JP7050361B2 - リチウム空気電池用電解液およびそれを用いたリチウム空気電池 - Google Patents

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    • H01M12/08Hybrid cells; Manufacture thereof composed of a half-cell of a fuel-cell type and a half-cell of the secondary-cell type

Description

本発明は、リチウム空気電池用の電解液およびそれを用いたリチウム空気電池に関する。
空気電池は、空気極と、金属箔または金属微粒子からなる金属負極と、液体または固体の電解質とを有し、空気電池内に設けられたガス流路を流れる空気または酸素ガスを正極活物質として、金属箔または金属微粒子を負極活物質として用いる電池である。
空気電池技術は複数提案されているが、近年特にリチウム空気電池の研究開発が活発となっている。充電して繰り返し使用できる二次電池化ができるうえ、既に実用化されているリチウムイオン電池に比べ、単位重量あたりのエネルギー密度を大幅に向上させることができるためである。しかしながら、リチウム空気電池は、放電電圧に比べて充電電圧が高いため、エネルギー効率が低いという課題がある。
上記課題に対して、例えば、水溶性電解液と有機電解液とを用いた金属空気電池が開発されている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1の空気電池は、金属負極側には有機電解液を使用し、空気極側には水溶性電解液を使用し、金属負極の有機電解液と空気極の水溶性電解液との間に、負極の金属イオンのみを通過させる固体分離膜を用いることを特徴とする。このような構造により、高容量が得られるとともに、充放電効率の低下を抑制できる。しかしながら、より簡便な構成により空気電池のエネルギー効率を向上させる技術があれば、望ましい。
また、上記課題に対して、例えば、NaイオンやCsイオンを添加した電解液を用いた空気電池が開発されている(例えば、特許文献2を参照)。特許文献2は、ヘキサフルオロホスフェート塩(LiPF)、パークロレート塩(LiClO)、テトラフルオロボレート塩(LiBF)、ペンタフルオロアルシン塩(LiAsF)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド塩(Li(CFSON)、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド塩(LiN(CSO)、トリフルオロメタンスルホン酸塩(Li(CFSO))、ノナフルオロブタンスルホン酸塩(Li(CSO))などの支持塩、リン酸トリメチル、リン酸トリフェニル、スルホラン、ジメチルスルホキシドなどの有機溶媒、および、CsイオンまたはNaイオンの少なくとも一方の添加イオンを含む電解液を開示する。ここで、支持塩の濃度は0.1mol/L以上2.0mol/L以下であり、支持塩に対して添加イオンは、0.10以上0.50以下のモル比で含有される。イオン半径の大きなCsイオンやNaイオンによる遮蔽効果により、反応性の高いラジカルの生成が抑制され、充放電効率が向上し得る。しかしながら、実用に際しては、さらなるエネルギー効率の向上が求められている。
特開2012-227119号公報 特開2012-138329号公報
以上から、本発明の課題は、リチウム空気電池のエネルギー効率を向上させる電解液およびそれを用いたリチウム空気電池を提供することである。
本発明によるリチウム空気電池用電解液は、スルホランと、硝酸リチウムとを含有し、前記スルホラン中の前記硝酸リチウムの濃度は、1.5mol/Lより高く2.5mol/L以下の範囲を満たし、これにより上記課題を解決する。
前記スルホラン中の前記硝酸リチウムの濃度は、1.8mol/L以上2.2mol/L以下の範囲を満たしてもよい。
前記スルホラン中の前記硝酸リチウムの濃度は、1.95mol/L以上2.05mol/L以下の範囲を満たしてもよい。
前記電解液に含有される水は、100ppm以下であってもよい。
