JP7084061B1 - 金属溶湯炉 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶湯漏れを防止又は抑制できるとともに、炉体からの放熱を抑制することができる金属溶湯炉を提供する。【解決手段】外周部に外壁1を有し、金属溶湯Mを保持する溶湯収納部を備える金属溶湯炉において、前記溶湯収納部を形成する前記金属溶湯炉の内壁には複数の内張層が配設されており、 前記内張層のうち、前記金属溶湯に接する面を構成する第1の内張層10が耐火材からなり、前記第1の内張層10と前記外壁1との間における少なくとも2つの境界にシール材50が設けられており、前記シール材50、50の間の内張層が少なくとも二酸化珪素(SiO2)を含有する断熱ボードである。【選択図】図3

Description

本発明は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金及び非鉄金属等の溶湯を保持する金属溶湯炉に関する。
従来、アルミニウム、アルミニウム合金及び非鉄金属等の溶湯を溶解保持する溶解保持炉がある(例えば、特許文献1参照)。一般的な溶解保持炉の炉体は、底壁と、底壁の周端から鉛直方向に伸びる周壁又は側壁によって構成されている。底壁と側壁は、概略、外側から内側に向かって順番に、鉄製の外壁(鉄皮)、断熱層、バックアップ層、耐火層(以下、耐火物又は耐火材ともいう)といった内張材を備えており、耐火層の内側に溶湯を保持する溶湯収納部が形成されている。
このような溶解保持炉では、内張材、特に溶湯に接する耐火層に、例えば耐火物のプレキャストブロック、耐火れんがや不定形耐火物のキャスタブル等が使用されている。溶湯には、これら耐火層の組織中に、容易に浸透する性質がある。
例えばアルミニウム合金の溶湯(以下、アルミ溶湯ともいう)に酸化物が発生し、長期間の使用や急激な温度変化から炉体損傷のクラック(亀裂)が生じ易くなり、アルミ溶湯が耐火層のクラックに浸透し溶湯漏れ(湯漏れともいう)が発生し、アルミ溶湯が溶湯収納部の外部に漏れる場合があった。
溶湯漏れを防止するため、特許文献2には、パーマライニングの内表面に複数の凹部を千鳥配置し、さらにパーマライニングの内表面を縦弾性率の低いモルタル層で覆った、溶湯保持容器のライニング構造が開示されている。このような構成にすることで、パーマライニングの内表面に生じる歪を分散させて亀裂の発生を防止し、また、仮にパーマライニングの内表面に亀裂が発生した場合であっても、モルタル層によって溶湯漏れを防止することができる、との効果が示されている。
特許第6644776号公報 特開2017-194236号公報
以上のように、特許文献2には溶湯漏れを防止する方法が示されているが、炉体からの放熱を抑制するための処置については示されていない。
なお、炉体からの放熱については次の問題がある。すなわち、溶湯収納部内で溶湯を一定温度で保持するためには、浸漬型ヒータや浸漬型バーナ等の熱源を継続的に稼働させる必要があったが、従来は炉体から放熱するため、電力やガス等のエネルギーを必要以上に熱源に供給し非効率であった。さらには、炉体表面温度や炉体周辺の大気温度が上昇しやすくなるため、作業員の炉体への接触による火傷等の損傷や作業環境の劣悪化等の問題も生じる虞もあった。
また、溶湯漏れの防止に関しては、耐火層に100mm前後の厚さの耐火物を使用することで対処する方法も実際にはあるが、炉の使用開始後6~8年程経過すると、炉体へのクラックによる損傷が見つかることもあった。
また、メンテナンスを目的とした2~4回/年の停止しか行わない連続操業の場合では、外部への溶湯漏れを防止することは困難をきわめ、作業員への安全性確保や溶湯の熱量減少といった操業面でのデメリットへの対応に注力する必要があった。
