JP7048674B2 - 非水系電解液及び非水系電解液二次電池 - Google Patents
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Description
が検討されている。しかしながら、例えば電極の活物質層を加圧して高密度化するよう設計された電池では、電池の内部空隙が減少するため、電池慣らし運転の工程時間の短縮による皮膜形成の不均一性によって生じる問題が特に顕在化する傾向にある。
さらに、本発明の他の目的は、電池慣らし運転時の工程依存性が低減されることで、非水系電解液二次電池の入出力特性のみならず、充放電特性レート特性、インピーダンス特性、高温保存特性やサイクル特性といった耐久特性等をも向上させ得る、非水系電解液を提供することにある。また、本発明は、かかる非水系電解液を用いた生産性に優れる非水系電解液二次電池を提供することにある。
(1)ヘキサフルオロリン酸リチウムと、リチウムビスオキサラートボレートと、オキソフルオロリン酸塩とを含有する非水系電解液であって、さらに、(A)分子内にF-S結合を有する塩、(B)分子内にB-F結合を有する塩、及び(C)分子内にP-F結合を有する塩(但し、前記ヘキサフルオロリン酸リチウムと前記オキソフルオロリン酸塩を除く)からなる群より選択される1種以上を含有する非水系電解液。
(2)前記オキソフルオロリン酸塩が、LiPO2F2を含有する、上記(1)に記載の非水系電解液。
(3)前記(A)分子内にF-S結合を有する塩が、FSO3Li及び/又はLiN(SO2F)2を含有する、上記(1)又は(2)に記載の非水系電解液。
(4)前記(B)分子内にB-F結合を有する塩が、LiBF4及び/又はリチウムジフルオロオキサラートボレートを含有する、上記(1)~(3)のいずれか一項に記載の非水系電解液。
(5)前記(C)分子内にP-F結合を有する塩が、リチウムジフルオロオキサラートフォスフェート及び/又はリチウムテトラフルオロオキサラートフォスフェートを含有する、上記(1)~(4)のいずれか一項に記載の非水系電解液。
(6)不飽和結合及び/又はフッ素原子を含有するカーボネートが、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、エチニルエチレンカーボネート、及びフルオロエチレンカーボネートからなる群より選択される少なくとも一種を含有することを特徴とする、
上記(1)~(5)のいずれか一項に記載の非水系電解液。
(7)リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極及び正極、並びに上記(1)~(6)のいずれか1項に記載の非水系電解液を含む、非水系電解液二次電池。
(8)前記負極は、集電体上に負極活物質層を有し、前記負極活物質層は、ケイ素の単体金属、合金及び化合物、スズの単体金属、合金及び化合物、炭素質材料、並びにリチウムチタン複合酸化物からなる群より選択される少なくとも一種を含有することを特徴とする、上記(7)に記載の非水系電解液二次電池。
(9)前記正極は、集電体上に正極活物質層を有し、前記正極活物質層は、リチウム・コバルト複合酸化物、リチウム・コバルト・ニッケル複合酸化物、リチウム・マンガン複合酸化物、リチウム・コバルト・マンガン複合酸化物、リチウム・ニッケル複合酸化物、リチウム・ニッケル・マンガン複合酸化物、及びリチウム・コバルト・ニッケル・マンガン複合酸化物からなる群より選択される少なくとも一種を含有することを特徴とする、上記(7)又は(8)に記載の非水系電解液二次電池。
(10)前記正極は、集電体上に正極活物質層を有し、前記正極活物質層は、LixMPO4(Mは周期表の第4周期の4族~11族の遷移金属からなる群より選択される少なくとも一種の元素、xは0<x<1.2)を含有することを特徴とする、上記(7)又は(8)に記載の非水系電解液二次電池。
さくても大きくても、入出力特性及び生産性に優れる非水系電解液二次電池を提供することができる。すなわち、本発明によれば、幅広い条件下で電池慣らし運転を行うことが可能となり、例えば電池慣らし運転を短時間で行うことができる。
また、本発明の好ましい態様によれば、入出力特性のみならず、インピーダンス特性や充放電レート特性等に優れ、さらには高温保存特性やサイクル特性といった耐久特性等にも優れる非水系電解液二次電池を実現可能な非水系電解液を提供することができる。また、この非水系電解液を用いた非水系電解液二次電池を提供できることができる。
<1-1.特定の電解質>
本発明の非水系電解液は、ヘキサフルオロリン酸リチウム(以下、「LiPF6」、「リチウムヘキサフルオロフォスフェート」等と記載することもある。)と、リチウムビスオキサラートボレート(以下、「LiBOB」と記載することもある。)と、オキソフルオロリン酸塩とを含有する非水系電解液中であって、さらに、(A)分子内にF-S結合を有する塩、(B)分子内にB-F結合を有する塩、及び(C)分子内にP-F結合を有する塩(但し、前記ヘキサフルオロリン酸リチウムと前記オキソフルオロリン酸塩を除く)からなる群より選択される1種以上を含有する。
本発明の非水系電解液においては、LiPF6を主たる電解質として用いることが好ましい。非水系電解液中のLiPF6の含有量は、本発明の効果を著しく損なわない限り、特に限定されない。具体的には、LiPF6のモル含有量の下限値としては、0.5mol/L以上であることが好ましく、0.6mol/L以上であることがより好ましく、0.7mol/L以上であることがさらに好ましい。また、上限値としては、3.0mol/L以下であることが好ましく、2.0mol/L以下であることがより好ましく、1.5mol/L以下であることが特に好ましい。またLiPF6の濃度範囲としては、0.5mol/L以上3.0mol/L以下であることが好ましく、0.5mol/L以上2.0mol/L以下であることがより好ましく、0.5mol/L以上1.5mol/L以下であることがさらに好ましい。
本発明の非水系電解液においては、LiBOBは副たる電解質として用いることが好ましい。LiBOBの含有量は、本発明の効果を著しく損なわない限り、特に限定されない。具体的には、LiBOBの含有量の下限値としては、非水系電解液の総量を基準として0.01質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上であることがさらに好ましい。また、上限値としては、非水系電解液の総量を基準として3質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましく、1.7質量%以下であることがさらに好ましい。
池耐久性の向上効果がさらに発現され易くなる。
本発明の非水系電解液において用いるオキソフルオロリン酸塩としては、Li2PO3F、LiPO2F2、NaPO2F2、KPO2F2等が挙げられるが、これらに特に限定されない。オキソフルオロリン酸塩は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記の非水系電解液、および非水系電解液電池中におけるオキソフルオロリン酸塩の含有量を測定する手法としては、特に制限がなく、公知の手法であれば任意に用いることができる。具体的には、イオンクロマトグラフィーや、19F核磁気共鳴分光法(以下、「NMR」と称する場合がある。)等が挙げられる。
本発明で用いる(A)の塩としては、分子内にF-S結合を有する塩であれば特に制限は無く、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意のものを用いることができる。例えば、
FSO3Li、FSO3Na、FSO3K、FSO3(CH3)4N、FSO3(C2H5)4N、FSO3(n-C4H9)4N等のフルオロスルホン酸塩類;
LiN(FSO2)2、LiN(FSO2)(CF3SO2)、等のフルオロスルホニルイミド塩類;
LiC(FSO2)3等のフルオロスルホニルメチド塩類;
等が挙げられるが、これらに特に限定されない。(A)の塩は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明で用いる(B)の塩としては、分子内にB-F結合を有する塩であれば特に制限は無く、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意のものを用いることができる。例えば、
LiBF4、LiBF3CF3、LiBF3C2F5、LiBF3C3F7、LiBF2(CF3)2、LiBF2(C2F5)2、LiBF2(CF3SO2)2、LiBF2(C2F5SO2)2、リチウムジフルオロオキサラートボレート等が挙げられるが、これらに特に限定されない。(B)の塩は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明で用いる(C)の塩としては、分子内にP-F結合を有する塩であって、ヘキサフルオロリン酸リチウム及びオキソフルオロリン酸塩以外であれば特に制限は無く、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意のものを用いることができる。例えば、
LiPF2(CF3)4、LiPF2(C2F5)4、LiPF3(CF3)3、LiPF3(C2F5)3、LiPF4(CF3)2、LiPF4(C2F5)2、リチウムジフルオロビスオキサラートフォスフェート、ナトリウムジフルオロビスオキサラートフ
ォスフェート、カリウムジフルオロビスオキサラートフォスフェート、リチウムテトラフルオロオキサラートフォスフェート、ナトリウムテトラフルオロオキサラートフォスフェート、カリウムテトラフルオロオキサラートフォスフェート等が挙げられるが、これらに特に限定されない。(C)の塩は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
LiBOB、オキソフルオロリン酸(A)の塩、(B)の塩及び(C)の塩の合計量は、本発明の効果を著しく損なわない限り特に限定されない。具体的には、LiBOB、オキソフルオロリン酸塩及び(A)の塩、(B)の塩及び(C)の塩の合計量の下限値としては、非水系電解液の総量を基準として、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上であることがさらに好ましい。また、上限値としては、非水系電解液の総量を基準として、8質量%以下であることが好ましく、7質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましい。LiBOB、オキソフルオロリン酸塩及び(A)の塩、(B)の塩及び(C)の塩の合計量が上記好ましい範囲内であると、初期入出力、ハイレート充放電特性、高温保存後及びサイクル後の入出力を向上させる効果がさらに発現され易くなる。
また、LiPF6のモル濃度(mol/L)を[X]とし、LiBOB、オキソフルオロリン酸塩、(A)の塩、(B)の塩及び(C)の塩の合計量(質量%)を[Y]としたとき、[X]/[Y]の値は、本発明の効果を著しく損なわない限り特に限定されないが、0.12以上が好ましく、0.15以上がより好ましく、0.2以上がさらに好ましく、一方、3以下が好ましく、2以下がより好ましく、1以下がさらに好ましい。
さらに、LiBOBの質量%を[M]とし、オキソフルオロリン酸塩、(A)の塩、(B)の塩及び(C)の塩の合計量(質量%)を[N]としたとき、[M]/[N]の値は、本発明の効果を著しく損なわない限り特に限定されないが、0.05以上が好ましく、0.07以上がより好ましく、0.1以上が更に好ましく、一方、5以下が好ましく、2以下がより好ましく、1.5以下が更に好ましい。
