以下、一実施形態を、図面を参照して説明する。
図12および図13に示すように、照明装置10は、例えば天井板などの被設置部11に設けられた所定の内径寸法の埋込孔12に対して埋め込み設置される埋込形照明装置である。埋込孔12は、円形で、その内径が例えば60mm程度の小径となっている。したがって、この小径の埋込孔12に埋め込み設置される照明装置10も外径が小さい小形形状に構成されている。さらに、本実施形態では、照明装置10は、外部に設置される予備電源装置に対して外部電線13によって接続され、例えば停電時などに、予備電源装置から供給される外部電源(予備電源)によって点灯する非常用埋込形照明装置である。予備電源装置は、バッテリや自家発電装置などであり、複数の非常用埋込形照明装置に外部電源を供給可能とする。
照明装置10は、埋込孔12に対して埋め込み設置される埋込部である本体部14、および埋込孔12を隠蔽して被設置部11の表面に配置される露出部である表面部15を有している。照明装置10は仮想の中心軸16を有し、本体部14の中心軸16に沿った方向の外形は埋込孔12の内径寸法以下に設けられている。なお、本実施形態では、照明装置10の一端側を下側、他端側を上側として説明する。
次に、図1ないし図6に示すように、照明装置10は、本体ユニット20、レンズ21、フィルム(シート)22、化粧枠23、取付ばね24、およびカバー25などを備えている。
本体ユニット20は、放熱板28、発光部29、電源部30および端子台31を備えている。そして、放熱板28に、発光部29、電源部30および端子台31が上下方向つまり下方から上方へ向けて一列状に配置されて一体に取り付けられている。
図1ないし図8に示すように、放熱板28は、1枚の金属板によって形成されている。放熱板28は、発光部取付板部または下板部である第1板部34、この第1板部34の一辺から上方へ向けて略直角に折曲された端子台取付板部または側板部である第2板部35、および第1板部34と対向するように第2板部35の上端から略直角に折曲された上板部である第3板部36を有している。
第1板部34の一面または外面である下面に、発光部29が直接取り付けられている。第1板部34の下面に、発光部29を取り付ける平面状の発光部取付面34aが形成されている。この発光部取付面34aには、発光部29の端子部分との絶縁距離をとるための一対の逃し孔37、および発光部29をねじ止めするための一対の取付孔38が形成されている。一対の逃し孔37と一対の取付孔38とは第1板部34の対角線上に配置されている。
第1板部34の先端側には、電源部30を位置決めするための位置決め溝部39が形成されている。第1板部34の両側には、電源部30を取り付けるための取付溝部40が形成されている。そして、第1板部34の上面側に、第1板部34の両側の取付溝部40を利用して、電源部30が直接取り付けられる。
第1板部34の両側で一方の対角位置には、化粧枠23に取り付けられる取付片部41が突設されている。これら取付片部41の先端側には、半円溝状の切欠き溝である切欠き部42が形成されている。切欠き部42には、放熱板28を化粧枠23に取り付けるためのねじ43(ねじ軸43b)が挿通される。なお、切欠き部42については、照明装置10の小形化のために、第1板部34にねじ挿通孔を設けることができないため、切欠き形状となっている。
第2板部35の他面または内面である内側面に端子台31が直接取り付けられている。第2板部35の端子台31が取り付けられる取付位置に、複数の位置決め孔44と1つのねじ挿通用の挿通孔45が形成されている。挿通孔45は一対の位置決め孔44の中間位置に配置されている。
第3板部36は、第2板部35からの突出長さが第1板部34よりも短く、第2板部35からの端子台31の突出幅(端子台31の接続方向Aの厚み)よりも短い関係にある。第3板部36には、カバー25をねじ止めするための取付孔46が形成されている。第2板部35と第3板部36との折曲部分に切欠き孔47が形成されている。
また、発光部29は、発光モジュール49、およびこの発光モジュール49を接続保持するソケット50を備えている。
発光モジュール49は、基板、この基板に実装された複数の半導体発光素子、およびこれら半導体発光素子を一体に覆う蛍光体層などを有している。そして、複数の半導体発光素子が発する光で蛍光体層が励起され、所定の色度の光が蛍光体層の表面である発光面51から出射される。発光面51は円形に形成されている。
