JP7063069B2 - 排気浄化装置 - Google Patents

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Description

本願は、排気浄化装置に関する。
特許文献1には、エンジンの排気通路における触媒よりも上流側に、融解点と凝固点とが触媒の活性温度領域内の設定温度近傍にある物質で構成された蓄熱材を設けたエンジンの排気ガス浄化装置が記載されている。
特許文献2には、排気ガス浄化用の触媒を収容する触媒ケースと、触媒を通過する排気ガスの熱を回収するとともに触媒との間で熱伝達を行う排熱回収部とを持つ触媒ケース装置が記載されている。
特開昭60-212608号公報 特開2000-179338号公報
特許文献1に記載の技術では、触媒よりも上流側に蓄熱材が位置しているため、排気のから、触媒やその周囲の排気通路に放熱されてしまい、触媒を効果的に昇温したり保温したりして触媒温度を維持することが難しい場合がある。
引用文献2に記載の技術では、排熱回収部への熱伝達が排気から直接的に行われず、排熱回収部の排熱回収は、触媒ケースからの熱伝達が支配的である。触媒ケースの熱伝導率が低い場合には、排熱回収部への熱伝達に時間を要するため、触媒の温度を効率的に維持することは難しい。
このように、いずれの特許文献に記載の技術も、触媒の温度を効率的に所定の温度域に維持する点において改善の余地がある。
本発明は上記事実を考慮し、触媒を適切な温度域に維持する効果を高めることを課題とする。
第一の態様では、排気管内に設けられ排気を浄化する触媒を担持する触媒担持体と、前記触媒担持体よりも前記排気の下流側の分流部で前記排気管から分岐し、前記触媒担持体の周囲を経て、前記分流部よりも下流側の合流部で前記排気管に合流する副流路と、前記触媒担持体の周囲の位置で前記副流路に設けられる蓄熱部材と、前記排気管における前記排気の流れを前記副流路へ切り替える切替部材と、前記切替部材を制御する制御装置と、を有する。
この排気浄化装置では、排気管内を流れた排気が、触媒担持体で担持された触媒により浄化される。触媒では、排気を浄化する際に反応熱が生じる。
触媒担持体よりも下流側の分流部では、副流路が分岐している。制御装置によって切替部材が切り替えられることで、排気を副流路に流すことができる。副流路には蓄熱部材が設けられている。触媒を通過する際に触媒の反応熱を受けた排気が蓄熱部材を通過することで、触媒の反応熱が排気の流れによって蓄熱部材に作用する。すなわち、触媒の反応熱を利用して、蓄熱部材に短時間で蓄熱して昇温させたり、蓄熱部材の温度を長時間にわたって所定以上に維持したりできる。
副流路は、触媒担持体の周囲を経るように設けられている。そして、この副流路において、触媒担持体の周囲の位置に蓄熱部材が設けられている。触媒担持体の周囲に蓄熱部材が位置するので、排気管外への放熱が蓄熱部材からも行われ、触媒担持体から排気管外への放熱が抑制される。すなわち、触媒の温度を適切な温度域に長時間維持することが可能である。
第二の態様では、第一の態様において、前記制御装置で制御され、前記合流部よりも前記排気の下流側で前記排気管を開閉する下流開閉部材を有する。
下流開閉部材を開状態とすることで、排気管を排気が流れる状態を実現できる。下流開閉部材を閉状態とすることで、下流開閉部材の下流側からの気体が触媒に達することを抑制でき、触媒の温度低下を抑制できる。
第三の態様では、第二の態様において、前記制御装置で制御され、前記触媒担持体よりも前記排気の上流側で前記排気管を開閉する上流開閉部材を有する。
上流開閉部材を開状態とすることで、排気管を排気が流れる状態を実現できる。上流開閉部材を閉状態とすることで、上流開閉部材の上流側からの気体が触媒に達することを抑制でき、触媒の温度低下を抑制できる。
第四の態様では、第三の態様において、エンジンの作動及び停止を検出して前記制御装置に伝えるエンジン作動センサを有し、前記制御装置は、エンジン停止時には前記下流開閉部材及び前記上流開閉部材を閉状態とし、エンジン作動時には前記下流開閉部材及び前記上流開閉部材を開状態とする。
