JP7074549B2 - バドミントンラケット及びバドミントンラケットの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、シャフトを備えたバドミントンラケット及びバドミントンラケットの製造方法に関する。
バドミントンにあっては、プレーヤがラケットをスイングしてシャトルを打撃することによってプレーされる。例えば、特許文献1に開示されるように、バドミントンのラケットは、グリップと環状のフレームとを連結して直線状に延びるシャフトを備え、フレーム及びシャフトは繊維強化樹脂によって形成されている。
特開平11-262545号公報
特許文献1に開示されるようなラケットのシャフトにあっては、繊維強化樹脂を中空円筒状に形成しているので、強度及び性能の両方を確保するために、外径寸法が6.4mm以上となっていた。一方、シャフトを細く(外径寸法を小さく)することで、スイング時の空気抵抗を削減してスイングスピードを速くし、振り抜き性を良くすることが望まれているが、細径とした場合に実際のプレーに耐え得る強度を確保することが困難となっていた。
本発明は、以上のような実情に鑑みてなされたもので、シャフトの強度不足を回避しつつシャフトの細径化を図ることができるバドミントンラケット及びバドミントンラケットの製造方法を提供することを目的とする。
本発明のバドミントンラケットは、環状に延在するフレームと、グリップと、前記フレームと前記グリップとを連結するシャフトとを備えたバドミントンラケットであって、前記シャフトは、繊維強化樹脂によって形成され、且つ、筒部の内部に繊維強化樹脂の芯部を挿入して固定することで中実に形成され、延在方向に直交する面で断面視したときに形で直径寸法が5.7mm以上6.2mm以下に設定されていることを特徴とする。また、本発明の前記バドミントンラケットの製造方法は、複数の繊維強化樹脂の樹脂シートをマンドレルに同心状に積層して加熱し、その後マンドレルを抜き取ることで前記筒部を成形し、該筒部の成形と前後して、繊維強化樹脂を丸軸状に加熱成形して前記芯部を成形し、前記筒部の内部に前記芯部を挿入してから固定することで前記シャフトを形成することを特徴とする。
この構成によれば、シャフトを中実の繊維強化樹脂で形成して上述のような外径寸法に形成することで、シャフトの強度の確保と、シャフトの細径化との両立を実現することが可能となる。これにより、プレーに要する耐久性を有しつつ、スイング時のシャフトにおける空気抵抗を削減して振り抜き性を高めることができる。
本発明において、前記断面の直径寸法が約6mmに設定されているとよい。この構成によれば、シャフトの強度確保と細径化による振り抜き性能の改善とをバランス良く実現することができる。
本発明によれば、シャフトの強度不足を回避しつつシャフトの細径化を図ることができる。
本発明の実施の形態に係るラケットの正面図である。 図1のA-A線で切断したシャフトの断面図である。 実施例及び比較例のシャフトの外径寸法としなり強度との関係を示す図である。 実施例及び比較例のラケットのしなり量を測定する実験の説明図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明する。図1は、実施の形態に係るバドミントンラケットの正面図である。なお、以下の各図では、説明の便宜上、一部の構成を省略する場合がある。
図1に示すように、バドミントンラケット(以下、「ラケット」とする)10は、プレーヤに把持されるグリップ11と、グリップ11に一端側が連結されて直線方向に延在するシャフト12と、シャフト12の他端側に連結された楕円形の環状をなすフレーム13とを備えている。フレーム13の内側にはストリング14が張設されており、このストリング14によってシャトルが打撃される打球面15が形成される。
なお、特許請求の範囲及び本明細書の説明において、特に明示しない限り、図1中矢印にて示すように、ラケット10の長手方向のうちフレーム13が位置する側を先端側とし、グリップ11が位置する側を後端側とする。また、打球面15に直交する方向を表裏方向とし、更に、打球面15上において(即ち打球面15に沿う平面上において)長手方向に直交する方向を左右方向とする。
グリップ11とシャフト12とは、グリップ11に対してシャフト12が所定長さ差し込まれて接着等により固定された状態で連結される。
