JP7053853B2 - 細胞培養方法及び細胞培養装置 - Google Patents

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Description

本願は2018年8月20日出願の日本出願第2018-154089号の優先権を主張すると共に、その全文を参照により本明細書に援用する。
開示の技術は、細胞培養方法及び細胞培養装置に関する。
細胞培養装置に関し、例えば、特開2016-131538号公報には、培養容器、貯留容器、細胞凝集体を分割する分割処理を行う分割処理部と、流路内に培地を供給する培地供給部と、を含む細胞培養装置が記載されている。
iPS細胞(induced pluripotent stem cells)等の幹細胞の培養においては、細胞を浮遊培養することによって生じる細胞凝集体(スフェア)のサイズが過大となると、細胞凝集体同士が接着融合し、細胞が分化を開始したり、細胞凝集体の中心部の細胞が壊死したりする場合がある。従って、細胞凝集体のサイズが過大となることを防止するために、細胞の培養期間中の適切な時期に、細胞凝集体を、より小さいサイズの複数の細胞凝集体に分割(解砕)する分割処理が行われている。
細胞凝集体を分割する手法として、細胞凝集体を含む細胞懸濁液を、複数の開口部(網目)を有するメッシュに通過させることで細胞凝集体を機械的に分割する手法が提案されている。メッシュを用いた分割処理においては、メッシュ衝突時に細胞凝集体がダメージを受け、多くの死細胞が発生する。特に、サイズが比較的小さい細胞凝集体は、メッシュを用いた分割処理に対して脆弱である。培養期間中、培養容器内には、様々なサイズの細胞凝集体が収容されているところ、培養容器内に収容されている細胞凝集体に対して無差別に分割処理を行うと、サイズが比較的小さい細胞凝集体に対しても分割処理が行われることなり、死細胞の発生率の抑制が困難となる。
開示の技術は、サイズが比較的小さい細胞凝集体に対する分割処理の実施を抑制することで、死細胞の発生を抑制できる細胞培養方法及び細胞培養装置を提供する。
開示の技術に係る細胞培養方法は、培養容器から移送された細胞凝集体を含む細胞懸濁液の成分を、サイズに応じて分離する分級工程と、分級工程において分離されたサイズが相対的に小さい細胞凝集体を培養容器に回収する第1の回収工程と、分級工程において分離されたサイズが相対的に大きい細胞凝集体を分割する分割工程と、分割工程において分割された細胞凝集体を、培養容器または培養容器とは異なる回収容器に回収する第2の回収工程と、を含む。開示の技術に係る細胞培養方法によれば、サイズが比較的小さい細胞凝集体に対する分割処理の実施が抑制され、死細胞の発生を抑制することが可能となる。
開示の技術に係る細胞培養方法は、分級工程において分離されたサイズが最も小さい階級に属する成分を廃棄する廃棄工程を更に含んでいてもよい。これにより、細胞懸濁液から死細胞等のデブリスを除去することが可能となる。
開示の技術に係る細胞培養方法は、分割工程において細胞凝集体を分割する前に当該細胞凝集体と培地と混合する混合工程を更に含んでいてもよい。これにより、分級工程を経た細胞懸濁液における細胞濃度を適正な濃度に調整することができる。
開示の技術に係る細胞培養方法は、第2の回収工程において、回収容器に回収された細胞を回収容器内で培養する第1の培養工程と、第1の培養工程を経た細胞を、培養容器内で培養する第2の培養工程と、を更に含んでいてもよい。これにより、細胞の状態に適した環境で培養することができ、細胞の生存率及び品質を高めることが可能となる。
例えば、第1の培養工程において用いられる培地の組成は、第2の培養工程において用いられる培地の組成と異なっていてもよい。具体的には、第1の培養工程において用いられる培地にはROCK阻害剤が添加されていてもよく、第2の培養工程において用いられる培地にはROCK阻害剤が添加されていないことが好ましい。また、第1の培養工程において用いられる培地の粘度は、第2の培養工程において用いられる培地の粘度よりも低くてもよい。
開示の技術に係る細胞培養装置は、細胞凝集体を含む細胞懸濁液を収容する培養容器と、細胞凝集体を含む細胞懸濁液の成分を、サイズに応じて分離する分級部と、細胞凝集体を分割する分割部と、培養容器、分級部及び分割部に接続された流路と、流路を介した細胞懸濁液の移送を制御する制御部と、を含む。制御部は、培養容器に収容されている細胞懸濁液を分級部に移送し、分級部において分離されたサイズが相対的に小さい細胞凝集体を含む細胞懸濁液を培養容器に移送し、分級部において分離されたサイズが相対的に大きい細胞凝集体を含む細胞懸濁液を分割部に移送し、分割部において分割された細胞凝集体を含む細胞懸濁液を流路に接続された容器に移送する。開示の技術に係る細胞培養装置によれば、サイズが比較的小さい細胞凝集体に対する分割処理の実施を抑制することができ、死細胞の発生を抑制することが可能となる。
開示の技術に係る細胞培養装置は、流路に接続された廃液容器を更に含んでいてもよい。この場合、制御部は、分級部において分離されたサイズが最も小さい階級に属する成分を廃液容器に移送してもよい。これにより、細胞懸濁液から死細胞等のデブリスを除去することが可能となる。
制御部は、分割部において分割された細胞凝集体を含む細胞懸濁液を培養容器に移送してもよい。また、開示の技術に係る細胞培養装置は、流路に接続された回収容器を更に含んでいてもよい。この場合、制御部は、分割部において分割された細胞凝集体を含む細胞懸濁液を回収容器に移送してもよい。
