本発明は、細胞または哺乳動物におけるアシアロ糖タンパク質受容体の発現を調節するための組成物および方法に関する。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、ASGR1のmRNAを標的化し、かつ細胞または哺乳動物におけるASGR1発現を低減するRNAiコンストラクトを含む。このようなRNAiコンストラクトは、例えば、非HDLコレステロールの血清レベルを低減し、かつ冠動脈疾患または心筋梗塞を発症するリスクを低減することなどにより、様々な形態の心血管疾患を治療または予防するのに有用である。
本明細書で使用する場合、用語「RNAiコンストラクト」は、細胞に導入された際にRNA干渉機構を介して標的遺伝子(例えば、ASGR1)の発現を下方制御することができるRNA分子を含む薬剤を指す。RNA干渉は、核酸分子が、例えば、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)経路を介して、配列特異的な様式で標的のRNA分子(例えば、メッセンジャーRNAまたはmRNA分子)の切断および分解を誘導するプロセスである。いくつかの実施形態では、RNAiコンストラクトは、互いに十分に相補的であり、ハイブリダイズして二重鎖領域を形成する連続したヌクレオチドの2本の逆平行鎖を含む二本鎖RNA分子を含む。「ハイブリダイズする」または「ハイブリダイゼーション」は、典型的には、2つのポリヌクレオチドにおける相補的な塩基間の水素結合(例えば、ワトソン-クリック、フーグスティーンまたは逆フーグスティーン水素結合)を介した相補的なポリヌクレオチドの対合を指す。標的配列(例えば、標的mRNA)と実質的に相補的な配列を有する領域を含む鎖は、「アンチセンス鎖」と称される。「センス鎖」は、アンチセンス鎖の領域と実質的に相補的な領域を含む鎖を指す。いくつかの実施形態では、センス鎖は、標的配列と実質的に同一の配列を有する領域を含み得る。
二本鎖RNA分子は、本明細書に記載のものまたは当技術分野で知られるものなど、リボース糖、塩基またはリボヌクレオチドの骨格構成要素に対する修飾を含む、リボヌクレオチドに対する化学修飾を含み得る。二本鎖RNA分子(例えば、siRNA、shRNAなど)で使用されるような任意のそのような修飾は、本開示の目的のための用語「二本鎖RNA」によって包含される。
本明細書で使用する場合、生理的条件などのある種の条件下において、第1の配列を含むポリヌクレオチドが、第2の配列を含むポリヌクレオチドにハイブリダイズして二重鎖領域を形成することができる場合、第1の配列は、第2の配列に「相補的」である。他のそのような条件は、当業者に知られる中程度のまたはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件を含むことができる。第1の配列を含むポリヌクレオチドが、第2の配列を含むポリヌクレオチドとミスマッチすることなく1つまたは両方のヌクレオチド配列の全長にわたって塩基対形成する場合、第1の配列は、第2の配列と完全に相補的(100%相補的)であるとみなされる。配列が少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%標的配列と相補的である場合、配列は、標的配列と「実質的に相補的」である。相補性パーセントは、第2の配列または標的配列の対応する位置の塩基と相補的な第1の配列の塩基の数を第1の配列の全体長で割ることによって計算することができる。2つの配列がハイブリダイズするとき、30塩基対の二重鎖領域にわたって5、4、3または2個以下のミスマッチが存在する場合、配列は他方の配列に対して実質的に相補的であると言われ得る。一般に、本明細書に定義される任意のヌクレオチドオーバーハングが存在する場合、このようなオーバーハングの配列は、2つの配列間の相補性の程度の決定において考慮されない。例として、ハイブリダイズして、各鎖の3’末端に2ヌクレオチドのオーバーハングを有する19塩基対二重鎖領域を形成する、21ヌクレオチド長のセンス鎖および21ヌクレオチド長のアンチセンス鎖は、この用語が本明細書に使用される場合、完全に相補的であるとみなされる。
いくつかの実施形態では、アンチセンス鎖の領域は、標的RNA配列(例えば、ASGR1のmRNA)の領域と完全に相補的な配列を含む。このような実施形態では、センス鎖は、アンチセンス鎖の配列と完全に相補的な配列を含み得る。他のこのような実施形態では、センス鎖は、アンチセンス鎖の配列と実質的に相補的な配列、例えばセンス鎖およびアンチセンス鎖によって形成される二重鎖領域に1、2、3、4または5個のミスマッチを有する配列を含み得る。ある種の実施形態では、任意のミスマッチが末端領域内(例えば、鎖の5’および/または3’末端の6、5、4、3または2ヌクレオチド以内)に生じることが好ましい。一実施形態では、センス鎖およびアンチセンス鎖から形成される二重鎖領域における任意のミスマッチは、アンチセンス鎖の5’末端の6、5、4、3または2ヌクレオチド以内に生じる。
ある種の実施形態では、二本鎖RNAのセンス鎖およびアンチセンス鎖は、ハイブリダイズして二重鎖領域を形成するが、この領域を除いて繋がっていない2つの別々の分子であり得る。2つの別々の鎖から形成されるこのような二本鎖RNA分子は、「低分子干渉RNA」または「短い干渉RNA」(siRNA)と称される。したがって、いくつかの実施形態では、本発明のRNAiコンストラクトは、siRNAを含む。
他の実施形態では、ハイブリダイズして二重鎖領域を形成するセンス鎖およびアンチセンス鎖は、単一RNA分子の一部であり得、すなわち、センス鎖およびアンチセンス鎖は、単一RNA分子の自己相補的領域の一部である。そのような場合、単一RNA分子は、二重鎖領域(ステム領域とも称される)およびループ領域を含む。センス鎖の3’末端は、ループ領域を形成することになる不対ヌクレオチドの隣接配列によってアンチセンス鎖の5’末端に結合される。アンチセンス鎖がセンス鎖と塩基対形成して二重鎖またはステム領域を形成することができるように、ループ領域は、通常、RNA分子がそれ自体で折り返すことを可能にする十分な長さのものである。ループ領域は、約3~約25、約5~約15または約8~約12個の不対ヌクレオチドを含むことができる。少なくとも部分的に自己相補的な領域を有するこのようなRNA分子は、「低分子ヘアピン型RNA」(shRNA)と称される。ある種の実施形態では、本発明のRNAiコンストラクトは、shRNAを含む。単一の少なくとも部分的に自己相補的なRNA分子の長さは、約35ヌクレオチド~約100ヌクレオチド、約45ヌクレオチド~約85ヌクレオチドまたは約50~約60ヌクレオチドであり得、本明細書に列挙される長さをそれぞれ有する二重鎖領域およびループ領域を含むことができる。
いくつかの実施形態では、本発明のRNAiコンストラクトは、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、ASGR1のメッセンジャーRNA(mRNA)配列と実質的にまたは完全に相補的な配列を有する領域を含む。本明細書で使用する場合、「ASGR1のmRNA配列」は、任意の種(例えば、マウス、ラット、非ヒト霊長類、ヒト)に由来するASGR1タンパク質のバリアントまたはアイソフォームを含むASGR1タンパク質をコードするスプライスバリアントを含む任意のメッセンジャーRNA配列を指す。ASGR1タンパク質(HL-1、ASGPR H1、ASGPR1およびCLEC4H1としても知られる)は、本明細書で使用する場合、アシアロ糖タンパク質受容体の主サブユニットを指す。ヒトでは、ASGR1は、染色体17p13.2上に見出され、約291アミノ酸の長いアイソフォーム(H1aまたはアイソフォームA)および約252アミノ酸の短い可溶性アイソフォーム(H1bまたはアイソフォームB)の2つの異なるアイソフォームとして発現される。
ASGR1のmRNA配列は、その相補的DNA(cDNA)配列として発現される転写物配列も含む。cDNA配列は、RNA塩基(例えば、グアニン、アデニン、ウラシルおよびシトシン)ではなく、DNA塩基(例えば、グアニン、アデニン、チミンおよびシトシン)として表されるmRNA転写物の配列を指す。したがって、本発明のRNAiコンストラクトのアンチセンス鎖は、標的ASGR1のmRNA配列またはASGR1のcDNA配列と実質的にまたは完全に相補的な配列を有する領域を含み得る。ASGR1のmRNA配列またはcDNA配列は、NCBI参照配列のNM_001671.4(ヒト;図1A、配列番号1)、NM_001197216.2(ヒト;図1B、配列番号2)、NM_009714.2(マウス;図2、配列番号3011)およびXM_005582698.1(カニクイザル;図4、配列番号3013)または図3のラット配列(配列番号3012)から選択される任意のASGR1のmRNA配列またはcDNA配列を含むことができるが、これらに限定されない。一実施形態では、ASGR1のmRNA配列は、参照配列NM_001671.4(図1A;配列番号1を参照されたい)としてNCBIデータベースに収載されるヒト転写物バリアント1である。別の実施形態では、ASGR1のmRNA配列は、参照配列NM_001197216.2(図1B;配列番号2を参照されたい)としてNCBIデータベースに収載されるヒト転写物バリアント2である。
アンチセンス鎖の領域は、ASGR1のmRNA配列の少なくとも15個の連続したヌクレオチドと実質的に相補的または完全に相補的であり得る。いくつかの実施形態では、アンチセンス鎖が相補性の領域を含むASGR1のmRNA配列の標的領域は、約15~約30個の連続したヌクレオチド、約16~約28個の連続したヌクレオチド、約18~約26個の連続したヌクレオチド、約17~約24個の連続したヌクレオチド、約19~約25個の連続したヌクレオチド、約19~約23個の連続したヌクレオチドまたは約19~約21個の連続したヌクレオチドの範囲であり得る。ある種の実施形態では、ASGR1のmRNA配列と実質的にまたは完全に相補的な配列を含むアンチセンス鎖の領域は、いくつかの実施形態では、表1、表6または表8に列記されるアンチセンス配列からの少なくとも15個の連続したヌクレオチドを含み得る。他の実施形態では、アンチセンス配列は、表1、表6または表8に列記されるアンチセンス配列からの少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個または少なくとも19個の連続したヌクレオチドを含む。例えば、いくつか実施形態では、ASGR1のmRNA配列と実質的にまたは完全に相補的な配列を含むアンチセンス鎖の領域は、配列番号1606、配列番号1684、配列番号1708、配列番号1714、配列番号1743、配列番号1754、配列番号1881、配列番号1897、配列番号2321、配列番号2323、配列番号2491、配列番号2508、配列番号2553、配列番号2650、配列番号2651、配列番号1946、配列番号2002、配列番号2865、配列番号2867、配列番号2869、配列番号2873、配列番号2969、配列番号3701、配列番号3702、配列番号3716、配列番号3718、配列番号3722、配列番号4618、配列番号4619、配列番号4621、配列番号4627、配列番号4630、配列番号4634、配列番号4638または配列番号4639から選択される少なくとも15個の連続したヌクレオチドを含む。
RNAiコンストラクトのセンス鎖は、通常、2本の鎖が生理的条件下でハイブリダイズして二重鎖領域を形成するようにアンチセンス鎖の配列と十分に相補的な配列を含む。「二重鎖領域」は、ワトソン-クリック塩基対合または他の水素結合相互作用のいずれかによって互いに塩基対形成して、2つのポリヌクレオチド間で二重鎖を生成する2つの相補的または実質的に相補的なポリヌクレオチドの領域を指す。RNAiコンストラクトの二重鎖領域は、例えば、ダイサー酵素および/またはRISC複合体が結合することにより、RNAiコンストラクトがRNA干渉経路に入ることを可能にする十分な長さのものであるべきである。例えば、いくつかの実施形態では、二重鎖領域は、約15~約30塩基対長である。この範囲内の二重鎖領域の他の長さ、例えば約15~約28塩基対、約15~約26塩基対、約15~約24塩基対、約15~約22塩基対、約17~約28塩基対、約17~約26塩基対、約17~約24塩基対、約17~約23塩基対、約17~約21塩基対、約19~約25塩基対、約19~約23塩基対または約19~約21塩基対も好適である。一実施形態では、二重鎖領域は、約17~約24塩基対長である。別の実施形態では、二重鎖領域は、約19~約21塩基対長である。
センス鎖およびアンチセンス鎖が2種の別々の分子である(例えば、RNAiコンストラクトがsiRNAを含む)実施形態について、センス鎖およびアンチセンス鎖は、二重鎖領域の長さと同じ長さである必要はない。例えば、一方または両方の鎖は、二重鎖領域よりも長いことができ、二重鎖領域に隣接している1個以上の不対ヌクレオチドまたはミスマッチを有し得る。したがって、いくつかの実施形態では、RNAiコンストラクトは、少なくとも1つのヌクレオチドオーバーハングを含む。本明細書で使用する場合、「ヌクレオチドオーバーハング」は、鎖の末端における不対ヌクレオチドまたは二重鎖領域を越えて延在するヌクレオチドを指す。ヌクレオチドオーバーハングは、通常、一方の鎖の3’末端が他方の鎖の5’末端を越えて延在する場合または一方の鎖の5’末端が他方の鎖の3’末端を越えて延在する場合に生成される。ヌクレオチドオーバーハングの長さは、一般に、1~6ヌクレオチド、1~5ヌクレオチド、1~4ヌクレオチド、1~3ヌクレオチド、2~6ヌクレオチド、2~5ヌクレオチドまたは2~4ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、ヌクレオチドオーバーハングは、1、2、3、4、5または6ヌクレオチドを含む。特定の実施形態では、ヌクレオチドオーバーハングは、1~4ヌクレオチドを含む。ある種の実施形態では、ヌクレオチドオーバーハングは、2ヌクレオチドを含む。オーバーハングにおけるヌクレオチドは、本明細書に記載されるようなリボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチドまたは修飾ヌクレオチドであり得る。いくつかの実施形態では、オーバーハングは、5’-ウリジン-ウリジン-3’(5’-U-U-3’)ジヌクレオチドを含む。このような実施形態では、UUジヌクレオチドは、リボヌクレオチドまたは修飾ヌクレオチド、例えば2’-修飾ヌクレオチドを含み得る。他の実施形態では、オーバーハングは、5’-デオキシチミジン-デオキシチミジン-3’(5’-dTdT-3’)ジヌクレオチドを含む。
ヌクレオチドオーバーハングは、一方または両方の鎖の5’末端または3’末端に存在することができる。例えば、一実施形態では、RNAiコンストラクトは、アンチセンス鎖の5’末端および3’末端にヌクレオチドオーバーハングを含む。別の実施形態では、RNAiコンストラクトは、センス鎖の5’末端および3’末端にヌクレオチドオーバーハングを含む。いくつかの実施形態では、RNAiコンストラクトは、センス鎖の5’末端およびアンチセンス鎖の5’末端にヌクレオチドオーバーハングを含む。他の実施形態では、RNAiコンストラクトは、センス鎖の3’末端およびアンチセンス鎖の3’末端にヌクレオチドオーバーハングを含む。
RNAiコンストラクトは、二本鎖RNA分子の一方の末端に単一ヌクレオチドオーバーハングを含み、かつ他の末端に平滑末端を含み得る。「平滑末端」は、分子の末端においてセンス鎖およびアンチセンス鎖が完全に塩基対形成しており、二重鎖領域を越えて延在する不対ヌクレオチドが存在しないことを意味する。いくつかの実施形態では、RNAiコンストラクトは、センス鎖の3’末端にヌクレオチドオーバーハングを含み、かつセンス鎖の5’末端およびアンチセンス鎖の3’末端に平滑末端を含む。他の実施形態では、RNAiコンストラクトは、アンチセンス鎖の3’末端にヌクレオチドオーバーハングを含み、かつアンチセンス鎖の5’末端およびセンス鎖の3’末端に平滑末端を含む。ある種の実施形態では、RNAiコンストラクトは、二本鎖RNA分子の両端に平滑末端を含む。このような実施形態では、センス鎖およびアンチセンス鎖は、同じ長さを有し、二重鎖領域は、センス鎖およびアンチセンス鎖と同じ長さである(すなわち、分子は、その全長にわたって二本鎖である)。
センス鎖およびアンチセンス鎖は、それぞれ独立して、約15~約30ヌクレオチド長、約18~約28ヌクレオチド長、約19~約27ヌクレオチド長、約19~約25ヌクレオチド長、約19~約23ヌクレオチド長、約21~約25ヌクレオチド長または約21~約23ヌクレオチド長であり得る。ある種の実施形態では、センス鎖およびアンチセンス鎖は、それぞれ約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24または約25ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、RNAiコンストラクトが2つのヌクレオチドオーバーハングを有するように、センス鎖およびアンチセンス鎖は、同じ長さを有するが、これらの鎖よりも短い二重鎖領域を形成する。例えば、一実施形態では、RNAiコンストラクトは、(i)それぞれ21ヌクレオチド長であるセンス鎖およびアンチセンス鎖、(ii)19塩基対長である二重鎖領域ならびに(iii)センス鎖の3’端およびアンチセンス鎖の3’端の両方における2個の不対ヌクレオチドのヌクレオチドオーバーハングを含む。別の実施形態では、RNAiコンストラクトは、(i)それぞれ23ヌクレオチド長であるセンス鎖およびアンチセンス鎖、(ii)21塩基対長である二重鎖領域ならびに(iii)センス鎖の3’端およびアンチセンス鎖の3’端の両方における2個の不対ヌクレオチドのヌクレオチドオーバーハングを含む。他の実施形態では、二本鎖分子のいずれの末端にもヌクレオチドオーバーハングが存在しないように、センス鎖およびアンチセンス鎖は、同じ長さを有し、その長さ全体にわたって二重鎖領域を形成する。このような一実施形態では、RNAiコンストラクトは、平滑末端であり、(i)それぞれ21ヌクレオチド長であるセンス鎖およびアンチセンス鎖ならびに(ii)21塩基対長である二重鎖領域を含む。別のこのような実施形態では、RNAiコンストラクトは、平滑末端であり、(i)それぞれ23ヌクレオチド長であるセンス鎖およびアンチセンス鎖ならびに(ii)23塩基対長である二重鎖領域を含む。
他の実施形態では、RNAiコンストラクトが少なくとも1つのヌクレオチドオーバーハングを含むように、センス鎖またはアンチセンス鎖は、他方の鎖よりも長く、この2つの鎖は、短い方の鎖の長さに等しい長さを有する二重鎖領域を形成する。例えば、一実施形態では、RNAiコンストラクトは、(i)19ヌクレオチド長であるセンス鎖、(ii)21ヌクレオチド長であるアンチセンス鎖、(iii)19塩基対長の二重鎖領域および(iv)アンチセンス鎖の3’端における2個の不対ヌクレオチドの単一ヌクレオチドオーバーハングを含む。別の実施形態では、RNAiコンストラクトは、(i)21ヌクレオチド長であるセンス鎖、(ii)23ヌクレオチド長であるアンチセンス鎖、(iii)21塩基対長の二重鎖領域および(iv)アンチセンス鎖の3’端における2個の不対ヌクレオチドの単一ヌクレオチドオーバーハングを含む。
本発明のRNAiコンストラクトのアンチセンス鎖は、表1、表6または表8に列記されるアンチセンス配列、これらのアンチセンス配列のいずれかのヌクレオチド1~19の配列またはこれらのアンチセンス配列のいずれかのヌクレオチド2~19の配列のいずれか1つの配列を含むことができる。表1、表6または表8に列記されるアンチセンス配列の各々は、2ヌクレオチドのオーバーハング配列に加えて、ASGR1のmRNA配列と相補的な少なくとも19個の連続したヌクレオチド(5’末端から数えて最初の19個のヌクレオチド)の配列を含む。したがって、いくつかの実施形態では、アンチセンス鎖は、配列番号1508~3010、3665~4315または4513~4687のいずれか1つのヌクレオチド1~19の配列を含む。他の実施形態では、アンチセンス鎖は、配列番号1508~3010、3665~4315または4513~4687のいずれか1つのヌクレオチド2~19の配列を含む。さらに他の実施形態では、アンチセンス鎖は、配列番号1508~3010、3665~4315または4513~4687から選択される配列を含む。ある種の実施形態では、アンチセンス鎖は、配列番号1606、配列番号1684、配列番号1708、配列番号1714、配列番号1743、配列番号1754、配列番号1881、配列番号1897、配列番号2321、配列番号2323、配列番号2491、配列番号2508、配列番号2553、配列番号2650、配列番号2651、配列番号1946、配列番号2002、配列番号2865、配列番号2867、配列番号2869、配列番号2873、配列番号2969、配列番号3701、配列番号3702、配列番号3716、配列番号3718、配列番号3722、配列番号4618、配列番号4619、配列番号4621、配列番号4627、配列番号4630、配列番号4634、配列番号4638または配列番号4639から選択される配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、アンチセンス鎖は、配列番号1684、配列番号1708、配列番号1714、配列番号1743、配列番号2323、配列番号2650、配列番号2651、配列番号2867、配列番号2869、配列番号2873、配列番号4618、配列番号4621、配列番号4627、配列番号4638または配列番号4639から選択される配列を含むかまたはそれからなる。他の実施形態では、アンチセンス鎖は、配列番号1743、配列番号2323、配列番号2651、配列番号2867、配列番号2869、配列番号4621または配列番号4638を含むかまたはそれからなる。
これらおよび他の実施形態では、本発明のRNAiコンストラクトのセンス鎖は、表1、表6または表8に列記されるセンス配列、これらのセンス配列のいずれかのヌクレオチド1~19の配列またはこれらのセンス配列のいずれかのヌクレオチド2~19の配列のいずれか1つの配列を含むことができる。表1、表6または表8に列記されるセンス配列の各々は、2ヌクレオチドのオーバーハング配列に加えて、ASGR1のmRNA配列と同一かつ対応するアンチセンス配列と相補的な少なくとも19個の連続したヌクレオチド(5’末端から数えて最初の19個のヌクレオチド)の配列を含む。したがって、いくつかの実施形態では、センス鎖は、配列番号5~1507、3014~3664または4319~4512のいずれか1つのヌクレオチド1~19の配列を含む。他の実施形態では、センス鎖は、配列番号5~1507、3014~3664または4319~4512のいずれか1つのヌクレオチド2~19の配列を含む。さらに他の実施形態では、センス鎖は、配列番号5~1507、3014~3664または4319~4512から選択される配列を含む。ある種の実施形態では、センス鎖は、配列番号103、配列番号181、配列番号205、配列番号211、配列番号240、配列番号251、配列番号378、配列番号394、配列番号818、配列番号820、配列番号988、配列番号1005、配列番号1050、配列番号1147、配列番号1148、配列番号443、配列番号499、配列番号1362、配列番号1364、配列番号1366、配列番号1370、配列番号1466、配列番号3050、配列番号3051、配列番号3065、配列番号3067、配列番号3071、配列番号4443、配列番号4444、配列番号4446、配列番号4452、配列番号4455、配列番号4459、配列番号4463または配列番号4464から選択される配列を含むかまたはそれからなる。ある種の他の実施形態では、センス鎖は、配列番号181、配列番号205、配列番号211、配列番号240、配列番号820、配列番号1147、配列番号1148、配列番号1364、配列番号1366、配列番号1370、配列番号4443、配列番号4446、配列番号4452、配列番号4463または配列番号4464から選択される配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、センス鎖は、配列番号240、配列番号820、配列番号1148、配列番号1364、配列番号1366、配列番号4446または配列番号4463を含むかまたはそれからなる。
