JP7051292B2 - 燃料電池の製造方法および燃料電池 - Google Patents

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本発明は、燃料電池の製造方法および燃料電池、特に固体酸化物形燃料電池のセルスタックの製造方法に関するものである。
燃料ガスと酸素とを化学反応させることにより発電する燃料電池が知られている。このうち、固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxcide Fuel Cell)は、酸化物を固体電解質として使用する燃料電池であり、高い効率が得られるという利点から、広く研究・開発が進められている(特許文献1,2参照)。
固体酸化物形燃料電池の一態様として、円筒横縞型のSOFCセルスタックがある。この円筒横縞型のSOFCセルスタックは、筒形状をなす基体管の外周面に、燃料極、固体電解質、空気極を積層して発電素子を形成し、この発電素子を基体管の軸方向に複数配置し、複数の発電素子をインターコネクタにより直列に接続して構成される。
上記構成のSOFCセルスタックでは、基体管内側に燃料ガスが供給され、空気極に酸素などの酸化性ガスが供給されると、空気極に供給された酸化性ガス中の酸素がイオン化されて固体電解質を透過し、燃料極に達する。そして、燃料極に達した酸素イオンと燃料ガスとの電気化学的反応により、燃料極と空気極との間に電位差が発生して、この電位差を外部に取り出すことで発電が行われる。
SOFCセルスタックは、例えば、基体管の表面に燃料極、固体電解質、インターコネクタ等の材料から調製したスラリーをスクリーン印刷し、一体焼成した後、空気極スラリーを製膜し、焼成して製造される。
国際公開第2004/088783号 特開平7-114932号公報
燃料極、固体電解質およびインターコネクタを一体焼成すると、各層の収縮差に起因して亀裂が生じることがある。亀裂は酸素の侵入経路となり得る。亀裂を介して燃料極側に酸素が侵入すると、燃料極材料や基体管材料の一部が酸化し、体積変化により発電素子が破損する可能性がある。
特許文献1では、燃料極と固体電解質を焼成した後、インターコネクタと空気極とを形成することで、焼成の間に生起する問題を解決している。特許文献2では、インターコネクタの下部に気密膜を設け、インターコネクタを介したガスの拡散を防止することを開示している。
ここで、発電素子の層形状において、隣接する発電素子間で燃料極が形成されない領域では、隣接する素子固体電解質とインターコネクタとの重なり部分は、他の発電素子形成される領域よりも燃料極が無いために形状が薄くなる構造となる。そのため、当該重なり部分は特に亀裂が生じやすい。このため、インターコネクタを厚くすることが考えられるが、インターコネクタは緻密膜であるため、一体焼成時の収縮差の影響が大きくなることで反って、亀裂が発生する場合がある。また、インターコネクタを厚くすると電流パス部分(空気極→インターコネクタ→燃料極)でのインターコネクタを膜厚方向に通過する電流の抵抗が増加するため、電池の出力性能の観点からも好ましくない。
また、燃料極は、一般に、インターコネクタと比較して1桁程度厚く設計される。隣接する発電素子間の燃料極と、隣接する発電素子の固体電解質の部分に発生する段差が大きくなる。インターコネクタは燃料極の端部に重なって接続されるが、インターコネクタと燃料極との重なり始める部分では、局所的にインターコネクタの形状の変化が急となり、応力が集中し易い構造となり、亀裂が生じやすい。
このため、基体管に固体電解質が接触する部分(すなわち非発電部分)において、空気極側が亀裂によりインターコネクタで覆われていない場合、空気極側の酸素が固体電解質を介して燃料極側へと侵入して、燃料極材料や基体管材料の一部が酸化し、体積変化により発電素子が破損する可能性がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、発電素子同士の電気的接続部分での亀裂発生を抑制できる燃料電池の製造方法および燃料極側へ酸素が侵入することを阻止できるような燃料電池を提供することを目的とする。
本発明は、基体上に、燃料極、固体電解質および空気極が順に積層された複数の発電素子と、隣り合う発電素子を電気的に直列接続するインターコネクタと、を備え、該発電素子の前記燃料極、前記固体電解質および前記空気極が積層された第1領域と、該発電素子の前記固体電解質の一端側が前記基体もしくは、該発電素子の前記固体電解質の一端側が前記基体および前記隣りの発電素子の前記燃料極に接触し、該発電素子の前記固体電解質の空気極側の少なくとも一部が前記インターコネクタに接続する第3領域と、前記インターコネクタが前記隣の発電素子の前記燃料極に接続する第4領域と、を含む燃料電池の製造方法であって、前記基体、前記燃料極、前記固体電解質および前記インターコネクタを含む共焼結体を焼成する工程と、前記第3領域にある前記インターコネクタ上、および前記第4領域において前記第3領域側から前記第4領域の前記燃料極が設計値として定められた基準厚さの50%以下の厚さである部分までの範囲に接続する前記インターコネクタ上に酸素侵入防止膜スラリーを塗布する工程と、前記発電素子の前記空気極を形成するために、前記共焼結体の前記第1領域、前記第4領域および前記第3領域を含む領域に連続的に空気極スラリーを塗布する工程と、前記酸素侵入防止膜スラリーおよび前記空気極スラリーが塗布された前記共焼結体を焼成する工程と、を備えている燃料電池の製造方法を提供する。
