JP7049689B2 - シュードモナス・プチダ株、並びに植物において細菌及び真菌によって引き起こされる疾患の制御におけるその使用 - Google Patents

シュードモナス・プチダ株、並びに植物において細菌及び真菌によって引き起こされる疾患の制御におけるその使用 Download PDF

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Description

本出願は、2017年4月6日に出願された欧州特許出願第17382188号の利益を主張する。
本発明は、植物衛生製品の分野、具体的には、シュードモナス・プチダの新たな株、並びに農学上関心のある作物における真菌性及び細菌性の疾患の生物学的制御におけるその使用に関する。
最近、植物感染症の制御は、殺真菌剤及び殺菌剤が消費者の健康及び環境に対して有する既知の影響を最小限にすることに重点が置かれてきた。その理由で、この種の製品の合理的な使用及び毒性の低い方法の適用への移行が見られる。
抗生物質は植物における細菌性疾患を制御する際に最も効果が大きい植物衛生製品とされるが、その持続的な使用は耐性株の発生を促し、その効果を損なう。更に、これらの株で生じた抗生物質耐性は、ヒト病原体を含むその他の細菌に伝播される場合がある。この事実は、欧州連合を含む多くの国々で農業におけるその使用の禁止を説明する。抗生物質の代わりは、銅系化合物等の広域スペクトル抗菌剤であるが、この場合、それらの抗菌剤は、それらの毒性及び環境中の蓄積のため、限定的な有効性及び不利な環境影響を有する。
真菌性及び細菌性の植物病原体に拮抗する能力を有する土壌伝播性で非病原性の菌株は、化学的農薬に代わるものとして技術水準で報告されている。しかしながら、これらの菌株にはいくつかの欠点がある。その例は、毒性の2次代謝産物の産生、及び植物のコロニー形成に対する適切な生態学的な適性の欠如、すなわち一定の経時的な不安定性であり、これらの株を長期保存用の組成物へと製剤化することを困難にしている。
上に加えて、幾つかの場合には、これらの菌株は、感染した宿主の器官において効果的にコロニーを形成して生存することが困難であり、疾患制御の著しい効果を達成するには、高濃度の又は複雑な製剤化の適用を必要とすることが報告されている。更に、それらが生体を含むという事実は、その他の合成殺虫剤に対して利点を有するものの、環境及び宿主の状態はそれらの生物学的活性に影響を及ぼすことを意味し、それらの有効性を概して可変性で、参照化学製品よりも著しく低いものとする。更に、近年、ヒト又は動物に対する病原性株における耐性の出現を防止するため、BCAとして使用される抗生物質産生菌は減少している。
上記を考慮すれば、努力がなされたにもかかわらず、植物病の制御の技術水準において既に知られている株によって示される制限の全て又は一部を克服する菌株に対するニーズが今も存在する。
本発明者らは、広域スペクトルの活性を有していることを特徴とするため、幅広い土壌pHにおいて様々な真菌性及び細菌性の病原体を防除する、カヴァ(スペインの北東部、バルセロナ)から単離された種の新たな株シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)を単離した。
以下に図示されるように、本発明の株は、ボトリチス・アクラダ(Botrytis aclada)、ピシウム・ウルチマム(Pythium ultimum)、リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)、スクレロチニア・スクレロチオラム(Sclerotinia sclerotiorum)、コレトトリカム・コッコデス(Colletotrichum coccodes)、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)、及びアルタナリア・ポリ(Alternaria porri)の真菌株に対する、並びにエルウィニア・カロトボーラ・サブスピーシーズ.アトロセプチカ(Erwinia carotovora subsp.atroseptica)の菌株に対する拮抗活性を示すことを特徴とする(図2、並びに表4及び表5)。また、本発明者らは、本発明の株が、作物条件下で植物においてエルウィニア・カロトボーラ・サブスピーシーズ.アトロセプチカによって引き起こされる感染を阻害し得ることを見出した(表4)。
本発明の株は、ロイシンアリールアミダーゼ活性及びアルカリホスファターゼ活性を提示し、いずれも、植物の成長、発生及び繁殖に対して有益な(beneficious)影響を有する。ロイシンアリールアミダーゼは、重合体高分子量化合物からアミノ酸を解放し、植物に対する必須栄養素である、溶解した有機窒素の供給源を提供する。さらに、アルカリホスファターゼ活性は、結合されたホスフェートの可溶化に重要な役割を果たし、それらを植物に対して利用可能として、植物の成長及び発生も支援する。
本発明の株の生物防除活性に関して、上に解説されるように、本発明の株は、種々の植物病原性物質に拮抗する能力を有する。これに関連して、表5に示されるように、本発明の株は、その他のP.プチダ株よりも真菌ボトリチス・アクラダの増殖をより効果的に拮抗することができ、より高く長く続く効果を有する。したがって、以下に報告されるデータから、生物防除活性を達成するため、より低濃度でのその使用を可能とし得ると結論づけることもできる。これは、本発明の株を含む種々の組成物の製剤化における利点と並んで、その工業生産と関係するコストの減少をもたらし得る。
本発明の株の拮抗活性は、部分的には、幾つかの微生物植物毒素を解毒する、植物細胞への真菌の侵入を阻害する、及び/又は植物防御応答の誘導因子としてのその活性により生物防除能力と関連づけられているエステラーゼ(C4)酵素(表3)の発現に起因し得る。
本発明の株の高い拮抗能力にもかかわらず、本発明の株は、驚いたことに、実施例4A及び実施例4Bに記載されるように、抗菌化合物であるピロルニトリン、2,4-ジアセチルフロログルシノール(2,4-DAPG)、ピオルテオリン及びピオシアニンを発現も合成もしないことがわかった。これらの代謝産物は、シュードモナス属菌によって産生される最も一般的な抗菌化合物であると知られており、ヒト又は動物に対して病原性の株における耐性の出現に関与する。したがって、本発明の株によるこれらの代謝産物の発現の欠如は、本発明の株に対してより安全なプロファイルを与える。
更に、本発明の株は、4~10の範囲のpHを有する土壌におけるコロニー形成する能力及び生存する能力を有する(表2)。
土壌のpH範囲は、3.5未満のpHを有する土壌である超酸性から9より高いpHを有する非常に強アルカリ性の土壌に及んでもよい。植物成長は微量栄養素及び多量栄養素の利用可能性に依存する。土壌pHは有効態養分に明らかな影響を及ぼす。これは、なぜ或る土壌では成長することができる幾つかの種が存在し、その他の種はそれらの成長要件に依存し得ないのかということの理由である。一方、pH等の環境条件が特定の微生物の生存率/活性に悪い影響を与える場合があることは、当業者によって十分認識されている。発明者は、驚いたことに、本発明の株が4~10の間の非常に極端なpH値で生存することができることを見出した。すなわち、本発明の株の有効性は、土のpHによって悪影響を受けず、本発明の株が任意の種類の植物作物においてその機能を発揮することができることを意味することから、それは更に価値のある利点である。
概して、本明細書で提供されるデータは、本発明の株が、その他のP.プチダ株に反して、土の性質と無関係に殺虫剤としてその作用を効率的に発揮することができる安全で多目的な株であると結論付けることを可能とする。
