JP7087678B2 - 素線絶縁導体および素線絶縁導体の製造方法 - Google Patents

素線絶縁導体および素線絶縁導体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7087678B2
JP7087678B2 JP2018101438A JP2018101438A JP7087678B2 JP 7087678 B2 JP7087678 B2 JP 7087678B2 JP 2018101438 A JP2018101438 A JP 2018101438A JP 2018101438 A JP2018101438 A JP 2018101438A JP 7087678 B2 JP7087678 B2 JP 7087678B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wire
conductor
strands
insulated
wires
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018101438A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019207758A (ja
Inventor
一真 上森
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Electric Industries Ltd filed Critical Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority to JP2018101438A priority Critical patent/JP7087678B2/ja
Publication of JP2019207758A publication Critical patent/JP2019207758A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7087678B2 publication Critical patent/JP7087678B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Insulated Conductors (AREA)
  • Processes Specially Adapted For Manufacturing Cables (AREA)

Description

本発明は、素線絶縁導体および素線絶縁導体の製造方法に関する。
複数の裸素線のみからなる導体では、断面積が大きくなるにつれて、表皮効果が生じ、送電効率が低下してしまう。このため、断面積が所定値以上となる場合では、導体を複数のセグメントに分割し、隣り合うセグメントの間に絶縁紙を挟み込むことで、導体の実効表面積(絶縁された導体表面の実効的な面積の総和)を大きくし、表皮効果を抑制している。
さらに送電効率を向上させるため、金属線の外周に絶縁処理を施した複数の絶縁素線により構成される素線絶縁導体が用いられることがある。この構成により、素線絶縁導体の実効表面積を大きくし、表皮効果を安定的に抑制することができる。
しかしながら、従来では、素線絶縁導体を構成する全ての素線を絶縁素線だけで構成しており、全ての素線に絶縁処理を施すことが必要であった。その結果、素線絶縁導体のコストが増大していた。
そこで、素線絶縁導体のコストを低減するため、複数の素線の一部に裸素線を混在させ、該裸素線と接する位置に絶縁素線を配置した素線絶縁導体(まだら素線絶縁導体ともいう)が提案されている(例えば、特許文献1)。
特開2014-56714号公報
近年では、絶縁素線および裸素線により構成される素線絶縁導体において、送電効率を従来よりも向上させることが望まれている。
本発明の目的は、素線絶縁導体の送電効率を従来の素線絶縁導体よりも向上させることができる技術を提供することである。
本発明の一態様によれば、
複数の絶縁素線および複数の裸素線により構成される複数の素線が撚り合せられ、断面扇形に圧縮成形されて設けられる複数のセグメントを有する素線絶縁導体であって、
前記複数のセグメントのそれぞれでの前記複数の素線の総本数に対する前記複数の絶縁素線の本数の比率は、50%以上90%以下であり、
前記複数のセグメントのそれぞれでの前記複数の裸素線は、互いに接しないよう配置され、
温度20℃で測定された直流導体抵抗および交流導体抵抗に基づいて日本電線工業会規格JCS0501に準拠して求められる分割導体係数をKS1としたときに、以下の式(1)から求められる実効絶縁処理率Rは、80%以上である
素線絶縁導体が提供される。
R=-400KS1+200 ・・・(1)
本発明の他の態様によれば、
複数の絶縁素線および複数の裸素線により構成される複数の素線を撚り合せ、断面扇形に圧縮成形することで、複数のセグメントのそれぞれを形成する工程を有し、
前記複数のセグメントのそれぞれを形成する工程では、
前記複数のセグメントのそれぞれでの前記複数の素線の総本数に対する前記複数の絶縁素線の本数の比率を、50%以上90%以下とし、
前記複数のセグメントのそれぞれでの前記複数の裸素線を、互いに接しないよう配置し、
温度20℃で測定された直流導体抵抗および交流導体抵抗に基づいて日本電線工業会規格JCS0501に準拠して求められる分割導体係数をKS1としたときに、式(1)から求められる実効絶縁処理率Rが80%以上となるよう、前記複数の素線のそれぞれの張力を調整する
素線絶縁導体の製造方法が提供される。
本発明によれば、素線絶縁導体の送電効率を従来の素線絶縁導体よりも向上させることができる。
本発明の一実施形態に係る素線絶縁導体の軸方向と直交する断面図である。 図1Aのセグメントを圧縮成形しない場合の断面図である。 本発明の一実施形態に係る素線絶縁導体の一部を拡大した断面図である。 本発明の一実施形態に係る導体製造装置を示す概略図である。 成形ロールを示す概略図である。 本発明の一実施形態の変形例に係る素線絶縁導体の軸方向と直交する断面図である。 図5Aの素線絶縁導体を圧縮成形しない場合の断面図である。 実効絶縁処理率に対する分割導体係数を示す図である。 実施例1の素線絶縁導体の軸方向と直交する断面図である。 比較例1の素線絶縁導体の一部を拡大した断面図である。
<発明者等の得た知見>
まず、発明者等の得た知見について説明する。
絶縁素線および裸素線により構成される素線絶縁導体では、1本の裸素線が複数の絶縁素線により囲まれることで、当該裸素線は、その外周に絶縁処理を施した状態と同等な状態となる。つまり、複数の素線の一部に裸素線を混在させたにもかかわらず、全ての素線を絶縁素線とした素線絶縁導体と同等に、表皮効果を抑制する効果を得ることができる。
しかしながら、発明者等は、絶縁素線および裸素線により構成される素線絶縁導体において、表皮効果を抑制する効果が充分に得られない場合があることを見出した。
上述の素線絶縁導体では、裸素線と絶縁素線との間に、1層の絶縁層しか介在していない。このため、素線絶縁導体の製造工程において、裸素線と絶縁素線との間に摩擦が生じると、絶縁素線を構成する絶縁層の少なくとも一部が剥離する可能性がある。絶縁素線を構成する絶縁層の少なくとも一部が剥離すると、絶縁素線を構成する金属線と裸素線とが接触し、素線絶縁導体の実効表面積(絶縁された導体表面の実効的な面積の総和)が縮小することとなる。その結果、表皮効果を抑制する効果が得られなくなってしまう可能性がある。
そこで、発明者等は、従来よりも高い水準で素線絶縁導体の製造工程を行うことで、素線間の摩擦を抑制し、各素線の形状均一性を得ることができることを見出した。その結果、全ての素線を絶縁素線とした素線絶縁導体で得られる効果と同等以上に、表皮効果を抑制する効果を得ることができることを見出した。
本発明は、発明者等が見出した上記新規知見に基づくものである。
<本発明の一実施形態>
(1)素線絶縁導体(素線絶縁分割導体、まだら素線絶縁導体)
本発明の一実施形態に係る素線絶縁導体10について、図1Aおよび図1Bを用いて説明する。図1Aは、本実施形態に係る素線絶縁導体の軸方向と直交する断面図である。なお、図1Aでは、一部の素線100を省略している。図1Bは、図1Aのセグメントを圧縮成形しない場合の断面図である。
なお、以下において、素線絶縁導体10等の「軸方向」とは、素線絶縁導体10等の中心軸に沿った方向のことをいい、場合によっては「長手方向」と言い換えることができる。また、素線絶縁導体10等の「径方向」とは、素線絶縁導体10等の軸方向に垂直な方向のことをいい、場合によっては素線絶縁導体10等の短手方向と言い換えることができる。また、素線絶縁導体10等の「周方向」とは、素線絶縁導体10等の外周に沿った方向のことをいう。なお、「周方向」との用語は、素線絶縁導体10を構成する層の外周に沿った方向についても用いられることがある。
図1Aに示すように、本実施形態の素線絶縁導体10は、いわゆる分割導体として構成され、例えば、複数のセグメント20と、絶縁紙22と、を有している。
セグメント20は、例えば、複数の素線100を有している。素線100の構成については後述する。セグメント20の断面形状は、例えば、略扇形である。セグメント20の数は、例えば、4つ又は5つである。
絶縁紙22は、例えば、隣り合うセグメント20の間に挟み込まれている。これにより、隣り合うセグメント20同士は、絶縁紙22を介して絶縁されている。その結果、素線絶縁導体10の実効表面積を大きくし、表皮効果を抑制することができる。
(素線)
次に、セグメント20を構成する素線100について説明する。
セグメント20は、例えば、複数の素線100が撚り合わせられ、断面扇形に圧縮成形されることにより設けられている。本実施形態では、複数の素線100は、例えば、複数の絶縁素線102および複数の裸素線104により構成されている。
