JP7043826B2 - 包装材、包装容器及び蓋体 - Google Patents

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Description

本発明は、包装材、これを用いた包装容器及び蓋体に関する。
絵柄印刷により装飾が施されるプラスチック系包装材には、基材の外層側に絵柄印刷層が形成される、いわゆる表刷りのものと、透明基材の内層側に絵柄印刷層が形成される、いわゆる裏刷りのものとがある。
表刷りの場合は、あらゆる基材に印刷することができ、印刷イメージどおりの外観が得られやすい。その反面、包装材の外表面への衝撃や摩擦等により絵柄印刷に傷や剥離が生じやすいという短所がある。
これに対して、裏刷りは、透明基材の内層側(裏側)に印刷されるため、包装材の外表面への衝撃や摩擦等に対しても、絵柄印刷の傷や剥離は生じにくいという長所を有している。また、裏刷りによる絵柄は、例えば、特許文献1に記載されているように、透明基材を通して包装材の外表面から視認されるため、視認者側では、透明基材によって平滑化され、光沢性が付与され、高級感が得られる。
特開2017-81589号公報
しかし、裏刷りされたプラスチック系包装材から形成したパウチ等の包装容器は、開封時等に手が滑りやすいという問題があった。
本発明者らは、裏刷りのプラスチック系包装材から形成したパウチを開封する際に手が滑る原因について検討した。
本発明者らは、まず、上記の原因が、裏刷りのプラスチック系包装材から形成したパウチは表面側に透明プラスチックフィルムが露出しており、露出した透明プラスチックフィルムの表面の平滑性に関連していると仮定した。そして、該仮定に基づき、該透明プラスチックフィルムの表面側にマット層を形成し、表面を凹凸化することを試みた。
しかし、透明プラスチックフィルムの表面側にマット層を形成しても、手が水で濡れた状態でパウチを開封した場合には、開封時に手が滑ることを十分に抑制することができなかった。台所、洗面所及び浴室等では、手が濡れた状態でパウチを開封することが多いため、かかる状態においてパウチ開封時の手の滑りを抑制することは重要な課題である。
そして、本発明者らはさらに検討を重ねた結果、透明プラスチックフィルムの表面側に形成するマット層を特定の構成とすることで、手が水で濡れた状態においても、パウチ開封時の手の滑りを抑制できることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[3]を提供するものである。
[1]透明基材の内層側に印刷層を有する包装材であって、前記透明基材の外層側の少なくとも一部に透明マット層を有し、前記透明マット層がバインダー樹脂及び吸油量が250[g/100g]以上のマット剤を含む、包装材。
[2]上記[1]に記載の包装材で形成されている包装容器。
[3]容器本体の収容部を封止するように前記容器本体に接合される蓋体であって、上記[1]に記載の包装材で形成されている蓋体。
本発明の包装材、これを用いた包装容器及び蓋体は、手が水で濡れた状態でも、パウチ等の包装容器を開封する際などに手の滑りを抑制することができる。
本発明の包装材の実施の形態を示す概略断面図である。 本発明の包装材の他の実施の形態を示す概略断面図である。 本発明の包装容器の実施の形態を示す概略平面図である。 本発明の包装容器の他の実施の形態を示す概略断面図である。
以下、本発明の包装材、並びに前記包装材を用いた包装容器及び蓋体について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本明細書中の「AA~BB」との数値範囲の表記は、「AA以上BB以下」であることを意味する。
[包装材]
本発明の包装材は、透明基材の内層側に印刷層を有する包装材であって、前記透明基材の外層側の少なくとも一部に透明マット層を有し、前記透明マット層がバインダー樹脂及び吸油量が250[g/100g]以上のマット剤を含むものである。
図1及び図2は、本発明の包装材10の積層構成の例を示す概略断面図である。
これらの図においては、上が外層側(表面側)であり、下が内層側(裏面側)である。図1及び図2に示すように、本発明の包装材10は、透明基材30の内層側に印刷層40を有し、透明基材30の外層側の少なくとも一部に透明マット層20を有している。
また、図1及び図2では、印刷層40として、絵柄印刷層41及び地色印刷層42を有している。さらに、図2では、絵柄印刷層41として、有彩色層41a及び光輝性印刷層41bを有している。
包装材10の積層構成においては、その他の層を構成層として含んでいてもよい。
例えば、図1及び図2に示す包装材10は、印刷層40の内層側(裏面)に、中間層70及びシーラント層80を備えている。
また、図1に示す包装材は、透明マット層20の外層側(表面側)の一部にクリア層60を有している。
<透明基材>
透明基材30は、包装材10の基材であるとともに、印刷層40が裏刷りされる場合の印刷基材となる。透明基材30は、印刷層40を外層側から視認できるように、光透過性を有する材料で構成される。例えば、光透過性を有する基材としては、プラスチックフィルム、透明紙等が挙げられ、中でもプラスチックフィルムが好適に用いられる。
透明基材の厚みは、特に限定されるものではなく、包装材の用途に応じて適宜設定することができるが、通常、5~50μm程度であることが好ましく、より好ましくは8~40μm、さらに好ましくは10~25μmである。
透明基材は、JIS K7361-1:1997の全光線透過率が85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。また、透明基材は、JISK7136:2000のヘイズが1.0%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ましく、0.3%以下であることがさらに好ましい。
