以下、本発明の実施の形態について、添付図面に基づき詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態における補助装置10は、使用者の前面(例えば、腹部)に当接させる当接部21を備えた幅広部材20と、幅広部材20に対して回転可能であり、使用者の手又は腕を載せるための支持部31を備える幅狭部材30と、補助装置10を使用者の肩等から掛けて使用するためのベルト40と、から構成されている。支持部31の幅W2は、当該支持部31に載せる使用者の片手又は片腕の幅に合わせ、使用者の片手又は片腕を載せるために必要最低限の幅(例えば、10cm)に形成されている。なお、この幅は、使用者の体格、年齢等に応じて種々の大きさを適用することができる。また、本実施形態において、幅広部材20及び幅狭部材30は樹脂材(例えばポリプロピレン)によって形成されている。また、幅広部材20及び幅狭部材30は透明な樹脂材とするが、これに限られるものではない。また、樹脂材以外の材料(例えば、金属材料)で構成してもよい。
なお、本実施形態において、ベルト40の長さは、70cm~120cmの範囲で可変調整可能なものとするが、ベルト長はこれに限られず、体格等に合わせて種々の長さのものを適用することができる。
幅広部材20は、当接部21が設けられた端部とは反対側の端部に幅狭部材30を連結するための連結部22a及び22bが設けられており、幅狭部材30は、支持部31が設けられた端部とは反対側の端部に幅広部材20を連結するための連結部32a及び32bが設けられている。
幅広部材20と幅狭部材30は、それぞれに設けられた連結部22a及び22bと、連結部32a及び32bとによって連結されており、幅狭部材30は、連結部32a及び32bに設けられた回転軸33a及び33bにより、幅広部材20に対して回転可能となっている。
幅広部材20の形状は、全体が略コの字の形状となっており、中心部に開口部23が設けられ、また、当該コの字の開口側の端部に上述の連結部22a及び22bが設けられている。幅広部材20は、当接部21から連結部22a及び22bに向かって徐々に幅が狭くなるように形成されている。
一方、幅狭部材30は、全体が板状に形成され、その形状は、支持部31から連結部32a及び32bに向かって徐々に幅が狭くなるように形成されている。また、幅狭部材30の形状は、幅広部材20に設けられた開口部23と略同一の形状であり、回転軸33a及び33bによって回転させることにより、当該幅狭部材30が開口部23に収納され補助装置10が全体として折り畳まれた収納状態(図2(a)、(b))、又は当該幅狭部材30が開口部23から展開され補助装置10が全体として開いた使用状態(図3(a)、(b))に状態遷移可能となっている。
幅狭部材30に備えられた支持部31は、幅広部材20に備えられた当接部21の幅よりも狭く形成されている。
ベルト40は、両先端部に設けられた掛合部41a及び41bにより、幅広部材20に設けられた掛合部24c及び24dの掛合孔24a及び24bに掛合される。なお、掛合孔24a及び24bを設ける位置は、補助装置10を使用状態(図1に示す、幅広部材20を180°の角度に展開した状態)において、幅広部材20の先端部(当接部21)までの長さL1と幅狭部材30の先端部(支持部31)までの長さL2とが略同一となる位置となっている。
当接部21の先端部は、幅広部材20の上面から先端部にかけて厚み方向になめらかな円弧形状をなしている。これにより、当接部21を使用者の前面に当接させたときに、使用者が違和感を感じることを防止できる。
また、当接部21の幅W1(図1)は、幅広部材20に対して幅狭部材30を回転させ、補助装置10を開いた状態にし、当接部21を使用者の前面に当接させたときに、補助装置10を全体として十分に安定させられる程度の幅に形成されている。
また、幅狭部材30は、ストッパーとして段差部32i、32jを備えているため、幅広部材20に対して回転させて展開したときに、略180°に開くことができる。
ここで、幅狭部材30及び幅広部材20の間の連結部22a、22b、32a、32bの詳細について説明する。図4及び図5は、幅広部材20及び幅狭部材30の連結部22a、22b、32a、32bの詳細構成を示す分解斜視図である。
幅広部材20において連結部22a、22bは、幅狭部材30の連結部32a、32bと摺動可能に接する摺接面22g、22hを有する。この摺接面22g、22hは、所定間隔を隔てて互いに対向し、当該摺接面22g、22hの間に幅狭部材30の連結部32a、32bを挟み込んで、当該連結部32a、32bの摺接面32g、32hと摺動可能に接するようになされている。
幅狭部材30の摺接面32g、32hには、回転軸33a、33bが突出形成されている。一方、幅広部材20の摺接面22g、22hには、回動軸33a、33bを軸支する軸孔22c、22dが形成されており、これらの軸孔22c、22dに軸支された回動軸33a、33bを介して幅狭部材30が回動可能に枢支される。
幅広部材20の摺接面22g、22hには、突起部22e、22fが形成されており、当該摺接面22g、22hに幅狭部材30側の摺接面32g、32hが当接した状態において、当該摺接面32g、32hに形成されたガイド凹部32e、32fに沿って当該ガイド凹部32e、32fの底面上を摺動するようになっている。
具体的には、ガイド凹部32e、32fは、回転軸33a、33bを中心とした円弧状の一定範囲に形成されている。この範囲は、幅広部材20に対して幅狭部材30が回転することに伴って幅広部材20側の突起部22e、22fがガイド凹部32e、32f内を摺動する範囲となっており、その両端部は、段差をもって突起部22e、22fの摺動を規制するように構成されている。