したがって、本発明の課題は、溶湯漏れを防止又は抑制できるとともに、炉体からの放熱を抑制することができる金属溶湯炉を提供することにある。
上記課題を解決するための手段の態様は次のとおりである。
外周部に外壁を有し、金属溶湯を保持する溶湯収納部を備える金属溶湯炉において、
前記溶湯収納部を形成する前記金属溶湯炉の内壁には複数の内張層が配設されており、
前記内張層のうち、前記金属溶湯に接する面を構成する第1の内張層が耐火材からなり、
前記第1の内張層と前記外壁との間における少なくとも2つの境界にシール材が設けられており、
前記シール材の間の内張層が少なくとも二酸化珪素(SiO2)を含有する断熱ボードであることを特徴とする金属溶湯炉。
本発明によれば、溶湯漏れを防止又は抑制できるとともに、炉体からの放熱を抑制することができる。
金属溶湯炉例の断面図である。 図1のX部における溶湯漏れの説明用断面図である。 実施の形態におけるシール材配置例の断面図である。 シール材の織成例の背面図である。 補強繊維により補強されたシール材の織成例の背面図である。 他の実施の形態におけるシール材配置例の断面図である。 別の実施の形態におけるシール材配置例の断面図である。 さらに別の実施の形態におけるシール材配置例の断面図である。 異なる実施の形態におけるシール材配置例の断面図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
金属溶湯炉は、図1に示すように、外周部に外壁1を有し、溶湯収納部6を形成する内壁には複数の内張層が配設されており、金属溶湯Mを保持するものである。
前記内張層は、例えば図1に示すように、第1の内張層10、第2の内張層20及び第3の内張層30で構成される。
第1の内張層10は、例えばアルミニウム又はその合金などの金属溶湯Mに接する面を構成するもので、耐火材から構成される。耐火材としては例えば酸化アルミニウム(Al23)を主成分とした低セメントキャスタブルであり、施工時、水分含有率を10%以下に調整し、その後乾燥させて、密度が2,500~3,500kg/m3としたものを用いることができる。第2の内張層20及び第3の内張層30等については、後で詳述する。
金属溶湯炉としては、種々の構造のものを対象とすることができる。図1に示す構造のものは、低圧鋳造用溶湯保持炉であり、詳細は次のとおりである。
すなわち、上部に出湯口2を有し、出湯口2は円筒状のストーク3により構成される。また、上部に給気ポート4と排気ポート5を備えており、加圧気体を溶湯保持室内に給排気できる。
図示しない加圧装置により、給気ポート4を介して、ドライエアや、アルゴン、窒素などの不活性ガスなどの加圧気体が溶湯保持室内に送り込まれる。溶湯保持室内に送り込まれた加圧気体により、溶湯の液面が加圧され、溶湯はストーク3内を上昇して、出湯口2を介し、図示されない鋳造用金型内に形成されたキャビティに圧入される。
鋳造完了後、給気ポート4からの加圧気体の供給は停止され、溶湯保持室内の加圧気体は、排気ポート5から排気される。
この種の金属溶湯炉においては、既述のように、そして図2の模式的に示す(内張層が4層の場合における例)ように、長期間の使用や急激な温度変化から炉体損傷のクラック(亀裂)Cが生じ易くなり、金属溶湯、例えばアルミ溶湯が耐火層のクラックに浸透し溶湯漏れ(湯漏れともいう)が発生することがある。外壁1は、例えば鉄製の外壁であり、極端な例では、クラックに浸透したアルミ溶湯が外壁1まで達し、外壁1がアルミ溶湯の熱で外側に膨張する場合があった。溶湯漏れの流れ例を図2の破線で示した。
かかる問題に対し、図3に示した実施形態では、第1の内張層10と外壁側の第2の内張層20との間にシール材50(第1のシール材50A)を設け、第2の内張層20と外壁側の第3の内張層30との間にもシール材50(第2のシール材50B)を設けている。なお、シール材50を2個以上設けた場合、内壁側から外壁側へ向かって順に第1のシール材50A、第2のシール材50B、第3のシール材50C…という。
