JP7081385B2 - クロマトグラムの類似度の計算方法 - Google Patents

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Description

本発明は、クロマトグラムの類似度の計算方法に関するものである。
ヘモグロビンは赤血球中に多量に存在し、体内で酸素を運搬、体外へ二酸化炭素を排出する役割を担ったタンパク質で、ヘモグロビンが血液中を循環している間にできる、グルコースがヘモグロビンに結合したものはHbA1cと呼ばれている。
HbA1cの測定法としては液体クロマトグラフィ法(イオン交換またはアフィニティ)、免疫凝集比濁法、酵素法など、測定原理の異なる手法が存在するが、処理検体数、コスト、夾雑物の影響等を考慮して使い分けされている。中でも、液体クロマトグラフィ法は検査値と真値との誤差が±1%未満と高精度な分解測定手法であり、現在最も多くの検査機関で採用されている。
ヘモグロビン分子を構成するα鎖グロビンあるいはβ鎖グロビンのアミノ酸配列にアミノ酸置換、脱落、挿入がみられるものや、遺伝子融合による融合グロビン鎖を含んだもののように、その構成成分が通常とは異なるものは異常ヘモグロビンと呼ばれ、稀に存在することが知られている。このような検体を液体クロマトグラフィによるグリコヘモグロビンの分離測定を行った場合、正常な検体とは異なる分離パターンを示す。しかしながら、測定を行う環境、運転状態、溶離液の状態、カラムの状態等によっても測定結果に影響を及ぼすため、正常・異常の判断は容易ではない。
また、分光分析の分野や質量分析の分野では、比較対象となるスペクトルと、未知試料を測定して得られたスペクトルとを比較して、その類似性を数値で評価する手法が頻繁に用いられており、グリコヘモグロビンの分析にも同様の手法が適用可能である(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、グリコヘモグロビンの分離では、指標となるS-A1cピークの面積比率は全体の5%程度であり、90%程度はA0ピークで占められる。このような、不均等なクロマトグラムに対して類似度を計算すると、比率の高いA0ピークの形状の僅かな変化が、類似度の値を大きく変化させることになり、正確な指標とはならないという課題があった。
特開平9―251016号公報
グリコヘモグロビンを測定対象とした液体クロマトグラフィにおいて、取得されるクロマトグラムに基づく、測定試料と標準試料との類似度の計算方法を提供するものである。
本発明に係るグリコヘモグロビンを測定対象とした液体クロマトグラフィにおいて、取得されるクロマトグラムに基づく、測定試料と標準試料との類似度の計算方法は、前記測定試料のクロマトグラムに対して、類似度計算を行う2以上の区間について、それぞれ基準となる成分ピークの溶出時間が前記標準試料のクロマトグラムと同一になるように時間軸を補正した後、時間間隔が前記標準試料のクロマトグラムと同一になるように再補正し、再補正後のクロマトグラムの微分曲線を取得し、極大値又は極小値のいずれか一方のみを有する微分信号変化をスパイクノイズ処理により排除し、得られた微分曲線を微小時間区分で積分することで、クロマトグラムに再変換し、再変換後のクロマトグラムのドリフトを除去した後、ドリフトが除去された前記標準試料のクロマトグラムとの間で、各区間における両者の類似度を区間類似度として算出し、前記区間類似度に重みをもたせた平均値を、両者の最終的な類似度とする。
また、本発明に係る計算方法の一態様においては、前記区間類似度への重みの設定方法が、クロマトグラムの成分ピークの強度を基に決定する。
また、本発明に係る計算方法の一態様においては、前記区間類似度の計算を以下の式で算出する。
Figure 0007081385000001
さらに、2種類以上の標準試料と1つの測定試料に対して、上述の計算方法で算出された各々の両者の最終的な類似度が、任意の閾値以上となるか否かで、前記測定試料と一致する標準試料を特定する方法を本発明は含んでいる。