したがって、本発明は、第1の態様では、アクセス番号CECT8538によりスペイン・タイプ・カルチャー・コレクション(CECT)に寄託されたシュードモナス・プチダ株又はその変異体を提供し、該変異体の株はシュードモナス・プチダのCECT8538を使用して得られ、また上記出発株の以下の特徴:(a)拮抗活性、及び(b)植物の部分においてコロニー形成する又は生存する能力を維持する。
カヴァ(スペインの北東部、バルセロナ)の土壌から単離された本発明のシュードモナス・プチダ株は、スペイン国バレンシア、ブルジャソット46100、バレンシア大学ブルジャソットキャンパス研究棟にあるスペイン・タイプ・カルチャー・コレクション(CECT)に2014年1月21日付でブダペスト条約に従って本出願人によって寄託された。生存可能であると認められた後、上記株にアクセス番号CECT8538が付与された。
したがって、第2の態様では、本発明は、本発明の第1の態様に定義されるP.プチダ株CECT8538又はその変異体の殺虫剤としての使用を提供する。
植物における殺虫剤としてのその使用に関して、上記株の生細胞を大量に得ることが重要である。実施例5に示されるように、一旦濃縮され凍結乾燥されると、上記組成物は90%超の細胞生存率を示し、それは保存の間維持される。
第3の態様では、本発明は、第1の態様に定義されるシュードモナス・プチダ株CECT8538又はその変異体に由来する生細胞浮遊液を得る方法を提供し、該方法は:(i)培養培地に上記株を接種する工程、(ii)上記工程(i)の接種された培養培地を、上記株の増殖に適した条件に供する工程、及び(iii)任意に、工程(ii)から得られた上記培養培地を濃縮工程に供する工程、を含む。
第4の態様では、本発明は、本発明の第1の態様に定義されるシュードモナス・プチダ株CECT8538又はその変異体に由来する無細胞抽出物を提供し、該抽出物は、(i)上記株を好適な培養培地中の株に接種する工程;(ii)接種された培養培地を適した増殖条件に供する工程;(iii)工程(ii)の培養培地から細胞を分離する工程;(iv)無細胞抽出物を収集する工程と;及び(v)任意に、無細胞抽出物を濃縮工程に供する工程、を含む方法によって取得可能である。
代替的に、一旦上記株を接種させ、好適な増殖条件にそれを供すると、得られる接種生成物は、微生物の不活性化工程に供され得る。
第5の態様では、本発明は、不活性化された本発明の株を含む接種生成物を提供する。
本発明の第5の態様の接種生成物は、増殖工程の間に、その効果を担う代謝産物の分泌に起因して、拮抗作用を発揮する。
第6の態様では、本発明は、本発明の第1の態様に定義されるシュードモナス・プチダ株CECT8538若しくはその変異体、又は本発明の第4の態様に定義される抽出物、又は本発明の第5の態様に定義される接種生成物と、1又は複数の農業的に許容可能な化合物とを含む組成物を提供する。
第7の態様では、本発明は、本発明の第1の態様に定義される本発明の株若しくはその変異体、又は本発明の第4の態様に定義される無細胞抽出物、又は本発明の第5の態様に定義される接種生成物、又は本発明の第6の態様に定義される組成物の殺虫剤としての使用を提供する。
最後に、第8の態様では、本発明は、植物において細菌性又は真菌性の病原体によって引き起こされる感染を制御する方法であって、第1の態様に定義される本発明の株若しくはその変異体、第4の態様に定義される抽出物、第5の態様に定義される接種生成物、又は第6の態様に定義される組成物を、該植物に投与することを含む、方法を提供する。
CECT8538は28℃でスウォーミング能力を有する。28℃(右)又は37℃(左)にて30時間に亘ってM9又はBM2と共にインキュベートされたP.プチダCECT8538の代表的な画像。 CECT8538は抗真菌活性を有する。対照としてのPDA単独と比較した、2回投与量のP.プチダCECT8538を含むPDA上で増殖する植物病原性真菌の代表的な画像。A:B.アクラダCECT2851、B:R.ソラニDSMZ63010、C:P.ウルチマムCECT20902、D:S.スクレロチオラムCECT2822、E:S.スクレロチオラム株H24、F:C.コッコデス株H827、G:F.オキシスポラム株H828、及びH:A.ポリ株H830。 指定のP.プチダ株に対して曝露された又は曝露されていないボトリチス・アクラダの真菌増殖の動態。グラフは、接種後3日目、7日目及び10日目のPDA(対照;菱形)、CECT8538が接種されたPDA(正方形)、CECT324が接種されたPDA(三角形)、及びDSM6125が接種されたPDA(十字)で増殖するB.アクラダの増殖阻害%を示す。
本出願において本明細書で使用される全ての用語は、別段の定義がない限り、当該技術分野で知られているそれらの通常の意味において理解されるものとする。本出願で使用される特定の用語のその他のより特殊な定義を以下に述べ、述べられる定義が明らかにより広い定義を提供しない限り、本明細書及び特許請求の範囲を通して一様に当てはめられることを意図する。
第1の態様では、本発明は、アクセス番号CECT8538によりスペイン・タイプ・カルチャー・コレクション(CECT)に寄託されたシュードモナス・プチダ株又はその変異体に関する。
「変異体」の用語によって、開始材料として、本発明のP.プチダ株CECT8538を使用して得られ、その拮抗活性及び植物の部分においてコロニー形成又は生存する能力に関する、上記寄託株の特性を維持する細菌と理解される。
異なった植物病原体に対する拮抗活性は、異なった方法によって分析され得る。これらの方法は、通常、有効成分若しくはBCAとの接触における病原体の増殖能の分析、又は有効成分若しくはBCAの曝露後の病原体感染によって引き起こされる疾患の重症度の評価に基づく。この活性を評価する幾つかの通例のプロトコルは、とりわけ汚染食物テクニック(poisoned food technique)及び細菌性軟腐病の重症度の分析である。簡潔には、汚染食物テクニックには、生物防除剤を含有するポテトデキストロース寒天プレートの作製、先に調製された病原体株の菌糸体培養物に対するこのプレートの曝露、及び経時的な病原性株の増殖の評価がある。細菌性軟腐病重症度分析(bacterial soft severity analysis)の場合、プロトコルは以下:(i)種子を消毒及び播種する工程;(ii)実生を4週間に亘って成長させる工程;(iii)得られた植物を病原株に曝露する工程;(iv)生物防除物質と共に上記植物をインキュベートする工程;及び(v)4週間に亘って更にインキュベーションした後に疾患の重症度を評価する工程、を含む。下記の実施例6A~実施例6Cでは、本発明の株による種々の植物病原性物質を拮抗する能力を示す。図2、並びに表4及び表5は、本発明の株が、その他のP.プチダ株よりも効果的に種々の真菌株を拮抗することができるだけでなく、作物条件においてエルウィニア・カロトボーラ・サブスピーシーズ.アトロセプチカ等の細菌増殖に対しても有効であることを説明する。
コロニー形成能力は、BCAにとってその機能を適切に行うため必要である。この能力は、スウォーミングアッセイ、又は作物様条件下での拮抗活性の評価等の機能的アッセイを含む幾つかの手法を使用して研究され得る。スウォーミング運動性アッセイについて、菌株を、特定の培地(M9又はBM2)プレートに蒔き、望ましい温度で一晩インキュベートする。インキュベーションの後、多細胞細菌の表面移動を分析する。さらに、コロニー形成する能力に関連して、その他の能力も、pH及び温度の許容性等の種々の環境条件に対する適応に関与する。これに関連して、本発明の株は、26℃(図1)で種々の基質をコロニー形成する能力と並んで、感染した植物に対して適用される場合に細菌感染に対して作用する能力(表4)を示し、4~10の幅広いpHにおいて生存することができる(表2)。