制御部は、回収容器に移送され、回収容器内で培養された細胞を含む細胞懸濁液を培養容器に移送してもよい。これにより、細胞の状態に適した環境で培養することができ、細胞の生存率及び品質を高めることが可能となる。
開示の技術に係る細胞培養装置は、流路に接続され、細胞懸濁液を濾過する濾過部を更に含んでいてもよい。この場合、制御部は、回収容器に移送され、回収容器内で培養された細胞を含む細胞懸濁液を培養容器に移送する前に濾過部に移送し、濾過部において濾過された細胞懸濁液を培養容器に移送してもよい。これにより、細胞懸濁液から死細胞等のデブリスを除去することが可能となる。
開示の技術によれば、サイズが比較的小さい細胞凝集体に対する分割処理の実施が抑制され、死細胞の発生を抑制することが可能となる。
開示の技術の実施形態に係る細胞培養方法における処理の流れの一例を示す工程フロー図である。 開示の技術の実施形態に係る細胞培養装置の構成の一例を示す図である。 開示の技術の実施形態に係る分割部16の構成の一例を示す断面図である。 開示の技術の実施形態に係るメッシュの平面図である。 図3Bにおいて破線で囲んだ部分Yの拡大図である。 培地交換処理を行う場合に、開示の技術の実施形態に係る制御部において実施される処理の流れの一例を示すフローチャートである。 分割処理を行う場合に、開示の技術の実施形態に係る制御部において実施される処理の流れの一例を示すフローチャートである。 開示の技術の他の実施形態に係る細胞培養方法における処理の流れの一例を示す工程フロー図である。 開示の技術の他の実施形態に係る細胞培養装置の構成の一例を示す図である。 分割処理を行う場合に、開示の技術の実施形態に係る制御部において実施される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
以下、開示の技術の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一または等価な構成要素および部分には同一の参照符号を付与している。
[第1の実施形態]
図1は、開示の技術の第1の実施形態に係る細胞培養方法における処理の流れの一例を示す工程フロー図である。本実施形態に係る細胞培養方法においては、iPS細胞、間葉系胚細胞、ES細胞等の増殖性を有する幹細胞を培養の対象とする。また、培養容器内において、例えば、1×10個またはそれよりも多くの細胞が、略球状の凝集体(スフェア)を形成して、培地中に浮遊した状態で培養されるものとする。本実施形態に係る細胞培養方法は、分級工程A1、廃棄工程A2、第1の回収工程A3、混合工程A4、分割工程A5、第2の回収工程A6を含む。
分級工程A1では、培養容器から移送された細胞懸濁液に含まれる成分を分級する分級処理が行われる。本実施形態に係る分級工程A1では、細胞懸濁液に含まれる成分が、そのサイズに応じて3つの階級に分けられる。サイズが最も小さい階級に属する成分には、サイズが例えば50μm未満の死細胞及び細胞から分泌された分泌物等のデブリスが含まれる。サイズが最も大きい階級に属する成分には、サイズが相対的に大きい(例えば200μm以上)細胞凝集体(以下、大サイズスフェア)が含まれる。サイズが中程度の階級に属する成分には、サイズが相対的に小さい(例えば50μm以上200μm未満)細胞凝集体(以下、小サイズスフェアという)が含まれる。
廃棄工程A2では、分級工程において他の階級成分から分離された、サイズが最も小さい階級に属する成分に含まれる死細胞等のデブリスが廃棄される。
第1の回収工程A3では、分級工程A1において他の階級成分から分離された小サイズスフェアが元の培養容器に回収される。
混合工程A4では、分級工程A1において他の階級成分から分離された大サイズスフェアを含む細胞懸濁液と、新鮮な培地とを混合する混合処理が行われる。分級工程A1においては、細胞凝集体と培地とが分離され、分級工程A1を経た細胞懸濁液は、細胞濃度が過度に高まるので、大サイズスフェアを含む細胞懸濁液と、新鮮な培地とを混合することで、大サイズスフェアを含む細胞懸濁液における細胞濃度が適正な濃度に調整される。
分割工程A5では、分級工程A1において他の階級成分から分離された大サイズスフェアを、サイズがより小さい細胞凝集体に分割する分割処理が行われる。分割工程A5における細胞凝集体の分割は、細胞凝集体をメッシュに通すことにより行われる。iPS細胞等の幹細胞の培養においては、細胞を浮遊培養することによって生じる細胞凝集体のサイズが過大となると、細胞凝集体同士が接着融合し、細胞が分化を開始したり、細胞凝集体の中心部の細胞が壊死したりする場合がある。分割工程A5において、分割処理が行われることで、細胞凝集体のサイズが過大となることが抑制される。
第2の回収工程A6では、分割工程A5において分割された細胞凝集体が、元の培養容器またはこれとは別の回収容器に回収される。回収された細胞は、元の培養容器またはこれとは別の回収容器内で、継続して培養される。この培養により、例えば細胞凝集体の平均サイズが、分割処理が必要となる所定のサイズにまで成長した場合、上記の各工程(A1~A6)における処理が繰り返し行われる。
図2は、上記した細胞培養方法を実現する開示の技術の第1の実施形態に係る細胞培養装置1の構成の一例を示す図である。
細胞培養装置1は、培養容器10、培地収容容器13、14、分級部11、廃液容器12、混合部15、分割部16、モニタ部17、制御部20、ポンプP1~P7及びバルブV1~V3を含んで構成されている。培養容器10、培地収容容器13、14、分級部11、廃液容器12、混合部15、分割部16は、それぞれ流路30に接続されている。