本発明によれば、不均等なクロマトグラムであっても、区間ごとの類似度に重みをもたせた平均値を、測定試料と標準試料との最終的な類似度とするため、正確な指標を得ることができる。
液体クロマトグラフィにおける、流量の僅かな差によるクロマトグラムの変化を模式的に示した図である。図1aは溶離液組成が一定である「アイソクラティック溶出」、図1bは溶離液組成が途中で切り替わる「ステップグラジエント溶出」の場合を示している。 (1)工程を模式的に示した図である。図2aは補正前のクロマトグラム(生データ)、図2bはPeak_1、Peak_2を基準として、2つの補正領域で時間補正を実施した後のクロマトグラムである。 (2)工程を模式的に示した図である。図3a時間補正を実施後のクロマトグラムに対する微分曲線、図3bはスパイクノイズ処理により補正領域の境界付近での異常点を修正した微分曲線である。 (3)工程を模式的に示した図である。 本発明における液体クロマトグラフィによるグリコヘモグロビン分析における同一性を判断する手法の流れを示したフローチャートである。 実施例で用いたシステム構成を示した図である。 実施例で使用した検体で得られるクロマトグラムの一例を示した図である。図7aは正常検体、図7bは正常検体にバリアントヘモグロビンコントロール(HC-104)を添加した検体、図7cは正常検体にバリアントヘモグロビンコントロール(HC-105)を添加した検体、図7dは正常検体にバリアントヘモグロビンコントロール(HC-120)を添加した検体を示している。 実施例で使用した検体のクロマトグラムを、条件ごとに重ね描いた図である。左側にあるクロマトグラムは未処理のもの、右側にあるクロマトグラムは(1)~(3)工程を行った後のものである。 実施例での補正処理の各過程でのデータ変化を示した図である。図9a、bが補正前(生クロマトグラム)、図9cが時間補正後のクロマトグラム (1)工程、図9dが段差の平滑化処理後 (2)工程、図9eがドリフト除去後のクロマトグラム (3)工程を重ね描いた図である。 実施例で行った、3区間重み平均類似度計算で各区間を示した図である。 #10のデータに対して、類似度計算により選択された異常ヘモグロビン種クロマトグラムと重ねたものである。図11aは#10の生クロマトグラムのデータ(実線)、選択された異常ヘモグロビン種のクロマトグラム(破線)を示している。図11bは#10の(1)~(3)工程を行った後のクロマトグラムのデータ(実線)、選択された異常ヘモグロビン種のクロマトグラム(破線)を示している。 #18のデータに対して、類似度計算により選択された異常ヘモグロビン種クロマトグラムと重ねたものである。図12aは#18の生クロマトグラムのデータ(実線)、選択された異常ヘモグロビン種のクロマトグラム(破線)を示している。図12bは#18の(1)~(3)工程を行った後のクロマトグラムのデータ(実線)、選択された異常ヘモグロビン種のクロマトグラム(破線)を示している。
本発明の計算方法は、測定試料のクロマトグラムに対して、
(1)類似度計算を行う2以上の区間について、それぞれ基準となる成分ピークの溶出時間が標準試料のクロマトグラムと同一になるように時間軸を補正した後、時間間隔が前記標準試料のクロマトグラムと同一になるように再補正する工程
(2)再補正後のクロマトグラムの微分曲線を取得し、極大値又は極小値のいずれか一方のみを有する微分信号変化をスパイクノイズ処理により排除し、得られた微分曲線を微小時間区分で積分することで、クロマトグラムに再変換する工程
(3)再変換後のクロマトグラムのドリフトを除去する工程
(4)ドリフトが除去された標準試料のクロマトグラムとの間で、各区間における両者の類似度を区間類似度として算出し、前記区間類似度に重みをもたせた平均値を求める工程
を含んでいる。
以下、本発明の一実施形態について説明する。
なお、本発明における「クロマトグラム」とは、グリコヘモグロビンを測定対象とした液体クロマトグラフィにおいて、取得されるクロマトグラムを指す。また、標準試料のクロマトグラムを「基準クロマトグラム」、測定試料のクロマトグラムを「比較対象クロマトグラム」と言うことがある。