上記発明によれば、酸素侵入防止膜を、インターコネクタとは別の工程で焼成するため、応力集中を緩和しつつ、インターコネクタを補強できる。インターコネクタ上に酸素侵入防止膜を重ねることで、亀裂を介した酸素拡散を防止でき、かつ、緊急停止時においても燃料極側に酸素が侵入することを抑制して、燃料極材料や基体管材料の酸化による体積変化を発生させないようにして耐久性を向上させられる。
また、上記発明によれば、亀裂を生じやすい箇所を部分的に厚くし、電流パス形成部分のインターコネクタを薄くできる。これにより、電流パスを確保しつつ、耐久性を向上させられる。
インターコネクタは、任意の発電素子の燃料極と、その隣の発電素子の空気極との間に挟まれ、電流パスを形成する。酸素侵入防止膜が、燃料極に重なる面積が多くなると電流パス面積が減少する。一方、燃料極の膜厚が薄くなれば、電流パスを流れる電流量も少なくなる。上記発明によれば、基準厚さよりも薄くなった燃料極と重なる部分に範囲を限定して酸素侵入防止膜を施工する。これにより、電流パスへの影響を抑制しつつ、亀裂を介した酸素拡散を防止できる。ここで「基準厚さ」とは、設計値として定められた燃料極の厚さである。設計値通りに製膜が実施されると仮定した場合、「基準厚さ」は第1領域における燃料極の平均厚さに略等しい。
上記発明の一態様において、前記第3領域内で、前記固体電解質の空気極側が前記インターコネクタで覆われていない露出部を有する場合、前記酸素侵入防止膜スラリーを塗布する工程において、前記酸素侵入防止膜スラリーを、さらに、前記露出部上に塗布するとよい。
露出部は酸素が基体側(燃料極側)に侵入する経路となり得るが、上記発明の一態様によれば、露出部を介して、燃料極側に酸素が侵入することを抑制でき、燃料極材料や基体管材料の酸化を防止できる。
上記発明の一態様において、前記燃料電池は、該発電素子の前記空気極、前記インターコネクタおよび前記発電素子の隣の発電素子の前記燃料極が積層された第2領域を含み、前記空気極スラリーを塗布する工程の前に、前記空気極スラリーと同じ材料で調製された中間層スラリーを、前記第2領域の前記インターコネクタと前記空気極との間に挟まれるよう前記インターコネクタ上に塗布する工程を、さらに備え得る。
空気極スラリーとは別に、インターコネクタ上に中間層スラリーを塗布しておくことで、インターコネクタと空気極との接着性を高めることができる。
上記発明において、前記酸素侵入防止膜スラリーを、インターコネクタ材料と同じ材料で調製する。
インターコネクタは緻密膜であり、酸素の侵入を防止できる。特別な材料を別途用意する手間が省けるため、作業を効率化できる。
上記発明の一態様では、前記酸素侵入防止膜スラリーの調製において、スラリー溶媒に油性溶剤着色料を添加して着色し、前記焼成する工程における加熱により、前記油性溶剤着色料由来の色を脱色する工程を備えていてもよい。
例えばインターコネクタは白透明であり、固体電解質(Y安定化ZrO2:YSZ)は白色である。酸素侵入防止膜スラリーに着色することで、製膜位置などの確認が容易となる。油性溶剤着色料は、後の焼成により気化して脱色されるため、製品としての電池性能に影響することはない。
前記スラリー溶媒は芳香族炭化水素系溶媒を含む溶媒であり、前記油性溶剤着色料は芳香族化合物からなる化合物であってよい。
また、本発明は、基体上に、燃料極、固体電解質および空気極が順に積層された複数の発電素子と、隣り合う発電素子を電気的に直列接続するインターコネクタと、を備え、該発電素子の前記燃料極、前記固体電解質および前記空気極が積層された第1領域と、該発電素子の前記固体電解質の一端側が前記基体もしくは、該発電素子の前記固体電解質の一端側が前記基体および前記隣の発電素子の前記燃料極に接触し、該発電素子の前記固体電解質の空気極側の少なくとも一部が前記インターコネクタに接続する第3領域と、前記インターコネクタが前記隣の発電素子の前記燃料極に接続する第4領域と、を含む燃料電池であって、前記基体、前記燃料極、前記固体電解質および前記インターコネクタを含む共焼結体の前記第3領域にある前記インターコネクタ上、および前記第4領域において前記第3領域側から前記第4領域の前記燃料極が設計値として定められた基準厚さの50%以下の厚さである部分までの範囲に接続する前記インターコネクタ上で、該インターコネクタと前記空気極とに挟まれるよう配置された酸素侵入防止膜を備えている燃料電池を提供する。
上記発明の一態様において、前記第3領域は、前記固体電解質の空気極側が前記インターコネクタで覆われていない露出部を有する場合、前記酸素侵入防止膜は、前記露出部上に延在するとよい。
上記発明の一態様において、該発電素子の前記空気極、前記インターコネクタおよび前記発電素子の隣の発電素子の前記燃料極が積層された第2領域を含み、前記第2領域において、前記インターコネクタと前記空気極との間に挟まれるよう、前記空気極と同じ材料で構成された中間層が配置されているとよい。
上記発明において、前記酸素侵入防止膜は、インターコネクタ材料と同じ材料で構成される。
本発明は、酸素侵入防止膜を特定範囲に施工することで、亀裂の発生を抑制し、燃料極側への酸素の侵入を阻止できる。
本発明の一実施形態に係るセルスタックの一態様を示すものである。 本発明の一実施形態に係るセルスタック製造のフロー図である。 本発明の一実施形態に係るSOFCモジュールの一態様を示すものである。 本発明の一実施形態に係るSOFCカートリッジの断面の一態様を示すものである。
以下に、本発明に係る燃料電池の製造方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。
以下においては、説明の便宜上、紙面を基準として「上」および「下」の表現を用いて各構成要素の位置関係を特定するが、鉛直方向に対して必ずしもこの限りである必要はない。例えば、紙面における上方向が鉛直方向における下方向に対応してもよい。また、紙面における上下方向が鉛直方向に直行する水平方向に対応してもよい。
