JP7072770B2 - 細胞の品質を評価する方法、及び細胞の品質判定キット - Google Patents

細胞の品質を評価する方法、及び細胞の品質判定キット Download PDF

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Description

本発明は、細胞の品質を評価する方法、及び細胞の品質判定キットに関する。
再生医療の分野では、移植等に用いる細胞については、培養の過程及び最終製品の段階で、均質な細胞が得られているか否かを所定の品質管理試験により評価することが必要となる。現在行われている品質管理試験の多くにおいては、細胞自体を使用する必要があるため、評価によって貴重な細胞が失われるという不都合がある。また培養工程中に品質を迅速に評価することは難しい。
近年、塩基数が17から24の一本鎖RNAであるmiRNA(マイクロRNA)が注目されている。このmiRNAは、自身と相補的な塩基配列をもったmRNA(メッセンジャーRNA)の翻訳を阻害する機能を有しており、幹細胞から組織細胞への分化において重要な役割を果たしていることが知られている(非特許文献1)。また、このmiRNAが血液中に存在しているという報告(非特許文献2)、組織がん細胞中に特定のmiRNAが存在しているという報告(特許文献1)等があり、がん等の疾病に対する診断、それらの予後予測等に利用できる可能性があることも知られている。
一方、miRNAを用いた従来技術として、無血清培地中で細胞を培養し、該細胞から培養液中に放出される核酸の少なくとも1種を測定することで培養細胞を消費することなく培養細胞の評価やバイオマーカーのスクリーニングをすることができる手段が開示されている(特許文献2)。また、細胞の特性評価やプロファイリングのために、非コードRNA分子を使用する技術(特許文献3)や、癌遺伝子を導入して形質転換させた間葉系幹細胞の状態をモニタリングする指標としてmiRNAを用いる技術(特許文献4)が開示されている。さらに、細胞の培養上清中に分泌されるmiRNAの種類、量によって細胞の老化の程度を評価する方法も開発されている(特許文献5)。
特開2009-100687号公報 国際公開2011/001906号 特表2013-535979号公報 特表2013-509179号公報 特開2016-144439号公報
Exp. Hematol. 2008;36:1354-1369 Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 2008;105:10513-8
本発明は、上述のような状況の中、移植等に用いる培養細胞の品質管理試験として、前記培養細胞を消費することなく、その培養細胞の品質をより安定的に評価することができる新規な方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明者が種々検討した結果、細胞の培養上清中に分泌されるmiRNAの種類、量を測定する際に特定のmiRNAを内在性コントロールとすることにより、細胞の品質をより安定的に、且つより高い確度で評価することができることを見出した。すなわち本発明の要旨は、以下の通りである。
[1]miRNAを指標に細胞の品質を評価する方法であって、
前記細胞又は前記細胞の培養上清中の、miR-100-5p、miR-21-5p及びmiR-let-7b-5pからなる群より選択される少なくとも1種のmiRNAを内在性の指標とすることを特徴とする、細胞の品質を評価する方法。
[2]前記細胞が、間葉系幹細胞である、[1]に記載の方法。
[3]前記miR-100-5p、miR-21-5p及びmiR-let-7b-5pが、前記細胞又は前記細胞の培養上清中のエクソソームに含まれるmiRNAである、[1]又は[2]に記載の方法。
[4]前記品質の評価が、配列番号1~96の塩基配列からなるmiRNAの群より選択される少なくとも1種のmiRNAを指標として行われる、[1]から[3]のいずれかに記載の方法。
[5]培地中で細胞を培養する工程、
培養上清の一部をサンプリングする工程
サンプリングした培養上清からエクソソームを回収する工程、
回収したエクソソームからmiRNAを抽出する工程、
miRNAの発現レベルを測定する工程、及び
miR-100-5p、miR-21-5p及びmiR-let-7b-5pからなる群より選択される少なくとも1種のmiRNAを内在性の指標として、各miRNAの発現レベルを調整する工程
を含む、細胞の品質を評価する方法。
[6]miR-100-5p、miR-21-5p及びmiR-let-7b-5pからなる群より選択される少なくとも1種のmiRNAを内在性の指標として有する、細胞品質判定用キット。
[7]miR-100-5p、miR-21-5p及びmiR-let-7b-5pからなる群より選択される少なくとも1種のmiRNAに特異的にハイブリダイズするプライマーセットを少なくとも1つ有する、[6]に記載の細胞品質判定用キット。
[8]配列番号1~96の塩基配列からなるmiRNAの群より選択される少なくとも1種のmiRNAに特異的にハイブリダイズするプライマーセットを少なくとも1つ有する、[7]に記載の細胞品質判定用キット。
本発明の方法によると、培養細胞自体を消費することなく、その培養細胞の品質を評価することができる。そのため、評価のためだけに別途培養細胞を用意する必要がなく、手間とコストを大幅に低減することができる。また、それに加えて、従来の方法と比較し、より安定的に、且つより高い確度で、培養細胞の老化の程度を評価することができる。したがって、本発明の方法は、移植、細胞治療等、培養細胞をヒトに投与して用いる際の培養細胞の品質管理試験として特に好適に用いることができる。
