以下、実施の形態1に係る冷媒分配器50について図面等を参照しながら説明する。なお、図1を含む以下の図面では、各構成部材の相対的な寸法の関係及び形状等が実際のものとは異なる場合がある。また、以下の図面において、同一の符号を付したものは、同一又はこれに相当するものであり、このことは明細書の全文において共通することとする。また、理解を容易にするために方向を表す用語(例えば「上」、「下」、「右」、「左」、「前」、「後」など)を適宜用いるが、それらの表記は、説明の便宜上、そのように記載しているだけであって、装置あるいは部品の配置及び向きを限定するものではない。明細書中において、各構成部材同士の位置関係、各構成部材の延伸方向、及び各構成部材の並列方向は、原則として、熱交換器が使用可能な状態に設置されたときのものである。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る冷媒分配器50を備えた冷凍サイクル装置100の構成を示す冷媒回路図である。まず、図1を用いて冷媒分配器50を備えた冷凍サイクル装置100について説明する。なお、図1において、点線で示す矢印は、冷媒回路110において、冷房運転時における冷媒の流れる方向を示すものであり、実線で示す矢印は、暖房運転時における冷媒の流れる方向を示すものである。本実施の形態では、冷凍サイクル装置100として空気調和装置を例示しているが、冷凍サイクル装置100は、例えば、冷蔵庫あるいは冷凍庫、自動販売機、空気調和装置、冷凍装置、給湯器などの、冷凍用途または空調用途に使用される。
冷凍サイクル装置100は、圧縮機101、流路切替装置102、室内熱交換器103、減圧装置104及び室外熱交換器105が冷媒配管を介して環状に接続された冷媒回路110を有している。また、冷凍サイクル装置100は、室内熱交換器103、室外熱交換器105のいずれか一方又は双方に接続された冷媒分配器50を有する。冷凍サイクル装置100は、室外機106及び室内機107を有している。室外機106には、圧縮機101、流路切替装置102、室外熱交換器105、冷媒分配器50及び減圧装置104と、室外熱交換器105に室外空気を供給する室外送風機108と、が収容されている。室内機107には、室内熱交換器103と、冷媒分配器50と、室内熱交換器103に空気を供給する室内送風機109と、が収容されている。室外機106と室内機107との間は、冷媒配管の一部である2本の延長配管111及び延長配管112を介して接続されている。
圧縮機101は、吸入した冷媒を圧縮して吐出する流体機械である。流路切替装置102は、例えば四方弁であり、制御装置(図示は省略)の制御により、冷房運転時と暖房運転時とで冷媒の流路を切り替える装置である。室内熱交換器103は、内部を流通する冷媒と、室内送風機109により供給される室内空気と、の熱交換を行う熱交換器である。室内熱交換器103は、暖房運転時には凝縮器として機能し、冷房運転時には蒸発器として機能する。減圧装置104は、例えば膨張弁であり、冷媒を減圧させる装置である。減圧装置104としては、制御装置の制御により開度が調節される電子膨張弁を用いることができる。室外熱交換器105は、内部を流通する冷媒と、室外送風機108により供給される空気と、の熱交換を行う熱交換器である。室外熱交換器105は、暖房運転時には蒸発器として機能し、冷房運転時には凝縮器として機能する。
室外熱交換器105及び室内熱交換器103の少なくとも一方には、後述する熱交換器80が用いられている。熱交換器80に接続される冷媒分配器50は、熱交換器80において液相冷媒がより多くなる位置に配置されるのが望ましい。具体的には、冷媒分配器50は、冷媒回路110での冷媒の流れにおいて、蒸発器として機能する熱交換器80の入口側、すなわち凝縮器として機能する熱交換器80の出口側に配置されるのが望ましい。なお、冷媒分配器50は、室内熱交換器103と室外熱交換器105との両方の熱交換器に用いられているが、室内熱交換器103又は室外熱交換器105のいずれか一方の熱交換器にのみ用いられてもよい。
図2は、実施の形態1に係る冷媒分配器50を備えた熱交換器80の要部構成を示す分解斜視図である。図3は、実施の形態1に係る冷媒分配器50を備えた熱交換器80の要部構成を示す側面図である。図1~図3を用いて、実施の形態1に係る冷媒分配器50及び熱交換器80について説明する。なお、図に示す矢印Aは距離Aの一例を表しており、距離Aは、後述する第1分配流路15aにおいて、本体51の一方の端部51aから他方の端部51bに向かう距離である。また、矢印Bは距離Bの一例を表しており、距離Bは、後述する第2分配流路16aにおいて、本体51の一方の端部51aから他方の端部51bに向かう距離である。また、図2及び図3において、ハッチングで示した矢印Fは、冷媒分配器50の第1流路部15及び第2流路部16を流れる冷媒の方向を示すものである。冷媒分配器50は、冷凍サイクル装置100に適用される場合、熱交換器80が蒸発機として運転する場合の伝熱管70の入口側に接続される。冷媒分配器50が接続される熱交換器80は、空気と冷媒との熱交換を行う空気熱交換器であり、少なくとも冷凍サイクル装置100の蒸発器として機能する。
図2に示すように、熱交換器80は、冷媒を流通させる複数の伝熱管70と、複数の伝熱管70のそれぞれの延伸方向の一端に接続された冷媒分配器50と、冷媒分配器50の下部に取り付けられた冷媒流入管60と、を有している。なお、以下の説明では、伝熱管70は、扁平管として説明しているが、伝熱管70に円管を用いてもよい。
複数の伝熱管70は、扁平管である。複数の伝熱管70のそれぞれは、水平方向に延伸している。複数の伝熱管70は、互いに上下方向に並列している。複数の伝熱管70のうち隣り合う2つの伝熱管70の間には、空気の流路となる隙間71が形成されている。隣り合う2つの伝熱管70の間には、伝熱フィン75が設けられていてもよい。図示していないが、複数の伝熱管70のそれぞれの延伸方向の他端には、例えば円筒形状を有する冷媒集合管が接続されている。熱交換器80が冷凍サイクル装置100の蒸発器として機能する場合、複数の伝熱管70のそれぞれでは、上記一端から上記他端に向かって冷媒が流れる。熱交換器80が冷凍サイクル装置100の凝縮器として機能する場合、複数の伝熱管70のそれぞれでは、上記他端から上記一端に向かって冷媒が流れる。
図4は、実施の形態1に係る冷媒分配器50に接続される伝熱管70の構成を示す断面図である。図4では、伝熱管70の延伸方向と垂直な断面を示している。図4に示すように、伝熱管70は、長円形状等の一方向に扁平な断面形状を有している。伝熱管70は、第1側端部70a及び第2側端部70bと一対の平坦面70c及び平坦面70dとを有している。図3に示す断面において、第1側端部70aは、平坦面70cの一方の端部と平坦面70dの一方の端部とに接続されている。同断面において、第2側端部70bは、平坦面70cの他方の端部と平坦面70dの他方の端部とに接続されている。第1側端部70aは、熱交換器を通過する空気の流れにおいて風上側、すなわち前縁側に配置される側端部である。第2側端部70bは、熱交換器を通過する空気の流れにおいて風下側、すなわち後縁側に配置される側端部である。以下、伝熱管70の延伸方向と垂直であってかつ平坦面70c及び平坦面70dに沿う方向を、伝熱管70の長軸方向という場合がある。図4では、伝熱管70の長軸方向は左右方向である。伝熱管70の長軸方向での長径寸法はLA1である。
伝熱管70には、長軸方向に沿って第1側端部70aと第2側端部70bとの間に配列した複数の冷媒通路72が形成されている。伝熱管70は、冷媒の流れる冷媒通路72が空気の流れ方向に複数配列された扁平多孔管である。複数の冷媒通路72のそれぞれは、伝熱管70の延伸方向と平行に延びるように形成されている。
図2及び図3に戻り、冷媒分配器50は、第1方向に間隔を空けて配列され、冷媒を内部に流通させる複数の伝熱管70を備えた熱交換器80に接続される。なお、第1方向とは、複数の伝熱管70の配列方向であり、複数の伝熱管70が並ぶ方向である。冷媒分配器50の本体51は、複数の伝熱管70の配列方向に沿って上下方向に延伸するように形成されている。冷媒分配器50の本体51は、複数の伝熱管70の延伸方向において、一方の側面側に第1冷媒流入口18aと第2冷媒流入口18bとの2つの冷媒流入口18が形成され、他方の側面側に複数の伝熱管70が挿入される複数の挿入孔41が形成されている。第1冷媒流入口18aと第2冷媒流入口18bとは、第1方向において本体51の一方の端部51a側に形成されている。例えば、第1冷媒流入口18aと第2冷媒流入口18bとは、複数の伝熱管70の配列方向である第1方向に対して垂直な方向に並んで形成されている。この場合、第1冷媒流入口18aの中心位置と第2冷媒流入口18bの中心位置とが、一方の端部51aから異なる距離にあってもよい。また、第1冷媒流入口18a及び第2冷媒流入口18bは、例えば、第1方向において、後述する連通孔部25のうち、最も下側に形成された連通孔部25よりも下方に形成されている。ただし、第1冷媒流入口18a及び第2冷媒流入口18bは、第1方向において、最も下側に形成された連通孔部25よりも下方に形成されているものに限定されるものではない。
冷媒分配器50の本体51は、第1板状部材10、第2板状部材20、第3板状部材30及び第4板状部材40を有している。第1板状部材10、第2板状部材20、第3板状部材30及び第4板状部材40はいずれも、金属平板を用いて形成され、一方向に長い帯状の形状を有している。第1板状部材10、第2板状部材20、第3板状部材30及び第4板状部材40のそれぞれの外縁の輪郭は、互いに同一の形状を有している。第1板状部材10、第2板状部材20、第3板状部材30及び第4板状部材40は、それぞれの板厚方向が伝熱管70の延伸方向と平行になるように、すなわち、それぞれの板面が伝熱管70の延伸方向と垂直になるように配置されている。
冷媒分配器50の本体51は、第1板状部材10、第2板状部材20、第3板状部材30及び第4板状部材40が、伝熱管70からの距離が遠い方からこの順に積層された構成を有している。伝熱管70からの距離が最も遠いのは第1板状部材10であり、伝熱管70からの距離が最も近いのは第4板状部材40である。第2板状部材20は、第1板状部材10と伝熱管70との間に配置されており、第1板状部材10と隣接している。第3板状部材30は、第2板状部材20と伝熱管70との間に配置されており、第2板状部材20と隣接している。第4板状部材40は、第3板状部材30と伝熱管70との間に配置されており、第3板状部材30と隣接している。第4板状部材40には、複数の伝熱管70のそれぞれの一端が接続されている。第1板状部材10、第2板状部材20、第3板状部材30及び第4板状部材40のうち隣接する部材同士は、ろう付けによって接合されている。第1板状部材10、第2板状部材20、第3板状部材30及び第4板状部材40は、それぞれの長手方向が上下方向に沿うように配置されている。
