JP7061776B1 - 屋内衛生評価装置 - Google Patents

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    • G01N21/00Investigating or analysing materials by the use of optical means, i.e. using sub-millimetre waves, infrared, visible or ultraviolet light
    • G01N21/62Systems in which the material investigated is excited whereby it emits light or causes a change in wavelength of the incident light
    • G01N21/63Systems in which the material investigated is excited whereby it emits light or causes a change in wavelength of the incident light optically excited
    • G01N21/64Fluorescence; Phosphorescence

Abstract

本発明は、簡単でかつ容易に屋内の空気の安全性を評価する。吸気口10a、10b及び排気口10cを有するケース体10と、排気口10cに設けられ、ケース体10の内部の空気を吸気して外部に排出する吸引装置20と、ケース体10の内部で排気口10cの手前に配置され、エアロゾルを捕捉可能な吸着フィルタ11と、吸着フィルタ11に励起光を照射して、吸着フィルタ11が捕捉したエアロゾルに含まれる自家発光性を有するタンパク質を発光させるLED光源13a、13b、13cと、吸着フィルタ11において自家発光しているタンパク質を撮影するカメラ14と、カメラ14が撮影した吸着フィルタ11の画像に含まれる発光領域に基づいて、屋内空間の安全度を評価する評価手段(CPU41)と、を備え、LED光源13a、13b、13cは、互いに波長が異なる励起光を発生する。

Description

本発明は、屋内空間に漂うエアロゾルによる健康へ影響を評価する屋内衛生評価装置に関する。
西暦2020年初頭から新型コロナウイルス(COVID-19)の感染者が拡がっており、全世界的な問題となっている。感染防止策として、身近なところではうがいや手洗いの励行、マスクの着用等が推奨されている。また、主な感染ルートが接触や飛沫によるところから、室内の飛沫を少なくするために室内の換気を行うことが推奨されている。このような背景から、社会衛生に対する関心が高まっており、特に、屋内空間の安全性に対する関心が非常に高まっている。
ところで、新型コロナウイルスに関わらず、屋内の空気中に漂うウイルスや細菌を検知することができれば、ウイルスに対する屋内空間の安全性を評価することができる。
ウイルスを検知する技術としては、従来、特許文献1に記載された技術がある。この技術は、空気中のA型インフルエンザウイルスを含み得る微粒子を捕集して捕集液に混合し、検出装置が、捕集液から表面増強蛍光法を利用して該ウイルスの核内タンパク質(NP:Nucleoprotein)を光学的に検出する、というものである。
特開2020-12700号公報
しかしながら、特許文献1に記載されている検知システムは、捕集液を保持する補修タンク以外に、洗浄液を保持する洗浄タンクや廃水を保持する廃水タンク等が設置されており、比較的大掛かりである。このため、別の場所に移動して微粒子を捕集して捕集液に混合することが困難であり、微粒子を捕集できるエリアが限られる。しかも、A型インフルエンザウイルスの検出に試薬を用いており、その分手間や時間及びコストがかかる。
また、励起光の照射を照射している明るい状況の中において、捕集液内を散乱している蛍光を検知するため、蛍光を計測することが困難である。
そこで、屋内における様々な場所での検出作業が可能であり、しかも作業が簡単であり、評価が出るまでの時間が短い屋内衛生評価装置の出現が望まれている。
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、簡単でかつ容易に屋内の空気の安全性を評価することが可能な屋内衛生評価装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明は以下のような構成を備えている。
本発明の屋内衛生評価装置は、
外部の空気を導入可能な吸気口(例えば、吸気口10a、10b)及び導入した空気を排出する排気口(例えば、排気口10c)を有する箱体(例えば、ケース体10)と、
前記排気口に設けられ、前記箱体の内部の空気を吸気して外部に排出する吸引手段(例えば、吸引装置20)と、
前記箱体の内部で前記排気口の手前に配置され、前記箱体の内部に吸引された空気内に含まれるエアロゾルの少なくとも一部を捕捉可能なフィルタ(例えば、吸着フィルタ11)と、
前記フィルタに、前記フィルタが捕捉したエアロゾルに含まれる自家発光性を有するタンパク質を発光させる励起光を照射する励起光源(例えば、LED光源13a、13b、13c)と、
前記フィルタにおいて自家発光しているタンパク質を撮影する撮影手段(例えば、カメラ14)と、
前記撮影手段が撮影した前記フィルタの画像に含まれる発光領域に基づいて、屋内空間の安全度を評価する評価手段(例えば、CPU41)と、
前記励起光源を発光させて前記撮影手段を駆動させる制御を行う制御手段(例えば、CPU41)と、
を備え、
前記励起光源は複数備えられ、複数の前記励起光源は、互いに波長が異なる励起光を発生することを特徴とする。
本発明の屋内衛生評価装置によれば、フィルタが捕捉したエアロゾルに励起光を照射して、自家発光性を有するタンパク質を発光させ、発光したタンパク質を撮影し、その撮影画像に基づいて、空気中に漂う自家発光性を有するタンパク質を含むエアロゾルを定量的に測定する。これにより、タンパク質を含むエアロゾルは、ウイルスや細菌が付着している可能性があることから、エアロゾルを定量的に測定することにより、屋内空間に漂うエアロゾルによる健康へ影響度を評価することが可能になる。このように、吸引手段を駆動させてフィルタにエアロゾルを付着、堆積させることによって被検試料が作成できるため、被検試料を作成するための手間が大幅に削減できる。しかも、評価までにかかる時間は、吸引手段の駆動時間と、励起光照射及び撮影の時間と、撮影手段が撮影したフィルタの画像に含まれる発光領域を集計する時間とが必要となる。このため、特に、発光領域の集計をコンピュータによる画像処理で行うことによって、評価までにかかる時間を大幅に短縮することが可能になり、簡単でかつ容易に屋内の空気の安全性を評価することが可能な屋内衛生評価装置を提供することができる。
また、本発明の屋内衛生評価装置は、前記屋内衛生評価装置において、
前記箱体、前記吸引手段、前記励起光源、前記撮影手段及び前記評価手段を収納する、持ち運び自在の収納ケース(例えば、収納ケース100)を更に備えることを特徴とする。
このような構成を有する本発明の屋内衛生評価装置によれば、屋内衛生評価装置の持ち運びが自在であることから、様々な場所における屋内の空気の安全性を評価することが可能になる。
また、本発明の屋内衛生評価装置は、前記屋内衛生評価装置において、
複数の前記励起光源にそれぞれ対応し、前記撮影手段が取り込む光から少なくとも前記励起光源が発生する励起光の波長以下の波長の光をカットする複数の光学フィルタ(例えば、光学フィルタ14b)と、前記撮影手段が前記フィルタの撮影を行う際に、複数の前記光学フィルタの中から前記励起光源に対応する前記光学フィルタを前記撮影手段のレンズ(例えば、レンズ14a)の前に配置させる切替手段(例えば、フィルタターレット装置15)と、更に備えることを特徴とする。
このような構成を有する本発明の屋内衛生評価装置によれば、励起光源の励起光が撮影手段のレンズに入る前に光学フィルタによってカットされるために、撮影手段が撮影した画像に、LED光源13aからの光が映り込むことを防止することができる。これにより、撮影手段が撮影した画像に基づいて、エアロゾル量をより正確に検出することが可能になる。