ソケット50は、ソケット本体52、およびこのソケット本体52内に収容された複数の端子を備えている。ソケット本体52は、例えば樹脂などの絶縁材料で形成されている。ソケット本体52は、上面側に発光モジュール49を配置する保持凹部53、この保持凹部53に配置された発光モジュール49の発光面51が対向配置されるソケット開口部54、およびソケット開口部54から下方へ向けて拡開する反射面部55を有している。ソケット本体52の側面には、電源部30からの内部配線である出力用内部電線が挿入される電線挿入孔56が設けられている。そして、発光モジュール49を配置したソケット50は、第1板部34の下面側に配置され、ソケット本体52を挿通する複数のねじ57が第1板部34の取付孔38に螺着されることにより、第1板部34に取り付けられる。ソケット50の取付状態では、ソケット本体52と第1板部34との間に発光モジュール49を挟み込んで保持するとともに、ソケット本体52内に収容された端子と発光モジュール49とが電気的に接続される。
ソケット本体52内に収容された端子は、ソケット本体52の電線挿入孔56から挿入される出力用内部電線が接続される電線接続端子部、および発光モジュール49と接続される接点部などを備えている。
また、電源部30は、電源回路59、およびこの電源回路59を収納する電源ケース60を有している。
電源回路59は、基板61、およびこの基板61に実装された複数の電子部品62を有している。電源回路59は、外部から入力される直流電源または交流電源などの外部電源を、発光部29を発光させるのに必要な所定の発光用電源に変換して発光部29に供給する。電源回路59は、この電源回路59に接続された出力用内部電線が電源ケース60の外に引き出されてソケット50に接続されることにより、発光部29に所定の発光用電源を供給可能とする。
電源ケース60は、例えば樹脂などの絶縁材料によって形成されている。電源ケース60は、下部ケース63と上部ケース64とを組み合わせて形成されている。
下部ケース63の両側には、下部ケース63の下面よりも下方に突出して第1板部34の両側の取付溝部40に係合する複数の係合片65が突設されている。係合片65の先端には、下部ケース63の下面が第1板部34の上面に載った状態で第1板部34の下面に引っ掛かって保持する係止爪65aが設けられている。本実施形態では、1箇所の取付溝部40に係合する係合片65は2つであり、そのうちの一方の係合片65は、下部ケース63に固定的に設けられていて弾性的な変位が少なく、取付溝部40への係合のガイド用であり、さらに、他方の係合片65は、下部ケース63に対して弾性的な変位が可能で、係止爪65aが設けられている。したがって、電源部30は、下部ケース63を介して、第1板部34の上面側に直接取り付けられる。
下部ケース63の下面には、第1板部34の発光モジュール49が接触される位置の上方領域に、第1板部34から上方に離反する離反部66が形成されている。離反部66は、第2板部35に対向する下部ケース63の側面に連通開口されている。さらに、下部ケース63の下面には、第1板部34に発光部29を取り付けるねじ57のねじ軸との干渉を防止する凹部67が形成されている。下部ケース63の下面には、第1板部34の位置決め溝部39に係合する係合片63aが突設されている。
下部ケース63の側面の2箇所には、発光部29と電源回路59とを接続する内部配線である出力用内部電線が挿通される電線挿通部68a,68bが形成されている。これら電線挿通部68a,68bのいずれか一方に出力用内部電線が挿通され、この出力用内部電線によって電源回路59から発光部29に発光用電源が供給される。
上部ケース64は、下部ケース63の上面を閉塞し、例えば爪係止構造によって下部ケース63に取り付けられて一体化されている。上部ケース64の上面には、この上部ケース64の上側に所定のスペースSを確保してカバー25を支える複数の支え部69が突設されている。
上部ケース64の上面には、第2板部35に取り付けられる端子台31に対向する位置に配線孔70が形成されている。配線孔70には、端子台31と電源回路59とを接続する内部配線である入力用内部電線が挿通され、この入力用内部電線によって端子台31から電源回路59に外部電源が供給される。
なお、入力用内部電線の配線は、一方の電線挿通部68aを利用してもよい。この場合、電源部30の上側のスペースSを端子台31に接続された入力用内部電線を配線する配線スペースとして利用するとともに、電源ケース60の外側面に電源ケース60の上面域から電線挿通部68aに亘って形成された配線溝71に入力用内部電線を配線すればよい。複数の支え部69は、入力用内部電線の位置を電源ケース60の上面域内に保持するように規制する電線規制部としても機能する。