2継代目(A)、4継代目(B)、6継代目(C)、及び11継代目(D)におけるヒト脂肪由来間葉系幹細胞(ADMSC)の顕微鏡写真である。 2継代目(A)、4継代目(B)、6継代目(C)、及び9継代目(D)におけるヒト骨髄由来間葉系幹細胞(BMMSC)の顕微鏡写真である。 2継代目(A)、4継代目(B)、6継代目(C)、及び11継代目(D)におけるヒト臍帯由来間葉系幹細胞(UCMSC)の顕微鏡写真である。 4継代目(A)、6継代目(B)、及び11継代目(C)におけるヒト脂肪由来間葉系幹細胞(ADMSC)のβガラクトシダーゼ染色の顕微鏡写真である。 4継代目(A)、6継代目(B)、及び9継代目(C)におけるヒト骨髄由来間葉系幹細胞(BMMSC)のβガラクトシダーゼ染色の顕微鏡写真である。 4継代目(A)、6継代目(B)、及び11継代目(C)におけるヒト臍帯由来間葉系幹細胞(UCMSC)のβガラクトシダーゼ染色の顕微鏡写真である。 各継代数におけるADMSC、BMMSC、UCMSC中の死細胞数の割合(%)を示す図である。 各継代数におけるADMSC、BMMSC、UCMSCの細胞増殖能(PDL)を示す図である。 各継代数のADMSC、BMMSC、UCMSCにおけるmiR-100-5pの発現(Ct)を示す図である。 各継代数のADMSC、BMMSC、UCMSCにおけるmiR-21-5pの発現(Ct)を示す図である。 各継代数のADMSC、BMMSC、UCMSCにおけるmiR-let-7b-5pの発現(Ct)を示す図である。 各継代数のADMSC、BMMSC、UCMSCにおけるmiR-1260a、miR-1260b、miR-1290の発現(内在性コントロール;miR-100-5p)を示す図である。 各継代数のADMSC、BMMSC、UCMSCにおけるmiR-1260a、miR-1260b、miR-1290の発現(内在性コントロール;miR-21-5p)を示す図である。 各継代数のADMSC、BMMSC、UCMSCにおけるmiR-1260a、miR-1260b、miR-1290の発現(内在性コントロール;miR-let-7b-5p)を示す図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
<細胞の品質を評価する方法>
本発明は、細胞又は細胞の培養上清中のmiRNAを指標として細胞の品質を評価する方法において、特定のmiRNAを内在性の指標とすることを特徴とする方法である。具体的には、miRNAを指標に細胞の品質を評価する方法であって、前記細胞又は前記細胞の培養上清中の、miR-100-5p、miR-21-5p及びmiR-let-7b-5pからなる群より選択される少なくとも1種のmiRNAを内在性の指標とすることを特徴とする方法である。なお、「内在性の指標とする」とは、内在性コントロール遺伝子として用いることを意味する。この内在性コントロール遺伝子は、リアルタイムPCRにおいて標的遺伝子の発現量を補正する際に用いられる遺伝子である。採取したRNAの品質や量、逆転写反応の効率による実験間のバラつきを補正できるため、より正確な評価を行うことができる。
ヒトに投与する細胞の品質管理のために、細胞の老化の程度を評価することは重要である。細胞は老化により機能の低下や老廃物の蓄積・排出等を引き起こす。そのため、ヒトに投与する細胞については、十分な機能を備えるだけでなく、患者に害を与えることがないように、老化がより進んだ細胞や、老化した細胞の比率が高い細胞集団ではないことを確認することが必要である。
ここで、「細胞の老化」とは、細胞レベルの加齢を指す。細胞は老化により、増殖能が減退して最終的には増殖がストップする。このような増殖能の減退等は、主に、DNAへの酸化損傷、及び、蛋白質及び脂質の酸化を原因として起こると言われている。また、細胞の老化には、細胞周期や細胞分裂、細胞分化等の変化を伴うことも知られている。
また、ここで、「細胞の品質を評価する」とは、細胞を、移植、細胞治療等のためにヒトに投与して用いた場合に、効果を奏するのに十分な品質を有しているか否か、安全性を有しているか、毒性を有しているか否か、細胞が均一性、均質性を有しているか否か、同等性を有しているか等を評価することであり、本発明においては、特に細胞の老化の程度を判定することにより行われる。なお、細胞への環境刺激、化学物質による種々の影響が、前記「細胞の老化」と同様の変化を細胞にもたらすものである場合には、本発明の方法は、このような細胞の状態を評価する方法としても用いることができる。本発明は、細胞の品質を評価することで、品質変化(老化等)していない細胞を選択する方法、及びこの方法によって選択される細胞も提供することができる。さらに、本発明の細胞の品質を評価する方法を用いて、細胞をモニターしながら品質変化(老化等)していない細胞の培養を継続する培養方法も提供する。品質変化(老化等)の指標となるmiRNAを複数組み合わせて測定できるように、対応するプローブ等を含んだ細胞品質判定用のキットも提供できる。
(細胞)
本発明における細胞としては、インビトロ条件下で培養できる細胞であれば特に限定されないが、哺乳動物由来の細胞であることが好ましい。また、インビトロ条件下で培養できるのであれば、哺乳動物より摘出した組織を形成する細胞であっても、インビトロで株化された細胞であってもよい。
