以下、信号生成装置および信号読取システムの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
本件発明に係る信号生成装置および信号読取システムは、CAN通信用のシリアルバス(通信路)から各種CANフレーム(2線差動電圧方式のロジック信号によって示されている符号列)を取得して動作する各種電子機器とシリアルバスとの間に配設して使用可能に構成されている。以下、一例として、自動車に配設されている通信路からロジック信号を読み取り、対応する符号列(CANフレーム)を利用した各種の処理を外部機器において実行させる例について説明する。
図1に示す信号読取システム1は、「信号読取システム」の一例であって、信号生成装置2(「信号生成装置」の一例)、および符号化装置3(「符号化装置」の一例)を備えて構成されている。この信号読取システム1は、自動車に配設されているCAN通信用のシリアルバスSB(「通信路」の一例)からCANフレーム(「通信路を介して伝送されるロジック信号」の一例)を読み取り、読み取ったCANフレームと同じCANフレーム(「ロジック信号に対応する符号列」の一例)を各種のCAN通信対応機器に出力することができるように(いわゆる、CANバスアナライザとして)構成されている。
この場合、シリアルバスSBを介してのCANプロトコルに準拠した通信時には、CANフレームの内容(符号列)を表すロジック信号が、シリアルバスSBにおける2本の信号線(「CANH」および「CANL」の2本の信号線)の間の電位差である差動信号として伝送される。なお、シリアルバスSBを介してのロジック信号の伝送原理については公知のため、詳細な説明を省略する。また、シリアルバスSBにおいて差動信号を伝送するための基準電位となる信号線である「SG」や、差動信号の伝送の用途以外に配設されている信号線および電力線等の図示および説明を省略する。
一方、信号生成装置2は、被覆導線La(「CANH」に対応する信号線:高電位側信号線:「ロジック信号を伝送するための一対の被覆導線」の一方の一例)、および被覆導線Lb(「CANL」に対応する信号線:低電位側信号線:「ロジック信号を伝送するための一対の被覆導線」の他方の一例)の2本(以下、区別しないときには「被覆導線L」ともいう)を介して伝送されるロジック信号Sa(CANフレームに対応する差動信号:図3参照)に基づき、一例として、「高電位期間」および「低電位期間」の配列パターンがロジック信号Saのロジックパターンと反転した符号特定用信号Sf(「符号特定用信号」としての「第2の信号」の一例:同図参照)を生成する。具体的には、信号生成装置2は、図2に示すように、電極部11a,11b(以下、区別しないときには「電極部11」ともいう)、検出部12および信号生成部13を備えて構成されている。
電極部11は、電極21、およびシールド22を備えて構成されている。この場合、電極部11は、被覆導線Lに対して着脱可能に構成され、装着状態において被覆導線Lの被覆部に電極21が接触(当接)するように構成されている。この電極部11は、被覆導線Lの金属部分(芯線)と接触することなく非接触の状態(つまり、金属非接触の状態)で被覆導線Lの電位を検出可能に構成されている。また、同図に示すように、各電極部11の各電極21は、シールドケーブル(同軸ケーブル)50の芯線を介して検出部12内の後述するトランス31における一次巻線31aに接続され、各電極部11の各シールド22は、シールドケーブル50のシールドを介してトランス31における一次巻線31a側の基準電位(後述の「第1基準電位」)にそれぞれ接続されている。
検出部12は、被覆導線La,Lbを介して伝送されるロジック信号Saのロジックパターンに従って変化する被覆導線La,Lb間の電位差を検出して、その電位差の変化を示す差分信号Sd(図3参照)を出力(検出)する。具体的には、検出部12は、図2に示すように、トランス31、オペアンプ32、抵抗33a~33fおよびコンデンサ34を備えて構成されている。
トランス31は、差分回路であって、図2に示すように、一次巻線31aおよび二次巻線31bを備えて構成されている。この場合、トランス31の一次巻線31aにおける一次側端子41a,41bは、シールドケーブル50の芯線を介して各電極部11a,11bの各電極21にそれぞれ接続されている。また、二次巻線31bにはセンタータップ43が設けられており、このセンタータップ43は、二次巻線31b側の二次回路の基準電位(後述の「第2基準電位」)に接続されている。また、トランス31の二次巻線31bにおける二次側端子42a,42b間には、二次巻線31bに流れる電流を電流-電圧変換する抵抗33aが接続されている。また、二次側端子42aは、抵抗33bを介してオペアンプ32の反転入力端子に接続され、二次側端子42bは、抵抗33cを介してオペアンプ32の非反転入力端子に接続されている。
また、同図に示すように、オペアンプ32の反転入力端子と出力端子との間には抵抗33d(帰還抵抗)が接続され、非反転入力端子と二次回路の基準電位との間には抵抗33eが接続されている。また、オペアンプ32の出力端子には、出力抵抗としての抵抗33fが接続されている。このオペアンプ32は、抵抗33b~33eと共に差動増幅回路を構成し、反転入力端子に入力した信号と非反転入力端子に入力した信号との差分信号を抵抗33b~33eで規定される増幅率で増幅した差分信号Sdを抵抗33fを介して出力する。また、コンデンサ34は、トランス31の一次巻線31a側の一次回路の基準電位(以下、「第1基準電位」ともいう)とトランス31の二次巻線31b側の二次回路の基準電位(以下、「第2基準電位」ともいう)との間に接続されており、第1基準電位と第2基準電位とを交流的に同電位に維持すると共に直流的に絶縁する機能を有している。
信号生成部13は、図2に示すように、非反転入力端子が抵抗52aを介して第2基準電位に接続されると共に非反転入力端子と出力端子との間に抵抗52b(帰還抵抗)が接続されて、ヒステリシス付のコンパレータ51として構成されている。この場合、ヒステリシスのしきい値となる基準値Vr1,Vr2(Vr1>Vr2。図3参照)が、抵抗52a,52bの抵抗値とコンパレータ51の出力電圧(符号特定用信号Sfの高電位期間での電圧と低電位期間での電圧)によって予め規定されている。この信号生成部13は、抵抗33fを介して検出部12から差分信号Sdを入力して、図3の中段および下段に示すように、差分信号Sdの立ち上がり時の電圧が基準値Vr1(第1基準値)を上回ったときを「高電位期間」の開始とし、かつ差分信号Sdの立ち下がり時の電圧が基準値Vr2(第2基準値)よりも下回ったときを「低電位期間」の開始とする符号特定用信号Sfを生成する。
符号化装置3は、信号生成装置2から出力された符号特定用信号Sfに基づき、ロジック信号Saに対応する符号列Cs(図3参照)を特定する符号化処理を実行し、特定した符号列Cs(すなわち、シリアルバスSBを伝送されているCANフレームと同じCANフレーム)を、信号読取システム1に接続されている各種CAN通信対応機器に出力する。
この場合、本例の信号読取システム1では、信号生成装置2は、「高電位期間」および「低電位期間」の配列パターンが、シリアルバスSBを介して伝送されているロジック信号Saのロジックパターンと反転する符号特定用信号Sfを生成して出力する。また、符号化装置3は、符号特定用信号Sfにおける低電位期間を2進数データの「0」とし、かつ符号特定用信号Sfにおける高電位期間を2進数データの「1」とする符号化処理を実行して符号列Cs(CANフレーム)を特定する。
次に、信号読取システム1の使用例、およびその際の信号読取システム1の動作について、図面を参照して説明する。なお、各電極部11a,11bの各電極21は信号生成装置2の検出部12におけるトランス31の一次側端子41a,41bにシールドケーブル50の芯線を介してそれぞれ接続されており、電極部11a,11bの各シールド22はシールドケーブル50のシールドを介して検出部12の第1基準電位にそれぞれ接続されているものとする。
まず、図2に示すように、自動車に敷設されているシリアルバスSBにおける被覆導線La,Lbの被覆部に電極21が接触(当接)するように電極部11a,11bを被覆導線La,Lbにそれぞれ装着すると共に、符号列Csを出力すべきCAN通信対応機器を符号化装置3に接続する。
この場合、本例の信号読取システム1では、被覆導線La,Lb自体を加工する(絶縁被覆を剥がす)ことなく、電極部11a,11bを装着するだけでシリアルバスSBからロジック信号Saを読み取ることができるため、シリアルバスSBにコネクタが配設されていない場合においても使用することができる。また、コネクタが配設されていたとしても、シリアルバスSBに対する接続場所(電極部11a,11bの装着場所)がコネクタの配設場所に限定されずに、被覆導線La,Lbの長手方向における任意の場所に接続する(電極部11a,11bを装着する)ことが可能となっている。したがって、信号読取システム1に接続するCAN通信対応機器の大きさや防振の要否などの諸条件に応じて、自動車内の任意の場所に信号読取システム1を接続することができる。
この状態において、自動車に搭載された図外のCAN通信対応機器(制御情報を示すCANフレームを出力するコントローラや、任意の計測結果を示すCANフレームを出力する検出器等)からシリアルバスSBにロジック信号Saが出力されたときに、信号生成装置2の検出部12では、ロジック信号Saの電圧変化に応じた電流値の信号Sb(電流信号)がシリアルバスSBの被覆導線La,Lbと電極部11a,11bの各電極21との結合容量を介してトランス31の一次側端子41a,41bに入力される。
この場合、各信号Sb,Sbがトランス31の一次巻線31aを互いに逆方向に流れるため、トランス31は、差分回路として機能する。この際に、一次巻線31aに各信号Sb,Sbの差分が流れ、この結果、一次巻線31aと二次巻線31bの巻数比に応じた電流が、トランス31の二次巻線31bに流れる。これにより、この二次巻線31bを流れる電流は、抵抗33aによって電流-電圧変換される。
この際に、トランス31の二次巻線31bにおけるセンタータップ43が第2基準電位に接続されているため、二次側端子42aとセンタータップ43との間の二次巻線の巻数に応じた電圧の出力信号Sc1が抵抗33aの一端に生じ、二次側端子42bとセンタータップ43との間の二次巻線の巻数に応じた電圧でかつ出力信号Sc1に対して極性が反転した出力信号Sc2が抵抗33aの他端に生じる。この場合、二次側端子42aとセンタータップ43との間の二次巻線の巻数と二次側端子42bとセンタータップ43との間の二次巻線の巻数とが等しく規定されているため、出力信号Sc1と出力信号Sc2とは、極性が逆極性で電圧値が等しい電圧信号となる。
次いで、オペアンプ32が、抵抗33bを介して出力信号Sc1を反転入力端子に入力すると共に抵抗33cを介して出力信号Sc2を非反転入力端子に入力し、この両出力信号Sc1,Sc2を差動増幅して、図3の中段に示すように、ロジック信号Sa(同図の上段参照)の電圧値に連動して変化する被覆導線La,Lb間の電位差の変化を示す差分信号Sdを出力(検出)する。
続いて、信号生成装置2の信号生成部13が、図3の下段に示すように、差分信号Sdの立ち上がり時の電圧が基準値Vr1(第1基準値)を上回ったときを「低電位期間」の開始とすると共に、差分信号Sdの立ち下がり時の電圧が基準値Vr2(第2基準値)よりも下回ったときを「高電位期間」の開始とし、「高電位期間」および「低電位期間」の配列がロジック信号Saと反転する符号特定用信号Sfを生成する。
また、符号化装置3では、信号生成装置2によって生成されて出力された符号特定用信号Sfに基づき、符号列Csを特定する。この際には、前述したように、符号特定用信号Sfにおける低電位期間を2進数データの「0」とし、かつ符号特定用信号Sfにおける高電位期間を2進数データの「1」とする符号化処理を実行する。したがって、シリアルバスSBを介してロジック信号Saとして伝送されているCANフレームと同じデータ内容の符号列Cs(CANフレーム)が生成されてCAN通信対応機器に出力される。これにより、CAN通信対応機器では、信号読取システム1から出力された(信号読取システム1によってシリアルバスSBから読み取られた)符号列Csに対応して予め規定されている各種の処理が実行される。
このように、この信号生成装置2では、一対の被覆導線Lにおける被覆部にそれぞれ接触させられる一対の電極21を備え、各被覆導線と各電極21との結合容量を介して入力した信号Sbに応じてトランス31から出力されたSc1,Sc2に基づいて検出された差分信号Sdに基づき、シリアルバスSBを介して伝送されるロジック信号Saに対応する符号列Csを特定可能な符号特定用信号Sfを生成する。また、この信号読取システム1では、上記の信号生成装置2と、信号生成装置2によって生成された符号特定用信号Seに基づいてロジック信号Saに対応する符号列Csを特定する符号化装置3とを備えている。
また、本例の信号読取システム1では、前述したように、信号生成装置2の検出部12において、電極部11a,11bの各電極21がシリアルバスSBの被覆導線La,Lbにおける金属部分(芯線)に接触することなく非接触の状態(金属非接触の状態)で被覆導線La,Lb(金属部分)の電位が検出され、かつトランス31およびオペアンプ32を介して被覆導線La,Lbの電位の差に対応する差分信号Sdが信号生成部13に出力される構成が採用されている。このため、符号化装置3に接続されるCAN通信対応機器等においてノイズが生じたとしても、このノイズが信号読取システム1を介してシリアルバスSB(被覆導線La,Lb)に流れ込む事態が回避される。
したがって、この信号生成装置2および信号読取システム1によれば、一対の被覆導線Lにおける長手方向の任意の部位において被覆導線Lの被覆部に電極21を接触させる簡易な作業を行うことで、被覆導線Lと電極21との結合容量を介して信号Sbを入力することができ、この信号Sbに基づき、シリアルバスSBを介して伝送されているロジック信号Saによって示されている符号列Csを特定可能な符号特定用信号Sfを生成し、生成した符号特定用信号Sfに基づいてロジック信号Saによって示されている符号列Csを特定することができる。これにより、シリアルバスSBにコネクタが配設されていなくても、被覆導線Lを傷付けることなくロジック信号Saの符号列Csを特定することができ、また、シリアルバスSBにコネクタが配設されている場合においても、コネクタの配設場所の近傍に限定されることなく、シリアルバスSBの任意の場所においてロジック信号Saを読み取って符号列Csを特定することができる。さらに、符号化装置3に接続されるCAN通信対応機器等においてノイズが生じたとしても、このノイズが信号読取システム1を介してシリアルバスSB(被覆導線La,Lb)に流れ込む事態が回避されるため、シリアルバスSBを介してのロジック信号Sa(CANフレーム)の伝送や、シリアルバスSBに接続されている機器の動作が阻害される事態を招くことなく、シリアルバスSBからロジック信号Saを読み取って各種のCAN通信対応機器に提供することができる。
また、この信号生成装置2および信号読取システム1によれば、第2基準電位に接続されたセンタータップ43を二次巻線31bに有するトランス31と、トランス31の二次側端子42a,42bから出力された出力信号Sc1,Sc2を入力して差分信号Sdを出力する差動増幅回路(オペアンプ32)とを備えて検出部12を構成したことにより、トランス31によって互いに極性が反転した出力信号Sc1,Sc2を生成できると共に両出力信号Sc1,Sc2の差分信号としての差分信号Sdを検出することができる。このため、この信号生成装置2および信号読取システム1によれば、出力信号Sc1,Sc2における各電圧値の差分値を大きくすることができる結果、ロジック信号Saのロジックパターンに連動して変化する各被覆導線L間の電位差を確実に検出して、その電位差の変化を正確に示す差分信号Sdを生成することができ、その結果、正確な符号化が可能な符号特定用信号Sfを信号生成装置2から出力して符号化装置3において符号化することができる。
