JP7080437B2 - 連続抽出・乾燥装置 - Google Patents

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Description

本発明は、連続抽出・乾燥装置に関し、より詳しくは、様々な種類の植物原料(以下、単に原料とも称する)を連続且つ大量に処理することが可能な、汎用性の高い連続抽出・乾燥装置に関する。
従来から、農作物の残渣や木材等からなる原料を有効利用しようとする試みが数多くなされており、その一例として原料から精油等の抽出成分を抽出する方法が実施されている。
近年マイクロ波を利用して様々な原料から水分を除去するあるいは精油等の抽出成分を抽出する装置が提案されている。
例えば、特許文献1には、原料を連続的に大量に処理することが可能であるマイクロ波を利用した原料再資源化装置(101)が記載されている(図4参照)。
より具体的には、原料を投入するための投入口(102)と原料を排出するための排出口(103)を有する処理タンク(104)と、マイクロ波を発生するマイクロ波発生機(105)と、マイクロ波発生機により発生したマイクロ波を処理タンク内に導く導波管(106)と、マイクロ波による加熱により処理タンクから蒸発した原料の蒸気を冷却凝縮する冷却凝縮器(107)と、冷却凝縮器により凝縮された液体を回収する回収タンク(108)と、導波管(106)と処理タンク(104)外周面との接続部にマイクロ波を透過するマイクロ波透過材を備えており、処理タンクは、処理タンク内に投入した原料を投入口(102)側から排出口(103)側へ搬送するスクリューコンベア(108)を有し、マイクロ波透過材の接続位置は、処理タンク(104)本体内の原料の充填部に位置することを特徴とするマイクロ波を利用した再資源化装置(101)が記載されている。
特許第5899604号
特許文献1の再資源化装置は、連続的に大量の原料を処理するために、処理タンク内にスクリューコンベアを有し、これにより処理タンク内に投入される原料を投入口側から排出口側へ搬送することができる構成としている。
しかしながら、このようなスクリューコンベヤ方式では、スクリューコンベヤに繊維が絡みついて搬送が困難な繊維質の多い植物原料や、処理タンク排出弁に付着して排出弁の開閉動作に支障をきたし故障を招く虞のある珈琲豆等の硬くて水分量が少ない植物原料の処理はできず、処理できる原料の種類が限られていた。
それゆえに、従来の再資源化装置よりも、処理できる原料の種類が多い、汎用性の優れた装置が求められている。
本発明は、上記した従来技術の課題点を解決すべくなされたものであって、様々な種類の植物原料を連続且つ大量に処理することが可能な、特に液体であっても抽出または濃縮が可能な、汎用性の高い連続抽出・乾燥装置を提供するものである。
請求項1に係る発明は、原料の投入口と排出口とを有する処理タンクと、
前記処理タンク内にマイクロ波を照射するマイクロ波照射部と、
前記マイクロ波による加熱により前記処理タンクから蒸発した前記原料の抽出成分を含む蒸気を冷却凝縮する冷却凝縮器と、
前記冷却凝縮器により凝縮された抽出成分を回収する回収タンクと、
前記処理タンク内を減圧にするための減圧手段とを備え、
前記処理タンクは、前記投入口から前記処理タンク内を通って前記排出口に前記原料を搬送するためのローラーコンベヤまたはコンベヤレールである搬送手段と、
前記搬送手段上で、前記原料を搬送するための容器とを備え、
前記原料は、液状物であり、前記容器に収容された状態で、前記搬送手段上を搬送されることを特徴とする、連続抽出・乾燥装置に関する。
請求項に係る発明は、前記処理タンクは、前記投入口と前記処理タンクを連結する投入経路を有し、前記投入経路内の上流と下流にそれぞれ開閉式の第一シャッターおよび第二シャッターを配し、前記第一シャッターと前記第二シャッターの間に投入側予備室を備え、
前記処理タンクは、前記排出口と前記処理タンクとを連結する排出経路を有し、前記排出経路内の上流と下流にそれぞれ開閉式の第三シャッターと第四シャッターを配し、前記第三シャッターと前記第四シャッターの間に排出側予備室を備えていることを特徴とする請求項1に記載の装置に関する。
請求項に係る発明は、前記マイクロ波照射部は、
マイクロ波を発生するマイクロ波発生機と、
前記マイクロ波発生機により発生したマイクロ波を前記処理タンク内に導く導波管と、