これにより、図6~図8に示すように、幅広部材20と幅狭部材30とが相対的に回転することに伴って、ガイド凹部32e、32fの一方の端部から他方の端部の間を、突起部22e、22fが摺動することになる。
ガイド凹部32e、32fの一方の端部には、当該端部から、突起部22e、22fの幅を介して突起部32m、32nが形成されており、図8に示すように、幅狭部材30を全開した状態(すなわち、幅広部材20と幅狭部材30とが略180℃の角度で開いた状態)において、突起部22e、22fが当該突起部32m、32nを乗り越えて、ガイド凹部32e、32fの端部と当該突起部32m、32nとの間に嵌まり込んだ状態となり、仮固定された状態となる。このように、突起部22e、22fが突起部32m、32nを乗り越えることにより、幅狭部材30を全開した状態となる際に突起部を乗り越える感触が使用者に伝わることになり、当該使用者は、この感触によって幅狭部材30が全開したことを認識することができる。そして、このように突起部22e、22fが嵌まり込むことにより、その位置で幅狭部材30の回転位置を保持することが可能となっている。
なお、図4、図5に示すように、幅狭部材30の連結部32a、32bには、摺接面32g、32hから側方に突出する段差部32i、23jが形成されており、幅広部材20の連結部22a、22bに形成された当接部22i、22jがこれに当接するようになっている。すなわち、図8に示すように、幅広部材20に対して幅狭部材30を回転させることによって幅狭部材30を全開させた場合、当接部22i、22jが段差部32i、32jに当接することにより、それ以上回転することを防止する構成となっている。この場合、幅狭部材30を開くという使用者の動作によって当該幅狭部材30の回転に勢いがついている場合であっても、比較的大きな面積でなる当接部22i、22jと段差部32i、32jとの当接により、当該回転動作を十分に止めることができる。
また、回転動作が停止した状態においては、突起部22e、22fが突起部32m、32nを乗り越えて、ガイド凹部32e、32fの端部と当該突起部32m、32nとの間に嵌まり込んだ状態となってその位置を保持することになるため、幅狭部材30を全開した状態(図8に示す使用状態)が保持されることになる。すなわち、使用状態において幅狭部材30と幅広部材20とが不用意に回転して補助装置10が簡単に閉じてしまうことを防止することができる。
また、図1に示すように、幅広部材20は、当接部21側の先端部から連結部22a及び22bに向かって徐々に幅が狭くなるように形成されており、幅狭部材30は、支持部31側の先端部から連結部32a及び32bに向かって徐々に幅が狭くなるように形成されている。したがって、連結部22a、22b、32a、32bにおける補助装置10の幅は、当該補助装置10において最も狭い部分となる。これにより、使用者が携帯端末機器を持った手を支持部31に載せる際に、腕が補助装置10の側面に当たって手を載せづらくなることを防止できる。
また、支持部31(幅狭部材30)の幅は、使用者の片手又は片腕を載せるために必要最低限の幅に形成されている。
ここで、補助装置10の使用形態について説明する。
図9(a)、(b)に示すように、まず、補助装置10が使用者の前面に位置するように、ベルト40を肩に掛け、使用者の片方の脇の下を通す。続いて、幅狭部材30を幅広部材20に対して回転させ、補助装置10を開いた状態に展開し、当接部21を使用者の前面に当接させる。そして、支持部31に携帯端末機器100を持った使用者の手を載せる。このとき、支持部31が掛合孔24a及び24bよりも使用者から遠くかつ上方に位置し、当接部21が掛合孔24a及び24bよりも使用者に近くかつ下方に位置するように補助装置10の角度を調整することにより、支持部31に載せた携帯端末機器を持った使用者の手の重さによって当接部21が使用者の腹部に押し付けられ、ベルト40が使用者の前方斜め下方へと引っ張られる。これにより、携帯端末機器100を持った使用者の手を、安定的に使用者の前面から所定の距離に支持することが可能となる。
ちなみに、幅狭部材30を幅広部材20に対して回転させて展開した状態では、開口部23が開いた状態となるため、図10に示すように、使用者が補助装置10を使用しながら下方の路面等を目視することが可能となる。これにより、使用者は障害物を把握し易くなる。
また、図11に示すように、幅狭部材30の開口部23から幅狭部材30を展開させた使用状態では、幅狭部材30を開いた補助装置10全体の長さが長くなることにより、例えばドアノブ等に引っ掛けるおそれがあるのに対して、図12に示すように、幅狭部材30を幅広部材20の開口部23に収納した収納状態では、補助装置10全体の長さは略半分程度に短くなることにより、ドアノブ等に引っ掛けるといった不都合が発生することを抑制することができる。
以上の構成において、補助装置10は、携帯端末機器100を持った使用者の手をその後ろから支持する。この場合、補助装置10の大きさは、幅狭部材30を略180度に開いた使用状態とした場合に、幅広部材20及び幅狭部材30を合わせた全体の長さ(図1において、L1+L2)として、使用者が携帯端末機器100を手に持って使用する状態(携帯端末機器100の表示画面や操作キーを使用者が目視し得る状態)における手の位置に合致した位置となる長さ(本実施形態の場合、例えば25cm)に形成されている。なお、全体の長さはこれに限られず、使用者の体格や年齢等に合わせて種々の大きさ(例えば、30cmや20cm等)を適用することができる。
これにより、携帯端末機器100を手に持った使用者は、その姿勢を保ったままその手を支持部31に載せることができる。この場合、手を載せるための支持部31が設けられている幅狭部材30の幅は、使用者の片手を載せるために必要となる最低限の幅となっていることにより、使用者の前方において使用される補助装置10が使用者にとって邪魔になることを抑制することができる。
