以下に、本開示の実施の形態にかかる作業状況管理システムを図面に基づいて詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる作業状況管理システムの第1の構成例を示す図である。作業状況管理システム1Xは、作業者が作業を行う位置に基づいて作業者の作業内容および作業時間を判断し、作業者の作業状況を管理するシステムである。
作業状況管理システム1Xは、有効作業と無効作業とを区別し、有効作業の作業時間を算出する。有効作業は、例えば、部品の組み立てによって製品を生産するといった生産に寄与すると設定されている作業である。無効作業は、例えば、部品または治具が作業者の手元になく、作業者が部品または治具を探しに行くといった生産に直接寄与しないと設定されている作業である。無効作業には、規定時間外での休息、設備の修理なども含まれる。
実施の形態1における作業状況管理システム1Xは、例えば、工場の敷地内に配置された作業領域80において作業者の位置を特定し、作業者の位置に基づいて作業者の作業状況を管理する。作業状況管理システム1Xは、管理装置5と、複数のロケーションタグ2と、スマートタグ3と、ゲートウェイ機器4とを備えている。スマートタグ3は、複数であってもよいし、1つであってもよい。
作業状況管理システム1Xでは、ロケーションタグ2、スマートタグ3、およびゲートウェイ機器4が作業領域80内に配置されている。なお、管理装置5は、作業領域80内に配置されてもよいし、作業領域80の外部に配置されてもよい。
作業状況管理システム1Xは、作業領域80内での位置を特定するための情報をロケーションタグ2が記憶している。作業領域80内での位置を特定するための情報は、ロケーションタグ2を特定可能な識別番号(以下、ロケーションID(IDentifier)という)である。このように、作業状況管理システム1Xでは、ロケーションタグ2が、各々、自身を特定可能なロケーションIDを有している。
ロケーションタグ2は、作業領域80内における装置、作業台、操作盤、会議室、休憩室、部品置き場、治具置き場、通路、柱などの種々の固定位置に配置される。ロケーションタグ2は、ロケーションタグ2との間で通信可能な範囲に入ったスマートタグ3と無線通信し、通信可能なスマートタグ3に対してロケーションIDを含んだ情報であるロケーション情報を送信する固定局である。ロケーション情報は、スマートタグ3の位置の特定に寄与する情報である。ロケーションIDは、ロケーションタグ2の位置と対応付けされて管理装置5で管理されている。
スマートタグ3は、可搬可能なタグであり、作業者に所持されることによって移動局となる。スマートタグ3は、作業者に所持されることによって作業者の位置を特定するためのロケーションIDをロケーションタグ2から受信することができる。具体的には、スマートタグ3は、ロケーションタグ2の周りの特定領域に入った場合に、ロケーションタグ2と無線通信し得るように構成されており、無線通信可能となったロケーションタグ2からロケーションIDを含んだロケーション情報を受信する。ロケーションIDは、ロケーションタグ2の位置を特定するための情報であり、スマートタグ3によって受信されたロケーションIDは、スマートタグ3の位置を特定するための情報となる。
なお、作業領域80内で位置が特定される移動対象は、作業者に限られるものではない。例えば、位置が特定される移動対象は台車などの移動可能な周辺設備であってもよい。この場合、スマートタグ3は、台車などの周辺設備に固定される。ここでは、位置が特定される対象が作業者である場合について説明する。
スマートタグ3は、複数のロケーションタグ2と無線通信し得るように構成されている。スマートタグ3は、受信したロケーション情報と、ロケーション情報を受信した際の無線通信の受信強度とを対応付けしてゲートウェイ機器4に送信する。
なお、スマートタグ3は、スマートタグ3を識別する情報(以下、スマートIDという)をゲートウェイ機器4に送信してもよい。この場合、スマートタグ3は、ロケーション情報と、ロケーション情報を受信した際の無線通信の受信強度と、スマートIDとを対応付けしてゲートウェイ機器4に送信する。
ゲートウェイ機器4は、ロケーション情報を受信した時間の情報である時間情報と、ロケーション情報と、受信強度とを対応付けした情報(以下、取得情報という場合がある)を、有線通信または無線通信を介して管理装置5に送信する。
なお、ゲートウェイ機器4が管理装置5に送信する時間情報は、ロケーション情報を受信した時間の情報に限らず、ロケーション情報を送信した時間の情報であってもよい。また、作業状況管理システム1Xでは、スマートタグ3が時間情報をゲートウェイ機器4に送信してもよい。この場合、スマートタグ3は、時間情報と、ロケーション情報と、受信強度とを対応付けしてゲートウェイ機器4に送る。この場合の時間情報は、スマートタグ3がロケーション情報を受信した時間の情報または送信した時間の情報である。
管理装置5は、ゲートウェイ機器4からロケーション情報を含んだ取得情報を受信する。管理装置5は、ロケーション情報に含まれるロケーションIDに基づいて、作業者の作業領域80内での位置を特定し、位置情報として管理するコンピュータである。
管理装置5は、ロケーションタグ2が設置された敷地内(作業領域80)の地図の情報である地図情報を有している。管理装置5は、地図情報に含まれるロケーションタグ2の座標の情報である座標情報と、ロケーションタグ2のロケーションIDとが対応付けされた情報(以下、識別対応情報という)を記憶している。管理装置5は、後述するデータベース部55などで識別対応情報を記憶しておく。
管理装置5は、ロケーションIDおよび識別対応情報を用いて、ロケーションタグ2の位置を特定する。このように、ロケーションタグ2は、自身では位置情報を有しておらず、管理装置5が、識別対応情報と、ロケーションタグ2に固有のロケーションIDとによってロケーションタグ2の位置(座標)を特定する。これにより、管理装置5は、ロケーションタグ2の位置に対応するスマートタグ3の位置を特定し管理する。
なお、ここでは、ロケーションタグ2が自身の位置情報を有しておらずロケーションIDを有している場合について説明するが、ロケーションタグ2が自身の位置情報を有していてもよい。ロケーションタグ2が自身の位置情報を有している場合、ロケーションタグ2は、ロケーション情報にロケーションIDおよび位置情報を含めてスマートタグ3に送信する。
管理装置5は、ゲートウェイ機器4から取得情報を受信すると、取得情報に含まれる時間情報に基づいて、1つのスマートタグ3が同時間帯に受信したロケーションIDを特定する。
ここで同時間帯とは、受信した時間情報が示す時間のうち同一の時間とみなす時間(期間)である。例えば、スマートタグ3が、複数のロケーションタグ2の近くに位置している場合、スマートタグ3は、複数のロケーションタグ2のそれぞれからロケーションIDを同時に受信する場合がある。この場合、ゲートウェイ機器4は、スマートタグ3から受信した複数のロケーションIDのそれぞれに同じ時間を示す時間情報を付すこととなる。
