JP7052151B2 - ガスケット製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、環状のビード部が形成されている基板と、ビード部に固着されるシール部と、を含むガスケットを製造するガスケット製造方法に関する。
ガスケットは、シール部品として自動車などの様々な分野で広く利用されている。例えば、特許文献1には、燃料電池セルの金属セパレータを構成するガスケットが開示されている。このガスケットは、環状に延びるビード部が形成された金属製薄板からなる基板と、ビード部の頂部に固着された樹脂材からなるシール部とを有している。基板は金属製薄板に対してプレス加工などを施すことによって形成されている。具体的には、基板のビード部は先端に向かって先細りの断面形状で厚み方向の一方に向かって突出しており、シール部の固着箇所であるビード部の先端部は平坦又は湾曲した形状で形成されている。また、シール部の原材料がビード部の先端部に塗布されてビード部に固着することによって、シール部が形成されている。
特開2017-139218号公報
ところで、ビード部は、ガスケットの基板に環状に延びるように形成されており、基板に向かって視た平面視で直線的に延びる部分や湾曲して曲線的に延びる部分を有している。また、一般的に、ビード部はその延伸方向の全周に亘って同じ断面形状で延びているが、延伸方向において断面形状を変化させるニーズもあり得る。一方、シール部の原材料は流動性を有しているため、原材料の広がり程度が平面視で直線的な部分と曲線的な部分とでばらつくおそれがある。断面形状の異なる部分同士における原材料の広がりの程度も同様にばらつくおそれがある。その結果、これらの部分に起因して、シール部の厚みのばらつきが生じる可能性があり、例えば、このばらつきの分だけ、シール性能を向上させる余地がある。
そこで、本発明は、シール部の厚みを適切に設定することによってさらなるシール性能の向上を図ることが可能なガスケット製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一側面によると、金属板からなる基板であって厚み方向の一方の面側で突出した凸面及び厚み方向の他方の面側で凹んだ凹面を有すると共に環状に延びるビード部が形成されている基板と、凸面の少なくとも頂部に固着されるシール部と、を含むガスケットを製造するガスケット製造方法が提供される。このガスケット製造方法は、金属板から基板を形成する工程と、シール部を形成するための流動性を有する原材料を、シール部の固着予定領域における予め定めた下塗り領域に塗布する工程と、原材料を下塗り領域における塗布済み原材料の上に重ねて塗布すると共に、原材料を固着予定領域における下塗り領域を除いた残りの領域である残余領域に塗布する工程と、を含む。
本発明の一側面によれば、シール部の厚みを適切に設定することによってさらなるシール性能の向上を図ることが可能なガスケット製造方法を提供することができる。
本発明の実施形態に係るガスケット製造方法により製造されたガスケットの正面図である。 上記ガスケットの基板のカットモデルの部分斜視図である。 上記基板のビード部の直線部の断面図である。 上記基板のビード部の曲線部の断面図である。 上記ガスケット製造方法を説明するための別の概念図である。 上記ガスケット製造方法の塗布工程の後のビード部の直線部の断面図である。 上記塗布工程の後のビード部の曲線部の断面図である。 上記ガスケット製造方法の変形例により製造された別のガスケットの正面図である。 上記別のガスケットの基板のビード部の直線部の断面図である。 上記別のガスケットの基板のビード部の曲線部の断面図である。 上記別のガスケットに対する塗布工程を説明するための概念図である。 上記塗布工程の後の別のガスケットのビード部の直線部の断面図である。 上記塗布工程の後の別のガスケットのビード部の曲線部の断面図である。 上記ガスケット製造方法の別の変形例を説明するための概念図である。
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
[ガスケットの概略構成]
図1は実施形態に係るガスケット製造方法を用いて製造されたガスケット1の正面図であり、図2はガスケット1の後述の基板10の単体のカットモデルの部分斜視図である。
本実施形態におけるガスケット1は、例えば、燃料電池セルに組み込まれ、燃料ガス、酸化剤ガス及び冷媒といった流体を密封対象とする燃料電池用のシール部品として用いられる。図示を省略するが、ガスケット1は、燃料電池セルを構成する部材である対向する二つのセパレータの間に設けられる。
図1に示すように、ガスケット1は、基板10とシール部20とを含む。基板10は金属板からなり、シール部20は弾性材からなる。基板10の金属板としては、ステンレス鋼板などの平らな金属製薄板が用いられる。金属板は、例えば0.05mm~0.2mmの範囲から選択した所定の板厚を有しており、金属板の硬度は例えばビッカース硬さで300Hv以下である。シール部20の弾性材としては、例えば、シリコーンゴム(VMQ)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、フッ素化ゴム(FKM)といったゴムの材料群の中から選択した所定の材料が用いられる。つまり、シール部20の原材料Gはゴム材である。