裸素線104は、例えば、絶縁層を有さず、金属のみにより構成されている。裸素線104を構成する金属は、例えば、銅、銅合金、アルミニウムまたはアルミニウム合金のうちいずれかである。
絶縁素線102は、いわゆるエナメル線として構成され、例えば、金属線(不図示)と、絶縁層(素線絶縁層)(不図示)と、を有している。絶縁素線102において、金属線は、例えば、裸素線104と同様に構成されている。絶縁層は、金属線の外周を覆うように設けられている。絶縁層は、例えば、ポリビニルホルマール、ポリウレタン、ポリアミドイミド、ポリエステル、ナイロン等により構成されている。
ここで、本実施形態では、セグメント20において、複数の素線100の総本数に対する複数の絶縁素線102の本数の比率(以下、「素絶率」ともいう)は、例えば、50%以上90%以下であり、好ましくは、60%以上80%以下である。素絶率が50%未満であると、裸素線104同士が隣り合う部分が生じてしまい、素線絶縁導体10の実効表面積が縮小する。このため、表皮効果を抑制する効果が充分に得られない可能性がある。これに対し、素絶率を50%以上とすることで、1本の裸素線104を複数の絶縁素線102により囲むことができ、素線絶縁導体10の実効表面積を大きくすることができる。これにより、表皮効果を抑制する効果を得ることができる。さらに、素絶率を60%以上とすることで、1本の裸素線104を複数の絶縁素線102により確実に囲むことができ、素線絶縁導体10の実効表面積を確実に大きくすることができる。一方で、素絶率が90%超であると、裸素線104の本数が極端に減ってしまう。このため、素線絶縁導体10のコストを低減することができない可能性がある。これに対し、素絶率を90%以下とすることで、所定本数の裸素線104を混在させることができる。これにより、素線絶縁導体10のコストを低減することができる。さらに、素絶率を80%以下とすることで、裸素線104の本数を増やし、素線絶縁導体10のコストをさらに低減することができる。
また、本実施形態では、セグメント20において、複数の裸素線104は、いわゆる「まだら状」に配置されており、互いに接しないよう配置されている。これにより、1本の裸素線104を、複数の絶縁素線102により囲むことができる。
また、セグメント20は、例えば、中心側から外周側に向けて、複数の素線層を有している。本実施形態では、セグメント20は、例えば、5つの素線層を有している。ここで、5つの素線層のそれぞれの名称を、セグメント20の中心側から外周側に向けて、第1素線層121、第2素線層122、第3素線層123、第4素線層124、第5素線層125とする。
セグメント20を構成する素線層は、例えば、少なくとも2種類に分類される。具体的には、セグメント20は、例えば、絶縁素線層と、複合素線層と、を有している。絶縁素線層は、例えば、裸素線104を含まず、絶縁素線102のみにより構成されている。一方で、複合素線層は、例えば、絶縁素線層の外周に接している。複合素線層では、例えば、絶縁素線層の周方向に隣り合う裸素線の間に少なくとも1本の絶縁素線が介在している。本実施形態の複合素線層では、例えば、絶縁素線102と裸素線104とが絶縁素線層の周方向に交互に配置されている。絶縁素線層と複合素線層とは、セグメント20の径方向に交互に配置されている。なお、第2素線層122が絶縁素線層である場合は、第1素線層121は、1本の裸素線104からなる裸素線層であってもよい。
本実施形態では、セグメント20は、例えば、以下の表1のように構成されている。
Figure 0007087678000001
なお、図1Aに示すように断面扇形に圧縮成形された本実施形態のセグメント20においても、各素線100の位置関係は、図1Bにおける位置関係と同様である。
(素線絶縁導体内の素線の状態について)
次に、素線絶縁導体10内の素線100の状態について説明する。
ここで、素線絶縁導体が圧縮成形されると、上述のように、裸素線と絶縁素線との間に摩擦が生じうる。裸素線と絶縁素線との間に摩擦が生じると、絶縁素線を構成する絶縁層の少なくとも一部が剥離する可能性がある。
これに対し、本実施形態の素線絶縁導体10では、後述の製造方法により製造されることで、素線100間の摩擦が抑制され、各素線100の形状が均一となっている。その結果、絶縁素線102の絶縁層の剥離が抑制されている。
しかしながら、本実施形態の素線絶縁導体10において、各素線100の形状均一性や、絶縁素線102の絶縁層の剥離具合を定量化しようとしても、長尺な素線絶縁導体10の全長に亘って、当該各指標を測定する方法がなく、当該各指標の定量化が不可能であった。また、たとえ当該各指標を測定できたとしても、測定に時間がかかり、統計的な処理を行うことが実際的でなかった。
そこで、発明者等は、各素線100の形状均一性を示す指標として「実効絶縁処理率R」を用いることにより、本実施形態の素線絶縁導体10内の素線100の状態を適切に表現することができることを見出した。
具体的には、温度20℃で測定された直流導体抵抗および交流導体抵抗に基づいて日本電線工業会規格JCS0501に準拠して求められる分割導体係数をKS1としたときに、以下の式(1)から求められる実効絶縁処理率Rは、例えば、80%以上である。
R=-400KS1+200 ・・・(1)
ここでいう「実効絶縁処理率R」は、素線絶縁導体10の全体に対して、実効的に絶縁処理が施されている素線100が占める比率に相当する。絶縁層が剥離している絶縁素線102が多いと、実効絶縁処理率Rは低くなる。これに対し、本実施形態のように、各素線100の形状が均一となっており、絶縁素線102の絶縁層の剥離が抑制されていると、実効絶縁処理率Rは高くなる。このように、実効絶縁処理率Rを比較することで、各素線100に対して、どの程度、実効的に絶縁処理が施されているかを、分割導体係数KS1を比較するよりも容易に把握する(イメージする)ことができる。
以下、実効絶縁処理率Rの具体的な求め方について説明する。
まず、分割導体係数をKS1は、日本電線工業会規格JCS0501に準拠して、以下により求めることができる。
温度20℃で測定された直流(最大)導体抵抗および交流導体抵抗を、それぞれ、rおよびrとしたとき、直流導体抵抗rおよび交流導体抵抗rは、以下の式(2-1)の関係を有する。
r=r (Ω/cm) ・・・(2-1)
ただし、kは、常時許容温度の導体抵抗と20℃の導体抵抗の比である。kは、交流導体抵抗と直流導体抵抗との比である。
は、以下の式(2-2)により求められる。
={1+α(T-20)} ・・・(2-2)
ただし、αは、抵抗温度係数(1/℃)である。素線100を構成する金属が銅である場合、αは0.00393であり、素線100を構成する金属がアルミニウムである場合、αは0.00403である。Tは、常時許容温度(℃)である。
また、kは、本実施形態の素線絶縁導体10のようにPOFケーブル以外のケーブルに用いられる場合、以下の式(2-3)により求められる。
=(1+λ+λ) ・・・(2-3)
ただし、λは表皮効果係数であり、λは近接効果係数である。
表皮効果係数λは、以下の式(2-4)により求められる。
Figure 0007087678000002
ただし、ber(x)はベッセル関数の実部であり、bei(x)はベッセル関数の虚部である。ber’(x)およびbei’(x)はそれぞれber(x)およびbei(x)の導関数である。
また、xは、分割導体係数KS1を用いて、以下の式(2-5)により定義される。
Figure 0007087678000003
ただし、fは周波数(Hz)である。μは、素線100を構成する金属の比透磁率であり、通常、銅およびアルミでは1.0である。
なお、素線絶縁導体10のサイズが小さく、x<2.8である場合には、表皮効果係数λは、以下の式(2-4)’により簡易的に求めることができる。
Figure 0007087678000004
近接効果係数λは、以下の式(2-6)により求められる。
Figure 0007087678000005
ただし、dは素線絶縁導体10の外径(mm)であり、Sは素線100の中心間隔(mm)である。
また、G(x’)、H(x’)およびx’は、それぞれ、以下の式(2-7)、式(2-8)および式(2-9)で定義される。
Figure 0007087678000006
H(x’)=F(x’)/G(x’) ・・・(2-8)
x’=(0.8)1/2x=0.894x ・・・(2-9)
なお、素線絶縁導体10のサイズが小さく、x<2.8である場合には、近接効果係数λは、以下の式(2-6)’により簡易的に求めることができる。
Figure 0007087678000007
温度20℃で直流導体抵抗rおよび交流導体抵抗rを測定し、当該直流導体抵抗rおよび交流導体抵抗rに基づいて、式(2-1)~式(2-9)を解くことにより、分割導体係数KS1の実測値(算出値)が求められる。
なお、素線絶縁導体10のサイズが小さく、x<2.8である場合には、直流導体抵抗rおよび交流導体抵抗rに基づいて、以下の簡易的な式(3)により、分割導体係数KS1の実測値(算出値)を求めることができる。
Figure 0007087678000008
ただし、A=r/r-1である。また、式(3)に代入する際の、温度20℃での直流導体抵抗rおよび交流導体抵抗rの単位は、いずれも、Ω/kmである。なお、式(3)の導出には、近接効果係数λは1としている。直流導体抵抗rおよび交流導体抵抗rの測定には、素線絶縁導体10を1本しか用いておらず、近接する素線絶縁導体10を考慮する必要がないからである。
日本電線工業会規格JCS0501には、全ての素線が裸素線からなる導体(以下「裸素線導体」ともいう)における実測値に基づいて、分割導体係数KS1の規定値は0.6であると記載され、全ての素線が絶縁素線からなる導体(以下「全素線絶縁導体」ともいう)における実測値に基づいて、分割導体係数KS1の規定値は0.3であると記載されている。JCS0501では、分割導体係数KS1の実測値のばらつきを考慮して、分割導体係数KS1の規定値が、実測値の最大値、すなわち、安全側の数値となっている。
