JP7050107B2 - ガス抜き機構付き射出装置 - Google Patents
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Description
スクリューを回すと樹脂材料が、加熱筒の前部、すなわちスクリューの前方へ送られる。
スクリューが所定距離後退すると、可塑化・計量工程が終了する。次に、スクリューを高速前進することでノズルから金型へ樹脂材料を射出する(射出工程)。
この清掃にかかるコストを低減することが求められる。加えて、樹脂製品の品質向上が求められる。
図14は従来のガス抜き機構付き射出装置の断面図であり、ガス抜き機構付き射出装置100は、射出機101と、この射出機101に付設されるガス抜き機構110とからなる。
射出機101は、先端にノズル102を備える加熱筒103と、この加熱筒103に挿入されたスクリュー104とを要部とする。
射出工程では、スクリュー104が高速で前進するため、樹脂材料120は短時間で放射状溝111を通り過ぎる。そのため、ガス122やガス123は、殆どが樹脂材料120に残ったままとなり、樹脂製品の品質低下を招く。又は、ガス122やガス123は、ノズル102や加熱筒103やスクリュー104や金型を汚し、清掃コストの増加を招く。
この射出機に備えられ、前記加熱筒内の樹脂材料からガスを抜くガス抜き機構と、
からなるガス抜き機構付き射出装置であって、
前記スクリューは、先端部に、前記樹脂材料の逆流を防止するリングバルブを備え、
前記ガス抜き機構は、前記加熱筒に内蔵されるガス抜き部材と、前記加熱筒に設けられる排気口とを備え、
前記ガス抜き部材は、前記スクリューが後退限位置にあるときの前記リングバルブの後端から前記ノズルの先端までの範囲に配置され、前記加熱筒の長手軸に沿って少なくとも6箇所から前記樹脂材料中のガスを抜く部材であり、
前記ガス抜き部材は、前記加熱筒の長手軸に沿って並べられた少なくとも5個の排気リングで構成され、隣接する前記排気リングの間、先頭の前記排気リングの片方の側面及び末尾の前記排気リングの片方の側面とがガス通路になっており、
前記排気リングは、前記スクリューの貫通を許容する中心穴が開いた円板であり、この円板の外周面とこの外周面に直交する側面とが交わる部位が面取りされて環状ガス流路とされ、
前記外周面に少なくとも1個の長手ガス流路が切欠き形成され、この長手ガス流路で、前記ガスが前記加熱筒の長手軸に沿って流れるようにしたことを特徴とする。
この射出機に備えられ、前記加熱筒内の樹脂材料からガスを抜くガス抜き機構と、
からなるガス抜き機構付き射出装置であって、
前記スクリューは、先端部に、前記樹脂材料の逆流を防止するリングバルブを備え、
前記ガス抜き機構は、前記加熱筒に内蔵されるガス抜き部材と、前記加熱筒に設けられる排気口とを備え、
前記ガス抜き部材は、前記スクリューが後退限位置にあるときの前記リングバルブの後端から前記ノズルの先端までの範囲に配置され、前記加熱筒の長手軸に沿って少なくとも6箇所から前記樹脂材料中のガスを抜く部材であり、
前記ガス抜き部材は、前記加熱筒の長手軸に沿って並べられた少なくとも5個の排気リングで構成され、隣接する前記排気リングの間、先頭の前記排気リングの片方の側面及び末尾の前記排気リングの片方の側面とがガス通路になっており、
前記排気リングは、前記スクリューの貫通を許容する中心穴が開いた円板であり、この円板の外周面とこの外周面に直交する側面とが交わる部位が面取りされて環状ガス流路とされ、
前記加熱筒に、前記環状ガス流路を流れるガスを、前記排気口へ導出するガス導出路が設けられていることを特徴とする。
したがって、本発明により、より良好なガス抜き性能を有するガス抜き機構付き射出装置が提供される。
排気リングに機械加工を施すだけで、容易に、ガス流路を設けることができる。