また、以下においては、固体酸化物形燃料電池(SOFC)のセルスタックとして円筒形を例として説明するが、必ずしもこの限りである必要はなく、例えば平板形のセルスタックであってもよい。基体上に燃料電池セルを形成するが、基体がなく電極(燃料極もしくは空気極)が厚く形成されて、基体を兼用しても良い。
(円筒形セルスタックの構造)
まず、図1を参照して本実施形態に係る一例として、基体管を用いる円筒形セルスタックについて説明する。ここで、図1は、本実施形態に係るセルスタックの一態様を示すものである。図1は、基体管(基体)の軸方向に沿った断面を示している。基体管は必ずしも円筒型でなくてもよく、平板型でもよい。
セルスタック101は、円筒形状の基体管103と、基体管103の外周面に複数形成された燃料電池セル(発電素子)105と、隣り合う燃料電池セル105の間に形成されたインターコネクタ107とを備える。インターコネクタ107は隣り合う燃料電池セル105を電気的に接続する。また、図4に示すようにセルスタック101は、基体管103の外周面に形成された複数の燃料電池セル105の内、基体管103の軸方向において最も端の一端に形成された燃料電池セル105の空気極113に、インターコネクタ107を介して電気的に接続されたリード部115を備え、最も端の他端に形成された燃料電池セル105の燃料極109に電気的に接続されたリード部115を備える。
図1に示すように、燃料電池セル105は、燃料極109と固体電解質111と空気極113との積層体である。燃料極109と固体電解質111と空気極113とは、それぞれ端部の位置が軸方向に向けてずれるよう積層されている。基体管103の外周面上にあるインターコネクタ107で接続された複数の燃料電池セル105群は、基体管の軸方向に沿って第1領域A、第2領域B、第3領域C、第4領域Dに区分けされる。
第1領域Aでは、燃料極109、固体電解質111および空気極113が積層されている。第1領域Aの積層体(燃料極/固体電解質111/空気極113)は、発電に関与する。第1領域Aでは、固体電解質111と空気極113との間に空気極中間層112が挟まれていてもよい。
第2領域Bでは、任意の燃料電池セル105の空気極113、インターコネクタ107および隣接する燃料電池セル105の燃料極109が積層されている。第2領域Bは、電流パス部分である。電流パス部分にあるインターコネクタ107と空気極113との間にはインターコネクタ側空気極中間層(中間層)114が挟まれるように配置されている。
第3領域Cの一端側では、固体電解質111の一端側が基体管103に接触している。固体電解質111の一端側が隣接する発電素子105の燃料極109の端部側に接触していてもよい。第3領域Cは、非発電部分である。第3領域Cでは、固体電解質111の空気極113側の少なくとも一部がインターコネクタ107に接続している。第3領域Cでは、インターコネクタ107上に酸素侵入防止膜108が配置されている。酸素侵入防止膜108の上には、空気極113が形成されている。空気極113は、第1領域Aから第3領域Cにかけて連続した層である。第3領域Cの他端側は、固体電解質111が燃料極109に積層され始めるまでの領域である。
第3領域Cにおいて、固体電解質111の空気極113側は、インターコネクタ107が重なっていない(インターコネクタ107で覆われていない)部分(露出部)Xを有していてもよい。その場合、酸素侵入防止膜108は、露出部X上まで延在することで、露出部を介して、燃料極側に酸素が侵入することを防止できる。
第4領域Dでは、インターコネクタ107が隣の燃料電池セル105の燃料極109に重なるように接続している。第4領域Dには、隣の燃料電池セル105の燃料極109の端部が含まれている。軸方向で燃料極109の端部は、燃料極109の中央部に比べて傾斜をつけて薄くなっていてもよい。酸素侵入防止膜108は、燃料極109の端部が、基準厚さ(設計値)の40%から50%以下の厚さとなっている部分に接続するインターコネクタ107上まで延在している。酸素侵入防止膜108の上には、空気極113が形成されている。
「基準厚さ」は、設計値で定めた燃料極109の厚さで、第1領域Aにおける燃料極109の平均厚さに略等しくなる。燃料極109の膜厚は、インターコネクタ107の膜厚よりも1桁程度厚く設計される。このため隣接する発電素子間の燃料極109と、隣接する発電素子105の固体電解質111との部分に発生する段差が大きくなる。インターコネクタ107は燃料極109の端部に重なって接続されるが、インターコネクタ107と燃料極109との重なり始める部分、すなわち燃料極109の膜厚が基準厚さの40%から50%以下の厚さとなっている部分では、局所的にインターコネクタ107の形状の変化が急となり、応力が集中し易い構造となり亀裂が生じやすい。このためこの領域に酸素侵入防止膜108を配置するように形成されている。
(セルスタックの各構成要素の材料と機能の説明)
基体管103は、多孔質材料からなり、例えば、CaO安定化ZrO(CSZ)、CSZと酸化ニッケル(NiO)との混合物(CSZ+NiO)、又はY安定化ZrO2(YSZ)、又はMgAlなどを主成分とする。この基体管103は、燃料電池セル105とインターコネクタ107とリード部とを支持すると共に、基体管103の内周面に供給される燃料ガスを基体管103の細孔を介して基体管103の外周面に形成される燃料極109に拡散させるものである。
