JP7044489B2 - 難燃性粘着剤組成物及び難燃性粘着テープ - Google Patents
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Description
以下に本発明を詳述する。
上記極性官能基含有アクリル系ポリマーを含む粘着成分、及び、難燃剤を配合し、上記極性官能基含有アクリル系ポリマー中に上記難燃剤を微分散させることにより、より少ない難燃剤で充分な難燃性を発揮できることから、高い難燃性と、被着体に対する高い定荷重剥離性とを両立した難燃性粘着テープを得ることができる。
リビングラジカル重合は、重合反応が停止反応又は連鎖移動反応等の副反応で妨げられることなく分子鎖が生長していく重合である。リビングラジカル重合によれば、例えばフリーラジカル重合等と比較してより均一な分子量及び組成を有するポリマーが得られ、低分子量成分等の生成を抑えることができるため、粘着テープが剥がれにくくなり、被着体に対する定荷重剥離性が向上する。
このようなリビングラジカル重合極性官能基含有アクリル系ポリマー1に難燃剤を配合すると、難燃剤はリビングラジカル重合極性官能基含有アクリル系ポリマー1に含まれる極性官能基に対して高い親和性を示し、その相互作用によってポリマー中に分散される。ここで、リビングラジカル重合極性官能基含有アクリル系ポリマー1の全てのポリマー鎖中に極性官能基含有モノマー12が含まれていることから、ほとんど全てのポリマー鎖が難燃剤の分散に関与することができる。
図2に、リビングラジカル重合極性官能基含有アクリル系ポリマーに難燃剤を配合した場合を説明する模式図を示した。リビングラジカル重合極性官能基含有アクリル系ポリマーでは、全てのポリマーの組成は均一であり、極性官能基含有モノマーを含むことから、すべてのポリマー鎖21が難燃剤22の分散に関与することができる。なお、図2では極性官能基の例として水酸基を記載した。このように、ほとんど全てのポリマー鎖21が難燃剤22の分散に関与することにより、難燃剤22がリビングラジカル重合極性官能基含有アクリル系ポリマー中に微分散することができ、より少ない難燃剤で充分な難燃性を発揮できる。これにより、高い難燃性と、被着体に対する高い定荷重剥離性とを両立した難燃性粘着テープを得ることができる。また、本発明の難燃性粘着剤組成物を製造する際に、リビングラジカル重合極性官能基含有アクリル系ポリマー中に容易に難燃剤を分散させることができることから、製造性も向上する。
図3にフリーラジカル重合を説明する模式図を示した。フリーラジカル重合では、反応中に連続的にラジカル種が発生してモノマーに付加し、重合が進行する。そのためフリーラジカル重合では、反応の途中で生長末端ラジカルが失活したポリマー33や、反応中に新しく発生したラジカル種により生長したポリマー34が生成する。そのため、極性官能基を含有するアクリル系ポリマーをフリーラジカル重合で製造すると、比較的低分子量の極性官能基含有モノマーを含まないポリマーが生成してしまう。このようなフリーラジカル重合極性官能基含有アクリル系ポリマー3に難燃剤を配合しても、極性官能基含有モノマーを含まないポリマー鎖は、難燃剤に対する親和性が低く、難燃剤の分散に関与することができない。
図4に、フリーラジカル重合極性官能基含有アクリル系ポリマーに難燃剤を配合した場合を説明する模式図を示した。フリーラジカル重合極性官能基含有アクリル系ポリマーでは、ポリマーの組成が不均一であり、極性官能基含有モノマーを含むポリマー鎖411以外に、比較的低分子量の極性官能基含有モノマーを含まないポリマー鎖412を含む。このような極性官能基含有モノマーを含まないポリマー鎖412は、難燃剤42の分散に関与できないことから、全体としては難燃剤42が充分に分散できないことがあり、高い難燃性を発揮させるためには大量の難燃剤を配合しなければならないことがある。大量の難燃剤を配合すると、被着体に対する定荷重剥離性が低下してしまうことから、高い難燃性と、被着体に対する高い定荷重剥離性とを両立させることはできない。なお、図4では極性官能基の例として水酸基を記載した。
