JP7071536B2 - 繊維状吸水性樹脂およびその製造方法、並びに吸収性物品 - Google Patents

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Description

本発明は、繊維状吸水性樹脂およびその製造方法、並びに吸収性物品に関する。
吸水性樹脂(SAP)は、水膨潤性かつ水不溶性の高分子ゲル化剤であり、主な用途は生理用品、使い捨て紙おむつ、大人用失禁パッド、ペットシート、医療用捕血剤等の衛生用吸収性物品の吸収体である。従来の衛生用吸収性物品には、粒子状吸水性樹脂と繊維材料(例えば、パルプ)とを混合した混合物が吸収体として使用されている。
粒子状吸水性樹脂は、その形状に由来する以下の課題を有している。
(1)製造時に吸水性樹脂の微粉末が飛散して作業環境を悪化させる、
(2)粒子径の違いによって偏析が発生する、
(3)製品化された後の吸収体から、吸水性樹脂粒子が脱落し易い、
(4)吸水時に吸水性樹脂が流動性の高いゲル化状態となるため、吸収体の形状安定性が乏しい。
また、紙おむつ等の衛生用吸収性物品に粒子状吸水性樹脂を用いる場合には、当該粒子状吸水性樹脂と、パルプ等の嵩高い繊維材料とを適切に混合し、かつ所望の性能の吸収体を実現する必要がある。このため、高度な技術やノウハウを必要とする。
従来の粒子状吸水性樹脂の形状に由来するこのような課題を解決する手段として、吸水性樹脂を繊維状にすることが提案されている。例えば、非特許文献1には、ポリアクリロニトリル繊維の加水分解物、イソブチレン-マレイン酸共重合体、アクリル酸-アクリル酸メチル共重合体等の繊維状吸水性樹脂が市販されていることが記載されている。また、特許文献1には、湿式紡糸法によって製造される繊維状のポリマー(カルボン酸モノマーとヒドロキシアルキルエステルモノマーとの共重合体)が記載されている。特許文献2,3には、電界紡糸法によって製造された繊維状のポリアクリル酸塩系吸水性樹脂が記載されている。さらに、特許文献4、5には、遠心紡糸法によって製造された繊維状のポリアクリル酸塩系水溶性樹脂が記載されている。
特開昭63-159405号公報 WO 2013/083698 A1 WO 2014/053345 A1 WO 2017/039392 A1 WO 2017/164496 A1
Modern Superabsorbent Polymer Technology (1998) 6章 6.2.1, p.224-231
しかしながら、上述した市販の繊維状吸水性樹脂は、その製造プロセスや使用される原料に由来して、非常に高価となる一方、粒子状吸水性樹脂と比較して吸水性能が劣っている。また、特許文献1で行われている湿式紡糸法は、ポリマーを溶媒中で凝固液を用いて繊維状に凝固させるため、ポリマーとの相性を考慮して溶媒および凝固液を選択する必要があり、また、紡糸の途中で繊維が切断されないように紡糸条件や巻取条件等の各種製造条件を設定する必要がある。このため、製造方法が複雑である。また、特許文献2,3で行われている電界紡糸法は、ナノオーダーの繊維径を有する非常に細い繊維状の吸水性樹脂を得るのに適した方法であるものの、生産性に劣っている。特許文献4,5で行われている遠心紡糸法は、溶液吐出ノズルを高速回転させる必要があり、当該ノズルの軸ブレによる故障等が起こり易く、また、安定した運転を安全に行うには装置の高度な調整を要する。つまり、特許文献1~5および非特許文献1に記載されている方法は、吸水性樹脂の形状に由来する上記課題を解決することができるものの、製造方法が複雑かつ高価であるか、若しくは生産性に劣っており、繊維状吸水性樹脂の工業的な製造方法として実用性に乏しいという課題がある。
本発明の一態様は、湿式紡糸法や電界紡糸法と比較して(比較的)簡便な方法で、かつ、比較的高い生産性で製造することができる繊維状吸水性樹脂およびその製造方法、並びに吸収性物品を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討した結果、水溶性ポリマー溶液をノズルから吐出して得られる水溶性ポリマー溶液の連続流に高流速気体を当てて水溶性ポリマーを延伸し、さらに架橋処理を行うことによって繊維状吸水性樹脂を製造する方法を見出し、本発明を完成させるに至った。即ち、本発明は、以下の発明を包含する。
〔1〕水溶性ポリマー溶液をノズルから吐出して当該水溶性ポリマー溶液の連続流を得る第一工程、および、第一工程で得られた水溶性ポリマー溶液の連続流に高流速気体を当てて水溶性ポリマーを延伸し、繊維径が500μm以下の水溶性ポリマー繊維または繊維状吸水性樹脂を得る第二工程からなる加工工程を包含する、繊維状吸水性樹脂の製造方法。〔2〕水溶性ポリマー繊維を架橋する架橋工程をさらに包含する、〔1〕に記載の繊維状吸水性樹脂の製造方法。
〔3〕アクリル酸またはその中和塩を構成単位として70重量%以上含有する水溶性ポリマーを用いる、〔1〕または〔2〕に記載の繊維状吸水性樹脂の製造方法。
〔4〕酸基の中和率が10~90mol%である水溶性ポリマーを用いる、〔1〕~〔3〕の何れか一項に記載の繊維状吸水性樹脂の製造方法。
〔5〕得られる繊維状吸水性樹脂の平均繊維径が0.1~500μmである、〔1〕~〔4〕の何れか一項に記載の繊維状吸水性樹脂の製造方法。
〔6〕重量平均分子量が100,000~3,000,000g/molである水溶性ポリマーを用いる、〔1〕~〔5〕の何れか一項に記載の繊維状吸水性樹脂の製造方法。
〔7〕固形分濃度が1~60重量%である水溶性ポリマー溶液を用いる、〔1〕~〔6〕の何れか一項に記載の繊維状吸水性樹脂の製造方法。
〔8〕上記架橋工程を、加工工程の後、若しくは加工工程と同時に行う、〔2〕~〔7〕の何れか一項に記載の繊維状吸水性樹脂の製造方法。
〔9〕得られる繊維状吸水性樹脂の30分後の無加圧下吸収倍率(CRC)が10g/g以上である、〔1〕~〔8〕の何れか一項に記載の繊維状吸水性樹脂の製造方法。
〔10〕〔1〕~〔9〕の何れか一項に記載の製造方法で得られる、繊維状吸水性樹脂。〔11〕〔10〕に記載の繊維状吸水性樹脂を含む、吸収性物品。
本発明の一態様によれば、粒子状吸水性樹脂が有する上述した課題を解決すると共に、湿式紡糸法および電界紡糸法と比較して簡便な方法で、かつ、高い生産性で製造することができる繊維状吸水性樹脂およびその製造方法を提供することができる。
また、繊維状吸水性樹脂は、粒子状吸水性樹脂と比較して吸水速度が速いため、衛生用吸収性物品の製造時に繊維状吸水性樹脂とパルプ等の繊維材料とを混合する手間を省略することができる(必ずしも繊維材料と混合する必要が無い)。従って、簡便な方法で、かつ、高い生産性で製造することができる吸収性物品を提供することができる。
本発明の実施の形態に係る繊維状吸水性樹脂の製造方法の一例を示す、製造装置の概略の正面図である。
以下、本発明に係る繊維状吸水性樹脂の製造方法、および当該製造方法により得られる繊維状吸水性樹脂および吸収性物品に関して詳細に説明する。但し、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外に関しても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更、実施することができる。具体的には、本発明は下記各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲において種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
尚、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。また、本明細書においては特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は「A以上(Aを含み、かつAより大きい)、B以下(Bを含み、かつBより小さい)」を意味する。
本発明の一実施の形態における繊維状吸水性樹脂の製造方法は、水溶性ポリマー溶液をノズルから吐出して当該水溶性ポリマー溶液の連続流を得る第一工程、および、第一工程で得られた水溶性ポリマー溶液の連続流に高流速気体を当てて水溶性ポリマーを延伸し、繊維径が500μm以下の水溶性ポリマー繊維または繊維状吸水性樹脂を得る第二工程からなる加工工程を包含することを特徴とする。
(1)用語の定義
[吸水性樹脂]
本発明において「吸水性樹脂」(SAP)とは、水膨潤性かつ水不溶性の高分子ゲル化剤であって、下記物性を満たす吸水性樹脂を指す。即ち、本発明において「吸水性樹脂」とは、「水膨潤性」としてERT441.2-02で規定される吸収倍率(CRC)が5g/g以上の物性を満たし、かつ、「水不溶性」としてERT470.2-02で規定される水可溶分(Ext)が50重量%以下の物性を満たす、高分子ゲル化剤を指す。
吸水性樹脂は、その用途に応じて適宜、設計が可能であり、特に限定されないが、カルボキシル基を有する不飽和単量体を架橋重合させた親水性架橋重合体であることが好ましい。また、吸水性樹脂は、全量(100重量%)が重合体である形態に限定されず、上記物性(CRC、Ext)を満足する範囲内で、添加剤等を含んだ形態の吸水性樹脂組成物であってもよい。
