JP7055257B1 - 赤外光学系 - Google Patents

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Abstract

赤外光学系は、全体として結像作用を持ち、被写体からの入射光線を結像する1枚以上の球面レンズを備えた球面レンズ部(4)と、前記入射光線の前記球面レンズ部の透過を制限する開口絞り部(3)と、前記球面レンズ部の前段に配置され、少なくとも1面が非球面形状であり、前記球面レンズ部で発生する収差を補償するような光路長差を前記入射光線に与える収差補正板部(1;17)と、前記球面レンズ部、前記開口絞り部、及び前記収差補正板部を保持する鏡筒部(7)と、を備える。

Description

本開示は赤外光学系に関する。
特許文献1には、赤外波長帯(8~12μm)で用いるレンズとして、ゲルマニウム(Ge)、シリコン(Si)、またはジンクセレン(ZnSe)等の材料からなる球面レンズに樹脂を薄く塗布し、塗布された樹脂を非球面状に成型したレンズが開示されている。Ge、Si、およびZnSe等の材料は赤外波長帯で高い透過率を有するが、これらの材料の何れかからなるレンズを非球面に加工することは困難である。そこで、特許文献1では、Ge、Si、またはZnSe等の材料からなる球面レンズに樹脂を薄く塗布して、樹脂面を非球面に成型することにより赤外光学系を構成する手法が採られている。なお、樹脂面の形状を非球面にするのは収差を補正するためである。
特開2016-139093号公報
ところで、用途又は状況に応じて解像度を調整できる赤外光学系に対するニーズがある。例えば、赤外カメラを備える家庭電子機器は、赤外カメラによって人物からの熱輻射を捉えることで人物の大体の位置を把握し、その位置に応じて動作を制御している。このような用途で用いられる赤外カメラでは、プライバシー保護の観点から、人物の顔や体形の詳細な情報が不明瞭になるように光学系の解像度を低く設定することが求められる。一方、赤外光学系を、例えばセキュリティーカメラ又は火災検知カメラとして用いて、人物や物体の温度を高精度に測定する場合には、赤外光学系に高い解像度が求められる。このように、用途に応じて解像度を調整できる赤外光学系に対するニーズが存在する。
上記で言及した特許文献1の赤外光学系によれば、樹脂部が球面レンズに塗布されて球面レンズと一体となっているため、赤外光学系が一度構築されると解像度を調整することができないという課題がある。
本開示は、このような課題を解決するためになされたものであり、用途又は状況に応じて解像度を調整できる赤外光学系を提供することを目的とする。
本開示の実施形態による赤外光学系は、全体として結像作用を持ち、被写体からの入射光線を結像する1枚以上の球面レンズを備えた球面レンズ部と、前記入射光線の前記球面レンズ部の透過を制限する開口絞り部と、前記球面レンズ部の前段に配置され、少なくとも1面が非球面形状であり、前記球面レンズ部で発生する収差を補償するような光路長差を前記入射光線に与える収差補正板部と、前記球面レンズ部、前記開口絞り部、及び前記収差補正板部を保持する鏡筒部と、を備える。
本開示の実施形態による赤外光学系は、用途又は状況に応じて解像度を調整できる。
実施の形態1~3に係る赤外光学系を表すブロック図である。 実施の形態1に係る赤外光学系における動作説明図である。 実施の形態1に係る赤外光学系において、収差補正板部を取り外した場合の動作説明図である。 実施の形態3に係る赤外光学系における、パラメータβの制限の説明図である。 実施の形態4に係る赤外光学系を表すブロック図である。 実施の形態1に係る赤外光学系において温度環境または湿度環境が大きく変化した場合の動作説明図である。 実施の形態4に係る赤外光学系において温度環境または湿度環境が大きく変化した場合に、収差補正板部を環境補償収差補正板部に交換した場合の動作説明図である。 実施の形態5に係る赤外光学系を表すブロック図である。 実施の形態5に係る赤外光学系における動作説明図である。 実施の形態5に係る赤外光学系において、収差補正板部と球面レンズ部の間隔を広げた場合の動作説明図である。 実施の形態6に係る赤外光学系を表すブロック図である。 実施の形態6に係る赤外光学系において、収差補正板開口調整部の開口を広げた場合の動作説明図である。 実施の形態6に係る赤外光学系において、収差補正板開口調整部の開口を狭めた場合の動作説明図である。
以下、図1から図13を参照して、本開示における種々の実施形態について詳細に説明する。なお、図面において同一または類似の符号を付された構成要素は、同一または類似の構成または機能を有するものであり、そのような構成要素についての重複する説明は省略する。
実施の形態1.