ところが、スマートタグ3が移動しておらず、同じ場所にいた場合であっても、複数のロケーションタグ2のそれぞれに対し、通信タイミングがずれる可能性がある。この場合、ゲートウェイ機器4またはスマートタグ3は、各ロケーションIDに対して異なる時間情報を対応付けることとなる。管理装置5は、このような通信タイミングがずれただけのロケーションIDに対しては同時間に取得されたロケーションIDと扱うため、ロケーションIDに付された時間情報に差があった場合でも、特定の期間に含まれる時間については同時間のロケーションIDとする。管理装置5は、この特定の期間として、例えば、スマートタグ3とゲートウェイ機器4との間の通信周期を用いる。
管理装置5は、同時間に受信したロケーション情報のうち、最も高い受信強度に対応するロケーション情報を選択し、選択したロケーション情報を有するロケーションタグ2の近くにスマートタグ3が存在すると判断する。そして、管理装置5は、識別対応情報と、選択したロケーション情報に含まれるロケーションIDとに基づいて、地図情報で示される地図上でのスマートタグ3の位置を特定し表示装置に表示する。すなわち、管理装置5は、選択したロケーション情報に含まれるロケーションIDに紐づけられた座標情報が示す位置を、地図上でスマートタグ3の位置として表示する。表示装置は、管理装置5が備えていてもよいし、管理装置5とは別構成の装置であってもよい。
なお、スマートタグ3が、管理装置5の代わりに、同時間に受信したロケーションタグ2のうち、最も高い受信強度に対応するロケーション情報を選択してもよい。この場合、スマートタグ3は、選択したロケーション情報を有するロケーションタグ2の近くに自身のスマートタグ3が存在すると判断し、選択したロケーション情報をゲートウェイ機器4に送信する。
管理装置5は、時系列で地図上にスマートタグ3の位置を表示させる。管理装置5は、スマートタグ3の表示位置を繋いで表示させることで、スマートタグ3の軌跡を表示させることができる。
図2は、実施の形態1にかかる管理装置が表示するスマートタグの軌跡を示す図である。図2では、管理装置5が表示装置に表示させるスマートタグ3の軌跡の一例を示している。図2では、特定期間におけるスマートタグ3の移動開始位置を移動開始位置Paで示し、スマートタグ3の移動終了位置を移動終了位置Pbで示している。また、特定期間におけるスマートタグ3の軌跡を軌跡L1で示している。
管理装置5は、スマートタグ3の軌跡L1に関するデータ、例えば、時間情報と、ロケーションIDから導かれるスマートタグ3の位置情報とを用いて、作業者の作業状況を分析する。
ここで、作業状況管理システム1Xの他の構成例について説明する。図3は、実施の形態1にかかる作業状況管理システムの第2の構成例を示す図である。図3の各構成要素のうち図1に示す作業状況管理システム1Xと同一機能を達成する構成要素については同一符号を付しており、重複する説明は省略する。
図1で説明した作業状況管理システム1Xでは、ゲートウェイ機器4と管理装置5とが直接通信接続されている。作業状況管理システムの第2の構成例である作業状況管理システム1Yは、複数のゲートウェイ機器4が、データ収集プラットフォーム6を介して管理装置5に接続されている。
作業状況管理システム1Yは、作業状況管理システム1Xと同様に、作業者の作業状況を管理するシステムである。作業状況管理システム1Yは、管理装置5と、複数のロケーションタグ2と、複数のスマートタグ3と、複数のゲートウェイ機器4とを備えている。
作業状況管理システム1Yでは、ロケーションタグ2、スマートタグ3、およびゲートウェイ機器4が作業領域80A~80C内に配置されている。作業領域80A~80C内には、それぞれ、作業領域80と同様に、ロケーションタグ2、スマートタグ3、およびゲートウェイ機器4が配置されている。なお、管理装置5およびデータ収集プラットフォーム6は、作業領域80A~80Cの何れかに配置されてもよいし、作業領域80A~80Cの外部に配置されてもよい。
作業領域80A~80C内では、作業領域80と同様の処理が実行される。作業領域80A~80C内の各ゲートウェイ機器4は、取得情報をデータ収集プラットフォーム6に送信する。
データ収集プラットフォーム6は、作業領域80A~80C内の各ゲートウェイ機器4から取得情報を受信して管理装置5に送信する。なお、管理装置5は、クラウドサーバ上に設けられてもよい。この場合、データ収集プラットフォーム6は、管理装置5の機能が搭載されたクラウドサーバに取得情報を送信する。
データ収集プラットフォーム6は、データ収集を目的としたソフトウェア(S/W:SoftWare)プラットフォームであり、工業用PC(Personal Computer)に搭載されることでデータ収集を実行することが可能になるデータ収集装置となる。
データ収集プラットフォーム6は、各種の通信規格に準じたデータ収集機能部を複数有している。データ収集プラットフォーム6は、各ゲートウェイ機器4が異なる通信規格で通信する場合であっても、ゲートウェイ機器4の各通信規格に対応するデータ収集機能部を用いることで、異なる通信規格を有するゲートウェイ機器4からロケーションID等を含んだデータである取得情報を収集することができる。
データ収集プラットフォーム6は、ゲートウェイ機器4からのデータ収集に加え、後述する外部システム7からもデータ収集が可能である。データ収集プラットフォーム6は、ゲートウェイ機器4および外部システム7から取得したデータを、管理装置5で利用可能なデータ形式に加工し、加工したデータを、管理装置5に送信する。
作業状況管理システム1X,1Yは、同様の処理を実行するので、以下では、図3に示す作業状況管理システム1Yについて詳細に説明する。なお、管理装置5は、作業状況管理システム1Xに配置される場合であっても、作業状況管理システム1Yに配置される場合と同様の処理を実行する。
図4は、実施の形態1にかかる作業状況管理システムのシステム構成を示す図である。図5は、実施の形態1にかかるロケーションタグ、スマートタグ、および外部システムの構成を説明するための図である。
図4および図5では、図3に示す作業状況管理システム1Yおよび外部システム7の機能ブロックを示している。また、図4および図5では、図3に示す作業状況管理システム1Yが、ロケーションタグ2A,2Bと、スマートタグ3A,3Bとを備える場合を示している。ロケーションタグ2A,2Bは、ロケーションタグ2と同様のタグであり、スマートタグ3A,3Bは、スマートタグ3と同様のタグである。以下、ロケーションタグ2A,2Bを区別しない場合には、ロケーションタグ2A,2Bをロケーションタグ2として説明する場合がある。