前記電解液は、0.1Pa・s以上10Pa・s以下の範囲の粘度を有してもよい。
前記電解液は、芳香族炭化水素、ハロゲン化アルキル、および、ハロゲン化エーテルからなる群から選択される有機物をさらに含有してもよい。
前記有機物は、前記スルホランに対して、1体積%以上70体積%以下の範囲で含有されてもよい。
本発明によるリチウム空気電池は、空気極、リチウム金属を備えた金属負極、および、前記空気極と前記金属負極との間に位置する非水電解液とを備え、前記非水電解液は、上述の電解液であり、これにより上記課題を解決する。
前記空気極と前記金属負極との間にセパレータを備え、前記金属負極と前記セパレータとの間に前記非水電解液を備え、前記空気極と前記セパレータとの間に前記非水電解液または水系電解液を備えてもよい。
本発明のリチウム空気電池用電解液は、スルホランと、硝酸リチウムとを含有する。また、スルホラン中の硝酸リチウムの濃度は、1.5mol/Lより高く2.5mol/L以下の範囲を満たすように調整されている。本願発明者は、種々ある有機溶媒および支持塩の中から、スルホランおよび硝酸リチウムを選択し、上述の極めて限定された濃度範囲に調整した電解液を用いることにより、リチウム空気電池のエネルギー効率が向上することを見出した。スルホランおよび硝酸リチウムという限定した組み合わせとし、電解液の濃度を調整するだけで、エネルギー効率を向上できるので、リチウム空気電池の実装を容易とし、有利である。
本発明のリチウム空気電池の構成を示す模式図 本発明の別のリチウム空気電池の構成を示す模式図 例1によるリチウム空気電池の充放電サイクル特性を示す図 例2によるリチウム空気電池の充放電サイクル特性を示す図 例3によるリチウム空気電池の充放電サイクル特性を示す図 例4によるリチウム空気電池の充放電サイクル特性を示す図 例5によるリチウム空気電池の充放電サイクル特性を示す図 例6によるリチウム空気電池の充放電サイクル特性を示す図 例7によるリチウム空気電池の充放電サイクル特性を示す図 例8によるリチウム空気電池の充放電サイクル特性を示す図 例9によるリチウム空気電池の充放電サイクル特性を示す図 スルホランに種々のリチウム塩を組み合わせた電解液を用いたリチウム空気電池における充電時の4.0Vにおける容量の変化を示す図
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。なお、同様の要素には同様の番号を付し、その説明を省略する。
(実施の形態1)
実施の形態1は、本発明のリチウム空気電池用電解液およびその製造方法について説明する。
本願発明者は、リチウム空気電池用電解液として、水を含有しない非水系電解液であって、有機溶媒としてスルホン系有機溶媒を用いることに着目した。さらに、本願発明者は、非水系電解液の有機溶媒と電解質塩との組み合わせを、種々あるスルホン系有機溶媒のうちスルホランと、リチウム塩としての硝酸リチウムとのものに限定するとともに、濃度を特定の範囲に調整することにより、リチウム空気電池のエネルギー効率を向上できることを見出した。
本発明のリチウム空気電池用電解液は、スルホランと硝酸リチウムとを含有する。ここで、スルホラン中の硝酸リチウムの濃度は、1.5mol/Lより高く2.5mol/L以下を満たすように調整されている。硝酸リチウムの濃度が1.5mol/L以下となると、リチウム空気電池のエネルギー効率の向上が十分でない場合がある。硝酸リチウムの濃度が2.5mol/Lを超えると、硝酸リチウムがスルホランに溶解しない。
通常、硝酸リチウムは、リチウム塩の中でも有機溶媒に対する解離度が低いため、水系電解液で使用される。また、硝酸リチウムが非水系電解液で使用される場合でも、1mol/L程度の濃度で使用されることが多い。これは、当該濃度においてリチウム伝導度が最大値を示すと慣習的に考えられているためである。しかしながら、本願発明者は、スルホン系有機溶媒の中でもスルホランを用いた際に、水を使用することなく、硝酸リチウムが最大2.5mol/Lまで溶解し、リチウム空気電池のエネルギー効率の向上を可能にすることを種々の実験から見出した。
