JP7076078B2 - セリ科植物の種子を高効率で発芽させる方法、そのためのキット及びその製造方法 - Google Patents

セリ科植物の種子を高効率で発芽させる方法、そのためのキット及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、セリ科植物の種子の高効率で発芽させる方法、そのためのキット及びその製造方法に関する。
薬事工業生産動態統計年報によれば、漢方製剤の日本国内市場は平成20年から24年の5年間で約20%拡大し、1,500億円規模を超えている。現在、国内における漢方原料の年間需要は約25,000トンであり、その供給の9割近くを輸入に頼っている現状である。特に、最大の輸入先である中国からの供給に関しては、中国国内での需要が高まっていることもあり漢方原料の価格が高騰しており、原料の安全性や国際政治問題も関連して、日本国内での供給確保が喫緊の課題となっている。この状況を受けて、厚生労働省・経済産業省・農林水産省が連携し、漢方原料の国内生産推進に向けた取り組みを支援する動きも活発化している。
セリ科植物のミシマサイコ(Bupleurum scorzonerifolium)は、その根を乾燥させたものが漢方の柴胡として用いられ、国内の漢方原料としては、使用量第13位、604トンのうち93%が中国産からの輸入となっている。現在のミシマサイコ栽培は、野生種を栽培種化したもので株間の均質性に欠け、播種から収穫に至るまで発芽や生育のばらつきが大きく、収量や品質が安定しないのが課題であった。無菌状態で生育したミシマサイコの苗を株分けして増殖させる手段が開発され、その手段は、おおむね確立されている(非特許文献1及び2)。
乾貴幸他:ミシマサイコ組織培養クローン苗の作出及び増殖:日本薬学会第136年会28AB-pm087 (2016) Guang-min X, et al: Direct somatic embryonesis and plant regeneration from protoplasts of Bupleurum scorzonerifolium Wild: Plant Cell Reports 11: 155-158 (1992) 吉田茂敏:ミシマサイコの安定多収栽培法:日作九支報64:62-64 (1998)
しかしながら、非特許文献1及び2が開示する技術において、ミシマサイコ種子の発芽率は、概して低く、(無菌条件ではなく)耕地に播種した場合でも30%程度(非特許文献3)であり、無菌処理を行った種子を植物用培地に播種した場合でも4.5%(非特許文献1)であった。従って、様々な遺伝形質を有するクローン苗を得るために、発芽率を向上させる必要がある。
生育が良好で、漢方原料となる根部の収量が大きく、かつ、薬効成分を十分に含む高品質な栽培株の選抜育種には、遺伝形質の異なる多くの種子から得た苗を植物組織培養技術によりそれぞれクローン苗として増殖させた上で、各苗から生育させた成体の生育特性や薬効成分を調べ、優れた株を選抜する手法が有効である。そのためには多数の種子を効率よく発芽させてクローン苗を得る技術が必要となる。
そこで、本発明者らは、ミシマサイコ種子を用いて、発芽効率を向上させる方法を探索した。本発明者らは、コントロールとして用いた水と貧栄養担体との播種床において、ミシマサイコ種子の発芽率が高いことに気がついた。鋭意研究を進めたところ、加熱処理済みの、水と貧栄養担体を含む播種床を用いることで、従来の方法よりもミシマサイコ種子の発芽率を高めることに成功した。
本発明によれば、
加熱処理済みの播種床上に、上記セリ科植物の種子を置く工程と、
上記セリ科植物の種子を上記播種床上で発芽させる工程と、
を有し、
上記加熱処理済みの播種床は、水と貧栄養担体とを含み、
加熱処理前の播種床における水と貧栄養担体との質量比は、1:0.5~5.0であり、
上記加熱処理済みの播種床のpHは、5.0~8.0である、
セリ科植物の種子を発芽させる方法
が提供される。この方法によれば、セリ科植物の種子の発芽率を従来技術よりも向上させることができる。
容器と、
その中に含まれる加熱処理済みの播種床を有し、
上記加熱処理済みの播種床は、水と貧栄養担体とを含み、
加熱処理前の播種床における水と貧栄養担体との質量比は、1:0.5~5.0であり、
上記加熱処理済みの播種床のpHは、5.0~8.0である、
セリ科植物の種子を発芽させるためのキット
も提供することができる。このキットを用いることによって、セリ科植物の種子の発芽率を従来技術よりも向上させることができる。