電源ケース60の外側面には、放熱板28を化粧枠23に取り付けるねじ43の頭部43aとの干渉を避けるための凹状の逃げ部72が上下方向に沿って形成されている。
また、端子台31は、端子台本体74、およびこの端子台本体74内に収納された図示しない端子を備えている。
端子台本体74は、例えば樹脂などの絶縁材料によって形成されている。端子台本体74の一面が第2板部35の内側面に取り付けられる取付面75であり、この取付面75に対して反対の他面が外部電源を供給する外部電線13を接続する接続面76である。
端子台本体74の取付面75には、第2板部35の位置決め孔44に挿入される複数の位置決め突起77(図4参照)が突設されているとともに、第2板部35の挿通孔45に対向されてその挿通孔45を挿通される図示しないねじが螺着される取付孔78(図6参照)が形成されている。したがって、端子台31は、第2板部35を挿通するねじで第2板部35に直接取り付けられている。
端子台本体74の接続面76の上部側には、外部電線13が接続される外部電線接続部79が設けられている。外部電線接続部79は、外部電線13を挿入する複数の外部電線挿入孔80を有している。外部電線挿入孔80には、電源入力用に2つ、送り配線用に2つの合計4つが含まれる。外部電線接続部79に対する外部電線13の接続方向Aは、本体部14の中心軸16に対して交差(直交)する方向である。
端子台本体74の下面または接続面76の下部側に、入力用内部電線が挿入される図示しない内部電線挿入孔が設けられている。内部電線挿入孔が端子台本体74の下面に設けられている場合には、その内部電線挿入孔に接続される入力用内部電線が電源部30の上面の配線孔70に配線される。内部電線挿入孔が端子台本体74の接続面76の下部側に設けられている場合には、その内部電線挿入孔に接続される入力用内部電線が、電源部30の上面のスペース(配線スペース)Sおよび配線溝71を通じて電源部30の側面の電線挿通部68aに配線される。
そして、本体ユニット20は、1枚の金属製の放熱板28に、発光部29、電源部30および端子台31が上下方向つまり下方から上方へ向けて一列状に配置されて一体に取り付けられている。放熱板28の第1板部34の下面に発光部29が取り付けられ、第1板部34の上面に電源部30が取り付けられ、第2板部35の内側面に端子台31が取り付けられている。なお、電源部30は、端子台31とともに第2板部35に取り付けられてもよい。
次に、図1、図5および図6にレンズ21を示す。レンズ21は、発光部29に対向される。レンズ21は、ガラス製である。レンズ21は、中央の凸状レンズ部81、およびこの凸状レンズ部81の周辺部から突設された環状のフランジ部82を有している。レンズ21の凸状レンズ部81の上面側中央には、発光部29からの光が入射する凹状の入射面83が形成されている。凸状レンズ部81の下面側には、フランジ部82よりも突出され、入射面83から凸状レンズ部81内に入射した光が外部に出射する出射面84が形成されている。レンズ21の上面には、ソケット50と嵌合して互いに位置決めするソケット嵌合部85が形成されている。
次に、図1、図6、図9および図11にフィルム22を示す。フィルム22は、例えば樹脂製である。樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレートなどである。フィルム22は、例えばゴムパッキンに比べて、薄くても形状維持性が高く、摩擦係数が低いものである。フィルム22の摩擦係数は0.3以下である。フィルム22は、透明ではなく、色がついている。例えば、フィルム22は、黒色となっている。
フィルム22は、化粧枠23(レンズ支持部92)とレンズ21のフランジ部82との間に配置される環状部87、およびこの環状部87の内側に開口されたフィルム開口部88を有している。
次に、図1ないし図6、図9および図11に化粧枠23を示す。化粧枠23は、金属製である。化粧枠23は、例えばアルミダイカスト製で、一体に形成されている。
化粧枠23は、環状の化粧枠部91、この化粧枠部91の内周部側に設けられレンズ21のフランジ部82を支持する環状のレンズ支持部92、このレンズ支持部92の内側に設けられレンズ21の凸状レンズ部81が挿通配置される円形の化粧枠開口部93、および化粧枠部91の外周部側に設けられ照明装置10の設置時に埋込孔12を隠蔽して被設置部11の下面に当接するフランジ部94を有している。