<構成>
図1~図3を参照して、本開示の実施の形態1による赤外光学系について説明する。図1および図2に示すとおり、実施の形態1による赤外光学系は、収差補正板部1、収差補正板着脱部2、開口絞り部3、球面レンズ部4、ウィンドウ部5、焦点面部6、鏡筒部7から構成されている。焦点面部6が特に保護を必要としない場合、赤外光学系はウィンドウ部5を含まなくてもよい。
(球面レンズ部)
球面レンズ部4は、物体8の各点から出射した赤外波長帯(8~12μm)の光線を焦点面部6上の集光スポット9へと変換する。その結果、焦点面部6上には物体像10が形成される。球面レンズ部4は、鏡筒部7の内部に配置される。球面レンズ部4の構成例には、赤外波長帯において高い透過率を示し材料コストの安いシリコン(Si)を用いた1枚以上の球面レンズが含まれ、1枚以上の球面レンズ全体として結像作用を有する。
球面レンズ部4に用いられる材料の波長10μmにおける屈折率は、2.0以上4.1以下であり、球面レンズ部4に含まれるレンズの中心厚の合計は10mm以下であってもよい。
赤外波長帯において高い透過率を示す材料としては、Ge、Si、ZnSe、ZnS、NaCl、KBr等が挙げられる。これら材料の屈折率は、それぞれ概算で、4.0、3.4、2.4、2.6、1.5、1.5程度である。屈折率が高いほどレンズの収差補正能力が高くなるが、その反面、屈折率が高くなると材料コストが高くなる傾向がある。そのため、波長10μmにおける屈折率は、2.0以上4.1以下という範囲が有用である。
また、これらの材料は赤外波長帯において高い透過率を示すものの、その透過率は可視波長帯における材料(例えばBK-7等)と比較すると低いという課題がある。十分な光量を確保するという観点から、球面レンズ部4に含まれるレンズの中心厚の合計が10mm以下という範囲が有用である。
(開口絞り部)
開口絞り部3は、収差補正板部1と球面レンズ部4の間または球面レンズ部4上に配置され、球面レンズ部4に入射し又は球面レンズ部4から出射する光束径を制限して焦点面部6上に形成される物体像10の明るさを調整する機能を有する。「球面レンズ部4上」との表現は、鏡筒部7の内部空間であって、球面レンズ部4が備える最前部のレンズの前面の最前部の位置を光軸に直交する平面と、球面レンズ部4が備える最後部のレンズの後面の最後部の位置を光軸に直交する平面とによって画された領域である。球面レンズ部4が1枚の球面レンズから構成される場合は、最前部のレンズと最後部のレンズは同一のレンズである。なお、「前」との用語は物側を、「後」との用語は像側を意味する。開口絞り部3が収差補正板部1と球面レンズ部4の間または球面レンズ部4上に配置されることで、収差補正板部1が取り外された場合でも、球面レンズ部4へ入射する光束を調整できる。
(収差補正板部)
収差補正板部1は、収差補正板着脱部2によって鏡筒部7に接続され、球面レンズ部4の前段に位置する。収差補正板部1の全体的な形状はレンズキャップのような有底円筒状をしている。収差補正板部1は、球面レンズ部4にて発生する収差を予め補償する機能を有する。すなわち、収差補正板部1は、球面レンズ部4に入射する光線に対して、入射する光線が収差補正板部1を通過する際の位置および入射角度に応じた位相差を与えることにより、球面レンズ部4にて発生する収差を予め補償する。このような機能を実現するため、収差補正板部1の少なくとも1面は非球面形状に形成される。収差補正板部1の構成例には、赤外波長帯の光を透過する特性を有し、材料コストが低く、モールド加工による非球面の導入が容易である樹脂材料が含まれる。収差補正板部1は球面レンズ部4の前段に位置するので、即ち、球面レンズ部4の前段に球面レンズ部4から離間して位置するので、球面レンズ部4を備える鏡筒部7から収差補正板部1を取り外すことが可能となる。
収差補正板部1の材料の波長10μmにおける屈折率は1.0以上2.0以下であり、収差補正板部1の中心厚は2mm以下であってもよい。赤外波長帯において透過能を有する樹脂材料の屈折率は概ね1.0以上2.0以下である。さらに、樹脂材料はSiやGe等の結晶材料と比較して赤外波長帯における透過率が低いため、光量を確保する観点から収差補正板部1の中心厚は2mm以下という範囲が有用である。
(収差補正板着脱部)
収差補正板着脱部2は、収差補正板部1と鏡筒部7の間に位置し、収差補正板部1と鏡筒部7を容易に着脱可能な形で接続する機能を有する。収差補正板着脱部2の全体的な形状は、鏡筒部7のエッジの形状に適合するような形状をしている。例えば、鏡筒部7が円筒状であれば、収差補正板着脱部2は環状をしている。あるいは、鏡筒部7が中空四角柱状であれば、収差補正板着脱部2は四角形状をしている。
そのような機能を実現するため、一例として、収差補正板着脱部2は、収差補正板部1と鏡筒部7の両方又は一方と嵌合する構造を有する。他の例として、収差補正板着脱部2は、収差補正板部1と鏡筒部7の両方又は一方と螺合する構造を有する。この場合、収差補正板着脱部2の雄又は雌の形状に応じて、収差補正板部1又は鏡筒部7は対応する雌又は雄の形状に形成される。収差補正板着脱部2は、例えば、樹脂又はステンレスから形成される。
収差補正板着脱部2は、収差補正板部1と鏡筒部7の両方から取り外し可能でもよい。また、収差補正板着脱部2は、収差補正板部1と鏡筒部7の一方と一体化されて、当該収差補正板部1又は鏡筒部7から容易に取り外せなくてもよい。
(ウィンドウ部)
ウィンドウ部5は焦点面部6の前段に配置され、焦点面部6を保護する機能を有する。焦点面部6が真空気密を要する場合、ウィンドウ部5は真空気密機能を有していてもよい。また、焦点面部6が冷却を要する場合、ウィンドウ部5はデュワのウィンドウとしての機能を有していてもよい。さらに、焦点面部6が特に保護を必要としない場合、ウィンドウ部5が含まれていなくてもよい。
(焦点面部)
焦点面部6は、赤外線センサを備え、ウィンドウ部5の後段に配置される。焦点面部6は、球面レンズ部4によって焦点面部6に形成された物体像10を電気的に読み出す機能を有する。
(鏡筒部)
鏡筒部7は、収差補正板着脱部2の後段に配置され、球面レンズ部4及び開口絞り部3を鏡筒部7の内部に保持する。鏡筒部7は、球面レンズ部4及び開口絞り部3を保持できるように、中空の内部空間を有する円筒又は多角形の筒状をしている。鏡筒部7は、例えば、アルミ、ステンレス、ポリカーボネイトなどの材料から形成される。鏡筒部7は、ウィンドウ部5や焦点面部6を内部に含んでいてもよい。
<動作>
本実施の形態に係る赤外光学系の動作について、図2及び図3を用いて説明する。図2に示された構成と図3に示された構成の差異は、収差補正板部1の有無である。まずは収差補正板部1を取り外した状態である図3の構成の動作を説明し、その後、収差補正板部1を取りつけた状態である図2の構成の動作を説明する。
図3において、物体8の各点から発せられた赤外波長帯の光線の一部が球面レンズ部4に入射する。入射した光束は球面レンズ部4によって屈折し、焦点面部6に向かう収束光束となって球面レンズ部4より出射する。球面レンズ部4へ入射する光束もしくは球面レンズ部4から出射する光束の径は開口絞り部3によって制限される。この開口絞り部3の作用によって、焦点面部6へ入射する光量が調整されるともに、球面レンズ部4の光軸から離れた位置を通過する光線が除去されて球面レンズ部4によって生じる収差が抑制される。球面レンズ部4を出射した光束は、ウィンドウ部5を通過した後に焦点面部6へ到達して複数の集光スポット11を形成する。以上の動作が物体8上の各点について並行して同時に実行されることで、焦点面部6に物体像12が形成される。
上記の動作を可能な構成を低コストで実現する場合、球面レンズ部4を赤外波長帯において高い透過率を示し、かつ材料コストの安いSi等で製造することが考えられる。また、低コストで実現するためには、レンズ枚数はより少ないことが望ましく、理想的には1枚のレンズで球面レンズ部4を構成することが望ましい。一方、枚数の少ない球面レンズでは補正可能な収差量に限界があるため、図3に示すとおり、焦点面部6の各集光スポット11が拡大し、結果として物体像12のようなボケが重畳された像が形成される。物体像12のような解像度の低い像は、例えば、人物や動物等の熱源の位置をある一定の精度で把握する用途で有用である。このような用途では、プライバシー保護の観点から、人物の顔や体形等の情報が不明瞭になることが望ましく、解像度の低い像が適している。
一方、図2の構成では、収差補正板部1が取り付けられており、物体8から発せられた赤外波長帯の光線は、球面レンズ部4へ入射する前に、収差補正板部1を通過する。収差補正板部1は球面レンズ部4にて発生する収差を予め補償する機能を有しており、収差補正板部1を通過後に球面レンズ部4によって集光される光束は、焦点面部6上に集光スポット9のようなスポットを生成する。集光スポット9のサイズは、前出の集光スポット11よりも縮小しているため、集光スポット9によって形成される物体像10は物体像12よりも鮮明となる。
実施の形態1では、収差補正板部1は、球面レンズ部4の前段に設けられているので、即ち、球面レンズ部4の前段に球面レンズ部4から離間して位置するので、球面レンズ部4を備える鏡筒部7から収差補正板部1を取り外すことが可能となる。そのため、用途に応じて、収差補正板部1を着脱することが可能となる。
また、赤外光学系が収差補正板着脱部2のような収差補正板部1を鏡筒部7から容易に着脱可能な部材を備えることにより、任意のタイミングで図2と図3の動作を切り替えることが可能となる。
図2の構成により実現できる高解像度化は、例えば、温度測定の際に有用である。赤外光学系が低解像度の場合、赤外線センサの画素間の光信号の漏れ込みの影響で、正確な温度を測定することが難しくなる。高解像度化によってこの漏れ込みを抑制し、温度測定の精度を向上することが可能となる。
解像度を向上する方法としては、球面レンズ部4で使用するレンズ枚数を増やす方法、球面レンズ部4に非球面を導入する方法があるが、そのいずれも高コスト化につながる。特許文献1に記載のとおり、球面レンズに樹脂を塗布することによって低コストで非球面を導入する技術も公知であるが、その場合には、解像度を任意のタイミングで調整する機能を実現することができない。
<効果>
本開示のように、赤外光学系が収差補正板部1を備えるように構成することにより、コストを抑えながら赤外光学系の解像度およびスループットを向上できる。また、収差補正板部1を着脱することによって、用途に応じて任意のタイミングで赤外光学系の解像度を変更できる。
実施の形態2.