本発明のある種の実施形態では、RNAiコンストラクトは、(i)配列番号5~1507、3014~3664もしくは4319~4512、配列番号5~1507、3014~3664もしくは4319~4512のいずれか1つのヌクレオチド1~19または配列番号5~1507、3014~3664もしくは4319~4512のいずれか1つのヌクレオチド2~19から選択される配列を含むセンス鎖、および(ii)配列番号1508~3010、3665~4315もしくは4513~4687、配列番号1508~3010、3665~4315もしくは4513~4687のいずれか1つのヌクレオチド1~19または配列番号1508~3010、3665~4315もしくは4513~4687のいずれか1つのヌクレオチド2~19から選択される配列を含むアンチセンス鎖を含む。いくつかの実施形態では、RNAiコンストラクトは、(i)配列番号103、配列番号181、配列番号205、配列番号211、配列番号240、配列番号251、配列番号378、配列番号394、配列番号818、配列番号820、配列番号988、配列番号1005、配列番号1050、配列番号1147、配列番号1148、配列番号443、配列番号499、配列番号1362、配列番号1364、配列番号1366、配列番号1370、配列番号1466、配列番号3050、配列番号3051、配列番号3065、配列番号3067、配列番号3071、配列番号4443、配列番号4444、配列番号4446、配列番号4452、配列番号4455、配列番号4459、配列番号4463または配列番号4464から選択される配列を含むかまたはそれからなるセンス鎖、および(ii)配列番号1606、配列番号1684、配列番号1708、配列番号1714、配列番号1743、配列番号1754、配列番号1881、配列番号1897、配列番号2321、配列番号2323、配列番号2491、配列番号2508、配列番号2553、配列番号2650、配列番号2651、配列番号1946、配列番号2002、配列番号2865、配列番号2867、配列番号2869、配列番号2873、配列番号2969、配列番号3701、配列番号3702、配列番号3716、配列番号3718、配列番号3722、配列番号4618、配列番号4619、配列番号4621、配列番号4627、配列番号4630、配列番号4634、配列番号4638または配列番号4639から選択される配列を含むかまたはそれからなるアンチセンス鎖を含む。他の実施形態では、RNAiコンストラクトは、(i)配列番号181、配列番号205、配列番号211、配列番号240、配列番号820、配列番号1147、配列番号1148、配列番号1364、配列番号1366、配列番号1370、配列番号4443、配列番号4446、配列番号4452、配列番号4463または配列番号4464から選択される配列を含むかまたはそれからなるセンス鎖、および(ii)配列番号1684、配列番号1708、配列番号1714、配列番号1743、配列番号2323、配列番号2650、配列番号2651、配列番号2867、配列番号2869、配列番号2873、配列番号4618、配列番号4621、配列番号4627、配列番号4638または配列番号4639から選択される配列を含むかまたはそれからなるアンチセンス鎖を含む。さらに他の実施形態では、RNAiコンストラクトは、(i)配列番号240、配列番号820、配列番号1148、配列番号1364、配列番号1366、配列番号4446または配列番号4463から選択される配列を含むかまたはそれからなるセンス鎖、および(ii)配列番号1743、配列番号2323、配列番号2651、配列番号2867、配列番号2869、配列番号4621または配列番号4638から選択される配列を含むかまたはそれからなるアンチセンス鎖を含む。
ある種の実施形態では、RNAiコンストラクトは、(a)配列番号181の配列を含むセンス鎖および配列番号1684の配列を含むアンチセンス鎖、(b)配列番号205の配列を含むセンス鎖および配列番号1708の配列を含むアンチセンス鎖、(c)配列番号211の配列を含むセンス鎖および配列番号1714の配列を含むアンチセンス鎖、(d)配列番号240の配列を含むセンス鎖および配列番号1743の配列を含むアンチセンス鎖、(e)配列番号820の配列を含むセンス鎖および配列番号2323の配列を含むアンチセンス鎖、(f)配列番号1147の配列を含むセンス鎖および配列番号2650の配列を含むアンチセンス鎖、(g)配列番号1148の配列を含むセンス鎖および配列番号2651の配列を含むアンチセンス鎖、(h)配列番号1364の配列を含むセンス鎖および配列番号2867の配列を含むアンチセンス鎖、(i)配列番号1366の配列を含むセンス鎖および配列番号2869の配列を含むアンチセンス鎖または(j)配列番号1370の配列を含むセンス鎖および配列番号2873の配列を含むアンチセンス鎖を含む。
本発明のRNAiコンストラクトは、表1~10に列記される二重鎖化合物(ヌクレオチド配列および/または化合物の化学修飾を含む)のいずれかであり得る。いくつかの実施形態では、RNAiコンストラクトは、表1に列記される二重鎖化合物のいずれかである。他の実施形態では、RNAiコンストラクトは、表6に列記される二重鎖化合物(ヌクレオチド配列および/または化合物の化学修飾を含む)のいずれかである。さらに他の実施形態では、RNAiコンストラクトは、表8に列記される二重鎖化合物(ヌクレオチド配列および/または化合物の化学修飾を含む)のいずれかである。ある種の実施形態では、RNAiコンストラクトは、D-1098、D-1176、D-1200、D-1206、D-1235、D-1246、D-1373、D-1389、D-1813、D-1815、D-1983、D-2000、D-2045、D-2142、D-2143、D-1438、D-1494、D-2357、D-2359、D-2361、D-2365、D-2461、D-3036、D-3037、D-3051、D-3053、D-3057、D-3779、D-3780、D-3782、D-3788、D-3791、D-3795、D-3799またはD-3800である。いくつかの実施形態では、RNAiコンストラクトは、D-1200、D-1206、D-1235、D-1815、D-2143、D-2359、D-2361、D-2365、D-2142、D-1176、D-3779、D-3782、D-3788、D-3799またはD-3800である。特定の一実施形態では、RNAiコンストラクトは、D-1235である。別の特定の実施形態では、RNAiコンストラクトは、D-2143である。別の実施形態では、RNAiコンストラクトは、D-2361である。別の実施形態では、RNAiコンストラクトは、D-1815である。別の実施形態では、RNAiコンストラクトは、D-2359である。さらに別の実施形態では、RNAiコンストラクトは、D-3782である。さらに別の実施形態では、RNAiコンストラクトは、D-3799である。
ある種の実施形態では、本発明のRNAiコンストラクトのアンチセンス鎖は、ASGR1のmRNA配列の特定の領域を標的化し得る。例えば、いくつかの実施形態では、本発明のRNAiコンストラクトのアンチセンス鎖は、配列番号1に記載のヒトASGR1のmRNA転写物のヌクレオチド692~721、配列番号1に記載のヒトASGR1のmRNA転写物のヌクレオチド692~716または配列番号1に記載のヒトASGR1のmRNA転写物のヌクレオチド692~710と実質的に相補的または完全に相補的な配列を含む。このような実施形態では、RNAiコンストラクトは、この領域を標的化するアンチセンス鎖と実質的に相補的または完全に相補的なセンス鎖を含み得る。したがって、これらの実施形態では、センス鎖は、配列番号1のヌクレオチド692~721、ヌクレオチド692~716またはヌクレオチド692~710と同一の配列を含み得る。
他の実施形態では、本発明のRNAiコンストラクトのアンチセンス鎖は、配列番号1に記載のヒトASGR1のmRNA転写物のヌクレオチド396~425、配列番号1に記載のヒトASGR1のmRNA転写物のヌクレオチド396~420または配列番号1に記載のヒトASGR1のmRNA転写物のヌクレオチド396~414と実質的に相補的または完全に相補的な配列を含む。このような実施形態では、RNAiコンストラクトは、この領域を標的化するアンチセンス鎖と実質的に相補的または完全に相補的なセンス鎖を含み得る。したがって、これらの実施形態では、センス鎖は、配列番号1のヌクレオチド396~425、ヌクレオチド396~420またはヌクレオチド396~414と同一の配列を含み得る。
さらに他の実施形態では、本発明のRNAiコンストラクトのアンチセンス鎖は、配列番号1に記載のヒトASGR1のmRNA転写物のヌクレオチド886~915、配列番号1に記載のヒトASGR1のmRNA転写物のヌクレオチド886~910または配列番号1に記載のヒトASGR1のmRNA転写物のヌクレオチド886~904と実質的に相補的または完全に相補的な配列を含む。このような実施形態では、RNAiコンストラクトは、この領域を標的化するアンチセンス鎖と実質的に相補的または完全に相補的なセンス鎖を含み得る。したがって、これらの実施形態では、センス鎖は、配列番号1のヌクレオチド886~915、ヌクレオチド886~910またはヌクレオチド886~904と同一の配列を含み得る。
本発明のRNAiコンストラクトは、1つ以上の修飾ヌクレオチドを含み得る。「修飾ヌクレオチド」は、ヌクレオシド、核酸塩基、ペントース環またはホスフェート基に対する1つ以上の化学修飾を有するヌクレオチドを指す。本明細書で使用する場合、修飾ヌクレオチドは、アデノシン一リン酸、グアノシン一リン酸、ウリジン一リン酸およびシチジン一リン酸を含有するリボヌクレオチドならびにデオキシアデノシン一リン酸、デオキシグアノシン一リン酸、デオキシチミジン一リン酸およびデオキシシチジン一リン酸を含有するデオキシリボヌクレオチドを包含しない。しかしながら、RNAiコンストラクトは、修飾ヌクレオチド、リボヌクレオチドおよびデオキシリボヌクレオチドの組み合わせを含み得る。二本鎖RNA分子の一方または両方の鎖への修飾ヌクレオチドの組み込みは、例えば、ヌクレアーゼおよび他の分解プロセスに対する分子の感受性を低下させることにより、RNA分子のインビボ安定性を向上させることができる。標的遺伝子の発現を低減するためのRNAiコンストラクトの効力を修飾ヌクレオチドの組み込みによって増強することもできる。
ある種の実施形態では、修飾ヌクレオチドは、リボース糖の修飾を有する。このような糖修飾は、ペントース環の2’および/または5’位における修飾ならびに二環性糖修飾を含むことができる。2’-修飾ヌクレオチドは、HまたはOH以外の置換基を2’位に有するペントース環を有するヌクレオチドを指す。このような2’-修飾は、2’-O-アルキル(例えば、O-C1-C10またはO-C1-C10置換アルキル)、2’-O-アリル(O-CH2CH=CH2)、2’-C-アリル、2’-フルオロ、2’-O-メチル(OCH3)、2’-O-メトキシエチル(O-(CH2)2OCH3)、2’-OCF3、2’-O(CH2)2SCH3、2’-O-アミノアルキル、2’-アミノ(例えば、NH2)、2’-O-エチルアミンおよび2’-アジドを含むが、これらに限定されない。ペントース環の5’位置における修飾は、5’-メチル(RまたはS)、5’-ビニルおよび5’-メトキシを含むが、これらに限定されない。
「二環性糖修飾」は、ペントース環の修飾を指し、この場合、架橋が環の2つの原子を接続して、二環性糖構造をもたらす第2の環を形成する。いくつかの実施形態では、二環性糖修飾は、ペントース環の4’および2’炭素間の架橋を含む。二環性糖修飾を有する糖部分を含むヌクレオチドは、本明細書では二環性核酸またはBNAと称する。例示的な二環性糖修飾は、α-L-メチレンオキシ(4’-CH2-O-2’)二環性核酸(BNA);β-D-メチレンオキシ(4’-CH2-O-2’)BNA(ロックド核酸またはLNAとも称される);エチレンオキシ(4’-(CH2)2-O-2’)BNA;アミノオキシ(4’-CH2-O-N(R)-2’)BNA;オキシアミノ(4’-CH2-N(R)-O-2’)BNA;メチル(メチレンオキシ)(4’-CH(CH3)-O-2’)BNA(拘束エチル(constrained ethyl)またはcEtとも称される);メチレン-チオ(4’-CH2-S-2’)BNA;メチレン-アミノ(4’-CH2-N(R)-2’)BNA;メチル炭素環式(4’-CH2-CH(CH3)-2’)BNA;プロピレン炭素環式(4’-(CH2)3-2’)BNA;およびメトキシ(エチレンオキシ)(4’-CH(CH2OMe)-O-2’)BNA(拘束MOE(constrained MOE)またはcMOEとも称される)を含むが、これらに限定されない。本発明のRNAiコンストラクトに組み込むことができるこれらおよび他の糖修飾ヌクレオチドは、米国特許第9,181,551号明細書、米国特許出願公開第2016/0122761号明細書およびDeleavey and Damha,Chemistry and Biology,Vol.19:937-954,2012に記載されており、これらの文献は、全て参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
いくつかの実施形態では、RNAiコンストラクトは、1つ以上の2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、2’-O-メチル修飾ヌクレオチド、2’-O-メトキシエチル修飾ヌクレオチド、2’-O-アリル修飾ヌクレオチド、二環性核酸(BNA)またはこれらの組み合わせを含む。ある種の実施形態では、RNAiコンストラクトは、1つ以上の2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、2’-O-メチル修飾ヌクレオチド、2’-O-メトキシエチル修飾ヌクレオチドまたはこれらの組み合わせを含む。特定の一実施形態では、RNAiコンストラクトは、1つ以上の2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、2’-O-メチル修飾ヌクレオチドまたはこれらの組み合わせを含む。
RNAiコンストラクトのセンス鎖およびアンチセンス鎖の両方は、1つまたは複数の修飾ヌクレオチドを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、センス鎖は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個以上の修飾ヌクレオチドを含む。ある種の実施形態では、センス鎖中の全てのヌクレオチドは、修飾ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、アンチセンス鎖は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個以上の修飾ヌクレオチドを含む。他の実施形態では、アンチセンス鎖中の全てのヌクレオチドは、修飾ヌクレオチドである。ある種の他の実施形態では、センス鎖中の全てのヌクレオチドおよびアンチセンス鎖中の全てのヌクレオチドは、修飾ヌクレオチドである。これらおよび他の実施形態では、修飾ヌクレオチドは、2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、2’-O-メチル修飾ヌクレオチドまたはこれらの組み合わせであり得る。
いくつかの実施形態では、センス鎖、アンチセンス鎖または両方の鎖におけるアデノシンヌクレオチドの前にある全てのピリミジンヌクレオチドは、修飾ヌクレオチドである。例えば、いずれかの鎖で配列5’-CA-3’または5’-UA-3’が現れる場合、シチジンおよびウリジンヌクレオチドは、修飾ヌクレオチドであり、好ましくは2’-O-メチル修飾ヌクレオチドである。ある種の実施形態では、センス鎖中の全てのピリミジンヌクレオチドは、修飾ヌクレオチド(例えば、2’-O-メチル修飾ヌクレオチド)であり、アンチセンス鎖において存在する全ての配列5’-CA-3’または5’-UA-3’の5’ヌクレオチドは、修飾ヌクレオチド(例えば、2’-O-メチル修飾ヌクレオチド)である。他の実施形態では、二重鎖領域における全てのヌクレオチドは、修飾ヌクレオチドである。このような実施形態では、修飾ヌクレオチドは、好ましくは、2’-O-メチル修飾ヌクレオチド、2’-フルオロ修飾ヌクレオチドまたはこれらの組み合わせである。
RNAiコンストラクトがヌクレオチドオーバーハングを含む実施形態では、オーバーハング中のヌクレオチドは、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチドまたは修飾ヌクレオチドであり得る。一実施形態では、オーバーハング中のヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、例えばデオキシチミジンである。別の実施形態では、オーバーハング中のヌクレオチドは、修飾ヌクレオチドである。例えば、いくつかの実施形態では、オーバーハング中のヌクレオチドは、2’-O-メチル修飾ヌクレオチド、2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、2’-メトキシエチル修飾ヌクレオチドまたはこれらの組み合わせである。
本発明のRNAiコンストラクトは、1つ以上の修飾されたヌクレオチド間結合も含み得る。本明細書で使用する場合、用語「修飾されたヌクレオチド間結合」は、元から存在する3’-5’ホスホジエステル結合以外のヌクレオチド間の結合を指す。いくつかの実施形態では、修飾されたヌクレオチド間結合は、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、アルキルホスホナート(例えば、メチルホスホナート、3’-アルキレンホスホナート)、ホスフィナート、ホスホロアミダート(例えば、3’-アミノホスホロアミダートおよびアミノアルキルホスホロアミダート)、ホスホロチオエート(P=S)、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、チオノホスホロアミダート、チオノアルキルホスホナート、チオノアルキルホスホトリエステルおよびボラノホスフェートなどのリン含有ヌクレオチド間結合である。一実施形態では、修飾されたヌクレオチド間結合は、2’-5’ホスホジエステル結合である。他の実施形態では、修飾されたヌクレオチド間結合は、リン非含有ヌクレオチド間結合であり、したがって、修飾されたヌクレオシド間結合と称される場合もある。このようなリン非含有結合は、モルホリノ結合(一部はヌクレオシドの糖部分から形成される);シロキサン結合(-O-Si(H)2-O-);スルフィド、スルホキシドおよびスルホン結合;ホルムアセチルおよびチオホルムアセチル結合;アルケン含有骨格;スルファマート骨格;メチレンメチルイミノ(-CH2-N(CH3)-O-CH2-)およびメチレンヒドラジノ結合;スルホナートおよびスルホンアミド結合;アミド結合;ならびに混合されたN、O、SおよびCH2構成要素部分を有する他のものを含むが、これらに限定されない。一実施形態では、修飾されたヌクレオシド間結合は、米国特許第5,539,082号明細書;同第5,714,331号明細書;および同第5,719,262号明細書に記載されているものなど、ペプチド核酸またはPNAを生成するためのペプチドに基づく結合(例えば、アミノエチルグリシン)である。本発明のRNAiコンストラクトにおいて使用され得る他の好適な修飾されたヌクレオチド間およびヌクレオシド間結合は、米国特許第6,693,187号明細書、同第9,181,551号明細書、米国特許出願公開第2016/0122761号明細書ならびにDeleavey and Damha,Chemistry and Biology,Vol.19:937-954,2012に記載されており、これらの文献は、全て参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
ある種の実施形態では、RNAiコンストラクトは、1つ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含む。ホスホロチオエートヌクレオチド間結合は、RNAiコンストラクトのセンス鎖、アンチセンス鎖または両方の鎖において存在し得る。例えば、いくつかの実施形態では、センス鎖は、1、2、3、4、5、6、7、8個以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含む。他の実施形態では、アンチセンス鎖は、1、2、3、4、5、6、7、8個以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含む。さらに他の実施形態では、両方の鎖は、1、2、3、4、5、6、7、8個以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含む。RNAiコンストラクトは、センス鎖、アンチセンス鎖または両方の鎖の3’末端、5’末端または3’末端および5’末端の両方に1つ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含むことができる。例えば、ある種の実施形態では、RNAiコンストラクトは、センス鎖、アンチセンス鎖または両方の鎖の3’末端に約1個~約6個以上(例えば、約1、2、3、4、5、6個以上)の連続したホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含む。他の実施形態では、RNAiコンストラクトは、センス鎖、アンチセンス鎖または両方の鎖の5’末端に約1個~約6個以上(例えば、約1、2、3、4、5、6個以上)の連続したホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含む。一実施形態では、RNAiコンストラクトは、センス鎖の3’末端に単一のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含み、かつアンチセンス鎖の3’末端に単一のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含む。別の実施形態では、RNAiコンストラクトは、アンチセンス鎖の3’末端に2つの連続したホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含む(すなわちアンチセンス鎖の3’末端の第1および第2のヌクレオチド間結合におけるホスホロチオエートヌクレオチド間結合)。別の実施形態では、RNAiコンストラクトは、アンチセンス鎖の3’末端および5’末端の両方に2つの連続したホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含む。さらに別の実施形態では、RNAiコンストラクトは、アンチセンス鎖の3’末端および5’末端の両方に2つの連続したホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含み、かつセンス鎖の5’末端に2つの連続したホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含む。さらに別の実施形態では、RNAiコンストラクトは、アンチセンス鎖の3’末端および5’末端の両方に2つの連続したホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含み、かつセンス鎖の3’末端および5’末端の両方に2つの連続したホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含む(すなわちアンチセンス鎖の5’末端および3’末端の第1および第2のヌクレオチド間結合におけるホスホロチオエートヌクレオチド間結合、およびセンス鎖の5’末端および3’末端の第1および第2のヌクレオチド間結合におけるホスホロチオエートヌクレオチド間結合)。一方または両方の鎖が1つ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含む実施形態のいずれかにおいて、鎖内の残りのヌクレオチド間結合は、元から存在する3’-5’ホスホジエステル結合であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、センス鎖およびアンチセンス鎖の各ヌクレオチド間結合は、ホスホジエステルおよびホスホロチオエートから選択され、少なくとも1つのヌクレオチド間結合がホスホロチオエートである。
RNAiコンストラクトがヌクレオチドオーバーハングを含む実施形態では、オーバーハング中の不対ヌクレオチドの2つ以上は、ホスホロチオエートヌクレオチド間結合によって結合され得る。ある種の実施形態では、アンチセンス鎖および/またはセンス鎖の3’末端のヌクレオチドオーバーハングにおける全ての不対ヌクレオチドは、ホスホロチオエートヌクレオチド間結合によって結合される。他の実施形態では、アンチセンス鎖および/またはセンス鎖の5’末端のヌクレオチドオーバーハングにおける全ての不対ヌクレオチドは、ホスホロチオエートヌクレオチド間結合によって結合される。さらに他の実施形態では、任意のヌクレオチドオーバーハングにおける全ての不対ヌクレオチドは、ホスホロチオエートヌクレオチド間結合によって結合される。
ある種の実施形態では、本発明のRNAiコンストラクトの一方または両方の鎖に組み込まれる修飾ヌクレオチドは、核酸塩基(本明細書では「塩基」とも称される)の修飾を有する。「修飾核酸塩基」または「修飾塩基」は、天然に存在するプリン塩基であるアデニン(A)およびグアニン(G)ならびにピリミジン塩基であるチミン(T)、シトシン(C)およびウラシル(U)以外の塩基を指す。修飾核酸塩基は、合成的な修飾または天然に存在する修飾であり得、かつユニバーサル塩基、5ーメチルシトシン(5-me-C)、5-ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン(X)、ヒポキサンチン(I)、2-アミノアデニン、6-メチルアデニン、6-メチルグアニンならびにアデニンおよびグアニンの他のアルキル誘導体、アデニンおよびグアニンの2-プロピルならびに他のアルキル誘導体、2-チオウラシル、2-チオチミンおよび2-チオシトシン、5-ハロウラシルおよびシトシン、5-プロピニルウラシルおよびシトシン、6-アゾウラシル、シトシンおよびチミン、5-ウラシル(プソイドウラシル)、4-チオウラシル、8-ハロ、8-アミノ、8-チオ、8-チオアルキル、8-ヒドロキシルおよび他の8-置換アデニンおよびグアニン、5-ハロ、特に5-ブロモ、5-トリフルオロメチルおよび他の5-置換ウラシルおよびシトシン、7-メチルグアニンおよび7-メチルアデニン、8-アザグアニンおよび8-アザアデニン、7-デアザグアニンおよび7-デアザアデニン(daazaadenine)ならびに3-デアザグアニンおよび3-デアザアデニンを含むことができるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、修飾塩基は、ユニバーサル塩基である。「ユニバーサル塩基」は、結果として生じる二重鎖領域の二重らせん構造を変えることなく、RNAおよびDNAの天然の塩基の全てと無差別に塩基対を形成する塩基類似体を指す。ユニバーサル塩基は、当業者に知られており、イノシン、C-フェニル、C-ナフチルおよび他の芳香族誘導体、アゾールカルボキサミドならびに3-ニトロピロール、4-ニトロインドール、5-ニトロインドールおよび6-ニトロインドールなどのニトロアゾール誘導体を含むが、これらに限定されない。