前記導波管と前記処理タンク外周面との接続部にマイクロ波を透過するマイクロ波透過材とを備えていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置に関する。
請求項に係る発明は、前記マイクロ波透過材は、前記処理タンクの内面側の表面形状が前記処理タンクの内面と凹凸なく接続する平面または曲面をなし、且つ前記処理タンクの内面から外面に向かうにつれて大となる形状をなしており、
前記導波管は、前記処理タンクと接続される端部にフランジを有し、
前記マイクロ波透過材は、前記処理タンクの外面側において前記フランジに当接していることを特徴とする、請求項に記載の装置に関する。
請求項に係る発明は、前記マイクロ波発生機は、前記原料の搬送方向の上流側においてマイクロ波を連続照射し、下流側においてマイクロ波をパルス照射することを特徴とする、請求項3または4に記載の装置に関する。
請求項1に係る発明によれば、連続抽出・乾燥装置が、原料の投入口と排出口とを有する処理タンクと、前記処理タンク内にマイクロ波を照射するマイクロ波照射部と、前記マイクロ波による加熱により前記処理タンクから蒸発した前記原料の抽出成分を含む蒸気を冷却凝縮する冷却凝縮器と、前記冷却凝縮器により凝縮された抽出成分を回収する回収タンクと、前記処理タンク内を減圧にするための減圧手段とを備え、前記処理タンクは、前記投入口から前記処理タンク内を通って前記排出口に前記原料を搬送するためのローラーコンベヤまたはコンベヤレールである搬送手段と、前記搬送手段上で、前記原料を搬送するための容器とを備え、前記原料は、液状物であり、前記容器に収容された状態で、前記搬送手段上を搬送されることを特徴とすることから、より容易に容器に収容された原料を容器ごと搬送することができ、原料が容器に収容された状態でタンク内においてマイクロ波照射を受けて処理されるため、固体の原料であっても液体の原料であっても処理することができ、原料の特性に関わらず、あらゆる原料を処理することができる。
加えて、容器に収容した状態で原料を処理するため、原料の原型を崩さずに原料を処理することができる。
また、この原料からの蒸気を冷却凝縮器に集めて冷却し、得られた精油等の抽出成分を回収タンクに回収することができる。
さらに、減圧下での原料の処理を可能にし、高温による原料成分の劣化・変質を防止することができる。
請求項に係る発明によれば、処理タンクは、投入口と前記処理タンクを連結する投入経路を有し、投入経路内の上流と下流にそれぞれ開閉式の第一シャッターおよび第二シャッターを配し、第一シャッターと第二シャッターの間に投入側予備室を備え、処理タンクは、排出口と処理タンクとを連結する排出経路を有し、排出経路内の上流と下流にそれぞれ開閉式の第三シャッターと第四シャッターを配し、第三シャッターと第四シャッターの間に排出側予備室を備えているため、投入経路および排出経路にそれぞれ2つずつシャッターを設けて2つのシャッター間に投入側予備室と排出側予備室を備えることにより、原料の投入時および排出時における処理タンク内への大気の流入を防ぐことができる。そのため、処理タンク内を一定の真空度に保持しつつ、原料を連続的に処理することができる。
請求項に係る発明によれば、マイクロ波照射部は、マイクロ波を発生するマイクロ波発生機と、マイクロ波発生機により発生したマイクロ波を処理タンク内に導く導波管と、導波管と処理タンク外周面との接続部にマイクロ波を透過するマイクロ波透過材とを備えているため、マイクロ波が原料の表面で反射されることなく、マイクロ波発生機により発生したエネルギーすべてを効率よく原料の加熱に利用することができる。したがって、高いエネルギー効率で原料から成分を抽出することができる。
請求項に係る発明によれば、マイクロ波透過材は、処理タンクの内面側の表面形状が処理タンクの内面と凹凸なく接続する平面または曲面をなし、且つ処理タンクの内面から外面に向かうにつれて大となる形状をなしており、導波管は、処理タンクと接続される端部にフランジを有し、マイクロ波透過材は、処理タンクの外面側においてフランジに当接しているため、タンク内の凹凸を無くし、処理タンク内の空間を広くできるとともに、高い洗浄性を実現することができる。
また、マイクロ波透過材が処理タンクの内面から外面に向かうにつれて大となる形状をなし、且つ導波管が処理タンクと接続される端部にフランジを有し、マイクロ波透過材が処理タンクの外面側においてフランジに当接しており、導波管とマイクロ波透過材を、フランジを介して接続することで、マイクロ波を効率よく原料へ照射するためのアンテナとしての機能、導波管への原料の浸入防止と、減圧時の気密窓としての機能を併せ持つことができる。