なお、「信号生成装置」および「信号読取システム」の構成は、上記した信号生成装置2および信号読取システム1の構成に限定されない。例えば、図4に示す信号読取システム101を採用することもできる。なお、以下の説明において、上記した信号読取システム1と同様の構成要素については、同じ符号を付して、重複する説明を省略する。
この信号読取システム101は、図4に示すように、上記した信号生成装置2に代えて、信号生成装置102を備えて構成されている。この場合、信号生成装置102は、「信号生成装置」の他の一例であって、検出部112および信号生成部13を備えて構成されている。
検出部112は、図4に示すように、トランス131、オペアンプ132、抵抗33a,133b~133dおよびコンデンサ34を備えて構成されて、被覆導線La,Lb間の電位差を検出して、電位差の変化を示す差分信号Sd(図3参照)を出力する。
トランス131は、差分回路であって、図4に示すように、一次巻線131aおよび二次巻線131bを備えて構成されている。この場合、トランス131の一次巻線131aにおける一次側端子141a,141bは、シールドケーブル50の芯線を介して各電極部11a,11bの各電極21にそれぞれ接続されている。また、トランス131の二次巻線131bにおける二次側端子142a,142b間には、二次巻線131bに流れる電流を電流-電圧変換する抵抗33aが接続されている。また、二次側端子142aは、オペアンプ132の非反転入力端子に接続され、二次側端子142bは、第2基準電位に接続されている。
このトランス131では、ロジック信号Saのロジックパターンに連動した被覆導線La,Lb間の電位差の変化を示す信号Sb(電流信号)が被覆導線La,Lbと電極部11a,11bの各電極21との結合容量を介して一次側端子141a,141bに入力したときには、各信号Sbが一次巻線131aを互いに逆向きに流れ、これによって二次巻線131bに誘起された出力信号Sc(電圧信号)が二次側端子142a,142bから出力される。この場合、各信号Sbが一次巻線131aを互いに逆向きに流れるため、トランス131は、差分回路として機能して、被覆導線La,Lb間の電位差の変化に応じて電圧値が変化する差分信号としての出力信号Scを出力する。
また、図4に示すように、オペアンプ132の反転入力端子と第2基準電位との間には抵抗133bが接続されると共にオペアンプ132の反転入力端子と出力端子との間には抵抗133c(帰還抵抗)が接続されている。また、オペアンプ32の出力端子には、出力抵抗としての抵抗133dが接続されている。このオペアンプ132は、抵抗133b,133cと共にバッファ回路を構成し、非反転入力端子に入力した出力信号Scを抵抗133b,133cの各抵抗値で規定される増幅率で増幅した差分信号Sdを抵抗133dを介して出力する。
この信号生成装置102の検出部112では、ロジック信号Saが被覆導線La,Lbに伝送されたときに、ロジック信号Saの電圧変化に応じた電流値の信号Sb(電流信号)が被覆導線La,Lbと電極部11a,11bの各電極21との結合容量を介してトランス31の一次側端子141a,141bに入力される。この際に、トランス131の一次巻線131aを信号Sbが流れることにより、一次巻線131aと二次巻線131bの巻数比に応じた電流が、トランス131の二次巻線131bに流れる。これにより、この二次巻線131bを流れる電流は、抵抗33aによって電流-電圧変換される。この際に、オペアンプ132が、抵抗33aの両端間に生じる出力信号Scを非反転入力端子に入力し、その電圧信号を抵抗133b,133cの各抵抗値で規定される増幅率で増幅して、出力端子から抵抗133dを介して差分信号Sdとして出力する。その後、信号生成装置102および信号読取システム101は、信号生成装置2および信号読取システム1と同様にして動作する。
この信号生成装置102および信号読取システム101においても、各被覆導線Lの被覆部に接触させる一対の電極21を備え、各被覆導線Lと各電極21との結合容量を介して入力した信号Sbに応じてトランス131から出力された出力信号Scに基づいて検出された差分信号Sdから、各被覆導線Lを介して伝送されるロジック信号Saに対応する符号列Csを特定可能な符号特定用信号Sfを生成する。
このため、この信号生成装置102および信号読取システム101によれば、前述した信号生成装置2および信号読取システム1と同様にして、一対の被覆導線Lにおける長手方向の任意の部位において被覆導線Lの被覆部に電極21を接触させる簡易な作業を行うことで、被覆導線Lと電極との結合容量を介して信号Sbを入力することができ、この信号Sbに基づき、シリアルバスSBを介して伝送されているロジック信号Saによって示されている符号列Csを特定可能な符号特定用信号Sfを生成し、生成した符号特定用信号Sfに基づいてロジック信号Saによって示されている符号列Csを特定することができる。これにより、シリアルバスSBにコネクタが配設されていなくても、被覆導線Lを傷付けることなくロジック信号Saの符号列Csを特定することができ、また、シリアルバスSBにコネクタが配設されている場合においても、コネクタの配設場所の近傍に限定されることなく、シリアルバスSBの任意の場所においてロジック信号Saを読み取って符号列Csを特定することができる。さらに、符号化装置3に接続されるCAN通信対応機器等においてノイズが生じたとしても、このノイズが信号読取システム101を介してシリアルバスSB(被覆導線La,Lb)に流れ込む事態が回避されるため、シリアルバスSBを介してのロジック信号Sa(CANフレーム)の伝送や、シリアルバスSBに接続されている機器の動作が阻害される事態を招くことなく、シリアルバスSBからロジック信号Saを読み取って各種のCAN通信対応機器に提供することができる。
また、図5に示す信号読取システム201を採用することもできる。この信号読取システム201は、同図に示すように、上記した信号生成装置2に代えて、信号生成装置202を備えて構成されている。この場合、信号生成装置202は、「信号生成装置」の他の一例であって、検出部212および信号生成部13を備えて構成されている。なお、以下の説明において、上記した信号読取システム1,101と同様の構成要素については、同じ符号を付して、重複する説明を省略する。
検出部212は、図5に示すように、トランス131、オペアンプ132,232a,232b、抵抗33a,133b~133d,233b~233hおよびコンデンサ34を備えて構成されて、被覆導線La,Lb間の電位差を検出して、電位差の変化を示す差分信号Sd(図3参照)を出力(検出)する。
オペアンプ232aは、バッファ増幅回路として機能する。図5に示すように、オペアンプ232aの非反転入力端子は、シールドケーブル50の芯線を介して電極部11aの電極21に接続されると共に抵抗233bを介して第1基準電位に接続され、反転入力端子と出力端子との間には抵抗233c(帰還抵抗)が接続され、出力端子には出力抵抗としての抵抗233dが接続されている。また、オペアンプ232bは、バッファ増幅回路として機能する。同図に示すように、オペアンプ232bの非反転入力端子は、シールドケーブル50の芯線を介して電極部11bの電極21に接続されると共に抵抗233eを介して第1基準電位に接続され、反転入力端子と出力端子との間には抵抗233f(帰還抵抗)が接続され、出力端子には出力抵抗としての抵抗233gが接続されている。
また、オペアンプ232aの反転入力端子とオペアンプ232bの反転入力端子との間には抵抗233hが接続されている。この場合、オペアンプ232aは、信号Sbが抵抗233bを流れたときに抵抗233bの両端間に生じる電圧信号を非反転入力端子に入力し、オペアンプ232bは、信号Sbが抵抗233eを流れたときに抵抗233eの両端間に生じる電圧信号を非反転入力端子に入力する。また、抵抗233hには、オペアンプ232a,232bの各非反転入力端子に入力される上記の2つの電圧信号の差分電圧に比例した電流が流れる。このことから、オペアンプ232aは、非反転入力端子に入力される電圧信号の電圧に、この電流が抵抗233cを流れることによってこの抵抗233cの両端間に生じる電圧が加算された電圧の出力信号Sb1を出力する。また、オペアンプ232bは、非反転入力端子に入力される電圧信号の電圧に、この電流が抵抗233fを流れることによってこの抵抗233fの両端間に生じる電圧が加算された電圧の出力信号Sb2を出力する。
トランス131は、差分回路であって、図5に示すように、一次巻線131aおよび二次巻線131bを備えて構成されている。この場合、トランス131の一次巻線131aにおける一次側端子141aは、抵抗233dを介してオペアンプ232aの出力端子に接続され、一次巻線131aにおける一次側端子141bは、抵抗233gを介してオペアンプ232bの出力端子に接続されている。つまり、このトランス131の一次側端子141aは、抵抗233dおよびオペアンプ232aを介して電極部11aの電極21に接続され、一次側端子141bは、抵抗233gおよびオペアンプ232bを介して電極部11bの電極21に接続されている。また、トランス31の二次巻線131bにおける二次側端子142a,142b間には、抵抗33aが接続されている。また、二次側端子142aは、オペアンプ132の非反転入力端子に接続され、二次側端子142bは、第2基準電位に接続されている。
また、図5に示すように、オペアンプ132およびその周辺回路は、信号生成装置102における対応する回路と同一に構成されて、同様の動作を行う。つまり、オペアンプ132は、抵抗133b,133cと共にバッファ回路を構成し、非反転入力端子に入力した出力信号Scを抵抗133b,133cで規定される増幅率で増幅した差分信号Sdを抵抗133dを介して出力する。
この信号生成装置202では、ロジック信号Saのロジックパターンに連動した被覆導線La,Lb間の電位差の変化を示す信号Sb(電流信号)が被覆導線La,Lbと電極部11a,11bの各電極21との結合容量を介して抵抗233b,233eを流れたときに、オペアンプ232a,232bが、上記のように動作することにより、抵抗233b,233eの両端間に生じる2つの電圧信号に基づいて、上記の出力信号Sb1,Sb2をそれぞれの出力端子から出力する。
次いで、トランス131が、一次側端子141a,141bに出力信号Sb1,Sb2を入力し、これによって二次巻線131bに誘起された出力信号Sc(電圧信号)を二次側端子142a,142bから出力する。この場合、一次巻線131aに印加される電圧、つまり各出力信号Sb1,Sb2の差分電圧は、抵抗233b,233eの両端間に生じる2つの電圧信号の差分電圧、すなわち、被覆導線La,Lb間の電位差の変化に応じて電圧値が変化するため、トランス131は、被覆導線La,Lb間の電位差の変化に応じて電圧値が変化する差分信号としての出力信号Scを出力する。その後、信号生成装置202および信号読取システム201は、信号生成装置102および信号読取システム101と同様にして動作する。
この信号生成装置202および信号読取システム201においても、各被覆導線Lの被覆部に接触させる一対の電極21を備え、各被覆導線Lと各電極21との結合容量を介して入力した信号Sbに応じてトランス131から出力された出力信号Scに基づいて検出された差分信号Sdから、各被覆導線Lを介して伝送されるロジック信号Saに対応する符号列Csを特定可能な符号特定用信号Sfを生成する。
このため、この信号生成装置202および信号読取システム201によれば、前述した信号生成装置2および信号読取システム1と同様にして、一対の被覆導線Lにおける長手方向の任意の部位において被覆導線Lの被覆部に電極21を接触させる簡易な作業を行うことで、被覆導線Lと電極との結合容量を介して信号Sbを入力することができ、この信号Sbに基づき、シリアルバスSBを介して伝送されているロジック信号Saによって示されている符号列Csを特定可能な符号特定用信号Sfを生成し、生成した符号特定用信号Sfに基づいてロジック信号Saによって示されている符号列Csを特定することができる。これにより、シリアルバスSBにコネクタが配設されていなくても、被覆導線Lを傷付けることなくロジック信号Saの符号列Csを特定することができ、また、シリアルバスSBにコネクタが配設されている場合においても、コネクタの配設場所の近傍に限定されることなく、シリアルバスSBの任意の場所においてロジック信号Saを読み取って符号列Csを特定することができる。さらに、符号化装置3に接続されるCAN通信対応機器等においてノイズが生じたとしても、このノイズが信号読取システム201を介してシリアルバスSB(被覆導線La,Lb)に流れ込む事態が回避されるため、シリアルバスSBを介してのロジック信号Sa(CANフレーム)の伝送や、シリアルバスSBに接続されている機器の動作が阻害される事態を招くことなく、シリアルバスSBからロジック信号Saを読み取って各種のCAN通信対応機器に提供することができる。
また、この信号生成装置202および信号読取システム201では、一方の電極21とトランス131の一次側端子141aとの間に接続されたバッファ増幅回路として機能するオペアンプ232aと、他方の電極21とトランス131の一次側端子141bとの間に接続されたバッファ増幅回路として機能するオペアンプ232bとを備えたことにより、互いの差分電圧がロジック信号Saのロジックパターンに連動した被覆導線La,Lb間の電位差に応じて変化する出力信号Sb1,Sb2を生成することができる。このため、この信号生成装置202および信号読取システム201によれば、ロジック信号Saのロジックパターンに連動して変化する各被覆導線L間の電位差をより確実に検出して、その電位差の変化をより正確に示す差分信号Sdを生成することができ、その結果、一層正確な符号化が可能な符号特定用信号Sfを信号生成装置202から出力して符号化装置3において符号化することができる。
また、上記した信号読取システム201の信号生成装置202における検出部212のトランス131を、第2基準電位に接続されるセンタータップを二次巻線131bに有するセンタータップ付きトランスに変更すると共に、検出部212の非反転増幅回路を差動増幅回路に変更して、差動増幅回路がセンタータップ付きトランスの二次側端子からそれぞれ出力される出力信号を入力して差分信号Sdを出力する構成を採用することもできる。また、上記した検出部112,212の電圧バッファ増幅回路(オペアンプ132)に代えて電流バッファ増幅回路を用いる構成を採用することもできる。
また、信号生成装置2,102,202が、「高電位期間」および「低電位期間」の配列パターンが、シリアルバスSBを介して伝送されているロジック信号Saのロジックパターンと反転する符号特定用信号Sfを生成して出力すると共に、符号化装置3が、符号特定用信号Sfにおける低電位期間を2進数データの「0」とし、かつ符号特定用信号Sfにおける高電位期間を2進数データの「1」とする符号化処理を実行して符号列Cs(CANフレーム)を特定する構成の信号読取システム1,101,201を例に挙げて説明したが、「信号生成装置」および「信号読取システム」の構成はこれに限定されない。