プラスチックフィルムの材料としては、具体的には、ポリエチレン(PE)系やポリプロピレン(PP)系等のポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS)樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、エチレン-ビニルエステル共重合体ケン化物、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、各種ナイロン(Ny)等のポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂(PVDC)等が挙げられる。これらの中でも、汎用性の観点からは、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、耐熱性や強度等の観点からは、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂が好ましい。
プラスチックフィルムは、一軸延伸又は二軸延伸されたものであってもよい。また、上記のうちの2種以上の樹脂のフィルムが積層された複合フィルムであってもよい。また、プラスチックフィルムは、インフレーション法、あるいはまた、溶融押出しコーティング法で形成されたものであってもよい。
包装材が電子レンジ用やレトルト容器として用いられる場合、プラスチックフィルムは耐熱性に優れているものが好ましい。耐熱性に優れたプラスチックフィルムを構成する樹脂としては、ポリエステル系樹脂及びポリアミド系樹脂等が挙げられる。
電子レンジ用やレトルト容器用の包装材のプラスチックフィルムの具体例としては、ポリエステルフィルムの単体、ナイロン等のポリアミドフィルムの単体、ポリエステルフィルム及びポリアミドフィルムの一種以上を含む複合フィルムが挙げられる。前記複合フィルムの例としては、PET/Ny/PET、外層側からPET/Nyの構成からなる共押出し延伸フィルムが挙げられる。また、前記複合フィルムとしては、ポリエステルフィルム及びポリアミドフィルムのいずれか1種以上と、エチレン-ビニルアルコール共重合体フィルム及びポリ塩化ビニリデンフィルムのいずれか1種以上とを組み合わせることも好ましい。
<印刷層>
印刷層は、透明基材の内層側に形成される。印刷層としては、絵柄印刷層及び地色印刷層が挙げられる。絵柄印刷層及び地色印刷層を併用する場合、地色印刷層は絵柄印刷層よりも内層側に形成することが好ましい。
<<絵柄印刷層>>
絵柄印刷層は、透明基材の裏面に形成される。絵柄印刷層とは、例えば、文字(商品名、製品表示、品質表示等)、図形、写真、記号、模様、パターン等を含む広い概念である。絵柄印刷層は、他の基材層やシーラント層等の表面に表刷りで形成した後、透明基材の裏面に接着剤で貼り合わせて形成されるものであってもよいが、外層側から絵柄をよりシャープに視認できるようにする観点から、透明基材に裏刷りで形成されることが好ましい。絵柄印刷層は、1層で構成されても、2層以上の多層で構成されてもよい。
絵柄印刷層の総厚みは、特に限定されるものではないが、通常、1~10μm程度であることが好ましく、より好ましくは1.5~5μmである。また、絵柄印刷層41は、図1に示すように透明基材30に対して全面印刷であってもよいし、図2に示すように透明基材30に対して部分印刷であってもよい。
絵柄印刷層は、通常、バインダー樹脂や溶剤からなるビヒクルを主成分とし、これに、染料や顔料等の着色剤が添加混合されたインキを用いた印刷により形成される。印刷方式としては、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、凸版印刷、シルクスクリーン印刷等が挙げられる。これらのうち、グラビア印刷が好ましい。
絵柄の光沢感による装飾効果を高める観点から、絵柄印刷層41は、有彩色層41a及び光輝性印刷層41bの少なくともいずれかを含むことが好ましい。
有彩色層41a及び光輝性印刷層41bの両方が形成される場合、図2に示すように包装材の厚み方向の同じ位置に並列して形成されてもよく、あるいはまた、一部が厚み方向に重なるように形成されていてもよい。
有彩色層41aの着色剤としては、汎用の染料や顔料(例えば、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料;キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料)を使用することができる。
光輝性印刷層41bは、光輝性顔料を含むインキを用いて印刷された層である。光輝性顔料としては、パール顔料や金属鱗片等が挙げられる。これらのうち、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。包装材に電子レンジ加熱やレトルト処理に対する耐性を付与する観点からは、パール顔料が好ましい。一方、絵柄により高い金属光沢性を付与する観点からは、金属鱗片が好ましい。
パール顔料としては、例えば、白色パール顔料、干渉パール顔料、着色パール顔料等が挙げられる。
白色パール顔料は、雲母の被覆層が二酸化チタン等の無色高屈折率材料であり、かつ被覆層の厚みが0.1~0.15μm程度と比較的小さいものであり、光のほぼすべての波長を反射するため、白色もしくは銀色に見える。
干渉パール顔料は、雲母の被覆層が二酸化チタン等の無色高屈折率材料であり、かつ被覆層の厚みが白色パール顔料よりも大きく、0.15μm超のものである。この厚みによって、反射光及び透過光が変化し、種々の干渉色を生じる。虹彩色パールと呼ばれる場合もある。