請求項に係る発明によれば、マイクロ波発生機は、前記原料の搬送方向の上流側においてマイクロ波を連続照射し、下流側においてマイクロ波をパルス照射するため、含水率の低い下流側(排出側)の原料に対してマイクロ波をパルス照射することができるため、原料の焦げ付きおよび抽出成分の品質低下を防ぎながら、原料を乾燥させることができる。
本発明に係る連続抽出・乾燥装置の全体構成図である。 本発明に係る連続抽出・乾燥装置の処理タンクに接続されたマイクロ波透過材、導波管、フランジおよびマイクロ波発生機の(A)一部縦断面図および(B)一部横断面図である。 本発明に係る連続抽出・乾燥装置の導波管とマイクロ波発生機の間に配されたマイクロ波切り替え機の一例を示す図である。 特許文献1に記載の原料再資源化装置の全体構成図である。
以下、本発明に係る連続抽出・乾燥装置の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明の技術的範囲がこれらの記載によって制限されるべきものではない。
図1は、本発明に係る連続抽出・乾燥装置の全体構成図である。
本発明に係る連続抽出・乾燥装置(1)は、原料(M)の投入口(2)と排出口(3)とを有する処理タンク(4)と、処理タンク(4)内にマイクロ波を照射するマイクロ波照射部(5)と、マイクロ波による加熱により処理タンク(4)から蒸発した原料(M)の抽出成分を含む蒸気を冷却凝縮する冷却凝縮器(6)と、冷却凝縮器(6)により凝縮された抽出成分を回収する回収タンク(7)と、処理タンク(4)内を減圧にするための減圧手段(8)とを備え、処理タンク(4)は、投入口(2)から処理タンク(4)内を通って排出口(3)に原料(M)を搬送するための搬送手段(9)と、搬送手段(9)上で、原料(M)を搬送するための容器(10)とを備えており、原料(M)は、容器(10)に収容された状態で、搬送手段(9)上を搬送される。
本発明における植物原料としては、例えば、柑橘類の果皮、杉、ヒノキ、木の実、珈琲豆、薬草、海藻等の植物原料が挙げられるが、これらに限定されない。
これらの原料は、単独もしくは抽出溶媒と共に容器(10)に収容され、処理タンク(4)に投入される。
抽出溶媒としては、原料の種類に応じて適当に選択すれば良く特に限定されないが、例えば水、メタノールやエタノール等のアルコール類、エーテル類、ヘキサン、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン等を例示することができる。一般に、マイクロ波抽出の場合は抽出能力に優れており、原料単独で抽出可能な例が多いが、抽出溶媒を用いる場合は水が安全且つ安価であるために好適に用いられる。
処理タンク(4)は、その内部で原料を処理するためのものであって、形状は直方体等が挙げられるが、特に限定されない。
処理タンク(4)は、長さ方向の一端(上流端)に原料(M)の投入口(2)を有し、他端(下流端)に原料(M)の排出口(3)を有している。
処理タンク(4)の内部には、原料(M)が収納された容器(10)を投入口(2)側から排出口(3)側へ搬送する搬送手段(9)が設けられている。
搬送手段(9)としては、原料(M)が収納された容器(10)を、投入口(2)側から排出口(3)側へ搬送することができるものであればいかなるものでも用いることができる。
たとえば、搬送手段(9)として、具体的には、原料(M)が収納された容器(10)を載せて、または吊り下げて搬送できるコンベヤ等が挙げられる。
搬送手段(9)として用いるコンベアは、ローラーコンベヤまたはコンベヤレールであることが望ましい。
搬送手段(9)として、ローラーコンベヤまたはコンベヤレールを用いることにより、原料(M)を収容した容器(10)を大量且つ安定に搬送することができる。
また、搬送手段(9)として、コンベヤレールを用いることにより、レールの下方からマイクロ波を照射して、容器(10)の底側からも効果的にマイクロ波を照射することができる。
なお、搬送手段(9)は、自走式でなくても良い。例えば、レールやローラを設置して、原料(M)の収容された容器(10)を、押出シリンダー等の押出手段(図示せず)で押しながら搬送しても良い。
処理タンク(4)の上部、側部および/または底部には、処理タンク(4)内にマイクロ波を照射するマイクロ波照射部(5)が設けられている。
