JP7066534B2 - 液体吐出ヘッドの製造方法 - Google Patents

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本発明は、液体吐出ヘッド基板の製造方法に関する。
液体を吐出させる液体吐出ヘッドとして、液体を吐出する吐出口と、該吐出口に連通し、液体が搬送される流路と、吐出口から液体を吐出するためのエネルギーを発生させるエネルギー発生素子を有する基板とを有するものがある。このような液体吐出ヘッドでは、基板と基板上に形成された吐出口形成部材との間の空洞や、基板を貫通した貫通口が、液体の流路として機能する。
エネルギー発生素子としては、液体を沸騰させ、その圧力で液体を飛ばすことができる電気熱変換体(ヒータ)や、その構造を変位させて液体に圧力を与えて液体を飛ばすことができるピエゾ素子などが挙げられる。
液体吐出ヘッドの例として、インクジェット記録ヘッドが挙げられる。インクジェット記録ヘッドでは、基板表面上に吐出口形成部材が形成され、インクが流路を通って吐出口まで運ばれ、吐出口からインクが吐出される。
インクジェット記録ヘッドは、インクが接液する接液部と化学的に反応し、接液部の材料にダメージを与えることがある。例えば、基板材料として使用されるシリコンなどは、インクに溶けやすく、材料の溶出により流路構造が影響を受けて所定の吐出性能が損なわれることがある。
また、基板表面でインクと接液する配線層に含まれる、プラズマSiO膜やプラズマSiN膜は、インクによって浸食される。インクによる浸食が進行すると、金属層が流路にむき出しになり、断線やショートが発生することとなる。
インク接液部を保護するために、保護膜を形成することが特許文献1に記載されている。特許文献1には、ヒータ近傍のインクが発泡する空間である発泡室や、他の流路の壁面を、保護膜を成膜して保護することが記載されている。保護膜として、CVD法や原子層堆積法により形成されたTiO膜やSiOC膜が挙げられる。特に原子層堆積法は、インク流路のような複雑な立体形状に対して、膜を付周りよく形成できる点で優れている。
特許文献2には、原子層堆積法によるSiOC膜の成膜方法が記載されている。特許文献2では、ハロゲンと炭素を含有し、Si-C結合を有する原料ガス(シリコンプリカーサ)を用いることでエッチング耐性に優れた膜が形成できるとされている。また、塩基性を有する触媒ガスも投入することで、100℃以下の低温で炭素含有シリコン酸化膜を形成できることも開示されている。
特開2016-198908号公報 特開2014-183218号公報
特許文献2では、ウエットエッチングのマスクとして使用されるSiOC膜のエッチング液への耐性を高める観点から、多くのCを導入できるSi-C結合を有する原料ガスが用いられている。しかしながら、インクジェット記録ヘッドに用いられるインク等の液体は、ウエットエッチング液とは組成が異なり、これら液体に対する耐液性は不明である。
本発明は、インクなどの吐出する液体に対する耐液性の高い保護膜を形成し得る、液体吐出ヘッドの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、第一の面と該第一の面と反対の第二の面を有する基板と、前記基板の前記第一の面上に形成され、液体を吐出する吐出口を有する吐出口形成部材と、前記吐出口に連通し、前記液体が流れる流路を有する液体吐出ヘッドの製造方法であって、前記基板と前記流路との間に、シリコンと炭素を含み、且つ、酸素、または、窒素の少なくとも一方を含む保護膜を形成する工程を有し、前記保護膜は、シリコンと炭素を含有するプリカーサと、前記プリカーサと反応しうる酸素もしくは窒素を含む反応剤とを交互に前記保護膜を形成する成膜空間に導入する原子層堆積法により形成され、前記保護膜は、下記式(1)で表される構造を有する化合物を含む膜であることを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法である。
Figure 0007066534000001
(nは1以上の整数)
本発明によれば、インクなどの吐出する液体に対する耐液性の高い保護膜を形成することができ、吐出性能の信頼性に優れた液体吐出ヘッドを提供できる。
本発明の第一の実施形態の液体吐出ヘッドの製造方法を示した工程断面図である。 原子層堆積法における典型的なチャンバー圧力変化を示した図である。 原子層堆積法による成膜フロー図である。 暴露量比(HO暴露時間/プリカーサ暴露時間)と膜密度を示した図である。 本発明の第一の実施形態の液体吐出ヘッドの別の形態を示す模式的断面図である。 本発明の第一の実施形態の液体吐出ヘッドのさらに他の形態を示した工程断面図である。 本発明の第一の実施形態における保護膜表面処理工程を示した断面図である。 本発明の第二の実施形態の液体吐出ヘッドの製造方法を示した断面図である。 実施例1での成膜フロー図である。
本発明者らの検討によると、原子層堆積法によるSiOC膜は、分子構造により、吐出する液体、特にインクに対する耐液性に差が見られることが判明した。原子層堆積法で作製したSiOC膜を耐液膜(保護膜)用途で使用する場合、SiOC膜の膜密度を高めることが重要である。膜密度が低い膜は分子間を浸入するインク成分をブロックすることができず、インクが保護膜を貫通して、その下のシリコン基板や酸化膜を浸食することがあった。従って、耐インク性に優れた膜を得る為には、膜密度を高められる分子構造を実現できる製法により、保護膜を形成することが必要である。以下、膜密度を高められる分子構造を実現できる保護膜の製造法を含む液体吐出ヘッドの製造方法についての実施形態を示すが、本発明はこれらの実施形態のみに限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1に本実施の形態による液体吐出ヘッド基板に関する製法の断面図を示す。第一の基板131の表面(第一の面131a)に配線層103やエネルギー発生素子107(例:ヒータ)が形成されている(図1(a))。配線層103中の金属膜や層間絶縁層、電極用のコンタクトパッドなどの詳細に関しては不図示である。
第一の基板131として、シリコンで形成されたシリコン基板が好適に使用される。その他、炭化シリコン、窒化シリコン、各種ガラス基板(石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス、ソーダガラス)、アルミナ基板、ガリウム砒素基板、窒化ガリウム基板、窒化アルミニウム基板、アルミニウム合金基板などが挙げられる。