図4および図5に示す構成要素のうち、工場の敷地内に設置され固定局となるロケーションタグ2A,2Bと、作業者に設置され移動局となるスマートタグ3A,3Bと、ゲートウェイ機器4と、データ収集プラットフォーム6と、管理装置5とが作業状況管理システム1Yの構成要素である。図5では、図4に示した、勤怠管理システム7B、作業管理システム7C、およびスケジュール管理システム7Dの図示を省略している。
図4および図5では、ロケーションタグ2A,2Bとスマートタグ3Aとが、同じ作業領域(例えば、作業領域80A~80Cの何れか)に配置されている場合について説明する。なお、スマートタグ3A,3Bは、同様の構成を有しているので、スマートタグ3Bについての説明は省略する。
また、図4および図5では、ロケーションタグ2A,2Bが、ロケーションIDとともに、ロケーションタグ2A,2Bの座標を示す座標情報をロケーション情報に含めてスマートタグ3Aに送信する場合について説明する。
図4に示すように、外部システム7は、例えば、生産管理システム7Aと、勤怠管理システム7Bと、作業管理システム7Cと、スケジュール管理システム7Dとを有している。
生産管理システム7Aは、生産ラインでの生産量および生産性を管理するシステムである。勤怠管理システム7Bは、作業者の勤怠を管理するシステムである。作業管理システム7Cは、作業者の作業を管理するシステムである。スケジュール管理システム7Dは、作業者毎に時間毎の作業内容をスケジュール情報として管理するシステムである。
外部システム7は、データ収集プラットフォーム6に接続されている。すなわち、生産管理システム7A、勤怠管理システム7B、作業管理システム7C、およびスケジュール管理システム7Dは、データ収集プラットフォーム6に接続されている。
図5に示すように、ロケーションタグ2は、それぞれロケーション情報送信部21を有している。ロケーション情報送信部21は、ロケーションタグ2の外部に位置しているスマートタグ3Aとの間で通信を確立すると、ロケーションタグ2の内部に設定されているロケーション情報を、特定の通信方式でスマートタグ3Aに送信する。
スマートタグ3Aは、ロケーション情報受信部31と、ロケーション判定部32と、モーションセンサ部33と、情報送信部34とを有している。
ロケーション情報受信部31は、ロケーションタグ2から送信されてくるロケーション情報を受信して、ロケーション判定部32に送る。ロケーション情報受信部31は、ロケーションタグ2からロケーション情報を受信する際に、受信強度を測定し、ロケーション情報と受信強度とを対応付けしてロケーション判定部32に送信する。
ロケーション判定部32は、ロケーション情報に基づいて、自身の位置、すなわちスマートタグ3Aの位置を判定する。具体的には、ロケーション判定部32は、同時間帯に受信した複数のロケーション情報のうち、受信した際の受信強度が高いロケーション情報を選択する。
ロケーション判定部32は、例えば、同時間帯に受信したロケーションタグ2A,2Bのロケーション情報のうち、受信した際の受信強度が最も高いロケーション情報を選択する。
なお、ロケーション判定部32が選択する受信強度が高いロケーション情報は、受信したロケーション情報の受信強度のうち最も高い受信強度を示すロケーション情報のみに限らない。例えば、ロケーション判定部32は、受信強度が高い上位N(Nは2以上の自然数)個のロケーション情報を選択してもよい。また、ロケーション判定部32は、受信強度が特定値以上のロケーション情報を選択してもよい。
ロケーション判定部32は、選択したロケーション情報に対応するロケーションタグ2の近傍にスマートタグ3Aが位置していると判定する。ロケーション判定部32は、選択した1または複数のロケーション情報をロケーション判定結果情報として情報送信部34に送信する。ロケーション判定結果情報には、ロケーション情報と、このロケーション情報に対応する受信強度とが含まれている。
なお、受信強度が高いロケーション情報が、最も高い受信強度を示す1つのロケーション情報のみの場合、スマートタグ3Aから管理装置5へ送信されるロケーション情報は1つになる。この場合、管理装置5は、上述した複数のロケーション情報から特定のロケーション情報を選択する機能を有していなくてもよい。以下では、ロケーション判定部32が選択するロケーション情報が、受信強度が高い上位N個のロケーション情報である場合について説明する。
スマートタグ3Aのモーションセンサ部33は、スマートタグ3Aの動作を検出する。モーションセンサ部33は、振動センサ、加速度センサ等のセンサを有しており、作業者または台車の動作を分析するためのデータを取得する。
モーションセンサ部33は、例えば、作業者がスマートタグ3Aを保持している場合、加速度センサが検出した加速度に基づいて、部品の取り出しによって作業者がしゃがむ動作などを検知することができる。また、モーションセンサ部33は、例えば、スマートタグ3Aが台車に設置されている場合、振動センサが検知した振動に基づいて、台車への積み荷の開始および終了、台車の移動などを検知することができる。モーションセンサ部33は、取得したデータ(センシング結果)をモーション情報(モーションセンサ信号)として情報送信部34に送信する。モーション情報の例は、スマートタグ3Aの加速度、スマートタグ3Aの振動、作業者がしゃがむ動作、台車への積み荷の開始タイミング、台車への積み荷の終了タイミング、台車の移動などである。
情報送信部34は、ロケーション判定部32からのロケーション判定結果情報と、モーションセンサ部33からのモーション情報とを対応付けしてゲートウェイ機器4に送信する。
ゲートウェイ機器4は、ロケーション判定結果情報とモーション情報と時間情報とが対応付けされた取得情報を、データ収集プラットフォーム6を介して、管理装置5に送信する。ここでの取得情報は、ロケーション情報と、このロケーション情報に対応する受信強度と、モーション情報と、時間情報とが対応付けされた情報である。
生産管理システム7Aは、製品の生産を管理するシステムであり、システムの一部に、例えば、生産高カウント装置71と、機械装置70と、撮像装置であるカメラ72と、コードリーダ73とを備えている。
生産高カウント装置71は、機械装置70が生産した製品の生産高をカウントする装置である。生産高カウント装置71には、機械装置70と、カメラ72と、コードリーダ73とが接続されている。
カメラ72は、カメラ72から見て面前の製品を撮影することで製品の通過を検知して生産高カウント装置71に通知する。コードリーダ73は、製品に付加されたバーコードを読み込むことで製品の通過を検知してコードリーダ73に通知する。
生産高カウント装置71は、生産高カウンタ71Aと、情報送信部71Bとを有している。生産高カウンタ71Aは、カメラ72からの通知回数、およびコードリーダ73からの通知回数をカウントする。生産高カウンタ71Aは、通知回数のカウント結果を生産高情報として情報送信部71Bに送信する。生産高カウンタ71Aが送信する生産高情報には、通知回数のカウント結果と、このカウント結果に対応する時間情報とが含まれている。情報送信部71Bは、データ収集プラットフォーム6を介して管理装置5に生産高情報を送信する。