着色パール顔料は、有彩色であり、雲母の被覆層を酸化第二鉄等の有色高屈折率材料としたもの、白色パール顔料の周囲をさらに酸化第二鉄等の有色高屈折率材料もしくはその他の有色顔料で被覆したもの、又は、雲母の被覆層中に顔料やその他の着色剤を添加したもの等がある。
パール顔料の粒径は、特に限定されるものではなく、平均長さが5~60μmであることが好ましく、より好ましくは5~30μmである。なお、パール顔料の平均長さは、光学顕微鏡で観察した任意の20個の粒子の長径の平均値として求められる。
光輝性印刷層中のパール顔料の含有量は、光沢性を得るのに十分な量とする観点から、光輝性印刷層の全固形分の40~90質量%であることが好ましく、より好ましくは50~85質量%、さらに好ましくは60~80質量%である。
金属鱗片としては、アルミニウム、金、銀、真鍮、チタン、クロム、ニッケル、ニッケルクロム、ステンレス等の金属や合金が挙げられる。
金属鱗片は、例えば、前記金属又は合金をプラスチックフィルム上に真空蒸着してなる金属薄膜をプラスチックフィルムから剥離し、剥離した金属薄膜を粉砕、撹拌した得られたものや、前記金属又は合金の粉末と溶剤とを混合し、媒体撹拌ミル、ボールミル、アトライター等で、該粉末を展延及び/又は粉砕して得られたもの、さらに、これらの表面が樹脂コートされたもの等を用いることができる。
金属鱗片は、光輝性印刷層4b中での均一な分散性の観点から、平均長さが1~50μmであることが好ましく、より好ましくは2~30μm、さらに好ましくは5~20μmである。また、取り扱い性及び高い金属光沢性を得る観点から、平均厚みが0.01~5μmであることが好ましく、より好ましくは0.02~3μm、さらに好ましくは0.05~1μmである。また、金属鱗片のアスペクト比(平均長さ/平均厚み)は15~500であることが好ましい。
なお、金属鱗片の平均長さ及び平均厚みは、平滑な基材上に金属鱗片を散布した状態で、レーザ干渉式の三次元形状解析装置を用いて、20個の金属鱗片の長さ及び厚みを測定し、これらの測定値の各平均値として求められる。1個の金属鱗片の長さは、任意の軸方向において金属鱗片を平面観察した際の最大径(長さ)を意味する。1個の金属鱗片の厚みは、前記軸方向に垂直な方向(断面)における金属鱗片の最大厚み(長さ)を意味する。例えば、三次元形状解析装置による測定結果の処理画像のX軸方向を任意の軸方向(測定方向)とした場合、X軸と平行な方向において求めた1個の金属鱗片の最大径を、1個の金属鱗片の長さとする。仮に、X軸と平行ではない方向における長さが前記最大径よりも大きい場合であっても、その長さを最大径とはみなさない。レーザ干渉式の三次元形状解析装置としては、例えば、キーエンス社製の形状解析レーザ顕微鏡「VK-Xシリーズ」を用いることができる。
光輝性印刷層中の金属鱗片の含有量は、包装材で電子レンジ用の容器が形成される場合の電子レンジ耐性の観点からは、光輝性印刷層の全固形分の3質量%以上40質量%未満であることが好ましく、より好ましくは10~30質量%である。
インキに用いられるバインダー樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂や塩素化ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン系樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体、フッ化ビニリデン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アルキッド系樹脂、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、熱硬化型ポリ(メタ)アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂、マレイン酸樹脂、ニトロセルロースやエチルセルロース、アセチルブチルセルロース、エチルオキシエチルセルロース等の繊維素系樹脂、塩化ゴムや環化ゴム等のゴム系樹脂、石油系樹脂、ロジン、カゼイン等の天然樹脂等が挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
インキに用いられる溶剤としては、例えば、メタノールやエタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶剤、アセトンやメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸メチルや酢酸エチル、酢酸ノルマルプロピル等のエステル系溶剤、ノルマルヘキサンやノルマルヘプタン、ノルマルオクタン等の脂肪族炭化水素系溶剤、シクロヘキサンやメチルシクロヘキサン、シクロヘプタン等の脂環式炭化水素系溶剤、トルエンやキシレン等の芳香族系溶剤、ミネラルスピリット等が挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。なお、印刷時の作業環境及び被包装物への影響が懸念されるような場合には、これらのうち、特に、芳香族系溶剤は含まないことが好ましい。
また、インキには、必要に応じて、例えば、充填剤、安定剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の光安定剤、分散剤、増粘剤、乾燥剤、滑剤、帯電防止剤、架橋剤等の任意の添加剤を添加することができる。
<<地色印刷層>>
地色印刷層は、絵柄印刷層の絵柄を引き立てたり、外層側から被包装物への光の透過を遮断したりする等の観点から、必要に応じて、絵柄印刷層の内層側に形成される。地色印刷層は、上述した絵柄印刷層と同様の方法を用いて形成することができ、絵柄印刷層の裏面に裏刷りして形成されることが好ましい。地色印刷層を形成するための印刷用インキのバインダー樹脂、溶剤及び添加剤は、上記の絵柄印刷層についてのものと同様のものを用いることができる。