本発明のRNAiコンストラクトに組み込むことができる他の好適な修飾塩基は、Herdewijn,Antisense Nucleic Acid Drug Dev.,Vol.10:297-310,2000およびPeacock et al.,J.Org.Chem.,Vol.76:7295-7300,2011に記載されているものを含み、これらの文献の両方は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。グアニン、シトシン、アデニン、チミンおよびウラシルは、上述の修飾核酸塩基などの他の核酸塩基により、そのような置換核酸塩基を有するヌクレオチドを含むポリヌクレオチドの塩基対特性を実質的に変えることなく置換され得ることを当業者は十分に認識している。
いくつかの実施形態では、RNAiコンストラクトのセンス鎖およびアンチセンス鎖は、1つ以上の脱塩基ヌクレオチドを含み得る。「脱塩基ヌクレオチド」または「脱塩基ヌクレオシド」は、リボース糖の1’位で核酸塩基を欠いているヌクレオチドまたはヌクレオシドである。ある種の実施形態では、脱塩基ヌクレオチドは、RNAiコンストラクトのセンス鎖および/またはアンチセンス鎖の末端に組み込まれる。一実施形態では、センス鎖は、その3’末端、その5’末端またはその3’末端および5’末端の両方で末端ヌクレオチドとして脱塩基ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、アンチセンス鎖は、その3’末端、その5’末端またはその3’末端および5’末端の両方で末端ヌクレオチドとして脱塩基ヌクレオチドを含む。脱塩基ヌクレオチドが末端ヌクレオチドであるこのような実施形態では、それは、天然の3’-5’ヌクレオチド間結合ではなく、3’-3’ヌクレオチド間結合(すなわち逆方向ヌクレオチド)を介して隣接ヌクレオチドと結合され得る。
本発明のRNAiコンストラクトのいくつかの実施形態では、センス鎖、アンチセンス鎖またはアンチセンス鎖およびセンス鎖の両方の5’末端は、ホスフェート部分を含む。本明細書で使用する場合、用語「ホスフェート部分」は、非修飾ホスフェート(-O-P=O)(OH)OH)および修飾ホスフェートを含む末端ホスフェート基を指す。修飾ホスフェートは、OおよびOH基の1つ以上がH、O、S、N(R)またはアルキルで置換されており、RがH、アミノ保護基または非置換もしくは置換アルキルであるホスフェートを含む。例示的なホスフェート部分は、5’-モノホスフェート;5’-ジホスフェート;5’-トリホスフェート;5’-グアノシンキャップ(7-メチル化もしくは非メチル化);5’-アデノシンキャップまたは任意の他の修飾もしくは非修飾ヌクレオチドキャップ構造;5’-モノチオホスフェート(ホスホロチオエート);5’-モノジチオホスフェート(ホスホロジチオエート);5’-α-チオトリホスフェート;5’-γ-チオトリホスフェート;5’-ホスホロアミダート;5’-ビニルホスフェート;5’-アルキルホスホナート(例えば、アルキル=メチル、エチル、イソプロピル、プロピルなど);および5’-アルキルエーテルホスホナート(例えば、アルキルエーテル=メトキシメチル、エトキシメチルなど)を含むが、これらに限定されない。
本発明のRNAiコンストラクトに組み込むことができる修飾ヌクレオチドは、本明細書に記載の2つ以上の化学修飾を有し得る。例えば、修飾ヌクレオチドは、リボース糖への修飾および核酸塩基への修飾を有し得る。例として、修飾ヌクレオチドは、2’糖修飾(例えば、2’-フルオロまたは2’-メチル)を含み得、修飾塩基(例えば、5-メチルシトシンまたはプソイドウラシル)を含み得る。他の実施形態では、修飾ヌクレオチドは、修飾ヌクレオチドがポリヌクレオチドに組み込まれたとき、修飾されたヌクレオチド間またはヌクレオシド間結合を生成するであろう、5’ホスフェートへの修飾と組み合わされた糖修飾を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、修飾ヌクレオチドは、2’-フルオロ修飾、2’-O-メチル修飾または二環性糖修飾および5’ホスホロチオエート基などの糖修飾を含み得る。したがって、いくつかの実施形態では、本発明のRNAiコンストラクトの一方または両方の鎖は、2’修飾ヌクレオチドまたはBNAおよびホスホロチオエートヌクレオチド間結合の組み合わせを含む。ある種の実施形態では、本発明のRNAiコンストラクトのセンス鎖およびアンチセンス鎖の両方の鎖は、2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、2’-O-メチル修飾ヌクレオチドおよびホスホロチオエートヌクレオチド間結合の組み合わせを含む。修飾ヌクレオチドおよびヌクレオチド間結合を含む例示的なRNAiコンストラクトを表6および8に示す。
好ましくは、本発明のRNAiコンストラクトは、細胞内、特に肝臓細胞内でのASGR1発現を低減または阻害する。したがって、一実施形態では、本発明は、細胞を本明細書に記載の任意のRNAiコンストラクトと接触させることにより、細胞内でのASGR1発現を低減する方法を提供する。細胞は、インビトロまたはインビボにあり得る。ASGR1発現は、ASGR1のmRNA、ASGR1のタンパク質またはアルカリホスファターゼの血清レベルなどのASGR1発現と関連する別のバイオマーカーの量またはレベルを測定することによって評価することができる。本発明のRNAiコンストラクトで処理された細胞または動物におけるASGR1発現の低減は、RNAiコンストラクトで処理されていないかまたは対照RNAiコンストラクトで処理された細胞または動物におけるASGR1発現と比較して決定することができる。例えば、いくつかの実施形態では、ASGR1発現の低減は、(a)本発明のRNAiコンストラクトで処理された肝臓細胞におけるASGR1のmRNAの量またはレベルを測定すること、(b)対照RNAiコンストラクト(例えば、肝臓細胞において発現しないRNA分子またはナンセンスもしくはスクランブル配列を有するRNAiコンストラクトを対象とするRNAi薬剤)またはコンストラクトなしで処理された肝臓細胞におけるASGR1のmRNAの量またはレベルを測定すること、および(c)(a)において処理された細胞から測定されたASGR1のmRNAレベルと、(b)における対照細胞から測定されたASGR1のmRNAレベルとを比較することによって評価される。比較前に、処理された細胞および対照細胞におけるASGR1のmRNAレベルを対照遺伝子(例えば、18SリボソームRNAまたはハウスキーピング遺伝子)に対するRNAレベルに正規化することができる。ASGR1のmRNAレベルは、ノーザンブロット分析、ヌクレアーゼプロテクションアッセイ、蛍光インサイチューハイブリダイゼーション(FISH)、逆転写酵素(RT)-PCR、リアルタイムRT-PCR、定量PCR、ドロップレットデジタルPCRなどを含む様々な方法によって測定することができる。
他の実施形態では、ASGR1発現の低減は、(a)本発明のRNAiコンストラクトで処理された肝臓細胞におけるASGR1のタンパク質の量またはレベルを測定すること、(b)対照RNAiコンストラクト(例えば、肝臓細胞において発現しないRNA分子またはナンセンスもしくはスクランブル配列を有するRNAiコンストラクトを対象とするRNAi薬剤)またはコンストラクトなしで処理された肝臓細胞におけるASGR1のタンパク質の量またはレベルを測定すること、および(c)(a)において処理された細胞から測定されたASGR1のタンパク質レベルと、(b)における対照細胞から測定されたASGR1のタンパク質レベルとを比較することによって評価される。ASGR1のタンパク質レベルを測定する方法は、当業者に知られており、ウエスタンブロット、イムノアッセイ(例えば、ELISA)およびフローサイトメトリーを含む。ASGR1のタンパク質発現を評価するための例示的なイムノアッセイに基づく方法を実施例2および7に記載する。実施例3では、RNA FISHを用いるASGR1のmRNAを測定するための例示的な方法を記載し、実施例8では、ドロップレットデジタルPCRを用いるASGR1のmRNAを評価するための例示的な方法を記載する。ASGR1のmRNAまたはタンパク質を測定することができる任意の方法を使用して、本発明のRNAiコンストラクトの有効性を評価することができる。
いくつかの実施形態では、ASGR1の発現レベルを評価するための方法は、自然にASGR1を発現する細胞(例えば、肝臓細胞)またはASGR1を発現するように操作された細胞においてインビトロで実施される。ある種の実施形態では、これらの方法は、肝臓細胞においてインビトロで実施される。好適な肝臓細胞は、初代肝細胞(例えば、ヒト、非ヒト霊長類または齧歯類の肝細胞)、HepAD38細胞、HuH-6細胞、HuH-7細胞、HuH-5-2細胞、BNLCL2細胞、Hep3B細胞またはHepG2細胞を含むが、これらに限定されない。一実施形態では、肝臓細胞は、Hep3B細胞である。別の実施形態では、肝臓細胞は、ヒト初代肝細胞である。
他の実施形態では、ASGR1の発現レベルを評価するための方法は、インビボで実施される。RNAiコンストラクトおよび任意の対照RNAiコンストラクトを動物(例えば、齧歯類または非ヒト霊長類)に投与することができ、ASGR1のmRNAまたはタンパク質レベルを、処理後の動物から採取した肝臓組織において評価することができる。代わりにまたは加えて、ASGR1発現と関連するバイオマーカーまたは機能的表現型を、処理された動物において評価することができる。例えば、上昇した血清アルカリホスファターゼレベルは、ASGR1遺伝子の機能欠損変異を有する個体における非HDLコレステロールの低下した血清レベルと相関する(Nioi et al.,New England Journal of Medicine,Vol.374(22):2131-2141,2016、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。したがって、アルカリホスファターゼまたは非HDLコレステロールの血清レベルを、本発明のRNAiコンストラクトで処理された動物において測定して、ASGR1発現の低減の機能的有効性を評価することができる。これらの分析のための例示的な方法を実施例6、9および10に記載する。
ある種の実施形態では、ASGR1の発現は、本発明のRNAiコンストラクトにより、肝臓細胞において少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%または少なくとも50%低減する。いくつかの実施形態では、ASGR1の発現は、本発明のRNAiコンストラクトにより、肝臓細胞において少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%または少なくとも85%低減する。他の実施形態では、ASGR1の発現は、本発明のRNAiコンストラクトにより、肝臓細胞において約90%以上、例えば約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%以上低減する。ASGR1発現の低減パーセントは、本明細書に記載の方法のいずれかおよび当技術分野で知られる他の方法によって測定することができる。例えば、ある種の実施形態では、本発明のRNAiコンストラクトは、インビトロのHep3B細胞において5nMでASGR1発現の少なくとも45%を阻害する。関連する実施形態では、本発明のRNAiコンストラクトは、インビトロのHep3B細胞において5nMでASGR1発現の少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%または少なくとも75%を阻害する。他の実施形態では、本発明のRNAiコンストラクトは、インビトロのHep3B細胞において5nMでASGR1発現の少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも96%または少なくとも98%を阻害する。
いくつかの実施形態では、IC50値を計算して、肝臓細胞におけるASGR1発現の阻害に対する本発明のRNAiコンストラクトの効力を評価する。「IC50値」は、生物学的または生化学的機能の50%阻害を達成するのに要求される用量/濃度である。任意の特定の物質またはアンタゴニストのIC50値を、用量反応曲線を作成すること、および任意のアッセイにおける発現レベルまたは機能活性に対する異なる濃度の物質またはアンタゴニストの効果を試験することによって決定することができる。最大の生物学的応答または本来の発現レベルの半分を阻害するのに必要とされる濃度を決定することにより、IC50値を所与のアンタゴニストまたは物質について計算することができる。したがって、実施例に記載のイムノアッセイ、RNA FISHアッセイ、qPCRまたはドロップレットデジタルPCRなどの任意のアッセイにおいて、肝臓細胞における本来のASGR1の発現レベル(例えば、対照肝臓細胞におけるASGR1の発現レベル)の半分を阻害するのに必要とされるRNAiコンストラクトの濃度を決定することにより、任意のRNAiコンストラクトについてIC50値を計算することができる。本発明のRNAiコンストラクトは、約10nM未満、約5nM未満または約1nM未満のIC50で肝臓細胞(例えば、Hep3B細胞)におけるASGR1発現を阻害し得る。例えば、RNAiコンストラクトは、約0.5nM~約10nM、約0.8nM~約8nM、約1nM~約5nM、約0.8nM~約3nM、約0.001nM~約1nM、約0.001nM~約0.50nM、約0.001nM~約0.1nM、約0.001nM~約0.01nM、約0.01nM~約0.50nM、約0.02nM~約0.80nM、約0.01nM~約1.0nM、約0.1nM~約0.9nMまたは約0.05nM~約0.5nMのIC50で肝臓細胞におけるASGR1発現を阻害する。ある種の実施形態では、RNAiコンストラクトは、約0.5nM~約5nMのIC50で肝臓細胞(例えば、Hep3B細胞)におけるASGR1発現を阻害する。他の実施形態では、RNAiコンストラクトは、約0.01nM~約0.9nMのIC50で肝臓細胞(例えば、Hep3B細胞)におけるASGR1発現を阻害する。
本発明のRNAiコンストラクトは、当技術分野で知られる手法、例えば従来の核酸固相合成を使用して容易に作製することができる。RNAiコンストラクトのポリヌクレオチドは、標準のヌクレオチドまたはヌクレオシド前駆体(例えば、ホスホラミダイト)を利用する好適な核酸合成装置上で構築することができる。自動核酸合成装置は、Applied Biosystems(Foster City、CA)のDNA/RNA合成装置、BioAutomation(Irving、TX)のMerMade合成装置およびGE Healthcare Life Sciences(Pittsburgh、PA)のOligoPilot合成装置を含め、いくつかのベンダーによって市販されている。
リボヌクレオシドの5’位で酸解離性ジメトキシトリチル(DMT)とともに2’シリル保護基を使用して、ホスホラミダイト化学を介してオリゴヌクレオチドを合成することができる。最終脱保護条件は、RNA産物を著しく分解しないことが知られている。全ての合成は、大規模、中規模または小規模で任意の自動または手動合成装置において行うことができる。合成は、複数のウェルプレート、カラムまたはスライドガラスにおいて実行することもできる。
2’-O-シリル基は、フッ化物イオンへの曝露を介して除去することができ、フッ化物イオンは、フッ化物イオンの任意の供給源、例えば無機対イオンと対になるフッ化物イオンを含有する塩、例えばフッ化セシウムおよびフッ化カリウムまたは有機対イオンと対になるフッ化物イオンを含有する塩、例えばフッ化テトラアルキルアンモニウムを含むことができる。クラウンエーテル触媒は、脱保護反応において無機フッ化物と組み合わせて利用することができる。好ましいフッ化物イオン供給源は、フッ化テトラブチルアンモニウムまたはアミンヒドロフルオライド(例えば、双極性非プロトン溶媒、例えばジメチルホルムアミドにおいてトリエチルアミンと水性HFとを組み合わせる)である。
亜リン酸トリエステルおよびホスホトリエステルに対して使用するための保護基の選択により、フッ化物に対するトリエステルの安定性を変えることができる。ホスホトリエステルまたは亜リン酸トリエステルのメチル保護は、フッ化物イオンに対する結合を安定化し、プロセス収率を向上させることができる。
リボヌクレオシドは、反応性の2’ヒドロキシル置換基を有するため、RNAにおける反応性の2’位を、5’-O-ジメトキシトリチル保護基に対して直交性である保護基、例えば酸処理に対して安定であるもので保護することが望ましい場合がある。シリル保護基は、この条件を満たし、最小のRNA分解をもたらし得る最終のフッ化物脱保護ステップにおいて容易に除去することができる。
テトラゾール触媒は、標準的なホスホラミダイトカップリング反応において使用することができる。好ましい触媒は、例えば、テトラゾール、S-エチル-テトラゾール、ベンジルチオテトラゾール、p-ニトロフェニルテトラゾールを含む。
当業者によって理解され得るように、本明細書に記載のRNAiコンストラクトを合成するさらなる方法は、当業者に明らかである。加えて、様々な合成ステップを代替の順番または順序で実施して所望の化合物を得ることができる。本明細書に記載のRNAiコンストラクトの合成において有用な他の合成化学転換、保護基(例えば、塩基に存在するヒドロキシル、アミノなどのための)および保護基の手法(保護および脱保護)は、当技術分野で知られており、例えばR.Larock,Comprehensive Organic Transformations,VCH Publishers(1989);T.W.Greene and P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,2d.Ed.,John Wiley and Sons(1991);L.Fieser and M.Fieser,Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis,John Wiley and Sons(1994);およびL.Paquette,ed.,Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis,John Wiley and Sons(1995)ならびにそれらの後続版に記載のものなどを含む。RNAi薬剤のカスタム合成も、Dharmacon,Inc.(Lafayette、CO)、AxoLabs GmbH(Kulmbach、Germany)およびAmbion,Inc.(Foster City、CA)を含むいくつかの民間のベンダーから入手可能である。
本発明のRNAiコンストラクトは、リガンドを含み得る。本明細書で使用する場合、「リガンド」は、別の化合物または分子と直接的または間接的に相互作用することができる任意の化合物または分子を指す。別の化合物または分子とリガンドとの相互作用は、生物学的応答を誘発し得るか(例えば、シグナル伝達カスケードを惹起する、受容体媒介性のエンドサイトーシスを誘導する)、またはまさに物理的会合であり得る。リガンドは、結合する二本鎖RNA分子の1つ以上の特性、例えばRNA分子の薬力学、薬物動態、結合、吸収、細胞分布、細胞内取り込み、電荷および/またはクリアランス特性を改変することができる。
リガンドは、血清タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン、低密度リポタンパク質、グロブリン)、コレステロール部分、ビタミン(ビオチン、ビタミンE、ビタミンB12)、葉酸部分、ステロイド、胆汁酸(例えば、コール酸)、脂肪酸(例えば、パルミチン酸、ミリスチン酸)、炭水化物(例えば、デキストラン、プルラン、キチン、キトサン、イヌリン、シクロデキストリンもしくはヒアルロン酸)、グリコシド、リン脂質または抗体もしくはその結合断片(例えば、肝臓などの特定の細胞型に対するRNAiコンストラクトを標的化する抗体もしくは結合断片)を含み得る。リガンドの他の例は、色素、挿入剤(例えば、アクリジン)、架橋剤(例えば、プソラレン、マイトマイシンC)、ポルフィリン(TPPC4、テキサフィリン、サフィリン)、多環芳香族炭化水素(例えば、フェナジン、ジヒドロフェナジン)、人工エンドヌクレアーゼ(例えば、EDTA)、親油性分子、例えばアダマンタン酢酸、1-ピレン酪酸、ジヒドロテストステロン、1,3-ビス-O(ヘキサデシル)グリセロール、ゲラニルオキシヘキシル基、ヘキサデシルグリセロール、ボルネオール、メントール、1,3-プロパンジオール、ヘプタデシル基、03-(オレオイル)リトコール酸、03-(オレオイル)コレン酸、ジメトキシトリチルまたはフェノキサジン)、ペプチド(例えば、アンテナペディアペプチド、Tatペプチド、RGDペプチド)、アルキル化剤、ポリマー、例えばポリエチレングリコール(PEG)(例えば、PEG-40K)、ポリアミノ酸およびポリアミン(例えば、スペルミン、スペルミジン)を含む。
ある種の実施形態では、リガンドは、エンドソーム不安定化特性を有する。エンドソーム不安定化リガンドは、エンドソームの溶解および/または本発明のRNAiコンストラクトもしくはその構成要素のエンドソームから細胞の細胞質への輸送を促進する。エンドソーム不安定化リガンドは、pH依存性膜活性および膜融合性を示すポリカチオンペプチドまたはペプチド模倣体であり得る。一実施形態では、エンドソーム不安定化リガンドは、エンドソームのpHでその活性型コンフォメーションをとる。「活性型」コンフォメーションは、エンドソーム不安定化リガンドが、エンドソームの溶解および/または本発明のRNAiコンストラクトもしくはその構成要素のエンドソームから細胞の細胞質への輸送を促進するコンフォメーションである。例示的なエンドソーム不安定化リガンドは、GALAペプチド(Subbarao et al.,Biochemistry,Vol. 26:2964-2972,1987)、EALAペプチド(Vogel et al.,J.Am.Chem.Soc.,Vol.118:1581-1586,1996)およびそれらの誘導体(Turk et al.,Biochem.Biophys.Acta,Vol.1559:56-68,2002)を含む。一実施形態では、エンドソーム不安定化構成要素は、pHの変化に応答して電荷またはプロトン化に変化を起こすことになる化学基(例えば、アミノ酸)を含有し得る。エンドソーム不安定化構成要素は、直鎖状または分枝状であり得る。
いくつかの実施形態では、リガンドは、脂質または他の疎水性分子を含む。一実施形態では、リガンドは、コレステロール部分または他のステロイドを含む。コレステロールコンジュゲート型オリゴヌクレオチドは、それらの非コンジュゲート型の対応物よりも活性であると報告されている(Manoharan,Antisense Nucleic Acid Drug Development,Vol.12:103-228,2002)。核酸分子へのコンジュゲーションのためのコレステロール部分および他の脂質を含むリガンドは、米国特許第7,851,615号明細書;同第7,745,608号明細書;および同第7,833,992号明細書にも記載されており、これらの文献は、全て参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。別の実施形態では、リガンドは、葉酸部分を含む。葉酸部分とコンジュゲートしたポリヌクレオチドは、受容体媒介性のエンドサイトーシス経路を介して細胞に取り込まれ得る。このような葉酸-ポリヌクレオチドコンジュゲートは、米国特許第8,188,247号明細書に記載されており、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
ASGR1がアシアロ糖タンパク質受容体(ASGR)の構成要素として肝臓細胞(例えば、肝細胞)の表面において発現されることを考慮すると、ある種の実施形態では、それらの肝臓細胞にRNAiコンストラクトを特異的に送達することが望ましい。したがって、ある種の実施形態では、リガンドは、以下でより詳細に記載するような様々な手段を用いるRNAiコンストラクトの肝臓細胞(例えば、肝細胞)への特異的な送達を標的化する。ある種の実施形態では、RNAiコンストラクトは、表面に発現したASGR、ASGR1および/またはASGR2に結合するリガンドにより、肝臓細胞に標的化される。これらの実施形態では、ASGR1の発現は、以前に送達されたRNAiコンストラクトの効果に起因して低減されるため、この標的化する手段により、肝臓細胞に送達されるRNAiコンストラクトの量を低減する自己調節システムをもたらすことができると想定される。