インビトロ条件下で培養できる哺乳動物由来の細胞としては、例えば、幹細胞(胚性幹細胞、人工多能性幹細胞、間葉系幹細胞、造血幹細胞、神経幹細胞、皮膚幹細胞等)、組織前駆細胞、組織細胞(骨細胞、骨芽細胞、脂肪細胞、軟骨細胞、皮膚細胞、神経細胞、筋肉細胞、樹状細胞等の免疫系細胞や白血球等を含む血液系細胞、線維芽細胞、肝臓細胞等)、がん細胞、がん由来細胞株等が挙げられる。なお、間葉系幹細胞としては、その由来によって例えば骨髄由来間葉系幹細胞、脂肪由来間葉系幹細胞、臍帯由来間葉系幹細胞、羊膜由来間葉系幹細胞等が挙げられる。
これらのうち、継代数が少ない短期間のうちに増殖能が低下してしまうような、品質変化(老化等)が比較的早く起こる細胞に対して、本発明の方法が極めて有効である。即ち、このような細胞に対して本発明の評価方法を適用すると、品質変化(老化等)が起こる前の細胞であることを確認して適切に治療に用いることができる。このように品質変化(老化等)が比較的早く起こる細胞としては、例えば、脂肪由来間葉系幹細胞、骨髄由来間葉系幹細胞、臍帯由来間葉系幹細胞、羊膜由来間葉系幹細胞等が挙げられる。
(培養)
本発明における細胞の培養方法は、それぞれの細胞に適した方法であれば特に限定されず、従来と同様の方法が用いられる。通常、30℃~37℃の温度、2%~7%CO環境下、0.1%~21%O環境下で行われる。また、細胞の継代の時期及び方法もそれぞれの細胞に適していれば特に限定されず、細胞の様子を見ながら、従来と同様に行うことができる。
本発明の細胞の培養に用いる培地としては、当業者に従来公知のものを細胞の種類毎にそれぞれ選択して用いることができ、特に限定されない。このような培地は、基礎培地に、血清を添加する、及び/又は、アルブミン、トランスフェリン、脂肪酸、インスリン、亜セレン酸ナトリウム、コレステロール、コラーゲン前駆体、微量元素、2-メルカプトエタノール、3’-チオールグリセロール等の1つ以上の血清代替物を添加して作製してもよい。これらの培地には、必要に応じて、さらに脂質、アミノ酸、タンパク質、多糖、ビタミン、増殖因子、低分子化合物、抗生物質、抗酸化剤、ピルビン酸、緩衝剤、無機塩類等の物質を添加してもよい。
上記基礎培地としては、例えば、IMDM培地、Medium 199培地、Eagle’s Minimum Essential Medium(EMEM)培地、αMEM培地、Dulbecco’s modified Eagle’s Medium(DMEM)培地、Ham’s F12培地、RPMI 1640培地、Fischer’s培地、MCDB201培地及びこれらの混合培地等が挙げられる。
上記血清としては、例えば、ヒト血清、ウシ胎児血清(FBS)、ウシ血清、仔ウシ血清、ヤギ血清、ウマ血清、ブタ血清、ヒツジ血清、ウサギ血清、ラット血清等が挙げられるがこれらに限定されない。血清を用いる場合、基礎培地に対して、5v/v%から15v/v%、好ましくは、10v/v%を添加してもよい。
上記脂肪酸としては、リノール酸、オレイン酸、リノレイン酸、アラキドン酸、ミリスチン酸、パルミトイル酸、パルミチン酸、及びステアリン酸等が例示されるが、これらに限定されない。脂質は、フォスファチジルセリン、フォスファチジルエタノールアミン、フォスファチジルコリン等が例示されるが、これらに限定されない。アミノ酸は、例えば、L-アラニン、L-アルギニン、L-アスパラギン酸、L-アスパラギン、L-システイン、L-シスチン、L-グルタミン酸、L-グルタミン、L-グリシンなどを含むがこれらに限定されない。タンパク質は、例えば、エコチン、還元型グルタチオン、フィブロネクチン及びβ2-ミクログロブリン等が例示されるが、これらに限定されない。多糖は、グリコサミノグリカンが例示され、グリコサミノグリカンのうち特に、ヒアルロン酸、ヘパラン硫酸等が例示されるが、これらに限定されない。増殖因子は、例えば、血小板由来増殖因子(PDGF)、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、トランスフォーミング増殖因子ベータ(TGF-β)、肝細胞増殖因子(HGF)、上皮成長因子(EGF)、結合組織増殖因子(CTGF)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)等が例示されるが、これらに限定されない。
上記培養によって得られる細胞を動物(好ましくはヒト)に投与するという観点から、血清等の異種由来成分を含まない(ゼノフリー)培地を用いることが好ましい。このような培地は、例えば、PromoCell社、Lonza社、Biological Industries社、Veritas社、R&D Systems社、Corning社及びRohto社などから間葉系幹細胞(間質細胞)用として予め調製された培地として提供されている。
(miRNA)
本発明の方法において、細胞の品質変化の指標として用いるmiRNAとしては、細胞の品質変化に応じて細胞から分泌される量が変化するものであれば特に限定されない。また、このようなmiRNAとしては、細胞の種類によってそれぞれ適切なものが選択され得る。例えば、ヒトの脂肪由来間葉系幹細胞の品質変化の指標としては、配列表の配列番号1~96に示される塩基配列からなるmiRNAが好ましい。これらはいずれも、特開2016-144439号公報の実施例において、本出願人らによって細胞の老化に応じて培養上清中の存在量が変化することが具体的に確認されているものである。また、配列番号1、12及び13に示される塩基配列からなるmiRNAについては、本発明の実施例において、ヒトの脂肪由来間葉系幹細胞だけでなく、ヒトの骨髄由来間葉系幹細胞及びヒトの臍帯由来間葉系幹細胞についても、その老化に応じて培養上清中の存在量が変化することが具体的に確認されている。
