JP7076288B2 - イオン源、分析装置 - Google Patents

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本発明は、イオン源およびこれを用いる分析装置に関する。
質量分析などに用いるイオン化法としては、エレクトロスプレー法(以下「ESI法」という)、大気圧化学イオン化法(以下「APCI法」という)などがある。大気圧イオン化質量分析計においては、ESIやAPCIなどを用いることにより、大気圧下で生成したイオンを真空系に導入してイオンの質量を分析する。
ESI法は、高電圧を印加したキャピラリーに試料溶液を流してキャピラリー先端から試料溶液を噴霧することにより帯電液滴を生成し、この帯電液滴が蒸発と分裂を繰り返すことによりイオンを生成する方式である。ESI法は、高分子量試料や高極性試料などに対応することができるイオン化法である。ESI法においては一般に、加熱したガスなどを大量に噴霧して液滴の蒸発・気化を促進させる方式が併用される。
APCI法は、試料溶液を加熱気化し、試料分子をコロナ放電によりイオン化する方式である。この方式の場合、コロナ放電により生成された1次イオン(試料分子とは別のイオン)と試料分子との間で電荷の移動が生じ、これにより試料分子がイオン化される。APCI法は、ESI法に比べて分子量の小さい低分子量試料や極性が小さい低極性試料に対して適用できる。
このように対象となる試料や原理が異なるイオン化方式(例えばESI法とAPCI法)を1つのイオン源において実現できれば、測定対象とする物質の範囲やイオン源の応用範囲を拡大することができる。下記特許文献1~2は、このように1つのイオン源が複数のイオン化方式を実現するための技術を記載している。これら文献においては、ESI法によるイオン化とAPCI法によるイオン化を1つのイオン源で実行するための方式が提案されている。
特許第4553011号 米国特許第7488953号
特許文献1においては、ESI法による静電噴霧部とAPCI法による針電極とが同じ空間内に配置され、ESI法によるイオン化とAPCI法によるイオン化が同時に実行される。同文献においては、ESIプローブから噴霧した試料を針電極のコロナ放電によってイオン化する。ESIプローブは、キャピラリー自体を加熱しすぎると試料が突沸する可能性があるので、キャピラリーをあまり加熱しない構造になっている。これに対してAPCIプローブは一般に、キャピラリー先端を積極的に加熱する必要がある。したがって同文献のように、ESIプローブをAPCIイオン化においても共用すると、APCIイオン化工程において加熱による気化が不十分となり、感度が低下する可能性がある。
特許文献2においても特許文献1と同様にESIプローブをAPCIイオン化においても共用している。ただし同文献においては、ESIプローブの噴霧領域を加熱する手段を設けており、これによりAPCI感度を向上させることを図っている。他方でESIプローブとAPCIプローブとの間で電界が相互干渉することにより、ESIイオン化時の電界が乱れ、ESI感度が低下する可能性がある。同様の課題は特許文献1においても存在している。
このように、ESI法とAPCI法の両方を実施することができるイオン源が提案されてはいるものの、これら従来の手法は、各イオン化方式それぞれにおいて低いイオン強度しか得ることができない可能性がある。したがって従来は、高い感度を必要とする分析用途においては、単独のイオン化方式を用いるイオン源を使用するのが一般的である。
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであり、複数のイオン化方式を実施することができるとともに、高いイオン強度を得ることができるイオン源を提供することを目的とする。
本発明に係るイオン源は、第1プローブに対して試料溶液と電圧を供給する第1モードと、第2プローブに対して試料溶液と電圧を供給する第2モードとを有する。前記第1モードと前記第2モードとの間では、前記第1プローブと前記第2プローブそれぞれに対して供給する試料溶液の流量と電圧が互いに異なる。
本発明に係るイオン源によれば、第1プローブと第2プローブそれぞれに対して供給する電圧を第1モードと第2モードとの間で切り替えることにより、プローブ先端における電界干渉を抑制して、高いイオン強度を得ることができる。さらに試料溶液の流量を切り替えることにより、試料溶液の消費量を抑えつつ、不使用中のプローブにおいて試料溶液が詰まるなどの不具合を抑制することができる。
実施形態1に係るマルチイオン源1の構成図である。 第1イオン源プローブ3または第2イオン源プローブ4がESIプローブとして構成されている例である。 第1イオン源プローブ3または第2イオン源プローブ4がAPCIプローブとして構成されている例である。 マルチイオン源1の動作手順を説明するタイムチャートである。 実施形態2に係るマルチイオン源1の構成図である。 第1イオン源プローブ3または第2イオン源プローブ4がESIプローブとして構成されている例である。 第1イオン源プローブ3または第2イオン源プローブ4がAPCIプローブとして構成されている例である。 マルチイオン源1の動作手順を説明するタイムチャートである。 実施形態3に係るマルチイオン源1の構成図である。 第1イオン源プローブ3または第2イオン源プローブ4がESIプローブとして構成されている例である。 第1イオン源プローブ3または第2イオン源プローブ4がAPCIプローブとして構成されている例である。 マルチイオン源1の動作手順を説明するタイムチャートである。 第1イオン源プローブ3に対して供給する噴霧ガス流量と、第2イオン源プローブ4によるイオン強度との間の関係を示すグラフである。 実施形態4において第1溶液5と第1溶液流量制御部7(または第2溶液6と第2溶液流量制御部8)に代えて用いる構成を説明する図である。 液体クロマトグラフィ(LC)の動作シーケンスである。 APCIプローブに対して供給される試料物質のピークと、ESIプローブにおける噴霧ガス流量との間の関係を説明する図である。 