JP7052271B2 - インク組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、インク組成物に関する。
被記録媒体に、画像データ信号に基づき画像を形成する記録方法として、インクジェット方式などがある。インクジェット方式は、安価な装置で、必要とされる画像部のみにインク(インク組成物)を吐出し、被記録媒体上に直接画像形成を行うため、インク組成物を効率よく使用でき、ランニングコストが安い。インクジェット方式に用いるインクは、通常、色材又は着色剤と、該色材又は着色剤を溶解又は分散させるための水及び水溶性有機溶剤を主成分とするインク組成物が使用される。
例えば、特許文献1には、気泡発生が少なく、消泡性が良好であるとともに、印字安定性が優れ、美麗な発色を可能とするインク組成物を提供することを目的として、特定のベタイン系界面活性剤と、水酸基価及び炭素数が所定範囲内にある直鎖状飽和脂肪族アルコールとを含有するインク組成物が開示されている。
特開2007-302805号公報
しかしながら、特許文献1のインク組成物について、低起泡性及び消泡性をさらに向上させることが求められている。
そこで、本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、低起泡性及び消泡性を向上可能なインク組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述の課題を解決するために鋭意検討した結果、水と、樹脂と、色材と、溶剤とを含有するインク組成物において、溶剤として、特定の難水溶性アルコールと、特定の水溶性溶剤とを組み合わせると、低起泡性及び消泡性を向上可能なインク組成物が得られることを見出して、本発明を完成させた。
すなわち、本発明のインク組成物は、水と、樹脂と、色材と、25℃における蒸気圧が0.050mmHg以上であり、かつ、25℃における水100gに対する溶解度が3g未満であるアルコール(A)と、25℃における蒸気圧が0.050mmHg未満であり、25℃における水100gに対する溶解度が3g以上であるグリコールエーテル及び25℃における蒸気圧が0.050mmHg未満であり、25℃における水100gに対する溶解度が3g以上であるアルカンジオールからなる群より選ばれる1種以上を含有する溶剤(B)と、を含む。アルコール(A)は、炭素数が7以上である対称型のアルカン骨格を含むことが好ましく、2,4-ジメチル-3-ペンタノール、及び2,6-ジメチル-4-ヘプタノールからなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。グリコールエーテルは、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、及びトリプロピレングリコールモノメチルエーテルからなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。アルカンジオールは、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-ペンタンジオール、4-メチル-1,2-ペンタンジオール、及び3,3-ジメチル-1,2-ブタンジオールからなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。インク組成物は、ポリシロキサン系界面活性剤をさらに含有し、ポリシロキサン系界面活性剤は、下記式(1)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0007052271000001
(式(1)中、Rは、水素原子又はメチル基を表し、aは、2~18の整数を表し、mは、0~70の整数を表し、nは、1~8の整数を表す。)
本明細書において、「低起泡性」とは、インク組成物中に気泡が生じにくい性質をいい、「消泡性」とは、インク組成物中に生じた気泡が消滅しやすい性質をいう。
[インク組成物]
本実施形態のインク組成物(「インク」ともいう。)は、水と、樹脂と、色材と、25℃における蒸気圧が0.05mmHg以上であり、かつ25℃における水100gに対する溶解度が3g未満であるアルコール(A)と、25℃における蒸気圧が0.050mmHg未満であり、25℃における水100gに対する溶解度が3g以上であるグリコールエーテル、及び25℃における蒸気圧が0.050mmHg未満であり、25℃における水100gに対する溶解度が3g以上であるアルカンジオールからなる群より選ばれる1種以上を含有する溶剤(B)と、を含む。なお、本明細書において、アルコール(A)を難水溶性アルコール(A)ということがあり、溶剤(B)を水溶性溶剤(B)ということがある。
このようなインク組成物が、低起泡性及び消泡性に優れる要因は、以下のように考えられるが、本発明は、この要因により何ら限定されない。すなわち、まず、揮発性の高い難水溶性アルコール(A)と、揮発性の低い水溶性溶剤(B)とを組み合わせると、難水溶性のアルコール(A)が水溶性溶剤(B)により可溶化又は乳化された溶液が得られる。これは、難水溶性アルコール(A)が水溶性溶剤(B)の界面活性作用により、可溶化して1μm未満のミセル又は乳化して1μm程度のミセルが形成されているものと考えられる。そして、この溶液中、難水溶性アルコール(A)が気液界面に配向する傾向にあり、これに主に起因して、泡の膜(表面積)が拡張しにくくなり、その結果、低起泡性を向上させることができる。一方、起泡しても、膜から揮発性の高い難水溶性アルコール(A)が抜けやすくなり、これに主に起因して、膜が薄くなり、膜を維持できなくなり、その結果、消泡性を向上させることができる。ここで、消泡性については、膜から水溶性溶剤(B)を揮発させるよりも難水溶性アルコール(A)を揮発させる方が、気液界面の安定性を大きく変化させることができるので、消泡(破泡)を大きく向上できる要因になると考えられる。