液体クロマトグラフィによるグリコヘモグロビン分析の場合、溶離液の切り替えを行わないアイソクラティック溶出法ではなく、複数の溶離液を指定の時間で切り替えるステップグラジエント溶出法が一般的に用いられる。図1からも分かる通り、流速が僅かに異なる2つのクロマトグラム間で、Peak_1とPeak_2の溶出時間の比率は、アイソクラティック溶出法の場合、ほぼ一定の値となるが、ステップグラジエント溶出法の場合、一定の値とはならない。つまり、ステップグラジエント溶出法では1つの補正係数でクロマトグラムを補正することができない。
そこで、本発明では、クロマトグラムを複数の時間区分に分割し、異なる補正係数を用いる。すなわち、類似度計算を行う2以上の区間について、それぞれ基準となる成分ピークの溶出時間が標準試料のクロマトグラムと同一になるように時間軸を補正する。
基準となる成分ピーク(以下、内部標準ピークと言うことがある)の溶出時間が標準試料のクロマトグラムと同一になるように時間軸を補正する方法について説明する。まず、標準試料クロマトグラムの内部標準の溶出時間(Ts)を、測定試料クロマトグラムの内部標準の溶出時間(Tu)で除した値を補正係数(Ft)とし、測定試料クロマトグラムのx値(時間)に補正係数(Ft)を乗じればよい(図2参照)。
クロマトグラムのデータは、連続した(時間、出力)の組み合わせで構成され、本来、その時間の間隔は一定である(サンプリング周期、サンプリングピッチとも呼ばれる)。しかしながら、前述したように時間軸を補正するとクロマトグラムの時間間隔は標準試料クロマトグラムのものとはズレてしまう。そこで、前後のデータ点を使用して補間処理を実施し、再補正を行う。
上述した(1)工程を行うと、類似度計算を行う区間の境目で段差が生じることがある(図2(b)参照)。このような形状のクロマトグラムで定量を行うと、ピーク検出が異常になったり、定量値(ピーク高さ、面積、面積比率等)に誤差を生じる原因となる。そこで、上述した(2)工程を行い、クロマトグラムを平滑化する。
まず、クロマトグラムの微分曲線を取得する。通常のピーク部分では微分値はゼロから徐々に増加し、ピークトップを境に急激に減少しマイナス値となる。そこから徐々に増加しゼロに戻るパターンを採る。しかし、段差のあるクロマトグラムの場合、図3に示すように、極端に高い値を示す箇所が現れる。そこで、当該箇所の1つ前の時間点(n-1)での微分値と、1つ後の時間点(n+1)での微分値との平均値を、当該箇所の時間点(n)の微分値に置き換える処理(スパイクノイズ処理)を行う。
次に、スパイクノイズ処理後の微分曲線を微小時間区分で積分することで、クロマトグラムに再変換する。この一連の処理により、段差のないクロマトグラムが得られる。
上述した(2)工程の後、クロマトグラムに対するドリフトを除去する(3)工程を行う(図4参照)。ドリフトの除去方法は、開始点(x1、y1)及び終了点(x2、y2)[x:時間、y:出力]を決めて、直線式(y=ax+b)を算出し、クロマトグラムの各データ点(時間、出力)から前記直線式のy値を差し引く方法などが挙げられる。しかし、本工程はこの方法に限定されるものではない。開始点および終了点以外のピークが溶出していない複数の点を基に、多項式を算出し、クロマトグラムの各データ点(時間、出力)から前記多項式のy値を差し引く方法なども有用である。開始点はピークが存在せずできるだけ出力がゼロに近い点、終了点はピークが存在せずできるだけ測定終了に近い点であることが望ましいが、特に限定するものではない。本発明において、類似度計算を行う区間は2以上であるが、区間ごとに上述したような手順でドリフトを除去してもよく、複数の区間を含んだ範囲でドリフトを除去してもよい。例えば、開始点として測定開始点、終了点として測定終了点を指定すれば簡便なため、好適である。
なお、標準試料のクロマトグラムに対するドリフト除去も上述の方法と同様で問題ない。
(1)~(3)工程を施すことで、施設間での差異、測定装置間差、試薬/溶離液等のロット間差等が補正されたクロマトグラムが取得できる。このようにして得られたクロマトグラムに対して、上述した(4)工程を行うことで、クロマトグラムの同一性を正確に判断できる指標として用いることが可能となる。