地色印刷層は、絵柄印刷層の裏面全面に形成されてもよく、絵柄印刷層の裏面の一部に形成されてもよい。地色印刷層の総厚みは、1.5~5μm程度であることが好ましく、より好ましくは1.5~3μmである。
地色印刷層は、黒色地色層及び白色地色層の少なくともいずれかを含むことが好ましい。また、絵柄印刷層の絵柄を引き立てる役割や、印刷効率等の観点から、地色印刷層は、単色ベタ印刷であることが好ましい。なお、絵柄印刷層の絵柄を有していない部分の外層側から見える地色印刷層が、文字、図形、記号、模様、パターン等として視認されるものとすることもできる。
<透明マット層>
透明マット層は、透明基材の外層側の少なくとも一部に形成される。また、透明マット層は、バインダー樹脂及び吸油量が250[g/100g]以上のマット剤を含む。
透明マット層中に吸油量が250[g/100g]以上のマット剤を含むことによって、手が水で濡れた状態でも、パウチ等の包装容器を開封する際などに手の滑りを抑制することができる。かかる効果を奏する原因は以下のように推定される。
まず、手が水で濡れた状態で滑りやすくなる理由は、手と包装容器との間において、水が潤滑剤としての役割を生じるためと考えられる。また、透明マット層を設けてプラスチックフィルムの表面を凹凸化しても手の滑りが抑制できない場合がある理由は、透明マット層の表面に水の薄膜が形成され、透明マット層の凹凸が平坦化するためと考えられる。
これに対して、透明マット層中に吸油量が250[g/100g]以上のマット剤を含有させた場合、マット剤が水を吸収し、透明マット層の表面に水の薄膜が形成されにくくなるため、水で濡れた手の滑りが抑制されると考えられる。
マット剤の吸油量は270[g/100g]以上であることが好ましく、280[g/100g]以上であることがより好ましい。
マット剤の吸油量の上限は特に限定されないが、吸油量が大き過ぎると、マット剤の凝集性が強くなり過ぎ、マット感を制御しにくくなるため、600[g/100g]以下であることが好ましく、500[g/100g]以下であることがより好ましく、400[g/100g]以下であることがさらに好ましい。
本明細書において、吸油量とは、JISK5101-13-2の「顔料試験法-第13部:吸油量-第2節:煮あまに油法」により測定したものである。
透明マット層の全固形分に対する、吸油量が250[g/100g]以上のマット剤の含有割合は、2.0~50.0質量%であることが好ましく、5.0~40.0質量%であることがより好ましく、15.0~30.0質量%であることがさらに好ましい。
吸油量が250[g/100g]以上のマット剤の含有量を2質量%以上とすることにより、水がマット剤で吸収されやすくなり、水で濡れた手の滑りを抑制しやすくできる。また、吸油量が250[g/100g]以上のマット剤の含有量を50質量%以下とすることにより、透明マット層中におけるマット剤の結着性を良好にしやすくできる。
吸油量250[g/100g]以上のマット剤の平均粒子径は0.1~15.0μmであることが好ましく、1.0~10.0μmであることがより好ましく、2.0~7.5μmであることがさらに好ましく、2.7~5.0μmであることがよりさらに好ましい。
吸油量250[g/100g]以上のマット剤の平均粒子径を0.1μm以上とすることにより、透明マット層の表面を凹凸化することによって、水で濡れた手の滑りを抑制しやすくできる。また、吸油量250[g/100g]以上のマット剤の平均粒子径を15.0μm以下とすることにより、透明マット層の表面が過度に凹凸化されることによって、印刷層の絵柄の視認性が低下することを抑制できる。
本明細書において、マット剤の粒子の平均粒径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における質量平均値d50として測定したものである。
マット剤としては、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、アルミノシリケート、硫酸バリウム等の無機物からなる粒子が好ましい。また、これらの中でも透明性に優れるシリカが好ましい。
マット剤の形状は、球形、多面体、鱗片状、不定形等が挙げられる。これらの中でも、滑り抑制の観点から不定形が好ましい。
透明マット層は、本発明の効果を阻害しない範囲で、吸油量250[g/100g]未満のマット剤を含有していてもよい。
なお、透明マット層に含まれる全マット剤のうち、吸油量250[g/100g]以上のマット剤の割合は80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましく、100質量%であることがよりさらに好ましい。
透明マット層の厚みは1.0~15.0μmであることが好ましく、1.5~10.0μmであることがより好ましく、1.8~6.0μmであることがさらに好ましい。
透明マット層の厚みを1.0μm以上とすることにより、水がマット剤で吸収されやすくなり、水で濡れた手の滑りを抑制しやすくできる。また、透明マット層の厚みを15.0μm以下とすることにより、印刷層の絵柄の視認性が低下することを抑制できる。
吸油量250[g/100g]以上のマット剤の平均粒子径dと、透明マット層の厚みhとの比(d/h)は、手の滑りの抑制と、マット剤の欠落の抑制とのバランスの観点から、0.5~2.0であることが好ましく、0.7~1.8であることがより好ましく、0.9~1.6であることがさらに好ましい。
透明マット層のバインダー樹脂としては、汎用の熱可塑性樹脂、硬化性樹脂を用いることができ、2液硬化型樹脂を用いることが好ましい。2液硬化型樹脂としては、ポリオールとイソシアネートとの2液硬化型樹脂が好ましい。