実施形態5に係るマルチイオン源1の動作を説明するタイムチャートである。 マルチイオン源1を用いる分析装置100の概略構成図である。分析装置100は、複数の検体試料41を連続して分析する装置である。 制御部10がプローブに対して供給する試料溶液量を決定する手順を説明するフローチャートである。 第2イオン源プローブ4がAPCIイオン源である場合の構成例である。 図20のXZ断面図である。 第1イオン源プローブ3がESIイオン源である場合における、ESIモードのイオン強度と針電極21の電圧との間の関係を例示するグラフである。 実施形態8に係るマルチイオン源1の構成図である。 図10のESIプローブにおいて、ESIイオン化を実施している間にガス供給をON/OFFしたときのヒートブロック29の温度変化を示す図である。 実施形態9に係るマルチイオン源1が備えるヒートブロック29の構成例である。 ガス切替部53がガスを供給する流路を切り替える動作を説明するタイムチャートである。
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施形態1に係るマルチイオン源1の構成図である。マルチイオン源1は、イオン源チャンバ2、第1イオン源プローブ3、第2イオン源プローブ4を備える。イオン源チャンバ2に第1イオン源プローブ3と第2イオン源プローブ4が装着される。第1イオン源プローブ3および第2イオン源プローブ4としては、ESI方式、APCI方式、大気圧光方式(APPI)、ソニックスプレー方式(SSI)など、様々な方式のイオン化プローブを用いることができる。
マルチイオン源1はさらに、第1溶液5の流量を制御する第1溶液流量制御部7、第2溶液6の流量を制御する第2溶液流量制御部8、溶液流路切替部9を備える。溶液流路切替部9は、各プローブに対して供給する試料溶液を切り替える。例えば第1イオン源プローブ3に第1溶液5が流れる時は第2イオン源プローブ4には第2溶液6が流れ、第1イオン源プローブ3に第2溶液6が流れる時は第2イオン源プローブ4には第1溶液5が流れるように、溶液供給を制御することができる。つまり、どちらのイオン源プローブにも常にどちらかの溶液が流れるように制御することができる。例えば、第1溶液5および第2溶液6のどちらか一方が分析対象成分を含んだ試料溶液であり、他方が洗浄用の溶液、などの組み合わせを使用することができる。
制御部10は、各流量制御部と溶液流路切替部9を制御することにより、各溶液の流量や切替タイミングを制御する。制御部10はさらに、各プローブに対して電圧を印加する電源12、20を備える。
図1では説明の便宜上、図示した通りにXYZ軸を定義した。第1イオン源プローブ3の長手方向をZ軸、第2イオン源プローブ4の長手方向をY軸、YZ軸の両方に直交する方向をX軸とした。イオン源プローブによってイオン化したイオンは、X軸の延長方向に進行し、例えば、質量分析計などの検出器によって検出/分析される。
図2は、第1イオン源プローブ3または第2イオン源プローブ4がESIプローブとして構成されている例である。ESIイオン源においては、キャピラリー11に試料溶液を導入し、電源12からキャピラリー11に対して高電圧を印加しつつ、キャピラリー11の下流端13からイオンを噴霧する。キャピラリー11に印加する高電圧の値は、数kV程度(絶対値)が一般的である。正イオンを生成する場合、キャピラリー11には、+数kVの電圧が印加される。負イオンを生成する場合、キャピラリー11には、-数kVの電圧が印加される。一般に、キャピラリー11の内径は1mm以下に設定される。キャピラリー11の内径に依存するが、一般には、試料溶液の流量は、nL/分オーダーからmL/分オーダー程度の範囲に設定される。配管14の上流から矢印15の向きで導入した試料溶液が、コネクタ16を経由してキャピラリー11へ導入される。
図3は、第1イオン源プローブ3または第2イオン源プローブ4がAPCIプローブとして構成されている例である。APCIイオン源に対して試料溶液を導入する方法はESI法と同様であるが、キャピラリー11には高電圧を印加しない。キャピラリー11の下流端13から出た試料溶液は、加熱管17によって気化され、加熱管17の下流端18からガス状になって噴霧される。加熱管17はヒータ19を有し、試料溶液を最大800度程度の高温に加熱することができる。電源20から針電極21に対して高電圧を印加して生成するコロナ放電により一次イオンを生成する。一次イオンと試料分子の間で電荷の移動が生じることにより、試料分子がイオン化される。針電極21に対して印加する高電圧の値は、数kV程度(絶対値)が一般的である。正イオンを生成する場合、針電極21には、+数kVの電圧が印加される。負イオンを生成する場合、針電極21には、-数kVの電圧が印加される。
このように複数のプローブが存在するマルチイオン源においては、各イオン源でイオン化を実施するタイミングに合わせて、試料溶液の流路を切り替えることにより試料溶液を供給するプローブを切替える必要がある。また各イオン源における電界が相互干渉することによる感度低下を抑制するためには、後述するように各イオン源に対して供給する電圧を切り替える必要があると考えられる。
図4は、マルチイオン源1の動作手順を説明するタイムチャートである。ここでは第1イオン源プローブ3がESIイオン源として構成されており、第2イオン源プローブ4がAPCIイオン源として構成されているものとする。第1溶液流量制御部7、第2溶液流量制御部8、および制御部10は、図4に示すモード1とモード2を切り替えながら動作する。
モード1においては、第1イオン源プローブ3がESI方式によって試料溶液をイオン化し、モード2においては、第2イオン源プローブ4がAPCI方式によって試料溶液をイオン化する。使用していないモード側はイオンを生成しないので、試料溶液を流す必要はない。しかし、キャピラリー11に溶液を流さないと、下流端13が乾燥する。標準試料などの比較的夾雑物などが少ない溶液の場合は乾燥による影響も少ないが、例えば生体試料のように塩や脂質などの夾雑物を多く含む試料の場合、乾燥により夾雑物が析出し、下流端13が詰まる恐れがある。この問題を防ぐために、使用していないモード側のプローブにも洗浄液などの溶液を流す必要がある。そこでいずれのモードにおいても、キャピラリー11内に試料溶液を流すこととした。