エンジン作動時には、下流開閉部材及び上流開閉部材を開状態とするので、エンジンからの排気が排気管を流れる。エンジン停止時には、下流開閉部材及び上流開閉部材を閉状態とするので、下流開閉部材の下流側及び上流開閉部材の上流側からの気体が触媒に達することを抑制できる。
第五の態様では、第一~第四のいずれか1つの態様において、前記蓄熱部材の温度を検出する蓄熱部材温度センサと、前記触媒担持体の温度を検出する触媒担持体温度センサと、を有し、前記制御装置は、前記蓄熱部材の温度及び前記触媒担持体の温度に基づいて前記切替部材を制御する。
蓄熱部材の温度及び触媒担持体の温度に基づいて、切替部材が制御されることで、排気から蓄熱部材や触媒担持体(触媒)への熱の授受や、触媒担持体(触媒)から蓄熱部材への熱の授受を適切に制御できる。
第六の態様では、第一~第五のいずれか1つの態様において、前記蓄熱部材が、蓄熱材が収容される収容部材を有する。
蓄熱部材が収容部材を有しており、収容部材に蓄熱材に収容されているので、この蓄熱材への熱の授受により、蓄熱及び放熱を確実に行うことができる。蓄熱材は収容部材に収容されているので漏れ出すことはない。
第七の態様では、第六の態様において、前記蓄熱部材が、前記収容部材から延出されるフィンを有する。
収容部材からはフィンが延出されており、実質的な収容部材の表面積が広くなっているので、蓄熱材への熱の授受を効率的に行うことができる。
第八の態様では、第一~第七のいずれか1つの態様において、前記副流路の周囲に、内部圧力が負圧の二重管部が設けられる。
副流路の周囲に、内部圧力が負圧の二重管部が設けられるので、このような二重管部がない構成と比較して、断熱効果が高い。すなわち、副流路の排気や蓄熱部材から排気管外への放熱を抑制できる。
第九の態様では、第八の態様において、前記二重管部の内部に、熱を輻射し吸収する輻射吸収部材が配置されている。
二重管部の内部に輻射吸収部材が配置されるので、排気の熱が輻射吸収部材により吸収される。このため、輻射吸収部材がない構造と比較して、副流路を流れる排気から排気管外への放熱を、より効果的に抑制できる。
本発明は上記構成としたので、触媒を適切な温度域に維持する効果が高い。
図1は第一実施形態の排気浄化装置を示す断面図である。 図2は第一実施形態の排気浄化装置を示す図1の2-2線断面図である。 図3は第一実施形態の排気浄化装置を部分的に拡大して示す断面図である。 図4は第一実施形態及び比較例の排気浄化装置における蓄熱材の蓄熱量の時間変化を示すグラフである。 図5は第二実施形態の排気浄化装置を示す断面図である。 図6は第二実施形態の排気浄化装置の蓄熱部材に用いられる蓄熱材容器を示す一部破断斜視図である。 図7は第三実施形態の排気浄化装置を示す断面図である。 図8は第四実施形態の排気浄化装置を示す断面図である。 図9は第五実施形態の排気浄化装置を示す断面図である。 図10は第一変形例の排気浄化装置を図2と同様の断面で示す断面図である。 図11は第二変形例の排気浄化装置を図2と同様の断面で示す断面図である。
以下、図面を参照して第一実施形態の排気浄化装置12を説明する。
図1及び図2に示すように、排気浄化装置12は、排気管14の内部に取り付けられる触媒担持体16を有している。本実施形態では、排気管14は略円筒形であるが、長手方向の一部分は他の部分よりも径が太い太径配管14Bである。触媒担持体16は太径配管14Bに配置されている。
以下において、単に「上流側」及び「下流側」というときは、排気管14内での排気の流れ方向(矢印F1方向)における上流側及び下流側をそれぞれいうものとする。
排気管14において、太径配管14Bよりも上流側の部分は上流配管14Aであり、下流側の部分は下流配管14Cである。そして、上流配管14Aから太径配管14Bを経て下流配管14Cに至る部分が、エンジンからの排気が流れる主流路22である。上流配管14Aと太径配管14Bとの間は径が徐々に変化するテーパー配管14Dにより連続しているが、太径配管14Bと下流配管14Cの間は不連続であり、後述する分流部26及び合流部28が設けられている。
