。そして、各突起部163の先端は、各突出部164の先端と上下方向で同じ位置もしくは各突出部164の先端よりも下に配置されている。なお、各突起部163の先端を各突出部164の先端と上下方向で同じ位置とした場合には、各突起部163の先端を断熱部材150の下面に接触させることができるので、この場合、各突起部163と各突出部164とを断熱部材150で支持することができる。
この構造では、各バネ状部520を各突起部163に係合させ、各バネ状部520を変形させながら、板状部510を凹部162の底面162Aに向けて押し込んでいくことで、板状部510と底面162Aとの間でシート部材170の両端部を挟持することができる。また、板状部510が底面162Aとの間でシート部材170の両端部を挟持する位置において、各バネ状部520の弾性力によって保持部材500が各突起部163に固定される。そのため、この構造でも、前記実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、図7に示すように、図6の形態における各突起部163の先端部にバネ状部520に係合するフランジ部163Bを設け、フランジ部163Bと保持部材500とで保持部を構成してもよい。図7の形態において、フランジ部163Bは、突起部163の先端部から径方向外側に突出するように形成されている。なお、フランジ部163Bは、ベース部材160にシート部材170を固定する前において、機械的なカシメや熱カシメによって形成することができる。また、フランジ部163Bの外周面は、上に向かうにつれて先細となるテーパ面となっている。
この構造では、各フランジ部163Bのテーパ面に各バネ状部520を係合させた状態において、板状部510を凹部162の底面162Aに向けて押し込むと、各バネ状部520がテーパ面によって弾性力に抗して押し広げられていく。その後、各バネ状部520が各フランジ部163Bから外れると、弾性力によって各バネ状部520が元の姿勢に向けて復帰して、各バネ状部520が各フランジ部163Bの下に潜り込む。これにより、保持部材500の上方への移動が各フランジ部163Bで規制されるので、各フランジ部163Bおよび保持部材500によってシート部材170の両端部を良好に保持することができる。
前記実施形態では、各共通係合部163Aをベース部材160に一体に形成したが、本発明はこれに限定されず、例えば図8(a),(b)に示すように、リベット600の棒状部610を、共通係合部として、ベース部材160とは別体に構成してもよい。具体的に、この形態では、リベット600は、円柱状の棒状部610と、棒状部610の上端部から径方向外側に突出するフランジ部620とを有している。凹部162の底面162Aには、棒状部610が嵌合する嵌合穴165が形成されている。
嵌合穴165は、前記実施形態における複数の突起部163と略同じ位置に複数設けられている。また、リベット600は、複数の嵌合穴165に対応するように複数設けられている。
この形態では、各リベット600の棒状部610をシート部材170の各孔172B,173Bに差し込みつつ、各嵌合穴165に嵌め込んでいくことで、各孔172B,173Bの縁を棒状部610に係合させることができるとともに、フランジ部620と底面162Aとの間でシート部材170の両端部を挟持することができる。そのため、この形態でも前記実施形態と同様の効果を得ることができる。
前記実施形態では、第1孔172Bの縁と第2孔173Bの縁を1つの共通係合部163Aに係合させたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば図9に示すように、ベース部材160に、第1孔172Bの縁と係合する第1係合部710と、第2孔173Bの縁と係合する、第1係合部710とは別の第2係合部720とを設けてもよい。
詳しくは、第1係合部710は、前記実施形態における共通係合部163Aと略同様の構造・配置となっている。つまり、第1係合部710は、凹部162の底面162Aに設けられ、第1係合部710の先端部には、熱カシメによって形成される延出部210が設けられている。
第2係合部720は、前記実施形態における突出部164と略同様の構造・配置となっている。つまり、第2係合部720は、矩形の突起であり、第2面F2の前側部分F21に設けられている。
そして、第2孔173Bは、矩形の第2係合部720に係合可能な矩形の孔となっている。この形態でも、第1係合部710の先端部を熱カシメしていく過程において、シート部材170の第1部位172が凹部162の底面162Aに向けて押し込まれることで、各孔172B,173Bの縁が各係合部710,720に係合するので、シート部材170にテンションをかけることができる。そのため、この形態でも前記実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、図9の形態においては、第2孔173Bの縁が第2係合部720に係合することで第2部位173がベース部材160に固定されている。ここで、第2部位173のベース部材160への固定方法は、図9の形態に限定されず、様々な方法を用いることができる。例えば、第2部位をネジによってベース部材に固定してもよい。
前記実施形態では、押さえ部材として板金220を例示したが、本発明はこれに限定されず、押さえ部材は、例えば樹脂製の板状部材であってもよいし、金属製または樹脂製の柱状の部材であってもよい。
前記実施形態では、ベース部材160を樹脂製としたが、本発明はこれに限定されず、例えばベース部材を金属などの樹脂以外の材料で形成してもよい。
前記実施形態では、凹部162が形成される第2面F2を、ベース部材160のうち第1面F1とは反対側の面としたが、本発明はこれに限定されず、凹部が形成される第2面は、第1面と異なる面であればよく、例えば第1面と隣接した面であってもよい。
前記実施形態では、保持部200と底面162Aとの間でシート部材170を挟持したが、本発明はこれに限定されず、シート部材は保持部と底面との間に配置されていればよく、例えば保持部と底面との間でシート部材が多少動けるように保持部または底面とシート部材との間に隙間が空いていてもよい。
前記実施形態では、すべての突起部163の先端部を熱カシメすることとしたが、本発明はこれに限定されず、例えば左右方向の中央に位置する1つの突起部163のみを熱カシメしてもよいし、左右方向の両端側に位置する2つの突起部163の先端部のみを熱カシメしてもよい。なお、ベース部材160は金属であってもよい。また、ベース部材160の突出部164は、断熱部材150を介さず、直接ステイ140に支持されていてもよい。
前記実施形態では、延出部210を共通係合部163Aの径よりも大径となるような平面視円状に形成したが、本発明はこれに限定されず、延出部は、例えば、共通係合部の外周面の一部から突出する突起であってもよい。
前記実施形態では、熱源としてハロゲンランプ120を例示したが、本発明はこれに限定されず、熱源は、例えばカーボンヒータなどであってもよい。また、熱源は、誘導加熱方式のIHコイルであってもよい。
前記実施形態では、記録媒体として、厚紙、はがき、薄紙などの用紙Pを例示したが、本発明はこれに限定されず、記録媒体は、例えばOHPシートであってもよい。
前記実施形態では、ベース部材に対して圧接されるバックアップ部材として加圧ローラ180を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、ベルト状の加圧部材などであってもよい。また、ベース部材は、ハロゲンランプを内部に収容する加熱ローラと接触する加圧ベルト(エンドレスベルト)の内部に配置されていてもよい。
なお、前記実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。