以下、実施の形態2による赤外光学系について説明する。
<構成>
特許文献1の技術によれば、樹脂と樹脂が塗布されたレンズとを合わせて着脱することは可能であるが、着脱するレンズがパワーを有していることから、レンズを樹脂とともに合わせて取り外した場合、残った光学系のみで正常な結像はできないという問題がある。さらに、特許文献1の技術によれば、着脱の都度、着脱するレンズの設置位置に位置ずれが生じうるが、着脱するレンズがパワーを有しているために、位置ずれに応じて結像特性が大きく劣化する恐れがあるという問題がある。実施の形態2の赤外光学系は、これらの問題を解消するための赤外光学系である。実施の形態2の赤外光学系の全体的な構成は、図1に示した実施の形態1の赤外光学系の構成と同様である。実施の形態2の赤外光学系においては、球面レンズ部4の構造は広い画角範囲に対して一定の解像度を発揮できるように最適化され、収差補正板部1の構造は収差補正板部1が鏡筒部7に取り付けられた場合に光軸周辺の解像度が特に向上されるように最適化されている。すなわち、球面レンズ部4は収差補正板部の着脱に関わらず結像能力を維持するような構造を有し、収差補正板部1は球面レンズ部4で生じる球面収差を補償するように光線高さに応じた厚みを有する。
<動作>
このような実施の形態2による赤外光学系においては、収差補正板部1に係る動作が実施の形態1の場合と相違する。以下では、相違点に係る動作について記載する。
物体8から発せられた赤外波長帯の光線が収差補正板部1を通過する際に、収差補正板部1は球面レンズ部4にて発生する光軸周辺の収差を予め補償する機能を有している。その結果、図2における集光スポット9は、収差補正板部1を取り付けない構成を示す図3の集光スポット11と比較して、光軸周辺の領域において小さくなる。一方、光軸周辺以外の領域においては集光スポット9のサイズに変化がないか、又はサイズが拡大する。その結果、本実施の形態で焦点面部6に生成される物体像の解像度は、光軸周辺の領域において物体像12よりも改善し、それ以外の領域では変わらないか劣化する。
球面レンズ部4では球面収差、非点収差、像面湾曲を始めとする様々な収差が発生する。特に、赤外光学系では焦点面部6に入射する光量を増加させるために、球面レンズ部4に大きな開口直径(低F値)が要求される。このような大開口の球面レンズでは前記の収差が顕著に表れる。
前記収差のうち、球面収差については、球面レンズ部4で発生する球面収差を補償するような光路長差を与えるように収差補正板部1を構成することで、顕著に改善可能である。球面収差は特に光軸周辺の解像度を劣化させるため、球面収差の補償によって光軸周辺における解像度を改善できる。一方、上記のように収差補正板部1を構成した場合には、球面収差以外の収差の影響が大きい光軸周辺から離れた領域において、収差補正板部1を装着する以前よりも解像度が劣化する恐れがある。したがって、本実施の形態は、光軸周辺以外の解像度を犠牲にすることで、光軸周辺の解像度を顕著に改善する形態であるといえる。
光軸周辺の解像度を改善することで、物体像10の特定の領域(例えば、人の顔の額等)の温度を高精度に計測したい場合に有用となる。このような場合には、特定領域に高い解像度が要求される一方で、特定領域以外の解像度に対する要求は低い。
一方、収差補正板部1を取り外した場合には、球面レンズ部4が全画角範囲で光学特性が最適化されているため、広い画角範囲で適度な解像度の画像を取得できる。これにより、広い画角範囲の中で人物や熱源の方向の検知を行うことができる。したがって、収差補正板部1の有無によって、使用方法を切り替えることが可能である。
<効果>
収差補正板部1で補正する収差を球面収差に絞ることで、光軸周辺の解像度を顕著に改善できる。また、収差補正板部1の着脱によって、解像度のみならず注目領域を変更できる。
実施の形態3.
以下、実施の形態3による赤外光学系について説明する。
<構成>
実施の形態3の赤外光学系の全体的な構成は、図1に示した実施の形態1の赤外光学系の構成と同様である。実施の形態3の赤外光学系においては、球面レンズ部4のパワーをφ、球面レンズ部4のF値をF、球面レンズ部4が焦点面部6に生成されるスポット径の最大許容直径をεと置いた場合に、収差補正板部1のパワーφ’と収差補正板部1及び球面レンズ部4の間隔L’とを用いて表されるパラメータβ=φ’(1-φ’L’)-1が、|β[φ(β+φ)]-1|<εFという関係を満たすように構成されている。
<動作>
パラメータβ=φ’(1-φ’L’)-1が、|β[φ(β+φ)]-1|<εFという関係を満たすことにより、収差補正板部1の装着に伴って変化する焦点面部6上のスポット径が、スポット径の最大許容直径ε以下に収まる。これにより、収差補正板部1の装着による解像度の低下が防止される。さらに、前記関係式において余裕を持ったパラメータを設定することにより、収差補正板部1の形状や位置に関する公差に対する感度を低減できる。
このような動作について図4を用いて詳細に説明する。光路13は、球面レンズ部4のみで無限遠の物体を結像する場合に、球面レンズ部4の最も外側を通る光線が通過する光路である。球面レンズ部4のパワーをφ、球面レンズ部4を通過する光線の最大高さをh、球面レンズ部4を通過後の光線が光軸となす角をα、球面レンズ部4と焦点面部6の間隔をLとおく。ここで、Lはφ-1と一致している。この場合、球面レンズ部4を通過した光線は、球面レンズ部4から距離Lの地点において光軸と交差する。ここでは、距離Lの地点と焦点面部6が一致しているため、焦点面部6上のスポット径は最小となる。
