JP7047681B2 - 回転電機の仮固定治具及びこれを使用する回転電機の組立方法 - Google Patents

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本発明は、ステータを取り付けた円筒形のフレームに対してロータを仮固定する回転電機の仮固定治具及びこれを使用する回転電機の組立方法に関し、特に、エレベータの巻上機のモータに適用すると有効なものである。
例えば、エレベータの巻上機のモータは、工場において、ステータを内部に取り付けた円筒形のフレームの一端側に環状をなす仮固定治具を同軸をなして取り付けると共に、ステータの内部に配設したロータを当該仮固定治具に取り付けることにより、ステータの同軸上にロータを位置付けるように仮固定してから、現場にまで搬送し、網車の回転軸をロータの内部に挿入してロータに回転軸を装着した後、フレーム及びロータから仮固定治具を取り外して、フレームの一端側にカバーを取り付けることにより、組み立てられている。
特開2004-107048号公報 特開2009-107790号公報
フレームに対してロータを仮固定する仮固定治具は、堅牢さが必要であることから、肉厚な部材となってしまう。このため、前述したような従来の環状の仮固定治具は、重量が非常に大きく、取り付けや取り外し等の作業に多大な労力を要するものとなっていた。
このような問題は、エレベータの巻上機のモータに限らず、ステータを取り付けた円筒形のフレームに対してロータを仮固定する回転電機であれば、上述した場合と同様にして生じ得ることである。
このようなことから、本発明は、作業性を大きく向上させることができる回転電機の仮固定治具及びこれを使用する回転電機の組立方法を提供することを目的とする。
前述した課題を解決するための、本発明に係る回転電機の仮固定治具は、ステータを取り付けた円筒形のフレームに対してロータを仮固定する回転電機の仮固定治具であって、前記フレームの一端側に基端側を着脱可能に取り付けられて先端側を前記ロータへ着脱可能に連結される板状の支持部材と、前記支持部材の先端側と前記ロータとの間に着脱可能に配設される座部材と、前記支持部材の先端側及び前記座部材を貫通して前記ロータに着脱可能に螺合する仮固定ボルトとを備えていることを特徴とする。
そして、前述した課題を解決するための、本発明に係る回転電機の組立方法は、上述した回転電機の仮固定治具を使用する回転電機の組立方法であって、前記フレームの一端側に複数の前記支持部材の基端側を周方向に沿って規定間隔でそれぞれ取り付け、前記支持部材の先端側に前記座部材を各々配置して当該支持部材及び当該座部材に前記仮固定ボルトを各々貫通させて、前記ステータの内部に配設された前記ロータにそれぞれ螺合させることにより、前記フレームに対して前記ロータを仮固定することを特徴とする。
また、本発明に係る回転電機の組立方法は、上述した回転電機の組立方法において、前記支持部材を取り付けられた前記フレームの一端側に、当該フレームの内側と外側とを仕切るように覆うカバーを取り付けることを特徴とする。
また、本発明に係る回転電機の組立方法は、上述した回転電機の組立方法において、前記フレームに対して仮固定された前記ロータに回転軸を装着した後、前記仮固定ボルトをそれぞれ外して前記支持部材の先端側と前記ロータとの間から前記座部材を各々取り外すことにより、前記ロータを前記回転軸に本固定することを特徴とする。
さらに、本発明に係る回転電機は、上述した仮固定治具を利用する回転電機であって、前記フレームが、前記仮固定治具の前記支持部材の基端側を着脱可能に埋装する埋装溝を有していることを特徴とする。
本発明によれば、板状をなす小型で軽量の支持部材及び座部材によってロータをフレームに対して仮固定することができ、ロータを回転軸に装着した後、支持部材とロータとの間から座部材を取り外すことによって仮固定を解除することができるので、取り付けや取り外し等の作業性を大幅に向上させることができる。
