JP7088750B2 - ジェル状組成物 - Google Patents
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Description
しかしながら、カルボキシビニルポリマーにより形成されたゲル状組成物は、光(紫外線)や経時変化により組成物の粘度が低下するという問題が知られている。このため、カルボキシビニルポリマーにより形成されたゲル状組成物の粘度低下を抑制するための技術が多数提案されており、その代表的な技術として、無機酸や有機酸類を添加して粘度低下を抑制する方法や、他のゲル化剤を併用する方法などが提案されている。
特許文献2には、カルボキシビニルポリマーとキサンタンガムおよびカラギーナンからなる群から選ばれるガム質と、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロースから選ばれるセルロース系高分子を含む増粘組成物が記載されている。この組成物は、紫外線や配合成分の影響を受けにくく、安定性の低下を引き起こさないことが記載されている。
特許文献4には、(a)植物抽出物の1種または2種以上、(b)カルボキシビニルポリマー、(c)有機酸あるいは無機酸の水溶性アルカリ金属塩の1種または2種以上を含有し、且つ500~3000cpsの粘度を有する皮膚化粧料組成物が記載されている。そして有機酸あるいは無機酸の水溶性アルカリ金属塩として、クエン酸3ナトリウム、リン酸1ナトリウム、リン酸2ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸2カリウム、コハク酸ナトリウムが例示されている。この組成物は、高温保存による粘度低下が抑制されると記載されている。
本願発明者は、カルボキシビニルポリマーを含有するジェル状組成物にクエン酸及び/又はその塩と、イソマルトを含有させると、光照射による組成物の粘度低下が顕著に抑制されるという現象を見出した。
本発明は、この知見に基づきなされたものである。
すなわち本発明は、カルボキシビニルポリマーと、クエン酸及び/又はその塩と、イソマルトを組み合わせて得られる、粘度安定性に優れたジェル状組成物、ジェル状化粧料の提供を課題とする。さらにジェル状化粧料の新たな安定化技術を提供することを課題とする。
(1)次の(A)~(C)を含有するジェル状組成物。
(A)カルボキシビニルポリマー
(B)クエン酸及び/又はその塩
(C)イソマルト
(2)(B)クエン酸及び/又はその塩の含有量が、ジェル状組成物あたりクエン酸として0.001~0.03質量%である(1)に記載のジェル状組成物。
(3)化粧料用である(1)または(2)に記載のジェル状組成物。
なお、本願明細書においては、「ジェル」及び「ゲル」の用語が混在するがいずれも同義である。本発明のジェル状組成物は光を照射しても粘度が低下しにくいことが特徴である。したがって粘度の高い液体(ゼリー状液体)だけでなく、流動性のある中粘度であっても光照射前後での粘度維持率が55%を超えていれば本発明に含まれる。本発明のジェル状組成物は、光照射前の粘度が5000mPa・s以上であって、光照射後の粘度維持率が55%を超えるものである。より好ましくは、B型粘度計(25℃、4号ローターまたは3号ローター、12回転、30秒)で測定したときの粘度が10000~100000mPa・sであって、光照射後の粘度維持率が55%を超えるものである。
カルボキシビニルポリマーは、カルボキシル基を有する水溶性ポリマーであり、主にアクリル酸の重合体である。
カルボキシビニルポリマーは、白色の酸性粉末であり、その1%水溶液のpHは約3である。カルボキシビニルポリマーは、塩基性化合物を用いて中和することにより、粘性の異なる様々な粘液(ジェル)を調製することができる。中和に用いる塩基性化合物としては、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリエチルアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルギニンなどを例示することができる。塩基性化合物の配合量は特に限定されず、ジェル状組成物や化粧料の粘度が好適な範囲内となるように適宜調整すればよい。
本発明で用いるカルボキシビニルポリマーは、増粘剤として汎用されている市販品を使用すれば良く、例えばNTC-CARBOMER380/381(日光ケミカルズ)、ハイビスワコー103/104/105(富士フイルム和光純薬)やカーボポール980/981(日本ルーブリゾール)などを例示できる。
カルボキシビニルポリマーの配合量は、組成物あたり、0.05~1質量%、より好ましくは0.1~0.7質量%とすることが好ましい。0.05質量%に満たないと、十分な粘度が得られない恐れがある。1質量%を超えて配合するとぬるつくなど使用感が悪くなる恐れがある。
本発明のジェル状組成物にはクエン酸及び/又はクエン酸の塩を必須成分として含有する。クエン酸の塩は、ナトリウム塩又はカリウム塩が好ましい。本発明のジェル状組成物において、組成物あたりクエン酸またはクエン酸の塩は、クエン酸として0.001~0.03質量%含有することが好ましい。含有量が0.001質量%に満たないとジェル状組成物の粘度低下を防止する効果が低くなる恐れがある。また、0.03質量%を超えるとべたつきが生じる恐れがある。