フレーム13は、所定の肉厚となる中空体によって形成され、その断面形状は、円形や楕円形、方形にする等、種々の形状を採用することができる。フレーム13は、空気など媒体の膨張による内圧成形を利用して形成されている。フレーム13の内部には、所定の発泡材を充填して形成することが例示できるが、発泡材の充填は、フレーム13の一部又は全部において省略してもよい。ラケット10においてフレーム13とシャフト12とは、これらに内蔵されるT型のジョイント(不図示)によって連結される。
図2は、図1のA-A線で切断したシャフトの断面図である。図2に示すように、シャフト12は、延在方向に直交する面で断面視したときに概略円形に形成される。シャフト12は、中心側に位置する芯部12aと、芯部12aが挿入されてシャフト12の外周面を形成する筒部12bとを備えて中実に形成されている。シャフト12の芯部12a及び筒部12bは、両方とも繊維からなる強化材を含む繊維強化樹脂によって形成されている。
シャフト12は、本実施の形態では、その外径が先端から後端に亘って略同一となるように形成されている。シャフト12にあっては、断面の直径寸法Dが5.7mm以上6.2mm以下に設定され、好ましくは6.0mm以上6.2mm以下に設定され、より好ましくは約6.0mmに設定される。その理由については、後述する。
次に、本実施の形態に係るバドミントンラケットの製造方法について説明する。先ず、熱硬化性の繊維強化樹脂(FRP:Fiber Reinforced Plastics)の樹脂シート(カーボンシート)を用意する。なお、繊維強化樹脂は、エポキシやビニルエステル樹脂等の熱硬化性樹脂に強化繊維を配合して半硬化させたものであり、強化繊維としては、カーボン繊維、ガラス繊維、有機繊維、セラミック繊維などのうちから適宜選択できる。本実施形態の樹脂シートは、強化繊維としてカーボン繊維を用いている。
シャフト12を成形するため、複数の樹脂シートをマンドレルに同心状に積層して加熱し、その後マンドレルを抜き取ることで筒部12bを成形する。複数の樹脂シートにおけるカーボン繊維の配向方向はシャフト12の延在方向、該延在方向に直交する方向、該延在方向に対して45°方向に指向する方向等、適宜な方向が組み合わされる。
筒部12bの成形と前後して、樹脂シートと同様の素材からなる繊維強化樹脂が丸軸状に加熱成形されて芯部12aが成形される。その後、筒部12bの内部に芯部12aが挿入され、必要に応じて接着等の手段によって固定される。芯部12aの外径と筒部12bの内径とは概略同一寸法に設定され、それらの間に隙間が生じないように形成される。
なお、上記では、シャフト12の成形にあたり、芯部12aと筒部12bとを別々に形成したが、シャフト12の外径を備えた中実の軸状部材を加熱成形して形成することを妨げるものでない。
シャフト12の成形と前後して、フレーム13を成形するため、フレーム13用の樹脂シートを複数積層し、円筒状に巻いた樹脂シート筒を形成する。その後、フレーム13用の樹脂シートを環状に湾曲させて突き合わせた両端部に接着剤を付着したT型のジョイントを装着し、シャフト12における筒部12bの先端側にもジョイントを装着する。このようにジョイントが装着されたフレーム13とシャフト12の先端側とを金型に設置した後、該金型を加熱及び加圧してフレーム13とシャフト12とを接合する。
続いて、図3を参照して、シャフトの外径寸法としなり量との関係について行った実験について説明する。図3は、実施例及び比較例のシャフトの外径寸法としなり量との関係を示す図である。図3において横軸はシャフトの外径寸法、縦軸はシャフトのしなり量(相対値)を示している。
実験においては、実施例として、上記実施の形態にて説明したように図2に示すような中実となる断面形状のシャフトを備えたラケットを製作した。また、実験においては、比較例として、実施例のシャフトを中空円筒状に変更したラケットを製作した。実施例のシャフトは、成形後に、曲げ強度が1,200MPa以上2,000MPa以下、曲げ弾性率が130GPa以上230GPa以下の範囲に収まる複数の樹脂シートを用いて整形した。複数の樹脂シートは、上記範囲内であれば、曲げ強度及び曲げ弾性率が同じであってもよいし、それぞれ異なっていてもよい。比較例のシャフトは、成形後に、曲げ強度が1200MPa以上2100MPa以下、曲げ弾性率が160GPa以上230GPa以下の範囲に収まる樹脂シートを用いて整形した。