また、P.プチダのCECT8538の「変異体」は、本発明によれば、P.プチダのCECT8538の「バリアント」として理解される。当業者は、本明細書に記載される特徴及び関連する利点を保持する変異体を、開始材料として本発明の株を使用して、例えば、自然突然変異誘発又は定向突然変異等によって通例に従って得ることができる。特定の菌株の変異体を得る方法は、当該技術分野で知られている。一例を、Sambrook,J.and Russell,D.W.“Molecular Cloning:A Laboratory Manual”,Chapter13,“Mutagenesis”,Cold Spring Harbor,3rd Ed,2001に見ることができる。
ここから、本発明において「本発明の株」という表現が参照される場合、該表現は、P.プチダ株CECT8538及びその変異体を包含する。
植物は、とりわけ、ジャガイモ等の塊茎、又は木、特に西洋ナシ木等の果樹、トマト、カリフラワー、又はコショウであってもよい。
したがって、「害虫防除」及び「生物学的有害生物防除」という用語は、本明細書において同じ意味で使用され、総合的害虫防除を指す。
上記を考慮して、別の態様では、本発明は、植物におけるP.プチダ株CECT8538又はその変異体の殺虫剤としての使用に関する。
本発明では、「殺虫剤」という用語は、害虫とみなされる生体を殺傷する、撃退する、調節する、又は増殖を妨害することを意図した製品として、作物栽培学の分野におけるその通常の意味によって理解される。明らかに、P.プチダ株CECT8538又はその変異体の性質に起因して、本明細書では、「殺虫剤」はバイオ農薬とも称される生物学的又は生態学的な(有機)殺虫剤であることが理解される。本発明の範囲では、「殺虫剤」の用語は、「植物衛生」という用語と同じ意味を有し得る。
本発明では、「疾患の制御」という用語は、その疾患を予防する、軽減する、治癒させる、又は根絶することを意味する。
本発明の第2の態様の実施形態では、上記株は、植物において細菌又は真菌によって引き起こされる感染の予防において使用される。
第3の態様では、本発明は、(i)本発明の株を好適な培養培地に接種する工程、(ii)工程(i)の接種された培養培地を上記株の増殖に適切な条件に供する工程、及び(iii)任意に、工程(ii)から得られた培地を濃縮工程に供する工程、を含む、本発明の株に由来する生細胞浮遊液を得る方法に関する。
「本発明の株に由来する」という用語は、上記懸濁液が、本発明の目的の株から得られることを意味する。
本発明の株は、5%体積/体積~7%体積/体積に含まれる最終濃度で培養培地に接種され得る。好ましくは、接種される培養物は、指数増殖期にある。細胞増殖は、好ましくは10×10CFU/mL~10×1010CFU/mLに含まれる細胞濃度を達成するように遅い。本発明の株の増殖に適した培養培地は、LB(溶原性ブロス)及びPM(生理食塩水産生培地(saline production medium))等の合成培地、又は糖蜜(例えばサトウキビ、ビート、その他)等の植物起源の培地である。上記株の増殖に適した条件は、25℃~35℃に含まれる温度、6~8に含まれるpH、及び50%~100%に含まれる酸素濃度である。本発明の株の増殖は、撹拌によってもたらされる。本発明の株から細胞を得る詳細な方法の一例は、実施例5に反映される。
懸濁液を得る方法の別の実施形態では、細胞を培地から分離して濃縮懸濁液を得る。好適な分離技術としては、培養物の遠心分離又は濾過が挙げられる。例えば、最小5000rpmで培養物の遠心分離を実行して、細胞をペレットで得て、それを、株の濃度がおよそ約1×1011CFU/mLとなるように、培養培地の一部、又は好適な緩衝培地に再懸濁する。
一旦懸濁液が得られると、それを脱水工程に供してもよい。脱水を凍結乾燥プロセスによって行ってもよい。代替的には、上記懸濁液を、流動層乾燥によって脱水してもよい。別の選択肢は、噴霧乾燥又は真空下でオーブンにおいて乾燥させることによって懸濁液を脱水することである。この点で、本発明の株の別の有利な特徴は、それが、工業規模で微生物を得る際に通例となっている脱水プロセスに高い抵抗性を示すことである。細胞の生存率を改善するため、不活性の浸透圧保護剤である原料を、脱水工程を行う前に懸濁液に添加してもよい。
本発明の第3の態様の別の特定の実施形態では、上記プロセスは、分離工程から得られた細胞を好適なバッファーに再懸濁して、細胞濃縮懸濁液を得ることを含む。
第4の態様では、本発明は、本発明の第1の態様に定義されるP.プチダ株CECT8538又はその変異体に由来する無細胞抽出物を提供し、上記抽出物は、(i)上記株を好適な培養培地に接種する工程;(ii)接種された培養培地を好適な増殖条件に供する工程;(iii)工程(ii)の培養培地から細胞を分離する工程;(iv)無細胞抽出物を収集する工程;及び(v)任意に該無細胞抽出物を濃縮工程に供する工程、を含むプロセスによって取得可能である。
上に記載される分離プロセスによって得られる無細胞培地を、直接に適切な製剤化に使用及び/又は導入してもよく、又はより好適な組成を達成するように濃縮工程に供してもよい。したがって、第4の態様の実施形態では、本発明は、脱水、濾過、限外濾過、遠心分離、超遠心分離、沈殿又はクロマトグラフィー等の使用され得る無細胞抽出物を濃縮するための種々のプロトコルに関する。
本発明の別の態様では、本発明は、第5の態様において、本発明の株を含む接種生成物を提供する。
「接種生成物」により、上記株を好適な培養培地に接種し、該接種された培養培地を好適な増殖条件に供した後に生成物が得られると理解される。
本発明の第5の態様の一実施形態では、接種生成物は濃縮形態である。別の実施の形態では、接種生成物は乾燥濃縮形態である。接種生成物を濃縮し乾燥する技術は通例のものであり、上に提供されている。
本発明の第5の態様の別の実施形態では、接種生成物は、不活性化された本発明の株を含む。
「不活性化された本発明の株を含む接種生成物」により、好適な培養培地に上記株を接種し、該接種された培養培地を好適な増殖条件に供し、その後、該株を不活性化させた後に得られる生成物を指す。「不活性化された」という用語は、上記微生物がコロニーを形成することができないことを意味する。一実施形態では、不活性化された微生物は、無傷又は破壊された細胞膜を有する。
第6の態様では、本発明の第1の態様に定義される株、第4の態様に定義される抽出物、又は第5の態様に定義される接種生成物と、1つ又は複数の農業的に許容可能な化合物とを含む組成物を提供する。
害虫防除における実用の観点から、殺虫剤物質は、通常、農業用途に適した添加剤も含む組成物に製剤化される。本発明の組成物は、固体(例えば、脱水した細菌濃縮物を含む)又は液体(細菌濃縮懸濁液を含む)であってもよい。
「農業的に許容可能な化合物」は、農業における使用に適しているそれらの化合物及び/又は材料を指す。一般に、上記化合物は、ヒトに無毒でなくてはならず、環境にやさしいことが好ましい。
本発明の第6の態様の特定の実施形態では、本発明の殺虫組成物は、処理される植物において上記株の接着を改善する化合物と並んで、植物強化化合物、栄養素、湿潤剤、安定化剤、浸透圧保護剤、抗酸化剤、日焼け止め、緩衝化合物、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。