ガス導出路を設けることにより排気リングを切欠く必要がなくなり、排気リングの加工コストを下げることができる。
射出機20は、先端にノズル21を備える加熱筒22と、この加熱筒22に回転可能に且つ軸方向に移動可能に収納されるスクリュー23とを要部とする。
ノズル21は、ノズル本体24と、このノズル本体24を加熱筒22に接続するノズルアタッチメント25とからなる。ノズル本体24とノズルアタッチメント25とは、この例では別体(2部品)としたが、一体品(1部品)であってもよい。
ガス抜き部材50は、加熱筒22に内蔵されるため、スクリュー23の通過を許容する円筒状部材であることが望まれる。円筒状部材であれば、加熱筒22の長手軸22aに沿って延ばすことができるからである。
図2(a)に示すように、排気リング51は、スクリュー(図1、符号23)の貫通を許容する中心穴52が開いた円板53であり、外周面54に少なくとも1個(この例では4個)の長手ガス流路55が切欠き形成されている。
すなわち、排気リング51の外接円兼加熱筒側の収納穴22bに対して、略三日月形状の長手ガス流路55が形成される。長手ガス流路55を、ガスは図面表裏方向(加熱筒の長手軸に沿って)へ流れる。
図2(c)は、図2(b)のc部拡大図であり、外周面54と側面56とが交わる部位が面取りされて環状ガス流路57とされる。この環状ガス流路57は、三角形の断面を呈しており、ガスを環状(加熱筒の長手軸を回るよう)に流す。
図4(b)に示すよう、排気リング51Aの側面が粗面であり、排気リング51Bの側面が粗面である。排気リング51Aを白抜き矢印のように排気リング51Bに重ねる。
図4(c)に示すように、山がある程度潰れるものの、微細な隙間58が残留する。この微細な隙間58がガス通路59となる。ガス通路59は微細であるため、ガス(気体)は通過するが、樹脂材料は液体・固体の混合物であるため通過しない。
図5(a)に示すように、樹脂材料61に含まれるガス62Aは、矢印(1)のように略三日月状の長手ガス流路55に到達し、図面奥へ長手軸22aに沿って流れる。
また、樹脂材料61に含まれるガス62Bは、矢印(2)のように環状ガス流路57に至り、環状ガス流路57で分流し、近くの長手ガス流路55に到達する。
すると、排気リング51Aの長手ガス流路55を通ったガス62Cは、排気リング51Bの環状ガス流路57に至り、この環状ガス流路57で分流して排気リング51Bの長手ガス流路55に流入する。
よって、複数個の排気リング51の回転位相は、揃わなくて差し支えない。結果、排気リング51に格別の回転止めを講じる必要がなく、加熱筒22の収納穴22bは単純な円筒面で差し支えなく、穴加工コストの低減が図れる。
排気リング51は、厚肉鋼管を切断し、追加工して得る。又は、丸鋼を切断し、中心穴を開けるなどの追加工を施して得る。又は、圧延帯板から切り出し、追加工して得る、など各種の製造方法で製造することができる。
厚肉鋼管はサイズの自由度が少なく、排気リング51の外径/内径によっては採用できない。丸鋼は中心穴を開けるため歩留まりが悪い。
多数個を得るには圧延帯板が好適である。そこで、圧延帯板と、この圧延帯板に施す追加工を、表1に示す。
図3に示す波形図において、山と谷の中心線xに対して複数の山の高さの算術平均を求めて算術平均粗さRaとすることが、JIS B 0601で規定されている。算術平均粗さRaの単位はμmであるが、μmは省略される。
そこで、本書では、Raにμmを付けないことを原則とするが、必要なときにはRaにμmを付けるものとする。
冷間圧延材は、Raが0.6μm程度であり、市販されている帯板の厚さが0.4~2.3mm程度である。
表1に示すように、フライス加工はRaが1.0μm程度であるから、フライス加工で熱間圧延材に中仕上げを施すことができる。
さらに、表1に示すように、研削(上)では、更に目の細かい砥石で研削する。この研削で0.2μm程度に仕上げることができる。