水と貧栄養担体を含む播種床を容器に加える工程と、
上記播種床を含む上記容器を加熱処理する工程と、
を有し、
加熱処理前の播種床における水と貧栄養担体との質量比は、1:0.5~5.0であり、
上記加熱処理済みの上記播種床のpHは、5.0~8.0である
上記キットを製造する方法
も提供することができる。この方法によれば、上記キットを製造することができる。
加熱処理済みの播種床を、容器に加える工程を有し、
上記加熱処理済みの播種床は、水と貧栄養担体とを含み、
加熱処理前の播種床における水と貧栄養担体との質量比は、1:0.5~5.0であり、
上記加熱処理済みの上記播種床のpHは、5.0~8.0である、
上記キットを製造する方法
も提供することができる。この方法によれば、使用条件に合わせて播種床の量を調節しながら上記キットを製造することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態は、例示であって、本発明の範囲は、以下の実施形態で示すものに限定されない。なお、同様な内容については繰り返しの煩雑をさけるために、摘示説明を省略する。
定義
便宜上、本願で使用される特定の用語について、以下に記載する。別途規定されない限り、本願で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者が一般的に理解するのと同じ意味を有する。文脈で別途明記されない限り、単数形「a」、「an」及び「the」は複数の言及を含む。
本発明で示す数値範囲及びパラメーターは、近似値であるが、特定の実施例に示されている数値は可能な限り正確に記載している。しかしながら、いずれの数値も本質的に、それぞれの試験測定値に見られる標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を含んでいる。また、本明細書で使用する「約」という用語は、一般に、所与の値又は範囲の10%、5%、1%又は0.5%以内を意味する。或いは、用語「約」は、当業者が考慮する場合、許容可能な標準誤差内にあることを意味する。
本明細書において「粒度」は、一般に、JIS Z 8901「試験用粉体及び試験用粒子」の用語の定義による。本明細書において「平均粒径」は、レーザー光を光源としたレーザー回折・散乱式測定法を用いて得られた粒度分布における積算値50%での粒径(D50)を意味し、本明細書においては体積平均粒径を意味する。
本明細書において、無菌条件とは、微生物汚染を生じさせない条件を意味する。例えば、クリーンベンチ内の環境は、無菌条件下といえる。
実施形態の詳細な説明
発芽させる方法
本実施形態において、
加熱処理済みの播種床上に、上記セリ科植物の種子を置く工程と、
上記セリ科植物の種子を上記播種床上で発芽させる工程と、
を有し、
上記加熱処理済みの播種床は、水と貧栄養担体とを含み、
加熱処理前の播種床における水と貧栄養担体との質量比は、1:0.5~5.0であり、
上記加熱処理済みの播種床のpHは、5.0~8.0である、
セリ科植物の種子を発芽させる方法
が提供される。
本方法は、加熱処理済みの播種床上に、上記セリ科植物の種子を置く工程を有する。加熱処理済みの播種床は、後述する容器、(例えば、プラスチック製プレートに形成された)1又は複数の窪み部、又は(例えば、耐水性の紙製又はビニール製の)袋に加えて使用してもよい。無菌条件下で種子を発芽させる場合、かかる工程は、無菌条件下で実施され、上記種子は、滅菌された種子である。
上記種子は、
(a)種子を水で少なくとも1時間流水洗浄する工程と
(b)流水洗浄した種子を約70%のエタノール中で少なくとも10分間撹拌する工程と、
(c)種子を約0.1%のTween20を含む約2%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液中で少なくとも10分間攪拌する工程と、
(d)種子を滅菌水中で少なくとも10分間撹拌して次亜塩素酸ナトリウムを除去する工程と、を有し、
工程(d)を少なくとも5回繰り返す方法で、滅菌してもよい。
本方法は、上記セリ科植物の種子を上記播種床上で発芽させる工程を有する。発芽条件は、植物種に依存するが、例えば、18から25℃、好ましくは、19から22℃の温度条件且つ暗所である。
キット
本実施形態において、
容器と、
その中に含まれる加熱処理済みの播種床を有し、
上記加熱処理済みの播種床は、水と貧栄養担体とを含み、
加熱処理前の播種床における水と貧栄養担体との質量比は、1:0.5~5.0であり、