燃料極109は、Niとジルコニア系電解質材料との複合材の酸化物で構成され、例えば、Ni/YSZが用いられる。この場合、燃料極109は、燃料極109の成分であるNiが燃料ガスに対して触媒作用を有する。この触媒作用は、基体管103を介して供給された燃料ガス、例えば、メタン(CH)と水蒸気との混合ガスを反応させ、水素(H)と一酸化炭素(CO)に改質するものである。また、燃料極109は、改質により得られる水素(H)および一酸化炭素(CO)と、固体電解質111を介して供給される酸素イオン(O2-)とを固体電解質111との界面付近において電気化学的に反応させて水(HO)および二酸化炭素(CO)を生成するものである。なお、燃料電池セル105は、この時、酸素イオンから放出される電子によって発電する。燃料極109の厚さは、50μm以上250μm以下で設定される。
SOFC10の燃料極109に供給し利用できる燃料ガスとしては、水素(H)および一酸化炭素(CO)、メタン(CH)などの炭化水素系ガス、都市ガス、天然ガスのほか、石油、メタノール、石炭ガス化ガスなどの炭素質原料をガス化設備により製造したガスなどが挙げられる。
固体電解質111は、ガスを通しにくい気密性と、高温で高い酸素イオン導電性とを備えるYSZが主として用いられる。この固体電解質111は、空気極113で生成される酸素イオン(O2-)を燃料極109に移動させるものである。固体電解質111の厚さは、10μm以上100μm以下で設定される。
空気極113は、例えば、LaSrMnO系酸化物、又はLaCoO系酸化物で構成される。この空気極113は、固体電解質111との界面付近において、供給される空気等の酸化性ガス中の酸素を解離させて酸素イオン(O2-)を生成するものである。空気極113の厚さは、500μm以上1000μm以下で設定される。
空気極中間層112は、例えばSm1-xCe(0.8≦x≦0.9)で構成される。空気極中間層112は、さらにSmMnOが混在していてもよい。空気極中間層112は、空気極113よりも導電性が低い。空気極中間層112は、固体電解質111と空気極113との接着性を向上させるものである。
空気極中間層112の厚さは、20μm以上40μm以下で設定される。
インターコネクタ107は、SrTiO系などのM1-xTiO(Mはアルカリ土類金属元素、Lはランタノイド元素)で表される導電性ペロブスカイト型酸化物から構成される。インターコネクタ107は、燃料ガスと酸化性ガスとが混合しないように緻密な膜となっていて、酸化雰囲気と還元雰囲気との両雰囲気下で安定した耐久性と電気導電性を備える。このインターコネクタ107は、隣り合う燃料電池セル105において、一方の燃料電池セル105の空気極113と他方の燃料電池セル105の燃料極109とを電気的に接続し、隣り合う燃料電池セル105同士を直列に接続するものである。インターコネクタ107の厚さは、20μm以上50μm以下で設定される。
酸素侵入防止膜108は、酸素の通過を遮断する緻密膜である。酸素侵入防止膜108は、インターコネクタ107と同じ成分を含む材料で構成される。
酸素侵入防止膜108は、厚さが30μm以上50μm以下で設定される。
インターコネクタ側空気極中間層114は、空気極と同じ成分を含む材料で構成され、空気極113よりも緻密な膜である。インターコネクタ側空気極中間層114の厚さは、5μm以上20μm以下で設定される。インターコネクタ側空気極中間層114は、空気極とインターコネクタの接着性向上を目的に設置される。
リード部115は、電子伝導性を備えること、およびセルスタック101を構成する他の材料との熱膨張係数が近いことが必要であることから、Ni/YSZ等のNiとジルコニア系電解質材料との複合材で構成されている。このリード部115は、インターコネクタ107により直列に接続される複数の燃料電池セル105で発電された直流電力をセルスタック101の端部付近まで導出すものである。
(セルスタックの製造工程)
図2に、本実施形態に係るセルスタック製造のフロー図を示す。
S1:共焼結体(基体管/燃料極/固体電解質/インターコネクタ)の形成
基体管103’(焼成前/不図示)は、例えば、押出し成形法により形成される。形成された基体管103’の直径は、軸方向で略均一となっている。
燃料極スラリー、固体電解質スラリー、およびインターコネクタスラリーをそれぞれ調製する。
燃料極スラリーは、燃料極材料の粉末とスラリー溶媒とを混合して調製する。固体電解質スラリーは、固体電解質材料の粉末とスラリー溶媒とを混合して調製する。インターコネクタスラリーは、インターコネクタ材料の粉末とスラリー溶媒とを混合して調製する。
燃料極スラリー、固体電解質スラリー、およびインターコネクタスラリーを順次、基体管103’上にスクリーン印刷して燃料極膜、固体電解質膜、インターコネクタ膜を製膜する。本実施形態ではリード部115を燃料極109と同じ材料で構成することとし、燃料極スラリーを、リード部スラリーとしてセル群の両端部にスクリーン印刷し、リード部膜とする。
燃料極膜、固体電解質膜、インターコネクタ膜が製膜された基体管103’(同工程では、以後基体管103L(不図示)と略称する)を、焼成炉に供し、所定の温度に所定時間加熱して一体焼成することで共焼結体(基体管/燃料極/固体電解質/インターコネクタ)を得る。焼成は、スラリー溶媒を蒸発させる脱脂ステップ、焼結温度に維持する焼結ステップ、焼結体を徐々に冷却する降温ステップを含む。
S2:酸素侵入防止膜スラリー塗布
酸素侵入防止膜スラリーを調製する。酸素侵入防止膜スラリーは、酸素侵入防止膜材料の粉末とスラリー溶媒とを混合して調製する。酸素侵入防止膜材料をインターコネクタ107と同材料とする場合は、インターコネクタスラリーを用いてもよい。