[X]/[Y]の値や[M]/[N]の値が、上記の好ましい範囲内であると、LiPF6によるイオン輸送性能と、LiBOB、オキソフルオロリン酸塩、(A)の塩、(B)の塩及び(C)の塩に由来する皮膜抵抗のバランスが向上し、初期入出力、ハイレート充放電特性、高温保存後及びサイクル後の入出力を向上させる効果がさらに発現され易くなる。
<1-2-1.特定の電解質以外のリチウム塩>
本発明における非水系電解液は、電解質として、前記特定の電解質以外のリチウム塩(以下、「その他のリチウム塩」ともいう。)を1種以上含有することができる。その他のリチウム塩としては、この種の用途に用いられているものであれば、特に制限はない。具体的には、以下のものが挙げられる。その他のリチウム塩は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
LiWOF5等のタングステン酸リチウム塩類;
HCO2Li、CH3CO2Li、CH2FCO2Li、CHF2CO2Li、CF3CO2Li、CF3CH2CO2Li、CF3CF2CO2Li、CF3CF2CF2CO2Li、CF3CF2CF2CF2CO2Li等のカルボン酸リチウム塩類;
CH3SO3Li、CH2FSO3Li、CHF2SO3Li、CF3SO3Li、CF3CF2SO3Li、CF3CF2CF2SO3Li、CF3CF2CF2CF2SO3Li、CH3SO3Na、CF3SO3Na、CH3SO3K、CF3SO3K等のスルホン酸リチウム塩類;
LiN(FCO2)2、LiN(CF3CO2)2、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、リチウム環状1,2-パーフルオロエタンジスルホニルイミド、リチウム環状1,3-パーフルオロプロパンジスルホニルイミド、LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)等のリチウムイミド塩類;
LiC(CF3SO2)3、LiC(C2F5SO2)3等のリチウムメチド塩類;
等が挙げられるが、これらに特に限定されない。
本発明の非水系電解液は、一般的な非水系電解液と同様、通常はその主成分として、上述した電解質を溶解する非水溶媒を含有する。ここで用いる非水溶媒について特に制限はなく、公知の有機溶媒を用いることができる。有機溶媒としては、飽和環状カーボネート、鎖状カーボネート、鎖状カルボン酸エステル、環状カルボン酸エステル、エーテル系化合物、スルホン系化合物等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
飽和環状カーボネートとしては、炭素数2~4のアルキレン基を有するものが挙げられる。
鎖状カーボネートとしては、炭素数3~7のものが好ましい。
鎖状カーボネートとしては、フッ素化ジメチルカーボネート誘導体、フッ素化エチルメチルカーボネート誘導体、フッ素化ジエチルカーボネート誘導体等が挙げられる。
鎖状カルボン酸エステルとしては、その構造式中の全炭素数が3~7のものが挙げられる。
環状カルボン酸エステルとしては、その構造式中の全炭素原子数が3~12のものが挙げられる。
エーテル系化合物としては、炭素数3~10の鎖状エーテル、及び炭素数3~6の環状エーテルが好ましい。
ピルエーテル、エチル(3-フルオロ-n-プロピル)エーテル、エチル(3,3,3-トリフルオロ-n-プロピル)エーテル、エチル(2,2,3,3-テトラフルオロ-n-プロピル)エーテル、エチル(2,2,3,3,3-ペンタフルオロ-n-プロピル)エーテル、2-フルオロエチル-n-プロピルエーテル、(2-フルオロエチル)(3-フルオロ-n-プロピル)エーテル、(2-フルオロエチル)(3,3,3-トリフルオロ-n-プロピル)エーテル、(2-フルオロエチル)(2,2,3,3-テトラフルオロ-n-プロピル)エーテル、(2-フルオロエチル)(2,2,3,3,3-ペンタフルオロ-n-プロピル)エーテル、2,2,2-トリフルオロエチル-n-プロピルエーテル、(2,2,2-トリフルオロエチル)(3-フルオロ-n-プロピル)エーテル、(2,2,2-トリフルオロエチル)(3,3,3-トリフルオロ-n-プロピル)エーテル、(2,2,2-トリフルオロエチル)(2,2,3,3-テトラフルオロ-n-プロピル)エーテル、(2,2,2-トリフルオロエチル)(2,2,3,3,3-ペンタフルオロ-n-プロピル)エーテル、1,1,2,2-テトラフルオロエチル-n-プロピルエーテル、(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)(3-フルオロ-n-プロピル)エーテル、(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)(3,3,3-トリフルオロ-n-プロピル)エーテル、(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)(2,2,3,3-テトラフルオロ-n-プロピル)エーテル、(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)(2,2,3,3,3-ペンタフルオロ-n-プロピル)エーテル、ジ-n-プロピルエーテル、(n-プロピル)(3-フルオロ-n-プロピル)エーテル、(n-プロピル)(3,3,3-トリフルオロ-n-プロピル)エーテル、(n-プロピル)(2,2,3,3-テトラフルオロ-n-プロピル)エーテル、(n-プロピル)(2,2,3,3,3-ペンタフルオロ-n-プロピル)エーテル、ジ(3-フルオロ-n-プロピル)エーテル、(3-フルオロ-n-プロピル)(3,3,3-トリフルオロ-n-プロピル)エーテル、(3-フルオロ-n-プロピル)(2,2,3,3-テトラフルオロ-n-プロピル)エーテル、(3-フルオロ-n-プロピル)(2,2,3,3,3-ペンタフルオロ-n-プロピル)エーテル、ジ(3,3,3-トリフルオロ-n-プロピル)エーテル、(3,3,3-トリフルオロ-n-プロピル)(2,2,3,3-テトラフルオロ-n-プロピル)エーテル、(3,3,3-トリフルオロ-n-プロピル)(2,2,3,3,3-ペンタフルオロ-n-プロピル)エーテル、ジ(2,2,3,3-テトラフルオロ-n-プロピル)エーテル、(2,2,3,3-テトラフルオロ-n-プロピル)(2,2,3,3,3-ペンタフルオロ-n-プロピル)エーテル、ジ(2,2,3,3,3-ペンタフルオロ-n-プロピル)エーテル、ジ-n-ブチルエーテル、ジメトキシメタン、メトキシエトキシメタン、メトキシ(2-フルオロエトキシ)メタン、メトキシ(2,2,2-トリフルオロエトキシ)メタンメトキシ(1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ)メタン、ジエトキシメタン、エトキシ(2-フルオロエトキシ)メタン、エトキシ(2,2,2-トリフルオロエトキシ)メタン、エトキシ(1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ)メタン、ジ(2-フルオロエトキシ)メタン、(2-フルオロエトキシ)(2,2,2-トリフルオロエトキシ)メタン、(2-フルオロエトキシ)(1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ)メタンジ(2,2,2-トリフルオロエトキシ)メタン、(2,2,2-トリフルオロエトキシ)(1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ)メタン、ジ(1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ)メタン、ジメトキシエタン、メトキシエトキシエタン、メトキシ(2-フルオロエトキシ)エタン、メトキシ(2,2,2-トリフルオロエトキシ)エタン、メトキシ(1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ)エタン、ジエトキシエタン、エトキシ(2-フルオロエトキシ)エタン、エトキシ(2,2,2-トリフルオロエトキシ)エタン、エトキシ(1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ)エタン、ジ(2-フルオロエトキシ)エタン、(2-フルオロエトキシ)(2,2,2-トリフルオロエトキシ)エタン、(2-フルオロエトキシ)(1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ)エタン、ジ(2,2,2-トリフルオロエトキシ)エタン、(2,2,2-トリフルオロエトキシ)(1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ)エタン、ジ(1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ)エタン、エチレングリコー
ルジ-n-プロピルエーテル、エチレングリコールジ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
これらの中でも、ジメトキシメタン、ジエトキシメタン、エトキシメトキシメタン、エチレングリコールジ-n-プロピルエーテル、エチレングリコールジ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルが、リチウムイオンへの溶媒和能力が高く、イオン解離性を向上させる点で好ましい。特に好ましくは、粘性が低く、高いイオン伝導度を与えることから、ジメトキシメタン、ジエトキシメタン、エトキシメトキシメタンである。
スルホン系化合物としては、炭素数3~6の環状スルホン、及び炭素数2~6の鎖状スルホンが好ましい。1分子中のスルホニル基の数は、1又は2であることが好ましい。
ホラン、5-フルオロ-3-(トリフルオロメチル)スルホラン等がイオン伝導度が高く入出力が高い点で好ましい。
<1-4-1.不飽和結合及び/又はフッ素原子を含有する環状カーボネート>
本発明の非水系電解液は、さらに、炭素-炭素不飽和結合を有する環状カーボネート(以下、「不飽和環状カーボネート」と略記する場合がある。)、及び/又はフッ素原子を含有する環状カーボネートを含有していてもよい。さらにまた、任意成分として、その他の成分(添加剤等)を含有していてもよい。任意成分としては、フッ素化不飽和環状カーボネート、環状スルホン酸エステル化合物、シアノ基を有する化合物、ジイソシアナト化合物、カルボン酸無水物、過充電防止剤、これら以外の助剤等が挙げられる。以下、これ
らについて詳述する。
ーボネート誘導体としては、例えば、エチレンカーボネート又はアルキル基(例えば、炭素原子数1~4個のアルキル基)で置換されたエチレンカーボネートのフッ素化物が挙げられ、中でもフッ素原子が1~8個のものが好ましい。
尚、フッ素化環状カーボネートは、該非水系電解液の主たる溶媒として用いても、副たる溶媒として用いても良い。主たる溶媒として用いる場合のフッ素化環状カーボネートの含有量は、非水系電解液100質量%中、通常8質量%以上であり、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは12質量%以上であり、また、通常85質量%以下であり、好ましくは80質量%以下であり、より好ましくは75質量%以下である。この範囲であれば、非水系電解液二次電池が十分なサイクル特性向上効果を発現しやすく、放電容量維持率が低下することを回避しやすい。また、副たる溶媒として用いる場合のフッ素化環状カーボネートの含有量は、非水系電解液100質量%中、通常0.001質量%以上であり、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上であり、また、通常8質量%以下であり、好ましくは6質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下である。この範囲であれば、非水系電解液二次電池が十分な入出力特性や充放電レート特性を発現しやすい。
