JP7081367B2 - 分注ノズル、分注方法、分注装置および分注ノズルの製造方法 - Google Patents

分注ノズル、分注方法、分注装置および分注ノズルの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、分注ノズル、分注方法、分注装置および分注ノズルの製造方法に関する。
従来、生化学、理化学、医療等の分野における各種の試験(DNAやゲノムの鑑定や解析、創薬、臨床試験など)では、分注器を用いて、試料となる液体(適宜、「液体試料」、「試薬液」などと称する。)を一定の容量ずつ吐出する分注の操作が頻繁に行われる。
かかる分注器(ピペット、ディスペンサーなどとも呼ばれる)は、シリンダまたはキャピラリーなどと呼ばれる外筒と、かかる外筒内を移動するピストンと、を備える。また、分注器の分注方式としては、水溶液の分注に広く用いられる空気置換方式と、粘度の高い液体や揮発性の液体に使用される強制置換方式と、に大別される。空気置換方式の分注器では、一定量の空気がピストンと液体の間に介在する。他方、強制置換方式の分注器では、ピストンが液体に直接接触する。
さらに、分注器の一端(先端)側には、液体の吐出を行う際の通路(流路)となる細長い管状のノズル部(以下、「分注ノズル」という。)が、分注器の本体に一体的または着脱可能に設けられる。多くの分注器では、かかる分注ノズルが液体の吸引を行う際の流路を兼ねており、この場合の分注方式は(吸引・吐出の)往復分注となる。他方、液体の吸引を行う際の分注ノズルとは別個の流路(インレット・チューブ)が分注器に接続されるタイプのものもある。
また、分注器は、分注ノズルの反対側(他端側)に、分注器の内圧を変動させる機構(例えばプッシュボタン式の操作部)や、1回の吐出操作での液体の吐出量を調整するための機構が設けられたものが多い。さらに、自動で分注を行うシステムでは、分注ノズルに対応する部品(一般に「分注ヘッド」と呼ばれる)を多数個取り付けて、多数の分注の操作を一度に行うものもある。
いずれにしても、分注の操作では、分注器内に収容(吸引)された液体試料の全部(すなわち予め設定された吐出量分の液体)を、分注ノズルの吐出口から残さず吐出することが理想とされる。
他方、実際の分注の操作では、分注ノズルの内外に液体試料(試薬液)が残存する現象が発生し、かかる残液が吐出量の誤差(分注精度の悪化)を生じさせる大きな要因となる。これに関し、特許文献1では、吐出された液体試料の一部が分注ノズルの吐出口から外面側に這い上がって残液となる現象を解消すべく、分注ノズルの先端面を表面粗さ付与面とするとともに、かかる先端面の撥水性を外面の撥水性よりも高く設定することが記載されている。
特開2017-173044号公報
他方、特許文献1に記載の技術では、分注ノズルの内面(管の内壁側)に残存する液体を除去することを意図していない。これに関し、従来の技術では、高い精密度を得るために、すなわちノズル内の液体を可能な限り吐出して目標の吐出量に対する実際の吐出量の誤差を抑えるために、分注ノズルの先端側(吐出口側)の内径を非常に狭くしていた。
しかしながら、かかる従来の分注ノズルは、その内径が小さくなるほど、液体の吸引および吐出に時間がかかり、生産性(生産タクト)およびノズル加工性(加工コスト)が悪くなる、という問題がある。
本発明の目的は、生産性および吐出量の精密度の両方を向上させることが可能な分注ノズル、分注方法、分注装置および分注ノズルの製造方法を提供することである。
本発明に係る分注ノズルは、
液体を収容し、当該液体を吐出するノズル管を有する分注ノズルであって、
前記液体が許容誤差量収容されている場合、前記ノズル管の内壁に対して前記液体が架橋状態となる前記ノズル管の内径の最大値に基づいて、前記ノズル管の内径が設定されている。
本発明に係る分注方法は、
上記の分注ノズルを用いて液体の分注を行う。
本発明に係る分注装置は、
上記の分注ノズルと、