このシール材50としては、シート状のもの、特に厚さが2~10mmのシート状を好適に使用できる。
そして、シール材50は、セラミック繊維及び生体溶解性セラミック繊維の少なくとも一方の繊維と、ガラス繊維及びステンレス繊維の少なくとも一方と、を織成したシート材であるのが特に好ましい。
本発明に用いられる生体溶解性セラミック繊維は、「EU指令97/69/EC」規制におけるカテゴリー0(適用除外物質)に分類される繊維から選択される。そのためには、NotaQ「生体内溶解性繊維判定基準」により下記4種類の動物実験のどれかで安全性を証明されるか、またはNotaR「吸入性繊維でないことの判定基準」により長さ加重幾何平均繊維径から標準偏差の2倍を差し引いた数値が6μmを超える繊維であることが必要である。
(1)短期吸入による生体内滞留性試験で、20μmより長い繊維が10日未満の荷重半減期をもつこと、
(2)短期気管内注入による生体内滞留試験で、20μmより長い繊維が40日未満の荷重半減期を持つこと、
(3)腹腔内投与試験により過大な発がん性の証拠がないこと、
(4)長期間吸入試験で、関連ある病原性変化もしくは腫瘍性変化がないこと。
上記の安全性が確認された生体溶解性セラミック繊維であれば、その製造方法、化学組成、平均繊維径あるいは平均繊維長に特に制限はなく、例えば、生体溶解性ロックウールを使用することもできる。
アルカリ金属およびアルカリ土類金属の酸化物(Na2O、K2O、CaO、MgO、BaO等。)を18質量%超含有するものが使用できる。
シリカ-マグネシア-カルシア系のアルカリアースシリケートウールなども使用できる。
セラミック繊維としては、主として常用温度1,400℃以下で使用される、アルミナ(Al23)とシリカ(SiO2)を主成分とした人造鉱物繊維である、非晶質のリフラクトリーセラミックファイバー(以下、RCFと称する。)と、1,400℃より高温で使用されるアルミナ質の結晶質セラミック繊維が知られている。これらRCFと結晶質セラミック繊維は、製造方法や性能、価格が大きく異なっており、それぞれの特性によって使い分けがなされている。
金属溶湯、特にアルミニウム又はアルミニウム合金の温度は700℃以上に達する。そのために、セラミック繊維及び生体溶解性セラミック繊維の少なくとも一方の繊維に対して、ガラス繊維及びステンレス繊維の少なくとも一方の繊維で補強するのが好ましい。
特に、耐熱性の点で少なくともステンレス繊維により補強するのが望ましい。
このシール材50としては、シート状のもの、特に厚さが2~10mmのシート状とするために、繊維糸(ファイバー又はストランド)を織成してシート状にすることができる。織成は、例えば図4及び図5に示す平織り、斜文織り、朱子織りのほか、適宜の織成形態とすることができる。
そして、図5に示すように、セラミック繊維及び生体溶解性セラミック繊維の少なくとも一方の第1繊維51A,51Bに、ガラス繊維及びステンレス繊維の少なくとも一方の補強繊維52を適宜の形態で織り込むことができる。補強繊維52はストランド内に組み込んで補強することもできる。そして、補強繊維を組み込んだストランドを、適宜の形態で織成してシート状のシール材とすることができる。
図6に示すように、第3の内張層30と、これより外壁1側の第4の内張層40との間にシール材50(第2のシール材50B)を設けるようにしても良い。
さらに、図7に示すように、第1の内張層10と第2の内張層20の間にシール材50(第1のシール材50A)を設けるとともに、第2の内張層20と第3の内張層30の間にシール材50(第2のシール材50B)、さらに第3の内張層30と第4の内張層40の間にシール材50(第3のシール材50C)を設ける形態にしても良い。