マイクロ波照射部(5)の構成は特に限定されず、処理タンク(4)内にマイクロ波を照射することができるものであればいかなるものでも用いることができる。
上記の通り、マイクロ波照射部(5)の構成は限定されないが、たとえば、マイクロ波照射部(5)は、マイクロ波を発生するマイクロ波発生機(51)と、マイクロ波発生機(51)により発生したマイクロ波を処理タンク(4)内に導く導波管(52)と、導波管(52)と処理タンク(4)外周面との接続部にマイクロ波を透過するマイクロ波透過材(53)とを備えている。
また、原料(M)の焦げ付きを防ぐため、原料(M)の搬送方向の上流側に設置されている連続照射用マイクロ波発生機(51)によりマイクロ波を連続照射し、下流側に設置されているパルス照射用マイクロ波発生機(51)によりマイクロ波をパルス照射することが好ましい。
含水率の低い排出側の原料(M)に対してマイクロ波をパルス照射することで、原料(M)の焦げ付きおよび精油の品質低下を防ぎながら、原料(M)を乾燥させることができる。
なお、原料(M)の種類や状態に応じて連続照射用マイクロ波発生機(51)とパルス照射用マイクロ波発生機(51)の配置は適宜変更することができる。
マイクロ波発生機(51)の数は、連続照射用マイクロ波発生機(51)とパルス照射用マイクロ波発生機(51)をそれぞれ1台でも良いが、処理タンク(4)内の原料(M)に対して均等にマイクロ波を照射できるよう、それぞれ複数台設置するのが好ましい。
マイクロ波発生機(51)としてはマグネトロンが好適に使用されるが、原料(M)の種類に応じてジャイロトロン、クライストロン、進行波管等の電子管を利用した発振機、水晶振動子等の固有振動を増幅するソリッドステート式発振機等のその他の公知のマイクロ波発生機を使用することも可能である。
図2は、処理タンク(4)に接続されたマイクロ波透過材(53)、導波管(52)、フランジ(54)およびマイクロ波発生機(51)の(A)一部縦断面図および(B)一部横断面図である。
図2(A)に示す如く、マイクロ波透過材(53)は導波管(52)と処理タンク(4)外周面との接続部に配置されており、マイクロ波透過材(53)、フランジ(54)、導波管(52)、マイクロ波発生機(51)の順に処理タンク(4)に接続されている。
図2(B)に示す如く、マイクロ波透過材(53)の処理タンク(4)内面側の表面形状が処理タンク(4)の内面と凹凸なく接続する平面または曲面をなし、且つ処理タンク(4)の内面から外面に向かうにつれて大となる形状をなしている。
導波管(52)は処理タンク(4)と接続される端部にフランジ(54)を有する。
また、マイクロ波透過材(53)は処理タンク(4)の外面側においてフランジ(54)に当接している。
図2(B)に示す如く、マイクロ波透過材(53)と導波管(52)はフランジ(54)を介して接続される。
図3は、発明に係る連続抽出・乾燥装置の導波管とマイクロ波発生機の間に配されたマイクロ波切り替え機の一例を示す図である。
図3に示す如く、パルス照射用マイクロ波発生機(51)は、マイクロ波の照射位置を切り替えるためのマイクロ波切り替え機(55)を導波管(52)とマイクロ波発生機(51)の間に配することで、パルス照射を行うように構成されていることが望ましい。
これにより、パルス照射用マイクロ波発生機(51)の電源をオンオフしてパルス照射を行った場合と比較して、パルス照射用マイクロ波発生機(51)が持つ出力を有効活用でき、且つパルス照射用マイクロ波発生機(51)に大きな負荷を与えずにパルス照射を行うことができる。
より具体的には、図3に示す如く、導波管(52)は、一体としてまたは別体として二つに枝分かれしていても、それより多く枝分かれしているものであっても良い。
このように枝分かれした導波管(52)とマイクロ波発生機(51)の間にマイクロ波切り替え機(55)は配される。
導波管(52)が枝分かれしているため、一台のマイクロ波発生機につき複数の照射口へマイクロ波を照射するので、マイクロ波発生機の電源をオンオフしてパルス照射を行った場合と比較して、必要なマイクロ波発生機の台数が少なくてすむ。
マイクロ波切り替え機(55)によってマイクロ波発生機(51)から発せられるマイクロ波は、導波管(52)のいずれかの枝に照射される。
その後、ある一定の時間が経過したらマイクロ波切り替え機(55)によってマイクロ波の照射位置が切り替えられ、別の枝にマイクロ波が照射される。