第一の基板131の第一の面上に吐出口形成部材と第一の基板131とを密着させるための密着層117を形成する(図1(b))。密着層117は、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂などが好適である。これらをスピン塗布などで塗布し熱硬化させた後、レジストマスクを介したドライエッチングなどにより所定のパターンに加工する。
密着層117は必ずしもこの段階で形成する必要がなく、後述する保護膜を成膜した後に形成してもよい。密着層117を後に形成することで、密着層117のような耐熱性が低い材料を基板上に存在させず、保護膜の成膜温度を高くすることができるメリットがある。
第一の基板131の第一の面131aの反対の第二の面131b(裏面)側に、キャビティからなる第二の供給口113を、ドライエッチングにより形成する。さらに、第一の基板131の第一の面側からは、第二の供給口113よりも小さい複数の第一の供給口112を、ドライエッチングにより形成する(図1(c))。これらの供給口は、第一の基板131の第一の面131aから第二の面131bに貫通する貫通口であり、インク流路としての機能を持つ。
第一の供給口112と第二の供給口113の壁面、及び、第一の基板131の表面と裏面の少なくとも一部に保護膜116を形成する。本発明では、保護膜116の形成方法として原子層堆積法(ALD法:Atomic Layer Deposition)を採用する。ALD法は、このような複雑な流路に被覆性良く保護膜を形成できる。
ALD法では、原料となる反応前駆体分子(プリカーサ)を加熱した基板上に1原子層程度堆積させた後、成膜空間に反応性ガスを導入して堆積しているプリカーサと反応剤(反応性ガス)を反応させる。反応性ガスとして、酸化に用いられる酸化剤は水、酸素、オゾン、過酸化水素水などが挙げられる。また、窒化に用いられる窒化剤はアンモニアが挙げられる。
ALD法では、プリカーサや反応性ガスなどの原料ガスのみを成膜空間に交互に導入する方式や、原料ガスの拡散を促進させるため、原料ガスを窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガスの流れに乗せて、成膜空間に交互に導入する方式がある。後者の不活性ガスはキャリアガスと呼ばれる。
使用するプリカーサとしては、少なくともシリコン(Si)と炭素(C)を含有する分子が使用される。本発明では、保護膜として下記式(1)で表される構造を有する化合物を含む膜を形成する。
Figure 0007066534000002
(nは1以上の整数)
このため、プリカーサとしては、上記式(1)で表される構造を有する化合物、すなわち、二つ以上のシリコン原子を含有し、且つ、シリコンとシリコンの間に炭素鎖を含有した化合物を用いることが好ましい。なぜなら、炭素鎖がシリコン原子に挟まれて保護されており、さらにSi-Cの結合力が高いため、上記構造が壊れにくく、反応性ガスによりアタックされても安定して結合を維持できるためである。ここで、結合とは、二つの元素が電子対を介して結合した共有結合を指す。
さらに、プリカーサ中でシリコンとシリコンを結ぶ上記式(1)の構造を主鎖とすると、側鎖には反応性ガスと反応しやすい反応性官能基を有することが好ましい。反応性官能基が反応性ガスからの酸素原子や窒素原子と置換され、シロキサン結合やシラザン結合を形成し、二次元又は三次元構造を形成することができる。
シリコン原子は4つの結合手を有しており、主鎖としてのSi-C結合以外の側鎖全てに反応性官能基がある場合、シリコン原子一つ当たり最大で3つの結合手が酸素等を介して他のシリコンと結合することができる。シリコン間を繋ぐ結合手が多い為、SiOC膜中でのシリコン原子間の結びつきが強く、膜密度を高められる。
ここで、シリコン原子側鎖に炭素を含む官能基、例えばメチル基が一つある場合、上述のとおりSi-Cの結合力は高いため反応性ガスと反応しにくく、メチル基のまま残されやすい。従って、シリコン原子あたり最大で2つの結合手が酸素を介してのみ他のシリコンと結合することとなり、SiOC膜中でのシリコン原子間の結びつきが最大で3つの結合手が酸素等を介して他のシリコンと結合する場合より弱く、膜密度が下がりやすい。シリコン原子側鎖のメチル基の数が増えるほど、隣接シリコン原子に繋がる結合手が少なくなるためより低密度の膜が形成されやすく、高密度化の観点で好ましくなく、インク保護膜としての性能も低下する。
また、シリコン原子側鎖に炭素を含む官能基、例えばメチル基などがある場合、メチル基による立体障害のため、反応性官能基が反応しづらくなることが挙げられる。このことは膜欠陥を増やしたり、成膜レートの低下を引き起こしたりするため、インク保護膜の用途としては好ましくない。
プリカーサの好適な反応性官能基としてハロゲノ基が挙げられる。ハロゲノ基を有するプリカーサは、気相が得られやすく、成膜時の基板温度が比較的低いため好適である。
ハロゲノ基として、F,Cl,Br,Iが挙げられるが、原子半径が大きいほど反応性が高く好ましい。また、ハロゲノ基のうち、クロロ基含有の有機ケイ素プリカーサは比較的合成しやすいメリットがある。ALD法によりSiOC膜を形成する場合、シリコンとシリコンとの間にメチレン鎖を有し、側鎖には炭素を含有せず、大部分がクロロ基である化合物のプリカーサであることが好ましい。具体的なプリカーサとして、式(2)に示す群から選択される少なくとも1種を主成分とすることが好適である。ここで主成分とは、原料プリカーサ分子全体に含まれる分子のうち50mol%以上を有することを意味する。
Figure 0007066534000003
(nは1以上の整数)
式(2)で表される構造を有する化合物は、ビス(トリクロロシリル)アルカンと呼ばれる。その中で、n=1のビス(トリクロロシリル)メタン(BTCSM)、n=2のビス(トリクロロシリル)エタン(BTCSE)、n=3のビス(トリクロロシリル)プロパン、n=4のビス(トリクロロシリル)ブタンが好ましい。nが増えるほど炭素濃度が増えて耐インク性が増大するが、原料の気相化が難しくなり、成膜しづらくなる。反応剤(反応性ガス)として水を用いる場合、これらのプリカーサを用いた成膜における基板温度は300-600℃程度が好適である。
基板温度を下げる必要がある場合、塩基性ガスを触媒ガスとして、プリカーサ及び反応性ガスと同時に成膜空間へ投入することで、基板温度を50-150℃程度まで下げることができる。好適な塩基性触媒ガスとして、アンモニア、アミン、ピリジン、ピペリジンなどが挙げられる。アンモニアは窒化ガスとしても用いられるが、触媒ガスとして用いる場合は、窒化ガスとして用いる場合より少ない投入量となる。なお、触媒ガスの使用は、膜中に触媒分子が残留して膜欠陥の原因となることがあるため、必要に応じて少量を使用すればよい。
原子層堆積法により作製された式(1)で示された構造を主成分として含有するSiOC膜に関して、膜密度を高めるための好適な成膜条件を説明する。