また、幅狭部材30の支持部31の幅として、使用者の片手を載せるために必要最低限の幅とすることにより、幅狭部材30の幅が大きくなることを避け、これにより補助装置10の携帯性を維持することができる。
また、図13(a)に示すように幅広部材20の当接部21を使用者の前面に当接させて使用する使用方法に代えて、図13(b)に示すように、補助装置10の前後の向きを逆にして、幅狭部材30の支持部31を使用者の前面に当接させ、幅広部材20に使用者の手を載せるようにすることもできる。このように使用することにより、使用者は、幅狭部材30よりも広い幅広部材20に両手を載せることができる。幅広部材20の幅は、使用者の両手を載せる幅に合わせて形成されている。両手を載せる幅とは、両手を載せるために必要最低限の幅を意味する。例えば、片手で使用する携帯端末機器100に代えて、比較的大きな携帯端末機器(例えば、タブレット型の携帯端末機器)を両手で持って使用する場合であっても、その携帯端末機器100を持った両手を、その後ろ側から幅広部材20によって支えることができる。因みに、幅広部材20の幅W1(図1)は、使用者の両手を載せるために必要最低限の幅(例えば、20cm)があればよい。なお、この幅は、使用者の体格、年齢等に応じて20cm以上又は20cm未満の種々の大きさを適用することができる。
このように、本実施形態の補助装置10においては、使用者の手を支持することにより、使用者が携帯端末機器100を持つことを補助することができる。これにより、使用者は、携帯端末機器100を長時間持っても疲労感が高まることを抑制することが可能となる。
また、幅広部材20の幅を両手を載せるために必要最低限の幅とすることにより、補助装置10全体としての幅が大きくなることを避け、これにより補助装置10の携帯性を維持することができる。
なお、上述の実施形態においては、幅狭部材30が幅広部材20の開口部23に収納された状態を幅狭部材30の突起部22e、22fによって保持する場合について述べたが、これに限られるものではなく、例えば、図14に示すように、幅広部材20の開口部23に幅狭部材30を収納した際にこれを受け止める板状の当接部99a、99bを設けるようにしてもよい。
このようにすれば、比較的大きな力で収納部23内に幅狭部材30が収納された場合であっても、これを十分な強度で受け止めることが可能となる。
また、図15に示すように、当接部99a、99bに代えて、又は当接部99a、99bと共に、幅広部材20の当接部22i、22jに対して、軸孔22c、22dを挟んで対称に同様の当接部22m、22nを設けるようにしてもよい。当接部22m、22nを設けることにより、幅狭部材30が幅広部材20の開口部23に収納された状態で幅狭部材30の段差部32i、32jが当接部22m、22nに当接することでそれ以上の回動を止めることができる。
また、上述の実施形態においては、支持部31を有する幅狭部材30を、当接部21を有する幅広部材20の内部に収納する場合について述べたが、これに限られるものではなく、要は当接部21を有する第1の部材及び支持部31を有する第2の部材のうち、いずれか一方を他方に収納する構成とすれば、補助装置10の携帯性を高めることができる。
(第2の実施形態)
上述の第1の実施形態では、幅広部材20と幅狭部材30との間を1軸の回転軸33a、33bにより回転可能とする構成について述べたが、第2の実施形態では、2軸の回転軸を用いて2つの部材を回転可能としている。
図16に示すように、第2の実施形態における補助装置110は、使用者の前面に当接させる当接部121を備える第1部材120と、使用者の手又は腕を載せるための支持部131を備える第2部材130と、第1部材120に設けられる回転軸122a及び122bと、第2部材131に設けられる回転軸132a及び132bと、第1部材120と第2部材130を連結するための連結部材140a及び140bと、補助装置110を使用者の肩等から掛けて使用するためのベルト150と、から構成されている。ベルト150の長さは、70cm~120cmの間で可変可能なものとするが、長さはこれに限られるものではない。
ベルト150は、一方の先端部に設けられた掛合部151aが、連結部材140aに設けられた掛合孔141aに連結され、他方の先端部に設けられた掛合部151bが、連結部材140bに設けられた掛合孔141bに連結される。
第1部材120は、コの字の形状となっており、コの字の開口側の端部123aに回転軸122aが設けられており、開口側の端部123bに回転軸122bが設けられている。
第2部材130も第1部材120と同様に、コの字の形状となっており、コの字の開口側の端部133aに回転軸132aが設けられており、開口側の端部133bに回転軸132bが設けられている。
第1部材120と第2部材130は、回転軸122a、122b、132a及び132bによって回動可能となっている。第1部材120の開口側の端部123aの先端と、第2部材130の開口側の端部133aの先端は、当接し合う構成となっており、第1部材120の開口側の端部123bの先端と、第2部材130の開口側の端部133bの先端は、当接し合う構成となっている。そして、第1部材120の開口側の端部123aの先端と、第2部材130の開口側の端部133aの先端の当接部を跨ぐようにして、第1部材120と第2部材130の外側面に連結部材140aが取り付けられ、第1部材120の開口側の端部123bの先端と、第2部材130の開口側の端部133bの先端の当接部を跨ぐようにして、第1部材120と第2部材130の外側面に連結部材140bが取り付けられている。また、回転軸122aは、連結部材140aの軸孔142aに枢支され、回転軸122bは、連結部材140bの軸孔(図示せず)に枢支され、回転軸132aは、連結部材140aの軸孔143aに枢支され、回転軸132bは、連結部材140bの軸孔(図示せず)に枢支される。また、第1部材120の開口側の端部123a及び123bと、第2部材130の開口側の端部133a及び133bは、第1部材120と第2部材130が、互いの回動を妨げない円弧形状となっている。これにより、第1部材120と第2部材130とが互いに回転軸122a、122b、132a、132bを介して回転可能となり、図16に示す開いた使用状態と、図17に示す閉じた収納状態とに補助装置110の開閉ができるようになる。