図5は、実施の形態1に係る冷媒分配器50の構成を示す断面図である。図5では、伝熱管70の延伸方向及び長軸方向と平行な方向における冷媒分配器50の断面を示している。第1板状部材10、第2板状部材20、第3板状部材30及び第4板状部材40のそれぞれの板厚方向は、図5の左右方向であり、伝熱管70の延伸方向である。第1板状部材10、第2板状部材20、第3板状部材30及び第4板状部材40のそれぞれの短手方向は、図5の上下方向であり、伝熱管70の長軸方向である。
図2及び図5に示すように、第1板状部材10は、伝熱管70から離れる方向に膨出した第1流路部15と、同様に、伝熱管70から離れる方向に膨出した第2流路部16とを有している。第1流路部15と第2流路部16とは、第1板状部材10の短手方向において並列して形成されている。第1流路部15内に形成された第1分配流路15aと、第2流路部16内に形成された第2分配流路16aとは、互いに異なる流路断面積を有するように形成されている。ここで、第1分配流路15aにおいて、本体51の一方の端部51aから他方の端部51bに向かう距離を距離Aと定義し、第2分配流路16aにおいて、本体51の一方の端部51aから他方の端部51bに向かう距離を距離Bと定義する。冷媒分配器50は、距離Aと距離Bとが等しい位置において、第1分配流路15aと第2分配流路16aの流路断面積が異なるように流路形状が異なっている。あるいは、冷媒分配器50は、第1方向に沿って複数形成された後述する連通孔部25のうち、ある1つの連通孔部25の形成位置と対応する位置において、第1分配流路15aと第2分配流路16aの流路断面積が異なるように流路形状が異なっている。
第1流路部15は、第1板状部材10の長手方向に沿って、第1板状部材10の長手方向一端から長手方向他端まで延伸している。第1流路部15は、半円筒形状に形成されている。第1流路部15の延伸方向の両端は閉塞されている。第1流路部15は、半円状、半楕円状又は半長円状の断面形状を有している。ただし、第1流路部15の断面形状は、半円状、半楕円状又は半長円状に限定されるものはなく、例えば、矩形状であってもよい。また、第1板状部材10は、第1流路部15を挟んだ両側に、平板状に形成された平板部11a及び平板部11bを有している。平板部11a及び平板部11bはいずれも、第1板状部材10の長手方向に沿って、第1板状部材10の長手方向一端から長手方向他端まで延伸している。
第2流路部16は、第1板状部材10の長手方向に沿って、第1板状部材10の長手方向一端から長手方向他端まで延伸している。第2流路部16は、半円筒形状に形成されている。第2流路部16の延伸方向の両端は閉塞されている。第2流路部16は、半円状、半楕円状又は半長円状の断面形状を有している。ただし、第2流路部16の断面形状は、半円状、半楕円状又は半長円状に限定されるものはなく、例えば、矩形状であってもよい。また、例えば、第1流路部15が半円形状であり、第2流路部16が矩形状等、異なる形状であってもよい。第1板状部材10は、第2流路部16を挟んだ両側に、平板状に形成された平板部11b及び平板部11cを有している。平板部11b及び平板部11cはいずれも、第1板状部材10の長手方向に沿って、第1板状部材10の長手方向一端から長手方向他端まで延伸している。第1流路部15と第2流路部16とは、平板部11bを介して並んで配置されている。
第1流路部15の内側には、第1板状部材10の長手方向に沿って上下方向に延伸した第1分配流路15aが形成されている。第1分配流路15aは、第1冷媒流入口18aと連通し、第2分配流路16aと並列して、複数の伝熱管70の配列方向である第1方向に延びるように形成されている。第1分配流路15aは、第1板状部材10の板厚方向に見たとき、複数の伝熱管70のそれぞれと交差して延伸している。第1分配流路15aは、半円状、半楕円状又は半長円状の断面形状を有している。すなわち、第1分配流路15aは、半円筒状、半楕円筒状又は半長円筒状に形成された空間である。ただし、第1分配流路15aの断面形状は、半円状、半楕円状又は半長円状に限定されるものはなく、例えば、矩形状であってもよい。
第1分配流路15aの断面積は、第2分配流路16aの断面積よりも小さい。第1分配流路15aは、延伸方向の端部で冷媒流入管60と連通している。冷媒流入管60を介して第1分配流路15aに流入する気液二相冷媒は、矢印Fで示すように、第1分配流路15aを上向きに流れて、各伝熱管70に分配される。
第1分配流路15aの幅方向は、第1板状部材10の短手方向と平行である。第1分配流路15aの幅方向での寸法は、伝熱管70の長径寸法LA1よりも小さくなっている。第1分配流路15aの形状を半円筒状、半楕円筒状又は半長円筒状にすることにより、円筒状の分配流路と比較して、第1分配流路15aの内容積を小さくすることができる。したがって、実施の形態1に係る冷媒分配器50を備えた冷凍サイクル装置100は、冷媒量を削減することが可能になる。
第2流路部16の内側には、第1板状部材10の長手方向に沿って上下方向に延伸した第2分配流路16aが形成されている。第2分配流路16aは、第2冷媒流入口18bと連通し、第1分配流路15aと並列して、複数の伝熱管70の配列方向である第1方向に延びるように形成されている。第2分配流路16aは、第1板状部材10の板厚方向に見たとき、複数の伝熱管70のそれぞれと交差して延伸している。第2分配流路16aは、半円状、半楕円状又は半長円状の断面形状を有している。すなわち、第2分配流路16aは、半円筒状、半楕円筒状又は半長円筒状に形成された空間である。ただし、第2分配流路16aの断面形状は、半円状、半楕円状又は半長円状に限定されるものはなく、例えば、矩形状であってもよい。
第2分配流路16aの断面積は、第1分配流路15aの断面積よりも大きい。第2分配流路16aは、延伸方向の端部で冷媒流入管60と連通している。冷媒流入管60を介して第2分配流路16aに流入する気液二相冷媒は、矢印Fで示すように、第2分配流路16aを上向きに流れて、各伝熱管70に分配される。
第2分配流路16aの幅方向は、第1板状部材10の短手方向と平行である。第2分配流路16aの幅方向での寸法は、伝熱管70の長径寸法LA1よりも小さくなっている。第2分配流路16aの形状を半円筒状、半楕円筒状又は半長円筒状にすることにより、円筒状の分配流路と比較して、第2分配流路16aの内容積を小さくすることができる。したがって、実施の形態1に係る冷媒分配器50を備えた冷凍サイクル装置100では、冷媒量を削減することが可能になる。
上述したように、第1分配流路15a及び第2分配流路16aの下端部には、冷媒流入管60が連通している。冷媒流入管60は、熱交換器80が蒸発器として機能する際、第1分配流路15aと第2分配流路16aとに気液二相冷媒を流入させる。冷媒流入管60は、基部61と、第1分配管62と、第2分配管63とを有する。第1分配管62と、第2分配管63とは、基部61の端部で二股に分かれるように形成されている。第1分配管62は、第1流路部15と接続されて第1分配流路15aと連通し、第2分配管63は、第2流路部16と接続されて第2分配流路16aと連通する。冷媒流入管60と、第1流路部15及び第2流路部16との接続位置が、冷媒分配器50に冷媒が流入する冷媒流入口18となる。なお、熱交換器80が凝縮器として機能する際には、液冷媒が第1分配流路15a及び第2分配流路16aを下向きに流れて冷媒流入管60を介して流出する。
第2板状部材20は、それぞれ円形の開口形状を有する複数の連通孔部25を有する。複数の連通孔部25のそれぞれは、第2板状部材20を貫通する貫通孔を形成し、複数の伝熱管70のそれぞれに対応して設けられている。複数の連通孔部25のそれぞれは、第2板状部材20を第2板状部材20の板厚方向に貫通している。連通孔部25の開口形状は、円形状であるが、円形状に限定されるものではなく、例えば、半円状、半楕円状、半長円状又は矩形状であってもよい。なお、複数の連通孔部25の流路断面積は、それぞれ同じ大きさである。ただし、複数の連通孔部25の流路断面積は、それぞれ同じ大きさのものに限定されるものではなく、異なる大きさに形成されてもよい。複数の連通孔部25のそれぞれの流路断面積は、複数の伝熱管70のそれぞれの流路断面積、すなわち各伝熱管70に形成された複数の冷媒通路72の流路断面積の総和よりも小さくなっている。また、複数の連通孔部25のそれぞれの流路断面積は、後述する複数の貫通孔部31のそれぞれの開口面積よりも小さくなっている。
複数の連通孔部25は、第2板状部材20の長手方向に沿って上下方向に配列している。また、連通孔部25は、第2板状部材20の短手方向に沿って2つ並んで形成されている。すなわち、上下方向に並んだ複数の連通孔部25によって形成される連通孔部25の列は、第2板状部材20の短手方向において2つ形成されている。ここで、一方の列に配置された複数の連通孔部25のまとまりを第1連通孔群125aと称する。第1連通孔群125aは、複数の伝熱管70が配列される第1方向に沿って形成され、複数の合流流路32のそれぞれと第1分配流路15aとを連通させる複数の連通孔部25から構成されている。また、他方の列に配置された複数の連通孔部25のまとまりを第2連通孔群125bと称する。第2連通孔群125bは、複数の伝熱管70が配列される第1方向に沿って形成され、複数の合流流路32のそれぞれと第2分配流路16aとを連通させる複数の連通孔部25から構成されている。
第1連通孔群125aの複数の連通孔部25はいずれも、第2板状部材20の板厚方向に見たとき、第1板状部材10の第1分配流路15aと重なるように形成されている。また、第1連通孔群125aの複数の連通孔部25のそれぞれは、第2板状部材20の板厚方向に見たとき、後述する第3板状部材30の複数の合流流路32のそれぞれと重なるように形成されている。さらに、第1連通孔群125aの複数の連通孔部25のそれぞれは、第2板状部材20の板厚方向に見たとき、複数の伝熱管70のそれぞれと重なるように形成されている。したがって、第1板状部材10の第1分配流路15aと、複数の伝熱管70のそれぞれとは、第1連通孔群125aの複数の連通孔部25を介して連通する。
第2連通孔群125bの複数の連通孔部25はいずれも、第2板状部材20の板厚方向に見たとき、第1板状部材10の第2分配流路16aと重なるように形成されている。また、第2連通孔群125bの複数の連通孔部25のそれぞれは、第2板状部材20の板厚方向に見たとき、第3板状部材30の複数の合流流路32のそれぞれと重なるように形成されている。さらに、第2連通孔群125bの複数の連通孔部25のそれぞれは、第2板状部材20の板厚方向に見たとき、複数の伝熱管70のそれぞれと重なるように形成されている。したがって、第1板状部材10の第2分配流路16aと、複数の伝熱管70のそれぞれとは、第2連通孔群125bの複数の連通孔部25を介して連通する。