いくつかの実施形態では、RNAiコンストラクトは、肝臓細胞の表面に発現されるタンパク質と結合または相互作用するリガンドを採用することにより、肝臓に特異的に標的化され得る。例えば、ある種の実施形態では、リガンドは、アシアロ糖タンパク質受容体およびLDL受容体などの肝細胞で発現される受容体に特異的に結合する抗原結合タンパク質(例えば、抗体またはその結合断片(例えば、Fab、scFv))含み得る。特定の一実施形態では、リガンドは、ASGR1および/またはASGR2に特異的に結合する抗体またはその結合断片を含む。別の実施形態では、リガンドは、ASGR1および/またはASGR2に特異的に結合する抗体のFab断片を含む。「Fab断片」は、1つの免疫グロブリン軽鎖(すなわち軽鎖可変領域(VL)および定常領域(CL))ならびに1つの免疫グロブリン重鎖のCH1領域および可変領域(VH)から構成される。別の実施形態では、リガンドは、ASGR1および/またはASGR2に特異的に結合する抗体の単鎖可変抗体断片(scFv断片)を含む。「scFv断片」は、抗体のVH領域およびVL領域を含み、これらの領域は、単一のポリペプチド鎖に存在し、必要に応じて、Fvが抗原結合のための所望の構造を形成することを可能にするVH領域とVL領域との間のペプチドリンカーを含む。本発明のRNAiコンストラクトを肝臓に標的化するためのリガンドとして使用することができる、ASGR1に特異的に結合する例示的な抗体およびその結合断片は、米国特許出願第62/234,546号明細書および国際公開第2017/058944号パンフレットに記載されており、その両方は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。本発明のRNAiコンストラクトにおけるリガンドとしての使用に好適である、ASGR1、LDL受容体または他の肝臓の表面に発現されるタンパク質に特異的に結合する他の抗体またはその結合断片は、市販されている。
いくつかの実施形態では、リガンドは、cysモノクローナル抗体(mAb)またはその抗原結合断片を含む。「cys mAb」は、軽鎖もしくは重鎖の少なくとも1つのアミノ酸がシステインアミノ酸で置換されているか、または少なくとも1つのシステインアミノ酸が軽鎖もしくは重鎖の一次配列に挿入されているモノクローナル抗体またはその抗原結合断片である。システインアミノ酸の側鎖における遊離チオール基は、本発明のRNAiコンストラクトのセンス鎖が共有結合的に結合され得るコンジュゲーション部位を提供する。システイン置換/付加は、抗体または抗原結合断片の軽鎖または重鎖のアミノ末端またはカルボキシ末端に存在することができる。代わりにまたは加えて、システイン置換/付加は、システインン置換/付加が抗体または抗原結合断片のその標的(例えば、ASGR1)への結合親和性に影響を及ぼさない限り、軽鎖または重鎖の内部の部位に位置することができる。システイン残基で置換され得る抗体の重鎖および軽鎖内の例示的なアミノ酸は、国際公開第2006/034488号パンフレットおよび国際公開第2007/022070号パンフレットに記載されており、その両方は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。ある種の実施形態では、リガンドは、ヒトASGR1に特異的に結合するcys mAbまたはその抗原結合断片を含む。例示的な抗ASGR1 cys mAbを実施例10に記載する。一実施形態では、リガンドは、重鎖および軽鎖を有する抗ASGR1抗体を含み、重鎖は、配列番号4696の配列を含み、かつ軽鎖は、配列番号4697の配列を含む。抗ASGR1 cys mAbまたはその抗原結合断片は、必要に応じて本明細書に記載のリンカーのいずれかを介して本発明のRNAiコンストラクトのセンス鎖の5’末端または3’末端に共有結合的に結合され得る。いくつかの実施形態では、抗ASGR1抗体-RNA分子コンジュゲートは、干渉RNA分子(例えば、siRNAまたはshRNA)の1つのコピーを含む(すなわち、抗体に対するRNAiの比率は、1である)。他の実施形態では、抗ASGR1抗体-RNA分子コンジュゲートは、干渉RNA分子(例えば、siRNAまたはshRNA)の2つのコピーを含む(すなわち、抗体に対するRNAiの比率は、2である)。
ある種の実施形態では、リガンドは、炭水化物を含む。「炭水化物」は、各炭素原子に結合される酸素、窒素または硫黄原子を伴う少なくとも6個の炭素原子(鎖状、分岐状または環状であり得る)を有する1つ以上の単糖単位で構成される化合物を指す。炭水化物は、糖(例えば、単糖、二糖、三糖、四糖および約4、5、6、7、8または9個の単糖単位を含有するオリゴ糖)ならびにデンプン、グリコーゲン、セルロースおよび多糖類ガムなどの多糖を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、リガンドに組み込まれる炭水化物は、ペントース、ヘキソースまたはヘプトースから選択される単糖ならびにこのような単糖単位を含む二糖および三糖である。他の実施形態では、リガンドに組み込まれる炭水化物は、ガラクトサミン、グルコサミン、N-アセチルガラクトサミンおよびN-アセチルグルコサミンなどのアミノ糖である。
いくつかの実施形態では、リガンドは、ヘキソースまたはヘキソサミンを含む。ヘキソースは、グルコース、ガラクトース、マンノース、フコースまたはフルクトースから選択され得る。ヘキソサミンは、フルクトサミン、ガラクトサミン、グルコサミンまたはマンノサミンから選択され得る。ある種の実施形態では、リガンドは、グルコース、ガラクトース、ガラクトサミンまたはグルコサミンを含む。一実施形態では、リガンドは、グルコース、グルコサミンまたはN-アセチルグルコサミンを含む。別の実施形態では、リガンドは、ガラクトース、ガラクトサミンまたはN-アセチル-ガラクトサミンを含む。特定の実施形態では、リガンドは、N-アセチル-ガラクトサミンを含む。グルコース、ガラクトースおよびN-アセチル-ガラクトサミン(GalNAc)を含むリガンドは、このようなリガンドが肝細胞の表面に発現されるASGRに結合するため、化合物を肝臓細胞に標的化するのに特に有効である。例えば、D’Souza and Devarajan,J.Control Release,Vol.203:126-139,2015を参照されたい。本発明のRNAiコンストラクトに組み込むことができるGalNAcまたはガラクトース含有リガンドの例は、米国特許第7,491,805号明細書;同第8,106,022号明細書;および同第8,877,917号明細書;米国特許出願公開第20030130186号明細書;ならびに国際公開第2013166155号パンフレットに記載されており、これらの文献は、全て参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
ある種の実施形態では、リガンドは、多価炭水化物部分を含む。本明細書で使用する場合、「多価炭水化物部分」は、独立して他の分子と結合または相互作用することができる2つ以上の炭水化物単位を含む部分を指す。例えば、多価炭水化物部分は、2つ以上の異なる分子または同じ分子の2つ以上の異なる部位に結合することができる炭水化物で構成される2つ以上の結合ドメインを含む。炭水化物部分の価数は、炭水化物部分内の個々の結合ドメインの数を意味する。例えば、炭水化物部分に関する用語「一価」、「二価」、「三価」および「四価」は、それぞれ1、2、3および4個の結合ドメインを有する炭水化物部分を指す。多価炭水化物部分は、多価ラクトース部分、多価ガラクトース部分、多価グルコース部分、多価N-アセチル-ガラクトサミン部分、多価N-アセチル-グルコサミン部分、多価マンノース部分または多価フコース部分を含み得る。いくつかの実施形態では、リガンドは、多価ガラクトース部分を含む。他の実施形態では、リガンドは、多価N-アセチル-ガラクトサミン部分を含む。これらおよび他の実施形態では、多価炭水化物部分は、二価、三価または四価である。このような実施形態では、多価炭水化物部分は、二分岐または三分岐であり得る。特定の一実施形態では、多価N-アセチル-ガラクトサミン部分は、三価または四価である。別の特定の実施形態では、多価ガラクトース部分は、三価または四価である。本発明のRNAiコンストラクトへの組み込みのための例示的な三価または四価のGalNAc含有リガンドは、以下に詳述される。
リガンドは、RNAiコンストラクトのRNA分子に直接的または間接的に結合またはコンジュゲートされ得る。例えば、いくつかの実施形態では、リガンドは、RNAiコンストラクトのセンス鎖またはアンチセンス鎖に共有結合的に直接結合される。他の実施形態では、リガンドは、RNAiコンストラクトのセンス鎖またはアンチセンス鎖にリンカーを介して共有結合的に結合される。リガンドは、本発明のRNAiコンストラクトのポリヌクレオチド(例えば、センス鎖もしくはアンチセンス鎖)の核酸塩基、糖部分またはヌクレオチド間結合に結合され得る。プリン核酸塩基またはその誘導体へのコンジュゲーションまたは結合は、環内および環外の原子を含む任意の位置で起こり得る。ある種の実施形態では、プリン核酸塩基の2位、6位、7位または8位がリガンドに結合される。ピリミジン核酸塩基またはその誘導体へのコンジュゲーションまたは結合も任意の位置で起こり得る。いくつかの実施形態では、ピリミジン核酸塩基の2位、5位および6位がリガンドに結合され得る。ヌクレオチドの糖部分へのコンジュゲーションまたは結合は、任意の炭素原子で起こり得る。リガンドに結合され得る糖部分の例示的な炭素原子は、2’、3’および5’の炭素原子を含む。1’位も脱塩基残基においてなどでリガンドに結合され得る。ヌクレオチド間結合もリガンドの結合を促進する。リン含有結合(例えば、ホスホジエステル、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロアミダートなど)について、リガンドは、リン原子またはリン原子に結合したO、NもしくはS原子に直接結合され得る。アミンまたはアミド含有ヌクレオシド間結合(例えば、PNA)について、リガンドは、アミンもしくはアミドの窒素原子または隣接する炭素原子に結合され得る。
ある種の実施形態では、リガンドは、センス鎖またはアンチセンス鎖のいずれかの3’または5’末端に結合され得る。ある種の実施形態では、リガンドは、センス鎖の5’末端に共有結合的に結合される。他の実施形態では、リガンドは、センス鎖の3’末端に共有結合的に結合される。例えば、いくつかの実施形態では、リガンドは、センス鎖の3’末端ヌクレオチドに結合される。このようなある種の実施形態では、リガンドは、センス鎖の3’末端ヌクレオチドの3’位で結合される。代替的な実施形態では、リガンドは、センス鎖の3’末端近傍であるが、1つ以上の末端ヌクレオチドの前(すなわち1、2、3または4個の末端ヌクレオチドの前)に結合される。いくつかの実施形態では、リガンドは、センス鎖の3’末端ヌクレオチドの糖の2’位で結合される。
ある種の実施形態では、リガンドは、リンカーを介してセンス鎖またはアンチセンス鎖に結合される。「リンカー」は、リガンドをRNAiコンストラクトのポリヌクレオチド構成要素に共有結合的に結合する原子または原子の基である。リンカーは、約1~約30の原子長、約2~約28の原子長、約3~約26の原子長、約4~約24の原子長、約6~約20の原子長、約7~約20の原子長、約8~約20の原子長、約8~約18の原子長、約10~約18の原子長および約12~約18の原子長であり得る。いくつかの実施形態では、リンカーは、通常、2個の官能基を有するアルキル部分を含む二官能性の結合部分を含み得る。官能基の一方が選択されて目的の化合物(例えば、RNAiコンストラクトのセンス鎖またはアンチセンス鎖)に結合し、さらに他方が選択されて、本明細書に記載のようなリガンドなどの任意の選択された基に基本的に結合する。ある種の実施形態では、リンカーは、エチレングリコールまたはアミノ酸単位などの繰り返し単位の鎖構造またはオリゴマーを含む。二官能性結合部分において通常採用される官能基の例は、求核性基と反応するための求電子剤および求電子性基と反応するための求核剤を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、二官能性結合部分は、アミノ、ヒドロキシル、カルボン酸、チオール、不飽和(例えば、二重結合または三重結合)などを含む。
リガンドを本発明のRNAiコンストラクトにおけるセンス鎖またはアンチセンス鎖に結合するために使用され得るリンカーは、ピロリジン、8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸、スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシラート、6-アミノヘキサン酸、置換C1~C10アルキル、置換もしくは非置換C2~C10アルケニルまたは置換もしくは非置換C2~C10アルキニルを含むが、これらに限定されない。このようなリンカーのための好ましい置換基は、ヒドロキシル、アミノ、アルコキシ、カルボキシ、ベンジル、フェニル、ニトロ、チオール、チオアルコキシ、ハロゲン、アルキル、アリール、アルケニルおよびアルキニルを含むが、これらに限定されない。
ある種の実施形態では、リンカーは、切断可能である。切断可能なリンカーは、細胞外部で十分に安定であるが、標的細胞内への進入後に切断されて、リンカーが一体に保持している2つの部分を放出するものである。いくつかの実施形態では、切断可能なリンカーは、標的細胞中または第1の参照条件(例えば、細胞内条件を模倣するか、またはそれに相当するように選択され得る)下において、対象の血液中または第2の参照条件(例えば、血液もしくは血清に見出される条件を模倣するか、またはそれに相当するように選択され得る)下よりも少なくとも10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍もしくは90倍以上または少なくとも100倍速く切断される。
切断可能なリンカーは、切断剤、例えばpH、酸化還元電位または分解性分子の存在に対して感受性である。一般に、切断剤は、血清または血液中よりも細胞内部において優勢であるかまたは高いレベルもしくは活性で見出される。このような分解性薬剤の例は、例えば、細胞内に存在して還元によって酸化還元切断可能なリンカーを分解することができる、メルカプタンなどの酸化酵素もしくは還元酵素または還元性薬剤を含む、特定の基質のために選択されるかまたは基質特異性がない酸化還元剤;エステラーゼ;エンドソームまたは酸性環境を作ることができる薬剤、例えば5以下のpHをもたらすもの;一般的な酸、ペプチダーゼ(基質特異的であり得る)およびホスファターゼとして作用することにより、酸切断可能なリンカーを加水分解または分解することができる酵素を含む。
切断可能なリンカーは、pHに対して感受性のある部分を含み得る。ヒト血清のpHは、7.4であるが、平均的な細胞内pHは、わずかにより低く、約7.1~7.3の範囲である。エンドソームは、5.5~6.0の範囲のより酸性のpHを有し、リソソームは、およそ5.0のさらにより酸性であるpHを有する。一部のリンカーは、好ましいpHで切断される切断可能な基を有し、それにより細胞内部または細胞の所望の区画内にリガンドからRNA分子を放出することになる。
リンカーは、特定の酵素によって切断可能である切断可能な基を含むことができる。リンカーに組み込まれる切断可能な基の種類は、標的化される細胞に依存する場合がある。例えば、肝臓標的化リガンドは、エステル基を含むリンカーを介してRNA分子に結合され得る。肝臓細胞は、エステラーゼに富んでおり、したがって、リンカーは、エステラーゼに富んでいない細胞型においてよりも肝臓細胞において効率的に切断されることになる。エステラーゼに富む他の種類の細胞は、肺、腎皮質および精巣を含む。ペプチド結合を含有するリンカーは、肝臓細胞および滑膜細胞などのペプチダーゼに富む細胞を標的化する場合に使用され得る。
一般に、切断可能なリンカー候補の適合性は、リンカー候補を切断する分解性薬剤(または条件)の能力を試験することによって評価することができる。血液中または他の非標的組織と接触する場合の切断に抵抗する能力に関しても切断可能なリンカー候補を試験することが望ましい。したがって、標的細胞における切断を示すように選択される第1の条件と、他の組織または生体液、例えば血液または血清における切断を示すように選択される第2の条件との間で切断に対する相対的感受性を決定することができる。評価は、無細胞系、細胞、細胞培養、臓器もしくは組織培養または動物全体において実行することができる。無細胞または培養条件において初期評価を行い、動物全体におけるさらなる評価によって確認することが有用であり得る。いくつかの実施形態では、有用なリンカー候補は、血液または血清(または細胞外条件を模倣するように選択されるインビトロ条件下)と比較して細胞(または細胞内条件を模倣するように選択されるインビトロ条件下)において少なくとも2倍、4倍、10倍、20倍、50倍、70倍または100倍速く切断される。
他の実施形態では、酸化還元切断可能なリンカーが利用される。酸化還元切断可能なリンカーは、還元または酸化に際して切断される。還元的に切断可能な基の一例は、ジスルフィド連結基(-S-S-)である。切断可能なリンカー候補が、好適な「還元的に切断可能なリンカー」であるかどうか、または例えば特定のRNAiコンストラクトおよび特定のリガンドとともに使用するのに好適であるかどうかを判定するために、本明細書に記載の1つ以上の方法を使用することができる。例えば、ジチオスレイトール(DTT)または例えば標的細胞などの細胞中で観察されるであろう切断速度を模倣する当技術分野で知られる他の還元剤とともにインキュベーションすることにより、リンカー候補を評価することができる。リンカー候補は、血液または血清条件を模倣するように選択される条件下でも評価することができる。特定の実施形態では、リンカー候補は、血液中において最大で10%切断される。他の実施形態では、有用なリンカー候補は、血液(または細胞外条件を模倣するように選択されるインビトロ条件下)と比較して細胞(または細胞内条件を模倣するように選択されるインビトロ条件下)において少なくとも2倍、4倍、10倍、20倍、50倍、70倍または100倍速く分解される。
さらに他の実施形態では、ホスフェート系の切断可能なリンカー候補は、ホスフェート基を分解または加水分解する薬剤によって切断される。細胞内でホスフェート基を加水分解する薬剤の一例は、細胞内におけるホスファターゼなどの酵素である。ホスフェート系の切断可能な基の例は、-O-P(O)(ORk)-O-、-O-P(S)(ORk)-O-、-O-P(S)(SRk)-O-、-S-P(O)(ORk)-O-、-O-P(O)(ORk)-S-、-S-P(O)(ORk)-S-、-O-P(S)(ORk)-S-、-S-P(S)(ORk)-O-、-O-P(O)(Rk)-O-、-O-P(S)(Rk)-O-、-S-P(O)(Rk)-O-、-S-P(S)(Rk)-O-、-S-P(O)(Rk)-S-および-O-P(S)(Rk)-S-であり、ここで、Rkは、水素またはアルキルであり得る。特定の実施形態は、-O-P(O)(OH)-O-、-O-P(S)(OH)-O-、-O-P(S)(SH)-O-、-S-P(O)(OH)-O-、-O-P(O)(OH)-S-、-S-P(O)(OH)-S-、-O-P(S)(OH)-S-、-S-P(S)(OH)-O-、-O-P(O)(H)-O-、-O-P(S)(H)-O-、-S-P(O)(H)-O-、-S-P(S)(H)-O-、-S-P(O)(H)-S-および-O-P(S)(H)-S-を含む。別の特定の実施形態は、-O-P(O)(OH)-O-である。これらのリンカー候補は、上に記載されているものに類似した方法を用いて評価することができる。
他の実施形態では、リンカーは、酸性条件下で切断される基である、酸切断可能な基を含み得る。いくつかの実施形態では、酸切断可能な基は、pH約6.5以下(例えば、約6.0、5.5、5.0以下)の酸性環境中において、または一般的な酸として作用し得る酵素などの作用物質によって切断される。細胞内において、エンドソームおよびリソソームなどの特定の低pHオルガネラは、酸切断可能な基のための切断環境をもたらし得る。酸切断可能な連結基の例は、ヒドラゾン、エステルおよびアミノ酸のエステルを含むが、これらに限定されない。酸切断可能な基は、一般式-C=NN-、C(O)Oまたは-OC(O)を有し得る。特定の実施形態は、エステルの酸素(アルコキシ基)に結合した炭素がアリール基、置換アルキル基またはジメチル、ペンチルもしくはt-ブチルなどの三級アルキル基である場合である。これらの候補は、上に記載されているものに類似した方法を用いて評価することができる。
他の実施形態では、リンカーは、細胞中のエステラーゼおよびアミダーゼなどの酵素によって切断されるエステル系の切断可能な基を含み得る。エステル系の切断可能な基の例は、アルキレン、アルケニレンおよびアルキニレン基のエステルを含むが、これらに限定されない。エステル切断可能な基は、一般式-C(O)O-または-OC(O)-を有する。これらのリンカー候補は、上に記載されているものに類似した方法を用いて評価することができる。
さらなる実施形態では、リンカーは、細胞中のペプチダーゼおよびプロテアーゼなどの酵素によって切断されるペプチド系の切断可能な基を含み得る。ペプチド系の切断可能な基は、アミノ酸間で形成されてオリゴペプチド(例えば、ジペプチド、トリペプチドなど)およびポリペプチドを生じるペプチド結合である。ペプチド系の切断可能な基は、アミド基(-C(O)NH-)を含まない。アミド基は、任意のアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレン間で形成され得る。ペプチド結合は、アミノ酸間で形成されてペプチドおよびタンパク質を生じる特殊なタイプのアミド結合である。ペプチド系の切断基は、一般に、アミノ酸間で形成されてペプチドおよびタンパク質を生じるペプチド結合(すなわちアミド結合)に限定され、アミド官能基全体を含むわけではない。ペプチド系の切断可能な連結基は、一般式-NHCHRAC(O)NHCHRBC(O)-を有し、式中、RAおよびRBは、2つの隣接するアミノ酸の側鎖である。これらの候補は、上に記載されているものに類似した方法を用いて評価することができる。
リガンド、特にGalNAc部分を含むリガンドを本発明のRNAiコンストラクトにおけるセンス鎖に結合するために採用することができる例示的なリンカーを下の式A~Kに示す。
一実施形態では、リガンドを本発明のRNAiコンストラクトにおけるセンス鎖の3’末端に結合するためのリンカーは、以下の式Aの構造を有し、式中、nは、1または2であり、Rは、リガンド(例えば、3~4個のGalNAc単位を含有する部分)であり、かつR’は、二本鎖RNA分子のセンス鎖の3’末端である。
別の実施形態では、リガンドを本発明のRNAiコンストラクトにおけるセンス鎖の3’末端に結合するためのリンカーは、以下の式Bの構造を有し、式中、nは、1、2または3であり、Rは、リガンド(例えば、3~4個のGalNAc単位を含有する部分)であり、かつR’は、二本鎖RNA分子のセンス鎖の3’末端である。
さらに別の実施形態では、リガンドを本発明のRNAiコンストラクトにおけるセンス鎖の3’末端に結合するためのリンカーは、以下の式Cの構造を有し、式中、nは、1または2であり、Rは、リガンド(例えば、3~4個のGalNAc単位を含有する部分)であり、R’は、二本鎖RNA分子のセンス鎖の3’末端であり、かつR’’は、H、アルキル、官能性アルキルである。
ある種の実施形態では、リガンドを本発明のRNAiコンストラクトにおけるセンス鎖の3’末端に結合するためのリンカーは、以下の式Dの構造を有し、式中、Rは、リガンド(例えば、3~4個のGalNAc単位を含有する部分)であり、かつR’は、二本鎖RNA分子のセンス鎖の3’末端である。
ある種の他の実施形態では、リガンドを本発明のRNAiコンストラクトにおけるセンス鎖の3’末端に結合するためのリンカーは、以下の式Eの構造を有し、式中、Rは、リガンド(例えば、3~4個のGalNAc単位を含有する部分)であり、かつR’は、二本鎖RNA分子のセンス鎖の3’末端である。
いくつかの実施形態では、リガンドを本発明のRNAiコンストラクトにおけるセンス鎖の3’末端に結合するためのリンカーは、以下の式Fの構造を有し、式中、Rは、リガンド(例えば、3~4個のGalNAc単位を含有する部分)であり、かつR’は、二本鎖RNA分子のセンス鎖の3’末端である。
他の実施形態では、リガンドを本発明のRNAiコンストラクトにおけるセンス鎖の3’末端に結合するためのリンカーは、以下の式Gの構造を有し、式中、Rは、リガンド(例えば、3~4個のGalNAc単位を含有する部分)であり、かつR’は、二本鎖RNA分子のセンス鎖の3’末端である。
ある種の他の実施形態では、リガンドを本発明のRNAiコンストラクトにおけるセンス鎖の3’末端に結合するためのリンカーは、以下の式Hの構造を有し、式中、Rは、リガンド(例えば、3~4個のGalNAc単位を含有する部分)であり、かつR’は、二本鎖RNA分子のセンス鎖の3’末端である。
いくつかの実施形態では、リガンドを本発明のRNAiコンストラクトにおけるセンス鎖の3’末端に結合するためのリンカーは、以下の式Jの構造を有し、式中、Rは、リガンド(例えば、3~4個のGalNAc単位を含有する部分)であり、かつR’は、二本鎖RNA分子のセンス鎖の3’末端である。
他の実施形態では、リガンドを本発明のRNAiコンストラクトにおけるセンス鎖の3’末端に結合するためのリンカーは、以下の式Kの構造を有し、式中、Rは、リガンド(例えば、3~4個のGalNAc単位を含有する部分)であり、かつR’は、二本鎖RNA分子のセンス鎖の3’末端である。
リガンドを本発明のRNAiコンストラクトにおけるセンス鎖またはアンチセンス鎖に結合するのに好適な他の種類のリンカーが当技術分野で知られており、米国特許第7,723,509号明細書;同第8,017,762号明細書;同第8,828,956号明細書;同第8,877,917号明細書;および同第9,181,551号明細書に記載されるリンカーを含むことができ、これらの文献は、全て参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