フッ素化環状カーボネートとして、不飽和結合とフッ素原子とを有する環状カーボネート(以下、「フッ素化不飽和環状カーボネート」と略記する場合がある。)を用いることができる。フッ素化不飽和環状カーボネートは、特に制限されない。中でもフッ素原子が1個又は2個のものが好ましい。フッ素化不飽和環状カーボネートの製造方法は、特に制限されず、公知の方法を任意に選択して製造することが可能である。
本発明の非水系電解液において、用いることができる環状スルホン酸エステル化合物としては、特にその種類は限定されないが、下記一般式(1)で表される化合物が好ましい。環状スルホン酸エステル化合物の製造方法は、特に制限されず、公知の方法を任意に選択して製造することが可能である。
ここで、R5およびR6は、好ましくは炭素原子、水素原子、酸素原子、硫黄原子からなる原子で構成された有機基であることが好ましく、中でも炭素数1~3の炭化水素基、-O-SO2-を有する有機基であることが好ましい。
1,3-プロパンスルトン、1-フルオロ-1,3-プロパンスルトン、2-フルオロ-1,3-プロパンスルトン、3-フルオロ-1,3-プロパンスルトン、1-メチル-1,3-プロパンスルトン、2-メチル-1,3-プロパンスルトン、3-メチル-1,3-プロパンスルトン、1-プロペン-1,3-スルトン、2-プロペン-1,3-スルトン、1-フルオロ-1-プロペン-1,3-スルトン、2-フルオロ-1-プロペン-1,3-スルトン、3-フルオロ-1-プロペン-1,3-スルトン、1-フルオロ-2-プロペン-1,3-スルトン、2-フルオロ-2-プロペン-1,3-スルトン、3-フルオロ-2-プロペン-1,3-スルトン、1-メチル-1-プロペン-1,3-スルトン、2-メチル-1-プロペン-1,3-スルトン、3-メチル-1-プロペン-1,3-スルトン、1-メチル-2-プロペン-1,3-スルトン、2-メチル-2-プロペン-1,3-スルトン、3-メチル-2-プロペン-1,3-スルトン、1,4-ブタンスルトン、1-フルオロ-1,4-ブタンスルトン、2-フルオロ-1,4-ブタンスルトン、3-フルオロ-1,4-ブタンスルトン、4-フルオロ-1,4-ブタンスルトン、1-メチル-1,4-ブタンスルトン、2-メチル-1,4-ブタンスルトン、3-メチル-1,4-ブタンスルトン、4-メチル-1,4-ブタンスルトン、1-ブテン-1,4-スルトン、2-ブテン-1,4-スルトン、3-ブテン-1,4-スルトン、1-フルオロ-1-ブテン-1,4-スルトン、2-フルオロ-1-ブテン-1,4-スルトン、3-フルオロ-1-ブテン-1,4-スルトン、4-フルオロ-1-ブテン-1,4-スルトン、1-フルオロ-2-ブテン-1,4-スルトン、2-フルオロ-2-ブテン-1,4-スルトン、3-フルオロ-2-ブテン-1,4-スルトン、4-フルオロ-2-ブテン-1,4-スルトン、1-フルオロ-3-ブテン-1,4-スルトン、2-フルオロ-3-ブテン-1,4-スルトン、3-フルオロ-3-ブテン-1,4-スルトン、4-フルオロ-3-ブテン-1,4-スルトン、1-メチル-1-ブテン-1,4-スルトン、2-メチル-1-ブテン-1,4-スルトン、3-メチル-1-ブテン-1,4-スルトン、4-メチル-1-ブテン-1,4-スルトン、1-メチル-2-ブテン-1,4-スルトン、2-メチル-2-ブテン-1,4-スルトン、3-メチル-2-ブテン-1,4-スルトン、4-メチル-2-ブテン-1,4-スルトン、1-メチル-3-ブテン-1,4-スルトン、2-メチル-3-ブテン-1,4-スルトン、3-メチル-3-ブテン-1,4-スルトン、4-メチル-3-ブテン-1,4-スルトン、1,5-ペンタンスルトン、1-フルオロ-1,5-ペンタンスルトン、2-フルオロ-1,5-ペンタンスルトン、3-フルオロ-1,5-ペンタンスルトン、4-フルオロ-1,5-ペンタンスルトン、5-フルオロ-1,5-ペンタンスルトン、1-メチル-1,5-ペンタンスルトン、2-メチル-1,5-ペンタンスルトン、3-メチル-1,5-ペンタンスルトン、4-メチル-1,5-ペンタンスルトン、5-メチル-1,5-ペンタンスルトン、1-ペンテン-1,5-スルトン、2-ペンテン-1,5-スルトン、3-ペンテン-1,5-スルトン、4-ペンテン-1,5-スルトン、1-フルオロ-1-ペンテン-1,5-スルトン、2-フルオロ-1-ペンテン-1,5-スルトン、3-フルオロ-1-ペンテン-1,5-スルトン、4-フルオロ-1-ペンテン-1,5-スルトン、5-フルオロ-1-ペンテン-1,5-スルトン、1-フルオロ-2-ペンテン-1,5-スルトン、2-フルオロ-2-ペンテン-1,5-スルトン、3-フルオロ-2-ペンテン-1,5-スルトン、4-フルオロ-2-ペンテン-1,5-スルトン、5-フルオロ-2-ペンテン-1,5-スルトン、1-フルオロ-3-ペンテン-1,5-スルトン、2-フルオロ-3-ペンテン-1,5-スルトン、3-フルオロ-3-ペンテン-1,5-
スルトン、4-フルオロ-3-ペンテン-1,5-スルトン、5-フルオロ-3-ペンテン-1,5-スルトン、1-フルオロ-4-ペンテン-1,5-スルトン、2-フルオロ-4-ペンテン-1,5-スルトン、3-フルオロ-4-ペンテン-1,5-スルトン、4-フルオロ-4-ペンテン-1,5-スルトン、5-フルオロ-4-ペンテン-1,5-スルトン、1-メチル-1-ペンテン-1,5-スルトン、2-メチル-1-ペンテン-1,5-スルトン、3-メチル-1-ペンテン-1,5-スルトン、4-メチル-1-ペンテン-1,5-スルトン、5-メチル-1-ペンテン-1,5-スルトン、1-メチル-2-ペンテン-1,5-スルトン、2-メチル-2-ペンテン-1,5-スルトン、3-メチル-2-ペンテン-1,5-スルトン、4-メチル-2-ペンテン-1,5-スルトン、5-メチル-2-ペンテン-1,5-スルトン、1-メチル-3-ペンテン-1,5-スルトン、2-メチル-3-ペンテン-1,5-スルトン、3-メチル-3-ペンテン-1,5-スルトン、4-メチル-3-ペンテン-1,5-スルトン、5-メチル-3-ペンテン-1,5-スルトン、1-メチル-4-ペンテン-1,5-スルトン、2-メチル-4-ペンテン-1,5-スルトン、3-メチル-4-ペンテン-1,5-スルトン、4-メチル-4-ペンテン-1,5-スルトン、5-メチル-4-ペンテン-1,5-スルトンなどのスルトン化合物;
,3-トリオキシド、1,2,4-オキサチアホスラン-2,2-ジオキシド、4-メチル-1,2,4-オキサチアホスラン-2,2-ジオキシド、4-メチル-1,2,4-オキサチアホスラン-2,2,4-トリオキシド、4-メトキシ-1,2,4-オキサチアホスラン-2,2,4-トリオキシド、1,2,5-オキサチアホスラン-2,2-ジオキシド、5-メチル-1,2,5-オキサチアホスラン-2,2-ジオキシド、5-メチル-1,2,5-オキサチアホスラン-2,2,5-トリオキシド、5-メトキシ-1,2,5-オキサチアホスラン-2,2,5-トリオキシド、1,2,3-オキサチアホスフィナン-2,2-ジオキシド、3-メチル-1,2,3-オキサチアホスフィナン-2,2-ジオキシド、3-メチル-1,2,3-オキサチアホスフィナン-2,2,3-トリオキシド、3-メトキシ-1,2,3-オキサチアホスフィナン-2,2,3-トリオキシド、1,2,4-オキサチアホスフィナン-2,2-ジオキシド、4-メチル-1,2,4-オキサチアホスフィナン-2,2-ジオキシド、4-メチル-1,2,4-オキサチアホスフィナン-2,2,3-トリオキシド、4-メチル-1,5,2,4-ジオキサチアホスフィナン-2,4-ジオキシド、4-メトキシ-1,5,2,4-ジオキサチアホスフィナン-2,4-ジオキシド、3-メトキシ-1,2,4-オキサチアホスフィナン-2,2,3-トリオキシド、1,2,5-オキサチアホスフィナン-2,2-ジオキシド、5-メチル-1,2,5-オキサチアホスフィナン-2,2-ジオキシド、5-メチル-1,2,5-オキサチアホスフィナン-2,2,3-トリオキシド、5-メトキシ-1,2,5-オキサチアホスフィナン-2,2,3-トリオキシド、1,2,6-オキサチアホスフィナン-2,2-ジオキシド、6-メチル-1,2,6-オキサチアホスフィナン-2,2-ジオキシド、6-メチル-1,2,6-オキサチアホスフィナン-2,2,3-トリオキシド、6-メトキシ-1,2,6-オキサチアホスフィナン-2,2,3-トリオキシドどの含リン化合物;
等が挙げられる。
1,3-プロパンスルトン、1-フルオロ-1,3-プロパンスルトン、2-フルオロ-1,3-プロパンスルトン、3-フルオロ-1,3-プロパンスルトン、1-プロペン-1,3-スルトン、1-フルオロ-1-プロペン-1,3-スルトン、2-フルオロ-1-プロペン-1,3-スルトン、3-フルオロ-1-プロペン-1,3-スルトン、1,4-ブタンスルトン、メチレンメタンジスルホネート、エチレンメタンジスルホネートが保存特性向上の点から好ましく、1,3-プロパンスルトン、1-フルオロ-1,3-プロパンスルトン、2-フルオロ-1,3-プロパンスルトン、3-フルオロ-1,3-プロパンスルトン、1-プロペン-1,3-スルトンがより好ましい。
本発明の非水系電解液において、用いることができるシアノ基を有する化合物としては、分子内にシアノ基を有している化合物であれば特にその種類は限定されないが、下記一般式(2)で表される化合物がより好ましい。シアノ基を有する化合物の製造方法は、特に制限されず、公知の方法を任意に選択して製造することが可能である。
アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、バレロニトリル、イソバレロニトリル、ラウロニトリル2-メチルブチロニトリル、トリメチルアセトニトリル、ヘキサンニトリル、シクロペンタンカルボニトリル、シクロヘキサンカルボニトリル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、クロトノニトリル、3-メチルクロトノニトリル、2-メチル-2-ブテン二トリル、2-ペンテンニトリル、2-メチル-2-ペンテンニトリル、3-メチル-2-ペンテンニトリル、2-ヘキセンニトリル、フルオロアセトニトリル、ジフルオロアセトニトリル、トリフルオロアセトニトリル、2-フルオロプロピオニトリル、3-フルオロプロピオニトリル、2,2-ジフルオロプロピオニトリル、2,3-ジフルオロプロピオニトリル、3,3-ジフルオロプロピオニトリル、2,2,3-トリフルオロプロピオニトリル、3,3,3-トリフルオロプロピオニトリル、3,3’-オキシジプロピオニトリル、3,3’-チオジプロピオニトリル、1,2,3-プロパントリカルボニトリル、1,3,5-ペンタントリカルボニトリル、ペンタフルオロプロピオニトリル等のシアノ基を1つ有する化合物;
ド、ブタンスルホニルシアニド、ペンタンスルホニルシアニド、ヘキサンスルホニルシアニド、ヘプタンスルホニルシアニド、メチルスルフロシアニダート、エチルスルフロシアニダート、プロピルスルフロシアニダート、ブチルスルフロシアニダート、ペンチルスルフロシアニダート、ヘキシルスルフロシアニダート、ヘプチルスルフロシアニダートなどの含硫黄化合物;
等が挙げられる。
アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、バレロニトリル、イソバレロニトリル、ラウロニトリル、クロトノニトリル、3‐メチルクロトノニトリル、マロノニトリル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、ピメロニトリル、スベロニトリル、アゼラニトリル、セバコニトリル、ウンデカンジニトリル、ドデカンジニトリルが保存特性向上の点から好ましく、マロノニトリル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、ピメロニトリル、スベロニトリル、アゼラニトリル、セバコニトリル、ウンデカンジニトリル、ドデカンジニトリル等のシアノ基を2つ有する化合物がより好ましい。
本発明の非水系電解液において、用いることができるジイソシアネート化合物としては、分子内に、窒素原子をイソシアナト基にのみ有し、また、イソシアナト基を2つ有していて、下記一般式(3)で表される化合物が好ましい。
極上での副反応が起こりにくく、その結果サイクル特性ならびに高温保存特性が向上する。ここで、シクロアルキレン基あるいは芳香族炭化水素基に結合する基の結合部位は特段限定されず、メタ位、パラ位、オルト位のいずれであってもよいが、メタ位又はパラ位が、皮膜間架橋距離が適切となることでリチウムイオン伝導性に有利となり、抵抗を低下させやすいために好ましい。また、シクロアルキレン基はシクロペンチレン基又はシクロへキシレン基であることが、ジイソシアネート化合物自体が副反応を起こしにくい観点で好ましく、シクロへキシレン基であることが、分子運動性の影響により抵抗を低下させやすいことからより好ましい。
1,2-ジイソシアナトシクロペンタン、1,3-ジイソシアナトシクロペンタン、1,2-ジイソシアナトシクロヘキサン、1,3-ジイソシアナトシクロヘキサン、1,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、1,2-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン-2,2’-ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-2,4’-ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-3,3’-ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、等のシクロアルカン環含有ジイソシアネート類;
1,2-フェニレンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、トリレン-2,3-ジイソシアネート、トリレン-2,4-ジイソシアネート、トリレン-2,5-ジイソシアネート、トリレン-2,6-ジイソシアネート、トリレン-3,4-ジイソシアネート、トリレン-3,5-ジイソシアネート、1,2-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、1,3-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、1,4-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、2,4-ジイソシアナトビフェニル、2,6-ジイソシアナトビフェニル、2,2’-ジイソシアナトビフェニル、3,3’-ジイソシアナトビフェニル、4,4’-ジイソシアナト-2-メチルビフェニル、4,4’-ジイソシアナト-3-メチルビフェニル、4,4’-ジイソシアナト-3,3’-ジメチルビフェニル、4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタン、4,4’-ジイソシアナト-2-メチルジフェニルメタン、4,4’-ジイソシアナト-3-メチルジフェニルメタン、4,4’-ジイソシアナト-3,3’-ジメチルジフェニルメタン、1,5-ジイソシアナトナフタレン、1,8-ジイソシアナトナフタレン、2,3-ジイソシアナトナフタレン、1,5-ビス(イソシアナトメチル)ナフタレン、1,8-ビス(イソシアナトメチル)ナフタレン、2,3-ビス(イソシアナトメチル)ナフタレン等の芳香環含有ジイソシアネート類;
などが挙げられる。
1,2-ジイソシアナトシクロペンタン、1,3-ジイソシアナトシクロペンタン、1
,2-ジイソシアナトシクロヘキサン、1,3-ジイソシアナトシクロヘキサン、1,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、1,2-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,2-フェニレンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、1,2-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、1,3-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、1,4-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、2,4-ジイソシアナトビフェニル、2,6-ジイソシアナトビフェニル
が、負極上により緻密な複合的な皮膜が形成され、その結果、電池耐久性が向上するため、好ましい。
1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、1,2-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、1,3-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、1,4-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン
が、その分子の対称性から負極上にリチウムイオン伝導性に有利な皮膜が形成され、その結果、電池特性がさらに向上するため、より好ましい。
本発明の非水系電解液において、用いることができるカルボン酸無水物としては、下記一般式(4)で表される化合物が好ましい。カルボン酸無水物の製造方法は、特に制限されず、公知の方法を任意に選択して製造することが可能である。
炭化水素基とが結合したものであってもよい。脂肪族炭化水素基は、飽和炭化水素基であってもよく、不飽和結合(炭素-炭素二重結合又は炭素-炭素三重結合)を含んでいてもよい。また、脂肪族炭化水素基は、鎖状であっても環状であってもよく、鎖状の場合は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。さらには、鎖状と環状とが結合したものであってもよい。なお、R1及びR2は互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
ル)アクリル酸無水物、2,3-ビス(トリフルオロメチル)アクリル酸無水物、2,3,3-トリス(トリフルオロメチル)アクリル酸無水物、2-(4-フルオロフェニル)アクリル酸無水物、3-(4-フルオロフェニル)アクリル酸無水物、2,3-ビス(4-フルオロフェニル)アクリル酸無水物、3,3-ビス(4-フルオロフェニル)アクリ
ル酸無水物、2-フルオロ-3-ブテン酸無水物、2,2-ジフルオロ-3-ブテン酸無水物、3-フルオロ-2-ブテン酸無水物、4-フルオロ-3-ブテン酸無水物、3,4-ジフルオロ-3-ブテン酸無水物、3,3,4-トリフルオロ-3-ブテン酸無水物等、及びそれらの類縁体などが挙げられる。
無水物、などが挙げられる。
無水酢酸、プロピオン酸無水物、2-メチルプロピオン酸無水物、シクロペンタンカルボン酸無水物、シクロヘキサンカルボン酸無水物等、アクリル酸無水物、2-メチルアクリル酸無水物、3-メチルアクリル酸無水物、2,3-ジメチルアクリル酸無水物、3,3-ジメチルアクリル酸無水物、3-ブテン酸無水物、2-メチル-3-ブテン酸無水物、プロピン酸無水物、2-ブチン酸無水物、安息香酸無水物、2-メチル安息香酸無水物、4-メチル安息香酸無水物、4-tert-ブチル安息香酸無水物、トリフルオロ酢酸無水物、3,3,3-トリフルオロプロピオン酸無水物、2-(トリフルオロメチル)アクリル酸無水物、2-(4-フルオロフェニル)アクリル酸無水物、4-フルオロ安息香酸無水物、2,3,4,5,6-ペンタフルオロ安息香酸無水物、メトキシギ酸無水物、エトキシギ酸無水物、
であり、より好ましくは、
アクリル酸無水物、2-メチルアクリル酸無水物、3-メチルアクリル酸無水物、安息香酸無水物、2-メチル安息香酸無水物、4-メチル安息香酸無水物、4-tert-ブチル安息香酸無水物、4-フルオロ安息香酸無水物、2,3,4,5,6-ペンタフルオロ安息香酸無水物、メトキシギ酸無水物、エトキシギ酸無水物である。
無水コハク酸、4-メチルコハク酸無水物、4-ビニルコハク酸無水物、4-フェニルコハク酸無水物、シトラコン酸無水物、無水マレイン酸、4-メチルマレイン酸無水物、4-フェニルマレイン酸無水物、イタコン酸無水物、5-メチルイタコン酸無水物、グルタル酸無水物、無水フタル酸、シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸無水物、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸無水物、4-フルオロコハク酸無水物、4-フルオロマレイン酸無水物、5-フルオロイタコン酸無水物、
であり、より好ましくは、
無水コハク酸、4-メチルコハク酸無水物、4-ビニルコハク酸無水物、シトラコン酸無水物、シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸無水物、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸無水物、4-フルオロコハク酸無水物である。これらの化合物は、適切にリチウムオキサラート塩との結合を形成して耐久性に優れる皮膜を形成することで、特に耐久試験後の容量維持率が向上するために好ましい。
本発明の非水系電解液において、非水系電解液二次電池が過充電等の状態になった際に電池の破裂・発火を効果的に抑制するために、過充電防止剤を用いることができる。
本発明の非水系電解液には、公知のその他の助剤を用いることができる。その他の助剤としては、エリスリタンカーボネート、スピロ-ビス-ジメチレンカーボネート、メトキシエチル-メチルカーボネート等のカーボネート化合物;2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9-ジビニル-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン等のスピロ化合物;エチレンサルファイト、フルオロスルホン酸メチル、フルオロスルホン酸エチル、メタンスルホン酸メチル、メタンスルホン酸エチル、ブスルファン、スルホレン、硫酸エチレン、硫酸ビニレン、ジフェニルスルホン、N,N-ジメチルメタンスルホンアミド、N,N-ジエチルメタンスルホンアミド等の含硫黄化合物;1-メチル-2-ピロリジノン、1-メチル-2-ピペリドン、3-メチル-2-オキサゾリジノン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン及びN-メチルスクシンイミド等の含窒素化合物;ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘプタン等の炭化水素化合物、フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、ベンゾトリフルオライド等の含フッ素芳香族化合物;ホウ酸トリス(トリメチルシリル)、ホウ酸トリス(トリメトキシシリル)、リン酸トリス(トリメチルシリル)、リン酸トリス(トリメトキシシリル)、ジメトキシアルミノキシトリメトキシシラン、ジエトキシアルミノキシトリエトキシシラン、ジプロポキシアルミノキシトリエトキシシラン、ジブト