この動作を繰り返すことでマイクロ波発生機の電源を入れたり切ったりしなくても、マイクロ波のパルス照射を実現できる。
このようにマイクロ波切り替え機(55)を備えることで、マイクロ波発生機(51)が持つ出力を有効活用でき、且つマイクロ波発生機を連続運転状態にしたまま、電源の入/切操作を繰り返しているのと同様にパルス照射を、マイクロ波発生機(51)に大きな負荷をかけずに実現できる。
また、公知のマイクロ波切り替え機として、機械的機構を用いたものがある。具体的にはロータリースイッチ等が挙げられる。
マイクロ波発生機(51)は冷却ファン(図示せず)を備えており、冷却ファンからの温風を排気ダクト(図示せず)によって集めることができ、その温風によって排出口(3)から排出された原料をさらに乾燥させることができるように構成されていても良い。
排気ダクトの材質としてはいずれのものであっても良く、木材、金属、合成樹脂又はそれらの組み合わせを使用しても良いが、耐熱性を有する材質であることが望ましい。
処理タンク(4)の上部には、マイクロ波照射により処理タンク(4)内にて加熱されて蒸発した原料中の抽出成分を含む蒸気(抽出成分含有蒸気)を処理タンク(4)外へと取り出して、冷却凝縮器(6)へと導くための通路(11)の一端部が接続されている。
通路の他端部は、冷却凝縮器(6)に接続されている。
冷却凝縮器(6)内を流れる冷媒は、一旦外部へと取り出されて冷却装置(61)により冷却されてから再び冷却凝縮器(6)に戻される。
通路(11)を通って処理タンク(4)の上方部分から冷却凝縮器(6)内に供給された抽出成分含有蒸気は、冷却装置(61)から供給される冷媒により冷却されて液化し、冷却凝縮器(6)の底部に連結された回収タンク(7)内に回収される。
冷却凝縮器(6)の冷媒として、水または不凍液を使用することができ、不凍液としてアルコールを主成分とするものを使用しても、エチレングリコール等を主成分とするものを使用しても良い。
特に限定されないが、安価であることから水が好適に冷媒として使用される。
回収タンク(7)内には、精油や香気成分等を含んだ芳香蒸留水が溜まる。
回収タンク(7)の上方部分は、第一配管(12)を介して減圧手段である真空ポンプ(81)に接続されている。
真空ポンプ(81)を駆動すると、第一配管(12)、冷却凝縮器(6)および通路(11)を介して処理タンク(4)内が減圧される。
処理タンク(4)内を減圧することで沸点が下がることを利用して、香気成分等の抽出成分の品質を損なわずに低温で抽出することができる。
処理タンク(4)の投入口(2)は、側方に向けて開口しており、投入口(2)と処理タンク(4)は投入経路(21)により連結されている。
投入経路(21)内の上流と下流にそれぞれ開閉式の第一シャッター(22)および第二シャッター(23)を配し、第一シャッター(22)と第二シャッター(23)の間に投入側予備室(24)を備えている。
処理タンク(4)の排出口(3)は側方に向けて開口しており、排出口(3)と処理タンク(4)は排出経路(31)により連結されている。
排出経路(31)内の上流と下流にそれぞれ開閉式の第三シャッター(32)および第四シャッター(33)を配し、第三シャッター(32)と第四シャッター(33)の間に排出側予備室(34)を備えている。
第一乃至第四シャッターの開閉の様式は特に限定されず、上下開閉式や、左右開閉式、観音開き等が挙げられる。
処理タンク(4)が2つのシャッターの間に挟まれた投入側予備室(24)を有することで、原料(M)が収容された容器(10)を投入する際に、まず上流側の第一シャッター(22)を開放して投入側予備室(24)に原料(M)が収容された容器(10)を供給し、第一シャッターを閉じて投入側予備室(24)内を真空とした後、第二シャッター(23)を開放して投入側予備室(24)内の原料(M)が収容された容器(10)を処理タンク(4)内に投入することにより、処理タンク(4)内へ大気が流入するのを防ぐことができる。
また、処理タンク(4)が2つのシャッターの間に挟まれた排出側予備室(34)を有することで、原料(M)が収容された容器(10)を排出する際に、まず上流側の第三シャッター(32)を開放して排出側予備室(34)に原料が収容された容器(10)を排出し、第三シャッター(32)を閉じて排出側予備室(34)を常圧とした後、第四シャッター(33)を開放して排出側予備室(34)の原料(M)が収容された容器(10)を外部に排出することにより、処理タンク(4)内へ大気が流入するのを防ぐことができる。
