JP7048062B1 - ジオポリマーのフレッシュ性状の調整方法及びジオポリマーの硬化開始時間の調整方法 - Google Patents

ジオポリマーのフレッシュ性状の調整方法及びジオポリマーの硬化開始時間の調整方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ジオポリマーペーストの適度な流動性及び可使時間の双方を確保することができる活性フィラーを提供する。【解決手段】ジョークラッシャによって5~20mmに粗砕された中国産硬質カオリンを乾式粉砕した後、これを試験用ふるいに通して分級した後、マッフル炉を用いて750℃で3時間保持することによって焼成し、ジオポリマー原料の活性フィラーとして、平均粒子径が5~30μmのメタカオリンを得た。【選択図】 図1

Description

この発明は、ジオポリマーの硬化前の流動性等のフレッシュ性状の調整方法及びジオポリマーの硬化開始時間の調整方法に関する。
近年、二酸化炭素排出量の削減の観点から、セメントを使用しないジオポリマーが注目されている。このジオポリマーは、活性フィラーと称される鉱物質粉体をケイ酸アルカリまたはアルカリ溶液で処理して得られる無機性硬化体であり、耐水性の良好なジオポリマーを得るために、活性フィラーとしてメタカオリンが使用されている。
ところで、市販されている平均粒子径が1~3μm程度のメタカオリンとケイ酸ナトリウム等のアルカリ源とを混合してジオポリマーを生成する場合、混合直後のジオポリマーペーストの流動性が悪く、即ち、初期粘度が高く、十分な成形性を確保することができなかった。
特開平7-309617号公報
そこで、この発明の課題は、ジオポリマーのフレッシュ性状の調整方法及びジオポリマーの硬化開始時間の調整方法を提供することにある。
上記の課題を解決するため、請求項に係る発明は、アルカリシリカ溶液とメタカオリンの縮重合反応で生成されるジオポリマーのフレッシュ性状の調整方法であって、メタカオリンの平均粒子径を5~30μmの範囲で調整することにより、ジオポリマーのフレッシュ性状を調整することを特徴としている。
また、請求項に係る発明は、アルカリシリカ溶液とメタカオリンの縮重合反応で生成されるジオポリマーの硬化開始時間の調整方法であって、メタカオリンの平均粒子径を5~30μmの範囲で調整することにより、ジオポリマーの硬化開始時間を調整することを特徴としている。
求項に係る発明のように、活性フィラーとして使用されるメタカオリンの平均粒子径を5~30μmの範囲で調整することにより、得られたジオポリマーペーストの流動性等のフレッシュ性状や硬化開始時間を調整することができる。
実施例1~4及び比較例1、で得られたジオポリマーペーストの粘度変化を示すグラフである
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明するが、本発明の活性フィラー及び無機硬化性組成物は実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<活性フィラー>
ジョークラッシャによって5~20mmに粗砕された中国産硬質カオリンを遠心力分級機付き小型ローラミル(石井式ローラーミル、型式#10型、分級機の回転羽根の回転周波数:3Hz)にて乾式粉砕した後、さらにジェットミル(コジェットシステムα-mkV (株)セイシン企業製)にて二次粉砕を行い、これを試験用ふるい(呼び寸法:32μm)に通して分級した後、マッフル炉を用いて750℃で3時間保持することによって焼成し、ジオポリマー原料の活性フィラーとして、平均粒子径が6.4μmのメタカオリンを得た。
<ジオポリマー硬化体の製造>
表1に示すように、アルカリ金属珪酸塩として30℃に保温したケイ酸カリウム1.4-50(大阪硅曹(株)製)220g、活性フィラーとして平均粒子径が6.4μmのメタカオリン220gを容器に入れ、ハンドミキサーで均一になるまで素早く混合してジオポリマーペーストを生成し、このジオポリマーペーストを30℃のウォーターバスで保温しながら硬化させることによってジオポリマー硬化体を製造した。
(実施例2)
<活性フィラー>