[繊維状(吸水性樹脂)]
本発明において「繊維状」とは、繊維の直径(以下、「繊維径」と記す)が1mm以下で、繊維径に対する長さが100倍以上である形状を指す。また、本発明においては、延伸後の、繊維状で未架橋の水溶性ポリマーを「水溶性ポリマー繊維」と称し、延伸後の、繊維状で架橋がなされた水溶性ポリマーを「繊維状吸水性樹脂」と称する。
尚、上記[吸水性樹脂]で定義した通り、「繊維状吸水性樹脂」であっても、「水膨潤性」としてERT441.2-02で規定される吸収倍率(CRC)が5g/g以上の物性を満たし、かつ、「水不溶性」としてERT470.2-02で規定される水可溶分(Ext)が50重量%以下の物性を満たしている。
[吸収性物品]
本発明の一実施の形態における繊維状吸水性樹脂を用いた吸収性物品としては、生理用品、使い捨て紙おむつ、大人用失禁パッド、ペットシート、医療用捕血剤等の衛生用吸収性物品の他に、園芸用の土補修剤、土木用資材、建築用資材、育苗用シート、食品用ドリップシート、電力ケーブルの止水剤、布団乾燥マット、精密機器・光学機器用結露防止シート、フィルター材料等が挙げられる。
[CRC]
無加圧下吸収倍率を意味する「CRC」は、Centrifuge Retention Capacity の略称であり、吸水性樹脂の無加圧下における吸収倍率(膨潤倍率)を指す。
「CRC」は、具体的には、吸水性樹脂0.2gを不織布製の袋に入れた後、大過剰の0.9重量%塩化ナトリウム水溶液中に30分間浸漬して当該吸水性樹脂を自由膨潤させ、その後、遠心分離機(250G)を用いて脱水した後の吸収倍率(単位;g/g)を指す。本発明においては、上記吸収倍率、即ち、吸水性樹脂の30分後の無加圧下吸収倍率(CRC)を「CRC30分」と称する。
尚、本発明においては、浸漬時間を5分間とした吸収倍率、即ち、吸水性樹脂の5分後の無加圧下吸収倍率(CRC)を「CRC5分」と称する。
(2)繊維状吸水性樹脂の製造方法
(2-1)水溶性ポリマー溶液の調製(調製工程)
本発明の一実施の形態における繊維状吸水性樹脂の製造方法は、加工工程の前に、水溶性ポリマー溶液を調製する調製工程を包含する。当該調製工程は、水溶性ポリマーを主成分とし、溶媒を含むと共に、必要に応じてその他の成分として架橋剤、添加剤等を含む、水溶性ポリマー溶液を調製する工程である。
調製工程において、水溶性ポリマー溶液を調製する具体的な方法としては、例えば、モノマーを溶媒中で重合させて水溶性ポリマー溶液を作製し、そのまま使用するか、若しくは濃縮或いは希釈する方法、水溶性ポリマーに溶媒および必要に応じてその他の成分を添加、混合する方法、溶媒に水溶性ポリマーおよび必要に応じてその他の成分を添加、混合する方法等が挙げられるものの、均一な水溶性ポリマー溶液を調製することができる方法であればよく、特に限定されない。
[水溶性ポリマー]
本発明において「水溶性ポリマー」とは、水に対する溶解性(水溶性)を有するポリマーを指し、当該ポリマー同士が架橋されていない状態を指す。大別すると、天然系、半合成系、合成系に分類することができる。天然系のポリマーとしては、例えば、でんぷん、糖類、寒天、アルギン酸等を含む海藻類、各種ガム類を含む植物粘質物、デキストランやプルラン等を含む微生物粘質物、にかわやゼラチン等のタンパク質等が挙げられる。半合成系のポリマーとしては、例えば、カルボキシメチルセロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系のポリマー等が挙げられる。合成系のポリマーとしては、例えば、ポリアクリル酸塩、ポリスルホン酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド等が挙げられる。これらポリマーの中でも、吸水性能に優れることから、ポリアクリル酸塩がより好ましく、アクリル酸またはその中和塩を構成単位として70重量%以上含有するポリアクリル酸塩がさらに好ましい。
ここで、「アクリル酸塩」とは、アクリル酸およびその中和塩を指し、アクリル酸の中和塩とは、具体的には、アクリル酸を下記塩基性組成物で中和した中和物を指す。従って、ポリアクリル酸塩とは、アクリル酸および/またはその中和塩の重合体を指す。
(塩基性組成物)
本発明において「塩基性組成物」とは、塩基性化合物を含有する組成物を指し、例えば、市販の水酸化ナトリウム水溶液等の組成物が該当する。
上記塩基性化合物としては、具体的には、アルカリ金属の炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化物;アンモニア、有機アミン等が挙げられる。これら塩基性化合物の中でも、得られる吸水性樹脂が良好な物性を示すことから、強塩基性の塩基性化合物が好ましく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の、アルカリ金属の水酸化物がより好ましく、水酸化ナトリウムがさらに好ましい。
(中和率)
本発明における水溶性ポリマーの酸基の中和率は、単量体の酸基(100mol%)を基準として、10~90mol%であることが好ましく、30~90mol%であることがより好ましく、40~85mol%であることがさらに好ましく、50~80mol%であることが特に好ましく、60~80mol%であることが最も好ましい。水溶性ポリマーの酸基の中和率が10mol%未満である場合には、得られる繊維状吸水性樹脂の吸収倍率が著しく低下する傾向がある。酸基の中和率が10~90mol%である水溶性ポリマーを用いることにより、特に良好な物性を示す繊維状吸水性樹脂が得られる。
水溶性ポリマーの中和は、水溶性ポリマーをノズルから吐出する前(調製工程を行う前、または調製工程時)に行ってもよく、ノズルから吐出した後(加工工程後)に行ってもよく、ノズルから吐出する前後に行ってもよい。
(水溶性ポリマーの重量平均分子量)
水溶性ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、100,000~3,000,000g/molであることが好ましく、200,000~2,500,000g/molであることがより好ましく、300,000~2,000,000g/molであることがさらに好ましい。重量平均分子量が100,000g/mol未満であると、吐出液である水溶性ポリマー溶液の紡糸時の曳糸性が低下するおそれがある。重量平均分子量が3,000,000g/molを超えると、水溶性ポリマー溶液の粘度が高くなり過ぎて取り扱い難くなるおそれがある。
(溶媒)
水溶性ポリマーを溶解する溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、およびイソプロピルアルコールが挙げられる。中でも、水、およびメタノールが好ましく、水がより好ましい。必要に応じて、アルコール等の水性液体と水とを混合した混合溶媒を用いてもよい。
(水溶性ポリマー溶液の固形分濃度)
水溶性ポリマー溶液の固形分濃度(溶媒等の揮発成分を除いた固形分の濃度)は、1~60重量%であることが好ましく、2~50重量%であることがより好ましく、5~45重量%であることがさらに好ましく、10~40重量%であることが特に好ましい。固形分濃度が1重量%未満であると、吐出液である水溶性ポリマー溶液の紡糸時の曳糸性が低下するおそれがある。固形分濃度が60重量%を超えると、水溶性ポリマー溶液の粘度が高くなり過ぎて取り扱い難くなるおそれがある。紡糸条件等の各種製造条件が同じであれば、固形分濃度が低いほど、繊維径が細い繊維状吸水性樹脂が得られる。水溶性ポリマー溶液の固形分濃度と粘度との間には相関関係があり、水溶性ポリマーの組成、水溶性ポリマー溶液の温度等の各種条件が同じであれば、固形分濃度を調整することによって水溶性ポリマー溶液の粘度を調整することができる。
(架橋剤)
本発明の一実施の形態における繊維状吸水性樹脂は、架橋されることによって製造される。架橋方法としては、例えば、放射線、電子線、紫外線等の活性化エネルギー線を照射することによるラジカル架橋反応、重合反応、架橋剤を用いた熱架橋反応等が挙げられるが、特に限定されない。架橋剤を用いて架橋する場合における、本発明において使用される架橋剤としては、特に限定されないが、有機または無機架橋剤が挙げられる。
有機架橋剤としては、具体的には、多価アルコール化合物、エポキシ化合物、ハロエポキシ化合物、多価アミン化合物、多価グリシジル化合物、オキセタン化合物、ビニルエーテル化合物、有機過酸化物、アゾ化合物、または多価アミン化合物とハロエポキシ化合物との縮合物、オキサゾリン化合物、オキサゾリジノン化合物、アルキレンカーボネート化合物、環状尿素化合物等が挙げられる。
無機架橋剤としては、具体的には、多価金属塩、過酸化物、過硫酸塩等が挙げられる。
有機または無機架橋剤の中でも、水溶性ポリマーとしてポリアクリル酸塩を用いる場合には、得られる吸水性樹脂の各種物性および架橋剤の取り扱い性に優れることから、カルボキシル基と反応する架橋剤であることが好ましい。