ポリオールとしては、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、エポキシポリオール等が挙げられ、これらのうち、アクリルポリオールが好ましい。アクリルポリオールとしては、塩化ビニル変性アクリルポリオール、塩化ビニル-酢酸ビニル変性アクリルポリオール、塩素化ポリオレフィン変性アクリルポリオール、メチル(メタ)アクリレート-2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、オクチル(メタ)アクリレート-エチルヘキシル(メタ)アクリレート-2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、メチル(メタ)アクリレート-ブチル(メタ)アクリレート-2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート-スチレン共重合体等が挙げられるが、これらのうち、塩化ビニル変性アクリルポリオールが好ましい。
また、イソシアネートとしては、公知の化合物を使用することができる。例えば、2,4-トリレンジイソシアネート(略称:TDI)、ナフタレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート;1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(略称:HMDI)、イソホロンジイソシアネート(略称:IPDI)、メチレンジイソシアネート(略称:MDI)、キシリレンジイソシアネート(略称:XDI)、水素添加トリレンジイソシアネート;水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環式イソシアネート等のポリイソシアネートが挙げられる。また、これらのイソシアネートの付加体又は多量体、例えば、トリメチルプロパンのTDI付加体、TDIの3量体等も挙げられる。
透明マット層の外層側表面は、JIS B0601:1994に準じて測定されるカットオフ値0.8mmでの算術平均粗さRaが0.2~2.0μmであることが好ましく、0.3~1.5μmであることがより好ましく、0.5~1.0μmであることがさらに好ましい。
透明マット層の外層側表面のRaを0.2μm以上とすることにより、透明マット層の表面を凹凸化することによって、水で濡れた手の滑りを抑制しやすくできる。また、透明マット層の外層側表面のRaを2.0μm以下とすることにより、透明マット層の表面が過度に凹凸化されることによって、印刷層の絵柄の視認性が低下することを抑制できる。
なお、本明細書において、算術平均粗さRaは、透明マット層2の外層側表面における流れ方向(MD)で10箇所、及びMD方向の直角方向(TD)で10箇所の合計20箇所で測定した平均値である。
透明マット層20は、図1のように、透明基材30の外層側の全面に形成してもよいし、図2のように、透明基材30の外層側の一部に形成してもよい。図2のような構成とした場合、透明マット層20を有する箇所と、透明マット層20を有さない箇所とで光沢の差が生じ、意匠性を高くできる点で好ましい。
透明マット層は、例えば、バインダー樹脂及びマット剤を含むマットインキ(透明マット層用インキ)を用いた印刷により形成することができる。印刷方式は、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、凸版印刷、シルクスクリーン印刷等が挙げられる。これらのうち、グラビア印刷が好ましい。
マットインキにおける溶剤としては、上記の絵柄印刷層におけるインキについてのものと同様のものを用いることができる。
また、マットインキには、さらに、必要に応じて、本発明の効果を妨げない範囲において、安定剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の光安定剤、分散剤、増粘剤、乾燥剤、滑剤、帯電防止剤等の任意の添加剤を添加することができる。
<クリア層>
透明マット層20上の一部には、図1に示すようにクリア層60を有していてもよい。かかる構成とすることにより、クリア層を有する箇所と、クリア層を有さない箇所とで光沢の差が生じ、意匠性を高くできる点で好ましい。
クリア層の厚みは、0.5~15μm程度であることが好ましく、より好ましくは1~10μm、さらに好ましくは2~7μmである。
クリア層は、光沢性を付与する絵柄の領域の透明マット層の外層側表面に、例えば、グロスニス(OPニス)でコーティングすることにより形成することができる。このような部分的なコーティングは、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、凸版印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷により行うことができる。これらのうち、グラビア印刷、フレキソ印刷が好ましい。
グロスニスとしては、水性ニス及び油性ニスのいずれを用いることもできる。
水性ニスとしては、例えば、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、(メタ)アクリル-スチレン共重合体等の樹脂成分を、水と少量の揮発性有機溶剤に溶解又は分散させたものを用いることができる。揮発性溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類やアセトン、メチルエチルケトン、エチルアセテート等が挙げられる。