また、大容量のインクタンク(以下、単に「タンク」ともいう。)を搭載したインクジェットプリンタは、通常、インクをタンクに注ぐ時に、インクの跳ね返りがタンク外部に飛び散らないようにするため、タンク側のインク注ぎ口が小さく形成されていることが多い。この場合、勢いよくインクをタンクに注ぐと、タンク内部のインクに泡が激しく発生し、上部の注ぎ口まで泡で満たされることがある。この場合、さらにインクをタンクに注ぐと、注ぎ口からインクが溢れるため、泡が消えるまで待つ必要があり、泡が消えきらない場合にはさらに時間を要することがある。これに対し、本実施形態のインク組成物は、低起泡性及び消泡性を向上させることができるので、注ぎ口が小さく形成されたタンクに効率よく充填することでき、大容量のタンクを搭載したインクジェットプリンタ用に用いられるインクとして好適に用いることができる。
ここで、インク組成物に起泡抑制剤として界面活性剤などの添加剤を添加することも考えられるが、これらの添加剤は、通常、インクジェット用インク中に含まれる色材を分散させるための樹脂と同等の分子量を有しており、分散安定性及び吐出安定性が劣化する観点から好ましくない。これに対し、本実施形態のインク組成物は、このような樹脂と同等の高分子量を有する添加剤を含有していなくても、比較的低分子量のアルコール(A)及び溶剤(B)を組み合わせているため、低起泡性及び消泡性が向上するとともに、分散安定性及び吐出安定性が低下することがない。
また、インクジェット方式に用いられるインクジェットインク組成物は、表面張力を低下させて、色間滲み等を抑制するために、通常、アルカンジオール、グリコールエーテル等の浸透剤、及び/又はアセチレングリコール系又はポリシロキサン系の界面活性剤を含有することが多い。一方、このような浸透剤及び/又は界面活性剤を含有するインクジェット組成物は、表面張力が低下することに主に起因して、起泡性が高く、消泡性が低下する傾向にある。これに対し、本実施形態のインク組成物は、アルコール(A)及び溶剤(B)を組み合わせることにより、表面張力を低くしても、低起泡性及び消泡性に優れる。このため、本実施形態のインク組成物は、例えば、表面張力が低下することによる色間滲み等を抑制できるとともに、優れた低起泡性及び消泡性を満たすことができる。
[アルコール(A)]
本実施形態のアルコール(A)は、25℃における蒸気圧が0.05mmHg以上であり、かつ25℃における水100gに対する溶解度が3g未満である。
難水溶性アルコール(A)としては、例えば、一般的なアルコール系香料として用いられているアルコールが挙げられ、より詳細には、「食品衛生法に基づく食品・食品添加物等の規格基準(抄)2010年度版(2011年4月 日本貿易振興機構(JETRO)発行)」に脂肪族高級アルコール類として例示され、炭素数が7以上のものが挙げられる。すなわち、脂肪族高級アルコール類としては、アセトングリセリルアセタール、アンブリノール、α―ビサボロール、ブロネオール、α―カンフォレノール、1-カルベオール、カルベオール、β-カリオフィレンアルコール、セドレノール、セドロール、1-シトロネロール、シクロヘキサノール、2-シクロヘキシルエタノール、2,4-デカジエノール、3-デカノール、2-デセノール、9-デセノール、4-デセノール、ジヒドロカルベオール、7,8-ジヒドロ-β-イオノール、3,7-ジメチル-6-オクテン-3-オール、ジヒドロミルセノール、ジヒドロペリリルアルコール、2,5-ジヒドロキシ-2,5-ジメチル-1,4-ジチアン、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール、3,7-ジメチル-1,5,7-オクタトリエン-3-オール、2,6-ジメチル-2-ヘプタノール、3,6-ジメチル-3-オクタノール、2,4-ジメチル-3-ペンタノール、2,4-ジメチル-4-ノナノール、2-ドデカノール、ドデカノール、2-ドデセノール、エレモール、2-エチルブタノール、2-エチルフェンコール、2-エチルヘキサノール、ファルネソール、フェンキルアルコール、ゲラニルリナロール、ヘプタデカノール、ヘプタナールグリセリルアセタール、2-ヘプタノール、3-ヘプタノール、4-ヘプタノール、ヘプタノール、1-ヘプテン-3-オール、2-ヘプテノール、3-ヘプテノール、cis-4-ヘプテノール、ヘキサデカノール、2,4-ヘキサジエノール、ヘキサナールグリセリルアセタール、2-ヘキサノール、3-ヘキサノール、ヘキサノール、4-ヘキセノール、1-ヘキセン-3-オール、trans-2-ヘキセナールグリセリルアセタール、2-ヘキセノール、3-ヘキセノール、cis-2-ヘキセノール、cis-3-ヘキセノール、cis-4-ヘキセノール、trans-2-ヘキセノール、trans-3-ヘキセノール、trans-4-ヘキセノール、ヒドロキシシトロネラールジエチルアセタール、ヒドロキシシトロネロール、α-イオノール、β-イオノール、イソボルネオール、イソジヒドロカルベオール、イソゲラニオール、イソゲラニオール、イソフィトール、イソプレゴール、イソバレルアルデヒドグリセリルアセタール、ラバンジュロール、8-p-メンテン-1,2-ジオール、リナロールオキシド、2-p-メンテン-1-オール、2,8-p-メンタジエン-1-