図1及び図2に示すように、基板10は、素材(金属板)のままの平坦な平坦部11と、厚み方向の一方の面側(図では基板10の上面側)で突出したビード部12とを有する。
基板10の平坦部11には、密封対象の流体の流路の一部を構成する貫通孔11aが開口されている。特に限定されるものではないが、貫通孔11aは、四隅が丸められた平面視で四角形状の孔として開口されている。
基板10のビード部12は、貫通孔11aの周囲を取り囲むように、環状に延びている。ビード部12は、基板10における貫通孔11aの周囲の部分において膨らむように突出している。つまり、ビード部12は、厚み方向の一方の面側で突出した凸面12A及び厚み方向の他方の面側(図2では基板10の下面側)で凹んだ凹面12Bを有しており、いわゆるフルビードタイプのビードである。
具体的には、ビード部12の凸面12Aは、図2に示すように、突出方向(換言すると、膨出方向)の先端側の先端面部121と、先端面部121における貫通孔11a側の端部から基板10の平坦部11に向かうほど貫通孔11aに近づくように傾斜する内側傾斜面部122と、先端面部121における貫通孔11aと反対側の端部から基板10の平坦部11に向かうほど貫通孔11aから離れるように傾斜する外側傾斜面部123とからなる。先端面部121は、円弧状に湾曲しており、丸みを有した上方に凸の先端面として形成されている。ビード部12の凹面12Bは、凸面12Aと同じ形状を有し凸面12Aと平行に延びている。ビード部12は、自身の延伸方向(図2に示す一点鎖線の延びる方向)に直交する断面視で視ると、上面が丸められた台形状の断面を有している。そして、ビード部12は、自身の幅方向の中心を通り且つ平坦部11に対して垂直に延びる中心線Xに対して対称な断面形状を有している。以下では、基板10の平坦部11の上面(ビード部12の突出側の面)からビード部12の先端までの高さをビード部12のビード高さHといい、内側傾斜面部122における平坦部11側の端部と外側傾斜面部123における平坦部11側の端部との間の距離(つまり、ビード部12の基端部の幅)をビード部12のビード幅Wという。
シール部20は、ビード部12の凸面12Aの少なくとも先端面部121に固着される部材である(図1参照、図2では図示されていない)。したがって、シール部20は、ビード部12の先端面部121に沿って環状に延びている。シール部20は、ゴム材からなる原材料Gが硬化したものである。シール部20の原材料Gは、後述するようにビード部12の先端面部121に塗布され、その後、ビード部12上で硬化してビード部12の凸面12Aの少なくとも先端面部121に固着する。また、塗布時及び硬化前の原材料Gは流動性を有している。シール部20は、薄膜状に形成されている。つまり、シール部20は、ビード部12の凸面12Aの少なくとも先端面部121を被覆するように形成されている。シール部20の出来上がりの膜厚t(詳しくは原材料Gの硬化後の膜厚、後述する図5~図7参照)の目標値(目標膜厚t0)は、例えば、20μm~300μmの範囲から仕様に応じて選択される。なお、本実施形態では、先端面部121が本発明に係る「頂部」に相当する。
ガスケット1は燃料電池セルに組み込まれており、この状態で、ビード部12は燃料電池セル内においてビード高さHの方向に圧縮されて弾性変形している。そして、ビード部12に作用する圧縮力に対抗する反力(復元力)がビード部12に発生し、このビード部12からの反力が相手部材(例えば、燃料電池セルを構成する部材)に作用している。この状態で、ビード部12の凸面12Aに固着されたシール部20が上記相手部材に当接して柔軟に弾性変形することによって、シール部20と上記相手部材との間にシールラインが形成され、ビード部12の凸面12Aと上記相手部材との間の隙間が密封される。その結果、例えば、貫通孔11aを流れる密封対象の流体が上記シールラインを超えて漏れ出ることが防止される。ここで、ビード部12が圧縮されるときに、シール部20も圧縮される。したがって、シール部20においても、圧縮力に対抗する反力が発生している。しかし、薄膜状に形成されたシール部20からの反力は微少であり、上記相手部材に作用する反力の大半はビード部12からの反力である。つまり、シール部20は、柔軟に弾性変形して上記相手部材に密着することによって、ビード部12からの反力を上記相手部材に確実に作用させる機能を有した部材である。このように、ガスケット1は、ビード部12からの反力とシール部20の柔軟な弾性変形とにより、良好な密封機能(シール機能)を発揮している。
[ガスケットの詳細構造]
次に、ガスケット1の詳細構造について、図1~図4を参照して説明する。図3及び図4はそれぞれ基板10のビード部12の断面図(詳しくは、端面図)である。具体的には、図3は図2に示すA-A切断線での断面図であり、図4は図2に示すB-B切断線での断面図である。
図1及び図2に示すように、本実施形態では、ビード部12は、貫通孔11aの形状に対応して、四隅が丸められた平面視で四角の環状に形成されている。つまり、ビード部12は、金属板に向かって視た平面視で直線的に延びる直線部12aと、金属板に向かって視た平面視で曲線的に延びる曲線部12bとを有している。詳しくは、直線部12aはビード部12における四辺のそれぞれに設けられており、曲線部12bはビード部12の四隅のそれぞれに設けられている。