上記有機テルル化合物として、例えば、(メチルテラニル-メチル)ベンゼン、(1-メチルテラニル-エチル)ベンゼン、(2-メチルテラニル-プロピル)ベンゼン、1-クロロ-4-(メチルテラニル-メチル)ベンゼン、1-ヒドロキシ-4-(メチルテラニル-メチル)ベンゼン、1-メトキシ-4-(メチルテラニル-メチル)ベンゼン、1-アミノ-4-(メチルテラニル-メチル)ベンゼン、1-ニトロ-4-(メチルテラニル-メチル)ベンゼン、1-シアノ-4-(メチルテラニル-メチル)ベンゼン、1-メチルカルボニル-4-(メチルテラニル-メチル)ベンゼン、1-フェニルカルボニル-4-(メチルテラニル-メチル)ベンゼン、1-メトキシカルボニル-4-(メチルテラニル-メチル)ベンゼン、1-フェノキシカルボニル-4-(メチルテラニル-メチル)ベンゼン、1-スルホニル-4-(メチルテラニル-メチル)ベンゼン、1-トリフルオロメチル-4-(メチルテラニル-メチル)ベンゼン、1-クロロ-4-(1-メチルテラニル-エチル)ベンゼン、1-ヒドロキシ-4-(1-メチルテラニル-エチル)ベンゼン、1-メトキシ-4-(1-メチルテラニル-エチル)ベンゼン、1-アミノ-4-(1-メチルテラニル-エチル)ベンゼン、1-ニトロ-4-(1-メチルテラニル-エチル)ベンゼン、1-シアノ-4-(1-メチルテラニル-エチル)ベンゼン、1-メチルカルボニル-4-(1-メチルテラニル-エチル)ベンゼン、1-フェニルカルボニル-4-(1-メチルテラニル-エチル)ベンゼン、1-メトキシカルボニル-4-(1-メチルテラニル-エチル)ベンゼン、1-フェノキシカルボニル-4-(1-メチルテラニル-エチル)ベンゼン、1-スルホニル-4-(1-メチルテラニル-エチル)ベンゼン、1-トリフルオロメチル-4-(1-メチルテラニル-エチル)ベンゼン、1-クロロ-4-(2-メチルテラニル-プロピル)ベンゼン、1-ヒドロキシ-4-(2-メチルテラニル-プロピル)ベンゼン、1-メトキシ-4-(2-メチルテラニル-プロピル)ベンゼン、1-アミノ-4-(2-メチルテラニル-プロピル)ベンゼン、1-ニトロ-4-(2-メチルテラニル-プロピル)ベンゼン、1-シアノ-4-(2-メチルテラニル-プロピル)ベンゼン、1-メチルカルボニル-4-(2-メチルテラニル-プロピル)ベンゼン、1-フェニルカルボニル-4-(2-メチルテラニル-プロピル)ベンゼン、1-メトキシカルボニル-4-(2-メチルテラニル-プロピル)ベンゼン、1-フェノキシカルボニル-4-(2-メチルテラニル-プロピル)ベンゼン、1-スルホニル-4-(2-メチルテラニル-プロピル)ベンゼン、1-トリフルオロメチル-4-(2-メチルテラニル-プロピル)ベンゼン、2-(メチルテラニル-メチル)ピリジン、2-(1-メチルテラニル-エチル)ピリジン、2-(2-メチルテラニル-プロピル)ピリジン、2-メチルテラニル-エタン酸メチル、2-メチルテラニル-プロピオン酸メチル、2-メチルテラニル-2-メチルプロピオン酸メチル、2-メチルテラニル-エタン酸エチル、2-メチルテラニル-プロピオン酸エチル、2-メチルテラニル-2-メチルプロピオン酸エチル、2-メチルテラニルアセトニトリル、2-メチルテラニルプロピオニトリル、2-メチル-2-メチルテラニルプロピオニトリル等が挙げられる。これらの有機テルル化合物中のメチルテラニル基は、エチルテラニル基、n-プロピルテラニル基、イソプロピルテラニル基、n-ブチルテラニル基、イソブチルテラニル基、t-ブチルテラニル基、フェニルテラニル基等であってもよく、また、これらの有機テルル化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記アゾ化合物は、ラジカル重合に一般的に用いられるものであれば特に限定されず、例えば、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、1,1-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、1-[(1-シアノ-1-メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、4,4’-アゾビス(4-シアノバレリアン酸)、ジメチル-2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、ジメチル-1,1’-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボキシレート)、2,2’-アゾビス{2-メチル-N-[1,1’-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’-アゾビス[N-(2-プロペニル)-2-メチルプロピオンアミド]、2,2’-アゾビス(N-ブチル-2-メチルプロピオンアミド)、2,2’-アゾビス(N-シクロヘキシル-2-メチルプロピオンアミド)、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス{2-[1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン-2-イル]プロパン}二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]四水和物、2,2’-アゾビス(1-イミノ-1-ピロリジノ-2-メチルプロパン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)等が挙げられる。これらのアゾ化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記極性官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、グリジシル基、イソシアネート基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられる。なかでも、難燃剤の分散性に特に優れることから、水酸基又はカルボキシル基が好ましく、水酸基がより好ましい。
上記水酸基を有するモノマーとしては、例えば、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
上記カルボキシル基を有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸が挙げられる。なかでもアクリル酸が好適である。
上記グリシジル基を有するモノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレートが挙げられる。
上記イソシアネート基を有するモノマーとしては、例えば、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート等が挙げられる。
上記スルホン酸基を有するモノマーとしては、例えば、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、4-ビニルベンゼンスルホン酸等が挙げられる。
上記リン酸基を有するモノマーとしては、例えば、リン酸2-(メタクリロイルオキシ)エチル等が挙げられる。
上記極性官能基含有アクリル系ポリマーの重合の方法として、従来公知の方法が用いられ、例えば、溶液重合(沸点重合又は定温重合)、乳化重合、懸濁重合、塊状重合等が挙げられる。
上記極性官能基含有アクリル系ポリマーの重合において重合溶媒を用いる場合、該重合溶媒は特に限定されず、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、トルエン、キシレン等の非極性溶媒や、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N-ジメチルホルムアミド等の高極性溶媒を用いることができる。これらの重合溶媒は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、重合温度は、重合速度の観点から0~110℃が好ましい。
重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパミエーションクロマトグラフィ(GPC)法によりポリスチレン換算分子量として測定される。具体的には、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、極性官能基含有アクリル系ポリマーをテトラヒドロフラン(THF)によって50倍希釈して得られた希釈液をフィルターで濾過し、得られた濾液を用いてGPC法によりポリスチレン換算分子量として測定される。GPC法では、例えば、2690 Separations Model(Waters社製)等を使用できる。
