JP7046363B2 - 洗浄除菌剤組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、食品を取り扱う環境下での、食器、調理器具および容器、ならびに、食品加工設備の洗浄除菌に用いる洗浄除菌剤組成物に関する。
ホテルやレストラン、食品製造工場、食品加工工場、病院、飲食店、給食センター、事業所給食等、大量の食器やトレー、コンテナを洗浄する調理現場においては、自動洗浄機の普及が進んでいる。一般的に使用されている自動洗浄機は、加温した洗浄液をスプレーノズルやシャワーノズルから食器や容器等に向けて噴射し、汚れを除去するものが知られている。また、食品加工設備(製造装置、加工装置や包装機など)の洗浄では、配管やタンク等の取り外し洗浄が困難である場合、CIP(Cleaning In Place)洗浄が行われている。CIP洗浄とは、装置等を分解することなく、そのままの状態で洗浄液を流通させてその内部を満たして循環させたり、さらには洗浄液をスプレーしたりして、汚れを洗浄・除去する洗浄方法であり、定置洗浄または定置循環洗浄とも呼ばれる。
自動洗浄機による洗浄、およびCIP洗浄においてはいずれも、洗浄液が発泡することでスプレー装置に空気が入り噴射圧が低下したり、洗浄槽や装置から泡が溢れ出したりしないよう、低発泡性の洗浄液を使用することが必要条件とされている。従来の洗浄液は、低発泡性を維持しつつ十分な洗浄力を得るために、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどの水酸化アルカリ金属塩を添加し、強アルカリ性に調節されているものがほとんどである。しかしながら、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムを5%以上含む洗浄液は、「医薬用外劇物」となり、保管する上では専門的な知識や注意を要する他、洗浄液が飛散し皮膚や眼に接触する等、作業上の危険性があり、また、廃液の際に中和処理を必要とする等の取り扱い上の課題もある。さらに、強アルカリ性の洗浄剤は、ガラスやアルミを侵食したり、界面活性剤を不安定化する。従って、近年では、自動洗浄機による洗浄およびCIP洗浄においては、低発泡性に加え、弱アルカリ性の洗浄剤が求められている。
一方、洗浄液を弱アルカリ性にした場合、洗浄力が劣ることで洗浄機や装置にカビや雑菌が発生する等の問題がある。また、食品を取り扱う環境下での洗浄には常温水や温水を使用する場合も多く、この場合は芽胞菌による汚染も懸念される。よって、食器、調理器具、容器や食品加工設備向けの洗浄剤においては、殺菌効果があるものが望まれる。例えば、特許文献1では、カチオン系殺菌剤0.05~20重量%、アルカリ剤1~95重量%、非イオン性界面活性剤から選ばれる1種以上の界面活性剤0.5~30重量%を含有することを特徴とする非発泡性の硬質表面用固形殺菌洗浄剤組成物が提案されている。かかる殺菌剤組成物はアルカリ剤の含有量が多いために、上記のような取扱い上の問題がある。また、アルカリ性が強いことで、殺菌効果に影響を及ぼしたり、殺菌剤や界面活性剤の組み合わせによっては、相溶性に劣るため洗浄液が白濁してしまう可能性もある。
また、特許文献2には、アルカリ金属水酸化物を1.2~9.8重量%、次亜塩素酸アルカリ金属塩を有効塩素量として1~10重量%、腐食防止剤として、有機ホスホン酸、ポリカルボン酸型ポリマー、スルホン酸型ポリマーおよびこれらの塩より選ばれた少なくとも一種以上を1~7.5重量%、および水を含有する洗浄剤組成物を、使用時に、洗浄液の25℃でのpHが9.1~10.9になるように水または湯で希釈して自動食器洗浄機の洗浄液として用いることを特徴とする食器類の洗浄方法が提案されている。しかしながら、次亜塩素酸アルカリ金属塩は分解しやすく、また、金属と反応しやすいため洗浄に水道水を使用できないという問題、および金属性の装置に悪影響を及ぼす懸念がある。
特開平11-124594号公報 特開2015-196778号公報
本発明の目的は、優れた洗浄力と殺菌力を発揮し、分離や白濁が発生しない相溶性に優れた、低発泡性の洗浄除菌剤組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩と特定の界面活性剤を組み合せた洗浄除菌剤組成物が、低発泡性でありながら、優れた洗浄力と殺菌力を発揮し、かつ分離や白濁を生じることなく相溶性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、
ポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩(a)と、
カチオン界面活性剤、両性界面活性剤および非イオン性界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤である洗浄剤(b)と、
ポリオキシエチレンジアルキルエーテル(c-1)またはポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー(c-2)である成分(c)と、
HLB値が10~14.5の非イオン性界面活性剤(d)と、
HLB値が15~19の非イオン性界面活性剤(e)とを含有する洗浄除菌剤組成物であって、
ポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩(a)1重量部に対して成分(c)を0.2~5重量部、非イオン性界面活性剤(d)を1~15重量部、および、非イオン性界面活性剤(e)を0.005~0.1重量部含有する洗浄除菌剤組成物、
を提供する。
ポリヘキサメチレンビグアナイドは、ビグアナイド基とヘキサメチレン基が交互に多数連結したカチオン界面活性剤である。ポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩(a)は、ポリヘキサメチレンビグアナイドの塩酸塩であり、本発明の洗浄除菌剤組成物はポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩(a)を含有することで高い除菌力を発揮する。
本発明の洗浄除菌剤組成物に用いるポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩は、公知の方法によって製造できる他、市販の製剤を使用してもよい。市販品としては、例えば、Vantocil IB(登録商標)(販売元:(株)ウエノフードテクノ)やBG-1(三洋化成工業(株)製)などが挙げられる。
洗浄剤(b)は、カチオン界面活性剤(塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ココイルアルギニンエチルPCAなど)、両性界面活性剤(アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、アルキルイミノジ酢酸塩など)および非イオン性界面活性剤(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルなど)からなる群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤である。
この中でも非イオン性界面活性剤が好ましく、式(1)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテルがより好ましい。
Figure 0007046363000001
[式(1)中、
は炭素数が8~16の分岐状の炭化水素基で、
EOはエチレンオキサイド、POはプロピレンオキサイドの付加単位を示し、
lおよびmはそれぞれエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドの平均付加モル数を表し、lは3~10であり、mは0超10以下である。]
ここで「0超」とは、0より大きい値を示す。lは、4~8がより好ましく、5~7がさらに好ましい。mは、0.1~8がより好ましく、0.5~6がさらに好ましい。
洗浄剤(b)であるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルの具体例としては、特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンイソオクチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンイソデシルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンイソラウリルエーテルなどが挙げられる。これらは単独で使用してもよく、または2種以上を併用してもよい。
この中でも、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンイソデシルエーテルが特に好ましく、例えば、エチレンオキサイドの平均付加モル数が約6であり、プロピレンオキサイドの平均付加モル数が0より大きい、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルが挙げられる。
本発明の洗浄除菌剤組成物における、洗浄剤(b)の含有量は、使用環境や被洗浄物の種類などに応じて適宜設定できるが、ポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩(a)1重量部に対して0.5~10重量部が好ましく、0.6~3重量部がより好ましく、0.8~2重量部がさらに好ましい。
洗浄剤(b)のHLB値は、5~14が好ましく、6~13.5がより好ましく、7~13がさらに好ましい。本発明の洗浄除菌剤組成物は、洗浄剤(b)を所定量含有することにより、高い洗浄力を発揮する。
なお、HLB値とは、親水性-親油性のバランス(Hydrophilic-Lypophilic Balance)を表す値であって、界面活性剤の全分子量に占める親水基部分の分子量を示し、非イオン性界面活性剤については、Griffinの式(HLB値=20×(界面活性剤分子中の親水基部の分子量/界面活性剤の分子量))によって求められる。
本発明の洗浄除菌剤組成物は、成分(c)を所定量含有することにより、高い洗浄力を有しつつ優れた低発泡性を示す。
成分(c)は、ポリオキシエチレンジアルキルエーテル(c-1)またはポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー(c-2)である。