本発明の第6の態様の別の実施形態では、接着製品の例は、ゼラチン、デンプン、ペクチン、アルギン酸塩、及びキサンタン等の様々な種類のゴムである。また、これらの化合物の多くは湿潤剤である。日焼け止めの場合、コンゴレッド、炭酸カルシウム及びワックスエマルジョンを使用することができる。植物強化剤は、作物が、病原体又は悪環境条件に対して強健さ又は忍容性を発達させるのを促進することができる化合物、例えばジャスモン酸アナログ、及びハーピン、キトサン及びラミナリン等の幾つかの植物防御刺激物質である。さらに、浸透圧保護剤の例はトレハロース、ベタイン及びアミノ酸である。最後に、アスコルビン酸及びグルタチオンは抗酸化剤に含まれる。
本発明の第6の態様の更なる実施形態では、上記組成物は、少なくとも1つの追加の殺虫剤を含み、該追加の殺虫剤は、株CECT8538の活性に悪影響を及ぼさない。本発明の第6の態様の別の実施形態では、追加の殺虫剤は、細菌又は真菌の感染を制御するのに有効な菌株、殺真菌剤、殺菌剤、除草剤、殺虫剤又は殺線虫剤からなる群から選択される。
本発明の第6の態様の組成物は、種々の原料の混合等の通例のプロトコルによって調製され得る。
第7の態様では、本発明は、本発明の第1の態様に定義される本発明の株、又は本発明の第4の態様に定義される無細胞抽出物、又は本発明の第5の態様に定義される接種生成物、又は本発明の第6の態様に定義される組成物の植物における殺虫剤としての使用に関する。
本発明の第7の態様の実施形態では、本発明は、植物において真菌性又は微生物性の病原体によって引き起こされる疾患の制御に対する第6の態様の組成物の使用に関する。
別の態様では、本発明は、細菌又は真菌の感染によって引き起こされる疾患を予防、治癒、軽減又は根絶のため、第1の態様に定義される本発明の株若しくはその変異体、又は第4の態様に定義される無細胞抽出物、又は第5の態様に定義される接種生成物、又は第6の態様に定義される組成物を、植物及び/又は種子の冒された部分、又は上記植物の成長に使用される基質若しくは土壌に対して投与することを含む方法を提供する。
本明細書及び特許請求の範囲を通して、「含む」及びその単語の変形は、その他の技術的特徴、付加物、構成要素、又は工程を排除することを意図するものでない。更に、「含む」という単語は、「からなる」の場合を包含する。本発明のさらなる目的、利点、特徴は、本明細書の検討により当業者に明らかとなるか、又は本発明の実施によって習得され得る。以下の実施例は、実例として提供され、それらは、本発明の限定を意図するものではない。さらに、本発明は、本明細書に記載される特定及び好ましい実施形態の全ての可能性のある組み合わせを包含する。
実施例1.シュードモナス・プチダ株CECT8538の単離及び同定
上記単離株を得るため、土壌の試料をスペインの地方から集めた。全ての試料は地中海性気候の畑及び自然環境に由来した。従来の微生物学的方法(Moraら,“Antimicrobial peptide genes in Bacillus strains from plant environments”,International Microbiology,2011,vol.14,pp.213-223)によって試料を処理し、シュードモナス属の細菌を28℃で24時間に亘りNA培地において単離して、2400個の単離物のコレクションを形成した。最初に16S rDNAシーケンシングによってCECT8538を同定した。製造業者の指示に従って高性能DNAポリメラーゼ(Biotaq、英国ロンドンのBioline)を用いるコロニーPCR(NA中の固形培養物に由来する1つのコロニーを無菌のピペットチップで取り;チップを50μL滅菌水に漬け、98℃で10分間沸騰させ、PCRテンプレートとして使用するまで直ちに氷上に置いた)を使用し、配列配列番号1を有する細菌のフォワードプライマー8f(フォワードプライマー8f:AGTTTGATCCTGGCTCAG)及び配列番号2を有するユニバーサル逆相補プライマー1492r(リバースプライマー1492r:ACGGTTACCTTGTTACGACTT)を用いて、16S rDNAを増幅させた。アンプリコン配列番号:3(本発明CECT8538の株のサブユニット16S rDNAに対応する)を生成し、8fプライマーを使用して配列決定した。次いで、配列をNCBIヌクレオチドデータベース全体に対するBLASTnホモロジー検索にサブミットした。16S rDNAヌクレオチド配列に基づいて、当初、細菌の単離物をいわゆる「P.プチダ複合体」(P.プチダ/プレコグロシシダ(plecoglossicida)/タイワネンシス(taiwanensis))に密接に関係するシュードモナス(Psudomonas)属株として同定した。
菌株のより正確な同定のため、この属内でより識別力があると報告されているrpoD及びgyrBのヌクレオチド配列を全ゲノムショットガン法(WGS)により検索し、標的データベースがシュードモナス属菌のエントリー(taxid:286)に限定されるという点を除いて、16Sに関して分析した。rpoD(配列番号4)及びgyrB(配列番号5)のヌクレオチド配列は、CECT8538がP.プチダ生物型のA又はCに属するP.プチダ株であることを示す。生物型Cとは対照的に、生物型AのP.プチダ株は4℃で増殖することができない。CECT8538が4℃で増殖することができなかったことから、生物型AのP.プチダ株であったと結論付けられた。
正確な分類を含む本発明の株に関する広範囲な情報を得るため、全ゲノム配列シーケンシングの実験を行った。これについて、DNAをCECT8538液体培養物から得て、製造業者の規格に従って、Nextera(商標)DNAライブラリ(英国ケンブリッジのIllumina)に対してIllumina技術(HiSeq2500)を使用して配列決定した。生成されたデータは、デノボとリファレンス支援が組み合わされたアッセンブリアプローチを使用して、注釈付けされた全ゲノムショットガン(WGS)を生成する、特許のワークフローであるRECONSTRUCTORを適用することによってSequentia Biotech(スペイン国、バルセロナ)により分析された。P.プチダKT2440(アクセッション番号NC_002947.4;DSM6125)を、リファレンス支援アッセンブリの参照として使用した。
RASTを使用してWGS配列に注釈を付けた。rRNAオペロンのスクリーニングに対しては、オンラインツールであるWebMGAを使用した(http://weizhong-lab.ucsd.edu/metagenomic-analysis/)。tRNAの識別については、ARAGORN v1.2.36を使用した。oriC及び関連配列を、Ori-Finder及びDoriCのデータベースを使用して同定した。ゲノムアイランドを、IslandViewer3を使用して同定した。
CECT8538ゲノム配列のアッセンブリは、シュードモナス属菌においてBLASTヒット(e-val.カットオフ0.01)がない、又は最も良好なBLASTヒットを有するいずれかのコンティグから構築された、6315656個のヌクレオチドを含む186個のスキャフォルドをもたらした。186個のスキャフォルドから、第1のもの(本明細書では「染色体」と称される)は5860165塩基、すなわち配列決定された全塩基の92.8%を含む。CECT8538ゲノム全体のGC含量は61.7%である。IslandViewerは染色体中の12個のゲノムアイランド(GI)を予測し、それらの幾つかはGCスキュー領域と一致し、そのうち少なくとも5つがプロファージ関連配列を持つ。これらのGIのうちの1つは約700kbpに亘り、600個超のCDSを含む。