一方で、裸素線導体における分割導体係数KS1の実測平均値は0.5となり、全素線絶縁導体における分割導体係数KS1の実測平均値は0.25となることが分かっている。
本実施形態のような絶縁素線102および裸素線104により構成される素線絶縁導体10では、分割導体係数KS1の実測値が小さいほど、すなわち全素線絶縁導体における分割導体係数KS1の実測平均値に近いほど、交流導体抵抗rが小さくなり、送電効率が向上することとなる。
ここで、裸素線導体では、全ての素線が裸素線からなるため、実効絶縁処理率Rを0%とし、一方で、全素線絶縁導体では、全ての素線が絶縁素線からなるため、実効絶縁処理率Rを100%とする。また、上述の裸素線導体および全素線絶縁導体のそれぞれの分割導体係数KS1の実測平均値が真値であるとみなし、R=0%のとき、KS1=0.5とし、R=100%のとき、KS1=0.25とする。また、本実施形態のような絶縁素線102および裸素線104により構成される素線絶縁導体10において、分割導体係数KS1の実測値と実効絶縁処理率Rとは、反比例の関係にあるとする。
以上の関係から、本実施形態のような絶縁素線102および裸素線104により構成される素線絶縁導体10における実効絶縁処理率Rは、分割導体係数KS1の実測値に基づいて、以下のKS1の一次式である式(1)により求めることができる。
R=-400KS1+200 ・・・(1)
本実施形態の素線絶縁導体10では、後述の製造方法により、素線絶縁導体10を構成する素線100間の摩擦を抑制し、各素線100の形状を均一にすることで、素線絶縁導体10の実効絶縁処理率Rは、例えば、80%以上となっている。素線絶縁導体10の実効絶縁処理率Rが80%未満であると、これは、素線絶縁導体10の分割導体係数KS1が0.3超であることに相当し、すなわち、JCS0501での全素線絶縁導体の分割導体係数KS1の規定値よりも大きいことに相当する。つまり、この場合の素線絶縁導体10では、各素線の実効的な絶縁処理状態が、全素線絶縁導体の状態よりも低下し、素線絶縁導体10を構成する絶縁素線102における絶縁層の少なくとも一部が剥離している可能性がある。これに対し、本実施形態では、素線絶縁導体10の実効絶縁処理率Rが80%以上となっている。これは、分割導体係数KS1が0.3以下であることに相当し、すなわち、JCS0501での全素線絶縁導体の分割導体係数KS1の規定値と同等以下であることに相当する。つまり、本実施形態の素線絶縁導体10では、全素線絶縁導体の状態と同等以上に、各素線100の実効的な絶縁処理状態(裸素線104が絶縁層で囲まれている状態)を確保することができ、素線絶縁導体10の実効表面積を大きくすることができる。
なお、素線絶縁導体10の実効絶縁処理率Rは、高ければ高いほどよいため、その上限値は、例えば、100%である。
次に、図2を用い、本実施形態の素線絶縁導体10の軸方向に直交する断面の具体的な状態について説明する。図2は、本実施形態に係る素線絶縁導体の一部を拡大した断面図である。
図2に示すように、実際の各素線100の形状は、図1Aに示すような完全な円形とならず、変形することがある。
しかしながら、本実施形態では、素線絶縁導体10の軸方向に直交する断面において、円形からの素線100の変形が小さい。具体的には、素線100の長手方向の長さLに対する(長手方向に垂直な)短手方向の長さLの比率L/Lで求められる扁平率(アスペクト比)は、例えば、1/3以上であり、好ましくは1/2以上である。素線100の扁平率が1/3未満であると、製造工程において、素線100が過剰に圧縮され、素線100同士の摩擦が過剰に生じていた可能性がある。このため、絶縁素線102における絶縁層の少なくとも一部に剥離が生じている可能性がある。これに対し、本実施形態では、素線100の扁平率が1/3以上となっている。これは、製造工程において、素線100の過剰な圧縮を抑制し、素線100同士の摩擦を抑制することができたことの痕跡と考えることができる。製造工程において、素線100同士の摩擦を抑制することで、絶縁素線102における絶縁層の剥離を抑制することができる。さらに、素線100の扁平率を1/2以上とすることで、絶縁素線102における絶縁層の剥離を確実に抑制することができる。
なお、素線100の扁平率は、大きければ大きいほどよく、その上限値は、例えば、1である。
また、本実施形態では、素線絶縁導体10の軸方向に直交する断面において、隣り合う複数の素線100で囲まれる隙間180が均一に小さくなっている。具体的には、隙間180の最大面積は、例えば、素線100の断面積の2/3倍以下、好ましくは、1/2倍以下である。隙間180の最大面積が素線100の断面積の2/3倍超であると、隙間180内に素線100が入り込む可能性がある。このため、隙間180内に素線100が入り込む際に、素線100同士の摩擦が生じ易くなる可能性がある。これに対し、本実施形態では、隙間180の最大面積を素線100の断面積の2/3倍以下とすることで、隙間180内に素線100が入り込むことを抑制することができる。隙間180内に素線100が入り込むことを抑制することで、素線100同士の摩擦を抑制することができる。さらに、隙間180の最大面積を素線100の断面積の1/2倍以下とすることで、隙間180内に素線100が入り込むことを確実に抑制することができる。
(具体的寸法等)
本実施形態において、素線絶縁導体10に適用される公称電圧は、例えば、66kV以上500kV以下である。素線絶縁導体10の公称断面積は、例えば、800mm以上3500mm以下であり(以下、mmをsqと略すことがある)、素線絶縁導体10の外径は、例えば、34mm以上73mm以下である。素線絶縁導体10を構成する各素線100の直径は、例えば、2mm以上3mm以下である。絶縁素線102の絶縁層の厚さは、例えば、0.005mm以上0.03mm以下である。なお、上記寸法等は、一例であって、これらの値に限定されるものではない。
(2)電力ケーブル
本実施形態の素線絶縁導体10は、例えば、地中送電用の電力ケーブルに用いられる。本実施形態の電力ケーブルは、いわゆるCVケーブル(Crosslinked polyethylene insulated PVC sheathed cable、XLPEケーブルともいう)として構成され、例えば、中心から外周側に向けて、素線絶縁導体10、内部半導電層、絶縁層(ケーブル絶縁層)、外部半導電層、遮蔽層、押さえテープ層、およびシースを有している。なお、電力ケーブルの構成は、上記に限定されるものではなく、少なくとも絶縁層を有していればよい。
(3)素線絶縁導体の製造方法
次に、図3および図4を用い、本実施形態の素線絶縁導体の製造方法について説明する。図3は、本実施形態に係る導体製造装置を示す概略図である。図4は、成形ロールを示す概略図である。以下、ステップを「S」と略す。
(S100:セグメント形成工程)
まず、セグメント形成工程S100において、導体製造装置40を用い、複数の絶縁素線102および複数の裸素線104により構成される複数の素線100を撚り合せ、断面扇形に圧縮成形することで、複数のセグメント20のそれぞれを形成する。
図3に示すように、本実施形態の導体製造装置40は、例えば、ボビン410(411~415)、回転ケージ420(422~425)、目板430(432~435)、革ロープ440(442~445)、撚合ダイス450(452~455)、成形ロール460(462~465)、引取キャプスタン470、ドラム480を有している。これらは、ボビン411からドラム480に向かって直線状に配置されている。
ボビン410は、例えば、筒状体として構成され、外周に素線100が巻回され、周方向に回転しながら素線100を供給するよう構成されている。なお、ボビン411は第1素線層121を構成する素線100を供給し、ボビン412は第2素線層122を構成する素線100を供給し、ボビン413は第3素線層123を構成する素線100を供給し、ボビン414は第4素線層124を構成する素線100を供給するよう構成されている。回転ケージ420は、例えば、後述の内周側素線140または後述の素線群30を中心として複数のボビン410を周方向に回転可能に保持している。なお、回転ケージ422はボビン412を6個保持し、回転ケージ423はボビン413を12個保持し、回転ケージ424はボビン414を18個保持し、回転ケージ425はボビン415を24個保持している。なお、回転ケージ422,424の回転方向は、例えば、回転ケージ423,425の回転方向と同じ方向であってもよいし、反対の方向であってもよい。目板430は、例えば、所定の位置に素線100を通過させる複数の素線挿通孔(不図示)を有している。革ロープ440は、例えば、後述の複数の外周側素線160の全体の外周を囲むように巻き付けられている。撚合ダイス450は、例えば、所定のダイス開口(不図示)を通して複数の素線100を撚り合せるよう構成されている。成形ロール460は、例えば、後述の素線群30を断面扇形に圧縮成形するよう構成されている。引取キャプスタン470は、例えば、セグメント20を巻き取りながら、所定の張力で引っ張るよう構成されている。ドラム480は、例えば、最終的にセグメント20を巻き取り保持するよう構成されている。
本実施形態のセグメント形成工程S100では、例えば、複数の素線100の総本数に対する複数の絶縁素線102の本数の比率を50%以上90%以下とし、複数の裸素線104を互いに接しないよう配置する。また、上述の式(1)から求められる実効絶縁処理率Rが80%以上となるよう、複数の素線100のそれぞれの張力を調整する。
本実施形態のセグメント形成工程S100は、例えば、撚合工程S120と、圧縮成形工程S140と、巻取工程S160と、を有している。以下、セグメント形成工程S100の各工程について詳細を説明する。
(S120:撚合工程)
撚合工程S120では、少なくとも1つの素線100の外周を囲むように、複数の素線100を撚り合せる。ここで、複数の素線100を撚り合せるときに、内周側に位置する素線100を「内周側素線140」とし、外周側に位置する素線100を「外周側素線160」とする。