図4に示すように、管理装置5は、デバイス管理部50と、地図管理部51と、位置管理部52と、作業解析部53と、作業時間算出部54と、データベース部55と、外部連携部56と、解析表示部57とを有している。
デバイス管理部50は、スマートタグ3Aから取得情報を受信する。デバイス管理部50は、ロケーション情報に対応する属性情報を記憶しておくことで属性情報を管理する。デバイス管理部50は、スマートタグ3Aから取得情報を受信すると、受信した取得情報に含まれるロケーション情報の属性情報を読み出す。
地図管理部51は、工場内の地図情報を記憶しておき管理する。位置管理部52は、スマートタグ3Aの位置と、地図管理部51が管理している地図情報とを対応付けする。位置管理部52は、対応付けした情報をスマートタグ3Aの位置情報として記憶することで、スマートタグ3Aの位置情報を管理する。作業解析部53は、位置管理部52が管理しているスマートタグ3Aの位置情報に基づいて、作業者の作業内容の判別と、作業内容が有効作業に属するか無効作業に属するかの判別とを行う。作業解析部53は、判別結果を作業時間算出部54に送る。
作業時間算出部54は、生産に寄与する作業に設定されている有効作業または生産に寄与しない作業に設定されている無効作業の、開始時間である作業開始時間および終了時間である作業終了時間に基づいて、有効作業および無効作業の作業時間を算出する。作業時間算出部54は、作業内容と、有効作業の作業時間と、無効作業の作業時間とを対応付けした情報を、作業管理情報としてデータベース部55に蓄積させる。
データベース部55は、作業管理情報を蓄積する。また、データベース部55は、場所毎(位置情報に対する領域毎)の作業内容を作業者毎および台車毎に区分した情報を、データベース情報として格納しておく。データベース情報は、位置情報と作業内容とが対応付けされた情報である。データベース部55は、移動対象毎のデータベース情報を格納しておく。
外部連携部56は、データ収集プラットフォーム6を介して、外部システム7から生産量等の情報を含んだ生産高情報などを取得し、解析表示部57に送る。また、外部連携部56は、管理装置5が生成した情報を、データ収集プラットフォーム6を介して、外部システム7に送る。外部連携部56は、例えば、管理装置5が分析した作業領域80A~80Cにおける生産性を生産管理システム7Aに送る。
分析部である解析表示部57は、作業領域80A~80Cにおける生産性を分析する。具体的には、解析表示部57は、生産高情報、およびデータベース部55に蓄積された作業時間に基づいて、例えば、作業者または台車の生産効率を算出する。解析表示部57は、生産効率などの分析結果を表示装置に表示させる。
以下、管理装置5の構成について詳細に説明する。なお、ここでは、スマートタグ3Aが、ロケーションタグ2Aからロケーション情報を受信した場合について説明する。
管理装置5のデバイス管理部50は、ロケーション情報に対応するロケーションタグ2Aの属性情報、スマートタグ3Aの識別情報であるスマートIDに対応するスマートタグ3Aの属性情報を管理する。
ロケーションタグ2Aの属性情報は、例えば、ロケーションタグ2Aの工場敷地内における設置場所を示す座標情報、ロケーションタグ2Aの製造番号、ロケーションタグ2Aの管理部門の情報などである。
スマートタグ3Aの属性情報は、例えば、スマートタグ3Aが取り付けられた対象(作業者、台車など)、スマートタグ3Aの製造番号、スマートタグ3Aの管理部門の情報などである。
ロケーションタグ2Aの属性情報は、ロケーションタグ2Aの識別情報であるロケーションIDが付されて管理装置5で管理されている。すなわち、管理装置5は、ロケーションタグ2Aの属性情報と、ロケーションIDとが対応付けされた情報(以下、ロケーションID属性情報という)を記憶しておく。ロケーションタグ2Aの属性情報のうちの座標情報と、ロケーションIDとが対応付けされた情報が前述の識別対応情報である。
デバイス管理部50は、例えば、データ収集プラットフォーム6からロケーションIDを受け取った場合、ロケーションID属性情報から、ロケーションIDに対応するロケーションタグ2Aの属性情報を読み出す。デバイス管理部50は、例えば、ロケーションIDおよびロケーションID属性情報に基づいて、ロケーションタグ2Aの位置情報、ロケーションタグ2Aの製造番号、ロケーションタグ2Aの管理部門の情報などを特定する。
ロケーションタグ2Aの属性情報には、識別対応情報が含まれているので、デバイス管理部50は、識別対応情報およびロケーション情報を位置管理部52に送る。また、デバイス管理部50は、属性情報およびロケーションIDを解析表示部57に送る。
なお、ロケーション情報にロケーションタグ2Aの座標情報が含まれている場合、属性情報には、識別対応情報が含まれていなくてもよい。この場合、デバイス管理部50は、ロケーション情報を位置管理部52に送る。
また、スマートタグ3Aの属性情報は、スマートタグ3Aの識別情報であるスマートIDが付されて管理装置5で管理されている。すなわち、管理装置5は、スマートタグ3の属性情報と、スマートIDとが対応付けされた情報(以下、スマートID属性情報という)を記憶しておく。
デバイス管理部50は、例えば、データ収集プラットフォーム6からスマートIDを受け取った場合、スマートID属性情報から、スマートIDに対応するスマートタグ3Aの属性情報を読み出す。デバイス管理部50は、例えば、スマートIDおよびスマートID属性情報に基づいて、スマートタグ3Aの製造番号、スマートタグ3Aの管理部門の情報などを特定する。
位置管理部52は、識別対応情報およびロケーションIDに基づいて、ロケーションタグ2Aの近傍に位置するスマートタグ3Aの座標を特定する。位置管理部52は、スマートタグ3Aの座標と、地図管理部51が記憶している地図情報とを対応付けし、対応付けした情報を、スマートタグ3Aの位置情報として記憶しておく。スマートタグ3Aの位置情報は、地図情報上での座標で示される。
作業解析部53は、位置管理部52からスマートタグ3Aの位置情報を読み出す。作業解析部53は、スマートタグ3Aの位置情報およびデータベース情報に基づいて、作業者の作業内容の判別、作業内容が有効作業に属するか無効作業に属するかの判別を実行する。作業解析部53は、例えば、作業者の位置が、装置、作業台、または操作盤から特定範囲内である場合、作業内容が有効作業に属すると判定する。一方、作業解析部53は、例えば、作業者の位置が、会議室、休憩室、部品置き場、治具置き場、または通路から特定範囲内である場合、作業内容が無効作業に属すると判定する。