ここで、スラリー溶媒は、スキージオイル(芳香族炭化水素系溶媒等のスクリーン印刷用溶媒と、メタクリル酸メチルなどのバインダとの混合物)である。スラリー溶媒には、粘度や降伏値の調製のために希釈剤を添加してもよい。
スラリー溶媒には、油性溶媒着色料を添加するとよい。油性溶媒着色料の色は、共焼結体と識別できる色から選択する。これにより、酸素侵入防止膜108の製膜位置等の確認が容易となる。また、印刷された膜の視認性が向上し、膜の充填具合(厚さ)や、気泡(凹凸)等の存在を視覚的に認識しやすくすることで、生産性・目視検査が改善され、セルスタックの品質を向上させられる。
油性溶媒着色料は、顔料を揮発性の溶剤に分散したインクである。油性溶媒着色料は、次の条件を満たすものを選択する。
(1)焼成工程の後に異物として成分が残存しない。
(後の焼成工程での加熱により、気化可能)
(2)焼成工程において、発泡等により膜を損傷させない。
(3)油性溶媒着色料の使用のための作業環境への考慮が不要である。
上記条件満たす油性溶媒着色料は、添加によってセルスタックの電池性能に悪影響を及ぼす心配はない。
例えば、油性溶媒着色料としては、芳香族化合物からなる化合物であり、市販品としてはインクジェット用インクの成分として用いられるソルベントレッド27(C2624O、融点120℃、市販商品名)、ソルベントイエロー93(C2118)、ソルベントブルー35(C2226)などを使用することができる。
酸素侵入防止膜スラリーを、共焼結体の第3領域Cにあるインターコネクタ上、および
第4領域Dにおいて燃料極109が基準厚さの40%から50%以下の厚さである部分に接続するインターコネクタ上に塗布する。塗布は、定量で液滴を塗布可能なジェットディスペンサで実施する。基準厚さの40%以下の厚さである部分は、予備試験を実施して予め軸方向の膜端部からの位置を画定しておくとよい。
スラリー調製では、例えば、粉体約50~70重量%、スキージオイル約20~40重量%、希釈剤約5~10重量%を混合する。粘度は1.0~2.0Pa・S、降伏値は30~100Paとしている。油性溶媒着色料は、スラリーに色が付き且つ粘度が大きく変わらない程度であり、例えば0.1~2重量%で添加する。
S3:空気極中間層スラリーの塗布
空気極中間層スラリーを調製する。空気極中間層スラリーは、空気極113よりも粒径が細かいスラリーにより形成され、空気極中間層材料の粉末とスラリー溶媒とを混合して調製する。
空気極中間層スラリーを、第1領域Aの固体電解質上に塗布する。塗布は、先端形状がペン型をした製膜装置で、定量ポンプを用いて吐出して行う。なお、空気極中間層112は、固体電解質111と空気極113との接着性を向上させるものであるが、固体電解質111と空気極113との接着性が十分に確保できる場合は、空気極中間層は形成せずに、省略してもよい。
S4:インターコネクタ側空気極中間層スラリーの塗布
インターコネクタ側空気極中間層スラリーを調製する。インターコネクタ側空気極中間層スラリーは、インターコネクタ側空気極中間層材料の粉末とスラリー溶媒とを混合して調製する。インターコネクタ側空気極中間層材料は、空気極材料を同じ成分を含む材料である。インターコネクタ側空気極中間層材料として、空気極材料と同組成の材料を用いる場合には、空気極スラリーをインターコネクタ側空気極中間層スラリーとして塗布する。
インターコネクタ側空気極中間層スラリーを、第2領域Bの固体電解質上に塗布する。塗布は、先端形状がペン型をした製膜装置で、定量ポンプを用いて吐出して行う。
S5:空気極スラリー塗布
空気極スラリーを調製する。空気極スラリーは、空気極材料の粉末とスラリー溶媒とを混合して調製する。
空気極スラリーを、第1領域A、第2領域Bおよび第3領域Cの外周面上に塗布し、空気極膜を形成する。塗布はスクリューディスペンサを用いて実施する。
S6:焼成
空気極膜まで塗布された基体管103Lを、焼成炉に入れて1100℃~1250℃で、2時間~6時間程度、焼成する。焼成温度は、S1での焼成よりも低温で実施する。
焼成により酸素侵入防止膜スラリーに含まれるスラリー溶媒を徐々に蒸発させる。スラリー溶媒とともに油性溶媒着色料も気化される。これにより、油性溶媒着色料を添加した膜から着色料の色が抜け、元の色(油性溶媒着色料添加前の色)に戻る。
(SOFCモジュールの構造と各要素の機能の説明)
以下、本実施形態のセルスタック101を用いたSOFCモジュールおよびSOFCカートリッジについて説明する。図3は、本実施形態に係るSOFCモジュールの一態様を示すものである。また、図4は、本実施形態に係るSOFCカートリッジの一態様の断面図を示すものである。
SOFCモジュール201は、図3に示すように、例えば、複数のSOFCカートリッジ203と、これら複数のSOFCカートリッジ203を収納する圧力容器205とを備える。なお、図5には円筒形のSOFCのセルスタックを例示しているが、必ずしもこの限りである必要はなく、例えば平板形のセルスタックであってもよい。
また、SOFCモジュール201は、燃料ガス供給管207と複数の燃料ガス供給枝管207a及び燃料ガス排出管209と複数の燃料ガス排出枝管209aとを有する。また、SOFCモジュール201は、酸化性ガス供給管(不図示)と酸化性ガス供給枝管(不図示)、及び酸化性ガス排出管(不図示)と複数の酸化性ガス排出枝管(不図示)とを備える。