光路14は、球面レンズ部4の前段に収差補正板部1を配置した光学系で無限遠の物体を結像する場合に、球面レンズ部4の最も外側を通る光線が通過する光路である。前記光線が収差補正板部1を通過する高さをh’、前記光線が収差補正板部1を通過後に光軸となす角をα’、収差補正板部1のパワーをφ’、収差補正板部1と球面レンズ部4の間隔をL’とおく。この場合、収差補正板部1のパワーφ’の影響により、球面レンズ部4を通過した光線は、球面レンズ部4からL+ΔL離れた地点において光軸と交差する。この場合、この地点と焦点面部6は一致していないため、焦点面部6上のスポット径は拡大する。
ΔLは焦点面部6におけるスポット径が最大許容直径ε以下となるように設定されなければならない。これは次の式(1)が満たされる場合に成立する。

ΔL<εL/(2h-ε) (1)
さらに、ここでε<<hという関係を想定すれば、式(1)は次の式(2)のように簡略化される。

ΔL<εL/(2h)=εF (2)

ただし、F=L/(2h)は球面レンズ部4のF値である。
次にΔLの表式を求める。図4内の各パラメータは、近軸光線追跡に基づき、以下の式(3)~(6)の関係を有する。

α’=h’φ’ (3)
h=h’-α’L’ (4)
α=α’+hφ (5)
0=h-α(L+ΔL) (6)
式(3)~(6)を整理することで、以下の式(7)のようにΔLの表式が求まる。

ΔL=-β[φ(β+φ)]-1 (7)

ただし、β=φ’(1-φ’L’)-1である。
式(2)及び(7)より、以下の式(8)の条件が満たされる場合、収差補正板部1の装着時に焦点面部6に形成されるスポット径がε以下となる。

|ΔL|=|β[φ(β+φ)]-1|<εF (8)

なお、β=φ’(1-φ’L’)-1であるので、式(8)は、球面レンズ部4のパワーφ、球面レンズ部4のF、及びスポット径の最大許容直径εを決めた場合に、収差補正板部1のパワーφ’及び間隔L’を制限する式となっている。
<効果>
本実施の形態では、関係式|β[φ(β+φ)]-1|<εFを満たすように収差補正板部1及び収差補正板着脱部2が構成されているため、収差補正板部1の装着後の焦点面部6上のスポット径をε以下に収めることができる。これは収差補正板部1の装着後の解像度の維持に寄与する。
また、関係式|β[φ(β+φ)]-1|<εFに対して余裕をもって収差補正板部1及び収差補正板着脱部2を構成すれば、収差補正板部1のパワーの変動や間隔の変動によって発生するスポット径の拡大も抑制可能である。パワーの変動は、圧力や温度又は湿度を含む環境の変化よって生じうる。これは、収差補正板部1が薄い場合や樹脂を始めとする周囲環境変化に敏感な材料の場合に特に顕著である。間隔の変動は、前記環境変化に加えて収差補正板部1の着脱の度に発生する位置ずれによって生じうる。本開示では収差補正板部1の着脱を想定しているため、着脱の度に発生する位置ずれの抑制は有用である。
以上のような実施の形態3による赤外光学系の構成において、スポット径の最大許容直径εは、焦点面部6に配置されたアレイ型検出器の検出素子の画素サイズに一致していてもよい。収差補正板部1の装着後のスポット径が画素サイズ以下であれば、収差補正板部1の装着や各種公差の発生に伴う解像度の低下を抑制できる。
また、実施の形態3による赤外光学系の構成において、スポット径の最大許容直径εが回折限界スポット直径に一致していてもよい。収差補正板部1装着後のスポット径が画素サイズより大きい場合であっても、スポット径の最大許容直径εが回折限界スポット直径以下であれば、収差補正板部1の装着や各種公差の発生伴う解像度の低下を現実的な範囲で抑制できる。
実施の形態4.
以下、図5から図7を参照して、実施の形態4による赤外光学系について説明する。
<構成>
実施の形態4による赤外光学系の構成図を図5に示す。実施の形態4による赤外光学系は、実施の形態1による赤外光学系における収差補正板部1を、パワーを有する環境補償収差補正板部17へ置換した構成を有する。環境補償収差補正板部17を備えることにより、実施の形態4による赤外光学系は、温度環境又は湿度環境の変化に伴う結像性能の変化である焦点ずれを補正できる。
<動作>
図6および図7を参照して、実施の形態4による赤外光学系の動作について説明する。図6は、実施の形態1に係る赤外光学系において温度環境または湿度環境が大きく変化した場合の動作説明図である。図6に示されているように、動作中に温度環境又は湿度環境に大きな変化が生じた場合、球面レンズ部4のパワー又は鏡筒部7の長さが変動し、焦点位置と焦点面部6の位置にずれが生じる。その結果、集光スポット15は拡大し、物体像16の解像度が低下する。
一方、上記のような大きな焦点位置ずれが生じた場合、収差補正板部1を環境補償収差補正板部17に置き換えることによって、位置ずれを改善できる。この場合の動作を図7に示す。実施の形態4に係る赤外光学系において温度環境または湿度環境が大きく変化した場合に、収差補正板部を環境補償収差補正板部に交換した場合の動作説明図である。環境補償収差補正板部17により焦点位置ずれを補償し、焦点位置と焦点面部6を一致させることで、集光スポット18が縮小し、物体像19の解像度が復元される。このような動作を行うため、環境補償収差補正板部17は若干のパワーを有する。
前記動作により、温度環境や湿度環境の変化した場合でも、一定の解像度を保つことが可能となる。このような動作は、屋外で使用する用途において重要である。例えば、屋外では、温度や湿度の環境は地域や季節のみならず時間帯によっても大きく変動しうる。前記動作を利用すれば、赤外光学系全体やそれを固定する機構は固定したままで、収差補正板部1のみを交換することで、様々な環境において解像度を維持できる。
<効果>
本実施の形態では、収差補正板部1を環境補償収差補正板部17へ交換することで、赤外光学系全体やそれを固定する機構は固定したままで、温度環境又は湿度環境の変化に伴う焦点ずれを補正し解像度を復元できる。
実施の形態5.