オール、1,8-p-メンタジエン-4-オール、メンタジエノール、p-メンタン-2-オール、p-メンタン-7-オール、p-メンタン-8-オール、8-p-メンテン-7-オール、3-(メントキシ)-1,2-プロパンジオール、3-メチル-2-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、6-メチル-3-ヘプタノール、5-メチル-3-ヘプタノール、2-メチル-3-ペンタノール、6-メチル-5-ヘプテン-2-オール、2-メチル-5-ヘプテン-2-オール、5-メチルヘキサノール、2-メチルペンタノール、3-メチルペンタノール、4-メチルペンタノール、3-(メチルチオ)ヘキサノール、ミルセノール、ミルテノール、ネオジヒドロカルベオール、d-ネオメントール、ネオメントール、ネロール、cis-ネロリドール、trans-ネロリドール、ネロリドール、2,4-ノナジエノール、3,6-ノナジエノール、trans,cis-2,6-ノナジエノール、ノナジエノール、ノナノール、2-ノナノール、3-ノナノール、1-ノネン-3-オール、3-ノネノール、6-ノネノール、cis-2-ノネノール、trans-2-ノネノール、2,6-ジメチル-5,7-オクタジエン-2-オール、1,5-オクタジエン-3-オール、オクタデカノール、3,5-オクタジエノール、1,3-オクタンジオール、2-オクタノール、3-オクタノール、オクタノール、1-オクテン-3-オール、2-オクテン-4-オール、2-オクテノール、3-オクテノール、cis-5-オクテノール、cis-9-オクタデセノール、ペンタデカノール、ペリラアルコール、フィトール、ピノカルベオール、ピペリトール、ロジノール、α-サンタロール、スクラレオール、1-テルピネオール、4-テルピネオール、α-テルピネオール、β-テルピネオール、4-tert-ブチルシクロヘキサノール、テトラデカノール、テトラヒドロクミノール、3,7-ジメチルオクタノール、3,7-ジメチル-3-オクタノール、2,6-ジメチル-2-オクタノール、3-ツヤノール、サビネンハイドレート、トリデカノール、2-トリデセノール、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノール、3,5,5-トリメチルヘキサノール、2,4-ウンデカジエノール、2-ウンデカノール、ウンデカノール、cis,cis-1,5,8-ウンデアカトリエン-3-オール、10-ウンデセノール、2-ウンデセノール、ベルベノール、ベチベロール、ビリジフロロール、3-(1-メントキシ)-2-メチルプロパン-1,2-ジオール、シトラールグリセリルアセタール、1-p-メンテン-9-オール、1,2-ジヒドロリモネン-10-オール、2,3,4-トリメチル-3-ペンタノール、2,4-ジメチルシクロヘキシルメタノール、2-メチル-1-ヘプテン-3-オール、2-tert-ブチルシクロヘキサノール、3-エチル-3-オクタノール、4-イソプロピルシクロヘキサノール、5-ヘキセノール、5-オクテン-1,3-ジオール、6-ヒドロキシジヒドロテアスピラン、8-エチル-1,5-ジメチルビシクロ[3.2.1]オクタン-8-オール、cis-3-ヘプテノール、cis-4-オクテノール、シクロドデカノール、d-リモネン-10-オール、d-trans,cis-1(7),8-p-メンタジエン-2-オール、3,7-ジメチル-1,6-ノナジエン-3-オール、リナロールオキソド(ピラノイド)、1-trans-2-p-メンテノール、ネロリドールオキシド、ヌートカトール、p-メンタン-3,8-ジオール、サンタロール、及びテトラヒドロヌートカトールが挙げられる。これらの難水溶性アルコール(A)は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
消泡剤又は破泡剤としては、上述した高分子量の界面活性剤以外にテキサノールが用いられることが多いが、安全性に問題がある。これに対し、脂肪族高級アルコール類は、オクタノール/水分配係数(LogPow)が比較的高い(例えば、2以上の)油性の食品香料である。このため、アルコール(A)として脂肪族高級アルコール類を含有することにより、テキサノールを含有しなくても、低起泡性及び消泡性に優れるとともに、安全性に優れる。
脂肪族高級アルコール類は、環式脂肪族高級アルコール類であってもよく、非環式脂肪族高級アルコール類であってもよいが、揮発性、及び水溶性溶剤(B)の界面活性作用による乳化性(以下、単に「乳化性」ともいう。)により一層優れる観点から、非環式脂肪族高級アルコール類であることが好ましい。
非環式脂肪族高級アルコール類は、直鎖状脂肪族高級アルコール類であってもよく、分岐状脂肪族高級アルコール類であってもよいが、揮発性、及び乳化性により一層優れる観点から、分岐状脂肪族高級アルコール類であることが好ましい。
アルコール(A)は、炭素数が7以上(例えば、7~10)である対称型のアルカン骨格を含むことが好ましい。このようなアルカン骨格を含むことにより、低起泡性及び消泡性をバランスよくより一層向上できる傾向にある。同様の観点から、アルカン骨格の炭素数は、8以上であることが好ましく、9以上であることがより好ましい。なお、本明細書にいう「対称型」とは、アルカン骨格の直鎖の両末端の炭素から等距離にある炭素を対称軸とするアルカン骨格をいう。上記のアルカン骨格を有するアルコール(A)としては、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール、2,6-ジメチル-2-ヘプタノール、2,4-ジメチル-3-ペンタノール、及び2,3,4-トリメチル-3-ペンタノールからなる群より選ばれる1種が挙げられ、これらの中でも、低起泡性及び消泡性をバランスよくより一層向上できる観点から、2,4-ジメチル-3-ペンタノール、及び/又は2,6-ジメチル-4-ヘプタノールであることが好ましい。