具体的には、「高電位期間」および「低電位期間」の配列パターンが、シリアルバスSB(通信路)を介して伝送されているロジック信号Saのロジックパターンと一致する信号、すなわち、差分信号Sdの立ち上がり時の電圧が「第1基準値」以上となったときを「高電位期間」の開始とし、かつ差分信号Sdの立ち下がり時の電圧が「第2基準値」以下となったときを「低電位期間」の開始とする符号特定用信号Se(「符号特定用信号」としての「第1の信号」の一例:図3参照)を生成するように「信号生成装置」を構成することができる。
このような構成の「信号生成装置」を備えて「信号読取システム」を構成するときには、符号特定用信号Seにおける低電位期間を2進数データの「1」とし、かつ符号特定用信号Seにおける高電位期間を2進数データの「0」とする符号化処理を実行して符号列Cs(CANフレーム)を特定するように「符号化装置」を構成することで、前述した信号読取システム1,101,201と同様の効果を奏することができる。
また、上記した信号生成装置2,102,202において、検出部12,112,212の後段に、信号生成部13に代えて、後述する波形整形部313および信号生成部314を配置する構成を採用することもできる。一例として、図5に示す信号生成装置202に適用して構成された信号生成装置302について、図6を参照して説明する。なお、図5に示す信号読取システム201および信号生成装置202と同一の構成については同一の符号を付して重複する説明を省略する。
図6に示す信号読取システム301は、信号生成装置302および符号化装置3を備えて構成されている。また、信号生成装置302は、電極部11a,11b、検出部212、波形整形部313および信号生成部314を備えて構成されている。
検出部212は、抵抗233b,233e(同じ抵抗値)と、一次巻線131aおよび二次巻線131bを有するトランス131と、二次巻線131bの各端子(二次側端子142a,142b)間に接続された抵抗33aとを備えて、シリアルバスSBにおいてロジック信号Saを伝送するための一対の被覆導線La,Lbにおける被覆部にそれぞれ接触させられる一対の電極21,21と一対の被覆導線La,Lbとの間の結合容量を介して一対の電極21,21によって検出された各信号を一次巻線131aの各端子(一次側端子141a,141b)に入力すると共に二次巻線131bの二次側端子142a,142bから出力される出力信号Scに基づいてロジック信号Saにおける高電位期間および低電位期間の配列パターンであるロジックパターンに従って変化する各被覆導線La,Lb間の電位差の変化を示す差分信号Sdを検出して出力する。
上記したように、各電極21は、シールドケーブル(同軸ケーブル)50の芯線を介して検出部12内の対応する抵抗233b,233eの一端に接続され、各シールドケーブル50のシールドは検出部12内の第1基準電位に接続されている。また、抵抗233b,233eの他端は、第1基準電位に接続されている。これにより、各抵抗233b,233eには、図6において破線で示すように、シールドケーブル50の芯線とシールドとの間に形成される容量(配線容量)が等価的に並列に接続されている。この構成により、抵抗233bおよび対応する配線容量の並列回路で構成されるインピーダンス素子には、電極部11aの電極21と容量結合する一方の被覆導線Laに伝送されている電圧信号Vaの電圧Va(図10,12参照)に応じて電圧が変化する(電圧Vaがベースの電圧(+2.5V)のときに低電圧となり、電圧Vaが高電圧の規定電圧(+3.5V)のときに高電圧となるように変化する)第1電圧信号Vc1が発生する。また、抵抗233eおよび対応する配線容量の並列回路で構成されるインピーダンス素子には、電極部11bの電極21と容量結合する他方の被覆導線Lbに伝送されている電圧信号Vbの電圧Vbに応じて電圧が変化する(電圧Vbがベースの電圧(+2.5V)のときに高電圧となり、電圧Vbが低電圧の規定電圧(+1.5V)のときに低電圧となるように変化する)第2電圧信号Vc2が発生する。
また、検出部212は、詳細には、上記した抵抗233b,233e、トランス131および抵抗33aに加えて、オペアンプ(演算増幅器)132,232a,232b、抵抗133b~133d,233c,233d,233f~233hおよびコンデンサ34を備えている。一例として、オペアンプ232a,232bは、第1基準電位を基準とする不図示の正電源電圧および負電源電圧(例えば、±10V)で動作する。また、オペアンプ232aは、非反転入力端子が抵抗233bの一端に接続され、反転入力端子と出力端子との間に抵抗233c(帰還抵抗)が接続され、かつ出力端子が抵抗233dを介して一次巻線131aの一次側端子141aに接続されている。また、オペアンプ232bは、非反転入力端子が抵抗233eの一端に接続され、反転入力端子と出力端子との間に抵抗233f(抵抗233cと同一抵抗値の帰還抵抗)が接続され、かつ出力端子が抵抗233g(抵抗233dと同一抵抗値)を介して一次巻線131aの一次側端子141bに接続されている。また、オペアンプ232a,232bの各反転入力端子は抵抗233h(共通の入力抵抗)を介して接続されている。
以上の構成により、オペアンプ232a,232bは、全体として差動増幅回路として機能して、電圧信号Vc1,Vc2の差分電圧(Vc1-Vc2)の絶対値に比例して電圧値が変化し、かつ差分電圧(Vc1-Vc2)の極性に応じて極性が変化する電圧信号(Sb1-Sb2)を出力端子間に生成して、抵抗233d,一次巻線131aおよび抵抗233gで構成される直列回路に印加することにより、抵抗33aが接続された二次巻線131bの二次側端子142a,142b間に、電圧信号Vc1,Vc2の差分電圧(Vc1-Vc2)の絶対値に比例して電圧値が変化し、かつ差分電圧(Vc1-Vc2)の極性に応じて極性が変化する出力信号Sc1(第2基準電位を基準とする電圧信号)を発生させる。なお、以下では、第2基準電位に規定された部位をグランドGともいう。
オペアンプ132は、第2基準電位を基準とする正電源電圧Vccおよび負電源電圧Vee(例えば、±10V)で動作する。また、オペアンプ132は、反転入力端子が抵抗133bを介して第2基準電位に接続され、反転入力端子と出力端子との間に抵抗133c(帰還抵抗)が接続され、かつ非反転入力端子が二次側端子142aに接続されている。この構成により、オペアンプ132は、非反転増幅器として機能して、出力信号Sc1を抵抗133b,133cの各抵抗値で規定される増幅率で増幅して、差分信号Sd(第2基準電位を基準とする電圧信号)を出力する。
この差分信号Sdは、図10,12に示すように、シリアルバスSBにCANフレーム(符号列)を構成する符号Cs(「1」)が伝送されている期間において(電圧Va,Vbが共にベースの電圧のときに)低電位側電圧となり、CANフレームを構成する符号Cs(「0」)が伝送されている期間において(電圧Vaが高電圧の規定電圧で、電圧Vbが低電圧の規定電圧のときに)高電位側電圧となる電圧信号である。また、上記したように、各電圧信号Vc1,Vc2は共に電圧信号Va,Vbの変化に応じて直流レベルが変化する信号であることから、電圧信号Vc1,Vc2に基づいて生成される差分信号Sdもまた、オペアンプ232a,232bで構成される上記の差動増幅回路においてこの直流レベルの変化について軽減されてはいるものの、直流レベル(直流成分)が変化する信号である。
なお、オペアンプ232a,232b、および抵抗233c,233d,233f~233hで構成される上記の差動増幅回路では、オペアンプ232a,232bの各反転入力端子に接続される入力抵抗を共通の1つの抵抗233hとする構成を採用しているが、この構成に限定されるものではなく、例えば、図7に示すように、オペアンプ232aの反転入力端子に抵抗233haを個別の入力抵抗として接続して、この抵抗233haを介してこの反転入力端子を第1基準電位に接続し、かつオペアンプ232bの反転入力端子に抵抗233hb(抵抗233haと同一抵抗値)を個別の入力抵抗として接続して、この抵抗233hbを介してこの反転入力端子を第1基準電位に接続して構成された差動増幅回路を採用することもできる。なお、図6に示す構成と同一の構成については同一の符号を付して重複する説明を省略する。この図7に示す構成の差動増幅回路を採用した検出部212においても、上記の差分電圧(Vc1-Vc2)に基づいて、差分信号Sdを生成して出力することができる。
また、図6,7に示す上記の差動増幅回路では、オペアンプ232a,232bが、各電圧信号Vc1,Vc2の交流成分のみならず、直流成分をも増幅する構成であることから、この直流成分の大きいときにはオペアンプ232a,232bの各出力端子から出力される出力信号が飽和することがある。この出力信号の飽和を軽減するため、図8に示す構成の差動増幅回路のように、オペアンプ232aの反転入力端子と第1基準電位との間に接続される抵抗233haに直列にコンデンサ234aを接続し、かつオペアンプ232bの反転入力端子と第1基準電位との間に接続される抵抗233hbに直列にコンデンサ234bを接続する構成を採用することもできる。この構成のオペアンプ232a,232bは、各電圧信号Vc1,Vc2の直流成分は増幅せずに交流成分のみを増幅して出力する交流増幅器として機能することから、出力端子から出力される出力信号が各電圧信号Vc1,Vc2の直流成分に起因して飽和する事態の発生を大幅に軽減することが可能となっている。なお、図7と同一の構成については同一の符号を付して重複する説明を省略した。
波形整形部313は、差分信号Sdを入力すると共に、この差分信号Sdを、差分信号Sdの交流成分のピークtoピーク電圧(ピークピーク電圧)と同等のピークtoピーク電圧(ピークピーク電圧)で、かつその高電位側電圧(高電圧期間の電圧)および低電位側電圧(低電圧期間の電圧)のうちのいずれか一方が予め規定されたターゲット定電圧Vtgに規定されたシングルエンド信号Vdに整形(波形整形)して出力する。
一例として、波形整形部313は、図9に示すように、差分信号Sdが入力される入力部342a、シングルエンド信号Vdが出力される出力部342b、コンデンサ342c、第1インピーダンス素子342d、直列接続された第2インピーダンス素子342eおよびスイッチ342fで構成された直列回路SC、並びにダイオードを含まずにコンパレータなどで構成されると共にスイッチ342fをオン状態からオフ状態へ、またオフ状態からオン状態へ移行させる制御パルス信号Vctを出力するスイッチ制御回路SWCを備えている。
具体的には、コンデンサ342cは、一端部が入力部342aに接続されると共に他端部が出力部342bに接続されている。第1インピーダンス素子342dは、一例として抵抗(1つの抵抗、または複数の抵抗を直列や並列に接続して構成された抵抗回路)で構成されて、一端部がコンデンサ342cの他端部に接続されると共に他端部にターゲット定電圧Vtgが印加されて、ターゲット定電圧Vtgをコンデンサ342cの他端部(および出力部342b)に供給する。なお、ターゲット定電圧Vtgは、正電源電圧Vccを下回り、かつ負電源電圧Veeを上回る任意の1つの定電圧に予め規定されている。第1インピーダンス素子342dについては、最も簡易な構成として、上記したように抵抗だけの構成とすることもできるが、この構成に限定されるものではない。図示はしないが、第1インピーダンス素子342dは、抵抗と共に、または抵抗に代えてインダクタを使用した構成としてもよい。なお、第1インピーダンス素子342dは、全体としてのインピーダンス値(抵抗だけで構成されているときには抵抗値)が第2インピーダンス素子342eのインピーダンス値(抵抗だけで構成されているときには抵抗値)よりも大きい値(例えば、抵抗だけの場合には、数kΩから数百kΩ程度)に規定されている。
直列回路SCは、図9に示すように、直列接続された第2インピーダンス素子342eおよびスイッチ342fで構成されると共に、一端部がコンデンサ342cの他端部(および出力部342b)に接続されると共に他端部にターゲット定電圧Vtgが印加されている。この構成により、直列回路SCは、スイッチ制御回路SWCから出力される制御パルス信号Vctによってスイッチ342fがオン状態に移行させられたときには、ターゲット定電圧Vtgのコンデンサ342cの他端部(および出力部342b)への印加を実行し、オフ状態に移行させられたときには、ターゲット定電圧Vtgのコンデンサ342cの他端部(および出力部342b)への印加を停止する。
スイッチ342fは、オン状態において低インピーダンスとなって、直列回路SCの他端部に印加されているターゲット定電圧Vtgを第2インピーダンス素子342e(例えば、第1インピーダンス素子342d全体の抵抗値に対して十分に小さい抵抗値の抵抗)を介して出力部342bに印加し得る半導体スイッチであれば、アナログスイッチ、バイポーラトランジスタおよび電界効果型トランジスタなどの種々の半導体スイッチで構成することができる。また、スイッチ342fは、本例では一例として、制御パルス信号Vctが高電位のときにオン状態に移行し、制御パルス信号Vctが低電位のときにオフ状態に移行するように(いわゆる、正論理(ハイアクティブ)で動作するように)構成されている。
第2インピーダンス素子342eは、本例では一例として、スイッチ342fがオン状態のときに、他端部に印加されているターゲット定電圧Vtgをコンデンサ342cの他端部(および出力部342b)に低インピーダンスで供給し得る十分に低い抵抗値に規定されている。ただし、第2インピーダンス素子342eの抵抗値は、スイッチ342fがオン状態(ターゲット定電圧Vtgの供給状態)のときであっても、差分信号Sdの立ち下がりや立ち上がり時にはこの電圧変化の影響を受けて、コンデンサ342cの他端部の電圧がターゲット定電圧Vtgから若干変動し得る(差分信号Sdの立ち下がり時には瞬間的に若干低下したり、立ち上がり時には瞬間的に若干上昇したりし得る)程度の抵抗値(例えば、十数Ωから数十Ω程度の抵抗値)に規定されている。また、第2インピーダンス素子342eについては、最も簡易な構成として、図9に示すように1本の抵抗で構成することもできるが、複数の抵抗を直列や並列に接続して構成してもよい。また、図示はしないが、第2インピーダンス素子342eは、抵抗と共に、または抵抗に代えてインダクタを使用した構成としてもよい。また、直列回路SCにおける第2インピーダンス素子342eとスイッチ342fの並び順は、図9に示す並び順の逆の順とすることもできる。
スイッチ制御回路SWCは、ダイオードを含まずに構成されて、図9に示す構成では、図10に示すように、入力部342aに入力される差分信号Sdの交流成分Sdacにおける低電圧期間TLにスイッチ342fをオン状態に移行させるために高電位(高レベル。例えば、後述するコンパレータ342gについての正電源電圧Vccの近傍の電圧レベル)となり、交流成分Sdacにおける高電圧期間THにスイッチ342fをオフ状態に移行させるために低電位(低レベル。例えば、後述するコンパレータ342gについての負電源電圧Veeの近傍の電圧レベル)となる制御パルス信号Vctを出力する。
具体的には、スイッチ制御回路SWCは、図9に示すように、正電源電圧Vccおよび負電源電圧Veeで動作する1つのコンパレータ342g、および直流定電圧(バイアス電圧)Vbi1(≠0ボルト)を出力する1つの基準電源342hを有して構成されている。また、基準電源342hは、負極側がターゲット定電圧Vtgに接続されることにより、ターゲット定電圧Vtgに直流定電圧Vbi1が加算された電圧(Vtg+Vbi1)を基準電圧(第1基準電圧)Vre1として正極側から出力する。直流定電圧Vbi1は、差分信号Sdの交流成分Sdacについてのピークtoピーク電圧Vp(図10参照)の例えば数%から十数%の電圧値に規定されている。したがって、基準電圧Vre1は、ターゲット定電圧Vtgよりも若干高い電圧に規定されている。また、コンパレータ342gは、反転入力端子がコンデンサ342cの他端部に接続され、かつ非反転入力端子に基準電圧Vre1が入力されることで、出力端子から上記の制御パルス信号Vctを出力するように構成されている。