上記加熱処理済みの播種床のpHは、5.0~8.0である、
セリ科植物の種子を発芽させるためのキット
も提供される。
本実施形態におけるキットは、容器とその中に含まれる加熱処理済みの播種床を有する。上記容器は、播種床を保持することができる形状であれば、特に限定するものではないが、例えば、試験管、フラスコ、シャーレ及びビーカーが挙げられる。上記容器の材質は、例えば、ガラス、金属(ステンレス及びアルミニウム等)、プラスチック及びホーローであってもよい。上記容器は、加熱処理を受ける場合、耐熱性容器であることが好ましい。上記種子を無菌条件下で発芽させる場合、上記容器は、その内部を無菌状態に維持できる密閉可能な容器であることが好ましい。密閉可能な容器は、密閉部材(例えば、蓋及び栓)によって密閉することができる。上記密閉部材は、上記容器と一体化されていてもよく、取り外し可能であってもよい。上記密閉部材は、綿、耐熱性ゴム、ポリエチレン、メラミン樹脂、金属、ポリメチルペンテン(例えば、TPX(登録商標))、ポリプロピレン又はシリコンからできていてもよい。上記容器は、加熱処理済みの播種床を収容する複数の収容部(例えば、プラスチック製プレートに形成された複数の窪み部)を有する容器であってもよい。
上記加熱処理済みの播種床は、水と貧栄養担体とを含む。上記加熱処理は、水と貧栄養担体を別々に処理するのではなく、水と貧栄養担体との混合物(スラリー)に対して実行する。一実施形態において、水と貧栄養担体とを含む播種床は、上記容器内で上記加熱処理される。加熱処理後に、水と貧栄養担体を容器の底部に落とす操作(例えば、(手動又は機械での)遠心操作及びスイング操作)をおこなってもよい。別の実施形態において、(例えば、別の容器で)播種床を加熱処理した後に、加熱処理した播種床を上記容器に分配する。この場合、水分の蒸発を防ぐために、加熱処理した播種床の分配は、その温度が室温に戻ってから行なうのが好ましい。分配後に、水と貧栄養担体を容器の底部に落とす操作(例えば、(手動又は機械での)遠心操作及びスイング操作)をおこなってもよい。上記加熱処理は、播種床中の水分量の変化を極力抑えるために、播種床を含む密封された容器に対して行われる。
上記加熱処理は、必要に応じて、密封可能な装置(例えば、高圧蒸気滅菌器)を用いて実行してもよい。上記加熱処理の温度は、95℃から134℃であってもよい。上記加熱処理の時間は、種子の発芽を促進する播種床が形成される時間であればよく、例えば、95℃以上115℃未満であれば、45分以上、115℃以上121℃未満であれば、30分以上、121℃以上126℃未満であれば、15分以上、126℃以上129℃未満であれば、10分以上、129℃以上134℃以下であれば、8分以上であってもよい。
無菌条件下で種子を発芽させる場合、播種床と容器は、高圧蒸気滅菌処理されていることが好ましい。この場合、播種床は、室温で一晩放置してから高圧蒸気滅菌処理を行なうことが好ましい。蒸気滅菌では死滅しない糸状菌等の胞子を、高圧蒸気滅菌処理前に胞子発芽させるためである。一実施形態において、播種床と容器は、高圧蒸気滅菌条件(115℃以上121℃未満であれば、30分以上、121℃以上126℃未満であれば、15分以上、126℃以上129℃未満であれば、10分以上、129℃以上134℃以下であれば、8分以上)下で加熱処理された播種床と容器であり、高圧蒸気滅菌処理された播種床は、容器内で無菌的に密閉されている。
一実施形態において、上記加熱処理済みの播種床は、水と貧栄養担体以外の成分(例えば、ジベレリン)を含む。別の実施形態において、上記加熱処理済みの播種床は、上記水と貧栄養担体からなる。更に別の実施形態において、上記加熱処理済みの播種床は、上記水と貧栄養担体のみからなる。この場合、上記播種床は、加熱処理済みのスラリー、又は加熱処理済みの水及び貧栄養担体に言い換えることができる。
上記水(加熱処理前の水)としては、イオン交換水又は蒸留水を挙げることができるが、種子の発芽に影響を及ぼさない限り他の種類の水(例えば、電気抵抗率が25℃で17MΩ・cm以上の水)であってもよい。