油性ニスとしては、例えば、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル系共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂等の樹脂成分を、揮発性有機溶剤に溶解又は分散させたものを用いることができる。揮発性溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、トルエン、エタノール、イソプロパノール等が挙げられる。
水性ニス及び油性ニスには、さらに、必要に応じて、潤滑剤や界面活性剤等の添加剤を添加することができる。水性ニス及び油性ニス中の樹脂成分は、40~85質量%であることが好ましい。
<中間層>
中間層70は、図1及び図2に示すように、印刷層40とシーラント層80との間に、必要に応じて設けることができる。中間層としては、例えば、ガスバリア層やプラスチックフィルム層等が挙げられ、これらの層は、両面に接する層と接着剤(層)を介して接合することにより形成することができる。
中間層の総厚みは、1~50μm程度であることが好ましく、より好ましくは2~140μm、さらに好ましくは3~30μmである。
<<ガスバリア層>>
ガスバリア層は、包装材による被包装物と包装材の外部環境との間で、酸素や水蒸気等の透過を遮断するものである。また、可視光や紫外線等の透過を遮断する遮光性をも付与するものであってもよい。ガスバリア層は、1層で構成されていても、2層以上の多層で構成されていてもよい。ガスバリア層は、公知の材料により構成することができ、例えば、アルミ箔や、プラスチックフィルム表面に蒸着膜や塗布膜を形成した構成とすることができる。塗布膜を形成する場合は、ガスバリア性の向上の観点から、蒸着膜の表面に形成されることが好ましい。
なお、前記プラスチックフィルム表面は、蒸着膜や塗布膜の密着性向上の観点から、予め表面処理を施しておいてもよい。表面処理としては、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガスや窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、酸化剤処理、アンカーコート剤の塗布等が挙げられる。
前記蒸着膜としては、例えば、ケイ素、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、カリウム、スズ、ナトリウム、ホウ素、チタン、鉛、ジルコニウム、イットリウム等の無機物又はこれらの酸化物により形成することができる。
蒸着膜の形成方法としては、例えば、真空蒸着やスパッタリング、イオンプレーティング等の物理蒸着(PVD)法、プラズマ化学気相成長や熱化学気相成長、光化学気相成長等の化学蒸着(CVD)法等が挙げられる。
蒸着膜の膜厚は、成膜材料や要求されるガスバリア性能等によって異なるが、通常、5~200nm程度であることが好ましく、より好ましくは5~150nm、さらに好ましくは10~100nmである。ケイ素酸化物やアルミニウム酸化物等の無機酸化物の場合は、5~100nm程度であることが好ましく、より好ましくは5~50nm、さらに好ましくは10~30nmである。
前記塗布膜としては、例えば、一般式R1 M(OR2m(式中、R1、R2は炭素数1~8の有機基、Mは金属原子である。nは0以上の整数、mは1以上の整数を表し、n+mはMの原子価である。)で表される1種以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン-ビニルアルコール共重合体とを、ゾル-ゲル法触媒、酸、水及び有機溶剤の存在下で、ゾル-ゲル法により重縮合して得られた塗工液を塗布し、50~300℃で、0.05~60分間加熱処理することにより形成することができる。
塗布方法としては、例えば、グラビアロールコーター等のロールコート、スプレーコート、スピンコート、ディッピング、刷毛、バーコート、アプリケータ等の塗布手段により行うことができる。1回又は複数回の塗布で、塗布膜の乾燥膜厚が0.01~30μm程度となることが好ましく、より好ましくは0.05~20μm、さらに好ましくは0.1~10μmである。
<<プラスチックフィルム層>>
中間層におけるプラスチックフィルム層は、包装材の強度の向上や加工適性の向上、他の層を形成するための基材として、必要に応じて設けられる。
プラスチックフィルム層の構成材料としては、具体的には、透明基材と同様の材料を用いることができる。
電子レンジでの加熱やレトルト処理の観点から、耐熱性を高めるために、中間基材層は耐熱性に優れるものが好ましい。耐熱性に優れる中間基材層の具体例としては、電子レンジ用、レトルト容器用の包装材における透明基材として例示したプラスチックフィルムが挙げられる。
<接着剤層>
包装材の各構成層は、各層間の接合強度の向上の観点から、接着剤層を介して積層されていてもよい。ただし、印刷層よりも外層側では、絵柄の視認性や光沢感に影響を及ぼさないことを条件として、接着剤を使用することができる。
接着剤層の各厚みは、0.01~20μm程度であることが好ましく、より好ましくは0.05~15μm、さらに好ましくは0.1~10μmである。
接着剤層は、公知のドライラミネート用接着剤を用いた方法により形成することができる。ドライラミネート用接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、ポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、尿素樹脂やメラミン樹脂等によるアミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤(例えば、ポリオールとイソシアネートとの硬化物)、反応型(メタ)アクリル酸系接着剤、クロロプレンゴムやニトリルゴム、スチレン-ブタジエンゴム等によるゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカリ金属シリケートや低融点ガラス等による無機系接着剤等が挙げられる。
