JP7084578B2 - 摺動部材及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、メカニカルシールとして有用な摺動部材、及びその製造方法に関する。
給液ポンプの主軸から水などの液体の流出を防止する軸封材として、メカニカルシール等の摺動部材が使用されている。メカニカルシールの構成材料としては、高温・高圧等の過酷な条件下で使用されることを考慮し、高硬度であるとともに、耐食性及び耐熱性に優れた炭化ケイ素等のセラミックスが採用されている。
炭化ケイ素を用いた場合、水潤滑下では、メカノケミカル反応により摩擦係数がほぼゼロに近い低摩擦層が炭化ケイ素の表面に形成されることが知られている(非特許文献1)。但し、給水ポンプの実際の運転条件は、電源のOn/OFFの切り替えによって水潤滑条件下と無潤滑条件下を繰り返す場合がほとんどである。このため、水潤滑条件下だけでなく、無潤滑条件下(乾燥条件下)であっても摩擦係数が低いセラミックス材料が求められている。
例えば、無潤滑条件下での摩擦抵抗の発生を抑制すべく、炭化ケイ素等の硬質材料粒子とポリマーマトリックス材料とを含有する、乾式で長期間運転可能な摺動材料が提案されている(特許文献1)。また、レーザーを使用して凹凸の周期構造を含む表面テクスチャを炭化ケイ素材料に形成した、運転初期に生ずる摩擦抵抗を抑制したメカニカルシールが提案されている(特許文献2)。
特表2016-519702号公報 特開2016-28210号公報
K.-H.Zum Gahr et al.,Wear,250,p.299-310(2001)
しかしながら、特許文献1で提案された摺動材料はポリマーマトリックス材料を含有するため、炭化ケイ素等のセラミックス材料特有の硬度や機械的特性がやや損なわれており、長期間運転に必ずしも適合するものであるとは言えなかった。また、特許文献2で提案されたメカニカルシールは、炭化ケイ素材料に形成した表面テクスチャが摩耗して消失すると、運転初期に生ずる摩擦抵抗を抑制することが困難になる。このため、必ずしも長期間運転に適用可能であるとは言えなかった。
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、セラミックス材料特有の優れた硬度等の特性を有するとともに、電源On/OFFの切り替え等により水潤滑条件下での摺動と無潤滑条件下での摺動とを繰り返す場合であっても生ずる摩擦抵抗が低く、長期間運転に適用可能な摺動部材を提供することにある。また、本発明の課題とするところは、上記の摺動部材の製造方法を提供することにある。
すなわち、本発明によれば、以下に示す摺動部材が提供される。
[1]炭化ケイ素15~85質量%及び炭化ホウ素15~85質量%(但し、前記炭化ケイ素と前記炭化ホウ素の合計を100質量%とする)を含有する複合セラミックスからなる基材と、前記基材の少なくとも一部の表面上に形成されたホウ素を含む酸化物を含有する摺動層と、を備え、前記摺動層の表面が摺動面であるとともに、JIS R 1613:2010に準拠して測定される前記摺動面の初期の摩擦係数が0.3以下である摺動部材。
[2]前記複合セラミックスが、前記炭化ケイ素20~80質量%及び前記炭化ホウ素20~80質量%(但し、前記炭化ケイ素と前記炭化ホウ素の合計を100質量%とする)を含有する前記[1]に記載の摺動部材。
[3]前記摺動面の初期の摩擦係数が0.2以下である前記[1]又は[2]に記載の摺動部材。
[4]前記摺動面に水が浸入する条件下で使用されるメカニカルシールである前記[1]~[3]のいずれかに記載の摺動部材。
また、本発明によれば、以下に示す摺動部材の製造方法が提供される。