具体的には、例えば、内周側素線140として第1素線層121を構成する素線100を、ボビン411から送り出す。内周側素線140を送り出したら、当該内周側素線140を中心として、回転ケージ422を周方向に回転させながら、外周側素線160として第2素線層122を構成する複数の素線100を、複数のボビン412から供給する。複数の外周側素線160を供給したら、それぞれの外周側素線160を目板432の素線挿通孔に通し、内周側素線140および複数の外周側素線160を撚合ダイス452のダイス開口に導く。このときのダイス開口は、略扇形とする。内周側素線140および複数の外周側素線160を撚合ダイス452に導いたら、内周側素線140の外周を囲むように複数の外周側素線160を撚り合せる。
このとき、本実施形態では、複数の外周側素線160のそれぞれの張力を調整することで、該複数の外周側素線160のそれぞれの張力のばらつきを±5%以内とする。これにより、外周側素線160同士が張力印加方向(軸方向)にずれることを抑制することができる。外周側素線160同士のずれを抑制することで、外周側素線160同士の摩擦を抑制することができる。
具体的には、例えば、複数の外周側素線160を供給する複数のボビン412のそれぞれに対してブレーキを働かせることで、複数の外周側素線160のそれぞれの張力を容易に調整することができる。これにより、複数の外周側素線160のそれぞれの張力のばらつきを±5%以内とすることができる。
また、例えば、撚合ダイス450を用いて複数の外周側素線160を撚り合せる前に、該複数の外周側素線160の全体の外周を囲むように革ロープ440を巻き付けることで、複数の外周側素線160のそれぞれに対して、所定の摩擦力を印加することができる。これにより、複数の外周側素線160のそれぞれの張力を均等にすることができる。その結果、複数の外周側素線160のそれぞれの張力のばらつきを±5%以内とすることができる。
(S140:圧縮成形工程)
内周側素線140の外周を囲むように複数の外周側素線160を撚り合せたら、圧縮成形工程S140を行う。圧縮成形工程S140では、内周側素線140および複数の外周側素線160を圧縮成形する。ここで、内周側素線140および複数の外周側素線160により構成される複数の素線100の集合体(素線絶縁導体10の中間体)を「素線群30」とする。
具体的には、例えば、上述の撚合工程S120において、内周側素線140として第1素線層121を構成する素線100の外周を囲むように、外周側素線160として第2素線層122を構成する複数の素線100を撚り合わせることで、第1素線層121および第2素線層122を有する素線群30を形成する。第1素線層121および第2素線層122を有する素線群30を形成したら、当該圧縮成形工程S140において、一対の成形ロール462を用いて、当該素線群30を断面扇形に圧縮成形する。
ここで、一対の成形ロール462を「一対の成形ロール460」と一般化して、素線群30の圧縮成形の態様について説明する。
例えば、図4に示すように、上述の撚合工程S120を経た素線群30を一対の成形ロール460に導く。このとき、一対の成形ロール460のうち、一方の成形ロール460の外周面には、周方向に沿って断面V字状の溝部(符号不図示)が設けられ、他方の成形ロール460の外周面には、周方向に沿って断面円弧状の溝部(符号不図示)が設けられている。これにより、一対の成形ロール460の間には、断面扇形の成形開口460aが形成されている。当該成形開口460aに素線群30を導いたら、一対の成形ロール460のそれぞれの外周面の溝部を付き合わせた状態で、一対の成形ロール460を径方向に互いに押し付けながら、それぞれを周方向に回転させることで、素線群30を断面扇形に圧縮成形する。また、素線群30を圧縮成形しながら、一対の成形ロール460を、素線群30を中心として周方向に回転させることで、素線群30を螺旋状に圧縮成形する。
このとき、本実施形態では、複数の外周側素線160の合計の張力を内周側素線140の(合計の)張力以上とした状態で、素線群30を圧縮成形する。これにより、一対の成形ロール460の間に形成される成形開口460a内に各素線100を精度良く且つバランス良く配置することができる。成形開口460a内の各素線100の位置精度を向上させることで、内周側素線140または外周側素線160が過度に圧縮されることを抑制することができる。また、内周側素線140と外周側素線160との間における過大な隙間180の発生を抑制することができる。
(サイクルの繰り返し)
以上の撚合工程S120および圧縮成形工程S140を行い、断面扇形の素線群30を形成したら、当該撚合工程S120および圧縮成形工程S140を含むサイクルを所定回数繰り返し行う。
ただし、圧縮成形工程S140後に撚合工程S120を行うときには、外周側素線160の本数を所定本数ずつ増やしていく。例えば、最外層を第2素線層122とする素線群30を圧縮成形したら、第3素線層123となる外周側素線160の本数を、第2素線層122の素線100の本数から6本増やし、合計で12本とする。
また、圧縮成形工程S140において、最外層を絶縁素線層とする素線群30を形成したら、次の撚合工程S120において、複数の外周側素線160として複数の絶縁素線102および複数の裸素線104を混在させて供給することで、絶縁素線層の外周に接するように、複合素線層を形成する。
以上の撚合工程S120および圧縮成形工程S140を含むサイクルを所定回数繰り返し行うことで、所定数の素線層を有するセグメント20を形成する。
(S160:巻取工程)
セグメント20を形成したら、引取キャプスタン470を介して、ドラム480にセグメント20を巻き取る。
以上のセグメント形成工程S100を所定回数行い、所定本数のセグメント20を形成する。
(S200:素線絶縁導体形成工程)
所定本数のセグメント20を形成したら、セグメント20を構成する側面同士を当接させ、所定本数のセグメント20を束ねる(集合させる、撚り合わせる)ことで、本実施形態の素線絶縁導体10を形成する。
以上により、本実施形態の素線絶縁導体10が製造される。
(4)本実施形態に係る効果
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果を奏する。
(a)本実施形態では、上述の製造方法により、素線絶縁導体10を構成する素線100間の摩擦を抑制し、各素線100の形状を均一にすることで、素線絶縁導体10の実効絶縁処理率Rは、80%以上となっている。これは、分割導体係数KS1が0.3以下であることに相当し、すなわち、JCS0501での全素線絶縁導体の分割導体係数KS1の規定値と同等以下であることに相当する。つまり、本実施形態の素線絶縁導体10では、全素線絶縁導体の状態と同等以上に、各素線100の実効的な絶縁処理状態(裸素線104が絶縁層で囲まれている状態)を確保することができ、素線絶縁導体10の実効表面積を大きくすることができる。これにより、複数の素線100の一部に裸素線104を混在させたにもかかわらず、全素線絶縁導体で得られる効果と同等以上に、表皮効果を抑制する効果を得ることができる。その結果、素線絶縁導体10のコストを低減しつつ、素線絶縁導体10の送電効率を従来よりも安定的に向上させることが可能となる。
(b)本実施形態では、素線絶縁導体10の軸方向に直交する断面において、複数の素線100のそれぞれの長手方向の長さLに対する短手方向の長さLの比率L/Lで求められる扁平率は、1/3以上である。これは、製造工程において、素線100の過剰な圧縮を抑制し、素線100同士の摩擦を抑制することができたことを示す痕跡と考えることができる。製造工程において、素線100同士の摩擦を抑制することで、絶縁素線102における絶縁層の剥離を抑制することができる。その結果、素線絶縁導体10の実効絶縁処理率Rを安定的に80%以上とすることができる。
(c)本実施形態では、素線絶縁導体10の軸方向に直交する断面において、隣り合う複数の素線100で囲まれる隙間180の最大面積は、素線100の断面積の2/3倍以下である。これにより、隙間180内に素線100が入り込むことを抑制することができる。隙間180内に素線100が入り込むことを抑制することで、素線100同士の摩擦を抑制することができる。その結果、素線絶縁導体10の実効絶縁処理率Rを安定的に80%以上とすることができる。
(d)撚合工程S120において、複数の外周側素線160のそれぞれの張力のばらつきを±5%以内とする。これにより、外周側素線160同士が張力印加方向(軸方向)にずれることを抑制することができる。外周側素線160同士のずれを抑制することで、外周側素線160同士の摩擦を抑制することができる。その結果、素線絶縁導体10の実効絶縁処理率Rを安定的に80%以上とすることができる。
(e)撚合工程S120において、複数の外周側素線160を供給する複数のボビン412のそれぞれに対してブレーキを働かせることで、複数の外周側素線160のそれぞれの張力を容易に調整することができる。これにより、複数の外周側素線160のそれぞれの張力のばらつきを±5%以内とすることができる。
(f)撚合工程S120において、撚合ダイス450を用いて複数の外周側素線160を撚り合せる前に、該複数の外周側素線160の全体の外周を囲むように革ロープ440を巻き付けることで、複数の外周側素線160のそれぞれに対して、所定の摩擦力を印加することができる。例えば、複数の外周側素線160のうち、相対的に張力が強い素線100に対しては強い摩擦力を印加し、一方で、相対的に張力が弱い素線100に対しては弱い摩擦力を印加することができる。これにより、複数の外周側素線160のそれぞれの張力を均等にすることができる。その結果、複数の外周側素線160のそれぞれの張力のばらつきを±5%以内とすることができる。
また、このとき、革ロープ440を用いることで、外周側素線160のうちの絶縁素線102における絶縁層が剥離することを抑制しつつ、それぞれの外周側素線160に対して安定的に適切な摩擦力を印加することができる。