キシアルミノキシトリメトキシシラン、ジブトキシアルミノキシトリエトキシシラン、チタンテトラキス(トリメチルシロキシド)、チタンテトラキス(トリエチルシロキシド)等のシラン化合物、等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの助剤を添加することにより、高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を向上させることができる。
本発明の非水系電解液二次電池は、集電体及び該集電体上に設けられた正極活物質層を有する正極と、集電体及び該集電体上に設けられた負極活物質層を有しかつイオンを吸蔵及び放出し得る負極と、上述した本発明の非水系電解液とを備えるものである。
本発明の非水系電解液二次電池は、上述した本発明の非水系電解液以外の構成については、従来公知の非水系電解液二次電池と同様である。通常は、本発明の非水系電解液が含浸されている多孔膜(セパレータ)を介して正極と負極とが積層され、これらがケース(外装体)に収納された形態を有する。従って、本発明の非水系電解液二次電池の形状は特に制限されるものではなく、円筒型、角形、ラミネート型、コイン型、大型等の何れであってもよい。
非水系電解液としては、上述の本発明の非水系電解液を用いる。なお、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、本発明の非水系電解液に対し、その他の非水系電解液を配合して用いることも可能である。
負極は、集電体上に負極活物質層を有するものであり、負極活物質層は負極活物質を含有する。以下、負極活物質について述べる。
負極活物質としては、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば、特に制限はない。その具体例としては、炭素質材料、金属合金系材料、リチウム含有金属複合酸化物材料等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、また2種以上を任意に組み合わせて併用してもよい。
負極活物質として用いられる炭素質材料としては、
(1)天然黒鉛、
(2)人造炭素質物質並びに人造黒鉛質物質を400から3200℃の範囲で一回以上熱処理した炭素質材料、
(3)負極活物質層が少なくとも2種類以上の異なる結晶性を有する炭素質から成り立ちかつ/又はその異なる結晶性の炭素質が接する界面を有している炭素質材料、
(4)負極活物質層が少なくとも2種類以上の異なる配向性を有する炭素質から成り立ちかつ/又はその異なる配向性の炭素質が接する界面を有している炭素質材料、
から選ばれるものが初期不可逆容量、高電流密度充放電特性のバランスが良く好ましい。また、(1)~(4)の炭素質材料は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
炭素質材料についての性質や炭素質材料を含有する負極電極及び電極化手法、集電体、非水系電解液二次電池については、次に示す(1)~(13)の何れか1項又は複数項を同時に満たしていることが望ましい。
炭素質材料の学振法によるX線回折で求めた格子面(002面)のd値(層間距離)が、通常0.335~0.340nmであり、特に0.335~0.338nm、とりわけ0.335~0.337nmであるものが好ましい。また、学振法によるX線回折で求めた結晶子サイズ(Lc)は、通常1.0nm以上、好ましくは1.5nm以上、特に好ましくは2nm以上である。
炭素質材料の体積基準平均粒径は、レーザー回折・散乱法により求めた体積基準の平均粒径(メジアン径)が、通常1μm以上であり、3μm以上が好ましく、5μm以上がさらに好ましく、7μm以上が特に好ましく、また、通常100μm以下であり、50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、30μm以下がさらに好ましく、25μm以下が特に好ましい。
炭素質材料のラマンR値は、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトル法を用いて測定した値が、通常0.01以上であり、0.03以上が好ましく、0.1以上がさらに好ましく、また、通常1.5以下であり、1.2以下が好ましく、1以下がさらに好ましく、0.5以下が特に好ましい。
てLiが層間に入るサイトが少なくなる場合がある。すなわち、充電受入性が低下する場合がある。また、集電体に塗布した後、プレスすることによって負極を高密度化した場合に電極板と平行方向に結晶が配向しやすくなり、負荷特性の低下を招く場合がある。一方、上記範囲を上回ると、粒子表面の結晶性が低下し、非水系電解液との反応性が増し、効率の低下やガス発生の増加を招く場合がある。
・アルゴンイオンレーザー波長 :514.5nm
・試料上のレーザーパワー :15~25mW
・分解能 :10~20cm-1
・測定範囲 :1100cm-1~1730cm-1
・ラマンR値、ラマン半値幅解析:バックグラウンド処理
・スムージング処理 :単純平均、コンボリューション5ポイント
炭素質材料のBET比表面積は、BET法を用いて測定した比表面積の値が、通常0.1m2・g-1以上であり、0.7m2・g-1以上が好ましく、1.0m2・g-1以上がさらに好ましく、1.5m2・g-1以上が特に好ましく、また、通常100m2・g-1以下であり、25m2・g-1以下が好ましく、15m2・g-1以下がさらに好ましく、10m2・g-1以下が特に好ましい。
する窒素の相対圧の値が0.3となるように正確に調整した窒素ヘリウム混合ガスを用いて、ガス流動法による窒素吸着BET1点法によって行なう。該測定で求められる比表面積を、本発明における炭素質材料のBET比表面積と定義する。
炭素質材料の球形の程度として円形度を測定した場合、以下の範囲に収まることが好ましい。なお、円形度は、「円形度=(粒子投影形状と同じ面積を持つ相当円の周囲長)/(粒子投影形状の実際の周囲長)」で定義され、円形度が1のときに理論的真球となる。
炭素質材料のタップ密度は、通常0.1g・cm-3以上であり、0.5g・cm-3以上が好ましく、0.7g・cm-3以上がさらに好ましく、1g・cm-3以上が特に好ましく、また、2g・cm-3以下が好ましく、1.8g・cm-3以下がさらに好ましく、1.6g・cm-3以下が特に好ましい。
炭素質材料の配向比は、通常0.005以上であり、0.01以上が好ましく、0.015以上がより好ましく、また、通常0.67以下である。配向比が、上記範囲を下回る
と、高密度充放電特性が低下する場合がある。なお、上記範囲の上限は、炭素質材料の配向比の理論上限値である。
・ターゲット:Cu(Kα線)グラファイトモノクロメーター
・スリット :
発散スリット=0.5度
受光スリット=0.15mm
散乱スリット=0.5度
・測定範囲及びステップ角度/計測時間:
(110)面:75度≦2θ≦80度 1度/60秒
(004)面:52度≦2θ≦57度 1度/60秒
炭素質材料のアスペクト比は、通常1以上、また、通常10以下であり、8以下が好ましく、5以下がより好ましい。アスペクト比が、上記範囲を上回ると、極板化時にスジ引きや、均一な塗布面が得られず、高電流密度充放電特性が低下する場合がある。なお、上記範囲の下限は、炭素質材料のアスペクト比の理論下限値である。
負極の製造は、本発明の効果を著しく制限しない限り、公知の何れの方法を用いることができる。例えば、負極活物質に、バインダー、溶媒、必要に応じて、増粘剤、導電材、充填材等を加えてスラリーとし、これを集電体に塗布、乾燥した後にプレスすることによって形成することができる。
負極活物質を保持させる集電体としては、公知のものを任意に用いることができる。負
極の集電体としては、例えば、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属材料が挙げられるが、加工し易さとコストの点から特に銅が好ましい。
集電体と負極活物質層の厚さの比は特には限定されないが、「(非水系電解液注液直前の片面の負極活物質層厚さ)/(集電体の厚さ)」の値は、通常150以下、20以下が好ましく、10以下がより好ましく、また、通常0.1以上、0.4以上が好ましく、1以上がより好ましい。
負極活物質を電極化した際の電極構造は特には限定されないが、集電体上に存在している負極活物質の密度は、1g・cm-3以上が好ましく、1.2g・cm-3以上がより好ましく、1.3g・cm-3以上がさらに好ましく、また、2.2g・cm-3以下が好ましく、2.1g・cm-3以下がより好ましく、2.0g・cm-3以下がさらに好ましく、1.9g・cm-3以下が特に好ましい。集電体上に存在している負極活物質の密度が、上記範囲を上回ると、負極活物質粒子が破壊され、初期不可逆容量の増加や、集電体/負極活物質界面付近への非水系電解液の浸透性低下による高電流密度充放電特性悪化を招く場合がある。また、上記範囲を下回ると、負極活物質間の導電性が低下し、電池抵抗が増大し、単位容積当たりの容量が低下する場合がある。
負極活物質を結着するバインダーとしては、非水系電解液や電極製造時に用いる溶媒に対して安定な材料であれば、特に制限されない。
添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子;シンジオタクチック-1,2-ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α-オレフィン共重合体等の軟質樹脂状高分子;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体等のフッ素系高分子;アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有する高分子組成物等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
さらに好ましく、また、通常5質量%以下であり、3質量%以下が好ましく、2質量%以下がさらに好ましい。負極活物質に対する増粘剤の割合が、上記範囲を下回ると、著しく塗布性が低下する場合がある。また、上記範囲を上回ると、負極活物質層に占める負極活物質の割合が低下し、電池の容量が低下する問題や負極活物質間の抵抗が増大する場合がある。
負極活物質として用いられる金属化合物系材料としては、リチウムを吸蔵・放出可能であれば、リチウム合金を形成する単体金属若しくは合金、又はそれらの酸化物、炭化物、窒化物、珪化物、硫化物、燐化物等の化合物の何れであっても特に限定はされない。このような金属化合物としては、Ag、Al、Ba、Bi、Cu、Ga、Ge、In、Ni、P、Pb、Sb、Si、Sn、Sr、Zn等の金属を含有する化合物が挙げられる。なかでも、リチウム合金を形成する単体金属若しくは合金であることが好ましく、13族又は14族の金属・半金属元素(すなわち炭素を除く)を含む材料あることがより好ましく、さらには、ケイ素(Si)、スズ(Sn)又は鉛(Pb)(以下、これら3種の元素を「特定金属元素」という場合がある。)の単体金属若しくはこれら原子を含む合金、又は、それらの金属(特定金属元素)の化合物であることが好ましく、ケイ素の単体金属、合金及び化合物、並びにスズの単体金属、合金及び化合物が特に好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよく、また2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