実施例及び比較例それぞれにおいて、5.6mm~7.0mmの範囲で図3の横軸に示す外径寸法のシャフトを備えたラケットを製作した。比較例のラケットにおけるシャフトの内径寸法は、2.8mmに設定した。
図4は、実施例及び比較例に係るラケットのしなり量を測定する実験の説明図である。図4に示すように、本実験では、ラケットのグリップを固定し、フレームの先端側に所定の荷重Fを加え、当該荷重Fを加える前に対してフレームの先端における表裏方向の変形量をしなり量として測定した。この測定は、実施例及び比較例にてシャフトの外径寸法を上述のように代えたラケットそれぞれについて行った測定において、シャフトの外径寸法が6.4mmとなる比較例のラケットに荷重Fを加えた際のしなり量の値を100とし、他の比較例及び実施例のラケットのしなり量を相対値として測定した。測定結果を図3のグラフに示す。
図3のグラフから理解できるように、実施例及び比較例の両方において、シャフトの外径寸法が大きくなる程、シャフトのしなり量が概ね一次的(線形的)に小さくなり、シャフトとしての強度が高くなる。
ここで、比較例でシャフトの外径寸法が6.4mmとしたラケットは、製品化されて使用実績があるので、しなり量が100以下の条件のラケットは、シャフトにおける強度条件を満たすこととなる。従って、シャフトが中実となる実施例では、シャフトの外径寸法6.0mm以上とした場合に強度条件を満たすこととなる。特にシャフトの外径寸法を6.0mm以上6.2mm以下とした場合、更に好ましくはシャフトの外径寸法約6.0mmとした場合には、シャフトの強度を担保しつつ、シャフトの外径寸法が6.4mmの比較例に比べて細径にでき、スイング時の空気抵抗を減らして振り抜き性を高めることができる。
また、比較例でシャフトの外径寸法が6.0mmとしたラケットについては、実試打したところ、強度不足で十分にプレーできないことが実証された。シャフトの外径寸法が6.0mmの比較例は、しなり量が123となるので、しなり量が123より大きくなる場合には強度不足となる。従って、実施例にて、しなり量が123以下の外径寸法となるシャフトで強度条件を満たすものと想定される。言い換えると、実施例では、しなり量が123より十分小さくなる外径寸法5.7mm以上とした場合に強度条件を満たすものと想定される。かかる外径寸法では、更なる細径化によってスイング時の空気抵抗をより削減して振り抜き性を更に向上させることができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状、方向などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
例えば、シャフト12とフレーム13との連結は、上述したジョイントに限定されるものでなく、上記実施の形態のラケットと同様にプレーできる限りにおいて、他の連結構造を採用してもよい。
本発明は、シャフトの強度不足を回避しつつシャフトの細径化を図ることができるバドミントンラケットに関する。
10 ラケット(バドミントンラケット)
11 グリップ
12 シャフト
13 フレーム

Claims (3)

  1. 環状に延在するフレームと、グリップと、前記フレームと前記グリップとを連結するシャフトとを備えたバドミントンラケットであって、
    前記シャフトは、繊維強化樹脂によって形成され、且つ、筒部の内部に繊維強化樹脂の芯部を挿入して固定することで中実に形成され、延在方向に直交する面で断面視したときに形で直径寸法が5.7mm以上6.2mm以下に設定されていることを特徴とするバドミントンラケット。
  2. 前記断面の直径寸法が約6mmに設定されていることを特徴とする請求項1に記載のバドミントンラケット。
  3. 請求項1または請求項2に記載のバドミントンラケットの製造方法であって、
    複数の繊維強化樹脂の樹脂シートをマンドレルに同心状に積層して加熱し、その後マンドレルを抜き取ることで前記筒部を成形し、
    該筒部の成形と前後して、繊維強化樹脂を丸軸状に加熱成形して前記芯部を成形し、
    前記筒部の内部に前記芯部を挿入してから固定することで前記シャフトを形成することを特徴とするバドミントンラケットの製造方法。
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