イオン化動作時と同量の溶液をイオン化不実施時にも流すと、イオン化動作を実施している側に対して悪影響を及ぼす可能性がある。そこで第1溶液流量制御部7と第2溶液流量制御部8は、試料溶液の流量を以下のように制御する:モード1(ESIイオン化)の時、第1イオン源プローブ3にはESIイオン化に最適な流量Aを流し、第2イオン源プローブ4にはESIイオン化への影響が少ない流量Dを流す。モード2(APCIイオン化)の時、第2イオン源プローブ4にはAPCIイオン化に最適な流量Cを流し、第1イオン源プローブ3にはAPCIイオン化への影響が少ない流量Bを流す。
電源12と20が供給する電圧についても同様にモード間で切り替える。モード1の時は、キャピラリー11に対してESIイオン化に最適な電圧Aを供給し、針電極21に対してESIイオン化への影響が少ない電圧Dを供給する。モード2の時は、針電極21に対してAPCIイオン化に最適な電圧Cを供給し、キャピラリー11に対してAPCIイオン化への影響が少ない電圧Bを供給する。
<実施の形態1:まとめ>
本実施形態1に係るマルチイオン源1は、モード1においては第1イオン源プローブ3に対して流量Aの試料溶液と電圧Aを提供するとともに第2イオン源プローブ4に対して流量Dの試料溶液と電圧Dを提供し、モード2においては第1イオン源プローブ3に対して流量Bの試料溶液と電圧Bを提供するとともに第2イオン源プローブ4に対して流量Cの試料溶液と電圧Cを提供する。これにより、イオン化動作を実施している側のプローブにおけるイオン化感度が他方側からの電界干渉により低下することを抑制するとともに、イオン化動作を実施していない側のプローブにおけるキャピラリー11の詰まりを防止することができる。したがって、幅広い試料に対応可能なマルチイオン源が高感度かつ高ロバスト性で実現できる。
以上の説明においては、第1イオン源プローブ3がESIプローブであり、第2イオン源プローブ4がAPCIプローブである例を説明したが、両プローブに関してはこれら方式のイオン源に限らない。両プローブが同一方式を用いるイオン源であってもよい。この場合は、一方を洗浄しながら一方でイオン化を実施するなどのように、高スループット化が可能となる。また、両プローブが同一方式を用いるとともに、イオン化を実施する流量条件が異なる構成であってもよい。具体的には、キャピラリーの内径が異なるなどの例がある。これにより、流量条件の異なるイオン化を同一イオン源で実施できる。以下の実施形態においても同様である。
図4で示した流量や電圧に関しては、同一モード(イオン化法)間で異なる値に設定してもよい。例えば、一回目のモード1と二回目のモード1との間で、対象とする成分が異なる場合、流量や電圧の最適条件が互いに異なることもあるので、そのような手法が有効である。以下の実施形態においても同様である。
<実施の形態2>
図5は、本発明の実施形態2に係るマルチイオン源1の構成図である。本実施形態2に係るマルチイオン源1は、各イオン化プローブに対して噴霧ガスを供給する。マルチイオン源1は、ガス源22、第1ガス流量制御部23、第2ガス流量制御部24を備える。その他構成は実施形態1と同様であるので、以下では主に差異点について説明する。
ガス源22から供給されるガスは、第1ガス流量制御部23と第2ガス流量制御部24へ分岐される。各流量制御部はガスの流量を後述する手順にしたがって制御し、制御された流量のガスが第1イオン源プローブ3と第2イオン源プローブ4に導入される。ガス源22から供給するガスとしては一般に、窒素やアルゴンなどの不活性ガスが使用される。図5は両プローブに対して同一ガスを供給する例を示しているが、両プローブに対して互いに異なるガスを供給する場合は、ガスの流路系も溶液の流路系(5~9)と同様な構成にすればよい。
図6は、第1イオン源プローブ3または第2イオン源プローブ4がESIプローブとして構成されている例である。図6において、キャピラリー11と同心円状に噴霧管25が配置されている。ポート26を介して噴霧管25に対して矢印27のようにガスが導入される。導入されたガスは、キャピラリー11の外径と、噴霧管25の下流端28の内径との間の隙間から噴霧される(噴霧ガス)。このガスにより、キャピラリー11の下流端13から噴霧された試料溶液の気化を促進し、イオン化効率が向上する。つまり感度が向上する。
図7は、第1イオン源プローブ3または第2イオン源プローブ4がAPCIプローブとして構成されている例である。図7においてもキャピラリー11と同心円状に噴霧管25が配置されており、噴霧ガスの流れによって試料溶液を針電極21に対して効率よく向かわせることができる。これにより試料溶液の気化を促進し感度が向上する。
図8は、マルチイオン源1の動作手順を説明するタイムチャートである。溶液流量制御と電圧制御については図4と同様なので説明を割愛する。第1ガス流量制御部23と第2ガス流量制御部24は、噴霧ガスの流量を以下のように制御する:モード1の時は第1イオン源プローブ3にはESIイオン化に最適な流量Eを供給し、第2イオン源プローブ4にはESIイオン化への影響が少ない流量Hを供給する。モード2の時は第2イオン源プローブ4にはAPCIイオン化に最適な流量Gを供給し、第1イオン源プローブ3にはAPCIイオン化への影響が少ない流量Fを供給する。
図4で示したように、イオン化動作を実施していない側のプローブに試料溶液を流し続けた場合、流量によっては液垂れなどが起きる。したがって本実施形態2のように、イオン化動作を実施していない側のプローブにも噴霧ガスを流して試料溶液を気化することは有効である。
<実施の形態3>
図9は、本発明の実施形態3に係るマルチイオン源1の構成図である。本実施形態3に係るマルチイオン源1は、第1イオン源プローブ3に対して2系統のガスを供給するとともに、第2イオン源プローブ4に対して2系統のガスを供給する。本実施形態3においてガス源22から供給されるガスは4分岐される。第1ガス流量制御部23は23-aと23-bの2つに分かれて構成され、第2ガス流量制御部24は24-cと24-dの2つに分かれて構成されている。その他構成は実施形態2と同様であるので、以下では主に差異点について説明する。