以下、図8から図10を参照して、実施の形態5による赤外光学系について説明する。
<構成>
実施の形態5による赤外光学系の構成を図8に示す。実施の形態5による赤外光学系は、実施の形態3による赤外光学系に対して間隔調整部20を追加的に付加した構成を備える。一例として、間隔調整部20は、収差補正板着脱部2と鏡筒部7の間に配置され、収差補正板部1と球面レンズ部4の間隔を調整する機能を有する。間隔調整部20の具体的構成は、例えば、ねじ込み式の構造又は厚みの異なるスペーサを取り付け可能な構造等によって実現される。なお、間隔調整部20は、収差補正板部1と収差補正板着脱部2の間に設置されていてもよい。
収差補正板部1は、収差補正板部1と球面レンズ部4の間隔に応じて、焦点面部6上の解像度が向上する領域が変動するように、収差補正板部1を通過する光線に位相差を与える機能を有する。
<動作>
図9を参照して、実施の形態5による赤外光学系の初期状態における動作を説明する。例えば、図9に示す初期状態では、収差補正板部1の装着によって、集光スポット21のうち、光軸周辺のスポットのサイズが縮小し、物体像22において光軸周辺の解像度が向上する。
次に、図10を参照して、間隔調整部20によって、収差補正板部1と球面レンズ部4の間隔が変動した場合の動作を示す。例えば、図10に示す状態においては、間隔調整部20によって、収差補正板部1と球面レンズ部4の間隔が拡大している。間隔拡大の前後で各光線が収差補正板部1を通過する位置が変化するため、各光線に付与される位相差も変化する。これにより、各光線が焦点面部6上に生成する集光スポット23のサイズも変化し、光軸周辺のスポット径が拡大する一方、光軸から離れた位置のスポット径が縮小する。これに伴って、物体像24の中心部は低解像度、周辺部は高解像度となる。
前記動作により、物体像の中で注目したい領域のみを選択的に高解像度化できる。特定の領域の解像度を向上することで、例えば、特定の領域の温度を高精度に計測したい場合(人の顔の額等)に有用となる。このような場合には、特定領域に高い解像度が要求される一方で、特定領域以外の解像度に対する要求は低い。前記動作によれば間隔調整部20の調整のみで高解像度となる領域を変更可能なため、計測対象が変化し又は移動した場合にも、赤外光学系全体やそれを保持する構造を固定したままの状態で、高解像度領域を調整できる。
<効果>
本実施の形態では、収差補正板部1と球面レンズ部4の間隔を調整することで、物体像の中で注目したい領域のみを選択的に高解像度化可能となる。これにより、赤外光学系全体やそれを保持する構造を固定したままの状態で、高解像度領域を調整できる。
実施の形態6.
以下、図11から図13を参照して、実施の形態6による赤外光学系について説明する。
<構成>
図11は、実施の形態6による赤外光学系を表すブロック図である。実施の形態6による赤外光学系は、実施の形態3による赤外光学系に対して、開口調整部25を追加した構成を有する。一例として、開口調整部25は、図11に示されているように収差補正板部1の前段に備えられてもよい。この場合、開口調整部25は収差補正板部1に入射する光線を制限する機能を有する。開口調整部25は、開口を連続的に調整可能な可変アイリス状の構造又は直径の異なる開口プレートを取り付け可能な構造等によって実現される。開口調整部25は、収差補正板着脱部2に対して着脱可能に構成されていても、収差補正板着脱部2と一体的に形成されていてもよい。なお、開口調整部25は収差補正板部1の後段に設置されていてもよく、この場合、開口調整部25は収差補正板部1から出射する光線を制限する機能を有する。
<動作>
次に、図12を参照して、開口調整部25の開口を広げた場合に、画角を有する光線を焦点面部6に集光する際の動作を説明する。なお、図12及び図13では、説明を簡単にするため、球面レンズ部4が球面レンズを1枚だけ備える場合を図示している。
赤外光学系で使用される硝材には、Si、Ge、カルコゲナイドガラスなどがあるが、これらの硝材は概して高屈折率である。このような高屈折率の硝材で球面レンズ部4を構成する場合、球面レンズ部4の内部から外部へ光線が通過する場合に、一部の光線において屈折角の顕著な増大や全反射が発生する。図12の例では、下から3本目までの光線において前記のような振る舞いが生じている。例えば、後面が凸形状のレンズを用いて画角を有する光線を集光する図12に示すケースでは、球面レンズ部4の下部を通過する光線の方が、レンズ後面に対して大きな入射角を有するため、上記なような振る舞いが生じやすくなる。屈折角が顕著に大きくなった光線や全反射した光線の一部は焦点面部6に到達するが、これらの到達位置は他の光線の到達位置から乖離する。そのため、取得する画像に偽信号を生じ、品質劣化の一因となる。
低コストに集光レンズを構成する場合には、球面レンズ部4に平凸若しくは凸平レンズ又は両側凸レンズが使用される場合が多い。平凸若しくは凸平レンズを使用する場合、レンズの前面と後面の区別が視覚的に容易なため、レンズの組み立てミスを低減できる。また、両側凸レンズを使用する場合には、前面と後面の区別が無用となるため、レンズの組立てミスを排除できる。組み立てミスの減少はレンズコストの低減に寄与する。このように、低コストに集光レンズを構成する場合には、図12の例のような凸形状を有するレンズを使用する場合が多く、上記のような全反射は廉価な集光レンズを使用する場合に特に問題となる。
次に、図13を参照して、開口調整部25の開口を狭めた場合に、画角を有する光線を焦点面部6に集光する際の動作について説明する。図13に示されているように開口調整部25の開口を狭めることで、図12にて球面レンズ部4の下部を通過していた光線を選択的に除去することができる。一方で、球面レンズ部4の上部を通過し正常な結像に寄与する光線は、開口調整部25の開口を狭めた場合にも遮蔽されることなく焦点面部6へ到達できる。したがって、開口調整部25の開口を狭めることで、迷光を低減し、画像内の偽信号を抑制できる。さらに、開口調整部25の開口を狭めた際にも、結像に寄与する光線は通過するため、光量を保つことができる。