また、第2板状部材20は、平板状の閉塞部24を有している。閉塞部24の一部は、第2板状部材20の板厚方向に見たときに第1板状部材10の第1分配流路15a及び第2分配流路16aと重なる。閉塞部24は、第1分配流路15a及び第2分配流路16aと複数の伝熱管70のそれぞれとが、連通孔部25を介さずに直接連通するのを防ぐ機能を有している。
第3板状部材30は、第2板状部材20と第4板状部材40との間に配置されている。第3板状部材30は、複数の貫通孔部31を有している。複数の貫通孔部31のそれぞれは、第3板状部材30を貫通する貫通孔を形成し、第3板状部材30を第3板状部材30の板厚方向に貫通している。複数の貫通孔部31は、複数の伝熱管70のそれぞれと対応して互いに独立して設けられている。複数の貫通孔部31は、第3板状部材30の長手方向に沿って上下方向に並列して形成されている。
貫通孔部31は、伝熱管70の外周形状と同様に扁平な開口形状を有している。各貫通孔部31の開口面積は、第4板状部材40の各挿入孔41の開口面積と同一又はそれより大きくなっている。伝熱管70の延伸方向に沿って見たとき、貫通孔部31の開口端は、伝熱管70の外周面と重なっているか、又は当該外周面よりも外側に位置している。
各貫通孔部31の内部には、各伝熱管70に対応して設けられた合流流路32が形成されている。合流流路32は、複数の伝熱管70が本体51に挿入された場合に複数の伝熱管70と連通し、第1分配流路15aと第2分配流路16aとを流れた冷媒が合流する空間である。伝熱管70の一端は、第4板状部材40の挿入孔41を貫通して合流流路32にまで達している。伝熱管70の一端に形成された複数の冷媒通路72の開口端は、いずれも合流流路32に面している。伝熱管70の複数の冷媒通路72のそれぞれは、合流流路32及び連通孔部25を介して、第1分配流路15a及び第2分配流路16aと連通している。合流流路32は、第1分配流路15aを流れ、第1連通孔群125aの連通孔部25を通過した冷媒と、第2分配流路16aを流れ、第2連通孔群125bの連通孔部25を通過した冷媒とが合流する空間である。第1分配流路15aと第2分配流路16aとをそれぞれ流れてきた冷媒は合流流路32で合流した後、伝熱管70の冷媒通路72に流入する。
第4板状部材40には、複数の伝熱管70の一端がそれぞれ挿入される複数の挿入孔41が形成されている。複数の挿入孔41のそれぞれは、第4板状部材40を第4板状部材40の板厚方向に貫通している。複数の挿入孔41は、第4板状部材40の長手方向に沿って上下方向に並列している。挿入孔41は、伝熱管70の外周形状と同様に扁平な開口形状を有している。挿入孔41の開口端は、ろう付けにより伝熱管70の外周面と全周にわたって接合されている。
次に、図1を用いて冷凍サイクル装置100の動作について説明する。冷凍サイクル装置100の暖房運転時には、圧縮機101から吐出される高圧高温のガス状態の冷媒は、流路切替装置102を介して室内熱交換器103に流入し、室内送風機109によって供給される空気と熱交換を行い凝縮する。凝縮した冷媒は、高圧の液状態となり、室内熱交換器103から流出し、減圧装置104によって、低圧の気液二相状態となる。低圧の気液二相状態の冷媒は、冷媒分配器50によって室外熱交換器105の各伝熱管70に分配され、室外送風機108によって供給される空気との熱交換によって蒸発する。蒸発した冷媒は、低圧のガス状態となり、圧縮機101に吸入される。
冷凍サイクル装置100冷房運転時には、冷媒回路110を流れる冷媒が暖房運転時とは逆方向に流れる。すなわち、冷凍サイクル装置100の冷房運転時には、圧縮機101から吐出される高圧高温のガス状態の冷媒は、流路切替装置102を介して室外熱交換器105に流入し、室外送風機108によって供給される空気と熱交換を行い凝縮する。凝縮した冷媒は、高圧の液状態となり、室外熱交換器105から流出し、減圧装置104によって、低圧の気液二相状態となる。低圧の気液二相状態の冷媒は、冷媒分配器50によって室内熱交換器103の各伝熱管70に分配され、室内送風機109によって供給される空気との熱交換によって蒸発する。蒸発した冷媒は、低圧のガス状態となり、圧縮機101に吸入される。
次に、実施の形態1に係る冷媒分配器50の動作について、熱交換器80が冷凍サイクル装置100の蒸発器として機能する際の動作を例に挙げて説明する。冷凍サイクル装置100が暖房運転の場合、減圧装置104から蒸発器として機能する熱交換器80の冷媒分配器50に流入する冷媒は、減圧装置104で減圧された気液二相冷媒である。この気液二相冷媒は、冷媒流入管60から冷媒分配器50に流入し、第1板状部材10に並列に設けられた第1分配流路15aと第2分配流路16aとの2つの分配流路を上向きに流れる。
第1分配流路15aと第2分配流路16aとの2つの分配流路を流れた冷媒は、第1連通孔群125aと第2連通孔群125bを介して各伝熱管70に対応する高さに分配される。第1連通孔群125a及び第2連通孔群125bは、第2板状部材20において各伝熱管70に対応するように形成されており、第1分配流路15a及び第2分配流路16aと合流流路32とを連通する。
流路の断面積が第2分配流路16aと比較して小さい第1分配流路15aを流れた冷媒は、第1分配流路15aと連通する第1連通孔群125aの内で所定の高さの連通孔部25を通過する冷媒流量が最大となるように分配される。また、流路の断面積が第1分配流路15aと比較して大きい第2分配流路16aを流れた冷媒は、第2分配流路16aと連通する第2連通孔群125bの内で所定の高さの連通孔部25を通過する冷媒流量が最大となるように分配される。このとき、第2連通孔群125bにおいて冷媒流量が最大となる連通孔部25の位置は、第1連通孔群125aにおいて冷媒流量が最大となる連通孔部25の位置よりも低い位置、すなわち、冷媒流入管60の接続位置と近い位置となる。
図6は、実施の形態1に係る冷媒分配器50の冷媒分配を示す概念図である。なお、図6において、横軸は、冷媒液流量[kg/h]を表し、縦軸は、伝熱管70が配列する第1方向において、冷媒流入口18からの距離を表している。また、図6において、点線Aは、第1分配流路15aを流れる冷媒の流量を示し、破線Bは、第2分配流路16aを流れる冷媒の流量を示す。また、実線Cは、第1分配流路15aを流れる冷媒の流量と、第2分配流路16aを流れる冷媒の流量との合計流量を示す。さらに、一点鎖線Dは、第1分配流路15aを流れる冷媒の流量と、第2分配流路16aを流れる冷媒の流量との合計流量が、冷媒流入口18からの距離において均等な場合を示した線である。また、図6に示す点M1は、第1分配流路15aにおける最大冷媒流量とその距離を表しており、図6に示す点M2は、第2分配流路16aにおける最大冷媒流量とその距離を表している。
図6の点線Aで示すように、第1連通孔群125aを構成する複数の連通孔部25の中で通過する冷媒の流量が最大となる連通孔部25と、第1冷媒流入口18aとの間を第1距離L1とする。そして、破線Bで示すように、第2連通孔群125bを構成する複数の連通孔部25の中で通過する冷媒の流量が最大となる連通孔部25と、第2冷媒流入口18bとの間を第2距離L2とする。この場合、冷媒分配器50は、第1距離L1と第2距離L2とが異なる距離である。
図6の点線A及び破線Bに示すように、第1連通孔群125aにおいて冷媒流量が最大となる連通孔部25の位置は、第2連通孔群125bにおいて冷媒流量が最大となる連通孔部25の位置よりも冷媒流入口18から離れた位置となる。換言すれば、図6の点線A及び破線Bに示すように、第2連通孔群125bにおいて冷媒流量が最大となる連通孔部25の位置は、第1連通孔群125aにおいて冷媒流量が最大となる連通孔部25の位置よりも冷媒流入口18から近い位置となる。
第1分配流路15aは、第2分配流路16aと比較して断面積が小さい。そのため、第1分配流路15aを流れる冷媒の流速は、第2分配流路16aを流れる冷媒の流速と比較して速くなる。そのため、第1分配流路15aを流れる冷媒は、第2分配流路16aを流れる冷媒よりも、冷媒流入口18から離れた位置まで流速を保ったまま流れることができる。例えば、第1分配流路15a及び第2分配流路16aの延伸方向が鉛直方向であった場合に、第1分配流路15aを流れる冷媒は、第2分配流路16aを流れる冷媒よりも、冷媒流入口18から高い位置まで流速を保ったまま到達することができる。すなわち、冷媒分配器50は、第1分配流路15aを流れる冷媒の流速と、第2分配流路16aを流れる冷媒の流速とを流路断面積の大きさの違いで制御している。
第1分配流路15aと第2分配流路16aとの2つの分配流路を流れ、冷媒流入口18から異なる距離で冷媒流量が最大となるように分配された冷媒は、第3板状部材30によって各伝熱管70高さに設けられた合流流路32でそれぞれ合流する。図6の実線Cで示すように、第1分配流路15aを流れる冷媒の流量と、第2分配流路16aを流れる冷媒の流量との合計された流量は、一点鎖線Dに近づいている。すなわち、第1分配流路15aを流れる冷媒の流量と、第2分配流路16aを流れる冷媒の流量との合計された流量は、冷媒流入口18からの距離に対する偏流が抑制され、複数の伝熱管70に分配される冷媒流量を均一化することができる。
一般的に、冷媒分配器は、気液二相冷媒が上向きに流れる分配流路の冷媒流速が高いほど、冷媒流入口から遠い上側の伝熱管に冷媒流量が多く分配される。冷媒分配器50は、上記のように、第1分配流路15aの流路断面積と、第2分配流路16aの流路断面積とが異なるように形成されている。冷媒分配器50は、流路断面積が大きい第2分配流路16aによって下側の伝熱管70に冷媒が多く分配され、流路断面積が小さい第1分配流路15aによって上側の伝熱管70に冷媒が多く分配される。そして、冷媒分配器50は、第2分配流路16aを流れる冷媒と、第1分配流路15aを流れる冷媒とを合流流路32で合流させて各伝熱管70に流す。そのため、冷媒分配器50は、各伝熱管70に流入する冷媒の分配を均一化し、熱交換器80の性能を向上させることができる。
また、冷媒分配器50の本体51は、上記の構成を有する第1板状部材10と、第2板状部材20と、第3板状部材30と、第4板状部材40とが積層されて形成されている。冷媒分配器50は、伝熱管70が直接挿入される保持部材と、第1分配流路15a及び第2分配流路16aとを別部品に分離することにより、第1分配流路15a及び第2分配流路16aの扁平管長軸方向の長さを扁平管の長軸より小さい形状にすることができる。そのため、冷媒分配器50は、本体51内部の容積を小さくすることができ、空調機に封入される必要冷媒量を削減することができる。冷媒分配器に円管に比べて長軸長さの大きい扁平管を挿入する場合、円管を使用する場合よりも本体の径が大型化することで分配流路の容積が拡大し、冷媒量が増加する場合がある。これに対し、冷媒分配器50は、上記構成により、本体51内部の容積を小さくすることができ、空調機に封入される必要冷媒量を削減することができる。
実施の形態2.