前記ノズル管の外側に付着した液体を除去する除去部と、
を備える。
本発明に係る分注ノズルの製造方法は、
液体を収容し、当該液体を吐出するノズル管を有する分注ノズルの製造方法であって、
前記液体が許容誤差量収容されている場合に、前記ノズル管の内壁に対して前記液体が架橋状態となる前記ノズル管の内径の最大値に基づいて、前記ノズル管の内径を設定する。
本発明によれば、生産性および吐出量の精密度の両方を向上させることができる。
内径が大きすぎる分注ノズルの問題点を説明する図である。 本実施の形態の分注ノズルによる液滴の吐出原理を説明する図である。 内径の大きな分注ノズルを直立状態にして液滴を上から垂らしたときの液滴の接触角および接触状態等を説明する図である。 図4Aおよび図4Bは、本実施の形態による分注ノズルを直立状態にして液滴を上から垂らしたときの液滴の接触角および接触状態等を説明する図である。 本実施の形態の分注ノズルの材料接触角と吐出口の内径との関係を示す特性グラフである。 図6Aは本実施の形態の分注ノズルの一例を示し、図6Bは、本実施の形態の分注装置の一部を示す図である。
以下、本実施の形態の分注ノズルについて、図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態の分注ノズルは、上述した種々の分注器のうち、空気置換方式の分注器のノズル部として好適に用いることができる。
本発明者らは、空気置換方式の分注ノズルの構造について鋭意研究を重ねた結果、以下のような知見を得るに至った。
まず、図1を参照して、従来の空気置換方式の分注器において内径が過度に大きいノズル管100を用いた場合の問題点について説明する。
なお、図1では分注ノズルのノズル管100における吐出口111側の一部分だけ抽出して示しており、この点は後述する図2~図4も同様である。
図1に示すように、分注対象である試薬液Sが仮に1回の吐出操作で吐出し切れずに残液となって管内に残存した場合、表面張力により、一つのまとまり(すなわち液滴)となってノズル管100の内壁101に付着する。図1では、吐出量精密度(CV値)に基づく許容誤差量以上の容量の試薬液Sが管内に残存したものと仮定する。
ここで、ノズル管100における吐出口111の内径が過度に大きい場合、図1に示すように、試薬液Sが管内の片側に寄って隙間が生じる。このため、吐出操作において出力されるエアー(図1中に矢印で示す「制御エアー」)は、残存する試薬液S(液滴)を押し出し切れずに通過してしまう。この結果、試薬液Sの残液が許容誤差量以上の容量でノズル管100内に留まり、目標の吐出量に対する実際の吐出量の誤差が大きくなり、分注精度が悪くなる問題があった。
このため、従来の技術では、ノズル管100内の試薬液Sを可能な限り吐出して目標の吐出量に対する実際の吐出量の誤差を抑えるため、例えば吐出量精密度(CV値)を±5%以内の誤差に抑えるために、ノズル管100の内径、特に吐出口111の内径を非常に狭くしていた。これは、「ノズルの先端(すなわち吐出口111の内径)が細ければ細いほど、管内の液を精度良く出し切れる」との知見に基づくものと考えられる。
他方、ノズル管100の内径を小さくするほど、管(流路)の抵抗が大きくなり流速が上がらなくなるため、液体の吸引および吐出に時間がかかり、生産性(生産タクト)およびノズル加工性(加工コスト)が悪くなる、という問題がある。
これに対して、本発明者らは、従来の技術ではノズル管100(吐出口111)の内径を必要以上に小さくしているのではないかとの疑念を抱くに至った。そして、本発明者らは、ノズル管100の内径、使用する試薬液S、ノズル管100の内壁101の材料、等を種々に変えて分注の実験を繰り返し行った結果、かかる疑念が正しいこと、すなわち、分注精度を落とすことなくノズル管100ないし吐出口111の内径をより大きくする余地があることを見出した。