本実施形態のインク組成物(100質量%)中のアルコール(A)の含有量は、低起泡性及び消泡性をバランスよくより一層向上できる観点から、0質量%を超え、1.0質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上0.5質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上0.3質量%以下であることがさらに好ましい。
[溶剤(B)]
溶剤(B)は、25℃における蒸気圧が0.050mmHg未満であり、25℃における水100gに対する溶解度が3g以上であるグリコールエーテル、及び、25℃における蒸気圧が0.050mgHg未満であり、25℃における水100gに対する溶解度が3g以上であるアルカンジオールからなる群より選ばれる1種以上を含有する。
グリコールエーテルは、25℃における蒸気圧が0.050mmHg未満であり、25℃における水100gに対する溶解度が3g以上であれば、特に限定されないが、表面張力の低下と、低起泡性及び消泡性とをバランスよくより一層向上させる観点から、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、及びトリプロピレングリコールモノメチルエーテルからなる群より選ばれる1種以上を含有することが好ましい。
アルカンジオールは、表面張力の低下と、低起泡性及び消泡性とをバランスよくより一層向上させる観点から、直鎖状又は分岐状アルカンジオールであることが好ましい。また、アルカンジオールの炭素数は、同様の観点から、3~6であることが好ましく、4~6であることがより好ましい。アルカンジオールは、同様の観点から、炭素数が3~6であり、直鎖状又は分岐状アルカンジオールであることが好ましく、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-ペンタンジオール、4-メチル-1,2-ペンタンジオール、及び3,3-ジメチル-1,2-ブタンジオールからなる群より選ばれる1種以上を含有することがより好ましい。
本実施形態のインク組成物(100質量%)中の特定の溶剤(B)の含有量は、表面張力の低下と、低起泡性及び消泡性とをバランスよくより一層向上させる観点から、1.0質量%以上20.0質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以上15.0質量%以下であることがより好ましく、3.0質量%以上10.0質量%以下であることがさらに好ましい。
本実施形態のインク組成物中のアルコール(A)の含有量に対する、溶剤(B)の含有量の割合(質量比)は、表面張力の低下と、低起泡性及び消泡性とをバランスよくより一層向上させる観点から、1~60であることが好ましく、10~50であることがより好ましく、20~40であることがさらに好ましい。
[特定の界面活性剤]
本実施形態のインク組成物は、記録物を記録する際に、記録媒体表面への濡れ性をより一層向上させ、インクの浸透性をより一層向上させる観点から、ポリシロキサン系界面活性剤を含有することが好ましく、下記式(1)で表されるポリシロキサン系界面活性剤(「特定の界面活性剤」ともいう。)を含有することがより好ましい。また、本実施形態のインク組成物は、特定の界面活性剤を含有することにより、アルコール(A)をより一層安定にインク組成物中に分散したり、乳化したりできる傾向にある。
Figure 0007052271000002
式(1)中、Rは、水素原子又はメチル基を表し、aは、2~18の整数を表し、mは、0~70を表し、nは、1~8を表す。
特定の界面活性剤としては、例えば、特許第5359018号公報に記載の界面活性剤が挙げられる。より詳細には、特定の界面活性剤は、式(1)で表される界面活性剤であって、下記条件(a)を満たす界面活性剤(a)、及び下記条件(b)を満たす界面活性剤(b)からなる群より選ばれる1種以上を含むことが好ましい。これにより、記録媒体である印刷本紙に印刷した場合であっても、インクの凝集ムラをより一層抑制できる傾向にある。
条件(a):式(1)中、aが2~13の整数であり、mが2~50の整数であり、nが1~8(好ましくは1~5)の整数である。
条件(b):式(1)中、Rがメチル基であり、aが6~18の整数であり、mが0であり、nが1である。
特定の界面活性剤は、式(1)で表される界面活性剤であって、下記条件(c)を満たす界面活性剤(c)、下記条件(d)を満たす界面活性剤(d)、及び下記条件(e)を満たす界面活性剤(e)からなる群より選ばれる1種以上を含むことが好ましい。これにより、インクの凝集ムラをより一層抑制できる傾向にある。
条件(c):式(1)中、aが2~5の整数であり、mが20~40の整数であり、nが2~4の整数である。
条件(d):式(1)中、aが9~13の整数であり、mが2~4の整数であり、nが1~2の整数である。
条件(e):式(1)中、aが6~10の整数であり、mが10~20の整数であり、nが4~8の整数である。
特定の界面活性剤は、式(1)で表される界面活性剤であって、下記条件(f)を満たす界面活性剤(f)及び下記条件(g)を満たす界面活性剤(g)からなる群より選ばれる1種以上を含むことが好ましい。これにより、インクの凝集ムラ及び滲みをより一層抑制できる傾向にある。