開口絞り部3を狭めることによっても図12にて球面レンズ部4の下部を通過していた光線を除去することは可能であるが、その場合、正常に結像に寄与する光線も除去してしまう。これは、光線が開口絞り部3上において光軸を中心とする円内に配置されているためである。一方、開口調整部25は開口絞り部3よりも前段に配置されているため、開口調整部25における光線の配置は光軸からオフセットした円内に配置されている。図13の例では、全反射する光線は、全反射せず結像に寄与する光線よりも外側、即ち開口調整部25の開口が開く方向の領域に配置されているため、開口調整部25を狭めることで、外側に位置する全反射する光線のみを選択的に除去可能である。
図12及び図13では単一の画角に相当する光線のみを表示しているため、開口絞り部3を上側にオフセットすることでも、開口調整部25と同等の効果を実現できそうに見える。しかしながら、実際には複数の画角の光線を同時に集光する必要があるため、開口絞り部3に対して、ある一つの画角に対して最適化されたオフセットを与えた場合、他の画角では結像に寄与する光線がカットされてしまい、光量の著しい低下が生じる。
<効果>
本実施の形態では、収差補正板部1の前段又は前記収差補正板部と前記球面レンズ部の間に開口調整部25を設けることで、球面レンズ部4内部で全反射する光線を選択的に取り除き、光量を保ちながらも、取得できる画像の品質を向上できる。
<付記>
以上で説明した実施形態の種々の側面の一部を、以下にてまとめる。
(付記1)
付記1の赤外光学系は、全体として結像作用を持ち、被写体からの入射光線を結像する1枚以上の球面レンズを備えた球面レンズ部(4)と、前記入射光線の前記球面レンズ部の透過を制限する開口絞り部(3)と、前記球面レンズ部の前段に配置され、少なくとも1面が非球面形状であり、前記球面レンズ部で発生する収差を補償するような光路長差を前記入射光線に与える収差補正板部(1;17)と、前記球面レンズ部、前記開口絞り部、及び前記収差補正板部を保持する鏡筒部(7)と、を備える。
(付記2)
付記2の赤外光学系は、付記1の赤外光学系であって、前記鏡筒部は前記収差補正板部を着脱可能な収差補正板着脱部(2)を備える。
(付記3)
付記3の赤外光学系は、付記1又は2に記載の赤外光学系であって、前記球面レンズ部は前記収差補正板部の着脱に関わらず結像能力を維持するような構造を有する。
(付記4)
付記4の赤外光学系は、付記1から3のいずれか1つに記載の赤外光学系であって、前記収差補正板部は前記球面レンズ部で生じる球面収差を補償するように光線高さに応じた厚みを有する。
(付記5)
付記5の赤外光学系は、付記1から4のいずれか1つに記載の赤外光学系であって、前記球面レンズ部の波長10μmにおける屈折率は2.0以上4.1以下であり、前記球面レンズ部に含まれる前記1枚以上のレンズの中心厚の合計は10mm以下である。
(付記6)
付記6の赤外光学系は、付記1から5のいずれか1つに記載の赤外光学系であって、前記収差補正板部の波長10μmにおける屈折率は1.0以上2.0以下であり、前記収差補正板部の中心厚は2mm以下である。
(付記7)
付記7の赤外光学系は、付記1から6のいずれか1つに記載の赤外光学系であって、前記球面レンズ部のパワーをφ、前記球面レンズ部のF値をF、前記球面レンズ部が像面上に生成するスポット径の最大許容直径をεと置いた場合に、前記収差補正板部のパワーφ’及び前記収差補正板部と前記球面レンズの間隔L’によって表されるパラメータβ=φ’(1-φ’L’)-1が、|β[φ(β+φ)]-1|<εFという関係を満たす。
(付記8)
付記8の赤外光学系は、付記1から6のいずれか1つに記載の赤外光学系であって、前記球面レンズ部のパワーをφ、前記球面レンズ部のF値をF、前記球面レンズ部が像面上に生成するスポット径の最大許容直径をεと置き、εが像面上に配置された検出素子の画素サイズと一致する場合に、前記収差補正板部のパワーφ’及び前記収差補正板部と前記球面レンズ部の間隔L’によって表されるパラメータβ=φ’(1-φ’L’)-1が、|β[φ(β+φ)]-1|<εFという関係を満たす。
(付記9)
付記9の赤外光学系は、付記1から6のいずれか1つに記載の赤外光学系であって、前記球面レンズ部のパワーをφ、前記球面レンズ部のF値をF、前記球面レンズ部が像面上に生成するスポット径の最大許容直径をεと置き、εが前記球面レンズ部の回折限界スポット直径と一致する場合に、前記収差補正板部のパワーφ’及び前記収差補正板部と前記球面レンズ部の間隔L’によって表されるパラメータβ=φ’(1-φ’L’)-1が、|β[φ(β+φ)]-1|<εFという関係を満たす。
(付記10)
付記10の赤外光学系は、付記1から9のいずれか1つに記載の赤外光学系であって、前記収差補正板部は温度環境又は湿度環境の変化に伴う前記球面レンズ部の結像性能の変化を補償できるようにパワーを有する環境補償収差補正板部(17)である。
(付記11)
付記11の赤外光学系は、付記1から10のいずれか1つに記載の赤外光学系であって、前記鏡筒部は前記収差補正板部と前記球面レンズ部の間隔を調整できる間隔調整部(20)を備える。
(付記12)
付記12の赤外光学系は、付記2から11のいずれか1つに記載の赤外光学系であって、前記収差補正板着脱部は、前記収差補正板部の前段、又は前記収差補正板部と前記球面レンズ部の間に、前記収差補正板部に入射し又は前記収差補正板部を出射する光束径を絞ることできる開口調整部(25)を備える。
(付記13)
付記13の赤外光学系は、全体として結像作用を持ち、被写体からの入射光線を結像する1枚以上の球面レンズを備えた球面レンズ部(4)と、前記入射光線の前記球面レンズ部の透過を制限する開口絞り部(3)と、前記球面レンズ部および前記開口絞り部を保持する鏡筒部(7)と、を備え、前記鏡筒部は、前記球面レンズ部の前段に収差補正板部を配置するために前記収差補正板部を着脱可能な収差補正板着脱部(2)を備える、赤外光学系。
(付記14)
付記14の赤外光学系は、付記13の赤外光学系であって、前記球面レンズ部は光学特性が最適化されている。
(付記15)
付記15の赤外光学系は、付記14の赤外光学系であって、前記最適化は全画角に対してなされている。
(付記16)