さらに、化粧枠23は、化粧枠部91の上面からそれぞれ突設された、位置決め部95、放熱板取付部96、放熱板支え部97および一対のばね取付部98を有している。
位置決め部95は、レンズ支持部92の外周部側から突出してフィルム22の外周部を位置決めする。位置決め部95は、レンズ支持部92の周方向の4箇所に設けられている。2組の互いに対向する位置決め部95のうち、一方の対向する位置決め部95は化粧枠部91の上面から突設された突出部99によって形成され、他方の対向する位置決め部95は一対のばね取付部98の内面側で兼用されている。複数の位置決め部95の内側面(内周面)は、上側から下側に向かうに従って内径が小さくなるように傾斜されている。
各位置決め部95の内側面に対向するレンズ支持部92の外周部側で、各位置決め部95の内側面とレンズ支持部92とが接続する位置において、レンズ支持部92から窪むように窪み部100が設けられている。
化粧枠23はアルミダイカスト製であるため、製造上、各位置決め部95の内側面とレンズ支持部92との接続部分に形成される曲面部101が形成されるが、この窪み部100を設けることにより、その曲面部101が窪み部100内に配置され、レンズ支持部92の上面の高さ位置において各位置決め部95の内側面が直線状となる。そのため、各位置決め部95の内側面でフィルム22の外周部を精度よく位置決めできる。
放熱板取付部96は、化粧枠部91の上面で位置決め部95よりも外周部側から、略環状に突設されている。放熱板取付部96は、第1板部34の下面周辺部が載置されて取り付けられる取付面部102、この取付面部102に設けられ第1板部34の切欠き部42を挿通したねじ43が螺着される一対の取付孔103、およびこれら取付孔103の周辺部で第1板部34の切欠き部42に対向する取付面部102の位置から突設されたねじガイド部104を有している。また、放熱板取付部96には、放熱板支え部97の位置に対して対称位置で、放熱板支え部97に対向する位置に、カバー25が係合する溝部105が設けられている。
放熱板支え部97は、放熱板取付部96よりも上方に突設された板状に形成されている。放熱板支え部97の内側面は、平面状で、上側から下側に向かって化粧枠23の中心側に近付くように傾斜されている。そして、放熱板支え部97は、放熱板取付部96に第1板部34が取り付けられた放熱板28の第2板部35の外側面を支える。
一対のばね取付部98は、内側面は平面状で、上側から下側に向かって対向間隔が狭まるように傾斜されている。一対のばね取付部98には、取付ばね24を上方から差し込んで取り付けるばね取付溝106が形成されている。
次に、図1ないし図5に取付ばね24を示す。取付ばね24は、板ばねによって構成されている。取付ばね24の一端側が化粧枠23のばね取付部98に取り付けられ、他端側が弾性的に化粧枠23の側方に突出するように展開可能としている。
次に、図1ないし図6にカバー25を示す。カバー25は、放熱板28との間で電源部30および端子台31を覆うものである。カバー25は、金属製である。カバー25は、端子台カバー109および本体カバー110を有し、これら端子台カバー109と本体カバー110とを組み合わせて一体に構成されている。
端子台カバー109は、1枚の金属板によって形成されている。端子台カバー109は、上面部111、およびこの上面部111の両側から折曲された両側面部112を有し、端子台31の接続方向Aに対応した内外側面および下面が開口された略コ字形に形成されている。上面部111は、放熱板28に固定される固定部111aである。この固定部111aである上面部111には、放熱板28の第3板部36の取付孔46に螺着するねじが挿通するねじ挿通孔113が形成されている。両側面部112には、本体カバー110との連結用の連結枠部114および係止爪部115が切り起こされている。
本体カバー110は、1枚の金属板によって形成されている。本体カバー110は、上面部116、およびこの上面部116から折曲された周面部117を有している。周面部117の両側部には、端子台カバー109の連結枠部114に差し込まれる連結片118が突設されている。連結片118には、端子台カバー109との所定の組み合わせ位置で連結枠部114に当接するストッパ119、および端子台カバー109との所定の組み合わせ位置で係止爪部115に係合する係止孔120が形成されている。これらによって、端子台カバー109と本体カバー110とが所定の組み合わせ位置で一体化されている。また、周面部117の下端には、化粧枠23の溝部105に差し込まれる差込み部121が突設されている。