ある種の実施形態では、本発明のRNAiコンストラクトのセンス鎖またはアンチセンス鎖に共有結合的に結合されるリガンドは、GalNAc部分、例えば多価のGalNAc部分を含む。いくつかの実施形態では、多価のGalNAc部分は、三価のGalNAc部分であり、かつセンス鎖の3’末端に結合される。他の実施形態では、多価のGalNAc部分は、三価のGalNAc部分であり、かつセンス鎖の5’末端に結合される。さらに他の実施形態では、多価のGalNAc部分は、四価のGalNAc部分であり、かつセンス鎖の3’末端に結合される。さらに他の実施形態では、多価のGalNAc部分は、四価のGalNAc部分であり、かつセンス鎖の5’末端に結合される。本発明のRNAiコンストラクトにおける二本鎖RNA分子に結合することができる三価および四価のGalNAc部分ならびにリンカーの例が以下の構造式I~XXIXにおいて提供される。
一実施形態では、RNAiコンストラクトは、以下の式Iの構造を有するリガンドおよびリンカーを含み、式中、各nは、独立して1~3であり、kは、1~3であり、mは、1または2であり、jは、1または2であり、かつリガンドは、二本鎖RNA分子(実線の波線で表される)のセンス鎖の3’末端に結合される。
別の実施形態では、RNAiコンストラクトは、以下の式IIの構造を有するリガンドおよびリンカーを含み、式中、各nは、独立して1~3であり、kは、1~3であり、mは、1または2であり、かつリガンドは、二本鎖RNA分子(実線の波線で表される)のセンス鎖の3’末端に結合される。
さらに別の実施形態では、RNAiコンストラクトは、以下の構造式IIIを有するリガンドおよびリンカーを含み、式中、各nは、独立して1~3であり、kは、1~3であり、mは、1または2であり、jは、1または2であり、かつリガンドは、二本鎖RNA分子(実線の波線で表される)のセンス鎖の3’末端に結合される。
さらに別の実施形態では、RNAiコンストラクトは、以下の式IVの構造を有するリガンドおよびリンカーを含み、式中、各nは、独立して1~3であり、kは、1~3であり、mは、1または2であり、jは、1または2であり、かつリガンドは、二本鎖RNA分子(実線の波線で表される)のセンス鎖の3’末端に結合される。
さらに別の実施形態では、RNAiコンストラクトは、以下の式Vの構造を有するリガンドおよびリンカーを含み、式中、各nは、独立して1~3であり、kは、1~3であり、mは、1または2であり、jは、1または2であり、かつリガンドは、二本鎖RNA分子(実線の波線で表される)のセンス鎖の3’末端に結合される。
別の実施形態では、RNAiコンストラクトは、以下の式VIの構造を有するリガンドおよびリンカーを含み、式中、各nは、独立して1~3であり、kは、1~3であり、mは、1または2であり、jは、1または2であり、かつリガンドは、二本鎖RNA分子(実線の波線で表される)のセンス鎖の3’末端に結合される。
特定の一実施形態では、RNAiコンストラクトは、以下の式VIIの構造を有するリガンドおよびリンカーを含み、式中、リガンドは、二本鎖RNA分子(実線の波線で表される)のセンス鎖の3’末端に結合される。
別の特定の実施形態では、RNAiコンストラクトは、以下の式VIIIの構造を有するリガンドおよびリンカーを含み、式中、リガンドは、二本鎖RNA分子(実線の波線で表される)のセンス鎖の3’末端に結合される。
ある種の実施形態では、RNAiコンストラクトは、以下の式IXの構造を有するリガンドおよびリンカーを含み、式中、各nは、独立して1~3であり、kは、1~3であり、mは、1または2であり、かつリガンドは、二本鎖RNA分子(実線の波線で表される)のセンス鎖の3’末端に結合される。
他の実施形態では、RNAiコンストラクトは、以下の式Xの構造を有するリガンドおよびリンカーを含み、式中、各nは、独立して1~3であり、kは、1~3であり、mは、1または2であり、かつリガンドは、二本鎖RNA分子(実線の波線で表される)のセンス鎖の3’末端に結合される。
一実施形態では、RNAiコンストラクトは、以下の式XIの構造を有するリガンドおよびリンカーを含み、式中、各nは、独立して1~3であり、kは、1~3であり、mは、1または2であり、かつリガンドは、二本鎖RNA分子(実線の波線で表される)のセンス鎖の3’末端に結合される。
別の実施形態では、RNAiコンストラクトは、以下の式XIIの構造を有するリガンドおよびリンカーを含み、式中、各nは、独立して1~3であり、kは、1~3であり、mは、1または2であり、かつリガンドは、二本鎖RNA分子(実線の波線で表される)のセンス鎖の3’末端に結合される。
さらに別の実施形態では、RNAiコンストラクトは、以下の式XIIIの構造を有するリガンドおよびリンカーを含み、式中、各nは、独立して1~3であり、kは、1~3であり、mは、1または2であり、かつリガンドは、二本鎖RNA分子(実線の波線で表される)のセンス鎖の3’末端に結合される。
ある種の実施形態では、RNAiコンストラクトは、以下の式XIVの構造を有するリガンドおよびリンカーを含み、式中、各nは、独立して1~3であり、kは、1~3であり、かつリガンドは、二本鎖RNA分子(実線の波線で表される)のセンス鎖の5’末端に結合される。
一実施形態では、RNAiコンストラクトは、以下の式XVの構造を有するリガンドおよびリンカーを含み、式中、各nは、独立して1~3であり、かつリガンドは、二本鎖RNA分子(実線の波線で表される)のセンス鎖の5’末端に結合される。
他の実施形態では、RNAiコンストラクトは、以下の式XVIの構造を有するリガンドおよびリンカーを含み、式中、各nは、独立して1~3であり、kは、1~3であり、かつリガンドは、二本鎖RNA分子(実線の波線で表される)のセンス鎖の5’末端に結合される。
一実施形態では、RNAiコンストラクトは、以下の式XVIIの構造を有するリガンドおよびリンカーを含み、式中、各nは、独立して1~3であり、かつリガンドは、二本鎖RNA分子(実線の波線で表される)のセンス鎖の5’末端に結合される。
ある種の他の実施形態では、RNAiコンストラクトは、以下の式XVIIIの構造を有するリガンドおよびリンカーを含み、式中、各nは、独立して1~3であり、kは、1~3であり、かつリガンドは、二本鎖RNA分子(実線の波線で表される)のセンス鎖の5’末端に結合される。
特定の一実施形態では、RNAiコンストラクトは、以下の式XIXの構造を有するリガンドおよびリンカーを含み、式中、各nは、独立して1~3であり、かつリガンドは、二本鎖RNA分子(実線の波線で表される)のセンス鎖の5’末端に結合される。
いくつかの実施形態では、RNAiコンストラクトは、以下の式XXの構造を有するリガンドおよびリンカーを含み、式中、各nは、独立して1~3であり、kは、1~3であり、かつリガンドは、二本鎖RNA分子(実線の波線で表される)のセンス鎖の5’末端に結合される。
一実施形態では、RNAiコンストラクトは、以下の式XXIの構造を有するリガンドおよびリンカーを含み、式中、各nは、独立して1~3であり、かつリガンドは、二本鎖RNA分子(実線の波線で表される)のセンス鎖の5’末端に結合される。
ある種の実施形態では、RNAiコンストラクトは、以下の式XXIIの構造を有するリガンドおよびリンカーを含み、式中、各nは、独立して1~3であり、kは、1~3であり、かつリガンドは、二本鎖RNA分子(実線の波線で表される)のセンス鎖の5’末端に結合される。
一実施形態では、RNAiコンストラクトは、以下の式XXIIIの構造を有するリガンドおよびリンカーを含み、式中、各nは、独立して1~3であり、かつリガンドは、二本鎖RNA分子(実線の波線で表される)のセンス鎖の5’末端に結合される。
ある種の他の実施形態では、RNAiコンストラクトは、以下の式XXIVの構造を有するリガンドおよびリンカーを含み、式中、各nは、独立して1~3であり、かつリガンドは、二本鎖RNA分子(実線の波線で表される)のセンス鎖の5’末端に結合される。
別の実施形態では、RNAiコンストラクトは、以下の式XXVの構造を有するリガンドおよびリンカーを含み、式中、各nは、独立して1~3であり、かつリガンドは、二本鎖RNA分子(実線の波線で表される)のセンス鎖の5’末端に結合される。
ある種の実施形態では、RNAiコンストラクトは、以下の式XXVIの構造を有するリガンドおよびリンカーを含み、式中、リガンドは、二本鎖RNA分子(実線の波線で表される)のセンス鎖の5’末端に結合される。
一実施形態では、RNAiコンストラクトは、以下の式XXVIIの構造を有するリガンドおよびリンカーを含み、式中、各nは、独立して1~3であり、kは、1~9であり、mは、1または2であり、かつリガンドは、二本鎖RNA分子(実線の波線で表される)のセンス鎖の5’末端に結合される。
別の実施形態では、RNAiコンストラクトは、以下の式XXVIIIの構造を有するリガンドおよびリンカーを含み、式中、リガンドは、二本鎖RNA分子(実線の波線で表される)のセンス鎖の5’末端に結合される。
特定の一実施形態では、RNAiコンストラクトは、以下の式XXIXの構造を有するリガンドおよびリンカーを含み、式中、リガンドは、二本鎖RNA分子(実線の波線で表される)のセンス鎖の3’末端に結合される。
いくつかの実施形態では、本発明のRNAiコンストラクトは、RNAiコンストラクトの細胞内発現をコードし、かつ制御するベクターを投与することにより、目的の細胞または組織に送達され得る。「ベクター」(本明細書では「発現ベクター」とも称される)は、目的の核酸を細胞の内部に送達するために使用することができる物質の組成物である。多数のベクターが当技術分野で知られており、線状ポリヌクレオチド、イオン性または両親媒性化合物と結合したポリヌクレオチド、プラスミドおよびウイルスを含むが、これらに限定されない。したがって、用語「ベクター」は、自律的に複製するプラスミドまたはウイルスを含む。ウイルスベクターの例は、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクターなどを含むが、これらに限定されない。ベクターは、生細胞内で複製され得るかまたは合成的に作製され得る。
一般に、本発明のRNAiコンストラクトを発現するためのベクターは、RNAiコンストラクトをコードする配列に作動可能に連結された1つ以上のプロモーターを含むことになる。本明細書で使用する場合、語句「作動可能に連結」または「転写制御下」は、プロモーターが適切な位置およびポリヌクレオチド配列に対して適切な向きにあり、RNAポリメラーゼによる転写の開始およびポリヌクレオチド配列の発現を制御することを意味する。「プロモーター」は、細胞の合成装置によって認識されるかまたは合成装置に導入され、特定の遺伝子配列の転写を開始するのに必要とされる配列を指す。好適なプロモーターは、RNA polI、polII、H1またはU6 RNA polIIIおよびウイルスプロモーター(例えば、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)最初期遺伝子プロモーター、SV40初期プロモーターおよびラウス肉腫ウイルス末端の長い反復配列)を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、H1またはU6 RNA polIIIプロモーターが好ましい。そのプロモーターは、組織特異的または誘導性プロモーターであり得る。特に興味深いのは、ヒトα1-アンチトリプシン遺伝子、アルブミン遺伝子、ヘモペキシン遺伝子および肝性リパーゼ遺伝子由来のプロモーター配列などの肝臓特異的なプロモーターである。誘導性プロモーターは、エクジソン、エストロゲン、プロゲステロン、テトラサイクリンおよびイソプロピル-P-D1-チオガラクトピラノシド(IPTG)によって調節されるプロモーターを含む。
RNAiコンストラクトがsiRNAを含むいくつかの実施形態では、2つの別々の鎖(センス鎖およびアンチセンス鎖)は、単一のベクターまたは2つの別々のベクターから発現され得る。例えば、一実施形態では、センス鎖をコードする配列は、第1のベクターのプロモーターに作動可能に連結され、アンチセンス鎖をコードする配列は、第2のベクターのプロモーターに作動可能に連結される。このような実施形態では、第1および第2のベクターは、例えば、感染またはトランスフェクションによって標的細胞に同時に導入され、その結果、センス鎖およびアンチセンス鎖が転写されると、細胞内でハイブリダイズしてsiRNA分子を形成することになる。別の実施形態では、センス鎖およびアンチセンス鎖は、単一のベクター中に配置される2つの別々のプロモーターから転写される。いくつかのこのような実施形態では、センス鎖をコードする配列は、第1のプロモーターに作動可能に連結され、アンチセンス鎖をコードする配列は、第2のプロモーターに作動可能に連結され、第1および第2のプロモーターは、単一のベクター中に配置される。一実施形態では、ベクターは、siRNA分子をコードする配列に作動可能に連結される第1のプロモーターおよび逆方向の同じ配列に作動可能に連結される第2のプロモーターを含み、その結果、第1のプロモーターからの配列の転写がsiRNA分子のセンス鎖の合成をもたらし、第2のプロモーターからの配列の転写がsiRNA分子のアンチセンス鎖の合成をもたらす。
RNAiコンストラクトがshRNAを含む他の実施形態では、単一の少なくとも部分的に自己相補的RNA分子をコードする配列は、単一の転写物を生成するプロモーターに作動可能に連結される。いくつかの実施形態では、shRNAをコードする配列は、リンカーポリヌクレオチド配列によって結合される逆方向反復を含み、転写後にshRNAのステムおよびループ構造を生成する。
いくつかの実施形態では、本発明のRNAiコンストラクトをコードするベクターは、ウイルスベクターである。本明細書に記載のRNAiコンストラクトを発現するのに好適な様々なウイルスベクター系は、アデノウイルスベクター、レトロウイルスベクター(例えば、レンチウイルスベクター、モロニーマウス白血病ウイルス)、アデノ随伴ウイルスベクター;単純ヘルペスウイルスベクター;SV40ベクター;ポリオーマウイルスベクター;パピローマウイルスベクター;ピコルナウイルスベクター;およびポックスウイルスベクター(例えば、ワクシニアウイルス)を含むが、これらに限定されない。ある種の実施形態では、ウイルスベクターは、レトロウイルスベクター(例えば、レンチウイルスベクター)である。
本発明における使用に好適な様々なベクター、siRNAまたはshRNA分子をコードする核酸配列をベクターに挿入する方法およびベクターを目的の細胞に送達する方法は、当業者の技術の範囲内である。例えば、Dornburg,Gene Therap.,Vol.2:301-310,1995;Eglitis,Biotechniques,Vol.6:608-614,1988;Miller,Hum Gene Therap.,Vol.1:5-14,1990;Anderson,Nature,Vol.392:25-30,1998;Rubinson D A et al.,Nat.Genet.,Vol.33:401-406,2003;Brummelkamp et al.,Science,Vol.296:550-553,2002; Brummelkamp et al.,Cancer Cell,Vol.2:243-247,2002;Lee et al.,Nat Biotechnol,Vol.20:500-505,2002;Miyagishi et al.,Nat Biotechnol,Vol.20:497-500,2002;Paddison et al.,Genes Dev,Vol.16:948-958,2002;Paul et al.,Nat Biotechnol,Vol.20:505-508,2002;Sui et al.,Proc Natl Acad Sci USA,Vol.99:5515-5520,2002;およびYu et al.,Proc Natl Acad Sci USA,Vol.99:6047-6052,2002を参照されたく、これらの文献は、全て参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本発明は、本明細書に記載のRNAiコンストラクトと、薬学的に許容される担体、賦形剤または希釈剤とを含む医薬組成物および製剤も含む。このような組成物および製剤は、ASGR1の発現の低減を、それを必要とする対象において行うのに有用である。臨床上の用途を考える場合、医薬組成物および製剤は、目的の用途に適切な形態で作製されることになる。一般に、これは、パイロジェンおよびヒトまたは動物に有害になる可能性のある他の不純物を本質的に含まない組成物を作製することを必然的に伴うことになる。
語句「薬学的に許容される」または「薬理学的に許容される」は、動物またはヒトに投与される場合の有害なアレルギー性のまたは他の不都合な反応をもたらさない分子実体および組成物を指す。本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される担体、賦形剤または希釈剤」は、ヒトへの投与に好適な薬剤などの薬剤の製剤化における使用に許容される溶媒、緩衝液、溶液、分散媒体、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張化剤および吸収遅延剤などを含む。薬学的に活性な物質に対するこのような媒体および薬剤の使用は、当技術分野で知られている。任意の従来の媒体または薬剤が本発明のRNAiコンストラクトと適合しない場合を除いて、治療用組成物におけるその使用が想定される。補助的な活性成分は、それらが組成物のベクターまたはRNAiコンストラクトを不活性化しないという条件で組成物に組み込むこともできる。
医薬組成物の製剤の組成および方法は、投与経路、治療される疾患もしくは障害の種類および程度または投与される用量を含むがこれらに限定されない、いくつかの条件に依存する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、目的の送達経路に基づいて製剤化される。例えば、ある種の実施形態では、医薬組成物は、非経口送達のために製剤化される。非経口の送達形態は、静脈内、動脈内、皮下、髄腔内、腹腔内または筋肉内の注射または注入を含む。一実施形態では、医薬組成物は、静脈内送達のために製剤化される。このような実施形態では、医薬組成物は、脂質ベースの送達ビヒクルを含み得る。別の実施形態では、医薬組成物は、皮下送達のために製剤化される。このような実施形態では、医薬組成物は、標的化リガンド(例えば、本明細書に記載のGalNAc含有または抗体含有リガンド)を含み得る。
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、有効量の本明細書に記載のRNAiコンストラクトを含む。「有効量」は、有利なまたは所望の臨床結果をもたらすのに十分な量である。いくつかの実施形態では、有効量は、対象の肝細胞におけるASGR1発現を低減するのに十分な量である。いくつかの実施形態では、有効量は、ASGR1発現を、例えばヒトヘテロ接合体における野生型ASGR1アレルの発現に相当するレベルまで部分的にのみ低減するのに十分な量であり得る。機能欠損型のASGR1バリアントアレルのヘテロ接合性ヒト保因者は、非保因者と比べて非HDLコレステロールの血清レベルが低く、かつ冠動脈疾患および心筋梗塞のリスクが低いと報告された(Nioi et al.,New England Journal of Medicine,Vol.374(22):2131-2141,2016)。したがって、理論に束縛されることなく、ASGR1発現の部分的な低減は、有利な血清非HDLコレステロールの低減ならびに冠動脈疾患および心筋梗塞のリスクの低減を実現するのに十分であり得ると考えられる。
本発明のRNAiコンストラクトの有効量は、約0.01mg/kg体重~約100mg/kg体重、約0.05mg/kg体重~約75mg/kg体重、約0.1mg/kg体重~約50mg/kg体重、約1mg/kg~約30mg/kg体重、約2.5mg/kg体重~約20mg/kg体重または約5mg/kg体重~約15mg/kg体重であり得る。ある種の実施形態では、本発明のRNAiコンストラクトの1回の有効量は、約0.1mg/kg、約0.5mg/kg、約1mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kgまたは約10mg/kgであり得る。有効量のRNAiコンストラクトを含む医薬組成物は、毎週、隔週、毎月、3ヶ月毎または半年毎に投与され得る。有効な投与量および投与頻度であろうと考えられるものの正確な決定は、患者の大きさ、年齢および全身状態、治療される障害の種類(例えば、心筋梗塞、心不全、冠動脈疾患、高コレステロール血症)、採用される特定のRNAiコンストラクトならびに投与経路を含むいくつかの要因に基づき得る。本発明の任意の特定のRNAiコンストラクトについての有効用量およびインビボ半減期の推定値は、適切な動物モデルにおける従来の方法および/または試験を用いて確認することができる。
本発明の医薬組成物の投与は、標的組織がその経路を介して利用できる限り、任意の一般的な経路を介するものであり得る。このような経路は、非経口(例えば、皮下、筋肉内、腹腔内または静脈内)、経口、経鼻、頬側、皮内、経皮および舌下経路または肝臓組織への直接注射もしくは肝門脈を介する送達を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、非経口で投与される。例えば、ある種の実施形態では、医薬組成物は、静脈内に投与される。他の実施形態では、医薬組成物は、皮下に投与される。
水中油型エマルション、ミセル、混合ミセルおよびリポソームを含む高分子複合体、ナノカプセル、マイクロスフェア、ビーズおよび脂質ベースの系などのコロイド分散系は、本発明のRNAiコンストラクトまたはそのようなコンストラクトをコードするベクターのための送達ビヒクルとして使用され得る。本発明の核酸を送達するのに好適な市販の脂肪エマルションは、Intralipid(登録商標)(Baxter International Inc.)、Liposyn(登録商標)(Abbott Pharmaceuticals)、Liposyn(登録商標)II(Hospira)、Liposyn(登録商標)III(Hospira)、Nutrilipid(B.Braun Medical Inc.)および他の類似の脂質エマルションを含む。インビボにおける送達ビヒクルとして使用するための好ましいコロイド系は、リポソーム(すなわち人工膜小胞)である。本発明のRNAiコンストラクトは、リポソーム内に封入され得るか、またはリポソーム、特にカチオン性リポソームと複合体を形成し得る。代わりに、本発明のRNAiコンストラクトは、脂質、特にカチオン性脂質と複合体を形成し得る。好適な脂質およびリポソームは、中性(例えば、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)およびジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC))、ジステアロイルホスファチジルコリン)、陰性(例えば、ジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG))ならびにカチオン性(例えば、ジオレオイルテトラメチルアミノプロピル(DOTAP)およびジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOTMA))を含む。このようなコロイド分散系の調製および使用は、当技術分野でよく知られている。例示的な製剤は、米国特許第5,981,505号明細書;米国特許第6,217,900号明細書;米国特許第6,383,512号明細書;米国特許第5,783,565号明細書;米国特許第7,202,227号明細書;米国特許第6,379,965号明細書;米国特許第6,127,170号明細書;米国特許第5,837,533号明細書;米国特許第6,747,014号明細書;および国際公開第03/093449号パンフレットにも記載されている。
いくつかの実施形態では、本発明のRNAiコンストラクトは、脂質製剤に完全に封入されて、例えばSPLP、pSPLP、SNALPまたは他の核酸-脂質粒子を形成する。本明細書で使用する場合、用語「SNALP」は、SPLPを含む安定な核酸-脂質粒子を指す。本明細書で使用する場合、用語「SPLP」は、脂質小胞に封入されたプラスミドDNAを含む核酸-脂質粒子を指す。SNALPおよびSPLPは、通常、カチオン性脂質、非カチオン性脂質および粒子の凝集を防ぐ脂質(例えば、PEG-脂質コンジュゲート)を含有する。SNALPおよびSPLPは、静脈内注射後に長期間の循環寿命を示し、かつ遠位部位(例えば、投与部位から物理的に離れた部位)に蓄積するため、全身投与のために極めて有用である。SPLPは、国際公開第00/03683号パンフレットに記載の封入された縮合剤-核酸複合体を含む「pSPLP」を含む。核酸-脂質粒子は、通常、約50nm~約150nm、約60nm~約130nm、約70nm~約110nmまたは約70nm~約90nmの平均直径を有し、実質的に非毒性である。加えて、核酸-脂質粒子中に存在する場合の核酸は、水溶液中においてヌクレアーゼによる分解に対して耐性がある。核酸-脂質粒子およびそれらの調製方法は、例えば、米国特許第5,976,567号明細書;同第5,981,501号明細書;同第6,534,484号明細書;同第6,586,410号明細書;同第6,815,432号明細書;および国際公開第96/40964号パンフレットにおいて開示される。