触媒担持体16は、薄板を、たとえば波状あるいはハニカム状とすることで、表面積が増大された構造であり、この表面に、触媒が担持されている。触媒は、排気管14内を流れる排気中の物質(炭化水素等)を浄化する作用を有している。このような作用を奏する触媒としては、白金、パラジウム、ロジウム等を挙げることができる。なお、触媒担持体16の表面積を増大させる構造は、上記した波状やハニカム状に限定されない。
触媒担持体16は、排気管14の内部に収容されるように、全体として円柱状あるいは円筒状に形成されている。
排気管14の太径配管14Bと、この太径配管14Bの上流側及び下流側を含む所定範囲は、太径配管よりもさらに太径の外筒18で覆われている。図2に示すように、第一実施形態の外筒18は、太径配管14Bを周方向に取り囲む円筒状である。
外筒18の上流端部18Aは、径が上流側へと漸減する上流テーパー部18Bにより上流配管14Aに接続され、下流端部18Eは、径が下流側へと漸減する下流テーパー部18Dにより下流配管14Cに接続されている。
太径配管14Bと外筒18の間には、中間筒20が配置されている。中間筒20と太径配管14B及び外筒18とは離間している。中間筒20の下流側は、下流テーパー部20Bにより、径が下流側へ漸減している。そして、中間筒20の下流端部20Cは、排気管14及び外筒18と非接触である。これに対し、中間筒20の上流側には径が漸減する部分は形成されておらず、上流端部20Aは排気管14及び外筒18と非接触である。
このような外筒18及び中間筒20を設けたことで、触媒担持体16の下流側には、分流部26によって主流路22から分岐し、主流路22の外側で触媒担持体16の周囲を経て、合流部28により主流路22に合流する副流路24が形成されている。具体的には、副流路24は、中間筒20の下流テーパー部20Bと太径配管14Bの下流端の間の分流部26で主流路22から分岐する。そして、中間筒20と太径配管14Bの間を上流側に至り、中間筒20の上流端部20Aで折り返して、外筒18と中間筒20の間を通って下流側に至る。さらに、外筒18の下流テーパー部18Dと中間筒20の下流テーパー部20Bの間の合流部28で主流路22に合流する。
中間筒20の下流端部20Cには切替弁30が設けられている。切替弁30は切替部材の一例である。
本実施形態の切替弁30は、排気の流れ方向と直交する軸32を中心として回転可能な弁体34を有している。弁体34の回転角度は、制御装置36によって制御される。そして、切替弁30は、弁体34の回転角度により、図1に実線で示す閉状態HSと、二点鎖線で示す開状態KSとを採り得る。
制御装置36には、エンジンの作動及び停止を検知するエンジン作動センサ38が接続されている。なお、制御装置36がエンジンの状態を制御することを可能な構成としてもよく、この場合は、制御装置が、エンジン作動センサを兼ねる。
切替弁30が開状態KSにあるときは、太径配管14Bを流れた排気は、下流配管14C(主流路22)と副流路24の両方に流れることが可能である。ただし、主流路22の方が副流路24よりも流路抵抗が小さいので、排気の多くは、副流路24を経ることなく、直接的に下流配管14Cへ流れる。これに対し、切替弁30が閉状態HSにあるときは、太径配管14Bを流れた排気は直接的には下流配管14Cに流れないので、副流路24を流れる。そして、副流路24を排気が流れた後、合流部28を通って太径配管14Bへ流れる。
副流路24には、蓄熱部材40が配置されている。図3に詳細に示すように、蓄熱部材40は、外筒18の内周面、中間筒20の外周面及び内周面、太径配管14Bの外周面に接触配置される収容部材42を有している。収容部材42は中空状であり、内部に蓄熱材が収容されている。副流路24を流れる排気と、収容部材42内の蓄熱材とで熱交換がなされる。たとえば、副流路24を流れる排気が収容部材42内の蓄熱材より高温である場合は、排気の熱が蓄熱材に移動し、蓄熱材に蓄熱されると共に、排気の温度が低下する。これとは逆に、副流路24を流れる排気が収容部材42内の蓄熱材より低温である場合は、蓄熱材の熱が排気に移動し、排気の温度が上昇する。