例えば、下記実施例に記載されるように、配列番号1~13、16~69に示される塩基配列からなるmiRNA;hsa-miR-1290(配列番号1)、hsa-miR-193a-5p(配列番号2)、hsa-miR-1299(配列番号3)、hsa-miR-1246(配列番号4)、hsa-miR-671-5p(配列番号5)、hsa-miR-324-3p(配列番号6)、hsa-miR-320a(配列番号7)、hsa-miR-193b-5p(配列番号8)、hsa-miR-134(配列番号9)、hsa-miR-370(配列番号10)、hsa-miR-320b(配列番号11)、hsa-miR-1260a(配列番号12)、hsa-miR-1260b(配列番号13)、hsa-miR-4713-3p(配列番号16)、hsa-miR-6717-5p(配列番号17)、hsa-miR-4793-5p(配列番号18)、hsa-miR-6131(配列番号19)、hsa-miR-4685-5p(配列番号20)、hsa-miR-92a-3p(配列番号21)、hsa-miR-4743-5p(配列番号22)、hsa-miR-342-3p(配列番号23)、hsa-miR-34c-3p(配列番号24)、hsa-miR-25-3p(配列番号25)、hsa-miR-320d(配列番号26)、hsa-miR-4443(配列番号27)、hsa-miR-3198(配列番号28)、hsa-miR-214-3p(配列番号29)、hsa-miR-4484(配列番号30)、hsa-miR-5585-3p(配列番号31)、hsa-miR-4778-5p(配列番号32)、hsa-miR-93-5p(配列番号33)、hsa-miR-1273f(配列番号34)、hsa-miR-4659a-3p(配列番号35)、hsa-miR-17-5p(配列番号36)、hsa-miR-4728-5p(配列番号37)、hsa-miR-1207-3p(配列番号38)、hsa-miR-3127-5p(配列番号39)、hsa-miR-4454(配列番号40)、hsa-miR-574-3p(配列番号41)、hsa-miR-197-3p(配列番号42)、hsa-miR-1307-5p(配列番号43)、hsa-miR-5100(配列番号44)、hsa-miR-1273g-3p(配列番号45)、hsa-miR-483-5p(配列番号46)、hsa-miR-4669(配列番号47)、hsa-miR-5739(配列番号48)、hsa-miR-6085(配列番号49)、hsa-miR-3135b(配列番号50)、hsa-miR-5196-5p(配列番号51)、hsa-miR-4632-5p(配列番号52)、hsa-miR-2276(配列番号53)、hsa-miR-3124-5p(配列番号54)、hsa-miR-584-5p(配列番号55)、hsa-miR-3156-5p(配列番号56)、hsa-miR-3680-3p(配列番号57)、hsa-miR-3074-5p(配列番号58)、hsa-miR-4655-5p(配列番号59)、hsa-miR-1287(配列番号60)、hsa-miR-3190-3p(配列番号61)、hsa-miR-4738-3p(配列番号62)、hsa-miR-4496(配列番号63)、hsa-miR-1273e(配列番号64)、hsa-miR-760(配列番号65)、hsa-miR-631(配列番号66)、hsa-miR-6127(配列番号67)、hsa-miR-6165(配列番号68)、hsa-miR-4298(配列番号69)は、ヒトの脂肪由来間葉系幹細胞の老化に伴って培養上清への分泌が減少するものである。また、配列番号14、15、70~96に示される塩基配列からなるmiRNA;hsa-miR-1275(配列番号14)、hsa-miR-939-5p(配列番号15)、hsa-miR-670(配列番号70)、hsa-miR-2278(配列番号71)、hsa-miR-6130(配列番号72)、hsa-miR-1228-5p(配列番号73)、hsa-miR-1306-3p(配列番号74)、hsa-miR-539-5p(配列番号75)、hsa-miR-4697-5p(配列番号76)、hsa-miR-4284(配列番号77)、hsa-miR-6132(配列番号78)、hsa-miR-1268b(配列番号79)、hsa-miR-6087(配列番号80)、hsa-miR-4459(配列番号81)、hsa-miR-2392(配列番号82)、hsa-miR-4515(配列番号83)、hsa-miR-4534(配列番号84)、hsa-miR-30c-1-3p(配列番号85)、hsa-miR-3162-5p(配列番号86)、hsa-miR-4507(配列番号87)、hsa-miR-1587(配列番号88)、hsa-miR-4532(配列番号89)、hsa-miR-5195-3p(配列番号90)、hsa-miR-762(配列番号91)、hsa-miR-3663-3p(配列番号92)、hsa-miR-4505(配列番号93)、hsa-miR-4497(配列番号94)、hsa-miR-1225-5p(配列番号95)、hsa-miR-4257(配列番号96)は、ヒトの脂肪由来間葉系幹細胞の老化に伴って培養上清への分泌が増加するものである。