・ケイ素及び/又はスズと酸素との元素比が通常0.5以上であり、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.9以上、また、通常1.5以下であり、好ましくは1.3以下、より好ましくは1.1以下の「ケイ素及び/又はスズの酸化物」。
・ケイ素及び/又はスズと窒素との元素比が通常0.5以上であり、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.9以上、また、通常1.5以下であり、好ましくは1.3以下、より好ましくは1.1以下の「ケイ素及び/又はスズの窒化物」。
・ケイ素及び/又はスズと炭素との元素比が通常0.5以上であり、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.9以上、また、通常1.5以下であり、好ましくは1.3以下、
より好ましくは1.1以下の「ケイ素及び/又はスズの炭化物」。
導電性が低下し、電池抵抗が増大し、単位容積当たりの容量が低下する場合がある。
負極活物質として、金属化合物系材料と前記炭素質材料を含有してもよい。ここで、金属化合物系材料と炭素質材料を含有する負極活物質とは、リチウム合金を形成する単体金属若しくは合金、又はそれらの酸化物、炭化物、窒化物、珪化物、硫化物等の化合物の何れかと、炭素質材料が互いに独立した粒子の状態で混合されている混合物でもよいし、リチウム合金を形成する単体金属若しくは合金、又はそれらの酸化物、炭化物、窒化物、珪化物、硫化物等の化合物が炭素質材料の表面又は内部に存在している複合体でもよい。本明細書において、複合体とは、特に、金属化合物系材料および炭素質材料が含まれていれば特に制限はないが、好ましくは、金属化合物系材料および炭素質材料が物理的及び/又は化学的な結合によって一体化している。より好ましい形態としては、金属化合物系材料および炭素質材料が、少なくとも複合体表面及びバルク内部の何れにも存在する程度に各々の固体成分が分散して存在している状態にあり、それらを物理的及び/又は化学的な結合によって一体化させるために、炭素質材料が存在しているような形態である。
非晶質SiあるいはナノサイズのSi結晶は、リチウムイオン等のアルカリイオンの出入りがしやすく、高容量を得ることが可能となる。
尚、金属化合物系材料が、リチウムと合金化可能な金属材料であることを確認するための手法としては、X線回折による金属粒子相の同定、電子顕微鏡による粒子構造の観察および元素分析、蛍光X線による元素分析などが挙げられる。
尚、平均粒子径(d50)は、レーザー回折・散乱式粒度分布測定方法等で求められる。
負極活物質として用いられるリチウム含有金属複合酸化物材料としては、リチウムを吸蔵・放出可能であれば特に限定はされないが、チタンを含むリチウム含有複合金属酸化物材料が好ましく、リチウムとチタンの複合酸化物(以下、「リチウムチタン複合酸化物」と略記する。)が特に好ましい。すなわち、スピネル構造を有するリチウムチタン複合酸化物を、非水系電解液二次電池用負極活物質に含有させて用いると、出力抵抗が大きく低減するので特に好ましい。
、K、Co、Al、Fe、Ti、Mg、Cr、Ga、Cu、Zn及びNbからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素で置換されているものも好ましい。
[一般式(5)中、Mは、Na、K、Co、Al、Fe、Ti、Mg、Cr、Ga、Cu、Zn及びNbからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を表わす。]
(a)1.2≦x≦1.4、1.5≦y≦1.7、z=0
(b)0.9≦x≦1.1、1.9≦y≦2.1、z=0
(c)0.7≦x≦0.9、2.1≦y≦2.3、z=0
の構造が、電池性能のバランスが良好なため特に好ましい。
負極活物質として用いられるリチウムチタン複合酸化物のBET比表面積は、BET法を用いて測定した比表面積の値が、0.5m2・g-1以上が好ましく、0.7m2・g-1以上がより好ましく、1.0m2・g-1以上がさらに好ましく、1.5m2・g-1以上が特に好ましく、また、200m2・g-1以下が好ましく、100m2・g-1以下がより好ましく、50m2・g-1以下がさらに好ましく、25m2・g-1以下が特に好ましい。
リチウムチタン複合酸化物の体積基準平均粒径(一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合には二次粒子径)は、レーザー回折・散乱法により求めた体積基準の平均粒径(メジアン径)で定義される。
一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合においては、リチウムチタン複合酸化物の平均一次粒子径が、通常0.01μm以上であり、0.05μm以上が好ましく、0.1μm以上がより好ましく、0.2μm以上がさらに好ましく、また、通常2μm以下であり、1.6μm以下が好ましく、1.3μm以下がより好ましく、1μm以下がさらに好ましい。体積基準平均一次粒子径が、上記範囲を上回ると、球状の二次粒子を形成し難く、粉体充填性に悪影響を及ぼしたり、比表面積が大きく低下したりするために、出力特性等の電池性能が低下する可能性が高くなる場合がある。また、上記範囲を下回ると、通常、結晶が未発達になるために充放電の可逆性が劣る等、二次電池の性能を低下させる場合がある。
リチウムチタン複合酸化物の粒子の形状は、従来用いられるような、塊状、多面体状、球状、楕円球状、板状、針状、柱状等が用いられるが、中でも一次粒子が凝集して、二次粒子を形成して成り、その二次粒子の形状が球状ないし楕円球状であるものが好ましい。
リチウムチタン複合酸化物のタップ密度は、0.05g・cm-3以上が好ましく、0.1g・cm-3以上がより好ましく、0.2g・cm-3以上がさらに好ましく、0.4g・cm-3以上が特に好ましく、また、2.8g・cm-3以下がより好ましく、2
.4g・cm-3以下がさらに好ましく、2g・cm-3以下が特に好ましい。タップ密度が、上記範囲を下回ると、負極として用いた場合に充填密度が上がり難く、また粒子間の接触面積が減少するため、粒子間の抵抗が増加し、出力抵抗が増加する場合がある。また、上記範囲を上回ると、電極中の粒子間の空隙が少なくなり過ぎ、非水系電解液の流路が減少することで、出力抵抗が増加する場合がある。
リチウムチタン複合酸化物の球形の程度として、円形度を測定した場合、以下の範囲に収まることが好ましい。円形度は、「円形度=(粒子投影形状と同じ面積を持つ相当円の周囲長)/(粒子投影形状の実際の周囲長)」で定義され、円形度が1のときに理論的真球となる。
リチウムチタン複合酸化物のアスペクト比は、通常1以上、また、通常5以下であり、4以下が好ましく、3以下がより好ましく、2以下がさらに好ましい。アスペクト比が、上記範囲を上回ると、極板化時にスジ引きや、均一な塗布面が得られず、短時間高電流密度充放電特性が低下する場合がある。なお、上記範囲の下限は、リチウムチタン複合酸化物のアスペクト比の理論下限値である。
リチウムチタン複合酸化物の製造法としては、本発明の要旨を超えない範囲で特には制限されないが、いくつかの方法が挙げられ、無機化合物の製造法として一般的な方法が用いられる。
電極の製造は、公知の何れの方法を用いることができる。例えば、負極活物質に、バインダー、溶媒、必要に応じて、増粘剤、導電材、充填材等を加えてスラリーとし、これを集電体に塗布、乾燥した後にプレスすることによって形成することができる。
負極活物質を保持させる集電体としては、公知のものを任意に用いることができる。負極の集電体としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属材料が挙げられ、中でも加工し易さとコストの点から特に銅が好ましい。
集電体と活物質層の厚さの比は特には限定されないが、「(非水系電解液注液直前の片面の活物質層の厚さ)/(集電体の厚さ)」の値が、通常150以下であり、20以下が好ましく、10以下がより好ましく、また、通常0.1以上であり、0.4以上が好ましく、1以上がより好ましい。
負極活物質の電極化した際の電極構造は特には限定されないが、集電体上に存在している活物質の密度は、1g・cm-3以上が好ましく、1.2g・cm-3以上がより好ましく、1.3g・cm-3以上がさらに好ましく、1.5g・cm-3以上が特に好ましく、また、3g・cm-3以下が好ましく、2.5g・cm-3以下がより好ましく、2.2g・cm-3以下がさらに好ましく、2g・cm-3以下が特に好ましい。
負極活物質を結着するバインダーとしては、非水系電解液や電極製造時に用いる溶媒に対して安定な材料であれば、特に制限されない。
等の樹脂系高分子;SBR(スチレン・ブタジエンゴム)、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、NBR(アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、エチレン・プロピレンゴム等のゴム状高分子;スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体及びその水素添加物;EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体)、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体及びその水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子;シンジオタクチック-1,2-ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α-オレフィン共重合体等の軟質樹脂状高分子;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体等のフッ素系高分子;アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有する高分子組成物等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
正極は、集電体上に正極活物質層を有するものであり、正極活物質層は正極活物質を含有する。以下、正極活物質について述べる。
以下に正極に使用される正極活物質について説明する。
正極活物質としては、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば特に制限はないが、例えば、リチウムと少なくとも1種の遷移金属を含有する物質が好ましい。具体例としては、リチウム遷移金属複合酸化物、リチウム含有遷移金属リン酸化合物が挙げられる。
なお、上述の「LixMPO4」とは、その組成式で表される組成のものだけでなく、結晶構造における遷移金属(M)のサイトの一部を他の元素で置換したものも含むことを意味する。さらに、化学量論組成のものだけでなく、一部の元素が欠損等した非化学量論組成のものも含むことを意味する。上記他元素置換を行う場合は、通常0.1mol%であり、好ましくは0.2mol%以上である。また、通常5mol%以下であり、好ましくは2.5mol%以下である。