回転軸122aには歯車161aが嵌合固定され、回転軸122bには歯車161bが嵌合固定され、回転軸132aには歯車162aが嵌合固定され、回転軸132bには歯車162bが嵌合固定されている。したがって、第1部材120と第2部材130の双方に回転軸が設けられている構成において、第1部材120と第2部材130を左右均等に所定の角度に開閉することができる。このように、第1部材120の端部123a、123bと、第2部材130の端部133a、133bと、これらを互いに回転可能に枢支する構成(回転軸122a、122b、132a、132b、連結部材140a、140b)によって連結部が構成されている。
また、第1部材120と第2部材130の形状は同一となっているため、第1部材120と第2部材130を回動させ、補助装置110を開いた状態にしたときに、略四角形の形状となる。これにより、当接部121を使用者の前面に当接させ、支持部131に携帯端末機器を持った使用者の手を載せたときに、補助装置110を十分に安定させることができる。
当接部121の先端部は、第1部材120の上面から先端にかけて厚み方向になめらかな円弧形状となっている。これにより、当接部121を使用者の前面に当接させたときに、使用者が違和感を覚えることを防止できる。
支持部131の先端部も当接部121の先端部と同様に、第2部材130の上面から先端にかけて厚み方向になめらかな円弧形状となっている。これにより、使用者が支持部131に携帯端末機器を持った手を載せたときに、支持部131の角によって違和感を覚えることを防止できる。また、支持部131(第2部材130)の幅は、使用者の片手又は片腕を載せるために必要最低限の幅に形成されている。
ここで、補助装置110の使用形態について説明する。
まず、補助装置110が使用者の前面に位置するように、ベルト150を肩に掛け、使用者の片方の脇の下を通す。続いて、第1部材120と第2部材130を回動させ、補助装置110を開いた状態にし、当接部121を使用者の前面に当接させる。そして、支持部131に携帯端末機器を持った使用者の手を載せる。このとき、支持部131が連結部材140aの掛合孔141a及び連結部材140b0aの掛合孔141a及び連結部材140bの掛合孔141bよりも使用者に近くかつ下方側に位置するように補助装置110の角度を調整することにより、支持部131に載せた携帯端末機器を持った使用者の手の重さによって当接部121が使用者の腹部に押し付けられ、ベルト150が使用者の前方へと引っ張られる。これにより、携帯端末機器を持った使用者の手を、安定的に使用者の前面から所定の距離に支持することができる。
また、支持部131の幅は使用者の片手を載せるために必要最低限の幅とすることにより、補助装置110の携帯性を維持することができる。
ちなみに、第1部材120と第2部材130を回動させ、補助装置110が開いた状態では、第1部材120の開口部と第2部材130の開口部が連通し、一つの大きな開口部となるため、使用者が補助装置110を使用しながら下方の路面等を目視することが可能となる。これにより、使用者は障害物を把握し易くなる。
なお、上述の第2の実施形態においては、第1部材120と第2部材130とを同一形状とした場合について述べたが、これに限られるものではなく、図1に示した第1の実施形態の場合と同様に、第1部材120及び第2部材130の大きさを異なる大きさとしてもよい。この場合、一方の幅を大きくすることで、両手を載せることを可能とすることができる。
また、上述の第2の実施形態においては、第1部材120及び第2部材130からなる補助装置110の大きさとして、使用者の両手を載せるために必要最低限の幅(例えば、20cm)があればよいが、この幅は、使用者の体格、年齢等に応じて20cm以上又は20cm未満の種々の大きさを適用することができる。
また、上述の第2の実施形態において、第1部材120及び第2部材130は樹脂材(例えばポリプロピレン)によって形成するが、これに代えて、他の樹脂材又は樹脂材以外の材料(例えば金属)によって形成するようにしてもよい。
また、上述の第2の実施形態において、第1部材120及び第2部材130は透明な樹脂材とするが、これに限られるものではない。
(第3の実施形態)
上述の第1及び第2の実施形態においては、2つの部材(第1の実施形態においては、幅狭部材30及び幅広部材20、第2の実施形態においては、第1部材120及び第2部材130)を用いた折りたたみ式の補助装置10、110について述べたが、第3の実施形態では、全体を透明プラスチックシート(樹脂シート)により1つの部材として形成している。
図18に示すように、第3の実施形態における補助装置210は、使用者の前面に当接させる当接部230を備えるアーム部220と、使用者の手又は腕を載せるための支持部240と、使用者の手又は腕を掛け留める突起部250と、補助装置を使用者の肩等から掛けて使用するためのベルト260と、から構成されている。ベルト260の長さは、70cm~120cmの間で可変可能なものとするが、長さはこれに限られるものではない。