図7は、実施の形態2に係る冷媒分配器50Aを備えた熱交換器80の要部構成を示す分解斜視図である。図8は、実施の形態2に係る冷媒分配器50Aの構成を示す上部断面図である。なお、実施の形態1と同一の機能及び作用を有する構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
実施の形態2に係る冷媒分配器50Aは、第1板状部材10Aの構成が、実施の形態1の冷媒分配器50の第1板状部材10と異なる。図7及び図8に示すように、第1板状部材10Aは、内部に第1分配流路115aを形成する第1流路部115と、内部に第2分配流路116aを形成する第2流路部116とを有する。冷媒分配器50Aは、第1分配流路115aは上方に向かうにつれて流路断面積が縮小し、第2分配流路116aは上方に向かうにつれて流路断面積が拡大する。すなわち、伝熱管70の配列方向である第1方向において、第1分配流路115aは、第1冷媒流入口18aから遠ざかるにつれて流路断面積が縮小し、第2分配流路116aは、第2冷媒流入口18bから遠ざかるにつれて流路断面積が拡大する。ここで、第1分配流路115aにおいて、本体51の一方の端部51aから他方の端部51bに向かう距離を距離Aと定義し、第2分配流路116aにおいて、本体51の一方の端部51aから他方の端部51bに向かう距離を距離Bと定義する。冷媒分配器50Aは、距離Aと距離Bとが等しい位置において、第1分配流路115aと第2分配流路116aの流路断面積が異なるように流路形状が異なっている。あるいは、冷媒分配器50Aは、第1方向に沿って複数形成された連通孔部25のうち、ある1つの連通孔部25の形成位置と対応する位置において、第1分配流路115aと第2分配流路116aの流路断面積が異なるように流路形状が異なっている。以下、実施の形態1の冷媒分配器50との相違点を中心に第1流路部115及び第2流路部116について説明する。
第1流路部115は、第1板状部材10Aの長手方向に沿って、第1板状部材10Aの長手方向一端から長手方向他端まで延伸している。第1流路部115の延伸方向の両端は閉塞されている。第1流路部115は、一面が長軸方向に対して傾斜している四角柱状に形成されている。第1流路部115は、第1板状部材10Aの長手方向において、第1冷媒流入口18a側の一端から他端に向かって先細りになるように形成されている。第1流路部115は、矩形の断面形状を有している。ただし、第1流路部115の断面形状は、矩形に限定されるものではなく、例えば、半円状、半楕円状又は半長円状であってもよい。
第2流路部116は、第1板状部材10Aの長手方向に沿って、第1板状部材10Aの長手方向一端から長手方向他端まで延伸している。第2流路部116の延伸方向の両端は閉塞されている。第2流路部116は、一面が長軸方向に対して傾斜している四角柱状に形成されている。第2流路部116は、第1板状部材10Aの長手方向において、第2冷媒流入口18bが形成されている側とは反対側の一端から、第2冷媒流入口18bが形成されている側の他端に向かって先細りになるように形成されている。第2流路部116は、矩形の断面形状を有している。ただし、第2流路部116の断面形状は、矩形に限定されるものではなく、例えば、半円状、半楕円状又は半長円状であってもよい。
なお、第1流路部115及び第2流路部116は、一面が長軸方向に対して傾斜している四角柱状に限定されるものではなく、例えば、円錐台形状、あるいは、多角錐台形状等、他の形状であってもよい。また、第1流路部115及び第2流路部116は、例えば、一面が伝熱管70の延伸方向に対して傾斜している四角柱状であってもよい。すなわち、第1流路部115及び第2流路部116は、伝熱管70の延伸方向における壁の突出量を、第1板状部材10Aの長手方向において変化させてもよい。
第1流路部115の内側には、第1板状部材10Aの長手方向に沿って上下方向に延伸した第1分配流路115aが形成されている。また、第2流路部116の内側には、第1板状部材10Aの長手方向に沿って上下方向に延伸した第2分配流路116aが形成されている。第1分配流路115a及び第2分配流路116aは、第1板状部材10Aの板厚方向に見たとき、複数の伝熱管70のそれぞれと交差して延伸している。第1分配流路115a及び第2分配流路116aは、矩形状の断面形状を有している。すなわち、第1分配流路115a及び第2分配流路116aは、直方体状に形成された空間である。ただし、第1分配流路115a及び第2分配流路116aの断面形状は、矩形状に限定されるものではなく、例えば、半円状、半楕円状又は半長円状であってもよい。
第1分配流路115aの断面積は、第1流路部115の延伸方向において、第1冷媒流入口18aが形成されている一端から他端に向かって小さくなっている。これに対し、第2分配流路116aの断面積は、第1流路部115の延伸方向において、第2冷媒流入口18bが形成されている一端から他端に向かって大きくなっている。なお、図7に示す冷媒分配器50Aは、第1分配流路115a及び第2分配流路116aの延伸方向における断面積の変化は、伝熱管70の長軸方向における第1分配流路115a及び第2分配流路116aの大きさの変化に依存している。ただし、第1分配流路115a及び第2分配流路116aの延伸方向における断面積の変化は、当該構成に限定されるものではなく、例えば、伝熱管70の延伸方向における第1分配流路115a及び第2分配流路116aの大きさの変化に依存してもよい。
第1分配流路115a及び第2分配流路116aは、延伸方向の端部で冷媒流入管60と連通している。冷媒流入管60を介して第1分配流路115a及び第2分配流路116aに流入する気液二相冷媒は、矢印Fで示すように、第1分配流路115a及び第2分配流路116aを上向きに流れて、各伝熱管70に分配される。第1分配管62は、第1流路部115と接続されて第1分配流路115aと連通し、第2分配管63は、第2流路部116と接続されて第2分配流路116aと連通する。
第1分配流路115aと、第2板状部材20、第3板状部材30、第4板状部材40及び伝熱管70との関係は、上述した第1分配流路15aと、第2板状部材20、第3板状部材30、第4板状部材40及び伝熱管70との関係と同じであるため説明を省略する。同様に、第2分配流路116aと、第2板状部材20、第3板状部材30、第4板状部材40及び伝熱管70との関係は、第2分配流路16aと、第2板状部材20、第3板状部材30、第4板状部材40及び伝熱管70との関係と同じであるため説明を省略する。
次に、冷媒分配器50内の冷媒の流れについて説明する。上述したように、第1分配流路115aは、第1流路部115の延伸方向において、第1冷媒流入口18aから離れるにしたがって流路断面積が縮小するように形成されている。そのため、第1分配流路115aを流れる冷媒は、第1冷媒流入口18aから離れるにしたがって、すなわち、上方に向かうにつれて、第1分配流路115aを流れる冷媒の流速が大きくなる。その結果、第1分配流路115aを流れる冷媒は、第1分配流路115aと連通する第1連通孔群125aの内、第1冷媒流入口18aから離れた上方に位置する所定の高さの連通孔部25を通過する冷媒流量が最大となるように各伝熱管70に分配される。
これに対して、第2分配流路116aは、第2流路部116の延伸方向において、第2冷媒流入口18bから離れるにしたがって流路断面積が拡大するように形成されている。そのため、第2分配流路116aを流れる冷媒は、第2冷媒流入口18bから離れるにしたがって、すなわち、上方に向かうにつれて、第2分配流路116aを流れる冷媒の流速は小さくなる。その結果、第2分配流路116aを流れる冷媒は、第2分配流路116aと連通する第2連通孔群125bの内、第2冷媒流入口18bから近い下方に位置する所定の高さの連通孔部25を通過する冷媒流量が最大となるように各伝熱管70に分配される。
冷媒分配器50Aは、第1分配流路115aを流れる冷媒の流速と、第2分配流路116aを流れる冷媒の流速とを流路断面積の大きさの違いで制御している。そのため、図6の点線A及び破線Bに示すように、第1連通孔群125aにおいて冷媒流量が最大となる連通孔部25の位置は、第2連通孔群125bにおいて冷媒流量が最大となる連通孔部25の位置よりも冷媒流入口18から離れた位置となる。換言すれば、図6の点線A及び破線Bに示すように、第2連通孔群125bにおいて冷媒流量が最大となる連通孔部25の位置は、第1連通孔群125aにおいて冷媒流量が最大となる連通孔部25の位置よりも冷媒流入口18から近い位置となる。
第1分配流路115aと第2分配流路116aとの2つの分配流路を流れ、冷媒流入口18から異なる距離で冷媒流量が最大となるように分配された冷媒は、第3板状部材30によって各伝熱管70高さに設けられた合流流路32でそれぞれ合流する。図6の実線Cで示すように、第1分配流路115aを流れる冷媒の流量と、第2分配流路116aを流れる冷媒の流量との合計された流量は、一点鎖線Dに近づいている。すなわち、第1分配流路115aを流れる冷媒の流量と、第2分配流路116aを流れる冷媒の流量との合計された流量は、冷媒流入口18からの距離に対する偏流が抑制され、複数の伝熱管70に分配される冷媒流量を均一化することができる。
一般的に、冷媒分配器は、気液二相冷媒が上向きに流れる分配流路の冷媒流速が高いほど、冷媒流入口から遠い上側の伝熱管に冷媒流量が多く分配される。冷媒分配器50Aは、上記のように、伝熱管70の配列方向において、第1分配流路115aが第1冷媒流入口18aから遠ざかるにつれて流路断面積が縮小し、第2分配流路116aが第2冷媒流入口18bから遠ざかるにつれて流路断面積が拡大するように形成されている。冷媒分配器50は、第2分配流路16aによって下側の伝熱管70に多く分配され、第1分配流路15aによって上側の伝熱管70に多く分配される。そして、冷媒分配器50は、第2分配流路16aを流れる冷媒と、第1分配流路15aを流れる冷媒とを合流流路32で合流させて各伝熱管70に流す。そのため、冷媒分配器50は、各伝熱管70に流入する冷媒の分配を均一化し、熱交換器80の性能を向上させることができる。
実施の形態3.