本発明においては、第1の内張層10と外壁1との間における少なくとも2つの境界にシール材50が設けられておればよく、例えば、図8に示すように、第2の内張層20と第3の内張層30の境界にシール材50(第1のシール材50A)を設け、第3の内張層30と第4の内張層40の境界にシール材50(第2のシール材50B)を設けるものであってもよい。
さらに、例えば図9に示すように、第1の内張層10と第2の内張層20の境界にシール材50(第1のシール材50A)を設けるとともに、第2の内張層20と外壁1の境界にシール材50(第2のシール材50B)を設けるようにしてもよい。
また、シール材50は、上記のように内張層同士の間に設けた後、溶湯収納部に初めて金属溶湯Mを入れた際に、金属溶湯Mの熱が第1の内張層10を介してシール材50に伝わり、シール材50が焦げ臭い匂いを発する場合がある。この匂いを抑えるため、シール材50を予め焼成することができる。
ところで、従来は溶湯漏れに関し、主に第1の内張層の材料の選定に注目されていた。しかるに、第1の内張層10にクラックの発生は避けることができず、クラックが生じる可能性があり、そのクラックを通しての溶湯漏れの危険性は残る。
本発明者は、第1の内張層10の材料の選定に注目するのではなく、第1の内張層10にクラックが発生することを前提に、本発明の完成に到った。
クラックを通しての溶湯漏れがあったとしても、漏れ量の最小化、炉外部への放熱の減少、漏れの方向を制御し外壁までの浸透を抑えることができれば、終局の目的である外壁までの溶湯漏れを防止できる。また、炉体からの放熱を抑制することもできる。
本発明に従ってシール材、特に耐熱(耐火)シール材を使用することは次の利点をもたらす。
(1)溶湯温度に耐える(例えばアルミ溶湯では700℃に耐える)。
(2)溶湯収納部内の金属溶湯を汚さない。
(3)漏れた溶湯の熱量を下げることができ、外壁に到達するまでに漏れた溶湯の浸透を抑えることができる。
(4)溶湯が漏れた場合の方向を制御することができる。
通常漏れた溶湯は、重力により内張層同士の間に沿って下降した後、水平に設けられた外壁側の内張層に到達すると、水平方向に広がっていく。場合によっては、水平に設けられた外壁側の内張層にクラックが発生し、さらにクラックを通して重力により溶湯漏れが広がっていくことがあり、漏れる方向は予測がつかない。
本発明によるシール材50を内張層同士の間に設けると、漏れた溶湯はシール材50が抵抗となって重力により内張層同士の間に沿って下降しにくくなる(つまり下降速度を抑えることができる)。そして、漏れた溶湯はシール材50の織成した繊維方向に沿って流れるとともに分散していき、その間に漏れた溶湯の熱量(単位面積当たりの熱容量)を下げる。併せて、第1のシール材50Aと、第1のシール材50Aの溶湯収納部6側に位置する内張層の材質が異なるので、その内張層から第1のシール材50Aへの熱伝導を抑えることもできる。その結果、第1のシール材50Aの外壁1側にある内張層まで流れる溶湯が激減することになる。前述のクラックの大きさによって漏れる溶湯の量は異なるが、第1のシール材50Aの外壁1側に隣接する内張層と外壁1の間のいずれかの境界に、さらに第2のシール材50Bを設けることで、炉外部への放熱量の減少(第2のシール材50Bと第2のシール材50Bの溶湯収納部6側に隣接する内張層の材質や、第2のシール材50Bと第2のシール材50Bの外壁1側に隣接する内張層の材質が異なるので、各内張層と第2のシール材50B間の熱伝導を抑えることもできる)、漏れの方向の制御、外壁1への浸透の抑制をさらに図ることができる。また、複数のシール材50が設けられているので、外壁1側の内張層に直接溶湯が接触しにくくなり、クラックの発生が生じにくくなる。