架橋剤の使用量(複数種類使用する場合はその合計使用量)は、水溶性ポリマー若しくは吸水性樹脂100重量部に対して、0.01~10重量部であることが好ましく、0.01~5重量部であることがより好ましい。架橋剤の使用量が10重量部を超えると、得られる繊維状吸水性樹脂の吸収倍率(CRC)が低下するおそれがある。架橋剤の使用量が0.01重量部未満では、得られる繊維状吸水性樹脂の加圧下における吸収倍率が低下するおそれがある。
架橋剤は、水溶性ポリマー溶液に予め添加してもよく、加工工程後の水溶性ポリマー繊維に添加してもよく、両方に添加してもよい。即ち、水溶性ポリマー繊維を架橋する架橋工程は、加工工程の後に行ってもよく、加工工程と同時に行ってもよく、両方行ってもよい。架橋工程は後段にて詳述する。水溶性ポリマー繊維に架橋剤を添加する方法としては、例えば、当該水溶性ポリマー繊維を架橋剤の溶液(以下、単に「架橋剤溶液」と記す)に浸漬する方法が挙げられる。
尚、架橋剤を溶解する溶媒は、当該架橋剤の種類等に応じて適宜、選択すればよく、特に限定されない。
(添加剤)
繊維状吸水性樹脂に種々の機能を付加する添加剤としては、具体的には、キレート剤、界面活性剤、リン原子を有する化合物、酸化剤、有機還元剤、無機還元剤、水不溶性の無機微粒子、消臭剤、抗菌剤等が挙げられる。添加剤の使用量(複数種類使用する場合はその合計使用量)は、繊維状吸水性樹脂に付加を所望する機能に応じて適宜、設定すればよい。
添加剤は、水溶性ポリマー溶液に予め添加してもよく、水溶性ポリマー繊維に添加してもよく、両方に添加してもよい。水溶性ポリマー繊維に添加剤を添加する方法としては、例えば、当該水溶性ポリマー繊維を、添加剤を含む溶液に浸漬する方法が挙げられる。尚、添加剤を含む溶液は、例えば、架橋剤溶液にさらに添加剤を混合することによって簡単に調製することができる。
(2-2)水溶性ポリマー溶液の加工(加工工程)
本発明の一実施の形態における繊維状吸水性樹脂の製造方法は、調製工程で得られた水溶性ポリマー溶液をノズルから吐出して当該水溶性ポリマー溶液の連続流を得る第一工程、および、第一工程で得られた水溶性ポリマー溶液の連続流に高流速気体を当てて水溶性ポリマーを延伸し、繊維径が500μm以下の水溶性ポリマー繊維または繊維状吸水性樹脂を得る第二工程からなる加工工程を包含する。即ち、加工工程は、少なくとも下記第一工程および第二工程からなる。
尚、本発明においては、ノズルから吐出された後、高流速気体に当たるまでの水溶性ポリマー溶液を「水溶性ポリマー溶液の連続流」と称する。従って、ノズルから吐出されるまでの水溶性ポリマー溶液は単に「水溶性ポリマー溶液」と記す。
第一工程は、水溶性ポリマー溶液をノズルから定量的かつ連続的に吐出して当該水溶性ポリマー溶液の連続流を得る工程である。ノズルの口径(孔の大きさ)、形状、個数等は、水溶性ポリマー溶液の粘度、所望する水溶性ポリマー繊維または繊維状吸水性樹脂の繊維径、単位時間当たりの水溶性ポリマー繊維または繊維状吸水性樹脂の生産量、紡糸条件等の各種製造条件に応じて最適値が異なるため、各種製造条件に応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。紡糸条件等の各種製造条件が同じであれば、ノズルの口径が小さいほど、繊維径が細い水溶性ポリマー繊維または繊維状吸水性樹脂が得られる。但し、ノズルの口径が小さ過ぎると、水溶性ポリマー溶液中の不溶性の不純物や凝集物によってノズルが閉塞してしまうおそれがある。ノズルは、帯電し難い材質等、水溶性ポリマー溶液に悪影響を及ぼさない材質で作製されていればよい。また、ノズルに水溶性ポリマー溶液を供給する方法は、定量的かつ連続的に供給する方法であればよく、特に限定されない。
ノズルの向きは、後述する第二工程において、第一工程でノズルから吐出された水溶性ポリマー溶液の連続流に含まれる水溶性ポリマーを延伸し易い向きであって、かつ繊維が途中で切断されない向きであればよい。ノズルの向きは、具体的には、鉛直下向きであってもよく、斜め下向きであってもよく、横向きであってもよい。
ノズルから吐出される水溶性ポリマー溶液の温度は、第二工程において、水溶性ポリマーの延伸が良好に行われるように、当該水溶性ポリマーの重量平均分子量、水溶性ポリマー溶液の粘度、調製工程で調製される水溶性ポリマー溶液の吐出量、所望する水溶性ポリマー繊維または繊維状吸水性樹脂の繊維径、単位時間当たりの水溶性ポリマー繊維または繊維状吸水性樹脂の生産量、紡糸条件等の各種製造条件に応じて最適値が異なるため、各種製造条件に応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。
第二工程は、第一工程で得られた水溶性ポリマー溶液の連続流に高流速気体を当てて水溶性ポリマーを延伸し、繊維径が500μm以下の水溶性ポリマー繊維または繊維状吸水性樹脂を得る工程である。高流速気体は、例えば、高圧気体吐出ノズルから高圧気体を定量的かつ連続的に吐出することによって形成すればよい。高圧気体吐出ノズルの口径(孔の大きさ)、形状、個数等は、水溶性ポリマーの重量平均分子量、水溶性ポリマー溶液の粘度、調製工程で調製される水溶性ポリマー溶液の吐出量、所望する水溶性ポリマー繊維または繊維状吸水性樹脂の繊維径、単位時間当たりの水溶性ポリマー繊維または繊維状吸水性樹脂の生産量、紡糸条件等の各種製造条件に応じて最適値が異なるため、各種製造条件に応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。高圧気体吐出ノズルに高圧気体を供給する方法は、定量的かつ連続的に供給する方法であればよく、特に限定されない。
高圧気体吐出ノズルの先端部から、高流速気体が当たる部分における水溶性ポリマー溶液の連続流までの距離は、特に限定されないものの、水溶性ポリマー溶液の連続流に当たる高流速気体の圧力、流速および流量を制御し易いように、短い方が好適である。具体的には、高圧気体吐出ノズルの先端部から水溶性ポリマー溶液の連続流までの上記距離は、0.1~1,000mmであることが好ましく、0.5~400mmであることがより好ましく、1~200mmであることがさらに好ましい。
ここで、高圧気体とは、空気や窒素、アルゴン等の不活性気体を圧縮機で圧縮することによって、圧力0.1~1.0MPa程度に加圧した気体を指す。従って、高流速気体とは、上記高圧気体を高圧気体吐出ノズルから吐出することで得られる、高流速の気体を指す。高流速気体の流速は、容積流量計、超音波流量計等で測定される体積流量と、高圧気体が通過する高圧気体吐出ノズルの口径の断面積(ノズル面積)とから、以下の式を用いて算出することができる。
流速(m/s) = 体積流量(m/s)/ノズル面積(m)。
高流速気体の流速は、100~1,000m/sであることが好ましく、150~800m/sであることがより好ましく、200~500m/sであることがさらに好ましい。高流速気体の流速が大きいほど、水溶性ポリマーに掛かる延伸力が大きくなるため、繊維径が細い水溶性ポリマー繊維または繊維状吸水性樹脂を作製し易い。高流速気体の流速が100m/s未満であると、水溶性ポリマーに掛かる延伸力が小さくなり過ぎる傾向があり、繊維径が太い水溶性ポリマー繊維または繊維状吸水性樹脂が作製されるおそれがある。高流速気体の流速が1,000m/sを超えると、水溶性ポリマーに掛かる延伸力が大きくなり過ぎる傾向があり、繊維が途中で切断されるおそれがある。但し、高流速気体の最適な流速は、水溶性ポリマーの重量平均分子量、水溶性ポリマー溶液の粘度、調製工程で調製される水溶性ポリマー溶液の吐出量、所望する水溶性ポリマー繊維または繊維状吸水性樹脂の繊維径、単位時間当たりの水溶性ポリマー繊維または繊維状吸水性樹脂の生産量、紡糸条件等の各種製造条件に応じて最適値が異なるため、各種製造条件に応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。
高流速気体の流量は、単位時間当たりの水溶性ポリマー繊維または繊維状吸水性樹脂の生産量、紡糸条件等の各種製造条件に応じて最適値が異なるため、流速を始めとする各種製造条件に応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。
高流速気体の温度は、0~500℃であることが好ましく、10~400℃であることがより好ましく、20~300℃であることがさらに好ましい。但し、高流速気体の温度は、調製工程時に架橋剤が水溶性ポリマー溶液に添加されているかどうかも含めて、紡糸条件等の各種製造条件に応じて最適値が異なるため、各種製造条件に応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。
ノズルから吐出された水溶性ポリマー溶液の連続流に高流速気体を当てる角度は、当該水溶性ポリマー溶液の連続流の吐出方向を0°として90°(垂直)であってもよく、水溶性ポリマー溶液の連続流の吐出方向に対して鋭角であってもよい。ここで、水溶性ポリマー溶液の連続流の吐出方向に対して鋭角とは、水溶性ポリマー溶液の連続流の吐出方向と、高流速気体の吐出方向とが鋭角に交わることを指す。水溶性ポリマー溶液の連続流の吐出方向と高流速気体の吐出方向とがなす角度は、0~90°であることが好ましく、10~80°であることがより好ましく、15~60°であることがさらに好ましい。但し、水溶性ポリマー溶液の連続流に高流速気体を当てる角度は、水溶性ポリマーの延伸が良好に行われると共に、繊維が途中で切断されないように適宜設定すればよく、特に限定されない。また、高流速気体の吐出方向は、水溶性ポリマー溶液の連続流の吐出方向との成す角度が上記範囲内であればよく、特に限定されないが、水平方向若しくは実質的に水平方向であることが好ましい。