そのため、処理タンク(4)内を一定の真空度に保持しつつ原料を連続的に処理することができる。
したがって、固形物だけでなく、液体の原料(M)の抽出や濃縮もできる。
図1に示す如く、投入側予備室(24)は、第二配管(13)を介して、排出側予備室(34)は、第三配管(14)を介して、それぞれ第二真空ポンプ(82)に接続されている。
なお、投入側予備室(24)は第二配管を介して、排出側予備室(34)は第三配管を介してそれぞれ真空ポンプ(81)に接続されていても良い。
真空ポンプ(81)および第二真空ポンプ(82)を駆動すると、処理タンク(4)、投入側予備室(24)および排出側予備室(34)内が減圧される。
真空ポンプ(81)の出力(真空度)は、原料の種類に応じて変更することができる。
処理タンク(4)、投入側予備室(24)および排出側予備室(34)の間にそれぞれ第一配管(12)、第二配管(13)、第三配管(14)を設けた場合、処理タンク(4)内、投入側予備室(24)内および排出側予備室(34)内を1つの真空ポンプ(81)で減圧することができる。
そのため、簡易な構成で制御性に優れたものとなり、処理タンク(4)内を一定の真空度に保持しつつ原料を連続的に処理することができる。
本発明に係る連続抽出・乾燥装置(1)は、圧力を検出するため、投入側予備室(24)、排出側予備室(34)および処理タンク(4)内にそれぞれ第一圧力センサ(図示せず)、第二圧力センサ(図示せず)および第三圧力センサ(図示せず)を備えていても良い。
圧力センサは、特に限定されず、たとえば、ダイヤフラム式圧力センサを用いることができる。
また、本発明に係る連続抽出・乾燥装置(1)は、これらの圧力センサの検出結果に基づいて、真空ポンプ(81)および第二真空ポンプ(82)の駆動、第二配管(13)および第三配管(14)に配された電磁弁である大気開放弁および流路開放弁、第一シャッター(22)、第二シャッター(23)、第三シャッター(32)、第四シャッター(33)の開閉を制御する制御手段(図示せず)を有していても良い。
制御手段は、CPUおよびメモリ(RAM、ROM)等を備えたコンピュータからなる。
メモリには真空ポンプ(81)および第二真空ポンプ(82)の駆動、第二配管(13)および第三配管(14)に配された電磁弁である大気開放弁および流路開放弁、第一シャッター(22)、第二シャッター(23)、第三シャッター(32)、第四シャッター(33)の開閉を自動制御するためのプログラムが記憶されており、制御手段は当該プログラムを実行することにより上記自動制御を実現する。
処理タンク(4)は、処理タンク(4)内の温度を検出するための温度センサ(図示せず)を有していても良い。
制御手段のメモリには、搬送手段(9)およびマイクロ波発生機(51)の照射を自動制御するためのプログラムが記憶されており、制御手段は、温度センサの検出結果に基づいて、当該プログラムを実行することにより上記自動制御を実現する。
処理タンク(4)内の温度は通常、原料の含水率が高い場合は一定であり、含水率が低下すると上昇する。
処理タンク(4)内の温度が所定の温度を超える場合、制御手段は、原料の焦げ付きを防ぐための搬送手段(9)の搬送速度を上げ、処理タンク(4)内の温度を下げるためマイクロ波発生機(51)の照射を小さくするようにプログラムを実行する。
温度センサは特に限定されないが、安価で取り付けが容易という理由から熱電対、測温抵抗体等を使用するのが好ましい。
温度センサを用いて処理タンク(4)内の温度を制御することにより、温度上昇による原料の焦げ付きおよび抽出成分の品質低下を防ぎながら原料を乾燥させることができる。
投入側予備室(24)、排出側予備室(34)および処理タンク(4)には、それぞれ内部を視認するためののぞき窓(図示略)が設けられていても良い。
このようにのぞき窓を備えることで、投入側予備室(24)、排出側予備室(34)および処理タンク(4)内の原料の状態を確認することができる。
本発明に係る連続抽出・乾燥装置(1)において、前段階処理装置から投入口(2)に配置された容器(10)へ原料(M)を搬送する自動送り前処理装置(図示せず)を用いても良い。
前段階処理装置として、柑橘類等を搾汁した後、その搾汁残渣を排出する搾汁装置等が挙げられる。
以下に、自動送り前処理装置を用いて前段階処理装置から連続抽出・乾燥装置(1)の投入口(2)に配置された容器(10)に原料(M)を搬送する方法について説明する。