この制御パルス信号Vctにより、スイッチ342fが、交流成分Sdacにおける低電圧期間TLにオン状態に移行し、交流成分Sdacにおける高電圧期間THにオフ状態に移行したときの波形整形部313の動作について説明する。なお、図10では理解の容易のため、差分信号Sdの直流成分Aが差分信号Sdの交流成分Sdacの1周期内で大きく変動する状態で、差分信号Sdを図示しているが、実際には、直流成分Aは、交流成分Sdacの1周期(通常は、数μs以下)に対して十分に長い周期で変動する。このため、直流成分Aは差分信号Sdの交流成分Sdacの1周期内でほぼ一定であるものとして説明する。また、交流成分Sdacについてのピークtoピーク電圧を符号Vpで示し、高電圧期間THにおける差分信号Sdの電圧値は、直流成分Aよりも電圧Vp1だけ高く、低電圧期間TLにおける差分信号Sdの電圧値は、直流成分Aよりも電圧Vp2だけ低いものとする。また、シングルエンド信号Vdに生じるサグは無視するものとする。
まず、スイッチ342fがオン状態になる低電圧期間TLでは、直列回路SCからターゲット定電圧Vtgが低インピーダンスで供給されることにより、コンデンサ342cの他端部(および出力部342b)の電圧、つまり、シングルエンド信号Vdは、図10に示すように、ターゲット定電圧Vtgに規定される。また、差分信号Sdが印加されるコンデンサ342cの一端部(入力部342a側の端部)の電圧は、低電圧期間TLであることから、電圧(A-Vp2)となっている。これにより、コンデンサ342cは、ターゲット定電圧Vtgに規定されている他端部の電圧を基準として一端部側の電圧を正電圧としたときに、電圧(A-Vp2-Vtg)に充電される。
この状態から、スイッチ342fがオフ状態になる高電圧期間THになったときには、直列回路SCからのターゲット定電圧Vtgの供給が停止されると共に、コンデンサ342cの一端部(入力部342a側の端部)の電圧が電圧(A+Vp1)となる。これにより、コンデンサ342cの他端部(および出力部342b)の電圧は、電圧(A+Vp1)から電圧(A-Vp2-Vtg)を減算した電圧(A+Vp1-(A-Vp2-Vtg))、すなわち電圧(Vp1+Vp2+Vtg)となる。また、電圧(Vp1+Vp2)は交流成分Sdacのピークtoピーク電圧Vpである。このことから、コンデンサ342cの一端部(入力部342a側の端部)の電圧である電圧(Vp1+Vp2+Vtg)、つまり、シングルエンド信号Vdは、図10に示すように、電圧(Vp+Vtg)に規定される。
以上のことから、図9に示す波形整形部313は、スイッチ制御回路SWCがスイッチ342fをオン状態およびオフ状態に交互に移行させることにより、図10に示すように、差分信号Sd(ピークtoピーク電圧Vpの交流成分Sdacに直流成分Aが重畳した信号)を、差分信号Sdの交流成分Sdacのピークtoピーク電圧Vpと同等のピークtoピーク電圧Vpで、かつその低電位側電圧(低電圧期間TLの電圧)がターゲット定電圧Vtgに規定されたシングルエンド信号Vdに整形(波形整形)して出力部342bから出力する。これにより、この波形整形部313は、CANフレームを構成する符号Csの変化に対応して電圧が変化する信号、つまり、この符号Csが「1」の期間には信号の電圧が低電位(ターゲット定電圧Vtg)になり、この符号Csが「0」の期間には信号の電圧が高電位になるシングルエンド信号Vdを出力する。
次いで、スイッチ制御回路SWCのコンパレータ342gが、上記の制御パルス信号Vctを出力する動作について説明する。
交流成分Sdacが低電圧期間TLから高電圧期間THに切り替わるとき(交流成分Sdacの立ち上がり時)には、直列回路SCから低インピーダンスでターゲット定電圧Vtgが印加されている出力部342bの電圧(コンデンサ342cの他端部の電圧。つまり、シングルエンド信号Vdの電圧)が、この交流成分Sdacの電圧の変化の影響を受けてターゲット定電圧Vtgから瞬間的に上昇して、基準電圧Vre1を上回る。したがって、コンパレータ342gは、図10に示すように、制御パルス信号Vctを高電位から低電位に移行させる。この場合、直列回路SCではスイッチ342fがオフ状態に移行するため、直列回路SCによる出力部342bへのターゲット定電圧Vtgの印加が停止されて、シングルエンド信号Vdの電圧は、電圧(Vp+Vtg)に移行する。この結果、その後は、シングルエンド信号Vdの電圧は、基準電圧Vre1を上回る状態に維持される。なお、交流成分Sdacの低電圧期間TLのときには、上記したようにシングルエンド信号Vdの電圧はターゲット定電圧Vtgになり、コンパレータ342gの反転入力端子もこのターゲット定電圧Vtgになる。しかしながら、コンパレータ342gの非反転入力端子に入力されている基準電圧Vre1(=Vtg+Vbi1)はこのターゲット定電圧Vtgよりも高い電圧である(同じ電圧ではない)ことから、コンパレータ342gは、高電位の制御パルス信号Vctの出力を継続する(つまり、直列回路SCから出力部342bへのターゲット定電圧Vtgの印加を継続させる)。
また、交流成分Sdacが高電圧期間THから低電圧期間TLに切り替わるとき(交流成分Sdacの立ち下がり時)には、シングルエンド信号Vdの電圧は、交流成分Sdacの電圧の低下に伴って電圧(Vp+Vtg)から低下して、基準電圧Vre1を下回る。したがって、コンパレータ342gは、図10に示すように、制御パルス信号Vctを低電位から高電位に移行させる。この場合、直列回路SCではスイッチ342fがオン状態に移行する。このため、直列回路SCによる出力部342bへのターゲット定電圧Vtgの印加が開始されて、その後は、シングルエンド信号Vdの電圧は、基準電圧Vre1より低いターゲット定電圧Vtgに維持される。
信号生成部314は、一例として、図9に示すように、正電源電圧Vccおよび負電源電圧Veeで動作する1つのコンパレータ414a、および直流定電圧(バイアス電圧)Vbi2(≠0ボルト)を出力する1つの基準電源414bを有して構成されている。また、基準電源414bは、負極側がターゲット定電圧Vtgに接続されることにより、ターゲット定電圧Vtgに直流定電圧Vbi2が加算された電圧(Vtg+Vbi2)を閾値電圧Vthとして正極側から出力する。直流定電圧Vbi2は、差分信号Sdの交流成分Sdacについてのピークtoピーク電圧Vpの例えば数%から十数%の電圧値に規定されている。したがって、閾値電圧Vthは、ターゲット定電圧Vtgよりも若干高い電圧に規定されている。なお、閾値電圧Vthと上記した基準電圧Vre1との大小関係には、同じであってもよいし、いずれが高い状態であってもよい(なお、図10では、一例として、基準電圧Vre1が閾値電圧Vthよりも高い状態となっている)。
コンパレータ414aは、出力部342bに非反転入力端子が接続され、かつ閾値電圧Vthが反転入力端子に入力されて、出力部342bから出力されるシングルエンド信号Vdを閾値電圧Vthと比較して二値化することにより、出力端子から符号特定用信号(符号を特定するための信号でもあることから、以下では、単に符号特定用信号ともいう)Seを出力する。上記したように、閾値電圧Vthがターゲット定電圧Vtgよりも若干高い電圧に規定されていることから、このコンパレータ414aを備えた信号生成部314は、図10に示すように、シングルエンド信号Vd(ピークtoピーク電圧が電圧Vpで、かつその低電位側電圧がターゲット定電圧Vtgに規定された信号)を閾値電圧Vthで確実に二値化して、シリアルバスSBを介して伝送されるCANフレームを構成する符号Csが「0」の期間において高電位(コンパレータ414aの最大出力電圧)となり、この符号Csが「1」の期間において低電位(コンパレータ414aの最小出力電圧)となる符号特定用信号Seを生成して出力する。
ターゲット定電圧Vtgは、上記したように、正電源電圧Vccを下回り、かつ負電源電圧Veeを上回る任意の1つの定電圧に規定されるが、図9に示す構成の波形整形部313および信号生成部314では、通常は、信号生成装置2におけるグランドGの電位(ゼロボルト)に規定される。したがって、波形整形部313は、ピークtoピーク電圧Vpで、かつその低電位側電圧がターゲット定電圧Vtg(ゼロボルト)に規定されたシングルエンド信号Vdを出力する。
なお、波形整形部313は、上記した図9の構成、すなわち、差分信号Sdを入力すると共に、この差分信号Sdを、差分信号Sdの交流成分のピークtoピーク電圧Vpと同等のピークtoピーク電圧Vpで、かつその低電位側電圧(低電圧期間TLの電圧。ボトム電圧)がターゲット定電圧Vtgに規定されたシングルエンド信号Vdに整形(波形整形)して出力する構成に限定されない。例えば、波形整形部313を図11に示すように構成することで、差分信号Sdの交流成分のピークtoピーク電圧Vpと同等のピークtoピーク電圧Vpで、かつその高電位側電圧(高電圧期間THの電圧。トップ電圧)がターゲット定電圧Vtgに規定されたシングルエンド信号Vdに整形(波形整形)して出力する構成とすることもできる。
以下、図11に示す波形整形部313および信号生成部314について説明する。なお、図9に示す波形整形部313および信号生成部314と同一の構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
一例として、波形整形部313は、差分信号Sdが入力される入力部342a、シングルエンド信号Vdが出力される出力部342b、コンデンサ342c、第1インピーダンス素子342d、第2インピーダンス素子342eおよびスイッチ342fで構成された直列回路SC、並びにダイオードを含まずにコンパレータなどで構成されると共にスイッチ342fをオン状態からオフ状態へ、またオフ状態からオン状態へ移行させる制御パルス信号Vctを出力するスイッチ制御回路SWCを備えている。
具体的には、第1インピーダンス素子342dは、一例として図11に示すように1本の抵抗(一端部がコンデンサ342cの他端部に接続され、他端部にターゲット定電圧Vtgが印加された抵抗)で構成されている。
スイッチ制御回路SWCは、図11に示すように、正電源電圧Vccおよび負電源電圧Veeで動作する1つのコンパレータ342g、および直流定電圧(バイアス電圧)Vbi1を出力する1つの基準電源342hを有して構成されている。また、基準電源342hは、正極側がターゲット定電圧Vtgに接続されることにより、ターゲット定電圧Vtgから直流定電圧Vbi1が減算された電圧(Vtg-Vbi1)を基準電圧Vre1として負極側から出力する。直流定電圧Vbi1はピークtoピーク電圧Vpの例えば数%から十数%の電圧値に規定されていることから、基準電圧Vre1は、ターゲット定電圧Vtgよりも若干低い電圧に規定されている。また、コンパレータ342gは、非反転入力端子がコンデンサ342cの他端部に接続され、かつ反転入力端子に基準電圧Vre1が入力されることで、図12に示すように、差分信号Sdの交流成分Sdacにおける低電圧期間TLにスイッチ342fをオフ状態に移行させるために低電位となり、交流成分Sdacにおける高電圧期間THにスイッチ342fをオン状態に移行させるために高電圧となる制御パルス信号Vctを出力する。
この制御パルス信号Vctにより、スイッチ342fが、交流成分Sdacにおける低電圧期間TLにオフ状態に移行し、交流成分Sdacにおける高電圧期間THにオン状態に移行したときの波形整形部313の動作について説明する。なお、図12では理解の容易のため、差分信号Sdの直流成分Aが差分信号Sdの交流成分Sdacの1周期内で大きく変動する状態で、差分信号Sdを図示しているが、実際には、直流成分Aは、交流成分Sdacの1周期(通常は、数μs以下)に対して十分に長い周期で変動する。このため、直流成分Aは差分信号Sdの交流成分Sdacの1周期内でほぼ一定であるするものとして説明する。また、交流成分Sdacについてのピークtoピーク電圧を符号Vpで示し、高電圧期間THにおける差分信号Sdの電圧値は、直流成分Aよりも電圧Vp1だけ高く、低電圧期間TLにおける差分信号Sdの電圧値は、直流成分Aよりも電圧Vp2だけ低いものとする。また、シングルエンド信号Vdに生じるサグは無視するものとする。
まず、スイッチ342fがオン状態になる高電圧期間THでは、直列回路SCからターゲット定電圧Vtgが低インピーダンスで供給されることにより、コンデンサ342cの他端部(および出力部342b)の電圧、つまり、シングルエンド信号Vdは、図12に示すように、ターゲット定電圧Vtgに規定される。また、差分信号Sdが印加されるコンデンサ342cの一端部(入力部342a側の端部)の電圧は、高電圧期間THであることから、電圧(A+Vp1)となっている。これにより、コンデンサ342cは、ターゲット定電圧Vtgに規定されている他端部の電圧を基準として一端部側の電圧を正電圧としたときに、電圧(A+Vp1-Vtg)に充電される。
この状態から、スイッチ342fがオフ状態になる低電圧期間TLになったときには、直列回路SCからのターゲット定電圧Vtgの供給が停止されると共に、コンデンサ342cの一端部(入力部342a側の端部)の電圧が電圧(A-Vp2)となる。これにより、コンデンサ342cの他端部(および出力部342b)の電圧は、電圧(A-Vp2)から電圧(A+Vp1-Vtg)を減算した電圧(A-Vp2-(A+Vp1-Vtg))、すなわち電圧(-(Vp1+Vp2)+Vtg)となる。また、電圧(Vp1+Vp2)は交流成分Sdacのピークtoピーク電圧Vpである。このことから、コンデンサ342cの一端部(入力部342a側の端部)の電圧である電圧(-(Vp1+Vp2)+Vtg)、つまり、シングルエンド信号Vdは、図12に示すように、電圧(-Vp+Vtg)に規定される。
以上のことから、図11に示す波形整形部313は、スイッチ制御回路SWCがスイッチ342fをオン状態およびオフ状態に交互に移行させることにより、図12に示すように、差分信号Sd(ピークtoピーク電圧Vpの交流成分Sdacに直流成分Aが重畳した信号)を、差分信号Sdの交流成分Sdacのピークtoピーク電圧Vpと同等のピークtoピーク電圧Vpで、かつその高電位側電圧(高電圧期間THの電圧)がターゲット定電圧Vtgに規定されたシングルエンド信号Vdに整形(波形整形)して出力部342bから出力する。これにより、この波形整形部313は、CANフレームを構成する符号Csの変化に対応して電圧が変化する信号、つまり、この符号Csが「1」の期間には信号の電圧が低電位になり、この符号Csが「0」の期間には信号の電圧が高電位(ターゲット定電圧Vtg)になるシングルエンド信号Vdを出力する。
また、スイッチ制御回路SWCのコンパレータ342gが、上記の制御パルス信号Vctを出力する動作について説明する。
交流成分Sdacが高電圧期間THから低電圧期間TLに切り替わるとき(交流成分Sdacの立ち下がり時)には、直列回路SCから低インピーダンスでターゲット定電圧Vtgが印加されている出力部342bの電圧(コンデンサ342cの他端部の電圧。つまり、シングルエンド信号Vdの電圧)が、この交流成分Sdacの電圧の変化の影響を受けてターゲット定電圧Vtgから瞬間的に低下して、基準電圧Vre1を下回る。したがって、コンパレータ342gは、図12に示すように、制御パルス信号Vctを高電位から低電位に移行させる。この場合、直列回路SCではスイッチ342fがオフ状態に移行するため、直列回路SCによる出力部342bへのターゲット定電圧Vtgの印加が停止されて、シングルエンド信号Vdの電圧は、電圧(-Vp+Vtg)に移行する。この結果、その後は、シングルエンド信号Vdの電圧は、基準電圧Vre1を下回る状態に維持される。なお、交流成分Sdacの高電圧期間THのときには、上記したようにシングルエンド信号Vdの電圧はターゲット定電圧Vtgになり、コンパレータ342gの非反転入力端子もこのターゲット定電圧Vtgになる。しかしながら、コンパレータ342gの反転入力端子に入力されている基準電圧Vre1(=Vtg-Vbi1)はこのターゲット定電圧Vtgよりも低い電圧である(同じ電圧ではない)ことから、コンパレータ342gは、高電位の制御パルス信号Vctの出力を継続する(つまり、直列回路SCから出力部342bへのターゲット定電圧Vtgの印加を継続させる)。