収容部材42からは、副流路24に向けて、複数のフィン44が延出されている。フィン44により、収容部材42の実質的な表面積が増大されている。すなわち、蓄熱部材40は、収容部材42とフィン44とを有し、内部の蓄熱材に対して外部と熱交換を行う熱交換器である。
次に、本実施形態の作用を説明する。
第一実施形態の排気浄化装置12では、上流配管14Aから太径配管14Bを流れた排気は、触媒担持体16に担持された触媒によって排気が浄化される。切替弁30が開状態KS(図1に二点鎖線で示す)にあるとき、太径配管14Bを流れる排気の多くは、副流路24ではなく下流配管14Cへ、すなわち下流側の主流路22へ直接的に流れる。また、副流路24へ流れた排気も、合流部28から主流路22に合流して、下流配管14Cをさらに下流へ流れる。
触媒担持体16が触媒活性温度以上であれば、排気が触媒担持体16を通過する際に触媒と反応すると反応熱が生じる。この反応熱が排気に作用することで、触媒担持体16を通過した後の排気は、通過する前よりも昇温される。
切替弁30が開状態KS(図1に二点鎖線で示す)にあるとき、排気の多くは直接的に下流配管14Cに流れる。したがって、触媒の反応熱で排気が昇温されていても、この反応熱が排気によって蓄熱部材40に運ばれることはないか、もしくは運ばれる熱量が、後述するように切替弁30が閉状態HSの場合より少ない。
これに対し、切替弁30が閉状態HS(図1に実線で示す)にあるとき、太径配管14Bを流れた排気は、直接的には下流配管14C、すなわち下流側の主流路22へは流れず、副流路24を流れる。副流路24には蓄熱部材40が配置されているので、排気の熱の一部が蓄熱部材40に蓄熱される。上記したように、触媒で生じた反応熱によって排気が昇温されているので、排気により、触媒の反応熱が実質的に蓄熱部材40に運ばれて、蓄熱部材40に蓄熱される。
図4には、本実施形態と、比較例の排気浄化装置における蓄熱部材への蓄熱量の時間変化がグラフで示されている。このグラフにおいて、実線が第一実施形態、二点鎖線が比較例に対応する。
比較例の排気浄化装置は、触媒担持体16の上流側の分流部で副流路が分岐し、分流部と触媒担持体の間の合流部で、主流路に合流する構成である。そして、分流部に、排気の流路を主流路と副流路とに切り替える切替弁が設けられると共に、副流路に、本実施形態と同様の蓄熱部材が設けられている。
図4のグラフで、蓄熱開始のタイミング(時間の原点)は、第一実施形態及び比較例において、切替弁を開弁状態から閉弁状態に切り替え、副流路に排気が流れるようになった時点としている。
比較例の排気浄化装置においても、排気が副流路を流れることで、排気の熱が蓄熱部材に蓄熱されるので、時間経過と共に蓄熱量は徐々に増加している。
これに対し、第一実施形態の排気浄化装置12では、上記したように、触媒の反応熱が、排気の流れによって蓄熱部材40に作用している。したがって、第一実施形態では比較例よりも、単位時間あたりの蓄熱量が多くなっており、図4のグラフにおいては、直線の傾きが急になっている。すなわち、第一実施形態では比較例よりも、より短時間で蓄熱が完了していることが分かる。
このように、本実施形態では、触媒が排気を浄化する際の反応熱を利用して、蓄熱部材40に蓄熱する。したがって、反応熱を蓄熱部材40に作用させない構成(たとえば比較例の構成)と比較して、蓄熱部材40に短時間で迅速に蓄熱させて昇温させたり、蓄熱部材40の温度を長時間にわたって所定以上に維持したりできる。
なお、排気が副流路24を流れ、排気の熱が蓄熱部材40に移動すると、排気の温度は低下する。そして、温度が低下した状態の排気が、合流部28から下流配管14C(主流路22)に合流してさらに下流側へ流れる。
副流路24は触媒担持体16の周囲を経るように設けられている。すなわち、蓄熱した状態にある蓄熱部材40が、触媒担持体16の周囲に配置されている。したがって、排気管14の外部への放熱が、触媒担持体16から直接的に成されず、蓄熱部材40から成される。触媒担持体16からの放熱が抑制されるので、触媒担持体16に担持された触媒の温度低下を抑制でき、所定温度、たとえば触媒活性化温度に長時間維持することが可能となる。