これにより、作業状況管理システム1Yにおける管理装置5は、作業者の作業を有効作業と無効作業とに分けたうえで、作業者の作業状況を分析することが可能となる。したがって、管理装置5は、有効作業において更なる改善の示唆を表示でき、無効作業において無駄作業削減の示唆を表示できる。
つぎに、作業状況管理システム1Yにおける作業状況の管理処理手順について説明する。図6は、実施の形態1にかかる作業状況管理システムが実行する作業状況の管理処理手順を示すフローチャートである。
管理装置5では、デバイス管理部50が、取得情報を受信し、取得情報からスマートIDを抽出する。デバイス管理部50は、スマートIDを取得すると、スマートIDに対応するスマートタグ3Aの属性情報を読み出し、読み出した属性情報に基づいてスマートタグ3Aが作業者に付されているものか、台車に付されているものかを判断する。すなわち、デバイス管理部50は、スマートタグ3Aが付されている移動対象の種別を判断する。デバイス管理部50は、この判断結果を位置管理部52に送る。また、デバイス管理部50は、取得情報からロケーション情報を抽出し、位置管理部52に送る。
続いて、位置管理部52は、ロケーション情報にロケーションタグ2Aの座標情報が含まれている場合、ロケーション情報からロケーションタグ2Aの座標情報を抽出する。位置管理部52は、この座標情報と、地図管理部51の地図情報とに基づいて、デバイス管理部50が種別を判断した移動対象(作業者または台車)の位置を判断する。
一方、ロケーション情報にロケーションタグ2Aの座標情報が含まれていない場合、位置管理部52は、ロケーション情報からロケーションIDを抽出する。また、位置管理部52は、データベース部55から識別対応情報を読み出す。位置管理部52は、識別対応情報およびロケーションIDに基づいて、ロケーションタグ2Aの近傍に位置するスマートタグ3Aの座標を特定する。そして、位置管理部52は、スマートタグ3Aの座標と、地図管理部51の地図情報とに基づいて、デバイス管理部50が種別を判断した移動対象の位置を判断する。
位置管理部52は、移動対象の位置をスマートタグ3Aの位置情報として作業解析部53に送る。また、位置管理部52は、移動対象の種別を作業解析部53に送る。作業解析部53は、移動対象の種別およびスマートタグ3Aの位置情報に基づいて、有効無効の判断対象となる作業内容を特定する(ステップS10)。作業解析部53は、以下の方法で作業内容を特定する。
作業内容は、工場敷地内にいる作業者毎および台車毎に予め決められているので、作業解析部53は、作業者または台車の位置に基づいて作業内容を特定する。すなわち、作業解析部53は、作業者または台車の位置で想定される作業内容に基づいて、作業者または台車の作業内容を判別する。具体的には、作業解析部53は、作業者または台車の位置と、作業内容とが対応付けされた情報であるデータベース情報に基づいて、位置管理部52が特定した位置情報に対応する作業内容を特定する。
場所毎の作業内容は、作業者毎および台車毎に区分されてデータベース情報としてデータベース部55に格納されており、作業解析部53は、このデータベース情報に基づいて作業者または台車での作業内容を特定する。作業解析部53は、例えば、組み立て装置が配置されている場所に作業者が位置している場合、作業内容として、作業者が製品の組み立て作業を実施中であると判定する。また、作業解析部53は、組み立て装置が配置されている場所に台車が位置している場合、作業内容として、台車が製品の組み立てに必要な部品を搬送中であると判定する。
スケジュール管理システム7Dは、作業者毎に時間毎の作業内容をスケジュール情報として管理している。外部連携部56は、外部システム7と連携している。外部連携部56は、スケジュール管理システム7Dからスケジュール情報を取得し、作業解析部53に送る。また、外部連携部56は、生産管理システム7Aから生産高情報を取得し、解析表示部57に送る。
作業解析部53は、スケジュール情報を参照することにより、作業者または台車の作業内容を詳細に判定する。作業解析部53は、例えば、組み立て装置が配置されている場所に作業者が位置している場合、この場所に位置する時間の長さと、スケジュール情報の作業スケジュールとに基づいて、作業者が製品の組み立て作業のうち、何れの作業を実施中かを作業状況として判定する。
つぎに、作業解析部53は、スマートタグ3Aからスマートタグ3Aの振動のデータであるモーション情報を取得する。作業解析部53は、取得したモーション情報を、例えば、以下の指針で解析することにより、作業者または台車の作業内容を特定する。
(1)移動対象が作業者の場合
・最初の振動があると作業の開始と判定
・振動の中断があると作業の第1の工程の完了と判定
・振動の中断から再開があると第2の工程の開始と判定
・振動の開始および中断の回数により全工程の完了を判定
(2)移動対象が台車の場合
・最初の振動があると荷下ろし作業の開始と判定
・定期的な振動があると荷下ろし作業中と判定
・連続的な振動の停止、または台車の移動を示す振動があると荷下ろし作業の終了と判定
続いて、作業解析部53は、作業内容の有効無効を判定する(ステップS20)。ここで、作業解析部53が、作業状況の作業内容のうち有効作業と無効作業とを判別する手順について説明する。作業解析部53は、データベース部55のデータベース情報と、位置管理部52が特定したスマートタグ3Aの位置情報と、取得情報に含まれる時間情報と、モーション情報とを用いて、作業内容が有効作業であるか無効作業であるかの判定を行う。作業解析部53は、例えば、以下の基準に基づいて、作業内容が無効作業であるか否かの判定を実施する。
・作業中断から作業開始までの時間が基準時間(インターバルの許容時間)を超える
・作業者が作業場所から、想定外の場所に移動する
このように、作業解析部53は、スマートタグ3Aの位置情報および時間情報に基づいて得られる作業内容のうち、無効作業と判定可能な無効作業のケース(基準)を準備しておき、無効作業ケースに該当するか否かによって有効作業か無効作業かを判定する。なお、作業解析部53は、スマートタグ3Aの位置情報および時間情報に基づいて得られる作業内容のうち、有効作業と判定可能な有効作業のケース(基準)を準備しておき、有効作業ケースに該当するか否かによって有効作業か無効作業かを判定してもよい。
作業解析部53は、作業中断から作業開始までの時間が基準時間を超えるケース、すなわち、例えば、作業者が作業をさぼっているという無効作業を判定する場合、スマートタグ3Aの位置情報および時間情報と、モーション情報とを用いて無効作業を判定する。具体的には、作業解析部53は、時間情報およびモーション情報に基づいて、有効作業を確認できない時間間隔(期間)を算出し、算出した時間間隔が基準時間を超える場合、その時間間隔の作業を無効作業であると判定する。