本発明に係る回転電機の仮固定治具の第一番目の実施形態のブラケットの構造図である。 本発明に係る回転電機の仮固定治具の第一番目の実施形態のスペーサの構造図である。 本発明に係る回転電機の仮固定治具の第一番目の実施形態の仮固定ボルトの構造図である。 本発明に係る回転電機の仮固定治具を使用する回転電機の組立方法の第一番目の実施形態の説明図である。 図4に続く説明図である。 図5に続く説明図である 本発明に係る回転電機の仮固定治具を使用する回転電機の組立方法の第二番目の実施形態の説明図である。 図7に続く説明図である。 図8に続く説明図である。 本発明に係る回転電機の仮固定治具を使用する回転電機の組立方法の他の実施形態の説明図である。
本発明に係る回転電機の仮固定治具及びこれを使用する回転電機の組立方法の実施形態を図面に基づいて説明するが、本発明は図面に基づいて説明する以下の実施形態のみに限定されるものではない。
〈第一番目の実施形態〉
本発明に係る回転電機の仮固定治具及びこれを使用する回転電機の組立方法の第一番目の実施形態を図1~6に基づいて説明する。
本実施形態に係る回転電機の仮固定治具は、図1~3に示すように、ステータを取り付けた円筒形のフレームに対してロータを仮固定する回転電機の仮固定治具であって、フレームの一端側に基端側を着脱可能に取り付けられて先端側をロータへ着脱可能に連結される板状の支持部材であるブラケット11と、ブラケット11の先端側とロータとの間に着脱可能に配設される座部材であるスペーサ12と、ブラケット11の先端側及びスペーサ12を貫通してロータに着脱可能に螺合する仮固定ボルト13とを備えると共に、さらに、ブラケット11の基端側をフレームの一端側に着脱可能に取り付ける取付ボルト14(図4参照)を備えている。
ブラケット11は、背面(図1A中、紙面奥面、図1B中、右面)の先端側(図1A,図1B中、下側)に、厚肉となる台座部11aが設けられ、厚さ方向(図1A中、紙面垂直方向、図1B中、左右方向)へ仮固定ボルト13を差し込まれるボルト穴11bが形成されると共に、基端側(図1中、上側)に、厚さ方向へ取付ボルトを差し込まれるボルト穴11cが形成されている。
スペーサ12は、直方体形状をなし、ブラケット11のボルト穴11bと連絡して厚さ方向(図2A中、紙面垂直方向、図2B中、左右方向)へ仮固定ボルト13を差し込まれるボルト穴12bが形成されている。
仮固定ボルト13は、頭部13aが、ブラケット11のボルト穴11bの直径よりも大きい径サイズを有し、軸部13bが、重ね合わせたブラケット11及びスペーサ12のボルト穴11b,12bから突出できるように当該ボルト穴11b,12bの合計長さよりも長くなっている。
このような本実施形態に係る仮固定治具10を使用する回転電機であるエレベータの巻上機のモータの組立方法を図4~6に基づいて説明する。
まず、工場において、環状をなすステータ112を内周面に同軸をなして取り付けた円筒形のフレーム111の一端側(図4A中、紙面手前側、図4B中、左端側)に、複数(本実施形態では3つ)のブラケット11の基端側を周方向に沿って規定間隔(本実施形態では等間隔)でそれぞれ配設して、ボルト穴11cに取付ボルト14を各々差し込んで貫通させてフレーム111の一端側に螺合させ、当該ブラケット11の基端側をフレーム111にそれぞれ取り付ける。
そして、環状をなすロータ113をステータ112の内部に配設して、ブラケット11のボルト穴11bにスペーサ12のボルト穴12bを各々連絡させるようにブラケット11の台座部11aにスペーサ12をそれぞれ配置して上記ボルト穴11b,12bに仮固定ボルト13を差し込んで貫通させてロータ113の仮固定台座部113aにそれぞれ螺合させる。
このようにして、ロータ113は、ステータ112と同軸をなすように仮固定治具10でフレーム111に仮固定される。
そして、フレーム111に対してロータ113を仮固定したら、現場にまで搬送し、網車の回転軸114をロータ113の内部に挿入してロータ113に回転軸114を装着した後、仮固定ボルト13をそれぞれ外してブラケット11の台座部11aとロータ113の仮固定台座部113aとの間からスペーサ12を各々取り外す(図5参照)。