5S rDNAコピーのフラグメントのみがCECT8538染色体に集められる。5Sのフラグメントに隣接している16S配列及び23S配列全体が、(染色体以外の)最も大きなスキャフォルドの1つにコードされる。さらに、その他スキャフォルドは、それぞれフラグメント又は5S配列全体のいずれかを含む。おそらくは、RECONSTRUCTORは、それらが重複する読み取りであることを考慮して、rDNAのコピーを互いに整列させる。CECT8538 WGSは、67tRNAをコードする配列を含む。これらから、57個は染色体にコードされ、seC(セレノシステイン)を含む22個のアミノ酸に対するtRNA及び曖昧なtRNA(seC又はValに対する)を含む。CECT8538ゲノムのoriC配列は、rpmHとdnaAの遺伝子によって挟まれた573個ヌクレオチドを含み、4個のdnaAボックスと、1個及び2個の不一致部位を含む2個の追加の配列とをそれぞれ含む。
RASTアノテーションツールは、60ヌクレオチド長~14394ヌクレオチド長のCDS、950ヌクレオチド長~819ヌクレオチド長の平均及びメジアンCDS、並びに1197ヌクレオチド長のN50 CDSをそれぞれ有する、5595813個のヌクレオチドにコードされている5892個のCDS(すなわち、コーディング領域は、ゲノムの88.6%を包含する)を予測した。全てのCDSから、50%を仮説のタンパク質として分類した。
さらに、参照ゲノム(KT2440;DSM6125)と比較して、Sequentia Biotechは、CECT8538において一塩基多型(SNP:single nucleotide polymorphism)、小さな挿入又は欠失(INDEL:insertion or deletion)、及び大きな構造バリアント(SV:structural variant)を解明するためバリアントコーリング分析を行った。バリアントクオリティ及び遺伝子型深度によってフィルタリングすると、KT2440と比較して、CECT8538は112931個のSNP及び867個のINDEL(332個の小さな欠失及び535個の小さな挿入)を示す。さらに、実験で得られた全てのCECT8538の読み取りから、22.3%はKT2440ゲノムにマップしなかった。これらの読み取りをデノボアッセンブリとし、402個の完全なタンパク質を含む、アッセンブリされたスキャフォルド512ORFを予測した。デフォルトセッティングによるmegablastアルゴリズムは、200個を超えるこれらのORFに対するNCBIデータベース中の任意のヌクレオチド配列と著しいアラインメントを示さず、CECT8538がKT2440と異なるのみならず、その他の株とも異なることを示した。
実施例2.シュードモナス・プチダ株CECT8538の物理化学的性質の特性評価
特性評価アッセイのため、市販の栄養寒天(NA、Scharlab)、M9(カザミノ酸0.5%、2mM MgSO、0.1mM CaCl、0.4%グルコースで補足して0.5%寒天で凝固させた)又はBM2(62mMリン酸水素二カリウムバッファー、pH=7.2mM MgSO、10μM FeSO、0.5%[重量/体積]カザミノ酸、グルコース0.4%で補足し、0.5%寒天で凝固させた)の培地プレートに本発明の株を蒔いた。培地滅菌の後にプレートを準備し、一旦培地を十分に冷却して、プレートに注ぎ、半固形になるまで置いた。温度プロファイル評価のため、本発明の株を、10濃度(CFUml-1)でNAプレートに蒔き、種々の温度(すなわち、4℃、26℃、37℃及び42℃)で5日間インキュベートした。26℃及び37℃の温度は単離物CECT8538の増殖に最適であるが、24時間のインキュベーションの後4℃及び42℃で増殖しなかったことがわかった(表1を参照されたい)。上に記載されるように、CECT8538をrpoD及びgyrBのヌクレオチド配列に基づいてP.プチダの生物型A又は生物型Cとしてクラスター化した。生物型Cに反して、P.プチダ生物型A株の4℃で増殖する能力は比較的まれであり、本発明の株が生物型Aに属することを支持する。
NA培地中にナリジキシン酸15μg/ml、クロラムフェニコール50μg/ml、硫酸ストレプトマイシン50μg/ml、オキシテトラサイクリン(oxytetracicline)50μg/ml、又はニトロフラントイン50μg/mlを組み込むことによって、抗生物質感受性を判断した。また、5%NaClを含むNA中で増殖する能力を判定した全ての条件において、プレートを26℃で48時間インキュベートした。P.プチダCECT8538は、ナリジキシン酸15μg/ml及びクロラムフェニコール50μg/mlに耐性であった。しかしながら、本発明の株は、硫酸ストレプトマイシン50μg/ml、オキシテトラサイクリン50μg/ml又は5%NaClを含むNA中で増殖することができなかった。抗生物質であるニトロフラントインは、50μg/mlでの細菌増殖に対するわずかな効果を示した(表1を参照されたい)。
本発明の株を更に特性評価するため、製造業者(フランス国リヨンのBioMerieux)によって記載される手順に従ってAPI ZYMキットで酵素活性を分析した。本発明の株は、エステラーゼ(C4)、ロイシンアリールアミダーゼ及びアルカリホスファターゼの酵素活性を示した。
表1.P プチダCECT8538の物理化学的特徴
Figure 0007049689000001
コロニー形成能力は、生物防除剤が根圏の環境内で適切に競合するのに決定的な特徴である。本発明の株のこの能力を試験するため、その細菌スウォーミング運動性を評価した。スウォーミングは、細菌によって表面の協調したコロニー形成を促進する特殊な多細胞の動きである。簡潔には、本発明の株の予備培養物を、M9又はBM2のいずれかの培地を含むプレートに接種して、28℃又は37℃で30時間インキュベートした(図1)。図1に示されるように、本発明の株は、37℃ではなく28℃で高いスウォーミング能力を有した。これは、本発明の株が、土壌平均温度である28℃で代謝的に活性であることを示し、ヒト病原性微生物の最適なコロニー形成温度である37℃ではその活性を有しないことを示す。
実施例3.種々のpHの細胞増殖能力の比較分析
異なるP.プチダ株内で種々のpHで生存する能力を比較するため、本発明の株CECT8538及び参照P.プチダ株CECT324及びDSM6125(KT2440)を、28℃、120rpmの振盪機で一晩予備培養した。これらの予備培養物を、所望の調整されたpH(表2を参照されたい)を含むNAペトリ皿に蒔き、28℃で24時間インキュベートした。NA培地の滅菌後、プレートに培地を注ぐ直前に、pH調整を行った。表2は、インキュベーションの24時間後に観察された結果を示す。CECT8538は、その他のP.プチダ株と比較した場合、より広いpH範囲で生存することができた株であり、環境に対する本発明の株の高い適応能力を確認した。
表2.種々のpHにおけるCECT8583の細胞増殖能力の分析
Figure 0007049689000002
実施例4.本発明の株による抗菌産生の分析
実施例4A.P.プチダCECT8538による代謝産物産生の痕跡に関するHPLC解析。
シュードモナス属菌によって産生される最も一般的な抗菌性代謝産物は、生物防除に重要な役割を果たすピロルニトリン、2,4-DAPG、ピオルテオリン及びフェナジンである。これらの代謝産物は、後期対数増殖期又は静止期の間にシュードモナス属菌によって合成され得る。
P.プチダ株CECT8538の代謝産物の産生を評価するため、本発明の株を発酵プロセスに供して増殖させた。作業体積100リットルの工業用バイオリアクターF3-100(F3工業モデル、Bionet)で、LB培養培地を用いて、温度を28℃±1℃に調整し、通気8L/分、溶存酸素50%超、及び200rpm~400rpmで撹拌して、大規模培養を行った。工業バイオリアクターと同じパラメータのもとで、実験室バイオリアクターF1-5(F1-実験室モデル、Bionet)において24時間増殖させた予備培養物5%体積/体積を培養物に接種した。