[5]前記[1]~[4]のいずれかに記載の摺動部材の製造方法であって、炭化ケイ素15~85質量%及び炭化ホウ素15~85質量%(但し、前記炭化ケイ素と前記炭化ホウ素の合計を100質量%とする)を含有する複合セラミックスからなる基材を熱処理し、前記基材の少なくとも一部の表面上にホウ素を含む酸化物を含有する摺動層を形成する工程を有する摺動部材の製造方法。
[6]前記基材を、酸素を含む環境下で850~1,100℃で熱処理する前記[5]に記載の摺動部材の製造方法。
本発明によれば、セラミックス材料特有の優れた硬度等の特性を有するとともに、電源On/OFFの切り替え等により水潤滑条件下での摺動と無潤滑条件下での摺動とを繰り返す場合であっても生ずる摩擦抵抗が低く、長期間運転に適用可能な摺動部材を提供することができる。また、本発明によれば、上記の摺動部材の製造方法を提供することができる。
実施例1の摺動部材の摺動面のラマンスペクトルである。 比較例1の摺動部材の摺動面のラマンスペクトルである。 実施例1の摺動部材の摩擦試験の結果を示すグラフである。 比較例1の摺動部材の摩擦試験の結果を示すグラフである。 実施例2の摺動部材の摩擦試験の結果を示すグラフである。 実施例3の摺動部材の摩擦試験の結果を示すグラフである。 実施例4の摺動部材の摩擦試験の結果を示すグラフである。 比較例2の摺動部材の摩擦試験の結果を示すグラフである。
<摺動部材>
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明の摺動部材は、複合セラミックスからなる基材と、この基材の少なくとも一部の表面上に形成されたホウ素を含む酸化物を含有する摺動層と、を備える。基材を構成する複合セラミックスは、炭化ケイ素(SiC)15~85質量%及び炭化ホウ素(B4C)15~85質量%(但し、炭化ケイ素と炭化ホウ素の合計を100質量%とする)を含有する。そして、本発明の摺動部材は、摺動層の表面が摺動面であるとともに、JIS R 1613:2010に準拠して測定される摺動面の初期の摩擦係数が、0.3以下である。以下、本発明の摺動部材の詳細について説明する。本明細書において、「~」を用いて数値範囲を表す場合、その両端の数値を含むものとする。
(基材)
本発明の摺動部材を構成する基材は、複合セラミックスで形成されている。この複合セラミックスは、炭化ケイ素(SiC)15~85質量%及び炭化ホウ素(B4C)15~85質量%(但し、SiCとB4Cの合計を100質量%とする)を含有し、好ましくは炭化ケイ素20~80質量%及び炭化ホウ素20~80質量%、さらに好ましくは炭化ケイ素30~70質量%及び炭化ホウ素30~70質量%を含有する。炭化ケイ素と炭化ホウ素を上記の比率で含む複合セラミックスからなる基材とすることで、炭化ケイ素や炭化ホウ素の特性が有効に発揮され、硬度等の特性に優れた摺動部材とすることができる。また、試行錯誤の末、本発明者らは、上記の複合セラミックスからなる基材を熱処理(後述)することで、基材の少なくとも一部の表面上にホウ素を含む酸化物を含有する特定の摺動層を形成可能であることを見出した。
複合セラミックス中の炭化ケイ素の含有量が85質量%超(炭化ホウ素の含有量が15質量%未満)であると、炭化ホウ素の比率が低すぎるため、摩擦係数の低い摺動面を有する摺動層を形成することができない。一方、複合セラミックス中の炭化ケイ素の含有量が15質量%未満(炭化ホウ素の含有量が85質量%超)であると、炭化ホウ素の比率が高すぎるため、コスト等の面で不利になる傾向にある。
(摺動層)
摺動層は基材の少なくとも一部の表面上に形成された、ホウ素を含む酸化物を含有する層である。そして、この摺動層の表面は、JIS R 1613:2010に準拠して測定される初期の摩擦係数が0.3以下、好ましくは0.2以下の摺動面である。本発明の摺動部材は、特定の酸化物を含有する摺動層の表面を摺動面とするため、水潤滑条件下での摺動と無潤滑条件下での摺動とを繰り返す場合であっても生ずる摩擦抵抗が低く、長期間運転に適用することができる。特定の酸化物を含有する摺動層の表面を摺動面とすることで上記のような効果が得られる理由につき、本発明者らは以下のように推測している。