ジョークラッシャによって5~20mmに粗砕された中国産硬質カオリンを遠心力分級機付き小型ローラミル(石井式ローラーミル、型式#10型、分級機の回転羽根の回転周波数:3Hz)にて乾式粉砕し、これを試験用ふるい(呼び寸法:63μm)に通して分級した後、マッフル炉を用いて750℃で3時間保持することによって焼成し、ジオポリマー原料の活性フィラーとして、平均粒子径が16.2μmのメタカオリンを得た。
<ジオポリマー硬化体の製造>
表1に示すように、得られた平均粒子径が16.2μmのメタカオリンを活性フィラーとして使用した点を除いて、実施例1と同様の方法でジオポリマー硬化体を製造した。
(実施例3)
<活性フィラー>
ジョークラッシャによって5~20mmに粗砕された中国産硬質カオリンを遠心力分級機付き小型ローラミル(石井式ローラーミル、型式#10型、分級機の回転羽根の回転周波数:5Hz)にて乾式粉砕し、これを試験用ふるい(呼び寸法:63μm)に通して分級した後、マッフル炉を用いて750℃で3時間保持することによって焼成し、ジオポリマー原料の活性フィラーとして、平均粒子径が19.0μmのメタカオリンを得た。
<ジオポリマー硬化体の製造>
表1に示すように、得られた平均粒子径が19.0μmのメタカオリンを活性フィラーとして使用した点を除いて、実施例1と同様の方法でジオポリマー硬化体を製造した。
(実施例4)
<活性フィラー>
ジョークラッシャによって5~20mmに粗砕された中国産硬質カオリンを遠心力分級機付き小型ローラミル(石井式ローラーミル、型式#10型、分級機の回転羽根の回転周波数:5Hz)にて乾式粉砕し、これを試験用ふるい(呼び寸法:150μm)に通して分級した後、マッフル炉を用いて750℃で3時間保持することによって焼成し、ジオポリマー原料の活性フィラーとして、平均粒子径が28.9μmのメタカオリンを得た。
<ジオポリマー硬化体の製造>
表1に示すように、得られた平均粒子径が28.9μmのメタカオリンを活性フィラーとして使用した点を除いて、実施例1と同様の方法でジオポリマー硬化体を製造した。
(比較例1)
<活性フィラー>
平均粒子径(実測値)が3.1μmの市販のメタカオリン(Satintone SP33 BASF社製)をジオポリマー原料の活性フィラーとした。
<ジオポリマー硬化体の製造>
表1に示すように、平均粒子径(実測値)が3.1μmの市販のメタカオリン(Satintone SP33 BASF社製)を活性フィラーとして使用した点を除いて、実施例1と同様の方法でジオポリマー硬化体を製造した。
(比較例
<活性フィラー>
ジョークラッシャによって5~20mmに粗砕された中国産硬質カオリンを遠心力分級機付き小型ローラミル(石井式ローラーミル、型式#10型、分級機の回転羽根の回転周波数::5Hz)にて乾式粉砕し、これを試験用ふるい(呼び寸法:210μm)に通して分級した後、マッフル炉を用いて750℃で3時間保持することによって焼成し、ジオポリマー原料の活性フィラーとして、平均粒子径が40.5μmのメタカオリンを得た。
<ジオポリマー硬化体の製造>
表1に示すように、得られた平均粒子径が40.5μmのメタカオリンを活性フィラーとして使用した点を除いて、実施例1と同様の方法でジオポリマー硬化体を製造した。
なお、粉砕した焼成前の硬質カオリンの平均粒子径及び活性フィラーとして使用するメタカオリンの平均粒子径については、レーザー回折粒度計(SALD-2100(株)島津製作所製)を用いて測定した。ただし、比較例1で活性フィラーとして使用した市販のメタカオリンの平均粒子径のカタログ値は、1.5μmであった。
Figure 0007048062000002
また、上述した実施例1~及び比較例1、2について、ジオポリマーのフレッシュ性状の評価指標として、いわゆるチキソ性等を含むペースト自体の粘度を測定することができるB型粘度計(BM型 東京計器(株)製)を用いて生成直後のジオポリマーペーストの初期粘度を測定し、表2に示した。なお、比較例1については、B型粘度計のロータを回転させることができず、初期粘度を測定することができなかった。