ただし、上記ポリマー成分中における上記リビングラジカル重合極性官能基含有アクリル系ポリマーの含有量の好ましい下限は60重量%であり、ポリマー成分の全量(100重量%)が上記リビングラジカル重合極性官能基含有アクリル系ポリマーであることがより好ましい。ポリマー成分中の上記リビングラジカル重合極性官能基含有アクリル系ポリマーの含有量を60重量%以上とすることにより、難燃剤の分散性を向上させ、高い難燃性と、被着体に対する高い定荷重剥離性とを両立した難燃性粘着テープを得ることができる。
なお、後述する粘着付与樹脂は、粘着成分には含まない。
上記有機系難燃剤としては、例えば、ペンタブロモジフェニルエーテル等の臭素化合物や、赤リン、非ハロゲンリン酸エステル等のリン化合物や、塩素化パラフィン等の塩素化合物等が挙げられる。上記非ハロゲンリン酸エステルとしては、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリプロピルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トリヘキシルホスフェート、トリシクロヘキシルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、ジメチルエチルホスフェート、メチルジブチルホスフェート、エチルジプロピルホスフェート、ヒドロキシフェニルジフェニルホスフェート、レゾルシノールビスジフェニルホスフェート、ビスフェノールAビスジフェニルホスフェート、レゾルシノールビスジ-2,6-キシレニルホスフェート及びこれらを各種置換基で置換した化合物等が挙げられる。なかでも、ヒドロキシフェニルジフェニルホスフェート、レゾルシノールビスジフェニルホスフェート、ビスフェノールAビスジフェニルホスフェート及びレゾルシノールビスジ-2,6-キシレニルホスフェートからなる群より選ばれる1種以上が好ましく、レゾルシノールビスジフェニルホスフェート及びビスフェノールAビスジフェニルホスフェートからなる群より選ばれる1種以上がより好ましい。これらの難燃剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記架橋剤は特に限定されず、上記極性官能基含有アクリル系ポリマーの極性官能基の種類に応じて、例えば、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート型架橋剤等を選択して用いる。
例えば、上記極性官能基含有アクリル系ポリマーが極性官能基として水酸基を有する場合、架橋剤として例えばイソシアネート系架橋剤を用いることにより、上記極性官能基含有アクリル系ポリマーを架橋させることができる。また、上記極性官能基含有アクリル系ポリマーが極性官能基としてカルボキシル基を有する場合、架橋剤として例えばエポキシ系架橋剤又はアジリジン系架橋剤を用いることにより、上記極性官能基含有アクリル系ポリマーを架橋させることができる。なかでも、リビングラジカル重合極性官能基含有アクリル系ポリマーは、含有する全てのポリマーの組成が均一で、極性官能基を有することから、全てのポリマーがポリマー鎖間の架橋に関与することができる。このため、薄い粘着テープであっても剥がれにくく、被着体に対して高い定荷重剥離性と粘着剤凝集力を発揮できる難燃性粘着テープを得ることができる。
上記ロジンエステル系樹脂とは、アビエチン酸を主成分とするロジン樹脂、不均化ロジン樹脂及び水添ロジン樹脂、アビエチン酸等の樹脂酸の二量体(重合ロジン樹脂)等を、アルコールによってエステル化させて得られた樹脂である。エステル化に用いたアルコールの水酸基の一部がエステル化に使用されずに樹脂内に含有されることで、水酸基価が上記範囲に調整される。アルコールとしては、エチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールが挙げられる。
なお、ロジン樹脂をエステル化した樹脂がロジンエステル樹脂、不均化ロジン樹脂をエステル化した樹脂が不均化ロジンエステル樹脂、水添ロジン樹脂をエステル化した樹脂が水添ロジンエステル樹脂、重合ロジン樹脂をエステル化した樹脂が重合ロジンエステル樹脂である。
上記テルペンフェノール樹脂とは、フェノールの存在下においてテルペンを重合させて得られた樹脂である。