まず、前段階処理装置からベルトコンベア等で搬送された原料(M)は自動送り前処理装置の投入部に投入される。
ベルトコンベアでなくとも原料を搬送することができる別の機構を備えていても良く、前段階処理装置から直接投入部へ原料が投入されても良い。
投入された原料は第一自動送り装置によって粉砕機へ搬送される。
第一自動送り装置の原料を搬送する機構としてスクリューコンベア、ベルトコンベア等が挙げられるが、特に限定されない。
粉砕機によって粉砕された原料は第二自動送り装置によって投入口(2)に配置された容器(10)へ搬送される。
第二自動送り装置の原料を投入口(2)に配置された容器(10)へ搬送する機構としてモーノポンプ、スクリューコンベア等が挙げられるが、特に限定されない。
本発明に係る連続抽出・乾燥装置(1)において、原料(M)は、原料(M)を搬送するための容器(10)に収容された状態で、搬送手段(9)上を搬送される。
容器(10)の形状や材質は特に限定されず、原料(M)をその内部に収容することができるものであって、処理タンク(4)に搬入でき、且つマイクロ波の照射に耐性のあるものであればいかなるものでも用いることができる。
上記の通り、容器(10)の材質は特に限定されないが、例えば、電子レンジで使われるタッパ等のポリプロピレン樹脂は、マイクロ波を透過(発熱しない)し、かつ安価で割れにくいため、容器(10)の材質として好ましい。
また、容器(10)の形状や材質は、処理する原料(M)の種類や処理後に得たい原料(M)の状態に合わせて、適宜選択することができる。
原料(M)は、容器(10)に収容された状態で処理されるため、異なる原料を隣り合う容器に入れて混ざり合うことなく同時に処理することが可能となる。
加えて、原料(M)が処理タンク(4)の内壁や搬送手段(9)に付着する虞がないため、処理タンク(4)内の掃除等のメンテナンスが容易となる。
さらに、原料(M)は、原型を崩さずに乾燥状態とすることができるため、ドライフルーツ等の食品乾燥装置として使用することができる。この機能は、従来のスクリューコンベヤ式の装置ではなし得ない機能である。
以下、本発明に係る連続抽出・乾燥装置(1)を使用した抽出方法について説明する。
まず、真空ポンプ(81)および/または第二真空ポンプ(82)を駆動し、第一シャッター(22)および第二シャッター(23)を閉じた状態で、第二配管(13)の大気開放弁を開き且つ流路開放弁を閉じることにより、投入側予備室(24)内を常圧にする。
次に、第一シャッター(22)を開け、第二シャッター(23)が閉じた状態で、投入口(2)から投入側予備室(24)に原料(M)を収容した容器(10)を投入する。
そして、第一シャッター(22)を閉じ、第二配管(13)の大気開放弁を閉じ且つ流路開放弁を開くことで投入側予備室(24)内を所定の負圧にする。
その後、第二シャッター(23)を開くことで原料を収容した容器(10)を所定の負圧になっている処理タンク(4)に投入する。
搬送手段(9)により、原料(M)を収容した容器(10)を投入口(2)側から排出口(3)側へ搬送しながら、マイクロ波発生機(51)にて発生させたマイクロ波を、導波管(52)から処理タンク(4)内に導入する。
これにより、処理タンク(4)内の容器(10)に収容された原料(M)がマイクロ波により加熱され、投入口(2)側から排出口(3)側へ搬送される。
処理タンク(4)内の容器(10)に収容された原料(M)がマイクロ波により加熱されると、原料から蒸発した抽出成分(精油等)を含む蒸気(抽出成分含有蒸気)は、通路(11)を通って冷却凝縮器(6)へと導かれ、冷却装置(61)から供給される冷媒により冷却されて液化し、回収タンク(7)内に回収される。
回収タンク(7)において、精油や香気成分等を含んだ芳香蒸留水が溜まる。
排出口(3)側に到達した原料(M)を収容した容器(10)は、以下の手順で処理タンク(4)内から排出される。
まず、真空ポンプ(81)および/または第二真空ポンプ(82)が駆動した状態で、第三シャッター(32)および第四シャッター(33)を閉じ、第三配管(14)の大気開放弁を閉じ且つ流路開放弁を開くことにより、排出側予備室(34)内を所定の負圧にする。
次に第三シャッター(32)を開いて処理タンク(4)内の原料を収容した容器(10)を排出側予備室(34)内に投入し、第三シャッター(32)を閉じる。