硝酸リチウムの濃度は、好ましくは、1.8mol/L以上2.2mol/L以下の範囲である。これにより、リチウム空気電池のエネルギー効率を効果的に向上させることができる。硝酸リチウムの濃度は、より好ましくは、1.95mol/L以上2.05mol/L以下の範囲である。これにより、リチウム空気電池のエネルギー効率をさらに効果的に向上させることができる。
本願明細書において、スルホン系有機溶媒とは、スルホニル基(-SO-)を有する環状または鎖状の有機化合物からなる溶媒である。例示的には、スルホン系有機溶媒には、スルホラン、1,4-ブタンサルトン、エチレンスルフィート、3-メチルスルホラン、1,3-プロパンサルトン、エチルイソプロピルスルホン、メタンスルホン酸メチル、メタンスルホン酸エチル、エチルメチルスルホン等がある。しかしながら、本願発明者は、後述する実施例に示すように、数あるスルホン系有機溶媒中でもスルホランのみが、硝酸リチウムとの組み合わせにより、リチウム空気電池の電解液としてエネルギー効率の向上に寄与することを見出した。
本発明の電解液は、上述したように水を含有しないが、好ましくは、吸着した水も含めて100ppm以下に制御されている。この範囲であれば、本発明の電解液をリチウム空気電池に用いた際に、金属負極の酸化が抑制される。より好ましくは、電解液中の水は、50ppm以下に制御されている。
本発明の電解液は、0.1Pa・s以上10Pa・s以下の範囲の粘度を有することが好ましい。この範囲の粘度に調整することにより、エネルギー効率を向上できる。本発明の電解液は、より好ましくは、0.5Pa・s以上5Pa・s以下の範囲の粘度を有する。これにより、エネルギー効率を向上できる。本発明の電解液は、さらに好ましくは、0.5Pa・s以上2Pa・s以下の範囲の粘度を有する。なお、電解液の粘度は、粘度計によって測定されるが、簡易的には、目視にて電解液の流動性が確認されれば、電解液が0.1Pa・s以上10Pa・s以下の範囲の粘度を有すると判定できる。
本発明の電解液は、芳香族炭化水素、ハロゲン化アルキル、および、ハロゲン化エーテルからなる群から選択される有機物をさらに含有してもよい。これらの有機物を添加すれば、電解液の特性に大きな影響を及ぼすことなく粘度を調整することができる。
上述の有機物は、好ましくは、スルホランに対して1体積%以上70体積%以下の範囲で含有される。これにより、粘度を調整できる。上述の有機物は、より好ましくは、スルホランに対して5体積%以上20体積%以下の範囲で含有される。これにより粘度を調整しつつ、エネルギー効率を向上できる。上述の有機物は、さらに好ましくは、5体積%以上10体積%以下の範囲で含有される。
本発明の電解液の製造方法を説明する。
本発明の電解液は、上述したスルホランと硝酸リチウムとを、上述のモル濃度を満たすように混合すればよい。なお、混合に際して、手動にて混合してもよいが、スターラやプロペラ等の撹拌機によって混合してもよい。これにより溶解を促進させる。また、混合時に40℃以上80℃以下に加熱してもよい。これにより溶解を促進させる。なお、混合後、目視にて分散する硝酸リチウムがなければ、溶解したと判断してよい。
また、硝酸リチウムは潮解性を有するため、グローブボックス中で秤量し、混合することが好ましい。これにより、水が吸着することを抑制できる。さらに、混合前に硝酸リチウムを真空乾燥させて脱水してもよい。これにより、吸着する水を100ppm以下に制御できる。また、スルホランを予めモレキュラーシーブにより脱水してもよい。
なお、混合に際して、上述した芳香族炭化水素、ハロゲン化アルキル、および、ハロゲン化エーテルからなる群から選択される有機物をさらに含有してもよい。これにより、得られる電解液の粘度を0.1Pa・s以上10Pa・s以下の範囲に調整できる。有機物は、上述したように、スルホランに対して好ましくは、1体積%以上70体積%以下の範囲、より好ましくは、5体積%以上20体積%以下、さらに好ましくは、5体積%以上10体積%以下の範囲となるよう混合される。
このように、本発明の電解液は、単に原料を混合するだけで得られるので、特別な装置や特別な技術を不要するので、実施が容易である。
(実施の形態2)
実施の形態2では、実施の形態1で説明した電解液を用いたリチウム空気電池を説明する。