図9は、実施の形態3に係る冷媒分配器50Bを備えた熱交換器80の要部構成を示す分解斜視図である。図10は、実施の形態3に係る冷媒分配器50Bの構成を示す断面図である。なお、実施の形態1と同一の機能及び作用を有する構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
実施の形態3に係る冷媒分配器50Bは、第1板状部材10B及び第2板状部材20Bの構成が、実施の形態1の冷媒分配器50の第1板状部材10及び第2板状部材20と異なる。以下、実施の形態1の冷媒分配器50の相違点を中心に、第1板状部材10Bと第2板状部材20Bとについて説明する。
第1流路部215及び第2流路部216は、第1板状部材10の長手方向に沿って、第1板状部材10の長手方向一端から長手方向他端まで延伸している。第1流路部215及び第2流路部216は、半円筒形状に形成されている。第1流路部215及び第2流路部216の延伸方向の両端は閉塞されている。第1流路部215及び第2流路部216は、半円状、半楕円状又は半長円状の断面形状を有している。ただし、第1流路部215及び第2流路部216の断面形状は、半円状、半楕円状又は半長円状に限定されるものはなく、例えば、矩形状であってもよい。
第1流路部215の内側には、第1板状部材10Bの長手方向に沿って上下方向に延伸した第1分配流路215aが形成されている。同様に、第2流路部216の内側には、第1板状部材10Bの長手方向に沿って上下方向に延伸した第2分配流路216aが形成されている。第1分配流路215a及び第2分配流路216aは、第1板状部材10Bの板厚方向に見たとき、複数の伝熱管70のそれぞれと交差して延伸している。
第1分配流路215a及び第2分配流路216aは、半円状、半楕円状又は半長円状の断面形状を有している。すなわち、第1分配流路215a及び第2分配流路216aは、半円筒状、半楕円筒状又は半長円筒状に形成された空間である。ただし、第1分配流路215a及び第2分配流路216aの断面形状は、半円状、半楕円状又は半長円状に限定されるものはなく、例えば、矩形状であってもよい。
第1分配流路215aの断面積は、第2分配流路216aの断面積と同じ大きさである。なお、同じ大きさとは、完全に等しい大きさと、互いに僅かな誤差を有する大きさとを含む。第1分配流路215a及び第2分配流路216aは、延伸方向の端部で冷媒流入管60と連通している。冷媒流入管60を介して第1分配流路215a及び第2分配流路216aに流入する気液二相冷媒は、矢印Fで示すように、第1分配流路215a及び第2分配流路216aを上向きに流れて、各伝熱管70に分配される。
第1分配流路215a及び第2分配流路216aの下端部には、冷媒流入管60が連通している。第1分配管62は、第1流路部215と接続されて第1分配流路215aと連通し、第2分配管63は、第2流路部216と接続されて第2分配流路216aと連通する。
第2板状部材20Bには、複数の連通孔部25が形成されている。複数の連通孔部25は、第1連通孔部25aと、第2連通孔部25bとから構成されている。第1連通孔部25aは、第2連通孔部25bよりも開口径が小さく、流路断面積が小さい。第2連通孔部25bは、第1連通孔部25aよりも開口径が大きく、流路断面積が大きい。
第2板状部材20は、第1連通孔群125aにおいて、第2板状部材20Bの長手方向の上方に第1連通孔部25aを配置し、下方に第2連通孔部25bを配置している。すなわち、第1連通孔群125aは、第2板状部材20Bの長手方向において、中間位置から第1冷媒流入口18a側に第2連通孔部25bが形成され、中間位置から第1冷媒流入口18aとは反対側に第1連通孔部25aが形成されている。したがって、第1連通孔群125aは、第2板状部材20の下方に設けられた連通孔部25の断面積が、上方に設けられた連通孔部25の断面積よりも大きい。すなわち、第1連通孔群125aは、伝熱管70の配列方向である第1方向において、第1冷媒流入口18aに近い側の複数の連通孔部25の流路断面積が、第1冷媒流入口18aに遠い側の複数の連通孔部25の流路断面積よりも大きく形成されている。
第2板状部材20は、第2連通孔群125bにおいて、第2板状部材20Bの長手方向の上方に第2連通孔部25bを配置し、下方に第1連通孔部25aを配置している。すなわち、第2連通孔群125bは、第2板状部材20Bの長手方向において、中間位置から第2冷媒流入口18b側に第1連通孔部25aが形成され、中間位置から第2冷媒流入口18bとは反対側に第2連通孔部25bが形成されている。したがって、第2連通孔群125bは、第2板状部材20の上方に設けられた連通孔部25の断面積が、下方に設けられた連通孔部25の断面積よりも大きい。すなわち、第2連通孔群125bは、伝熱管70の配列方向である第1方向において、第2冷媒流入口18bに遠い側の複数の連通孔部25の流路断面積が、第2冷媒流入口18bに近い側の複数の連通孔部25の流路断面積よりも大きく形成されている。ここで、第1分配流路215aにおいて、本体51の一方の端部51aから他方の端部51bに向かう距離を距離Aと定義し、第2分配流路216aにおいて、本体51の一方の端部51aから他方の端部51bに向かう距離を距離Bと定義する。冷媒分配器50Bは、距離Aと距離Bとが等しい位置において、第1連通孔群125aを構成する複数の連通孔部25の1つと第2連通孔群125bを構成する複数の連通孔部25の1つの流路断面積が異なるように流路形状が異なっている。あるいは、冷媒分配器50Bは、第1方向に沿って複数形成された連通孔部25のうち、ある1つの連通孔部25の形成位置と対応する位置において、第1連通孔群125aを構成する複数の連通孔部25の1つと第2連通孔群125bを構成する複数の連通孔部25の1つの流路断面積が異なるように流路形状が異なっている。
次に、冷媒分配器50B内の冷媒の流れについて説明する。上述したように、第1連通孔群125aは、第2板状部材20の下方に設けられた連通孔部25の断面積が、上方に設けられた連通孔部25の断面積よりも大きい。そのため、連通孔部25を通過する冷媒は、第2板状部材20の下部では連通孔部25を通過する際の抵抗が小さく、第2板状部材20の上部では連通孔部25を通過する際の抵抗が大きい。それゆえ、第1連通孔群125aでは、冷媒は、第1冷媒流入口18aから遠い上方の連通孔部25よりも第1冷媒流入口18aに近い下方の連通孔部25に流れやすくなる。
これに対して、第2連通孔群125bは、第2板状部材20の上方に設けられた連通孔部25の断面積が、下方に設けられた連通孔部25の断面積よりも大きい。そのため、連通孔部25を通過する冷媒は、第2板状部材20の下部では連通孔部25を通過する際の抵抗が大きく、第2板状部材20の上部では連通孔部25を通過する際の抵抗が小さい。それゆえ、第2連通孔群125bでは、冷媒は、第2冷媒流入口18bに近い下方の連通孔部25よりも第2冷媒流入口18bから遠い上方の連通孔部25に流れやすくなる。
図11は、実施の形態3に係る冷媒分配器50Bの冷媒分配を示す概念図である。図11において、点線Aは、第1分配流路215aを流れる冷媒の流量を示し、破線Bは、第2分配流路216aを流れる冷媒の流量を示す。また、実線Cは、第1分配流路215aを流れる冷媒の流量と、第2分配流路216aを流れる冷媒の流量との合計流量を示す。さらに、一点鎖線Dは、第1分配流路215aを流れる冷媒の流量と、第2分配流路216aを流れる冷媒の流量との合計流量が、冷媒流入口18からの距離に対して均等な場合を示した線である。
図11の点線Aで示すように、第1連通孔群125aを構成する複数の連通孔部25の中で通過する冷媒の流量が最大となる連通孔部25と、第1冷媒流入口18aとの間を第1距離L1とする。そして、破線Bで示すように、第2連通孔群125bを構成する複数の連通孔部25の中で通過する冷媒の流量が最大となる連通孔部25と、第2冷媒流入口18bとの間を第2距離L2とする。この場合、冷媒分配器50Bは、第1距離L1と第2距離L2とが異なる距離である。
実施の形態3に係る冷媒分配器50Bは、第1分配流路215aと、第2分配流路216aとは断面積が同じ大きさである。そして、第1連通孔群125aでは、冷媒は、第1冷媒流入口18aから遠い上方の連通孔部25よりも第1冷媒流入口18aに近い下方の連通孔部25に流れやすい。そのため、図11の点線Aに示すように、第1分配流路215aを流れる冷媒は、第1冷媒流入口18aから遠い上方の連通孔部25よりも第1冷媒流入口18aに近い下方の連通孔部25を通過する冷媒流量が多くなる。
同様に、冷媒分配器50Bは、第1分配流路215aと、第2分配流路216aとは断面積が同じ大きさである。そして、第2連通孔群125bでは、冷媒は、第2冷媒流入口18bに近い下方の連通孔部25よりも第2冷媒流入口18bから遠い上方の連通孔部25に流れやすい。そのため、図11の破線Bに示すように、第2分配流路216aを流れる冷媒は、第2冷媒流入口18bから近い下方の連通孔部25よりも第2冷媒流入口18bから遠い上方の連通孔部25を通過する冷媒流量が多くなる。
第1分配流路215aと第2分配流路216aとの2つの分配流路を流れ、冷媒流入口18から異なる距離で冷媒流量が最大となるように分配された冷媒は、第3板状部材30によって各伝熱管70高さに設けられた合流流路32でそれぞれ合流する。図11の実線Cで示すように、第1分配流路215aを流れる冷媒の流量と、第2分配流路216aを流れる冷媒の流量との合計された流量は、一点鎖線Dに近づいている。すなわち、第1分配流路215aを流れる冷媒の流量と、第2分配流路216aを流れる冷媒の流量との合計された流量は、冷媒流入口18からの距離に対する偏流が抑制され、複数の伝熱管70に分配される冷媒流量を均一化することができる。
なお、実施の形態3に係る冷媒分配器50Bの複数の連通孔部25は、第1連通孔部25aと、第2連通孔部25bとから構成されているとしている。しかし、複数の連通孔部25は、流路断面積の異なる第1連通孔部25aと、第2連通孔部25bとの2種類に限定されるものではない。例えば、第1連通孔群125aを構成する複数の連通孔部25は、第2板状部材20Bの長手方向において、上方から下方に向かって連通孔部25の形成される位置によって流路断面積が大きくなるように形成されてもよい。また、第2流路孔群126aを構成する複数の連通孔部25は、第2板状部材20Bの長手方向において、下方から上方に向かって連通孔部25の形成される位置によって流路断面積が大きくなるように形成されてもよい。
以上のように、冷媒分配器50Bは、第1連通孔群125aが、伝熱管70の配列方向において、第1冷媒流入口18aに近い側の複数の連通孔部25の流路断面積が、第1冷媒流入口18aに遠い側の複数の連通孔部25の流路断面積よりも大きく形成されている。また、冷媒分配器50Bは、第2連通孔群125bが、伝熱管70の配列方向において、第2冷媒流入口18bに遠い側の複数の連通孔部25の流路断面積が、第2冷媒流入口18bに近い側の複数の連通孔部25の流路断面積よりも大きく形成されている。冷媒分配器50は、第1連通孔群125aの流路抵抗によって、下側の伝熱管70に冷媒が多く分配され、第2連通孔群125bの流路抵抗によって、上側の伝熱管70に冷媒が多く分配される。そして、冷媒分配器50は、第2分配流路216aを流れる冷媒と、第1分配流路215aを流れる冷媒とを合流流路32で合流させて各伝熱管70に流す。そのため、冷媒分配器50は、各伝熱管70に流入する冷媒の分配を均一化し、熱交換器80の性能を向上させることができる。
実施の形態4.