給水ポンプ等に用いられるメカニカルシールなどの摺動部材の場合、電源OFFの状態では摺動面に水が浸入しておらず、乾いた状態となっている。摺動層に含有されるホウ素を含む酸化物(例えば、ホウ酸(H3BO3)、酸化ホウ素(B23)等)は固体潤滑材料として機能するため、乾いた摺動面の摩擦係数は極めて低い。このため、この状態(無潤滑条件下)でポンプの電源をONにしても、摺動面の摩擦係数が低いために過度の摩擦抵抗が生ずることがない。電源をONにしてしばらく運転を継続すると、摺動層の少なくとも一部は摩耗により損失するが、摺動面には水が浸入するようになり、浸入した水によってホウ素を含む酸化物(ホウ酸、酸化ホウ素等)が再度生成する。このため、電源をOFFにして摺動面が再び乾いた状態となっても、固体潤滑材料として機能する、ホウ素を含む酸化物を含有する初期の摺動層と同様の摺動層が形成されている。したがって、電源On/OFFの切り替え等により水潤滑条件下での摺動と無潤滑条件下での摺動とを繰り返す場合であっても、生ずる摩擦抵抗は低く、長期間運転に適用することができると考えられる。すなわち、本発明の摺動部材は、摺動面に水が浸入する条件下で使用される、いわゆる自己修復機能を有するメカニカルシールとして好適である。
摺動層は、例えば、前述の複合セラミックスからなる基材を熱処理(後述)することで形成することができる。摺動層の表面(摺動面)の摩擦係数は、JIS R 1613:2010(ファインセラミックスのボールオンディスク法による摩耗試験法)に準拠した方法により測定される物性値である。なお、摩擦係数は測定中に変動する物性値であるため、本発明における「摺動面の摩擦係数」は測定初期の値を意味する。なお、摺動層に含有される「ホウ素を含む酸化物」には、ホウ素(B)の酸化物である酸化ホウ素(B23)の他、ホウ酸(H3BO3)なども概念的に包含される。
<摺動部材の製造方法>
次に、本発明の摺動部材の製造方法(以下、単に「本発明の製造方法」とも記す)について説明する。本発明の製造方法は、上述の摺動部材の製造方法であり、炭化ケイ素15~85質量%及び炭化ホウ素15~85質量%(但し、炭化ケイ素と炭化ホウ素の合計を100質量%とする)を含有する複合セラミックスからなる基材を熱処理し、基材の少なくとも一部の表面上にホウ素を含む酸化物を含有する摺動層を形成する工程(熱処理工程)を有する。以下、その詳細について説明する。
(熱処理工程)
熱処理工程では、まず、炭化ケイ素と炭化ホウ素を所定の比率で含有する複合セラミックスからなる基材を用意する。基材を構成する複合セラミックスを得るには、例えば、炭化ケイ素粉末と、炭化ホウ素粉末とを所望とする質量比で混合して原料粉末を調製する。原料粉末中の炭化ケイ素粉末の含有量は15~85質量%であり、好ましくは20~80質量%、さらに好ましくは25~75質量%である。原料粉末中の炭化ケイ素粉末の含有量を上記範囲内とすることで、炭化ケイ素15~85質量%及び炭化ホウ素15~85質量%(但し、炭化ケイ素と炭化ホウ素の合計を100質量%とする)を含有する複合セラミックスを得ることができる。なお、必要に応じて、カーボンブラック等の焼結助剤を原料粉末に添加してもよい。
次いで、得られた原料粉末を成形して成形体を得る。原料粉末を用いて成形体を成形する方法は特に限定されず、セラミックスの粉末を用いる一般的な成形方法を採用することができる。そして、得られた成形体を、好ましくは常圧条件下で焼成することで、焼成体である複合セラミックスからなる基材を得ることができる。なお、焼成温度は、例えば2,100~2,350℃とすればよい。