条件(f):式(1)中、aが2~5の整数であり、mが20~40の整数であり、nが2~4の整数である。
条件(g):式(1)中、aが7~11の整数であり、mが30~50の整数であり、nが3~5の整数である。
特定の界面活性剤は、式(1)で表される界面活性剤であって、下記条件(h)を満たす界面活性剤(h)及び下記条件(i)を満たす界面活性剤(i)からなる群より選ばれる1種以上を含むことが好ましい。これにより、インクの凝集ムラ及び滲みをより一層抑制できる傾向にある。
条件(h):式(1)中、Rがメチル基であり、aが9~13の整数であり、mが2~4の整数であり、nが1~2の整数である。
条件(i):式(1)中、aが6~10の整数であり、mが10~20の整数であり、nが4~8の整数である。
特定の界面活性剤は、式(1)で表される界面活性剤であって、下記条件(j)を満たす界面活性剤(j)を含むことが好ましい。これにより、インクの凝集ムラ及び滲みをより一層抑制できる傾向にある。
条件(j):式(1)中、Rがメチル基であり、aが6~12の整数であり、mが0であり、nが1である。
特定の界面活性剤は、式(1)で表される界面活性剤であって、下記条件(k)を満たす界面活性剤(k)、下記条件(l)を満たす界面活性剤(l)、及び下記条件(m)を満たす界面活性剤(m)からなる群より選ばれる1種以上を含むことが好ましい。これにより、インクの凝集ムラ及び滲みをより一層抑制できる傾向にある。
条件(k):式(1)中、Rが水素原子であり、aが7~11の整数であり、mが30~50の整数であり、nが3~5の整数である。
条件(l):式(1)中、Rがメチル基であり、aが9~13の整数であり、mが2~4の整数であり、nが1~2の整数である。
条件(m):式(1)中、Rがメチル基であり、aが6~10の整数であり、mが10~20の整数であり、nが4~8の整数である。
特定の界面活性剤は、式(1)で表される界面活性剤であって、下記条件(n)を満たす界面活性剤(n)、下記条件(o)を満たす界面活性剤(o)、及び下記条件(p)を満たす界面活性剤(p)からなる群より選ばれる1種以上を含むことが好ましい。これにより、インクの凝集ムラ及び滲みをより一層抑制できる傾向にある。
条件(n):式(1)中、Rが水素原子であり、aが7~11の整数であり、mが30~50の整数であり、nが3~5の整数である。
条件(o):式(1)中、Rがメチル基であり、aが9~13の整数であり、mが2~4の整数であり、nが1~2の整数である。
条件(p):式(1)中、Rがメチル基であり、aが6~10の整数であり、mが10~20の整数であり、nが4~8の整数である。
特定の界面活性剤は、公知の方法により調製してもよく、市販品を用いてもよい。市販品としては、特に限定されないが、例えば、BYK-306、BYK-307、BYK-333、BYK-341、BYK-345、BYK-346、BYK-347、BYK-348、BYK-349(以上ビックケミー・ジャパン株式会社製品)、KF-351A、KF-352A、KF-353、KF-354L、KF-355A、KF-615A、KF-945、KF-640、KF-642、KF-643、KF-6020、X-22-4515、KF-6011、KF-6012(以上信越化学株式会社製品)、シルフェイスSAG002、005、503A、008(以上日信化学工業株式会社製品)等が挙げられる。
本実施形態のインク組成物(100質量%)中の特定の界面活性剤の含有量は、インクの浸透性及び消泡性をバランスよくより一層向上させる観点から、0質量%を超え、1.0質量%以下であることが好ましく、0.05~0.80質量%であることがより好ましく、0.10~0.50質量%であることがさらに好ましい。
本実施形態のインク組成物は、本発明の作用効果を阻害しない範囲で、その他の界面活性剤(例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、ジェミニ型界面活性剤、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、及び両性界面活性剤)を含有していてもよく、含有していなくてもよい。
[色材]
本実施形態のインク組成物は、色材を含有する。色材としては、染料及び顔料が挙げられるが、乾燥過程での色安定性、耐光性及び耐水性の観点から、顔料であることが好ましい。顔料は、インク組成物中に分散させることが可能な分散剤に含まれていることが好ましい。
顔料としては、無機顔料及び有機顔料が挙げられる。これらの顔料は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、及びカーボンブラックが挙げられ、カーボンブラックは、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法等の公知の方法によって製造されたものを使用できる。有機顔料としては、アゾ顔料(例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、及びキレートアゾ顔料)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料イソインドリノン顔料、及びキノフラロン顔料)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、及び酸性染料型キレート)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、及びアニリンブラックが挙げられる。