図12は、実施の形態4に係る冷媒分配器50Cを備えた熱交換器80の要部構成を示す分解斜視図である。図13は、実施の形態4に係る冷媒分配器50Cの構成を示す断面図である。なお、実施の形態1と同一の機能及び作用を有する構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
実施の形態4に係る冷媒分配器50Cは、第2板状部材20Cの構成が、実施の形態1の冷媒分配器50の第2板状部材20と異なる。以下、実施の形態4に係る冷媒分配器50Cについて、実施の形態1の冷媒分配器50の相違点を中心に説明する。
実施の形態4に係る冷媒分配器50Cの第2板状部材20Cは、実施の形態3の第2板状部材20Bと同じ構成である。すなわち、第2板状部材20Cには、複数の連通孔部25が形成されている。複数の連通孔部25は、第1連通孔部25aと、第2連通孔部25bとから構成されている。第1連通孔部25aは、第2連通孔部25bよりも開口径が小さく、流路断面積が小さい。第2連通孔部25bは、第1連通孔部25aよりも開口径が大きく、流路断面積が大きい。したがって、第2板状部材20Cを通過する冷媒は、上述した図11の特性を有し、第1連通孔群125aでは、冷媒は、第1冷媒流入口18aから遠い上方の連通孔部25よりも第1冷媒流入口18aに近い下方の連通孔部25に流れやすい。また、第2連通孔群125bでは、冷媒は、第2冷媒流入口18bに近い下方の連通孔部25よりも第2冷媒流入口18bから遠い上方の連通孔部25に流れやすい。
また、冷媒分配器50Cの第1板状部材10は、第1流路部15内に形成された第1分配流路15aと、第2流路部16内に形成された第2分配流路16aとが、互いに異なる流路断面積を有するように形成されている。具体的には、第2分配流路16aの流路断面積は、第1分配流路15aの流路断面積よりも大きく、第1分配流路15aの流路断面積は、第2分配流路16aの流路断面積よりも小さい。したがって、第1板状部材10は、上述した図6の特性を有し、第1連通孔群125aにおいて冷媒流量が最大となる連通孔部25の位置は、第2連通孔群125bにおいて冷媒流量が最大となる連通孔部25の位置よりも第1冷媒流入口18aから離れた位置となる。そして、第2連通孔群125bにおいて冷媒流量が最大となる連通孔部25の位置は、第1連通孔群125aにおいて冷媒流量が最大となる連通孔部25の位置よりも第2冷媒流入口18bから近い位置となる。
冷媒分配器50Cは、上述した第1板状部材10と、第2板状部材20Cとから以下の構成を有している。冷媒分配器50Cは、第1分配流路15aが第2分配流路16aと比べて流路断面積が小さい。また、第1分配流路15aと連通する第1連通孔群125aは、第2板状部材20Cの下部に設けられた連通孔部25の断面積が上部に設けられた連通孔部25の断面積より大きい。第1分配流路15aと連通する第1連通孔群125aは、伝熱管70の配列方向である第1方向において、第1冷媒流入口18aに近い側の複数の連通孔部25の流路断面積が、第1冷媒流入口18aに遠い側の複数の連通孔部25の流路断面積よりも大きく形成されている。また、冷媒分配器50Cは、第1分配流路15aと比べて流路断面積が大きい第2分配流路16aと連通する第2連通孔群125bは、第2板状部材20Cの上部に設けられた連通孔部25の断面積が下部に設けられた連通孔部25の断面積よりも大きい。第2分配流路16aと連通する第2連通孔群125bは、伝熱管70の配列方向である第1方向において、第2冷媒流入口18bに遠い側の複数の連通孔部25の流路断面積が、第2冷媒流入口18bに近い側の複数の連通孔部25の流路断面積よりも大きく形成されている。ここで、第1分配流路15aにおいて、本体51の一方の端部51aから他方の端部51bに向かう距離を距離Aと定義し、第2分配流路16aにおいて、本体51の一方の端部51aから他方の端部51bに向かう距離を距離Bと定義する。冷媒分配器50Cは、距離Aと距離Bとが等しい位置において、第1分配流路15aと第2分配流路16aの流路形状、及び、第1連通孔群125aを構成する複数の連通孔部25の1つと第2連通孔群125bを構成する複数の連通孔部25の1つの流路形状が共に流路断面積が異なるように異なっている。あるいは、冷媒分配器50Cは、第1方向に沿って複数形成された連通孔部25のうち、ある1つの連通孔部25の形成位置と対応する位置において、第1分配流路15aと第2分配流路16aの流路形状、及び、第1連通孔群125aを構成する複数の連通孔部25の1つと第2連通孔群125bを構成する複数の連通孔部25の1つの流路形状が共に流路断面積が異なるように異なっている。
次に、冷媒分配器50C内の冷媒の流れについて説明する。実施の形態1の冷媒分配器50において、冷媒流量が大きくなった場合、流路断面積が小さい第1分配流路15aでは、上側の伝熱管70に冷媒が多く分配されやすい。そのため、冷媒分配器50を流れる冷媒の流量が大きくなりすぎると、上側の伝熱管70に過剰に多くの冷媒が流れ、冷媒分配器50を流れる冷媒が偏流する恐れがある。
冷媒分配器50Cは、第1分配流路15aと連通する第1連通孔群125aの内、第2板状部材20Cの上部に位置する連通孔部25の断面積を下部に位置する連通孔部25の断面積と比べて小さくして上部に位置する連通孔部25の流路抵抗を高くしている。そのため、冷媒分配器50Cは、冷媒流量が大きい場合に、第2板状部材20Cによって形成される流路抵抗によって、冷媒流入口18から所定の距離で冷媒流量が過剰に多くなることを抑制することができる。
同様に、冷媒分配器50Cは、流路断面積が大きい第2分配流路16aでは、下側の伝熱管70に冷媒が多く分配されやすく、流量が小さくなりすぎると、下側の伝熱管70に過剰に多くの冷媒が流れ、冷媒分配器50を流れる冷媒が偏流する恐れがある。
冷媒分配器50Cは、第2分配流路16aと連通する第2連通孔群125bの内、第2板状部材20Cの下部に位置する連通孔部25の断面積を上部に位置する連通孔部25の断面積と比べて小さくして下部に位置する連通孔部25の流路抵抗を高くしている。そのため、冷媒分配器50Cは、冷媒流量が小さい場合に、第2板状部材20Cによって形成される流路抵抗によって、冷媒流入口18から所定の距離で冷媒流量が過剰に多くなることを抑制することができる。
以上のように、冷媒分配器50Cは、第2分配流路16aの流路断面積が、第1分配流路15aの流路断面積よりも大きく、第1分配流路15aの流路断面積が、第2分配流路16aの流路断面積よりも小さい。また、第1分配流路15aと連通する第1連通孔群125aは、第1方向において、第1冷媒流入口18aに近い側の複数の連通孔部25の流路断面積が、第1冷媒流入口18aに遠い側の複数の連通孔部25の流路断面積よりも大きく形成されている。また、第2分配流路16aと連通する第2連通孔群125bは、第1方向において、第2冷媒流入口18bに遠い側の複数の連通孔部25の流路断面積が、第2冷媒流入口18bに近い側の複数の連通孔部25の流路断面積よりも大きく形成されている。
冷媒分配器50Cは、冷媒流量が大きくなった場合、流路断面積が小さく上側の伝熱管70に冷媒が多く分配されやすい第1分配流路15aにおいて、上側の伝熱管70に過剰に多く冷媒が偏流することを抑制する。更に、冷媒分配器50Cは、冷媒流量が小さくなった場合、流路断面積が大きく下側の伝熱管70に冷媒が多く分配されやすい第2分配流路16aにおいて、下側の伝熱管70に過剰に多く冷媒が偏流することを抑制することができる。そのため、冷媒分配器50Cは、冷媒流量に対する分配ロバスト性を向上させることができ、冷媒分配器50Cが搭載された空調機の運転範囲を拡大することができる。また、例えば、従来の冷媒分配器は、各伝熱管への分配特性が、冷媒分配器内の冷媒の流速に大きく依存するため、空気調和機の運転状態によって変化する冷媒の流量に対する分配ロバスト性が低い。なお、分配ロバスト性とは、空気調和機等に用いられる冷媒の流量において、冷媒のある特定の流量ではなくある範囲の流量を考えた場合に、伝熱管への均等分配に近づけることができる流量範囲を拡大する能力のことをいう。この従来の冷媒分配器に対して、実施の形態4に係る冷媒分配器50Cは、上記のように、冷媒流量に対する分配ロバスト性を向上させることができる。
実施の形態5.