上記貧栄養担体は、略粒状担体である。上記貧栄養担体は、(例えば、単独では植物が十分に育たないレベルで)肥料成分が含まれていない担体を指す。また、種子の発芽に対する影響を考慮すると、上記貧栄養担体は、水と共に加熱処理した後の水のpH(即ち、播種床のpH)を5.0から8.0にする担体が好ましい。上記pHは、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5又は8.0であってもよく、その範囲内の任意の2つの値の間の範囲(例えば、6.5~8.0及び1:6.5~7.0)であってもよい。上記貧栄養担体は、多孔質であることが好ましい。上記貧栄養担体は、保水性であることが好ましい。上記貧栄養担体のベッド高は、種子の発芽によって延びる根の所望の長さに依存して変えることができる。上記貧栄養担体のベッド高は、容器の底から0.5~11.0cmであってもよく、例えば、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、10.5、11.0cmであってもよく、その範囲内の任意の2つの値の間の範囲(例えば、1.0~3.0cm、3.0~5.0cm及び5.0~10.0cm)であってもよい。上記貧栄養担体のベッド高は、種子の発芽を促進するのであれば11.0cm超のベッド高であってもよい。一実施形態において、上記貧栄養担体は、蛭石又は火山灰土でできている。一実施形態において、上記貧栄養担体は、バーミキュライト又は赤玉土である。バーミキュライトは、園芸グレードであってもよく、例えば、バーミキュライトの平均粒径は、1.5~10.0mmであればよく、例えば、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0mmであってもよく、その範囲内の任意の2つの値の間の範囲(例えば、1.5~5.0mm及び3.0~5.0mm)であってもよい。赤玉土は、園芸グレードであってもよく、例えば、赤玉土の平均粒径は、2.0~10.0mmであればよく、例えば、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0mmであってもよく、その範囲内の任意の2つの値の間の範囲(例えば、2.0~5.0mm及び3.0~6.0mm)であってもよい。
加熱処理前のスラリーにおける水と貧栄養担体との質量比は、1:0.5~5.0である。上記質量比は、1:0.5、1:0.6、1:0.7、1:0.8、1:0.9、1:1.0、1:1.1、1:1.2、1:1.3、1:1.4、1:1.5、1:1.6、1:1.7、1:1.8、1:1.9、1:2.0、1:2.1、1:2.2、1:2.3、1:2.4、1:2.5、1:2.6、1:2.7、1:2.8、1:2.9、1:3.0、1:3.1、1:3.2、1:3.3、1:3.4、1:3.5、1:3.6、1:3.7、1:3.8、1:3.9、1:4.0、1:4.1、1:4.2、1:4.3、1:4.4、1:4.5、1:4.6、1:4.7、1:4.8、1:4.9又は1:5.0であってもよく、その範囲内の任意の2つの値の間の範囲(例えば、1:3.0~3.5及び1:0.8~1.5)であってもよい。上記質量比は、貧栄養担体の種類、容器のサイズ、播種床のpH、種子の種類若しくは加熱処理条件又はそれらの組み合わせによって、変更することができる。例えば、貧栄養担体としてバーミキュライトを用いる場合、上記質量比は、1:2.5~4.0であってもよい。また、貧栄養担体としてバーミキュライトを用いる場合、上記質量比は、1:0.5~2.0であってもよい。種子の発芽に影響を及ぼさない場合は、上記質量比は、加熱処理後のスラリーにおける水と貧栄養担体との質量比とすることができる。加熱処理による水分の蒸発量が多い場合は、加熱処理した水を追加してもよい。従って、上記加熱処理済みの播種床における水と貧栄養担体との質量比は、1:0.5~5.0であってもよい。
セリ科植物としては、ミシマサイコ、センキュウ、トウキ、イノンド、キャラウェイ、フェンドロ、ボタンボウフウ、アシタバ、ニンジン、パセリ、ミツバ、チャーベル、フェンネル、セロリ、コリアンダーが挙げられるが、好ましくは、ミシマサイコである。
製造方法
本実施形態において、
水と貧栄養担体を含む播種床を容器に加える工程と、
上記播種床を含む上記容器を加熱処理する工程と、
を有し、
加熱処理前の播種床における水と貧栄養担体との質量比は、1:0.5~5.0であり、
上記加熱処理済みの上記播種床のpHは、5.0~8.0である
上記キットを製造する方法
も提供される。
本方法は、水と貧栄養担体を含む播種床を容器に加える工程を有する。一実施形態において、かかる工程は、水と貧栄養担体を混合して混合物を取得する工程と、上記混合物を容器に加える工程を含んでいてもよい。別の実施形態において、かかる工程は、貧栄養担体を容器に加えて、その後、水を容器に加える工程であってもよい。無菌条件下で種子を発芽させる場合、本方法は、かかる工程の後に、上記容器を密閉する工程を有する。