<シーラント層>
図1及び図2に示すように、印刷層40の内層側には、シーラント層80が積層されていることが好ましい。
シーラント層は、包装材の最内層に形成され、内層側の面が被包装物と直接接触し、被包装物を保護するものであり、特に、包装材で液状物の包装容器が形成される場合には、シーラント層は液状物に対する耐浸透性を有していることが好ましい。また、包装材で密閉容器が形成される場合には、シーラント層がヒートシールされることにより、密封性を確保できることが好ましい。シーラント層は、1層で構成されても、2層以上の多層で構成されてもよい。
シーラント層の総厚みは、特に限定されるものではなく、包装材の用途及び被包装物の種類や性質等に応じて適宜設定されるが、通常、10~200μm程度であることが好ましい。包装材でパウチ(特にレトルトパウチ)が形成される場合、シーラント層の厚みは、より好ましくは20~150μm、さらに好ましくは30~100μmである。また、包装材で蓋体が形成される場合、シーラント層の総厚みは、より好ましくは15~80μm、さらに好ましくは20~60μmである。
シーラント層を構成する材料としては、例えば、低密度PE(LDPE)、直鎖状低密度PE(LLDPE)、中密度PE(MDPE)、高密度PE(HDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体、プロピレン単独重合体、エチレン-プロピレンブロック共重合体、エチレン-プロピレンランダム共重合体等のポリオレフィン系樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上の樹脂を用いることができる。
シーラント層は、ヒートシールの際の収縮抑制の観点から、前記樹脂からなる無延伸フィルムであることが好ましい。
また、電子レンジ加熱やレトルト処理における耐熱性の観点から、シーラント層8は、例えば、プロピレン単独重合体、エチレン-プロピレンブロック共重合体、エチレン-プロピレンランダム共重合体等のPP系樹脂、HDPE等の耐熱性に優れた樹脂で形成されることが好ましい。PP系樹脂については、目的に応じて使い分けられることが好ましく、例えば、耐冷凍性を重視する場合はエチレン-プロピレンブロック共重合体、また、透明性を重視する場合はエチレン-プロピレンランダム共重合体、また、耐熱性が重視される場合はプロピレン単独重合体が好ましい。また、包装材で電子レンジ用の自動蒸通機構を備えた包装容器が形成される場合は、高温時にシーラント層でシール強度が低下し、包装容器内の蒸気を抜けやすくする観点から、エチレン-プロピレンブロック共重合体が好ましい。
また、包装材で蓋体が形成される場合、シーラント層は、イージーピール性を有していることが好ましい。イージーピール性とは、例えば、容器本体の収容部を封止するように前記容器本体に接合される蓋体において、容器本体から蓋体を剥離して開封する際に、剥離しやすいという特性である。
イージーピール性を有するシーラント層は、2種以上の樹脂を用いて形成することができ、具体的には、容器本体との密着性が良好である一の樹脂と、容器本体との密着性が良好ではなく、かつ、前記一の樹脂と非相溶である他の樹脂とを混合することにより形成することができる。例えば、容器本体がポリプロピレン製である場合、前記一の樹脂としてポリプロピレン単独重合体と、ポリエチレン、ポリブテン、ポリスチレン等他の樹脂との混合樹脂でシーラント層を形成することが好ましい。なお、シーラント層が多層構成である場合、該シーラント層は、容器本体と接合される最内層のみがイージーピール性を有していれば足りる。
[包装容器]
本発明の包装容器は、上述した本発明の包装材で形成されてなるものである。
包装容器は、包装容器の外周端部の少なくとも一部の最外層が透明マット層であることが好ましい。包装容器が当該構成を有することにより、手が水で濡れた状態で包装容器を開封する際に、外周端部の最外層が透明マット層である部分から開封すれば、手が滑ることを抑制できる。
また、図3及び図4のように、ノッチ部91又はつまみ部92を有する包装容器の場合、ノッチ部91又はつまみ部92の最外層が透明マット層であることが好ましい。当該構成とすることにより、手が水で濡れた状態で包装容器を開封する際の手の滑りをより効果的に抑制できる。
包装容器としては、例えば、パウチや蓋付容器が挙げられる他、カップやトレーが挙げられる。パウチは開封時に比較的大きな力を要し、手が水で濡れている場合には滑りやすいため、本発明が極めて有効である。
[蓋体]
本発明の蓋体95は、容器本体93の収容部94を封止するように容器本体93に接合される蓋体95であって、上述した本発明の包装材10で形成されてなるものである。
本発明の蓋体95は、つまみ部92を有し、つまみ部92の最外層が透明マット層であることが好ましい。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は、これにより限定されるものではない。
1.包装材の作製
(実施例1)
透明基材の内層側(裏面)の全面に、下記処方の有彩色層用インキをグラビア印刷で裏刷りし、厚み1.0μmの有彩色層を形成し、絵柄印刷層を形成した。
次いで、透明基材の外層側(表面)の全面に、下記処方の透明マット層用インキをグラビア印刷し、厚み3.0μmの透明マット層を形成した。次いで、透明マット層上の一部(中央付近)に、下記処方のクリア層用インキをグラビア印刷し、厚み3.0μmのクリア層を形成した。
そして、絵柄印刷層の内層側(裏面)に、中間層(遮光性を有するガスバリア層)として厚み12μmのアルミ蒸着PETをドライラミネート用接着剤で貼り合わせ、さらに、シーラント層として厚み100μmのポリエチレンフィルムをドライラミネート用接着剤で貼り合わせた。