作業解析部53は、作業者が作業場所から想定外の場所に移動するケース、すなわち、例えば、治具や部品が無く作業者が探しに行くという無効作業を判定する場合、スマートタグ3Aの位置情報および時間情報と、データベース情報とを用いて無効作業を判定する。具体的には、作業解析部53は、位置情報に基づいて作業者の位置を確認し、確認した位置が、データベース情報で示される有効作業と判定可能な位置(領域)に属するか否かを確認する。
作業解析部53は、スマートタグ3Aの位置が有効作業と判定可能な位置に属すると確認できない場合、この確認できない間の位置情報および時間間隔の作業を無効作業と判定する。
一方、作業解析部53は、スマートタグ3Aの位置が有効作業と判定可能な位置に属すると確認できた場合、この確認できた間の位置情報および時間間隔の作業を有効作業と判定する。
作業解析部53は、作業内容を有効作業または無効作業と判定した後、判定結果をデータベース部55の作業管理情報に反映する。
作業解析部53は、有効作業の作業内容である有効作業内容に基づいて、有効作業の開始時間および終了時間を算出する(ステップS30)。また、作業解析部53は、無効作業の作業内容である無効作業内容に基づいて、無効作業の開始時間および終了時間を算出する(ステップS31)。作業解析部53は、ステップS30の処理と、ステップS31の処理とを何れの順番で実行してもよい。
例えば、作業時間算出部54は、無効作業の時間間隔の算定元となった無効作業内容の時間情報を用いて、無効作業の作業開始時間および作業終了時間を算出する。また、作業時間算出部54は、例えば、有効作業の作業開始時間および作業終了時間を、無効作業の作業終了時間および作業開始時間に基づいて算出する。この場合、作業時間算出部54は、無効作業の作業開始時間を有効作業の作業終了時間とし、無効作業の作業終了時間を有効作業の作業開始時間とする。
なお、例えば、作業時間算出部54は、有効作業の時間間隔の算定元となった有効作業内容の時間情報を用いて、有効作業の作業開始時間および作業終了時間を算出してもよい。また、作業時間算出部54は、例えば、無効作業の作業開始時間および作業終了時間を、有効作業の作業終了時間および作業開始時間に基づいて算出してもよい。この場合、作業時間算出部54は、有効作業の作業開始時間を無効作業の作業終了時間とし、有効作業の作業終了時間を無効作業の作業開始時間とする。
また、作業時間算出部54は、有効作業の作業開始時間および作業終了時間に基づいて、有効作業の作業時間である後述の有効作業時間65Bを算出する。また、作業時間算出部54は、無効作業の作業開始時間および作業終了時間に基づいて、無効作業の作業時間である後述の無効作業時間65Cを算出する。このように、作業時間算出部54は、時間情報と、有効作業および無効作業の少なくとも一方と、に基づいて、有効作業時間65Bおよび無効作業時間65Cを算出する。
作業時間算出部54は、算出結果をデータベース部55に反映する。すなわち、作業時間算出部54は、有効作業時間65Bおよび無効作業時間65Cをデータベース部55の作業管理情報に保存する(ステップS40)。
ここでデータベース部55が格納する作業管理情報について説明する。図7は、実施の形態1にかかる管理装置が備えるデータベース部が格納する作業管理情報の構成例を示す図である。
作業管理情報では、作業内容65Aと、有効作業の作業時間である有効作業時間65Bと、無効作業の作業時間である無効作業時間65Cと、トータルの作業時間である在場時間65Dとが対応付けされている。
作業内容65Aには、作業解析部53における作業内容の判定結果が登録される。作業内容65Aには、例えば、「A部取り付け作業」といった作業の内容を示す作業名が登録される。
有効作業時間65Bには、有効作業の時間間隔である有効作業間隔65B1と、有効作業時間65Bの開始時間および終了時間を示す有効開始終了時間65B2とが含まれている。有効作業間隔65B1は、有効作業時間65Bの開始時間から終了時間までの合計時間である。
有効作業間隔65B1には、有効作業の判定結果に伴う時間間隔が登録される。有効開始終了時間65B2には、作業時間算出部54の算出結果である有効作業時間65Bの開始時間および終了時間が登録される。
無効作業時間65Cには、無効作業の時間間隔である無効作業間隔65C1と、無効作業時間65Cの開始時間および終了時間を示す無効開始終了時間65C2とが含まれている。無効作業間隔65C1は、無効作業時間65Cの開始時間から終了時間までの合計時間である。
無効作業間隔65C1には、無効作業の判定結果に伴う時間間隔が登録される。無効開始終了時間65C2には、作業時間算出部54の算出結果である無効作業時間65Cの開始時間および終了時間が登録される。在場時間65Dには、有効作業時間65Bの時間間隔と無効作業時間65Cの時間間隔との合計が登録される。
解析表示部57は、データベース部55から作業管理情報を取得し、外部連携部56から生産高情報を取得する(ステップS50)。解析表示部57は、例えば、いわゆるBI(Business Intelligence)ツールである。
解析表示部57は、作業管理情報および生産高情報を用いて生産性を分析する(ステップS60)。具体的には、解析表示部57は、作業管理情報および生産高情報を用いて、(1)有効時間と無効時間の割合、(2)作業内容毎の有効時間と無効時間との割合、(3)作業時間(有効作業時間65B+無効作業時間65C)における生産効率、(4)有効時間における生産効率(あるべき生産効率)などを分析する。解析表示部57は、分析結果を表示装置に表示させる。
なお、解析表示部57は、ロケーションタグ2の属性情報を表示装置に表示させてもよい。この場合、解析表示部57は、ロケーションタグ2の属性情報をデバイス管理部50から取得する。
また、解析表示部57は、スマートタグ3Aの属性情報を表示装置に表示させてもよい。この場合、解析表示部57は、スマートタグ3Aの属性情報をデバイス管理部50から取得する。
ここで、管理装置5のハードウェア構成について説明する。図8は、実施の形態1にかかる管理装置を実現するハードウェア構成例を示す図である。
管理装置5は、入力装置300、プロセッサ100、メモリ200、および出力装置400により実現することができる。プロセッサ100の例は、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)ともいう)またはシステムLSI(Large Scale Integration)である。メモリ200の例は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)である。
管理装置5は、プロセッサ100が、メモリ200で記憶されている管理装置5の動作を実行するための、コンピュータで実行可能な、管理プログラムを読み出して実行することにより実現される。管理装置5の動作を実行するためのプログラムである管理プログラムは、管理装置5の手順または方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。