これらのうち、ヒトの脂肪由来間葉系幹細胞の老化(品質)の指標として測定するmiRNAとしては、hsa-miR-1290(配列番号1)、hsa-miR-1246(配列番号4)、hsa-miR-324-3p(配列番号6)、hsa-miR-1260a(配列番号12)、hsa-miR-1260b(配列番号13)、hsa-miR-4713-3p(配列番号16)、hsa-miR-92a-3p(配列番号21)、hsa-miR-320d(配列番号26)、hsa-miR-214-3p(配列番号29)、hsa-miR-4484(配列番号30)、hsa-miR-4728-5p(配列番号37)、hsa-miR-4454(配列番号40)、hsa-miR-5100(配列番号44)、hsa-miR-1273g-3p(配列番号45)、hsa-miR-483-5p(配列番号46)、hsa-miR-4669(配列番号47)、hsa-miR-5739(配列番号48)、hsa-miR-6085(配列番号49)、hsa-miR-6127(配列番号67)、hsa-miR-6165(配列番号68)、hsa-miR-1275(配列番号14)、hsa-miR-6087(配列番号80)、hsa-miR-4459(配列番号81)、hsa-miR-3162-5p(配列番号86)、hsa-miR-1225-5p(配列番号95)からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
中でも、hsa-miR-1290(配列番号1)、hsa-miR-1246(配列番号4)、hsa-miR-1260a(配列番号12)、hsa-miR-1260b(配列番号13)、hsa-miR-4728-5p(配列番号37)、hsa-miR-4454(配列番号40)、hsa-miR-5100(配列番号44)、hsa-miR-1273g-3p(配列番号45)、hsa-miR-5739(配列番号48)、hsa-miR-6085(配列番号49)、hsa-miR-6127(配列番号67)、hsa-miR-6087(配列番号80)、hsa-miR-4459(配列番号81)からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましい。
更に、hsa-miR-1290(配列番号1)、hsa-miR-1246(配列番号4)、hsa-miR-1260a(配列番号12)、hsa-miR-1260b(配列番号13)、hsa-miR-1273g-3p(配列番号45)からなる群より選択される少なくとも1種が特に好ましい。また、hsa-miR-1290(配列番号1)、hsa-miR-1260a(配列番号12)及びhsa-miR-1260b(配列番号13)については、本発明の実施例において、ヒトの脂肪由来間葉系幹細胞だけでなく、ヒトの骨髄由来間葉系幹細胞及びヒトの臍帯由来間葉系幹細胞についても、その老化に応じて培養上清中の存在量が変化することが具体的に確認されていることから、より特に好ましい。
細胞の品質変化の指標としては、miRNAをいずれか1種類のみ測定してもよいし、複数種類測定してもよい。品質変化の指標となる特定のmiRNAを複数測定できるように、必要な試薬を組み合わせた評価測定キットとして用いることもできる。
本発明におけるmiRNAとしては、培養液中に細胞から直接分泌されるものでもよいし、細胞から放出されるエクソソーム中に含まれる形で培養液中に放出されるものでもよい。細胞の品質変化の評価には、細胞から放出されたエクソソーム中のmiRNAを測定することが好ましい。細胞から放出されたエクソソーム中のmiRNAを測定することにより、精度よく細胞の品質変化の程度を評価することができる。
本発明の方法において、細胞の品質を判定する際に、内在性コントロール(内在性の指標)として用いるmiRNAとしては、細胞の品質に応じて細胞から分泌される量が変化し難いものが用いられ、miR-100-5p、miR-21-5p及びmiR-let-7b-5pからなる群より選択される少なくとも1種のmiRNAが好ましい。なお、miR-100-5pはPLK1などの細胞周期や細胞増殖に関わる遺伝子を標的とし、miR-21-5pはリボソームタンパク質RPS7や、BCL2など一連のがん抑制遺伝子を標的としているとの報告がある。多様な組織に高発現しており、分化や増殖、がん化、代謝等に関わる多機能miRNA遺伝子群である、Let-7ファミリーに属するmiR-let-7b-5pは、ユビキチン・プロテアソームシステムに関わるユビキチン転移酵素CDC34も標的とするとの報告がある。miR-100-5p、miR-21-5p、miR-let-7b-5pの核酸配列は、それぞれ配列番号97、98、99として、配列表に記載したとおりである。
以下に、本発明の方法を各工程に分けて、具体的に説明するが、以下に示す方法に限定されないが、例えば、培地中で細胞を培養する工程、培養上清の一部をサンプリングする工程、サンプリングした培養上清からエクソソームを回収する工程、回収したエクソソームからmiRNAを抽出する工程、miRNAの発現レベルを測定する工程、及びmiR-100-5p、miR-21-5p及びmiR-let-7b-5pからなる群より選択される少なくとも1種のmiRNAを内在性の指標として、各miRNAの発現レベルを調整する工程、品質変化のレベルを測定する工程、品質が変化した細胞を検出する工程を含む。
(i)培養工程
細胞の培養方法は、それぞれの細胞に適した方法であれば特に限定されず、従来と同様の方法が用いられる。通常、30℃~37℃の温度、2%~7%CO環境下、0.1%~21%O環境下で行われる。また、細胞の継代の時期及び方法もそれぞれの細胞に適していれば特に限定されず、細胞の様子を見ながら、従来と同様に行うことができる。
(ii)特定の時期に培養上清の一部をサンプリングする工程