端子台カバー109と本体カバー110とを組み合わせた状態で、端子台カバー109の上面部111および両側面部112と本体カバー110の上面との間に、端子台31の接続面76が露出する配線用開口部122が形成されている。この配線用開口部122に臨む端子台カバー109の上面部111および両側面部112の縁部には、外部電線13との接触でその外部電線13を傷付けないように外面側に折り返された折返し部123が形成されている。
次に、図11を参照して、レンズ21とフィルム22と化粧枠23との関係を説明する。
レンズ21の凸状レンズ部81の外径d1は、化粧枠23の化粧枠開口部93の内径d2よりも小さい。レンズ21のフランジ部82の外形d3は、化粧枠23の化粧枠開口部93の内径d2よりも大きい。
フィルム22のフィルム開口部88の内径d4は、化粧枠23の化粧枠開口部93の内径d2よりも小さい寸法であり、かつフィルム開口部88にレンズ21の凸状レンズ部81が挿通される寸法である。例えば、フィルム開口部88の内径d4は、凸状レンズ部81の外径d1よりも小さくてもよいし、凸状レンズ部81の外径d1と略同じでもよい。
フィルム22の環状部87の外周部と内周部との間の幅w1は、化粧枠23のレンズ支持部92の外周部と内周部との間の幅w2よりも大きい。フィルム22の環状部87の外周部と内周部との間の幅w1は、レンズ21のフランジ部82の外周部と内周部との間の幅w3よりも大きいことが好ましい。
レンズ21のフランジ部82の外周部と内周部との間の幅w3は、化粧枠23のレンズ支持部92の外周部と内周部との間の幅w2よりも大きい。
さらに、図12を参照して、端子台31の位置関係を説明する。
端子台31は、外部電線接続部79に対する外部電線13の接続方向Aが本体部14の中心軸16に対して交差する方向でかつ外部電線接続部79が本体部14の中心側である中心軸16に対向するように本体部14の中心軸16よりも外側に片寄った位置に配置され、接続方向Aの厚みt1が埋込孔12の内径d5の寸法の1/3以上である。例えば、端子台31の接続方向Aの厚みt1が20mm、埋込孔12の内径d5の寸法が60mmである。端子台31の接続方向Aの厚みt1は、外部電線13を接続方向Aから挿入して端子台31内の端子に接続するために、最小限必要な寸法である。
本体部14の中心軸16に沿った方向の外形は、埋込孔12の内径d5の寸法以下であり、本体部14から側方への突出物はない。化粧枠23のフランジ部94は埋込孔12の内径d5よりも大きい。
次に、照明装置10の組み立てについて説明する。
図1および図11に示すように、化粧枠23のレンズ支持部92上にフィルム22を配置する。フィルム22は、外周部が周方向四方に設けられた位置決め部95に当接し、レンズ支持部92上の所定の位置に位置決め配置される。このとき、各位置決め部95の内側面に対応してレンズ支持部92に窪み部100が設けられ、各位置決め部95の内側面とレンズ支持部92との接続部分に形成される曲面部101が窪み部100内に配置されているため、フィルム22は、曲面部101の影響を受けずに各位置決め部95によってレンズ支持部92上の所定の位置に精度よく位置決めできる。そして、レンズ支持部92上に配置されたフィルム22の内周部は、レンズ支持部92の内周部よりも内方に配置される。フィルム22は、透明ではなく、色がついているため、化粧枠23上に装着したか否かを容易に確認でき、装着忘れを防止できる。
続いて、レンズ21の凸状レンズ部81をフィルム22のフィルム開口部88および化粧枠23の化粧枠開口部93に上方から挿入するとともに、レンズ21のフランジ部94をフィルム22を介してレンズ支持部92上に配置する。
このとき、フィルム22のフィルム開口部88の内径d4を、化粧枠23の化粧枠開口部93の内径d2よりも小さく、レンズ21の凸状レンズ部81が挿通される寸法としているため、レンズ21の中心と化粧枠開口部93の中心とがずれていたとしても、あるいは、レンズ21が化粧枠開口部93に対して斜めに挿入されたとしても、フィルム開口部88に挿入される凸状レンズ部81がフィルム22に接触することにより、凸状レンズ部81の位置を規制して挿入位置を調整することができる。そのため、凸状レンズ部81がレンズ支持部92に接触することがなく、化粧枠開口部93内に挿通配置される。