上記テルペン系樹脂としては、例えば、ヤスハラケミカル社製YSポリスターG150(軟化点150℃)、同社製YSポリスターT100(軟化点100℃)、同社製YSポリスターG125(軟化点125℃)、同社製YSポリスターT115(軟化点115℃)、同社製YSポリスターT130(軟化点130℃)等が挙げられる。
これらの粘着付与樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の難燃性粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する難燃性粘着テープもまた、本発明の1つである。
なお、本発明の難燃性粘着テープが基材の両面に粘着剤層が形成された両面粘着テープである場合、一方の面のみの粘着剤層が本発明の難燃性粘着剤組成物からなる粘着剤層であってもよく、両面の粘着剤層が本発明の難燃性粘着剤組成物からなる粘着剤層であってもよい。なかでも、より高い難燃性が得られることから、両面の粘着剤層が本発明の難燃性粘着剤組成物からなる粘着剤層であることが好ましい。
上記粘着剤層のゲル分率の下限は特に限定されないが、耐熱性等の点からは1重量%以上であることが好ましく、5重量%以上であることがより好ましく、20重量%以上であることが更に好ましい。
なお、ゲル分率は、次のようにして測定される。まず、両面粘着テープを50mm×100mmの平面長方形状に裁断して試験片を作製し、試験片を酢酸エチル中に23℃にて24時間浸漬した後、酢酸エチルから取り出して、110℃の条件下で1時間乾燥させる。乾燥後の試験片の重量を測定し、下記式を用いてゲル分率を算出する。なお、試験片には、粘着剤層を保護するための離型フィルムは積層されていないものとする。
ゲル分率(重量%)=100×(W2-W0)/(W1-W0)
(W0:基材の重量、W1:浸漬前の試験片の重量、W2:浸漬、乾燥後の試験片の重量)
上記樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のポリオレフィン系樹脂フィルム、PETフィルム等のポリエステル系樹脂フィルム、エチレン-酢酸ビニル共重合体やエチレン-アクリル酸エステル共重合体等の変性オレフィン系樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、シクロオレフィンポリマー樹脂フィルム等が挙げられる。
上記樹脂発泡体としては、例えば、ポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォーム、アクリルフォーム、ウレタンフォーム、エチレンプロピレンゴムフォーム等が挙げられる。
上記ヤーンクロス布としては、例えば、ポリエチレンフラットヤーンを織ったものや、その表面に樹脂フィルムをラミネートしたもの等が挙げられる。
本発明の難燃性粘着剤組成物を調製する方法としては、例えば、上記極性官能基含有アクリル系ポリマー、難燃剤、粘着付与樹脂及び架橋剤と、必要に応じて配合するその他の成分とを混合し、攪拌する方法等が挙げられる。
本発明の難燃性粘着テープからなる電子機器部品固定用両面粘着テープもまた、本発明の1つである。本発明の難燃性粘着テープからなる車載部品固定用両面粘着テープもまた、本発明の1つである。
本発明の電子機器部品固定用両面粘着テープ及び車載部品固定用両面粘着テープの形状は特に限定されないが、長方形、額縁状、円形、楕円形、ドーナツ型等が挙げられる。
本発明の両面粘着テープは、高い耐熱接着性を有することから、1mm以下の狭い線幅であっても、電子機器部品の固定や車載部品の固定に特に好適に用いることができる。
(1)リビングラジカル重合極性官能基含有アクリル系ポリマーの調製
Tellurium(40メッシュ、金属テルル、アルドリッチ社製)6.38g(50mmol)をテトラヒドロフラン(THF)50mLに懸濁させ、これに1.6mol/Lのn-ブチルリチウム/ヘキサン溶液(アルドリッチ社製)34.4mL(55mmol)を、室温でゆっくり滴下した。この反応溶液を金属テルルが完全に消失するまで攪拌した。この反応溶液に、エチル-2-ブロモーイソブチレート10.7g(55mmol)を室温で加え、2時間攪拌した。反応終了後、減圧下で溶媒を濃縮し、続いて減圧蒸留して、黄色油状物の2-メチル-2-n-ブチルテラニル-プロピオン酸エチルを得た。