クエン酸及び/又はその塩は(C)成分のイソマルトと共存することでカルボキシビニルポリマーによって形成されるジェル状組成物の安定性を維持し、粘度低下を防止する。
イソマルトは、2つの二糖の等モル混合物であり、具体的にはスクロースの酵素転移反応により得られるイソマルツロースを還元することで得られ、α-D-グルコピラノシル-1,6-ソルビトールとα-D-グルコピラノシル-1,1-マンニトールの混合物である。一般には食品甘味料として利用されている。本発明においては、市販されている三井製糖社製の還元パラチノースを、本発明のイソマルトとして用いることができる。
本発明のジェル状組成物において、イソマルトは、組成物あたり0.5~10質量%、より好ましくは1~5質量%含有すると好ましい。イソマルトは、(B)成分のクエン酸及び/又はその塩と共存することでカルボキシビニルポリマーによって形成されるジェル状組成物の安定性を維持し、粘度低下を防止する。
本発明のジェル状組成物は光を照射しても粘度が低下しにくいことが特徴である。本発明のジェル状組成物は、光照射前の粘度が5000mPa・s以上であって、光照射後の粘度維持率が55%を超えるものである。
<予備試験例>
0.3%カルボキシビニルポリマー水溶液を水酸化カリウムで中和してpH5.7に調整し、ゲルを形成させた。次にQ-Lab Corporation製Q-SUN Xe-1 Xenon Test Chamberを用いて放射照度40W/m2(照度測定波長域300~400nm)、ブラックパネル温度40℃の条件で光照射を行った。光照射時間0h、4h、8h、24hの試料をサンプリングして試料温度を25℃に調整した後、B型粘度計(25℃、3号ローター、12回転、30秒、レンジ5)を用いて粘度を測定した。測定結果を図1に示す。
実施例、比較例のジェル状組成物を調製し、本発明のジェル状組成物の光照射によるゲルの粘度低下抑制効果を評価した。
1.試験方法
(1)ジェル状組成物の調製
表1(実施例)、表2(比較例)のジェル状組成物を調製した。
各成分を秤量して総重量で200gとした後、卓上ホモミキサーで5000rpm、3分間の撹拌を行った。その後、脱泡したジェル状化粧料をガラス瓶に100g充填した。これを以下に示す試験の試料とした。
Q-Lab Corporation製Q-SUN Xe-1 Xenon Test Chamberを用いて放射照度40W/m2(照度測定波長域300~400nm)、ブラックパネル温度40℃、照射時間24hの条件で光照射試験を行った。
光照射試験前後の粘度を試料温度25℃にてB型粘度計(3号ローター、12回転、30秒、レンジ5)で測定した。粘度測定は各試料2回ずつ行い平均値を評価に用いた。
粘度維持率(%)={(光照射後の粘度)/(光照射前の粘度)}×100として粘度低下(減粘)の抑制効果を評価した。なお、表には計算値をそのまま載せたが、粘度維持率(%)を評価するときは、小数点以下は切り捨てた数値を下記基準により評価した。
粘度低下抑制効果(減粘抑制効果)の評価として、粘度維持率を評価する基準は下記の通りである。
◎:81%以上
○:71~80%
△:55~70%
×:55%未満
光照射前後の試料を、ブラインドでそれぞれ手の甲に0.05gずつ取って塗り広げ、専門の官能評価員1名が、試料の粘度の差異を識別できるかどうかを評価した。この官能評価試験により、試料の粘度の違いがはっきりと識別できたものは、粘度の低下抑制効果(減粘抑制効果)が得られていないと判断した。
○:粘度の差異が全くわからない
△:粘度に違いがあることがややわかる
×:粘度の違いがはっきりとわかる
なお、この官能評価試験において△評価となった試料はなかったが、類似処方において粘度維持率が△:(55~70%)のジェル状組成物は、官能評価試験では△評価(粘度に違いがあることがややわかる)であった。
結果を表1、表2の下段に示した。
一方、比較例1~15の組成のジェル状組成物は、光照射による粘度低下が著しく、光照射後の粘度維持率は55%を下回り、粘度低下抑制効果(減粘抑制効果)は×と評価した。官能評価試験においても本発明の構成をとらない比較例1~15のジェル状組成物は、いずれも光照射による粘度低下が官能試験によりはっきりとわかるレベルで識別された。
比較例3~9に示したように、クエン酸単独(比較例3、4)ではその他の有機酸(比較例5~9)と比較して減粘抑制効果が高いわけではない。また、比較例10に示したようにイソマルト単独でも減粘抑制効果は低かった。また、比較例11~15に示したようにフィチン酸、乳酸、グルコン酸ナトリウム、アデノシン三リン酸とイソマルトを組み合わせた場合にも減粘抑制効果は低かった。これらの結果からクエン酸及び/又はクエン酸塩と、イソマルトを組み合わせた場合にのみ特異的に顕著な減粘抑制効果を示すことを見出した。
以上、実施例、比較例の評価結果から本発明のジェル状組成物は、光照射による粘度低下を抑制できることが確認できた。特に使用感は、カルボキシビニルポリマーによる肌に塗布したときのみずみずしいさっぱりした使用感を与えるものであり、化粧料に最適であることがわかった。
Claims (2)
- 次の(A)~(C)を含有するジェル状組成物。
(A)カルボキシビニルポリマー0.1~0.7質量%
(B)クエン酸及び/又はその塩0.001~0.03質量%
(C)イソマルト0.5~10質量% - 化粧料用である請求項1に記載のジェル状組成物。
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