発酵の間、全てのパラメータ(すなわち温度、pH、酸素圧、撹拌、気流速度、気泡レベル及び光学密度)を制御し、測定した。一旦発酵が終了すると、細胞を遠心分離(Hitachi CR22N)によって採取し、培養上清を4℃で保管し、細胞を、バイオマス生存率を保つため凍結乾燥した(Heto Power Dry LL 3000)。
可能性のある代謝性画分をHPLC(eAllianceシステム、Waters)によって分析した。15分間に亘って水中アセトニトリル0%~80%の線形勾配で溶出(1ml分-1)させる、XBridge C18逆相カラム(5μm 4.6mm×150mm、Waters)を使用してクロマトグラムを行った。溶媒はいずれも0.05%トリフルオロ酢酸(TFA)を含んだ。代謝産物を、フォトダイオードアレイ検出器を用いるUV分光法によって検出した[ピロルニトリンに対して、λ=247nm及び保持時間(tr)=14.6分;2,4-DAPGに対して、λ=278nm及びtr=12.6分;ピオルテオリンに対して、λ=308nm及びtr=10.6分;ピオシアニンに対して、λ=278nm及びtr=5.5分]。
本発明の株に由来する種々の試料のHPLCクロマトグラムを、標準的な代謝産物であるピロルニトリン、2,4-DAPG、ピオルテオリン及びピオシアニンについて得られたクロマトグラムと比較した。各代謝産物に対応する4つのピークは、本発明の株から得られたクロマトグラムにはなかった。
実施例4B.本発明の株による、ピロルニトリン、2,4-DAPG、ピオルテオリン及びピオシアニンの代謝産物を合成する能力を判定するゲノム分析
CECT8538がその他の増殖/貯蔵の特定条件下でこれらの代謝産物を合成する遺伝子機構を備えるかどうかを判断するため、相補的ゲノム研究を行った。
最初に、シュードモナス属菌における各代謝産物のコア生合成経路をNCBIデータベースから検索した。ピロルニトリン、2,4-DAPG、ピオルテオリン及びピオシアニンの生合成酵素に対するホモログを、CECT8538のWGSにおいて探索し、BLASTpを使用してタンパク質-タンパク質アラインメントを行った。カットオフパラメータとしてビットスコアを使用し、閾値40を適用して、CECT8538ゲノムから予測された遺伝子のin silico翻訳(5892個のタンパク質コーディング遺伝子)で構成されるデータベースを得た。
ピロルニトリン生合成酵素は、prnA(トリプトファンハロゲンをコードする)、prnB(モノデクロロアミノピロールニトリン合成酵素をコードする)、prnC(ハロゲナーゼをコードする)、及びprnD(アミノピロールニトリンオキシゲナーゼをコードする)を含むprnオペロンに位置する遺伝子によってコードされる。P.プチダ株CECT8538は、prnオペロンに由来するprnAのホモログのみを有し、CECT8538がピロルニトリンを合成することができないことを示唆する(表3)。
2,4-DAPGのコア生合成経路は、phlA(βケトアシル-ACPシンターゼIIIをコードする)、phlB(推定上の核酸結合酵素をコードする)、phlC(縮合酵素をコードする)、及びphlD(III型ポリケチド合成酵素;PKSをコードする)を含むphl遺伝子座中の遺伝子によってコードされる。シュードモナス属菌における幾つかのPhlDタンパク質は、CECT8538においてホモログを示したが、PhlA、PhlB又はPhlCのホモログは本発明の株では見られなかった(表3)。したがって、CECT8538は2,4-DAPGを合成することができないということが導き出される。
ピオルテオリン生合成遺伝子は、P.フルオレッセンス(P.fluorescens)Pf-5では、plt遺伝子群に分類される。これは10個の遺伝子を含むが、7個:pltF(アシルCoAシンターゼをコードする)、pltE(アシルCoAデデヒドロゲナーゼ(dedehydrogenase)をコードする)、pltA及びpltM(いずれもハロゲナをコードする)、pltB(PKS)、pltC(PKS)、並びにpltG(チオエステラーゼ)のみがコアピオルテオリン生合成経路を構成する。これらの7個のピオルテオリン生合成タンパク質より、PltFは、CECT8538中にホモログを有し;幾つかの種/株のみで、PltA、PltB、PltC、PltE及びPltMは、CECT8538タンパク質と相同性を示し;PltGは本発明の株においてホモログを有しなかった。チオエステラーゼPltGは、おそらくは、ポリケチドアッセンブリの終了を担い、したがって、pltGの欠如は、CECT8538がピオルテオリンを合成することができないことを示唆する。
フェナジン-1-カルボン酸(PCA)等のフェナジン及びピオシアニンは、P.アエルギノーザ(P.aeruginosa)のビルレンス因子である。いずれも酸化物質依存性機構によって、好中球の炎症反応、並びにケモカイン(IL-8)及び接着分子(ICAM-1)のアップレギュレートを刺激する。ピオシアニンの生合成は、PCAをもたらすコアフェナジン生合成経路と、PCAのピオアニンンへの変換を可能とするピオシアニン特異的生合成反応との協働作用によって達成される。これら2つの反応セットは、2つのそれぞれのオペロンにコードされる酵素によって触媒される。phz遺伝子クラスターの5つの遺伝子-phzB/A(ケトステロイドイソメラーゼをコードする;phzAはphzBの非機能性コピーである)、phzD(イソコリスマターゼをコードする)、phzE(アントラニル酸(anthranylate)合成酵素に類似する)、phzF(トランス-2,3-ジヒドロ-3-ヒドロキシアントラニラートイソメラーゼをコードする)及びphzG(フラビン依存性オキシダーゼをコードする)-が、ピオシアニンの前駆物質であるPCAの生合成に必須である。さらに、PCAメチルトランスフェラーゼ及びフラビン依存性ヒドロキラーゼをそれぞれコードするphzM及びphzSの作用もまた、ピオシアニンの生合成に必須である。
NCBIデータベースでは、シュードモナス属菌に由来する数千ものPhzF配列が存在し、そのうち27個がP.プチダに対応する。CECT8538は、その他のP.プチダ株のものに対してPhzFコピーホモログを有し(表3)、CECT8538ゲノム配列から予測される遺伝子のin silico翻訳は、この株におけるphzFコピーの存在を予測した。
PhzA、PhzB及びPhzDに対するアクセッションに関して、探索は、P.プチダに対応するアクセッション、及びシュードモナス属菌(いずれもP.アエルギノーザに属する)における参照遺伝子に対応するものに限定された。P.プチダNJ-10 PhzDに対応するアクセッションは、CECT8538においてホモログを示し、同じものがP.アエルギノーザPAO1に由来するPhzDタンパク質で観察された。一方、PhzA及びPhzBは、CECT8538においてホモログを示さず、P.プチダFDAARGOSに由来する配列にも、P.アエルギノーザPAO1に由来する配列にもホモログを示さなかった。
PhzE、PhzG、PhzM及びPhzSのホモログは、どのP.プチダ株に由来するNCBIデータベースでも見られなかった。しかしながら、CECT8538はP.アエルギノーザPAO1 PhzE対して予測されたタンパク質ホモログを示し、2つのCECT8538タンパク質は、シュードモナス属菌においてPhzGに対して見つかった3つのアクセッションに相同性を示した。さらに、シュードモナス属菌に由来する2つの参照phzM遺伝子(いずれもP.アエルギノーザに属する)のいずれもがCECT8538にホモログを有しなかったのに対し、phzS参照遺伝子(これもP.アエルギノーザに由来する)は本発明の株にホモログを有した。ピオシアニン前駆物質であるPCAの生合成に不可欠なケトステロイドイソメラーゼであるPhzBの欠如、及びピオシアニンの生合成に必要なメチルトランスフェラーゼであるPhzMの欠如により、CECT8538はピオシアニンを合成することができないと推定される。