アーム部220は、中空の略四角柱の形状となっており、全体の長さL3は約25cmとなっている。なお、全体の長さはこれに限られず、使用者の体格や年齢等に合わせて種々のもの(例えば、30cmや20cm等)を適用することができる。また、補助装置210の幅としては、少なくとも使用者の片手が載る幅を有する支持部240を用いることにより、使用者は例えば携帯端末機器を持った片手を支持部240に載せることができる。なお、支持部240の大きさとしては、使用者の両手を載せ得る程度の幅(例えば、18cm)を有するものとしてもよい。このようにすれば、使用者は、支持部240に両手を載せることが可能となる。
アーム部220の一方の先端221に形成される当接部230は、略四角形の形状となっており、使用者の前面に当接させた時に補助装置210全体が安定する程度の面積を有している。また、アーム部220は、他方の先端222に向かって徐々に細くなる形状となっている。
アーム部220の当接部230と反対側の先端222に設けられる支持部240は、略半月型の形状となっており、長い円弧部241と短い円弧部242とを有する。支持部240において、長い円弧部241は、アーム部220の先端222より当接部230側に形成され、一方、短い円弧部242は、アーム部220の先端222側に形成されている。また、支持部240の表面243は、当該支持部240の側方から中心部に向かって徐々に凹むなめらかな曲面を形成している。これにより、使用者が支持部240に手又は腕を載せたときに、安定して使用者の手又は腕を支持することができる。このように、アーム部220は、当接部230と支持部240とを連結する連結部としての機能を有している。支持部240の幅は、使用者の片手を載せるために必要最低限の幅に形成されている。
アーム部220に設けられる支持部240の長い円弧部241の近傍には、使用者の手又は腕を掛け留める突起部250が設けられている。これにより、使用者が支持部240に手又は腕を載せた時に、手又は腕が滑って落ちることを防止できる。
アーム部220に設けられる突起部250の当接部230側の近傍には、補助装置210を使用者の肩等から掛けて使用するためのベルト260が設けられている。ベルト260の一方の端部261と他方の端部262は、アームの表面223に対して溶着、加締、鋲着等の手法により取り付けられている。なお、図1について上述したように、着脱可能な構成としてもよい。
本実施形態の補助装置210は、アーム部220、当接部230及び支持部240が例えばポリエチレンテレフタラート(厚さ0.5mm)の透明プラスチックシートにより形成されており、軽量であり、使用しない場合は丸めたり、小さく折り畳んだりすることができる。これにより、使用しない場合は、バッグ等に収納することができ携帯しやすくなる。一方、使用状態に展開した場合には、アーム部220が全体として略四角柱形状となった状態でこれを使用することにより、アーム部全体として一定の強度を持たせることができる。すなわち、当接部230を使用者の前面に当接させ、支持部240に使用者の手を載せた場合に当該手を支える程度の強度を持たせることができ、使用者の手を安定して支持することができる。このように補助装置210は、収納性及び軽量化を両立させることで、携帯性を向上することができる。
また、支持部240の幅は、使用者の片手を載せるために必要最低限の幅とすることにより、補助装置210の携帯性を維持することができる。
ここで、補助装置210の使用形態について説明する。
まず、補助装置210が使用者の前面に位置するように、ベルト260を肩に掛け、使用者の片方の脇の下を通す。続いて、当接部230を使用者の前面に当接させ、支持部240に携帯端末機器を持った使用者の手を載せる。このとき、当接部230がベルト260の端部261、262の取付部よりも使用者から遠くかつ上方に位置し、当接部230がベルト260の端部261、262の取付部よりも使用者に近くかつ下方に位置するように補助装置210の角度を調整することにより、支持部240に載せた携帯端末機器を持った使用者の手の重さによって当接部230が使用者の腹部に押し付けられ、ベルト260が使用者の前方斜め下方へと引っ張られる。これにより、携帯端末機器を持った使用者の手を、安定的に使用者の前面から所定の距離に支持することができる。
なお上述の第3の実施形態においては、アーム部220の形状を略四角柱形状とする場合について述べたが、これに限られるものではなく、アーム部220の形状を略三角柱形状とし、当接部230の形状を略三角形形状としてもよい。もしくは、アーム部220の形状を略円柱形状として、当接部230の形状を略円形形状としてもよい。
また、上述の第3の実施形態においては、透明プラスチックシートを用いて構成された補助装置210について述べたが、これに限られるものではなく、例えば、厚紙等の紙を素材とするシート状の材料でアーム部220、当接部230、支持部240を形成する等、用いられる材質として、種々の材質を適用することができる。また、樹脂材を用いる場合、ポリエチレンテレフタレート以外であっても種々の材料を用いることができる。また、透明な材質以外であってもよい。
また、上述の第3の実施形態において、アーム部220に予め折り目を形成しておき、必要に応じて当該折り目から折り曲げて折り畳むことが可能な構成としてもよい。具体的には、例えば図18に示した補助装置210において、ベルト260の端部261、262が固定されたアーム部上面にその長手方向に略直交する方向、又は長手方向に対して所定角度の方向に谷折り用の折り目を形成しておく。そして、使用しない場合には、当該折り目において谷折りにアーム部220を折り畳むようにする。このように構成すれば、使用しない場合は容易に折り畳んで携帯することができるため、補助装置210の携帯性を一段と向上させることができる。
(他の実施形態)