(4)工程では、まず各区間における両者の類似度を区間類似度として算出する。グリコヘモグロビンのクロマトグラムでは、面積比率が健常人で5~6%程度であるS-A1c成分ピーク、面積比率が90%程度であるA0成分ピークを含んでいる。そのため、類似度計算を行う区間としては、S-A1c成分ピークを含む区間、A0成分ピークを含む区間、特異的に出現する成分ピークを含む区間の3つに分割することが好適である。また、類似度計算を行う区間は連続であっても、不連続であってもよい。
「区間類似度」の計算方法は、式1で挙げるような方法が代表的であるが、波形の類似性の指標となれば良く、特に限定するものではない。式1を用いて計算される類似度は、最大で1000であり、1000に近いほど、同一性が高いことを示す。
各区間における区間類似度を算出したら、前記区間類似度に重みをもたせた平均値を、測定試料と標準試料との最終的な類似度とする。重み係数を全て1あるいは同じ値にする「単純平均類似度」としても問題ないが、区間類似度に対する重み係数は、成分ピークの比率が小さい区間の係数を大きくし、成分ピークの比率が高い区間の係数を小さくすることで、比率の低い成分の変動に伴う類似度の変動を大きく見ることができるため、好ましい。
区間類似度への重みの設定方法としては、クロマトグラムの変化を明確に反映することを目的として、任意の重み係数を測定者が設定しても良い。また、標準試料のクロマトグラムの成分ピークの強度を基に、つまり、強度の高いピークが含まれる区間の重みを小さくし、強度の低いピークが含まれる区間の重みを大きくしても良い。さらに、多種検体での平均的な区間毎の面積比率の逆数に応じて、区間の重みを決定することも良い(例えば第一区間面積比率:20%、第二区間面積比率:70%、第三区間面積比率:10%の場合、第一区間重み:3.5、第二区間重み:1.0、第三区間重み:7.0)。
上述した方法で得られた測定試料と標準試料との最終的な類似度が、任意の閾値以上となるか否かで、前記測定試料と前記標準試料と同種かどうか判断することが可能である。例えば、図5に示すように標準試料のクロマトグラム(ストッククロマトグラム)に対して(1)~(3)工程を施したものをデータベース化しておき(この場合、更に特定の標準試料が存在し、その他の標準試料はこの特定標準試料を基に(1)~(3)工程を施すこととなる)、測定試料のクロマトグラム(検体クロマトグラム)に対して(1)~(3)工程を施したものとの間で、(4)工程に基づいて各々の最終的な類似度を算出し、任意の閾値以上となるか否かで、どの標準試料と同種かどうか判断することが可能である。
以下に実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。さらに、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、それぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された文献の全てが参考として援用される。
図6に示すシステムを使用し、実際の測定を行った。グリコヘモグロビン分析計は東ソー(株)製HLC-732G8および専用のカラム、溶離液を使用した。なお、測定モードは異常ヘモグロビン種の特定が容易とされる「バリアントモード」で行った。
異なる3種の溶離液(1、2、3)を指定した時間で切り替え、分析カラム(10)へ送液し、注入された試料を、溶出力を変えて各々の成分に分離し、可視検出器(12)でその量を計測するものである。なお、試料注入装置(8)は、採血管で採取された全血をそのまま自動で溶血/希釈し注入すること、および標準試料やコントロール試料のような希釈検体も注入できる構成となっている。
正常検体(2検体)、HbAlcコントロール(Level1、2 東ソー(株)製)、および、前記正常検体にバリアントヘモグロビンコントロール3種を添加した検体(12検体)を使用して評価を実施した。なお、前記バリアントヘモグロビンコントロールはAnalytical Control Systems社製、バリアントヘモグロビンコントロールAS(HC 104)、バリアントヘモグロビンコントロールAC(HC 105)、およびバリアントヘモグロビンコントロールAC(HC 120)を使用した(詳細組成は表1参照)。