図1は、本発明のリチウム空気電池の構成を示す模式図である。
本発明のリチウム空気電池100は、空気極110と、リチウム金属を備えた金属負極120と、空気極110と金属負極120との間に位置する電解液130とを備える。ここで、電解液130は、実施の形態1で説明した電解液であるため、説明を省略する。本発明によれば、実施の形態1で説明した電解液を採用するため、エネルギー効率が向上したリチウム空気電池を提供できる。
空気極110は、正極反応層140と、それに接する正極集電体150とを備える。正極反応層140は、主として多孔質炭素材料を含有するが、必要に応じて、触媒、結着剤、導電助剤等を含んでもよい。多孔質炭素材料は、例示的には、メソポーラスカーボン、グラフェン、カーボンブラック、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバ、カーボンナノホーン等である。正極集電体150は、多孔性と導電性とを有する金属材料やカーボン等であり、外部に接続する端子(図示せず)を有してもよい。触媒、結着剤および導電助剤には、当該分野において周知の材料を適用できる。
金属負極120は、リチウム金属を含有する負極活物質層160と、それに接する負極集電体170とを備える。負極活物質層160に含有されるリチウム金属は、リチウム金属単体であってもよいし、リチウム合金であってもよい。リチウムとともにリチウム合金を形成する元素としては、マグネシウム、チタン、スズ、鉛、アルミニウム、インジウム、ケイ素、亜鉛、アンチモン、ビスマス、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム等が挙げられるが、これらに限らない。負極集電体170は、正極集電体150と同様に、導電性を有する金属材料やカーボン等であり、外部に接続する端子(図示せず)を有してもよい。また、例えば、負極活物質層160と負極集電体170とが一体であってもよい。
本発明のリチウム空気電池100の動作原理は既存のリチウム空気電池と同様であるが、本発明のリチウム空気電池100は、実施の形態1で説明した電解液130を用いることにより、エネルギー効率が劇的に向上し得る。図示しないが、リチウム空気電池100において、電解液との反応性のないセパレータ(図示せず)を電解液130に浸漬させて、空気極110と金属負極120との間に配置してもよい。このようなセパレータには、当該分野において周知の材料を適用できる。
図2は、本発明の別のリチウム空気電池の構成を示す模式図である。
図2のリチウム空気電池200は、空気極110と金属負極120との間にリチウムイオン伝導性を有するセパレータ210を備え、セパレータ210と空気極110との間に電解液220を備える以外は、図1のリチウム空気電池100と同様である。
ここで、セパレータ210には、リチウムイオン伝導性を有し、水等の液体を透過させない任意の材料が適用される。例えば、特許文献1に分離膜として挙げられた各種材料を使用できる。電解液220は、実施の形態1で説明した電解液であってもよいし、水系電解液であってもよい。水系電解液は、リチウム空気電池で通常使用される水系電解液であってもよいが、例えば、特許文献1に挙げられた水性電解液を使用できる。このような構造にすることにより、空気極110と金属負極120との間の電解液の混合を抑制し、電池反応が活性化するため、高容量電池を提供できる。
図1、図2に示す構成のリチウム空気電池100、200は、熱可塑性樹脂層等からなるラミネートフィルム製の容器に収容されていてもよいし、積層されていてもよく、このような改変は当業者であれば容易に想到し得る。
次に具体的な実施例を用いて本発明を詳述するが、本発明がこれら実施例に限定されないことに留意されたい。
[例1~14]
例1~14では、種々のスルホン系有機溶媒と種々のリチウム塩とを含有する電解液を調製し、リチウム空気電池(コインセル)を製造し、その電気化学特性を評価した。詳細に説明する。
スルホン系有機溶媒として、スルホラン、エチルメチルスルホン、1,4-ブタンサルトン、エチレンスルフィート、3-メチルスルホランおよび1,3-プロパンサルトンを、東京化成工業株式会社より購入した。有機溶媒は、必要に応じてモレキュラーシーブにより脱水を行った。