このようにして、ロータ113は、ステータ112と同軸をなすように回転軸114に本固定される。
そして、フレーム111の内側と外側とを仕切るように覆う円板形のカバー115を当該フレーム111の一端側に同軸をなして配設し、当該カバー115を取付ボルト116でブラケット11及びフレーム111に取り付けることにより(図6参照)、エレベータの巻上機のモータ110が現場で組み立てられて据え付けられる。なお、図6中、115aはカバー115とフレーム111との間の空隙を塞ぐ台座部である。
つまり、従来は、環状をなす大型で重量物の仮固定治具によってロータをフレームに対して仮固定して、当該仮固定治具を取り外すことによって仮固定を解除すると共にカバーをフレームに装着できるようにしていたが、本実施形態においては、複数(本実施形態では3つ)の板状をなす小型で軽量のブラケット11及びスペーサ12によってロータ113を仮固定して、スペーサ12を取り外すことによって仮固定を解除すると共にフレーム111にブラケット11を取り付けたままカバー115を装着ことができるようにしたのである。
このため、従来は、取り付けや取り外し等の作業に多大な労力を要してしまっていたものの、本実施形態においては、取り付けや取り外し等の作業を非常に容易に行うことが可能となる。
したがって、本実施形態に係る仮固定治具10及びこれを使用するエレベータの巻上機のモータ110の組立方法よれば、作業性を大幅に向上させることができる。
〈第二番目の実施形態〉
本発明に係る回転電機の仮固定治具及びこれを使用する回転電機の組立方法の第二番目の実施形態を図7~9に基づいて説明する。なお、前述した実施形態と同様な部分については、前述した実施形態の説明で用いた符号と同様な符号を用いることにより、前述した実施形態での説明と重複する説明を省略する。
本実施形態は、前述した実施形態と同一の回転電機の仮固定治具10である。
このような仮固定治具10を使用する本実施形態に係るエレベータの巻上機のモータの組立方法を次に説明する。
前述した実施形態の場合と同様に、工場において、ステータ112と同軸をなすようにロータ113をフレーム111に仮固定治具10で仮固定したら、そのまま引き続き、フレーム111の内側と外側とを仕切るように覆うと共に仮固定ボルト13の頭部13aを露出させる露出穴115bを形成されてフレーム111の内側と外側とを連通させる作業穴115cを蓋板115dで開閉可能に塞がれた円板形のカバー115を当該フレーム111の一端側に同軸をなして配設し、当該カバー115を取付ボルト116でブラケット11及びフレーム111に取り付ける(図7参照)。
このようにしてフレーム111にカバー115を取り付けたら、現場にまで搬送し、網車の回転軸114をロータ113の内部に挿入してロータ113に回転軸114を装着し、カバー115の蓋板115dを開けて作業穴115cを開放し、前述した実施形態の場合と同様に、仮固定ボルト13をそれぞれ外してブラケット11の台座部11aとロータ113の仮固定台座部113aとの間からスペーサ12を各々取り外してカバー115の作業穴115cから外部へ搬出した後(図8参照)、カバー115の蓋板115dを閉じて作業穴115cを閉塞すると共にブラケット11のボルト穴11bを栓部材15で塞ぐことにより(図9参照)、エレベータの巻上機のモータ110を現場で組み立てて据え付けることができる。
つまり、前述した実施形態においては、現場において、ロータ113を回転軸114に本固定してから、フレーム111にカバー115を取り付けるようにしたが、本実施形態においては、工場において、ロータ113をフレーム111に仮固定したら、そのまま引き続いて、フレーム111にカバー115を取り付けた後に、現場にまで搬送するようにしたのである。