その後、第三配管(14)の大気開放弁を開き且つ流路開放弁を閉じることで、排出側予備室(34)内を常圧にする。
そして第四シャッター(33)を開くことで原料(M)を収容した容器(10)を排出口(3)から外に排出する。
本発明に係る連続抽出・乾燥装置は、原料の投入口と排出口とを有する処理タンクと、処理タンク内にマイクロ波を照射するマイクロ波照射部と、マイクロ波による加熱により処理タンクから蒸発した原料の抽出成分を含む蒸気を冷却凝縮する冷却凝縮器と、冷却凝縮器により凝縮された抽出成分を回収する回収タンクと、処理タンク内を減圧にするための減圧手段とを備え、処理タンクは、投入口から処理タンク内を通って排出口に原料を搬送するための搬送手段と、搬送手段上で、原料を搬送するための容器とを備え、原料は、容器に収容された状態で、搬送手段上を搬送されることを特徴とすることから、原料が容器に収容された状態でタンク内においてマイクロ波照射を受けて処理されるため、固体の原料であっても液体の原料であっても、原料の特性に関わらず、処理することができる。
加えて、容器に収容した状態で原料を処理するため、原料の原型を崩さずに原料を処理することができる。
液体から低沸点の蒸気を集めて回収したり、あるいは液体の高沸点の成分を濃縮することができる。
また、この原料からの蒸気を冷却凝縮器に集めて冷却し、得られた抽出成分を回収タンクに回収することができる。
さらに、減圧下での原料の処理を可能にし、高温による原料成分の劣化・変質を防止することができる。
それゆえに、本発明に係る連続抽出・乾燥装置は、様々な種類の植物原料の抽出および乾燥装置として幅広く利用することができる。
1 連続抽出・乾燥装置
2 投入口
3 排出口
4 処理タンク
5 マイクロ波照射部
6 冷却凝縮器
7 回収タンク
8 減圧手段
9 搬送手段
10 容器
M 原料

Claims (4)

  1. 原料の投入口と排出口とを有する処理タンクと、
    前記処理タンク内にマイクロ波を照射するマイクロ波照射部と、
    前記マイクロ波による加熱により前記処理タンクから蒸発した前記原料の抽出成分を含む蒸気を冷却凝縮する冷却凝縮器と、
    前記冷却凝縮器により凝縮された抽出成分を回収する回収タンクと、
    前記処理タンク内を減圧にするための減圧手段とを備え、
    前記処理タンクは、前記投入口から前記処理タンク内を通って前記排出口に前記原料を搬送するためのローラーコンベヤまたはコンベヤレールである搬送手段と、
    前記搬送手段上で、前記原料を搬送するための容器とを備え、
    前記マイクロ波照射部は、マイクロ波を発生するマイクロ波発生機と、
    前記マイクロ波発生機により発生したマイクロ波を前記処理タンク内に導く導波管と、
    前記導波管と前記処理タンク外周面との接続部にマイクロ波を透過するマイクロ波透過材とを備え、
    前記原料は、液状物であり、前記容器に収容された状態で、前記搬送手段上を搬送されることを特徴とする、連続抽出・乾燥装置。
  2. 前記投入口と前記処理タンクを連結する投入経路を有し、前記投入経路内の上流と下流にそれぞれ開閉式の第一シャッター及び第二シャッターを配し、前記第一シャッターと前記第二シャッターの間に投入側予備室を備え、
    前記排出口と前記処理タンクとを連結する排出経路を有し、前記排出経路内の上流と下流にそれぞれ開閉式の第三シャッターと第四シャッターを配し、前記第三シャッターと前記第四シャッターの間に排出側予備室を備えていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  3. 前記マイクロ波透過材は、前記処理タンクの内面側の表面形状が前記処理タンクの内面と凹凸なく接続する平面または曲面をなし、且つ前記処理タンクの内面から外面に向かうにつれて大となる形状をなしており、
    前記導波管は、前記処理タンクと接続される端部にフランジを有し、
    前記マイクロ波透過材は、前記処理タンクの外面側において前記フランジに当接していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
  4. 前記マイクロ波発生機は、前記原料の搬送方向の上流側においてマイクロ波を連続照射し、下流側においてマイクロ波をパルス照射することを特徴とする、請求項に記載の装置。
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