ポリオキシエチレンジアルキルエーテル(c-1)としては、炭素数1~10の直鎖または分岐鎖の炭化水素基を有し、エチレンオキサイドの平均付加モル数が2~30であるポリエチレングリコールのジエーテルが好ましく、例えば、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールエチルメチルエーテル、ポリエチレングリコールジエチルエーテルなどが挙げられる。これらは単独で使用してもよく、または2種以上を併用してもよい。この中でも、ポリエチレングリコールジメチルエーテルが好ましく、例えば炭素数約1の炭化水素基を有し、エチレンオキサイドの平均付加モル数が約5である、ポリオキシエチレンジアルキルエーテルが挙げられる。
成分(c-1)のHLB値は、10~19が好ましく、12~18がより好ましく、14~17がさらに好ましい。
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー(c-2)としては、エチレンオキサイドの平均付加モル数が、好ましくは20以下、より好ましくは3~15で、プロピレンオキサイドの平均付加モル数が、好ましくは100以下、より好ましくは10~50であり、エチレンオキサイドの平均付加モル数が、プロピレンオキサイドの平均付加モル数よりも小さいものが好ましい。例えば、エチレンオキサイドの平均付加モル数が約5であり、プロピレンオキサイドの平均付加モル数が約30である、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーが挙げられる。
成分(c-2)のHLB値は、0.5~5が好ましく、1~4がより好ましく、1.5~3がさらに好ましい。
本発明の洗浄除菌剤組成物における、成分(c)の含有量は、使用環境や被洗浄物の種類などに応じて適宜設定できるが、ポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩(a)1重量部に対して0.2~5重量部が好ましく、0.25~2重量部がより好ましく、0.3~1.5重量部がさらに好ましい。
本発明の洗浄除菌剤組成物は、HLB値の異なる非イオン性界面活性剤(d)および(e)を所定量含有することにより、高い洗浄力と相溶性を有する。
非イオン性界面活性剤(d)のHLB値は、10~14.5であり、好ましくは10.5~14、より好ましくは11~13.5である。
非イオン性界面活性剤(d)は、式(2)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテルであることが好ましい。
Figure 0007046363000002
[式(2)中、
は炭素数が2~10の分岐状の炭化水素基で、
EOはエチレンオキサイドの付加単位を示し、
nはエチレンオキサイドの平均付加モル数を表し、1~8である。]
nは、2~7がより好ましく、3~6がさらに好ましい。
非イオン性界面活性剤(d)の具体例としては、特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレンイソプロピルエーテル、ポリオキシエチレン-t-ブチルエーテル、ポリオキシエチレンイソオクチルエーテル、ポリオキシエチレンイソデシルエーテル、ポリオキシエチレン-2-エチルヘキシルエーテルなどが挙げられる。これらは単独で使用してもよく、または2種以上を併用してもよい。
この中でも、ポリオキシエチレンイソデシルエーテルおよび/またはポリオキシエチレン-2-エチルヘキシルエーテルが好ましい。例えば、炭素数約10の炭化水素基を有し、エチレンオキサイドの平均付加モル数が約5である、ポリオキシエチレンイソデシルエーテル、および炭素数約8の炭化水素基を有し、エチレンオキサイドの平均付加モル数が約6である、ポリオキシエチレン-2-エチルヘキシルエーテルが挙げられる。
本発明の洗浄除菌剤組成物における非イオン性界面活性剤(d)の含有量は、使用環境や被洗浄物の種類などに応じて適宜設定できるが、ポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩(a)1重量部に対して1~15重量部が好ましく、1.1~10重量部がより好ましく、1.3~5重量部がさらに好ましい。
非イオン性界面活性剤(e)のHLB値は、15.1~19であり、好ましくは15.2~18であり、より好ましくは15.2~17である。
非イオン性界面活性剤(e)は、式(3)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテルであることが好ましい。
Figure 0007046363000003
[式(3)中、
は炭素数が13~20の直鎖または分岐状の炭化水素基で、
EOはエチレンオキサイド、POはプロピレンオキサイドの付加単位を示し、
oおよびpはそれぞれエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドの平均付加モル数を表し、oは11~22であり、pは0~10である。]
oは、12~21がより好ましく、13~20がさらに好ましい。pは、0~8がより好ましく、0~6がさらに好ましい。
非イオン性界面活性剤(e)の具体例としては、特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンイソテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンイソセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンイソテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレンイソセチルエーテルなどが挙げられる。これらは単独で使用してもよく、または2種以上を併用してもよい。