図10は、第1イオン源プローブ3または第2イオン源プローブ4がESIプローブとして構成されている例である。図10において、キャピラリー11の外側にヒートブロック29が配置されている。ヒートブロック29はヒータ30を有し、ヒートブロック29内を流れる加熱ガスを最大800度程度の高温に加熱することができる。ポート31を介してヒートブロック29に対して矢印32のように加熱ガスが導入される。導入された加熱ガスはヒートブロック29の下流端33から噴霧される。この加熱ガスにより、キャピラリー11の下流端13から噴霧された試料溶液の気化をさらに促進し、イオン化効率が更に向上する。つまり感度が更に向上する。
図11は、第1イオン源プローブ3または第2イオン源プローブ4がAPCIプローブとして構成されている例である。図11において、ポート31から矢印32のように補助ガスが導入される。加熱管17の内側に補助ガスを流すことにより、加熱管17の内部のガス流が安定化し、これにより感度が向上する。
図12は、マルチイオン源1の動作手順を説明するタイムチャートである。溶液流量制御と電圧制御については図8と同様なので説明を割愛する。第1ガス流量制御部23-aと第2ガス流量制御部24-cは、図8で説明したように噴霧ガスの流量a、cをそれぞれ制御する。第1ガス流量制御部23-bは第1イオン源プローブ3に対して供給する加熱ガス流量bを制御し、第2ガス流量制御部24-dは第2イオン源プローブ4に対して供給する補助ガス流量dを制御する。モード1の時は第1イオン源プローブ3にはESIイオン化に最適な流量Iの加熱ガスを供給し、第2イオン源プローブ4にはESIイオン化への影響が少ない流量Lの補助ガスを供給する。モード2の時は第2イオン源プローブ4にはAPCIイオン化に最適な流量Kの補助ガスを供給し、第1イオン源プローブ3にはAPCIイオン化への影響が少ない流量Jの加熱ガスを供給する。
図13は、第1イオン源プローブ3に対して供給する噴霧ガス流量と、第2イオン源プローブ4によるイオン強度との間の関係を示すグラフである。ここでは図6などで示した噴霧ガスを用いたESIイオン源を第1イオン源プローブ3として用い、図3などで示したAPCIイオン源を第2イオン源プローブ4として用いた。
図13から、噴霧ガス流量が0の時が感度最大で、噴霧ガス流量の増加にしたがって感度が低下していく傾向を読み取ることができる。APCI感度低下の原因は、第1イオン源プローブ3の噴霧ガスにより、APCIイオンが生成するエリアに存在する試料分子を希釈していることが理由であると考えられる。通常、ESIの噴霧ガスは0.5~10L/min程度流すのが一般的であるので、APCIモード時においてESIイオン源に対してESI法のために最適な噴霧ガス流量を流すと、APCIイオン感度が大幅に低下する。したがって図8などに示したような、モード間での流量切り替えが必須となる。図13の結果を例とした場合、例えば、APCIモードにおいて最大感度の8割程度の感度を得たければ、第1イオン源プローブ3の噴霧ガスを0.3L/min程度に抑える必要があるといえる。
<実施の形態4>
図13に示した結果によれば、APCIモード(モード2)における感度を最大限に維持したい場合は、ESIプローブにおける噴霧ガス流量を0にする必要がある。他方でモード2を実施中の全期間においてESIプローブにおける噴霧ガス流量を0にすると、実施形態2で説明したように液垂れなどが生じる可能性がある。そこで本発明の実施形態4では、APCIモードにおいてAPCIプローブに対して試料溶液をパルス状に供給するとともに、そのパルスピーク近傍においてのみESIプローブにおける噴霧ガス流量を0にする構成例を説明する。マルチイオン源1のその他構成は実施形態2~3と同様であるので、以下では差異点について主に説明する。
図14は、本実施形態4において第1溶液5と第1溶液流量制御部7(または第2溶液6と第2溶液流量制御部8)に代えて用いる構成を説明する図である。試料注入部39に対して試料が注入される。移動相34と35は、ポンプ36と37によって各々送液されてミキサー38により混合される。移動相34と35の流れによって試料が分離カラム40に対して送られる。ミキサー38における混合比は、ポンプ36と37の流量比によって調節される。移動相34と35としては、例えば一方が水、もう一方がメタノールやアセトニトリルなどの有機溶媒を使用することが多い。
図15は、液体クロマトグラフィ(LC)の動作シーケンスである。図14に示す構成により、液体クロマトグラフィを実施することができる。移動相34と35として使用する水や有機溶媒などで分離カラム40を洗浄・平衡化した後、分離カラム40に対して試料を注入する。移動相34、35、またはこれら双方を混合した溶液により、分離カラム40から試料成分を溶出する。溶出の際、移動相34と35の混合比を時間的に変化させていくことにより、図15のように溶出する試料物質のピークをそれぞれ異なる時刻において得ることができる(LC分離)。図14の構成の下流に図1のようなマルチイオン源1を配置することにより、モード2においてAPCIプローブに対して試料物質をパルス状に供給することができる。
図16は、APCIプローブに対して供給される試料物質のピークと、ESIプローブにおける噴霧ガス流量との間の関係を説明する図である。分離カラム40の種類、移動相34と35の混合比、配管類の長さなどから、試料成分に対応したLCピークのタイミング(保持時間)を一義的に定義できる。つまり、分析対象成分ごとに、イオン化されるタイミングを特定することができる。したがってモード2において、APCIプローブに対して供給される試料物質がピークになる近傍において、ESIプローブにおける噴霧ガス流量を0にし、モード2におけるそれ以外の期間においてはESIプローブに噴霧ガスを流し続ける。