リチウム塩として、硝酸リチウム(シグマアルドリッチジャパン合同会社製)、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI、キシダ化学株式会社製)およびテトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF、キシダ化学株式会社製)を用いた。リチウム塩は、必要に応じて真空乾燥することで、脱水を行った。
種々のスルホン系有機溶媒(2mL)に、種々のリチウム塩を、表1の濃度を満たすように、グローブボックス中で秤量し、混合した。混合後、室温(25℃)下にて、マグネチックスターラを用いて攪拌した。例1~9で得られた電解液は、いずれも、リチウム塩が溶解し、リチウム塩の沈殿や分散は確認されなかった。得られた電解液は、カールフィッシャー水分測定装置により、含有される水分が100ppm以下であることを確認した。また、目視にて電解液の流動が確認されたことから、電解液の粘度は0.1Pa・s以上10Pa・s以下の範囲であると判定した。一方、例10~14で得られた電解液は、いずれも、硝酸リチウムが溶解しなかった。種々あるスルホン系有機溶媒の中でもスルホランのみが、種々のリチウム塩を1.5mol/Lより高い濃度で溶解できることが分かった。以降のコインセルは、リチウム塩が溶解した例1~9の電解液を用いて製造された。
Figure 0007050361000001
次に、例1~9の電解液を用いて、リチウム空気電池として、CR2032型のコインセルを製造した。空気極にはカーボンブラックであるケッチェンブラック(登録商標)(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、EC600JD)を用い、金属負極にはリチウム金属箔(φ16mm)を用いた。詳細には、ケッチェンブラック0.105gと、分散剤として5wt%のポリビニルピロリドン(富士フイルム和光純薬工業製、K90)水溶液0.090gと、超純水2.238gとを混合し、3分間攪拌した。次いで、バインダとしてポリテトラフルオロエチレン(PTFE、ダイキン工業株式会社製、POLYFLON PEFE D-210C)0.068gを混合溶液に添加し、さらに3分間攪拌した。得られたスラリをカーボンペーパ(東レ株式会社製、TGP-H-060)に塗布し、110℃、15時間、真空乾燥した。得られたカーボンペーパをφ16mmに打ち抜いた。このようにして、正極集電体であるカーボンペーパ上に正極反応層であるケッチェンブラックが付与された空気極を得た。一方、金属負極として、負極活物質層と負極集電体であるリチウム箔(φ16mm、厚さ0.2mm)を用いた。
露点温度-50℃以下のドライルーム(乾燥空気内)で、上述の空気極、金属負極および例1~9の電解液を浸漬させたセパレータであるガラス繊維ペーパ(Whatman(登録商標)、GF/A)を、コインセルケース(CR2032型)に実装した。なお、実装前にコインセルケースの空気極の面に空気の吸放出用の小孔(φ1mm)を複数設けた。
このようにして得られた例1~9の電解液を用いたリチウム空気電池のサイクル特性を評価した。具体的には、室温下において、酸素雰囲気中、電流値0.2mA/cmまたは0.4mA/cm、カットオフ電位2V-4.5V、5時間放電と5時間充電とを3サイクル繰り返した。測定には、充放電試験機(北斗電工株式会社製、HJ1001SD8)を用いた。結果を図3~図11に示す。また、1サイクル目の充電時の4.0Vにおける容量をもとめ、比較した。結果を図12および表2に示す。
図3は、例1によるリチウム空気電池の充放電サイクル特性を示す図である。
図4は、例2によるリチウム空気電池の充放電サイクル特性を示す図である。
図5は、例3によるリチウム空気電池の充放電サイクル特性を示す図である。
図6は、例4によるリチウム空気電池の充放電サイクル特性を示す図である。
図7は、例5によるリチウム空気電池の充放電サイクル特性を示す図である。
図8は、例6によるリチウム空気電池の充放電サイクル特性を示す図である。