例えば、炭素数14~15の直鎖または分岐状炭化水素基を有し、エチレンオキサイドの平均付加モル数が約20である、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、または炭素数14~15の直鎖または分岐状炭化水素基を有し、エチレンオキサイドの平均付加モル数が約16であり、プロピレンオキサイドの平均付加モル数が0より大きい、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルが挙げられる。
本発明の洗浄除菌剤組成物における非イオン性界面活性剤(e)の含有量は、使用環境や被洗浄物の種類などに応じて適宜設定できるが、ポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩(a)1重量部に対して0.005~0.1重量部が好ましく、0.006~0.06重量部がより好ましく、0.0065~0.03重量部がさらに好ましい。
なお、式(1)および式(3)において、(EO)と(PO)の重合様式は、ブロック重合、ランダム重合、交互重合のいずれの様式であってもよく、これらの重合様式が混合されていてもよい。
本発明の洗浄除菌剤組成物は、液体製剤として提供され、限定するものではないが水溶液の形態で提供される。本発明の洗浄除菌剤組成物の調製は、特に限定されないが、例えば、本発明に係る上記成分や他の成分を水に溶解させる方法によって調製することができる。上記水溶液の形態の液体製剤の調製に用いられる水は、精製水(脱イオン水、蒸留水、ろ過水など)、天然水(地下水、伏流水など)または水道水であってよく、塩素や金属イオンの含有量が少ないことから精製水が好ましい。
本発明の洗浄除菌組成物において、原液としては例えばポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩(a)の含有量が、0.1~10重量%、より好ましくは0.5~8重量%、さらに好ましくは1~5重量%となるように調製すればよい。
本発明の洗浄除菌剤組成物は、原液のpHが8~11に調整されたものが好ましく、8.5~10.5がより好ましく、9~10がさらに好ましく、9.3~9.7が特に好ましい。本発明の洗浄除菌剤組成物の原液のpHが11よりも高い場合には、組成物の相溶性が悪くなり、また、泡立ちやすくなる傾向がある。さらに、アルカリ性が強いために、作業に危険を伴ったり、取扱いが煩雑になる。本発明の洗浄除菌剤組成物の原液のpHが8よりも低い場合には、洗浄力が劣る傾向がある。なお、pHの調整には、水酸化アルカリ金属塩(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)が用いられる。
また、本発明の洗浄除菌剤組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲内で、所望により、香料、染料、消臭剤、金属腐食抑制剤などの任意成分を、適宜の割合で含むことができる。
本発明の洗浄除菌剤組成物の原液は、水などで希釈されて用いられる。希釈後の洗浄除菌剤における本発明の洗浄除菌剤組成物の濃度は、用途により適宜調整されるが、一つの様態として、希釈液中の成分(a)の濃度が、好ましくは0.005~1重量%、より好ましくは0.01~0.5重量%、さらに好ましくは0.015~0.2重量%である。
本発明における希釈後の洗浄除菌剤のpHは、好ましくは6~8.5、より好ましくは6.2~8である。洗浄除菌剤のpHが、この範囲内の中性域または弱アルカリ性域であることにより、廃液処理が煩雑にならず好ましい。
本発明の洗浄除菌剤組成物は、ガラス、セラミック、金属、プラスチックなどの材質の洗浄に適しており、食器(皿、はし、スプーン、ナイフ、フォークなど)や調理器具(まな板、包丁、ボウルなど)、長靴洗浄機や靴底洗浄機、容器(タンクなど)、床や壁、コンテナ、パレット、ワゴン台車などの洗浄に好適に用いることができる。洗浄は、洗浄液をスプレーノズルやシャワーノズルから食器、調理器具、容器などの洗浄対象に向けて噴射して汚れを除去する自動洗浄であってもよい。
また、本発明の洗浄除菌剤組成物は、低発泡性であることから、食品加工設備である製造装置、加工装置、包装機などの洗浄やCIP洗浄などの他、調理現場の作業台、タイル、床、壁などの洗浄にも好適に用いることができる。CIP洗浄は、装置等を分解することなく、そのままの状態で洗浄液を流通させてその内部を満たして循環させたり、さらには洗浄液をスプレーしたりして、汚れを洗浄・除去する洗浄方法である。
床や壁等の洗浄においては、ポリッシャーなどの床用洗浄機を好適に用いることができる。また、本発明の洗浄除菌剤組成物は、食品工場等で用いられている長靴洗浄機、靴底洗浄機などのブラッシングにより汚れを除去する洗浄機による洗浄にも好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
実施例1~5および比較例1~6