顔料の具体例は、インク組成物の種類(色)に応じて適宜挙げられる。例えば、インク組成物が、イエローインク組成物である場合に用いられる顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,12,14,16,17,73,74,75,83,93,95,97,98,109,110,114,128,129,138,139,147,150,151,154,155,180,及び185が挙げられる。インク組成物が、マゼンタインク組成物である場合に用いられる顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド5,7,12,48(Ca),48(Mn),57(Ca),57:1,112,122,123,168,184,202,209;C.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられる。インク組成物が、シアンインク組成物である場合に用いられる顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー1,2,3,15:2,15:3,15:4,15:34,16,22,60;C.I.バットブルー4,60が挙げられる。インク組成物が、ブラックインク組成物である場合に用いられる顔料としては、例えば、ランプブラック(C.I.ピグメントブラック6)、アセチレンブラック、ファーネスブラック(C.I.ピグメントブラック7)、チャンネルブラック(C.I.ピグメントブラック7)、カーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)等の炭素類、酸化鉄顔料等の無機顔料;アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料等が挙げられる。
本実施形態のインク組成物(100質量%)中の色材の含有量は、特に限定されないが、例えば、1.0~10.0質量%であり、本発明の作用効果をより有効かつ確実に奏する観点から、2.0~8.0質量%であることが好ましく、3.0~7.0質量%であることがより好ましい。
[樹脂]
本実施形態のインク組成物は、色材を良好に分散させる観点から、樹脂を含有することが好ましい。樹脂は、分散剤に含まれていることが好ましい。樹脂としては、色材の分散性の観点から、オキシエチル骨格を含有する樹脂(「オキシエチル骨格含有樹脂」ともいう。)、フルオレン骨格を含有する樹脂(「フルオレン骨格含有樹脂」ともいう。)、スチレン-アクリル酸系共重合体樹脂、及びウレタン系樹脂からなる群より選ばれる1種以上であることが好ましく、オキシエチル骨格含有樹脂及びフルオレン骨格含有樹脂からなる群より選ばれる1種以上であることがより好ましく、オキシエチル骨格含有樹脂及びフルオレン骨格含有樹脂であることがさらに好ましい。これらの樹脂は、色材(特に顔料)に吸着して分散性を向上させる。樹脂は、顔料とともに分散剤に含まれていることが好ましい。
(オキシエチル骨格含有樹脂)
オキシエチル骨格含有樹脂としては、例えば、オキシエチルアクリレート骨格を含有する樹脂が挙げられ、下記式(I)で表される化合物であることが好ましい。オキシエチル骨格含有樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
Figure 0007052271000003
式(I)中、R1及びR3は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、R2は、アルキル基又はアリール基であり、nは、1以上の整数である。
式(I)で表される化合物としては、例えば、モノマーとして、CAS No.72009-86-0のオルト-ヒドロキシエチル化フェニルフェノールアクリレートを45~55mol%と、CAS No.79-10-7のアクリル酸を20~30mol%と、CAS No.79-41-4のメタクリル酸を20~30mol%とを、オルト-ヒドロキシエチル化フェニルフェノールアクリレート、アクリル酸、及びメタクリル酸の総量が100mol%となるように含む樹脂が挙げられる。上記モノマー構成比は、CAS No.72009-86-0のオルト-ヒドロキシエチル化フェニルフェノールアクリレートが70~85質量%、CAS No.79-10-7のアクリル酸を5~15質量%、CAS No.79-41-4のメタクリル酸を10~20質量%であり、オルト-ヒドロキシエチル化フェニルフェノールアクリレート、アクリル酸、及びメタクリル酸の総量が100質量%であってもよい。
上記式(I)で表される化合物としては、好ましくはノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、及びポリプロピレングリコール#700アクリレートが挙げられる。
本実施形態のインク組成物(100質量%)中のオキシエチル骨格含有樹脂の含有量は、本発明の作用効果をより有効かつ確実に奏する観点から、0.1~5.0質量%であることが好ましく、0.3~3.0質量%であることがより好ましく、0.5~1.5質量%であることがより好ましい。また、オキシエチル骨格含有樹脂の含有量は、同様の観点から、色材100質量部に対して、5~50質量部であることが好ましく、10~40質量部であることがより好ましく、15~25質量部であることがさらに好ましい。
(フルオレン骨格含有樹脂)
フルオレン骨格含有樹脂としては、例えば、下記のモノマー単位を共重合することにより得ることができる。