また、水溶性ポリマー溶液の連続流に高流速気体を当てる方向は、一方向からであってもよく、二方向或いは三方向からであってもよく、さらには水溶性ポリマー溶液の連続流を取り巻くように多数の方向からであってもよい。多数の方向から水溶性ポリマー溶液の連続流に高流速気体を当てる場合における、個々の高圧気体吐出ノズルの口径(孔の大きさ)、形状、高流速気体の吐出方向等は、水溶性ポリマーの延伸が良好に行われるように適宜設定すればよく、特に限定されない。
上記加工工程を、図1を参照しながらさらに詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る繊維状吸水性樹脂の製造方法の一例を示す、製造装置の概略の正面図である。
先ず、加工工程を行う上記製造装置の構成を以下に説明する。製造装置は、図1に示すように、ポンプ2、溶液吐出ノズル(ノズル)3、高圧気体吐出ノズル5、および回収槽8を少なくとも備えている。
ポンプ2は、溶液吐出ノズル3を通して、タンク(図示しない)から供給される水溶性ポリマー溶液1を定量的かつ連続的に吐出することができる構造となっていればよく、特に限定されない。溶液吐出ノズル3を通した水溶性ポリマー溶液の吐出量は、製造装置の規模(大きさ)、単位時間当たりの処理量(水溶性ポリマー繊維または繊維状吸水性樹脂の生産量)、高流速気体6の温度、圧力、流速および流量、紡糸条件等の各種製造条件に応じて最適値が異なるため、各種製造条件に応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。紡糸条件等の各種製造条件が同じであれば、水溶性ポリマー溶液の吐出量が少ないほど、繊維径が細い水溶性ポリマー繊維または繊維状吸水性樹脂が得られる。
溶液吐出ノズル3は、ポンプ2から供給される水溶性ポリマー溶液1を、一定の太さの水溶性ポリマー溶液の連続流7として吐出することができる構造となっていればよく、特に限定されない。
高圧気体吐出ノズル5は、圧縮機(図示しない)から供給される高圧気体4を、高流速気体6として一定の温度、圧力、流速および流量で連続的に吐出することができる構造となっていればよく、特に限定されない。また、高圧気体吐出ノズル5の周囲には、製造装置周辺の気体(空気)の流れ(気流)によって高流速気体6が影響を受けないように、必要に応じてカバーが設けられていてもよい。
尚、本明細書において規定する高流速気体6の温度、圧力、流速および流量は、高圧気体吐出ノズル5から吐出された時点での温度、圧力、流速および流量である。高流速気体6が水溶性ポリマー溶液の連続流7に当たる時点での温度、圧力、流速および流量は、高圧気体吐出ノズル5の先端部と水溶性ポリマー溶液の連続流7との距離に応じて減少するものの、上述した通り、当該距離は好ましくは0.1~1,000mmであるので、実質的に同一であると見なすことができる。具体的には、高流速気体6の流速は最低でも100m/sであるので、当該距離が1m(1,000mm)あっても高流速気体6は水溶性ポリマー溶液の連続流7に0.01秒で到達する。このため、上述した温度、圧力、流速および流量は、実質的に同一であると見なすことができる。
回収槽8は、水溶性ポリマーの連続流7に高流速気体6を当てることによって得られる水溶性ポリマー繊維または繊維状吸水性樹脂10を回収することができる大きさ、形状および材質であればよく、特に限定されない。上記回収槽8は、例えば、空の槽である場合にはメッシュ状の容器や不織布等であってもよく、或いは、水溶性ポリマー繊維または繊維状吸水性樹脂10を凝固させる凝固剤溶液が満たされた凝固剤溶液槽であってもよく、または、水溶性ポリマー溶液に必要量の架橋剤が添加されていない(得られる水溶性ポリマー繊維または繊維状吸水性樹脂10が十分に架橋されていない)場合には、水溶性ポリマー繊維または繊維状吸水性樹脂10を架橋する架橋剤溶液が満たされた架橋剤溶液槽であってもよい。
次に、上記製造装置を用いた加工工程を説明する。
水溶性ポリマー、溶媒、および必要に応じて架橋剤、添加剤等のその他の成分が混合された水溶性ポリマー溶液1を、タンク(図示しない)からポンプ2に連続的若しくは間欠的に供給する。ポンプ2に供給された水溶性ポリマー溶液1は、溶液吐出ノズル3を通って鉛直下向き、斜め下向き、または横向きに、水溶性ポリマー溶液の連続流7として定量的かつ連続的に吐出される。
一方、圧縮機(図示しない)で加圧した高圧気体4を、高圧気体吐出ノズル5に連続的に供給する。供給された高圧気体4は、高圧気体吐出ノズル5から吐出されることにより、高流速気体6として水溶性ポリマー溶液の連続流7に向かって定量的かつ連続的に供給される。高圧気体吐出ノズル5は、上述した角度で高流速気体6が水溶性ポリマー溶液の連続流7に当たるように、溶液吐出ノズル3との位置決めがなされている。
そして、高流速気体6を水溶性ポリマー溶液の連続流7に当てることにより、水溶性ポリマーを延伸して水溶性ポリマー繊維または繊維状吸水性樹脂10を連続的に製造する。具体的には、溶液吐出ノズル3から吐出された水溶性ポリマー溶液の連続流7は、重力によって落下すると共に、高流速気体6にぶつかって当該高流速気体6の吐出方向(気流の方向)に流される。このとき、水溶性ポリマー溶液の連続流7に含まれる水溶性ポリマーは、高流速気体6によって連続的に延伸され、所望する繊維径の水溶性ポリマー繊維または繊維状吸水性樹脂10となる。水溶性ポリマー繊維または繊維状吸水性樹脂10は、高流速気体6に乗って暫く流された後、重力に従って落下する。
尚、製造装置は、水溶性ポリマー溶液の連続流7に当たった後の、溶媒等の揮発成分を含む高流速気体6を吸引する吸引装置を備えていてもよい。
次いで、水溶性ポリマー繊維または繊維状吸水性樹脂10の落下位置に回収槽8を配置し、得られた水溶性ポリマー繊維または繊維状吸水性樹脂10を回収する。回収槽8が空の槽である場合には、回収した水溶性ポリマー繊維または繊維状吸水性樹脂10を(例えば回収槽8と共に)、後述する乾燥装置に入れて乾燥させる。回収槽8が、凝固剤溶液が満たされた凝固剤溶液槽である場合には、水溶性ポリマー繊維または繊維状吸水性樹脂10を凝固(析出)させた後、回収槽8から取り出し、乾燥させる。回収槽8が、架橋剤溶液が満たされた架橋剤溶液槽である場合には、水溶性ポリマー繊維または繊維状吸水性樹脂10に架橋剤を含浸させた後、回収槽8から取り出し、乾燥させる。水溶性ポリマー繊維または繊維状吸水性樹脂10は、不織布のように繊維が不規則に絡み合った状態、若しくは繊維が積層された状態で回収される。
(2-3)水溶性ポリマー繊維または繊維状吸水性樹脂の乾燥(乾燥工程)
加工工程で得られた水溶性ポリマー繊維または繊維状吸水性樹脂は、高流速気体とぶつかることによって、溶媒等の揮発成分が或る程度除去(揮発)されるものの、当該揮発成分を含有した状態となっている場合がある。また、凝固剤溶液または架橋剤溶液に浸漬された水溶性ポリマー繊維または繊維状吸水性樹脂も、溶媒等の揮発成分を含有した状態となっている場合がある。従って、これらの場合には、水溶性ポリマー繊維または繊維状吸水性樹脂を、必要に応じて所望の固形分濃度に達するまで乾燥させてもよい。即ち、加工工程の後に、必要に応じて乾燥工程を行ってもよい。
上記水溶性ポリマー繊維または繊維状吸水性樹脂の乾燥方法としては、例えば、加熱乾燥、熱風乾燥、減圧乾燥、流動層乾燥、赤外線乾燥、マイクロ波乾燥、ドラムドライヤー乾燥、高温の水蒸気を利用した高湿乾燥等が挙げられるが、特に限定されない。これら乾燥方法の中でも、乾燥効率に優れることから、熱風乾燥がより好ましい。従って、乾燥装置としては、上述した各種乾燥方法を実現することができる乾燥装置が挙げられるが、特に限定されない。
上記熱風乾燥における乾燥温度(熱風の温度)は、得られる水溶性ポリマー繊維または繊維状吸水性樹脂の色調や乾燥効率に優れることから、80~250℃であることが好ましく、100~200℃であることがより好ましい。尚、上記乾燥温度以外の、熱風の流速および流量、乾燥時間等の乾燥条件に関しては、乾燥させる水溶性ポリマー繊維または繊維状吸水性樹脂に含有される揮発成分の量、当該水溶性ポリマー繊維または繊維状吸水性樹脂の総重量、所望する水溶性ポリマー繊維または繊維状吸水性樹脂の繊維径等に応じて適宜、選択すればよく、特に限定されない。
上記乾燥工程は、架橋工程の前に行ってもよく、架橋工程と同時に行ってもよく、両方行ってもよい。また、加工工程後の水溶性ポリマー繊維または繊維状吸水性樹脂が所望の固形分濃度に達していれば、乾燥工程は省略してもよい。
(2-4)水溶性ポリマー繊維の架橋(架橋工程)
水溶性ポリマー繊維を架橋することによって、繊維状吸水性樹脂が製造される。水溶性ポリマー繊維の架橋方法としては、例えば、放射線、電子線、紫外線等の活性エネルギー線を照射することによるラジカル架橋反応、重合反応、架橋剤を用いた架橋反応等が挙げられるが、特に限定されない。これら架橋方法の中でも、操作性に優れることから、上述した架橋剤を用いた架橋反応がより好ましい。