その後、必要に応じて、得られた基材の少なくとも一部を鏡面研磨して加工面を形成する。鏡面研磨の具体的な手法については特に限定されず、例えば、適度な粒径のダイヤモンド砥粒を用いて研摩する等の高硬度のセラミックスを鏡面加工するための手法を適用することができる。
次いで、必要に応じて加工面を形成した基材を熱処理する。これにより、基材の少なくとも一部の表面上にホウ素を含む酸化物を含有する摺動層を形成し、目的とする摺動部材を得ることができる。基材は、例えば、大気雰囲気下等の含酸素雰囲気下で熱処理することが好ましい。また、熱処理温度は、850~1,100℃とすることが好ましく、900~1,080℃とすることがさらに好ましい。熱処理温度が低すぎる又は高すぎると、所望とする摺動層を形成することがやや困難になる場合がある。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<摺動部材の製造>
(実施例1)
炭化ケイ素の粉末(純度:99質量%、屋久島電工社製)、及び炭化ホウ素の粉末(純度:99.5質量%(酸素含有量1.2%、窒素含有量0.2質量%を除く)、H.S.Starck社製)を用意した。これらの粉末を、炭化ケイ素の含有量が40質量%、及び炭化ホウ素の割合が60質量%となるように混合して混合粉末を得た。得られた混合粉末100質量部に対して、カーボンブラック3質量部を焼結助剤として添加した後、炭化ケイ素製のボールを用いたボールミルで4時間混合し、乾燥後に整粒して原料粉末を得た。得られた原料粉末を一軸加圧(100kgf/cm2)により予備成形した後、冷間静水等方圧プレス(CIP)により150MPaで加圧して成形体を得た。アルゴン(Ar)雰囲気下、得られた成形体を2,300℃で焼成して焼成体(複合セラミックスからなる基材)を得た。得られた焼成体の一部を粒径1μmのダイヤモンド砥粒を用いて鏡面加工して加工面を形成した。加工面を形成した焼成体を電気炉に入れ、大気雰囲気下、1,000℃で1時間熱処理して、摺動面を有する摺動層が形成された摺動部材を得た。
ラマン分光光度計(商品名「NRS-1000」、日本分光社製)を使用し、得られた摺動部材の摺動層の表面(摺動面)をラマン分光法により分析した。なお、分析箇所は、摺動層の表面の任意の3箇所(表面1~3)とした。実施例1の摺動部材の摺動面のラマンスペクトルを図1Aに示す。図1Aに示すように、ホウ酸(H3BO3)及び炭化ケイ素(SiC)に帰属されるピークがそれぞれ検出されたことがわかる。この結果から、ホウ素を含む酸化物を含有する摺動層が形成された摺動部材が得られたことを確認した。以下、同様の方法によって、製造した摺動部材にホウ素を含む酸化物を含有する摺動層が形成されているか否かを確認した。
(比較例1)
炭化ケイ素の含有量が97質量%及び炭化ホウ素の割合が3質量%となるように、炭化ケイ素の粉末と炭化ホウ素の粉末を混合して混合粉末を得たこと以外は、前述の実施例1と同様にして摺動部材を得た。実施例1と同様にラマン分光法により分析して得られたラマンスペクトルを図1Bに示す。図1Bに示すように、炭化ホウ素(B4C)及び炭化ケイ素(SiC)に帰属されるピークがそれぞれ検出されたが、ホウ酸(H3BO3)等のホウ素を含む酸化物に帰属されるピークが検出されなかったことがわかる。
(実施例2)
炭化ケイ素の含有量が80質量%及び炭化ホウ素の割合が20質量%となるように、炭化ケイ素の粉末と炭化ホウ素の粉末を混合して混合粉末を得たこと以外は、前述の実施例1と同様にして摺動部材を得た。実施例1と同様にラマン分光法により分析し、ホウ素を含む酸化物を含有する摺動層が形成されたことを確認した。
(実施例3)