図2に、空気置換方式の分注器において適正な内径を有するノズル管100を用いた場合の試薬液Sの状態等について示す。図1と同様に、図2でも吐出量精密度(CV値)に基づく許容誤差量以上の容量の試薬液Sが管内に残存したものと仮定して説明する。
ノズル管100の内径が適正である場合(あるいは従来技術のように内径がより小さい場合)、ノズル管100内の試薬液Sは、図2に示すように、ノズル管100の内壁101全体に均等に付着ないし接触し、この結果、ノズル管100の吐出口111(開口部)を隙間無く密閉する。
そして、このような密閉状態であれば、制御エアー(図2中の矢印参照)により吐出口111を密閉している試薬液S(液体)を押し出して、該液体の殆ど全てをノズル管100の外に吐出することにより、ノズル管100内の残液の発生ひいては分注精度の誤差を大幅に抑制できることが分かった。以下、説明の便宜のため、ノズル管100内の試薬液S(液体)によって当該ノズル管の吐出口111が密閉されている状態を、「架橋」状態と称する。
上述のように、従来技術では、分注精度の誤差の抑制のため、すなわちノズル管100内に残液をできるだけ発生させないようにするために、必要以上に小さい内径(口径)のものを製造ないし選定していた。このため、分注操作時における試薬液Sの吸引および吐出に時間がかかり、生産性(生産タクト)の点で改良の余地があり、さらには内径が小さいものほど加工が難しくなるため、加工性(加工コスト)の点でも改良の余地があった。
かかる状況から、本発明者らは、生産性(生産タクト)および加工性(加工コスト)の向上を図るためには、上述した架橋状態を保持することができる最大限の内径の分注ノズルを設計、選定、ないし製造することが重要であるとの知見を得るに至った。
さらに、本発明者らは、ノズル管100の内径、使用する試薬液S、ノズル管100の内壁101の材料、等を種々に変えて分注の実験を繰り返し行った結果、以下のような知見を得た。すなわち、本発明者らは、上述した架橋状態を保持するためには、内壁101の材料(濡れ性ないし撥液性)によって定まる接触角(以下、「材料接触角」という)に着目すべきとの知見を得た。さらには、かかる材料接触角と、架橋状態を保持できる吐出口111の内径の最大値との関係を近似式で表すことができること、かかる近似式は、所定粘度以下の液体では、粘度に係わらず適用できること、等を見出した。
上述した種々の知見のうち、まず、「材料接触角」について説明する。図3は、内径0.7mmのステンレス(SUS304)製のノズル管(円筒管)100を直立状態として、1μLの純水をかかるノズル管100の内壁に付着させた場合をシミュレートした理論試算図である。
なお、現在、円筒管の内壁に付着した微小量の液体(液滴)の形状等を正確に測定するための標準的な測定方法(国際的な規格等)は確立されていない。このため、本実施の形態では、ノズル管の内壁の材料と同一材料の平板を水平に設置し、かかる平板上に液体を垂らした場合の該液体の平面接触角(理論値)を材料接触角の値として使用する。
また、本実施の形態では、上記の平板上に液体を垂らした場合に該液体が平板に接触する幅を、直立状態の円筒管の内壁に付着した液滴の上下方向の幅(上下幅D)と仮定する。さらに、本実施の形態では、上記の平板上に液体を垂らした場合に該液体が平板から盛り上がる高さを、直立状態の円筒管の内壁に付着した液滴の左右方向幅Hと仮定する。
図3の例では、ステンレス(SUS304)製の平板上に1μLの純水を垂らしたときの平面接触角=60°となり、かかる60°の値を、同一材料の直立状態の円筒管の内壁に付着した純水の材料接触角の値(いわば暫定値)とする。この場合、内壁に接触する液滴の上下幅Dは2.30mmとなる。また、この場合、液滴の左右方向幅H(以下、説明の便宜上、かかる幅Hを「接触角高さ」という。)が内径Y(すなわち0.7mm)に僅かに満たないため、架橋状態を作り出すことができないものと考えられる。