上述の第1~第3の実施形態においては、ベルト40、150、260を用いてこれを使用者の肩等に掛ける場合について述べたが、これに限られるものではなく、例えば、図19及び図20に示すように、既存のリュックサック等の肩ベルトに面ファスナーのフック面(フック状に起毛された側の面)又はループ面(ループ状に密集して起毛された側の面)を設け、この面ファスナーに接合可能な対を成すループ面又はフック面を補助装置側のベルトに設けるようにし、補助装置をリュックサック等の肩ベルトに着脱可能とする構成としてもよい。因みに、面ファスナーは、フック面とループ面とを押し付けるとそれだけで貼り付くようになっており、貼り付けたり剥がしたりすることが自在にできるものである。
具体的には、図19及び図20に示すように、リュックサック300の肩ベルト301に面ファスナー303を設け、補助装置10の掛合孔24bに掛合部41bを介して連結ベルト311を掛合するとともに、反対側の掛合孔24aに対しても掛合部41a(図1)を介して同様の連結ベルト(図示せず)を掛合する。
そして、連結ベルト311の面ファスナー313を肩ベルト301の面ファスナー303に貼り付けることにより両者が密着し、これにより、連結ベルト311を介して、補助装置10を肩ベルト301に掛合させることができる。
この結果、図21に示すように、使用者は、肩ベルト301の途中に掛合された連結ベルト311を介して補助装置10を自分の前方に位置決めし、携帯端末機器を持った手をこの補助装置10によって支えることができる。
このようにリュックサック等の肩ベルト301に補助装置10を掛合して使用可能とする構成により、使用者はリュックサック等の肩ベルト以外に補助装置10用のベルトを肩にかける必要がなくなる。これにより、複数のベルトを肩にかけるといった煩わしさから使用者を解放することができる。
また、上述の第1~第2の実施形態においては、平板状の支持部31(幅狭部材30)、131(第2部材130)を用いる場合について述べたが、これに限られるものではなく、例えば、図1との対応部分に同一符号を付して示す図22に示すように、補助装置10の幅狭部材30に設けられる支持部31において、その表面が側方から中心部に向かって徐々に凹むなめらかな曲面をなす凹部31aを形成するようにしてもよい。このようにすれば、使用者が支持部31に手又は腕を載せたときに、安定して使用者の手又は腕を支持することができる。
すなわち、このような形状とすることにより、使用者の手が支持部31の当該凹部に収まった状態を保持し易くなり、支持部31に載せられた手が、左右に移動しても、支持部31から落ち難くすることができる。
このようにすれば、使用者は、携帯端末機器を持った手を、支持部31に支持された状態に保つことができる。例えば、携帯端末機器を持ったまま使用者が手を左右に移動させた場合であっても、補助装置10はその支持部31が使用者の手を後ろから支持した状態(手を載せた状態)を保ったまま、使用者の手の移動に伴って左右に移動することになる。具体的には、補助装置10は、ベルト40によって使用者の肩から掛けられた状態となっており、この状態においては、ベルト40が掛けられた使用者の肩を支点として、ベルト40及びこのベルト40の先端に掛止された補助装置10が左右に移動可能な状態となっている。これにより、使用者は支持部31に載せられた手を左右に移動させても、当該移動に伴って補助装置10が左右に移動することになる。
かくして、使用者は、携帯端末機器100を持った手を支持部31に載せただけの状態で、その手を左右に振るような動作を行うことが可能となる。
また、上述の第2の実施形態における第2部材130においても同様の表面形状とすることにより、使用者の手又は腕を安定して支持することができる。
また、上述の第1~第2の実施形態においては、幅広部材20に対して幅狭部材30を略180度の角度に開いて使用する場合について述べたが、これに限られるものではなく、例えば、図23に示すように、0度~180度の間の所定の角度で幅狭部材30を保持するようにして、当該角度に保持された幅狭部材30に例えば携帯端末機器100を載せるようにすることもできる。
具体的には、図22に示すように、幅狭部材30と幅広部材20との連結部22a、22b、32a、32bにおいて、ガイド凹部32e、32fの両端部の間に新たに位置決め用の凹部(突起部32p、32qに挟まれた部分、突起部32r、32sに挟まれた部分)を形成し、この部分で幅広部材20側の突起部22e、22f(図4、図5)が保持されるようにする。これにより、当該角度(幅狭部材30が幅広部材20に対して所定角度開いた状態)で幅狭部材30を保持することができ、この状態において、携帯端末機器等を載せることができる。
なお、図22及び図23に示すように、幅狭部材30を0度~180度の間の所定の角度で保持し、携帯端末機器100を載せる構成とする場合、開口部23に段差部23a(図23)を形成し、この段差部23aに携帯端末機器100の下端部を載せるようにすればよい。
また、上述の各実施形態においては、支持部31、131、240の幅として使用者の片手を載せるために必要最低限の幅とする場合について述べたが、これに限られず、補助装置10、110、210の携帯性が損なわれない程度に大きくしてもよい。また、上述の第1の実施形態では、幅広部材20の幅として、使用者の両手を載せるために必要最低限の幅とする場合について述べたが、これに限られず、補助装置10の携帯性が損なわれない程度に大きくしてもよい。
また、上述の第2の実施形態においては、第1部材120及び第2部材130の幅として、使用者の片手を載せるために必要最低限の幅とする場合について述べたが、これに限られず、使用者の両手を載せるために必要最低限の幅とするようにしてもよい。また、いずれの場合も補助装置110の携帯性を維持し得る程度に大きくすることができる。