図13の結果を例にすると、第2イオン源プローブ4におけるAPCIイオン生成(LCピーク)に合わせて第1イオン源プローブ3(ESI)における噴霧ガスを0(または低流量)に切り替える。これにより、APCIイオンの感度低下を防ぐことができる。同時にイオン化動作を実施していない側における試料溶液の流量を切り替えてもよい。噴霧ガス以外のガス流量に関しても同様の制御を実施してもよい。
第1溶液5と第1溶液流量制御部7を図14の構成によって置き換えるとともに、第2溶液6と第2溶液流量制御部8を図14の構成によって置き換えてもよい。これら両方を置き換える場合、分離カラム40は溶液流路切替部9の下流に設置してもよい。これら両方を置き換えることにより、いずれのモードにおいてもイオン感度低下を防ぐことができる。
本実施形態4においては、液体クロマトグラフィの構成により、プローブに対して試料溶液をパルス状に供給することを説明した。同様の動作を実現できればその他構成を用いてもよい。例えばインジェクション機構を用いて試料溶液を供給することにより、試料溶液をプローブに対してパルス状に供給してもよい。すなわち、プローブに対して試料溶液を供給するタイミングを調整できればよい。
<実施の形態5>
図17は、本発明の実施形態5に係るマルチイオン源1の動作を説明するタイムチャートである。本実施形態5においては、イオン化動作を実施していない側のイオン化プローブに対して試料溶液を供給することにより洗浄した後、溶液流量を0(または低流量)に切り替える。マルチイオン源1の構成は実施形態1~4と同様である。
本実施形態5においては、イオン化動作を実施していない側の試料溶液を、イオン化動作を実施している側に対して影響を与えない流量で流した後、0(または低流量)に切り替える。すなわち試料溶液の流量を0に向かって漸変させる。実施形態1で説明したように、夾雑物による詰まりなどを抑制するためには、不使用側のプローブに対してある程度の時間試料溶液を供給することにより洗浄することが望ましい。他方で十分に洗浄完了した後は、試料溶液の流量を0(または低流量)に切り替えても支障ないと考えられる。そこで図17において、イオン化動作を実施していない側の試料溶液は、流量を即座に0にするのではなく、0に向かって次第に変化させることにした。次第に変化させるのであれば同様の効果を発揮できるので、必ずしも流量をステップ状に切り替える必要はない。同様の切り替えを、各種ガスについて実施してもよい。
図17においては、不使用側から使用側へ移行するタイミングで流量を使用状態に復帰させているが(第1イオン源プローブ3のOFFから流量Aに遷移する箇所、または、第2イオン源プローブ4のOFFから流量Cに遷移する箇所)、タイミングをずらして流量を復帰させてもよい。例えばモード2からモード1へ移行するよりも少し早めに、第1イオン源プローブ3の試料溶液を復帰させてもよい。
本実施形態5によれば、イオン化動作を実施していない側のプローブを洗浄することにより、試料溶液の詰まりなどを抑制するとともに、イオン化動作を実施していない側のプローブに試料溶液やガスを流し続けることによる余分な消費を抑制することができる。
<実施の形態6>
マルチイオン源1を用いる分析装置は、複数の検体を連続して検査する場合がある。このときの分析手順によっては、同じイオン化プローブを連続して用いる場合もある。例えばESIプローブを用いて試料をイオン化する検体を9個連続して検査し、その次にAPCIプローブを用いて試料をイオン化する検体を1個検査する、などのパターンが考えられる。この分析手順において、実施形態1~5で説明したように、ESIプローブを用いている間にAPCIプローブを洗浄し続けると、試料溶液を過剰に消費してしまう。そこで本発明の実施形態6では、イオン化動作を実施していない側のプローブを洗浄するために用いる試料溶液量を抑制する手順を説明する。マルチイオン源1の構成は実施形態1~5と同様である。
図18は、マルチイオン源1を用いる分析装置100の概略構成図である。分析装置100は、複数の検体試料41を連続して分析する装置である。検体試料41の容器にはバーコードラベル42が貼付されている。認識手段43(例えばバーコードリーダ)は、バーコードラベル42が記述している情報(検体種類、測定条件など)を読み取ることができる。制御部10は、認識手段43が読み取ったデータにしたがって、使用するイオン化プローブを選定し、試料溶液・ガスの流量や電圧などを設定する。分注装置44は、検体試料41を吸引した後、矢印45のように移動させ、試料注入部39に対して吐出する。
認識手段43を複数配置するか、または矢印46のように検体試料41もしくは認識手段43を移動させることにより、分析前の複数の検体試料41のバーコードラベル42を読み取ることができる。これにより制御部10は、これから実施する分析手順をあらかじめ把握することができる。すなわち制御部10は、同じプローブを連続して使用する回数をあらかじめ把握することができる。制御部10は以下に説明する手順により、イオン化動作を実施しない側のプローブ洗浄のために用いる試料溶液を節約する。
図19は、制御部10がプローブに対して供給する試料溶液量を決定する手順を説明するフローチャートである。第1イオン源プローブ3がESIプローブであり、第2イオン源プローブ4がAPCIプローブであるものとする。以下図19の各ステップについて説明する。
(図19:ステップS1901)
制御部10は、バーコードラベル42の記述にしたがって、ESIプローブを連続して用いる回数を取得する。ESIプローブを連続して用いる回数がn回以上である場合はステップS1904へ進み、n回未満であればステップS1902へ進む。nの数値は試料溶液を節約したい程度に応じて適宜定めておく。
(図19:ステップS1902~S1903)
制御部10は、第1イオン源プローブ3を用いてESI分析を実施するとともに、第2イオン源プローブ4に対して試料溶液を流すことにより洗浄する(S1902)。ESI分析を実施する全ての検体試料41に対してESI分析を完了した場合はステップS1909へ進み、完了していない場合はステップS1902を繰り返す(S1903)。
(図19:ステップS1904~S1905)