培養容器10には、培養対象である複数の細胞からなる細胞凝集体及び培地を含む細胞懸濁液が収容される。培養容器10は、例えば、1×10個またはそれよりも多くの細胞を収容可能な容積を有する。培養容器10の形態は、特に限定されず、例えば、ガラス容器または金属容器を培養容器10として用いることが可能である。培養容器10は、例えばガス透過性を有するフィルムを含んで構成されるバッグの形態を有していてもよい。培地収容容器13、14には、それぞれ、新鮮な培地が収容される。
分級部11は、本実施形態に係る細胞培養方法の分級工程A1における分級処理を行う。すなわち、分級部11は、細胞懸濁液に含まれる成分を、そのサイズに応じて3階級に分ける分級処理を行う。分級部11は、分級処理によって分離したサイズが互いに異なる成分を、別々の流出口o1、o2、o3から流出させる。サイズが最も小さい階級に属する成分(主として、死細胞等のデブリス)が流出する流出口o1は、流路30を介して廃液容器12に接続されている。サイズが最も大きい階級に属する成分(主として大サイズスフェア)が流出する流出口o2は、流路30を介して混合部15に接続されている。サイズが中程度の階級に属する成分(主として小サイズスフェア)が流出する流出口o3は、流路30を介して培養容器10に接続されている。
分級部11における分級の階級数は可変とされており、細胞懸濁液に含まれる成分を、そのサイズに応じて例えば2つの階級に分けることも可能である。これにより、分級部11は、細胞懸濁液に含まれる死細胞等のデブリスを除去する濾過処理を行う濾過部としても機能する。分級部11として公知の分級装置を用いることが可能である。分級部11を構成する分級装置として、例えば、分級対象のサイズ毎の沈降速度の差を利用するもの、遠心分離を利用するもの、またはフィルタ膜による膜分離を行うもの等を使用することができる。
混合部15は、本実施形態に係る細胞培養方法の混合工程A4における混合処理を行う。すなわち、分級工程A1において分離された大サイズスフェアと、培地収容容器13から移送された新鮮な培地とが混合部15において混合される。混合部15は、流入する流体を撹拌する機能を有する。混合部15は、駆動部を有しない所謂スタティックミキサを含んで構成されていてもよく、例えば、管状体と、管状体の内部に固定設置され、管状体の内部にらせん状の流路を形成する撹拌エレメントと、を含んで構成され得る。なお、混合部15は、回転軸に取り付けられた撹拌翼を回転軸の周りに回転させる撹拌装置を含んで構成されていてもよい。
分割部16は、本実施形態に係る細胞培養方法の分割工程A5における分割処理を行う。すなわち、分割部16は、分級部11において分離され、混合部15において新鮮な培地と混合された大サイズスフェアを、サイズがより小さい細胞凝集体に分割する。
図3Aは、分割部16の構成の一例を示す断面図である。分割部16は、流入口202及び流出口203を有するケース201と、ケース201の内部の、流入口202と流出口203との間に設けられたメッシュ210とを含んで構成されている。図3Bは、メッシュ210の平面図、図3Cは、図3Bにおいて破線で囲んだ部分Yの拡大図である。メッシュ210は、複数の繊維状部材212を例えば平織りすることによって形成された複数の開口部(網目)211を有する。なお、繊維状部材212の織り方は、平織りに限定されない。繊維状部材212の材質は、特に限定されるものではないが、耐食性の高い材料で構成されていることが好ましく、例えばナイロンまたはステンレスを好適に用いることができる。メッシュ210は、複数の開口部211を有する主面が、細胞懸濁液の流れ方向FLと交差する方向に延在するようにケース201内に設置されている。細胞懸濁液が、メッシュ210を通過することで、細胞懸濁液に含まれる細胞凝集体が機械的に分割される。分割部16が有するメッシュ210の孔径Lは、例えば、分割処理前の細胞凝集体の平均径よりも小さい大きさとされ、分割処理後の細胞凝集体の目標サイズに応じて定められる。細胞凝集体の平均径として、細胞凝集体の各々を球形近似したときの、当該球形の直径の算術平均を適用することが可能である。
モニタ部17は、流路30の、培養容器10と分級部11との間の区間Xに設けられている。モニタ部17は、区間Xを通過する細胞懸濁液をモニタする。モニタ部17は、フローセル18及び撮像装置19を含んで構成されている。
フローセル18は、その全体が、ガラスまたはプラスチック等の光透過性を有する材料で構成されている。フローセル18は、第1の流通口18aと、第1の流通口18aに連通する第2の流通口18bとを有している。撮像装置19は、フローセル18の第1の流通口18aと第2の流通口18bとの間の領域に撮像視野が設定されており、フローセル18の内部を流れる細胞懸濁液に含まれる細胞(細胞凝集体)を、フローセル18越しに連続的に撮像する。撮像装置19によって撮像された複数の画像は、制御部20に送信される。また、フローセル18の内部を流れる細胞懸濁液に含まれる培地を撮像装置19によって撮像して色味を評価し、予め登録された色見本と照合することで培地のpH(水素イオン指数)を定量する。
流路30は、培養容器10から分級部11への細胞懸濁液の移送、分級部11から培養容器10、廃液容器12及び混合部15への細胞懸濁液の移送、混合部15から分割部16への細胞懸濁液の移送、分割部16から培養容器10への細胞懸濁液の移送をそれぞれ可能とするように構成されている。また、流路30は、培地収容容器13から混合部15への培地の移送、培地収容容器14から培養容器10への培地の移送をそれぞれ可能とするように構成されている。また、流路30は、培養容器10から抜き出された細胞懸濁液が、分級部11、混合部15及び分割部16を経由して、培養容器10に戻る第1の循環ルート、培養容器10から抜き出された細胞懸濁液が、分級部11して培養容器10に戻る第2の循環ルートを形成するように構成されている。