(g)圧縮成形工程S140において、複数の外周側素線160の合計の張力を内周側素線140の(合計の)張力以上とした状態で、素線群30を圧縮成形する。これにより、一対の成形ロール460の間に形成される成形開口460a内に各素線100を精度良く且つバランス良く配置することができる。成形開口460a内の各素線100の位置精度を向上させることで、成形開口460aの内壁に外周側素線160を均等に当接させることができる。すなわち、外周側素線160を内周側素線140に向けて均等に押し付けることができる。外周側素線160を内周側素線140に向けて均等に押し付けることで、内周側素線140または外周側素線160が過度に圧縮されることを抑制することができる。その結果、各素線100の形状を均一にすることができる。また、外周側素線160を内周側素線140に向けて均等に押し付けることで、内周側素線140と外周側素線160との間における過大な隙間180の発生を抑制することができる。その結果、当該隙間180内に素線100が入り込むことを抑制することができ、素線100同士の摩擦を抑制することができる。
(5)本実施形態の変形例
上述の実施形態は、必要に応じて、以下に示す変形例のように変更することができる。以下、上述の実施形態と異なる要素についてのみ説明し、上述の実施形態で説明した要素と実質的に同一の要素には、同一の符号を付してその説明を省略する。
図5Aおよび図5Bを用い、本実施形態の変形例に係る素線絶縁導体10について説明する。図5Aは、本変形例に係る素線絶縁導体の軸方向と直交する断面図である。なお、図5Aでは、一部の素線100を省略している。図5Bは、図5Aの素線絶縁導体を圧縮成形しない場合の断面図である。
本変形例の素線絶縁導体10では、素線100の構成が、上述の実施形態と異なっている。本変形例では、セグメント20は、例えば、以下の表2のように構成されている。
Figure 0007087678000009
なお、図5Aに示すように断面扇形に圧縮成形された本変形例のセグメント20においても、各素線100の位置関係は、図5Bにおける位置関係と同様である。
ここで、本変形例においても、素線絶縁導体10が上述の製造方法により製造されることにより、実効絶縁処理率Rは、例えば、80%以上となっている。また、例えば、素線100の扁平率は1/3倍以上であり、隙間180の最大面積は、素線100の断面積の2/3倍以下である。
本変形例によれば、素線100の構成が上述の実施形態と異なる場合であっても、素絶率が50%以上90%以下であり、且つ、複数の裸素線104が互いに接しないよう配置される条件を満たしていれば、上述の製造方法により、素線絶縁導体10を構成する素線100間の摩擦を抑制し、各素線100の形状を均一にすることで、実効絶縁処理率Rを80%以上とすることができる。本変形例での実効絶縁処理率Rを80%以上とすることの効果は、上述の実施形態と同様である。
<本発明の他の実施形態>
以上、本発明の実施形態および変形例について具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態および変形例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
上述の実施形態では、第1素線層121が裸素線層であり、且つ、第2素線層122が絶縁素線層である場合について説明したが、第1素線層121は絶縁素線層であってもよい。
上述の変形例では、第1素線層121、第2素線層122および第3素線層123がそれぞれ絶縁素線層である場合について説明したが、第3素線層が絶縁素線層であれば、第1素線層121および第2素線層122のうちいずれか一方に、裸素線104を混在させてもよい。例えば、第1素線層121が裸素線層であり、且つ、第2素線層122が絶縁素線層であってもよい。または、例えば、第1素線層121が絶縁素線層であり、且つ、第2素線層122が複合素線層であってもよい。
上述の実施形態および変形例では、素線100の数が、それぞれ、61本、91本である場合について説明したが、素線100の数は、上記以外であってもよい。
上述の実施形態では、複合素線層において、絶縁素線102と裸素線104とが絶縁素線層の周方向に交互に配置されている場合について説明したが、複合素線層では、絶縁素線層の周方向に隣り合う裸素線の間に少なくとも1本の絶縁素線が介在していれば、絶縁素線102と裸素線104とが交互に配置されていなくてもよい。例えば、隣り合う裸素線104の間に2本以上の絶縁素線102が介在していてもよい。また、例えば、絶縁素線102と裸素線104との配置周期は、一定でなくてもよい。
上述の実施形態では、撚合工程S120において、複数の外周側素線160を供給する複数のボビン412のそれぞれに対してブレーキを働かせたり、複数の外周側素線160の全体の外周を囲むように革ロープ440を巻き付けたりすることで、複数の外周側素線160のそれぞれの張力のばらつきを±5%以内とする場合について説明したが、この場合に限られない。これら以外の方法で複数の素線100のそれぞれの張力を調整することで、複数の素線100のそれぞれの張力のばらつきを±5%以内としてもよい。
上述の実施形態では、圧縮成形工程S140において、複数の外周側素線160の合計の張力を内周側素線140の(合計の)張力以上とした状態で、素線群30を圧縮成形する場合について説明したが、この場合に限られない。成形開口460a内の各素線100の位置精度を向上させることができれば、張力調整以外の方法を用いてもよい。
次に、本発明に係る実施例について比較例と共に説明する。
(1)素線絶縁導体の製造
[実験1]
実験1では、参考例1、実施例1および比較例1のそれぞれの電力ケーブルを、以下のように製造した。
(共通する構成)
素線絶縁導体の断面積:2500sq
素線の本数:61本
素線の直径:約3.5mm
電力ケーブル構成:(中心側から外周側に向けて)素線絶縁導体、内部半導電層、絶縁層、外部半導電層
(参考例1)
導体種別:全素線絶縁導体
絶縁素線の金属線:銅線
絶縁素線の絶縁層の材料:ポリビニルホルマール
絶縁素線の絶縁層の厚さ:約0.01mm
製造方法:従来方法(個別ボビンブレーキ調整なし、革ロープなし、成形ロール導入時の張力差なし)
(実施例1)
導体種別:素線絶縁導体(まだら素線絶縁導体)
素線の配置:図1Aおよび表1
裸素線:銅線
絶縁素線の金属線:裸素線と同じ
絶縁素線の絶縁層の材料:ポリビニルホルマール
絶縁素線の絶縁層の厚さ:約0.01mm
製造方法:上述の実施形態の方法
・各撚合工程において、個別ボビンブレーキ調整あり、且つ、革ロープありとすることで、複数の外周側素線のそれぞれの張力のばらつきを±5%以内とした。
・各圧縮成形工程において、複数の外周側素線の合計の張力を内周側素線の(合計の)張力以上とした状態で、素線群を圧縮成形した。
(比較例1)
導体種別:素線絶縁導体(まだら素線絶縁導体)
素線の配置:図1Aおよび表1
裸素線および絶縁素線の構成:実施例1と同じ
製造方法:従来方法(個別ボビンブレーキ調整なし、革ロープなし、成形ロール導入時の張力差なし)
[実験2]
実験2では、参考例2、実施例2および比較例2のそれぞれの電力ケーブルを、以下のように製造した。
(共通する構成)
素線絶縁導体の断面積:2500sq
素線の本数:91本
素線の直径:約2.5mm
電力ケーブルの構成:実験1と同様
(参考例2)
種別:全素線絶縁導体
絶縁素線の構成:参考例1と同じ
製造方法:従来方法(参考例1と同様)
(実施例2)
種別:素線絶縁導体(まだら素線絶縁導体)
素線の配置:図5Aおよび表2
裸素線および絶縁素線の構成:実施例1と同じ
製造方法:上述の実施形態の方法(実施例1と同様)
(比較例2)
種別:素線絶縁導体(まだら素線絶縁導体)
素線の配置:図5Aおよび表2
裸素線および絶縁素線の構成:実施例1と同じ
製造方法:従来方法(比較例1と同様)
[実験3]
実験3では、参考例3、実施例3および比較例3のそれぞれの電力ケーブルを、以下のように製造した。
(共通する構成)
素線絶縁導体の断面積:2000sq
素線の本数:61本
素線の直径:約3.0mm
電力ケーブルの構成:実験1と同様
(参考例3)
種別:全素線絶縁導体
絶縁素線の構成:参考例1と同じ
製造方法:従来方法(参考例1と同様)
(実施例2)
種別:素線絶縁導体(まだら素線絶縁導体)
素線の配置:図1Aおよび表1
裸素線および絶縁素線の構成:実施例1と同じ
製造方法:上述の実施形態の方法(実施例1と同様)
(比較例2)
種別:素線絶縁導体(まだら素線絶縁導体)
素線の配置:図1Aおよび表1
裸素線および絶縁素線の構成:実施例1と同じ
製造方法:従来方法(比較例1と同様)
(2)評価
(導体抵抗の測定)
上述の参考例1~3、実施例1~3、比較例1~3のそれぞれの電力ケーブルについて、JIS C 3005:2014に基づいて、温度20℃で、直流導体抵抗および交流導体抵抗を測定した。なお、交流導体抵抗の測定では、周波数を60Hzとした。
(分割導体係数KS1の算出)
上述の参考例1~3、実施例1~3、比較例1~3のそれぞれの電力ケーブルについて、測定された直流導体抵抗、交流導体抵抗および測定時の周波数を簡易的な式(3)に代入することにより、分割導体係数KS1の実測値(算出値)を算出した。
(実効絶縁処理率Rの算出)
上述の実施例1~3、比較例1~3のそれぞれの電力ケーブルについて、分割導体係数KS1の実測値に基づいて、式(1)により実効絶縁処理率Rを算出した。
(断面の観察)
上述の実施例1および比較例1のそれぞれの電力ケーブルを、軸方向に直交する断面で切断し、当該断面の観察を行った。
(3)結果
表3、図6~図8を用い、上述の実験結果について説明する。以下の表3は、上述の参考例1~3、実施例1~3、比較例1~3のそれぞれの電力ケーブルについての実験結果を示す表である。図6は、実効絶縁処理率に対する分割導体係数を示す図である。図7は、実施例1の素線絶縁導体の軸方向と直交する断面図である。図8は、比較例1の素線絶縁導体の一部を拡大した断面図である。