Figure 0007081385000002
流量ファクター(流量の相対値)1.00、カラム温度25℃を標準条件とし、各成分ピークの溶出時間に変動を持たせるため、流量ファクターを1.02、1.04、0.96に変化させて測定を実施した。
以上の条件で測定して得られたクロマトグラムに対して、(1)~(4)工程を以下の条件で行った。区間類似度は式1を用いて算出した。
Figure 0007081385000003
図7は標準条件で、正常検体、バリアントヘモグロビンコントロール(HC 104)、バリアントヘモグロビンコントロール(HC 105)、およびバリアントヘモグロビンコントロール(HC 120)を添加した検体の代表的なクロマトグラムである。
図8はファクターを変化させた場合のクロマトグラムについて未処理のものと(1)~(3)工程を行った後のものとを比較した図である。どの条件で測定しても、(1)~(3)工程を行った後はS-A1cおよびA0のピーク位置が同じになっていることが分かる。
流量ファクター:0.96、カラム温度25℃でのSample_Hの測定結果を例として、実際に行った処理の詳細を示す(図9参照)。
補正の基準となるS-A1cの溶出時間は0.603分だったので、第一区間の補正係数(Ft)は0.973(0.587/0.603)、A0の溶出時間は0.877分だったので、第二区間の補正係数(Ft)は0.989(0.867/0.877)となる。第一区間(0.0~0.7分)の時間データに補正係数0.973を乗じ、第二区間(0.7~1.6分)の時間データに補正係数0.989を乗じ、時間データを補正した。次に、時間データ間隔が200msになるように補間処理を行った。
次に、この曲線を微分し、第一区間と第二区間の境目付近(0.693分)に正方向の異常点が見られたので、時間微分値を前後の値の平均値に置き換えた。このようにして得られた修正微分曲線を積分することで段差を平滑化したクロマトグラムが得られた。
次にドリフトの除去を行った。開始点である0.00分での出力値0.00、終了点である1.57分での出力値-0.641を基に1次式y=-0.4083x+0を算出し、平滑化したクロマトグラムから差し引いた。
以上のような処理を施したクロマトグラムに対して、3区間の重み平均類似度計算を行い、異常ヘモグロビン種の特定ができるか検証を行った(図10参照)。検証に用いたデータは、全て同様の条件での処理を行い、類似度計算の手法も同様である。また、比較のため、(1)~(3)工程を行っていない生のクロマトグラム(以下、単に生クロマトグラムと言うことがある)に対して、全時間領域を1つの区間とした類似度計算によるクロマトグラム同一性についても併せて評価した。
標準条件(流量ファクター:1.00、カラム温度:25℃)で測定したSample_C、Sample_E、Sample_F、Sample_Gの4種類を標準試料として、その他の検体が前記4種に同一性があるか評価を行った。表3は類似度の結果および種別判定を一覧で示した表である。種別判定は以下の基準で行った。
(A)類似度が800以上のクロマト種が1つのみであるデータ:符号「選択種」
(B)類似度が800以上のクロマト種が2つ存在するが、1位と2位の差が50以上であるデータ:符号「選択種」
(C)類似度が800以上のクロマト種が2つ存在するが、1位と2位の差が50未満であるデータ:符号「選択種?」
(D)上記以外のデータ:符号「×」
生データで類似度計算を行った場合の、「×」判定の割合は、60データの内、56にも及ぶ。また、#17、#18の2つのデータは「HC-120添加」と判定、#46、#58の2つのデータは「HC-102添加」と判定したが、実際に合致しているのは#58のデータ1件のみである。