また、交流成分Sdacが低電圧期間TLから高電圧期間THに切り替わるとき(交流成分Sdacの立ち上がり時)には、シングルエンド信号Vdの電圧は、交流成分Sdacの電圧の上昇に伴って電圧(-Vp+Vtg)から上昇して、基準電圧Vre1を上回る。したがって、コンパレータ342gは、図12に示すように、制御パルス信号Vctを低電位から高電位に移行させる。この場合、直列回路SCではスイッチ342fがオン状態に移行する。このため、直列回路SCによる出力部342bへのターゲット定電圧Vtgの印加が開始されて、その後は、シングルエンド信号Vdの電圧は、基準電圧Vre1より高いターゲット定電圧Vtgに維持される。
信号生成部314は、一例として、図11に示すように、1つのコンパレータ414aおよび1つの基準電源414bを有して構成されている。また、基準電源414bは、正極側がターゲット定電圧Vtgに接続されることにより、ターゲット定電圧Vtgから直流定電圧Vbi2が減算された電圧(Vtg-Vbi2)を閾値電圧Vthとして負極側から出力する。直流定電圧Vbi2はピークtoピーク電圧Vpの例えば数%から十数%の電圧値に規定されているため、閾値電圧Vthは、ターゲット定電圧Vtgよりも若干低い電圧に規定されている。
コンパレータ414aは、出力部342bに非反転入力端子が接続され、かつ閾値電圧Vthが反転入力端子に入力されて、出力部342bから出力されるシングルエンド信号Vdを閾値電圧Vthと比較して二値化することにより、出力端子から符号特定用信号Seを出力する。上記したように、閾値電圧Vthがターゲット定電圧Vtgよりも若干低い電圧に規定されていることから、このコンパレータ414aを備えた信号生成部314は、図12に示すように、シングルエンド信号Vd(ピークtoピーク電圧が電圧Vpで、かつその高電位側電圧がターゲット定電圧Vtgに規定された信号)を閾値電圧Vthで確実に二値化して、シリアルバスSBを介して伝送されるCANフレームを構成する符号Csが「0」の期間において高電位(コンパレータ414aの最大出力電圧)となり、この符号Csが「1」の期間において低電位(コンパレータ414aの最小出力電圧)となる符号特定用信号Seを生成して出力する。
図11に示す構成の波形整形部313および信号生成部314では、上記の構成により、例えば、ターゲット定電圧Vtgを、グランドGの電位(ゼロボルト)を超え、かつ正電源電圧Vcc未満の正の所定の電圧としたときには、波形整形部313は、ピークtoピーク電圧Vpで、かつその高電位側電圧がこの正のターゲット定電圧Vtgに規定されたシングルエンド信号Vdを出力する。
また、図9に示す構成の波形整形部313については、図13に示す構成の波形整形部313のように、直列接続された2本の抵抗342i,342jで構成されて、一端部(抵抗342i側の端部)がコンパレータ342gの出力端子に接続されると共に他端部(抵抗342j側の端部)に基準電圧Vre2(第2基準電圧)が印加されて、基準電圧Vre2および制御パルス信号Vctの電圧で規定される分圧電圧をコンパレータ342gの非反転入力端子に基準電圧Vre1として出力する抵抗分圧回路342kを備えて、コンパレータ342gにヒステリシス特性を持たせる構成(コンパレータ342gをヒステリシスコンパレータとして動作させる構成)に変更することもできる。なお、図9に示す波形整形部313と同一の構成については同一の符号を付して重複する説明を省略する。
この抵抗分圧回路342kでは、抵抗342iの抵抗値が抵抗342jの抵抗値に対して十分に大きな値(例えば、抵抗342jが数十kΩのときには抵抗342iは数MΩ程度)に規定されている。また、この抵抗分圧回路342kでは、負極側がターゲット定電圧Vtgに接続された基準電源342hから出力される電圧(Vtg+Vbi1)を基準電圧Vre2(ターゲット定電圧Vtgの近傍の電圧(この例では、ターゲット定電圧Vtgよりも若干高い電圧))として使用しているが、これに限定されるものではなく、図示はしないが、ターゲット定電圧Vtgの近傍の電圧の他の例であるターゲット定電圧Vtgよりも低い(若干低い)電圧を基準電圧Vre2として使用する構成や、ターゲット定電圧Vtg自体を基準電圧Vre2として使用する構成を採用することもできる。
この構成により、図13に示す構成の波形整形部313では、交流成分Sdacが低電圧期間TLから高電圧期間THに切り替わるとき(交流成分Sdacの立ち上がり時)には、直列回路SCから低インピーダンスでターゲット定電圧Vtgが印加されている出力部342bの電圧(コンデンサ342cの他端部の電圧。つまり、シングルエンド信号Vdの電圧)が、この交流成分Sdacの電圧の変化の影響を受けてターゲット定電圧Vtgから瞬間的に上昇して、基準電圧Vre1を上回る。この場合、抵抗分圧回路342kは、高電位の制御パルス信号Vctと基準電圧Vre2との差分電圧(Vct-Vre2)を分圧して得られる電圧Vdvを基準電圧Vre2に加算して、基準電圧(分圧電圧)Vre1として出力する。したがって、このコンパレータ342gでは、図9に示すコンパレータ342gと比較して、出力部342bの電圧が交流成分Sdacの電圧の変化の影響を受けてターゲット定電圧Vtgから瞬間的により高く上昇したときに基準電圧Vre1を上回って、制御パルス信号Vctを高電位から低電位に移行させる。
また、交流成分Sdacが高電圧期間THから低電圧期間TLに切り替わるとき(交流成分Sdacの立ち下がり時)には、シングルエンド信号Vdの電圧は、交流成分Sdacの電圧の低下に伴って電圧(Vp+Vtg)から低下して、基準電圧Vre1を下回る。この場合、抵抗分圧回路342kは、低電位の制御パルス信号Vctと基準電圧Vre2との差分電圧(Vct-Vre2)を分圧して得られる電圧Vdvを基準電圧Vre2に加算して、基準電圧(分圧電圧)Vre1として出力する。したがって、このコンパレータ342gでは、図9に示すコンパレータ342gと比較して、出力部342bの電圧が交流成分Sdacの電圧の変化の影響を受けてターゲット定電圧Vtgから瞬間的により低く低下したときに基準電圧Vre1を下回って、制御パルス信号Vctを低電位から高電位に移行させる。
このようにして、図13に示す構成の波形整形部313では、コンパレータ342gがヒステリシス特性を有した状態で動作して、制御パルス信号Vctを出力するため、入力部342aに入力される差分信号Sdに多少のノイズが重畳している状態であっても、このノイズの影響を低減しつつ、制御パルス信号Vctを生成することが可能となっている。
また、図11に示す構成の波形整形部313については、図14に示す構成の波形整形部313のように、直列接続された2本の抵抗342i,342jで構成されて、一端部(抵抗342i側の端部)がコンパレータ342gの出力端子に接続されると共に他端部(抵抗342j側の端部)がコンデンサ342cの他端部(および出力部342b)に接続されて、シングルエンド信号Vdの電圧および制御パルス信号Vctの電圧で規定される分圧パルス信号Vdpをコンパレータ342gの非反転入力端子に出力する抵抗分圧回路342kを備えて、コンパレータ342gにヒステリシス特性を持たせる構成に変更することもできる。なお、図11に示す波形整形部313と同一の構成については同一の符号を付して重複する説明を省略する。また、この抵抗分圧回路342kは、図13に示す波形整形部313の抵抗分圧回路342kと同一に構成されている。
この構成により、図14に示す構成の波形整形部313では、交流成分Sdacが高電圧期間THから低電圧期間TLに切り替わるとき(交流成分Sdacの立ち下がり時)には、直列回路SCから低インピーダンスでターゲット定電圧Vtgが印加されている出力部342bの電圧(コンデンサ342cの他端部の電圧。つまり、シングルエンド信号Vdの電圧)が、この交流成分Sdacの電圧の変化の影響を受けてターゲット定電圧Vtgから瞬間的に低下して、基準電圧Vre1を下回る。この場合、抵抗分圧回路342kは、高電位の制御パルス信号Vctとシングルエンド信号Vdの電圧との差分電圧を分圧して得られる分圧パルス信号Vdpをコンパレータ342gの非反転入力端子に出力する。したがって、このコンパレータ342gでは、図11に示すコンパレータ342gと比較して、シングルエンド信号Vdの電圧(出力部342bの電圧)が交流成分Sdacの電圧の変化の影響を受けてターゲット定電圧Vtgから瞬間的により低く低下したときに、非反転入力端子への分圧パルス信号Vdpが基準電圧Vre1を下回って、制御パルス信号Vctを高電位から低電位に移行させる。
また、交流成分Sdacが低電圧期間TLから高電圧期間THに切り替わるとき(交流成分Sdacの立ち上がり時)には、シングルエンド信号Vdの電圧は、交流成分Sdacの電圧の上昇に伴って電圧(-Vp+Vtg)から上昇して、基準電圧Vre1を上回る。この場合、抵抗分圧回路342kは、低電位の制御パルス信号Vctとシングルエンド信号Vdの電圧との差分電圧を分圧して得られる分圧パルス信号Vdpをコンパレータ342gの非反転入力端子に出力する。したがって、このコンパレータ342gでは、図11に示すコンパレータ342gと比較して、シングルエンド信号Vdの電圧(出力部342bの電圧)が電圧(-Vp+Vtg)から瞬間的により高く上昇したときに、非反転入力端子への分圧パルス信号Vdpが基準電圧Vre1を上回って、制御パルス信号Vctを低電位から高電位に移行させる。
このようにして、図14に示す構成の波形整形部313においても、コンパレータ342gがヒステリシス特性を有した状態で動作して、制御パルス信号Vctを出力するため、入力部342aに入力される差分信号Sdに多少のノイズが重畳している状態であっても、このノイズの影響を低減しつつ、制御パルス信号Vctを生成することが可能となっている。
なお、上記した図9,11,13,14に示す各波形整形部313では、コンパレータ342gとは別体に配設したスイッチ342fを用いて直列回路SCを構成しているが、例えば図15に示すように、PNP型オープンコレクタのトランジスタを出力段として内蔵するコンパレータをコンパレータ342gとして使用する構成を、図9,13に示す各波形整形部313に採用することもできる。この構成を採用した各波形整形部313では、図15に示すように、この出力段のトランジスタのエミッタ端子に第2インピーダンス素子342eを介してターゲット定電圧Vtgを供給し、このトランジスタのコレクタ端子が接続される出力端子を出力部342bに接続する。これにより、コンパレータ342gに内蔵されたトランジスタを直列回路SCを構成するスイッチ342fとして機能させることができる。
また、例えば図12に示すように、NPN型オープンコレクタのトランジスタを出力段として内蔵するコンパレータをコンパレータ342gとして使用する構成を、図11,14に示す各波形整形部313に採用することもできる。この構成を採用した各波形整形部313では、図16に示すように、このトランジスタのエミッタ端子に第2インピーダンス素子342eを介してターゲット定電圧Vtgを供給し、このトランジスタのコレクタ端子が接続される出力端子を出力部342bに接続する。これにより、コンパレータ342gに内蔵されたトランジスタを直列回路SCを構成するスイッチ342fとして機能させることができる。
この図15,16に示す構成を採用することにより、スイッチ342fを省略できる分だけ、波形整形部313の部品点数を削減することができる。
また、上記した図9,13に示す各波形整形部313における直列回路SCのスイッチ342fとして、3ステートロジックICを使用することもできる。一例として図13に示す波形整形部313のスイッチ342fとして3ステートロジックIC(以下、ロジックIC342fともいう)を使用した構成の波形整形部313を図17に示す。なお、図13に示す波形整形部313と同一の構成については同一の符号を付して重複する説明を省略する。この図17に示す波形整形部313では、ロジックIC342fにおけるローレベルに対応する電圧をターゲット定電圧Vtgとして規定し、このターゲット定電圧VtgをロジックIC342fの入力端子に入力し、ロジックIC342fの出力端子を第2インピーダンス素子342eを介して出力部342bに接続し、ロジックIC342fの制御入力端子に制御パルス信号Vctを入力する。ロジックIC342fは、制御入力端子が正論理(ハイアクティブ。制御パルス信号Vctが高電位のときにターゲット定電圧Vtgを出力し、制御パルス信号Vctが低電位のときに出力をハイインピーダンス状態にする構成)のロジックICで構成されている。
この直列回路SCは、ロジックIC342fが制御パルス信号Vctの高電位のときにターゲット定電圧Vtgを出力部342bに出力し、制御パルス信号Vctの低電位のときに出力をハイインピーダンス状態に移行させることにより、ターゲット定電圧Vtgの出力部342bへの出力を停止する。
この図17に示す波形整形部313は、図13に示す波形整形部313と同様に動作して、図10に示すように、差分信号Sdを、差分信号Sdの交流成分Sdacのピークtoピーク電圧Vpと同等のピークtoピーク電圧Vpで、かつその低電位側電圧(低電圧期間TLの電圧)がターゲット定電圧Vtgに規定されたシングルエンド信号Vdに整形(波形整形)して出力部342bから出力する。これにより、この波形整形部313は、図10に示すように、CANフレームを構成する符号Csの変化に対応して電圧が変化する信号、つまり、この符号Csが「1」の期間には信号の電圧が低電位(ターゲット定電圧Vtg)になり、この符号Csが「0」の期間には信号の電圧が高電位になるシングルエンド信号Vdを出力する。
また、上記した図11,14に示す各波形整形部313における直列回路SCのスイッチ342fとしても、3ステートロジックICを使用することができる。一例として図14に示す波形整形部313のスイッチ342fとして、ロジックIC342f(図17に示すロジックIC342fと同じ正論理のロジックIC)を使用した構成の波形整形部313を図18に示す。なお、図14に示す波形整形部313と同一の構成については同一の符号を付して重複する説明を省略する。この図18に示す波形整形部313では、ロジックIC342fにおけるハイレベルに対応する電圧をターゲット定電圧Vtgとして規定し、このターゲット定電圧VtgをロジックIC342fの入力端子に入力し、ロジックIC342fの出力端子を第2インピーダンス素子342eを介して出力部342bに接続し、ロジックIC342fの制御入力端子に制御パルス信号Vctを入力する。
この図18に示す波形整形部313は、図14に示す波形整形部313と同様に動作して、図12に示すように、差分信号Sdを、差分信号Sdの交流成分Sdacのピークtoピーク電圧Vpと同等のピークtoピーク電圧Vpで、かつその高電位側電圧(高電圧期間THの電圧)がターゲット定電圧Vtgに規定されたシングルエンド信号Vdに整形(波形整形)して出力部342bから出力する。これにより、この波形整形部313は、図12に示すように、CANフレームを構成する符号Csの変化に対応して電圧が変化する信号、つまり、この符号Csが「1」の期間には信号の電圧が低電位になり、この符号Csが「0」の期間には信号の電圧が高電位(ターゲット定電圧Vtg)になるシングルエンド信号Vdを出力する。