ALD法では、通常、プリカーサ原子、及び、反応性ガスをほぼ1原子層程度被覆するように原料ガスの暴露量が調整される。これは、暴露量が不足していると、反応性官能基が反応せずに残留する場合があるためである。一方、暴露量が過剰になると、各原子が下地と化学的に反応せずに、物理的に吸着した状態になる。この状態では膜厚は見かけ上増えていくが、プリカーサの反応性官能基が未反応のまま堆積している状態に近く、膜質が低く耐インク性も低い。
ここで暴露量とは原料の基板への暴露度合を表す指標であり、暴露圧力を暴露時間に対して積分した値を暴露量と定義する。ここで、暴露時間は成膜空間中でプリカーサや反応剤に基板が暴露される時間を、暴露圧力は原料暴露中の成膜空間内の分圧として定義される。例えば暴露圧力が一定の場合は、暴露時間と暴露圧力を乗じたもの(暴露時間と暴露圧力の積)が暴露量になる。単位はL(ラングミュア)、やPa・s(Torr・sec)が挙げられる。例えば、真空槽に1.3×10-4Pa(1μTorr)の圧力である分子を満たして表面に1s暴露した場合に対応する暴露量が1ラングミュアと定義される。
図2にALD法による1サイクル中の各原料ガスの分圧の時間変化のパターンを示す。ALD法における1サイクルは、同図に示すように、プリカーサの導入開始から次のプリカーサの導入開始までをいう。原料が投入され成膜空間(チャンバー)内で拡散していくと、原料の分圧は上がっていく。図2(a)のようにパージするまで材料の分圧が上がり続ける場合や、図2(b)のように原料投入中に分圧の上昇が飽和する場合もある。図2(a)のように、原料の分圧が暴露時間と比例して増加していく場合、暴露量は暴露時間の二乗で増加する。図中でプリカーサの暴露時間はt1、反応剤(水などの酸化剤)の暴露時間はt2とする。
各原料を一原子層程度に基板上に吸着させる必要性と、プリカーサと酸化剤の基板表面への反応性が通常はほぼ同じことから、プリカーサと酸化剤の暴露量はほぼ等しく設定される。さらに各原料のチャンバー内での分圧も近いことから、暴露時間もほぼ等しく設定される。図3(a)に典型的な成膜フローを示す。成膜フローとは、横軸に時間、縦軸に原料投入のタイミングを示したものである。図3(a)中でプリカーサの暴露時間t1は、酸化剤の暴露時間t2とほぼ等しい。
本発明のSiOC膜を形成するためには、式(1)の構造を主鎖として有する化合物を、プリカーサを使用する。その際、本発明者らの検討によれば、Si-Si間に入る炭素量が増加するほど、酸化剤が基板上に堆積したプリカーサと反応しづらくなることが分かった。従って、Si-Si間に入る炭素量が増加するほど(式(1)のnが増大するほど)、プリカーサよりも酸化剤の反応性を高める必要がある。
その為の一つの手段として、プリカーサの暴露量(典型的には1原子層程が被覆される程度の暴露量)に対して、反応剤の暴露量を大きくすることが挙げられる。具体的には、反応剤(酸化剤)の暴露時間を、プリカーサの暴露時間よりも延ばすことが挙げられる。その成膜フローを図3(b)に示す。図3(b)中では、t1<t2である。単純に時間を延長するのみでは酸化剤などの反応剤が膜中に取り込まれる可能性があるため、ALD法の1サイクル中に、図3(c)に示すように、反応剤の暴露ステップ(酸化剤暴露)と、反応剤の除去ステップ(酸化剤パージ)を複数回実施する。このとき酸化剤の暴露時間はt2+t3で表せる。これにより、酸化剤が膜に物理吸着して取り込まれる前に確実にパージすることができるため、膜質を低下させずに済む。
プリカーサの成膜空間への暴露時間と暴露圧力との積をプリカーサ暴露量とし、反応剤の成膜空間への暴露時間と暴露圧力との積を反応剤暴露量とする。このとき、反応剤暴露量をプリカーサ暴露量で割った暴露量比が、1よりも大きくなるように制御することが好ましい。特にSi間の炭素数が2以上(式(1)のnが2以上)のプリカーサを使用する場合、暴露量比が3.3以上であることが好ましい。暴露量比を高めることで、プリカーサと反応剤との反応がより進行し、より緻密な膜を形成することができる。
プリカーサに関して、側鎖に反応性官能基としてクロロ基を有する式(2)で表される構造を有する化合物を例に説明した。側鎖に他の反応性官能基を有する場合においても主鎖の構造が同じため、膜密度を上げるための成膜条件に関しては上記要件を当てはめることができる。
例えば、側鎖の反応性官能基がアルキルアミノ基であるプリカーサの場合が挙げられる。このプリカーサは、式(2)で表される構造を有するプリカーサの場合に、使用する触媒を用いずとも、基板温度が低温(150-400℃)で成膜することができる。触媒を必要としないことで、触媒が基板表面に残留して膜欠陥を引き起こすことがなくなり、膜質が向上する。アルキルアミノ基を有するプリカーサの例として、以下の式(3)で表される構造を有する化合物が好適である。
Figure 0007066534000004
(nは1以上の整数)
式(3)で表される構造を有する化合物として、具体的には、n=1のビス[トリス(ジメチルアミノ)シリル]メタン、n=2の1,2-ビス[トリス(ジメチルアミノ)シリル]エタン、n=3の1,3-ビス[トリス(ジメチルアミノ)シリル]プロパン、n=4の1,4-ビス[トリス(ジメチルアミノ)シリル]ブタンが挙げられる。また、これらの化合物をプリカーサとして用いることが好ましい。
他のプリカーサとして、側鎖にアルコキシド基を有するプリカーサが挙げられる。このプリカーサは、比較的高い基板温度(400-800℃)を必要とするものの、プリカーサを気相にして供給しやすいメリットがある。
また、触媒を使用せずに基板温度を下げる方法として、Arガスなどの希ガスを原料と一緒に導入し、高周波で放電させてプラズマ化することで、プリカーサの反応性を高めることが挙げられる。
側鎖にアルコキシド基を有するプリカーサの具体例として、以下の式(4)で表される構造を有する化合物が好適である。
Figure 0007066534000005
(nは1以上の整数)
式(4)で表される構造を有する化合物として、具体的には、n=1のビス(トリエトキシシリル)メタン、n=2の1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタン、n=3の1,3-ビス(トリエトキシシリル)プロパン、n=4の1,4-ビス(トリエトキシシリル)ブタンが挙げられ。また、これらの化合物をプリカーサとして用いることが好ましい。
このように、プリカーサとしては、式(2)~(4)で表される構造を有する化合物からなる群から選択されることが好ましい。これらは、1種を単独で使用することが好ましいが、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