図4Aは、図3の場合と同一材料(すなわちSUS304製)かつ内径を0.6mmに小さくしたノズル管を直立状態として、図3と同様に1μLの純水を垂らした場合をシミュレートした図である。この場合、内壁に接触する液滴の上下方向幅Dおよび接触角は変わらず、他方、接触角高さHが内径Y(0.6mm)を超えるため、当該液滴の表面張力の作用もあいまって、架橋状態(図2参照)を作り出すことができるものと考えられる。
図4Bは、図3の場合と異なる材料(PTFE製)かつ内径0.9mmに大きくしたノズル管を直立状態として、同様に1μLの純水を垂らした場合をシミュレートした図である。この場合、内壁に接触する液滴の接触角が110°と大きな値となり、上下方向幅Dが1.30mmに減少する。この結果、接触角高さHが内径Y(0.9mm)を超えるため、架橋状態(図2参照)を作り出すことができるものと考えられる。
なお、直立状態の円筒管の内壁に液滴が付着した場合、当該液滴は、重力の作用により、図3や図4AおよびBに示すような整った形状から幾分歪むことが予想され、このため、上述した各値は若干の誤差が含まれ得る。また、ノズル管の実際の使用の際には、直立以外の状態、例えば傾けた状態や水平状態で使用されることもあり得る。したがって、架橋状態を保持できる吐出口111の内径の最大値(上限ないし臨界値)をより正確に求めるためには、後述のように、架橋状態を得られるか否かを実際に測定して確認することが望ましい。
また、図3および図4Aおよび図4Bに示す例は、制御エアー出力中のノズル開口(吐出口111)の付近に、分注(吐出)に要求される精密度(以下、要求精密度という)を満たさない、すなわち許容限度の誤差量よりも多い容量(この場合は1μL)の残液が発生した場合を仮定している。他方、選定される吐出口111の内径、ひいては架橋状態を作れるか否かの直接の指標となる接触角高さHの値は、かかる残液の容量によって異なってくる。
具体的には、例えば分注器に設定された分注量(すなわち吸引および吐出量)が10μLであり、要求精密度(CV値)が±5%以内である場合、残液の容量が0.5μL以上あれば、要求精密度を満たさなくなる。この場合、図3で説明した内径0.7mmの分注ノズルでは、1μLの残液では架橋状態を作れない可能性が高く、要求精密度をクリアしないために使用できないことになる。
他方、要求される精密度が上記と同様に±5%以内であり、分注器に設定された分注量が例えば100μL(すなわち上記例の10倍)である場合、残液の容量が5μLに満たなければ、要求精密度を満たすことになる。この場合、図3で説明した内径0.7mmの分注ノズルでも使用し得る、すなわち残液の容量が許容値(ここでは5μL)未満になる程度には架橋状態を維持できるものと考えられる。
このように、設計ないし選定される分注ノズルの内径の最大値は、要求精密度や許容される残液の容量等に応じて変わり得る相対的な値であることが分かる。
また、上述のように架橋状態を作れる内径のノズル管100であっても、ノズル管100ひいては分注ノズル内部の残液を完全にゼロにすることは非常に困難である。加えて、ノズル管100の材質や制御エアーの流速等の環境によっては、ノズル管100の外側(外壁)に吐出液が残る、すなわち吐出口111から外面側に這い上がる現象が発生する場合がある(特許文献1参照)。したがって、このような残液を考慮して口径を設計ないし選定する必要がある。
上記のような理論値の算出および実際に行った試験に基づいて導出された特性表を図5に示す。図5は、本実施の形態の分注ノズル(ノズル管100の内壁101)の材料接触角と吐出口111の内径との関係を示す特性グラフである。かかるグラフでは、横軸(X軸)に上述した材料接触角を示し、縦軸に分注ノズルの吐出口111の内径を示している。
図5に示すような特性(近似曲線)さらには近似式を発見するために、本発明者らは以下のような手順で試験を行った。
手順1:上述のように、実験で使用する分注器のノズル管100(内壁101)の材料と同じ材料の平板に使用試薬を1滴垂らして接触角を測定した。