付記16の赤外光学系は、付記13から15のいずれか1つの赤外光学系であって、前記収差補正板着脱部に装着され、少なくとも1面が非球面形状であって前記球面レンズ部で発生する球面収差を補償するように光線高さに応じて厚みが最適化されている、収差補正板部(1)を更に備える。
なお、実施形態を組み合わせたり、各実施形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
本開示の赤外光学系は、家庭電子機器又はセキュリティーシステムなどの種々の機器又はシステムにおける赤外カメラとして用いることができる。
1 収差補正板部、2 収差補正板着脱部、3 開口絞り部、4 球面レンズ部、5 ウィンドウ部、6 焦点面部、7 鏡筒部、8 物体、9 集光スポット、10 物体像、11 集光スポット、12 物体像、13 光路、14 光路、15 集光スポット、16 物体像、17 環境補償収差補正板部、18 集光スポット、19 物体像、20 間隔調整部、21 集光スポット、22 物体像、23 集光スポット、24 物体像、25 開口調整部。

Claims (9)

  1. 全体として結像作用を持ち、被写体からの入射光線を結像する1枚以上の球面レンズを備えた球面レンズ部と、
    前記入射光線の前記球面レンズ部の透過を制限する開口絞り部と、
    前記球面レンズ部の前段に配置され、少なくとも1面が非球面形状であり、前記球面レンズ部で発生する収差を補償するような光路長差を前記入射光線に与える収差補正板部と、
    前記収差補正板部を着脱可能な収差補正板着脱部と、
    前記球面レンズ部、前記開口絞り部、前記収差補正板部、及び前記収差補正板着脱部を保持する鏡筒部と、
    を備え、
    前記球面レンズ部は前記収差補正板部の着脱に関わらず結像能力を維持するような構造を有し、
    前記球面レンズ部のパワーをφ、前記球面レンズ部のF値をF、前記球面レンズ部が像面上に生成するスポット径の最大許容直径をεと置いた場合に、前記収差補正板部のパワーφ’及び前記収差補正板部と前記球面レンズの間隔L’によって表されるパラメータβ=φ’(1-φ’L’) -1 が、|β[φ(β+φ)] -1 |<εFという関係を満たす、
    赤外光学系。
  2. 全体として結像作用を持ち、被写体からの入射光線を結像する1枚以上の球面レンズを備えた球面レンズ部と、
    前記入射光線の前記球面レンズ部の透過を制限する開口絞り部と、
    前記球面レンズ部の前段に配置され、少なくとも1面が非球面形状であり、前記球面レンズ部で発生する収差を補償するような光路長差を前記入射光線に与える収差補正板部と、
    前記収差補正板部を着脱可能な収差補正板着脱部と、
    前記球面レンズ部、前記開口絞り部、前記収差補正板部、及び前記収差補正板着脱部を保持する鏡筒部と、
    を備え、
    前記球面レンズ部は前記収差補正板部の着脱に関わらず結像能力を維持するような構造を有し、
    前記球面レンズ部のパワーをφ、前記球面レンズ部のF値をF、前記球面レンズ部が像面上に生成するスポット径の最大許容直径をεと置き、εが像面上に配置された検出素子の画素サイズと一致する場合に、前記収差補正板部のパワーφ’及び前記収差補正板部と前記球面レンズ部の間隔L’によって表されるパラメータβ=φ’(1-φ’L’) -1 が、|β[φ(β+φ)] -1 |<εFという関係を満たす、
    赤外光学系。
  3. 全体として結像作用を持ち、被写体からの入射光線を結像する1枚以上の球面レンズを備えた球面レンズ部と、
    前記入射光線の前記球面レンズ部の透過を制限する開口絞り部と、
    前記球面レンズ部の前段に配置され、少なくとも1面が非球面形状であり、前記球面レンズ部で発生する収差を補償するような光路長差を前記入射光線に与える収差補正板部と、
    前記収差補正板部を着脱可能な収差補正板着脱部と、
    前記球面レンズ部、前記開口絞り部、前記収差補正板部、及び前記収差補正板着脱部を保持する鏡筒部と、
    を備え、
    前記球面レンズ部は前記収差補正板部の着脱に関わらず結像能力を維持するような構造を有し、
    前記球面レンズ部のパワーをφ、前記球面レンズ部のF値をF、前記球面レンズ部が像面上に生成するスポット径の最大許容直径をεと置き、εが前記球面レンズ部の回折限界スポット直径と一致する場合に、前記収差補正板部のパワーφ’及び前記収差補正板部と前記球面レンズ部の間隔L’によって表されるパラメータβ=φ’(1-φ’L’) -1 が、|β[φ(β+φ)] -1 |<εFという関係を満たす、
    赤外光学系。
  4. 前記収差補正板部は前記球面レンズ部で生じる球面収差を補償するように光線高さに応じた厚みを有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の赤外光学系。
  5. 前記球面レンズ部の波長10μmにおける屈折率は2.0以上4.1以下であり、
    前記球面レンズ部に含まれる前記1枚以上のレンズの中心厚の合計は10mm以下である、
    請求項4に記載の赤外光学系。
  6. 前記収差補正板部の波長10μmにおける屈折率は1.0以上2.0以下であり、
    前記収差補正板部の中心厚は2mm以下である、
    請求項5に記載の赤外光学系。
  7. 前記収差補正板部は温度環境又は湿度環境の変化に伴う前記球面レンズ部の結像性能の変化を補償できるようにパワーを有する環境補償収差補正板部である、
    請求項5に記載の赤外光学系。
  8. 前記鏡筒部は前記収差補正板部と前記球面レンズ部の間隔を調整できる間隔調整部を備える、
    請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の赤外光学系。
  9. 前記収差補正板着脱部は、前記収差補正板部の前段、又は前記収差補正板部と前記球面レンズ部の間に、前記収差補正板部に入射し又は前記収差補正板部を出射する光束径を絞ることできる開口調整部を備える、
    請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の赤外光学系。
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