これらのデータはいずれも、HPLC解析が明らかにしたことを確認し、本発明の株がそれらの合成に必要な特定遺伝子の欠如のために幾つかの抗菌性代謝産物を産生することができないことを示す。これらの毒素を産生できないことは、ヒト病原体における抗生物質耐性の問題を説明することができ、本発明の株に対して、ヒト摂取を意図した植物を処理するために使用される適切なプロファイルを与える。
表3.ピロルニトリン、2,4-DAPG、ピオルテオリン、及びピオシアニン生合成酵素に対するホモログ
Figure 0007049689000003
a数字は、CECT8538中のホモログを含む配列の番号対シュードモナス属菌の配列検索の番号を示す。
bピオシアニンについて、数字は、CECT8538対P.プチダの配列検索においてホモログを含む配列の番号示す。括弧内は、CECT8538中のホモログを含む配列の番号対シュードモナス属菌に由来する参照遺伝子の番号を示す。
cNF:検出されず
実施例5.本発明の組成物の工業規模での産生。
本発明の株を含む組成物の工業規模での産生のため、液体培地中でF3-100型バイオリアクターを使用する下記の最適な発酵条件を使用することができるが、固体培地発酵に基づく技術も使用可能であり、それらはいずれも微生物産業で使用される標準法である。
最適条件を決定するため、28℃、pH7.0、pO2>50%rampにて、200rpm~400rpmで撹拌しながら、LB培地10Lを含むF1~F5のバイオリアクターを使用した。P.プチダCECT8538の対数培養物を5%体積/体積で接種し、バイオリアクターの操作パラメータをモニターし、増殖は12時間で静止期にて終了し、2.0×10CFU/mLの細胞濃度を得た。次いで、培養物を5000rpmにてHitachi CR22N遠心分離機で遠心分離して、細胞を無菌的に収集した。この工程の終わりに、バイオマスをバッファー500mlに再懸濁することによって濃縮し、約1リットルの2.0×1010CFU/mL濃縮物を得た。不活性の浸透圧保護剤である原料(1L)を後に濃縮物に添加し、72時間の標準条件のもとでHeto Power Dry LL 3000凍結乾燥装置で脱水し、1.0×1011CFU/gp.sの濃度で、乾燥重量約100g(50%の活性物質)を得た。かかる条件では、90%近い細胞生存率を有し、安定で、保管及び取り扱いが容易な製品が得られ、5×107CFU/mLの操作用量で、保護される作物植物に対してすぐに適用される約200Lの製品の調製を可能とする。その後、1年間超に亘ってその貯蔵寿命を維持する真空密封バッグで材料を包装し、4℃で保存した。
実施例6.株CECT8538の生物防除活性
実施例6A.ジャガイモ作物に対するエルウィニア・カロトボーラ・サブスピーシーズ.アトロセプチカに対する本発明の株の活性評価
バイオ殺菌剤活性を、研究室内の分析方法によって評価した(MA10“Determination of biocide or biostatic activity in vivo”、Futureco Bioscience)。
「軟腐病(bacteria soft rot)」として知られる細菌性疾患の病因である、エルウィニア・カロトボーラ・サブスピーシーズ.アトロセプチカ(ジャガイモ植物から単離された株DSM30184、DSMZドイツコレクション)に対するBCAシュードモナス・プチダ株CECT8538の拮抗活性を評価するため、独立した3つのバイオアッセイを、ジャガイモ塊茎を用いて立ち上げた。これらの試験のため、スペインで最も一般的な栽培種の1つであることから、ジャガイモ品種「ケネベック」を選択した。技術的等級の有効成分(TGAI;生細胞50%重量/重量と、スクロース50%重量/重量とで構成される凍結乾燥材料からなる)、水和剤製剤(WP;TGAI10%重量/重量と、沈降シリカシリカ(CAS1343-98-2)2%重量/重量と、カルボキシメチル(Carboximetil)セルロース(CAS9004-32-4)3%重量/重量と、ナフタレン(Naphtalene)及びアルキルナフタレンスルホン酸(alkyl naphtalene sulphonic acid)、ナトリウム塩(CAS68425-94-5)2%重量/重量と、2R)-3-(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-2-[2-メトキシ-4-(3-スルホプロピル)フェノキシ]プロパン-1-スルホン酸(CAS105859-97-0)0.5%重量/重量と、ベントナイト(モンモリロナイト型、CAS1302-78-9)82.5%重量/重量とで構成される)、及び油性分散性製剤(OD;TGAI10%重量/重量と、沈降シリカ(CAS1343-98-2)1%重量/重量と、トリメチルノニルポリエチレングリコール(CAS60828-78-6)20%重量/重量と、精製されたアマニ油(CAS68649-95-6)69%重量/重量とで構成される)として製剤化された異なる3つの組成物を評価した。
およそ(Approximatelly)2cm×2cmの発芽したジャガイモ塊茎を消毒し(市販の漂白液1.2%で5分間、次いで3回の蒸留水による洗浄)、播種し、4週間~5週間の間、成長チャンバー条件(Fitoclima20000、ARALAB;18℃~20℃;RH60%~70%、日:夜13時間:11時間、PAR270~300)で泥炭:バーミキュライト基質(1:1;体積/体積)上で成長させた。4週間後~5週間後に、土壌:泥炭:パーライトの基質(2:1:0.5;体積/体積)を含む1Lの植木鉢に実生苗を移した。1つの処理当たり3つの複製物、1つの複製物当たり4つの植物(1つの処理当たり12の植物)からなる乱塊法を行った。検査物質(TGAI、WP又はOD)を、各バイオアッセイを通して3回適用した。移植後24時間(病原体チャレンジの6日前)に種々の濃度の試験物質を含む20mLを基質に添加することによって、1回目の試験適用(A)を行った(表4を参照されたい)。移植後7日目に1つの植物当たり24時間の予備培養物に由来する病原体細菌懸濁液(2×109CFU/mL;4×10CFU/植物)20mLを添加することによって、病原体による接種を行った。1つの植物当たり20mLの速度で1回目の適用から1週間後及び2週間後に本発明の株を用いて、更に2回の適用(B及びC)を行った(B=7DAA;C=14DAA;DAAは「A処理後の日数」を意味する。3つのバイオアッセイにおいて、病原体に感染したが、本発明の株で処理しなかった対照を含んだ。
成長チャンバー条件(Fitoclima 20000,ARALAB)に4週間の間(20℃(日)、18℃(夜);HR60%~70%;日:夜13時間:11時間;PAR270~300)植物を維持し、毎日給水した。1L植木鉢への移植から22日後に、軟腐病の重症度(壊死性脈管病変としてのBSRのパーセンテージ)について植物を等級付けした。
最後の適用の7日後(7DAC、C処理後の日数)の茎の全長に対する、褐色腐朽の被害がある茎のパーセンテージを測定することにより、有効性を評価した。
有効性のパーセンテージをアボットの等式を使用して計算した:
Figure 0007049689000004
TR=処理したプロットに対する被害を受けた茎のパーセンテージ
UNTR=処理していないプロットに対する被害を受けた茎のパーセンテージ
表4.ジャガイモ植物栽培品種ケネベックに対するエルウィニア・カロトボーラ・サブスピーシーズ.アトロセプチカに対する有効性
Figure 0007049689000005