Figure 0007087678000010
(比較例1~3)
表3および図6に示すように、比較例1~3では、実効絶縁処理率Rが80%未満であり、直流導体抵抗および交流導体抵抗に基づいて算出された分割導体係数KS1の実測値が0.3超であった。つまり、比較例1~3のそれぞれでは、分割導体係数KS1の実測値が、参考例1~3のそれぞれに係る全素線絶縁導体の分割導体係数KS1の実測値よりも大きく、また、JCS0501での全素線絶縁導体の分割導体係数KS1の規定値(0.3)超であった。この結果から、比較例1~3のそれぞれでは、各素線の実効的な絶縁処理状態が、全素線絶縁導体の状態よりも低下していたと考えられる。
比較例1~3では、製造方法として従来方法を用い、個別ボビンブレーキ調整なし、革ロープなし、成形ロール導入時の張力差なしとしたため、裸素線と絶縁素線との間に摩擦が生じ、各素線の形状均一性を得ることができなかったと考えられる。
実際、図8に示すように、比較例1では、一部の素線(MD)の扁平率が1/3未満であった。比較例1の製造工程では、素線が過剰に圧縮され、素線同士の摩擦が過剰に生じていた可能性がある。また、比較例1では、隙間(最大隙間MS)の最大面積が素線の断面積の2/3倍超であった。比較例1では、当該隙間内に素線が入り込んでいた可能性があり、隙間内に素線が入り込む際に、素線同士の摩擦が生じていた可能性がある。
以上から、比較例1~3では、素線絶縁導体の製造工程において、裸素線と絶縁素線との間に摩擦が生じていたため、絶縁素線を構成する絶縁層の少なくとも一部が剥離していた可能性がある。絶縁素線を構成する絶縁層の少なくとも一部が剥離していたため、絶縁素線を構成する金属線と裸素線とが接触し、素線絶縁導体の実効表面積が縮小していたと考えられる。その結果、比較例1~3では、表皮効果を抑制する効果が充分に得られなかったと考えられる。
(実施例1~3)
表3および図6に示すように、実施例1~3では、実効絶縁処理率Rが80%以上であり、直流導体抵抗および交流導体抵抗に基づいて算出された分割導体係数KS1の実測値が0.3以下であった。つまり、実施例1~3のそれぞれでは、分割導体係数KS1の実測値が、参考例1~3のそれぞれに係る全素線絶縁導体の分割導体係数KS1の実測値とほぼ同等であり、また、JCS0501での全素線絶縁導体の分割導体係数KS1の規定値(0.3)以下であった。この結果から、実施例1~3のそれぞれでは、各素線の実効的な絶縁処理状態が、全素線絶縁導体の状態と同等以上であったことを確認した。
実施例1~3では、上述のように、製造方法として上述の実施形態の方法を用い、各撚合工程において、個別ボビンブレーキ調整あり、且つ、革ロープありとすることで、複数の外周側素線のそれぞれの張力のばらつきを±5%以内とした。また、各圧縮成形工程において、複数の外周側素線の合計の張力を内周側素線の(合計の)張力以上とした状態で、素線群を圧縮成形した。これにより、実施例1~3では、裸素線と絶縁素線との間における摩擦を抑制し、各素線の形状均一性を得ることができたと考えられる。
実際、図7に示すように、実施例1では、全体として素線の形状がほぼ均一であり、各素線の扁平率が1/3以上であった。これにより、実施例1の製造工程では、素線が過剰な圧縮を抑制し、素線同士の摩擦を抑制することができたことを確認した。また、実施例1では、隙間の最大面積が素線の断面積の2/3倍以下であった。これにより、実施例1では、当該隙間内に素線が入り込むことを抑制し、素線同士の摩擦を抑制することができたことを確認した。
以上から、実施例1~3では、素線絶縁導体の製造工程において、裸素線と絶縁素線との間における摩擦を抑制することで、絶縁素線を構成する絶縁層の剥離を抑制することができたことを確認した。絶縁素線を構成する絶縁層の剥離を抑制することで、全素線絶縁導体の状態と同等以上に、各素線の実効的な絶縁処理状態を確保することができ、素線絶縁導体の実効表面積を大きくすることができたことを確認した。これにより、実施例1~3では、複数の素線の一部に裸素線を混在させたにもかかわらず、全素線絶縁導体で得られる効果と同等以上に、表皮効果を抑制する効果を得ることができたことを確認した。その結果、実施例1~3では、素線絶縁導体の送電効率を比較例1~3よりも安定的に向上させることができたことを確認した。
<本発明の好ましい態様>
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
(付記1)
複数の絶縁素線および複数の裸素線により構成される複数の素線が撚り合せられ、断面扇形に圧縮成形されて設けられる複数のセグメントを有する素線絶縁導体であって、
前記複数のセグメントのそれぞれでの前記複数の素線の総本数に対する前記複数の絶縁素線の本数の比率は、50%以上90%以下であり、
前記複数のセグメントのそれぞれでの前記複数の裸素線は、互いに接しないよう配置され、
温度20℃で測定された直流導体抵抗および交流導体抵抗に基づいて日本電線工業会規格JCS0501に準拠して求められる分割導体係数をKS1としたときに、以下の式(1)から求められる実効絶縁処理率Rは、80%以上である
素線絶縁導体。
R=-400KS1+200 ・・・(1)
(付記2)
複数の絶縁素線および複数の裸素線により構成される複数の素線が撚り合せられ、断面扇形に圧縮成形されて設けられる複数のセグメントを有する素線絶縁導体であって、
前記複数のセグメントのそれぞれでの前記複数の素線の総本数に対する前記複数の絶縁素線の本数の比率は、50%以上90%以下であり、
前記複数のセグメントのそれぞれでの前記複数の裸素線は、互いに接しないよう配置され、
温度20℃で測定された直流導体抵抗および交流導体抵抗に基づいて日本電線工業会規格JCS0501に準拠して求められる分割導体係数KS1は、0.3以上である
素線絶縁導体。
(付記3)
前記素線絶縁導体の軸方向に直交する断面において、前記複数の素線のそれぞれの長手方向の長さに対する短手方向の長さの比率で求められる扁平率は、1/3以上である
付記1又は2に記載の素線絶縁導体。
(付記4)
前記素線絶縁導体の軸方向に直交する断面において、隣り合う前記複数の素線で囲まれる隙間の最大面積は、前記複数の素線のそれぞれの断面積の2/3倍以下である
付記1~3のいずれか1つに記載の素線絶縁導体。
(付記5)
前記複数のセグメントのそれぞれは、
裸素線を含まず、絶縁素線のみにより構成される絶縁素線層と、
前記絶縁素線層の外周に接し、前記絶縁素線層の周方向に隣り合う裸素線の間に少なくとも1本の絶縁素線が介在する複合素線層と、
を有する
付記1~4のいずれか1つに記載の素線絶縁導体。
(付記6)
付記1~5のいずれか1つに記載の素線絶縁導体と、
前記素線絶縁導体の外周を覆うように設けられる絶縁層と、
を有する
電力ケーブル。
(付記7)
複数の絶縁素線および複数の裸素線により構成される複数の素線を撚り合せ、断面扇形に圧縮成形することで、複数のセグメントのそれぞれを形成する工程を有し、
前記複数のセグメントのそれぞれを形成する工程では、
前記複数のセグメントのそれぞれでの前記複数の素線の総本数に対する前記複数の絶縁素線の本数の比率を、50%以上90%以下とし、
前記複数のセグメントのそれぞれでの前記複数の裸素線を、互いに接しないよう配置し、
温度20℃で測定された直流導体抵抗および交流導体抵抗に基づいて日本電線工業会規格JCS0501に準拠して求められる分割導体係数をKS1としたときに、以下の式(1)から求められる実効絶縁処理率Rが80%以上となるよう、前記複数の素線のそれぞれの張力を調整する
素線絶縁導体の製造方法。
R=-400KS1+200 ・・・(1)
(付記8)
前記複数のセグメントのそれぞれを形成する工程では、
少なくとも1つの内周側素線の外周を囲むように複数の外周側素線を撚り合せる工程と、
前記内周側素線および前記複数の外周側素線により構成される素線群を圧縮成形する工程と、
を含むサイクルを所定回数行い、
前記複数の外周側素線を撚り合せる工程では、
前記複数の外周側素線のそれぞれの張力のばらつきを±5%以内とする
付記7に記載の素線絶縁導体の製造方法。
(付記9)
前記複数の外周側素線を撚り合せる工程では、
前記複数の外周側素線を供給する複数のボビンのそれぞれに対してブレーキを働かせることで、前記複数の外周側素線のそれぞれの張力のばらつきを±5%以内とする
付記8に記載の素線絶縁導体の製造方法。
(付記10)
前記複数の外周側素線を撚り合せる工程では、
所定の撚合ダイスを用いて前記複数の外周側素線を撚り合せる前に、該複数の外周側素線の全体の外周を囲むように革ロープを巻き付けることで、前記複数の外周側素線のそれぞれの張力のばらつきを±5%以内とする
付記8又は9に記載の素線絶縁導体の製造方法。
(付記11)
前記複数のセグメントのそれぞれを形成する工程では、
少なくとも1つの内周側素線の外周を囲むように複数の外周側素線を撚り合せる工程と、
前記内周側素線および前記複数の外周側素線により構成される素線群を圧縮成形する工程と、
を含むサイクルを所定回数行い、
前記素線群を圧縮成形する工程では、
前記複数の外周側素線の合計の張力を前記内周側素線の張力以上とした状態で、前記素線群を圧縮成形する
付記7~10のいずれか1つに記載の素線絶縁導体の製造方法。
10 素線絶縁導体
20 セグメント
22 絶縁紙
30 素線群
40 導体製造装置
100 素線
102 絶縁素線
104 裸素線
121~126 第1素線層~第6素線層
140 内周側素線
160 外周側素線
180 隙間
410,411~415 ボビン
420,422~425 回転ケージ
430,432~425 目板
440,442~445 革ロープ
450,452~455 撚合ダイス
460,462~465 成形ロール
460a 成形開口
470 引取キャプスタン
480 ドラム