このため、前述した実施形態では、カバー115を現場まで別個に搬送しなければならなかったものの、本実施形態においては、カバー115を現場まで一体的に搬送することができる。
したがって、本実施形態によれば、前述した実施形態の場合と同様な効果を得ることができるのはもちろんのこと、作業効率をさらに向上させることができる。
〈他の実施形態〉
なお、例えば、図10に示すように、ブラケット11の基端側を着脱可能に埋装する凹状の埋装溝111aをフレーム111の一端側(図8中、左側)の面に形成(例えば、フレーム111の周方向に規定間隔(例えば等間隔)で複数(例えば3つ)形成)し、当該埋装溝111a内にブラケット11の基端側を埋装して取付ボルト14でブラケット11をフレーム111に取り付けるようにすれば、カバー115の前記台座部115aを省略することができるようになるので、カバー115の簡素化を図ることができる。
また、前述した実施形態においては、エレベータの巻上機のモータに適用した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、ステータを取り付けた円筒形のフレームに対してロータを仮固定する回転電機であれば、前述した実施形態の場合と同様にして適用することができる。
本発明に係る回転電機の仮固定治具及びこれを使用する回転電機の組立方法は、取り付けや取り外し等の作業性を大幅に向上させることができるので、産業上、極めて有益に利用することができる。
10 仮固定治具
11 ブラケット
11a 台座部
11b ボルト穴
11c ボルト穴
12 スペーサ
12b ボルト穴
13 仮固定ボルト
13a 頭部
13b 軸部
14 取付ボルト
15 栓部材
110 モータ
111 フレーム
111a 埋装溝
112 ステータ
113 ロータ
113a 仮固定台座部
114 回転軸
115 カバー
115a 台座部
115b 露出穴
115c 作業穴
115d 蓋板
116 取付ボルト

Claims (5)

  1. ステータを取り付けた円筒形のフレームに対してロータを仮固定する回転電機の仮固定治具であって、
    前記フレームの一端側に板状の基端側着脱可能に取り付けられ、かつ先端側に形成された厚肉状の台座部が前記ロータへ着脱可能に連結される支持部材と、
    前記台座部と前記ロータとの間に着脱可能に配設される座部材と、
    前記台座部及び前記座部材を貫通して前記ロータに着脱可能に螺合する仮固定ボルトと、
    を備えていることを特徴とする回転電機の仮固定治具。
  2. 請求項1に記載の回転電機の仮固定治具を使用する回転電機の組立方法であって、
    前記フレームの一端側に複数の前記支持部材の基端側を周方向に沿って規定間隔でそれぞれ取り付け、
    前記台座部に前記座部材を各々配置して当該支持部材及び当該座部材に前記仮固定ボルトを各々貫通させて、前記ステータの内部に配設された前記ロータにそれぞれ螺合させることにより、
    前記フレームに対して前記ロータを仮固定する
    ことを特徴とする回転電機の組立方法。
  3. 請求項2に記載の回転電機の組立方法において、
    前記支持部材を取り付けられた前記フレームの一端側に、当該フレームの内側と外側とを仕切るように覆うカバーを取り付ける
    ことを特徴とする回転電機の組立方法。
  4. 請求項2又は請求項3に記載の回転電機の組立方法において、
    前記フレームに対して仮固定された前記ロータに回転軸を装着した後、
    前記仮固定ボルトをそれぞれ外して前記台座部と前記ロータとの間から前記座部材を各々取り外すことにより、
    前記ロータを前記回転軸に本固定する
    ことを特徴とする回転電機の組立方法。
  5. 請求項1に記載の仮固定治具を利用する回転電機であって、
    前記フレームが、前記仮固定治具の前記支持部材の基端側を着脱可能に埋装する埋装溝を有している
    ことを特徴とする回転電機
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