レンズ21の凸状レンズ部81をフィルム22のフィルム開口部88に挿入することによって、レンズ支持部92上に配置されたレンズ21の位置が化粧枠23に対して位置決めされるが、必要に応じて、レンズ支持部92上でレンズ21を動かして位置を調整してもよい。このとき、フィルム22は、摩擦係数が例えば0.3以下で、例えばゴムパッキンなどに比べて滑りやすいため、フィルム22を介してレンズ支持部92上のレンズ21を容易に動かして位置を調整できる。
続いて、図1の状態から図2および図10に示すように、予め組み立てられている本体ユニット20を化粧枠23上に取り付ける。本体ユニット20は、放熱板28に発光部29、電源部30および端子台31が取り付けられ、さらに、発光部29と電源部30との間が出力用内部電線で接続され、電源部30と端子台31との間が入力用内部電線で接続されている。
本体ユニット20の下部側を化粧枠23の放熱板支え部97および一対のばね取付部98との間に上方から挿入し、放熱板28の第1板部34を化粧枠23の放熱板取付部96の取付面部102上に配置する。このとき、放熱板28の第2板部35が放熱板支え部97に対向する向きとする。第1板部34を取付面部102上に配置することにより、第1板部34の切欠き部42が放熱板取付部96の取付孔103の上方に配置されるとともに取付面部102から突設されているねじガイド部104に対向される。
ねじ43のねじ軸43bを第1板部34の切欠き部42とねじガイド部104との間を通じて取付孔103に挿入し、ねじ43を取付孔103に螺着することにより、ねじ43の頭部43aと放熱板取付部96との間で第1板部34を挟み込んで固定する。これにより、放熱板28と化粧枠23とが一体化される。
なお、第1板部34の切欠き部42については、照明装置10の小形化のために、第1板部34にねじ挿通孔を設けることができないため、切欠き形状となっている。そのため、第1板部34の切欠き部42を通じてねじ43を取付孔103に挿入して螺着する際、ねじ43が倒れ込みやすい。そこで、第1板部34の切欠き部42に対向して化粧枠23にねじガイド部104を設けることにより、ねじ43が倒れ込むのを防止し、ねじ43の操作性がよく、作業性を向上できる。
図6に示すように、本体ユニット20を化粧枠23に取り付ける際、ソケット50がレンズ21の上面のソケット嵌合部85に嵌合し、ソケット50に保持されている発光モジュール49の発光面51とレンズ21との光軸が一致するように位置決めされる。このとき、レンズ支持部92とレンズ21のフランジ部82との間に介在されているフィルム22の摩擦係数が例えば0.3以下で、例えばゴムパッキンなどに比べて滑りやすいため、ソケット50と嵌合するレンズ21がフィルム22を介してレンズ支持部92上で動いて位置合わせすることができる。そして、レンズ21は、化粧枠23のレンズ支持部92とソケット50との間に挟み込まれて保持される。
続いて、図2の状態から図3ないし図5に示すように、予め組み立てられているカバー25を本体ユニット20に上方から被せて取り付ける。
端子台カバー109の両側面部112を本体ユニット20と化粧枠23の一対のばね取付部98との間に上方から挿入するとともに本体カバー110を電源部30の外周に沿って上方から移動させる。さらに、本体カバー110の差込み部121を化粧枠23の溝部105に差し込み、端子台カバー109の上面部111(固定部111a)を放熱板28の第3板部36上に配置する。そして、図示しないねじを端子台カバー109の上面部111(固定部111a)のねじ挿通孔113を通じて第3板部36の取付孔46に螺着することにより、カバー25を放熱板28に固定する。
このように、カバー25の取り付けに、ねじによる固定とともに、本体カバー110の差込み部121を併用することにより、カバー25の変形を抑制し、固定に必要なねじ点数を削減することができる。
続いて、一対の取付ばね24を化粧枠23の一対のばね取付部98に取り付ける。これにより、照明装置10の組立が完了する。
なお、フィルム22のフィルム開口部88の内径d4が、化粧枠23の化粧枠開口部93の内径d2よりも小さいため、図5のように、化粧枠23の表面側から化粧枠開口部93を通じてフィルム22が装着されているか確認することができる。このとき、フィルム22は、透明でなく、色がついているため、フィルム22の有無を容易に確認できる。このように、化粧枠23の表面側から化粧枠開口部93を通じてフィルム22が見えるため、フィルム22の色は目立ちにくい黒色が好ましい。
次に、照明装置10の設置について図12および図13を参照して説明する。なお、図12および図13では取付ばね24の図示を省略している。