注射用途に好適な医薬組成物は、例えば、滅菌水溶液または分散体および注射用滅菌溶液または分散体の即時調製のための滅菌粉末を含む。一般に、これらの調製物は、滅菌済みであり、容易に注射可能である程度の流体である。調製物は、製造および貯蔵の条件下で安定であるべきであり、細菌および真菌などの微生物の汚染作用に対して保護されているべきである。適切な溶媒または分散媒体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコールなど)、好適なその混合物および植物油を含有し得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材料の使用、分散体の場合に必要とされる粒径の維持および界面活性剤の使用によって維持することができる。微生物作用の予防は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによってもたらすことができる。多くの場合、等張化剤、例えば糖または塩化ナトリウムを含むことが好ましい。注射用組成物の持続的吸収は、吸収を遅延する作用物質、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの組成物中での使用によってもたらすことができる。
注射用滅菌溶液は、活性化合物を適切な量で所望の任意の他の成分(例えば、上で列挙されたような)とともに溶媒に組み込み、続いて濾過滅菌することによって調製され得る。一般的に、分散体は、塩基性分散媒体および所望の他の成分、例えば上で列挙された成分を含有する滅菌ビヒクルに滅菌された様々な活性成分を組み込むことによって調製される。注射用滅菌溶液の調製のための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、有効成分および任意の追加の所望の成分の粉末を予め滅菌濾過されたその溶液から生じさせる真空乾燥およびフリーズドライの手法を含む。
本発明の組成物は、一般に、中性または塩形態で製剤化され得る。薬学的に許容される塩は、例えば、無機酸(例えば、塩酸もしくはリン酸)または有機酸(例えば、酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸など)に由来する酸付加塩(遊離アミノ基によって形成される)を含む。遊離カルボキシル基によって形成される塩は、無機塩基(例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウムもしくは水酸化第二鉄)または有機塩基(例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカインなど)から誘導することもできる。
水溶液における非経口投与のために、例えば、溶液は、通常、適切に緩衝化され、液体希釈剤は、例えば、十分な生理食塩水またはグルコースにより最初に等張にされる。このような水溶液は、例えば、静脈内、筋肉内、皮下および腹腔内投与に使用され得る。好ましくは、特に本開示を考慮すれば、当業者に知られるような滅菌水性媒体が採用される。実例として、単回用量が等張NaCl溶液1ml中に溶解され、皮下注入液1000mlに添加されるか、または提案された注入部位に注射され得る(例えば、“Remington’s Pharmaceutical Sciences”15th Edition,pages 1035-1038および1570-1580を参照されたい)。ヒトへの投与に関して、調製物は、FDA標準が要件とする無菌性、発熱性、全般的安全性および純度標準を満たすべきである。ある種の実施形態では、本発明の医薬組成物は、滅菌生理食塩水および本明細書に記載のRNAiコンストラクトを含むかまたはそれらからなる。他の実施形態では、本発明の医薬組成物は、本明細書に記載のRNAiコンストラクトおよび滅菌水(例えば、注射用水、WFI)を含むかまたはそれらからなる。さらに他の実施形態では、本発明の医薬組成物は、本明細書に記載のRNAiコンストラクトおよびリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を含むかまたはそれらからなる。
いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、投与用デバイスでパッケージ化されるかまたはその中に保存される。注射用製剤のためのデバイスは、注射ポート、プレフィルドシリンジ、自動注入装置、注射ポンプ、装着型注射器および注射ペンを含むが、これらに限定されない。エアロゾル化または粉末製剤のためのデバイスは、インヘラー、吸入器、吸引器などを含むが、これらに限定されない。したがって、本発明は、本明細書に記載の障害の1つ以上を治療または予防するための本発明の医薬組成物を含む投与デバイスを含む。
本発明は、ASGR1の発現の低減または阻害を、それを必要とする対象において行う方法、およびASGR1発現もしくは活性と関連する病態、疾患または障害を治療または予防する方法を提供する。「ASGR1発現と関連する病態、疾患または障害」は、ASGR1の発現レベルが変化するか、またはASGR1の上昇した発現レベルがその病態、疾患または障害の増大した発症リスクと関連する病態、疾患または障害を指す。ASGR1発現と関連する病態、疾患または障害は、コレステロール、脂質、トリグリセリドなどの異常なレベルまたはこれらの分子のクリアランス障害をもたらす変化など、リポタンパク質代謝の異常な変化に起因する病態、疾患または障害も含むことができる。近年、アシアロ糖タンパク質受容体のASGR1サブユニットの機能欠損型バリアントアレルのヒト保因者は、非保因者と比べて非HDLコレステロールの血清レベルが低く、かつ冠動脈疾患および心筋梗塞のリスクが低いと報告された(Nioi et al.,New England Journal of Medicine,Vol.374(22):2131-2141,2016、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。したがって、ある種の実施形態では、本発明のRNAiコンストラクトは、心血管疾患(例えば、冠動脈疾患および心筋梗塞)ならびにコレステロール関連の障害(例えば、高コレステロール血症)の治療または予防に特に有用である。
本発明の方法に従って治療または予防することができるASGR1発現と関連する病態、疾患または障害は、心筋梗塞、心不全、卒中(虚血性および出血性)、アテローム性動脈硬化症、冠動脈疾患、末梢血管疾患(例えば、末梢動脈疾患)、脆弱性プラーク、高コレステロール血症ならびに脂質異常症(例えば、上昇した総コレステロール、上昇した低密度リポタンパク質(LDL)、上昇した超低密度リポタンパク質(VLDL)、上昇したトリグリセリドおよび/または高密度リポタンパク質(HDL)の低いレベルが顕在化すること)などの心血管疾患を含むが、これらに限定されない。
ある種の実施形態では、本発明は、本明細書に記載のRNAiコンストラクトのいずれかを患者に投与することを含む、ASGR1の発現の低減を、それを必要とする患者において行う方法を提供する。本明細書で使用する場合、用語「患者」は、ヒトを含む哺乳動物を指し、用語「対象」と互換的に使用することができる。好ましくは、患者の肝細胞におけるASGR1の発現レベルは、RNAiコンストラクトを受容していない患者のASGR1の発現レベルと比較してRNAiコンストラクトの投与後に低減される。
いくつかの実施形態では、ASGR1発現の低減を必要とする患者は、心筋梗塞を有するリスクのある患者である。心筋梗塞を有するリスクのある患者は、心筋梗塞の病歴を有する患者であり得る(例えば、以前に心筋梗塞に罹患したことがある)。心筋梗塞を有するリスクのある患者は、心筋梗塞の家族性の病歴を有するか、または心筋梗塞の1つ以上のリスク因子を有する患者でもあり得る。このようなリスク因子は、高血圧、非HDLコレステロールの上昇したレベル、トリグリセリドの上昇したレベル、糖尿病、肥満症または自己免疫疾患(例えば、関節リウマチ、狼瘡)の病歴を含むが、これらに限定されない。一実施形態では、心筋梗塞を有するリスクのある患者は、冠動脈疾患を有するか、または冠動脈疾患と診断される患者である。これらおよび他の患者における心筋梗塞のリスクは、本明細書に記載のRNAiコンストラクトのいずれかを患者に投与することによって低減することができる。したがって、本発明は、本明細書に記載のRNAiコンストラクトを患者に投与することを含む、心筋梗塞のリスクの低減を、それを必要とする患者において行う方法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、心筋梗塞のリスクの低減を、それを必要とする患者において行うための医薬の調製における、本明細書に記載のRNAiコンストラクトのいずれかの使用を含む。他の実施形態では、本発明は、心筋梗塞のリスクの低減を、それを必要とする患者において行う方法における使用のための、ASGR1を標的化するRNAiコンストラクトを提供する。
ある種の実施形態では、ASGR1発現の低減を必要とする患者は、心血管疾患と診断されるか、または心血管疾患のリスクを有する患者である。したがって、本発明は、本発明のRNAiコンストラクトのいずれかを投与することにより、心血管疾患の治療または予防を、それを必要とする患者において行う方法を含む。いくつかの実施形態では、本発明は、心血管疾患の治療または予防を、それを必要とする患者において行うための医薬の調製における、本明細書に記載のRNAiコンストラクトのいずれかの使用を含む。他の実施形態では、本発明は、心血管疾患の治療または予防を、それを必要とする患者において行う方法における使用のための、ASGR1を標的化するRNAiコンストラクトを提供する。心血管疾患は、心筋梗塞、心不全、卒中(虚血性および出血性)、アテローム性動脈硬化症、冠動脈疾患、末梢血管疾患(例えば、末梢動脈疾患)および脆弱性プラークを含む。いくつかの実施形態では、本発明の方法に従って治療または予防される心血管疾患は、冠動脈疾患である。他の実施形態では、本発明の方法に従って治療または予防される心血管疾患は、心筋梗塞である。ある種の実施形態では、本明細書に記載のRNAiコンストラクトの投与は、非致死性の心筋梗塞、致死性および非致死性の卒中、特定の種類の心臓手術(例えば、血管形成、バイパス)、心不全のための入院、心疾患を有する患者の胸痛ならびに/または所定の心疾患(例えば、心筋梗塞の既往、心臓手術の既往および/もしくは動脈閉塞の徴候を有する胸痛)を有する患者における心血管イベントのリスクを低減する。いくつかの実施形態では、本発明の方法に従った本明細書に記載のRNAiコンストラクトの投与は、再発性の心血管イベントのリスクを低減するために使用することができる。
ある種の他の実施形態では、ASGR1発現の低減を必要とする患者は、非HDLコレステロールの上昇したレベルを有する患者である。したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に記載のRNAiコンストラクトのいずれかを患者に投与することにより、非HDLコレステロールの低減を、それを必要とする患者において行う方法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、非HDLコレステロールの低減を、それを必要とする患者において行うための医薬の調製における、本明細書に記載のRNAiコンストラクトのいずれかの使用を含む。他の実施形態では、本発明は、非HDLコレステロールの低減を、それを必要とする患者において行う方法における使用のための、ASGR1を標的化するRNAiコンストラクトを提供する。非HDLコレステロールは、LDLコレステロール、超低密度リポタンパク質、中間密度リポタンパク質、リポタンパク質(a)、カイロミクロンおよびカイロミクロンレムナントを含む全てのコレステロール含有のアテローム生成促進的なリポタンパク質の尺度である。非HDLコレステロールは、心血管リスクの優れた予測因子であると報告されている(Rana et al.,Curr.Atheroscler.Rep.,Vol.14:130-134,2012)。非HDLコレステロールレベルは、総コレステロールレベルからHDLコレステロールレベルを減算することによって計算することができる。一実施形態では、患者のLDLコレステロールレベルは、RNAiコンストラクトの投与後に低減される。別の実施形態では、患者のリポタンパク質(a)レベルは、RNAiコンストラクトの投与後に低減される。
いくつかの実施形態では、本発明の方法に従って治療される患者は、非HDLコレステロールの上昇したレベル(例えば、非HDLコレステロールの上昇した血清レベル)を有する患者である。理想的には、非HDLコレステロールのレベルは、任意の所与の患者についてのLDLコレステロールの目標値を上回る約30mg/dLであるべきである。特定の実施形態では、患者は、その患者が約130mg/dL以上の非HDLコレステロールレベルを有する場合、本発明のRNAiコンストラクトを投与される。一実施形態では、患者は、その患者が約160mg/dL以上の非HDLコレステロールレベルを有する場合、本発明のRNAiコンストラクトを投与される。別の実施形態では、患者は、その患者が約190mg/dL以上の非HDLコレステロールレベルを有する場合、本発明のRNAiコンストラクトを投与される。さらに別の実施形態では、患者は、その患者が約220mg/dL以上の非HDLコレステロールレベルを有する場合、本発明のRNAiコンストラクトを投与される。ある種の実施形態では、患者は、その患者が心血管リスクの評価についての2013 ACC/AHAガイドライン(Goff et al.,ACC/AHA guideline on the assessment of cardiovascular risk:a report of the American College of Cardiology/American Heart Association Task Force on Practice Guidelines.Circulation.2013;00:000-000)に従って高いかまたは極めて高い心血管疾患のリスクがあり、かつ約100mg/dL以上の非HDLコレステロールレベルを有する場合、本発明のRNAiコンストラクトを投与される。
本発明の方法のいくつかの実施形態では、患者は、患者が心血管リスクの評価についての2013 ACC/AHAガイドライン(本明細書では「2013ガイドライン」と称する)に従って中程度以上の心血管疾患のリスクがある場合、本明細書に記載のRNAiコンストラクトを投与される。ある種の実施形態では、本発明のRNAiコンストラクトは、患者のLDLコレステロールレベルが約160mg/dLより高い場合、患者に投与される。他の実施形態では、本発明のRNAiコンストラクトは、患者のLDLコレステロールレベルが約130mg/dLより高く、かつ患者が2013ガイドラインに従って中程度の心血管疾患のリスクを有する場合、患者に投与される。さらに他の実施形態では、本発明のRNAiコンストラクトは、患者のLDLコレステロールレベルが100mg/dLより高く、かつ患者が2013ガイドラインに従って極めて高い心血管疾患のリスクを有する場合、患者に投与される。
ある種の実施形態では、本発明の方法に従って治療される患者は、脆弱性プラーク(不安定プラークとも称される)を有する患者である。脆弱性プラークは、動脈壁の内皮裏層の下にあるマクロファージおよび主にコレステロールを含有する脂質の蓄積である。これらの脆弱性プラークは、破裂して、場合により動脈を通る血流を遮断し、心筋梗塞または卒中を引き起こす可能性がある血塊の形成をもたらす場合がある。脆弱性プラークは、血管内超音波およびコンピュータ断層撮影を含むがこれらに限定されない当技術分野で知られる方法によって同定することができる(Sahara et al.,European Heart Journal,Vol.25:2026-2033,2004;Budhoff,J.Am.Coll.Cardiol.,Vol.48:319-321,2006;Hausleiter et al.,J.Am.Coll.Cardiol.,Vol.48:312-318,2006)。
本発明の方法のいくつかの実施形態では、RNAiコンストラクトは、心血管疾患を治療または予防するための治療薬などの別の治療薬と組み合わせて投与される。一実施形態では、本発明のRNAiコンストラクトは、単独でまたは患者が患う病態の治療に有用な他の薬剤と組み合わせて投与される。このような薬剤の例は、タンパク質性および非タンパク質性薬物の両方を含む。複数の治療薬が同時投与される場合、関連技術分野で認識されているように適宜用量が調整され得る。「同時投与」および併用療法は、同時投与に限定されないが、本発明のRNAiコンストラクトが、患者への少なくとも1つの他の治療薬の投与を含む治療の経過において少なくとも1回投与される治療レジメンも含む。ある種の実施形態では、本発明のRNAiコンストラクトは、少なくとも1つの他の治療薬の投与前に投与される。他の実施形態では、本発明のRNAiコンストラクトは、少なくとも1つの他の治療薬の投与と同時に投与される。いくつかの実施形態では、本発明のRNAiコンストラクトは、少なくとも1つの他の治療薬の投与後に投与される。
本発明の方法のある種の実施形態では、RNAiコンストラクトは、抗hPCSK9抗体(例えば、Repatha(登録商標)(エボロクマブ))などのPCSK9アンタゴニストと組み合わせて患者に投与される。別の実施形態では、本発明のRNAiコンストラクトは、少なくとも1つの他のコレステロール低減(血清および/または全身コレステロール)薬と組み合わせて患者に投与される。いくつかの実施形態では、LDLRの発現を増加させる薬剤は、血清HDLレベルを増加させるか、LDLレベルを低減するか、またはトリグリセリドレベルを低減することが観察された。例示的な薬剤は、スタチン(例えば、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン)、ニコチン酸(ナイアシン)(NIACOR、NIASPAN(徐放ナイアシン)、SLO-NIACIN(徐放ナイアシン));フィブリン酸(LOPID(ゲムフィブロジル)、TRICOR(フェノフィブレート))、胆汁酸捕捉剤(QUESTRAN(コレスチラミン)、コレセベラム(WELCHOL)、COLESTID(コレスチポール));コレステロール吸収阻害剤(ZETIA(エゼチミブ))、ニコチン酸とスタチンとの組み合わせ(ADVICOR(LOVASTATINおよびNIASPAN)、スタチンと吸収阻害剤との組み合わせ(VYTORIN(ZOCORおよびZETIA)ならびに/または脂質修飾剤を含むが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、本発明のRNAiコンストラクトは、PPARガンマアゴニスト、PPARアルファ/ガンマアゴニスト、スクアレンシンターゼ阻害剤、CETP阻害剤、降圧薬、抗糖尿病剤(スルホニル尿素、インスリン、GLP-1アナログ、DDPIV阻害剤など)、ApoB調節薬、MTP阻害剤および/または閉塞性動脈硬化症治療と組み合わされる。ある種の実施形態では、本発明のRNAiコンストラクトは、スタチン、オンコスタチンMのようなある種のサイトカイン、エストロゲンおよび/またはベルベリンなどのある種の薬草成分など、患者におけるLDL受容体(LDLR)タンパク質のレベルを増加させる薬剤と組み合わされる。
いくつかの実施形態では、本発明のRNAiコンストラクトは、患者における血清コレステロールレベルを増加させる薬剤(ある種の抗精神病剤(anti-psycotic agent)、ある種のHIVプロテアーゼ阻害剤、高フルクトース、スクロース、コレステロールまたはある種の脂肪酸などの食事性因子ならびにRXR、RAR、LXR、FXRに対するある種の核内受容体アゴニストおよびアンタゴニストなど)と組み合わされる。ある種の実施形態では、本発明のRNAiコンストラクトは、スタチンおよび/またはインスリンなど、対象におけるPCSK9タンパク質のレベルを増加させる薬剤と組み合わされる。このような実施形態におけるRNAiコンストラクトの投与は、RNAiコンストラクトが、血清非HDLコレステロールの増加など、これらの他の薬剤の望ましくない副作用を軽減することを可能にする場合がある。
本明細書に開示される全てのリボ核酸配列は、配列中のウラシル塩基をチミン塩基で置換することにより、デオキシリボ核酸配列に変換することができることが理解される。同様に、本明細書に開示される全てのデオキシリボ核酸配列は、配列中のチミン塩基をウラシル塩基で置換することにより、リボ核酸配列に変換することができる。デオキシリボ核酸配列、リボ核酸配列ならびに本明細書に開示される全ての配列のデオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドの混合物を含有する配列が本発明に含まれる。
加えて、本明細書に開示される任意の核酸配列は、化学修飾の任意の組み合わせによって修飾され得る。当業者は、特定の場合、修飾ポリヌクレオチドを記載するための「RNA」または「DNA」のこのような指定が任意であることを容易に理解するであろう。例えば、リボース糖の2’-OH置換基およびチミン塩基を有するヌクレオチドを含むポリヌクレオチドは、修飾糖を有するDNA分子(DNAの天然の2’-Hについて2’-OH)または修飾塩基を有するRNA分子(RNAの天然のウラシルについてチミン(メチル化ウラシル))と記載され得る。
したがって、配列表のものを含むがこれらに限定されない本明細書に提供される核酸配列は、修飾核酸塩基を有するそのような核酸を含むが、これらに限定されない天然もしくは修飾RNAおよび/またはDNAの任意の組み合わせを含有する核酸を包含するように意図される。さらなる例として、限定するものではなく、配列「ATCGATCG」を有するポリヌクレオチドは、修飾または非修飾にかかわらず、RNA塩基、例えば配列「AUCGAUCG」を有するもの、ならびに「AUCGATCG」などのいくつかのDNA塩基およびRNA塩基を有するもの、ならびに「ATmeCGAUCG」などの他の修飾塩基を有するポリヌクレオチドを含むそのような化合物を含むが、これらに限定されないそのような配列を有する任意のポリヌクレオチドを包含し、配列中、meCは、5位にメチル基を含むシトシン塩基を示す。
実施された実験および達成された結果を含む以下の実施例は、例示の目的のみのために提供されるものであり、添付の特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
実施例1.ASGR1 siRNA配列の選択および設計
ヒトアシアロ糖タンパク質受容体1(ASGR1)を標的化する治療用siRNA分子のための最適な配列の同定および選択は、2段階で進行した。最初の第1段階スクリーニングセットに含めるための候補配列を、ヒトASGR1について2つの選択的にスプライスされた転写物のバイオインフォマティクス分析を使用して同定した:より長いアイソフォームAをコードする転写物バリアント1(NCBI参照配列番号NM_001671.4;図1Aを参照されたい)およびより短いアイソフォームBをコードする転写物バリアント2(NCBI参照配列番号NM_001197216.2;図1Bを参照されたい)。2つのヒトASGR1転写物配列を、内製のsiRNA設計アルゴリズムを使用して分析し、それにより、19塩基長配列内の特定の部位または領域に特定の塩基含有量を有する19塩基長配列を同定する。配列は、マウス(NCBI参照番号NM_009714.2;図2を参照されたい)、ラット(図3)およびカニクイザル(NCBI参照番号XM_005582698.1;図4を参照されたい)におけるASGR1配列との同一性についても評価された。19塩基長配列は、オフターゲット作用を予測するための他のヒト遺伝子配列との配列同一性および既知の1ヌクレオチド多型との重複についても評価された。バイオインフォマティクス分析の結果に基づいて211個の配列が第1段階スクリーニングセットに含まれた。UUジヌクレオチドを、選択された19塩基長のセンス配列およびアンチセンス配列の3’末端に付加して、19塩基対の二重鎖領域および両方の鎖の3’末端に2ヌクレオチドのオーバーハングを有するsiRNA分子を生成した。
siRNA配列選択の第2段階は、バイオインフォマティクス分析の結果として排除された可能性のあるヒトASGR1のmRNAを標的化する追加の活性siRNAを同定することを目的とした。ヒトASGR1転写物バリアント1および2(NCBI参照配列番号NM_001671.4およびNM_001197216.2;図1Aおよび図1Bを参照されたい)由来の全ての重複している19塩基長配列を抽出し、逆向きの相補するアンチセンス配列を設計した。第1段階に含まれなかった1284個の配列が第2段階の配列の一部として含まれた。第1段階の配列と同様に、第2段階の配列を、センス鎖およびアンチセンス鎖の3’末端にUUジヌクレオチドを付加することによって21塩基長に変換して、19塩基対の二重鎖領域および各3’末端に2ヌクレオチドのオーバーハングを有するsiRNA分子を生成した。第2段階は、再合成および試験のために第1段階において同定された55個の配列も含んだ。第1段階および第2段階を合わせたスクリーニングセットは、ヒトASGR1のmRNA転写物全体にわたる1495個の19塩基長配列を含んだ。siRNA分子のセンス配列およびアンチセンス配列は、第1段階および第2段階のスクリーニングセットの両方ならびに転写物の末端領域を標的化する8個の追加のsiRNA分子を含み、これらは、下の表1に示される。siRNA分子の各々によって標的化されるヒトASGR1転写物の各々の部位も表1に列記される。
実施例2.ASGR1 siRNA分子のインビトロでの有効性
第1段階および第2段階のスクリーニングセットにおけるsiRNA分子を化学修飾せずに合成した。各siRNA分子は、ハイブリダイズして、各鎖の3’末端に2ヌクレオチドのオーバーハングを有して19塩基対の二重鎖領域を形成する21ヌクレオチドのセンス鎖および21ヌクレオチドのアンチセンス鎖で構成された。ASGR1発現の低減におけるsiRNA分子の各々の有効性を、Hep3BまたはHepG2細胞の細胞表面のASGR1タンパク質のレベルを定量する384ウェル形式のインビトロイムノアッセイを使用して評価した。