ポンプP1~P7及びバルブV1~V3は、流路30の各所に適宜配置される。ポンプP1~P7は、制御部20から供給される制御信号に応じて駆動し、バルブV1~V3は、制御部20から供給される制御信号に応じて開閉する。なお、流路30の構成及びポンプP1~P7及びバルブV1~V3の配置は、図2に例示されたものに限定されず、本実施形態に係る細胞培養方法を実施できるように構成されていればよい。
制御部20は、制御信号を用いてポンプP1~P7の駆動制御及びバルブV1~V3の開閉制御を行うことにより、流路30を介した細胞懸濁液の移送を制御する。
培養容器10内で、細胞培養を行うと、死細胞及び細胞から分泌された分泌物等のデブリスが培養容器10内に蓄積される。これらのデブリスは、細胞の生存率及び増殖性に悪影響を与えるおそれがあることから、定期的に(例えば、24時間毎に)培養容器10内の培地を新鮮な培地に交換する培地交換処理を実施することが好ましい。
図4は、細胞培養装置1において培地交換処理を行う場合に、制御部20において実施される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
ステップS1において、制御部20は、バルブV1を開状態に制御し、ポンプP1を駆動させることで、培養容器10に収容されている細胞懸濁液の一部を分級部11に移送する。細胞懸濁液が、流路30の区間Xを通過する間、当該細胞懸濁液に含まれる細胞が、モニタ部17によってモニタされる。すなわち、撮像装置19は、フローセル18を通過する細胞懸濁液に含まれる細胞(細胞凝集体)を連続的に撮像する。撮像装置19は、例えば、流路30の区間Xを通過する細胞懸濁液に含まれる全ての細胞(細胞凝集体)を撮像可能な間隔で撮像を行う。なお、撮像装置19は、流路30の区間Xを通過する細胞懸濁液に含まれる一部の細胞(細胞凝集体)を撮像してもよい。
ステップS2において、制御部20は、モニタ部17の撮像装置19によって撮像された細胞の画像を取得する。
分級部11は、濾過部として機能し、培養容器10から移送された細胞懸濁液に対して濾過処理を行う。すなわち、分級部11は、培養容器10から移送された細胞懸濁液に含まれる、サイズが相対的に大きい細胞凝集体と、サイズが相対的に小さい死細胞等のデブリスとを分離する。分級部11は、サイズが相対的に大きい細胞凝集体を流出口o3から流出させ、サイズが相対的に小さい細胞凝集体を流出口o1から流出させる。
ステップS3において、制御部20は、ポンプP2を駆動させることで、流出口o1から流出する死細胞等のデブリスを廃液容器12に移送する。
ステップS4において、制御部20は、ポンプP3を駆動させることで、流出口o3から流出する細胞凝集体を含む細胞懸濁液を培養容器10に移送する。
ステップS5において、制御部20は、ポンプP3を駆動させ、バルブV3を開状態に制御することで、培地収容容器14に収容されている新鮮な培地を培養容器10に移送する。これにより、培養容器10内に、新鮮な培地が補充される。このとき、制御部20は、ステップS2においてモニタ部17から取得した画像や評価結果に基づいて培地の移送量を導出する。制御部20は、培地の移送量を例えば以下のように導出する。すなわち、制御部20は、ステップS2において取得した画像に基づいて、培養容器10内の現在の細胞濃度を導出する。現在の細胞濃度は、例えば、ステップS2において取得した画像に含まれる細胞凝集体の個々のサイズの積算値と、撮像装置19の撮像視野の面積との比から導出することが可能である。制御部20は、導出した培養容器10内の現在の細胞濃度に基づいて、培養容器10内の細胞濃度を所定の濃度とするために追加すべき培地の量を、培地収容容器14から培養容器10への培地の移送量として導出する。
ステップS6において、制御部20は、ステップS2においてモニタ部17から取得した画像に基づいて、分割処理の要否を判断する。制御部20は、分割処理の要否の判断を例えば、以下のようにして行う。制御部20は、例えば、ステップS2においてモニタ部17から取得した画像に含まれる細胞凝集体の平均径を導出し、導出した平均径が所定の大きさよりも大きい場合には、分割処理が必要であると判断し、導出した平均径が所定の大きさよりも小さい場合には、分割処理が不要であると判断する。細胞凝集体の平均径として、細胞凝集体の各々を球形近似したときの、当該球形の直径の算術平均を適用することが可能である。
制御部20は、上記ステップS1~S6の処理を連続的または断続的に繰り返し実施することにより、培養容器10内における培地の鮮度を一定レベルに保持する。
iPS細胞等の幹細胞の培養においては、細胞を浮遊培養することによって生じる細胞凝集体のサイズが過大となると、細胞凝集体同士が接着融合し、細胞が分化を開始したり、細胞凝集体の中心部の細胞が壊死したりする場合がある。従って、細胞凝集体のサイズが過大となることを防止するために、細胞の培養期間中の適切な時期に、細胞凝集体を、より小さいサイズの複数の細胞凝集体に分割する分割処理を行うことが好ましい。
本実施形態に係る細胞培養装置1においては、培地換処理を行う場合に、制御部20において実施される処理のステップS6(図4参照)において分割処理が必要であると判断された場合に分割処理が行われる。