炭化ケイ素の含有量が60質量%及び炭化ホウ素の割合が40質量%となるように、炭化ケイ素の粉末と炭化ホウ素の粉末を混合して混合粉末を得たこと以外は、前述の実施例1と同様にして摺動部材を得た。実施例1と同様にラマン分光法により分析し、ホウ素を含む酸化物を含有する摺動層が形成されたことを確認した。
(実施例4)
炭化ケイ素の含有量が20質量%及び炭化ホウ素の割合が80質量%となるように、炭化ケイ素の粉末と炭化ホウ素の粉末を混合して混合粉末を得たこと以外は、前述の実施例1と同様にして摺動部材を得た。実施例1と同様にラマン分光法により分析し、ホウ素を含む酸化物を含有する摺動層が形成されたことを確認した。
(比較例2)
炭化ケイ素の含有量が3質量%及び炭化ホウ素の割合が97質量%となるように、炭化ケイ素の粉末と炭化ホウ素の粉末を混合して混合粉末を得たこと以外は、前述の実施例1と同様にして摺動部材を得た。実施例1と同様にラマン分光法により分析し、ホウ素を含む酸化物を含有する摺動層が形成されたことを確認した。
<評価>
(摩擦試験及び摩擦係数の測定)
トライボメータ(商品名「ピンオンディスクトライボメータ(TRB)」、Anton Paar社製)を使用し、JIS R 1613:2010に準拠した方法に従い、無潤滑下の摺動と、JIS R 1691:2011に準拠した方法に従い、潤滑下の摺動を交互に繰り返す摩擦試験を行い、製造した各摺動部材の摺動面の摩擦係数を測定した。摩擦試験の具体的な条件を以下に示す。また、各摺動部材の摩擦試験の結果を示すグラフを図2~7(図2:実施例1、図3:比較例1、図4:実施例2、図5:実施例3、図6:実施例4、図7:比較例2)に示す。
・ピン(ボール)の材質:炭化ケイ素
・ピン(ボール)の直径:10mm
・荷重:5N
・周速:0.1m/sec
・条件:無潤滑、潤滑
・潤滑流体:蒸留水
・摺動距離:100m(無潤滑)、1,000m(潤滑)
本発明の摺動部材は、例えば、給水ポンプのメカニカルシールなどの、摺動面に水が浸入する条件下で使用される部材として有用である。

Claims (6)

  1. 炭化ケイ素15~85質量%及び炭化ホウ素15~85質量%(但し、前記炭化ケイ素と前記炭化ホウ素の合計を100質量%とする)を含有する複合セラミックスからなる基材と、
    前記基材の少なくとも一部の表面上に形成されたホウ素を含む酸化物を含有する摺動層と、を備え、
    前記摺動層の表面が摺動面であるとともに、JIS R 1613:2010に準拠して測定される前記摺動面の初期の摩擦係数が0.3以下である摺動部材。
  2. 前記複合セラミックスが、前記炭化ケイ素20~80質量%及び前記炭化ホウ素20~80質量%(但し、前記炭化ケイ素と前記炭化ホウ素の合計を100質量%とする)を含有する請求項1に記載の摺動部材。
  3. 前記摺動面の初期の摩擦係数が0.2以下である請求項1又は2に記載の摺動部材。
  4. 前記摺動面に水が浸入する条件下で使用されるメカニカルシールである請求項1~3のいずれか一項に記載の摺動部材。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載の摺動部材の製造方法であって、
    炭化ケイ素15~85質量%及び炭化ホウ素15~85質量%(但し、前記炭化ケイ素と前記炭化ホウ素の合計を100質量%とする)を含有する複合セラミックスからなる基材を熱処理し、前記基材の少なくとも一部の表面上にホウ素を含む酸化物を含有する摺動層を形成する工程を有する摺動部材の製造方法。
  6. 前記基材を、酸素を含む環境下で850~1,100℃で熱処理する請求項5に記載の摺動部材の製造方法。
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