また、本発明の屋内衛生評価装置は、前記屋内衛生評価装置において、
複数の前記光学フィルタの一つは、特定のタンパク質を発光させる励起光の波長から前記特定のタンパク質の発光の波長までの範囲のみを透過することを特徴とする。
このような構成を有する本発明の屋内衛生評価装置によれば、励起光の波長よりも、励起光によって自家発光した波長の方が長いことから、光学フィルタの一つを、特定のタンパク質を発光させる励起光の波長から前記特定のタンパク質の発光の波長までの範囲のみを透過するものとすることにより、特定のタンパク質と他のタンパク質とを区別して測定することが可能になる。
また、本発明の屋内衛生評価装置は、前記屋内衛生評価装置において、
複数の前記励起光源の一つが発生する励起光の波長は、440nm以上460nm未満の範囲にあることを特徴とする。
このような構成を有する本発明の屋内衛生評価装置によれば、フラビン類のタンパク質を発光させることが可能になる。
また、本発明の屋内衛生評価装置は、前記屋内衛生評価装置において、
前記評価手段は、前記発光領域に対応する画素の明るさを求め、明るさ毎の画素数を集計し、明るさ毎の明るさと画素数との乗算値の総和に基づいて屋内空間の安全度を評価することを特徴とする。
このような構成を有する本発明の屋内衛生評価装置によれば、明るさ毎の明るさと画素数との乗算値の総和は、フィルタに付着したタンパク質の濃度に相当する。このため、明るさが小さい画素が多数ある場合と、明るさが大きい画素が小数である場合とにおいて、乗算値の総和が同じになる場合がある。この場合、後者の方が健康に対する影響が大きいと評価することが可能になる。このように、精度の高い評価を行うことが可能になる。
また、本発明の屋内衛生評価装置は、前記屋内衛生評価装置において、
前記吸引手段による吸気を開始する前に、前記フィルタに紫外線を照射する初期化光源(例えば、LED光源13d)を更に備えることを特徴とする。
このような構成を有する本発明の屋内衛生評価装置によれば、吸引手段を駆動する前に、初期化光源を発光させてフィルタに紫外線を照射する。これにより、吸引手段を駆動する前からフィルタに付着している、一部のタンパク質の自家発光性を低減させることが可能になり、吸引手段を駆動する前からフィルタに付着しているタンパク質の発光による影響を低減することが可能になる。その結果、屋内空気の安全性の評価に対する信頼性を高めることが可能になる。
また、本発明の屋内衛生評価装置は、前記屋内衛生評価装置において、
前記フィルタを交換した後に、前記撮影手段が初期状態の前記フィルタを撮影してなる最初の撮影データを記憶する記憶手段を有し、
前記評価手段は、前記撮影手段が前記フィルタにおいて自家発光しているタンパク質を撮影した撮影データと、前記最初の撮影データとを比較して、前記フィルタの交換時期を評価することを特徴とする。
このような構成を有する本発明の屋内衛生評価装置によれば、フィルタの撮影データに基づいてフィルタの交換時期を評価することができるため、適切なタイミングでフィルタの交換を行うことが可能になる。
また、本発明の屋内衛生評価装置は、前記屋内衛生評価装置において、
前記吸引手段は、前記フィルタを装着する装着部を有し、かつ前記箱体に対して外側から着脱自在であり、
前記フィルタは、前記箱体に前記吸引手段を取り付けた場合に、前記撮影手段のレンズの合焦点に配置されることを特徴とする。
このような構成を有する本発明の屋内衛生評価装置によれば、吸引手段を取り外すことによってフィルタの交換を行うことが可能になるため、フィルタの交換の際に箱体を開ける必要がなくなり、フィルタの交換が簡単になる。また、箱体に吸引手段を取り付けた場合に、撮影手段のレンズの合焦点にフィルタが配置されるため、直ぐに吸排気を行うことが可能になる。
本発明によれば、簡単でかつ容易に屋内の空気の安全性を評価することが可能な屋内衛生評価装置を提供することが可能になる。
本発明の第1実施形態における屋内衛生評価装置1の概要を示すブロック図である。 本発明の第1実施形態における屋内衛生評価装置1の外観を示す斜視図である。 屋内衛生評価装置を用いた屋内衛生評価方法の流れを示すフローチャートである。 吸着フィルタの撮影画像の一例を示す図である。 評価工程において実行される処理の流れを説明するためのフローチャートである。 フィルタターレット装置の概略構成を示す正面図である。 撮影データに基づいて明るさに対応する画素数を集計した結果の一例を示すヒストグラムである。 本発明の第2実施形態における屋内衛生評価装置の概要を示すブロック図である。 吸引装置の構成部品を示す分解斜視図である。 本実施形態の屋内衛生評価装置を利用した管理システムの一例を示す説明図である。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
[屋内衛生評価装置1の構成]
図1は本発明の第1実施形態における屋内衛生評価装置1の概要を示すブロック図である。
屋内衛生評価装置1は、検知装置5と、吸引装置20と、電源装置30と、制御装置40と、I/F50と、ダクト60、61、62と、開閉装置63、64、65と、これらの各種部品を収納する収納ケース100と、を備えている。
検知装置5は、ケース体10と、吸着フィルタ11と、シャッタ装置12と、LED光源13a、13b、13c、13dと、CMOSカメラ14と、を備えている。
ケース体10は、吸気エリアAと、検出機器エリアBとに仕切られる。吸気エリアAは、シャッタ装置12によって、吸着フィルタ11を配置するとともに外気を取り込むエリアである。検出機器エリアBは、LED光源13a、13b、13c、13d及びCMOSカメラ14を配置するエリアである。また、ケース体10における吸気エリアAの壁面に、吸気口10a、10bと排気口10cが形成されている。ケース体10は、可視光線及び紫外線を遮断できる樹脂によって構成されている。
吸着フィルタ11は、不織布からなる10μmサイズ程度の粒子を捕捉可能な所定の厚みを有するシート状の部材であり、吸気エリアAにおける排気口10cの手前に配置されている。
シャッタ装置12は、吸気エリアAと検出機器エリアBとを仕切るシャッタ板(図示せず)と、シャッタ板を駆動するアクチュエータ(図示せず)とからなる。シャッタ装置12は、アクチュエータを駆動することにより、吸気エリアAと検出機器エリアBとを仕切っている仕切り状態と仕切りを解除する解除状態とに切り替えられる。
LED光源13a、13b、13cは、吸着フィルタ11に、詳細については後述するが自家発光分子を有するタンパク質を蛍光発光させる励起光を照射するものである。LED光源13dは、吸着フィルタ11に紫外線を照射するものである。LED光源13dは、励起光を照射するLED光源13a、13b、13cのいずれの光の波長よりも短い波長の光を照射する。LED光源13dは、紫外線(UV-C光)を照射する。なお、シャッタ装置12は、シャッタ板においてLED光源13a、13b、13c、13dの光路となる範囲の部分のみをアクチュエータによって駆動可能なものに構成してもよい。
CMOSカメラ14は、レンズ14aと、レンズ14aの前に取り付けられる光学フィルタ14bと、CMOSイメージセンサ14cと、CMOSイメージセンサ14cによって光変換された電気信号を読み出すための制御回路14dと備えている。また、CMOSイメージセンサ14cは高感度、高解像度であり、CMOSカメラ14は高速シャッタの機能を備え、レンズ14aとしてはマクロレンズが適用される。レンズ14aは吸着フィルタ11に対向するように設置されており、CMOSカメラ14は、LED光源13a、13b、13cのいずれかによって照射された吸着フィルタ11を撮影する。
光学フィルタ14bは、レンズ14aの前方に配置され、レンズ14aの汚れを防止するものである。