ここで、本願の発明者は、ビード部の平面視での形状(平面レイアウト)を考慮すると、直線的に延びている部分であるか曲線的に延びている部分であるかの違いなどによって、ビード部で発生する反力の大きさにばらつきがあることに着目した。詳しくは、ビード部の直線部で発生する反力はビード部の曲線部で発生する反力より低いという傾向がある。そして、一般的に、ビード部の断面形状は自身の延伸方向の全周に亘って同じであることが基本である。しかし、断面形状が延伸方向のどの断面でも同一であると、ビード部の直線部で発生する反力の大きさとビード部の曲線部で発生する反力の大きさが異なることに起因して、ビード部で発生する反力の大きさが自身の延伸方向において大きく変化してばらつく可能性がある。そして、発明者は、このビード部の反力の大きさのばらつきを低減すればシール性能をさらに向上させ得ることに着目した。この点に対し、本実施形態のガスケット1では、以下の工夫がなされている。
ガスケット1のビード部12は、延伸方向の全周に亘って一定のビード高さHを有している。一方、ビード部12のビード幅Wは延伸方向の所定の部位で変化している。具体的には、ビード部12は直線部12aと曲線部12bと幅変化部12cとからなる。直線部12aはビード部12のうち最小のビード幅W(以下、最小ビード幅Wminという)を有している。曲線部12bはビード部12のうち最大のビード幅W(以下、最大ビード幅Wmaxという)を有している。幅変化部12cは、直線部12aと曲線部12bとの間を接続すると共に、自身の直線部側端部から自身の曲線部側端部に向かうほどビード幅Wが広くなる。つまり、直線部12aのビード幅Wは最小ビード幅Wminに設定されており、曲線部12bのビード幅Wは最大ビード幅Wmaxに設定されている。そして、幅変化部12cの直線部側端部におけるビード幅Wは最小ビード幅Wminに設定されており、幅変化部12cの曲線部側端部におけるビード幅Wは最大ビード幅Wmaxに設定されている。
また、ビード部12の断面形状について、ビード高さHが同一で、ビード幅Wが異なる場合を考慮すると、ビード幅Wが広い(大きい)ほど、ビード部12で発生する反力の大きさが小さくなり、ビード幅Wが狭い(小さい)ほど、ビード部12で発生する反力の大きさが大きくなるという特性がある。この特性に着目し、本実施形態のガスケット1では、ビード部12の平面視での形状(平面レイアウト)のみを考慮すると低反力な箇所である直線部12aのビード幅Wは、反力を増大させるために最小ビード幅Wminに設定されている。そして、ビード部12の平面視での形状のみを考慮すると高反力な箇所である曲線部12bのビード幅Wは、反力を減少させるために最大ビード幅Wmaxに設定されている。これにより、ビード部12で発生する反力の大きさのばらつきの幅が低減されて、ビード部12で発生する反力の大きさが自身の延伸方向において概ね均一化される。その結果、ガスケット1のシール性能がさらに向上する。
ここで、図3及び図4に示すように、ビード部12の直線部12aにおける凸面12Aは曲線部12bにおける凸面12Aより急峻に突出しており、直線部12aにおける各傾斜面部122,123の傾斜角度が曲線部12bにおける各傾斜面部122,123の傾斜角度より急になっている(大きくなっている)。そして、直線部12aにおける円弧状の先端面部121の曲率半径は曲線部12bにおける円弧状の先端面部121の曲率半径より小さくなり、曲線部12bの先端面部121は概ね平坦な面に近づいている。このように、ビード部12の断面形状が大きく変化している。そして、シール部20の原材料Gは硬化前の状態で流動性を有しているため、シール部20の原材料Gがビード部12に塗布されたとき、直線部12aにおける急峻な凸面12Aに塗布された原材料Gの広がり程度と、曲線部12bにおける凸面12Aに塗布された原材料Gの広がり程度との間にばらつきが生じる可能性がある。この点に対して、本実施形態におけるガスケット製造方法では、以下で説明する工夫がなされている。
[ガスケット製造方法]
次に、本実施形態におけるガスケット製造方法について説明する。図5はガスケット製造方法の後述する塗布工程を説明するための概念図である。図6は塗布工程の後のビード部12の直線部12aの断面図であり、図7は塗布工程の後のビード部12の曲線部12bの断面図である。
本実施形態におけるガスケット製造方法は、基板形成工程と塗布工程とを含む。塗布工程は下塗り工程と重ね塗り工程とを有している。
基板形成工程は、金属板から基板10を形成する工程である。特に限定されるものではないが、基板形成工程では、まず、金属板に対して切断加工が施されることによって、ガスケット1の仕様に応じた輪郭(外形)を有する平坦な金属板片が形成される。そして、この金属板片に対して孔あけ加工が施されることによって、金属板片に、貫通孔11aが開口される。そして、上記金属板片に対してプレス加工が施されることによって、環状に延びるビード部12を有した基板10が形成される。これにより、基板10の形成が完了する。但し、上記切断と上記孔あけ加工と上記プレス加工の少なくとも二つの加工が上記金属板に対して同時に施されてもよい。
図5は、ビード部12の中心線X(図2~図4参照)を通る断面位置で示したビード部12の先端部分の断面図(詳しくは、ビード部12の延伸方向に展開した断面図)である。図5には、上から順に、(a)塗布工程前の状態、(b)塗布工程の下塗り工程後の状態、(c)塗布工程の重ね塗り工程後の状態が示されている。なお、図5(a)~図5(c)には、ビード部12の延伸方向のうちの連続した一部の領域(詳しくは、一つの幅変化部12cと、この一つの幅変化部12cの両側に連続する直線部12a及び曲線部12bの一部)が示されている。