図5は、細胞培養装置1において分割処理を行う場合に、制御部20において実施される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
ステップS11において、制御部20は、バルブV1を開状態に制御し、ポンプP1を駆動させることで、培養容器10に収容されている細胞懸濁液の一部を、培養容器10から分級部11に移送する。細胞懸濁液が、流路30の区間Xを通過する間、当該細胞懸濁液に含まれる細胞が、モニタ部17によってモニタされる。すなわち、撮像装置19は、フローセル18を通過する細胞懸濁液に含まれる細胞(細胞凝集体)を連続的に撮像する。
ステップS12において、制御部20は、モニタ部17の撮像装置19によって撮像された細胞の画像を取得する。
分級部11は、培養容器10から移送された細胞懸濁液に含まれる成分を、そのサイズに応じて3つの階級に分ける分級処理を行う。すなわち、分級部11は、培養容器10から移送された細胞懸濁液に含まれる大サイズスフェア、小サイズスフェア及び死細胞等のデブリスを互いに分離する。これにより、本実施形態に係る細胞培養方法における分級工程A1が実現される。分級部11は、大サイズスフェアを流出口o2から流出させ、小サイズスフェアを流出口o3から流出させ、死細胞等のデブリスを流出口o1から流出させる。
ステップS13において、制御部20は、ポンプP2を駆動させることで、流出口o1から流出する死細胞等のデブリスを廃液容器12に移送する。これにより、本実施形態に係る細胞培養方法における廃棄工程A2が実現される。
ステップS14において、制御部20は、ポンプP3を駆動させることで、流出口o3から流出する小サイズスフェアを含む細胞懸濁液を培養容器10に移送する。これにより、本実施形態に係る細胞培養方法における第1の回収工程A3が実現される。すなわち、培養容器10から抜き出された小サイズスフェアは、分割部16において分割処理が施されることなく培養容器10に回収される。
ステップS15において、制御部20は、ポンプP4、P6を駆動させることで、流出口o2から流出する大サイズスフェアを含む細胞懸濁液を分割部16に移送する。大サイズスフェアを含む細胞懸濁液は、分級部11から混合部15を経由して分割部16に移送される。
ステップS16において、制御部20は、バルブV2を開状態に制御し、ポンプP5を駆動させることで、培地収容容器13に収容されている新鮮な培地を混合部15に移送する。分級部11から分割部16に向かう大サイズスフェアを含む細胞懸濁液は、培地収容容器13から移送された新鮮な培地と、混合部15において合流し、混合及び撹拌される。これにより、本実施形態に係る細胞培養方法における混合工程A4が実現される。分級部11においては、細胞凝集体と培地とが分離され、分級部11を通過した細胞懸濁液は、細胞濃度が過度に高まるので、分級部11を通過した大サイズスフェアを含む細胞懸濁液と、新鮮な培地とを混合することで、大サイズスフェアを含む細胞懸濁液における細胞濃度が適正な濃度に調整される。
分割部16に移送された大サイズスフェアは、分割部16のメッシュ210(図3A、図3B、図3C参照)を通過することにより、サイズのより小さい細胞凝集体に分割される。これにより、本実施形態に係る細胞培養方法における分割工程A5が実現される。
ステップS17において、制御部20は、ポンプP7を駆動させることで、分割部16において分割された細胞凝集体を培養容器10に移送する。これにより、本実施形態に係る細胞培養方法における第2の回収工程A6が実現される。培養容器10に回収された細胞を、培養容器10内で継続して培養してもよい。
ステップS18において、制御部20は、ポンプP3を駆動させ、バルブV3を開状態に制御することで、培地収容容器14に収容されている新鮮な培地を培養容器10に移送する。これにより、培養容器10内に、新鮮な培地が補充される。このとき、制御部20は、ステップS12においてモニタ部17から取得した画像や評価結果に基づいて培地の移送量を導出する。制御部20は、培地の移送量を例えば以下のように導出する。すなわち、制御部20は、ステップS12において取得した画像に基づいて、培養容器10内の現在の細胞濃度を導出する。現在の細胞濃度は、例えば、ステップS12において取得した画像に含まれる細胞凝集体の個数とサイズの積と、撮像装置19の撮像視野の面積との比から導出することが可能である。制御部20は、導出した培養容器10内の現在の細胞濃度に基づいて、培養容器10内の細胞濃度を所定の濃度とするために追加すべき培地の量を、培地収容容器14から培養容器10への培地の移送量として導出する。
なお、培養容器10への培地の補充を、培地収容容器13に収容されている培地によって補充してもよい。この場合、ステップS14において、小サイズスフェアとともに培地を培養容器10に移送してもよい。また、ステップS16において、大サイズスフェアと混合される培地によって、培養容器10への培地の補充を行ってもよい。
以上のように、開示の技術の実施形態に係る細胞培養方法及び細胞培養装置1によれば、培養容器10から移送された細胞凝集体を含む細胞懸濁液の成分が、分級部11において分級される。分級により他の階級成分から分離された大サイズスフェアは、分割部16において分割処理が施された後、培養容器10に回収される。一方、分級により他の階級成分から分離された小サイズスフェアは、分割処理が施されることなく、培養容器10に回収される。