被設置部11上に配線されている外部電線13を、埋込孔12から被設置部11の下方に引き出し、端子台31の外部電線接続部79に接続する。
外部電線13を端子台31に接続する際、端子台31を取り付けた放熱板28の第2板部35に接続方向Aから外側方へ向けて力が加わるが、第2板部35を化粧枠23の放熱板支え部97で支えるため、放熱板28とともに端子台31が動いて外部電線13を接続しにくくなったり、放熱板28が変形するのを防止できる。
一対の取付ばね24を上方に弾性変形させて本体部14に押えた状態で、埋込孔12の下方から本体部14および一対の取付ばね24の先端側を挿入する。一対の取付ばね24の押えを解除すると、一対の取付ばね24が弾性によって、本体部14の側方に突出するように展開し、被設置部11の上面に係合し、本体部14を上方に引き上げる。
化粧枠23のフランジ部94が被設置部11の下面に接触して止まり、照明装置10の設置が完了する。
そして、予備電源装置から予備電線または商用電源である外部電源が外部電線13を通じて照明装置10の電源部30に供給されると、電源部30が外部電源を所定の発光用電源に変換して発光部29に供給する。発光用電源が供給された発光部29の発光モジュール49が発光し、その光がレンズ21を通じて照明空間に照射される。また、点灯時に発光モジュール49が発生する熱は放熱板28に伝達され、さらには放熱板28から化粧枠23、一対の取付ばね24、およびカバー25などにも伝達され、これらから空気中に放熱される。
ところで、一般的な埋込形照明装置では、本体部の上部側から側方に端子台などの突出物がある場合、あるいは端子台に接続される外部電線が本体部の外側面から側方に引き出されている場合、まず最初に突出物や外部電線が埋込孔を通過するように、埋込孔に対して本体部を斜めに傾けながら挿入することにより、本体部を埋め込み設置を可能としている。
しかし、本実施形態のように、埋込孔12の内径が小さい場合、埋込孔12に対して本体部14を斜めに傾けて挿入することが難しくなる。そのため、本体部14を傾けることなく、埋込孔12に対して下方から真っ直ぐ挿入することで、埋め込み設置できるようにすることが好ましい。
そこで、本実施形態では、本体部14の中心軸16に沿った方向の外形が埋込孔12の内径寸法以下とすること、および外部電線13を接続する端子台31の位置関係を規定することで、埋め込み設置可能としている。
まず、本体部14の中心軸16に沿った方向の外形が埋込孔12の内径寸法以下とすることについては、放熱板28に発光部29、電源部30および端子台31が一列状に配置されて一体に取り付けられているため、中心軸16の軸回りの外形寸法を小さくし、側方への突出部分を無くすことにより、本体部14を埋込孔12に対して下方から真っ直ぐ挿入して、埋め込み設置することができる。
さらに、本体部14の中心軸16に沿った方向の下端側に発光部29が配置され、上端側に端子台31が配置され、発光部29と端子台31との間に電源部30が配置されるため、つまり、放熱板28の第1板部34の下面に発光部29が取り付けられ、第1板部34の上面に電源部30が取り付けられ、第2板部35に端子台31が取り付けられるため、中心軸16の軸回りの外形寸法を小さくでき、しかも、端子台31の位置から、端子台31に対する外部電線13の接続性がよく、設置時の外部電線13の曲げスペースBを確保できる。
また、外部電線13を接続する端子台31の位置関係の規定について説明する。
端子台31の外部電線接続部79を上方に向けると、外部電線接続部79に埃が入る虞があるため、好ましくない。さらに、照明装置10が非常用埋込形照明装置として用いられる場合、樹脂部品を含む端子台31を金属部品である放熱板28およびカバー25で覆う必要がある。これらにより、端子台31の外部電線接続部79に対する外部電線13の接続方向Aは、本体部14の中心軸16に対して交差する方向となる。
端子台31に接続される外部電線13は、例えば2mmの単線を被覆材で被覆したFケーブル、あるいは、照明装置10が非常用埋込形照明装置として用いられる場合、例えば2mmの単線を耐火性のある被覆材で被覆した耐火ケーブルが用いられている。いずれものケーブルとも、小半径に曲げにくく、耐火性のある被覆材を用いた耐火ケーブルではより小半径に曲げにくい特性を有している。