上記の正極活物質の表面に、主体となる正極活物質を構成する物質とは異なる組成の物質(以後、適宜「表面付着物質」という。)が付着したものを用いることもできる。表面付着物質の例としては酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の酸化物、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩等が挙げられる。
正極活物質粒子の形状は、従来用いられるような、塊状、多面体状、球状、楕円球状、板状、針状、柱状等が用いられるが、中でも一次粒子が凝集して、二次粒子を形成して成り、その二次粒子の形状が球状又は楕円球状であるものが好ましい。
正極活物質のタップ密度は、通常0.4g・cm-3以上であり、0.6g・cm-3以上が好ましく、0.8g・cm-3以上がさらに好ましく、1.0g・cm-3以上が特に好ましく、また、通常4.0g・cm-3以下であり、3.8g・cm-3以下が好
ましい。
正極活物質の粒子のメジアン径d50(一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合には二次粒子径)は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用いても測定することができる。
一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合、正極活物質の平均一次粒子径は、通常0.03μm以上であり、0.05μm以上が好ましく、0.08μm以上がより好ましく、0.1μm以上がさらに好ましく、また、通常5μm以下であり、4μm以下が好ましく、3μm以下がより好ましく、2μm以下がさらに好ましい。上記範囲を上回ると球状の二次粒子を形成し難く、粉体充填性に悪影響を及ぼしたり、比表面積が大きく低下するために、出力特性等の電池性能が低下する可能性が高くなる場合がある。また、上記範囲を下回ると、通常、結晶が未発達であるために充放電の可逆性が劣る等、二次電池の性能を低下させる場合がある。
正極活物質のBET比表面積は、BET法を用いて測定した比表面積の値が、通常0.1m2・g-1以上であり、0.2m2・g-1以上が好ましく、0.3m2・g-1以上がより好ましく、また、通常50m2・g-1以下であり、40m2・g-1以下が好ましく、30m2・g-1以下がより好ましい。BET比表面積の値が、上記範囲を下回ると、電池性能が低下しやすくなる。また、上記範囲を上回ると、タップ密度が上がりにくくなり、正極活物質形成時の塗布性が低下する場合がある。
正極活物質の製造法としては、本発明の要旨を超えない範囲で特には制限されないが、いくつかの方法が挙げられ、無機化合物の製造法として一般的な方法が用いられる。
以下に、本発明に使用される正極の構成及びその作製法について説明する。
正極は、正極活物質粒子と結着剤とを含有する正極活物質層を、集電体上に形成して作製される。正極活物質を用いる正極の製造は、公知の何れの方法で作製することができる。すなわち、正極活物質と結着剤、並びに必要に応じて導電材及び増粘剤等を乾式で混合してシート状にしたものを正極集電体に圧着するか、又はこれらの材料を液体媒体に溶解又は分散させてスラリーとして、これを正極集電体に塗布し、乾燥することにより、正極活物質層を集電体上に形成させることにより正極を得ることができる。
質量%以下、より好ましくは98質量%以下である。正極活物質層中の正極活物質の含有量が低いと電気容量が不十分となる場合がある。逆に含有量が高すぎると正極の強度が不足する場合がある。なお、本発明における正極活物質粉体は1種を単独で用いてもよく、異なる組成又は異なる粉体物性の2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
導電材としては、公知の導電材を任意に用いることができる。具体例としては、銅、ニッケル等の金属材料;天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト);アセチレンブラック等のカーボンブラック;ニードルコークス等の無定形炭素等の炭素質材料等が挙げられる。なお、これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
正極活物質層の製造に用いる結着剤は、非水系電解液や電極製造時用いる溶媒に対して安定な材料であれば、特に限定されない。
スラリーを形成するための液体媒体としては、正極活物質、導電材、結着剤、並びに必要に応じて使用される増粘剤を溶解又は分散することが可能な溶媒であれば、その種類に特に制限はなく、水系溶媒と有機系溶媒のどちらを用いてもよい。
スラリーを形成するための液体媒体として水系媒体を用いる場合、増粘剤と、スチレンブタジエンゴム(SBR)等のラテックスを用いてスラリー化するのが好ましい。増粘剤は、通常、スラリーの粘度を調製するために使用される。
塗布、乾燥によって得られた正極活物質層は、正極活物質の充填密度を上げるために、ハンドプレス、ローラープレス等により圧密化することが好ましい。正極活物質層の密度は、1g・cm-3以上が好ましく、1.5g・cm-3以上がより好ましく、2g・cm-3以上がさらに好ましく、また、4g・cm-3以下が好ましく、3.5g・cm-3以下がより好ましく、3g・cm-3以下がさらに好ましい。
正極集電体の材質としては特に制限は無く、公知のものを任意に用いることができる。具体例としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ、チタン、タンタル等の金属材料;カーボンクロス、カーボンペーパー等の炭素質材料が挙げられる。中でも金属材料、特にアルミニウムが好ましい。
正極と負極との間には、短絡を防止するために、通常はセパレータを介在させる。この場合、本発明の非水系電解液は、通常はこのセパレータに含浸させて用いる。
[電極群]
電極群は、前述の正極板と負極板とを前述のセパレータを介してなる積層構造のもの、及び前述の正極板と負極板とを前述のセパレータを介して渦巻き状に捲回した構造のものの何れでもよい。電極群の体積が電池内容積に占める割合(以下、電極群占有率と称する。)は、通常40%以上であり、50%以上が好ましく、また、通常90%以下であり、80%以下が好ましい。電極群占有率が、上記範囲を下回ると、電池容量が小さくなる。また、上記範囲を上回ると空隙スペースが少なく、電池が高温になることによって部材が膨張したり電解質の液成分の蒸気圧が高くなったりして内部圧力が上昇し、電池としての充放電繰り返し性能や高温保存等の諸特性を低下させたり、さらには、内部圧力を外に逃がすガス放出弁が作動する場合がある。
集電構造は特に限定されるものではないが、本発明の非水系電解液による放電特性の向上をより効果的に実現するには、配線部分や接合部分の抵抗を低減する構造にすることが好ましい。この様に内部抵抗を低減させた場合、本発明の非水系電解液を使用した効果は特に良好に発揮される。
外装ケースの材質は用いられる非水系電解液に対して安定な物質であれば特に限定されるものではない。具体的には、ニッケルめっき鋼板、ステンレス、アルミニウム又はアルミニウム合金、マグネシウム合金等の金属類、又は、樹脂とアルミ箔との積層フィルム(ラミネートフィルム)が用いられる。軽量化の観点から、アルミニウム又はアルミニウム合金の金属、ラミネートフィルムが好適に用いられる。
前述の保護素子として、異常発熱や過大電流が流れた時に抵抗が増大するPTC(Po
sitive Temperature Coefficient)、温度ヒューズ、サーミスター、異常発熱時に電池内部圧力や内部温度の急激な上昇により回路に流れる電流を遮断する弁(電流遮断弁)等が挙げられる。前記保護素子は高電流の通常使用で作動しない条件のものを選択することが好ましく、高出力の観点から、保護素子がなくても異常発熱や熱暴走に至らない設計にすることがより好ましい。
本発明の非水系電解液二次電池は、通常、上記の非水系電解液、負極、正極、セパレータ等を外装体内に収納して構成される。この外装体に制限は無く、本発明の効果を著しく損なわない限り公知のものを任意に採用することができる。
[負極の作製]
炭素質材料98質量部に、増粘剤及びバインダーとして、カルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)1質量部及びスチレン-ブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレン-ブタジエンゴムの濃度50質量%)1質量部を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。得られたスラリーを厚さ10μmの銅箔に塗布して乾燥し、プレス機で圧延したものを、活物質層のサイズとして幅30mm、長さ40mm、及び幅5mm、長さ9mmの未塗工部を有する形状に切り出して負極とした。
正極活物質としてLi(Ni1/3Mn1/3Co1/3)O2(LNMC)90質量%と、導電材としてのアセチレンブラック5質量%と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)5質量%とを、N-メチルピロリドン溶媒中で混合して、スラリー化した。得られたスラリーを、予め導電助剤を塗布した厚さ15μmのアルミ箔の片面に塗布して、乾燥し、プレス機にてロールプレスしたものを、活物質層のサイズとして幅30mm、長さ40mm、及び幅5mm、長さ9mmの未塗工部を有する形状に切り出して正極とした。
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とエチルメチルカーボネート(EMC)との混合物(体積比30:30:40)に乾燥したLiPF6を1mol/Lの割合となるように溶解して基本電解液を調製した。この基本電解液に、リチウムビスオキサラートボレート(LiBOB)を0.5質量部と、LiPO2F2を0.5質量部と、FSO3Liを0.5質量部とを混合して、実施例1の電解液を調製した。
上記の正極、負極、及びポリエチレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極の順
に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正極と負極の端子を突設させながら挿入した後、上記電解液を袋内に注入し、真空封止を行い、4.2Vで満充電状態となる実施例1のシート状電池を作製した。得られた実施例1のシート状電池について、以下に示す条件で電池慣らし運転を行い、初期出力の評価を行った。結果を表1に示す。
本明細書では、初回充充電時の充電速度が電池慣らし運転終了後の出力特性に与える影響を精査する為、2種類の初充電速度で慣らし運転を実施した電池の初期出力を比較することとした。
リチウム二次電池を、電極間の密着性を高めるためにガラス板で挟んだ状態で、25℃において、0.05Cまたは0.5Cに相当する定電流で3.6Vまで充電した後、0.2Cの定電流で4.2Vまで充電し、0.2Cの定電流で3.0Vまで放電した。これを2サイクル行って電池を安定させ、3サイクル目は、0.2Cの定電流で4.2Vまで充電後、4.2Vの定電圧で電流値が0.05Cになるまで充電を実施し、0.2Cの定電流で3.0Vまで放電した。その後、4サイクル目に0.2Cの定電流で4.2Vまで充電後、4.2Vの定電圧で電流値が0.05Cになるまで充電を実施し、0.2Cの定電流で3.0Vまで放電して、初期放電容量を求めた。