塗布工程は、基板形成工程によって形成された基板10のビード部12に、シール部20の原材料Gを塗布する工程である。この工程では、まず、図5(a)に示すように、ビード部12の凸面12Aが重力方向上側(図中上側)に向くように、基板10が配置される。原材料Gの塗布の方式としては、例えば、ディスペンサー方式、スクリーン印刷方式、インクジェット印刷方式などの方式の中から所定の方式が採用される。スクリーン印刷方式やインクジェット方式であっても、これらの方式は流動性を有した原材料Gをビード部12に「塗布」する方式であるといえる。
塗布工程における下塗り工程は、シール部20を形成するための流動性を有する原材料Gを、シール部20の固着予定領域S(つまり、シール部20の凸面12Aにおける少なくとも先端面部121)における予め定めた下塗り領域S1に塗布する工程である。
本実施形態では、下塗り領域S1は、ビード部12の直線部12aにおける凸面12Aの頂部としての先端面部121である。したがって、下塗り工程では、図5(b)に示すように、最初に、下塗り領域S1である直線部12aにおける凸面12Aの先端面部121にシール部20の原材料Gを塗布する。以下では、下塗り工程において塗布されてビード部12の凸面12A上に位置している原材料G(図5(b)に黒色で塗りつぶされた部分の原材料G)を、必要に応じて塗布済み原材料G1と呼ぶ。
具体的には、下塗り工程における原材料Gの塗布は、ビード部12の各直線部12aにおいて行われる。具体的には、シール部20の原材料Gは、ビード部12の延伸方向(図5では白抜き矢印で示された左右方向)に沿って一方向(図5(b)では左から右に向かって)に連続的に延びるように塗布される。そして、この塗布時に原材料Gは流動性を有しているため、直線部12a上の塗布済み原材料G1は、延伸方向に僅かに広がると共に、重力によって凸面12Aに沿って下方に流動し(図5(b)参照)、ビード部12のビード幅Wの方向について所定の幅まで広がる(後述する図6の黒色で塗りつぶされた部分を参照)。この下塗り領域S1は直線部12aに設定されているが、図5(b)に示すように、直線部12a上の塗布済み原材料G1の一部は、直線部12aと幅変化部12cとの境界を僅かに越えて幅変化部12c側に僅かに広がっている。そして、塗布済み原材料G1の各方向(ビード部12の延伸方向及びビード幅Wの方向)への広がり(流動)が止まった状態で、塗布済み原材料G1は徐々に硬化する。この塗布済み原材料G1が硬化することによって、塗布済み原材料G1は直線部12aの凸面12A及び幅変化部12cの凸面12Aの一部に固着する。この状態において、塗布済み原材料G1の膜厚t1は、シール部20の出来上がりの膜厚tより薄い(つまり、t1<t)。
次に、塗布工程における重ね塗り工程は、シール部20の原材料Gを下塗り領域S1における塗布済み原材料G1の上に重ねて塗布すると共に、原材料Gを固着予定領域Sにおける下塗り領域S1を除いた残りの領域である残余領域S2に塗布する工程である。
本実施形態では、下塗り領域S1は直線部12aにおける凸面12Aの先端面部121であるため、残余領域S2は曲線部12b及び幅変化部12cにおける凸面12Aの先端面部121である。したがって、図5(b)及び図5(c)に示すように、直線部12aでは、原材料Gが下塗り工程と重ね塗り工程とにより二回に分けて塗布されることによって、二層のゴム材からなるシール部20が形成されている。一方、曲線部12bの全部及び幅変化部12cの大半では、原材料Gが重ね塗り工程により一回塗布されることによって、一層のゴム材からなるシール部20が形成されている。以下では、重ね塗り工程において塗布されてビード部12上に位置している原材料Gを、必要に応じて後塗り原材料G2と呼ぶ。
具体的には、重ね塗り工程における原材料Gの塗布は、例えば、環状のビード部12の全周(ビード部12の延伸方向の一回り)に亘って連続的に行われる。つまり、原材料Gは、ビード部12の延伸方向(図5では白抜き矢印で示された左右方向)に沿って一方向(図5では左から右に向かって)に連続的に延びるようにビード部12の全周に亘って塗布される。図5(c)及び図6に示すように、直線部12aでは、原材料Gは塗布済み原材料G1上に重ねて塗布される。そして、図5(c)に示すように、幅変化部12cの大半の領域では、原材料Gは凸面12Aの先端面部121に直接的に塗布される。幅変化部12cにおける直線部12a側の端部の僅かな部分では、原材料Gは下塗り工程で直線部12a側から流動した僅かな塗布済み原材料G1上に重ねて塗布されている。また、図5(c)及び図7に示すように、曲線部12bでは、原材料Gは凸面12Aの先端面部121に直接的に塗布される。この重ね塗り工程においても、ビード部12上の各部位(直線部12a、曲線部12b及び幅変化部12c)の後塗り原材料G2は、ビード部12のビード幅Wの方向に流動して広がっている。そして、後塗り原材料G2のビード幅Wの方向への広がり(流動)が止まった状態で、後塗り原材料G2も徐々に硬化する。そして、後塗り原材料G2が硬化することによって、後塗り原材料G2が直線部12aの塗布済み原材料G1及び幅変化部12cの一部における塗布済み原材料G1に固着すると共に幅変化部12cの凸面12Aの大半及び曲線部12bの凸面12Aに固着する。