また、上述の各実施形態においては、ベルト40、150、260を肩から掛けて使用する場合について述べたが、これに限られるものではなく、使用者が使用し易い位置に掛けて使用することができる。この場合、ベルトの長さは種々のものを用いるようにすればよく、また、長さを可変とする構成を用いてもよい。
また、上述の第1~第2の実施形態においては、2つの部材(幅広部材20及び幅狭部材30、第1部材120及び第2部材130)を互いに回転可能な折りたたみ構成とした場合について述べたが、これに限られるものではなく、例えば、図24に示すように、幅広部材320に対して幅狭部材330をスライド可能な構成とするようにしてもよい。
具体的には、図1との対応部分に同一符号を付して示す図24において、幅広部材320の開口部323に対して、幅狭部材330がガイド部332を介してスライド可能に支持されており、幅狭部材330を幅広部材320の開口部323の内部に収納した収納状態と、幅狭部材330を引き出して展開させた使用状態との間を遷移させることができる。使用者は、使用状態において当接部321を使用者の腹部などに当接させ、携帯端末機器を持った手を支持部331に載せることができる。
また、上述の第3の実施形態においては、透明プラスチックシートを用いて予め組み立てられている補助装置210について述べたが、これに限られるものではなく、例えば、図25~図27に示すように、組立てて使用する構成としてもよい。
具体的に説明すると、図25に示すように、例えば厚紙等の1枚のシート材料を組立前の展開シート301として用意し、この展開シート301に対して、折曲げ部302を線書きによって表示したもの、又は当該線書きと共にボーンフォルダー(bone folder)等の道具を用いて折曲げ部となる箇所に沿って予め溝を付けておき、折り曲げ易くしておく。
この展開シート301を組み立てることにより、図26に示すように、補助装置300を得る。この補助装置300は、使用者の腹部等の前面に当接する当接部330と、使用者の手又は腕を載せる支持部340と、これら当接部330及び支持部340を一体化するアーム部320とを有する。
アーム部320には、ベルト360を掛合するための掛合孔324a、324bを有し、この掛合孔324a、324bにベルト360の掛合部341a、341bを掛合することにより、ベルト360を補助装置300に取り付けることができる。ベルト360の長さは、70cm~120cmの間で可変可能なものとするが、長さはこれに限られるものではない。
このように、補助装置300を組立て式の構成とすることにより、使用開始するまでは、薄いシート状の状態で用意することができ、体積をとらずに販売等を行うことができる。また、使用開始後においても、使用しない場合は組立てを解いて折り畳むことにより、シートの状態にして容易に持ち運ぶことが可能となる。
なお、図25~図27に示した組立て式の補助装置300においては、厚紙のシート材を用いる場合について述べたが、材質としてはこれに限られるものではなく、例えば樹脂でなるシート材等、他の種々の材質のものを用いることができる。また、ポリエチレンテレフタレートといった透明プラスチックシートなど、透明な部材を用いるようにしてもよい。樹脂材を用いる場合、ポリエチレンテレフタレート以外であっても種々の材料を用いることができる。
また、図25~図27に示した組立て式の補助装置300の大きさは、片手(片手用としての補助装置の場合)又は両手(両手用としての補助装置の場合)を載せることができる程度の幅で形成されていればよい。両手を載せる場合は、最大幅が18cm程度あればよいが、これに限られるものではない。
また、上述の実施形態においては、図22に示したように、幅狭部材30の支持部31に手を載せるための凹部31aを形成する場合について述べたが、幅広部材20についても手を載せるための形状を有する構成としてもよい。
具体的には、図1及び図22との対応部分に同一符号を付して示す図28及び図29に示すように、幅広部材20の上面部20aにおいて手を載せるための凹凸形状を有する構成としてもよい。具体的には、幅広部材20の上面部20aにおいて、両側に幅広部材20の厚みが小さくなる薄肉部20b、20cを形成し、図13(b)に示したように、使用者の前面(例えば腹部)に幅狭部材30の支持部31を当接させて使用する場合において、一方の薄肉部20bに左手を載せ、他方の薄肉部20cに右手を載せるようにすれば、両手を安定的に幅広部材20に載せて当該両手を支持することができる。また、幅広部材20の幅方向の中央部には、凹部20dを形成し、この凹部20dに右手又は左手のいずれか一方を載せることにより、当該幅広部材20を一方の手(例えば、携帯端末機器を持つ手)を載せる際に安定的に載せることができる。
なお、幅広部材20の上面部20aの中央部に形成された凹部20dと、当該幅広部材20の上面部20aの両側に形成された薄肉部20b、20cとの間にはそれぞれ薄肉部20b、20c及び凹部20dの厚みよりも厚い凸部20e、20fが形成されており、凹部20dに手を載せた場合には、当該凸部20e、20fにより横方向(左右方向)に手がずれることを防止し得、これにより手を安定的に支えることができる。また、薄肉部20bに左手を載せ薄肉部20cに右手を載せた場合に、凸部20e、20fによって各々の手が横方向にずれることを防止して、安定的に支えることができる。
また、上述の各実施形態において、ベルト40、150、260、360の長さは、70cm~120cmの範囲で可変調整可能なものとしたが、ベルト長はこれに限られず、体格等に合わせて種々の長さのものを適用することができる。
また、上述の各実施形態においては、本発明を携帯端末機器等を使用するための補助装置として用いる場合について述べたが、用途として、例えば、介護用の補助装置として用いることもできる。