架橋剤を用いて水溶性ポリマー繊維を架橋する場合において、当該架橋剤は、調製工程時に水溶性ポリマー溶液に添加してもよく、加工工程後の水溶性ポリマー繊維に添加してもよく、両方に添加してもよい。例えば、調製工程時に、水溶性ポリマー溶液に必要量の架橋剤が添加されている場合には、水溶性ポリマー繊維は加工工程時に或る程度または十分に架橋反応が進行し、架橋が不十分なときには架橋工程で十分に架橋される。また、例えば、調製工程時に、水溶性ポリマー溶液に架橋剤が添加されていない場合、または水溶性ポリマー溶液に必要量の架橋剤が添加されていない(得られる水溶性ポリマー繊維または繊維状吸水性樹脂が十分に架橋されていない)場合には、架橋剤溶液が満たされた架橋剤溶液槽(回収槽)に水溶性ポリマー繊維または繊維状吸水性樹脂を浸漬させて架橋剤を含浸させた後、架橋工程で架橋反応を行う。従って、上記架橋工程は、加工工程の後に行ってもよく、加工工程と同時に行ってもよく、両方行ってもよい。尚、調製工程時に必要量の架橋剤を水溶性ポリマー溶液に添加し、架橋工程を加工工程および/または乾燥工程と同時に行う方が、製造工程をより簡略化することができる。
上記調製工程、加工工程、乾燥工程、および架橋工程を行うことにより、繊維状吸水性樹脂が製造される。
(3)繊維状吸水性樹脂
繊維状吸水性樹脂は、吸収性物品の吸収体として好適に用いられる。本発明の一実施の形態における製造方法で製造される繊維状吸水性樹脂は、以下の物性を有していることが望ましい。
[平均繊維径]
繊維状吸水性樹脂の平均繊維径は、0.1~500μmであることが好ましく、1~300μmであることがより好ましく、5~200μmであることがさらに好ましく、10~150μmであることが特に好ましい。繊維状吸水性樹脂の平均繊維径が0.1μm未満であると、繊維状吸水性樹脂の生産性が低下する場合があり、500μmを超えると、繊維状吸水性樹脂の吸水速度が遅くなる場合や、繊維状吸水性樹脂の柔軟性が損なわれて折れ易くなる場合がある。上記平均繊維径の測定方法は、実施例にて詳述する。
尚、繊維状吸水性樹脂は、不織布のように繊維が不規則に絡み合った状態、若しくは繊維が積層された状態で得られる。従って、繊維状吸水性樹脂の平均長さは、長い方が好適であるものの、特に限定されない。
[CRC5分、CRC30分(5分後の無加圧下吸収倍率、30分後の無加圧下吸収倍率)]
繊維状吸水性樹脂のCRC5分、CRC30分は、両方共に、10g/g以上であることが好ましく、20g/g以上であることがより好ましく、22g/g以上であることがさらに好ましく、24g/g以上であることが特に好ましい。無加圧下吸収倍率(CRC)の上限値は、高いほど好ましいものの、他の物性とのバランスを考慮して、70g/g以下であることが好ましく、50g/g以下であることがより好ましく、40g/g以下であることがさらに好ましい。
[吸水速度]
繊維状吸水性樹脂の吸水速度は、90%以上であることが好ましく、93%以上であることがより好ましく、96%以上であることがさらに好ましい(上限値は100%)。吸水速度が90%以上である繊維状吸水性樹脂は、従来の粒子状吸水性樹脂よりも吸水速度が優れている。上記吸水速度の算出方法は、実施例にて詳述する。
(4)吸収性物品
本発明の一実施の形態における繊維状吸水性樹脂を吸収体として用いた吸収性物品は、生理用品、使い捨て紙おむつ、大人用失禁パッド、ペットシート、医療用捕血剤等の衛生用吸収性物品の他に、園芸用の土補修剤、土木用資材、建築用資材、育苗用シート、食品用ドリップシート、電力ケーブルの止水剤、布団乾燥マット、精密機器・光学機器用結露防止シート、フィルター材料等として好適に用いられる。
以下、実施例に従って本発明を説明するが、本発明は実施例に限定されて解釈されるものではない。
<吸水性樹脂の物性>
本発明の一実施の形態における繊維状吸水性樹脂、並びに、比較用の粒子状吸水性樹脂の各種物性の測定方法に関して説明する。
(1)平均繊維径
繊維状吸水性樹脂の平均繊維径は、以下の手順に従って測定した。即ち、繊維状吸水性樹脂を、走査型電子顕微鏡(株式会社キーエンス製;VF-9800)を用いて、拡大倍率50~500倍で撮影した。画像解析ソフトを使用し、撮影された画像の中から20点をサンプルとしてランダムに選択してその繊維径を測定した。そして、その20点のサンプルの繊維径の平均値を平均繊維径(μm)とした。また、水溶性ポリマー繊維の平均繊維径に関しても、上記手順と同様の手順で測定した。
(2)平均粒子径
比較用の粒子状吸水性樹脂の平均粒子径(μm)は、米国特許第7,638,570号公報に記載された重量平均粒子径(D50)を用いて求めた。
(3)5分後および30分後の無加圧下吸収倍率(CRC5分およびCRC30分)
CRCは、EDANA法 WSP 241.3(10)に準拠して測定した。そして、本発明においては、浸漬時間を5分間としたCRC5分(g/g)、および浸漬時間を30分間としたCRC30分(g/g)の二種類の吸収倍率を測定した。
(4)吸水速度(CRC5分/CRC30分)
本発明における吸水速度(%)は、CRC5分およびCRC30分から、以下の式を用いて算出した。
吸水速度(%) = (CRC5分/CRC30分)×100。
(5)水溶性ポリマーの分子量(重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn))
本発明において使用した水溶性ポリマーの分子量は、以下の手順に従って測定した。
(測定試料の調製)
水溶性ポリマーのサンプルを下記溶媒に溶解させ、濃度0.1重量%の溶液とした。その後、得られた溶液をフィルター(ジーエルサイエンス社製:GLクロマトディスク、水系25A、孔径0.2μm)に通過させて測定試料とした。
溶媒:リン酸2水素ナトリウム2水和物60mM・リン酸水素2ナトリウム12水和物20mM・アジ化ナトリウム400ppmを含む水溶液(pH6.35~6.38)
この測定試料を用いて以下の測定条件でGPC測定を行った。
(GPC測定の測定条件)
マルバーン社製のビスコテックTDAmaxを用いて上記測定試料のGPC測定を行った。測定装置には、サイズ排除クロマトグラフィー、屈折率検出器、光散乱検出器およびキャピラリー粘度計を搭載した。測定装置および測定条件は、以下の通りとした。
ポンプ・オートサンプラー:ビスコテックGPCmax(マルバーン社製)
ガードカラム:OHpak SB-G(昭和電工株式会社製)
カラム:OHpak SB-806MHQ(昭和電工株式会社製)を直列に2本繋いで使用
検出器:ビスコテックTDAmax(マルバーン社製)
溶媒:リン酸2水素ナトリウム2水和物60mM・リン酸水素2ナトリウム12水和物20mM・アジ化ナトリウム400ppmを含む水溶液(pH6.35~6.38)
流速:0.5mL/分
注入量:100μL。
GPC測定で使用する水として、十分に不純物を取り除いた純水を使用した。また、GPC測定は、十分な量の溶媒を測定装置に流し、検出値のベースラインが安定した状態、特に、光散乱検出器でのノイズピークが無い状態で行った。
測定装置の校正は、ポリオキシエチレングリコール〔重量平均分子量(Mw):21966、分子量分布(Mw/Mn):1.0、示差屈折率(dn/dc):0.132、溶媒屈折率:1.33〕を標準サンプルとして用いた。そして、測定対象である水溶性ポリマーの示差屈折率(dn/dc)を0.12、溶媒屈折率を1.33として測定を行った。屈折率、光散乱強度、および粘度のデータ収集および解析は、Viscotek OmniSEC4.7.0(登録商標)ソフトウェアで行った。
測定後、屈折率(RI)および光散乱強度(角度:7°)(LALS)、並びに粘度計(DP)から得られたデータを用いて、水溶性ポリマーの重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、および分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
<水溶性ポリマー溶液の製造>
[製造例1]
ビーカーに、ポリアクリル酸の粉末(株式会社日本触媒製;アクアリックAS-58、重量平均分子量(Mw)1,760,000g/mol)10.0g、水48.4g、および48重量%水酸化ナトリウム水溶液8.1gを加え、スターラーで十分に撹拌した(調製工程)。これにより、水溶性ポリマー溶液として、酸基の中和率70mol%、固形分濃度18.2重量%のポリアクリル酸塩水溶液(1)を得た。
[製造例2]
ビーカーに、ポリアクリル酸の粉末(株式会社日本触媒製;アクアリックAS-58、重量平均分子量(Mw)1,760,000g/mol)10.0g、水58.5g、および48重量%水酸化ナトリウム水溶液8.1gを加え、スターラーで十分に撹拌した(調製工程)。これにより、水溶性ポリマー溶液として、酸基の中和率70mol%、固形分濃度15.8重量%のポリアクリル酸塩水溶液(2)を得た。
[製造例3]