この図17,18に示す構成を採用することにより、集積回路に内蔵されている出力バッファをロジックIC342fとして使用することができる。
また、図9,13,17に示す波形整形部313と同様に、差分信号Sdを、差分信号Sdの交流成分Sdacのピークtoピーク電圧Vpと同等のピークtoピーク電圧Vpで、かつその低電位側電圧(低電圧期間TLの電圧)がターゲット定電圧Vtgに規定されたシングルエンド信号Vdに整形(波形整形)して出力部342bから出力する波形整形部としては、図19に示す波形整形部313を採用することもできる。この波形整形部313は、上記した図17に示す波形整形部313と同様に、直列回路SCのスイッチ342fとして3ステートロジックICを使用する構成であることから、図17に示す波形整形部313と比較しつつ説明する。なお、図17に示す波形整形部313と同一の構成については同一の符号を付して重複する説明を省略する。
図19に示す波形整形部313は、差分信号Sdが入力される入力部342a、シングルエンド信号Vdが出力される出力部342b、コンデンサ342c、第1インピーダンス素子342d、第2インピーダンス素子342eおよびスイッチ342fとしての3ステートロジックIC(以下、ロジックIC342fともいう)で構成された直列回路SC、並びにダイオードを含まずに加算器342mなどで構成されると共にスイッチ342fをオン状態からオフ状態へ、またオフ状態からオン状態へ移行させる制御パルス信号Vctを出力するスイッチ制御回路SWCを備えている。
スイッチ制御回路SWCは、加算器342mに加えて、抵抗分圧回路342nおよびバイアス電圧源342pを備えて構成されている。抵抗分圧回路342nは、直列接続された抵抗を有して構成されると共に、一端部が出力部342bに接続されると共に他端部にターゲット定電圧Vtgが印加されて、出力部342bから出力されるシングルエンド信号Vdを分圧して分圧パルス信号Vdpとして加算器342mに出力する。本例の抵抗分圧回路342kは、一例として 直列接続された2つの抵抗342n1,342n2で構成されているが、図示はしないが、さらに多くの抵抗を組み合わせて構成してもよい。バイアス電圧源342pは、負極側がターゲット定電圧Vtgに接続されることにより、生成した直流定電圧(バイアス電圧)Vbi3(≠0ボルト)をターゲット定電圧Vtgに加算して、加算器342mに出力する。この場合、抵抗分圧回路342nおよびバイアス電圧源342pは、加算器342mから出力される制御パルス信号Vctの振幅および直流レベルが後述するロジックIC342fの制御入力端子の入力仕様に合致するように、その分圧比や電圧値が予め規定されている。
加算器342mは、分圧パルス信号Vdpと、直流定電圧Vbi3およびターゲット定電圧Vtgの加算電圧(Vbi3+Vtg)とを入力すると共に電圧加算して、制御パルス信号Vct(=Vdp+Vbi3+Vtg)を出力する。この制御パルス信号Vctは、シングルエンド信号Vdを分圧して得られる分圧パルス信号Vdpと同位相の信号であることから、交流成分Sdacにおける低電圧期間TLに低電圧となり、交流成分Sdacにおける高電圧期間THに高電圧となる信号である。つまり、この図19における制御パルス信号Vctは、図10に示す制御パルス信号Vctとは逆位相の信号となっている。
このため、図19の波形整形部313における直列回路SCは、上記した図17の波形整形部313における直列回路SCを構成するロジックIC342f(制御入力端子が正論理(ハイアクティブ。制御パルス信号Vctが高電位のときにターゲット定電圧Vtgを出力する構成)のロジックIC)とは異なり、制御入力端子が負論理(ローアクティブ。制御パルス信号Vctが低電位のときにターゲット定電圧Vtgを出力する構成)のロジックIC342fで構成されている。
この図19に示す波形整形部313は、図9,13,17に示す波形整形部313と同様に動作して、図10に示すように、差分信号Sdを、差分信号Sdの交流成分Sdacのピークtoピーク電圧Vpと同等のピークtoピーク電圧Vpで、かつその低電位側電圧(低電圧期間TLの電圧)がターゲット定電圧Vtgに規定されたシングルエンド信号Vdに整形(波形整形)して出力部342bから出力する。これにより、この波形整形部313は、図10に示すように、CANフレームを構成する符号Csの変化に対応して電圧が変化する信号、つまり、この符号Csが「1」の期間には信号の電圧が低電位(ターゲット定電圧Vtg)になり、この符号Csが「0」の期間には信号の電圧が高電位になるシングルエンド信号Vdを出力する。なお、この図19に示す波形整形部313では、抵抗分圧回路342nは、シングルエンド信号Vdを分圧する上記の機能に加えて、ターゲット定電圧Vtgをコンデンサ342cの他端部(および出力部342b)に供給する機能(第1インピーダンス素子342dと同様の機能)を備えている。このため、第1インピーダンス素子342dを省くことも可能である。
また、図19に示す波形整形部313の直列回路SCを構成するロジックIC342fとして、上記したような制御入力端子が負論理(ローアクティブ)のロジックICを使用する構成に代えて、図示はしないが、制御入力端子が正論理(ハイアクティブ)のロジックICを使用する構成としてもよい。この波形整形部によれば、図12に示す制御パルス信号Vctに基づいて、直列回路SCを構成するロジックIC342fが制御パルス信号Vctの高電位のときにターゲット定電圧Vtgの印加を実行し、制御パルス信号Vctの低電位のときにターゲット定電圧Vtgの印加を停止することから、図12に示すように、差分信号Sdを、差分信号Sdの交流成分Sdacのピークtoピーク電圧Vpと同等のピークtoピーク電圧Vpで、かつその高電位側電圧(高電圧期間THの電圧)がターゲット定電圧Vtgに規定されたシングルエンド信号Vdに整形(波形整形)して出力部342bから出力することができる。これにより、この波形整形部は、CANフレームを構成する符号Csの変化に対応して電圧が変化する信号、つまり、この符号Csが「1」の期間には信号の電圧が低電位になり、この符号Csが「0」の期間には信号の電圧が高電位(ターゲット定電圧Vtg)になるシングルエンド信号Vdを出力する。
また、図19に示す波形整形部313や上記した不図示の波形整形部において、抵抗分圧回路342nから出力される分圧パルス信号Vdpの振幅および直流レベルがロジックIC342fの制御入力端子の入力仕様に合致するものであるときには、加算器342mおよびバイアス電圧源342pを省いて、図20に示す波形整形部313のように、抵抗分圧回路342nだけでスイッチ制御回路SWCを構成することもできる。この波形整形部313では、抵抗分圧回路342nから出力される分圧パルス信号Vdpがそのまま制御パルス信号Vctとして、ロジックIC342fの制御入力端子に供給される。
図20に示す波形整形部313は、直列回路SCを構成するロジックIC342fとして、制御入力端子が正論理(ハイアクティブ)のロジックICを使用する構成のため、図12に示すように、差分信号Sdを、差分信号Sdの交流成分Sdacのピークtoピーク電圧Vpと同等のピークtoピーク電圧Vpで、かつその高電位側電圧(高電圧期間THの電圧)がターゲット定電圧Vtgに規定されたシングルエンド信号Vdに整形(波形整形)して出力部342bから出力する。
なお、図示はしないが、図20に示す波形整形部313の直列回路SCを構成するロジックIC342fとして、制御入力端子が負論理(ローアクティブ)のロジックICを使用して波形整形部を構成することもできる。この波形整形部は、図10に示すように、差分信号Sdを、差分信号Sdの交流成分Sdacのピークtoピーク電圧Vpと同等のピークtoピーク電圧Vpで、かつその低電位側電圧(低電圧期間TLの電圧)がターゲット定電圧Vtgに規定されたシングルエンド信号Vdに整形(波形整形)して出力部342bから出力する。
また、上記した各波形整形部313において使用されるターゲット定電圧Vtgは、波形整形部313に不図示の直流定電圧源を配置して、この直流定電圧源から出力される直流定電圧を使用することもできるし、図9において破線で示すように、波形整形部313の外部から入力された電圧データDvをD/A変換して、この電圧データDvで示される電圧値の直流電圧を出力するD/A変換器351を波形整形部313に配置して、このD/A変換器351から出力される直流電圧をターゲット定電圧Vtgとして使用する構成とすることもできる。なお、一例として図9に示す波形整形部313を例に挙げたが、図11,図13~20および後述する図21,22の各波形整形部313についても同様である。このD/A変換器351を波形整形部313に配置する構成を採用したときには、電圧データDvを変更することで、シングルエンド信号Vdにおいてターゲット定電圧Vtgに規定される高電位側電圧(高電圧期間THの電圧)や低電位側電圧(低電圧期間TLの電圧)を変更することができる。したがって、信号生成部314がシングルエンド信号Vdから符号特定用信号Seを確実に生成し得るように調整することができる。
また、上記した各波形整形部313では、ダイオードを含まない構成を採用しているが、図21,22に示す波形整形部313のように、ダイオードを含む構成とすることもできる。
まず、図21に示す波形整形部313は、上記した図9の波形整形部313と同様にして、差分信号Sdを入力すると共に、この差分信号Sdを、差分信号Sdの交流成分のピークtoピーク電圧Vpと同等のピークtoピーク電圧Vpで、かつその低電位側電圧(低電圧期間TLの電圧。ボトム電圧)がターゲット定電圧Vtgに規定されたシングルエンド信号Vdに整形(波形整形)して出力する。また、図21に示す波形整形部313は、図9に示す波形整形部313と比較して、差分信号Sdが入力される入力部342a、シングルエンド信号Vdが出力される出力部342b、コンデンサ342cおよび第1インピーダンス素子342dを備えている点で共通し、直列回路SCおよびスイッチ制御回路SWCに代えて1つのダイオード342xを備えている点で相違している。このダイオード342xは、カソード端子が出力部342bに接続されると共に、アノード端子にターゲット定電圧Vtgが印加されている。
この図21に示す波形整形部313では、ダイオード342xが単体で、直列回路SCおよびスイッチ制御回路SWCと同等に動作して、図10に示すように、入力部342aに入力される差分信号Sdの交流成分Sdacにおける低電圧期間TLにオン状態に移行して、ターゲット定電圧Vtgを出力部342bに印加し、交流成分Sdacにおける高電圧期間THにオフ状態に移行して、ターゲット定電圧Vtgの出力部342bへの印加を停止する。これにより、この波形整形部313は、ダイオード342xの順方向電圧を無視し得るものとしたときに、差分信号Sdを上記したシングルエンド信号Vdに整形(波形整形)して出力する。
次に、図22に示す波形整形部313は、上記した図11の波形整形部313と同様にして、差分信号Sdを入力すると共に、この差分信号Sdを、差分信号Sdの交流成分のピークtoピーク電圧Vpと同等のピークtoピーク電圧Vpで、かつその高電位側電圧(高電圧期間THの電圧。トップ電圧)がターゲット定電圧Vtgに規定されたシングルエンド信号Vdに整形(波形整形)して出力する。図22に示す波形整形部313は、図11に示す波形整形部313と比較して、差分信号Sdが入力される入力部342a、シングルエンド信号Vdが出力される出力部342b、コンデンサ342cおよび第1インピーダンス素子342dを備えている点で共通し、直列回路SCおよびスイッチ制御回路SWCに代えて1つのダイオード342xを備えている点で相違している。このダイオード342xは、アノード端子が出力部342bに接続されると共に、カソード端子にターゲット定電圧Vtgが印加されている。
この図22に示す波形整形部313では、ダイオード342xが単体で、直列回路SCおよびスイッチ制御回路SWCと同等に動作して、図12に示すように、入力部342aに入力される差分信号Sdの交流成分Sdacにおける高電圧期間THにオン状態に移行して、ターゲット定電圧Vtgを出力部342bに印加し、交流成分Sdacにおける低電圧期間TLにオフ状態に移行して、ターゲット定電圧Vtgの出力部342bへの印加を停止する。これにより、この波形整形部313は、差分信号Sdを上記したシングルエンド信号Vdに整形(波形整形)して出力する。
図6の符号化装置3は、同図中の信号生成装置2から出力された符号特定用信号Seに基づき、ロジック信号Saに対応する符号Cs(図10,12参照)を特定する符号化処理を実行し、特定した符号Csの列(すなわち、シリアルバスSBを伝送されているCANフレームと同じCANフレーム)を、信号読取システム1に接続されている各種CAN通信対応機器に出力する。具体的には、符号化装置3は、符号化処理において、符号特定用信号Seの高電位期間においては、シリアルバスSBを介して伝送されているCANフレームを構成する符号Csが「0」であると特定し、かつ符号特定用信号Seの低電位期間においては、このCANフレームを構成する符号Csが「1」であると特定すると共に、特定した符号Csで構成される符号列を、シリアルバスSBを介して伝送されているCANフレームと特定して、各種CAN通信対応機器に出力する。この場合、符号化装置3は、CAN通信対応機器と有線伝送路を介して接続されているときには、特定したCANフレームを有線通信でCAN通信対応機器に出力(送信)し、CAN通信対応機器と無線伝送路を介して接続されているときには、特定したCANフレームを無線通信でCAN通信対応機器に出力(送信)する。
次に、信号読取システム301の使用例、およびその際の信号読取システム301の動作について、図面を参照して説明する。
まず、図6に示すように、自動車に敷設されているシリアルバスSBにおける被覆導線La,Lbの被覆部に電極21が接触(当接)するように電極部11a,11bを被覆導線La,Lbにそれぞれ装着すると共に、シリアルバスSBから読み取ったCANフレーム(符号Csの列)を出力すべきCAN通信対応機器を符号化装置3に接続する。
この場合、本例の信号読取システム301では、被覆導線La,Lb自体を加工する(絶縁被覆を剥がす)ことなく、電極部11a,11bを装着するだけでシリアルバスSBからロジック信号Saを読み取ることができるため、シリアルバスSBにコネクタが配設されていない場合においても使用することができる。また、コネクタが配設されていたとしても、シリアルバスSBに対する接続場所(電極部11a,11bの装着場所)がコネクタの配設場所に限定されずに、被覆導線La,Lbの長手方向における任意の場所に接続する(電極部11a,11bを装着する)ことが可能となっている。
この状態において、自動車に搭載された図外のCAN通信対応機器(制御情報を示すCANフレームを出力するコントローラや、任意の計測結果を示すCANフレームを出力する検出器等)からシリアルバスSBにロジック信号Saが出力されたときに、信号生成装置302では、被覆導線Laに装着された電極部11aとシールドケーブル50を介して接続されたインピーダンス素子(抵抗233bを含む素子)には、被覆導線Laに伝送されている電圧信号Vaの電圧Vaに応じて電圧が変化する第1電圧信号Vc1が発生し、また被覆導線Lbに装着された電極部11bとシールドケーブル50を介して接続されたインピーダンス素子(抵抗233eを含む素子)には、被覆導線Lbに伝送されている電圧信号Vbの電圧Vbに応じて電圧が変化する第2電圧信号Vc2が発生する。