ここで、図6及び図7に示すように、ビード部12の直線部12aにおける凸面12Aは曲線部12bにおける凸面12Aより急峻に突出している。その結果、直線部12a上の塗布済み原材料G1の表面も直線部12aにおける凸面12Aに倣って曲線部12bにおける凸面12Aより急峻に突出している。したがって、直線部12aの塗布済み原材料G1上の後塗り原材料G2は、曲線部12b上の後塗り原材料G2よりもビード幅Wの方向へ広く広がっている。このため、後塗り原材料G2が硬化して固着した状態において、直線部12aの塗布済み原材料G1上の後塗り原材料G2の膜厚t2aは、曲線部12b上の後塗り原材料G2の膜厚t2bより薄い(つまり、t2a<t2b)。
詳しくは、直線部12aでは、下塗り工程による膜厚t1の塗布済み原材料G1と重ね塗り工程による膜厚t2aの後塗り原材料G2によって、二層のゴム材からなるシール部20が形成されている。そして、直線部12aにおけるシール部20の出来上がりの膜厚t(=t1+t2a)はシール部20の目標膜厚t0に概ね一致するように設定されている。そして、曲線部12bでは、重ね塗り工程による膜厚t2bの後塗り原材料G2によって、一層のゴム材からなるシール部20が形成されている。そして、曲線部12bにおけるシール部20の出来上がりの膜厚t(=t2b)はシール部20の目標膜厚t0に概ね一致するように設定されている。また、幅変化部12cにおける直線部12a側において塗布済み原材料G1上に塗布された部分では、後塗り原材料G2の膜厚t2cは直線部12aの塗布済み原材料G1上の後塗り原材料G2の膜厚t2aに近似している。したがって、幅変化部12cの直線部12a側の二層のゴム材からなるシール部20の出来上がりの膜厚tは、直線部12aの膜厚t(=t1+t2a)と近似しており、シール部20の目標膜厚t0に近似するように設定されている。また、幅変化部12cでは、曲線部12b側から直線部12a側に向かうほど、凸面12Aの傾斜の勾配が徐々に急峻になっている。その結果、幅変化部12c上の後塗り原材料G2の膜厚t2cは、曲線部12b側から直線部12a側に向かうほど薄くなる。ただし、幅変化部12cの凸面12Aのうち後塗り原材料G2が直接塗布されている部分の傾斜は直線部12aの凸面12Aの傾斜よりも緩やかであるため、幅変化部12c上の後塗り原材料G2の膜厚t2cの最小の膜厚t2cminは、下塗り工程による膜厚t1よりも大きい(厚い)。このように、幅変化部12cの大半の部分では、重ね塗り工程による膜厚t2cの後塗り原材料G2によって、一層のゴム材からなるシール部20が形成されているが、この幅変化部12cの一層のゴム材からなるシール部20の重ね塗り工程による膜厚t2cの最小値(t2cmin)は一回塗りの直線部12aの膜厚t1よりも大きい。したがって、例えばビード部12の全周に亘って原材料Gが連続して一回塗られることによって、一層のゴム材からなるシール部20が形成された場合と比較すると、本実施形態におけるガスケット1では、シール部20の膜厚tの最大値(概ねt0)と最小値(t2cmin)との差(=t0-t2cmin)、つまり、膜厚tのばらつきが小さくなる。したがって、シール部20の大半の部分(つまり、幅変化部12cを除いた部分)において、目標膜厚t0に近似した膜厚tのシール部20を形成することができると共に、シール部20の全体の膜厚tのばらつきが一回塗りの場合と比較すると小さくなる。その結果、シール部20の断面形状の異なる部分同士における原材料Gの広がりの程度に相違があったとしても、シール部20の大半の部分の膜厚tの均一化を図ることができると共に、シール部20の全体の膜厚tのばらつきを一回塗りの場合と比較すると低減することができる。その結果、シール性能を向上させることができる。
本実施形態のガスケット製造方法によって製造されたガスケット1では、ビード部12の平面視での形状のみを考慮すると高反力な箇所である曲線部12bのビード幅Wは、反力を減少させるために最大ビード幅Wmaxに設定されている。これにより、ビード部12で発生する反力の大きさのばらつきの幅が低減されて、ビード部12で発生する反力の大きさが自身の延伸方向において概ね均一化される。その結果、ガスケット1のシール性能が従来よりも向上する。
本実施形態におけるガスケット製造方法によれば、ビード部12のビード幅Wが変化しているガスケット1であっても、シール部20の膜厚t(厚み)のばらつきを抑制し、シール部20の膜厚tを適切に設定することによってさらなるシール性能の向上を図ることが可能である。
[変形例]
なお、本実施形態のガスケット製造方法によって製造される対象は、ビード高さHが一定で、ビード幅Wが変化するガスケット1であるものとしたが、これに限らない。例えば、ビード幅Wが一定で、ビード高さHが変化するガスケット1’でもよい。以下では、図8~図13を参照して、ガスケット1’の構造と上述したガスケット製造方法を用いたガスケット1’の製造について説明する。なお、ガスケット1と同一の構成要素については同じ符号を用いて説明を省略又は簡略化し、主に異なる部分について説明する。