光学フィルタ14bは、4つ備えられており、図6に示すフィルタターレット装置15に装着されている。フィルタターレット装置15は、4つの光学フィルタ14bを保持する円板体15aと、円板体15aを90度ずつ回転させるモータ15bとを備えている。4つの光学フィルタ14bは、円板体15aの回転中心の周りに等間隔に配置されている。4つの光学フィルタ14bにおける3つは、LED光源13a、13b、13cの個々に対応しており、後述する検出工程において使用される。3つの光学フィルタ14bは、それぞれ異なるカットオフ波長を有する。残りの1つの光学フィルタ14bは、LED光源13dに対応しており後述する初期化工程において使用される。
モータ15bは、制御装置40によって駆動制御され、LED光源13a、13b、13cに対応する光学フィルタ14bは、LED光源13a、13b、13cの発光の際に、レンズ14aの前方に配置される。LED光源13dに対応する光学フィルタ14bは、初期化工程においてレンズ14aの前方に配置される。
LED光源13a、13b、13cに対応する光学フィルタ14bのそれぞれは、検出対象となる物質の蛍光放射の波長帯(単に波長とも称する)よりも短い波長の光をカットする機能を持っている。LED光源13a、13b、13cに対応する光学フィルタ14bのそれぞれは、少なくとも対応するLED光源が照射する励起光の波長以下の波長の光をカットする機能を持っている。このため、CMOSカメラ14による撮影画像に、LED光源13a、13b、13cからの光が映り込まないようにすることができる。また、CMOSカメラ14による撮影画像に、検出対象となる物質の光が映るようにすることができる。なお、後述する初期化工程において使用される光学フィルタ14bは、他の光学フィルタ14bのように特定波長以下の波長の光をカットする機能を有していない。
吸引装置20は、ケース体10の外側に取り付けられ、排気口10cから吸気エリアA内の空気を吸引するコンプレッサ20aと、このコンプレッサ20aを駆動制御する駆動制御部20bとを備えている。
電源装置30は、収納ケース100に収納される各種の電気部品に電力を供給するものである。具体的に、電源装置30は、シャッタ装置12、LED光源13a、13b、13c、13d、CMOSカメラ14、吸引装置20、制御装置40、開閉装置63、64、65等に電力を供給する。
制御装置40は、CPU41と、ROM42と、RAM43等を備えている。CPU41は、屋内衛生評価装置1の全体を制御する。ROM42は、屋内衛生評価装置1を制御するための各種のデータやプログラムを記憶する。RAM43はCMOSカメラ14による撮影画像を記憶する。
I/F50は、外部機器と制御装置40とを接続するためのインターフェースである。
ダクト60、61は、ケース体10の外側に基端部が取り付けられ、終端部側から吸気口10a、10bを介して外気を吸気エリアAに導入する流路を形成する筒状の部材である。ダクト62は、基端部が吸引装置20に取り付けられ、吸気エリアAから排気口10cを介して吸引した空気を終端部側から屋内衛生評価装置1の外部に導く流路を形成する筒状の部材である。
開閉装置63は、ケース体10の外側に取り付けられ、吸気口10aを開閉する蓋体(図示せず)と、蓋体を駆動して吸気口10aの開放、閉鎖を切り替えるアクチュエータ(図示せず)とを備えている。同様に、開閉装置64は、ケース体10の外側に取り付けられ、吸気口10bを開閉する蓋体(図示せず)と、蓋体を駆動して吸気口10bの開放、閉鎖を切り替えるアクチュエータ(図示せず)とを備えている。開閉装置65は、ケース体10の外側に取り付けられ、排気口10cを開閉する蓋体(図示せず)と、蓋体を駆動して排気口10cの開放、閉鎖を切り替えるアクチュエータ(図示せず)とを備えている。
開閉装置63、64、65は、通常状態において、吸気口10a、10b及び排気口10cを閉鎖しており、制御装置40からの駆動信号に基づいてアクチュエータに電力が供給された場合に蓋体が移動して、吸気口10a、10b及び排気口10cが開放される。
なお、吸気口10a、10b及び排気口10cが全て閉鎖されている場合、ケース体10は密閉状態となる。このため、開閉装置63、64、65に通電されない限り、外気がケース体10の内部に流入することはできない。更に、シャッタ装置12が閉鎖されている場合には、吸気エリアAが密閉状態となり、吸気エリアAと検出機器エリアBとの間の空気の流入が規制される。
図2は、本発明の第1実施形態における屋内衛生評価装置1の外観を示す斜視図である。
収納ケース100は、可視光線及び紫外線を遮断できる樹脂によって構成されている。図2に示すように、収納ケース100は、図1に示す各種の部材を収納する箱状の収納部101と、収納部101の開口を閉鎖する蓋体部102とからなる。蓋体部102と収納部101とは図示しない蝶番によって連結されており、蝶番によって連結されている蓋体部102の縁部に対して反対側の蓋体部102の縁部が揺動することによって、収納部101の開口が開閉自在となる。そして、反対側の蓋体部102の縁部と収納部101の縁部とをパッチン錠110によって連結することにより、収納部101に蓋体部102が固定される。
収納ケース100に取っ手103が取り付けられており、検査作業員は、取っ手103を持って屋内衛生評価装置1を運ぶことが可能である。また、収納ケース100の下面部にキャスターを取り付けて、検査作業員が、屋内衛生評価装置1を押しながら運べるようにしてもよい。
収納部101には、吸気孔104と排気孔105とが形成されている。なお、図示していないが、収納部101において、図2に示す吸気孔104が形成されている側面に対向する側面にも吸気孔104が形成されている。また、収納部101の内部において、ダクト60、61の終端部は吸気孔104、104に対向するように収納部101の側面に固定されている。また、ダクト62の終端部は排気孔105に対向するように収納部101の側面に固定されている。このため、ケース体10の内部に収納ケース100内の空気が吸引されることや、ケース体10内の空気が収納ケース100内に排気されることが低減される。なお、排気孔105から排出された空気が吸気孔104に戻らないように、排気孔105に延長ダクトを外付けしてもよい。
また、収納部101には、主電源スイッチ、電源ケーブルを接続するための電源コネクタ、I/F50を構成する各種のコネクタが取り付けられている。I/F50を構成する各種のコネクタとしては、外部のディスプレイに接続し、CMOSカメラ14が撮影した画像を外部のディスプレイに表示するための映像出力用のコネクタ(例えば、HDMI(登録商標))や、制御装置40に各種の命令を入力するための入力機器を接続するためのコネクタ(例えば、USB)が備えられている。第1実施形態によれば、Bluetoothによって制御装置40とタブレット端末200とを無線接続することが可能であり、タブレット端末200を用いてCMOSカメラ14が撮影した画像の表示や、制御装置40に対する各種の命令の入力が可能になる。なお、図示していないが、主電源スイッチ、電源ケーブルを接続するための電源コネクタ、I/F50を構成する各種のコネクタは外部に露出しないようにカバーで覆われており、カバーは屋内衛生評価装置1の使用時に開くことができるように構成されている。更に、図示していないが、収納ケース100に、LEDやスピーカが設けられている。このLEDやスピーカは、エアロゾルによる健康へ影響度の評価結果や、吸着フィルタ11の交換等の報知に用いられる。
収納ケース100の大きさには、CMOSカメラ14の合焦点距離が関わってくる。第1実施形態によれば、レンズ14aとしてマクロレンズが適用されるため、吸着フィルタ11とCMOSカメラ14との間の距離を比較的短くすることが可能であり、その分小型の収納ケース100が使用可能である。第1実施形態によれば、アタッシュケース程度の大きさまで小型化することが可能になる。また、屋内衛生評価装置1を構成する個々の部材に重量物がないため、屋内衛生評価装置1は持ち運び可能な程度の重さに構成されている。
[屋内衛生評価装置1による屋内空間の評価原理]
次に、本実施形態の屋内衛生評価装置1による屋内空間の評価原理について説明する。