ビーカーに、ポリアクリル酸の粉末(株式会社日本触媒製;アクアリックAS-58、重量平均分子量(Mw)1,760,000g/mol)10.0g、水81.9g、および48重量%水酸化ナトリウム水溶液8.1gを加え、スターラーで十分に撹拌した(調製工程)。これにより、水溶性ポリマー溶液として、酸基の中和率70mol%、固形分濃度12.1重量%のポリアクリル酸塩水溶液(3)を得た。
[製造例4]
ビーカーに、ポリアクリル酸の粉末(和光純薬工業株式会社製、重量平均分子量(Mw)1,490,000g/mol)10.0g、水58.5g、および48重量%水酸化ナトリウム水溶液8.1gを加え、スターラーで十分に撹拌した(調製工程)。これにより、水溶性ポリマー溶液として、酸基の中和率70mol%、固形分濃度15.8重量%のポリアクリル酸塩水溶液(4)を得た。
[製造例5]
ビーカーに、ポリアクリル酸の粉末(株式会社日本触媒製;アクアリックAS-58、重量平均分子量(Mw)1,760,000g/mol)10.0g、水57.8g、および48重量%水酸化ナトリウム水溶液6.9gを加え、スターラーで十分に撹拌した(調製工程)。これにより、水溶性ポリマー溶液として、酸基の中和率60mol%、固形分濃度15.8重量%のポリアクリル酸塩水溶液(5)を得た。
[製造例6]
ビーカーに、ポリアクリル酸の粉末(株式会社日本触媒製;アクアリックAS-58、重量平均分子量(Mw)1,760,000g/mol)10.0g、水59.2g、および48重量%水酸化ナトリウム水溶液9.3gを加え、スターラーで十分に撹拌した(調製工程)。これにより、水溶性ポリマー溶液として、酸基の中和率80mol%、固形分濃度15.8重量%のポリアクリル酸塩水溶液(6)を得た。
[製造例7]
ビーカーに、ポリアクリル酸の30重量%水溶液(株式会社日本触媒製;アクアリックDL-522の未中和物、重量平均分子量(Mw)390,000g/mol)110gを入れ、45重量%水溶液になるように濃縮した後、48重量%水酸化ナトリウム水溶液26.7gを加え、スターラーで十分に撹拌した。その後、当該ビーカーに、架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス株式会社製;デナコール(登録商標)EX-810)0.103gを加え、スターラーで十分に撹拌した(調製工程)。これにより、水溶性ポリマー溶液として、酸基の中和率70mol%、固形分濃度40重量%のポリアクリル酸塩水溶液(7)を得た。
<繊維状吸水性樹脂の製造>
[実施例1]
製造例1で得られたポリアクリル酸塩水溶液(1)から、図1に示す製造装置を用いて繊維状吸水性樹脂を製造した。即ち、ポリアクリル酸塩水溶液(1)をポンプ2(株式会社アイシス製;ポンプ CX07100)に供給し、内径1mmの溶液吐出ノズル3を通して吐出量0.7mL/分で水平面に対して45°の角度で吐出させた。これと同時に、高圧気体吐出ノズル5から高流速気体6として圧縮空気を流量19L/分(流速403m/s)で水平に吐出させて、溶液吐出ノズル3から吐出されたポリアクリル酸塩水溶液(1)に当てた(加工工程)。これにより、水溶性ポリマー繊維として、未架橋のポリアクリル酸繊維(以下の実施例でも同様に、「繊維状のポリアクリル酸塩」を指す)(1)を得た。当該ポリアクリル酸繊維(1)は、回収槽8としてメタノール凝固剤槽を用いて回収した。
回収したポリアクリル酸繊維(1)を、熱風循環オーブンを用いて120℃で5分間乾燥させた(乾燥工程)後、当該ポリアクリル酸繊維(1)0.91gを、架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス株式会社製;デナコール(登録商標)EX-810)0.5g、脱イオン水80.0g、およびメタノール95.02gからなる架橋剤溶液に5秒間浸漬させた。その後、ポリアクリル酸繊維(1)を上記架橋剤溶液から取り出し、熱風循環オーブンを用いて120℃で30分間加熱し、架橋反応を行うことで(架橋工程)、繊維状吸水性樹脂(1)を得た。
得られた繊維状吸水性樹脂(1)の平均繊維径は110μmであった。この繊維状吸水性樹脂(1)の紡糸条件等の各種製造条件を表1に示し、各種物性(平均繊維径、CRC5分、CRC30分、吸水速度)を表2に示した。
[実施例2]
製造例2で得られたポリアクリル酸塩水溶液(2)から、実施例1と同様にして繊維状吸水性樹脂を製造した。即ち、ポリアクリル酸塩水溶液(2)をポンプ2に供給し、内径1mmの溶液吐出ノズル3を通して吐出量1.0mL/分で水平面に対して45°の角度で吐出させた。これと同時に、高圧気体吐出ノズル5から圧縮空気を流量16L/分(流速340m/s)で水平に吐出させて、溶液吐出ノズル3から吐出されたポリアクリル酸塩水溶液(2)に当てた(加工工程)。これにより、水溶性ポリマー繊維として、未架橋のポリアクリル酸繊維(2)を得た。当該ポリアクリル酸繊維(2)は、メタノール凝固剤槽を用いて回収した。
回収したポリアクリル酸繊維(2)を、熱風循環オーブンを用いて120℃で5分間乾燥させた(乾燥工程)後、当該ポリアクリル酸繊維(2)0.79gを、エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス株式会社製;デナコール(登録商標)EX-810)0.5g、脱イオン水80.0g、およびメタノール95.02gからなる架橋剤溶液に5秒間浸漬させた。その後、ポリアクリル酸繊維(2)を上記架橋剤溶液から取り出し、熱風循環オーブンを用いて120℃で30分間加熱し、架橋反応を行うことで(架橋工程)、繊維状吸水性樹脂(2)を得た。
得られた繊維状吸水性樹脂(2)の平均繊維径は73μmであった。この繊維状吸水性樹脂(2)の紡糸条件等の各種製造条件を表1に示し、各種物性を表2に示した。
[実施例3]
製造例3で得られたポリアクリル酸塩水溶液(3)から、実施例1と同様にして繊維状吸水性樹脂を製造した。即ち、ポリアクリル酸塩水溶液(3)をポンプ2に供給し、内径1mmの溶液吐出ノズル3を通して吐出量1.7mL/分で水平面に対して45°の角度で吐出させた。これと同時に、高圧気体吐出ノズル5から圧縮空気を流量16L/分(流速340m/s)で水平に吐出させて、溶液吐出ノズル3から吐出されたポリアクリル酸塩水溶液(3)に当てた(加工工程)。これにより、水溶性ポリマー繊維として、未架橋のポリアクリル酸繊維(3)を得た。当該ポリアクリル酸繊維(3)は、メタノール凝固剤槽を用いて回収した。
回収したポリアクリル酸繊維(3)を、熱風循環オーブンを用いて120℃で5分間乾燥させた(乾燥工程)後、当該ポリアクリル酸繊維(3)0.61gを、エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス株式会社製;デナコール(登録商標)EX-810)0.5g、脱イオン水80.0g、およびメタノール95.02gからなる架橋剤溶液に5秒間浸漬させた。その後、ポリアクリル酸繊維(3)を上記架橋剤溶液から取り出し、熱風循環オーブンを用いて120℃で30分間加熱し、架橋反応を行うことで(架橋工程)、繊維状吸水性樹脂(3)を得た。
得られた繊維状吸水性樹脂(3)の平均繊維径は54μmであった。この繊維状吸水性樹脂(3)の紡糸条件等の各種製造条件を表1に示し、各種物性を表2に示した。
[実施例4]
製造例3で得られたポリアクリル酸塩水溶液(3)から、実施例1と同様にして繊維状吸水性樹脂を製造した。即ち、ポリアクリル酸塩水溶液(3)をポンプ2に供給し、内径1mmの溶液吐出ノズル3を通して吐出量2.2mL/分で水平面に対して45°の角度で吐出させた。これと同時に、高圧気体吐出ノズル5から圧縮空気を流量15L/分(流速318m/s)で水平に吐出させて、溶液吐出ノズル3から吐出されたポリアクリル酸塩水溶液(3)に当てた(加工工程)。これにより、水溶性ポリマー繊維として、未架橋のポリアクリル酸繊維(4)を得た。当該ポリアクリル酸繊維(4)は、メタノール凝固剤槽を用いて回収した。
回収したポリアクリル酸繊維(4)を、熱風循環オーブンを用いて120℃で5分間乾燥させた(乾燥工程)後、当該ポリアクリル酸繊維(4)0.79gを、エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス株式会社製;デナコール(登録商標)EX-810)0.5g、脱イオン水80.0g、およびメタノール95.02gからなる架橋剤溶液に5秒間浸漬させた。その後、ポリアクリル酸繊維(4)を上記架橋剤溶液から取り出し、熱風循環オーブンを用いて120℃で30分間加熱し、架橋反応を行うことで(架橋工程)、繊維状吸水性樹脂(4)を得た。
得られた繊維状吸水性樹脂(4)の平均繊維径は112μmであった。この繊維状吸水性樹脂(4)の紡糸条件等の各種製造条件を表1に示し、各種物性を表2に示した。
[実施例5]
製造例2で得られたポリアクリル酸塩水溶液(2)から、実施例1と同様にして繊維状吸水性樹脂を製造した。即ち、ポリアクリル酸塩水溶液(2)をポンプ2に供給し、内径1mmの溶液吐出ノズル3を通して吐出量1.0mL/分で水平面に対して45°の角度で吐出させた。これと同時に、高圧気体吐出ノズル5から圧縮空気を流量16L/分(流速340m/s)で水平に吐出させて、溶液吐出ノズル3から吐出されたポリアクリル酸塩水溶液(2)に当てた(加工工程)。これにより、水溶性ポリマー繊維として、未架橋のポリアクリル酸繊維(5)を得た。当該ポリアクリル酸繊維(5)は、メタノール凝固剤槽を用いて回収した。