図8はガスケット1’の正面図である。図9は図3に対応する切断位置でのビード部12の直線部12aの断面図であり、図10は図4に対応する切断位置でのビード部12の曲線部12bの断面図である。図11はガスケット1’に対する塗布工程を説明するための概念図であり、図12は塗布工程の後のガスケット1’のビード部12の直線部12aの断面図であり、図13は塗布工程の後のガスケット1’のビード部12の曲線部12bの断面図である。図11には、上から順に、(a)塗布工程前の状態、(b)塗布工程の下塗り工程後の状態、(c)塗布工程の重ね塗り工程後の状態が示されている。
図8に示すように、ガスケット1’のビード部12は、ガスケット1と同様に、金属板に向かって視た平面視で直線的に延びる直線部12aと、金属板に向かって視た平面視で曲線的に延びる曲線部12bとを有している。ガスケット1’のビード部12は、延伸方向の全周に亘って一定のビード幅Wを有している。一方、ガスケット1’のビード部12のビード高さHは延伸方向の所定の部位で変化している。具体的には、ビード部12は直線部12aと曲線部12bと高さ変化部12c’とからなる。直線部12aはビード部12のうち最大のビード高さH(以下、最大ビード高さHmaxという)を有している。曲線部12bはビード部12のうち最小のビード高さH(以下、最小ビード高さHminという)を有している。高さ変化部12c’は、直線部12aと曲線部12bとの間を接続すると共に、自身の直線部側端部から自身の曲線部側端部に向かうほどビード高さHが低くなる。つまり、直線部12aのビード高さHは最大ビード高さHmaxに設定されており、曲線部12bのビード高さHは最小ビード高さHminに設定されている。そして、高さ変化部12c’の直線部側端部におけるビード高さHは最大ビード高さHmaxに設定されており、高さ変化部12c’の曲線部側端部におけるビード高さHは最小ビード高さHminに設定されている。
また、ビード部12の断面形状について、ビード幅Wが同一で、ビード高さHが異なる場合を考慮すると、ビード高さHが低い(小さい)ほど、ビード部12で発生する反力の大きさが小さくなり、ビード高さHが高い(大きい)ほど、ビード部12で発生する反力の大きさが大きくなるという特性がある。この特性に着目し、本変形例のガスケット1’では、ビード部12の平面視での形状(平面レイアウト)のみを考慮すると低反力な箇所である直線部12aのビード高さHは、反力を増大させるために最大ビード高さHmaxに設定されている。そして、ビード部12の平面視での形状のみを考慮すると高反力な箇所である曲線部12bのビード高さHは、反力を減少させるために最小ビード高さHminに設定されている。これにより、ガスケット1’のビード部12で発生する反力の大きさのばらつきの幅がガスケット1と同様に低減されて、ビード部12で発生する反力の大きさが自身の延伸方向において概ね均一化される。その結果、ガスケット1’のシール性能がさらに向上する。
ここで、図9及び図10に示すように、このガスケット1’においてもガスケット1と同様に、直線部12aにおける各傾斜面部122,123の傾斜角度が曲線部12bにおける各傾斜面部122,123の傾斜角度より急になる。そして、ガスケット1’のビード部12の直線部12aにおける円弧状の先端面部121の曲率半径は曲線部12bにおける円弧状の先端面部121の曲率半径より小さくなり、曲線部12bの先端面部121は概ね平坦な面に近づいている。
次に、上述したガスケット製造方法を用いたガスケット1’の製造について説明する。
ガスケット1’のガスケット製造方法においても、下塗り工程における下塗り領域S1は、ビード部12の直線部12aにおける凸面12Aの頂部としての先端面部121である。そして、下塗り工程では、まず、図11(a)に示すように、ビード部12の凸面12Aが重力方向上側(図中上側)に向くように、基板10が配置される。また、ガスケット1’のガスケット製造方法において、下塗り工程によって直線部12aの凸面12Aに塗布された塗布済み原材料G1は直線部12aの凸面12A及び高さ変化部12c’の凸面12Aの一部に固着する。この状態において、塗布済み原材料G1の膜厚t1は、シール部20の出来上がりの膜厚tより薄い(つまり、t1<t)。そして、重ね塗り工程では、図11(b)及び図11(c)に示すように、直線部12aでは、原材料Gが下塗り工程と重ね塗り工程とにより二回に分けて塗布されることによって、二層のゴム材からなるシール部20が形成されている。一方、曲線部12bの全部及び高さ変化部12c’の大半では、原材料Gが重ね塗り工程により一回塗布されることによって、一層のゴム材からなるシール部20が形成されている。そして、重ね塗り工程において、後塗り原材料G2が硬化することによって、後塗り原材料G2が直線部12aの塗布済み原材料G1及び高さ変化部12c’の一部における塗布済み原材料G1に固着すると共に、高さ変化部12c’の凸面12Aの大半及び曲線部12bの凸面12Aに固着する。