また、上述した実施例1~及び比較例1、2について、ジオポリマーペーストの生成直後からその粘度を超音波卓上粘度計(FCV-100(高粘度タイプ)富士工業(株)製)によって1秒間隔で14000[mPa・s]を上回るまで測定し、実施例1~4及び比較例1、で得られたジオポリマーペーストの粘度変化を図1のグラフに示した。図1のグラフから分かるように、測定粘度は、2000[mPa・s]付近で急上昇し始めるので、ジオポリマーペーストの生成直後から測定粘度が2000[mPa・s]に到達するまでの時間を硬化開始時間として表2に示した。
Figure 0007048062000003
表1及び表2に示すように、平均粒子径が5~30μmのメタカオリンを活性フィラーとして使用した実施例1~のジオポリマーペーストの初期粘度は1500[mPa・s]を下回る適度な流動性を有しており、ハンドリング性能に優れたフレッシュ性状を有していたのに対して、平均粒子径が5μmを下回るメタカオリンを活性フィラーとして使用した比較例1のジオポリマーペーストの初期粘度は測定することができない程高くなっており、流動性が悪く、十分なハンドリング性能を確保することができなかった。
また、メタカオリンの平均粒子径が大きくなるに従ってジオポリマーペーストの初期粘度が低下しており(実施例1~4参照)、5~30μmの範囲内でメタカオリンの平均粒子径を調整することにより、ジオポリマーペーストの流動性やハンドリング性能等のフレッシュ性状を調整することができる。
また、表2及び図1に示すように、平均粒子径が5~30μmメタカオリンを活性フィラーとして使用した実施例1~4のジオポリマーペーストの硬化開始時間は3時間以上4時間以下で十分な可使時間を確保することができるのに対して、平均粒子径が5μmを下回るメタカオリンを活性フィラーとして使用した比較例1のジオポリマーペーストの硬化開始時間は30分程度で十分な可使時間を確保することができなかった。一方、平均粒子径が30μmを上回るメタカオリンを活性フィラーとして使用した比較例のジオポリマーペーストの硬化開始時間は7時間30分と必要以上に長く、ジオポリマー硬化体を効率よく製造することができなかった。
また、メタカオリンの平均粒子径が大きくなるに従って硬化開始時間が長くなっており、5~30μmの範囲内でメタカオリンの平均粒子径を調整することにより、硬化開始時間、即ち、可使時間を調整することができる。
また、ジオポリマー硬化体の強度を確認するために、実施例1、4及び比較例1で使用した平均粒子径の異なる3種類のメタカオリンを活性フィラーとしてそれぞれ使用してジオポリマー硬化体を製造した。具体的には、アルカリ源としてケイ酸カリウム1.4-50(大阪硅曹(株)製)200g、活性フィラーとしてメタカオリン200g及び骨材として珪砂7号400gを混合してジオポリマーペーストを生成し、これを圧縮試験用の供試体作成型に投入し、脱気した後、蓋をして空中養生にて7日間放置することによって硬化させた(実施例及び比較例)。脱型後、端面を平滑研磨し、JIS A 1108コンクリートの圧縮試験を実施した。試験結果を表3に示す。
Figure 0007048062000004
表3から分かるように、平均粒子径が5~30μmのメタカオリンを活性フィラーとして使用した実施例のジオポリマー硬化体は、市販のメタカオリンを活性フィラーとして使用した比較例のジオポリマー硬化体と同等の圧縮強度を有していた。
なお、上述した各実施例では、硬質カオリンを750℃で焼成することによりメタカオリンを製造しているが、これに限定されるものではなく、硬質カオリンの焼成温度は、500~900℃の範囲内で適宜設定すればよい。
本発明は、ジオポリマー硬化体を製造する際に利用することができる。

Claims (2)

  1. アルカリシリカ溶液とメタカオリンの縮重合反応で生成されるジオポリマーのフレッシュ性状の調整方法であって、
    メタカオリンの平均粒子径を5~30μmの範囲で調整することにより、ジオポリマーのフレッシュ性状を調整することを特徴とするジオポリマーのフレッシュ性状の調整方法。
  2. アルカリシリカ溶液とメタカオリンの縮重合反応で生成されるジオポリマーの硬化開始時間の調整方法であって、
    メタカオリンの平均粒子径を5~30μmの範囲で調整することにより、ジオポリマーの硬化開始時間を調整することを特徴とするジオポリマーの硬化開始時間の調整方法。
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