加えて、たとえばエンジンが停止し、排気が触媒担持体16に導入されない状態でも、触媒担持体16に担持された触媒を保温でき、触媒の温度低下を抑制できる。特に、蓄熱部材が、たとえば上流配管14Aに配置された構造と比較して、蓄熱部材40からの熱伝導や、蓄熱部材40から副流路24を移動した気体の自然対流等により、触媒担持体16に効果的に蓄熱部材40の熱を作用させることができる。
エンジンの出力として高出力が要求される場合は、本実施形態では、切替弁30は開状態KS(図1に二点鎖線で示す)とされる。切替弁30が開状態KSにあるとき、太径配管14Bを流れる排気の多くは、副流路24ではなく下流配管14Cへ、すなわち下流側の主流路22へ直接的に流れる。これにより、切替弁30が閉状態にある場合と比較して、排気の流れに対する圧力損失が小さくなるので、エンジン出力の低下を抑制できる。
次に、第二実施形態について説明する。第二実施形態において、第一実施形態と同様の要素、部材等については同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
図5に示すように、第二実施形態の排気浄化装置122では、蓄熱部材40が、複数の蓄熱材容器124を有している。第二実施形態の蓄熱材容器124は、図6に示すように、球形の外殻126を有しており、外殻126の外径は、たとえば1~10mm程度である。蓄熱材容器124の外殻126の材料としては、たとえば金属であってもよいが、本実施形態ではセラミックである。この外殻126の内側に、蓄熱材が封入されている。そして、複数の蓄熱材容器124が焼結されて一体化され、一定形状を維持する蓄熱材焼結体123が形成されている。
このような蓄熱材焼結体123では、蓄熱材容器124が相互に焼結されて固着されており、蓄熱材容器124の間に隙間が生じている。この隙間を排気が通過するので、蓄熱材容器124の内部の蓄熱材と熱交換できる。蓄熱材焼結体123では、蓄熱材容器124を相互に固着するための接着剤等の部材が不要であるため、隙間を広く確保でき、排気と蓄熱材との効率的な熱交換が可能である。
次に、第三実施形態について説明する。第三実施形態において、第一実施形態と同様の要素、部材等については同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
図7に示すように、第三実施形態の排気浄化装置132では、副流路24の周囲に位置する二重管部134が設けられている。図7に示す例では、二重管部134は、外筒18のさらに外周側に外管138が配置され、外筒18と外管138とで、二重構造の二重管部134が構成されている。
外管138の上流側端部は上流配管14Aに外周側から密着され、外管138の下流側端部は下流配管14Cに外周側から密着されている。したがって、二重管部134の内部は、外気に対し密閉された空間である。そして、二重管部134の内部は、大気圧よりも気圧が低くされると共に、熱を輻射し吸収する輻射吸収部材136が配置されている。
このように、第三実施形態の排気浄化装置132では、蓄熱部材40の外周に、負圧とされることで断熱効果が高くされた二重管部134が位置している。したがって、このような二重管部134がない構造と比較して、副流路24を流れる排気や、蓄熱部材40から排気管14の外部への放熱を抑制できる。
また、第三実施形態の排気浄化装置132では、二重管部134の内部に配置された輻射吸収部材136により、熱を吸収できる。したがって、このような輻射吸収部材136がない構造と比較して、蓄熱部材40から排気管14の外部への放熱を抑制できる。
輻射吸収部材136としては、たとえば、シリカやアルミナ等、内部に複数の孔部を有する多孔質粒子や、エアロゲル等の多孔質体、さらには、銅等の金属箔を複数重ねた多層金属箔等を挙げることができる。
なお、輻射吸収部材136の種類によっては、表面にガスが吸着しているものがある。このような種類の輻射吸収部材を用いる場合は、たとえば、真空ロウ付け等により、輻射吸収部材の使用温度以上に加熱してガスを十分に放出した状態で、二重管部134の内部に配置すればよい。これにより、使用状態での輻射吸収部材136からのガスの放出が抑制されるので、二重管部134内の気圧を低く維持でき、二重管部134の熱伝導率を低く維持できる。