図14は、実施の形態5に係る冷媒分配器50Dを備えた熱交換器80の要部構成を示す分解斜視図である。図15は、実施の形態5に係る冷媒分配器50Dの構成を示す断面図である。なお、図14及び図15に示す白抜き矢印AFは、風の流れを示すものである。冷媒分配器50Dに向かう風の流れは、例えば、図1に示す冷凍サイクル装置100の室内送風機109、あるいは、室外送風機108によって形成される。図15において、ハッチングで示した矢印F1及び矢印F2は、第2板状部材20Dを通過して第3板状部材30に形成された合流流路32に流れ込む冷媒の流れを示したものである。なお、実施の形態1と同一の機能及び作用を有する構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
実施の形態5に係る冷媒分配器50Dは、第2板状部材20Dの構成が、実施の形態1の冷媒分配器50の第2板状部材20と異なる。以下、実施の形態5に係る冷媒分配器50Dについて、実施の形態1の冷媒分配器50の相違点を中心に説明する。
実施の形態5に係る冷媒分配器50Dの第2板状部材20Dには、複数の連通孔部25が形成されている。複数の連通孔部25は、第1連通孔部25aと、第2連通孔部25bとから構成されている。第1連通孔部25aは、第2連通孔部25bよりも開口径が小さく、流路断面積が小さい。第2連通孔部25bは、第1連通孔部25aよりも開口径が大きく、流路断面積が大きい。第2板状部材20Dは、第1連通孔群125aが第1連通孔部25aによって構成されている。また、第2板状部材20Dは、第2連通孔群125bが第2連通孔部25bによって構成されている。
実施の形態5に係る冷媒分配器50Dは、室内送風機109、あるいは、室外送風機108が配置されている側に第1連通孔群125aと、第1流路部15とが配置されるように構成されている。すなわち、実施の形態5に係る冷媒分配器50Dは、冷媒分配器50Dを通過する風の流れ方向において、風の流れの上流側に第1連通孔群125aと、第1流路部15とが配置されるように構成されている。そして、冷媒分配器50Dは、冷媒分配器50Dを通過する風の流れ方向において、風の流れの下流側に第2連通孔群125bと、第2流路部16とが配置されるように構成されている。
実施の形態5に係る冷媒分配器50Dは、2つの分配流路のそれぞれと連通する2つの連通孔群の内、空気の風上側に位置する第1連通孔群125aの総断面積が、風下側に位置する第2連通孔群125bの総断面積よりも小さい。したがって、第1連通孔群125aを通過して合流流路32に流れ込む冷媒の流れ(矢印F1)における冷媒の流速は、第2連通孔群125bを通過して合流流路32に流れ込む冷媒の流れ(矢印F2)における冷媒の流速よりも大きい。すなわち、第2連通孔群125bを通過して合流流路32に流れ込む冷媒の流れ(矢印F2)における冷媒の流速は、第1連通孔群125aを通過して合流流路32に流れ込む冷媒の流れ(矢印F1)における冷媒の流速よりも小さい。なお、第1連通孔群125aの総断面積とは、第1連通孔群125aを構成する第1連通孔部25aの各断面積を足し合わせたものである。同様に、第2連通孔群125bの総断面積とは、第2連通孔群125bを構成する第2連通孔部25bの各断面積を足し合わせたものである。
冷媒分配器50Dの第1板状部材10は、第1流路部15内に形成された第1分配流路15aと、第2流路部16内に形成された第2分配流路16aとが、互いに異なる流路断面積を有するように形成されている。具体的には、第2分配流路16aの断面積は、第1分配流路15aの断面積よりも大きく、第1分配流路15aの断面積は、第2分配流路16aの断面積よりも小さい。したがって、第1板状部材10は、上述した図6の特性を有し、第1連通孔群125aにおいて冷媒流量が最大となる連通孔部25の位置は、第2連通孔群125bにおいて冷媒流量が最大となる連通孔部25の位置よりも冷媒流入口18から離れた位置となる。そして、第2連通孔群125bにおいて冷媒流量が最大となる連通孔部25の位置は、第1連通孔群125aにおいて冷媒流量が最大となる連通孔部25の位置よりも冷媒流入口18から近い位置となる。そして、第1分配流路15aを流れる冷媒の流量と、第2分配流路16aを流れる冷媒の流量との合計された流量は、冷媒流入口18からの距離に対する偏流が抑制され、複数の伝熱管70に分配される冷媒流量を均一化することができる。ここで、第1分配流路15aにおいて、本体51の一方の端部51aから他方の端部51bに向かう距離を距離Aと定義し、第2分配流路16aにおいて、本体51の一方の端部51aから他方の端部51bに向かう距離を距離Bと定義する。冷媒分配器50Dは、距離Aと距離Bとが等しい位置において、第1分配流路15aと第2分配流路16aの流路形状、及び、第1連通孔群125aを構成する複数の連通孔部25の1つと第2連通孔群125bを構成する複数の連通孔部25の1つの流路形状が共に流路断面積が異なるように異なっている。あるいは、冷媒分配器50Dは、第1方向に沿って複数形成された連通孔部25のうち、ある1つの連通孔部25の形成位置と対応する位置において、第1分配流路15aと第2分配流路16aの流路形状、及び、第1連通孔群125aを構成する複数の連通孔部25の1つと第2連通孔群125bを構成する複数の連通孔部25の1つの流路形状が共に流路断面積が異なるように異なっている。
実施の形態5に係る冷媒分配器50Dは、熱交換器80に接続されている。そして、冷媒分配器50Dが接続された熱交換器80を構成する伝熱管70は、複数の冷媒通路72を有する扁平多孔管である。なお、一般的に熱交換器は、空気の風上側の方が、冷媒と空気との熱変換量が大きくなる。
次に、冷媒分配器50D内の冷媒の流れと作用について説明する。上述したように、第1連通孔群125aを通過して合流流路32に流れ込む冷媒の流れ(矢印F1)における冷媒の流速は、第2連通孔群125bを通過して合流流路32に流れ込む冷媒の流れ(矢印F2)における冷媒の流速よりも大きい。すなわち、冷媒分配器50Dは、第1分配流路15a及び第2分配流路16aと連通する連通孔部25を介して冷媒が合流する合流流路32において、風上側に位置する連通孔部25近傍の冷媒流速を大きくしている。冷媒分配器50Dは、当該構成を有することで、冷媒の慣性力が大きくなり、扁平管である伝熱管70において、熱負荷の大きい風上側の冷媒通路72に冷媒をより多く流すことができる。冷媒分配器50Dは、熱交換器80の伝熱管70に対し、熱変換に合わせた冷媒分配を行うことができるので、熱交換器80の熱変換能力を向上させることができる。
以上のように、実施の形態5に係る冷媒分配器50Dは、2つの分配流路のそれぞれと連通する2つの連通孔群の内、空気の風上側に位置する第1連通孔群125aの総断面積が、風下側に位置する第2連通孔群125bの総断面積よりも小さい。冷媒分配器50Dは、第1分配流路15aと第2分配流路16aとの2つの分配流路によって分配された冷媒が合流する合流流路32において、風上側に位置する連通孔部25を介して合流流路32に流入する冷媒の流速を風下側に比べて大きくしている。そのため、冷媒分配器50Dは、熱負荷の大きい伝熱管70の風上側の流路に冷媒が流れやすくなり、熱交換器80の熱交換性能を向上させることができる。
実施の形態6.