細胞の品質を評価したい細胞について、継代1日後~5日後、好ましくは1日後~4日後、より好ましくは1日後~3日後、さらに好ましくは2日後~3日後に、細胞もしくは、培養上清の一部をサンプリングする。サンプリングする細胞量、もしくは上清の液量は、その後の分析に十分な量であれば特に制限されない。なお、細胞の品質の評価の際の基準値を算出するために、品質が変わる以前の細胞増殖能等を十分に保持している状態の細胞についても細胞もしくは培養上清のサンプリングをすることができる。
(iii)サンプリングした培養上清からエクソソームを回収する工程
エクソソームの回収は、当業者に公知の多くの方法を用いて行われ得る。一般には、超遠心分離法を用いた方法が広く用いられるが、市販のエクソソーム単離キット(Total exosome isolation from cell culture media,invitrogen等)を用いることもできる。
(iv)回収したエクソソームからmiRNAを抽出する工程
エクソソームからmiRNAを抽出するためには、当業者に公知の多くの方法を用いることができる。また、市販のmiRNA抽出用キット(miRNeasyMini Kit,Qiagen等)を用いることもできる。
(v)miRNAの発現レベルを測定する工程
本工程は、内在性コントロール(内在性の指標)としてのmiR-100-5p、miR-21-5p及びmiR-let-7b-5pからなる群より選択される少なくとも1種のmiRNAの発現レベルを測定する工程、及び細胞の品質評価の指標となるmiRNAの発現レベルを測定する工程を少なくとも含む
抽出した全miRNA中の内在性コントロールとなるmiRNA(miR-100-5p、miR-21-5p及びmiR-let-7b-5p)、並びに上述したような細胞の品質評価の指標となるmiRNAの発現レベルを測定するためには、当業者に公知の多くの方法を用いることができる。また、市販のmiRNA用のマイクロアレイ(Agilent DesignID 046064等)を用いることで、複数種のmiRNAの発現プロファイルを確認することができる。また、定量的リアルタイムPCR(TaqMan MicroRNA Assays、Applied Biosystems等)を用いることでもそれぞれのmiRNAの発現レベルを確認することができる。
(vi)各miRNAの発現レベルを調整する工程
本工程では、上記工程(v)で得られた品質評価の指標となるmiRNAの発現レベルの実験値を、内在性コントロールとなるmiRNAの実験値により補正して調整することにより、実験間のバラつきを補正することができる。
(vii)品質変化のレベルを測定する工程
細胞の品質変化によって増減することが判明している上記特定のmiRNAについて、そのmiRNAの発現レベルを、品質変化が起こる以前の細胞が分泌するmiRNAの発現レベル(基準値)と比較して、品質変化(老化等)の程度を評価することができる。また、基準値以外に、それぞれの細胞、miRNAの種類毎に適切な閾値を決め、その値を超える、又は下回る値になった場合には、品質変化(老化等)の程度が激しくヒトへの投与には不向きである等との判断をすることもできる。
(viii)品質が変化した細胞を検出する工程
本工程は、本発明の方法による品質の評価を確認するために、品質が変化した細胞を検出する工程である。品質が変化した細胞(老化細胞等)を検出するためには、当業者に公知の多くの方法を用いることができる。また、市販のSenescence-associated β-galactosidase発現検出キット(Senescence Detection Kit,Bio Vision)を用いることもできる。
(細胞品質判定用キット)
本発明の細胞品質判定用キットは、測定対象又は測定原理等に応じた種々の構成をとることができる。本発明のキットの構成要素として、miR-100-5p、miR-21-5p及びmiR-let-7b-5pを内在性の指標として含んでおればよく、さらに、例えば、上記内在性の指標となるmiRNA(cDNA)の増幅用プライマーセット(miR-100-5p、miR-21-5p及びmiR-let-7b-5pからなる群より選択される少なくとも1種のmiRNAに特異的にハイブリダイズするプライマーセット)、細胞の品質変化に伴って培養上清中の発現が増減するmiRNA(cDNA)の増幅用プライマーセット、及びDNAチップ等で使用するハイブリダイゼーション用のプローブを変化の指標として、含むことができる。このような細胞の品質変化に伴って培養上清中の発現が増減するmiRNAとしては、例えば、配列番号1~96の塩基配列からなるmiRNAが挙げられる。
さらに、本発明のキットには、その構成・使用目的などに応じて、当業者に公知の他の要素又は成分、例えば、各種試薬、酵素、緩衝液、反応プレート(容器)等が含まれる。なお、PCR反応後の検出を容易にするために、これらプライマーの少なくともいずれかの末端に、当業者に公知の任意の蛍光物質等の標識物質が結合していることが好ましい。このような標識物質としては、例えば、6-カルボキシフルオレッセイン(FAM)、4,7,2’,4’,5’,7’-ヘキサクロロー6-カルボキシフルオレッセイン(HEX)、NED(Applied Biosystems Japan社)及び6-カルボキシ-X-ローダミン(Rox)等が挙げられる。
以下に本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
[間葉系幹細胞の継代数と老化の関係の検討]