屋内衛生評価装置1は、室内空間に漂う自家発光分子を有するタンパク質(以下、自家発光性タンパク質と称する)を含むエアロゾルを検出し、当該エアロゾルの検出量に基づいて定量的に室内空間の安全性を評価するものである。詳細については後述するが、屋内衛生評価装置1は、吸引装置20を駆動させることによって、ケース体10の吸気エリアAに外気を取り込み、吸着フィルタ11を介して外部に排出させることで吸着フィルタ11にエアロゾルを付着させる。その後、吸着フィルタ11に励起光を照射することによって自家発光性タンパク質を発光させ、この発光を撮影することによって自家発光性タンパク質を検出する。そして、撮影画像を解析することによって自家発光性タンパク質の発光量を求め、この発光量に基づいて室内空間の安全性を評価する、というものである。
ここで、エアロゾルは、スギ花粉、飛沫、飛沫核、細菌、ウイルスのように広い意味で空中浮遊している個体又は液体を指す。自家発光性タンパク質を含むエアロゾルとしては、人間の口から出る飛沫、スギ花粉、カビ等がある。また、ウイルスの中にも自家発光性タンパク質を持っているウイルスもある。第1実施形態によれば、自家発光性タンパク質を有するエアロゾルは検出可能であるが、自家発光性タンパク質を有していないウイルスや物質(例えば、黄砂)等は検出が困難である。その一方で、人から発せられる飛沫にはウイルスが含まれている可能性があり、しかも、タンパク質はウイルスだけでなく、細菌の温床にもなり得る。このような点から、室内空間に漂う自家発光性タンパク質を含むエアロゾル量は、ウイルスが浮遊している可能性を含めて、室内環境における健康への影響度を評価する指針とすることが可能である。具体的には、自家発光性タンパク質を含むエアロゾル量が多いほど健康への影響度が高いと評価することができる。
[屋内衛生評価装置1による評価方法]
図3は、屋内衛生評価装置1を用いた屋内衛生評価方法の流れを示すフローチャートである。屋内衛生評価装置1のCPU41が、ROM42に記憶されている屋内衛生評価プログラムを実行することにより、屋内衛生評価処理が開始される。屋内衛生評価処理は、最初に初期化工程(S1)を実行する処理が行われ、続いて吸引工程(S2)、検出工程(S3)及び評価工程(S4)が順番に自動的に実行する処理が行われる。評価工程の処理が終了した場合に屋内衛生評価処理が終了する。
初期化工程(S1)は、LED光源13dが吸着フィルタ11へ紫外線(UV-C光)を照射する工程である。紫外線を照射することより、吸着フィルタ11に付着しているタンパク質構造を壊し、蛍光発光をできなくすることが期待できる。このように、観測前に吸着フィルタ11に付着している自家発光性タンパク質を予め蛍光発光できなくすることで、観測精度を上げることが可能になる。初期化工程が終了すると、吸引工程が開始される。
吸引工程(S2)は、開閉装置63、64、65を開放させ、吸引装置20を駆動させることにより、室内の空気を吸着フィルタ11に通す工程である。吸引時間は、例えば、30秒~3分に設定される。この工程で、吸着フィルタ11にエアロゾルが付着、堆積する。吸引工程が終了すると、検出工程が開始される。
検出工程(S3)は、LED光源13a、13b、13cが吸着フィルタ11へ励起光を照射して、自家発光性タンパク質を発光させる工程と、LED光源が励起光を照射することによって発光した自家発光性タンパク質をCMOSカメラ14で撮影する工程とを有する。CMOSカメラ14で撮影した画像において発光している個々の領域が、自家発光しているタンパク質であり、吸着フィルタ11に付着、堆積したエアロゾルに相当する。検出工程が終了すると、評価工程が開始される。
評価工程(S4)は、CMOSカメラ14で撮影した画像において発光している発光領域を画像処理によって求め、発光領域の大きさを集計する工程と、これらの集計データに基づいて室内環境における健康への影響度を評価する工程とを有する。CMOSカメラ14で撮影した画像において発光している個々の発光領域の総和がエアロゾル量に相当し、発光している個々の発光領域の総和に基づいて室内環境における健康への影響度が評価される。なお、第1実施形態の屋内衛生評価装置1が、一定時間毎に、初期化工程(S1)~評価工程(S4)を繰り返すことで、一定時間毎(例えば、30分毎)に健康への影響度を評価してもよい。
[屋内衛生評価装置1の仕様]
次に、第1実施形態の屋内衛生評価装置1の仕様について、より具体的に説明する。
第1実施形態によれば、LED光源13a、13b、13cが用意されており、LED光源13aは365nm、LED光源13bは400nm、LED光源13cは445nmの波長の励起光を吸着フィルタ11に照射することができる。また、第1実施形態によれば、他にもLED光源13dが設置されており、LED光源13dは初期化工程に使用され、265nmの波長の紫外線(UV-C光)を吸着フィルタ11に照射することができる。
例えば、フラビン類のタンパク質は380~490nmあたりの励起光であれば概ね発光可能である。なお、ここで言うフラビン類とは、フラビン以外にフラビンの化合物も含まれている。このため、LED光源13b、13cからの励起光により、フラビン類のタンパク質を発光させることが可能になる。フラビン類は、440nm以上460nm未満の範囲、特に、450nmあたりの励起光が顕著に発光することから、少なくともLED光源13cを撮影用に使用することが望ましい。また、花粉のタンパク質は360nmあたりの励起光であれば概ね発光可能である。
第1実施形態によれば、LED光源13a、13b、13cを順番に発光、撮影を行う通常モードと、スギ花粉をターゲットとしてLED光源13aの励起光を照射してスギ花粉のタンパク質を撮影する花粉モードと、フラビン類をターゲットとしてLED光源13cの励起光を照射してフラビン類を撮影するフラビンモードと、が選択可能である。
また、LED光源13cに対応する光学フィルタ14bは、少なくとも445nm以下の光をカットすることができるものが使用可能である。第1実施形態によれば、フラビン類の蛍光放射は520~560nmあたりであることから、フラビンモードにおいてレンズ14aの前に500nm以下の光をカットする光学フィルタ14bが配置される。これにより、LED光源13aからの光の映り込みを防止することができるとともに、フラビン類を以外のタンパク質による蛍光発光の映り込みを防止することが可能になり、フラビン類を含むエアロゾル量をより正確に検出することが可能になる。
なお、フラビン類に限らず、一般に、励起光の波長よりも、励起光によって発光した蛍光放射の波長の方が長い。このため、ターゲットとなるタンパク質が決まっている場合には、励起光の波長から蛍光放射の波長までの範囲で、光学フィルタ14bがカットする波長を適宜決めてもよい。また、フィルタターレット装置15に、フラビンモード専用及び花粉モード専用の光学フィルタを更に加えてもよい。例えば、フラビンモード専用の光学フィルタは、520~560nmの範囲の波長のみと透過可能とする。花粉モード専用の光学フィルタは、ターゲットとなる花粉の蛍光放射の範囲の波長のみと透過可能とする。これにより、フラビンモードにおいては、フラビン類のタンパク質の量と他のタンパク質の量と区別して測定可能となる。同様に、花粉モードにおいては、ターゲットとなる花粉のタンパク質の量と他のタンパク質の量と区別して測定可能となる。
また第1実施形態においては、吸着フィルタ11として、10μmぐらいのエアロゾルが捕捉できる不織布が採用されている。このため、10μmよりも小さいエアロゾルであれば、吸着フィルタ11を通過可能であるが、その一方で、吸着フィルタ11の繊維に付着して堆積するエアロゾルもある。また第1実施形態においては、吸引装置20を用いているため、吸着フィルタ11上におけるエアロゾルの体積密度を高くすることが可能となり、その分、発光領域の検出を行いやすくすることができる。なお、吸着フィルタ11としては、きめが細かく多くのエアロゾルを捕捉できることが望ましいが、一部のエアロゾルを捕捉することでも、屋内空間のエアロゾル量を検出することは可能である。
[屋内衛生評価装置1の使用例1]
次に、本実施形態の屋内衛生評価装置1の使用例1について、より具体的に説明する。
まず、作業員が屋内衛生評価装置1を評価対象となる室内に搬送して、電源ケーブルを接続する。そして、作業員が屋内衛生評価装置1の主電源スイッチをオンにすると、自動的に屋内衛生評価装置1とタブレット端末200とが無線通信可能な状態になる。