得られた包装材の外層側からの積層構成の概略は、クリア層(3.0μm)/透明マット層(3.0μm)/透明基材(15μm)/絵柄印刷層(1.0μm)/接着剤層(3.0μm)/中間層(12μm)/接着剤層(3.0μm)/シーラント層(100μm)である。カッコ内の数値(単位:μm)は各層の厚みを表している(以下、同様。)。
各層の構成材料の詳細及びインキの処方等を以下に示す。
<透明基材>
二軸延伸ナイロンフィルム:出光ユニテック株式会社製「ユニロンG-100」
<有彩色層用インキ>
・有機系赤色顔料:3質量部
・沈降防止剤(微粒子シリカ):2質量部
・バインダー樹脂(ポリウレタン系樹脂):20質量部
・溶剤1(ミネラルスピリット):7質量部
・溶剤2(プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ノルマルプロピル、酢酸エチル、イソプロパノールの混合溶剤):70質量部
<透明マット層用インキ>
・不定形シリカ粒子(平均粒径3.0μm、吸油量260[g/100g]):30質量部
・バインダー樹脂(ポリオールとイソシアネートとの2液硬化型ポリウレタン樹脂):100質量部
・溶剤(酢酸ノルマルプロピル、酢酸エチル)
注:透明マット層用インキの全固形分に対するシリカ粒子の割合は23.1質量%である。
<クリア層用インキ>
アクリル系熱硬化性樹脂組成物を水系溶媒(水及びイソプロピルアルコールの3:7混合溶媒)に分散してなるインキ組成物
<中間層>
アルミ蒸着PET:尾池工業株式会社製「EXC」
<シーラント層>
ポリエチレンフィルム:大日本印刷株式会社製「DP-402」
<ドライラミネート用接着剤>
ポリウレタン系接着剤
(実施例2~10)(比較例1~2)
実施例1において、透明マット層のシリカ粒子の平均粒子径及び吸油量、透明マット層中のシリカ粒子の含有割合、並びに、透明マット層の厚みを表1の条件に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2~10及び比較例1の包装材を得た。
また、透明マット層を形成しない以外は、実施例1と同様にして、比較例2の包装材を得た。
2.包装容器(パウチ)の作製
実施例1~10及び比較例1~2の包装材をシーラント層が内層側になるように折り、外周の4辺付近を加熱して対向するシーラント層同士を接着させた。さらに、図3に示すように、接着箇所の一部にノッチ部を形成し、実施例1~10及び比較例1~2の包装容器(パウチ)を得た。
3.評価
3-1.滑りの抑制
手を濡らした状態で、実施例1~10及び比較例1~2の包装容器(パウチ)をノッチ部から開封する作業を行った。20歳代、30歳代、40歳代、50歳代の4つの年代から、男女5名ずつ合計40名が前記作業を行い、開封時の手の滑りやすさを評価した。
手が滑りにくいと感じるものを3点、どちらとも言えないものを2点、手が滑ると感じるものを1点として、上記40人の評価の平均点を算出した。結果を表1に示す。
<評価基準>
A:平均点が2.6超
:平均点が2.3超2.6以下
B:平均点が2.0超2.3以下
C:平均点が1.5以上2.0以下
D:平均点が1.5未満
3-2.絵柄印刷層の視認性
実施例1~10及び比較例1~2の包装容器(パウチ)を蛍光灯の照明下において目視で観察し、絵柄印刷層の絵柄が明りょうに視認できるか否かを評価した。その結果、絵柄が明りょうに視認できるものを「A」、絵柄が明りょうに視認できないものを「C」とした。
Figure 0007043826000001
表1に示した結果から、本発明の包装材及びこれを用いた包装容器は、手が水で濡れた状態でも、開封時の手の滑りを抑制できることが確認された。
10:包装材
20:透明マット層
30:透明基材
40:印刷層
41:絵柄印刷層
41a:有彩色層
41b:光輝性印刷層
42:地色印刷層
60:クリア層
70:中間層
80:シーラント層
91:ノッチ部
92:つまみ部
93:容器本体
94:収容部
95:蓋体
100:包装容器

Claims (10)

  1. 透明基材の内層側に印刷層を有する包装材であって、
    前記透明基材の外層側の少なくとも一部に透明マット層を有し、
    前記透明マット層がバインダー樹脂及び吸油量が250[g/100g]以上のマット剤を含
    前記透明マット層の全固形分に対する前記マット剤の含有割合が12.0~50.0質量%である、包装材。
  2. 前記透明マット層の全固形分に対する前記マット剤の含有割合が12.0~30.0質量%である、請求項1に記載の包装材。
  3. 前記マット剤の平均粒子径が0.1~15.0μmである、請求項1又は2に記載の包装材。
  4. 前記透明マット層の厚みが1.0~15.0μmである、請求項1~3のいずれか1項に記載の包装材。
  5. 前記印刷層の内層側にシーラント層が積層されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の包装材。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載の包装材で形成されている包装容器。
  7. 前記包装容器の外周端部の少なくとも一部の最外層が前記透明マット層である、請求項6に記載の包装容器。
  8. 前記包装容器がノッチ部又はつまみ部を有し、前記ノッチ部又は前記つまみ部の最外層が前記透明マット層である、請求項6に記載の包装容器。
  9. 前記包装容器がパウチである、請求項6~8のいずれか1項に記載の包装容器。
  10. 容器本体の収容部を封止するように前記容器本体に接合される蓋体であって、請求項1~5のいずれか1項に記載の包装材で形成されている蓋体。
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