本実施形態では、端子台31は、外部電線接続部79に対する外部電線13の接続方向Aが本体部14の中心軸16に対して交差する方向でかつ外部電線接続部79が本体部14の中心軸16に対向するように本体部14の中心軸16よりも外側に片寄った位置に配置され、接続方向Aの厚みt1が埋込孔12の内径d5の寸法の1/3以上の関係にある。例えば、端子台31の接続方向Aの厚みt1が20mm、埋込孔12の内径d5の寸法が60mmである。端子台31の接続方向Aの厚みt1は、外部電線13を接続方向Aから挿入して端子台31内の端子に接続するために、最小限必要な寸法である。
この端子台31の配置により、端子台31に対向する本体カバー110の上方空間を外部電線13の曲げスペースBとして利用でき、外部電線13を本体部14の上方領域内に収めることが可能となる。そのため、端子台31に接続した外部電線13を上方に曲げた状態で、本体部14を埋込孔12に対して下方から真っ直ぐ挿入して、埋め込み設置することができる。
そして、本実施形態の照明装置10では、放熱板28に発光部29、電源部30および端子台31を一列状に配置して一体に取り付けているため、部品点数を削減し、小形化することができる。
また、本実施形態の照明装置10では、端子台31が、外部電線接続部79に対する外部電線13の接続方向Aが本体部14の中心軸16に対して交差する方向でかつ外部電線接続部79が本体部14の中心軸16に対向するように本体部14の中心軸16よりも外側に片寄った位置に配置され、接続方向Aの厚みt1が埋込孔12の内径d5の寸法の1/3以上の関係にあることにより、埋込孔12の内径が小さくても、外部電線13を接続した状態で、本体部14を埋込孔12に対して下方から真っ直ぐ挿入して埋め込み設置することができ、小形化に対応できる。
また、本実施形態の照明装置10では、化粧枠23のレンズ支持部92とレンズ21のフランジ部82との間に配置されるフィルム22のフィルム開口部88の内径d4を、化粧枠23の化粧枠開口部93の内径d2よりも小さい寸法であり、かつフィルム開口部88にレンズ21の凸状レンズ部81が挿通される寸法とするため、照明装置10の組立時に、レンズ21の凸状レンズ部81がレンズ支持部92に接触するのを防止し、レンズ21を保護することができる。
フィルム22は、例えばゴムパッキンなどに比べて薄くすることが可能であるため、レンズ21を化粧枠23の化粧枠開口部93に近付け、レンズ21の凸状レンズ部81が化粧枠23の化粧枠開口部93からより多く突出するように配置することが可能となり、レンズ21から出射する光が化粧枠23でけられる(遮光される)のを低減でき、光効率を向上できる。
化粧枠23のレンズ支持部92の外周部側から突出する位置決め部95により、フィルム22の外周部を位置決めするため、レンズ21の凸状レンズ部81がレンズ支持部92に接触するのを防止できるように、フィルム22のフィルム開口部88と化粧枠23の化粧枠開口部93との関係を一定に保つことができる。
位置決め部95の内側面とレンズ支持部92とが接続する位置において、レンズ支持部92から窪むようにレンズ支持部92に窪み部100を設けているため、位置決め部95の内側面とレンズ支持部92との接続部分に形成される曲面部101を窪み部100内に配置でき、曲面部101の影響なく、位置決め部95によってフィルム22をレンズ支持部92上の所定の位置に精度よく位置決めできる。
フィルム22の環状部87の外周部と内周部との間の幅w1は、化粧枠23のレンズ支持部92の外周部と内周部との間の幅w2よりも大きいため、レンズ21の凸状レンズ部81がレンズ支持部92に接触するのを確実に防止し、レンズ21を保護することができる。
なお、フィルム22の環状部87の外周部と内周部との間の幅w1が、レンズ21のフランジ部82の外周部と内周部との間の幅w3よりも大きければ、レンズ21のフランジ部82が化粧枠23の位置決め部95に接触するのを防止し、レンズ21を保護することができる。
さらに、レンズ21のフランジ部82の外周部と内周部との間の幅w3が、化粧枠23のレンズ支持部92の外周部と内周部との間の幅w2よりも大きければ、仮にフランジ部82の外周部が化粧枠23の位置決め部95に接触しても、レンズ21の凸状レンズ部81がレンズ支持部92に接触することがなく、レンズ21の凸状レンズ部81を保護することができる。
フィルム22は、摩擦係数が例えば0.3以下で、例えばゴムパッキンなどに比べて滑りやすいため、フィルム22を介してレンズ支持部92上のレンズ21を容易に動かして位置を調整できる。
なお、本実施形態の照明装置10は、埋込形照明装置、非常用埋込形照明装置のいずれにも用いることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。