図16は、実施の形態6に係る冷媒分配器50Eの斜視図である。図17は、実施の形態6に係る冷媒分配器50Eの内部構成を概略的に示す斜視図である。図18は、実施の形態6に係る冷媒分配器50Eの構成を示す横断面図である。図19は、実施の形態6に係る冷媒分配器50Eの構成を示す縦断面図である。図16~図19を用いて実施の形態6に係る冷媒分配器50Eについて説明する。なお、実施の形態1と同一の機能及び作用を有する構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
実施の形態1~5の冷媒分配器50~冷媒分配器50Dの本体51は、第1板状部材10~第4板状部材40を積層させて構成されたものである。これに対して、実施の形態6の冷媒分配器50Eの本体52は、筒状部材を用いて構成されたものである。
冷媒分配器50Eは、伝熱管70の配列方向に延びる本体52を有する。冷媒分配器50Eの本体52は、伝熱管70の配列方向に延びる筒状部90と、筒状部90の中空部において冷媒流入管60と接続される第1空間S1と、複数の伝熱管70と接続される第2空間S2とを区画する第1壁部91とを有する。また、冷媒分配器50Eの本体52は、第1空間S1を、第1分配流路315aと第2分配流路316aとに区画する第2壁部92と、第2空間S2を伝熱管70の配列方向に区画して合流流路32を形成する第3壁部93とを有する。更に、冷媒分配器50Eの本体52は、筒状部90の両端をそれぞれ閉塞する蓋部94を有する。
筒状部90は、伝熱管70の配列方向に延びる中空の円筒形状に形成されている。ただし、筒状部90は、円筒形状に限定されるものではなく、筒状であればよく、例えば、直方体の箱形状に形成されてもよい。
第1壁部91は、一方向に長い帯状の形状を有している。第1壁部91は、複数の伝熱管70の配列方向に延びる板状の部分であり、第1壁部91の長手方向は、複数の伝熱管70の配列方向である。また、第1壁部91の短手方向は、伝熱管70の長軸方向であり、第1壁部91の板厚方向は、伝熱管70の延伸方向である。
第1壁部91は、連通孔部25を有する。そのため、第1壁部91は、上述した第2板状部材20、第2板状部材20B、第2板状部材20C、第2板状部材20Dのいずれか1つと同じ機能を発揮する。第1壁部91の連通孔部25は、第2板状部材20等と同様に第1連通孔群125aと第2連通孔群125bとを構成する。第1壁部91は、筒状部90の中空部を第1空間S1と第2空間S2とに区画する。第1空間S1と第2空間S2とは、連通孔部25を介して連通する。
第2壁部92は、一方向に長い帯状の形状を有している。第2壁部92は、複数の伝熱管70の配列方向に延びる板状の部分であり、第2壁部92の長手方向は、複数の伝熱管70の配列方向である。また、第2壁部92の短手方向は、伝熱管70の延伸方向であり、第2壁部92の板厚方向は、伝熱管70の長軸方向である。
第2壁部92は、第1空間S1を、第1分配流路315aと第2分配流路316aとに区画する。第1分配流路315aは、筒状部90と、第1壁部91と、第2壁部92と、蓋部94とによって構成された第1流路部315内に形成されている。同様に、第2分配流路316aは、筒状部90と、第1壁部91と、第2壁部92と、蓋部94とによって構成された第2流路部316内に形成されている。
第1分配流路315a及び第2分配流路316aは、上述した第1分配流路15a及び第2分配流路16aと同様の構成であり、同じ機能を発揮する。すなわち、第1分配流路315aの流路断面積と第2分配流路316aの流路断面積とが異なるように形成されている。また、第1流路部315及び第2流路部316は、上述した第1流路部15及び第2流路部16は、と同様の構成であり、同じ機能を発揮する。第1流路部315及び第2流路部316には、冷媒流入管60が接続されている。ここで、第1分配流路315aにおいて、本体51の一方の端部51aから他方の端部51bに向かう距離を距離Aと定義し、第2分配流路316aにおいて、本体51の一方の端部51aから他方の端部51bに向かう距離を距離Bと定義する。冷媒分配器50Eは、距離Aと距離Bとが等しい位置において、第1分配流路315aと第2分配流路316aの流路断面積が異なるように流路形状が異なっている。あるいは、冷媒分配器50Eは、第1方向に沿って複数形成された連通孔部25のうち、ある1つの連通孔部25の形成位置と対応する位置において、第1分配流路315aと第2分配流路316aの流路断面積が異なるように流路形状が異なっている。なお、冷媒分配器50Eは、第2壁部92の形成位置を伝熱管70の長軸方向に移動させて、第1分配流路315a及び第2分配流路316aの流路断面積が同じ大きさに形成されてもよい。
第3壁部93は、板状の部材である。第3壁部93は、伝熱管70の延伸方向であり、また、伝熱管70の長軸方向である。第3壁部93は、筒状部90の中空部内に複数設けられており、複数の第3壁部93は、複数の伝熱管70の配列方向に配置されている。複数の第3壁部93は、第2空間S2を伝熱管70の配列方向に区画するし、合流流路32を形成する。より詳細には、合流流路32は、筒状部90と、第1壁部91と、第3壁部93とによって形成される。あるいは、合流流路32は、筒状部90と、第1壁部91と、第3壁部93と、蓋部94とによって形成される。
蓋部94は、筒状部90の延伸方向の両端部を閉塞する。蓋部94は、筒状部90の延伸方向の両端部を閉塞するものであればよく、板状の部材でもよく、筒状部90の端部を覆い被さるような部材であってもよい。
なお、冷媒分配器50Eは、第1分配流路15a及び第2分配流路16a、連通孔部25、合流流路32等の基本的な構成と機能は冷媒分配器50等と同じであり、冷媒分配器50Eは、冷媒分配器50等と同じ機能を発揮し、同じ作用効果を発揮させる。
図20は、実施の形態6に係る冷媒分配器50Eの変形例の内部構成を概略的に示す斜視図である。変形例の冷媒分配器50Eは、第2壁部92aが伝熱管70の長軸方向に傾いている。したがって、第1分配流路315a及び第2分配流路316aは、実施の形態2に係る冷媒分配器50Aの第1分配流路115a及び第2分配流路116aと同じ構成となる。すなわち、冷媒分配器50Eの第1分配流路315aは上方に向かうにつれて流路断面積が縮小し、第2分配流路316aは上方に向かうにつれて流路断面積が拡大する。したがって、変形例の冷媒分配器50Eは、実施の形態2の冷媒分配器50Aと同じ機能と効果を発揮するものである。なお、実施の形態2と同様に、第1分配流路315aにおいて、本体51の一方の端部51aから他方の端部51bに向かう距離を距離Aと定義し、第2分配流路316aにおいて、本体51の一方の端部51aから他方の端部51bに向かう距離を距離Bと定義する。冷媒分配器50Eは、距離Aと距離Bとが等しい位置において、第1分配流路315aと第2分配流路316aの流路断面積が異なるように流路形状が異なっている。あるいは、冷媒分配器50Eは、第1方向に沿って複数形成された連通孔部25のうち、ある1つの連通孔部25の形成位置と対応する位置において、第1分配流路315aと第2分配流路316aの流路断面積が異なるように流路形状が異なっている。
図21は、実施の形態6に係る冷媒分配器50Eの第1壁部91の変形例の概念図である。第1壁部91aは、第1壁部91の変形例であり、第2板状部材20Bと同様の構成を有するものである。すなわち、第1壁部91aは、第1連通孔群125aと第2連通孔群125bとにおいて、第1連通孔部25aと、第2連通孔部25bとの形成位置が異なるものである。
図22は、実施の形態6に係る冷媒分配器50Eの第1壁部91の他の変形例の概念図である。第1壁部91bは、第1壁部91の変形例であり、実施の形態5に係る冷媒分配器50Dの第2板状部材20Dと同様の構成を有するものである。すなわち、第1壁部91aは、第1連通孔群125aに第1連通孔部25aを有し、第2連通孔群125bに第2連通孔部25bを有する。
冷媒分配器50Eは、第2壁部92の形成位置、第2壁部92の傾き、第1壁部91に形成された第1連通孔群125aと第2連通孔群125bを構成する連通孔部25の種類の組み合わせ等によって、冷媒分配器50と同じ機能を発揮させる。同様に、冷媒分配器50Eは、第2壁部92と第1壁部91の連通孔部25との組み合わせによって、冷媒分配器50A~冷媒分配器50Dと同じ機能を発揮させる。したがって、冷媒分配器50Eは、上述した、実施の形態1~5の冷媒分配器50から冷媒分配器50Dと同じ作用効果を発揮させることができる。
上記に説明した冷媒分配器50、冷媒分配器50A、冷媒分配器50B、冷媒分配器50C、冷媒分配器50D及び冷媒分配器50Eの構成は次のような特徴を有する。冷媒分配器50等は、第1分配流路15aと第2分配流路16aとの流路形状、第1連通孔群125aと第2連通孔群125bとの流路形状の少なくとも一方の流路形状が異なるように形成されている。そして、冷媒分配器50等は、伝熱管70の配列方向である第1方向において複数の連通孔部25の中で通過する冷媒の流量が最大となる連通孔部25と冷媒流入口18との間の距離が、第1連通孔群125aと第2連通孔群125bとで異なっている。ここで、第1分配流路において、本体51の一方の端部51aから他方の端部51bに向かう距離を距離Aと定義し、第2分配流路において、本体51の一方の端部51aから他方の端部51bに向かう距離を距離Bと定義する。冷媒分配器50、冷媒分配器50A、冷媒分配器50B、冷媒分配器50C、冷媒分配器50D及び冷媒分配器50Eは、距離Aと距離Bとが等しい位置において、第1分配流路と第2分配流路との流路形状、及び、第1連通孔群125aを構成する複数の連通孔部25の1つと第2連通孔群125bを構成する複数の連通孔部25の1つとの流路形状のうち、少なくとも一方の流路形状が異なっている。あるいは、冷媒分配器は、第1方向に沿って複数形成された連通孔部25のうち、ある1つの連通孔部25の形成位置と対応する位置において、第1分配流路と第2分配流路との流路形状、及び、第1連通孔群125aを構成する複数の連通孔部25の1つと第2連通孔群125bを構成する複数の連通孔部25の1つとの流路形状のうち、少なくとも一方の流路形状が異なっている。そのため、冷媒分配器50、冷媒分配器50A、冷媒分配器50B、冷媒分配器50C、冷媒分配器50D及び冷媒分配器50Eは、上述した第1距離L1と第2距離L2とが異なる距離となるように構成されている。その結果、第1分配流路15aを流れる冷媒の流量と、第2分配流路16aを流れる冷媒の流量との合計された流量によって、冷媒流入口18からの距離に対する偏流が抑制され、複数の伝熱管70に分配される冷媒流量を均一化することができる。
また、冷媒分配器50等は、異なる流量範囲の冷媒が流れる複数の熱交換器にわたって冷媒分配器を適用する場合において、分配流路を構成する第1板状部材10又は連通孔部25が形成された第2板状部材20のいずれかを入れ替えることで対応できる。すなわち、冷媒分配器50等は、第1板状部材10又は第2板状部材20の入れ替えによって、冷媒分配の均一化を図る流量範囲を変更できるため、製造コストを低減することができる。
なお、熱交換器80は、実施の形態1~6のいずれかに係る冷媒分配器を備えたものである。したがって、熱交換器80は、実施の形態1~6のいずれかと同様の効果が得られる。また、冷凍サイクル装置100は、実施の形態1~6のいずれかに係る冷媒分配器を備えたものである。したがって、冷凍サイクル装置100は、実施の形態1~6のいずれかと同様の効果が得られる。
上記の各実施の形態1~6は、互いに組み合わせて実施することが可能である。また、以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。たとえば、各実施の形態1~6に係る冷媒分配器50等は、伝熱管70の配列方向を鉛直方向における上下方向として記載しているが、伝熱管70の配列方向は、水平方向であってもよい。また、伝熱管70の配列方向は、鉛直方向に対して傾いてもよい。したがって、実施の形態1~6に係る冷媒分配器50等は、本体51が鉛直方向に延びる縦置型でもよく、本体51が水平方向に延びる横置型であってもよい。また、実施の形態1~6に係る冷媒分配器50等は、本体51が鉛直方向に対して傾くような構成であってもよい。