得られたアクリル系ポリマー含有溶液をテトラヒドロフラン(THF)によって50倍希釈して得られた希釈液をフィルター(材質:ポリテトラフルオロエチレン、ポア径:0.2μm)で濾過した。得られた濾液をゲルパミエーションクロマトグラフ(Waters社製、2690 Separations Model)に供給して、サンプル流量1ミリリットル/min、カラム温度40℃の条件でGPC測定を行い、ポリマーのポリスチレン換算分子量を測定した。重量平均分子量(Mw)は60万、分子量分布(Mw/Mn)は1.5であった。なお、カラムとしてはGPC KF-806L(昭和電工社製)を用い、検出器としては示差屈折計を用いた。
得られたアクリル系ポリマー含有溶液に、その不揮発分100重量部に対して酢酸エチルを加えて攪拌し、難燃剤として水酸化アルミニウム(昭和電工社製、ハイジライトH-43M)10重量部と、架橋剤としてイソシアネート系架橋剤(コロネートL、日本ポリウレタン社製)2.5重量部を添加して攪拌し、不揮発分30重量%の粘着剤溶液を得た。
厚み50μmの離型処理したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに、得られた粘着剤溶液を、乾燥後に糊厚みが50μmとなるように塗工した後、100℃で10分間乾燥させ、粘着剤層を得た。得られた粘着剤層を25μmのコロナ処理した難燃PET基材(東レ社製、ルミラーZV)に転写した後、同様の操作で基材の反対側の面にも粘着剤層を準備し、基材両面に片面当たりの厚みが50μmの粘着剤層が積層一体化された両面粘着テープを作製した。作製した両面粘着テープを40℃2日間養生した。この積層体をゴムローラによって厚み方向に加圧することによって、粘着剤層の表面に離型フィルムが剥離可能に積層一体化された両面粘着テープを製造した。得られた両面粘着テープの粘着剤層を光学顕微鏡で観察したところ、難燃剤がアクリル系ポリマー中で微分散していることが確認された。
難燃剤の添加量を表1に記載したようにした以外は実施例1と同様にして、実施例2~5、比較例1の両面粘着テープを得た。
また、難燃剤の添加量を表1に記載したようにし、粘着付与樹脂としてペンセルD135(荒川化学工業社製)を表1に記載した添加量で添加した以外は実施例1と同様にして、実施例6~8の両面粘着テープを得た。
また、難燃剤の添加量を表1に記載したようにし、難燃剤としてそれぞれ赤リン(燐化学工業社製、ノーバクエルFST100)、ポリ化リン酸メラミン(三和ケミカル社製、MPP-A)を添加した以外は実施例1と同様にして、実施例9、10の両面粘着テープを得た。
得られた両面粘着テープの粘着剤層を光学顕微鏡で観察したところ、難燃剤を添加しなかった比較例1以外では、難燃剤がアクリル系ポリマー中で微分散していることが確認された。
(1)フリーラジカル重合極性官能基含有アクリル系ポリマーの調製
反応容器内に、重合溶媒として酢酸エチル50gを加え、窒素でバブリングした後、窒素を流入しながら反応容器を加熱して還流を開始した。続いて、重合開始剤としてV-60(2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、和光純薬工業社製)0.15gを酢酸エチルで10倍希釈した重合開始剤溶液を反応容器内に投入し、混合モノマー(アクリル酸ブチル96.7重量%、アクリル酸3重量%、アクリル酸2-ヒドロキシエチル0.3重量%)の合計100gを2時間かけて滴下添加した。滴下終了後、重合開始剤としてV-60(2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、和光純薬工業社製)0.15gを酢酸エチルで10倍希釈した重合開始剤溶液を反応容器内に再度投入し、4時間重合反応を行い、フリーラジカル重合されたアクリル系ポリマー含有溶液を得た。
実施例1と同様にして測定したところ、重量平均分子量(Mw)は60万、分子量分布(Mw/Mn)は6.2であった。
得られたアクリル系ポリマー含有溶液に、その不揮発分100重量部に対して酢酸エチルを加えて攪拌し、難燃剤として水酸化アルミニウム(昭和電工社製、ハイジライトH-43M)10重量部と、架橋剤としてイソシアネート系架橋剤(コロネートL、日本ポリウレタン社製)2.5重量部を添加して攪拌し、不揮発分30重量%の粘着剤溶液を得た。