なお、本発明における溶湯が漏れた場合の方向を制御するとは、具体的には、内張層同士の間の空間をシール材50により狭くすることで抵抗を大きくし漏れた溶湯の速度を抑えることと外壁側への浸透の制御とを意味する。
さて、図3に示す実施形態の第2の内張層20のように、厚み方向に積層した複数のシール材50に挟まれた位置にある内張層としては、少なくとも二酸化珪素(SiO2)を含有する断熱ボードを用いることが好ましい。例えば、セラミックファイバーボード、ゾノトライト含有ボード等を用いることが好ましい。シール材50、50に挟まれた内張層をこのような内張層にすると、従来一般的に用いられていた第2の内張層20(耐火材である、例えば酸化アルミニウム(Al23)を主成分としたキャスタブルで、施工時、水分含有率が45~65%に調整され、その後乾燥されて、密度が1,000~1,500kg/m3であるもの)と比べて、後述するように軽量とすること、つまり密度を低くすることができ、扱いやすくなる。シール材50、50に挟まれた内張層の密度を低くすることによって、第1の内張層10の熱の伝え易さに比べて、シール材50、50に挟まれた内張層が熱を伝えにくくなる。すなわち、第1の内張層10の溶湯収納部6側から外壁1側への温度降下よりもシール材50、50に挟まれた内張層の溶湯収納部6側から外壁1側への温度降下の方が大きくなる。このように、シール材50、50に挟まれた内張層から外部(例えば図3に示す実施形態では第3の内張層30や第4の内張層40等の周辺の層)へ熱を伝えにくくし、引いては、炉外への溶湯漏れを防止し、炉体からの放熱を抑えることができる。
さらに、図3に示す実施形態の第2の内張層20の密度は、250kg/m3以上1,000kg/m3未満にすることが好ましく、350~450kg/m3とすることがさらに好ましい。上記密度が250kg/m3よりも小さいと、溶湯収納部6の金属溶湯Mの圧力が第1の内張層10及び第1のシール材50Aを通じて第2の内張層20にかかるため、第2の内張層20に金属溶湯が浸透しやすくなる。また、1,000kg/m3以上になると、第2の内張層20の表面が固くなり、シール材50を第2の内張層20に固定する際の方法の一つであるタップでの固定が困難になる。さらに、第2の内張層20の密度が1,000kg/m3以上になると、第2の内張層20が重くなり、割れやすくなり、取り扱いが困難になる恐れもあるとともに、熱を伝えやすくなり、溶湯収納部6側から外壁1側への温度降下が十分に取れなくなる。
図3に示す実施形態の第2の内張層20としては、少なくとも二酸化珪素(SiO2)を含有する断熱ボードであり、セラミックファイバーボード、ゾノトライト含有ボードボード等を用いることが好ましい。このようにシール材50、50に挟まれている内張層を用いることで、炉体からの放熱を抑えることができる。
以上の説明では、図3に示す実施形態の第2の内張層20について説明したが、図7に示す実施形態では第2の内張層20や第3の内張層30が、図8に示す実施形態では第3の内張層30が、図9に示す実施形態では第2の内張層20が、それぞれ、シート材50、50の間に挟まれた内張層に該当する。したがって、これらの内張層については、上記の各ボード、密度を採用することが好ましい。
なお、図3に示す実施形態の第3の内張層30や第4の内張層40のように、最も外側に位置するシール材50(図3の実施形態では第2のシール材50B)よりも外側に位置する内張層としては、従来から一般的に用いられている酸化アルミニウム(Al23)及びシリカ(SiO2)の少なくとも一方を含む繊維や珪酸カルシウムを主成分とした密度が150~250kg/m3のボード等が使用され、断熱性及び耐熱性が確保される。
また、図示したものは、内張層の数を最大第4層まで(第4の内張層40)にしているが、内張層の層数を第5層以上にしてもよい。この場合、第5層以下にシール材50を設けることもできる。