管理装置5で実行される管理プログラムは、デバイス管理部50と、地図管理部51と、位置管理部52と、作業解析部53と、作業時間算出部54と、外部連携部56と、解析表示部57とを含むモジュール構成となっており、これらが主記憶装置上にロードされ、これらが主記憶装置上に生成される。
入力装置300は、データ収集プラットフォーム6から取得情報、生産高情報などを受付けてメモリ200に送る。
メモリ200は、データベース部55に対応している。メモリ200は、データベース情報、取得情報、生産高情報、識別対応情報、ロケーションタグ2A,2Bの属性情報、スマートタグ3A,3Bの属性情報、作業管理情報、管理プログラムなどを記憶する。データベース情報、取得情報、生産高情報、識別対応情報、ロケーションタグ2A,2Bの属性情報、スマートタグ3A,3Bの属性情報、作業管理情報、管理プログラムなどは、プロセッサ100によって読み出される。また、メモリ200は、プロセッサ100が各種処理を実行する際の一時メモリに使用される。出力装置400は、解析表示部57による分析結果を表示装置に送る。
管理プログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルで、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記憶されてコンピュータプログラムプロダクトとして提供されてもよい。また、管理プログラムは、インターネットなどのネットワーク経由で管理装置5に提供されてもよい。なお、管理装置5の機能について、一部を専用回路などの専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。
このように実施の形態1によれば、作業状況管理システム1Yは、図6に示す動作フローを実施することによって、作業内容を有効作業と無効作業とに分けて管理する。これにより、作業状況管理システム1Yは、無効作業という不確定に生じる作業時間が除外された有効作業の作業時間だけで作業内容を分析し評価することができる。したがって、作業状況管理システム1Yは、不確定要素を除いた生産に直結する本質的な作業である有効作業の作業時間に基づいた正確な作業状況を管理することができる。これにより、作業状況管理システム1Yは、生産性を向上させることが可能となる。
実施の形態2.
つぎに、図9を用いて実施の形態2について説明する。実施の形態2では、作業状況管理システム1Yの管理装置5が備える作業解析部53が、作業内容および作業の有効性を学習する。管理装置5は、作業解析部53以外は、実施の形態1と同様の処理を実行する。
図9は、実施の形態2にかかる作業解析部の構成を示す図である。管理装置5の作業解析部53は、作業内容判別部151と、有効作業判別部161とを備えている。なお、作業内容判別部151および有効作業判別部161は、作業状況管理システム1Xの管理装置5が備える作業解析部53に配置されてもよい。
作業内容判別部151は、作業者の位置情報と、作業内容とから、作業者の位置情報に対応する作業内容を学習することで第1の学習モデルを生成し、第1の学習モデルに基づいて作業者の位置情報から作業者の作業内容を判別する。第1の学習モデルは、作業者の位置情報から作業者の作業内容を判別するための学習モデルである。
有効作業判別部161は、作業内容と、作業の有効性または無効性の判断基準(以下、作業内容判断基準という)とから、作業内容に対応する作業内容判断基準を学習することで、第2の学習モデルを生成し、第2の学習モデルに基づいて作業内容判断基準を算出する。第2の学習モデルは、作業内容から、作業内容判断基準を判別するための学習モデルである。作業内容判断基準には、ロケーション情報を受信した時間の情報である時間情報、作業者の位置情報などが含まれている。
例えば、作業者が第1の領域に第1の時間以上滞在していた場合に、作業は有効作業であると判定される。また、作業者が第2の領域に第2の時間未満滞在していた場合に、作業は無効作業であると判定される。これらの第1の領域、第2の領域、第1の時間、第2の時間などが、作業内容判断基準である。
作業内容判別部151は、状態観測部152と、学習部153とを有している。状態観測部152は、作業者の作業領域80A~80C内での位置を示す位置情報と、作業内容の判断基準である作業内容判断基準とを状態変数として観測する。ここでの位置情報は、例えば、ロケーションタグ2の座標情報、衛星測位情報、受信強度から得られる位置情報、複数の機器との間の受信強度から算出された位置情報、設備との間の受信強度から算出された距離の情報などである。
なお、状態変数には、作業者の動きを示すモーション情報(動作情報)が含まれていてもよい。この場合、状態観測部152は、作業者の位置情報と、作業者のモーション情報と、作業内容判断基準とを状態変数として観測する。
モーション情報は、例えば、前述のモーションセンサ部33が検出したモーション情報と、カメラ72から得られるカメラ画像と、カメラ72から得られるカメラ動画との少なくとも1つを含んでいる。
学習部153は、位置情報と、モーション情報と、作業内容判断基準とを含んだ状態変数に基づいて作成されるデータセットに従って、位置情報およびモーション情報に対応する作業内容判断基準を学習する。作業内容判断基準は、作業内容を特定する基準である。作業内容判断基準は、位置情報およびモーション情報から得られる作業者の作業内容を示す。すなわち、学習部153は、位置情報とモーション情報と作業内容判断基準とを含んだ状態変数に基づいて作成されるデータセットに従って、位置情報およびモーション情報に対応する作業内容を学習する。ここでの作業内容は、項目分けして管理されている。作業内容は、例えば、部品Xの装置への供給作業、部品Yの取り付け作業、治具を他の場所に取りに行く作業のように項目分けして管理されている。
学習部153は、何れの学習アルゴリズムを用いてもよい。一例として、学習部153に強化学習(Reinforcement Learning)が適用された場合について説明する。強化学習は、ある環境内におけるエージェント(行動主体)が、現在の状態を観測し、取るべき行動を決定する、という学習である。エージェントは行動を選択することで環境から報酬を得て、一連の行動を通じて報酬が最も多く得られるような方策を学習する。強化学習の代表的な手法として、Q学習(Q-learning)またはTD学習(TD-learning)が知られている。例えば、Q学習の場合、行動価値関数Q(s,a)の一般的な更新式(行動価値テーブル)は、以下の式(1)で表される。
式(1)において、tは時刻tにおける環境を表し、atは時刻tにおける行動を表す。行動atにより、環境はst+1に変わる。rt+1はその環境の変化によってもらえる報酬を表し、γは割引率を表し、αは学習係数を表す。なお、γは0<γ≦1、αは0<α≦1の範囲とする。Q学習が適用された場合、作業内容判断基準が行動atとなる。