一方、本発明による判定の場合は、60データの内、「×」判定は#30の1つ存在するものの、それ以外の59データは判定ができており、同定結果に関しても全て合致している。今回判定ができなかった1つのデータに関しても、第一位と第二位の差が80以上あり、正常検体と判定して特に問題なはい。
検査対象のクロマトグラムと選択されたクロマトグラム種の比較の一例を以下に示す。
#10のデータの結果を図11に示す。生クロマトグラムに対して全時間領域を1つの区間とした類似度計算で評価した場合、比較対象の4つのクロマトグラム種に対して全て990以上の類似度を示し(表3参照)、差異がほとんど見られない。その中でも最も類似度が高いのは異常ヘモグロビン種3(HC-120添加)であるが、クロマトグラムで比較すると、両者の形状は0.9分以降形状が全く異なることが分かる。
一方、本発明の方法で類似度を計算した場合、比較対象の4つのクロマトグラム種の中で、異常ヘモグロビン種1(HC-102添加)に対しての類似度は984と高い値を示すと共に、第2位の正常検体に対する類似度の差も250以上あり、明らかに区別できる(表3参照)。クロマトグラムで比較すると、この両者の形状は出現するピーク数や位置がかなり一致していることが分かる。
#18のデータの結果を図12に示す。生クロマトグラムに対して全時間領域を1つの区間とした類似度計算で評価した場合、異常ヘモグロビン種3(HC-120添加)のみが類似度850を超えている(表3参照)。しかしながら、クロマトグラムで比較すると、両者の形状は0.9分以降の形状が全く異なることが分かる。
一方、本発明の方法で類似度を計算した場合、比較対象の4つのクロマトグラム種の中で、異常ヘモグロビン種2(HC-104添加)に対しての類似度は929と高い値を示すと共に、第2位の類似度の差も400程度あり、明らかに区別できる(表3参照)。クロマトグラムで比較すると、両者の形状は出現するピーク数や位置がかなり一致していることが分かる。
Figure 0007081385000004
Figure 0007081385000005
1.第一溶離液
2.第二溶離液
3.第三溶離液
4.溶血洗浄液
5.脱気装置
6.電磁弁
7.送液ポンプ
8.試料注入機構
9.プレフィルタ
10.分析カラム
11.抵抗管
12.可視吸収検出器
13.恒温槽
14.検体
15.廃液

Claims (4)

  1. グリコヘモグロビンを測定対象とした液体クロマトグラフィにおいて、
    取得されるクロマトグラムに基づく、測定試料と標準試料との類似度の計算方法であって、
    前記測定試料のクロマトグラムに対して、
    類似度計算を行う2以上の区間について、それぞれ基準となる成分ピークの溶出時間が前記標準試料のクロマトグラムと同一になるように時間軸を補正した後、時間間隔が前記標準試料のクロマトグラムと同一になるように再補正し、
    再補正後のクロマトグラムの微分曲線を取得し、極大値又は極小値のいずれか一方のみを有する微分信号変化をスパイクノイズ処理により排除し、得られた微分曲線を微小時間区分で積分することで、クロマトグラムに再変換し、
    再変換後のクロマトグラムのドリフトを除去した後、
    ドリフトが除去された前記標準試料のクロマトグラムとの間で、各区間における両者の類似度を区間類似度として算出し、
    前記区間類似度に重みをもたせた平均値を、両者の最終的な類似度とする前記方法。
  2. 前記区間類似度への重みの設定方法が、前記標準試料のクロマトグラムの成分ピークの強度を基に決定することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記区間類似度の計算を以下の式で算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
    Figure 0007081385000006
  4. 2種類以上の標準試料と1つの測定試料に対して、請求項1~3のいずれかに記載の方法で各々の最終的な類似度を算出し、前記最終的な類似度が任意の閾値以上となるか否かで、前記測定試料と一致する標準試料を特定する方法。
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