以上の条件により保護膜116を第一供給口112と第二の供給口113の壁面、及び第一の基板131の表裏面に形成した後、基板表面(必要なら基板裏面も)の不要部の膜を除去する。不要部として、密着層117などの樹脂膜の上や電気コンタクトが必要な電極パッドの上が挙げられる。
レジストマスクを基板表面に形成し、不要部の膜をエッチングなどで除去する。レジストマスクを形成する手段としてスピン塗布、スリット塗布、スプレー塗布などが挙げられる。第一の基板131の表面には第一の供給口112などの大きな段差が生じているため、上記の手段で膜を形成できない場合は、ドライフィルムレジストによるラミネート法が挙げられる。レジストマスクの材料としては剥離が容易であるポジ型レジストが好ましい。厚さとして2~200μmが好ましい。エッチング方法として酸によるウエットエッチングや、ハロゲン含有ガスによるドライエッチングが挙げられる。
その後、基板上に吐出口形成部材を形成する。材料としてネガ型の感光性樹脂組成物が挙げられ、具体的には、耐インク性の高いエポキシ樹脂を含む感光性樹脂組成物が好適である。感光性樹脂組成物を基板上に形成する手法として、上記と同様に塗布法やラミネート法が採用できるが、ラミネート法が好ましい。上記感光性樹脂組成物の層を形成した後、露光現像してパターニングして吐出口形成部材の壁部118を形成する。さらにその上に同手法で感光性樹脂の層を形成しパターニングし、吐出口101を有する吐出口形成部材の天板119を形成する。最後にキュアを行い硬化させることで液体吐出ヘッドが完成する(図1(e))。
なお、保護膜116の製法として反応剤に酸化剤を用いたSiOC膜に関して述べたが、反応剤として窒化剤を用いたときのSiCN膜や、酸化剤、及び、窒化剤を用いたSiOCN膜に関しても、本発明の要件を適用できる。
流路の設計自由度を上げる為、液体吐出ヘッド基板の裏面に、別途、樹脂構造体を形成してもよい。樹脂構造体は樹脂で形成された層である。一つの形態として、図5に示すように、樹脂層の一部が加工されて流路114が形成された層状の樹脂構造体115を形成することが挙げられる。流路114を形成する手法として、樹脂層を形成した上にレジストマスクを形成し、ドライエッチングで加工することや、感光性樹脂で樹脂層を形成した後に露光と現像により樹脂層をパターニングすることが挙げられる。
樹脂構造体の他の形態として、図6(a)及び(b)に示すように、第一の基板131の裏面側に接着層としての樹脂構造体123を形成する構造が挙げられる。さらに第三の供給口125が形成された第二の基板132を準備し、第一の基板と第二の基板との間に樹脂構造体を介して接合してもよい。
樹脂構造体123の材料として熱硬化型樹脂や感光性樹脂が使用できる。厚さとしては0.1~50μmが好ましい。ここで第二の基板として、第一の基板131と同じ材料が使用できる。第二の基板132の材料に耐インク性がない場合、第三の供給口125を加工した後にその表面に保護膜124を形成してもよい。
また第二の基板132として樹脂部材を用いてもよい。第一の基板131側を液体吐出ヘッドに搭載できる形状に小片化し、第二の基板132側を流路が加工された樹脂部材として形成し、これらを接着させることで液体吐出ヘッドモジュールを構成してもよい。
第一の基板131に樹脂構造体を形成していく場合、樹脂構造体と保護膜との密着力を高めることが好ましい。密着力が低いと、インクにより接着界面が浸食されて、液漏れや混色を引き起こすことがある。
密着力を高める手段としては、接着面の保護膜に対して表面処理を行うことが挙げられる。図7に、図5の構成を例として表面処理を行う製法を示した。図7(a)に示すように、第一の基板131に保護膜116を形成する。次いで、図7(b)に示すように、第一の基板の裏面側の保護膜表面に表面処理を行い、表面処理層140を形成する。表面処理によって膜表面の異物を除去することで、密着性が高まる。さらに保護膜表面(接着界面)の炭素濃度を維持、または高めることで、一般的な樹脂に含有される炭化水素基との親和性が高まり、密着力が高まる。
このような表面処理の方法として、保護膜に活性なガスを暴露して反応させる方法が挙げられる。ガスによる暴露手段としては、減圧下でガスをプラズマ化させて保護膜に暴露する方法や、大気圧下で紫外線などにより励起させたガスや元々の反応性が高い活性ガス(オゾンガスやフッ化水素ガス)を、大気圧下で保護膜に暴露する手法が挙げられる。
一般的に、これらの活性なガスによる暴露は、供給口のような大きな段差を有する基板の場合、段差の上面に最も強く作用し、段差が深い部分になるほど作用が弱まる(図7(b))。段差上面が樹脂との接着面になるため、その接着面の保護膜のみ強く作用し効果が大きい。一方、供給口側壁の保護膜に関しては上面から遠くなるほど作用が弱まり、不要な変質や保護膜の膜べりを抑えられるため好適である。このような手法で表面処理を行えば、保護膜にガスが作用したとしても、上記の理由で保護膜表面の耐インク性の低下を抑えることができる。
本発明者らの検討では、酸素ガスや窒素ガスをプラズマにより活性化して保護膜に暴露すると、膜表面の異物の除去性は高いものの、保護膜中に含まれる炭素も反応して除去されるため、炭素濃度が低下することが分かった。これは保護膜の耐インク性を低下させる懸念がある。
暴露するガスとしては、保護膜と反応した際に脱炭素し難いものが好ましく、炭素含有ガスであるハイドロカーボンやフロロカーボンが好ましいものとして挙げられる。具体的な材料として、メタン(CH)、アセチレン(C)、プロパン(C)、イソブタン(C10)などのハイドロカーボン、四フッ化炭素(CF)、トリフルオロメタン(CHF),八フッ化シクロブタン(C)などのフロロカーボンが挙げられる。撥水性を有するフッ素を含有していないハイドロカーボンを使用することがより好ましい。
これらをプラズマ化、或いはラジカル化して保護膜表面に暴露することにより、保護膜表面の異物が除去され、且つ、SiOC膜表面のSi-Oを結合がSi-Cに置換されることで炭素濃度が高まる。これにより、樹脂構造体と接着しない部分の保護膜の耐インク性は維持しつつ、接着面に関してはその上に接着させる樹脂との密着力が向上する。
他のガスとしては、保護膜に対して還元性があるガスが好ましく、水素(H)、ギ酸(CH)、一酸化炭素(CO)が好ましい。これらを保護膜に暴露した場合、SiOC膜の中でSi-CよりもSi-Oを切断しやすく、且つ、酸素を脱離させやすい。その結果、保護膜表面の炭素濃度が増加する。