5-イソシアネート-1-(イソシアネートメチル)-1,3,3-トリメチルシクロヘキサン(CAS No.4098-71-9)
2,2’-[9H-フルオレン-9-イリデンビス(4,1-フェニレンオキシ)]ビスエタノール(CAS No.117344-32-8)
3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸(CAS No.4767-03-7)
N,N-ジエチル-エタンジアミン(CAS No.121-44-8)
フルオレン骨格含有樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
フルオレン骨格含有樹脂の上記モノマー構成比は、5-イソシアネート-1-(イソシアネートメチル)-1,3,3-トリメチルシクロヘキサン(CAS No.4098-71-9)が35~45質量%、2,2’-[9H-フルオレン-9-イリデンビス(4,1-フェニレンオキシ)]ビスエタノール(CAS No.117344-32-8)が40~60質量%、3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸(CAS No.4767-03-7)が0を超え、15質量%以下、N,N-ジエチル-エタンアミン(CAS No.121-44-8)が0を超え、15質量%以下であり、5-イソシアネート-1-(イソシアネートメチル)-1,3,3-トリメチルシクロヘキサン、2,2’-[9H-フルオレン-9-イリデンビス(4,1-フェニレンオキシ)]ビスエタノール、3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸、及びN,N-ジエチル-エタンアミンの総量が100質量%であることが好ましい。
フルオレン骨格含有樹脂の架橋前の数平均分子量(Mn)は、インク組成物の初期粘度及び保存安定性をより一層両立させる観点からは、好ましくは2000~5000であり、より好ましくは3000~4000である。Mnは、例えば、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定する。
本実施形態のインク組成物(100質量%)中のフルオレン骨格含有樹脂の含有量は、本発明の作用効果をより有効かつ確実に奏する観点から、0.1~5.0質量%であることが好ましく、0.3~3.0質量%であることがより好ましく、0.5~1.5質量%であることがより好ましい。また、フルオレン骨格含有樹脂の含有量は、同様の観点から、色材100質量部に対して、5~50質量部であることが好ましく、10~40質量部であることがより好ましく、15~25質量部であることがさらに好ましい。
[水]
本実施形態のインク組成物は、溶媒として水を含有する。水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水、及び超純水が挙げられる。
[その他の水溶性溶剤]
本実施形態のインク組成物は、25℃における蒸気圧が0.05mmHg以上であり、25℃における水100gに対する溶解度が3g以上である水溶性溶剤(「その他の水溶性溶剤」ともいう。)をさらに含有してもよい。その他の水溶性溶剤は、顔料とともに分散剤に含まれていることが好ましい。
その他の水溶性溶剤としては、例えば、3-メチル-1,3-ブタンジオールが挙げられる。
本実施形態のインク組成物(100質量%)中のその他の水溶性溶剤の含有量は、本発明の作用効果をより有効かつ確実に奏する観点から、10.0質量%以下であることが好ましく、5.0質量%以下であることがより好ましく、1.0質量%以下であることがさらに好ましい。
また、本発明によるインク組成物は、上記成分に加えて、添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、浸透剤、記録媒体溶解剤、ノズルの目詰まり防止剤、防腐剤、酸化防止剤、導電率調整剤、pH調整剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、及び酸素吸収剤が挙げられる。これらの添加剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[インク組成物の製造方法]
本実施形態のインク組成物は、上記の各成分を適当な方法で分散、混合することにより製造できる。具体例としては、まず、水と、樹脂と、色材と、必要に応じて溶剤(B)又はその他の水溶性溶剤とを公知の分散機を用いて混合し、均一な分散液を調製する。次に、水と、アルコール(A)と、溶剤(B)と、必要に応じて特定の界面活性剤とを混合して可溶化または乳化させることにより溶液を調製する。この溶液を適宜希釈して希釈液とし、この希釈液と分散液とを混合撹拌することによりインク組成物を製造してもよい。
[インクジェット記録方法]
本実施形態のインクジェット記録方法は、被記録媒体へのインクジェット記録方法であって、本実施形態のインク組成物を吐出させることにより、被記録媒体に付着させる付着工程を含む。この工程では、被記録媒体及びインク組成物を加温しながら行ってもよい。本実施形態のインクジェット記録方法は、揮発性が高く、表面張力を低下させるアルコール(A)を含有するインク組成物を用いるため、凝集、色間滲みなどが抑制され、画像性能を向上できる。また、凝集が形成しにくいため、ワンパス記録方式に好適に用いることもでき、高速記録性に優れる。
被記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、インクジェット専用紙、PPC、布帛、昇華転写用紙、表面加工紙(例えば、アルミ蒸着紙、コート紙、アート紙、及びキャストコート紙)、インク受容層が形成されたプラスチックフィルム(例えば、ポリカーボネートフィルム、PETフィルム、及び塩化ビニルシート)が挙げられる。