EMEM培地(ATCC 30-2003)中のsiRNA分子およびRNAiMaxトランスフェクション試薬(Life Technologies)のトランスフェクション複合体を製造業者の推奨に従って384ウェルプレートにおいて調製した。10%ウシ胎仔血清および1%抗生物質/抗真菌薬を加えたEMEM培地中のヒト肝細胞癌Hep3B(ATCC HB-8064)またはHepG2(ATCC HB-8065)細胞を各ウェルに添加した。細胞を37℃および5%のCO
2で4日間インキュベートした。siRNAトランスフェクションの4日後、細胞をホルムアルデヒドに固定し、ウシ血清アルブミンを遮断し、続いて抗ASGR1一次抗体(Amgenクローン7E11、下に提供される軽鎖および重鎖配列(配列番号3および4))を用いて室温で1時間または4℃で一晩のいずれかで染色した。プレートをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で3回洗浄した。続いて、細胞を、Alexa488コンジュゲート抗ヒトIgG二次抗体および細胞数を評価するために含まれた核染色試薬DRAQ5(ThermoFisher #62251)とともに室温で45分間にわたり暗室下においてインキュベートした。PBSによる3回の洗浄後、プレートを、Opera Phenixハイコンテントスクリーニングシステム(PerkinElmer)によって488および640チャネルを用いて画像化して、抗ASGR1抗体染色および核染色をそれぞれ測定した。データを、Columbus画像分析ソフトウェアおよびGeneData Screenerソフトウェアを用いて分析して、ASGR1のタンパク質レベル、細胞数および細胞形態のいくつかの測定を各細胞および各ウェル基準で定量化した。
抗ASGR1一次抗体軽鎖アミノ酸配列:
抗ASGR1一次抗体重鎖アミノ酸配列:
各siRNA分子の活性を、対照細胞集団におけるASGR1発現に対する細胞集団の分析に基づいてASGR1のタンパク質発現を定量化する「正規化されたAlexa 488平均強度」読み取り値を使用して測定した。非標的化siRNA二重鎖(すなわち、いずれのヒト遺伝子配列に対しても100%の配列合致を有しないsiRNA)でトランスフェクトされた細胞を各プレートにおいて対照として使用し、これらの対照細胞から「中心基準値」を計算した。具体的には、「中心基準値」は、非標的化siRNAでトランスフェクトされた細胞を含有する複数のウェルのAlexa 488強度の中央値であった。「正規化されたAlexa 488平均強度」は、以下のように各ウェルについて計算された。核および細胞質を、DRAQ5対比染色を使用して分割した。各細胞(すなわち細胞質および核を含む細胞領域全体)についてAlexa488の平均蛍光強度を測定した。個々の細胞の値を平均して、各ウェルについてAlexa 488の平均強度値を生成した。続いて、この平均強度値を中心基準値に対して正規化して、対照のパーセントとしてASGR1発現の測定値を表す「正規化されたAlexa 488平均強度」を得た。したがって、負の「正規化されたAlexa 488平均強度」値は、対照細胞に対して低減したASGR1発現を表す。DRAQ5染色によって評価される細胞数も対照細胞の細胞数に対して正規化され、したがって対照のパーセントとして細胞生存率の測定値を表す。
第1段階のsiRNA分子をHep3B細胞およびHepG2細胞の両方におけるインビトロイムノアッセイにおいて3つの異なる濃度(0.3nM、1.25nMおよび5nM)で二重に試験した。各siRNA分子について、Hep3B細胞において非標的化siRNAでトランスフェクトした細胞における発現に対するASGR1の細胞表面での発現の低減を下の表2に示す。細胞数の測定値も提供される。説明を明瞭にするために、最小濃度(0.3nM)に関するデータおよびHepG2細胞に関するデータは示さない。表2に示されるデータは、各siRNAの2つの独立したトランスフェクション(例えば、実施1および実施2)からの結果である。
第1段階で選別された211個の非修飾siRNA分子のうち、5nMの濃度では、約168個のsiRNA分子が対照細胞に対してASGR1の細胞表面での発現を少なくとも30%低減し、約119個のsiRNA分子が対照細胞に対してASGR1の細胞表面での発現を少なくとも50%低減し、約30個のsiRNA分子が対照細胞に対してASGR1の細胞表面での発現を少なくとも60%低減した。一部のsiRNA分子は、対照細胞に対するASGR1の細胞表面での発現の低減を示さないかまたはわずかな低減を示した。
第1段階の分子の最初の選別に由来するsiRNA分子のサブセットをHep3B細胞におけるインビトロ抗ASGR1イムノアッセイにおいて10点の用量反応構成(0.004nM~83nM)のさらなる試験のために選択した。これらの55個のsiRNA分子の各々についてのIC50値を用量反応曲線から計算し、下の表3に示した。各siRNA分子の2つの独立したトランスフェクション(実施1および実施2)からのデータを示す。これらのsiRNA分子の少なくとも18個は、約0.30nM以下のIC50値を有した。化合物D-1983、D-1098、D-1438、D-1246およびD-1494は、平均IC50値が0.15nM未満を有する最も効力のあるものに含まれた。
ヒトASGR1転写物の5’および3’末端を標的化する8個のsiRNA分子を除く、第2段階のsiRNA分子の全てを2つの異なる濃度(1.25nMおよび5nM)でのHep3B細胞におけるインビトロ抗ASGR1イムノアッセイにおいて試験した。各siRNA分子について、Hep3B細胞において非標的化siRNAでトランスフェクトした細胞における発現に対するASGR1の細胞表面での発現の低減を下の表4に示す。細胞数の測定値も提供される。
第2段階の分子のスクリーニングアッセイからの結果は、5nMで試験した場合、対照細胞に対してASGR1の細胞表面での発現を少なくとも50%低減した追加の663個の効力のあるsiRNA分子を明らかにした。これらのsiRNA分子は、第1段階に含まれず、転写物配列のバイオインフォマティクス分析から同定されなかった。5nMで試験した場合、これらの新たなsiRNA分子の少なくとも263個が対照細胞に対してASGR1の細胞表面での発現を少なくとも70%低減し、少なくとも14個のsiRNA分子が対照細胞に対してASGR1の細胞表面での発現を少なくとも80%低減した。
実施例3.RNA FISHアッセイにおける選択したASGR1 siRNA分子の有効性
ASGR1発現をmRNAレベルで低減するASGR1 siRNA分子のサブグループの効力を評価するために、IC50値をASGR1のRNAの蛍光インサイチューハイブリダイゼーション(FISH)アッセイにおいて各siRNAについて決定した。Hep3B細胞(ATCC HB-8064)は、リポフェクタミンRNAiMaxトランスフェクション試薬(ThermoFisher Scientific 13378-150)を0.035μL/反応で使用してsiRNAでトランスフェクトされた。ヒトASGR1 siRNAを、3倍希釈で最終濃度0~83.3nMの範囲にわたる10点の用量反応構成において試験した。対照siRNAは、最終濃度5nMで試験され、中立対照(正規化に使用される):非標的化RcsC2(UUACAUCGUUAAUGCGUUA(配列番号4316)、阻害因子陽性対照:ヒトASGR1(ACUUCACAGCGAGCACGGA(配列番号4317)およびトランスフェクション対照:ヒトEIF4A3(GCAUCUUGGUGAAACGUGA(配列番号4318)を含んだ。Perkin Elmer Cell Carrier PDLコーティング384ウェルアッセイプレート(Perkin Elmer #6007580)において1反応当たり2000個の細胞でトランスフェクション複合体上に細胞を播種した。トランスフェクション時間は、96時間であり、その後、細胞を、メタノールを含有しない最終濃度4%のホルムアルデヒドで固定した。固定の直後に、Affymetrix QuantiGene View RNA HCスクリーニングアッセイ用の製造業者のプロトコル内の保管または配送用細胞脱水プロトコルに従って細胞をエタノール中で脱水した。プレートを密閉し、-20℃で保存した。
製造業者のプロトコルに従って細胞の水分を元の状態に戻し、メッセンジャーRNAレベルを定量化するインサイチューハイブリダイゼーション方法であるAffymetrix QuantiGene View RNA HCスクリーニングアッセイにおいて処理した。この例では、マルチプレックスアッセイにより、ヒトASGR1(NM_001671.4;配列番号1)、ヒトASGR2(NM_0080912.3またはNM_001181.4)およびヒトPPIB(NM_000942.4)を検出した。このアッセイは、QG ViewRNA HCスクリーニングアッセイキットおよびQG ViewRNA HCスクリーニングシグナル増幅キット(3プレックス)(それぞれAffymetrix QVP0011およびQVP0213)ならびにヒトASGR1、ASGR2およびPPIBの検出用プローブセット(Affymetrix、それぞれVA6-19401-01、カスタムのタイプ4プローブ、VA1-10148-01)を使用して実行された。各プローブセットを異なるフルオロフォアで標識した。消化ステップ用のプロテアーゼを最終濃度1:8000で添加した。アッセイ後、核および細胞質を、Hoechst 33342核染色試薬およびCell Mask Blue試薬(それぞれ最終濃度10ng/μLおよび4ng/μLのThermoFisher Scientific H3570およびH32720)を用いて対比染色した。プレートは、UVチャネル(488チャネルではPPIB/タイプ1、550チャネルではASGR2/タイプ4および650チャネルではASGR1/タイプ6)においてHoechstおよびCell Mask Blueを読み取るPerkin ElmerのPhenix上で画像化された。画像取得およびデータ分析は、Perkin ElmerのColumbusソフトウェアパッケージにおいて遂行され、ウェルの正規化/IC50値の生成は、Genedata Screenerにおいて遂行された。
アッセイの結果を表5に示す。RNA FISHアッセイにおいて決定されたIC50値は、実施例2に記載のASGR1のタンパク質レベルのためのイムノアッセイで決定されたものと相関している。しかし、試験した時点では、RNA FISHアッセイにおいて決定されたIC50値は、イムノアッセイで決定されたものよりも高い。
実施例4.修飾ASGR1 siRNA分子の設計および合成
ASGR1 siRNA分子の効力およびインビボ安定性を向上させるために、マウスAsgr1のmRNAおよびカニクイザルASGR1のmRNAとも配列相同性を有した第1段階選別由来の最も効力のあるASGR1 siRNA分子の5つを含む、第1段階および第2段階選別由来の最も効力のあるASGR1 siRNA分子のサブセットに化学修飾を組み込んだ。具体的には、リボース糖の2’-O-メチルおよび2’-フルオロ修飾をASGR1 siRNA内の特定の位置に組み込んだ。ホスホロチオエートヌクレオチド間結合もアンチセンス配列および/またはセンス配列の末端に組み込んだ。下の表6は、修飾ASGR1 siRNAの各々のセンス配列およびアンチセンス配列における修飾を示す。表6のヌクレオチド配列は、以下の表記法に従って列記される。A、U、GおよびC=対応するリボヌクレオチド;dT=デオキシチミジン;a、u、gおよびc=対応する2’-O-メチルリボヌクレオチド;Af、Uf、GfおよびCf=対応する2’-デオキシ-2’-フルオロ(「2’-フルオロ」)リボヌクレオチドである。配列中の「s」の挿入は、2つの隣接するヌクレオチドがホスホロチオジエステル基(例えば、ホスホロチオエートヌクレオチド間結合)によって結合されることを示す。特に指示がない限り、全ての他のヌクレオチドは、3’-5’ホスホジエステル基によって結合される。表6のsiRNA化合物の各々は、両方の鎖の3’末端に2ヌクレオチドのオーバーハングを有する19塩基対の二重鎖領域を含む。
化学修飾siRNA配列の合成をGE AKTA OligoPilot 100上で実施した。
材料:
アセトニトリル(DNA合成等級、AXO152-2505、EMD)
キャッピング試薬A(アセトニトリル中の20%N-メチルイミダゾール、BI0224-0505、EMD、ロット番号56090)
キャッピング試薬B1(アセトニトリル中の20%無水酢酸、BI0347-0505、EMD、ロット番号55015)
キャッピング試薬B2(アセトニトリル中の30%2,6-ルチジン、BI0349-0505、EMD、ロット番号55176)
キャッピング試薬B1およびB2を1:1(v/v)で合わせて混合した。
活性化剤(アセトニトリル中の0.3Mベンジルチオテトラゾール(BTT)、BI0166-1005、EMDロット番号55106、モレキュラーシーブ上)
脱トリチル化試薬(トルエン中の3%ジクロロ酢酸、BIO832-2505、EMD、ロット番号55316)
酸化試薬(90:10のピリジン/水中の0.05Mヨウ素、BIO424-1005、EMD、ロット番号54323)
ジエチルアミン溶液(アセトニトリル中の20%DEA、NC0017-0505、EMD、ロット番号55202)
水酸化アンモニウム(高濃度、J.T.Baker)
チオール化試薬、50:50の2-メチルピリジン(ピコリン、Aldrich)/N-メチルピロリジノン(NMP)、Aldrich)中の0.2Mフェニルアセチルジスルフィド(phenylacetic disulfide)(PADS、Aldrich)
チミジン(Thermo Fisher Scientific)ならびにアデノシン、グアノシン、シトシンおよびウリジンの2’-O-メチルならびに2’-フルオロホスホラミダイト(Thermo Fisher Scientific)、約10mLのモレキュラーシーブ(J.T.Baker)上のアセトニトリル中において0.15M
プライマーサポート5G UnyLinker 350、ロット番号10236161、343μmol/g、0.60g(206μmol)またはGalNAcクラスターを伴うプライマーサポート5Gアミノ
合成:
試薬溶液、ホスホラミダイト溶液および溶媒を機器に接続した。固体支持体をカラム(6.3mL)に添加し、カラムを機器に取り付けた。カラムをアセトニトリルでフラッシングした。合成は、Unicornソフトウェアを使用して開始された。ホスホラミダイトおよび試薬溶液ラインをパージした。合成は、脱保護/カップリング/酸化/キャッピングの合成サイクルの反復によって行われた。固体支持体に脱トリチル化試薬を添加して5’-ジメトキシトリチル(DMT)保護基を除去した。固体支持体をアセトニトリルで洗浄した。支持体にホスホラミダイトおよび活性化剤溶液を添加し、その後、再循環して、入ってくるヌクレオチドを遊離の5’-ヒドロキシル基に結合した。支持体をアセトニトリルで洗浄した。支持体に酸化またはチオール化試薬を添加して亜リン酸トリエステルをリン酸トリエステルまたはホスホロチオエートに変換した。支持体にキャッピング試薬AおよびBを添加して任意の未反応オリゴヌクレオチド鎖を終端させた。支持体をアセトニトリルで洗浄した。最終反応サイクル後、レジンをジエチルアミン溶液で洗浄して2-シアノエチル保護基を除去した。支持体をアセトニトリルで洗浄した。
切断:
合成カラムを合成装置から取り外し、20分間真空下で乾燥させた。カラムを開き、固体支持体を100mLのボトルに移した。固体支持体に40mLの高濃度水酸化アンモニウムを添加した。キャップをボトルに堅く取り付け、混合物を65℃で一晩加熱した。ボトルを冷凍庫に移動し、フードにおいて開ける前に20分間冷却した。混合物を60mLのフリットガラス漏斗に通して濾過した。ボトルおよび固体支持体を20mLの50:50のエタノール/水、次に40mLの水ですすいだ。
分析および精製:
合わせた濾液の一部を分析し、アニオン交換クロマトグラフィーによって精製した。プールした画分をサイズ排除クロマトグラフィーによって脱塩し、イオン対逆相HPLCによって分析した。プールした画分を凍結乾燥して白色の非晶質粉末を得た。
分析的アニオン交換クロマトグラフィー(AEX):
カラム:Thermo DNAPac PA200RS(4.6×50mm、4μm)
機器:Agilent 1100 HPLC
緩衝液A:20mMリン酸ナトリウム、10%アセトニトリル、pH8.5
緩衝液B:20mMリン酸ナトリウム、10%アセトニトリル、pH8.5、1M臭化ナトリウム
流速:40℃で1mL/分
勾配:6.2分で20~65%B
分取アニオン交換クロマトグラフィー(AEX):
カラム:Tosoh TSK Gel SuperQ-5PW、21×150mm、13μm
機器:Agilent 1200 HPLC
緩衝液A:20mMリン酸ナトリウム、10%アセトニトリル、pH8.5
緩衝液B:20mMリン酸ナトリウム、10%アセトニトリル、pH8.5、1M臭化ナトリウム
流速:8mL/分
注入量:5mL
勾配:20分にわたって35~55%B
分取サイズ排除クロマトグラフィー(SEC):
カラム:GE Hi-Prep 26/10
機器:GE AKTA Pure
緩衝液:20%エタノール水溶液
流速:10mL/分
注入量:試料負荷ポンプを用いて15mL
イオン対逆相(IP-RP)HPLC:
カラム:Water Xbridge BEH OST C18、2.5μm、2.1×50mm
機器:Agilent 1100 HPLC
緩衝液A:水中の15.7mM DIEA、50mM HFIP
緩衝液B:50:50の水/アセトニトリル中の15.7mM DIEA、50mM HFIP
流速:0.5mL/分
勾配:6分にわたって10~30%B
アニーリング:
少量のセンス鎖およびアンチセンス鎖を個々のバイアル内に量り取った。バイアルにsiRNA再構成緩衝液(Qiagen)を添加して、乾燥重量を基準として約2mMの濃度にした。実際の試料濃度をNanoDrop One(ssDNA、吸光係数=33μg/OD260)上で測定した。次に、2つの鎖を等モル比で混合し、試料を90℃の水浴で3分間加熱し、室温までゆっくりと冷却した。試料をAEXによって分析した。RNA二重鎖は、単鎖よりも分析的AEXによる保持時間が長いことが観察された。二重鎖を登録し、インビトロ(実施例2および3に記載の方法を参照されたい)およびインビボ(実施例6に記載の方法を参照されたい)試験にかけた。
実施例5.GalNAc含有リガンドの合成
本実施例は、本発明のRNAiコンストラクト中の二本鎖RNA分子にコンジュゲートされて、肝臓(例えば、肝細胞)によるRNAiコンストラクトの送達および取り込みを促進することができる四価のGalNAc部分の合成について記載する。合成スキームを図5に示す。
レジン結合四分岐GalNAc
ステップ1:(S)-4-(2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-3-(トリチルオキシ)プロポキシ)-4-オキソブタン酸(1)
(R)-(9H-フルオレン-9-イル)メチル(1-ヒドロキシ-3-(トリチルオキシ)プロパン-2-イル)カルバマート(20g、36.0mmol)、無水コハク酸(7.20g、72mmol)、ポリスチレン担持DMAP(3mmol/g、24g、72mmol)およびトリエチルアミン(10mL、72mmol)をDCM(720mL)中に溶解させた。懸濁液を室温で16時間撹拌した。反応をセライトに通して濾過し(PS-dmapを除去するため)、濾塊をDCM(200mL)ですすいだ。合わせた濾液を飽和NaCl水溶液(3×100mL)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、さらに精製することなく次のステップで使用される粗製の標題化合物(23.6g、36.0mmol、収率100%)を得た。MS m/z 678.2(M+Na)。
ステップ2:
50mLコニカルチューブにおいて活性ヘミコハク酸を以下のように調製した。(S)-4-(2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-3-(トリチルオキシ)プロポキシ)-4-オキソブタン酸(0.5g、0.763mmol)およびTATU(344mg、1.07mmol)を5mLのDMF中に溶解させ、チューブを3分間旋回させた。ヒューニッヒ塩基(0.400mL、2.29mmol)を添加した。その間に、レジン(GE Lifesciencesのプライマーサポート5Gアミノ、0.46mmol/g、1.66g、0.763mmol)を、10mLのDMFが入った50mLファルコンチューブ中で膨潤させた。活性ヘミコハク酸溶液を添加した。チューブを室温において400rpmで緩やかに振盪した。反応混合物を濾過し、続いてDCM(50mL)、10%MeOH-DCM(50mL)、さらにDCM(50mL)ですすぎ、真空下で乾燥させた。無水酢酸(5.625mL、59mmol)、ピリジン(16.65mL)およびトリエチルアミン(0.225mL)の溶液を添加することによってレジンをキャップし、室温において400rpmで2時間振盪した。レジンを濾過し、DCM(50mL)、10%MeOH-DCM(50mL)およびDCM(50mL)ですすぎ、真空下で乾燥させて中間体2(2.55g、0.255mmol/g、0.65mmol)を得、これを次のステップでそのまま使用した。
ステップ3:
中間体2(2.55g、0.65mmol)をDMF(15mL)中の20%4-メチルピペリジン溶液中で懸濁し、5分間撹拌した。溶液を排出し、この処理をさらに2回繰り返して脱保護された中間体を得た。DMF(10mL)中でFmoc保護された6-アミノヘキサン酸(1.41g、4.0mmol)およびTATU(1.288g、4.0mmol)を溶解させることにより、Fmoc保護された6-アミノヘキサン酸の活性溶液を作製した。5分後、ヒューニッヒ塩基(1.05mL、6.05mmol)を添加した。この溶液を脱保護されたレジンに添加した。混合物を室温において400rpmで一晩振盪した。反応を濾過し、レジンをDMF(3×30mL)で洗浄した。同じ手順(脱保護、活性酸の調製およびカップリング)を繰り返して粗製の中間体3(2.40g、0.184mmol/g、0.442mmol)を得、これを次のステップで使用した。
ステップ4:
中間体3をDMF(15mL)中の20%4-メチルピペリジン溶液中で懸濁し、5分間撹拌した。溶液を排出し、この処理をさらに2回繰り返して脱保護された中間体を得た。DMF(10mL)中でビス-Fmoc保護されたリジン(2.07g、3.5mmol)およびTATU(1.13g、3.5mmol)を溶解させ、5分間撹拌することにより、ビス-Fmoc保護されたリジンの活性溶液を調製した。ヒューニッヒ塩基(0.96mL、5.5mmol)を添加した。この溶液を脱保護されたレジンに添加した。懸濁液を室温において400rpmで一晩振盪した。反応混合物を濾過し、続いてレジンをDMF(3×30mL)で洗浄した。上記の手順を用いてレジンを脱保護した。ビス-Fmoc保護されたリジンの活性溶液を上記のように調製したが、ただし、ビス-Fmoc保護されたリジンの量は、2.96g(5.0mmol)であり、TATUの量は、1.61g(5.0mmol)であり、ヒューニッヒ塩基の量は、1.31mL(7.5mmol)であり、室温において400rpmで一晩振盪することにより、脱保護されたレジンを活性酸に結合した。レジンをDMF(3×30mL)、続いてDCM(3×30mL)で洗浄し、乾燥させて粗製の中間体4(2.28g、0.165mmol/g、0.376mmol)を得た。
ステップ5:
中間体4(0.4mmol)をDMF(25mL)中の20%4-メチルピペリジン溶液中で懸濁し、5分間撹拌した。溶液を排出し、この処理をさらに1回繰り返して脱保護された中間体を得た。DMF(20mL)中の5-(((2R,3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)ペンタン酸(5、2.68g、6mmol)溶液にTATU(1.92g、6.0mmol)を添加し、溶液を5分間撹拌した。ヒューニッヒ塩基(1.57mL、9.0mmol)をこの溶液に添加し、続いて混合物を脱保護された中間体に添加した。懸濁液を室温で一晩保ち、溶媒を排出した。レジンをDMF(3×30mL)およびDCM(3×30mL)で洗浄した。レジンを5%TIPS(25mL)とともにTol中の3%ジクロロ酢酸で処理し、5分後に溶媒を排出した。この処理をさらに2回繰り返して中間体6を得、これを次のステップで直接使用した(例えば、本発明のRNAiコンストラクトのセンス鎖の5’または3’末端へのコンジュゲーション反応)。
実施例2に記載のインビトロイムノアッセイ、実施例3に記載のRNA FISHアッセイまたは実施例6に記載のインビボマウスモデルにより、ASGR1発現の低減における有効性について、単体の化学修飾ASGR1 siRNAまたはGalNAc部分にコンジュゲートされた化学修飾ASGR1 siRNAを評価した。
実施例6.ASGR1 siRNA分子のインビボでの有効性
インビボでのASGR1の肝臓発現の低減について化学修飾ASGR1 siRNA分子の有効性を評価するために、修飾ASGR1 siRNA分子(Invivofectamine(登録商標)試薬と複合された)またはGalNAc-siRNAコンジュゲートをC57BL/6Jマウスの静脈内または皮下に投与する。具体的には、マウスは、緩衝液、示されたsiRNAおよび対応する対照siRNAを0.25mlの緩衝液中における1~5mg/kg体重で0日目に注射される。動物は、さらなる分析のために2日目、4日目および7日目に回収される。回収された動物の肝臓の全RNAがqPCR分析のために処理される。ASGR1 siRNAの有効性は、siRNA処理された動物の肝臓組織におけるAsgr1のmRNAおよびASGR1タンパク質の量を、緩衝液または対照siRNAが注射された動物の肝臓組織におけるAsgr1のmRNAおよびASGR1タンパク質の量と比較することによって評価される。