本方法は、上記播種床を含む上記容器を加熱処理する工程も有する。本方法は、かかる工程の前に、水と貧栄養担体を含む容器をボルテックスする(例えば、蓋又は栓に貧栄養担体が付かないように攪拌する)工程を有していてもよい。本方法は、かかる工程の後に、水と貧栄養担体を容器の底部に落とす工程を有していてもよい。
本実施形態において、
加熱処理済みの播種床を、容器に加える工程を有し、
上記加熱処理済みの播種床は、水と貧栄養担体とを含み、
加熱処理前の播種床における水と貧栄養担体との質量比は、1:0.5~5.0であり、
上記加熱処理済みの上記播種床のpHは、5.0~8.0である、
上記キットを製造する方法
も提供される。
本方法は、加熱処理済みの播種床を、容器に加える工程を有する。無菌条件下で種子を発芽させる場合、かかる工程は、無菌条件下で実施され、播種床と容器は、高圧蒸気滅菌条件下で加熱処理された播種床と容器である。かかる工程の前に、播種床を加熱処理する工程を有していてもよい。
以下、本発明を実施例によりさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1. 播種床の調製
18.5mm径、20ml容程度のガラス試験管にバーミキュライト(株式会社牧野)2.5gずつをとり、イオン交換水または蒸留水8mlずつを加えてポリプロピレンキャップをし、常温にて一晩放置した。その後、121℃にて20分間、蒸気滅菌を行った。放冷後、試験管中の水の沸騰によりバーミキュライトが上部に付着している場合には試験官を軽く振ってバーミキュライトを試験管下部に落とした。
2. ミシマサイコ種子の播種
乾燥状態で常温又は冷蔵(4℃)保存したミシマサイコ種子を必要数とり、ガーゼにくるみ口を輪ゴムで留めて2000mlビーカーに入れ、ガーゼ中に気泡が入らないよう留意して水道水で1時間、流水洗浄を行った。
クリーンベンチ内にて、滅菌した100mlビーカーに7割容の70%エタノールを注いだ。このビーカーに、ガーゼ内の種子をすべて加えて、スターラーを用いて10分間攪拌した。滅菌済みの茶漉しを用いてビーカー内容物をろ過し、種子を回収した。回収した種子を、0.1% Tween20を含む2%次亜塩素酸ナトリウム水溶液中で10分間攪拌した。攪拌後、滅菌済み茶漉しを用いて種子を回収して滅菌水の入ったビーカーに移した。滅菌水中の種子を10分間攪拌して次亜塩素酸ナトリウムを除去した。滅菌水を用いた次亜塩素酸ナトリウムの除去は、5回以上行った。
洗浄終了後、滅菌水に懸濁した状態の種子を1粒ずつ無菌ピンセットで拾い上げ、調製した播種床のバーミキュライト上に播種した。播種後、種子入りのガラス試験管を20℃の暗所に静置した。
3. 試験結果
3.1. 従来法の発芽率の確認
コントロールの条件は、以下の通りとした。10mlの
(1)0.25%ゲルライトを含む1/2濃度Murashige-Schoog(MS)培地、
(2)1%スクロースを含む(1)の培地、
(3)1%グルコースを含む(1)の培地、
(4)0.01mg/lジベレリンを含む(1)の培地、
(5)1%スクロース及び0.01mg/lジベレリンを含む(1)の培地、
(6)1%グルコース及び0.01mg/lジベレリンを含む(1)の培地、
を各試験管に加えた。各試験管を蒸気滅菌した。殺菌したミシマサイコ種子を試験管あたり1粒ずつ加えた。各試験区あたりのサンプル数は、20とした(n=20)。播種後171日目に(4)の試験区にて1種子で発芽が認められたのみで、他はまったく発芽しなかった。既報(非特許文献1)の通り、従来法では発芽率が5%程度以下であることを確認した。
3.2. 水のみを用いた発芽の確認
従来法で用いているMS培地が発芽の妨げとなっている可能性を考慮し、水のみの試験を行った。10mlの
(I)水寒天(0.4%)、
(II)0.01mg/lジベレリンを含む水寒天(0/4%)、
(III)2.5gバーミキュライトを含む8mlのイオン交換水
(IV)2.5gバーミキュライトと0.01mg/lジベレリンを含む8mlのイオン交換水
を各試験管に加えた。各試験管を蒸気滅菌した。試験区(III)の播種床のpHは、7.5であった。殺菌したミシマサイコ種子を試験管あたり1粒ずつ加えた。各試験区あたりのサンプル数は、20とした(n=20)。結果を表1に示す。
Figure 0007076078000001
表1より、MS培地成分が存在しないほうが発芽数は多くなり、かつ、担体をバーミキュライトにすると発芽数が飛躍的に増大する(発芽率70%)ことを確認した。発芽促進効果を有するとされるジベレリンの添加は、添加の有無によりそれほど大きな差が見られなかった。