制御部10は、第2イオン源プローブ4に対して供給する試料溶液を停止する(S1904)。洗浄を実施した後に停止してもよい。制御部10は、第1イオン源プローブ3を用いてESI分析を実施する(S1905)。
(図19:ステップS1906~S1907)
制御部10は、現在実施しているESI分析がn-1回目であるか否かを判定する(S1906)。n-1回目である場合、制御部10は、第2イオン源プローブ4に対して試料溶液を流すことにより、APCI分析を開始する前に第2イオン源プローブ4を洗浄する(S1907)。
(図19:ステップS1906~S1907:補足)
第2イオン源プローブ4を複数回洗浄する必要がある場合は、例えばステップS1906における判定基準をn-2回などに変更してもよい。すなわちESI分析を実施している間の一部においてAPCIプローブを洗浄し、残部において洗浄を停止すればよい。
(図19:ステップS1908~S1909)
制御部10は、現在実施しているESI分析がn回目であるか否かを判定する(S1908)。n回目である場合、制御部10は第1イオン源プローブ3に対して試料溶液を流すことにより洗浄してESI分析を終了するとともに、第2イオン源プローブ4を用いてAPCI分析を実施する。
以上説明した手順により、ESI分析を連続して実施する場合において、APCIプローブを洗浄するために用いる試料溶液量を節約することができる。ここではESIプローブを所定回数以上連続して用いるか否かによりAPCI洗浄の回数を調整する手順を説明したが、APCIプローブを連続して用いる場合においてもプローブを入れ替えて同様の手順を用いることができる。その他プローブを用いる場合も同様である。さらにガス流量についても同様の手順を実施することができる。
<実施の形態7>
APCIプローブは、実施形態1で説明したように、キャピラリー11の先端から噴霧される試料溶液に対して放電する針電極21を備える。ESI分析を実施する際に印加する電圧により、ESIプローブと針電極21との間(または後述する入口電極47と針電極21との間)において電界が生じ、その電界がESI分析に対して悪影響を与える場合がある。本発明の実施形態7では、そのような悪影響を抑制する手順を説明する。
図20は、第2イオン源プローブ4がAPCIイオン源である場合の構成例である。図20に示す構成は実施形態1で説明したものと同じだが、説明の便宜上、針電極21の配置を模式的に図示した。
図21は、図20のXZ断面図である。図21において、Z方向に第1イオン源プローブ3が延伸し、Y方向に第2イオン源プローブ4が延伸し、X方向に向かった先に質量分析計などの検出器が配置されている。検出器が質量分析計である場合、生成したイオンは真空中に導入されるのが一般的である。例えば入口電極47の穴48からイオンを導入する。真空を維持するため、入口電極47の穴48は内径1mm以下程度にするのが一般的である。イオン源チャンバ2の内部は試料溶液が噴霧されるので、図21のようにカバー49などで覆われている場合が多い。カバー49を耐熱ガラスなどの透明な素材で構成することにより、イオン源チャンバ2の内部を観察することができる。
図22は、第1イオン源プローブ3がESIイオン源である場合における、ESIモードのイオン強度と針電極21の電圧との間の関係を例示するグラフである。図22に示すように、0.1kV以上の電圧を針電極21に印加しないと大幅な感度低下が起きる。この原因は以下のように考えられる。
ESIイオン化は、キャピラリー11と入口電極47との間の電界によって生じる。入口電極47に対して印加される電圧は、数十~数百V程度である。このとき針電極21が0Vであると、電位差や先端形状などにより、キャピラリー11と針電極21との間の電界が相対的に強くなり、その電界の影響により、入口電極47の方向に向かって噴霧されるイオン量が極端に低下すると考えられる。これが感度低下の原因となる。そこでESI分析を実施している間において針電極21に対してキャピラリー11と同じ極性の電圧を印加することにより、針電極21とキャピラリー11との間で反発する電界を生じさせ、これによりイオン流が針電極21へ向かわないようにすることができる。したがって図4で示した電圧Bは、少なくとも0ではなく、例えば0.1kV以上程度に設定することが望ましい。
<実施の形態8>
図23は、本発明の実施形態8に係るマルチイオン源1の構成図である。本実施形態8に係るマルチイオン源1は、実施形態1~7で説明した構成に加えて、第3イオン源プローブ50を備える。イオン源の種類によっては、洗浄溶液により洗浄効率が異なる場合があるので、その場合はさらに第3溶液51と第3溶液流量制御部52を備え、第3イオン源プローブ50に対して異なる洗浄液を流してもよい。あるいは第1溶液5と第2溶液6を切り替えることにより、イオン化動作を実施していない2つのプローブに対して同じ洗浄液を流してもよい。第3イオン源プローブ50に対して電圧を印加する電源58を備えてもよい。図5、図9などのようなガス供給も必要な場合は、第3イオン源プローブ50にもガスを供給してもよい。
イオン源プローブの数は任意であり、4本以上のイオン源プローブを設けてもよい。各イオン源プローブに対する制御手順は実施形態1~7と同様である。また、複数のイオン化プローブが同時にイオン化を実施することもできる。
<実施の形態9>
図24は、図10のESIプローブにおいて、ESIイオン化を実施している間にガス供給をON/OFFしたときのヒートブロック29の温度変化を示す図である。ヒータ30によって加熱されたヒートブロック29の内部にガスを流すことによりバランスしていたヒートブロック29の温度が、ガスをOFFしたことにより瞬間的に上昇し、元の温度に復帰するまで3分程度要している。反対に、再度ガスをONした場合は瞬間的に温度が低下し、やはり温度復帰まで3分程度要する。
以上の前提の下で図12のような制御を実施する場合、モード間の切り替え時において温度が不安定な時間が数分程度生じることになる。切替時の流量差が大きいほど、不安定状態は顕著になる。温度のバラつきは感度のバラつきにつながるので、極力抑えることが望ましい。各種流体の流量切替タイミングとモード切替(分析開始)タイミングをずらすことにより(例えば、温度安定後に分析開始する)、感度バラつきの影響をある程度抑えられるが、他方で待ち時間によるスループットの低下が懸念される。そこで本発明の実施形態9では、ヒートブロック29の温度を安定化させる構成例について説明する。