次に、作業員がタブレット端末200を操作してモードの指定を行い、屋内衛生評価装置1に開始信号を送信し、CPU41に、作業員が指定したモードに基づく屋内衛生評価プログラムを実行開始させる。なお、作業員は、室外に出てタブレット端末200を操作することも可能である。
例えば、通常モードの屋内衛生評価プログラムが実行されると、まず、初期化工程が開始され、CPU41は、シャッタ装置12を駆動させ、LED光源13a、13b、13c、13dによる吸着フィルタ11への光照射が可能な状態にする。この時、開閉装置63、64、65が閉鎖状態にある。
次に、CPU41は、吸着フィルタ11を初期化する。具体的に、CPU41は、初期化工程で使用する光学フィルタ14bをレンズ14aの前方に配置させ、LED光源13dを発光させて、吸着フィルタ11へ紫外線を所定時間照射する。次に、CPU41は、LED光源13a、13b、13cの順で吸着フィルタ11に励起光を照射させる。そして、LED光源13a、13b、13cがそれぞれ励起光を照射している間にCMOSカメラ14を駆動させることにより、CMOSカメラ14が吸着フィルタ11を撮影する。CMOSカメラ14が撮影した3つの撮影データは、制御装置40に送信されてRAM43に初期データとして記憶される。
LED光源13a、13b、13cの発光及びそれに伴う吸着フィルタ11の撮影が終了した場合に初期化工程が終了し、次に吸引工程が開始される。
吸引工程が開始されると、CPU41は、開閉装置63、64、65を開放させ、吸引装置20を駆動させる。これにより、室内空間の空気が吸気口10a、10bを通って吸気エリアAに集気され、吸着フィルタ11を通して排気口10cから外部に排出される気流が形成される。このとき、外気とともに吸気エリアAに集められたエアロゾルの一部が吸着フィルタ11に付着、堆積する。CPU41は、吸引装置20を予め定められた吸気時間だけ駆動させ、吸気時間に到達した時点で、吸引装置20を停止させるとともに、開閉装置63、64、65を閉鎖させる。これにより、吸引工程が終了し、次に検出工程が開始される。
検出工程が開始されると、CPU41は、シャッタ装置12を駆動させ、LED光源13a、13b、13cから吸着フィルタ11への励起光照射が可能な状態にする。次に、CPU41は、LED光源13aを発光させ、LED光源13aに対応する光学フィルタ14bをレンズ14aの前方に配置させる。そして、CPU41が、吸着フィルタ11へ励起光を照射させながら、CMOSカメラ14を駆動させる制御を行うことにより、CMOSカメラ14が吸着フィルタ11を撮影する。撮影後、撮影データは、制御装置40に送信されてRAM43に記憶される。CPU41は、所定時間経過後、LED光源13aを消灯させて、次にLED光源13bを発光させる。LED光源13bを発光させた場合も同様に、LED光源13bに対応する光学フィルタ14bをレンズ14aの前方に配置させてから、CMOSカメラ14が吸着フィルタ11の撮影を行い、撮影データを制御装置40に送信してRAM43に記憶する。CPU41は、所定時間経過後、LED光源13bを消灯させて、次にLED光源13cを発光させる。この場合も同様に、CMOSカメラ14が吸着フィルタ11を撮影し、撮影後、撮影データを制御装置40に送信する。
図4は、吸着フィルタ11の撮影画像の一例を示す図である。ここで、図4は、実際の撮影画像を白黒反転したものであり、黒い領域が発光領域となる。図4に示すように不織布の繊維にエアロゾルが付着することにより、点状或いは線状に発光する。LED光源13cを発光させ、吸着フィルタ11の撮影を終了した場合に、吸引工程が終了し、次に評価工程が開始される。
図5は、評価工程において実行される処理の流れを説明するためのフローチャートであり、評価工程が開始されると、CPU41は、RAM43から初期データ及び撮影データを読み出し(S10)、検出工程において取得した、LED光源13aからの励起光照射時の撮影データと、LED光源13aの初期データとの差分を取る(S11)。ここで言う差分を取るとは、排他的論理和を取ることを指す。つまり、差分を取ることによって、吸引工程において、吸着フィルタ11に対して新たに付着した自家蛍光性タンパク質の発光画像が残る。
同様に、LED光源13b、13cからの励起光照射時の撮影データと、初期化工程において取得した、LED光源13b、13cの初期データとの差分を取る。次に、CPU41は、各差分データからそれぞれ発光領域の総和を求める。発光領域の総和は、例えば、差分データにおける発光強度を画素毎に、予め設定した発光強度を閾値として二値化し、発光している画素数を計数することにより求めることができる。
次に、CPU41は、ROM42に記憶されている評価値テーブルを参照して発光領域の総和に対応する評価を求める(S12)。発光領域の総和に対応する評価として、LED光源13a、LED光源13b及びLED光源13cそれぞれからの励起光照射の撮影データに基づく個々の評価、及びLED光源13a~13cからの各評価に基づく総合評価がある。
次に、CPU41は、吸着フィルタ11の汚れ具合を評価する処理を行う(S13)。この処理において、CPU41は、吸着フィルタ11が交換された時に予め取得した汚れ具合評価用データと、検出工程(S3)で撮影した撮影データとの差分を取り、3つの差分データからそれぞれ発光領域の総和を求める。
ここで、汚れ具合評価用データは、吸着フィルタ11が交換された場合に、LED光源13a、13b、13cの順で吸着フィルタ11に励起光を照射させ、LED光源13a、13b、13cがそれぞれ励起光を照射している間にCMOSカメラ14を駆動させることにより、CMOSカメラ14が撮影した吸着フィルタ11の撮影データである。汚れ具合評価用データは、RAM43に汚れ具合評価用データとして記憶され、次の吸着フィルタ11の交換時に更新される。
そして、CPU41は、汚れ評価用データと撮影データとの差分の総和を求める。この総和が閾値以上であった場合に、CPU41は、吸着フィルタ11の交換が必要であると評価する。なお、この総和に基づいて、次回の評価における初期化工程においてLED光源13dを発光させるか否かを決定してもよい。
また、CPU41は、ROM42に記憶されている所定のプログラムを実行することにより、吸引装置20の累積稼働時間を計測するタイマーとして機能する。そして、CPU41は、吸引装置20の累積稼働時間が規定時間を越えた場合に、吸着フィルタ11の交換が必要であると評価する。
次に、CPU41は、評価結果を送信する処理を行う(S14)。この処理において、CPU41は、S12及びS13で求めた評価結果をタブレット端末200や顧客の端末に送信するとともに、収納ケース100に設けたスピーカから音声出力させたり、LEDを発光させたりすることにより、S12及びS13で求めた評価結果を報知する。特に、CPU41は、評価結果がよくない場合に、タブレット端末200や顧客の端末、収納ケース100に設けたスピーカやLEDにアラート情報を出力させる。
例えば、CPU41は、LED光源13cからの励起光照射時の撮影データに基づいて空気中のフラビン類を定量的に求め、フラビン類が多いと評価した場合に「換気をお勧めします」といったアラート情報をタブレット端末200等に出力させる。
同様に、CPU41は、LED光源13aからの励起光照射の撮影データに基づいて空気中の花粉を定量的に求め、花粉が多いと評価した場合に「花粉が多い環境です」といったアラート情報をタブレット端末200等に出力させる。
また、CPU41は、総合評価として「良好な環境です」とか「空気が汚れています」といったアラート情報をタブレット端末200等に出力させる。
また、CPU41は、吸着フィルタ11が汚れていると評価した場合に「フィルタを交換してください」といったアラート情報をタブレット端末200等に出力させる。
なお、CPU41は、これらの評価を記載した電子メールを作成して、顧客の端末に送信してもよい。また、作業員が。タブレット端末200を操作することにより、評価の送信先や、評価項目が適宜選択できるようにしてもよい。