回収したポリアクリル酸繊維(5)を、熱風循環オーブンを用いて120℃で5分間乾燥させた(乾燥工程)後、当該ポリアクリル酸繊維(5)0.79gを、エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス株式会社製;デナコール(登録商標)EX-810)0.45g、脱イオン水80.0g、およびメタノール95.02gからなる架橋剤溶液に5秒間浸漬させた。その後、ポリアクリル酸繊維(5)を上記架橋剤溶液から取り出し、熱風循環オーブンを用いて120℃で30分間加熱し、架橋反応を行うことで(架橋工程)、繊維状吸水性樹脂(5)を得た。
得られた繊維状吸水性樹脂(5)の平均繊維径は70μmであった。この繊維状吸水性樹脂(5)の紡糸条件等の各種製造条件を表1に示し、各種物性を表2に示した。
[実施例6]
製造例2で得られたポリアクリル酸塩水溶液(2)から、実施例1と同様にして繊維状吸水性樹脂を製造した。即ち、ポリアクリル酸塩水溶液(2)をポンプ2に供給し、内径1mmの溶液吐出ノズル3を通して吐出量1.0mL/分で水平面に対して45°の角度で吐出させた。これと同時に、高圧気体吐出ノズル5から圧縮空気を流量16L/分(流速340m/s)で水平に吐出させて、溶液吐出ノズル3から吐出されたポリアクリル酸塩水溶液(2)に当てた(加工工程)。これにより、水溶性ポリマー繊維として、未架橋のポリアクリル酸繊維(6)を得た。当該ポリアクリル酸繊維(6)は、メタノール凝固剤槽を用いて回収した。
回収したポリアクリル酸繊維(6)を、熱風循環オーブンを用いて120℃で5分間乾燥させた(乾燥工程)後、当該ポリアクリル酸繊維(6)0.79gを、エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス株式会社製;デナコール(登録商標)EX-810)0.33g、脱イオン水80.0g、およびメタノール95.02gからなる架橋剤溶液に5秒間浸漬させた。その後、ポリアクリル酸繊維(6)を上記架橋剤溶液から取り出し、熱風循環オーブンを用いて120℃で30分間加熱し、架橋反応を行うことで(架橋工程)、繊維状吸水性樹脂(6)を得た。
得られた繊維状吸水性樹脂(6)の平均繊維径は80μmであった。この繊維状吸水性樹脂(6)の紡糸条件等の各種製造条件を表1に示し、各種物性を表2に示した。
[実施例7]
製造例4で得られたポリアクリル酸塩水溶液(4)から、実施例1と同様にして繊維状吸水性樹脂を製造した。即ち、ポリアクリル酸塩水溶液(4)をポンプ2に供給し、内径1mmの溶液吐出ノズル3を通して吐出量1.7mL/分で水平面に対して45°の角度で吐出させた。これと同時に、高圧気体吐出ノズル5から圧縮空気を流量16L/分(流速340m/s)で水平に吐出させて、溶液吐出ノズル3から吐出されたポリアクリル酸塩水溶液(4)に当てた(加工工程)。これにより、水溶性ポリマー繊維として、未架橋のポリアクリル酸繊維(7)を得た。当該ポリアクリル酸繊維(7)は、メタノール凝固剤槽を用いて回収した。
回収したポリアクリル酸繊維(7)を、熱風循環オーブンを用いて120℃で5分間乾燥させた(乾燥工程)後、当該ポリアクリル酸繊維(7)0.79gを、エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス株式会社製;デナコール(登録商標)EX-810)0.5g、脱イオン水80.0g、およびメタノール95.02gからなる架橋剤溶液に5秒間浸漬させた。その後、ポリアクリル酸繊維(7)を上記架橋剤溶液から取り出し、熱風循環オーブンを用いて120℃で30分間加熱し、架橋反応を行うことで(架橋工程)、架橋された繊維状吸水性樹脂(7)を得た。
得られた繊維状吸水性樹脂(7)の平均繊維径は94μmであった。この繊維状吸水性樹脂(7)の紡糸条件等の各種製造条件を表1に示し、各種物性を表2に示した。
[実施例8]
製造例5で得られたポリアクリル酸塩水溶液(5)から、実施例1と同様にして繊維状吸水性樹脂を製造した。即ち、ポリアクリル酸塩水溶液(5)をポンプ2に供給し、内径1mmの溶液吐出ノズル3を通して吐出量1.0mL/分で水平面に対して45°の角度で吐出させた。これと同時に、高圧気体吐出ノズル5から圧縮空気を流量16L/分(流速340m/s)で水平に吐出させて、溶液吐出ノズル3から吐出されたポリアクリル酸塩水溶液(5)に当てた(加工工程)。これにより、水溶性ポリマー繊維として、未架橋のポリアクリル酸繊維(8)を得た。当該ポリアクリル酸繊維(8)は、メタノール凝固剤槽を用いて回収した。
回収したポリアクリル酸繊維(8)を、熱風循環オーブンを用いて120℃で5分間乾燥させた(乾燥工程)後、当該ポリアクリル酸繊維(8)0.79gを、エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス株式会社製;デナコール(登録商標)EX-810)0.4g、脱イオン水80.0g、およびメタノール95.02gからなる架橋剤溶液に5秒間浸漬させた。その後、ポリアクリル酸繊維(8)を上記架橋剤溶液から取り出し、熱風循環オーブンを用いて120℃で30分間加熱し、架橋反応を行うことで(架橋工程)、繊維状吸水性樹脂(8)を得た。
得られた繊維状吸水性樹脂(8)の平均繊維径は48μmであった。この繊維状吸水性樹脂(8)の紡糸条件等の各種製造条件を表1に示し、各種物性を表2に示した。
[実施例9]
製造例6で得られたポリアクリル酸塩水溶液(6)から、実施例1と同様にして繊維状吸水性樹脂を製造した。即ち、ポリアクリル酸塩水溶液(6)をポンプ2に供給し、内径1mmの溶液吐出ノズル3を通して吐出量0.7mL/分で水平面に対して45°の角度で吐出させた。これと同時に、高圧気体吐出ノズル5から圧縮空気を流量16L/分(流速340m/s)で水平に吐出させて、溶液吐出ノズル3から吐出されたポリアクリル酸塩水溶液(6)に当てた(加工工程)。これにより、水溶性ポリマー繊維として、未架橋のポリアクリル酸繊維(9)を得た。当該ポリアクリル酸繊維(9)は、メタノール凝固剤槽を用いて回収した。
回収したポリアクリル酸繊維(9)を、熱風循環オーブンを用いて120℃で5分間乾燥させた(乾燥工程)後、当該ポリアクリル酸繊維(9)0.79gを、エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス株式会社製;デナコール(登録商標)EX-810)0.4g、脱イオン水80.0g、およびメタノール95.02gからなる架橋剤溶液に5秒間浸漬させた。その後、ポリアクリル酸繊維(9)を上記架橋剤溶液から取り出し、熱風循環オーブンを用いて120℃で30分間加熱し、架橋反応を行うことで(架橋工程)、繊維状吸水性樹脂(9)を得た。
得られた繊維状吸水性樹脂(9)の平均繊維径は71μmであった。この繊維状吸水性樹脂(9)の紡糸条件等の各種製造条件を表1に示し、各種物性を表2に示した。
[実施例10]
製造例7で得られたポリアクリル酸塩水溶液(7)から、図1に示す製造装置を用いて繊維状吸水性樹脂を製造した。即ち、ポリアクリル酸塩水溶液(7)をポンプ2に供給し、内径1mmの溶液吐出ノズル3を通して吐出量1.0mL/分で水平面に対して45°の角度で吐出させた。これと同時に、高圧気体吐出ノズル5から圧縮空気を流量23L/分(流速488m/s)で水平に吐出させて、溶液吐出ノズル3から吐出されたポリアクリル酸塩水溶液(7)に当てた(加工工程)。これにより、水溶性ポリマー繊維として、未架橋のポリアクリル酸繊維(10)を得た。当該ポリアクリル酸繊維(10)は、メッシュ状の回収槽(メタノール凝固剤は満たされていない)を用いて回収した。
回収したポリアクリル酸繊維(10)を、回収槽と共に、熱風循環オーブンを用いて120℃で30分間乾燥させると同時に架橋反応を行い(乾燥工程および架橋工程)、繊維状吸水性樹脂(10)を得た。
得られた繊維状吸水性樹脂(10)の平均繊維径は24μmであった。この繊維状吸水性樹脂(10)の紡糸条件等の各種製造条件を表1に示し、各種物性を表2に示した。
<比較用の粒子状吸水性樹脂の製造>
[比較例1]
アクリル酸300重量部、48重量%水酸化ナトリウム水溶液100重量部、ポリエチレングリコールジアクリレート(平均n数9)0.94重量部、0.1重量%ジエチレントリアミン5酢酸3ナトリウム水溶液16.4重量部、および脱イオン水314.3重量部からなる単量体水溶液(C1)を作製した。当該単量体水溶液(C1)を38℃に調温した。
次に、上記単量体水溶液(C1)を、定量ポンプで連続混合機に連続供給しながら、当該単量体水溶液(C1)に、48重量%水酸化ナトリウム水溶液150.6重量部を、定量ポンプで連続的にラインミキシングした。このとき、単量体水溶液(C1)の液温は、中和熱によって80℃まで上昇した。さらに、この単量体水溶液(C1)に、4重量%過硫酸ナトリウム水溶液14.6重量部を、定量ポンプで連続的にラインミキシングして混合物を得た。その後、両端に堰を備えた平面状の重合ベルトを有する連続重合機に、厚さ10mmとなるように上記混合物を連続的に供給した。