二重管部134の範囲は、図7に示す例では、外筒18の上流端部18Aから下流端部18Eに至る部分としているが、これに限定されない。たとえば、外筒18の上流端部18Aよりもさらに上流側の位置から下流端部18Eよりもさらに下流側の位置まで設けられていてもよい。副流路24の周囲に対応して二重管部134が存在していれば、副流路24を流れる排気から排気管14の外部への放熱も抑制できる。
次に、第四実施形態について説明する。第四実施形態において、第一実施形態又は第三実施形態と同様の要素、部材等については同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
図8に示すように、第四実施形態の排気浄化装置62では、上流配管14Aに上流開閉弁64が設けられ、下流配管14Cに下流開閉弁66が設けられている。上流開閉弁64及び下流開閉弁66は、制御装置36によって制御される。
上流開閉弁64は、触媒担持体16の位置で、排気管14(主流路22)を開閉する弁であり、上流開閉部材の一例である。下流開閉弁66は、合流部28よりも下流側の位置で、排気管14(主流路22)を開閉する部材であり、下流開閉部材の一例である。
このような構成とされた第四実施形態の排気浄化装置62では、第一実施形態の排気浄化装置12と同様の作用効果を奏するが、さらに、以下の作用効果を奏する。
すなわち、第四実施形態の排気浄化装置62では、たとえば、エンジンの停止時に、制御装置36は、上流開閉弁64及び下流開閉弁66を閉じる。
上流開閉弁64の上流側に存在している気体は、触媒担持体16の近傍の気体よりも低温の場合がある。したがって、上流開閉弁64が閉じられていないと、上流開閉弁64の上流側と下流側との気体の移動(対流)が生じ、触媒担持体16の近傍の空気の温度が低下することがある。しかし、本実施形態では、上流開閉弁64が閉じられるので、上流開閉弁64の上流側と下流側との気体の移動が阻止される。このため、上流開閉弁64の上流側にある低温の気体が触媒担持体16に流入しなくなる。また、触媒担持体16の近傍の空気が上流開閉弁64の上流側へ移動しなくなる。すなわち、触媒担持体16の温度低下を抑制できる。
また、下流開閉弁66の下流側に存在している気体は、触媒担持体16の近傍の気体よりも低温の場合がある。したがって、下流開閉弁66が閉じられていないと、下流開閉弁66の上流側と下流側との気体の移動が生じ、触媒担持体16の近傍の空気の温度が低下することがある。しかし、本実施形態では、下流開閉弁66が閉じられるので、下流開閉弁66の上流側と下流側との気体の移動が阻止される。このため、下流開閉弁66の下流側にある低温の気体が触媒担持体16に流入しなくなる。また、触媒担持体16の近傍の空気が下流開閉弁66の下流側へ移動しなくなる。すなわち、触媒担持体16の温度低下を抑制できる。
そして、上流開閉弁64と下流開閉弁66とを閉じることで、触媒担持体16及び蓄熱部材40は、上流開閉弁64と下流開閉弁66との間の密閉された空間に位置することになる。触媒担持体16と蓄熱部材40との温度差による気体の対流が生じるが、この対流により、密閉空間の内部の高温の気体が上流配管14A内や下流配管14C内に逃げることが抑制され、触媒担持体16と蓄熱部材40との熱交換を促進できる。
なお、たとえば、エンジンから触媒担持体16までの距離(実質的には上流配管14Aの長さ)が短く、上流配管14Aから外部への放熱が少ない場合等は、上流開閉弁64を省略してもよい。上流開閉弁64を省略しても、切替弁30を閉じることで、切替弁30の上流側と下流側との気体の移動を阻止できる。この場合は、切替弁30が上流開閉部材を兼ねる構造である。
次に、第五実施形態について説明する。第五実施形態において、第一実施形態、第三実施形態又は第四実施形態と同様の要素、部材等については同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
図9に示すように、第五実施形態の排気浄化装置72では、蓄熱部材温度センサ76及び触媒担持体温度センサ78を有している。