凍結保存されたヒト脂肪由来間葉系幹細胞(AD、Promo Cell社製、hMSC-AT-c、Cat. No.C12977)、ヒト骨髄由来間葉系幹細胞(BM、Promo Cell社製、hMSC-BM-c、Cat. No.C12974)及びヒト臍帯由来間葉系幹細胞(UC、Promo Cell社製、hMSC-UC-c、Cat. No.C12971)を恒温槽(37℃)にて融解し、細胞懸濁液を調整した。培養フラスコ(75cm、CORNING社製、Cat. No.3290)に間葉系幹細胞用無血清培地(ロート社製)を8mL入れ、それぞれの細胞懸濁液を加え、1mLの間葉系幹細胞用無血清培地(ロート社製)で、2回共洗いを行った。細胞を播種した培養フラスコを、COインキュベーター(37℃、5%CO)内に入れ静置した。17時間静置後、細胞の生着を確認し、培地交換を行った。培養フラスコ内の培地を50mL遠沈管に回収した後に、リン酸緩衝食塩水(PBS)でフラスコ内を洗浄した。PBSを除去後、2mLのトリプシン(ロート社製)を加えて、細胞を剥離して、遠沈管に回収した。細胞数を測定する為、細胞懸濁液を一部取り、Trypan Blue Solution 0.4%(Life Technologies社製、Cat. No.15250)と1:1で混合し、細胞計数盤(ワケンカウンター、ワケンビーテック社製、Cat.No.WC2-100S)により細胞数をカウントした。細胞懸濁液を必要分採取し、遠心分離を行い、上清を取り除き、3.75x10cells/flaskで継代を行った。
2、4、6、及び9若しくは11継代目におけるヒト脂肪由来間葉系幹細胞(ADMSC)、ヒト骨髄由来間葉系幹細胞(BMMSC)及びヒト臍帯由来間葉系幹細胞の細胞形態(UCMSC)を顕微鏡(オリンパス社製、Cat.No.CKX41N-32PH)により観察した(図1~3)。また、4、6及び9若しくは11継代目における各細胞をSA-β-gal Assay kit (β-Galactosidase Staining Kit (CELL BIOLABS,INC.))により、βガラクトシダーゼ(β-galavtosidase)で、染色を行い、顕微鏡により観察した(図4~6)。さらに、各200細胞あたりに含まれる、βガラクトシダーゼにより染色された死細胞数を計測した(図7)。4、6及び11継代目における細胞増殖能(PDL)を下記式(1)により計測した(図8)。なお、ヒト骨髄由来間葉系幹細胞については11継代目ではなく、9継代目で評価を行った。
図1~3に示すように、継代数が進むに従い、細胞の伸長化が進み、細胞の形態が変化することが明らかとなった。また、図4~7に示すように、継代数が進むに従い、死細胞が増えることが明らかとなった。さらに、図8に示すように継代数が進むに従い、細胞増殖能が低くなることも明らかとなった。以上より、いずれの間葉系幹細胞でも、継代数が進むにしたがっては老化が進んでいることが明らかとなった。
(実施例2)
[間葉系幹細胞の内在性マーカーの検討]
実施例1と同様に、ヒト脂肪由来間葉系幹細胞(AD、Promo Cell社製、hMSC-AT-c、Cat.No.C12977)、ヒト骨髄由来間葉系幹細胞(BM、Promo Cell社製、hMSC-BM-c、Cat.No.C12974)及びヒト臍帯由来間葉系幹細胞(UC、Promo Cell社製、hMSC-UC-c、Cat.No.C12971)を、各3サンプルずつ、間葉系幹細胞用無血清培地(ロート社製)を用いて2、4及び6継代並びに、9、10、若しくは11継代培養して、培養フラスコ内の各継代時における培地(培養上清とも言う)を50mL遠沈管に回収した。得られた培養上清から、エクソソーム回収キット(Total Exosome Isolation Reagent、cell culture media製、CatNo.4478359)を用いて、エクソソームを回収した。その後エクソソーム中のmiRNAを、市販の試薬(miRNeasyMini Kit,Qiagen)のプロトコールに従い抽出した。得られたmiRNAからTaqMan Advanced miRNA cDNA Synthesis Kit(50 reaction、A28007)を用いてcDNAを合成し、miR-100-5p、miR-21-5p及びmiR-let-7b-5pのリアルタイムPCR(TaqMan Fast Advanced Master Mix 2x5ml(Thermo Fisher Scientific社製、 CatNo.4444963)、TaqMan Advanced miRNA Assays(Thermo Fisher Scientific社製、 CatNo.A25576))を実施した。
ヒト脂肪由来間葉系幹細胞、ヒト骨髄由来間葉系幹細胞及びヒト臍帯由来間葉系幹細胞の各3サンプルにおける、2、4及び6継代及び、9、10、若しくは11継代におけるmiR-100-5pの発現は、図9に示すように、継代を経ても安定しており、Expression Suite Software(ThermoFisher)を用いたCandidate Control Scoreは、0.86であり、継代を経たサンプルにおいても発現が安定していることが示された。同様に、miR-21-5pの発現(図10)及びmiR-let-7b-5pの発現(図11)を検討したところ、miR-21-5p及びmiR-let-7b-5pの発現も継代を経ても安定しており、Expression Suite Software(ThermoFisher)を用いたCandidate Control Scoreは、それぞれ、0.88及び1.17であり、継代を経たサンプルにおいても発現が安定していることが示された。以上の結果より、miR-100-5p、miR-21-5p及びmiR-let-7b-5pは、間葉系幹細胞の内在性マーカーとして有用であることが示された。