図9は、例7によるリチウム空気電池の充放電サイクル特性を示す図である。
図10は、例8によるリチウム空気電池の充放電サイクル特性を示す図である。
図11は、例9によるリチウム空気電池の充放電サイクル特性を示す図である。
図3~図5によれば、スルホランにリチウム塩としての硝酸リチウムを組み合わせた電解液において、硝酸リチウムの濃度が1.5mol/Lを超えると劇的に安定した充放電サイクル特性が得られ、充電時の空気極の電圧の上昇が抑制され、エネルギー効率の増大が見られた。
一方、図6~図10によれば、スルホランに硝酸リチウム以外のリチウム塩を組み合わせた電解液においては、リチウム塩の濃度によらず、一定した充放電サイクル特性は得られなかった。また、図11によれば、スルホランに代えてエチルメチルスルホンを硝酸リチウムと組み合わせた電界液においても、一定した充放電サイクル特性は得られなかった。
これらから、リチウム空気電池の電解液として、種々あるスルホン系有機溶媒の中でもスルホランと、種々あるリチウム塩の中でも硝酸リチウムとの組み合わせのみが有効であることが示された。
Figure 0007050361000002
図12は、スルホランに種々のリチウム塩を組み合わせた電解液を用いたリチウム空気電池における、充電時の4.0Vにおける容量の変化を示す図である。
図12および表2によれば、スルホン系有機溶媒としてスルホランを、リチウム塩として硝酸リチウムをそれぞれ用いた場合に、硝酸リチウム濃度を1.5mol/Lより高く2.5mol/L以下の範囲、好ましくは、1.8mol/L以上2.2mol/L以下の範囲、より好ましくは、1.95mol/L以上2.05mol/L以下の範囲と限定した濃度に調整することにより、容量の劇的な増大が確認された。リチウム塩がLiFSIおよびLiBFである場合には、硝酸リチウムとは逆の挙動となったことから、リチウム塩濃度の増大に伴う容量の増大は、スルホランと硝酸リチウムとの組み合わせにおける特異な現象であることが分かった。
本発明の電解液は、リチウム空気電池のエネルギー効率を向上させるため、リチウム空気電池に適用される。
100、200 リチウム空気電池
110 空気極
120 金属負極
130、220 電解液
140 正極反応層
150 正極集電体
160 負極活物質層
170 負極集電体
210 セパレータ

Claims (8)

  1. リチウム空気電池用電解液であって、
    スルホランと、
    硝酸リチウムと
    を含有し、
    前記スルホラン中の前記硝酸リチウムの濃度は、1.5mol/Lより高く2.5mol/L以下の範囲を満たし、
    芳香族炭化水素、ハロゲン化アルキル、および、ハロゲン化エーテルからなる群から選択される有機物をさらに含有する、電解液。
  2. 前記スルホラン中の前記硝酸リチウムの濃度は、1.8mol/L以上2.2mol/L以下の範囲を満たす、請求項1に記載の電解液。
  3. 前記スルホラン中の前記硝酸リチウムの濃度は、1.95mol/L以上2.05mol/L以下の範囲を満たす、請求項2に記載の電解液。
  4. 前記電解液に含有される水は、100ppm以下である、請求項1~3のいずれかに記載の電解液。
  5. 前記電解液は、0.1Pa・s以上10Pa・s以下の範囲の粘度を有する、請求項1~4のいずれかに記載の電解液。
  6. 前記有機物は、前記スルホランに対して、1体積%以上70体積%以下の範囲で含有される、請求項1~5のいずれかに記載の電解液。
  7. 空気極、リチウム金属を備えた金属負極、および、前記空気極と前記金属負極との間に位置する非水電解液とを備えるリチウム空気電池であって、
    前記非水電解液は、請求項1~6のいずれかに記載の電解液である、リチウム空気電池。
  8. 前記空気極と前記金属負極との間にセパレータを備え、
    前記金属負極と前記セパレータとの間に前記非水電解液を備え、
    前記空気極と前記セパレータとの間に前記非水電解液または水系電解液を備える、請求項7に記載のリチウム空気電池。
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