ここで、メッシュを用いた分割処理においては、メッシュ衝突時に細胞凝集体がダメージを受け、多くの死細胞が発生する。特に、小サイズスフェアは、メッシュを用いた分割処理に対して脆弱である。培養容器10内には、様々なサイズの細胞凝集体が収容されているところ、培養容器10内に収容されている細胞凝集体に対して無差別に分割処理を行うと、小サイズスフェアに対しても分割処理が行われることなり、死細胞の発生率の抑制が困難となる。
開示の技術の実施形態に係る細胞培養方法及び細胞培養装置1によれば、大サイズスフェアに対して分割処理が施される一方、小サイズスフェアは、分割処理が施されることなく、培養容器10に回収される。これにより、分割処理に伴う死細胞の発生を抑制することができ、細胞の生産性を高めることができる。なお、小サイズスフェアに対しては、本来、分割処理が不要であるため、小サイズスフェアに対する分割処理を抑制することによる弊害はないものと考えられる。
また、メッシュを用いた分割処理においては、メッシュを通過できない細胞がメッシュ上に滞留することによるロスが発生する。開示の技術の実施形態に係る細胞培養方法及び細胞培養装置1によれば、小サイズスフェアに対する分割処理が回避されるので、分割処理に伴う細胞のロスを抑制することが可能である。
なお、本実施形態に係る細胞培養装置1においては、分割部16において分割された細胞凝集体を、培養容器10に回収する場合を例示したが、この態様に限定されない。例えば、培養容器10とは別の回収容器を設け、分割部16において分割された細胞凝集体を、上記回収容器に回収してもよい。
[第2の実施形態]
図6は、開示の技術の第2の実施形態に係る細胞培養方法における処理の流れの一例を示す工程フロー図である。第2の実施形態に係る細胞培養方法は、第2の回収工程A6が、上記した第1の実施形態に係る細胞培養方法における第2の回収工程A6とは異なる。また、第2の実施形態に係る細胞培養方法は、第1の培養工程A7及び第2の培養工程A8を更に含む。第2の実施形態に係る細胞培養方法における、分級工程A1、廃棄工程A2、第1の回収工程A3、混合工程A4、分割工程A5は、上記した第1の実施形態に係る細胞培養方法と同じであるので、重複する説明は省略する。
第2の実施形態に係る第2の回収工程A6では、分割工程A5において分割された細胞凝集体が、元の培養容器とは別の回収容器に回収される。
第1の培養工程A7では、回収容器に回収された細胞が回収容器内で培養される。すなわち、分割工程における分割処理によってダメージを受けた細胞は、回収容器内で培養される。
第2の培養工程A8では、第1の培養工程A7を経た細胞が、元の培養容器内で培養される。すなわち、第1の培養工程A7を経ることにより、ダメージから回復した細胞は、元の培養容器に移送され、培養容器内で培養される。
第1の培養工程A7における培養期間は、例えば、分割処理によるダメージからの回復に要する期間(例えば、数時間~1日程度)とされる。第2の培養工程A8における培養期間は、例えば、細胞凝集体が、分割処理が必要となるサイズにまで成長するのに要する期間(例えば5日間程度)とされる。第2の培養工程A8における培養により、例えば培養容器内の細胞凝集体の平均サイズが、分割処理が必要となる所定のサイズにまで成長した場合、上記の各工程(A1~A8)における処理が繰り返し行われる。
第1の培養工程A7において用いられる培地の組成と、第2の培養工程A8において用いられる培地の組成とは、互いに異なっていてもよい。分割処理によるダメージを受けた細胞は、自らを細胞死に誘導する場合がある。この分割処理後に発現する細胞死は、細胞の生産性を低下させる要因となっている。この分割処理後に発現する細胞死は、ROCKと呼ばれる細胞内のリン酸化酵素の働きを阻害することで抑制できることが知られている。そこで、分割処理の直後に実施される第1の培養工程A7において用いられる培地には、ROCKの働きを阻害するROCK阻害剤が添加されていてもよい。第1の培養工程A7において用いられる培地にROCK阻害剤を添加することで、分割処理後に発現する細胞死を抑制する効果が期待できる。一方、細胞による自発的な細胞死は、細胞の増殖過程において必要な事象であることから、自発的な細胞死を人為的に阻害することによるデメリットを抑制することが好ましい。従って、分割処理によるダメージから回復した後に行われる第2の培養工程A8において用いられる培地には、ROCK阻害剤が含まれていないことが好ましい。
また、回収容器に回収される細胞凝集体は、分割処理によって小サイズ化されているので、回収容器に収容される細胞凝集体を培地中において浮遊状態を維持するために必要とされる培地の粘度は比較的低い。一方、第1の培養工程A7を経た細胞が収容される培養容器10内における細胞凝集体の平均サイズは、回収容器内における細胞凝集体の平均サイズよりも大きい。従って、培養容器に収容される細胞凝集体を培地中に浮遊状態を維持するために必要とされる培地の粘度は比較的高い。そこで、第1の培養工程A7において用いられる培地の粘度を、第2の培養工程A8において用いられる培地の粘度よりも低くしてもよい。
このように、第1の培養工程A7において用いられる培地の組成と、第2の培養工程A8において用いられる培地の組成とを互いに異ならせることにより、各培養工程において、細胞の状態に適した培養を行うことが可能となる。
図7は、上記した細胞培養方法を実現する開示の技術の第2の実施形態に係る細胞培養装置1Aの構成の一例を示す図である。細胞培養装置1Aは、上記した第1の実施形態に係る細胞培養装置1(図2参照)が備える構成に加え、流路30に接続された回収容器21、濾過部22、廃液容器23、培地収容容器24、混合部25を更に含む。