また、微細径の砥粒をベーパーに接着したものを準備する。このペーパーで行う精密ペーパー仕上げでも、0.1μm程度に仕上げることができる。
研削(中)であれば、0.8μm程度が得られるため、Raの上限値を0.8μmとすることに意味がある。
ただし、排気リング51の側面の表面粗さを、算術平均粗さRaで、0.1や1.0にすることは差し支えない。
スクリュー23の前方に存在する樹脂材料61は、加熱筒22の長手軸22aに沿って延びた円柱形状を呈する。本発明は、この円柱形状の樹脂材料61の多数箇所から満遍なくガスを抜くことができる技術を提供することを目的とする。
図6に示すように、ガス抜き部材50として、適当な厚さの排気リング51A~51Eを重ねる。
隣接する排気リング51A~51E間に、合計4箇所のガス通路59が形成される。加えて、先頭の排気リング51Aの片方の側面56にガス通路59が形成され、末尾の排気リング51Eの片方の側面56にガス通路59が形成される。ガス通路59は、都合6箇所となる。この6箇所からガスを満遍なく抜くことができる。
1個の排気リング51A~51Eの厚さが、10mmであれば、Lfは50mmとなる。
上記した表1により、厚さが2.3mmであれば、冷間圧延による市販帯板が採用できる。冷間圧延帯板の表面粗さは、算術平均粗さRaで、0.6μm程度である。0.6μmは、好ましい算術平均粗さRaである(0.2~0.8)の範囲内にあり、研削(上)などの追加工を省くことが、可能となる。
ガスの発生量が多いタイプの樹脂材料の場合は、排気リング51の枚数を増やして、ガス通路59の数を増す。ガスの発生量が少ないタイプの樹脂材料の場合は、排気リング51の枚数を少なくして、ガス通路59の数を少なくすればよい。
よって、排気リング51の個数は、5~20個の範囲から選択することが、望ましい。
図1にて、可塑化・計量工程の末期には、スクリュー23の前方に樹脂材料が溜まっている。可塑化された樹脂材料には、ガスが含まれる。ガスの位置は定まっていない。
次の射出工程でスクリュー23は前進し、樹脂材料がノズル21から射出される。この射出の際に、樹脂材料は圧縮される。この圧縮により、ガスが押し出される。押し出されたガスは、ガス抜き部材50の排気リング51間に形成されるガス通路を通って、排気口31,31Bに至り、排気口31、31Bから外へ排出される。
図7(a)は変更例に係る排気リング51の正面図であり、排気リング51の側面56に、中心穴52から長手ガス流路55に至る放射状溝63を、少なくとも1個設ける。この例では十文字状に4個設けた。
図9(a)に示すように、加熱筒22側の収納穴22bに、少なくとも1条のガス導出路64を設けた場合は、図9(b)に示すように、排気リング51は、切欠きなしの円板53とすることができる。ただし、円板53は、中心穴52と環状ガス流路57とを有している。
図1に示すガス抜き機構付き射出装置10から変更した点は次に通りであり、その他の要素は変更が無いため、図1の符号を流用して詳細な説明は省略する。
図10では、図1の排気口31Bは、省く。又は、吸気口41に変更する。
以上により、常時、第1ワックストラップ35と第2ワックストラップ36の一方をワックス捕獲状態にし、他方をワックス回収状態にすることができる。
ただし、吸気口41を設けるか否かは任意である。
図10に示すガス抜き機構付き射出装置10から変更した点は次に通りであり、その他は変更が無いため、図10の符号を流用して詳細な説明は省略する。
図11に示すように、ガス抜き部材50の形態を変更する。
変更したガス抜き部材50の長手断面図を図12(a)に示し、図12(a)のbーb線断面図を図12(b)に示す。
金属製円筒66には、中心穴52から外周面54に至る貫通穴67が設けられている。
この貫通穴67の入口(中心穴52側)にポーラス部品68が嵌められる。