ここで、図12及び図13に示すように、ガスケット1’においてもガスケット1と同様に、ビード部12の直線部12aにおける凸面12Aは曲線部12bにおける凸面12Aより急峻に突出している。このため、直線部12aの塗布済み原材料G1上の後塗り原材料G2の膜厚t2aは、曲線部12b上の後塗り原材料G2の膜厚t2bより薄い(つまり、t2a<t2b)。そして、直線部12aにおけるシール部20の出来上がりの膜厚t(=t1+t2a)はシール部20の目標膜厚t0に概ね一致するように設定され、曲線部12bにおけるシール部20の出来上がりの膜厚t(=t2b)はシール部20の目標膜厚t0に概ね一致するように設定されている。また、高さ変化部12c’の直線部12a側の二層のゴム材からなるシール部20の出来上がりの膜厚tは、直線部12aの膜厚t(=t1+t2a)と近似しており、シール部20の目標膜厚t0に近似するように設定されている。そして、高さ変化部12c’では、曲線部12b側から直線部12a側に向かうほど、凸面12Aの傾斜の勾配が徐々に急峻になっている。その結果、高さ変化部12c’上の後塗り原材料G2の膜厚t2cは、曲線部12b側から直線部12a側に向かうほど薄くなる。ただし、高さ変化部12c’の凸面12Aのうち後塗り原材料G2が直接塗布されている部分の傾斜は直線部12aの凸面12Aの傾斜よりも緩やかであるため、高さ変化部12c’上の後塗り原材料G2の膜厚t2cの最小の膜厚t2cminは、下塗り工程による膜厚t1よりも大きい(厚い)。このように、高さ変化部12c’の大半の部分では、重ね塗り工程による膜厚t2cの後塗り原材料G2によって、一層のゴム材からなるシール部20が形成されているが、この高さ変化部12c’の一層のゴム材からなるシール部20の重ね塗り工程による膜厚t2cの最小値(t2cmin)は一回塗りの直線部12aの膜厚t1よりも大きい。したがって、例えばビード部12の全周に亘って原材料Gが連続して一回塗られることによって、一層のゴム材からなるシール部20が形成された場合と比較すると、ガスケット1’では、ガスケット1と同様に、シール部20の膜厚tの最大値(概ねt0)と最小値(t2cmin)との差(=t0-t2cmin)、つまり、膜厚tのばらつきが小さくなる。したがって、シール部20の大半の部分の膜厚tの均一化を図ることができると共に、シール部20の全体の膜厚tのばらつきを一回塗りの場合と比較すると低減することができる。その結果、シール性能を向上させることができる。
このように、ガスケット1’では、ビード部12の平面視での形状のみを考慮すると高反力な箇所である曲線部12bのビード高さHは、反力を減少させるために最小ビード高さHminに設定されている。これにより、ガスケット1’のビード部12で発生する反力の大きさが自身の延伸方向において概ね均一化される。そして、本実施形態におけるガスケット製造方法によれば、ビード部12のビード幅Wが変化しているガスケット1’であっても、シール部20の膜厚t(厚み)のばらつきを抑制し、シール部20の膜厚tを適切に設定することによってさらなるシール性能の向上を図ることが可能である。
また、本実施形態では、ガスケット1やガスケット1’のように断面形状(具体的には、ビード高さHやビード幅W)の違いによる原材料Gの流動性に考慮して、シール部20の膜厚tの均一化を図るガスケット製造方法について説明したが、原材料Gの流動性は、ビード部12の平面視での形状(平面レイアウト)の違いのみによっても相違する。例えば、図14に示すように曲率半径の互いに異なる曲線部12bを有するビード部12を含むガスケット1’’の場合には、曲率半径の小さい曲線部12b(以下では、第2曲線部12b2という)における原材料Gが、曲率半径の大きい曲線部12b(以下では、第1曲線部12b1という)における原材料Gよりも径方向の内側に向かって流動し易くなり、その結果、第2曲線部12b2の凸面12Aにおける内側傾斜面部122に原材料Gが溜まり易くなるという傾向がある。つまり、ガスケット1’’のビード部12は、金属板に向かって視た平面視で第1の曲率半径を有して曲線的に延びる第1曲線部12b1と、第1曲線部12b1の端部から連続すると共に平面視で第1の曲率半径より小さい第2の曲率半径を有して曲線的に延びる第2曲線部12b2とを有している。このようなガスケット1’’を上述したガスケット製造方法の製造対象とする場合には、第2曲線部12b2における凸面12Aの頂部としての先端面部121を下塗り領域S1として設定すればよい。これにより、第1曲線部12b1におけるシール部20の膜厚tと第2曲線部12b2におけるシール部20の膜厚tを互いに近似させることができ、ビード幅W及びビード高さHが一定で、ビード部12の曲線部12bの曲率半径が変化しているガスケット1’’であっても、シール部20の膜厚t(厚み)のばらつきを抑制し、シール部20の膜厚tを適切に設定することによってさらなるシール性能の向上を図ることが可能である。
また、本実施形態では、ビード高さHが一定で、ビード幅Wが変化するガスケット1において、下塗り領域S1は、曲線部12bの凸面12Aよりも急峻に突出した直線部12aにおける凸面12Aの頂部としての先端面部121であるものとした。しかし、これに限らず、下塗り領域S1は、曲線部12bの凸面12Aの先端面部121であってもよい。例えば、ビード幅Wの調整により、ビード部12の曲線部12bにおける反力が十分に低くなり(例えば直線部12aにおける反力よりも低くなり)、曲線部12bにおけるシール部20の膜厚tを局所的に厚くした方が、シール部20付きのビード部12で発生する最終的な反力の大きさの均一化が効果的に図られる場合もある。このような場合等には、曲線部12bの凸面12Aの先端面部121が下塗り領域S1として設定される。このように、シール部20の膜厚tを局所的に厚くすることにより、換言すると、シール部20の膜厚tを適切に設定することによって、シール部20付きビード部12で発生する最終的な反力の大きさが自身の延伸方向において概ね均一化される。その結果、さらなるシール性能の向上を図ることができる。このように、下塗り領域S1が環状のビード部12のどの部分に設定されると、反力の均一化(換言すると、面圧の均一化)に対して効果的であるのかについては、ビード部12自体の断面形状やビード部12自体の平面レイアウト等に基づいて、事前に確認することができ、確認結果に応じて、好適な下塗り領域S1を予め設定すればよい。