回収容器21は、分割部16における分割処理後の細胞凝集体及び培地を含む細胞懸濁液が収容される。回収容器21の形態は、特に限定されず、例えば、ガラス容器または金属容器を回収容器21として用いることが可能である。回収容器21は、例えばガス透過性を有するフィルムを含んで構成されるバッグの形態を有していてもよい。回収容器21の容積は、培養容器10と同等または培養容器10の容積よりも小さくてもよい。
濾過部22は、細胞懸濁液に対して濾過処理を行うことにより、細胞懸濁液に含まれる細胞凝集体と死細胞等のデブリスとを分離する。濾過部22における濾過処理は、例えば、濾過膜を用いた膜分離によって行われてもよい。濾過部22における濾過処理を、膜分離によって行う場合、膜分離の方式は、細胞に対するダメージが比較的小さいタンジェンシャルフロー方式であることが好ましい。濾過部22において、分離された死細胞等のデブリスは、廃液容器23に収容される。培地収容容器24には、新鮮な培地が収容される。
混合部25は、濾過部22において死細胞等のデブリスが除去された細胞懸濁液と、培地収容容器24から移送された新鮮な培地とを混合する混合処理を行う。濾過部22において濾過処理が施された細胞懸濁液は、細胞濃度が過度に高まるので、濾過処理済みの細胞懸濁液と、新鮮な培地とを混合することで、濾過処理済みの細胞懸濁液における細胞濃度が適正な濃度に調整される。混合部25は、混合部15と同様の構成を有していてもよく、例えばスタティックミキサを含んで構成されていてもよい。
流路30は、培養容器10から分級部11への細胞懸濁液の移送、分級部11から培養容器10、廃液容器12及び混合部15への細胞懸濁液の移送、混合部15から分割部16への細胞懸濁液の移送、分割部16から回収容器21への細胞懸濁液の移送、回収容器21から濾過部22への細胞懸濁液の移送、濾過部22から廃液容器23及び混合部25への細胞懸濁液の移送、混合部25から培養容器10への細胞懸濁液の移送をそれぞれ可能とするように構成されている。また、流路30は、培地収容容器13から混合部15への培地の移送、培地収容容器14から培養容器10への培地の移送、培地収容容器24から混合部25への培地の移送をそれぞれ可能とするように構成されている。また、流路30は、培養容器10から抜き出された細胞懸濁液が、分級部11、混合部15、分割部16、回収容器21、濾過部22及び混合部25を経由して、培養容器10に戻る第1の循環ルート、培養容器10から抜き出された細胞懸濁液が、分級部11して培養容器10に戻る第2の循環ルートを形成するように構成されている。
図8は、細胞培養装置1Aにおいて、分割処理を行う場合に、制御部20において実施される処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、図8に示すフローチャートのステップS21~S26、S28における処理は、図5に示すフローチャートのステップS11~S16、S18と同じであるので、説明は省略する。
ステップS27において、制御部20は、ポンプP7を駆動させることで、分割部16において分割された細胞凝集体を含む細胞懸濁液を回収容器21に移送する。これにより、本実施形態に係る細胞培養方法における第2の回収工程A6が実現される。回収容器21に移送された細胞懸濁液に含まれる細胞は、回収容器21内で継続して培養される。これにより、本実施形態に係る細胞培養方法における第1の培養工程A7が実現される。
第1の培養工程A7を開始してから所定期間(例えば数時間~1日)経過すると、ステップS29において、制御部20は、バルブV4を開状態に制御し、ポンプP8を駆動させることで、回収容器21に収容されている細胞懸濁液を濾過部22に移送する。
濾過部22は、回収容器21から移送された細胞懸濁液に対して濾過処理を行う。すなわち、濾過部22は、回収容器21から移送された細胞懸濁液に含まれる、サイズが相対的に大きい細胞凝集体と、サイズが相対的に小さい死細胞等のデブリスとを分離する。
ステップS30において、制御部20は、ポンプP9を駆動させることで、死細胞等のデブリスを濾過部22から廃液容器23に移送する。
ステップS31において、制御部20は、ポンプP10を駆動させることで、死細胞等のデブリスが除去された細胞懸濁液を培養容器10に移送する。細胞懸濁液は、濾過部22から混合部25を経由して培養容器10に移送される。
ステップS32において、制御部20は、バルブV5を開状態に制御し、ポンプP11を駆動させることで、培地収容容器24に収容されている新鮮な培地を混合部25に移送する。濾過部22から培養容器10に向かう濾過処理済みの細胞懸濁液は、培地収容容器24から移送された新鮮な培地と、混合部25において合流し、混合及び撹拌される。濾過部22において濾過処理が施された細胞懸濁液は、細胞濃度が過度に高まるので、濾過処理済みの細胞懸濁液と、新鮮な培地とを混合することで、濾過処理済みの細胞懸濁液における細胞濃度が適正な濃度に調整される。
培養容器10に移送された細胞懸濁液に含まれる細胞は、培養容器10内で継続して培養される。これにより、本実施形態に係る細胞培養方法における第2の培養工程A8が実現される。
回収容器21内で行われる第1の培養工程A7において用いられる培地には、ROCK阻害剤が添加されていてもよく、培養容器10内で行われる第2の培養工程A8において用いられる培地には、ROCK阻害剤が添加されていないことが好ましい。また、第1の培養工程A7において用いられる培地の粘度は、第2の培養工程A8において用いられる培地の粘度よりも低くてもよい。