3.3. 土粒状担体の比較
園芸で一般に用いられる土粒である赤玉土(小粒)(株式会社プロトリーフ)及び鹿沼土(小粒)(株式会社ケーヨー)についても検討した。ただし、土粒はバーミキュライトに比して固体密度が高く、同一重量比では土粒が水没してしまうため、バーミキュライトと同程度の水分間隙率となるように土粒重量を調整し土粒:イオン交換水重量比を1:1とした。発芽のばらつきの程度をみるために土粒(赤玉土(AD)及び鹿沼土(KP))は、2試験区ずつ(それぞれ#1及び#2)、バーミキュライト(VL)は4試験区(#1から#4)を設けた。各試験管を蒸気滅菌した。試験区(ADの#1及び#2)の播種床のpHは、5.6であった。試験区(PKの#1及び#2)の播種床のpHは、6.3であった。殺菌したミシマサイコ種子を試験管あたり1粒ずつ加えた。各試験区あたりのサンプル数は、20とした(n=20)。結果を表2に示す。
Figure 0007076078000002
赤玉土でもバーミキュライトと同様に発芽が見られたが、鹿沼土ではほとんど発芽が見られなかった。
3.4. 発芽の再確認
バーミキュライトを用いて、再度、3試験区を設けて「3.2. 水のみを用いた発芽の確認」に記載の手順に従い殺菌したミシマサイコ種子を試験管あたり1粒ずつ、各試験区20粒播種して試験した。結果を表3に示す。
Figure 0007076078000003
表1から表3に示した試験結果をあわせると計8回の独立した試験を経た結果、播種後1ヶ月で23(±20)%、3ヶ月で39(±12)%、6ヶ月で41(±17)%、もっともよい場合で70%(14/20)もの発芽が得られることが明らかとなった。

Claims (8)

  1. 加熱処理済みの播種床上に、ミシマサイコの種子を置く工程と、
    前記ミシマサイコの種子を前記加熱処理済みの播種床上で発芽させる工程と、
    を有し、
    前記加熱処理済みの播種床は、水とバーミキュライト又は赤玉土とを含み、
    加熱処理前の播種床における水とバーミキュライト又は赤玉土との質量比は、1:0.5~5.0であり、
    前記加熱処理済みの播種床のpHは、5.0~8.0である、
    ミシマサイコの種子を発芽させる方法。
  2. 前記加熱処理済みの播種床における水とバーミキュライト又は赤玉土との質量比は、1:0.5~5.0である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記加熱処理済みの播種床は、前記水とバーミキュライト又は赤玉土からなる、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 容器と、
    その中に含まれる加熱処理済みの播種床を有し、
    前記加熱処理済みの播種床は、水とバーミキュライト又は赤玉土とを含み、
    加熱処理前の播種床における水とバーミキュライト又は赤玉土との質量比は、1:0.5~5.0であり、
    前記加熱処理済みの播種床のpHは、5.0~8.0である、
    ミシマサイコの種子を発芽させるためのキット。
  5. 前記加熱処理済みの播種床における水とバーミキュライト又は赤玉土との質量比は、1:0.5~5.0である、請求項4に記載のキット。
  6. 前記加熱処理済みの播種床は、前記水とバーミキュライト又は赤玉土からなる、請求項4又は5に記載のキット。
  7. 水とバーミキュライト又は赤玉土を含む播種床を容器に加える工程と、
    前記播種床を含む前記容器を加熱処理する工程と、
    を有し、
    加熱処理前の播種床における水とバーミキュライト又は赤玉土との質量比は、1:0.5~5.0であり、
    前記加熱処理済みの前記播種床のpHは、5.0~8.0である、
    請求項4から6のいずれかに記載のキットを製造する方法。
  8. 加熱処理済みの播種床を、容器に加える工程を有し、
    前記加熱処理済みの播種床は、水とバーミキュライト又は赤玉土とを含み、
    加熱処理前の播種床における水とバーミキュライト又は赤玉土との質量比は、1:0.5~5.0であり、
    前記加熱処理済みの前記播種床のpHは、5.0~8.0である、
    請求項4から6のいずれかに記載のキットを製造する方法。
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