作業員は、タブレット端末200に表示される評価結果を見ることにより、室内環境の評価を知ることができる。なお、LED光源13a、13b、13cからの励起光照射時の初期データの画像や撮影データの画像、及び差分データの画像を、タブレット端末200に表示可能にしてもよい。これにより、タンパク質の蛍光発光具合を視認することが可能になり、例えば、スギ花粉が多いとか、細菌が多いとかの判断に役立てることができる。
なお、上述した使用例1では、初期データと撮影データとの差分に基づいて屋内環境を評価した後に、汚れ評価用データと撮影データとの差分に基づいて吸着フィルタ11の汚れ具合を評価しているが、屋内衛生評価装置1の電源投入時に吸着フィルタ11の汚れ具合を評価することも可能である。すなわち、CPU41は、S12の処理の終了時に、最新の撮影データを初期データとしてRAM43に記憶する。この初期データを用いて、屋内衛生評価装置1の電源投入時に、CPU41は、汚れ評価用データと初期データとの差分を求めることにより、吸着フィルタ11の汚れ具合を評価する。評価結果は、タブレット端末200や顧客の端末、収納ケース100に設けたスピーカやLEDを用いて報知される。
[作用効果]
このように構成された第1実施形態によれば、吸着フィルタ11が捕捉したエアロゾルに励起光を照射して、自家発光性を有するタンパク質を発光させ、発光したタンパク質を撮影し、その撮影画像に基づいて、空気中に漂う自家発光性を有するタンパク質を含むエアロゾルを定量的に測定する。これにより、タンパク質を含むエアロゾルは、ウイルスや細菌が付着している可能性があることから、エアロゾルを定量的に測定することにより、屋内空間に漂うエアロゾルによる健康へ影響度を評価することが可能になる。また、励起光の光量に比べて自家蛍光量は非常に弱い。このため、励起光を照射しつつ肉眼で確認するのは困難である。それに対して第1実施形態によれば、吸引装置20を駆動することにより、吸着フィルタ11に所定時間空気を通すことによって、エアロゾルを所定量捕捉させため、明るい測定空間で吸着フィルタ11を撮影して自家発光を検出する。これにより、微小なエアロゾルを検出することが可能になる。
また第1実施形態によれば、屋内衛生評価装置1は簡単に持ち運びが可能であり、作業員が、検査の対象となる室内に屋内衛生評価装置1を持ち込み、その後、タブレット端末200の操作により、屋内衛生評価装置1に直接触れることなく駆動させることが可能となる。これにより、様々な場所で屋内空間の評価を行うことが可能になり、しかも、評価対象が環境に問題のある屋内空間であっても、作業員はその空間で長時間作業する必要がなくなる。
また、吸引装置20を駆動させて吸着フィルタ11にエアロゾルを付着させるという簡単な方法で被検試料を作成することが可能であり、被検試料に対して励起光を照射しながらCMOSカメラ14で撮影し、この撮影画像を画像処理によって蛍光発光している領域を求めるという簡単な方法でエアロゾル量を求めることができる。これにより、エアロゾル量を求めるための手間や時間を大幅に短縮することが可能になり、評価が出るまでの時間を大幅に短縮することが可能になる。
また、初期化工程において、吸着フィルタ11に既に付着している自家発光性タンパク質が発光しないようにすることにより、吸着フィルタ11の交換回数を少なくすることが可能となる。
[第1実施形態の変形例]
次に、第1実施形態の屋内衛生評価装置1の変形例について説明する。
屋内衛生評価装置1の変形例は、室内環境の評価を実行するサイクルを指定する機能を更に備えたものであり、例えば、室内環境の評価を30分毎、1時間毎、3時間毎及び6時間毎のいずれかに実行するように設定することが可能である。
ここで、タンパク質の蛍光発光の能力は経時によって低下し、6時間を経過する頃の蛍光発光は極めて小さくなる。つまり、所定の時間間隔を置くことにより吸着フィルタ11は実質的に初期化される。実験の結果、30分程度の時間を置くことにより、次の測定に影響がない程度に蛍光発光が小さくなる。
第1実施形態の変形例は、実行サイクルが1時間以上の場合に2回目以降の初期化工程を省略している。更に、第1実施形態の変形例は、図4に示す評価工程において撮影データと初期データとの差分をとる処理が省略され、撮影データに基づいて室内環境の評価を行うものである。以下、第1実施形態の変形例における評価工程について具体的に説明する。
まず、CPU41は、撮影データにおける明るさを画素毎に求め、明るさに対応する画素数を集計する。
図7は、撮影データに基づいて明るさに対応する画素数を集計した結果の一例を示すヒストグラムである。図7に示すヒストグラムにおいて、縦軸が画素数であり、横軸が明るさである。また、図7に示すヒストグラムは、資料に励起光を照射しながらCMOSカメラ14を用いて撮影することによって所得した撮影データに基づいて、明るさに対応する画素数を集計したものである。資料として、息を吹きかけた吸着フィルタ11、未使用の吸着フィルタ11及びヨーグルトと塗布した吸着フィルタ11が用いられる。
図7に示すように、息を吹きかけた吸着フィルタ11の場合には、明るさが17~65程度の範囲で発光する画素が検出され、明るさが約38となる画素数が約40万画素と最も多くなる。未使用の吸着フィルタ11の場合には、明るさが30~90程度の範囲で発光する画素が検出され、明るさが約60となる画素数が約20万画素と最も多くなる。ヨーグルトと塗布した吸着フィルタ11には、明るさが30~90程度の範囲で発光する画素が検出され、明るさが約70となる画素数が約20万画素と最も多くなる。
次に、CPU41は、明るさと画素数とを乗算した値の総和を求める。言い換えれば、CPU41は、図9に示すグラフの面積を求める。そして、CPU41は、ROM42に記憶されている評価値テーブルを参照して総和に対応する評価を求め(S12)、その評価結果をタブレット端末200等に送信する(S14)。
ここで、明るさと画素数とを乗算した値は、吸着フィルタ11に付着したタンパク質の濃度に相当すると言い得るため、吸着フィルタ11に付着したタンパク質の濃度に基づいて、屋内空間に漂うエアロゾルによる健康へ影響度を評価することが可能になる。このため、光を発している画素数が多いが個々の画素の明るさが小さい場合と、光を発している画素数が少ないが個々の画素の明るさが大きい場合と、において乗算値の総和が同じになる場合がある。この場合、後者の方が健康に対する影響度が高いと評価して、アラート情報を出力することが可能になる。
このように第1実施形態の変形例によれば、初期化のためにLED光源13dを発光させる回数を減らすことが可能になり、その分、時間短縮や消費電力の削減を図ることが可能になる。また、吸着フィルタ11に付着したタンパク質の濃度に基づいて、屋内空間に漂うエアロゾルによる健康へ影響度を評価することが可能になるため、評価結果の信頼性を向上させることが可能になる。なお、実行サイクルを数回行った場合に、LED光源13dを発光させて吸着フィルタ11を初期化してもよい。これにより、吸着フィルタ11の長寿命化を図ることができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
[屋内衛生評価装置1の構成]
図8は本発明の第2実施形態における屋内衛生評価装置1の概要を示すブロック図である。なお、図8に示す本発明の第2実施形態において、図1に示す本発明の第1実施形態における部材と同一の部材、或いは同一機能の部材については同一の符号を付すことにより、詳細な説明は省略する。また、本発明の第2実施形態における制御系についても本発明の第1実施形態と同じであるため、詳細な説明は省略する。
図8は本発明の第2実施形態は、図1に示す本発明の第1実施形態に対して、収納ケース100とケース体10とを一体化して、収納ケース100にケース体10の機能を持たせた点、及び吸引装置20の代わりに収納ケース100に対して外付け可能な吸引装置120を設け、吸引装置120に吸着フィルタ11を設置した点で構成が異なる。
第2実施形態に係る収納ケース100は、吸気エリアAと、検出機器エリアBと、制御機器エリアCとに仕切られる。吸気エリアAは、シャッタ装置12によって、吸着フィルタ11を配置するとともに外気を取り込むエリアである。検出機器エリアBは、LED光源13a、13b、13c、13d及びCMOSカメラ14を配置するエリアである。制御機器エリアCは、吸引装置20、制御装置40及びI/F50を配置するエリアである。