本実施形態のガスケット製造方法によって製造される各ガスケット1,1’,1”は燃料電池スタックに組み込まれるガスケットであるものとしたがこれに限らず、各種の機械に組み込まれるシール部品としてのガスケットの製造方法に適用できる。
以上、本発明の好ましい実施形態及びその変形例について幾つか説明したが、本発明は上記実施形態及び上記変形例に制限されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形及び変更が可能である。
本発明は、さらなるシール性能の向上を図ることが可能なガスケットの製造に有用である。
1…ガスケット、1’…ガスケット、1’’…ガスケット、10…基板、12…ビード部、12A…凸面、12a…直線部、12b…曲線部、12c…幅変化部、12c’…高さ変化部、121…先端面部(頂部)、12B…凹面、20…シール部、121…先端面部(頂部)、Hmin…最小ビード高さ(最小のビード高さ)、Hmax…最大ビード高さ(最大のビード高さ)、S…固着予定領域、S1…下塗り領域、S2…残余領域、Wmin…最小ビード幅(最小のビード幅)、Wmax…最大ビード幅(最大のビード幅)。

Claims (5)

  1. (削除)
  2. 金属板からなる基板であって厚み方向の一方の面側で突出した凸面及び厚み方向の他方の面側で凹んだ凹面を有すると共に環状に延びるビード部が形成されている前記基板と、前記凸面の少なくとも頂部に固着されるシール部と、を含むガスケットを製造するガスケット製造方法であって、
    前記金属板から前記基板を形成する工程と、
    前記シール部を形成するための流動性を有する原材料を、前記シール部の固着予定領域における予め定めた下塗り領域に塗布する工程と、
    前記原材料を前記下塗り領域における塗布済み原材料の上に重ねて塗布すると共に、前記原材料を前記固着予定領域における前記下塗り領域を除いた残りの領域である残余領域に塗布する工程と、
    を含み、
    前記ビード部は、当該ビード部のうち最小のビード幅を有すると共に前記金属板に向かって視た平面視で直線的に延びる直線部と、当該ビード部のうち最大のビード幅を有すると共に前記平面視で曲線的に延びる曲線部と、前記直線部と前記曲線部との間を接続すると共に自身の直線部側端部から自身の曲線部側端部に向かうほど前記ビード幅が広くなる幅変化部とを有しており、
    前記下塗り領域は、前記直線部における前記凸面の前記頂部である、ガスケット製造方法。
  3. 金属板からなる基板であって厚み方向の一方の面側で突出した凸面及び厚み方向の他方の面側で凹んだ凹面を有すると共に環状に延びるビード部が形成されている前記基板と、前記凸面の少なくとも頂部に固着されるシール部と、を含むガスケットを製造するガスケット製造方法であって、
    前記金属板から前記基板を形成する工程と、
    前記シール部を形成するための流動性を有する原材料を、前記シール部の固着予定領域における予め定めた下塗り領域に塗布する工程と、
    前記原材料を前記下塗り領域における塗布済み原材料の上に重ねて塗布すると共に、前記原材料を前記固着予定領域における前記下塗り領域を除いた残りの領域である残余領域に塗布する工程と、
    を含み、
    前記ビード部は、当該ビード部のうち最大のビード高さを有すると共に前記金属板に向かって視た平面視で直線的に延びる直線部と、当該ビード部のうち最小のビード高さを有すると共に前記平面視で曲線的に延びる曲線部と、前記直線部と前記曲線部との間を接続すると共に自身の直線部側端部から自身の曲線部側端部に向かうほど前記ビード高さが低くなる高さ変化部とを有しており、
    前記下塗り領域は、前記直線部における前記凸面の前記頂部である、ガスケット製造方法。
  4. 金属板からなる基板であって厚み方向の一方の面側で突出した凸面及び厚み方向の他方の面側で凹んだ凹面を有すると共に環状に延びるビード部が形成されている前記基板と、前記凸面の少なくとも頂部に固着されるシール部と、を含むガスケットを製造するガスケット製造方法であって、
    前記金属板から前記基板を形成する工程と、
    前記シール部を形成するための流動性を有する原材料を、前記シール部の固着予定領域における予め定めた下塗り領域に塗布する工程と、
    前記原材料を前記下塗り領域における塗布済み原材料の上に重ねて塗布すると共に、前記原材料を前記固着予定領域における前記下塗り領域を除いた残りの領域である残余領域に塗布する工程と、
    を含み、
    前記ビード部は、前記金属板に向かって視た平面視で第1の曲率半径を有して曲線的に延びる第1曲線部と、前記平面視で前記第1の曲率半径より小さい第2の曲率半径を有して曲線的に延びる第2曲線部とを有しており、
    前記下塗り領域は、前記第2曲線部における前記凸面の前記頂部である、ガスケット製造方法。
  5. 前記シール部の前記原材料はゴム材である、請求項2~4のいずれか一つに記載のガスケット製造方法。
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