アルカリホスファターゼおよびLDLコレステロールの血清レベルも、ASGR1 siRNA分子のインビボでの有効性を評価するために、ASGR1 siRNA分子または対応する対照の注射後の様々な時点のマウスにおいて測定され得る。上昇した血清アルカリホスファターゼレベルは、非HDLコレステロールの低下した血清レベルおよび冠動脈疾患の低下したリスクと相関する(Nioi et al.,New England Journal of Medicine,Vol.374(22):2131-2141,2016、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。したがって、血清アルカリホスファターゼレベルは、血清非HDLコレステロールレベルまたは冠動脈疾患のリスクを低減する特定のASGR1 siRNAの有効性の代替バイオマーカーとして使用することができる。有効なASGR1 siRNA分子は、緩衝液または対照siRNAを注射された動物におけるレベルと比較して、処理された動物において低下した血清非HDLコレステロール(例えば、LDLコレステロール)レベルまたは上昇した血清アルカリホスファターゼレベルをもたらすものである。
実施例7.ASGR1の化学修飾siRNA分子のインビトロでの有効性
表6に列記される選択した化学修飾siRNA分子を、下で再現される構造の式VIIに示される三分岐GalNAc部分にコンジュゲートした。GalNAc部分を、各二重鎖のセンス鎖の3’末端にホスホジエステル結合を介してコンジュゲートした。
GalNAc-siRNAコンジュゲートは、Hep3B細胞のトランスフェクションアッセイおよびヒトASGR1 CHO細胞の自由取り込みアッセイにおいてそれらのASGR1発現の阻害能について評価された。Hep3B細胞トランスフェクションイムノアッセイは、上の実施例2に記載される。ヒトASGR1を安定して発現するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を利用する自由取り込みアッセイを次のように行った。F-12K培地(Corning Cellgro#10-025-CV)中のGalNAcコンジュゲートsiRNA分子を384ウェルプレートにおいて調製した。10%ウシ胎仔血清および1%抗生物質/抗真菌薬を加えたF-12K培地中のヒトASGR1を安定して発現するCHO細胞を各ウェルに添加した。細胞を37℃および5%のCO2で4日間インキュベートした。siRNA送達の4日後、細胞をホルムアルデヒドに固定し、ウシ血清アルブミンを遮断し、続いて抗ASGR1一次抗体(Amgenクローン7E11、それぞれ配列番号3および4において提供される軽鎖および重鎖)を用いて室温で1時間または4℃で一晩のいずれかで染色した。プレートをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で3回洗浄した。続いて、細胞を、Alexa488コンジュゲート抗ヒトIgG二次抗体および細胞数を評価するための核染色試薬Hoechst33342(Invitrogen #H3570)とともに室温で45分間にわたり暗室下においてインキュベートした。PBSによる3回の洗浄後、プレートを、Opera Phenixハイコンテントスクリーニングシステム(PerkinElmer)上で488/500~550および375/435~480の励起/発光フィルター設定を用いて画像化して、抗ASGR1抗体染色および核染色をそれぞれ測定した。データを、Columbus画像分析ソフトウェアおよびGeneData Screenerソフトウェアを用いて分析して、ASGR1のタンパク質レベル、細胞数および細胞形態のいくつかの測定を各細胞および各ウェル基準で定量化した。
GalNAc-siRNAコンジュゲートをアッセイの各々において0.000012~25μMの範囲の22個の異なる用量で試験し、用量反応曲線を作成した。用量反応曲線からIC50値および最大アンタゴニスト活性値(対照細胞に対する;-1.0の最大アンタゴニスト活性は、完全な阻害を表す)を計算した。アッセイの結果を下の表7に示す。
Hep3B細胞にトランスフェクトした場合、いくつかのGalNAc-siRNAコンジュゲートは、80%を超えてASGR1発現をノックダウンした。特に、様々な化学修飾パターン(例えば、二重鎖No.3026、3037、3051、3053および3057)を有するヒトASGR1転写物バリアント1(NM_001671.4;配列番号1)の692~710のヌクレオチドを標的化するGalNAc-siRNAコンジュゲートは、Hep3B細胞にトランスフェクトした場合に低ナノモルのIC50値を示し、CHO細胞の自由取り込みアッセイでは約50%の最大ノックダウン活性を示した。本明細書に記載の他の三分岐GalNAc構造(例えば、式XVI)に対するコンジュゲートにおいてGalNAc部分を変えることにより、自由取り込みアッセイにおけるGalNAc-siRNAコンジュゲートの性能が向上した(データは示さず)。
実施例8.さらなるGalNAc-ASGR1 siRNA分子の設計および有効性
様々なパターンの化学修飾、異なる配列および異なるGalNAc部分を有したさらなるGalNAc-ASGR1 siRNAコンジュゲートを作製した。下の表8は、センス配列およびアンチセンス配列における修飾ならびにGalNAc-ASGR1 siRNAコンジュゲートの各々についてのGalNAc部分に関する構造およびコンジュゲーションの部位を列記する。表8のヌクレオチド配列は、以下の表記法に従って列記される。A、U、GおよびC=対応するリボヌクレオチド;dT、dA、dG、dC=対応するデオキシリボヌクレオチド;a、u、gおよびc=対応する2’-O-メチルリボヌクレオチド;Af、Uf、GfおよびCf=対応する2’-デオキシ-2’-フルオロ(「2’-フルオロ」)リボヌクレオチド;Phos=末端ヌクレオチドがその5’末端に一リン酸基を有すること;invAb=逆向きの脱塩基ヌクレオチド(すなわち隣接するヌクレオチドにその3’位の置換基を介して結合した脱塩基ヌクレオチド(3’-3’結合))である。配列中の「s」の挿入は、2つの隣接するヌクレオチドがホスホロチオジエステル基(例えば、ホスホロチオエートヌクレオチド間結合)によって結合されることを示す。特に指示がない限り、全ての他のヌクレオチドは、3’-5’ホスホジエステル基によって結合される。GalNAc構造は、参照された式において示され、これは、上に示されている。
ASGR1発現の阻害についてのGalNAc-siRNAコンジュゲートの有効性をHep3B細胞トランスフェクションイムノアッセイ(実施例2に記載される)および/またはヒトASGR1 CHO細胞自由取り込みイムノアッセイ(実施例7に記載される)において試験した。アッセイの結果を下の表9に示す。
いくつかのGalNAc-ASGR1 siRNAコンジュゲートをさらに肝細胞でのASGR1のmRNAレベルのノックダウンにおける有効性について評価した。製造業者のプロトコルに従ってヒト初代肝細胞(Xenotech/Sekisui ドナーロット番号HC3-38)をOptiThaw培地(Xenotechカタログ番号K8000)中に解凍した。細胞を遠心分離し、培地吸引後、OptiPlate肝細胞培地(Xenotechカタログ番号K8200)に再懸濁し、96ウェルのコラーゲンコーティングプレート(Greinerカタログ番号655950)に蒔いた。2~4時間のインキュベーション時間後、培地を除去し、OptiCulture肝細胞培地(Xenotechカタログ番号K8300)で置き換えた。OptiCulture培地を添加して2~4時間後、GalNAcコンジュゲートsiRNAを自由取り込み(トランスフェクション試薬なし)によって細胞に送達した。細胞を37℃および5%のCO2で24~72時間インキュベートした。続いて、1%2-メルカプトエタノール(Sigma、M-3148)を加えたQiagenのRLT緩衝液(79216)で細胞を溶解し、溶解物を-20℃で保存した。QiagenのQIACube HT機器(9001793)およびQiagenのRNeasy 96 QIACube HTキット(74171)を使用して、製造業者の指示書に従ってRNAを精製した。試料は、QIAxpertシステム(9002340)を使用して分析された。
Applied BiosystemsのHigh Capacity cDNA逆転写キット(4368813)を使用してRNA試料からcDNAを合成し、反応を製造業者の指示書に従って組み立て、投入するRNA濃度は、試料によって変動した。逆転写は、BioRadの4つ組のサーマルサイクラー(モデル番号PTC-0240G)上において以下の条件で実行した:25℃で10分、37℃で120分、85℃で5分、その後(任意選択)4℃で保持し続ける。ドロップレットデジタルPCR(ddPCR)を、製造業者の指示書に従ってBioRadのQX200 AutoDGドロップレットデジタルPCRシステムを使用して実施した。BioRadのプローブ用ddPCRスーパーミックス(1863010)、ASGR1(IDT Hs.PT.56a.24725395、プライマー対プローブ比3.6:1、9ナノモルの各フォワードおよびリバースプライマー(下に列記される配列)、2.5ナノモルの6-FAM/ZEN/IBFQ標識プローブ(下に列記されるプローブ)で注文される)ならびにGUSB(IDT Hs.PT.58v.27737538、プライマー対プローブ比3.6:1、9ナノモルの各フォワードおよびリバースプライマー(下に列記される配列)、2.5ナノモルのHEX/ZEN/IBFQ標識プローブ(下に列記されるプローブ)で注文される)についての蛍光標識qPCRアッセイならびにRNaseフリー水(Ambion、AM9937)を使用して、反応をEppendorfのクリア96ウェルPCRプレート(951020303)に組み立てた。プライマー/プローブの最終濃度は、それぞれ900nM/250nMであり、投入するcDNA濃度は、ウェル間で変動した。
ドロップレットは、製造業者によって推奨される消耗品(BioRadのDG32カートリッジ1864108、BioRadのチップ864121、Eppendorfの青色96ウェルPCRプレート951020362、BioRadのプローブ用ドロップレット生成オイル1864110およびBioRadのドロップレットプレート組立品)とともに設置されたBioRad Auto DGドロップレット生成器(1864101)を使用して形成された。ドロップレットは、BioRadのC1000 touchサーマルサイクラー(1851197)上で次の条件を用いて増幅した:酵素活性化95℃で10分、変性94℃で30秒、その後60℃で1分間のアニーリング/エクステンション、2℃/秒のランプ速度を用いる40サイクル、酵素活性解除98℃で10分、その後(任意選択)4℃で保持し続ける。続いて、ASGR1またはGUSB濃度のそれぞれに相関したFAM/HEXシグナルを測定するBioRadのQX200ドロップレットリーダー上で試料を読み取った。データを、BioRadのQuantaSoftソフトウェアパッケージを使用して分析した。試料をチャネル(蛍光標識)によってゲート制御して、1試料当たりの濃度を決定した。続いて、各試料を、異なる試料負荷量に関して、対照に対する目的の遺伝子(ASGR1)の濃度/ハウスキーピング遺伝子(GUSB)濃度の比として表した。続いて、データをGenedata Screenerにインポートし、ここで、各試験siRNAを中立対照ウェル(緩衝液のみ)の中央値に正規化し、POC(対照のパーセント)として表した。IC50および最大活性を下の表10に報告する。
ddPCRアッセイ配列
ASGR1:
プライマー1:CAGGCTGGAGTGATCTTCA(配列番号4688)
プライマー2:TTCAGCAACTTCACAGCGA(配列番号4689)
プローブ:56-FAM/TCTTTCTTC(配列番号4690)/ZEN/CCACATTGCCTCCCTG(配列番号4691)/3IABkFQ/
GUSB:
プライマー1:GTTTTTGATCCAGACCCAGATG(配列番号4692)
プライマー2:GCCCATTATTCAGAGCGAGTA(配列番号4693)
プローブ:5HEX/TGCAGGGTT(配列番号4694)/ZEN/TCACCAGGATCCAC(配列番号4695)/3IABkFQ/
試験されたGalNAc-siRNAコンジュゲートの大部分は、コンジュゲートが効率的に細胞に送達され、かつsiRNAが活性であったことを示すヒト初代肝細胞においてASGR1のmRNAレベルを低減した。化合物D-3780、D-3782、D-3791、D-3795およびD-3800が最も効力があり、本アッセイで評価されたコンジュゲートの最も高い最大阻害活性を有した。これらの化合物は、Hep3B細胞にトランスフェクトされた場合、ASGR1タンパク質発現の強力な阻害も示した。表9のHep3Bトランスフェクションアッセイデータを参照されたい。
実施例9.GalNAc-ASGR1 siRNAコンジュゲートのインビボでの有効性
GalNAc-ASGR1 siRNAコンジュゲートがインビボでASGR1発現を効率的に停止できたかどうかを評価するために、ddPCRによって測定した際にインビトロで最も高い阻害を示すコンジュゲート(表10)を、ヒトASGR1遺伝子を発現するASGR1ノックアウトマウスに投与した。10~12週齢のASGR1ノックアウトマウス(The Jackson Laboratory)は、ヒトASGR1遺伝子をコードするアデノ随伴ウイルス(AAV)(AAV-hASGR1)を1動物当たり1×1012ゲノムコピー(GC)の用量で静脈内注射された。AAV-hASGR1注射の2週間後、マウスは、緩衝液または示されるGalNAc-siRNAコンジュゲート(化合物D-3752、D-3779、D-3780、D-3782、D-3784、D-3785、D-3788、D-3791、D-3795、D-3797、D-3799、D-3800およびD-3801)の皮下注射を0.25ml緩衝液中に5mg/kg体重で受けた(各群はn=6)。化合物の投与後8日目に、各処理群の3匹の動物を安楽死させ、さらなる分析のために回収した。各処理群において残っている3匹の動物は、化合物の投与後15日目に回収された。血清および肝臓を全ての動物から採取した。動物の肝臓から単離された全RNAをqPCR分析のために処理して、ヒトASGR1のmRNAレベルを評価した。アルカリホスファターゼ(ALP)の血清レベルを臨床分析器(AU400化学分析器、Olympus)によって測定した。血清におけるALPの上昇したレベルは、非HDLコレステロールの低下した血清レベルおよび冠動脈疾患の低下したリスクと相関することが報告されており(Nioi et al.,New England Journal of Medicine,Vol.374(22):2131-2141,2016)、したがって有用なバイオマーカーとして機能する。
図6Aに示されるように、いくつかのGalNAc-siRNAコンジュゲートは、投与後8日目にヒトASGR1のmRNAレベルを低減した。化合物D-3752、D-3779、D-3782、D-3788、D-3799およびD-3800が特に効果的であった。化合物投与後15日目のhASGR1のmRNAレベルの抑制が化合物のいくつかで観察された。この時点では、化合物D-3752およびD-3788が特に効果的であった。図6Bは、同じ時点での血清ALPレベルを示す。概ね、血清ALPレベルの上昇は、hASGR1のmRNAのノックダウンと相関した。化合物のいくつか(例えば、D-3752、D-3782)は、ASGR1ノックアウト動物において観察されたものと同様のレベルまで血清ALPの上昇をもたらし、これは、ASGR1発現の最大阻害を示す。インビボ実験の結果は、GalNAc-ASGR1 siRNAコンジュゲートが皮下投与された場合に肝臓におけるASGR1遺伝子の発現を効率的に抑制し、冠動脈疾患を治療する有効性のバイオマーカーである血清ALPを調節することを実証している。
実施例10.siRNA分子のための代替の送達機構としてのASGR1抗体
本実施例に記載の実験の目的は、ASGR1に対するモノクローナル抗体を使用して、ASGR1 siRNA分子を肝臓に送達できたかどうかを判定することであった。EUナンバリングスキームによる重鎖のE272C変異を有する抗ASGR1モノクローナル抗体(抗ASGR1 cyc mAb、200mg)をpH7.5~8.5の40mM HEPES緩衝液中の2.5mMシスタミンおよび2.5mMシステアミンの50mL溶液とともに室温で15~20時間インキュベートした。抗ASGR1抗体の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号4696および4697として下に提供される。0.22μmフィルターを使用して反応混合物を濾過し、pH5の100mM酢酸ナトリウム緩衝液で250mLに希釈した。カチオン交換クロマトグラフィーを実施して、反応混合物からビス-システアミンキャップされた抗ASGR1 cys mAbを精製した。まず、pH5の100mM酢酸ナトリウム緩衝液中に希釈された250mLの反応混合物を25mL SP HPカラム(GE Healthcare Life Sciences)に5mL/分でロードした。カラムを2カラム容量(CV)のpH5の100mM酢酸ナトリウムで洗浄し、その後、10CVにわたってpH5の1.2M塩化ナトリウム(NaCl)を用いて100mM酢酸ナトリウムの0~20%の勾配をかけた。ビス-システアミンキャップされた抗ASGR1 cys mAbを含有するメインピークを回収し、透析によって9%スクロースを含むpH5.2の10mM酢酸ナトリウムに緩衝液を交換した。
GfsusGfgGfaAfgAfAfAfgAfuGfaAfgUfuUf(配列番号4698)の配列(5’-3’)を有するセンス鎖およびasCfsuUfcAfuCfuuuCfuUfcCfcAfcsUfsu(配列番号4699)の配列(5’-3’)を有するアンチセンス鎖を含有するsiRNA二重鎖を使用してmAb-siRNAコンジュゲートを生成した。センス配列およびアンチセンス配列の表記法は、上に記載した表6および8中のヌクレオチド配列に使用されたものと同じである。siRNA二重鎖は、センス鎖およびアンチセンス鎖の3’末端に2ヌクレオチドのオーバーハングを有する19塩基対の二重鎖領域を有した。siRNA二重鎖のセンス鎖は、その3’末端にホモセリン-アミノヘキサン酸(hSer-Ahx)修飾を有した。siRNA二重鎖は、100mM酢酸カリウム、30mM HEPES-KOH、pH7.4中において90℃で5分間の加熱の直後に30分間にわたって室温まで冷却して形成された。3’hSer-Ahx siRNA二重鎖は、ブロモ酢酸スクシンイミジル(SBA)を使用してブロモアセチル基でさらに官能化された(図7A)。100mM酢酸カリウム、30mM HEPES-KOH、pH7.4中の3’hSer-Ahx siRNA二重鎖を10~20当量のSBAとともに室温で1時間インキュベートした。続いて、さらに10~20当量のSBAを添加し、反応混合物を室温でさらに1時間インキュベートした。LC-TOFを使用して反応をモニターした。50mMリン酸ナトリウム、2mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、pH7.5によるAmicon-15 3kスピンコンセントレータを用いた緩衝液交換により、3’-ブロモアセチル-siRNAから過剰量のSBAを除去した。
ビス-システアミンキャップされた抗ASGR1 cys mAb(9%スクロースを含む10mM酢酸ナトリウム中で約5mg/mL)を3~4当量のトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)またはトリフェニルホスフィン-3,3’,3’’-トリスルホン酸三ナトリウム塩(TPPTS)を使用して室温で60~90分間部分的に還元した(図7B)。分析的カチオン交換クロマトグラフィーを使用して反応をモニターした。TCEPまたはTPPTSを除去し、部分的に還元されたcys mAbを、2mMのEDTAを含有するpH7.5の50mMリン酸ナトリウムに緩衝液交換した。部分的に還元されたcys mAbに6~10当量のデヒドロアスコルビン酸(DHAA)を添加し、微量のみの還元されたmAb種が観測されるまで(30~180分)、室温で酸化を実行した。DHAAを除去することなく6当量のブロモアセチル-siRNA二重鎖を反応混合物に添加し、アルキル化を室温で15~48時間実行した(図7B)。0.17Mリン酸カリウム、0.21M塩化カリウム、10%(v/v)イソプロパノール、pH7の均一濃度流を用いたサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって過剰量のsiRNA二重鎖および低分子試薬を除去した。1および2のRNA-抗体比率(RAR)を有する抗ASGR1 mAb-siRNAコンジュゲートを、アニオン交換クロマトグラフィーを使用して分離した。SECプールをpH7の20mM Tris-HCl、100mM NaCl中に希釈し、Q HPカラム(GE Healthcare Life Sciences)にロードした。カラムを5CVのpH7の20mM Tris-HCl、100mM NaClで洗浄し、その後、20CVにわたって0.4~1MのNaClを含有するpH7の20mM Tris-HClで勾配溶離した。精製されたRAR1(化合物3549)およびRAR2(化合物3550)生成物を、スピン濃縮を使用してダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)に緩衝液交換した。
mAb-siRNAコンジュゲートを自由取り込みアッセイにおいて活性について評価して、抗体がsiRNAをヒト初代肝細胞に効率的に送達してASGR1発現を阻害できたかどうかを判定した。1個または2個のASGR1 siRNA分子(それぞれ化合物3549および3550)にコンジュゲートされた様々な濃度(0.18nM~400nM)の抗ASGR1 mAbを4日間ヒト初代肝細胞とともにインキュベートした。RNAを細胞から単離し、ドロップレットデジタルPCR分析のために処理して、実施例8に記載のようにASGR1のmRNAレベルを評価した。インビトロアッセイの結果を図8に示す。1個または2個のASGR1 siRNA分子にコンジュゲートされた抗ASGR1 mAbにより、ASGR1のmRNAの40~60%のノックダウンが実証された。非コンジュゲート抗ASGR1 cys mAb(PL-53515)を対照として使用した。
次に、抗ASGR1 mAb-siRNAコンジュゲートをインビボでの有効性について試験した。9週齢のC57Bl/6野生型マウスに化合物3550(30mg/kgもしくは60mg/kg)またはGalNAcコンジュゲートsiRNA対照を皮下または静脈内注射した。GalNAcコンジュゲートsiRNA対照は、配列番号4698の配列を有するセンス鎖および配列番号4699の配列を有するアンチセンス鎖を有し、センス鎖の3’末端で三分岐のGalNAc部分にコンジュゲートされた。化合物の投与後2、4、8および15日目に動物から血清および肝臓を採取した。動物の肝臓から単離された全RNAをqPCR分析のために処理して、ASGR1のmRNAレベルを評価した。肝臓におけるASGR1タンパク質発現をELISAによって測定した。アルカリホスファターゼ(ALP)の血清レベルを臨床分析器(AU400化学分析器、Olympus)によって測定した。
mAb-siRNAコンジュゲート3550は、siRNAをそのインビボにおけるmRNA標的に効率的に送達した。最も高いノックダウンレベル(約80%)は、8日目に測定された野生型マウスにおける30mpkの3550の静脈内投与から得られた(図9A)。肝臓におけるASGR1タンパク質発現も測定され、mRNAノックダウンのレベルと一致する30mpkの静脈内投与群においてASGR1タンパク質の80%を超える低減が達成された(図9B)。タンパク質ノックダウンの最下点は、静脈内または皮下のいずれかで投与された抗ASGR1 mAb-siRNAコンジュゲートについて8日目であり、GalNAc-siRNAコンジュゲートについて4日目であった。mAb-siRNAコンジュゲート3550は、ASGR1のmRNAレベルおよびタンパク質発現の低減に対応して8日目で2~4倍のALPの上昇をもたらした(図10)。抗ASGR1抗体単独では、100mg/kgでさえいかなるALPの上昇も誘導しなかった(データは示さず)。
まとめると、これらの実験の結果は、GalNAc部分の代わりに抗ASGR1抗体を用いてsiRNA二重鎖を効率的に肝臓に送達できることを実証している。mAb-siRNAコンジュゲートは、肝臓でのASGR1発現の阻害および標的阻害のバイオマーカーである血清ALPレベルの上昇の観点から、GalNAc-siRNAコンジュゲートと同等の有効性を示した。
本明細書において議論および引用された全ての刊行物、特許および特許出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。開示した本発明は、記載された特定の方法論、プロトコルおよび材料に限定されず、これらは変化し得ることが理解される。また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためのものに過ぎず、添付の特許請求の範囲を限定することを意図されていないことも理解される。
当業者であれば、単なる日常的な実験により、本明細に記載した本発明の特定の実施形態に対する多くの均等物を認識または確認することができるであろう。このような均等物は、添付の特許請求の範囲に包含されるものとする。