初期放電容量の評価が終了した電池を、25℃にて、0.2Cの定電流で初期放電容量の半分の容量となるよう充電した。これを-30℃において各々0.5C、1.0C、1.5C、2.0C、2.5Cで放電させ、その2秒時の電圧を測定した。電流-電圧直線より3.0Vにおける電流値を求め、3.0×(3.0Vにおける電流値)を出力(W)とした。そして、初充電レートが0.5Cの場合の初期出力と初充電レートが0.05Cの場合の初期出力との出力差を算出し、以下の基準で評価を行った。
出力差が-1以上 ○ (Good)
出力差が-4以上、-1未満 △ (Fair)
出力差が-7以上、-4未満 × (Poor)
出力差が-7未満 ××(Bad)
初期放電容量の評価が終了した電池を、25℃にて、0.2Cの定電流で初期放電容量の半分の容量となるよう充電した。これを-30℃において各々0.5C、1.0C、1.5C、2.0C、2.5Cで充電させ、その2秒時の電圧を測定した。電流-電圧直線より3.0Vにおける電流値を求め、4.2×(4.2Vにおける電流値)を初期回生(W)とした。そして、初充電レートが0.5Cの場合の初期出力と初充電レートが0.05Cの場合の初期回生との回生差を算出し、以下の基準で評価を行った。
出力差が-1以上 ○ (Good)
出力差が-4以上、-1未満 △ (Fair)
出力差が-7以上、-4未満 × (Poor)
出力差が-7未満 ××(Bad)
上述した基本電解液に、リチウムビスオキサラートボレート(LiBOB)を0.5質量部と、LiPO2F2を0.5質量部と、LiBF4を0.3質量部とを混合すること以外は、実施例1と同様にして、実施例2の電解液を調製した。実施例1の電解液に代えて、この実施例2の電解液を用いること以外は、実施例1と同様にして、実施例2のシート状リチウム二次電池を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
上述した基本電解液に、リチウムビスオキサラートボレート(LiBOB)を0.5質量部と、LiPO2F2を0.5質量部と、リチウムジフルオロオキサラートフォスフェート(LiF2OP)を0.5質量部とを混合すること以外は、実施例1と同様にして、実施例3の電解液を調製した。実施例1の電解液に代えて、この実施例3の電解液を用いること以外は、実施例1と同様にして、実施例3のシート状リチウム二次電池を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
上述した基本電解液に、リチウムビスオキサラートボレート(LiBOB)を0.5質量部と、LiPO2F2を0.5質量部と、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)を0.5質量部とを混合すること以外は、実施例1と同様にして、実施例4の電解液を調製した。実施例1の電解液に代えて、この実施例4の電解液を用いること以外は、実施例1と同様にして、実施例4のシート状リチウム二次電池を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
上述した基本電解液に、リチウムビスオキサラートボレート(LiBOB)を0.5質量部混合すること以外は、実施例1と同様にして、比較例1の電解液を調製した。実施例1の電解液に代えて、この比較例1の電解液を用いること以外は、実施例1と同様にして、比較例1のシート状リチウム二次電池を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
上述した基本電解液に、リチウムビスオキサラートボレート(LiBOB)を0.5質量部と、LiPO2F2を0.5質量部とを混合すること以外は、実施例1と同様にして、比較例2の電解液を調製した。実施例1の電解液に代えて、この比較例2の電解液を用いること以外は、実施例1と同様にして、比較例2のシート状リチウム二次電池を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
上述した基本電解液に、リチウムビスオキサラートボレート(LiBOB)を0.5質量部と、FSO3Liを0.5質量部とを混合すること以外は、実施例1と同様にして、比較例3の電解液を調製した。実施例1の電解液に代えて、この比較例3の電解液を用いること以外は、実施例1と同様にして、比較例3のシート状リチウム二次電池を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
上述した基本電解液に、リチウムビスオキサラートボレート(LiBOB)を0.5質量部と、LiPO2F2を0.5質量部と、リチウムビス(トリフルオロスルホニル)イミド(LiTFSI)を0.5質量部とを混合すること以外は、実施例1と同様にして、比較例4の電解液を調製した。実施例1の電解液に代えて、この比較例4の電解液を用いること以外は、実施例1と同様にして、比較例4のシート状リチウム二次電池を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
上述した基本電解液に、リチウムビスオキサラートボレート(LiBOB)を0.5質量部と、LiPO2F2を0.5質量部と、リチウムトリスオキサラートフォスフェート(LiTOP)を0.5質量部とを混合すること以外は、実施例1と同様にして、比較例5の電解液を調製した。実施例1の電解液に代えて、この比較例5の電解液を用いること以外は、実施例1と同様にして、比較例5のシート状リチウム二次電池を作製し、評価を
行った。結果を表1に示す。
上述した基本電解液に、リチウムビスオキサラートボレート(LiBOB)を1.0質量部と、LiPO2F2を0.5質量部とを混合すること以外は、実施例1と同様にして、比較例6の電解液を調製した。実施例1の電解液に代えて、この比較例6の電解液を用いること以外は、実施例1と同様にして、比較例6のシート状リチウム二次電池を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
一方、リチウムビスオキサラートボレートとオキソフルオロリン酸塩のみを組み合わせた比較例2及び比較例6や、リチウムビスオキサラートボレートと(A)の塩のみを組み合わせた比較例3においても、比較例1と同様に、初充電レートが0.5Cの場合には、
初充電レートが0.05Cの場合と比べて、初期出力及び初期回生が大幅に低下していることがわかる。
また、リチウムビスオキサラートボレートとオキソフルオロリン酸塩とリチウムビス(トリフルオロスルホニル)イミドとを組み合わせた比較例4においても、比較例1と同様に、初充電レートが0.5Cの場合には、初充電レートが0.05Cの場合と比べて、初期出力及び初期回生が大幅に低下していることがわかる。
さらにリチウムビスオキサラートボレートとオキソフルオロリン酸塩とリチウムトリスオキサラートフォスフェートとを組み合わせた比較例5においては、初充電レートが0.5Cの場合には、初充電レートが0.05Cの場合と比べて、初期回生が大幅に低下していることがわかる。
さらに本発明に相当する実施例1~4は、リチウムビスオキサラートボレートとオキソフルオロリン酸塩と(A)、(B)又は(C)以外の塩とにより構成される比較例4より
も高い効果が奏されており、リチウムビスオキサラートボレートとオキソフルオロリン酸塩と(A)、(B)又は(C)との組み合わせによる特異的な効果が発現されていることが確認された。
Claims (11)
- ヘキサフルオロリン酸リチウムと、リチウムビスオキサラートボレートと、オキソフルオロリン酸塩とを含有する非水系電解液であって、
さらに、(B)分子内にB-F結合を有する塩(但し、ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウムを除く)を含有し、
前記リチウムビスオキサラートボレートの含有量が、非水電解液の総量を基準として0.01質量%以上、3.0質量%以下であり、
前記オキソフルオロリン酸塩の含有量が、非水電解液の総量を基準として0.001質量%以上、1.3質量%以下であり、
前記(B)分子内にB-F結合を有する塩の含有量が、非水電解液の総量を基準として0.01質量%以上、3.0質量%以下であることを特徴とする非水系電解液。 - 前記リチウムビスオキサラートボレート、前記オキソフルオロリン酸塩及び前記(B)分子内にB-F結合を有する塩の合計量が、非水電解液の総量を基準として0.01質量%以上、8.0質量%以下であることを特徴とする、
請求項1記載の非水系電解液。 - 前記オキソフルオロリン酸塩が、LiPO2F2を含有する、
請求項1又は2に記載の非水系電解液。 - 前記非水系電解液が、(A)分子内にF-S結合を有する塩をさらに含有し、
前記(A)分子内にF-S結合を有する塩が、FSO3Li及び/又はLiN(SO2F)2を含有し、
前記(A)分子内にF-S結合を有する塩の含有量が、非水電解液の総量を基準として0.01質量%以上、3.0質量%以下である、
請求項1~3のいずれか一項に記載の非水系電解液。 - 前記(B)分子内にB-F結合を有する塩が、LiBF4を含有する、
請求項1~4のいずれか一項に記載の非水系電解液。 - 前記非水系電解液が、(C)分子内にP-F結合を有する塩(但し、前記ヘキサフルオロリン酸リチウムと前記オキソフルオロリン酸塩を除く)をさらに含有し、
前記(C)分子内にP-F結合を有する塩が、リチウムジフルオロオキサラートフォスフェート及び/又はリチウムテトラフルオロオキサラートフォスフェートを含有し、
前記(C)分子内にP-F結合を有する塩の含有量が、非水電解液の総量を基準として0.01質量%以上、3.0質量%以下である、
請求項1~5のいずれか一項に記載の非水系電解液。 - 前記非水系電解液が、不飽和結合及び/又はフッ素原子を含有するカーボネートをさらに含有し、
前記不飽和結合及び/又はフッ素原子を含有するカーボネートが、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、エチニルエチレンカーボネート、及びフルオロエチレンカーボネートからなる群より選択される少なくとも一種を含有することを特徴とする、
請求項1~6のいずれか一項に記載の非水系電解液。 - リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極及び正極、並びに請求項1~7のいずれか1項に記載の非水系電解液を含む、
非水系電解液二次電池。 - 前記負極は、集電体上に負極活物質層を有し、前記負極活物質層は、ケイ素の単体金属、合金及び化合物、スズの単体金属、合金及び化合物、炭素質材料、並びにリチウムチタン複合酸化物からなる群より選択される少なくとも一種を含有することを特徴とする、
請求項8に記載の非水系電解液二次電池。 - 前記正極は、集電体上に正極活物質層を有し、前記正極活物質層は、リチウム・コバルト複合酸化物、リチウム・コバルト・ニッケル複合酸化物、リチウム・マンガン複合酸化物、リチウム・コバルト・マンガン複合酸化物、リチウム・ニッケル複合酸化物、リチウム・ニッケル・マンガン複合酸化物、及びリチウム・コバルト・ニッケル・マンガン複合酸化物からなる群より選択される少なくとも一種を含有することを特徴とする、
請求項8又は9に記載の非水系電解液二次電池。 - 前記正極は、集電体上に正極活物質層を有し、前記正極活物質層は、LixMPO4(Mは周期表の第4周期の4族~11族の遷移金属からなる群より選択される少なくとも一種の元素、xは0<x<1.2)を含有することを特徴とする、
請求項8又は9に記載の非水系電解液二次電池。
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