以上の手段により、樹脂構造体115を形成する前に保護膜116表面に活性ガスを暴露して表面処理層140を形成し、その上に樹脂構造体115を形成して基板が完成する(図7(c))。図6(b)に示したように第二の基板132を用いる場合は、第二の基板132表面も保護膜124で被覆されることが想定される。その場合、保護膜124の接合面にも上記の表面処理(ガス暴露工程)を実施することが好適である。
第一の基板131と樹脂構造体115を接着した後、あるいは、第一の基板131と第二の基板132とを樹脂構造体123を介して接着させた後、基板を加熱することで樹脂を硬化させて、液体吐出ヘッドが完成する。
(実施の形態2)
本実施の形態では、ヒータ素子が形成されている上面に保護膜を形成する例を示す。第一の基板上に配線層103を形成する工程を図8に示す。第一の基板131上に熱酸化膜150とトランジスタ(不図示)を形成する(図8(a))。その上に導電層151と層間絶縁層152を積層させて、配線層103を形成していく(図8(b))。
導電層151としては、AlもしくはAlCuが挙げられ、スパッタなどで形成できる。膜厚は0.1μm~1.0μmである。これら絶縁層や導電層は必要に応じてドライエッチングなどによりパターニングする。
層間絶縁層152としてSiO膜が挙げられる。これらのSiO膜は、例えばBPSG(Boro-Phospho Silicate and Phospho Silicate Glasses)、シランガス、TEOS(Tetraethyl orthosilicate)を原料としたCVD法により形成できる。膜厚としては0.5μm~2.0μmが好適である。
配線層103の中で最上層に位置する導電層に接触してヒータ素子160を形成する。まず層間絶縁層152上に高抵抗膜153を形成する。高抵抗膜153として窒化タンタルなどの窒化膜が挙げられる。膜厚は0.05~0.2μm程度が好適である。高抵抗膜153の上に低抵抗膜154を形成する。低抵抗膜154は導電層151と同じように形成される。
高抵抗膜153と低抵抗膜154が積層されたものをドライエッチングなどにより長細い配線形状にパターニングした後、その上にさらにレジストマスクを形成する。ヒータ素子160となる部分のみ低抵抗膜をエッチングにより除去し、高抵抗膜のみを残す。この低抵抗膜のエッチングは下地の高抵抗膜との選択比を高くすることが好ましく、ドライエッチングもしくはウエットエッチングを用いる。
低抵抗膜を除去した後は、保護膜161を形成する(図8(d))。保護膜161として、ALD法によりSiOC膜を形成する。膜厚は0.1~1.0μm程度が好適であり、成膜方法は実施の形態1で説明した手法を使用できる。
保護膜161の形成には、従来はCVD膜が用いられており、典型的にはSiN膜が用いられてきたが、ヒータ近傍の段差への付きまわりがよくない問題があった。特にデバイスの段差の角部(本実施形態ではヒータ素子160近傍の低抵抗膜の段差角部)で保護膜161の絶縁リークが発生し易いため、保護膜161を厚く成膜する必要があった。そのため保護膜161を薄くすることが難しく、ヒータ素子160のエネルギー効率が低い問題があった。
保護膜161として本発明のALD法によるSiOC膜を形成することで、このような段差上にも付きまわりよく成膜される。特に付きまわりがよくない段差角部にも均一に形成可能である。このため保護膜161を薄くして、ヒータ素子160のエネルギー効率を向上させることができる。
さらに本発明のSiOC膜は耐インク性が高いメリットがあるため、耐インク性の観点からも保護膜161を薄くできる。インクに対する膜べり量は、従来のCVD-SiN膜と比較すると1/200倍以下であり、耐インク性は大幅に向上する。
保護膜161を形成した後、その上に耐キャビテーション膜156を形成する(図8(d))。耐キャビテーション膜156はヒータ素子160の上方で発生するインク発泡によるキャビテーションからヒータ素子160や保護膜161を保護する機能を持つ。材料としてタンタルが使用される。膜厚として0.1~2μmが好ましい。
最後に表面の電極部を開口し、その上に金などのパッド層を形成し、第一の基板131上の配線層103が完成する(図8(d))。配線層103の表面の大部分は保護膜161が露出しており、吐出口形成部材を形成した場合、その一部はインクと接液する。
その後、第一の基板131を実施の形態1と同手法でインク供給口を加工する。第一の基板131の表面に密着層117を形成する(図8(e))。密着層117はその上に形成する吐出口形成部材との密着力を高める機能を有し、樹脂が好適である。材料としては実施の形態1と同じものが使用できる。
密着層117はこの時点で必ずしも形成する必要はなく、供給口を加工後に形成してもよい。また吐出口形成部材の材料の密着力が十分に高ければ、密着層117なしで直接第一の基板131の表面上の保護膜161と接着させてもよい。いずれの場合でも、保護膜の上に密着力が高い樹脂層を形成する必要がある。その為、実施の形態1で説明した、図7で示された表面処理工程を保護膜161の上に実施した後に、樹脂層(密着層、あるいは、吐出口形成部材)を形成しても良い。
その後、第一の基板131裏面側からシリコンをエッチングすることで第二の供給口113を形成する。さらに、第一の基板の表面側から保護膜161と層間絶縁層152をエッチングし、その下のシリコンをエッチングすることで第一の供給口112を形成する。以下、実施の形態1と同じ方法で液体吐出ヘッドが完成する。
保護膜161は必ずしも基板最表面にある必要はなく、少なくとも、ヒータ素子160とインク流路との間のいずれかにあれば、ヒータ素子160をインクによる浸食から保護することができる。
また実施の形態1の保護膜116と実施の形態2の保護膜161を共用化してもよい。その場合、図8(c)に示されるようにヒータ素子160を加工した後、第一の供給口112と第二の供給口113を加工し、基板裏面、供給口側壁、基板表面に渡って連続した保護膜を形成する。その後、基板表面に耐キャビテーション膜156と電極部を形成した後、吐出口形成部材を基板表面に形成して液体吐出ヘッドが完成する。
以下、実施例を参照して、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
実験例1
本発明者らは式(2)に示されるプリカーサのうち、実施例1としてn=1の化合物(BTCSM)、及び、実施例2としてn=2の化合物(BTCSE)を用いてSiOC膜を作製した。さらに比較例1として、テトラクロロジメチルジシラン(TCDMDS)をプリカーサに用いてSiOC膜を作製した。尚、TCDMDSはSi間に炭素鎖が無く、側鎖にメチル基を一つずつ有する構造を持つ。
表面を洗浄したダミーシリコン基板上に、原子層堆積法により、保護膜としてSiOC膜を形成した。酸化剤として純水を、触媒ガスとしてピリジンを用いた。基板温度は60℃、厚さ60nmで成膜した。