燃料ガス供給管207は、圧力容器205の外部に設けられ、SOFCモジュール201の発電量に対応して所定ガス組成と所定流量の燃料ガスを供給する燃料ガス供給部に接続されると共に、複数の燃料ガス供給枝管207aに接続されている。この燃料ガス供給管207は、上述の燃料ガス供給部から供給される所定流量の燃料ガスを、複数の燃料ガス供給枝管207aに分岐して導くものである。また、燃料ガス供給枝管207aは、燃料ガス供給管207に接続されると共に、複数のSOFCカートリッジ203に接続されている。この燃料ガス供給枝管207aは、燃料ガス供給管207から供給される燃料ガスを複数のSOFCカートリッジ203に略均等の流量で導き、複数のSOFCカートリッジ203の発電性能を略均一化させるものである。
燃料ガス排出枝管209aは、複数のSOFCカートリッジ203に接続されると共に、燃料ガス排出管209に接続されている。この燃料ガス排出枝管209aは、SOFCカートリッジ203から排出される排燃料ガスを燃料ガス排出管209に導くものである。また、燃料ガス排出管209は、複数の燃料ガス排出枝管209aに接続されると共に、一部が圧力容器205の外部に配置されている。この燃料ガス排出管209は、燃料ガス排出枝管209aから略均等の流量で導出される排燃料ガスを圧力容器205の外部に導くものである。
圧力容器205は、内部の圧力が0.1MPa~約1MPa、内部の温度が大気温度~約550℃で運用されるので、耐力性と酸化性ガス中に含まれる酸素などの酸化剤に対する耐食性を保有する材質が利用される。例えばSUS304などのステンレス系材が好適である。
ここで、本実施形態においては、複数のSOFCカートリッジ203が集合化されて圧力容器205に収納される態様について説明しているが、これに限られず例えば、SOFCカートリッジ203が集合化されずに圧力容器205内に収納される態様とすることもできる。
(SOFCカートリッジの構造と各要素の機能の説明)
SOFCカートリッジ203は、図4に示す通り、複数のセルスタック101と、発電室215と、燃料ガス供給室217と、燃料ガス排出室219と、酸化性ガス供給室221と、酸化性ガス排出室223とを備える。また、SOFCカートリッジ203は、上部管板225aと、下部管板225bと、上部断熱体227aと、下部断熱体227bとを備える。なお、本実施形態においては、SOFCカートリッジ203は、燃料ガス供給室217と燃料ガス排出室219と酸化性ガス供給室221と酸化性ガス排出室223とが図4のように配置されることで、燃料ガスと酸化性ガスとがセルスタック101の内側と外側とを対向して流れる構造となっているが、必ずしもこの必要はなく、例えば、セルスタックの内側と外側とを平行して流れる、または酸化性ガスがセルスタックの長手方向と直交する方向へ流れるようにしても良い。
発電室215は、上部断熱体227aと下部断熱体227bとの間に形成された領域である。この発電室215は、セルスタック101の燃料電池セル105が配置された領域であり、燃料ガスと酸化性ガスとを電気化学的に反応させて発電を行う領域である。また、この発電室215のセルスタック101長手軸方向の中央部付近での温度は、温度センサなどで監視され、SOFCモジュール201の定常運転時に、およそ700℃~1000℃の高温雰囲気となる。
燃料ガス供給室217は、SOFCカートリッジ203の上部ケーシング229aと上部管板225aとに囲まれた領域であり、上部ケーシング229aの上部に設けられた燃料ガス供給孔231aによって、燃料ガス供給枝管207aと連通されている。複数のセルスタック101は、上部管板225aとシール部材237aにより接合されており、燃料ガス供給室217は、燃料ガス供給枝管207aから燃料ガス供給孔231aを介して供給される燃料ガスを、複数のセルスタック101の基体管103の内部に略均一流量で導き、複数のセルスタック101の発電性能を略均一化させる。
燃料ガス排出室219は、SOFCカートリッジ203の下部ケーシング229bと下部管板225bとに囲まれた領域であり、下部ケーシング229bに備えられた燃料ガス排出孔231bによって、燃料ガス排出枝管209aと連通されている。複数のセルスタック101は、下部管板225bとシール部材237bにより接合されており、燃料ガス排出室219は、複数のセルスタック101の基体管103の内部を通過して燃料ガス排出室219に供給される排燃料ガスを集約して、燃料ガス排出孔231bを介して燃料ガス排出枝管209aに導くことができる。
SOFCモジュール201の発電量に対応して所定ガス組成と所定流量の酸化性ガスを酸化性ガス供給枝管へと分岐して、複数のSOFCカートリッジ203へ供給する。酸化性ガス供給室221は、SOFCカートリッジ203の下部ケーシング229bと下部管板225bと下部断熱体227bとに囲まれた領域であり、下部ケーシング229bの側面に設けられた酸化性ガス供給孔233aによって、図示しない酸化性ガス供給枝管と連通されている。この酸化性ガス供給室221は、図示しない酸化性ガス供給枝管から酸化性ガス供給孔233aを介して供給される所定流量の酸化性ガスを、酸化性ガス供給隙間235aを介して発電室215に略均一流量で導くことが出来る。
酸化性ガス排出室223は、SOFCカートリッジ203の上部ケーシング229aと上部管板225aと上部断熱体227aとに囲まれた領域であり、上部ケーシング229aの側面に設けられた酸化性ガス排出孔233bによって、図示しない酸化性ガス排出枝管と連通されている。この酸化性ガス排出室223は、発電室215から、酸化性ガス排出隙間235bを介して酸化性ガス排出室223に供給される排酸化性ガスを、酸化性ガス排出孔233bを介して図示しない酸化性ガス排出枝管に導くことが出来る。