具体的には、図13との対応部分に同一符号を付して示す図30(a)、(b)に示すように、補助装置10の手を支える機能を利用して幅広部材20又は幅狭部材30に使用者の手を載せた状態において、使用者が当該手によって携帯端末機器を持って操作した場合に、腕の力が弱い使用者にあっては、携帯端末機器を床に落下させてしまうおそれがある。このような事態の発生を回避するため、幅広部材20に設けられた掛合孔24a又は24bに落下防止ベルト500を装着する。落下防止ベルト500の一端には金属金具で構成された着脱可能なリング状の掛合部502が設けられており、この掛合部502を幅広部材20の掛合孔24a又は24bに掛合することにより、落下防止ベルト500を幅広部材20に装着することができる。
落下防止ベルト500の他端には、クリップ501が設けられており、このクリップ501によって携帯端末機器を挟持することができる。これにより、図31に示すように、使用者が例えば幅広部材20を当該使用者の前面部に当接し、幅狭部材30に手を載せて携帯端末機器を操作する場合、幅広部材20の掛合孔24a又は24bに落下防止ベルト500を装着し、クリップ501によって携帯端末機器を挟持して当該携帯端末機器を操作することにより、使用者が携帯端末機器を誤って落下させた場合でも、落下防止ベルト500によって携帯端末機器は幅広部材20(補助装置10)から吊り下げられた状態となり、床に落下することを回避することができる。
また、使用者の前面に幅狭部材30を当接して使用する場合(図30(b))においても、同様にして落下防止ベルト500を幅広部材20(補助装置10)に装着するとともに、使用者が使用する携帯端末機器をクリップ501で挟持することにより、当該携帯端末機器が床に落下することを回避することができる。
かくして、落下防止ベルト500を有する補助装置10によれば、例えば、腕の力の弱いお年寄りや障害者等の介護が必要な使用者が、携帯端末機器、リモコン及び本等を、手で持ったときにこれらが床に落下することを未然に防止することができる。
また、介護用の補助装置として用いる場合、例えば、図32に示すように、幅広部材20の掛合孔24a及び24bに保持ベルト510を装着し、幅狭部材30又は幅広部材20に載せられた使用者の手を、この保持ベルト510によって保持することもできる。
具体的には、保持ベルト510の一方の端部には、金属金具で構成されたなリング状の掛合部502が設けられており、当該掛合部502は、幅広部材20の掛合孔24a又は24bに着脱可能となっている。一方、保持ベルト510の他方の端部には、掛合部502と同様構成の掛合部503が設けられており、幅広部材20の掛合孔24b又は24aに着脱可能となっている。
これにより、幅狭部材30に手を載せて補助装置10を使用する場合(図32(a))、又は幅広部材20に手を載せて補助装置10を使用する場合(図32(b))のいずれにおいても、幅狭部材30(又は幅広部材20)に手を載せた状態で保持ベルト510補助装置10(掛合孔24a、24b)に装着することにより、幅狭部材30(又は幅広部材20)に載せられた手を保持ベルト510によって補助装置10に保持することができる。
かくして、幅狭部材30又は幅広部材20に載せられた手が、補助装置10からずれ落ちることを防止することができ、例えば腕を怪我した場合や捻挫及び骨折等した場合に、腕を補助装置10によって支持固定することができる。
また、上述の各実施形態においては、幅広部材20の両サイドにベルト40等を掛合するための掛合孔24a、24bを設ける場合について述べたが、これに限らず、又はこれに加えて、例えば図33及び図34に示すように、補助装置10(幅広部材20)の開口部23を形成する内周面23aのうち、当接部21側の内周面部23cに掛合孔23d及び23eを有する掛合部23f及び23gを設けるようにしてもよい。
具体的には、図28との対応部分に同一符号を付して示す図33及び図34に示すように、幅広部材20の開口部23の内周面部23cに、2つの掛合部23f及び23gが開口部23に平行な方向に並んで設けられる。これらの掛合部23f及び23gの掛合孔23d及び23eに例えば落下防止ベルト(図示せず)の一端を繋ぎ、当該落下防止ベルトの他端を使用者の衣服等にクリップ等を用いて係止することにより、補助装置10が落下することを防止することができる。なお、図33及び図34に示す構成では、幅狭部材30を幅広部材20の開口部23内に折り畳んだ際の当接部(ストッパー)として、掛合部23f及び23gを用いることができるようになっている。この当接部は、図14に示した当接部99a、99bと同様の機能を有し、幅広部材20の開口部23に幅狭部材30を収納した際にこれを受け止めるようになっている。このようにすれば、比較的大きな力で収納部23内に幅狭部材30が収納された場合であっても、これを十分な強度で受け止めることが可能となる。
なお、掛合部23f及び23g(掛合孔23d及び23e)には落下防止ベルトに限らず、例えば、使用者が介護を要する者である場合には、介護内容等の情報を記したカード等を結びつけ、病院の医師や周囲の者が必要に応じて当該情報を容易に利用することができるようにすることもできる。
また、掛合部23f及び23g(掛合孔23d及び23e)は、幅広部材20の開口部23における当接部21側の内周面部23cに設ける場合に限らず、開口部23を構成する内周面23aのうちの他の面部に設けるようにしてもよい。
また、掛合部23f及び23g(掛合孔23d及び23e)については、幅広部材20の開口部23内に設ける場合に限らず、例えば、幅広部材20の他の部位又は幅狭部材30の一部等、要は補助装置10の一部に設けるようにすれば、当該掛合部に対して、例えば、落下防止ベルトを取付けることにより、補助装置10が落下することを防止することができる。