続いて、重合(重合時間3分間)を連続的に行い、帯状の含水ゲル(C1)を得た。得られた帯状の含水ゲル(C1)を、重合ベルトの進行方向に対して垂直方向(重合ベルトの幅方向)に、切断後の長さが300mmとなるように等間隔に連続して切断することで、含水ゲル(C1)を得た。含水ゲル(C1)は、CRCが33.5(g/g)、固形分濃度が49.5重量%であった。
得られた含水ゲル(C1)を、スクリュー押出機に供給してゲル粉砕した(ゲル粉砕工程)。当該スクリュー押出機として、先端部に直径100mm、孔径9.5mm、孔数40個、開孔率36.1%、厚さ10mmの多孔板が備えられた、スクリュー軸の外径が86mmのミートチョッパーを使用した。そして、ミートチョッパーのスクリュー軸回転数を130rpmとした状態で、含水ゲル(C1)を供給速度4640(g/分)、および水蒸気を供給速度83(g/分)で当該ミートチョッパーに同時に供給した。尚、ゲル粉砕前の含水ゲル(C1)の温度は80℃であり、ゲル粉砕後の粉砕ゲル、即ち粒子状含水ゲル(C1)の温度は85℃に上昇していた。
上記ゲル粉砕工程で得られた粒子状含水ゲル(C1)は、固形分濃度が49.1重量%、重量平均粒子径(D50)が994μmであった。
次に、上記粒子状含水ゲル(C1)を、ゲル粉砕終了時から1分間以内に、通気板上に散布(このときの粒子状含水ゲル(C1)の温度は80℃)して、185℃で30分間乾燥させた(乾燥工程)。これにより、乾燥重合体(C1)を得た。
続いて、上記乾燥工程で得られた乾燥重合体(C1)の全量を、3段ロールミルに供給して粉砕した(粉砕工程)。その後、粉砕物を目開き710μmおよび175μmのJIS標準篩で分級することで、不定形破砕状の粒子状吸水性樹脂(C1)を得た。得られた粒子状吸水性樹脂(C1)の重量平均粒子径(D50)は、348μmであった。
次に、上記粒子状吸水性樹脂(C1)100重量部に対して、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.025重量部、1,4-ブタンジオール0.4重量部、プロピレングリコール0.6重量部、および脱イオン水3.0重量部からなる表面架橋剤溶液を均一に混合し、190℃で30分間加熱処理した。加熱処理後、粒子状吸水性樹脂(C1)を冷却し、当該粒子状吸水性樹脂(C1)100重量部に対して、水1重量部、およびジエチレントリアミン5酢酸3ナトリウム0.01重量部からなる水溶液を均一に混合した。その後、粒子状吸水性樹脂(C1)を60℃で1時間乾燥させ、目開き710μmのJIS標準篩を通過する通過物を得た。この通過物100重量部に対して、二酸化ケイ素(商品名;アエロジル200、日本アエロジル製)0.4重量部を均一に添加して、平均粒子径が351μmである比較用の粒子状吸水性樹脂(C1)を得た。得られた比較用の粒子状吸水性樹脂(C1)の各種物性を表2に示した。
Figure 0007071536000001
Figure 0007071536000002
表1,2の記載内容から、以下のことが分かる。即ち、
実施例1~3は、同じ水溶性ポリマーを用いて、平均繊維径が異なる繊維状吸水性樹脂の製造を試みた実施例である。表1から、水溶性ポリマー溶液の固形分濃度、水溶性ポリマー溶液の吐出量、高流速気体の流速および流量等の各種製造条件を調整することで、平均繊維径が異なる繊維状吸水性樹脂を容易に製造することができることが分かる。
実施例2,5,6は、同じ水溶性ポリマー溶液を用いて未架橋の水溶性ポリマー繊維を作製し、浸漬させる架橋剤溶液の濃度を変化させて繊維状吸水性樹脂の製造を試みた実施例である。表2から、浸漬させる架橋剤溶液の濃度を調整することで、繊維状吸水性樹脂の各種物性(CRC5分、CRC30分、吸水速度)を容易に調整することができることが分かる。
実施例7は、実施例1~6と比較して、水溶性ポリマーの重量平均分子量(Mw)を小さくした実施例である。水溶性ポリマーの重量平均分子量を小さくすると、水溶性ポリマー溶液の粘度が低下するため、当該水溶性ポリマー溶液の取り扱い性は良好になるものの、水溶性ポリマー溶液の紡糸時の曳糸性が低下して繊維が途中で切断されることがある。ところが、本発明の一実施の形態における繊維状吸水性樹脂の製造方法においては、水溶性ポリマー溶液の固形分濃度、水溶性ポリマー溶液の吐出量、高流速気体の流速および流量等の各種製造条件を調整することで、曳糸性に劣る水溶性ポリマーであっても、繊維状吸水性樹脂を容易に製造することができることが分かる。
実施例8,9は、実施例2と比較して、酸基の中和率(mol%)が異なる繊維状吸水性樹脂の製造を試みた実施例である。表1,2から、実施例8,9においても、実施例2と実質的に同条件で繊維状吸水性樹脂を容易に製造することができること、また、実施例2と同様に、各種物性に優れた繊維状吸水性樹脂が得られることが分かる。
実施例10は、実施例1~9と比較して、水溶性ポリマーの重量平均分子量(Mw)を大幅に小さくすると共に、水溶性ポリマー溶液の固形分濃度を大きくして、繊維状吸水性樹脂の製造を試みた実施例である。重量平均分子量を小さくすると水溶性ポリマー溶液の粘度が低下するため、粘度が低下しないように水溶性ポリマー溶液の固形分濃度を上げたところ、水溶性ポリマー溶液の紡糸時の曳糸性が良好となった。また、水溶性ポリマー溶液の固形分濃度を上げたことで、繊維状吸水性樹脂をより効率よく製造することができることが分かる。
表2には、本発明の一実施の形態における繊維状吸水性樹脂の実施例1~10、および従来の粒子状吸水性樹脂の比較例1の結果(各種物性)が記載されている。比較例1の粒子状吸水性樹脂の吸水速度が81.2%であるのに対して、実施例1~10の繊維状吸水性樹脂の吸水速度は、何れも96%を超えている。従って、実施例1~10の結果と比較例1の結果との対比から、本発明の一実施の形態における繊維状吸水性樹脂は、従来の粒子状吸水性樹脂よりも吸水速度が優れていることが分かる。
そして、以上のことから、本発明の一実施の形態における製造方法は、水溶性ポリマー溶液をノズルから吐出し、水溶性ポリマーを延伸して繊維状に加工する加工方法、および繊維径を調整する調整方法が比較的簡便な製造方法であることが分かる。また、当該製造方法によって製造される繊維状吸水性樹脂は、吸水性樹脂の形状に由来する種々の課題を解決することができると共に、従来の粒子状吸水性樹脂よりも吸水速度が優れていることが分かる。従って、本発明の一態様によれば、吸水性樹脂の形状に由来する種々の課題を解決することができると共に、簡便な方法で、かつ、高い生産性で製造することができる繊維状吸水性樹脂およびその製造方法を提供することができることが分かる。
本発明の一実施の形態における繊維状吸水性樹脂を吸収体として用いた吸収性物品は、生理用品、使い捨て紙おむつ、大人用失禁パッド、ペットシート、医療用捕血剤等の衛生用吸収性物品の他に、園芸用の土補修剤、土木用資材、建築用資材、育苗用シート、食品用ドリップシート、電力ケーブルの止水剤、布団乾燥マット、精密機器・光学機器用結露防止シート、フィルター材料等として好適に用いられる。
1 水溶性ポリマー溶液
2 ポンプ
3 溶液吐出ノズル(ノズル)
4 高圧気体
5 高圧気体吐出ノズル
6 高流速気体
7 水溶性ポリマー溶液の連続流
8 回収槽
10 水溶性ポリマー繊維または繊維状吸水性樹脂

Claims (6)

  1. 水溶性ポリマー溶液をノズルから吐出して当該水溶性ポリマー溶液の連続流を得る第一工程、および、第一工程で得られた水溶性ポリマー溶液の連続流に高流速気体を当てて水溶性ポリマーを延伸し、繊維径が500μm以下の水溶性ポリマー繊維または繊維状吸水性樹脂を得る第二工程からなる加工工程を包含する、繊維状吸水性樹脂の製造方法であって、上記水溶性ポリマーとして、
    アクリル酸またはその中和塩を構成単位として70重量%以上含有し、
    酸基の中和率が10~90mol%であり、
    重量平均分子量が100,000~3,000,000g/molである水溶性ポリマーを用いる、繊維状吸水性樹脂の製造方法
  2. 水溶性ポリマー繊維を架橋する架橋工程をさらに包含し、該架橋工程を、加工工程の後、若しくは加工工程と同時に行う、請求項1に記載の繊維状吸水性樹脂の製造方法。
  3. 上記加工工程で、架橋剤が予め添加されていない上記水溶性ポリマー溶液を用いて、未架橋の水溶性ポリマー繊維を得るとともに、
    上記加工工程で得られた水溶性ポリマー繊維に架橋剤を添加して架橋する、請求項1または2に記載の繊維状吸水性樹脂の製造方法。
  4. 得られる繊維状吸水性樹脂の平均繊維径が0.1~500μmである、請求項1~の何れか1項に記載の繊維状吸水性樹脂の製造方法。
  5. 固形分濃度が1~60重量%である水溶性ポリマー溶液を用いる、請求項1~の何れか一項に記載の繊維状吸水性樹脂の製造方法。
  6. 得られる繊維状吸水性樹脂の30分後の無加圧下吸収倍率(CRC)が10g/g以上である、請求項1~の何れか一項に記載の繊維状吸水性樹脂の製造方法。
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