蓄熱部材温度センサ76は、蓄熱部材40に接触配置されており、蓄熱部材40の温度を検出して、制御装置36に送信する。
触媒担持体温度センサ78は、触媒担持体16に接触配置されており、触媒担持体16の温度を検出して、制御装置36に送信する。触媒担持体の温度は、実質的に触媒の温度に等しいので、以下では、触媒担持体温度センサ78で検出した温度は、単に触媒温度とする。
制御装置36は、エンジンの動作に加えて、蓄熱部材温度及び触媒温度に基づき、切替弁30、上流開閉弁64及び下流開閉弁66について、以下の各種制御を実行することが可能である。
たとえば、触媒担持体温度センサ78によって検出した触媒担持体16の温度履歴から、触媒担持体16の温度が、触媒活性化温度よりも低くなると予想される場合がある。このような場合で、且つエンジンが駆動していない状態では、制御装置36は、エンジンを始動し、エンジンからの排気を、排気管14に流す。そして、触媒担持体16に担持された触媒では、排気を浄化するため、反応熱が生じる。さらにこのとき、制御装置36は、上流開閉弁64及び下流開閉弁66を開弁すると共に、切替弁30を閉弁する。
これにより、エンジンの排気の熱が触媒担持体16に作用する。また、触媒の反応熱が蓄熱部材40に作用するので、蓄熱部材40の温度低下が抑制される。そして、温度低下が抑制された蓄熱部材40によって、触媒担持体16からの放熱が抑制されるので、触媒担持体16を効果的に昇温したり、所定の温度範囲内に維持したりすることが可能である。
また、エンジンの駆動中は、エンジンの排気熱や、触媒反応熱が蓄熱部材40に蓄熱されている。したがって、蓄熱部材温度センサ76で検出した蓄熱部材の温度履歴から、蓄熱部材40への蓄熱(熱を作用させる動作)を終了しても良いと判断される場合がある。このような場合には、制御装置36は、切替弁30、上流開閉弁64及び下流開閉弁66をいずれも開弁する。これにより、排気は主流路22を流れるようになり、副流路24を排気が流れる場合の圧力損失が生じなくなるので、エンジンからの排気を排気管14内にスムーズに流すことができ、エンジンの出力低下を抑制できる。
さらに、エンジン駆動中で、且つ副流路24に排気が流れている状態では、蓄熱部材温度センサ76によって検出した蓄熱部材40の温度履歴から、蓄熱材の劣化温度あるいは分解温度になることが予想される場合がある。この場合には、切替弁30を開弁することで、排気が副流路24に流れない状態、すなわち、触媒の反応熱が蓄熱部材40に作用しない状態とし、蓄熱部材40の過度の温度上昇を抑制できる。
第一~第五実施形態において、副流路24の構造は、上記したものに限定されず、図10に示す第一変形例や、図11に示す第二変形例の構造を採り得る。
図10に示す第一変形例の排気浄化装置82では、外筒84が、一対の平行な平坦部86を有している。平坦部86の間隔は、太径配管14Bの外径と等しく、平坦部86は幅方向(矢印W1方向)の中央で太径配管14Bに接触している。そして、中間筒88も、平坦部86の間に位置するように、断面にて左右2つの円弧形状に形成されている。
第一変形例では、外筒84の高さが、第一実施形態の外筒18の高さよりも低い。したがって、第一変形例では、排気浄化装置82を、その周囲の部材との干渉を避けて配置することができ、配置の自由度が高い。
図11に示す第二変形例の排気浄化装置92では、外筒94が、平坦部86に加えて、さらに、一対の平行な平板部96を有しており、外筒94は、流れ方向と直交する断面で見て長方形状である。また、中間筒98も、外筒94の平板部96と平行な平坦部100を有している。さらに、中間筒98と太径配管14Bの間に、平坦部100と平行な隔壁102が形成されている。
第二変形例では、このように、外筒94が流れ方向と直交する断面で見て長方形状であり、曲面部分が存在しない。また。中間筒98にも曲面部分が存在しない。したがって、外筒94及び中間筒98の成形が容易であり、排気浄化装置92を低コストで製造できる。