信号生成装置302では、検出部212が、この第1電圧信号Vc1およびこの第2電圧信号Vc2を入力すると共に、これらの電圧信号Vc1,Vc2の差分電圧(Vc1-Vc2)に応じて電圧が変化する差分信号Sdを出力し、波形整形部313が、この差分信号Sdに基づいてシングルエンド信号Vdを出力する。
この場合、信号生成装置302では、波形整形部313が図9,13,15,17,19,21のうちのいずれかに示す回路構成のときには、図10に示すように、シリアルバスSBに伝送されているCANフレームを構成する符号Csが「1」の期間には信号の電圧が低電位(ターゲット定電圧Vtg)になり、この符号Csが「0」の期間には信号の電圧が高電位になるシングルエンド信号Vd(つまり、低電位期間の信号の電圧(信号のボトム電圧)がターゲット定電圧Vtgに規定されるように波形整形された信号)を出力する。また、波形整形部313が図11,14,16,18,20,22のうちのいずれかに示す回路構成のときには、図12に示すように、シリアルバスSBに伝送されているCANフレームを構成する符号Csが「0」の期間には信号の電圧が高電位(ターゲット定電圧Vtg)になり、この符号Csが「1」の期間には信号の電圧が低電位になるシングルエンド信号Vd(つまり、高電位期間の信号の電圧(信号のトップ電圧)がターゲット定電圧Vtgに規定されるように波形整形された信号)を出力する。
また、信号生成装置302では、波形整形部313が図9,13,15,17,19,21のうちのいずれかに示す回路構成のときには、この波形整形部313の回路構成に対応して図9に示す回路に構成された信号生成部314が、図10に示すように、シリアルバスSBを介して伝送されるCANフレームを構成する符号Csが「0」の期間において「高電位期間」となり、この符号Csが「1」の期間において「低電位期間」となる符号特定用信号Seを生成して出力する。また、波形整形部313が図11,14,16,18,20,22のうちのいずれかに示す回路構成のときには、この波形整形部313の回路構成に対応して図11に示す回路に構成された信号生成部314が、図12に示すように、シリアルバスSBを介して伝送されるCANフレームを構成する符号Csが「0」の期間において「高電位期間」となり、この符号Csが「1」の期間において「低電位期間」となる符号特定用信号Seを生成して出力する。
また、符号化装置3では、信号生成装置302によって生成されて出力された符号特定用信号Seに基づき、シリアルバスSBを介して伝送されているCANフレームを構成する符号Csを特定すると共に、特定した符号Csで構成される符号列を、シリアルバスSBを介して伝送されているCANフレームと特定して、各種CAN通信対応機器に出力する。これにより、このCAN通信対応機器では、信号読取システム301から出力された(信号読取システム1によってシリアルバスSBから読み取られた)CANフレーム(符号Csの列)に対応して予め規定されている各種の処理が実行される。
このように、この信号生成装置302では、一対の被覆導線La,Lbにおける被覆部にそれぞれ接触させられる(被覆導線La,Lbにおける金属部分(芯線)に接触することなく非接触の状態(金属非接触の状態)で被覆導線La,Lbの被覆部に接触させられる)一対の電極21とシールドケーブル50,50を介して接続されることで、一方の被覆導線Laに伝送されている電圧Vaに応じて電圧が変化する第1電圧信号Vc1がインピーダンス素子(抵抗233bを含む素子)に発生し、他方の被覆導線Lbに伝送されている電圧Vbに応じて電圧が変化する第2電圧信号Vc2がインピーダンス素子(抵抗233eを含む素子)に発生し、検出部212が各電圧信号Vc1,Vc2の差分電圧(Vc1-Vc2)に応じて電圧が変化する差分信号Sdを出力し、波形整形部313がこの差分信号Sdに基づいてシングルエンド信号Vdを出力し、信号生成部314がシングルエンド信号Vdを閾値電圧Vthと比較して二値化することにより、シリアルバスSBを介して伝送されるロジック信号Saに対応する符号Csを特定可能な符号特定用信号Seを生成する。また、この信号読取システム301では、上記の信号生成装置302と、信号生成装置302によって生成された符号特定用信号Seに基づいてロジック信号Saに対応する符号Csを特定する符号化装置3とを備えている。
したがって、この信号生成装置302および信号読取システム301によれば、一対の被覆導線La,Lbにおける長手方向の任意の部位において被覆導線Lの被覆部に電極部11a,11bの各電極21を接触させる簡易な作業を行うことで、シリアルバスSBを介して伝送されているロジック信号Saによって示されている符号Csを特定可能な符号特定用信号Seを生成し、生成した符号特定用信号Seに基づいてロジック信号Saによって示されている符号Csを特定することができ、さらには特定した符号Csの列で構成されるCANフレームを特定することができる。これにより、シリアルバスSBにコネクタが配設されていなくても、またシリアルバスSBにコネクタが配設されている場合においても、シリアルバスSBの任意の場所においてロジック信号Saを読み取って、符号Cs、および符号Csで構成されるCANフレームを特定することができる。
また、この信号生成装置302では、第1電圧信号Vc1および第2電圧信号Vc2を入力すると共に差分電圧(Vc1-Vc2)に応じて電圧が変化する差分信号Sdを出力する検出部212、およびこの差分信号Sdを、差分信号Sdの交流成分Sdacのピークtoピーク電圧Vpと同等のピークtoピーク電圧Vpで、かつその高電位側電圧(高電圧期間THの電圧)および低電位側電圧(低電圧期間TLの電圧)のうちのいずれか一方がターゲット定電圧Vtgに規定されたシングルエンド信号Vdに整形(波形整形)して出力する波形整形部313を備えて構成されている。
したがって、この信号生成装置302によれば、波形整形部313に配置される信号生成部314において、上記のターゲット定電圧Vtgを基準として規定された閾値電圧Vthと比較することで、シングルエンド信号Vdを確実に二値化して符号特定用信号Seを生成することができる。これにより、この信号読取システム301によれば、この符号特定用信号Seに基づいて、ロジック信号Saによって示されている符号Csをより確実に特定することができ、さらには特定した符号Csの列で構成されるCANフレームをより確実に特定することができる。
また、この信号生成装置302では、波形整形部313が、コンデンサ342c、第1インピーダンス素子342d、直列回路SC、および差分信号Sdの交流成分Sdacにおける低電圧期間TLに直列回路SCのスイッチ342fをオン状態に移行させると共に、この交流成分Sdacにおける高電圧期間THにスイッチ342fをオフ状態に移行させるスイッチ制御回路SWCとを備える構成か、またはコンデンサ342c、第1インピーダンス素子342d、直列回路SC、および差分信号Sdの交流成分Sdacにおける高電圧期間THに直列回路SCのスイッチ342fをオン状態に移行させると共に、この交流成分Sdacにおける低電圧期間TLにスイッチ342fをオフ状態に移行させるスイッチ制御回路SWCとを備える構成のいずれかの構成とすることができる。
したがって、この構成を採用した信号生成装置302によれば、順方向電圧の影響を受けるダイオード342xを用いて構成された波形整形部313を有する構成とは異なり、波形整形部313が、差分信号Sdを、差分信号Sdの交流成分Sdacのピークtoピーク電圧Vpと同等のピークtoピーク電圧Vpで、かつその高電位側電圧(高電圧期間THの電圧)および低電位側電圧(低電圧期間TLの電圧)のうちのいずれか一方が確実にターゲット定電圧Vtgに規定されたシングルエンド信号Vdに整形(波形整形)して出力することができる。このため、この信号生成装置302によれば、波形整形部313の後段に配置される信号生成部314において、上記のターゲット定電圧Vtgを基準として規定された閾値電圧Vthと比較することで、シングルエンド信号Vdを一層確実に二値化して符号特定用信号Seを生成することができる。これにより、この信号読取システム301によれば、この符号特定用信号Seに基づいて、ロジック信号Saによって示されている符号Csを一層確実に特定することができ、さらには特定した符号Csの列で構成されるCANフレームをより確実に特定することができる。
また、この信号生成装置302を構成する上記した図9に示す波形整形部313では、スイッチ制御回路SWCは、コンデンサ342cの他端部に反転入力端子が接続され、かつターゲット定電圧Vtgよりも高い(若干高い)基準電圧Vre1が非反転入力端子に入力されて、出力端子から制御パルス信号Vctを出力するコンパレータ342gを有して構成されている。したがって、この波形整形部313によれば、シングルエンド信号Vdの低電位側電圧(低電圧期間TLの電圧)がターゲット定電圧Vtgに規定されている状態において、シングルエンド信号Vdにノイズが重畳した場合であっても、そのノイズのレベルが基準電圧Vre1に達するまで(基準電圧Vre1に上昇するまで)は、スイッチ制御回路SWCが制御パルス信号Vctを高電位に維持して(つまり、スイッチ342fをオン状態に維持して)、直列回路SCに対してコンデンサ342cの他端部(および出力部342b)へのターゲット定電圧Vtgの印加を継続させることができる。したがって、この波形整形部313を備えた信号生成装置302および信号読取システム301によれば、ノイズによる誤動作を軽減することができる。
また、この信号生成装置302を構成する上記した図11に示す波形整形部313では、スイッチ制御回路SWCは、コンデンサ342cの他端部に非反転入力端子が接続され、かつターゲット定電圧Vtgよりも低い(若干低い)基準電圧Vre1が反転入力端子に入力されて、出力端子から制御パルス信号Vctを出力するコンパレータ342gを有して構成されている。このため、この波形整形部313によれば、シングルエンド信号Vdの高電位側電圧(高電圧期間THの電圧)がターゲット定電圧Vtgに規定されている状態において、シングルエンド信号Vdにノイズが重畳した場合であっても、そのノイズのレベルが基準電圧Vre1に達するまで(基準電圧Vre1に低下するまで)は、スイッチ制御回路SWCが制御パルス信号Vctを高電位に維持して(つまり、スイッチ342fをオン状態に維持して)、直列回路SCに対してコンデンサ342cの他端部(および出力部342b)へのターゲット定電圧Vtgの印加を継続させることができる。したがって、この波形整形部313を備えた信号生成装置302および信号読取システム301によれば、ノイズによる誤動作を軽減することができる。
これにより、これらの波形整形部313を備えた信号生成装置302および信号読取システム301によれば、ノイズの存在下においても、符号特定用信号Seを安定して生成でき、またこの符号特定用信号Seに基づいて符号Csおよび符号Csで構成されるCANフレームを安定して特定して出力することができる。
また、この信号生成装置2を構成する上記した図13,14に示す波形整形部313では、スイッチ制御回路SWCを構成するコンパレータ342gがヒステリシス特性を有している(コンパレータ342gがヒステリシスコンパレータとして動作する)。このため、これらの波形整形部313によれば、シングルエンド信号Vdが低電位側電圧(低電圧期間TLの電圧)のとき、およびシングルエンド信号Vdが高電位側電圧(高電圧期間THの電圧)のときのいずれのときに、シングルエンド信号Vdにノイズが重畳した場合であっても、そのノイズのレベルが上記のヒステリシス特性で規定されるレベル未満のときには、スイッチ制御回路SWCが制御パルス信号Vctの電位を現在の電位に維持すること(つまり、スイッチ342fがオン状態のときにはこの状態を維持し、またスイッチ342fがオフ状態のときにはこの状態を維持すること)ができることから、シングルエンド信号Vdの電圧を現在の状態に維持することができる。したがって、この波形整形部313を備えた信号生成装置302によれば、ノイズによる誤動作を一層軽減することができる。
これにより、これらの波形整形部313を備えた信号生成装置302および信号読取システム301によれば、ノイズの存在下においても、符号特定用信号Seを一層安定して生成でき、またこの符号特定用信号Seに基づいて符号Csおよび符号Csで構成されるCANフレームを一層安定して特定して出力することができる。
また、上記した図19,20に示す波形整形部313のいずれかを備えた信号生成装置302によれば、コンパレータを使用しない構成においても、検出部212から出力される差分信号Sdを、差分信号Sdの交流成分Sdacのピークtoピーク電圧Vpと同等のピークtoピーク電圧Vpで、かつその低電位側電圧(低電圧期間TLの電圧)がターゲット定電圧Vtgに規定されたシングルエンド信号Vdに確実に整形したり、また差分信号Sdの交流成分Sdacのピークtoピーク電圧Vpと同等のピークtoピーク電圧Vpで、かつその高電位側電圧(高電圧期間THの電圧)がターゲット定電圧Vtgに規定されたシングルエンド信号Vdに確実に整形したりして、出力部342bから出力することができる。これにより、この波形整形部313を備えた信号生成装置302によれば、設計の自由度を高めることができる。
また、この信号生成装置2を構成する上記した図17~図20に示す波形整形部313では、直列回路SCを構成するスイッチ342fが、スリーステートバッファとしての3ステートロジックIC(ロジックIC342f)で構成されている。したがって、この各波形整形部313によれば、集積回路に内蔵されている出力バッファ(または入出力バッファ(双方向バッファ))をロジックIC342fとして使用することができる。
また、この信号生成装置302によれば、波形整形部313にD/A変換器351を配置して、D/A変換器351からターゲット定電圧Vtgを出力させる構成とすることにより、D/A変換器351への電圧データDvを変更することで、このターゲット定電圧Vtgを変更できるため、シングルエンド信号Vdにおいてターゲット定電圧Vtgに規定される高電位側電圧(高電圧期間THの電圧)や低電位側電圧(低電圧期間TLの電圧)を信号生成部314の入力仕様に応じて変更することができる。つまり、この信号生成装置302によれば、信号生成部314がシングルエンド信号Vdから符号特定用信号Seを確実に生成し得るように上記の高電位側電圧や低電位側電圧を調整することができる。
また、この信号生成装置2によれば、検出部212における一次巻線131a側の回路を図8に示す構成とすることにより、つまり、差動増幅回路を構成するオペアンプ232aの抵抗233haに直列にコンデンサ234aを接続し、かつオペアンプ232bの抵抗233hbに直列にコンデンサ234bを接続して、オペアンプ232a,232bを交流増幅器として機能させる構成とすることにより、オペアンプ232a,232bの各出力端子から出力される出力信号が各電圧信号Vc1,Vc2の直流成分に起因して飽和する事態の発生を大幅に軽減することができる。
また、図5に示す検出部212の後段に、同図中の信号生成部13に代えて、上記した波形整形部313および信号生成部314を配置した例について図6~図22を用いて説明したが、図2に示す検出部12の後段に、同図中の信号生成部13に代えて、波形整形部313および信号生成部314を配置してもよいし、また、図4に示す検出部112の後段に、同図中の信号生成部13に代えて、波形整形部313および信号生成部314を配置してもよい。