図25は、本実施形態9に係るマルチイオン源1が備えるヒートブロック29の構成例である。本実施形態9において、ヒートブロック29は内部に2系統のガス流路を有している。図面を簡易化するため、ヒータ類は図示していない。ガス切替部53は、いずれの流路に対してガスを供給するかを切り替える。
図26は、ガス切替部53がガスを供給する流路を切り替える動作を説明するタイムチャートである。ESIプローブを使用するときは、流路54に対してガスを供給し、矢印56が示す加熱ガスによってイオン化を促進する。ESIプローブを使用しないときは、ガス流量はそのままで流路55に対してガスを供給し、矢印57の方向(使用側のイオン源プローブがない方向)に向かってガス噴霧する。これにより、使用中のイオン源プローブに対して希釈などの影響を与えないようにすることができる。ガス流量は変えず流路のみを切り替えるので、ヒートブロック29の温度変化を抑えることができる。これにより図24で説明したような温度不安定を抑制し、スループットを確保することができる。このような流路切替は、その他ガスや溶液に関しても有効である。
<本発明の変形例について>
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
以上の実施形態においては、第1イオン源プローブ3がZ方向に延伸し、第2イオン源プローブ4がY方向に延伸する例を説明したが、この配置は必須ではなく、例えば第1イオン源プローブ3と第2イオン源プローブ4が反対でもよい。さらには両者が直交する配置関係に限らず、その他角度の配置関係であってもよい。
実施形態6において、分析手順をバーコードラベル42が記述する例を説明したが、その他のデータ記録手段を用いてもよい。例えばバーコードに代えてRFIDタグなどを用いることが考えられる。
制御部10は、その一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。あるいはプロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード等の記録媒体に置くことができる。
1…マルチイオン源
2…イオン源チャンバ
3…第1イオン源プローブ
4…第2イオン源プローブ
5…第1溶液
6…第2溶液
7…第1溶液流量制御部
8…第2溶液流量制御部
9…溶液流路切替部
10…制御部
11…キャピラリー
12…電源
13…下流端
14…配管
16…コネクタ
17…加熱管
18…下流端
19…ヒータ
20…電源
21…針電極
22…ガス源
23…第1ガス流量制御部
24…第2ガス流量制御部
25…噴霧管
26…ポート
28…下流端
29…ヒートブロック
30…ヒータ
31…ポート
33…下流端
34…移動相
35…移動相
36…ポンプ
37…ポンプ
38…ミキサー
39…試料注入部
40…分離カラム
41…検体試料
42…バーコードラベル
43…認識手段
44…分注装置
47…入口電極
48…穴
49…カバー
50…第3イオン源プローブ
51…第3溶液
52…第3溶液流量制御部
53…ガス切替部
54…流路
55…流路
58…電源

Claims (9)

  1. 試料溶液が通過する第1および第2プローブ、
    前記第1および第2プローブを通過する試料溶液の流量を制御する流量制御部、
    前記第1および第2プローブに対して電圧を供給する電源、
    を備えるイオン源であって
    前記流量制御部は、前記第1プローブに第1流量の試料溶液を流すとともに前記第2プローブに第2流量の試料溶液を流す第1モードと、前記第1プローブに第3流量の試料溶液を流すとともに前記第2プローブに第4流量の試料溶液を流す第2モードとを切り替えることができるように構成されており、
    前記電源は、前記流量制御部が前記第1モードを実施するときは、前記第1プローブに対して第1電圧を供給するとともに、前記第2プローブに対して第2電圧を供給し、
    前記電源は、前記流量制御部が前記第2モードを実施するときは、前記第1プローブに対して第3電圧を供給するとともに、前記第2プローブに対して第4電圧を供給し、
    前記イオン源はさらに、前記第1および第2プローブの下流端の近傍に対してガスを供給するガス供給部を備え、
    前記ガス供給部は、前記流量制御部が前記第1モードを実施するときは、前記第1プローブの下流端の近傍に対して第1ガス流量の前記ガスを供給するとともに、前記第2プローブの下流端の近傍に対して第2ガス流量の前記ガスを供給し、
    前記ガス供給部は、前記流量制御部が前記第2モードを実施するときは、前記第1プローブの下流端の近傍に対して第3ガス流量の前記ガスを供給するとともに、前記第2プローブの下流端の近傍に対して第4ガス流量の前記ガスを供給する
    ことを特徴とするイオン源。
  2. 試料溶液が通過する第1および第2プローブ、
    前記第1および第2プローブを通過する試料溶液の流量を制御する流量制御部、
    前記第1および第2プローブに対して電圧を供給する電源、
    を備え、
    前記流量制御部は、前記第1プローブに第1流量の試料溶液を流すとともに前記第2プローブに第2流量の試料溶液を流す第1モードと、前記第1プローブに第3流量の試料溶液を流すとともに前記第2プローブに第4流量の試料溶液を流す第2モードとを切り替えることができるように構成されており、
    前記電源は、前記流量制御部が前記第1モードを実施するときは、前記第1プローブに対して第1電圧を供給するとともに、前記第2プローブに対して第2電圧を供給し、
    前記電源は、前記流量制御部が前記第2モードを実施するときは、前記第1プローブに対して第3電圧を供給するとともに、前記第2プローブに対して第4電圧を供給し、