また、収納ケース100における吸気エリアAの壁面に、吸気口100a、100bと排気口100cが形成されている。なお、吸気口100a、100bと排気口100cは、第1実施形態における吸気口10a、10bと排気口10cに相当する。収納ケース100は、可視光線及び紫外線を遮断できる素材によって構成されている。収納ケース100の内側に、吸気口100a、100bを覆って比較的大きめの塵埃の内部侵入を防止する粗フィルタ(図示せず)が設置される。収納ケース100の外側でかつ排気口10cの縁部に係合部130が設置される、この係合部130に吸引装置120が外側から連結される。なお、第1実施形態においては、吸気口100a、100b及び排気口100cを開閉する開閉装置63、64、65は、制御装置40からの駆動信号に基づいて開放されるが、第2実施形態においては、少なくとも開閉装置65を手動で開閉するものとしてもよい。
図9は吸引装置120の構成部品を示す分解斜視図であり、吸引装置120は、本体筒部121と、キャップ部122と、ストッパ部123と、を備えている。
本体筒部121は円筒体からなり、本体筒部121の先端部に二段の段差が形成されている。この段差は先端側に向かって内径が大きくなるように二段に形成されており、この段差おける最も奥側の平面上に、吸着フィルタ11を載置するための板状の網目部材124が設置される。本体筒部121の外径は、排気口10cの内径よりも若干小さく設定されている。
キャップ部122は、本体筒部121の先端部に着脱自在に形成された、円筒状の部材である。キャップ部122の外周面は二段に形成されており、外径が大きい後方の円筒部122aと、外径が小さい後方の円筒部122bと、から構成されている。円筒部122aの外径は、本体筒部121に外径と略同じ或いはキャップ部122が若干小さい。また、円筒部122bの外径は本体筒部121に内径と略同じである。円筒部122bは本体筒部121の先端部に嵌挿される。キャップ部122が本体筒部121の先端部に装着されて場合に、網目部材124の外縁部にキャップ部122の後端面が、吸着フィルタ11の厚さ程度の隙間を空けた状態で対向する。
そして、網目部材124上に吸着フィルタ11を載置した状態でキャップ部122を本体筒部121の先端部に取り付けることにより、吸着フィルタ11が本体筒部121の先端部に装着される。
ストッパ部123は、本体筒部121の外部に固定された円筒状の部材であり、ストッパ部123の外径は、排気口10cの内径よりも大きく設定されている。また、ストッパ部123と係合部130とは互いに連結及び連結解除が自在であり、キャップ部122及び本体筒部121を排気口10cに差し込み、ストッパ部123を係合部130に連結することにより、吸引装置120が収納ケース100に取り付けられる。本体筒部121に対するストッパ部123の固定位置は、ストッパ部123を係合部130に連結した場合に吸着フィルタ11がCMOSカメラ14の合焦点に配置されるように設定されている。
なお、吸引装置120は、第1実施形態の吸引装置20と同様に、コンプレッサ20aと、駆動制御部20bとを備えており、コンプレッサ20a及び駆動制御部20bは本体筒部121の内部に設置される。また、ストッパ部123が係合部130に連結された場合に、電源装置30と駆動制御部20bとが電気的に接続される。このため、制御装置40が、電源装置30を制御することにより、コンプレッサ20aを制御することが可能になる。
このように構成された第2実施形態によれば、吸引装置120を取り外すことによって吸着フィルタ11の交換を行うことが可能になる。このように、吸着フィルタ11の交換の際に収納ケース100を開ける必要がなくなり、吸着フィルタ11の交換が簡単になる。また、収納ケース100に吸引装置120を取り付けた場合に、CMOSカメラ14のレンズの合焦点に吸着フィルタ11が配置されるため、吸引装置120を取り付けた後に直ぐに吸引装置120を駆動させて吸排気を開始することが可能になる。
[本実施形態の屋内衛生評価装置1を利用した管理システム]
図10は、本実施形態の屋内衛生評価装置1を利用した管理システム300の一例を示す説明図である。
管理システム300は、屋内衛生評価装置1と、空気清浄機301と、内部端末302と、管理端末400と、を備えている。
空気清浄機301は、例えばオゾン発生装置からなる。内部端末302は、屋内に配置されている顧客の端末である。管理端末400は、例えば管理会社の端末である。管理端末400は、屋内衛生評価装置1と、空気清浄機301と、内部端末302とネットワーク500を介して通信可能に接続される。また、管理端末400は、ネットワーク500を介して屋内衛生評価装置1及び空気清浄機301に命令を送信することにより、遠隔操作が可能である。また、内部端末302は、屋内衛生評価装置1と通信可能であり、屋内衛生評価装置1による評価結果が内部端末302に送信される。
図10は、屋内衛生評価装置1及び空気清浄機301を病院や診療所の待合室に設置した例を示したものである。管理端末400は、病院等に設置した屋内衛生評価装置1及び空気清浄機301にネットワーク500を介して接続されており、複数の屋内衛生評価装置1から送信される評価結果を受信する。そして、管理端末400は、評価結果に応じて空気清浄機301を遠隔操作してオゾンを発生させる。或いは、管理端末400は、管理会社の作業員に対して、フィルタ交換に行くための情報をディスプレイ表示等によって提供する。
なお、屋内衛生評価装置1に空気清浄機301を通信可能に接続し、屋内衛生評価装置1が、管理端末400からの命令に応じてオゾン発生装置を制御してもよい。また、図10に示す例では、待合室に屋内衛生評価装置1及び空気清浄機301を設置しているが、屋内衛生評価装置1のみを設置してもよい。更に、屋内衛生評価装置1にネットワーク500に接続可能な携帯端末を接続し、屋内衛生評価装置1による評価結果を、携帯端末を介して管理端末400に送信できるようにしてもよい。これにより、管理端末400が、例えば、予防接種会場となる体育館のように、期間限定で人が集まりやすい場所に設置した屋内衛生評価装置1を管理することが可能になる。
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述したものに限るものではない。例えば、上述した実施形態によれば、エアロゾルを検出するためにフラビン類をターゲットとしているが、他の自家発光性タンパク質をターゲットとしてもよい。また、上述した実施形態によれば、LED光源13a、13b、13cの3つの撮影用の光源を備えているが、撮影用の光源は、それより多くても少なくてもよい。また、3つの撮影用の光源を全て撮影に使用する必要はなく、ターゲットとなる自家発光性タンパク質が最も発光しやすい波長の光源のみを使用してもよい。
また、LED光源13a、13b、13c、13dを付け替え可能とし、別の波長のLED光源を設置可能にしてもよい。これにより、ターゲットとなる自家発光性タンパク質の範囲を広げたり、ターゲットとなる自家発光タンパク質に応じて初期化工程で使用するLED光源を設置したりすることが可能になり、より具体的な屋内空間の安全性の評価を行うことが可能になる。
また、第1実施形態によれば、評価工程において、差分データに基づいて求めた発光領域の総和が極めて少ない場合(例えば、0の場合)、検出工程に戻り、励起光の照射時間及びCMOSカメラ14の露出時間を長くして再度、吸着フィルタ11の撮影を行う。そして、評価工程において、新たな撮影データに基づく評価を行ってもよい。
また、上述した実施形態によれば、吸引装置20としてコンプレッサを用いているが、それ以外でも、エアロゾルを帯電装置によって帯電させて、吸着フィルタ11に静電気によって吸着させてもよい。例えば、吸着フィルタ11に付着したエアロゾルの水分が蒸発した場合に、吸引装置20がコンプレッサであれば、エアロゾルに付着していたウイルスが落下することがあり得る。一方、吸引装置20が帯電式であれば、ウイルスも帯電しているため、吸着フィルタ11から落下し難くすることが可能になり、屋内衛生評価装置1による評価の信頼性を維持することが可能になる。