したがって、従来の設計思想は、先述したアルミニウム又はその合金などの金属溶湯Mに接する面を構成する密度が2,500~3,500kg/m3の耐火材からなる第1の内張層10と、密度が1,000~1,500kg/m3の耐火材からなる第2の内張層20との組み合わせによって、第1の内張層10でクラックが発生しても、漏れた溶湯の流れを止めるか、又は流れる速度を抑えるものであった。さらに、酸化アルミニウム(Al23)及びシリカ(SiO2)の少なくとも一方を含む繊維や珪酸カルシウムを主成分とした密度が150~250kg/m3のボード等の第3の内張層30や第4の内張層40によって、漏れた溶湯の温度を下げることで炉外への溶湯漏れを防止するものであった。
しかし、本発明の設計思想は、先述したアルミニウム又はその合金などの金属溶湯Mに接する面を構成する密度が2,500~3,500kg/m3の耐火材からなる第1の内張層10と、シール材50、50に挟まれている少なくとも二酸化珪素(SiO2)を含有する断熱ボードの内張層との組み合わせによって、第1の内張層10でクラックが発生しても、シール材50、50に挟まれている少なくとも二酸化珪素(SiO2)を含有する断熱ボードの内張層によって、漏れた溶湯の流れを止めながら、当該内張層から外部(例えば図3の実施形態では第3の内張層30や第4の内張層40等の周辺の層)へ熱を伝えにくくし、引いては炉外への溶湯漏れを防止し、炉体からの放熱を抑えることにある。
以上のことから、シール材50、50に挟まれている少なくとも二酸化珪素(SiO2)を含有する断熱ボードの内張層が、漏れた溶湯の流れを止めながら炉体からの放熱を抑えるということを兼務することから、従来から設けられていた漏れた溶湯の流れを止めるためのバックアップ層の一部の層を省略することができるか、又は、厚みを減じることができ、さらには各内張層の厚さを従来よりも薄くすることができる。このため、金属溶湯炉自体を小型化することができる。すなわち、溶湯収納部の容量を従来の容量と同じにした場合であっても、金属溶湯炉自体の大きさを小さくすることができる。または、溶湯収納部の容量を従来の容量よりも多少多くした場合であっても、金属溶湯炉の大きさを従来と同じか、又は小さくすることができる。
溶湯としてはアルミニウム又はアルミニウム合金のほか他の金属溶湯でもよい。
なお、本発明の技術範囲は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。例えば、本発明の金属溶湯炉は、溶解保持炉、溶解炉、保持炉、低圧鋳造炉等にも採用可能である。
1…外壁、10…第1の内張層、20…第2の内張層、30…第3の内張層、40…第4の内張層、50…シール材、50A…第1のシール材、50B…第2のシール材、50C…第3のシール材、M…金属溶湯

Claims (2)

  1. 外周部に外壁を有し、金属溶湯を保持する溶湯収納部を備える金属溶湯炉において、
    前記溶湯収納部を形成する前記金属溶湯炉の内壁には複数の内張層が配設されており、
    前記内張層のうち、前記金属溶湯に接する面を構成する第1の内張層が耐火材からなり、
    前記複数の内張層の間および前記内張層と前記外壁の間の群から選ばれる少なくとも2つの間にシール材が設けられており、
    前記シール材は、セラミック繊維及び生体溶解性セラミック繊維の少なくとも一方の繊維と、ガラス繊維及びステンレス繊維の少なくとも一方と、を織成したシート材であり、
    前記シール材の間の内張層が少なくとも二酸化珪素(SiO2)を含有する断熱ボードであることを特徴とする金属溶湯炉。
  2. 前記断熱ボードはセラミックファイバーボード及びゾノトライト含有ボードの少なくともいずれか一方のボードを含む請求項1記載の金属溶湯炉。
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