表1に記載の成分を、表1に記載の組成(単位:質量部)となるように容器に添加し、これを常温で混合撹拌して希釈液1~5を調製した。次に、調製した希釈液を、表2に記載の成分及び組成(単位:質量部)で予め調製した分散液に添加した。これを、孔径5μmのメンブランフィルターでろ過して、実施例1、2、及び比較例1~3のインク組成物を得た。なお、本実施例では、特定の界面活性剤として、SAG503Aを用いているが、本発明では、特定の界面活性剤として、上記式(1)で表される化合物であれば好適に用いることができる。また、3-メチル-1,3-ブタンジオールは、本実施形態における溶剤(B)のアルカンジオールに該当しない。
得られた各希釈液1~5及び実施例1~4、及び比較例1~5の各インクについて、各物性を以下の測定方法又は評価方法により評価した。
[表面張力]
各希釈液1~5、実施例1~4、及び比較例1~5の各インクの表面張力をWilhelmy法(垂直白金プレート法)で測定し、下記評価基準に従い、表面張力の評価を行った。測定結果を表1及び表2に示す。
(評価基準)
A:24.0mN/m未満
B:24.0mN/m以上26.0mN/m未満
C:26.0mN/m以上
[低起泡性及び消泡性]
アズワン株式会社製品のラボランスクリュー管瓶110mLに、各希釈液1~5、実施例1~4、及び比較例1~5の各インクをそれぞれ30g入れて、希釈液又はインクの液面の上層に気泡層がない状態になるまで静置した。この管瓶を、10秒間で30回振とうさせて、その後水平面に載置し、載置直後の液面の上層にある気泡の高さを測定し、低気泡性を評価した。また、載置してから1分後の液面の上層にある気泡の高さを測定し、消泡性を評価した。低起泡性及び消泡性の評価は、得られた測定値と以下の評価基準に基づいた。評価結果を表1及び表2に示す。
(低起泡性の評価基準)
A:0mm以上10mm未満
B:10mm以上20mm未満
C:20mm以上30mm未満
D:30mm以上
(消泡性の評価基準)
A:0mm以上3mm未満
B:3mm以上6mm未満
C:6mm以上
[インク注入性]
セイコーエプソン株式会社製品の「SC-B7000」の本体固定のインクタンクに、実施例1、2、及び比較例1~3の各インクをそれぞれ印刷可能な状態とした。その後、タンクの底から9cmの高さの位置がインク液面となるように、スポイトで気泡を採取する等してインク量を調整した。この調整により、インク界面の上層に気泡層がない状態で、タンク中のインク上方の空間容積を1100mLとした。次に、「SC-B7000」用のインクパウチ容器に、実施例1~4、及び比較例1~5の各インクを充填し、インク界面の上層に気泡層がない状態になるまで静置した。このインクパウチのインクの全てを、インクタンクに、20秒で注ぎ切った。このとき、インクがタンクから溢れずに注ぎ切った場合をA、インクがタンクから溢れた場合をBとしてインク注入性を評価した。
[経時安定性]
実施例1、2、及び比較例1~3の各インクを60℃環境下で、5日間放置し、調製直後の粘度に対する放置後の粘度の変化率(%)を測定した。各インクの測定値は10%未満であり、実用上問題がないことを確認した。
[画質性能]
実施例1、2、及び比較例1~3の各インクを用いて、インクジェット方式により、日本規格協会の画像データ「自転車」(ISO JIS-SCID No.5)をセイコーエプソン株式会社製品の普通紙ロールに記録した。記録した画像データを比較検討した結果、各実施例と各比較例との有意差は見られないものの色間の滲み等が抑制されており、良好な結果を示した。
Figure 0007052271000004
Figure 0007052271000005

Claims (5)

  1. 水と、樹脂と、色材と、
    25℃における蒸気圧が0.050mmHg以上であり、かつ、25℃における水100gに対する溶解度が3g未満であるアルコール(A)と、
    25℃における蒸気圧が0.050mmHg未満であり、25℃における水100gに対する溶解度が3g以上であるアルカンジオールを含有する溶剤(B)と、を含
    前記アルコール(A)は、炭素数が7以上の高級アルコールであり、
    前記アルコール(A)の含有量に対する、前記溶剤(B)の含有量の割合(質量比)は10~40である、
    インク組成物。
  2. 前記アルコール(A)が、対称型のアルカン骨格を含む、請求項1記載のインク組成物。
  3. 前記アルコール(A)が2,4-ジメチル-3-ペンタノール、及び2,6-ジメチル-4-ヘプタノールからなる群より選ばれる1種以上である、請求項1又は2に記載のインク組成物。
  4. 前記アルカンジオールが、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-ペンタンジオール、4-メチル-1,2-ペンタンジオール、及び3,3-ジメチル-1,2-ブタンジオールからなる群より選ばれる1種以上である、請求項1~のいずれか1項に記載のインク組成物。
  5. ポリシロキサン系界面活性剤をさらに含有し、前記ポリシロキサン系界面活性剤が、下
    記式(1)で表される化合物である、請求項1~のいずれか1項に記載のインク組成物

    Figure 0007052271000006
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