手順2:分注器に取り付ける分注ノズルの吐出口111の内径を徐々に大きくして、使用試薬を繰り返し分注し、上述した架橋状態が維持される内径の最大値(以下、「限界点」と称する。)を調べる試験を行った。ここでは、設定された分注器の吐出量に対する吐出精密度(CV値)を満たし且つ再現性が認められる限界点を1点測定した。
詳細には、まず、分注ノズルの材料をSUS304とし、使用試薬として純水を使用した。この結果、手順1では60°の接触角が測定された。また、手順2では、分注器の吐出量を20μLに設定し、かかる吐出量の誤差が吐出精密度(CV値)1.25%を満たす値(すなわち20×0.0125=0.25μLの誤差以下)が得られる限界点を調べた。この結果、架橋状態が維持される内径の最大値は0.65mmであることが分かった。
また、本発明者らは、分注ノズルの材料をPTFE製とし、他の条件は上述と同様にして手順1および2の試験を行った。この結果、手順1では110°の接触角が測定され、手順2では、架橋状態が維持される内径の最大値は0.93mmであることが分かった。
さらに、本発明者らは、分注ノズルの材料として使用され得る他の幾つかの材料の理論上の接触角(材料接触角)に基づいて、図4Aや図4Bと同様の作図や値Dおよび値Hの算出を行い、液滴の接触角高さ(H)が対向する内壁(101)に達する内径を、各々算出した。
以上のようにして算出した分注ノズルの内径の最大値の各値を、図5中にプロットして示す。また、各プロット値に基づいて算出した近似曲線を図5中の破線で示す。
図5中、斜線のハッチングで示す領域は、架橋状態(図2参照)が得られる領域を示す。例えば、材料接触角が60°の場合、上述したように、分注ノズルの内径が0.7mmの場合には架橋状態が得られず(図3参照)、内径が0.6mmの場合には架橋状態が得られる(図4A参照)ことが、このグラフからも分かる。また、内径をさらに小さくした場合でも架橋状態は得られるが、従来と同様に内径を過度に小さくすると、液体の吸引および吐出に時間がかかり、生産性(生産タクト)およびノズル加工性(加工コスト)が悪くなる、という問題が生じる。したがって、生産性およびノズル加工性を向上させる観点からは、分注ノズルの内径は、図5中の破線で示す値とする。あるいは若干の余裕をもたせるために、分注ノズルの内径は、図5中の破線で示す値よりも僅かに低い値にする(例えば材料接触角が60°の場合、内径を0.60mmにする、など)。
総じて、本実施の形態の分注ノズルは、液体が収容されている場合、ノズル管100の内壁101に対して当該液体が架橋状態となるように、内壁101に対する液体の接触角に基づいて、ノズル管100の内径が設定されるものである。
より具体的には、本実施の形態の分注ノズルの内径は、吐出量精密度(CV値)に基づく許容誤差量以上の容量の液体が内壁101に付着した場合の接触角と、当該液体の当該容量と、から導出される該液体の接触角高さ(H)に基づいて設定される。かかる構成により、液体の吐出操作時に、ノズル管100内の液体が許容誤差量未満の容量になるまでは、架橋状態が維持される(すなわちノズル管100の吐出口111が該液体によって密閉される状態が続く)ことができる。
そして、本実施の形態では、ノズル管100ひいては吐出口111の内径を上述した接触角高さ(H)と同一または若干狭く設定することにより、生産性および吐出量の精密度の両方を向上させることができる。
なお、図5からも分かるように、本実施の形態による分注ノズルは、材料接触角が大きくなるほど、架橋状態が得られる吐出口111の内径を大きくすることができる。したがって、生産性(生産タクト)およびノズル加工性(加工コスト)を向上させる観点からは、できるだけ材料接触角が大きくなる材料を用いて架橋状態が得られる内径値をできるだけ大きく確保することが望ましい。