上部管板225aは、上部ケーシング229aの天板と上部断熱体227aとの間に、上部管板225aと上部ケーシング229aの天板と上部断熱体227aとが略平行になるように、上部ケーシング229aの側板に固定されている。また上部管板225aは、SOFCカートリッジ203に備えられるセルスタック101の本数に対応した複数の孔を有し、該孔にはセルスタック101が夫々挿入されている。この上部管板225aは、複数のセルスタック101の一方の端部をシール部材および接着部材のいずれか一方又は両方を介して気密に支持すると共に、燃料ガス供給室217と酸化性ガス排出室223とを隔離するものである。
下部管板225bは、下部ケーシング229bの底板と下部断熱体227bとの間に、下部管板225bと下部ケーシング229bの底板と下部断熱体227bとが略平行になるように下部ケーシング229bの側板に固定されている。また下部管板225bは、SOFCカートリッジ203に備えられるセルスタック101の本数に対応した複数の孔を有し、該孔にはセルスタック101が夫々挿入されている。この下部管板225bは、複数のセルスタック101の他方の端部をシール部材および接着部材のいずれか一方又は両方を介して気密に支持すると共に、燃料ガス排出室219と酸化性ガス供給室221とを隔離するものである。
上部断熱体227aは、上部ケーシング229aの下端部に、上部断熱体227aと上部ケーシング229aの天板と上部管板225aとが略平行になるように配置され、上部ケーシング229aの側板に固定されている。また、上部断熱体227aには、SOFCカートリッジ203に備えられるセルスタック101の本数に対応して、複数の孔が設けられている。この孔の直径はセルスタック101の外径よりも大きく設定されている。上部断熱体227aは、この孔の内面と、上部断熱体227aに挿通されたセルスタック101の外面との間に形成された酸化性ガス排出隙間235bを備える。
この上部断熱体227aは、発電室215と酸化性ガス排出室223とを仕切るものであり、上部管板225aの周囲の雰囲気が高温化し強度低下や酸化性ガス中に含まれる酸化剤による腐食が増加することを抑制する。上部管板225a等はインコネルなどの高温耐久性のある金属材料から成るが、上部管板225a等が発電室215内の高温に晒されて上部管板225a等内の温度差が大きくなることで熱変形することを防ぐものである。また、上部断熱体227aは、発電室215を通過して高温に晒された排酸化性ガスを、酸化性ガス排出隙間235bを通過させて酸化性ガス排出室223に導くものである。
本実施形態によれば、上述したSOFCカートリッジ203の構造により、燃料ガスと酸化性ガスとがセルスタック101の内側と外側とを対向して流れるものとなっている。このことにより、排酸化性ガスは、基体管103の内部を通って発電室215に供給される燃料ガスとの間で熱交換がなされ、金属材料から成る上部管板225a等が座屈などの変形をしない温度に冷却されて酸化性ガス排出室223に供給される。また、燃料ガスは、発電室215から排出される排酸化性ガスとの熱交換により昇温され、発電室215に供給される。その結果、ヒーター等を用いることなく発電に適した温度に予熱昇温された燃料ガスを発電室215に供給することができる。
下部断熱体227bは、下部ケーシング229bの上端部に、下部断熱体227bと下部ケーシング229bの底板と下部管板225bとが略平行になるように配置され、下部ケーシング229bの側板に固定されている。また、下部断熱体227bには、SOFCカートリッジ203に備えられるセルスタック101の本数に対応して、複数の孔が設けられている。この孔の直径はセルスタック101の外径よりも大きく設定されている。下部断熱体227bは、この孔の内面と、下部断熱体227bに挿通されたセルスタック101の外面との間に形成された酸化性ガス供給隙間235aを備える。
この下部断熱体227bは、発電室215と酸化性ガス供給室221とを仕切るものであり、下部管板225bの周囲の雰囲気が高温化し強度低下や酸化性ガス中に含まれる酸化剤による腐食が増加することを抑制する。下部管板225b等はインコネルなどの高温耐久性のある金属材料から成るが、下部管板225b等が高温に晒されて下部管板225b等内の温度差が大きくなることで熱変形することを防ぐものである。また、下部断熱体227bは、酸化性ガス供給室221に供給される酸化性ガスを、酸化性ガス供給隙間235aを通過させて発電室215に導くものである。
本実施形態によれば、上述したSOFCカートリッジ203の構造により、燃料ガスと酸化性ガスとがセルスタック101の内側と外側とを対向して流れるものとなっている。このことにより、基体管103の内部を通って発電室215を通過した排燃料ガスは、発電室215に供給される酸化性ガスとの間で熱交換がなされ、金属材料から成る下部管板225b等が座屈などの変形をしない温度に冷却されて燃料ガス排出室219に供給される。また、酸化性ガスは排燃料ガスとの熱交換により昇温され、発電室215に供給される。その結果、ヒーター等を用いることなく発電に必要な温度に昇温された酸化性ガスを発電室215に供給することができる。
発電室215で発電された直流電力は、複数の燃料電池セル105に設けたNi/YSZ等からなるリード部によりセルスタック101の端部付近まで導出した後に、SOFCカートリッジ203の集電棒(不図示)に集電板(不図示)を介して集電して、各SOFCカートリッジ203の外部へと取り出される。前記集電棒によってSOFCカートリッジ203の外部に導出された直流電力は、各SOFCカートリッジ203の発電電力を所定の直列数および並列数へと相互に接続され、SOFCモジュール201の外部へと導出されて、図示しないパワーコンディショナ等の電力変換装置(インバータなど)により所定の交流電力へと変換されて、電力供給先(例えば、負荷設備や電力系統)へと供給される。