さらに比較例2として、炭素を含まないSiO膜を原子層堆積法により作製した。プリカーサとして、六塩化二ケイ素、酸化剤として純水、触媒としてピリジンを用いた。基板温度は60℃、厚さ100nmで成膜した。
比較例3として、耐インク膜として報告されているTiO膜を原子層堆積法により作製した。プリカーサとして四塩化チタン、酸化剤として純水を用いた。基板温度は90℃、厚さ100nmで成膜した。
表1に、上記比較例と実施例サンプルのプリカーサ、原子組成比、膜密度、インク浸漬テスト結果を示す。
原子組成比は光電子分光法(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)により測定した。Arイオンで膜をエッチングし、エッチング後にX線により発生した光電子を計測する。各元素に関して膜表面から基板までの深さ方向の信号を測定した後、最表面と基板界面を除いた膜の部分について平均したものを原子組成比とした。
膜密度はX線反射率法(XRR:X-Ray Reflectivity)により測定した。測定角度は0°から2.1°まで変化させて得られたX線反射率のスペクトルに関して、膜密度と表面粗さ、膜厚をパラメータとしてフィッティングさせることにより膜密度を測定した。膜厚に関しては、別途、分光エリプソメータで測定し、XRRで得られた膜厚と一致することを確認した。
インク浸漬テストは、以下のように行った。まず、試料を小片化した。これを、キヤノン製大判インクジェットプリンタ(imagePROGRAFシリーズ)用の顔料ブラックインク(カートリッジ名: PFI-106 BK)に浸漬させながら、水蒸気で充満させた蒸気窯中で保管した。そして、浸漬後の膜厚変化や膜表面変化を確認した。蒸気釜の温度を130℃、時間は10~50時間の範囲で変化させた。膜厚は分光エリプソメータで測定した。
Figure 0007066534000006
表1に示すように、膜組成に関して炭素組成比は、実施例1が13%、実施例2が24.1%、比較例1が23.7%であった。これは、プリカーサ1分子当たりが含有する炭素原子の数に応じて、炭素濃度が増えていることを示す。
実施例2と比較例1の膜についてFT-IR(Fourier Transform Infrared Spectroscopy)測定を実施した。その結果、実施例2にはメチレン基(Si-C結合、及び、メチレン基自身)の分子振動に起因するピークが1233cm-1、1271cm-1、及び、2909cm-1にそれぞれ観測された。一方、比較例1はメチル基(Si-C結合、及び、メチル基自身)の分子振動に起因するピークが1260cm-1、及び、2960cm-1にそれぞれ観測された。
このことにより、実施例2は、SiOC膜中でSi間にメチレン基が結合したプリカーサの主鎖構造が維持されたまま膜が形成されており、比較例1では、SiOC膜中のSi-Si間に炭素は存在せず、側鎖としてメチル基が形成されているものと推測される。
膜密度に関して、実施例1が1.90g/cm、実施例2が1.74g/cm、比較例1が1.45g/cmであった。一般にSiOC膜は、炭素濃度が増えるにつれて分子量が減少するため膜密度が減少する。一方、実施例2と比較例1を比べると、炭素濃度がほぼ同じにもかかわらず、膜密度は実施例2の方が20%も高い。
この理由として、前述のとおり、実施例2では理想的に膜が形成できればシリコン1原子当たり3つの結合手が酸素を介して隣接したシリコン原子と結合できるためと考えられ、膜が緻密化されて高い膜密度が実現できる。
これに対して、比較例1は、理想的に膜を形成しても、シリコン原子一つあたり最大で2つの結合手までしか結合できない為、膜密度が低い。さらに、成膜がうまくいかず未反応のクロロ基が多く残されるほど、膜密度はさらに低下していくものと考えられる。
また、インク浸漬テストの結果、比較例1のSiOC膜は20時間の浸漬までは膜厚はほぼ一定を維持した。しかしながら、それ以上になると、インクが膜を透過して下地の弱いシリコン基板を溶かして、高さ数μmの凹凸が生じる表面荒れが発生し、インク浸食が深刻になることが分かった。
これに対して、実施例1、実施例2のSiOC膜では、比較例1のような表面荒れは発生しなかった。50時間浸漬後の膜ベリ量に関しては、実施例1は19.1nmであるが、実施例2はその2倍以上の優れたインク耐性を示し、8.5nmであった。
一方、比較例2のSiO膜は、10時間浸漬後に膜が消失しており、耐インク性は有していない。比較例3のTiO膜は、50時間浸漬後の膜減り量が72.7nmであり、100nm成膜した膜の一部は基板上に残留していた。比較例3は、比較例2と比較すれば耐インク性は有しているといえるが、実施例1及び2と比較すると膜減り量が3倍以上であり耐インク性は低い。
また、他のアルカリ性インクや、染料インクなどに対しても数種類テストを行ったが、これらの耐インク性の傾向はほぼ同じであった。特に比較例1は、浸漬時間が10~20Hまでは殆ど膜に変化がないものの、それ以上の時間になると、急激に下地までインクが透過して、保護膜下のシリコンが全面的に荒れる現象が共通して見られた。
従って、SiO膜に炭素を付加すると膜がインクと反応しづらくなるが、同時にSiOC膜の膜密度をある程度まで向上させないと、膜中をインクが透過して保護膜も含めた下地構造に深刻なダメージを与えることが分かった。
また、液体として中性である純水に対しても120℃で40時間での浸漬耐性を調べた。その結果、実施例1及び2のSiOC膜は変化がなかったが、比較例2のSiO膜や、インクに対してある程度の耐インク性を有する比較例3のTiO膜は、保護膜が剥がれた。従って、本実施例の保護膜は、中性及びアルカリ性のインクに対して耐液性が優れている。
実施例2の試料を形成する過程で、プリカーサ(BTCSE)と酸化剤(HO)を用いて膜密度と暴露量比との関係を調べた。暴露量比に関しては、原料を流さずにキャリアガスのみを流したときのチャンバー圧力の時間変化を圧力計で測定し、さらに原料とキャリアガスを流した時のチャンバー圧力の時間変化を測定した。後者に対して前者を引くことで原料分圧の時間変化を取得し、分圧を時間に対して積分したものを暴露量とした。
実施例2の試料について暴露量比と作製された膜の膜密度の関係を示したものを図4(a)示す。基板温度は60℃であり、各原料と重畳して触媒であるピリジンも暴露している。このときプリカーサの暴露量は固定しており、実験に使用した成膜チャンバーで1原子層程度吸着するだけの暴露時間(9sec)に固定している。
暴露量比が大きくなるほど膜密度が増大する。暴露量比が最も小さい1.4では、膜密度は最も小さく1.50g/cmである。この時、プリカーサとHOの暴露時間はほぼ等しい。