式(1)で表される更新式は、時刻t+1における最良の行動aの行動価値が、時刻tにおいて実行された行動aの行動価値Qよりも大きければ、行動価値Qを大きくし、逆の場合は、行動価値Qを小さくする。換言すれば、時刻tにおける行動aの行動価値Qを、時刻t+1における最良の行動価値に近づけるように、行動価値関数Q(s,a)を更新する。それにより、或る環境における最良の行動価値が、それ以前の環境における行動価値に順次伝播していくようになる。
学習部153は、報酬計算部154と、関数更新部155とを備えている。報酬計算部154は、状態変数に基づいて報酬rを計算する。報酬計算部154は、ユーザによる作業内容の区分け修正の有無に基づいて、報酬rを計算する。作業内容の区分けは、位置情報に対応する作業が何れの作業に含まれているかを分別する処理である。位置情報に対応する作業が適切な作業に設定されていない場合、ユーザによって、位置情報に対応する作業が適切な作業に修正される。すなわち、位置情報に対応する作業が適切な作業に対応付けされていない場合、ユーザによって、作業内容の区分け修正が行われる。
報酬計算部154は、例えば、ユーザによる作業内容の区分け修正が無い場合には報酬rを増大させる(例えば「1」の報酬を与える)。他方、報酬計算部154は、ユーザによる作業内容の区分け修正が有る場合には報酬rを低減する(例えば「-1」の報酬を与える)。
関数更新部155は、報酬計算部154によって計算される報酬に従って、作業内容判断基準を決定するための関数を更新する。関数更新部155は、例えばQ学習の場合、式(1)で表される行動価値関数Q(st,at)を、作業内容判断基準を算出するための関数として用いる。作業内容判別部151は、行動価値関数Q(st,at)を用いて、位置情報に対応する作業内容を判別する。
有効作業判別部161は、状態観測部162と、学習部163とを有している。状態観測部162は、作業内容判断基準で示される作業内容の情報(以下、作業内容情報という)と、有効性の判断に寄与する情報である有効性判断情報とを状態変数として観測する。
有効性判断情報は、例えば、ユーザによって設定された有効作業であると判定する基準、ユーザによって設定された無効作業であると判定する基準、解析表示部57において有効作業を更に効率化するために検討用に利用された作業内容の情報などである。以下では、有効性判断情報が、ユーザによって設定された有効作業の判定基準、およびユーザによって設定された無効作業の判定基準、すなわち有効無効の区分け基準である場合について説明する。
学習部163は、作業内容情報と有効性判断情報とを含んだ状態変数に基づいて作成されるデータセットに従って、作業内容情報に対応する有効性判断情報を学習する。換言すると、学習部163は、作業内容情報と有効性判断情報とを含んだ状態変数に基づいて作成されるデータセットに従って、作業内容に対応する、有効作業の判定基準および無効作業の判定基準を学習する。
学習部163は、何れの学習アルゴリズムを用いてもよい。学習部163は、例えば、上述した強化学習を用いる。学習部163は、報酬計算部164と、関数更新部165とを備えている。
報酬計算部164は、状態変数に基づいて報酬を計算する。報酬計算部164は、有効作業の判定基準または無効作業の判定基準のユーザによる修正の有無などに基づいて、報酬rを計算する。報酬計算部164は、例えば、ユーザによる判定基準の修正、すなわち有効性または無効性の区分け修正が無い場合には、報酬rを増大させる(例えば「1」の報酬を与える)。他方、報酬計算部164は、ユーザによる判定基準の修正が有る場合には報酬rを低減する(例えば「-1」の報酬を与える)。すなわち、報酬計算部164は、ユーザが作業内容を有効作業から無効作業に修正しない場合には報酬rを増大させ、ユーザが作業内容を無効作業から有効作業に修正した場合には報酬rを低減させる。
関数更新部165は、報酬計算部164によって計算される報酬に従って、有効無効の区分け基準、すなわち有効性判断情報を決定するための関数を更新する。関数更新部165は、例えばQ学習の場合、式(1)で表される行動価値関数Q(st,at)を有効無効の区分け基準を算出するための関数として用いる。有効作業判別部161は、行動価値関数Q(st,at)を用いて、作業内容情報の作業に対応する有効性判断情報を算出し、有効性判断情報に基づいて、作業内容情報の作業が有効作業であるか無効作業であるかを判別する。
実施の形態2でも実施の形態1と同様に、作業時間算出部54が有効作業の作業時間、および無効作業の作業時間を算出する。また、解析表示部57は、生産高情報、有効作業の作業時間、および無効作業の作業時間に基づいて、作業者または台車の生産効率を算出する。
なお、実施の形態2では、学習部153,163が用いる学習アルゴリズムに強化学習が適用された場合について説明したが、学習アルゴリズムは強化学習に限られるものではない。学習部153,163へは、強化学習以外にも、教師あり学習、教師なし学習、又は半教師あり学習等の学習アルゴリズが適用されることも可能である。
また、学習部153,163は、学習アルゴリズムとしては、特徴量そのものの抽出を学習する深層学習(Deep Learning)を用いることもでき、他の公知の方法、例えばニューラルネットワーク、遺伝的プログラミング、機能論理プログラミング、サポートベクターマシンなどに従って機械学習を実行してもよい。
なお、作業内容判別部151は、作業者の位置情報から作業者の作業内容を学習するために使用されるが、例えば、ネットワークを介して作業状況管理システム1Yに接続された、この作業状況管理システム1Yとは別個の装置であってもよい。また、有効作業判別部161は、作業内容の有効性を学習するために使用されるが、例えば、ネットワークを介して作業状況管理システム1Yに接続された、この作業状況管理システム1Yとは別個の装置であってもよい。また、作業内容判別部151および有効作業判別部161の少なくとも一方は、作業状況管理システム1Yに内蔵されていてもよい。さらに、作業内容判別部151および有効作業判別部161の少なくとも一方は、クラウドサーバ上に存在していてもよい。
このように実施の形態2によれば、作業解析部53が、作業内容判別部151を備えているので、管理装置5は、作業者の位置情報から作業者の作業内容を正確に判定することが可能となる。また、作業解析部53が、有効作業判別部161を備えているので、管理装置5は、作業内容の有効性を正確に判定することが可能となる。このように、作業状況管理システム1Yは、作業者の位置情報から作業者の作業内容を判定し、作業内容の有効性を判定するので、実施の形態1と同様に、有効作業の作業時間に基づいた正確な作業状況を管理することができる。これにより、作業状況管理システム1Yは、生産性を向上させることが可能となる。
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。