(実施例3)
[間葉系幹細胞の老化の検討]
実施例2と同様に、ヒト脂肪由来間葉系幹細胞(AD、Promo Cell社製、hMSC-AT-c、Cat.No.C12977)、ヒト骨髄由来間葉系幹細胞(BM、Promo Cell社製、hMSC-BM-c、Cat. No.C12974)及びヒト臍帯由来間葉系幹細胞(UC、Promo Cell社製、hMSC-UC-c、Cat.No.C12971)を、各3サンプルずつ間葉系幹細胞用無血清培地(ロート社製)を用いて2、4及び6継代及び、11継代培養して、各培養上清からエクソソームを回収した後、エクソソーム中のmiRNAを、市販の試薬(miRNeasyMini Kit,Qiagen)のプロトコールに従い抽出後、miR-100-5p、miR-1260a、miR-126-b及びmiR1290のマイクロアレイ(Agilent DesignID 046064)を実施した。
miR-1260a、miR-126-b及びmiR1290の継代数による発現量の変化、“2-ΔΔCt“を下記式(2)~(4)より算出し、その結果を図12~14に示した。miR-100-5pを内在性マーカーとして用いることにより、老化マーカーであるmiR-1260a、miR-126-b及びmiR1290における、サンプル間でのRNA量や逆転写効率の補正が行え、より正確な評価を行う事ができることが示された。同様に、miR-21-5p及びmiR-let-7b-5pを内在性マーカーとして評価した結果を、図15~17及び、図18~20に示した。miR-21-5p及びmiR-let-7b-5pを内在性マーカーとした場合にも、老化マーカーであるmiR-1260a、miR-126-b及びmiR1290の評価をより正確に行う事ができることが示された。以上より、間葉系幹細胞の老化を評価する際に、miR-100-5p、miR-21-5p及びmiR-let-7b-5pを間葉系幹細胞の内在性マーカーとして評価することが、有用であることが明らかとなった。
PDL=log2(培養終了時の細胞数/培養開始時の細胞数)・・・(1)
ΔCt=Ct(Target)-Ct(Internal Control)・・・(2)
ΔΔCt=ΔCt-ΔCt(Passage2)・・・(3)
2^(-ΔΔCt)=各Lotにおける2の-ΔΔCt乗の平均値・・・(4)
本発明の方法によると、培養細胞自体を消費することなく、その培養細胞の品質を評価することができる。そのため、評価のためだけに別途培養細胞を用意する必要がなく、手間とコストを大幅に低減することができる。また、それに加えて、従来の方法と比較し、より安定的に、且つより高い確度で、培養細胞の老化の程度を評価することができる。したがって、本発明の方法は、移植、細胞治療等、培養細胞をヒトに投与して用いる際の培養細胞の品質管理試験として特に好適に用いることができる。

Claims (8)

  1. miRNAを指標に間葉系幹細胞の品質を評価する方法であって、
    前記間葉系幹細胞又は前記間葉系幹細胞の培養上清中の、miR-100-5p、miR-21-5p及びmiR-let-7b-5pからなる群より選択される少なくとも1種のmiRNAを内在性の指標とすることを特徴とする、間葉系幹細胞の品質を評価する方法。
  2. 前記間葉系幹細胞が、脂肪由来、骨髄由来又は臍帯由来間葉系幹細胞である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記miR-100-5p、miR-21-5p及びmiR-let-7b-5pが、前記間葉系幹細胞又は前記間葉系幹細胞の培養上清中のエクソソームに含まれるmiRNAである、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記品質の評価が、配列番号1~96の塩基配列からなるmiRNAの群より選択される少なくとも1種のmiRNAを指標として行われる、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 培地中で間葉系幹細胞を培養する工程、
    培養上清の一部をサンプリングする工程
    サンプリングした培養上清からエクソソームを回収する工程、
    回収したエクソソームからmiRNAを抽出する工程、
    miRNAの発現レベルを測定する工程、及び
    miR-100-5p、miR-21-5p及びmiR-let-7b-5pからなる群より選択される少なくとも1種のmiRNAを内在性の指標として、各miRNAの発現レベルを調整する工程
    を含む、間葉系幹細胞の品質を評価する方法。
  6. miR-100-5p、miR-21-5p及びmiR-let-7b-5pからなる群より選択される少なくとも1種のmiRNAを内在性の指標として有する、間葉系幹細胞品質判定用キット。
  7. miR-100-5p、miR-21-5p及びmiR-let-7b-5pからなる群より選択される少なくとも1種のmiRNAに特異的にハイブリダイズするプライマーセットを少なくとも1つ有する、請求項6に記載の間葉系幹細胞品質判定用キット。
  8. 配列番号1~96の塩基配列からなるmiRNAの群より選択される少なくとも1種のmiRNAに特異的にハイブリダイズするプライマーセットを少なくとも1つ有する、請求項7に記載の間葉系幹細胞品質判定用キット。
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