厚み50μmの離型処理したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに、得られた粘着剤溶液を、乾燥後に糊厚みが50μmとなるように塗工した後、100℃で10分間乾燥させ、粘着剤層を得た。得られた粘着剤層を25μmのコロナ処理した難燃PET基材(東レ社製、ルミラーZV)に転写した後、同様の操作で基材の反対側の面にも粘着剤層を準備し、基材両面に片面当たりの厚みが50μmの粘着剤層が積層一体化された両面粘着テープを作製した。作製した両面粘着テープを40℃2日間養生した。この積層体をゴムローラによって厚み方向に加圧することによって、粘着剤層の表面に離型フィルムが剥離可能に積層一体化された両面粘着テープを製造した。得られた両面粘着テープの粘着剤層を光学顕微鏡で観察したところ、難燃剤がアクリル系ポリマー中で凝集している箇所があることが確認された。
難燃剤の添加量を表1に記載したようにした以外は比較例2と同様にして、比較例3~5の両面粘着テープを得た。得られた両面粘着テープの粘着剤層を光学顕微鏡で観察したところ、難燃剤がアクリル系ポリマー中で凝集している箇所があることが確認された。
実施例、比較例で得られた両面粘着テープについて、下記の評価を行った。結果を表1に示した。
得られた両面粘着テープを長さ200mm、幅50mmに切り出し、両面の離型フィルムを剥がした試験片を準備し、この試験片の一方の端を保持して垂直に吊るした。試験片の下端に、バーナーで3秒間の炎をあてて、炎を離してから後の有炎燃焼時間を測定した。試験は5回行い、有炎燃焼時間の平均値を算出して、以下の基準で評価した。
◎:有炎燃焼時間が10秒未満
○:有炎燃焼時間が10秒以上、20秒未満
△:有炎燃焼時間が20秒以上、30秒未満
×:有炎燃焼時間が30秒以上
幅20mm×50mmの裏打ちした両面粘着テープをステンレス(SUS)板に貼り、23℃50%湿度で一晩養生した後、80℃で90°の方向に50gの荷重を掛け、剥離時間を測定した。得られた剥離時間をもとに、下記の基準にて定荷重剥離性を評価した。同様の評価をポリカーボネート(PC)板に対しても行った。
◎:剥離時間が1時間以上
○:剥離時間が30分以上、1時間未満
△:剥離時間が15分以上、30分未満
×:剥離時間が15分未満
11 極性官能基を含まないモノマー
12 極性官能基含有モノマー
21 ポリマー鎖
22 難燃剤
3 フリーラジカル重合極性官能基含有アクリル系ポリマー
31 架橋性官能基を含まないモノマー
32 架橋性官能基含有モノマー
33 反応の途中で生長末端ラジカルが失活したポリマー
34 反応中に新しく発生したラジカル種により生長したポリマー
411 極性官能基含有モノマーを含むポリマー鎖
412 極性官能基含有モノマーを含まないポリマー鎖
42 難燃剤
Claims (5)
- 分子量分布(Mw/Mn)1.05~2.5の極性官能基を有するアクリル系ポリマーを含む粘着成分、及び、難燃剤を含有し、
前記難燃剤が前記極性官能基を有するアクリル系ポリマー中に微分散しており、
前記粘着成分100重量部に対する前記難燃剤の含有量が10~50重量部であり、
更に、架橋剤を含有し、
前記極性官能基を有するアクリル系ポリマーは、リビングラジカル重合極性官能基含有ア クリル系ポリマーであり、前記極性官能基が水酸基、カルボキシル基、グリジシル基、イ ソシアネート基、スルホン酸基又はリン酸基である
ことを特徴とする難燃性粘着剤組成物。 - 難燃剤は、金属水酸化物及び/又は水和金属化合物であることを特徴とする請求項1記載の難燃性粘着剤組成物。
- 更に、粘着付与樹脂を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の難燃性粘着剤組成物。
- 極性官能基を有するアクリル系ポリマーは、前記極性官能基が水酸基又はカルボキシル基 であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の難燃性粘着剤組成物。
- 請求項1、2、3又は4記載の難燃性粘着剤組成物からなる粘着剤層を有することを特徴とする難燃性粘着テープ。
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