更に、吸引装置20として排気ファンを用いてもよい。これにより、屋内衛生評価装置1の更なる軽量化が図れ、可搬性を向上させることができる。
また、上述した実施形態によれば、屋内衛生評価装置1のCPU41が評価工程を実行しているが、それに限らず、屋内衛生評価装置1或いはタブレット端末200が初期データ及び撮影データを外部端末、例えば図10に示す管理端末400に送信し、外部端末が評価工程を実行して、評価結果を屋内衛生評価装置1或いはタブレット端末200に送信するようにしてもよい。これにより、画像処理能力の高い外部端末を使用することが可能になり、より詳細でかつ信頼性の高い評価結果を得ることが可能になる。
また、図2に示す吸気孔104の部位に伸縮可能なダクトを設け、空気の取り込み位置を調整可能にしてもよい。例えば、蛇腹状に形成されたダクトを収納ケース100に設置して、ダクトの先端を床面から所定の高さに位置付けてもよい。
また、第1実施形態によれば、作業員が屋内衛生評価装置1を評価対象の屋内空間に持ち込んでいるが、それに限らず、屋内衛生評価装置1に自走装置を設け、タブレット端末200の操作により、遠隔操作で屋内衛生評価装置1を評価対象の屋内空間に移動させてもよい。更には、屋内衛生評価プログラムに移動工程を加え、特定時刻に屋内衛生評価プログラムを実行させて、まず、初期位置の屋内衛生評価装置1を第1の評価位置に移動させ、第1の評価位置における評価を終了した場合に、第2の評価位置に移動させ、第2の評価位置における評価を終了した場合に、第3の評価位置に移動させる。そして、最後の評価位置における評価を終了した場合に、初期位置に戻る、という作業を自動的に行うようにしてもよい。
以下、上述した屋内衛生評価装置を用いた屋内衛生評価方法の構成とその構成から奏する効果について付記する。
(1)本発明の屋内衛生評価装置を用いた屋内衛生評価方法であって、
前記初期化光源を発光させ、前記フィルタに紫外線を照射する初期化工程と、
前記吸引手段を駆動して、前記箱体の内部に吸引された空気内に含まれるエアロゾルの少なくとも一部を前記フィルタに捕捉させる吸引工程と、
前記吸引手段を停止した後、複数の前記励起光源を一つずつ発光させるとともに前記撮影手段で前記フィルタを撮影する検出工程と、
前記撮影手段で撮影した前記フィルタの画像に含まれる発光領域を集計し、発光領域が多いほど安全度が低いと評価する評価工程と、を有することを特徴とする。
本発明の屋内衛生評価方法によれば、上述した本発明の屋内衛生評価装置を用いることによる効果を奏するとともに、吸引手段を駆動する前に、初期化光源を発光させてフィルタに紫外線を照射する。これにより、吸引手段を駆動する前からフィルタに付着している、一部のタンパク質の自家発光性を低減させることが可能になり、検出工程において、吸引手段を駆動する前からフィルタに付着しているタンパク質の発光による影響を低減することが可能になる。その結果、屋内空気の安全性の評価に対する信頼性を高めることが可能になる。
(2)(1)の屋内衛生評価方法において、
前記初期化工程は、前記初期化光源を発光させて前記フィルタに紫外線を照射した後、前記励起光源を発光させるとともに前記撮影手段で前記フィルタを撮影し、
前記評価工程は、前記初期化工程で撮影した画像と前記検出工程で撮影した画像との差分を取った画像に含まれる発光領域を集計することを特徴とする。
このような構成を有する本発明の屋内衛生評価方法によれば、初期化工程で撮影した画像と検出工程で撮影した画像との差分を取ることにより、吸引工程においてフィルタに付着したエアロゾルによる発光画像のみを残すことが可能になり、発光領域の集計にかかる処理が簡単なものとなる。これにより、評価までにかかる時間を短縮することが可能になる。
1 屋内衛生評価装置
5 検知装置
10 ケース体
10a、10b 吸気口
10c 排気口
11 吸着フィルタ
12 シャッタ装置
13a、13b、13c、13d 紫外線LED光源
14 カメラ
14a レンズ
14b 光学フィルタ
14c イメージセンサ
14d 制御回路
15 フィルタターレット装置
20、120 吸引装置
20a コンプレッサ
20b 駆動制御部
30 電源装置
40 制御装置
41 CPU
42 ROM
43 RAM
60、61、62 ダクト
63、64、65 開閉装置
100 収納ケース
101 収納部
102 蓋体部
103 取っ手
104 吸気孔
105 排気孔
110 パッチン錠
200 タブレット端末
300 管理システム

Claims (9)

  1. 外部の空気を導入可能な吸気口及び導入した空気を排出する排気口を有する箱体と、
    前記排気口に設けられ、前記箱体の内部の空気を吸気して外部に排出する吸引手段と、
    前記箱体の内部で前記排気口の手前に配置され、前記箱体の内部に吸引された空気内に含まれるエアロゾルの少なくとも一部を捕捉可能なフィルタと、
    前記フィルタに、前記フィルタが捕捉したエアロゾルに含まれる自家発光性を有するタンパク質を発光させる励起光を照射する励起光源と、
    前記フィルタにおいて自家発光しているタンパク質を撮影する撮影手段と、
    前記撮影手段が撮影した前記フィルタの画像に含まれる発光領域に基づいて、屋内空間の安全度を評価する評価手段と、
    前記励起光源を発光させて前記撮影手段を駆動させる制御を行う制御手段と、を備え、
    前記励起光源は複数備えられ、複数の前記励起光源は、互いに波長が異なる励起光を発生することを特徴とする屋内衛生評価装置。
  2. 前記箱体、前記吸引手段、前記励起光源、前記撮影手段及び前記評価手段を収納する、持ち運び自在の収納ケースを更に備えることを特徴とする請求項1記載の屋内衛生評価装置。
  3. 複数の前記励起光源にそれぞれ対応し、前記撮影手段が取り込む光から少なくとも前記励起光源が発生する励起光の波長以下の波長の光をカットする複数の光学フィルタと、前記撮影手段が前記フィルタの撮影を行う際に、複数の前記光学フィルタの中から前記励起光源に対応する前記光学フィルタを前記撮影手段のレンズの前に配置させる切替手段と、更に備えることを特徴とする請求項1又は2記載の屋内衛生評価装置。
  4. 複数の前記光学フィルタの一つは、特定のタンパク質を発光させる励起光の波長から前記特定のタンパク質の発光の波長までの範囲のみを透過することを特徴とする請求項3記載の屋内衛生評価装置。
  5. 複数の前記励起光源の一つが発生する励起光の波長は、440nm以上460nm未満の範囲にあることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の屋内衛生評価装置。
  6. 前記評価手段は、前記発光領域に対応する画素の明るさを求め、明るさ毎の画素数を集計し、明るさ毎の明るさと画素数との乗算値の総和に基づいて屋内空間の安全度を評価することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の屋内衛生評価装置。
  7. 前記吸引手段による吸気を開始する前に、前記フィルタに紫外線を照射する初期化光源を更に備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の屋内衛生評価装置。
  8. 前記フィルタを交換した後に、前記撮影手段が初期状態の前記フィルタを撮影してなる最初の撮影データを記憶する記憶手段を有し、
    前記評価手段は、前記撮影手段が前記フィルタにおいて自家発光しているタンパク質を撮影した撮影データと、前記最初の撮影データとを比較して、前記フィルタの交換時期を評価することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の屋内衛生評価装置。
  9. 前記吸引手段は、前記フィルタを装着する装着部を有し、かつ前記箱体に対して外側から着脱自在であり、
    前記フィルタは、前記箱体に前記吸引手段を取り付けた場合に、前記撮影手段のレンズの合焦点に配置されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項記載の屋内衛生評価装置。
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