ポーラス部品68は、実施例では同一断面当たり4個としたが1個以上であればよい。貫通穴67も同様である。
すなわち、ポーラス部品68には、6箇所を遥かに超える無数のガス通路が形成される。
なお、ポーラス部品68は、貫通穴67より大径の円柱部材であってもよい。この大径の円柱部材は貫通穴67と同軸に配置される。1本の貫通穴67の入口に1個の円柱部材が嵌められる。
ただし、ポーラス部品68等に比べて、排気リング51は極めて安価であるという利点を有する。
図10に示すガス抜き機構付き射出装置10から変更した点は次に通りであり、その他の要素は変更が無いため、図10の符号を流用して詳細な説明は省略する。
図13に示すように、ノズルアタッチメント25を大型にした。ガス抜き部材50Aと共にノズルアタッチメント25にガス抜き部材50Bを設ける。そして、排気口31A及び吸気口41Aの他に、ノズルアタッチメント25に排気口31B及び吸気口41Bを設ける。
ガス抜き部材50は、ノズル本体24に設けてもよいことは、言うまでもない。
Claims (2)
- 先端にノズルを備える加熱筒と、この加熱筒に回転可能に且つ軸方向に移動可能に収納されるスクリューとを要部とする射出機と、
この射出機に備えられ、前記加熱筒内の樹脂材料からガスを抜くガス抜き機構と、
からなるガス抜き機構付き射出装置であって、
前記スクリューは、先端部に、前記樹脂材料の逆流を防止するリングバルブを備え、
前記ガス抜き機構は、前記加熱筒に内蔵されるガス抜き部材と、前記加熱筒に設けられる排気口とを備え、
前記ガス抜き部材は、前記スクリューが後退限位置にあるときの前記リングバルブの後端から前記ノズルの先端までの範囲に配置され、前記加熱筒の長手軸に沿って少なくとも6箇所から前記樹脂材料中のガスを抜く部材であり、
前記ガス抜き部材は、前記加熱筒の長手軸に沿って並べられた少なくとも5個の排気リングで構成され、隣接する前記排気リングの間、先頭の前記排気リングの片方の側面及び末尾の前記排気リングの片方の側面とがガス通路になっており、
前記排気リングは、前記スクリューの貫通を許容する中心穴が開いた円板であり、この円板の外周面とこの外周面に直交する側面とが交わる部位が面取りされて環状ガス流路とされ、
前記外周面に少なくとも1個の長手ガス流路が切欠き形成され、この長手ガス流路で、前記ガスが前記加熱筒の長手軸に沿って流れるようにしたことを特徴とするガス抜き機構付き射出装置。 - 先端にノズルを備える加熱筒と、この加熱筒に回転可能に且つ軸方向に移動可能に収納されるスクリューとを要部とする射出機と、
この射出機に備えられ、前記加熱筒内の樹脂材料からガスを抜くガス抜き機構と、
からなるガス抜き機構付き射出装置であって、
前記スクリューは、先端部に、前記樹脂材料の逆流を防止するリングバルブを備え、
前記ガス抜き機構は、前記加熱筒に内蔵されるガス抜き部材と、前記加熱筒に設けられる排気口とを備え、
前記ガス抜き部材は、前記スクリューが後退限位置にあるときの前記リングバルブの後端から前記ノズルの先端までの範囲に配置され、前記加熱筒の長手軸に沿って少なくとも6箇所から前記樹脂材料中のガスを抜く部材であり、
前記ガス抜き部材は、前記加熱筒の長手軸に沿って並べられた少なくとも5個の排気リングで構成され、隣接する前記排気リングの間、先頭の前記排気リングの片方の側面及び末尾の前記排気リングの片方の側面とがガス通路になっており、
前記排気リングは、前記スクリューの貫通を許容する中心穴が開いた円板であり、この円板の外周面とこの外周面に直交する側面とが交わる部位が面取りされて環状ガス流路とされ、
前記加熱筒に、前記環状ガス流路を流れるガスを、前記排気口へ導出するガス導出路が設けられていることを特徴とするガス抜き機構付き射出装置。
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