表1に記載の各洗浄除菌剤組成物を、pH9.5となるように調製し、相溶性評価、抑泡評価および洗浄力評価を行った。
なお、表1に記載の組成物において使用した成分を表2に示す。
Figure 0007046363000004
Figure 0007046363000005
相溶性評価
表1に記載の各製剤を水道水で使用想定濃度である0.5重量%および1重量%に希釈したものを試験液とした。
原液および試験液において、白濁、分離あるいは沈殿が見られた場合を×、微濁の場合を△、清澄で濁りが見られない場合を○と評価した。結果を表3に示す。
抑泡評価
表1に記載の各製剤を水道水で使用想定濃度である0.5重量%に希釈したものを試験液とし、Φ28mm×250mmの試験管に泡が立たないよう30mL注ぎ込み、栓をした。試験液が入った試験管を上下に30回激しく振とうし、振とう直後、1分間経過後、3分間経過後の泡の高さを測定した。
評価は、以下の起泡および消泡の両方の基準に該当する場合を×、いずれか一方の基準に該当する場合を△、いずれの基準にも該当しない場合を○とした。結果を表3に示す。
<評価基準>
起泡について、振とう直後に泡の高さが85mm以上ある。
消泡について、振とう3分間経過後に振とう直後からの泡の残存率が15%以上かつ泡の高さが10mmを超える。
洗浄力評価
・タンパク汚れ
リーナッツ試験法(JIS K3362)に準拠して構成したリーナッツ試験機を用いて試験を行った。スライドグラスに常温の牛乳を付着させ、80℃のオーブンで40分間乾燥させ、放冷した後、付着量を量り、これを4枚1組としてモデル汚れガラス片とした。表1に記載の各製剤を水道水で0.5重量%に希釈し、60±1℃に加温した試験液700mL中に、支持板にセットしたモデル汚れガラス片を入れ、リーナッツ試験機を用い、回転速度250±10rpmで3分間洗浄した。洗浄後、80±1℃の水道水700mL中に入れて、洗浄力試験機を用いて1分間すすいだ。すすぎが完了したモデル汚れガラス片を室温で一昼夜乾燥後、重量を量り、以下の式(A)で洗浄力を算出した。
なお、本試験においては、弱アルカリ性低発泡性洗浄剤のクリアロンL(花王(株)製)を基準品とし、基準品の洗浄力を1とした場合の試験液の洗浄力が0.96未満の場合を×、0.96以上の場合を○と評価した。結果を表3に示す。
Figure 0007046363000006
・油脂汚れ
モデル汚れガラス片を、スライドグラスに60℃で融解させた牛脂を付着させて室温で60分間乾燥させたものとした以外は、タンパク汚れの場合と同様にして洗浄力を算出し、洗浄力を評価した。結果を表3に示す。
なお、各比較例の製剤について、相溶性、抑泡および洗浄力のいずれかについて本発明の洗浄除菌剤組成物として効果が不十分であることが明確となった場合には、後の評価を行わないことがあった(表3中に「-」と記載した)。
実施例1~5の製剤は、ポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩との相溶性に問題なく、泡立ちも抑えられ、かつ十分な洗浄力を発揮した。
一方、比較例1~5の製剤は、相溶性評価または抑泡評価において相溶性または抑泡が不十分であり、比較例6は、洗浄力が劣るものであった。
Figure 0007046363000007
実施例6
表1に記載の実施例1の製剤を用い、下記の方法で殺菌力試験を実施した。
殺菌力試験
殺菌力試験は、石炭酸係数法に準じた方法で行った。
実施例1の製剤について、脱イオン水で成分(a)濃度が0.03重量%となるように希釈したものを試験液として、10mL試験管に分注した。これにウマ血清(GIBCO社製)500μLと生理食塩水で下記供試菌を約10cfu/mLに調製した菌液100μLを接種し、供試液とした。菌接種後1分間経過後の供試液10μLを白金耳でブレインハートインフュージョン培地(日水製薬(株)社製)に植え、48時間後の菌の生育を確認し、菌の生育が確認されなかった場合を○、菌の生育が確認された場合を×として評価した。結果を表4に示す。
(供試菌)
E.coli NIHJ-jc2
Sta.aureus FDA-209p
Leu.mesenteroides IAM1046
B.cereus IAM1029 芽胞懸濁液
全ての供試菌に対して菌の生育が確認されず、本発明の洗浄除菌剤組成物(実施例1製剤)は優れた殺菌力を示すことが判った。
Figure 0007046363000008

Claims (15)

  1. ポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩(a)と、
    カチオン界面活性剤、両性界面活性剤および非イオン性界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤である洗浄剤(b)と、
    ポリオキシエチレンジアルキルエーテル(c-1)またはポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー(c-2)である成分(c)と、
    HLB値が10~14.5の非イオン性界面活性剤(d)と、
    HLB値が15~19の非イオン性界面活性剤(e)とを含有する洗浄除菌剤組成物であって、
    ポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩(a)1重量部に対して成分(c)を0.2~5重量部、非イオン性界面活性剤(d)を1~15重量部、および、非イオン性界面活性剤(e)を0.005~0.1重量部含有する洗浄除菌剤組成物。
  2. 洗浄剤(b)が式(1)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテルである、請求項1に記載の洗浄除菌剤組成物。
    Figure 0007046363000009
    [式(1)中、
    は炭素数が8~16の分岐状の炭化水素基で、
    EOはエチレンオキサイド、POはプロピレンオキサイドの付加単位を示し、
    lおよびmはそれぞれエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドの平均付加モル数を表し、lは3~10であり、mは0超10以下である。]
  3. 洗浄剤(b)が、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンイソオクチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンイソデシルエーテルおよびポリオキシエチレンポリオキシプロピレンイソラウリルエーテルからなる群から選択される1以上のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルである、請求項2に記載の洗浄除菌剤組成物。
  4. 洗浄剤(b)が、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンイソデシルエーテルである、請求項2または3に記載の洗浄除菌剤組成物。
  5. 非イオン性界面活性剤(d)が、式(2)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテルである、請求項1~4のいずれかに記載の洗浄除菌剤組成物。
    Figure 0007046363000010
    [式(2)中、
    は炭素数が2~10の分岐状の炭化水素基で、
    EOはエチレンオキサイドの付加単位を示し、
    nはエチレンオキサイドの平均付加モル数を表し、1~8である。]
  6. 非イオン性界面活性剤(d)が、ポリオキシエチレンイソデシルエーテルおよび/またはポリオキシエチレン-2-エチルヘキシルエーテルである、請求項5に記載の洗浄除菌剤組成物。
  7. 非イオン性界面活性剤(e)が、式(3)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテルである、請求項1~6のいずれかに記載の洗浄除菌剤組成物。
    Figure 0007046363000011
    [式(3)中、
    は炭素数が13~20の直鎖または分岐状の炭化水素基で、
    EOはエチレンオキサイド、POはプロピレンオキサイドの付加単位を示し、
    oおよびpはそれぞれエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドの平均付加モル数を表し、oは11~22であり、pは0~10である。]
  8. 非イオン性界面活性剤(e)が、ポリオキシエチレンアルキルエーテルである、請求項7に記載の洗浄除菌剤組成物。
  9. ポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩(a)1重量部に対して、洗浄剤(b)の含有量が0.5~10重量部である、請求項1~8の何れかに記載の洗浄殺菌剤組成物。
  10. 洗浄剤(b)が、式(1)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテルであり、非イオン性界面活性剤(d)が、式(2)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテルであり、非イオン性界面活性剤(e)が、式(3)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテルである、請求項9に記載の洗浄除菌剤組成物。
  11. 洗浄剤(b)が、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンイソデシルエーテルであり、非イオン性界面活性剤(d)が、ポリオキシエチレンイソデシルエーテルおよび/またはポリオキシエチレン-2-エチルヘキシルエーテルであり、非イオン性界面活性剤(e)が、ポリオキシエチレンアルキルエーテルである、請求項10に記載の洗浄除菌剤組成物。
  12. pHが8~10である、請求項1~11のいずれかに記載の洗浄除菌剤組成物。
  13. 使用時のポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩(a)の濃度が0.005~1重量%である、請求項1~12のいずれかに記載の洗浄除菌剤組成物。
  14. 食器、調理器具または食品加工設備の洗浄に用いられる、請求項1~13のいずれかに記載の洗浄除菌剤組成物。
  15. CIP洗浄または自動洗浄機による洗浄に用いられる、請求項14に記載の洗浄除菌剤組成物。
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