暴露量比が3.3以上では、膜密度が1.60g/cm以上まで向上している。膜密度が1.60g/cm以上であれば、膜を透過するインクが大幅に低減するため好ましい。さらに暴露量比が13.3に達すると、膜密度1.70g/cmまで増大した。暴露量比が30以上で最も高い膜密度1.74g/cmが得られており、より好ましいことが分かる。この時、インクが膜を透過して下地のシリコンを荒らす現象は殆ど見られなくなった。
従って、少なくとも炭素濃度が20%以上であるSiOC膜では、膜密度は1.60g/cm以上が好ましく、膜密度が1.70g/cm以上がさらに好ましい。さらに膜密度が1.74g/cm以上が最も好ましい。
このような膜密度を達成するための暴露量比は、好ましくは3.3以上、より好ましくは13.3以上、最も好ましくは30以上であり、このように設定すればよい。
図4(a)で膜密度が向上する理由は、式(1)の構造を主鎖として有するプリカーサでは、基板に堆積しているプリカーサ中に残留した側鎖のCl基が、酸化剤によってOH基に置換されづらい。従来のようにプリカーサと酸化剤の暴露量がほぼ同じ条件では、Cl基の一部が未反応のまま堆積が進む。その結果、低密度な膜になる。暴露量比を増大させるほど、未反応のCl基が反応してより高密度な膜になっていくものと考えられる。
式(1)の構造を有するプリカーサが、酸化剤に対する反応性が低い理由として、nが増大するほどメチレン鎖からシリコン原子側に電子が多く供給され、シリコン原子の分極(正電荷)を低下させることが考えられる。その結果、酸化剤のSi原子への求核反応が低下すると推測される。
この現象はnが2以上(シリコン1原子当たり炭素が1個以上存在する場合)で顕著になるため、nが2以上では、暴露量比を増大させることが、膜密度を向上させる上で特に効果的である。
なお、上記の結果はHOで行ったものであるが、他の酸化剤でも本発明の要件を適用できる。また酸化剤としてHOを使用した場合、酸化力が比較的弱いため、SiOC膜中の炭素にダメージを与えづらいメリットがある。
他の材料に関して、比較例2、及び、比較例3に関して暴露量比と膜密度の関係を調べた結果を図4(b)及び(c)に示す。何れもプリカーサの暴露時間は固定しており、表面に1原子層が十分に被覆される程度の値に設定している。
比較例2のSiO膜に関して、図4(b)に示すように暴露量比が増大しても膜密度はほぼ変わらず、1.93~1.94g/cm程度の高い膜密度であった。
比較例3のTiO膜に関して、プリカーサとHOの暴露時間がほぼ等しい条件である暴露量比1.6で、膜密度が最も高い3.63g/cmであり、以降、暴露量比の増大と共に膜密度が低下した。これは暴露量比の増大とともにHOが取り込まれていき、膜密度が低下したものと考えられる。暴露量比が323の膜は、試料を加熱すると膜中に含有されるHOが膨張して膜に無数の穴が発生する問題が発生した。
以上より、今回調べた材料の中では、暴露量比の増大に伴って密度が上がる傾向が、式(1)の構造を有するプリカーサで生じる現象であり、特にnが2以上で顕著になるものと思われる。
実験例2
表2に、実施例1のSiOC膜の表面に、チャンバー中でプラズマ化したガスに暴露した時の膜表面の組成をXPSにより測定した結果を示す。ガスに暴露させる際のプラズマは、試料が設置された真空チャンバー内に各ガスを単体で導入し、MHz帯の高周波電源に接続された電極によりチャンバー内のガスを放電させることでプラズマを形成した。組成分析は、原子組成比の深さ方向のプロファイルを測定し、最表面を除いた20nm程度の深さの組成を平均化している。また保護膜表面の汚れを調べるために、処理がない試料の最表面のみを測定した時の組成も併せて示す。
Figure 0007066534000007
元々の保護膜表面(No.2-4下段)は炭素組成比が21.1%であり、同膜の最表面を除いた膜中の炭素組成比(No.2-4上段)の13.6%と比較すると高い。これは表面に多量に存在する異物を反映しているものと考えられる。
一方、酸素プラズマ(No.2-1)や窒素プラズマ(No.2-2)を照射したものは大幅に炭素組成比が減少している。酸素ガスや窒素ガスによるプラズマ、及びラジカルは、SiOC膜中の炭素と反応しやすく、炭素を脱離させたものと考えられる。それに対して八フッ化シクロブタンのプラズマを暴露したもの(No.2-3)は、処理していない膜(No.2-4上段)よりも炭素組成比は若干高い。従って、カーボン含有ガスであれば、膜中に炭素を残し易いものと考えられる。
[インクジェット記録ヘッドの製造実施例]
図1を参照しつつ、インクジェット記録ヘッドの製造方法の実施例を説明する。
第一の基板131として8インチシリコン基板(厚さ:730μm)の表面上に、配線層103及びエネルギー発生素子107を形成した(図1(a))。具体的には、フォトリソグラフィ工程により、Al配線、酸化シリコン薄膜の層間絶縁層、窒化タンタルのヒータ薄膜パターン、外部の制御部と導通させるコンタクトパッドを形成した。
第一の基板の表面側に保護テープを貼り合わせ、第一の基板の裏面をCMP(Chemical mechanical polishing)を用いて研磨して平滑化し、アンモニアと過酸化水素水との混合液により洗浄してスラリーを除去した。さらに表面保護テープを除去した。
その後、表面に、有機樹脂からなる吐出口形成部材の密着層117としてポリアミド樹脂(日立化成株式会社製、商品名:HIMAL)をスピン塗布法により形成した。その後、フォトリソグラフィと酸素プラズマによるドライエッチングによりパターニングした(図1(b))。
再び、基板表面に保護テープを貼り合わせた後、第二の供給口113を加工するためのレジストマスク(不図示)を、上記と同じ手段で第一の基板の裏面側に形成した。その後、第二の供給口113となる溝をエッチング加工した。エッチングとして、SFガスによるエッチングとCガスによる堆積を繰り返すボッシュプロセスを用いた。平均の溝深さが500μmになった時点でエッチングを停止した。表面保護テープを除去した後、ヒドロキシルアミンを主成分とする剥離液でレジストやエッチング堆積物を除去した。
次に、第一の基板の裏面側に保護テープを貼り合わせ、表面側にレジストマスク(不図示)を形成し、基板の表面側から複数のホールから構成された第一の供給口112を上述のボッシュプロセスにより加工した。エッチング後、裏面保護テープを除去し、剥離液によりレジストや堆積物を除去した(図1(c))。
次に、保護膜116を成膜した。上記第一の供給口112まで形成した第一の基板131を原子層堆積成膜装置の中に設置し、プリカーサとしてビス(トリクロロシリル)エタン(BTCSE)、酸化剤としてHOを用いたALD法を実施した。それぞれの原料を成膜装置のチャンバーに投入する際は、触媒としてピリジンを同時投入した。ピリジンは各原料を導入する3秒前から基板に投入した。各原料の蒸気圧は1.33~2.67kPa(10~20Torr)の範囲になるようにボトルを加熱して調整した。全ての原料はキャリアガスとして窒素ガスを用いてチャンバー内に投入した。流量は8.45×10-2Pa・m/s(50sccm)、基板温度は60℃とした。