101 セルスタック
103 基体管(基体)
105 燃料電池セル
107 インターコネクタ
108 酸素侵入防止膜
109 燃料極
111 固体電解質
112 空気極中間層
113 空気極
114 インターコネクタ側空気極中間層
201 SOFCモジュール
203 SOFCカートリッジ
205 圧力容器
207 燃料ガス供給管
207a 燃料ガス供給枝管
209 燃料ガス排出管
209a 燃料ガス排出枝管
215 発電室
217 燃料ガス供給室
219 燃料ガス排出室
221 酸化性ガス供給室
223 酸化性ガス排出室
225a 上部管板
225b 下部管板
227a 上部断熱体
227b 下部断熱体
229a 上部ケーシング
229b 下部ケーシング
231a 燃料ガス供給孔
231b 燃料ガス排出孔
233a 酸化性ガス供給孔
233b 酸化性ガス排出孔
235a 酸化性ガス供給隙間
235b 酸化性ガス排出隙間
237a、237b シール部材

Claims (8)

  1. 基体上に、燃料極、固体電解質および空気極が順に積層された複数の発電素子と、隣り合う発電素子を電気的に直列接続するインターコネクタと、を備え、
    該発電素子の前記燃料極、前記固体電解質および前記空気極が積層された第1領域と、該発電素子の前記固体電解質の一端側が前記基体もしくは、該発電素子の前記固体電解質の一端側が前記基体および前記隣りの発電素子の前記燃料極に接触し、該発電素子の前記固体電解質の空気極側の少なくとも一部が前記インターコネクタに接続する第3領域と、前記インターコネクタが前記隣の発電素子の前記燃料極に接続する第4領域と、を含む燃料電池の製造方法であって、
    前記基体、前記燃料極、前記固体電解質および前記インターコネクタを含む共焼結体を焼成する工程と、
    前記第3領域にある前記インターコネクタ上、および前記第4領域において前記第3領域側から前記第4領域の前記燃料極が設計値として定められた基準厚さの50%以下の厚さである部分までの範囲に接続する前記インターコネクタ上に酸素侵入防止膜スラリーを塗布する工程と、
    前記発電素子の前記空気極を形成するために、前記共焼結体の前記第1領域、前記第4領域および前記第3領域を含む領域に連続的に空気極スラリーを塗布する工程と、
    前記酸素侵入防止膜スラリーおよび前記空気極スラリーが塗布された前記共焼結体を焼成する工程と、
    を備え、
    前記酸素侵入防止膜スラリーを、インターコネクタ材料と同じ材料で調製する燃料電池の製造方法。
  2. 前記第3領域内で、前記固体電解質の空気極側が前記インターコネクタで覆われていない露出部を有する場合、前記酸素侵入防止膜スラリーを塗布する工程において、前記酸素侵入防止膜スラリーを、さらに、前記露出部上に塗布する請求項1に記載の燃料電池の製造方法。
  3. 前記燃料電池は、該発電素子の前記空気極、前記インターコネクタおよび前記発電素子の隣の発電素子の前記燃料極が積層された第2領域を含み、
    前記空気極スラリーを塗布する工程の前に、前記空気極スラリーと同じ成分を含む材料で調製された中間層スラリーを、前記第2領域の前記インターコネクタと前記空気極との間に挟まれるよう前記インターコネクタ上に塗布する工程を、さらに備えている請求項2に記載の燃料電池の製造方法。
  4. 前記酸素侵入防止膜スラリーの調製において、スラリー溶媒に油性溶剤着色料を添加して着色し、
    前記焼成する工程における加熱により、前記油性溶剤着色料由来の色を脱色する請求項1から請求項3のいずれかに記載の燃料電池の製造方法。
  5. 前記スラリー溶媒は芳香族炭化水素系溶媒を含む溶媒であり、
    前記油性溶剤着色料は芳香族化合物からなる化合物である請求項4に記載の燃料電池の製造方法。
  6. 基体上に、燃料極、固体電解質および空気極が順に積層された複数の発電素子と、隣り合う発電素子を電気的に直列接続するインターコネクタと、を備え、
    該発電素子の前記燃料極、前記固体電解質および前記空気極が積層された第1領域と、該発電素子の前記固体電解質の一端側が前記基体もしくは、該発電素子の前記固体電解質の一端側が前記基体および前記隣の発電素子の前記燃料極に接触し、該発電素子の前記固体電解質の空気極側の少なくとも一部が前記インターコネクタに接続する第3領域と、前記インターコネクタが前記隣の発電素子の前記燃料極に接続する第4領域と、を含む燃料電池であって、
    前記基体、前記燃料極、前記固体電解質および前記インターコネクタを含む共焼結体の前記第3領域にある前記インターコネクタ上、および前記第4領域において前記第3領域側から前記第4領域の前記燃料極が設計値として定められた基準厚さの50%以下の厚さである部分までの範囲に接続する前記インターコネクタ上で、該インターコネクタと前記空気極とに挟まれるよう配置された酸素侵入防止膜を備え、
    前記酸素侵入防止膜は、インターコネクタ材料と同じ材料で構成される燃料電池。
  7. 前記第3領域内で、前記固体電解質の空気極側が前記インターコネクタで覆われていない露出部を有する場合、前記酸素侵入防止膜は、前記露出部上に延在する請求項6に記載の燃料電池。
  8. 該発電素子の前記空気極、前記インターコネクタおよび前記発電素子の隣の発電素子の前記燃料極が積層された第2領域を含み、前記第2領域において、前記インターコネクタと前記空気極との間に挟まれるよう、前記空気極と同じ成分を含む材料で構成された中間層が配置されている請求項6または請求項7に記載の燃料電池。
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