上述のように、図5に示すグラフは、試薬液Sとして純水(粘度=1cP)を使用して実験した結果を示している。さらに、本発明者が試薬液Sの種類を変えて実験を行った結果、少なくとも本発明者らが実験した範囲の試薬液(粘度が0.5cP~5cPの範囲)では、図5に示す特性とほぼ同様の特性が得られることが分かった。ここで、図5に破線で示す特性線、すなわち、材料接触角X[°]の場合に架橋状態が得られる吐出口の内径(mm)の最大値Yは、以下の近似式(式(1))で表すことができる。

Y=0.0593X0.5778 ・・・(式(1))
かくして、上記の特性表および近似式は、液体試料(試薬液)の粘度が0.5cP~5cPの範囲であり、吐出量の誤差(ないし1回の吐出操作でノズル管100内に残る液体の量)を0.25μL以下にしたい場合に、有効に使用できる。近年の生化学等の分野では、液体試料(試薬液)の粘度が概ね0.5cP~5cPの範囲であり、1回の吐出操作で吐出される液量は概ね10μL~100μLであり、吐出量精密度(CV値)を±5%以内にすることが求められている。上記の特性表および近似式は、吐出量精密度(CV)1.25%を満足するためのものであり、上述の生化学の分野を含め、種々の分野で有効に使用することができる。
他方、より厳密な値が要求されるようなケースでは、分注に使用する液体の種類毎に、材料接触角と吐出口内径(架橋状態が維持される最大径)との関係を予め実験により求めておき、より厳密な特性表や近似式を作成しておくことが好ましい。
図6Aおよび図6Bは、本実施の形態のノズル管100を備えた分注ノズル1の一例を説明する図である。上述のように、本実施の形態の構成によれば、1回の分注(吐出操作)でノズル管100の内壁101に残る液体の量を最小化することができる。他方、ノズル管100の材質や制御エアーの強さ等によっては、図6Aに示すように、分注操作により吐出された試薬液Sがノズル管100の外壁に残液Sとして残る(吐出口111から外面側に這い上がる)場合があり、かかる残液Sについては、別の手段により除去または分注対象として分離させる必要がある。
そこで、本実施の形態では、吐出口111の周囲に下降流が加えられる専用の冶具20(「除去部」に対応する。)を用意し、かかる下降流によって、ノズル管100の外壁に付着した残液Sを除去すなわち下方剥離させる。
図6Bに示すように、治具20は、分注ノズル1の外形に対応した形状の通路21が形成されている。かかる通路21は、治具20の上下方向に貫通するとともに、剥離用エアーAを導入するための開口22が設けられている。また、通路21のうち、分注ノズル1のノズル管100が挿入される部位は、ノズル管100の外径よりも大きな径を有している。
一具体例では、図6Bに示すように、分注ノズル1を、その上側の部位が治具20の通路21に突き当たるまで通路21内に挿入し、開口22から剥離用エアーAを吹き付けて、かかる剥離用エアーAを通路21内に導入する。このとき、通路21の上方の流路は分注ノズル1で塞がれていることから、開口22から導入された剥離用エアーAは、通路21内の下方に向かって流れ、ノズル管100の外壁に付着した残液Sを押し出して落下させる。
図6Aおよび図6Bに示す例では、分注(吐出操作)後に発生した残液Sを廃棄する場合を説明した。他方、かかる残液Sを分注(吐出)対象として使用する場合には、吐出操作に先立って分注ノズル1を治具20の通路21に挿入し(図6B参照)、吐出操作(すなわち上述した制御エアーの出力)の際に、併せて剥離用エアーAを開口22から吹き付ければよい。
以上、詳細に説明したように、本実施の形態によれば、生産性および吐出量の高精密度の両方を向上させることができる。
上述した実施の形態では、吐出口111の内径と内壁101の内径が同一である円筒管状のノズル管100を備えた分注ノズルの例について説明した。他方、ノズル管100は、吐出口111から上部の内壁101の内径が広くなる円錐管状の形状を有するものであってもよい。