Claims (6)

  1. 複数の絶縁素線および複数の裸素線により構成される複数の素線が撚り合せられ、断面扇形に圧縮成形されて設けられる複数のセグメントを有する素線絶縁導体であって、
    前記複数のセグメントのそれぞれでの前記複数の素線の総本数に対する前記複数の絶縁素線の本数の比率は、50%以上90%以下であり、
    前記複数のセグメントのそれぞれでの前記複数の裸素線は、互いに接しないよう配置され、
    温度20℃で測定された直流導体抵抗および交流導体抵抗に基づいて日本電線工業会規格JCS0501に準拠して求められる分割導体係数をKS1としたときに、以下の式(1)から求められる実効絶縁処理率Rは、80%以上である
    素線絶縁導体。
    R=-400KS1+200 ・・・(1)
  2. 複数の絶縁素線および複数の裸素線により構成される複数の素線が撚り合せられ、断面扇形に圧縮成形されて設けられる複数のセグメントを有する素線絶縁導体であって、
    前記複数のセグメントのそれぞれでの前記複数の素線の総本数に対する前記複数の絶縁素線の本数の比率は、50%以上90%以下であり、
    前記複数のセグメントのそれぞれでの前記複数の裸素線は、互いに接しないよう配置され、
    温度20℃で測定された直流導体抵抗および交流導体抵抗に基づいて日本電線工業会規格JCS0501に準拠して求められる分割導体係数K S1 は、0.3以下である
    素線絶縁導体。
  3. 前記素線絶縁導体の軸方向に直交する断面において、前記複数の素線のそれぞれの長手方向の長さに対する短手方向の長さの比率で求められる扁平率は、1/3以上である
    請求項1又は請求項2に記載の素線絶縁導体。
  4. 前記素線絶縁導体の軸方向に直交する断面において、隣り合う前記複数の素線で囲まれる隙間の最大面積は、前記複数の素線のそれぞれの断面積の2/3倍以下である
    請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の素線絶縁導体。
  5. 複数の絶縁素線および複数の裸素線により構成される複数の素線を撚り合せ、断面扇形に圧縮成形することで、複数のセグメントのそれぞれを形成する工程を有し、
    前記複数のセグメントのそれぞれを形成する工程では、
    前記複数のセグメントのそれぞれでの前記複数の素線の総本数に対する前記複数の絶縁素線の本数の比率を、50%以上90%以下とし、
    前記複数のセグメントのそれぞれでの前記複数の裸素線を、互いに接しないよう配置し、
    温度20℃で測定された直流導体抵抗および交流導体抵抗に基づいて日本電線工業会規格JCS0501に準拠して求められる分割導体係数をKS1としたときに、以下の式(1)から求められる実効絶縁処理率Rが80%以上となるよう、前記複数の素線のそれぞれの張力を調整する
    素線絶縁導体の製造方法。
    R=-400KS1+200 ・・・(1)
  6. 複数の絶縁素線および複数の裸素線により構成される複数の素線を撚り合せ、断面扇形に圧縮成形することで、複数のセグメントのそれぞれを形成する工程を有し、
    前記複数のセグメントのそれぞれを形成する工程では、
    前記複数のセグメントのそれぞれでの前記複数の素線の総本数に対する前記複数の絶縁素線の本数の比率を、50%以上90%以下とし、
    前記複数のセグメントのそれぞれでの前記複数の裸素線を、互いに接しないよう配置し、
    温度20℃で測定された直流導体抵抗および交流導体抵抗に基づいて日本電線工業会規格JCS0501に準拠して求められる分割導体係数K S1 が0.3以下となるよう、前記複数の素線のそれぞれの張力を調整する
    素線絶縁導体の製造方法。
JP2018101438A 2018-05-28 2018-05-28 素線絶縁導体および素線絶縁導体の製造方法 Active JP7087678B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018101438A JP7087678B2 (ja) 2018-05-28 2018-05-28 素線絶縁導体および素線絶縁導体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018101438A JP7087678B2 (ja) 2018-05-28 2018-05-28 素線絶縁導体および素線絶縁導体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019207758A JP2019207758A (ja) 2019-12-05
JP7087678B2 true JP7087678B2 (ja) 2022-06-21