開示の技術の第2の実施形態に係る細胞培養方法及び細胞培養装置1によれば、分割された細胞凝集体が、培養容器10とは異なる回収容器21に回収され、回収容器21内で培養される(第1の培養工程)。回収容器21内で培養された細胞は、所定期間の経過後、培養容器10に移送され、培養容器10内で培養される(第2の培養工程)。
このように、分割処理によるダメージを受けた細胞を培養対象とする第1の培養工程と、分割処理によるダメージから回復した細胞を培養対象とする第2の培養工程とを、互いに異なる容器行うことで、細胞の状態に適した環境で培養することができる。これにより、細胞の生存率及び品質を高めることが可能となる。例えば、第1の培養工程A7において用いられる培地の組成と、第2の培養工程A8において用いられる培地の組成とを、互いに異ならせることも可能である。

Claims (13)

  1. 培養容器から移送された細胞凝集体を含む細胞懸濁液の成分を、サイズに応じて分離する分級工程と、
    前記分級工程において分離されたサイズが相対的に小さい細胞凝集体を前記培養容器に回収する第1の回収工程と、
    前記分級工程において分離されたサイズが相対的に大きい細胞凝集体を分割する分割工程と、
    前記分割工程において分割された細胞凝集体を、前記培養容器または前記培養容器とは異なる回収容器に回収する第2の回収工程と、
    を含む細胞培養方法。
  2. 前記分級工程は、前記培養容器から移送された前記細胞懸濁液の成分を、サイズに応じて3階級に分離し、
    前記分級工程において分離されたサイズが最も小さい階級に属する成分を廃棄する廃棄工程を更に含み、
    前記最も小さい階級のサイズは前記相対的に小さい細胞凝集体を含む階級のサイズよりも小さい、
    請求項1に記載の細胞培養方法。
  3. 前記分割工程において細胞凝集体を分割する前に当該細胞凝集体と培地と混合する混合工程を更に含む
    請求項1または請求項2に記載の細胞培養方法。
  4. 前記第2の回収工程において、前記回収容器に回収された細胞を前記回収容器内で培養する第1の培養工程と、
    前記第1の培養工程を経た細胞を、前記培養容器内で培養する第2の培養工程と、
    を更に含む請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の細胞培養方法。
  5. 前記第1の培養工程において用いられる培地の組成は、前記第2の培養工程において用いられる培地の組成と異なる
    請求項4に記載の細胞培養方法。
  6. 前記第1の培養工程において用いられる培地にはROCK阻害剤が添加され、前記第2の培養工程において用いられる培地にはROCK阻害剤が添加されない
    請求項5に記載の細胞培養方法。
  7. 前記第1の培養工程において用いられる培地の粘度は、前記第2の培養工程において用いられる培地の粘度よりも低い
    請求項5または請求項6に記載の細胞培養方法。
  8. 細胞凝集体を含む細胞懸濁液を収容する培養容器と、
    細胞凝集体を含む細胞懸濁液の成分を、サイズに応じて分離する分級部と、
    細胞凝集体を分割する分割部と、
    前記培養容器、前記分級部及び前記分割部に接続された流路と、
    前記流路を介した細胞懸濁液の移送を制御する制御部と、
    を含み、
    前記制御部は、
    前記培養容器に収容されている細胞懸濁液を前記分級部に移送し、
    前記分級部において分離されたサイズが相対的に小さい細胞凝集体を含む細胞懸濁液を前記培養容器に移送し、
    前記分級部において分離されたサイズが相対的に大きい細胞凝集体を含む細胞懸濁液を前記分割部に移送し、
    前記分割部において分割された細胞凝集体を含む細胞懸濁液を前記流路に接続された容器に移送する
    細胞培養装置。
  9. 前記流路に接続された廃液容器を更に含み、
    前記分級部は、前記培養容器から移送された前記細胞懸濁液の成分を、サイズに応じて3階級に分離し、
    前記制御部は、前記分級部において分離されたサイズが最も小さい階級に属する成分を前記廃液容器に移送し、
    前記最も小さい階級のサイズは前記相対的に小さい細胞凝集体を含む階級のサイズよりも小さい、
    請求項8に記載の細胞培養装置。
  10. 前記制御部は、前記分割部において分割された細胞凝集体を含む細胞懸濁液を前記培養容器に移送する
    請求項8または請求項9に記載の細胞培養装置。
  11. 前記流路に接続された回収容器を更に含み、
    前記制御部は、前記分割部において分割された細胞凝集体を含む細胞懸濁液を前記回収容器に移送する
    請求項8から請求項10のいずれか1項に記載の細胞培養装置。
  12. 前記制御部は、前記回収容器に移送され、前記回収容器内で培養された細胞を含む細胞懸濁液を前記培養容器に移送する
    請求項11に記載の細胞培養装置。
  13. 前記流路に接続され、細胞懸濁液を濾過する濾過部を更に含み、
    前記制御部は、
    前記回収容器に移送され、前記回収容器内で培養された細胞を含む細胞懸濁液を前記培養容器に移送する前に前記濾過部に移送し、
    前記濾過部において濾過された細胞懸濁液を前記培養容器に移送する
    請求項11または請求項12に記載の細胞培養装置。
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