その他、上記実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
本発明は、上述のように、分注器を用いて液体試料の分注を行う種々の分野で適用できるが、特に、生化学や、遺伝子などを扱うバイオテクノロジーの領域で扱われる分注器(マイクロピペット)の先端部(ピペットチップ)として好適に適用できる。
また、本発明は、ロボット等により分注ノズル1の選出を自動で行うシステム(例えば産業用の分注システム)において、図5で説明したような材料接触角と吐出口内径(最大径)との関係や近似式を規定したテーブルをメモリーに格納しておき、上記ロボット等により最適な内径の分注ノズルを選出する構成とすることができる。
1 分注ノズル
100 ノズル管
101 内壁
111 吐出口
20 治具(除去部)
21 通路
22 開口
S 試薬液
試薬液の残液
D 液滴の上下幅
H 液滴の接触角高さ
Y ノズル管の内径
A 剥離用エアー

Claims (15)

  1. 液体を収容し、当該液体を吐出するノズル管を有する分注ノズルであって、
    前記液体が許容誤差量収容されている場合、前記ノズル管の内壁に対して前記液体が架橋状態となる前記ノズル管の内径の最大値に基づいて、前記ノズル管の内径が設定されている、
    分注ノズル。
  2. 前記内径が下記式(1)を満たす、
    請求項1に記載の分注ノズル。
    Y≦0.0593X0.5778 ・・・(式(1))
    但し、Yはノズル管の内径、Xはノズル管の内壁に対する液体の接触角
  3. 前記液体の吐出操作時に、前記ノズル管内の前記液体が前記許容誤差量未満の容量になるまでは、前記架橋状態が維持されている、
    請求項1または2に記載の分注ノズル。
  4. 前記内径は、前記許容誤差量以上の容量の前記液体が前記内壁に付着した場合における前記内壁に対する前記液体の接触角と、当該液体の当該容量と、から導出される該液体の接触角高さに基づいて設定されている、
    請求項1から3のいずれかに記載の分注ノズル。
  5. 前記許容誤差量は、1回の吐出操作で吐出される液量の5%以下である、
    請求項1から4のいずれかに記載の分注ノズル。
  6. 1回の吐出操作で吐出される液量が10μL~100μLである、
    請求項1から5のいずれかに記載の分注ノズル。
  7. 前記液体の粘度が5cP以下である、
    請求項1から6のいずれかに記載の分注ノズル。
  8. 前記内径は、前記ノズル管の吐出口の内径である、
    請求項1から7のいずれかに記載の分注ノズル。
  9. 請求項1から8のいずれかに記載の分注ノズルを用いて液体の分注を行う、
    分注方法。
  10. 請求項1から8のいずれかに記載の分注ノズルと、
    前記ノズル管の外側に付着した液体を除去する除去部と、
    を備える分注装置。
  11. 液体を収容し、当該液体を吐出するノズル管を有する分注ノズルの製造方法であって、
    前記液体が許容誤差量収容されている場合に、前記ノズル管の内壁に対して前記液体が架橋状態となる前記ノズル管の内径の最大値に基づいて、前記ノズル管の内径を設定する、
    分注ノズルの製造方法。
  12. 前記許容誤差量は、1回の吐出操作で吐出される液量の5%以下である、
    請求項11に記載の分注ノズルの製造方法。
  13. 1回の吐出操作で吐出される液量が10μL~100μLである、
    請求項11または12に記載の分注ノズルの製造方法。
  14. 前記液体の粘度が5cP以下である、
    請求項11から13のいずれかに記載の分注ノズルの製造方法。
  15. 前記内径は、前記ノズル管の吐出口の内径である、
    請求項11から14のいずれかに記載の分注ノズルの製造方法。
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