表に示されるように、本発明の株は、ジャガイモの作物をコロニー形成する能力を有し、細菌エルウィニア・カロトボーラ・サブスピーシーズ.アトロセプチカに対する生物防除剤として作用する。これらのデータは、本発明の株が、感染した植物をコロニー形成し、そこで細菌感染によって引き起こされる疾患を拮抗する能力を有することを示す。
実施例6B.シュードモナス・プチダ株CECT8538のin vitro抗真菌活性
本発明の株の生物防除能力を評価するため、汚染食物テクニックを使用して、真菌に対するその植物生病原性能力をin vitroで試験した。評価のため、8種の真菌を選択し、微生物コレクションから4種の株(ボトリチス・アクラダCECT 2851、リゾクトニア・ソラニDSMZ 63010、ピシウム・ウルチマムCECT 20902及びスクレロチニア・スクレロチオラムCECT 2822)を取得し、感染した植物から単離されたFutureco Bioscienceのカルチャーコレクションから4種の株(レタスから単離したスクレロチニア・スクレロチオラム株H24、ジャガイモから単離したコレトトリカム・コッコデス株H827、トマトから単離したフザリウム・オキシスポラム株H828、及びタマネギから単離したアルタナリア・ポリ株H830)を取得した。
上に言及されるように、真菌阻害試験を、汚染食物テクニックによって指定の植物病原体に対して行った。簡潔には、細菌を28℃及び200rpmにてLB培地で一晩培養した。この静置培養物から、2つの最終細菌濃度3×10CFUml-1及び3×10CFUml-1に達するように、温かいポテトデキストロース寒天(PDA)に生物防除剤CECT8538の溶液を無菌的にピペットで移した。その後、培地を9cmペトリ皿に注ぎ、固化させた後、菌糸体と汚染された培地とのより大きな接触を達成するため、病原体株の7日間培養物の活性な増殖エッジに由来する菌糸体を含有する寒天ディスク(直径6mm)を各プレートの中心に逆位置で置いた。各処理をそれぞれ3回反復して行った。プレートを26℃の暗所でインキュベートし、真菌コロニーの放射状の菌糸成長に続いて、異なる日により短い及びより長い半径を測定した。アッセイを、各病原体に対して少なくとも2回繰り返した。in vitroでのCECT8538の効果を、対照プレート(細菌補正のないPDA)と比較した。
本発明の株は、試験した全ての真菌性病原体に対して強い拮抗活性を示した(図2)。細菌を含むPDAで増殖する真菌と対照(PDAのみ)との間の増殖区域の違いを、3日間のインキュベーションの後に観察したところ、より高用量のCECT8538を使用した場合、この増殖阻害はより良好であった。
実施例6C.種々のP.プチダ株間のB.アクラダ拮抗活性の比較分析
ボトリチス・アクラダはタマネギ首腐れ病(onion neck rot)の原因物質の1つであり、より高い生産量喪失の原因となっている。B.アクラダ感染と関係する症状はタマネギを貯蔵する間に現われるが、感染は畑で起こる。WCS3558等の幾つかのP.プチダ株は、ブドウのような他の種類の果実作物に影響を及ぼすB・シネレアのようなその他のボトリチス種を阻害することができる。
本発明者らは、本発明の株がB.アクラダCECT2851の増殖(実施例6B)を阻害する能力を有していると同定したが、この能力が本発明の株に特異的であったかどうか、又はその他のP.プチダ株が同じ効果を有し得たのかどうかは明らかではなかった。それを判断するため、本発明の株及び参照P.プチダ株CECT324及びDSM6125(KT2440)を使用する比較分析を行った。
上に記載される通り、増殖阻害能力を汚染食物テクニックによって測定し、真菌の増殖を3日目、7日目及び10日目にモニターした(図3及び表5を参照されたい)。
表5は、P.プチダ株接種後10日目の最終結果を示す。本発明の株は、10日間のインキュベーションの後、B.アクラダの増殖に対して顕著な効果を維持した特有のP.プチダ株であった。また、参照株は、接種後3日目にB.アクラダの増殖を阻害する能力を有したが、それらは接種後7日目及び10日目に効果を失う(図3)。したがって、3つの試験した株は、上記アッセイの開始時に阻害効果を有したが、本発明の株のみがB.アクラダの増殖に対して長く続く効果を有した。さらに、本発明の株の量は比較株の量と同じ単位であり、本発明の株によって得られる阻害効果は著しく改善された。
表5.試験した種々のP.プチダ株によるB.アクラダの増殖阻害の比較分析
Figure 0007049689000006
引用文献一覧
1.Mora et al.,“Antimicrobial peptide genes in Bacillus strains from plant environments”,International Microbiology,2011,vol.14,pp.213-223
Figure 0007049689000007

Claims (12)

  1. アクセス番号CECT8538によりスペイン・タイプ・カルチャー・コレクション(CECT)に寄託されたシュードモナス・プチダ株又はその変異体であって、前記変異体の株がシュードモナス・プチダのCECT8538を使用して得られ、出発株の以下の特徴:
    -エルウィニア・カロトボーラ・サブスピーシーズ.アトロセプチカ、ボトリチス・アクラダ、ピシウム・ウルチマム、リゾクトニア・ソラニ、スクレロチニア・スクレロチオラム、コレトトリカム・コッコデス、フザリウム・オキシスポラム、及びアルタナリア・ポリに対する出発株の拮抗活性、並びに;
    -植物の地上部又は根においてコロニー形成する又は生存する能力、
    を維持する、シュードモナス・プチダ株又はその変異体。
  2. 植物における殺虫剤としての、請求項1に記載のシュードモナス・プチダ株CECT8538又はその変異体の使用。
  3. 植物において細菌又は真菌によって引き起こされる疾患の制御のための、請求項2に記載の使用。
  4. 請求項1に記載のシュードモナス・プチダ株CECT8538又はその変異体に由来する生細胞浮遊液を得る方法であって、(i)培養培地に前記株を接種する工程、及び(ii)前記工程(i)の接種された培養培地を、前記株の増殖に適した条件に供する工程を含む、方法。
  5. (iii)工程(ii)から得られた前記培養培地を濃縮工程に供する工程、を更に含む、請求項4に記載の方法
  6. 請求項1に記載のシュードモナス・プチダ株CECT8538若しくはその変異体、1又は複数の農業的に許容可能な化合物と、を含む、組成物。
  7. 前記1又は複数の農業的に許容可能な化合物が、植物強化剤、栄養素、湿潤剤、接着を改善する化合物、緩衝化合物、安定化剤、抗酸化剤、浸透圧保護剤、及び日焼け止めからなる群から選択される、請求項6に記載の組成物。
  8. 少なくとも1つの追加の殺虫剤を含む、請求項6~7のいずれかに記載の組成物。
  9. 前記追加の殺虫剤が、抗真菌及び/又は抗菌の活性を有する菌株、殺真菌剤、殺菌剤、除草剤、殺虫剤又は殺線虫剤からなる群から選択される、請求項8に記載の組成物。
  10. 植物における殺虫剤としての、請求項1に記載の本発明の株、又は請求項6~9のいずれかに記載の組成物の使用。
  11. 植物における真菌及び微生物の病原体の制御に対する、請求項10に記載の使用。
  12. 植物において細菌又は真菌の病原体によって引き起こされる感染を制御する方法であって、請求項1に記載の株若しくはその変異体、又は請求項6~9のいずれかに記載の組成物を、植物及び/又は種子の冒された部分、又は前記植物の成長に使用される基質若しくは土壌に対して適用することを含む、方法。
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