上記した各実施形態及び変形例の排気浄化装置において、蓄熱材としては、高温の排気からの熱を受けて蓄熱することができると共に、低温の排気に対して放熱できれば特に限定されない。たとえば、100℃以上600℃以下の範囲に融点がある溶融塩を用いることができる。溶融塩は、常温で固体の塩や酸化物を、加熱により融解して液体にした物質であり、陽イオンと陰イオンとで構成されている。そして、相変化(融解、一次転移又は二次転移)に伴ってエンタルピーが変化し、蓄熱及び放熱する。
Figure 0007063069000001
上記の表から分かるように、上記各実施形態において実際に蓄熱及び放熱する際の相変化は、固相と液相との相転移を伴う融解であってもよく、相変化時には蓄熱材は潜熱として蓄熱及び放熱する。これに対し、固相と液相との相転移を伴わない相変化で蓄熱及び放熱してもよい。
これらの溶融塩において、特に、相変化温度が100℃以上600℃以下の範囲の溶融塩は、排気との熱交換を効率よく行うことができ、各実施形態及び変形例の排気浄化装置に好ましく適用できる。
なお、溶融塩の種類によっては、相変化によって体積変化する溶融塩もある。体積変化する溶融塩を用いる場合は、収容部材42において、溶融塩の体積変化を吸収できるように十分な容積を確保しておけばよい。
12 排気浄化装置
14 排気管
16 触媒担持体
18 外筒
22 主流路
24 副流路
26 分流部
28 合流部
30 切替弁
36 制御装置
38 エンジン作動センサ
40 蓄熱部材
42 収容部材
44 フィン
62 排気浄化装置
64 上流開閉弁
66 下流開閉弁
72 排気浄化装置
76 蓄熱部材温度センサ
78 触媒担持体温度センサ
82 排気浄化装置
92 排気浄化装置
94 外筒
100 平坦部
102 隔壁
122 排気浄化装置
123 蓄熱材焼結体
124 蓄熱材容器
132 排気浄化装置
134 二重管部
136 輻射吸収部材

Claims (9)

  1. 排気管内に設けられ排気を浄化する触媒を担持する触媒担持体と、
    前記触媒担持体よりも前記排気の下流側の分流部で前記排気管から分岐し、前記触媒担持体の周囲を経て、前記分流部よりも下流側の合流部で前記排気管に合流する副流路と、
    前記触媒担持体の周囲の位置で前記副流路に設けられる蓄熱部材と、
    前記排気管における前記排気の流れを前記副流路へ切り替える切替部材と、
    エンジンの作動及び停止を検出するエンジン作動センサと、
    前記エンジン作動センサが接続され前記切替部材を制御する制御装置と、
    を有する排気浄化装置。
  2. 前記制御装置で制御され、前記合流部よりも前記排気の下流側で前記排気管を開閉する下流開閉部材を有する請求項1に記載の排気浄化装置。
  3. 前記制御装置で制御され、前記触媒担持体よりも前記排気の上流側で前記排気管を開閉する上流開閉部材を有する請求項2に記載の排気浄化装置。
  4. 記制御装置は、エンジン停止時には前記下流開閉部材及び前記上流開閉部材を閉状態とし、エンジン作動時には前記下流開閉部材及び前記上流開閉部材を開状態とする請求項3に記載の排気浄化装置。
  5. 前記蓄熱部材の温度を検出する蓄熱部材温度センサと、
    前記触媒担持体の温度を検出する触媒担持体温度センサと、
    を有し、
    前記制御装置は、前記蓄熱部材の温度及び前記触媒担持体の温度に基づいて前記切替部材を制御する請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の排気浄化装置。
  6. 前記蓄熱部材が、
    蓄熱材が収容される収容部材を有する請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の排気浄化装置。
  7. 前記蓄熱部材が、前記収容部材から延出されるフィンを有する請求項6に記載の排気浄化装置。
  8. 前記副流路の周囲に、内部圧力が負圧の二重管部が設けられる請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の排気浄化装置。
  9. 前記二重管部の内部に、熱を輻射し吸収する輻射吸収部材が配置されている請求項8に記載の排気浄化装置。
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