また、図6~図22を用いて説明した上記の信号読取システム301では、信号生成装置302が、「高電位期間」および「低電位期間」の配列パターンがシリアルバスSBを介して伝送されているロジック信号Saのロジックパターンと一致する符号特定用信号Seを生成して出力すると共に、符号化装置3が、符号特定用信号Seにおける高電位期間を2進数データの「0」とし、かつ符号特定用信号Seにおける低電位期間を2進数データの「1」とする符号化処理を実行して符号列Cs(CANフレーム)を特定する構成を採用したが、図示はしないが、信号生成装置302が、「高電位期間」および「低電位期間」の配列パターンがシリアルバスSBを介して伝送されているロジック信号Saのロジックパターンと反転する符号特定用信号Sf(上記した信号読取システム1,101,201での符号特定用信号Sfに相当する信号)を生成して出力すると共に、符号化装置3が、符号特定用信号Sfにおける低電位期間を2進数データの「0」とし、かつ符号特定用信号Sfにおける高電位期間を2進数データの「1」とする符号化処理を実行して符号列Cs(CANフレーム)を特定する構成を採用することもできる。
また、上記の信号生成装置2,102,202,302では、電極部11a,11bを備える構成を採用しているが、電極部11a,11bを別体とする構成を採用して、信号生成装置2を使用する際に、信号生成装置2に電極部11a,11bをシールドケーブル50,50を介して接続するようにしてもよい。
また、図9,11,13,14に示す上記の波形整形部313では、直列回路SCのスイッチ342fが正論理で動作するように構成されているが、この構成に限定されず、負論理(ローアクティブ)で動作する(つまり、制御パルス信号Vctが低電位のときにオン状態に移行し、制御パルス信号Vctが高電位のときにオフ状態に移行するように動作する)構成であってもよい。なお、スイッチ342fを負論理で動作する構成とした場合には、制御パルス信号Vctを出力するスイッチ制御回路SWCの構成も変更する必要がある。以下では、図9,11,13,14に示す上記の波形整形部313のスイッチ342fを負論理で動作する構成としたときの波形整形部の構成について、対応する波形整形部313の図面(図9,11,13,14)を参照しつつ、スイッチ制御回路の構成を含めて説明する。
まず、図9に示す波形整形部313を参照しつつ、この波形整形部313のスイッチ342fを負論理で動作する構成としたときの波形整形部の構成について説明する。なお、この波形整形部は、図9に示す波形整形部313と比較して、スイッチ342fが負論理で動作する構成に加えて、上記したように制御パルス信号Vctを出力するスイッチ制御回路SWCの構成が相違すること以外は図9に示す波形整形部313と同一である。このため、この波形整形部のスイッチ制御回路について主として説明する。
このスイッチ制御回路も、図示はしないが、図9に示す波形整形部313と同様のコンパレータ342gおよび基準電源342hを有して構成されている。一方、図9に示す波形整形部313では、コンパレータ342gの反転入力端子がコンデンサ342cの他端部に接続され、非反転入力端子に基準電源342hからの基準電圧Vre1が入力される構成であるのに対して、このスイッチ制御回路では、図示はしないが、コンパレータ342gの非反転入力端子がコンデンサ342cの他端部に接続され、反転入力端子に基準電圧Vre1(ターゲット定電圧Vtgよりも高い電圧)が入力される構成となっている。
この構成により、負論理のスイッチ342fを駆動するスイッチ制御回路は、コンデンサ342cの他端部の電圧(つまり、シングルエンド信号Vdの電圧)が基準電圧Vre1を上回る状態から低下して基準電圧Vre1を下回った時点で、高電位から低電位に移行し、逆に、コンデンサ342cの他端部の電圧(シングルエンド信号Vdの電圧)が基準電圧Vre1を下回る状態から上昇して基準電圧Vre1を上回った時点で、低電位から高電位に移行する制御パルス信号Vct(図10に示す制御パルス信号Vctの高電位の期間において低電位となり、低電位の期間において高電位となる信号)を生成して、負論理のスイッチ342fに出力する。その結果として、負論理のスイッチ342fは、図9に示す波形整形部313の正論理のスイッチ342fと同じタイミングでオン状態からオフ状態に、またオフ状態からオン状態に移行する。つまり、負論理のスイッチ342fおよびこのスイッチ342f用に構成された上記のスイッチ制御回路を備えた波形生成部は、図9に示す波形整形部313(正論理のスイッチ342fを備えた波形整形部)と同等に機能する。
次に、図11に示す波形整形部313を参照しつつ、この波形整形部313のスイッチ342fを負論理で動作する構成としたときの波形整形部の構成について説明する。なお、この波形整形部は、図11に示す波形整形部313と比較して、スイッチ342fが負論理で動作する構成に加えて、上記したように制御パルス信号Vctを出力するスイッチ制御回路SWCの構成が相違すること以外は図11に示す波形整形部313と同一である。このため、この波形整形部のスイッチ制御回路について主として説明する。
このスイッチ制御回路も、図示はしないが、図11に示す波形整形部313と同様のコンパレータ342gおよび基準電源342hを有して構成されている。一方、図11に示す波形整形部313では、コンパレータ342gの非反転入力端子がコンデンサ342cの他端部に接続され、反転入力端子に基準電源342hからの基準電圧Vre1が入力される構成であるのに対して、このスイッチ制御回路では、図示はしないが、コンパレータ342gの反転入力端子がコンデンサ342cの他端部に接続され、非反転入力端子に基準電圧Vre1(ターゲット定電圧Vtgよりも低い電圧)が入力される構成となっている。
この構成により、負論理のスイッチ342fを駆動するスイッチ制御回路は、コンデンサ342cの他端部の電圧(つまり、シングルエンド信号Vdの電圧)が基準電圧Vre1を上回る状態から低下して基準電圧Vre1を下回った時点で、低電位から高電位に移行し、逆に、コンデンサ342cの他端部の電圧(シングルエンド信号Vdの電圧)が基準電圧Vre1を下回る状態から上昇して基準電圧Vre1を上回った時点で、高電位から低電位に移行する制御パルス信号Vct(図12に示す制御パルス信号Vctの高電位の期間において低電位となり、低電位の期間において高電位となる信号)を生成して、負論理のスイッチ342fに出力する。その結果として、負論理のスイッチ342fは、図11に示す波形整形部313の正論理のスイッチ342fと同じタイミングでオン状態からオフ状態に、またオフ状態からオン状態に移行する。つまり、負論理のスイッチ342fおよびこのスイッチ342f用に構成された上記のスイッチ制御回路を備えた波形生成回路は、図11に示す波形整形部313(正論理のスイッチ342fを備えた波形整形部)と同等に機能する。
続いて、図13に示す波形整形部313を参照しつつ、この波形整形部313のスイッチ342fを負論理で動作する構成としたときの波形整形部の構成について説明する。なお、この波形整形部は、図13に示す波形整形部313と比較して、スイッチ342fが負論理で動作する構成に加えて、上記したように制御パルス信号Vctを出力するスイッチ制御回路SWCの構成が相違すること以外は図13に示す波形整形部313と同一である。このため、この波形整形部のスイッチ制御回路について主として説明する。
このスイッチ制御回路も、図示はしないが、図13に示す波形整形部313と同様のコンパレータ342g、抵抗分圧回路342kおよび基準電源342hを有して構成されている。一方、図13に示す波形整形部313では、コンパレータ342gは、その反転入力端子がコンデンサ342cの他端部に接続され、また抵抗分圧回路342kは、一端部がコンパレータ342gの出力端子に接続されると共に他端部に基準電圧Vre2が印加されて、基準電圧Vre2および制御パルス信号Vctの電圧で規定される分圧電圧をコンパレータ342gの非反転入力端子に基準電圧Vre1として出力する構成であるのに対して、このスイッチ制御回路では、図示はしないが、コンパレータ342gは、その反転入力端子に基準電圧Vre2が印加され、また抵抗分圧回路342kは、一端部がコンパレータ342gの出力端子に接続されると共に他端部がコンデンサ342cの他端部に接続されて、シングルエンド信号Vdの電圧および制御パルス信号Vctの電圧で規定される分圧パルス信号をコンパレータ342gの非反転入力端子に出力する構成となっている。
この構成により、負論理のスイッチ342fを駆動するスイッチ制御回路は、コンデンサ342cの他端部の電圧(つまり、シングルエンド信号Vdの電圧)が低下するのに伴って低下する分圧パルス信号の電圧が基準電圧Vre1を上回る状態から下回る状態に移行した時点で、高電位から低電位に移行し、逆に、コンデンサ342cの他端部の電圧(シングルエンド信号Vdの電圧)が上昇するのに伴って上昇する分圧パルス信号の電圧が基準電圧Vre1を下回る状態から上回る状態に移行した時点で、低電位から高電位に移行する制御パルス信号Vct(図10に示す制御パルス信号Vctの高電位の期間において低電位となり、低電位の期間において高電位となる信号)を生成して、負論理のスイッチ342fに出力する。その結果として、負論理のスイッチ342fは、図13に示す波形整形部313の正論理のスイッチ342fと同じタイミングでオン状態からオフ状態に、またオフ状態からオン状態に移行する。つまり、負論理のスイッチ342fおよびこのスイッチ342f用に構成された上記のスイッチ制御回路を備えた波形生成回路は、図13に示す波形整形部313(正論理のスイッチ342fを備えた波形整形部)と同等に機能する。
次いで、図14に示す波形整形部313を参照しつつ、この波形整形部313のスイッチ342fを負論理で動作する構成としたときの波形整形部の構成について説明する。なお、この波形整形部は、図14に示す波形整形部313と比較して、スイッチ342fが負論理で動作する構成に加えて、上記したように制御パルス信号Vctを出力するスイッチ制御回路SWCの構成が相違すること以外は図14に示す波形整形部313と同一である。このため、この波形整形部のスイッチ制御回路について主として説明する。
このスイッチ制御回路も、図示はしないが、図14に示す波形整形部313と同様のコンパレータ342g、抵抗分圧回路342kおよび基準電源342hを有して構成されている。一方、図14に示す波形整形部313では、コンパレータ342gは、その反転入力端子に基準電圧Vre1が印加され、また抵抗分圧回路342kは、一端部がコンパレータ342gの出力端子に接続されると共に他端部がコンデンサ342cの他端部に接続されて、シングルエンド信号Vdの電圧および制御パルス信号Vctの電圧で規定される分圧パルス信号をコンパレータ342gの非反転入力端子に出力する構成であるのに対して、このスイッチ制御回路では、図示はしないが、コンパレータ342gは、その反転入力端子がコンデンサ342cの他端部に接続され、また抵抗分圧回路342kは、一端部がコンパレータ342gの出力端子に接続されると共に他端部に基準電圧Vre2が印加されて、基準電圧Vre2および制御パルス信号Vctの電圧で規定される分圧電圧をコンパレータ342gの非反転入力端子に基準電圧Vre1として出力する構成となっている。
この構成により、負論理のスイッチ342fを駆動するスイッチ制御回路は、コンデンサ342cの他端部の電圧(シングルエンド信号Vdの電圧)が基準電圧Vre1を上回る状態から低下して基準電圧Vre1を下回った時点で、低電位から高電位に移行し、逆に、コンデンサ342cの他端部の電圧(シングルエンド信号Vdの電圧)が基準電圧Vre1を下回る状態から上昇して基準電圧Vre1を上回った時点で、高電位から低電位に移行する制御パルス信号Vct(図12に示す制御パルス信号Vctの高電位の期間において低電位となり、低電位の期間において高電位となる信号)を生成して、負論理のスイッチ342fに出力する。その結果として、負論理のスイッチ342fは、図14に示す波形整形部313の正論理のスイッチ342fと同じタイミングでオン状態からオフ状態に、またオフ状態からオン状態に移行する。つまり、負論理のスイッチ342fおよびこのスイッチ342f用に構成された上記のスイッチ制御回路を備えた波形生成部は、図14に示す波形整形部313(正論理のスイッチ342fを備えた波形整形部)と同等に機能する。
このように、図9,11,13,14に示す波形整形部313のスイッチ342fを負論理で動作するスイッチに代える構成を採用することもできる。
また、上記の信号生成装置2では、波形整形部313から出力されるシングルエンド信号Vdを二値化して符号特定用信号Seとして出力する信号生成部314を備える構成を採用しているが、符号化装置3がシングルエンド信号Vdをそのまま符号特定用信号Seとして処理し得る構成のとき(例えば、符号化装置3が信号生成部314に相当する装置を内蔵する構成のとき)には、信号生成装置2がシングルエンド信号Vdをそのまま符号特定用信号Seとして出力する構成(信号生成部314を備えない構成)とすることもできる。
また、上記の信号読取システム301では、信号生成装置2が、「高電位期間」および「低電位期間」の配列パターンがシリアルバスSBを介して伝送されているロジック信号Saのロジックパターン(つまり、電位差(Va-Vb)の大小のパターン)と一致する符号特定用信号Seを生成して出力すると共に、符号化装置3が、符号列特定用信号Seにおける高電位期間を2進数データの「0」とし、かつ符号列特定用信号Seにおける低電位期間を2進数データの「1」とする符号化処理を実行して符号列Cs(CANフレーム)を特定する構成を採用したが、図示はしないが、信号生成装置2が、「高電位期間」および「低電位期間」の配列パターンがシリアルバスSBを介して伝送されているロジック信号Saのロジックパターン(電位差(Va-Vb)の大小のパターン)と反転する符号特定用信号(上記した符号列特定用信号Seと位相が反転した信号。図3に示す符号列特定用信号Sfと同位相の信号)を生成して出力すると共に、符号化装置3が、この符号列特定用信号における低電位期間を2進数データの「0」とし、かつ符号列特定用信号における高電位期間を2進数データの「1」とする符号化処理を実行して符号列Cs(CANフレーム)を特定する構成を採用することもできる。
また、自動車に配設されたシリアルバスSBからロジック信号Sa(CANフレーム)を読み取って各種CAN通信対応機器に符号列Csを出力する使用形態を例に挙げて説明したが、「信号生成装置」および「信号読取システム」の用途は自動車の分野に限定されず、シリアルバスSBを介して伝送されるロジック信号Sa(CANフレーム)を利用する各種の分野(工場内設備用のネットワークや、耕作地内ネットワーク等の分野)において使用することができる。
また、シリアルバスSB等の「通信路」から読み取る「ロジック信号」は、CANプロトコルに準拠したロジックパターンのロジック信号Saに限定されず、「CAN FD」、「FlexRay(登録商標)」などの各種通信プロトコルに準拠した各種の「2線差動電圧方式のロジック信号」や、「LVDS」による小振幅低消費電力通信が可能な各種通信プロトコルに準拠した各種の「2線差動電圧方式のロジック信号」を対象とすることができる。この場合、前述の「CAN通信用のシリアルバス」では、「高電位側信号線(CANH)/低電位側信号線(CANL)」が「ロジック信号を伝送するための一対の被覆導線」に相当するのに対し、「FlexRay通信用のシリアルバス」では、「正側信号線(BP)/負側信号線(BM)」が「ロジック信号を伝送するための一対の被覆導線」に相当し、「LVDSによる通信を行うシリアルバス」では、「正論理側信号線/負論理側信号線」が「ロジック信号を伝送するための一対の被覆導線」に相当する。また、この信号読取システムは、上記のロジック信号に対応する符号および符号列を特定する機能を備えていることから、結果として、通信路に伝送されているロジック信号を検出するアナライザとしても機能し、さらに検出した符号列をメモリに記憶するように構成されているときには記録装置(レコーダ)としても機能する。