Family

ID=68767806

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018101438A Active JP7087678B2 (ja) 2018-05-28 2018-05-28 素線絶縁導体および素線絶縁導体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7087678B2 (ja)

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014056714A (ja) * 2012-09-12 2014-03-27 Viscas Corp 電力ケーブル用素線絶縁分割導体

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019207758A (ja) 2019-12-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4571453A (en) Conductor for an electrical power cable
US9324476B2 (en) Insulated winding wire
US10249412B2 (en) Composite cable
CN103339690B (zh) 多芯线缆及其制造方法
KR101117897B1 (ko) 조작용 인너 케이블
US10056172B2 (en) Method for producing a coaxial cable
WO2013108895A1 (ja) ケーブル
RU2467422C2 (ru) Провод из нескольких жил и способ его изготовления
CN102117678A (zh) 多芯电缆
CN102938263B (zh) 一种具有分裂导体结构的小截面电缆及其制造方法
US2106060A (en) Electric cable
JP6893496B2 (ja) 同軸ケーブル
JP7087678B2 (ja) 素線絶縁導体および素線絶縁導体の製造方法
CN102969091A (zh) 交联聚乙烯绝缘电力电缆绝缘线芯屏蔽处理方法
US3728474A (en) Shielded power cable
WO2005122188A1 (ja) 高精度発泡同軸ケーブル
KR100613954B1 (ko) 동축케이블, 다심케이블 및 그것을 사용한 전자기기
JP3606141B2 (ja) 同軸素線、同軸ケーブル及びそれを用いた電子機器
JP2017079140A (ja) 電力ケーブル
JP6381569B2 (ja) 撚線導体
CN114156009A (zh) 电缆
RU2690160C1 (ru) Симметричный кабель для передачи данных
CN216388863U (zh) 中高压电力电缆
JP7070651B1 (ja) ケーブル
JP2000090744A (ja) 鋼心アルミ撚線

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20201221

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210929

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20211005

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20211112

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20211208

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220510

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220523

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7087678

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150