JP7088713B2 - 細胞培養容器 - Google Patents
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上述のクリノスタットには装置の特性上、一般的に、特許文献2の図1に示すような培養容器が用いられている。この培養容器は、培養フラスコに密閉キャップを備えることで傾けても培養液がこぼれない構造となっている。
このような培養容器を用いて培養する場合、培養容器内にエアが残留していると、培養容器の回転や傾きによって容器内で培養液の対流が起こり、それが起因として細胞にストレスを与えてしまう。
したがって、培養容器内の培養液は、液密にすることが好ましい。
一方で、液密にするためにエアが残留しないように細心の注意を払って培養液を入れたとしても、キャップを閉める際に培養液が溢れ出す恐れがある。その場合、コンタミネーション(カビや細菌の繁殖など)の原因になる恐れもある。
したがって、エアを残留させずに培養液を液密になるように充填する作業は熟練を要している。
そこで本出願人は、特許文献3に示すような容器の封止構造を発明した。この発明の培養容器によれば、培養容器内にエアを残留させずに培養液を充填する作業を誰でも容易に行うことができる。したがって、クリノスタットを用いた培養においても残留エアによる培養液の対流を無くし、細胞へのストレスを抑制することができる。
そのため、クリノスタットを用いた培養において、上述の気泡による培養液の対流による細胞へのストレスを完全には抑制することができない。
この構成によると、培養エリア内に気泡が発生したとしても、その気泡を隔離エリアに誘導させながら移動させるとともに、隔離エリアに移動した気泡を隔離エリア内に留まらせておくことができる。
また、培養液を入れる際に残留したエアによる気泡も同様に隔離エリアに誘導させながら移動させるとともに、隔離エリアに移動した気泡を隔離エリア内に留まらせておくことができる。
よって、培養液の充填が簡単に行え、気泡を隔離エリアに移動させるとともに留まらせておくことができるため、培養エリア内には気泡による対流を抑制することができ、結果、細胞へのストレスを緩和することができる。
図1に示すように、細胞培養容器100は、模擬的に微小重力環境を生成することができるクリノスタット(図示せず)などに搭載される。その場合、クリノスタットによって回転するようになっている。また、クリノスタットに搭載する際は、容器内面に細胞を接着させての培養や培養液内に細胞を浮遊させながらの培養が可能である。
また、以下では、残留エアによって発生するもの、培養中の細胞の代謝物や培養液の温度変化によって発生するもの、および、培養液の蒸発などの起因によって発生するもの、を総じて「気泡」として呼んでいる。
図2及び図3に示すように、細胞培養容器100の基本構成は、充填口1、培養エリア2、隔離エリア3、および誘導留め機構4などを備えている。
また、この隔離エリア3には、充填口1と同等の培養液を入れるための充填口6が設けられており、上端部は蓋11が螺合可能となっている。
この構成によって、詳細は後述するが、クリノスタットに搭載中されている際、細胞培養容器100は回転することとなるが、その容器内にの気泡を誘導壁5aで隔離エリア3の方に誘導し、例え、回転したとしても隔離エリア3に隔離された気泡を留め壁5bによって、培養エリア2に戻らないように留めておくことが可能となっている。
図4は、図2の細胞培養容器における培養エリア内の気泡が隔離エリアに移動する様を示した図である。(a)は重力方向に対して、反対方向側に隔離エリアが位置した状態、(b)は重力方向に対して、同じ方向側に隔離エリアが位置した状態を夫々示している。
図4(a)に示すように、クリノスタットにおける細胞培養中に発生した気泡Kは、浮力の影響により常に重力と反対の方向に移動する。よって、気泡Kは細胞培養容器100が回転するにつれて、円弧状の誘導壁5aにならって徐々に隔離エリア3に移動(侵入)していく。その際、隔離エリア3からは、侵入した気泡Kと同量の培養液が培養エリア2に流れ込むことで、培養エリア2は常に液密の状態が保たれることとなる。一方、図4(b)に示すように、図4(a)の状態からクリノスタットの回転により細胞培養容器100が180度回転した場合、気泡Kは浮力の影響により重力と反対の方向に移動するが誘導壁5aおよび留め壁5bによって、培養エリア2に戻らないように隔離エリア3に留められている。
図5に示すように、図5(a)~図5(h)の回転による細胞培養容器100がどの状態においても、隔離エリア3内の気泡Kは、間切り壁5と隔離エリア3の内壁とによって隔離エリア3内に留まり、培養エリア2には移動しない構造となっているのがわかる。なお、図5(a)~図5(h)は45度毎の動きを示した図であるが、それ以外の角度においても同様のことがいえる。