    前記流量制御部は、前記第1モードから前記第2モードへ切り替わるとき、前記第1プローブに流す試料溶液の流量を前記第1流量から前記第3流量へ漸変させ、
    前記流量制御部は、前記第2モードから前記第1モードへ切り替わるとき、前記第2プローブに流す試料溶液の流量を前記第4流量から前記第2流量へ漸変させる
    ことを特徴とするイオン源。
  3. 試料溶液が通過する第1および第2プローブ、
    前記第1および第2プローブを通過する試料溶液の流量を制御する流量制御部、
    前記第1および第2プローブに対して電圧を供給する電源、
    を備え、
    前記流量制御部は、前記第1プローブに第1流量の試料溶液を流すとともに前記第2プローブに第2流量の試料溶液を流す第1モードと、前記第1プローブに第3流量の試料溶液を流すとともに前記第2プローブに第4流量の試料溶液を流す第2モードとを切り替えることができるように構成されており、
    前記電源は、前記流量制御部が前記第1モードを実施するときは、前記第1プローブに対して第1電圧を供給するとともに、前記第2プローブに対して第2電圧を供給し、
    前記電源は、前記流量制御部が前記第2モードを実施するときは、前記第1プローブに対して第3電圧を供給するとともに、前記第2プローブに対して第4電圧を供給し、
    前記第2プローブは、前記第1プローブの下流端の近傍に配置された電極を備え、
    前記電源は、前記流量制御部が前記第1モードを実施するときは、前記電極に対して、前記第1電圧と同じ極性でありかつゼロではない電圧を印加する
    ことを特徴とするイオン源。
  4. 試料溶液が通過する第1および第2プローブ、
    前記第1および第2プローブを通過する試料溶液の流量を制御する流量制御部、
    前記第1および第2プローブに対して電圧を供給する電源、
    を備えるイオン源であって
    前記流量制御部は、前記第1プローブに第1流量の試料溶液を流すとともに前記第2プローブに第2流量の試料溶液を流す第1モードと、前記第1プローブに第3流量の試料溶液を流すとともに前記第2プローブに第4流量の試料溶液を流す第2モードとを切り替えることができるように構成されており、
    前記電源は、前記流量制御部が前記第1モードを実施するときは、前記第1プローブに対して第1電圧を供給するとともに、前記第2プローブに対して第2電圧を供給し、
    前記電源は、前記流量制御部が前記第2モードを実施するときは、前記第1プローブに対して第3電圧を供給するとともに、前記第2プローブに対して第4電圧を供給し、
    前記イオン源はさらに、前記第1プローブを通過する前記試料溶液を加熱する加熱ブロックを備え、
    前記加熱ブロックは、加熱ガスを通過させる第1および第2流路を備え、
    前記第1流路は、前記第1プローブの下流端に向かって前記加熱ガスを通過させるように配置されており、
    前記第2流路は、前記第1プローブの下流端から離れかつ前記第2プローブの下流端からも離れる方向に向かって前記加熱ガスを通過させるように配置されており、
    前記加熱ブロックはさらに、前記加熱ガスを前記第1流路と前記第2流路のいずれに流すかを切り替えるガス切替部を備え、
    前記ガス切替部は、前記流量制御部が前記第1モードを実施するときは前記第1流路に前記加熱ガスを流し、前記流量制御部が前記第2モードを実施するときは前記第2流路に前記加熱ガスを流す
    ことを特徴とするイオン源。
  5. 前記ガス供給部は、前記第1プローブの下流端の近傍に対して第1種別の前記ガスを供給するとともに、前記第2プローブの下流端の近傍に対して前記第1種別とは異なる第2種別の前記ガスを供給する
    ことを特徴とする請求項記載のイオン源。
  6. 前記流量制御部は、前記試料溶液を前記第2プローブに対して供給するタイミングを制御する制御機構を備え、
    前記制御機構は、前記流量制御部が前記第2モードを実施しているとき、前記第4流量の前記試料溶液を前記第2プローブに対して間欠的に供給し、
    前記ガス供給部は、前記流量制御部が前記第2モードを実施するとともに前記制御機構が前記第4流量の前記試料溶液を前記第2プローブに対して供給しているとき、前記第1プローブの下流端の近傍に対して前記第3ガス流量の前記ガスを供給し、
    前記ガス供給部は、前記制御機構が前記第4流量の前記試料溶液を前記第2プローブに対して供給していないとき、前記第1プローブの下流端の近傍に対して前記第1ガス流量の前記ガスを供給し、
    前記第3ガス流量は前記第1ガス流量よりも小さい
    ことを特徴とする請求項記載のイオン源。
  7. 前記第1プローブは、第1イオン化方式を用いて前記試料溶液をイオン化させるように構成されており、
    前記第2プローブは、前記第1イオン化方式とは異なる第2イオン化方式を用いて前記試料溶液をイオン化させるように構成されている
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載のイオン源。
  8. 請求項1から7のいずれか1項記載のイオン源、
    前記試料溶液を収容した容器から前記試料溶液を取り出して前記第1および第2プローブに対して引き渡す分注機構、
    前記分注機構が前記容器から前記試料溶液を取り出すとき、前記流量制御部が前記第1モードと前記第2モードのいずれを実施すべきかを指定する条件を取得する条件取得部、 を備え、
    前記流量制御部は、前記条件取得部が取得した前記条件にしたがって、前記第1モードと前記第2モードを実施する
    ことを特徴とする分析装置。
  9. 前記流量制御部は、前記第1モードを複数回連続して実施するように前記条件が指定している場合は、前記第1モードを実施する回のうち一部において、前記第2プローブに前記第2流量の試料溶液を流し、前記第1モードを実施する回のうち残部において、前記第2流量よりも少ない試料溶液を流すかまたは全く流さない
    ことを特徴とする請求項記載の分析装置。
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