また、原料を投入してパージした後に、チャンバー内や試料上に残留している原料を除去するため、窒素ガスのみを導入してパージする工程を実施した。窒素ガスの暴露時間は5秒である。プリカーサの暴露時間は9秒とし、HOの暴露時間は30秒として、暴露量比は30とした。原料の成膜フローを図9に示す。
保護膜としてSiOC膜を60nm成膜した後、基板表面側にドライフィルム化したポジ型レジストをラミネートし、ステッパー露光機により露光し、アルカリ液で現像することでエッチングマスクを形成した。エッチングマスクに被覆されていない保護膜の不要部をCFガスによるドライエッチングにより除去した(図1(d))。
その後、基板表面側に吐出口形成部材として、エポキシ樹脂からなる感光性ネガ型ドライフィルム(東京応化工業株式会社製、商品名:TMMF)をラミネーターにより貼り合わせた。次いで、樹脂構造体をパターニングするために、ステッパー露光機により露光し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート中に浸漬することで現像した。この工程を2回繰り返し、流路の壁部118、吐出口101を有する天板119を形成した。その後、オーブン中で200℃、1時間のキュアを実施することで吐出口形成部材を硬化させて、液体吐出ヘッドを作製した(図1(e))。
101 吐出口
103 配線層
107 エネルギー発生素子
112 第一の供給口
113 第二の供給口
116 保護膜
117 密着層
118 吐出口形成部材の壁部
119 吐出口形成部材の天板
131 第一の基板
140 表面処理層
160 ヒータ素子
161 保護膜

Claims (13)

  1. 第一の面と該第一の面と反対の第二の面を有する基板と、前記基板の前記第一の面上に形成され、液体を吐出する吐出口を有する吐出口形成部材と、前記吐出口に連通し、前記液体が流れる流路を有する液体吐出ヘッドの製造方法であって、
    前記基板と前記流路との間に、シリコンと炭素を含み、且つ、酸素、または、窒素の少なくとも一方を含む保護膜を形成する工程を有し、
    前記保護膜は、シリコンと炭素を含有するプリカーサと、前記プリカーサと反応しうる酸素もしくは窒素を含む反応剤とを交互に前記保護膜を形成する成膜空間に導入する原子層堆積法により形成され、
    前記保護膜は、下記式(1)で表される構造を有する化合物を含む膜であることを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
    Figure 0007066534000008
    (nは1以上の整数を示す)
  2. 前記プリカーサが、前記式(1)で表される構造を有する化合物である、請求項1に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  3. 前記プリカーサは、前記式(1)のシリコン原子側鎖に、ハロゲノ基、アミノ基、アルコキシド基のいずれかを有する化合物である、請求項2に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  4. 前記プリカーサは、下記式(2)~(4)からなる群から選択される少なくとも1種の構造を有する化合物である、請求項3に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
    Figure 0007066534000009
    (nは1以上の整数)
  5. 前記式(1)におけるnが2以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  6. 前記プリカーサの前記成膜空間への暴露時間と暴露圧力との積をプリカーサ暴露量とし、前記反応剤の前記成膜空間への暴露時間と暴露圧力との積を反応剤暴露量としたとき、前記反応剤暴露量を前記プリカーサ暴露量で割った暴露量比が、3.3以上である、請求項5に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  7. 前記保護膜は、炭素濃度が20%以上であるSiOC膜であり、且つ、膜密度が1.60g/cm以上である、請求項6に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  8. 前記反応剤の基板上への暴露は、基板上への前記プリカーサの導入開始から次の前記プリカーサの導入開始までを1サイクルとしたとき、1サイクル中に、前記反応剤の暴露ステップと、反応剤の除去ステップを複数回実施する、請求項6又は7に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  9. 前記反応剤は、HOである、請求項1~8のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  10. 前記基板の前記第一の面から第二の面に貫通する貫通口からなる流路を形成する工程をさらに有し、前記保護膜を形成する工程は、該貫通口の壁面に少なくとも形成することを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  11. 前記基板の第一の面上に配線と絶縁層とを含む配線層を形成する工程を有し、前記保護膜は前記配線層と流路との間のいずれかに成膜される、請求項1~9のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  12. 前記保護膜を形成する工程の後に、前記第一の面又は第二の面上の前記保護膜の上に樹脂から構成された樹脂構造体を形成する工程を有する、請求項1~11のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  13. 前記保護膜を形成する工程と、前記樹脂構造体を形成する工程との間に、前記第一の面又は第二の面上の前記保護膜の表面を水素、ギ酸、一酸化炭素、メタン、アセチレン、プロパン、イソブタン、四フッ化炭素、トリフルオロメタン、八フッ化シクロブタンから選ばれる1種のガスに暴露させる工程を有する、請求項12記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
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