なお、一対の留め壁5bの長さm及び間隔nは、気泡Kの量及び大きさなどに応じて適宜決めることができ、長くするほど、または、狭めるほど気泡Kを隔離エリア3内に留めることができる。
図6は、本発明の変形例1における細胞培養容器の構成を模式的に示した断面図である。充填口1、培養エリア2、および隔離エリア3等、基本的構造は、本発明の一実施形態と同じであるため、符号の説明は省略する。
また、投入時においては、細胞が隔離エリア3内に移動しにくくなり、その結果、培養エリア内に留めることができる。
図7は、本発明の変形例2における細胞培養容器の構成を模式的に示した断面図である。なお、変形例1と同様に、基本的構造は、本発明の一実施形態と同じであるため、符号の説明は省略する。また、本発明の一実施形態との相違点は、留め壁の構成である。以下、詳細に説明する。
図8は、本発明の変形例3における細胞培養容器の構成を模式的に示した断面図である。なお、変形例1と同様に、基本的構造は、本発明の一実施形態と同じであるため、符号の説明は省略する。また、本発明の一実施形態と変形例2との相違点は、隔離エリア3内の気泡をより留めさせる構造である。以下、詳細に説明する。
同様に、本発明の変形例3における細胞培養容器500によれば、一対の返し部5fによって、隔離エリア3内に留められている気泡を、より隔離エリア3内に留めておくことができる。
また、充填口及び蓋の代わりに、本出願人の発明の特許文献3に開示する封止構造を採用しても良い。
また、充填口及び蓋の代わりに、第2の培養エリア2bと隔離エリア3との夫々の側面に樹脂製のゴム栓、シリコン栓などのインジェクション(アクセス)ポートを埋め込ませて、そこにシリンジ針を直接差し込み、外部からポンプを作動させて培養液を注入、若しくは、気泡を吸引しても良い。
また、培養エリア2は、略断面円形状の第1の培養エリア2aと、略矩形状の第2の培養エリア2bとからなっているが、第2の培養エリア2bとそれに付随する充填口1及び蓋10を構成から外した、第1の培養エリア2aのみの構成であっても良い。
また、培養エリア2の第1の培養エリア2aと第2の培養エリア2bの外観形状は、これに限るものではない。
さらに、誘導留め機構4は、漏斗形状の間切り壁5で説明したが、培養エリア2から隔離エリア3に気泡が隔離されれば良く、これに限定するものではない。
2 培養エリア
3 隔離エリア
4 誘導留め機構
5 間切り壁
5a 誘導壁
5b、5d 留め壁
5c 傾斜部
5e、5f 返し部
J 中心線
K 気泡
100、200、300、400、500 細胞培養容器
Claims (4)
- クリノスタットに搭載され、細胞培養に用いる細胞培養容器であって、
培養液を入れる充填口と、
細胞を培養させる培養エリアと、
前記培養エリア内の気泡を隔離させる隔離エリアと、
前記培養エリア内の気泡を前記クリノスタットの回転中に前記隔離エリアに誘導するとともに、隔離された気泡を隔離エリアに留まらせる誘導留め機構と、
を備え、
前記誘導留め機構は、培養エリアから隔離エリアにいくにつれて開口部が小さくなるような漏斗形状の一対の間切り壁を備え、
前記間切り壁は、円弧状の誘導壁と直線状の留め壁とからなる
ことを特徴とする、クリノスタットに用いる細胞培養容器。 - 前記留め壁は、中心線と平行に、または、前記培養エリアから前記隔離エリアにいくにつれて、中心線に近づきながら傾斜するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の細胞培養容器。
- 前記留め壁は、該先端から培養エリアにいくにつれて、中心線から離れながら傾斜する返し部を一体に設けていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の細胞培養容器。
- 前記隔離エリアと前記留め壁との当接部は、培養エリアから隔離エリアにいくにつれて、上り傾斜となる傾斜部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の細胞培養容
器。
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JP2018059239A JP7088713B2 (ja) | 2018-03-27 | 2018-03-27 | 細胞培養容器 |
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